JP2013185640A - 円筒ころ軸受 - Google Patents
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Abstract
【課題】保持器の柱部の強度を確保すること、及び、内輪又は外輪が分離した状態でころが脱落しないことを両立させる。
【解決手段】外輪1又は内輪2の少なくとも一方はその軸方向両端につば1bを有し、前記外輪1と前記内輪2との間にころ3とそのころ3を保持する保持器14を配置し、前記保持器14は周方向に伸びるリング部14aとそのリング部14aから軸方向へ伸びる柱部14bとを有し、他方が分離した状態で、前記ころ3が前記保持器14で前記一方の側に保持されて脱落しないようになっている円筒ころ軸受において、前記柱部14bは、前記ころ3のP.C.Dよりも軸受の半径方向に沿って前記他方側に位置し、前記リング部14aは、前記ころ3に対して軸方向いずれかの側にのみ設けられ、前記一方のつば1bに保持器抜け止め部12を設けてその保持器抜け止め部12に前記リング部14aを係止可能とした。
【選択図】図1
【解決手段】外輪1又は内輪2の少なくとも一方はその軸方向両端につば1bを有し、前記外輪1と前記内輪2との間にころ3とそのころ3を保持する保持器14を配置し、前記保持器14は周方向に伸びるリング部14aとそのリング部14aから軸方向へ伸びる柱部14bとを有し、他方が分離した状態で、前記ころ3が前記保持器14で前記一方の側に保持されて脱落しないようになっている円筒ころ軸受において、前記柱部14bは、前記ころ3のP.C.Dよりも軸受の半径方向に沿って前記他方側に位置し、前記リング部14aは、前記ころ3に対して軸方向いずれかの側にのみ設けられ、前記一方のつば1bに保持器抜け止め部12を設けてその保持器抜け止め部12に前記リング部14aを係止可能とした。
【選択図】図1
Description
この発明は、円筒ころ軸受に関し、特に、風力発電機の増速機など高負荷容量なころ軸受が必要とされる箇所に用いられる円筒ころ軸受に関するものである。
一般的に使用されているころ軸受は、重荷重条件下で長寿命であることが求められており、特に、ラジアル荷重のみが作用する条件下では、「円筒ころ軸受」が多く使用されている。
この円筒ころ軸受として、軸又はハウジングへの組立性向上のため、内輪又は外輪の何れか一方を分離可能とし、また、他方の軸方向両端に「つば(鍔)」を有したタイプが使用される。
例えば、内輪が分離可能で、外輪の軸方向両端につばを有した「NUタイプ」と呼ばれる円筒ころ軸受は、「内輪単体」と「外輪組立品(外輪・ころ・保持器一体)」とで構成されている。この構成では、通常、外輪組立品は内輪単体を分離しても、外輪・ころ・保持器は分離してはならない。
ところで、近年、円筒ころ軸受には、更なる重荷重条件下で長寿命であることが求められつつある。このため、軸受には高負荷能力が求められるため、ころのサイズアップや、あるいは、ころの本数増が必要となる。
しかし、ころのサイズアップ又はころの本数増になれば、保持器の柱部を設けるスペースが狭くなる。すなわち、ころのP.C.D.上において、保持器のポケット部の占める割合が相対的に大きくなり、逆に、柱部を設けることができるスペースが相対的に小さくなる。このため、保持器の強度不足が懸念される。
そこで、低速領域の使用箇所を対象とする軸受であれば、例えば、図3(a)に示すように、保持器をなくすことで、外輪1の軌道面1aと内輪2の軌道面2aとの間に配置するころ3のサイズアップ、又は、ころ3の本数増を実現した「総ころタイプ」の円筒ころ軸受6もある(例えば、特許文献1参照)。
また、例えば、図3(b)に示すように、保持器4のリング部4a,4a間を結ぶ柱部4bの強度不足対策のため、その保持器4の柱部4bを、ころ3のP.C.D.よりも内径側又は外径側へ離した位置(ずらした位置)とし、柱部4bのスペースを充分に確保した保持器4を使用した「高負荷容量タイプ」の円筒ころ軸受7もある(例えば、特許文献2参照)。
