JP2013185565A - 遠心ファン装置用ブレード、遠心ファン装置及びそれを備えた電子機器 - Google Patents

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Abstract

【課題】遠心ファンのブレードの根元に切り欠け部とリブ形状を設けることにより遠心ファン内部で効果的に空気を流し騒音を低減させることができる遠心ファン装置用ブレード、遠心ファン装置及びそれを備えた電子機器を提供することを目的とする。
【解決手段】ブレード22は、径方向内側においてブレード22の厚み方向に一体である第1の領域と、径方向外側においてブレード22の厚み方向に複数に分割された第2の領域とを有し、第1の領域にあってハブ部21側に凹部40を設け、凹部40の底部は整流板30上でリブ41になっていることを特徴とする。
【選択図】図7

Description

本発明は、電子機器の筐体内部に実装された超小型演算処理装置(以下、MPUと称する)などの発熱体の冷却に用いる遠心ファン装置で、その発熱体と熱接続された受熱体から放熱体までの熱輸送をヒートパイプや液体冷媒の循環などの方式により効率的に行った後、その放熱体を強制的に送風冷却する遠心ファン装置用ブレード、遠心ファン装置及びそれを備えた電子機器に関するものである。
最近のコンピュータにおけるデータ処理の高速化の動きはきわめて急速であり、MPUのクロック周波数は、以前と比較して格段に高いものになってきている。
その結果、MPUの発熱量が増大し、従来のように放熱フィンを有するヒートシンクを発熱体に接触させて放熱する方法だけでなく、そのヒートシンクをファンで直接冷却する方法、あるいはその発熱体と熱接続された受熱体から放熱体までをヒートパイプを用いて熱輸送したヒートシンクモジュールを構成して、その放熱体をファンの送風で強制冷却する方法、さらには、熱伝導性の高い液体冷媒をポンプによって強制循環させ受熱体と放熱体との間で熱輸送された放熱体を遠心ファン装置などにより強制的に送風して放熱する方法などが必要不可欠となっている。
一方、前述した遠心ファン装置の冷却性能の向上は、その高風量化、高静圧化などの送風性能の向上に大きく依存し、通常遠心ファン装置の送風性能は遠心ファンの回転速度を上昇させて改善することが可能である反面、その遠心ファンのブレード部の風きり音(以下、ファン騒音と称する)も増大する傾向を示すことから、そのファン騒音を低減するために、ファンの対向する2つのブレード外周端に段差を有し、段差にブレードの回転軸を中心とした円環板を設けたものがあった(例えば特許文献1参照)。
特開2009−257113号公報
しかしながら、上記のようにブレード外周端に段差を有し、段差にブレードの回転軸を中心とした円環板を設けたものでは、円環板の大きさによっては外気を効果的に吸い込むことができなくなる恐れがあるとともに、回転するブレードからの風向きは一方向になってしまい、ファン装置から吹き出される風も一方向に偏ってしまい、冷却ポイントを狙ってスポット冷却するには好適であるが、広い範囲を効果的に冷却するには課題があった。
また、ファン先端に発生する騒音の元となる渦を分流し小さくすることができるが、渦の移動方向が同じなので、渦同士が再度合体しやすく分流前の渦に戻ることがある。その結果、騒音を低減させることも困難であった。
そこで、本発明は上記課題を鑑みて、遠心ファンのブレード先端を分岐し、それらの空気の流れる方向を分けることで広い範囲を冷却させることができるとともに、遠心ファンのブレードの根元に切り欠け部とリブ形状を設けることにより遠心ファン内部で効果的に空気を流すことができるとともに騒音を低減させることができ遠心ファンの回転速度を増加せずにさらに冷却性能を上げることができる遠心ファン装置用ブレード、遠心ファン装置及びそれを備えた電子機器を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明は、ハブ部と、前記ハブ部から径方向に伸びる複数のブレードと、前記ハブ部から径方向に伸び、前記ブレードが発生させる風を整流する整流板と、を備え、前記ブレードは、前記ハブ部側に凹部を設け、前記凹部の底部は前記整流板上でリブ形状であることを特徴とする遠心ファン装置用ブレード、遠心ファン装置及びそれを備えた電子機器である。
本発明によれば、ブレード部の内側のハブ部に接する箇所に切り欠けを設けたことで、遠心ファンの内側で滞留する空気を少なくすることができ、吸い込まれた外気を容易に入れ替えることができ、遠心ファンの冷却性能を向上させることができる。
また、切り欠き部の底部をリブ形状にすることで、整流板の表面から空気を剥離させ空気の小さな渦を作るので遠心ファンのブレードの回転で発生する音を低減させることができる。
