JP2013189104A - 垂直離着陸機 - Google Patents

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Abstract

【課題】簡便な構成で推力制御を行うことができ、障害物が存在している狭い空間においても安全に離着陸することができる垂直離着陸機を提供する。
【解決手段】揚力及び推力を発生させる推進器2と、推進器2に動力を供給する動力供給手段(例えば、動力源としての原動機3)と、原動機3、座席及び接地脚を支持するメインフレーム4と、推進器2を支持するサブフレーム5と、メインフレーム4とサブフレーム5とを回動可能に連結するフレーム連結部と、サブフレーム5に接続されたハンドルと、を有し、座席41に着座した乗員がハンドルを操作することによって、メインフレーム4に対してサブフレーム5を相対移動させ、推進器2の向きを変更するようにしたものである。
【選択図】図4

Description

本発明は、垂直離着陸機に関し、特に、滑走せずに揚力を発生させることができる垂直離着陸機に関する。
現在、滑走せずに揚力を発生させることができる垂直離着陸機として代表的なものは、ヘリコプターである。ヘリコプターは、機体に比して大きなローターを有し、かかるローターを回転させることによって揚力と推力を発生している。また、数少ない実例としては、ジェットエンジンの推力を偏向して垂直離着陸を行う戦闘機も存在している。
ヘリコプターは、機体そのものが比較的大きいうえに、機体よりも大きなメインローターや機体後部にテールローターを有していることから、建築物や樹木等の障害物が存在している狭い空間において、離着陸や姿勢制御を行うと、メインローターやテールローターが障害物と接触してしまうため、離着陸のために広い空間が必要となる。
垂直離着陸可能な戦闘機は、ジェットエンジンを使用しており、ジェット排気が高温であるとともに排気量が多いことから、離着陸時に人が戦闘機に近付くことができない。また、離着陸時に石等の小さな物体がジェット排気により吹き飛ばされ、周囲の建築物等を傷つけてしまう。したがって、かかる戦闘機の場合も離着陸のために広い空間が必要となる。
そこで、狭い空間であっても安全に離着陸することができる垂直離着陸機(VTOL:Vertical Take-off and Landing)が既に提案されている(例えば、特許文献1、特許文献2等参照)。特許文献1及び特許文献2に記載された垂直離着陸機は、円筒形のダクトやナセルの中にプロペラ状のファンが配置されたダクテッドファンを備えている。
特開2005−206015号公報 特開2006−56364号公報
しかしながら、従来のダクテッドファンを有する垂直離着陸機は、推力制御の方法が複雑であり、例えば、制御翼を必要としたり、ファンのみをアクチュエータ等により傾動させたりしなければならず、機体の価格が高くなる傾向にあった。
本発明は上述した問題点に鑑み創案されたものであり、簡便な構成で推力制御を行うことができ、障害物が存在している狭い空間においても安全に離着陸することができる垂直離着陸機を提供することを目的とする。
本発明によれば、揚力及び推力を発生させる推進器と、該推進器に動力を供給する動力供給手段と、少なくとも前記動力供給手段の一部、座席及び接地脚を支持するメインフレームと、前記推進器を支持するサブフレームと、前記メインフレームと前記サブフレームとを回動可能に連結するフレーム連結部と、前記サブフレーム又は前記推進器に接続されたハンドルと、を有し、前記座席に着座した乗員が前記ハンドルを操作することによって、前記メインフレームに対して前記サブフレームを相対移動させ、前記推進器の向きを変更するようにした、ことを特徴とする垂直離着陸機が提供される。
また、前記推進器は揚力及び推力を発生させるファンを有し、前記動力供給手段は前記メインフレームに支持された動力源及び該動力源により発生した動力を前記ファンに伝達する動力伝達シャフトを有し、該動力伝達シャフトの回転軸と前記フレーム連結部における前記サブフレームの回動軸とが同軸上に配置されていてもよい。
