JP2013061014A - 軸継手の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】筒状部の内周面における位置に応じて雌セレーションと雄セレーションとの接触状態が不均一となることを抑制できる軸継手の製造方法を提供する。
【解決手段】ピンチボルトが締結される締結部34に、治具41によりピンチボルトの締結力に相当する負荷を加えた状態で、筒状部31の内周面に雌セレーションを形成するようにした。
【選択図】図5
【解決手段】ピンチボルトが締結される締結部34に、治具41によりピンチボルトの締結力に相当する負荷を加えた状態で、筒状部31の内周面に雌セレーションを形成するようにした。
【選択図】図5
Description
本発明は、軸継手の製造方法に関する。
従来、軸継手にシャフトを連結する構造として、例えば特許文献1に記載の構造が知られている。こうした軸継手のジョイントヨークは、内周面に雌セレーションが形成された筒状部を有しており、筒状部には、軸方向に延びるスリット及び同スリットを挟んで対向する一対の締結部が形成されている。そして、筒状部にシャフトをセレーション嵌合し、締結部にピンチボルトを締結することにより、筒状部の雌セレーションとシャフトの雄セレーションとが密着するように同筒状部を縮径させて、ジョイントヨークとシャフトとがトルク伝達可能に連結される構成となっている。
ところで、上記連結構造では、筒状部の外周に設けられた一対の締結部にピンチボルトを締結することにより筒状部を縮径させる、すなわちスリットの両側をつまむようにして筒状部を縮径させるため、同筒状部(雌セレーション)は僅かに歪んだ形状となる。その結果、筒状部の内周面における位置に応じて雌セレーションと雄セレーションとの接触状態が不均一となり、スリットの周方向両側の領域で、雌セレーションと雄セレーションとが強く接触するようになる。そして、スリットと対向する領域では、雌セレーションと雄セレーションとが接触し難くなり、これらの間にガタ(隙間)が生じる虞がある。
そこで、例えば特許文献2には、雌セレーション(スプライン)を構成する各歯の歯厚をスリットと対向する領域で大きく形成し、同歯厚をスリットに近づくにつれて段階的に小さく形成した軸継手が開示されている。これにより、スリットの周方向両側の領域及びスリットと対向する領域の少なくとも3箇所で雌セレーションと雄セレーションと強く接触するようになり、ガタの発生が抑制されるようになっている。
ところで、上記特許文献2に記載の構成では、3箇所の領域で雌セレーションと雄セレーションとが強く接触することでガタの発生を抑制することができるものの、依然として筒状部の内周面における位置に応じて雌セレーションと雄セレーションとの接触状態が不均一となる。そのため、トルク伝達時において、雌セレーションを構成する一部の歯に対して大きな負荷が加わり易くなり、軸継手(ジョイントヨーク)の寿命の低下を招く虞があった。
本発明は、上記問題点を解決するためになされたものであって、その目的は、筒状部の内周面における位置に応じて雌セレーションと雄セレーションとの接触状態が不均一となることを抑制できる軸継手の製造方法を提供することにある。
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明は、内周面に雌セレーションが形成された筒状部を有する軸継手の製造方法において、前記筒状部には、軸方向に延びるスリットが形成されるとともに、前記筒状部の外周には、前記スリットを挟んで対向する一対の締結部が形成され、前記一対の締結部には、外周面に雄セレーションが形成されたシャフトが前記筒状部にセレーション嵌合した状態で該筒状部を縮径させるようにピンチボルトが締結されるものであって、前記一対の締結部に前記ピンチボルトの締結力に相当する負荷を加えた状態で、前記雌セレーションを形成することを要旨とする。
上記構成によれば、締結部にピンチボルトを締結することにより生じる変形と同等の変形を、筒状部に生じさせた状態で雌セレーションを形成することができる。つまり、ピンチボルトが締結された状態での筒状部の歪みを考慮した形状の雌セレーションを形成することができる。したがって、このように製造された軸継手では、筒状部にシャフトをセレーション嵌合し、締結部にピンチボルトを締結した状態で、筒状部の内周面における位置に応じて雌セレーションと雄セレーションとの接触状態が不均一となることを抑制できる。これにより、トルク伝達時に雌セレーションの一部に大きな負荷が加わることを抑制でき、軸継手の長寿命化を図ることができる。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の軸継手の製造方法において、前記雌セレーションをブローチ加工により形成することを要旨とする。