すなわち、本発明によれば電子機器に備えられた遠心ファンの静音化と冷却性能の両立を達成させることができる。
本発明の実施の形態における遠心ファン装置の概観図 本発明の実施の形態における遠心ファン装置のブレードの斜視図 本発明の実施の形態における遠心ファン装置のブレードの平面図 本発明の実施の形態における遠心ファン装置のブレードの拡大平面図 本発明の実施の形態における遠心ファン装置のブレードの拡大断面図 本発明の実施の形態における遠心ファン装置のブレードの形状を示す図 本発明の実施の形態における遠心ファン装置のブレードの動作を示す図
請求項1に記載の発明は、ハブ部と、前記ハブ部から径方向に伸びる複数のブレードと、前記ハブ部から径方向に伸び、前記ブレードが発生させる風を整流する整流板と、を備え、前記ブレードは、前記ハブ部側に凹部を設け、前記凹部の底部は前記整流板上でリブ形状であることを特徴とする遠心ファン装置用ブレードであって、ブレード部の内側のハブ部に接する箇所に切り欠けを設けたことで、遠心ファンの内側で滞留する空気を少なくすることができ、吸い込まれた外気を容易に入れ替えることができ、遠心ファンの冷却性能を向上させることができる。
また、切り欠き部の底部をリブ形状にすることで、整流板の表面から空気を剥離させ空気の小さな渦を作るので遠心ファンのブレードの回転で発生する音を低減させることができる。
請求項2に記載の発明は、前記ブレードは、径方向内側において前記ブレードの厚み方向に一体である第1の領域と、径方向外側において前記ブレードの厚み方向に複数に分割された第2の領域と、を有することを特徴とする請求項1に記載の遠心ファン装置用ブレードであって、大きなブレード面を有する第1の領域を持つことで遠心ファン内部に効果的に外気を吸い込むことができかつ遠心方向に効果的に押し出すことができ、遠心ファンの回転速度を上げずにすなわちファン騒音を増加させずに冷却性能を向上させることができる。さらに、遠心ファンのブレードの先端を分岐し、ブレードから押し出される風を分散させることで、吹き出す風を広範囲に送り出すことができ、広範囲の冷却を可能にすることができ、さらに騒音の原因となる空気のブレードの先端で発生する渦も小さくさせることができる。すなわち、遠心ファン装置の静音化と冷却性能の両立を達成させることができる。
請求項3に記載の発明は、駆動部と、前記駆動部を収納するハブ部と、前記ハブ部を中心に径方向に伸びる複数のブレードと、前記ハブ部から径方向に伸び、前記ブレードが発生させる風を整流する整流板と、前記ハブ部と前記ブレードと前記整流板を支持するフレームと、を備え、前記ブレードは、前記ハブ部側に凹部を設け、前記凹部の底部は前記整流板上でリブ形状であることを特徴とする遠心ファン装置であって、ブレード部の内側のハブ部に接する箇所に切り欠けを設けたことで、遠心ファンの内側で滞留する空気を少なくすることができ、吸い込まれた外気を容易に入れ替えることができ、遠心ファンの冷却性能を向上させることができる。
また、切り欠き部の底部をリブ形状にすることで、整流板の表面から空気を剥離させ空気の小さな渦を作るので遠心ファンのブレードの回転で発生する音を低減させることができる。
請求項4に記載の発明は、前記ブレードは、径方向内側において前記ブレードの厚み方向に一体である第1の領域と、径方向外側において前記ブレードの厚み方向に複数に分割された第2の領域と、を有することを特徴とする請求項3に記載の遠心ファン装置であって、大きなブレード面を有する第1の領域を持つことで遠心ファン内部に効果的に外気を吸い込むことができかつ遠心方向に効果的に押し出すことができ、遠心ファンの回転速度を上げずにすなわちファン騒音を増加させずに冷却性能を向上させることができる。さらに、遠心ファンのブレードの先端を分岐し、ブレードから押し出される風を分散させることで、吹き出す風を広範囲に送り出すことができ、広範囲の冷却を可能にすることができ、さらに騒音の原因となる空気のブレードの先端で発生する渦も小さくさせることができる。すなわち、遠心ファン装置の静音化と冷却性能の両立を達成させることができる。
請求項5に記載の発明は、請求項3または請求項4のいずれかに記載の遠心ファン装置を備えたことを特徴とする電子機器であって、ブレード部の内側のハブ部に接する箇所に切り欠けを設けたことで、遠心ファンの内側で滞留する空気を少なくすることができ、吸い込まれた外気を容易に入れ替えることができ、遠心ファンの冷却性能を向上させることができる。
また、切り欠き部の底部をリブ形状にすることで、整流板の表面から空気を剥離させ空気の小さな渦を作るので遠心ファンのブレードの回転で発生する音を低減させることができる。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、以下に述べる実施例は、本発明の好適な具体例であり、技術的に良好な条件の限定が記載されているが、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する記載がない限り、これらの条件に限られるものではない。