さらに、前記フレーム連結部は、前記メインフレームに接続されるとともに前記動力伝達シャフトを挿通可能な第一筒部を有する本体部と、前記サブフレームに接続されるとともに前記第一筒部の内側又は外側に挿嵌される第二筒部を有する回動部と、前記第一筒部と前記第二筒部との間に配置された軸受と、を有していてもよい。
また、前記サブフレームに接続された張力伝達手段と、該張力伝達手段に張力を付与する張力発生手段と、該張力発生手段を操作する入力手段と、を備えた操縦補助装置を有し、該操縦補助装置により、前記推進器の向きを変更する際に必要な前記ハンドルの操作力を補助するようにしてもよい。
また、一端が前記メインフレームに回動可能に接続されるとともに他端が前記サブフレームに回動可能に接続されたショックアブソーバを有し、該ショックアブソーバはロッドの位置を固定可能なロック機構を有し、該ロック機構により、前記推進器の角度を固定させるようにしてもよい。
上述した本発明の垂直離着陸機によれば、原動機を備えたメインフレームに対して、推進器を備えたサブフレームを、前後方向に相対的に回動可能に構成したことにより、重量物であるとともに重要な部品である原動機を動かさずに、推進器の向きを変更することができ、推力制御時に要する操作力を低減することができるとともに、推力制御時における重心の変動を抑制することができ、安定した操縦を行うことができる。したがって、簡便な構成で推力制御を行うことができ、障害物が存在している狭い空間においても安全に離着陸することができる。
本発明の第一実施形態に係る垂直離着陸機を示す図であり、(a)は機体全体を示す側面図、(b)は機体全体を示す上面図、を示している。 図1に示した垂直離着陸機の駆動系を示す概略構成図である。 図2に示したフレーム連結部を示す図であり、(a)は外観図、(b)は断面図、(c)は変形例、を示している。 サブフレームを回動させた状態を示す図であり、(a)は水平状態、(b)は前傾状態、(c)は後傾状態、を示している。 図1に示した垂直離着陸機の飛行状態を示す図であり、(a)はホバリング時、(b)は前進時、を示している。 本発明の第二実施形態に係る垂直離着陸機を示す図であり、(a)は側面図、(b)は変形例、を示している。 本発明の第三実施形態に係る垂直離着陸機を示す図であり、(a)は機体天井部下面図、(b)はホバリング時におけるX−X断面矢視図、(c)は前進時におけるX−X断面矢視図、を示している。
以下、本発明の実施形態について図1〜図7を用いて説明する。ここで、図1は、本発明の第一実施形態に係る垂直離着陸機を示す図であり、(a)は機体全体を示す側面図、(b)は機体全体を示す上面図、を示している。図2は、図1に示した垂直離着陸機の駆動系を示す概略構成図である。図3は、図2に示したフレーム連結部を示す図であり、(a)は外観図、(b)は断面図、(c)は変形例、を示している。
本発明の第一実施形態に係る垂直離着陸機1は、図1〜図3に示したように、揚力及び推力を発生させる推進器2と、推進器2に動力を供給する動力供給手段(例えば、動力源としての原動機3)と、原動機3、座席及び接地脚を支持するメインフレーム4と、推進器2を支持するサブフレーム5と、メインフレーム4とサブフレーム5とを回動可能に連結するフレーム連結部6と、サブフレーム5に接続されたハンドル7と、を有し、座席41に着座した乗員がハンドル7を操作することによって、メインフレーム4に対してサブフレーム5を相対移動させ、推進器2の向きを変更するようにしたものである。
前記推進器2は、原動機3の両側に配置される2つのファン21と、ファン21を覆う略円筒形状のナセル22と、を有し、サブフレーム5によって支持される。具体的には、推進器2は、機体の左右両側に配置される一対のファン21によって構成され、一対のファン21はサブフレーム5によって一体に接続されている。なお、本実施形態において、推進器2としてダクテッドファンの場合を図示しているが、かかる構成に限定されるものではなく、推進器2はプロペラやエジェクター等であってもよい。
前記原動機3は、図2に示した駆動系により、ファン21に動力を供給する動力源であり、例えば、電動モータやレシプロエンジン等により構成され、過給機を有していてもよい。原動機3は、メインフレーム4の背面に固定されており、機体上部に配置されたオイルタンク31から燃料が供給され、燃料を燃焼させて動力を出力し、後方に配置された排気ノズル32から排気ガスを排出する。