なお、この図3(a)(b)において、符号1b,2bは軌道輪のつばを、符号5は止め輪を示している。
なお、この図3(a)(b)において、符号1b,2bは軌道輪のつばを、符号5は止め輪を示している。
従来の「総ころタイプ」の円筒ころ軸受6では、保持器がないため軸受の回転性能が劣るという問題がある。また、ころ3ところ3とが直接接触しているので、例えば、想定を超えるような過酷な使用状況にある場合や、適切なメンテナンスが施されないような状況においては、ころ3同士の接触によるころ3の表面の損傷も懸念される。
また、「総ころタイプ」の円筒ころ軸受6では、ころ3の分離防止を目的として、図3(a)に示すように、内輪2の軸方向一端に止め輪5を設け、その内輪2が分離しないようにしている。
さらに、保持器4の柱部4bをころ3のP.C.D.からずらした「高負荷容量タイプ」の円筒ころ軸受7においても、同様に、図3(b)に示すように、内輪2の軸方向一端に止め輪5を設け、その内輪2が分離しないようにしている。
ところで、内輪2につばの無い「NUタイプ」の円筒ころ軸受では、内輪2の分離時にころ3が分離してはならないとされている。また、外輪1のつばが無い「Nタイプ」の円筒ころ軸受では、外輪1の分離時にころ3が分離してはならないことが一般的である。
したがって、内輪2が分離可能な「NUタイプ」、又は、外輪1が分離可能な「Nタイプ」の円筒ころ軸受において、高負荷容量を得るためには、保持器4の柱部4bの強度確保のために、柱部4bをころ3のP.C.D.からずらすことと、及び、ころ3の分離防止の2つの課題の両立が可能な保持器4形式とする必要がある。
そこで、この発明は、「NUタイプ」又は「Nタイプ」の円筒ころ軸受において、高負荷容量を得るために、保持器の柱部をころのP.C.D.からずらしてその柱部の強度を確保すること、及び、「NUタイプ」においては内輪無しで、「Nタイプ」においては外輪無しで、それぞれころが脱落しないようにすることを両立させることを課題とする。
上記の課題を解決するために、この発明は、外輪又は内輪の少なくとも一方はその軸方向両端につばを有し、前記外輪と前記内輪との間にころとそのころを保持する保持器を配置し、前記保持器は周方向に伸びるリング部とそのリング部から軸方向へ伸びる柱部とを有し、他方が分離した状態で、前記ころが前記保持器で前記一方の側に保持されて脱落しないようになっている円筒ころ軸受において、前記柱部は、前記ころのP.C.Dよりも軸受の半径方向に沿って前記他方側に位置し、前記リング部は、前記ころに対して軸方向いずれかの側にのみ設けられ、前記一方のつばに保持器抜け止め部を設けてその保持器抜け止め部に前記リング部を係止可能としたことを特徴とする円筒ころ軸受の構成を採用した。
すなわち、この構成では、保持器のリング部(周方向へ伸びる部材)を、ころに対して軸方向いずれかの側にのみ設け、保持器をいわば「くし型」に形成したことにより、ころを軸受の側面側から組み込み可能としたものである。また、ころを組立てた後に、保持器が軸方向に抜けないように、ころを保持する側の軌道輪のつばに、保持器抜け止め部を設けたものである。
この構成であれば、ころをサイズアップしても保持器の柱部の強度を確保することができ、且つ、ころを組立てた後に保持器からころが脱落することもなく、保持器の加工性及びころ組立性、すなわち、軸受の組立性も良好である。
この構成であれば、ころをサイズアップしても保持器の柱部の強度を確保することができ、且つ、ころを組立てた後に保持器からころが脱落することもなく、保持器の加工性及びころ組立性、すなわち、軸受の組立性も良好である。