(実施の形態)
以下、本実施の形態について図面を用いて説明する。なお、各図面において、カバー側を上方、フレーム側を下方として説明する。
図1は、本発明の実施の形態における遠心ファン装置の概観図であり、(a)は上方からの斜視図であり、(b)は下方からの斜視図、すなわち(a)を裏返しした斜視図である。
まず、図1(a)で示したように遠心ファン装置11のファンケーシング12は、下部に位置するフレーム12aと上部に位置するカバー12bとにより構成されている。
ただし、カバー12bは必ずしも必須ではなく、例えば他の部材の壁などで代用してもよい。
ここで、フレーム12aは、樹脂成型、アルミニウム合金のダイカスト成型、またはプレス成形などにより側壁12aaと底面12abとが一体的に成形され、ファンケーシング12内に吸入した空気をその2方向に外部へ排気する排気口13が配設されており、底面12abには周囲から吸入する空気を通過させる略円形状の吸気口14aが配設されている(図1(b)参照)。
一方、カバー12bは、スチール、アルミニウム、銅などの金属材料の打ち抜き成形や樹脂成型によりプレート状に成形されており、その中央部に周囲から吸入する空気を通過させる略円形状の吸気口14bが配設されている。
そして、ファンケーシング12は回転駆動されるブレード部15を回転自在に収容するので、一対の吸気口14aと吸気口14bはそのブレード部15を挟んで対向配置されている。
また、ハブ部21内に収納、取り付けられている駆動部であるモータ(図示せず)はブレード部15のブレード22を回転させる。例えば、コイルを巻回したステータと、ステータの周囲に設けられ環状のマグネットをその内側に備えるロータとを備え、ステータのコイルに電流を流すなどしてモータを構成する。
ここで、ブレード部15の素材としては、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンテレフタレート(PET)などの樹脂材料を用いた一体成形により形成されている。
以上のような構成により、吸気口14aと吸気口14bとの両方から吸入されるそれぞれの空気は、ブレード部15のハブ部21の内側中央に固定された回転軸18方向において相互に反対方向(ぶつかりあう方向)より吸入される。そして、2方向に広く開口した排気口13から冷却風として空気が吹き出される。
図2は、本発明の実施の形態における遠心ファン装置のブレードの斜視図であり、(a)は上方からの斜視図であり、(b)は下方からの斜視図、すなわち(a)を裏返しした斜視図である。
図2に示すようにブレード部15は、ハブ部21とハブ部21から伸びる複数のブレード22を備える。そして、ハブ部21の外周には吸気口14aや吸気口14b(図1参照)から吸気した空気をスムーズに流す整流効果を持つとともにブレード22の強度を補強するリング状の整流板30により構成され、ブレード部15は時計周りのR方向に回転するようになっている。すなわち、整流板30によって、上下方向に吸気された風をスムーズに遠心方向に方向転換することができる。そのため、吸気口14aまたは吸気口14bの外径と整流板30の外径はほぼ同一である。なお、整流板30は円環状である必要はなく、多角形など何でもよいが、本実施の形態のように円環状が好ましい。
ここで、ハブ部21からの伸びたブレード22は、径方向内側においてブレード部15の厚み方向に一体であるほぼ平板状の形状を持つ第1の領域(後述する図3の2点鎖線の円の内側)と、径方向外側においてブレード部の厚み方向に複数に分割された第2の領域(後述する図3の2点鎖線の円の外側)とを備える。第2の領域では、第1のブレード25あるいは第2のブレード26に分割される。すなわち、ハブ部21から径方向に向かって、整流板30がある領域を過ぎてから分岐され、第1のブレード25と第2のブレード26とに分かれる。
なお、第1のブレード25は回転方向前側に湾曲する、いわゆる前進翼であり、第2のブレード26は、回転方向後側に湾曲する、いわゆる後進翼であるが、この組み合わせに限定されるわけではなく、前進翼、後進翼そして平板翼から選択して組み合わせればよい。
本実施の形態のようにブレード22を湾曲させることで、ブレード22はその径方向に流線型の面になっているので遠心ファン装置11の軸方向から吸い込んだ空気を抵抗なく滑らかに吐き出すことができ、遠心ファン装置11のブレード22の送風効率を良化させることができる。