図2に示したように、垂直離着陸機1の駆動系(動力伝達機構)は、原動機3と、原動機3の出力軸の先端に接続されたスプロケット33と、両端部に傘歯車81を有するとともに中間部にスプロケット82を有する動力伝達シャフト8と、スプロケット33,82間に掛け渡されたローラチェーンと、動力伝達シャフト8を回転可能に支持する軸受83と、を有し、原動機3により出力される動力は、チェーン駆動機構を介して動力伝達シャフト8に伝達され、動力伝達シャフト8の回転は傘歯車81を介してファン21の駆動軸に伝達される。なお、図2は、垂直離着陸機1の上部正面図を図示している。
原動機3と動力伝達シャフト8との動力伝達は、チェーン駆動機構に限定されるものではなく、ベルト駆動機構であってもよいし、歯車駆動機構であってもよいし、減速機や増速機を介在させるようにしてもよい。また、各ファン21の回転数を個別に制御したい場合には、各ファン21に個別に原動機3を接続するようにしてもよい。動力伝達シャフト8を支持する軸受83は、原動機3が固定されるメインフレーム4に配置されており、原動機3の出力軸と動力伝達シャフト8との位置関係が変動しないように構成されている。
なお、上述した推進器2、動力源(原動機3)及び動力伝達機構は、図示した構成に限定されるものではなく、例えば、動力源は、ターボプロップエンジンやターボシャフトエンジンのようなジェットエンジンであってもよいし、推進器2に動力源が内蔵されたもの(例えば、ターボジェットエンジンやターボファンエンジン等)であってもよい。推進器2に動力源が内蔵されている場合には、メインフレーム4には動力供給手段の一部を構成する燃料タンク等の重量物や揺動させたくない部品が配置される。
前記メインフレーム4は、原動機3、座席41及び接地脚42を支持する構成部品である。メインフレーム4は、例えば、前後方向に延びるベースフレーム4aと、ベースフレーム4aから前方斜め上方に向かって延びるピラーフレーム4bと、を有する。これらのベースフレーム4a及びピラーフレーム4bは、左右対称の対構造をなしており、一対のベースフレーム4a及びピラーフレーム4bは、それぞれ連結フレームにより接続されて一体のフレーム構造をなしている。
ベースフレーム4aには、乗員が着座する座席41(例えば、前部座席及び後部座席)、着陸時に地面等に接地する脚部を構成する複数の接地脚42、機体のモーメントやバランスを安定させる尾翼43、乗員の足を支持するフットレスト44等が配置されている。座席41にはシートベルト41aを配置してもよいし、接地脚42にはダンパー42aを配置してもよい。また、座席41の前方には整流手段であるカウル45が接続されている。カウル45の一部は、視界を確保するために透明の部材により構成されており、側面部にはバックミラー45aが配置されている。また、座席41とカウル45との接続部46は、コンソールボックスとして使用するようにしてもよいし、原動機3の操作スイッチや操作レバーを配置する制御部として使用するようにしてもよい。なお、バックミラー45aは後方視界を確保するために最適な位置に配置され、カウル45の左右側面部に限定されるものではない。
ピラーフレーム4bの背面には原動機3の本体が固定されており、ピラーフレーム4bの上部(天井部)にはオイルタンク31が固定されている。また、ピラーフレーム4bの天井部には、雨避け用のルーフ部を構成する板部材を配置するようにしてもよい。
前記サブフレーム5は、左右のファン21を接続する構成部品である。また、サブフレーム5には、座席41の前方に延設されたハンドル7が接続されている。ハンドル7は、サブフレーム5及び推進器2を回動させるものであるため、推進器2の外周面にハンドル7が接続されていてもよい。そして、サブフレーム5は、図2に示したように、フレーム連結部6によりメインフレーム4に回動可能に接続される。
かかるフレーム構造により、座席41や原動機3はメインフレーム4に固定されていることから、一体構造をなしており、相対移動しないように構成されている。一方、推進器2(ファン21)はサブフレーム5に固定されていることから、サブフレーム5をメインフレーム4に回動可能に接続することにより、推進器2(ファン21)を座席41や原動機3に対して相対的に移動(回動)させることができる。