また、他の手段として、上記の課題を解決するために、この発明は、外輪又は内輪の少なくとも一方はその軸方向両端につばを有し、前記外輪と前記内輪との間にころとそのころを保持する保持器を配置し、前記保持器は周方向に伸びるリング部とそのリング部から軸方向へ伸びる柱部とを有し、他方が分離した状態で、前記ころが前記保持器で前記一方の側に保持されて脱落しないようになっている円筒ころ軸受において、前記柱部は、前記ころのP.C.Dよりも軸受の半径方向に沿って前記他方側に位置し、前記リング部は、前記ころを収容する前記柱部間のポケット毎に、周方向に沿って軸方向いずれかの側に交互に設けられることを特徴とする円筒ころ軸受の構成を採用した。
すなわち、この構成では、保持器のリング部(周方向へ伸びる部材)を、ころを保持する各ポケット部毎に交互配置とし、保持器の柱部とリング部を、いわば「S型」に形成したことにより、ころを軸受の側面側から組み込み可能とし、また、ころを組立てた後に、保持器が軸方向に抜けないようにしたものである。
この構成であれば、同じく、ころをサイズアップしても保持器の柱部の強度を確保することができ、且つ、ころを組立てた後に保持器からころが脱落することがない。また、他部品(外輪又は内輪など)に保持器抜け止め部を追加工することもなく、保持器の形状を複雑にすることもないので、加工性により優れている。
また、この保持器形状であれば、両持ち支持形式とすることが可能で、前述の「くし型」のように、片持ち支持形式とする場合よりも、保持器全体の強度が向上する。
この構成であれば、同じく、ころをサイズアップしても保持器の柱部の強度を確保することができ、且つ、ころを組立てた後に保持器からころが脱落することがない。また、他部品(外輪又は内輪など)に保持器抜け止め部を追加工することもなく、保持器の形状を複雑にすることもないので、加工性により優れている。
また、この保持器形状であれば、両持ち支持形式とすることが可能で、前述の「くし型」のように、片持ち支持形式とする場合よりも、保持器全体の強度が向上する。
前記「くし型」の保持器を採用した構成において、前記柱部の前記リング部からの軸方向への突出長さを、前記ころの軸方向長さよりも短くした構成を採用することができる。すなわち、この構成では、柱部に加わる荷重は、その柱部の突出側よりもリング部側(根元部側)が大きくなるため、柱部の軸方向への突出長さは必要以上に長くすることはない。したがって、接触面での油膜切れを抑制する効果から、ころ長さより柱部長さを短くする方がよい場合もある。
一方、前記「S型」の保持器を採用した構成において、前記柱部の径を前記リング部の径と異ならせることにより、前記柱部が前記他方の軌道面に接触しないようにした構成を採用することができる。すなわち、リング部と柱部の径寸法は同一であってもよいが、柱部が、ころを保持しようとする側と反対側の軌道輪の軌道面に接触することは、軌道面の摩耗につながる。このため、柱部をリング部よりも軌道面から遠ざけることで、保持器又は軌道面の摩耗を抑制することができる。すなわち、ころを外輪側に保持して、内輪無しでころが脱落しないようにする構成では、リング部の最小径部の内径よりも柱部の内径を大きくし、ころを内輪側に保持して、外輪無しでころが脱落しないようにする構成では、リング部の最大径部の外径よりも、柱部の外径を小さくすることができる。
これらの各構成において、前記保持器の素材を金属の板材とし、プレス加工により前記リング部及び前記柱部を成形した構成を採用することができる。また、前記保持器の素材を樹脂とし、射出成形加工により前記リング部及び前記柱部を成形した構成を採用することができる。
また、これらの各構成において、前記他方の軌道面の軸方向両側に設けられるリードインチャンファー部の設置を省略した構成を採用することができる。
一般に、リードインチャンファー部とは、軌道輪の側面側の入口部に設けられる傾斜を指し、このリードインチャンファー部を設けた部分では軌道輪が先細りとなる。リードインチャンファー部が形成されていれば、その軌道輪は、ころに干渉を生じさせることなく挿入することが容易である。すなわち、他方の軌道輪を押し込む際、リードインチャンファー部により、ころが徐々に一方の軌道輪の軌道面(両つば付きの軌道輪の軌道面)側に押し込まれて所定の位置に保持させられるので、簡単な作業で組付けを行うことができるようになっている。