また、ハブ部21に接するブレード22の根元部にはその一部を切り欠いた略矩形の形状を持った凹部40が設けられ、凹部40の底部は整流板30の上面よりも高い位置にあるリブ41(後述する図5を参照)の上面になっている。すなわち、凹部40の底部は深さ方向で整流板30の上面に到達しないように形成される。
この凹部40を設けることで、ハブ部21付近に吸い込まれた空気がブレード22と整流板30に囲まれたハブ部21側壁近くに滞留することなく、スムーズに流れるようにさせることができる。また、リブ41を設けることで、整流板30の表面から空気を剥離させ空気の小さな渦を作るので遠心ファン装置11のブレード22の回転で発生する音を低減させることができる(凹部40及びリブ41の詳細については後述する)。
すなわち、ブレード22の先端部を第1のブレード25と第2のブレード26との2つに分割した形状にさせているために遠心ファン装置11の静圧は大きくできるので、ハブ部21に近い部分は第1のブレード25の集合体としてすり鉢状の形状にして吸い込み領域を作る必要が無い。したがって、第1のブレード25はハブ部21に近い部分まで広い面積をもつ側面にさせることができるので空気を効果的に抱き込むことができ、第1のブレード25の曲面に沿って第1のブレード25の外周側へ送り出すことができる。
また、ブレード22の整流板30の下部側(第2のブレード26の中心方向の部分)のハブ部21に近い部分は傾斜した形状の端部を持ち、第2のブレード26の集合体としてすり鉢状の形状を持つ。このすり鉢状の空間を利用してハブ部21内に納められた駆動モータ(図示せず)への配線が行なわれる。なお、第2のブレード26の形状はこれに限定されるわけではなく、第1のブレード25のように凹部を設けた形状でもよいし、そのまま何も設けず接するようにハブ部21に取り付けられた形状でもよい。
また、ハブ部21の外周に設けられた環状の整流板30はハブ部21より外側に伸びているブレード22の根元の強度をアップさせることができる。すなわち、整流板30の平面部にブレード22の一部の面を一体化で構成することで、ブレード22は整流板30により固定することができる。こうすることで、ブレード部15の性能向上のためにブレード22のブレード枚数を多くし各ブレードのブレード厚が薄くせざるおえなくなった場合でもブレード部15の回転力にブレード22は耐えうることができる。
この整流板30の外径は、吸気口14aや吸気口14b(図1参照)の外径と同一かやや小さくするのが好ましい。すなわち、整流板30の外径≦吸気口14aや吸気口14bの外径の関係とする。この構成にすることで、吸気口14aと吸気口14bの上下方向から吸入した空気を衝突させないで第1のブレード25と第2のブレード26とに分割されていないブレード22の広い側面で空気を効果的に抱き込むことができ、ブレード22の曲面に沿ってブレード22の外周側へ送り出すことができる。なお、これは吸気口が一方の面にしかない場合においても同様の効果を得ることができる。
すなわち、ブレード部15は中心部での空気の滞留を防ぐ凹部40のある部分、遠心方向へ風を向ける役目も持つ整流板30のある部分、外気を大量に吸気し遠心方向に押し出す役目を持つ整流板30の外側で2つに分割されていない広い部分、そして吐き出される空気の渦(騒音の原因となるもの)を小さくしかつ再結合を防ぐ役目を持つ2つに分割された部分の4つの領域から形成されている。
この整流板30が無い場合もあるが、前述したようにブレード22の強度に課題を残してしまう。また、整流板30の外径が吸気口14aや吸気口14bの外径より大きい場合もあるが、整流板30の外径を大きくすればそれにつれてブレード部15の大きさも大きくなってしまう恐れがある。
なお、第1のブレード25および第2のブレード26は本実施例では、第1のブレード25がハブ部21からの距離が長くブレードの長さが長くなっているが、この場合ブレードが長いほう、つまり第1のブレード25は吸気口の開口部の大きな吸気口14b側に配置されるほうが好ましい。
第1のブレード25あるいは第2のブレード26のハブ部21からの距離を両者同じ長さにしてもよいが、ブレードが遠心方向に長いほう、つまり第1のブレード25を吸気口の開口部の大きな吸気口14b側に配置することで、多く吸入できた空気をブレード部15の外側に容易に運び出すことができる。
この際、ブレード22すなわち第1のブレード25や第2のブレード26の先端は吸気口14a、14b(図1参照)から見て隠れるように吸気口の外径より外側に位置していることが望ましく、第1のブレード25と第2のブレード26との長さの比率に応じて、吸気口の大きさを変えることが好ましい。
すなわち、ブレード部15の高さ方向におけるブレード22の上端および下端はファンケーシング12のカバー12bおよび底面12ab(図1参照)との隙間が狭くなり、ブレード22の先端で気圧の差により発生する騒音の原因となる空気の渦が、ブレード22の面を乗り越えて隣のブレードに移動して隣の空気の渦と合体するのを防止することができる。