上記構成によれば、例えばミーリング加工(フライス加工)等の他の切削加工に比べ、容易に雌セレーションを形成することができる。
上記構成によれば、例えばミーリング加工(フライス加工)等の他の切削加工に比べ、容易に雌セレーションを形成することができる。
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の軸継手の製造方法において、前記ブローチ加工に用いるブローチ刃具の仕上げ刃の外周形状は、前記雄セレーションの外周形状と同一であることを要旨とする。
上記構成によれば、締結部にピンチボルトを締結した状態で、雌セレーションの内周面全体を雄セレーションに対して均一に接触させることが可能となり、より一層、軸継手の長寿命化を図ることができる。
本発明によれば、筒状部の内周面における位置に応じて雌セレーションと雄セレーションとの接触状態が不均一となることを抑制できる軸継手の製造方法を提供することができる。
以下、本発明を具体化した一実施形態を図面に従って説明する。
図1に示すように、ステアリング装置1において、ステアリング2が固定されたステアリングシャフト3は、ラックアンドピニオン機構4を介してラック軸5と連結されている。これにより、ステアリング操作に伴うステアリングシャフト3の回転は、ラックアンドピニオン機構4によりラック軸5の往復直線運動に変換される。なお、ステアリングシャフト3は、自在継手6,7を介してコラムシャフト8、中間シャフト9、及びピニオンシャフト10を連結することにより構成されている。そして、このステアリングシャフト3の回転に伴うラック軸5の往復直線運動が、同ラック軸5の両端に連結されたタイロッド11を介して図示しないナックルに伝達されることにより、転舵輪(図示略)の舵角、すなわち車両の進行方向が変更される。
図1に示すように、ステアリング装置1において、ステアリング2が固定されたステアリングシャフト3は、ラックアンドピニオン機構4を介してラック軸5と連結されている。これにより、ステアリング操作に伴うステアリングシャフト3の回転は、ラックアンドピニオン機構4によりラック軸5の往復直線運動に変換される。なお、ステアリングシャフト3は、自在継手6,7を介してコラムシャフト8、中間シャフト9、及びピニオンシャフト10を連結することにより構成されている。そして、このステアリングシャフト3の回転に伴うラック軸5の往復直線運動が、同ラック軸5の両端に連結されたタイロッド11を介して図示しないナックルに伝達されることにより、転舵輪(図示略)の舵角、すなわち車両の進行方向が変更される。
なお、本実施形態のステアリング装置1は、モータ13を駆動源としてコラムシャフト8を回転駆動する所謂コラムアシスト型の電動パワーステアリング装置として構成されている。具体的には、モータ13は、ウォーム&ホイール等からなる減速機構14を介してコラムシャフト8と駆動連結されている。そして、モータ13の回転を減速機構14により減速してコラムシャフト8に伝達することによって、そのモータトルクをアシスト力として操舵系に付与する構成になっている。
次に、中間シャフトとピニオンシャフトとの連結構造について説明する。なお、コラムシャフトと中間シャフトとは同様に連結されているため、その説明を省略する。
図2及び図3に示すように、軸継手としての自在継手7は、一対のジョイントヨーク21,22及び十字軸23を備えている。一方のジョイントヨーク21は、中間シャフト9の下端と一体回転可能に連結され、他方のジョイントヨーク22は、ピニオンシャフト10の上端と一体回転可能に連結されている。そして、各ジョイントヨーク21,22は略U字状の連結部24,25を有しており、これら連結部24,25は十字軸23に対してそれぞれ回動可能に連結されている。これにより、中間シャフト9とピニオンシャフト10とが一体回転可能に連結されている。
図2及び図3に示すように、軸継手としての自在継手7は、一対のジョイントヨーク21,22及び十字軸23を備えている。一方のジョイントヨーク21は、中間シャフト9の下端と一体回転可能に連結され、他方のジョイントヨーク22は、ピニオンシャフト10の上端と一体回転可能に連結されている。そして、各ジョイントヨーク21,22は略U字状の連結部24,25を有しており、これら連結部24,25は十字軸23に対してそれぞれ回動可能に連結されている。これにより、中間シャフト9とピニオンシャフト10とが一体回転可能に連結されている。