ここで、上記の各構成では、保持器は、ころのP.C.D.よりも遠い位置でころを一方の軌道輪側に保持するため、ころの径方向動き量が大幅に小さくなっている。このため、通常、他方の軌道輪に設けられるリードインチャンファー部の設置を省略することも可能となる。
ここで、上記の各構成では、保持器は、ころのP.C.D.よりも遠い位置でころを一方の軌道輪側に保持するため、ころの径方向動き量が大幅に小さくなっている。このため、通常、他方の軌道輪に設けられるリードインチャンファー部の設置を省略することも可能となる。
また、これらの各構成において、前記保持器は、ころ案内形式である構成を採用することができる。すなわち、これらの各構成では、柱部をなるべくころのP.C.D.よりも遠い位置で一方の軌道輪側に保持するため、保持器の案内形式は、通常は、他方の軌道輪で案内する形式、すなわち、ころを外輪側に保持する場合は「内輪案内」、ころを内輪側に保持する場合は「外輪案内」とすることが望ましいが、これを「ころ案内」とすることで、柱部と軌道面との接触による摩耗を抑制することも可能である。
なお、他方の軌道輪に、リードインチャンファー部を形成する必要がある場合には、軌道輪で保持器を案内することが出来ないので、保持器を「ころ案内」とすることが特に有効である。
なお、他方の軌道輪に、リードインチャンファー部を形成する必要がある場合には、軌道輪で保持器を案内することが出来ないので、保持器を「ころ案内」とすることが特に有効である。
この発明は、ころをサイズアップしても保持器の柱部の強度が確保でき、また、ころを組立てた後に保持器からころが分離することもなく、ころの組立性が良好である。
この発明の第一の実施形態を、図1に基づいて説明する。この実施形態は、保持器14の部材のうち、周方向へ伸びる部材であるリング部14aを、ころ3に対して軸方向いずれかの側にのみ全周に亘って連続的に設け、いわば「くし型」に形成した保持器14を用いる円筒ころ軸受10である。
円筒ころ軸受10の具体的な構成は、外輪1は、軌道面1aの軸方向両端に、内径方向に突出するつば1b,1bを有している。
内輪2は、軌道面2aの軸方向両端に、側面2cとの稜線部に設けた面取り部2dに接続されるリードインチャンファー部11を有している。リードインチャンファー部11は、内輪2の側面2c側の端部に向かうにつれて内径側へ向かう(ころ3のP.C.D.から遠ざかる)傾斜であり、このリードインチャンファー部11を設けた部分では、内輪2が、軸方向端部へ向かって先細りとなっている。また、その内輪2の内径部には、軸挿通用の孔2eが設けられている。
この外輪1と内輪2との間に、転動体としてのころ(円筒ころ)3と、そのころ3を保持する保持器14を配置している。
保持器14は、周方向に伸びるリング部14aと、そのリング部14aから軸方向へ伸びる複数本の柱部14bとを有する。周方向に隣り合う柱部14b,14b間の空間が、ころ3を収容するポケット部となっている。
柱部14bは、ころ3のP.C.Dよりも軸受の半径方向に沿って前記他方側に位置している。リング部14aは、ころ3に対して軸方向いずれかの側にのみ設けられ、全周に亘って連続する環状を成している。
この実施形態では、保持器14の素材を金属の板材、特に、鉄系の板材としている。その金属の板材を、プレス加工により折り曲げ及び打ち抜きを行い、リング部14a及び柱部14bを成形している。このため、リング部14a及び柱部14bは、それぞれ板状の部材となっている。なお、保持器14の素材を樹脂とし、射出成形加工によりリング部14a及び柱部14bを成形した構成を採用することもできる。
外輪1の一方のつば1bには、軌道面1a側の稜線部に、保持器抜け止め部12を構成する段部が設けられている。その保持器抜け止め部12に、リング部14aの外径側の端部に設けた係止部14cが嵌って係止されるようになっている。この係止は、係止部14cが保持器抜け止め部12に圧入固定されている必要はなく、係止部14cが保持器抜け止め部12に入り込んで、その軸方向一方向への移動が規制されている状態でよい。