図3を用いて、ブレード部15のブレード22の形状について説明する。図3は、本発明の実施の形態における遠心ファン装置のブレードの平面図であり、(a)は遠心ファンの上面図、(b)は(a)のA方向から見た遠心ファンの側面図である。
図3において、上述したように、第1のブレード25は回転方向前側に湾曲しており、第2のブレード26は回転方向後側に湾曲している。そして、第1のブレード25の先端部間のピッチPの間に第2のブレード26の先端部Qが位置する(詳細は後述する)。
好ましくは、第1のブレード25の先端部間のピッチPの中間に第2のブレード26の先端部Qが位置するのがよい。このように配置することで、第1のブレード25で発生する空気の渦と第2のブレード26で発生する空気の渦との距離(ブレード部15の周方向の距離)を最も離すことができる(詳細は後述する)。
また、第1のブレード25と第2のブレード26とに分岐され始める分岐点であるC点は、ブレード部15の径方向で吸気口14aや吸気口14b(図1参照)の外径よりも外側に位置する。
このように構成することで、ブレード22が分岐され始める分岐点であるC点と吸気口14aや吸気口14b(図1参照)の面から外しオーバーラップさせないことで、ブレード22がまだ分岐されていない広い側面を有する部分で吸気口14aや吸気口14b(図1参照)から大量に外気を吸気することができ、それを吹き出し冷却のための空気として利用することができる。
なお、ブレード部15の大きさに応じて、第1のブレード25と第2のブレード26は第1のブレード25と第2のブレード26で発生した空気の渦が再結合しない程度の長さ(分岐点であるC点からブレード部15の外周までの長さ)と曲面があればよい。
ここで、整流板30の外径、吸気口14aや吸気口14bの外径、ブレード22の分岐点であるC点の位置そしてブレード部15の外径についてまとめておく。ここでは、ブレード部15の中心からの半径と距離の大きさで示す。すなわち、整流板30の外径≦吸気口14aや吸気口14bの外径<ブレード22の分岐点であるC点までの距離<ブレード部15の外径である。
また、凹部40のブレード径方向の幅と整流板30の幅の関係は、凹部40のブレード径方向の幅<整流板30の幅となる。
前述したように第1のブレード25および第2のブレード26は、第1のブレード25がハブ部21からの距離が長くブレードの長さが長くしているので、図3(b)に示すように第1のブレード25と第2のブレード26との境目で段差が形成されている。この段差を設けることで、第1のブレード25で発生する空気の渦と第2のブレード26で発生する空気の渦との距離(ブレード部15の軸方向の距離)を離すことができ、第1のブレード25で発生する空気の渦と第2のブレード26で発生する空気の渦との距離を三次元的(斜め上下方向)に離すことができる。
また、第1のブレード25と第2のブレード26の長さ(径でもある)に関して第1のブレード25のほうを長くしている。吸気口面積が大きい吸気口14b(図1参照)側にブレード長の長い第1のブレード25を設けているので大量の空気を吸い込んだ側のブレードの先端部の周速が大きく遠心ファン装置の冷却性能を向上させることができる。
本実施の形態では、ハブ部21の外径が20mmφ、第1のブレード25の外径が44mmφ、第2のブレード26の外径は42mmφ、整流板30の外径は32mmφ、吸気口14aと吸気口14bの外径は32mmφ、分岐点であるC点を結んだ線の径は33.5mmφ、凹部40の幅は1.5mm、リブ41の高さは0.5mmであり、この時に静音と風量のバランスがよく、同一騒音の条件下では遠心ファン装置11の冷却性能がベストとなる。
また、第1のブレード25および第2のブレード26の長さはこれに限定されるわけではないが、ファンの騒音の原因となる空気の渦の発生場所を考慮すると本実施例の形態が適切である。
また、第1のブレード25と第2のブレード26のブレード部15の回転軸方向の各々のブレードの幅(図3(b)のブレード部の厚み方向の長さ)は、第2のブレード26側すなわち回転軸受を受ける部分を備えている側の幅を製造上大きくしたほうがブレード部15の強度のためには良好である。
図4を用いて、ブレード部15の各要素の配置について説明する。図4は、本発明の実施の形態における遠心ファン装置のブレードの拡大平面図である。