図2に示したように、垂直離着陸機1は、推進器2が揚力及び推力を発生させるファン21を有し、動力供給手段がメインフレーム4に支持された動力源(原動機3)及び原動機3により発生した動力をファン21に伝達する動力伝達シャフト8を有し、動力伝達シャフト8の回転軸とフレーム連結部6におけるサブフレーム5の回動軸とが同軸上に配置されている。かかる構成により、動力伝達シャフト8とファン21との連結部(傘歯車81)における接続状態を維持したまま、ファン21を動力伝達シャフト8の回転軸に沿って回動させることができ、推進器2の向きを変更することができる。
フレーム連結部6は、例えば、図3(a)及び(b)に示したように、メインフレーム4の下面に接続されるとともに動力伝達シャフト8を挿通可能な第一筒部61aを有する本体部61と、サブフレーム5の下面に接続されるとともに第一筒部61aの内側に挿嵌される第二筒部62aを有する回動部62と、第一筒部61aと第二筒部62aとの間に配置された軸受63と、を有する。本体部61は、メインフレーム4から略L字形状に延出されており、先端部から一対の第一筒部61aが延出されている。一対の第一筒部61aの間に回動部62が配置されていることから、第一筒部61aは回動部62の抜け止めを構成する。なお、本体部61の先端部は、軽量化のために肉抜きされた筒状に形成してもよい。
また、フレーム連結部6は、図3(c)に示した変形例のように、本体部61はメインフレーム4の下面に接続されたフランジ部により構成されていてもよい。かかる変形例では、本体部61を構成するフランジ部に第一筒部61aが挿嵌されており、内部に動力伝達シャフト8が非接触状態に挿通される。また、回動部62は、実質的に第二筒部62aにより構成されており、第一筒部61aの外側に挿嵌される。なお、第二筒部62aの両側には、第一筒部61aに挿嵌又は形成された環状のストッパ61bが配置されていてもよい。
ここで、図4は、サブフレームを回動させた状態を示す図であり、(a)は水平状態、(b)は前傾状態、(c)は後傾状態、を示している。また、図5は、図1に示した垂直離着陸機の飛行状態を示す図であり、(a)はホバリング時、(b)は前進時、を示している。なお、図4では、説明の便宜上、ハンドル7の図を省略してある。
上述したように、本実施形態に係る垂直離着陸機1では、機体を構成するフレームを、メインフレーム4とサブフレーム5とに分離し、サブフレーム5をメインフレーム4に対して回動可能に接続し、サブフレーム5に推進器2を配置することにより、推進器2のみを回動させることができる。したがって、重量物であるとともに重要な部品である原動機3やオイルタンク31を動かさずに、推進器2の向きを変更することができ、推力制御時に要する操作力を低減することができるとともに、推力制御時における重心の変動を抑制することができ、安定した操縦を行うことができる。
例えば、図4(a)に示したように、推進器2を略水平状態に維持した状態から、ハンドル7を下方に引き込むことにより、サブフレーム5を下方に向かって回動させることができ、推進器2を図4(b)に示した前傾状態に容易に変更することができる。また、図4(a)に示したように、推進器2を略水平状態に維持した状態から、ハンドル7を上方に押し上げることにより、サブフレーム5を上方に向かって回動させることができ、推進器2を図4(c)に示した後傾状態に容易に変更することができる。
次に、上述した垂直離着陸機1の飛行状態(ホバリング時及び前進時)について説明する。図4(a)及び(b)の座席41にはそれぞれ乗員Pが搭乗しており、前部座席に着座した乗員Pが操縦者となる。
図4(a)に示したように、ホバリング時は、操縦者は、推進器2(ファン21)の駆動軸が略鉛直方向となるようにハンドル7を操作する。かかる操作によって、推進器2の推力は機体に揚力のみを発生させ、機体に推力を発生しないようにすることができる。また、ホバリング時は、推進器2の揚力と機体の重力とが略一致するように原動機3の出力を調整する。ホバリングは、空中で垂直離着陸機1を停止させた状態であるが、鉛直方向に離着陸するときの上昇時や下降時もホバリングと実質的に同じ姿勢となる。すなわち、離陸時は、推進器2の揚力が機体の重力よりも大きくなるように原動機3の出力を調整し、着陸時は、推進器2の揚力が機体の重力よりも小さくなるように原動機3の出力を調整すればよい。