このように、係止部14cが保持器抜け止め部12に係止されれば、保持器14は、それ以上軸方向外側へ移動しない。このため、ころ3を組立てた後に、保持器14が内外輪2,1間の空間から軸方向外側に抜けないようになっている。なお、この実施形態では、保持器14のポケット部に対して、全てのころ3は、柱部14bの突出端側から根元部側に向かって同一の方向に挿入することができる。
このとき、保持器14はころ案内形式となっているので、保持器14の柱部14bと内輪2の軌道面2aとの接触による摩耗を抑制することが可能となっている。
すなわち、この構成では、保持器14のリング部14aを、ころ3に対して軸方向いずれかの側にのみ設け、保持器14をいわば「くし型」に形成したことにより、ころ3を軸受の側面側から組み込み可能としている。また、柱部14bが、ころ3のP.C.D.よりも内輪2側に位置しているので、ころ3をサイズアップしても保持器14の柱部14bを充分な断面を確保することができ、その強度を確保することができる。
また、ころ3を保持する側の軌道輪である外輪1のつば1bに、保持器抜け止め部12を設けて、その保持器抜け止め部12に保持器14を係止したので、ころ3を組立てた後、保持器14が軸方向へ抜けないようになっている。このため、内輪2が分離した状態であっても、ころ3は外輪1側に確実に保持されて脱落しにくいようになっている。したがって、保持器の加工性及びころ組立性、すなわち、軸受の組立性も良好である。
また、ころ3を保持する側の軌道輪である外輪1のつば1bに、保持器抜け止め部12を設けて、その保持器抜け止め部12に保持器14を係止したので、ころ3を組立てた後、保持器14が軸方向へ抜けないようになっている。このため、内輪2が分離した状態であっても、ころ3は外輪1側に確実に保持されて脱落しにくいようになっている。したがって、保持器の加工性及びころ組立性、すなわち、軸受の組立性も良好である。
なお、この実施形態では、図1(b)(c)に示すように、柱部14bのリング部14aからの軸方向への突出長さを、ころ3の軸方向長さよりも長くしているが、この柱部14bの突出長さを、ころ3の軸方向長さよりも短くした構成を採用することもできる。すなわち、柱部14bに加わる荷重は、その柱部14bの突出側よりも根元部側が大きくなるため、柱部14bの軸方向への突出長さは必要以上に長くすることはない。したがって、内輪2の軌道面2aとの接触面での油膜切れを抑制する効果から、ころ3の軸方向長さより柱部14bの突出長さを短くする方がよい場合もあることに基づくものである。
また、この実施形態では、内輪2の軌道面2aの軸方向両側にリードインチャンファー部11を設けているが、保持器14は、ころ3のP.C.D.よりも遠い位置でころ3を外輪1側に保持するため、ころ3の径方向動き量が大幅に小さくなっている。このため、内輪2のリードインチャンファー部11の設置を省略することも可能である。
他の実施形態を、図2に基づいて説明する。この実施形態は、保持器14の部材のうち、周方向へ伸びる部材であるリング部14aを、ころ3を保持する各ポケット部毎に軸方向いずれかの側へ交互配置とし、保持器14の柱部14bとリング部14aを、いわば「S型」に形成した保持器14を用いる円筒ころ軸受13である。
円筒ころ軸受13の主たる構成は、前述の実施形態と同様であるので、その差異点を中心に説明する。
保持器14の柱部14bは、ころ3のP.C.Dよりも軸受の半径方向に沿って内輪2側に位置している点は同様である。また、前述のように、リング部14aは、ころ3を収容する柱部14b,14b間のポケット部毎に、周方向に沿って、軸方向右側、左側と交互に設けられている。このため、リング部14aは、周方向に沿って断続的な部材となっている。