ブレード部15の各要素の位置を決める手順について説明する。遠心ファン装置11を搭載する電子機器などの製品仕様でその大きさが決まると、遠心ファン装置11の大きさすなわちブレード部15のブレード22の第1のブレード25の径(R1)を決めることができる。そして、第1のブレード25の径(R1)と電子機器を含めたシステムの風路抵抗とにより遠心ファン装置11の吸気口14bの径(R5)を決め、そして、ブレード部15の径(R1)と吸気口14bの径(R5)とにより整流板30の径(R3)と分岐点であるC点を結んだ線の径(R4)とが決定される。そして、第2のブレード26の径(R2)と凹部40の幅とは遠心ファン装置11の冷却性能を最大限発揮させることができる大きさで決定される。
また、遠心ファン装置11のブレード22の先端を分岐し、ブレード22から押し出される風を分散させることで、吹き出す風を広範囲に送り出すことができ、広範囲の冷却を可能にすることができ、さらにブレード22の先端で発生する騒音の原因となる空気の渦も小さくさせることができる。すなわち、遠心ファン装置11の静音化と冷却性能の両立を達成させることができる。
また、ブレード22が分割されていない上下一体となった広いブレード側面を設け、その広い側面部分を吸気口14a、14bと重なり合わせるあるいは近接させることで、吸気口14a、14bから効果的に大量に外気を吸気することができ、冷却のために送風する風量を十分に確保することができる。
次に、図5を用いて凹部40及びリブ41について詳細に説明する。図5は、本発明の実施の形態における遠心ファン装置のブレードの拡大断面図である。
図5に示すように、ハブ部21の外周に沿ってブレード22の第1のブレード25側でハブ部21側の根元に凹部40及びリブ41を設ける。
凹部40を設けることで、ハブ部21の外周に沿って環状の空間が作られ、空気の流路としてその環状の空間を利用することができる。
すなわち、ブレード22の第1のブレード25側のハブ部21に近い領域(図4において整流板30のR3より内側でハブ部21の外周より外側で、ハブ部21寄りの領域)に吸気口14b(図1参照)から吸気された空気は、凹部40が無い場合にはブレード22の間に滞留しやすくなるが、凹部40が有る場合にはそこを経由して隣のあるいはさらに隣のブレード22へと流れ、吸気された空気は滞留せずスムーズに流すことができる(空気の流れの詳細な説明は後述する)。
また、凹部40の幅Wは前述した通り1.5mmであり、凹部の底部であるリブ41の高さHは整流板30の上面から0.5mm程度高くなっている。
このようにリブ41を整流板30の上面より高くすることで、整流板30の表面から空気を剥離させ空気の小さな渦を作るので遠心ファン装置11のブレード22の回転で発生する音を低減させることができる。さらにブレード22を切り欠いた部分(凹部40に相当)にリブ構造を設けることができ、ブレード22に凹部40を設けてもブレード22の強度を補強することができる。
なお、リブ41は整流板30や第1のブレード25とともに一体成形してもよい。
次に、図6を用いてブレード22の先端部の形状について説明する。図6は、本発明の実施の形態における遠心ファン装置のブレードの形状を示す図である。
ブレード22はハブ部21から伸びており(図2参照)、整流板30に接合または一体的に構成されておりブレード22の強度アップが図られている。
そして、図6に示すように整流板30より径方向外側に伸びていくブレード22は、C点において2つのブレード部に分割分岐される。C点の位置はブレード部15の外径と吸気口14aと吸気口14bの外径および要望されるファン性能により決定される。
第1のブレード25は回転方向前側に湾曲しており、第2のブレード26は回転方向後側に湾曲している。それぞれのブレード部は、緩やかな曲率をもって湾曲している。第1のブレード25は円Mの円周の一部に沿って湾曲し、第2のブレード26は円Nの円周の一部に沿って湾曲している。
それぞれのブレード部の終端である第1のブレード25の終端をX、Yそして第2のブレード26の終端をZ、ブレード部15の中心をOとしたときに、線分OZは角度XOYを二等分する線分になる点をZとした。これにより、上下のブレードで発生した空気の渦が最も離れた位置で吐き出され、それらの渦が再結合しない効果を特に発揮することができる。
なお、本実施例では線分OZは角度XOYを二等分した線にしているが、線分OZが角度XOY内にあって、(1/3)×∠XOY<∠XOZ<(2/3)×∠XOYの関係にあれば、上下のブレードで発生した空気の渦が再結合しない効果を発揮することができ、さらに隣り合った第1のブレード25と第2のブレード26のブレードが重なり合わずブレードの送風性能を妨げることがない。
すなわち、ブレード22は径方向においてブレード部15の厚み方向に一体である第1の領域(C点より内側)とブレード部15の厚み方向で2つに分割された第2の領域(C点より外側)とを備え、第2の領域において分割された2つの先端部は、ブレード部15の周方向において互いに異なる方向に伸びている。