図2〜図4に示すように、ジョイントヨーク22は、連結部25と一体に形成された略円筒状の筒状部31を有している。筒状部31の内周面には、雌セレーション32が形成されている。また、筒状部31には、その軸方向(図2及び図3における左右方向)に延びるとともに、筒状部31の内外及び連結部25と反対側の端部に開口するスリット33が形成されている。さらに、筒状部31の外周面には、スリット33を挟んで対向するように筒状部31の径方向に延出された一対の締結部34が形成されている。そして、各締結部34には、筒状部31の軸方向と直交する方向に延びるボルト孔35が、同筒状部31の軸心から離れた位置に形成されている。
一方、ピニオンシャフト10の上端の外周面には、雄セレーション37が形成されるとともに、雄セレーション37が形成された部位における軸方向中央付近には、環状の係合溝38が形成されている。そして、ピニオンシャフト10は、ジョイントヨーク22の筒状部31にセレーション嵌合した状態で、締結部34のボルト孔35に挿通されたピンチボルト39が係合溝38と係合することにより、ジョイントヨーク22から抜け落ちることが防止されている。また、筒状部31は、ピンチボルト39が締結部34に締結されることにより、雌セレーション32と雄セレーション37とが密着するように縮径する。これにより、図4に示すように、雌セレーション32の内周面全体が雄セレーション37に対して均一に接触するようになっている。
次に、筒状部に形成された雌セレーションの加工について説明する。
上述のように、筒状部31(雌セレーション32)は、締結部34にピンチボルト39が締結されることにより縮径し、その形状が僅かに歪む。この点を踏まえ、図5に示すように、雌セレーション32が形成される前段階のジョイントヨーク22´の締結部34に対して、治具41によりピンチボルト39の締結力と同等の負荷を加えた状態で、筒状部31の内周面に雌セレーション32を形成する。
上述のように、筒状部31(雌セレーション32)は、締結部34にピンチボルト39が締結されることにより縮径し、その形状が僅かに歪む。この点を踏まえ、図5に示すように、雌セレーション32が形成される前段階のジョイントヨーク22´の締結部34に対して、治具41によりピンチボルト39の締結力と同等の負荷を加えた状態で、筒状部31の内周面に雌セレーション32を形成する。
詳述すると、雌セレーション32は、略軸状に形成されたブローチ刃具42を用いるブローチ加工により形成される。ブローチ刃具42は、加工装置(図示略)に把持される前把持部43及び後把持部44と、前把持部43と後把持部44との間に形成される刃部45とを有している。刃部45は、粗刃45a、中仕上げ刃45b及び仕上げ刃45cから構成されており、前把持部43側から粗刃45a、中仕上げ刃45b、仕上げ刃45cの順で配置されている。仕上げ刃45cの外周形状は、ピニオンシャフト10の雄セレーション37の外周形状と同一に形成されている(図4参照)。なお、粗刃45a及び中仕上げ刃45bの外周形状は、仕上げ刃45cの外周形状よりも小さな相似形状に形成されている。
そして、治具41によりピンチボルト39の締結力と同等の負荷を締結部34に加えた状態で、ブローチ刃具42を筒状部31の軸方向に移動させ、刃部45によって筒状部31の内周面を切削することにより、雌セレーション32が形成される。
以上記述したように、本実施形態によれば、以下の作用効果を奏することができる。
(1)締結部34に、治具41によってピンチボルト39の締結力に相当する負荷を加えた状態で、筒状部31の内周面に雌セレーション32を形成するようにした。
(1)締結部34に、治具41によってピンチボルト39の締結力に相当する負荷を加えた状態で、筒状部31の内周面に雌セレーション32を形成するようにした。
上記構成によれば、締結部34にピンチボルト39を締結することにより生じる変形と同等の変形を、筒状部31に生じさせた状態で雌セレーション32を形成することができる。つまり、ピンチボルト39が締結された状態での筒状部31の歪みを考慮した形状の雌セレーション32を形成することができる。したがって、このように製造されたジョイントヨーク22では、筒状部31にシャフトをセレーション嵌合し、一対の締結部34にピンチボルト39を締結した状態で、筒状部31の内周面における位置に応じて雌セレーション32と雄セレーション37との接触状態が不均一となることを抑制できる。これにより、トルク伝達時に雌セレーション32を構成する一部の歯に大きな負荷が加わることを抑制でき、自在継手7(ジョイントヨーク22)の長寿命化を図ることができる。