この実施形態では、前述の実施形態と同様、保持器14の素材を金属の板材、特に、鉄系の板材としている。その金属の板材を、プレス加工により折り曲げ及び打ち抜きを行い、リング部14a及び柱部14bを成形している。なお、保持器14の素材を樹脂とし、射出成形加工によりリング部14a及び柱部14bを成形した構成を採用することもできる。
なお、前述の実施形態における保持器14の係止部14cや、外輪1の保持器抜け止め部12は設けられていない。また、この実施形態では、ころ3は、保持器14の各ポケット部に対して、軸受の周方向に沿って交互に逆方向へ挿入することができる。すなわち、或る一つのころ3が、図2(b)において、軸方向右側から左側へと挿入されるものであれば、周方向に隣り合う他のころ3は、軸方向左側から右側へと挿入される。このため、ころ3を組立てた後に、保持器14が内外輪2,1間の空間から軸方向外側に抜けないようになっている。
また、保持器14はころ案内形式となっているので、保持器14の柱部14bと内輪2の軌道面2aとの接触による摩耗を抑制することが可能となっている。
また、この保持器14であれば、両持ち支持形式とすることが可能で、前述の実施形態の「くし型」のように、片持ち支持形式とする場合よりも、保持器14全体の強度が向上する。
また、この保持器14であれば、両持ち支持形式とすることが可能で、前述の実施形態の「くし型」のように、片持ち支持形式とする場合よりも、保持器14全体の強度が向上する。
この実施形態では、「S型」の保持器14の柱部14bの内径を、リング部14aの最小径部の内径と同一としているが、柱部14bの内径を、リング部14aの最小径部の内径よりも大きくすることにより、柱部14bが内輪2の軌道面2aに接触しないようにした構成を採用することができる。
なお、これらの各実施形態では、外輪1はその軸方向両端につば1b,1bを有し、保持器14は、内輪2が軸受から分離した状態で、ころ3が保持器14で外輪1側に保持されて脱落しないようになっている構成としたが、これを内外逆にすることもできる。
この場合、各実施形態における円筒ころ軸受10,13において、内輪2はその軸方向両端につばを有し、保持器14は、その柱部14bが、ころ3のP.C.Dよりも軸受の半径方向に沿って外輪1側に位置し(例えば、従来例の図3(b)参照)、保持器14は、外輪1が軸受から分離した状態で、ころ3が保持器14で内輪2側に保持されて脱落しないようになっている構成となる。
この構成において、「くし型」の保持器14を用いる円筒ころ軸受10では、その保持器14のリング部14aは、ころ3に対して軸方向いずれかの側にのみ設けられているので、内輪2のつばに設けられた保持器抜け止め部12に、そのリング部14aに設けた係止部14cが係止可能である構成となる。保持器抜け止め部12や係止部14cは、同様の構成とし得る。
また、「S型」の保持器14を用いる円筒ころ軸受13では、その保持器14の柱部14bは、ころ3のP.C.Dよりも軸受の半径方向に沿って外輪1側に位置しているので、周方向に沿って交互に設けられるリング部14aも、外輪1側に偏心して位置する構成となる。
1 外輪
1a 軌道面
1b つば
2 内輪
2a 軌道面
2b つば
3 ころ
4 保持器
4a リング部
4b 柱部
5 止め輪
6,7,10,13 円筒ころ軸受
11 リードインチャンファー部
12 保持器抜け止め部
14 保持器
14a リング部
14b 柱部
14c 係止部
1a 軌道面
1b つば
2 内輪
2a 軌道面
2b つば
3 ころ
4 保持器
4a リング部
4b 柱部
5 止め輪
6,7,10,13 円筒ころ軸受
11 リードインチャンファー部
12 保持器抜け止め部
14 保持器
14a リング部
14b 柱部
14c 係止部
Claims (8)
- 外輪(1)又は内輪(2)の少なくとも一方はその軸方向両端につば(1b)を有し、前記外輪(1)と前記内輪(2)との間にころ(3)とそのころ(3)を保持する保持器(14)を配置し、前記保持器(14)は周方向に伸びるリング部(14a)とそのリング部(14a)から軸方向へ伸びる柱部(14b)とを有し、他方が分離した状態で、前記ころ(3)が前記保持器(14)で前記一方の側に保持されて脱落しないようになっている円筒ころ軸受において、