そして、第1のブレード25が沿う円Mの中心は回転方向前側にあり、第2のブレード26が沿う円Nの中心は回転方向後側にある。
本実施例では、ブレード部15の外径は44mmφ、整流板30の外径は32mmφ、吸気口14aと吸気口14bの外径は32mmφであって、その時の円Mおよび円Nの直径は33mmφである。
ただし、円Mと円Nの直径は必ずしも等しい必要はない。遠心ファン装置11上方から見て、第1のブレード25と第2のブレード26とが交互になるように適宜直径の値を決めればよい。
また、これらの数値に限られるわけではなく、遠心ファン装置11の大きさや風路抵抗により、ブレード部15の外径は40〜60mmφ、整流板30の外径は26〜45mmφ、吸気口14aと吸気口14bの外径は30〜45mmφ、凹部40の幅は1〜2mm、リブ41の高さは0.3〜1mm(第1のブレード25の最大高さの10〜40%)内で適宜設定される。
図7を用いて、ブレード部15の動作、特にファンでの空気の流れについて説明する。図7は、本発明の実施の形態における遠心ファン装置のブレードの動作を示す図である。
なお、本実施の形態では空気の流れはブレード部15の上方向から吸気された場合について図示説明しているが、ブレード部15の下方向から吸気された場合も同様である。
図7において、ブレード部15は時計周りのR方向に回転しており、吸気口14aと吸気口14b(図1参照)の両方向から吸気された外気はブレード22の間に抱き込まれる。抱き込まれた空気の一部はブレード22の側壁に沿って外側へと送り出され、他の一部(特にハブ部21に近いところにある空気)はブレード22の間で滞留せず、隙間である凹部40を経由して隣あるいはさらに隣のブレード22へそして外部へと流れ込む空気の流れを作り、ハブ部21に近いところで空気が滞留するのを防ぐことができ、吸気された空気を有効に利用でき遠心ファン装置11の冷却性能を向上させることができる。
すなわち、例えば第1のブレード25に凹部40を設けない場合には、ハブ部21に近いところに吸い込まれた空気は隣ブレードとの間で挟まれるとともに、第1のブレード25の径方向外側のところに吸い込まれた空気にも遮蔽されるのでハブ部21に近いところに空気が滞留してしまう。そこで、第1のブレード25に凹部40を設けることでハブ部21に近いところの空気をブレード22の径方向に空気の流動性を高めることができる。
図7に示すように、ブレード部15の上方から吸い込まれた空気の一部は第1のブレード25の径方向に流れ、また一部は凹部40が形成する溝の周方向に流れた後に隣あるいはさらに隣の第1のブレード25間へ流れ込み、ハブ部21に近い部分の空気が滞留するのを防ぐことができる。
また、整流板30上に設けられた第1のブレード25のリブ41は、ブレード部15の上方から吸い込まれた空気の一部が凹部40の形成する溝の周方向に流れるときにリブ41を乗り上げながら通過するので、整流板30から空気を剥離し、大きな渦流ではなく小さな渦流を形成しやすくさせる。そのため、遠心ファン装置11のブレード22の回転で発生する音を低減させることができる。
吸気口14aと吸気口14b(図1参照)の両方向から吸気された外気は、その途中から分岐されているブレード22に沿って第1のブレード25と第2のブレード26の先端部付近において、太い矢印で示したように渦Aと渦Bとが形成される。
そして、第1のブレード25と第2のブレード26の先端部付近で発生した渦が再度結合することなく、第1のブレード25と第2のブレード26のブレードの先端部から外部に排気される。すなわち、ブレード面の曲線に沿う方向とブレード部15の回転方向の合力方向に渦は押し出される。
つまり、前進翼である第1のブレード25から押し出された渦Aは、ブレード部15の回転方向寄りに押し出されて渦Cとなり、後進翼である第2のブレード26から押し出された渦Bは、ブレード部15の回転方向後側へ押し出された渦Dとなる。
さらに、第1のブレード25の径が第2のブレード26の径に比べ長いので、ブレード部15の回転力により押し出された渦Cの移動速度(空気の流れ)は渦Dの移動速度より速い。
これにより、ブレード22を分岐した第1のブレード25と第2のブレード26とで分流された渦は外部へ押し出される方向が異なりかつ速度も異なるので、分流後の渦が容易に再結合することを防止することができる。
したがって、形状が異なりその伸びる方向が異なる2つに分岐されたブレードをもつことで、大きな1つの渦になるはずだった空気を2つの小さな渦に分割させることができる。このようにして空気の渦を小さくすることで騒音を低減させることができ、遠心ファン装置11の騒音を低減させることができる。