図4(b)に示したように、前進時は、操縦者は、ハンドル7を身体に近付けることにより、サブフレーム5、すなわち、推進器2(ファン21)を前方に回動させる。かかる操作により、推進器2(ファン21)は、斜め後方に向かって空気を噴出することができ、推進器2の推力の前後方向成分により、機体を前進させることができる。また、前方に直進したい場合には、推進器2の推力の鉛直方向成分(揚力)と機体の重力とが略一致するように原動機3の出力を調整すればよい。
また、図示しないが、右旋回時は、操縦者から見て右側に体重移動することによって、機体を右側に傾けて機体の左側に向かって推力を発生させ、左旋回時は、操縦者から見て左側に体重移動することによって、機体を左側に傾けて機体の右側に向かって推力を発生させるようにすればよい。
なお、上述した実施形態では、二人乗り用の座席41を有する垂直離着陸機1について説明したが、後部座席は物資等を載置する荷物置場として使用してもよいし、後部座席を省略するようにしてもよい。後部座席を省略した場合には、一人乗り用の垂直離着陸機1となることから、重量バランス等を考慮して座席41の位置を調整する必要がある。
次に、本発明の他の実施形態に係る垂直離着陸機1ついて説明する。ここで、図6は、本発明の第二実施形態に係る垂直離着陸機を示す図であり、(a)は側面図、(b)は変形例、を示している。図7は、本発明の第三実施形態に係る垂直離着陸機を示す図であり、(a)は機体天井部下面図、(b)はホバリング時におけるX−X断面矢視図、(c)は前進時におけるX−X断面矢視図、を示している。
図6に示した第二実施形態は、サブフレーム5に接続された張力伝達手段91と、張力伝達手段91に張力を付与する張力発生手段92と、張力発生手段92を操作する入力手段93と、を備えた操縦補助装置9を有し、操縦補助装置9により、推進器2の向きを変更する際に必要なハンドル7の操作力を補助するようにしたものである。
かかる操縦補助装置9を配置することにより、ハンドル7の操作時に必要な操作力の一部を操縦補助装置9で補填することができ、ハンドル7の操作に必要な力を軽減することができ、操作性を向上させることができる。
具体的には、張力伝達手段91は、例えば、ワイヤ等の索体により構成されており、図6(a)に示したように、一端がサブフレーム5に接続され、他端が張力発生手段92に接続されている。また、張力伝達手段91は、乗員との干渉を避けるために、メインフレーム4に沿って配置されており、複数のプーリ94に掛け回されている。なお、張力伝達手段91は、ワイヤ等の索体を挿通するアウターチューブを有していてもよい。
張力発生手段92は、張力伝達手段91を少なくとも一方向に移動可能なものであればよく、例えば、ジャッキ、エアシリンダ、油圧シリンダ、電動シリンダ等が使用される。また、入力手段93は、張力発生手段92を操作する手段であり、例えば、ペダル、回転ハンドル、ハンドレバー、フットレバー、通電スイッチ等が使用される。
図6(b)に示した変形例は、張力伝達手段91を迂回させずに、サブフレーム5から真下に張力伝達手段91を延伸させるとともに、乗員との干渉を避けるために部分的にオフセットさせて張力発生手段92に接続したものである。かかる変形例によれば、張力伝達手段91の長さを短くすることができ、重量増加を抑制することができるとともに応答性を向上させることができる。
図7に示した第三実施形態は、一端がメインフレーム4に回動可能に接続されるとともに他端がサブフレーム5に回動可能に接続されたショックアブソーバ10を有し、ショックアブソーバ10はロッド10aの位置を固定可能なロック機構(図示せず)を有し、ロック機構により、推進器2の角度を固定させるようにしたものである。