前記柱部(14b)は、前記ころ(3)のP.C.Dよりも軸受の半径方向に沿って前記他方側に位置し、前記リング部(14a)は、前記ころ(3)に対して軸方向いずれかの側にのみ設けられ、前記一方のつば(1b)に保持器抜け止め部(12)を設けてその保持器抜け止め部(12)に前記リング部(14a)を係止可能としたことを特徴とする円筒ころ軸受。 - 外輪(1)又は内輪(2)の少なくとも一方はその軸方向両端につば(1b)を有し、前記外輪(1)と前記内輪(2)との間にころ(3)とそのころ(3)を保持する保持器(14)を配置し、前記保持器(14)は周方向に伸びるリング部(14a)とそのリング部(14a)から軸方向へ伸びる柱部(14b)とを有し、他方が分離した状態で、前記ころ(3)が前記保持器(14)で前記一方の側に保持されて脱落しないようになっている円筒ころ軸受において、
前記柱部(14b)は、前記ころ(3)のP.C.Dよりも軸受の半径方向に沿って前記他方側に位置し、前記リング部(14a)は、前記ころ(3)を収容する前記柱部(14b,14b)間のポケット毎に、周方向に沿って軸方向いずれかの側に交互に設けられることを特徴とする円筒ころ軸受。 - 前記柱部(14b)の前記リング部(14a)からの軸方向への突出長さを、前記ころ(3)の軸方向長さよりも短くしたことを特徴とする請求項1に記載の円筒ころ軸受。
- 前記柱部(14b)の径を前記リング部(14a)の径と異ならせることにより、前記柱部(14b)が前記他方の軌道面に接触しないようにしたことを特徴とする請求項2に記載の円筒ころ軸受。
- 前記保持器(14)の素材を金属の板材とし、プレス加工により前記リング部(14a)及び前記柱部(14b)を成形したことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一つに記載の円筒ころ軸受。
- 前記保持器(14)の素材を樹脂とし、射出成形加工により前記リング部(14a)及び前記柱部(14b)を成形したことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一つに記載の円筒ころ軸受。
- 前記他方の軌道面(2a)の軸方向両側に設けられるリードインチャンファー部(12)の設置を省略したことを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一つに記載の円筒ころ軸受。
- 前記保持器(14)は、ころ案内形式であることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか一つに記載の円筒ころ軸受。
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JP2012050409A JP2013185640A (ja) | 2012-03-07 | 2012-03-07 | 円筒ころ軸受 |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
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2012
- 2012-03-07 JP JP2012050409A patent/JP2013185640A/ja active Pending
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WO2021177366A1 (ja) | 2020-03-06 | 2021-09-10 | 日本精工株式会社 | ケージアンドローラ |
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