(2)雌セレーション32をブローチ加工により形成するようにしたため、例えばミーリング加工(フライス加工)等の他の切削加工に比べ、容易に雌セレーション32を形成することができる。
(3)ブローチ刃具42の仕上げ刃45cの外周形状を、雄セレーション37の外周形状と同一にしたため、締結部34にピンチボルト39を締結した状態で、雌セレーション32の内周面全体を雄セレーション37に対して均一に接触させることが可能となり、より一層、自在継手7の長寿命化を図ることができる。
なお、上記実施形態は、これを適宜変更した以下の態様にて実施することもできる。
・上記実施形態では、ブローチ刃具42の仕上げ刃45cの外周形状を、ピニオンシャフト10の雄セレーション37の外周形状と同一にした。しかし、仕上げ刃45cの外周形状と雄セレーション37の外周形状とが完全に一致しなくともよく、例えば仕上げ刃45cの外周形状を雄セレーション37の外周形状よりも僅かに小さな相似形状としてもよい。
・上記実施形態では、ブローチ刃具42の仕上げ刃45cの外周形状を、ピニオンシャフト10の雄セレーション37の外周形状と同一にした。しかし、仕上げ刃45cの外周形状と雄セレーション37の外周形状とが完全に一致しなくともよく、例えば仕上げ刃45cの外周形状を雄セレーション37の外周形状よりも僅かに小さな相似形状としてもよい。
・上記実施形態では、ブローチ加工により雌セレーション32を形成したが、これに限らず、例えばエンドミルを用いたミーリング加工等により雌セレーション32を形成してもよい。
・上記実施形態では、本発明を中間シャフト9とピニオンシャフト10とを連結する自在継手7の製造方法に適用したが、これに限らず、他のシャフト間を連結する軸継手の製造方法に適用してもよい。
6,7…自在継手、9…中間シャフト、10…ピニオンシャフト、21,22…ジョイントヨーク、31…筒状部、32…雌セレーション、33…スリット、34…締結部、35…ボルト孔、37…雄セレーション、38…係合孔、39…ピンチボルト、41…治具、42…ブローチ刃具、45…刃部、45a…粗刃、45b…中仕上げ刃、45c…仕上げ刃。
Claims (3)
- 内周面に雌セレーションが形成された筒状部を有する軸継手の製造方法において、
前記筒状部には、軸方向に延びるスリットが形成されるとともに、前記筒状部の外周には、前記スリットを挟んで対向する一対の締結部が形成され、
前記一対の締結部には、外周面に雄セレーションが形成されたシャフトが前記筒状部にセレーション嵌合した状態で該筒状部を縮径させるようにピンチボルトが締結されるものであって、
前記一対の締結部に前記ピンチボルトの締結力に相当する負荷を加えた状態で、前記雌セレーションを形成することを特徴とする軸継手の製造方法。 - 請求項1に記載の軸継手の製造方法において、
前記雌セレーションをブローチ加工により形成することを特徴とする軸継手の製造方法。 - 請求項2に記載の軸継手の製造方法において、
前記ブローチ加工に用いるブローチ刃具の仕上げ刃の外周形状は、前記雄セレーションの外周形状と同一であることを特徴とする軸継手の製造方法。
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---|---|---|---|
JP2011199723A JP2013061014A (ja) | 2011-09-13 | 2011-09-13 | 軸継手の製造方法 |
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2017020563A (ja) * | 2015-07-09 | 2017-01-26 | 株式会社ジェイテクト | 回転要素の製造方法、回転要素と回転軸との結合構造、及びステアリング装置 |
-
2011
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JP2017020563A (ja) * | 2015-07-09 | 2017-01-26 | 株式会社ジェイテクト | 回転要素の製造方法、回転要素と回転軸との結合構造、及びステアリング装置 |
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Legal Events
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