すなわち、ブレード22は互いに異なる方向に曲線を持って伸びる第1のブレード25と第2のブレード26を設けることにより、渦の流れる方向を異ならせながら分流し、分流した渦が結合しにくくしているため、ブレード22の先端に発生する渦が小さくなり、この渦を小さくさせることによって発生する騒音を低減させることができ、遠心ファン装置11の騒音を低減させることができる。
また、第1のブレード25と第2のブレード26の異なる向きでブレード22から押し出される風を分散させることができ、吹き出す風を広範囲に送り出すことができ、広範囲の冷却が可能となる。
また、広範囲に冷却風を吹き出すことができるので、遠心ファン装置11の周辺に発熱部材やヒートパイプなどの放熱部分を広く配置させ冷却させることができ、それらの放熱や冷却を高めることができる。
なお、第1のブレード25と第2のブレード26の回転軸方向における高さつまりブレードの幅は同じ幅であることが望ましく、同じ幅であるほうが発生する空気の渦が等分され、大きな騒音の原因となる大きな渦が発生しないので、幅が異なる場合と比較して騒音が小さくなるので同じ幅であるほうが好ましい。
また、本実施例では分岐点であるC点(図3参照)から伸びる方向の異なる第1、第2のブレードにより空気の渦が発生する場所を分割しているが、さらに伸びる方向の異なる第3のブレードを設けてもよい。
また、上述したブレードを遠心ファン装置のブレードとして用いることで、冷却性能を満足させながら、十分な静音性を確保した遠心ファン装置を提供することができる。
さらに、上述した遠心ファン装置をノートPCなどの電子機器に搭載することで、冷却性能を満足させながら、十分な静音性を確保した電子機器を提供することができる。
ここで、発明者が鋭意検討した結果について説明する。すなわち電子機器内の半導体素子の冷却のために本実施の形態の遠心ファン装置用のブレード22を備えた遠心ファン装置11を用いた時の素子温度の一例の結果は、凹部40の幅が0mm(凹部が無い)場合その温度はおよそ60℃であり、凹部40の幅が1.5mmの場合その温度はおよそ50℃であり、凹部40の幅が3mmの場合その温度はおよそ80℃であった。
以上の検討結果より、凹部40を第1のブレード25に設けると遠心ファン装置11の冷却性能が良くなることが判る。しかし、凹部40の幅が大きすぎるとその冷却性能は低下してくる。これは、第1のブレード25が吸気口14b(図1参照)から吸気された空気を取り込むそのブレード面積が不足してくるためである。
以上に述べたように、第1のブレード25に凹部40及びリブ41を設けたブレードの遠心ファンは吸気口14bから吸気された外気を滞留なく滑らかに送風させやすく、空冷の冷却性能を向上させファンの騒音を低くすることができる。
本発明による遠心ファン装置用ブレード、遠心ファン装置及びそれを備えた電子機器は、筐体内部に実装されたMPUやさまざまな発熱電子部品を冷却することが可能で、より静音性の求められるノートパソコン、音響機器、映像機器などに有用である。
11 遠心ファン装置
12 ファンケーシング
12a フレーム
12aa 側壁
12ab 底面
12b カバー
13 排気口
14a 吸気口
14b 吸気口
15 ブレード部
21 ハブ部
22 ブレード
25 第1のブレード
26 第2のブレード
30 整流板
40 凹部
41 リブ

Claims (5)

  1. ハブ部と、
    前記ハブ部から径方向に伸びる複数のブレードと、
    前記ハブ部から径方向に伸び、前記ブレードが発生させる風を整流する整流板と、
    を備え、
    前記ブレードは、前記ハブ部側に凹部を設け、前記凹部の底部は前記整流板上でリブ形状であることを特徴とする遠心ファン装置用ブレード。
  2. 前記ブレードは、径方向内側において前記ブレードの厚み方向に一体である第1の領域と、径方向外側において前記ブレードの厚み方向に複数に分割された第2の領域と、を有することを特徴とする請求項1に記載の遠心ファン装置用ブレード。
  3. 駆動部と、
    前記駆動部を収納するハブ部と、
    前記ハブ部を中心に径方向に伸びる複数のブレードと、
    前記ハブ部から径方向に伸び、前記ブレードが発生させる風を整流する整流板と、
    前記ハブ部と前記ブレードと前記整流板を支持するフレームと、
    を備え、
    前記ブレードは、前記ハブ部側に凹部を設け、前記凹部の底部は前記整流板上でリブ形状であることを特徴とする遠心ファン装置。
  4. 前記ブレードは、径方向内側において前記ブレードの厚み方向に一体である第1の領域と、径方向外側において前記ブレードの厚み方向に複数に分割された第2の領域と、を有することを特徴とする請求項3に記載の遠心ファン装置。
  5. 請求項3または請求項4のいずれかに記載の遠心ファン装置を備えたことを特徴とする電子機器。
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