かかるショックアブソーバ10をメインフレーム4とサブフレーム5との間に配置することにより、原動機3やファン21により生じる振動を減衰させることができ、機体全体の振動を抑制することができる。また、ロック機構を有するショックアブソーバ10を使用することにより、メインフレーム4に対してサブフレーム5を回動させた状態をロックすることができ、乗員がハンドル7を操作して一定の状態を維持する必要がなく、操作性を向上させることができ、乗員の疲労を低減することができる。
具体的には、ショックアブソーバ10は、市販されているガススプリングや油圧シリンダにより構成される。また、ショックアブソーバ10の内部には、ガスや液体の流通を停止可能な弁が配置されており、弁の開放時にロッド10aを伸縮させることができ、弁の閉塞時にロッド10aの移動を停止させることができる。なお、ショックアブソーバ10は、例えば、ユニバーサルジョイントによりメインフレーム4及びサブフレーム5に接続される。
この弁の開閉を行うスイッチ10bは、例えば、機体の接続部46やハンドル7に配置されており、スイッチ10bを押した状態で弁を閉じるように構成されている。したがって、推進器2(ファン21)の角度を固定したい場合にはスイッチ10bを押し、推進器2(ファン21)の角度を変更したい場合にはスイッチ10bを押さないようにする。なお、スイッチ10bを押した状態で弁を開くように構成してもよい。
本発明は上述した実施形態に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変更が可能であることは勿論である。
1 垂直離着陸機
2 推進器
3 原動機
4 メインフレーム
5 サブフレーム
6 フレーム連結部
7 ハンドル
8 動力伝達シャフト
9 操縦補助装置
10 ショックアブソーバ
10a ロッド
21 ファン
41 座席
42 接地脚
61 本体部
61a 第一筒部
62 回動部
62a 第二筒部
63 軸受
91 張力伝達手段
92 張力発生手段
93 入力手段

Claims (5)

  1. 揚力及び推力を発生させる推進器と、
    該推進器に動力を供給する動力供給手段と、
    少なくとも前記動力供給手段の一部、座席及び接地脚を支持するメインフレームと、
    前記推進器を支持するサブフレームと、
    前記メインフレームと前記サブフレームとを回動可能に連結するフレーム連結部と、
    前記サブフレーム又は前記推進器に接続されたハンドルと、を有し、
    前記座席に着座した乗員が前記ハンドルを操作することによって、前記メインフレームに対して前記サブフレームを相対移動させ、前記推進器の向きを変更するようにした、ことを特徴とする垂直離着陸機。
  2. 前記推進器は揚力及び推力を発生させるファンを有し、前記動力供給手段は前記メインフレームに支持された動力源及び該動力源により発生した動力を前記ファンに伝達する動力伝達シャフトを有し、該動力伝達シャフトの回転軸と前記フレーム連結部における前記サブフレームの回動軸とが同軸上に配置されている、ことを特徴とする請求項1に記載の垂直離着陸機。
  3. 前記フレーム連結部は、前記メインフレームに接続されるとともに前記動力伝達シャフトを挿通可能な第一筒部を有する本体部と、前記サブフレームに接続されるとともに前記第一筒部の内側又は外側に挿嵌される第二筒部を有する回動部と、前記第一筒部と前記第二筒部との間に配置された軸受と、を有することを特徴とする請求項2に記載の垂直離着陸機。
  4. 前記サブフレームに接続された張力伝達手段と、該張力伝達手段に張力を付与する張力発生手段と、該張力発生手段を操作する入力手段と、を備えた操縦補助装置を有し、該操縦補助装置により、前記推進器の向きを変更する際に必要な前記ハンドルの操作力を補助するようにした、ことを特徴とする請求項1に記載の垂直離着陸機。
  5. 一端が前記メインフレームに回動可能に接続されるとともに他端が前記サブフレームに回動可能に接続されたショックアブソーバを有し、該ショックアブソーバはロッドの位置を固定可能なロック機構を有し、該ロック機構により、前記推進器の角度を固定させるようにした、ことを特徴とする請求項1に記載の垂直離着陸機。
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