JP2013185452A - 燃料噴射弁の冷却構造 - Google Patents

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Abstract

【課題】エンジン1の停止後に電力を消費することなく燃料噴射弁(一例として吸気ポート噴射用のインジェクタ36)を効果的に冷却し、噴孔部におけるデポジットの生成、堆積を抑制する。
【解決手段】インジェクタ36の周囲に、相変化によって冷熱を吸収または放出する潜熱蓄冷材38を配設する。インジェクタ36のノズル36aを囲むようシリンダヘッド3に環状の収容室37aを形成して、潜熱蓄冷材38の封入された密封容器38を収容する構造としてもよい。
【選択図】図2

Description

本発明は、エンジンの燃焼室や吸気通路等に燃料を噴射する燃料噴射弁の冷却構造に関する。
従来より一般に、エンジンの気筒内に向けて燃料を噴射する筒内噴射用の燃料噴射弁は、その噴孔部が燃焼室に臨んで配置されているため高温になりやすく、付着した燃料の変質物(カーボンデポジット、以下、単にデポジットと呼ぶ)が堆積して、ニードルの作動不良や固着などを引き起こすおそれがあった。
この点につき特許文献1に記載のエンジンでは、燃料噴射弁を支持するスリーブを取り囲むようにシリンダヘッドの内部に環状の水室を形成し、この水室をシリンダヘッドの冷却水通路に連通させて、エンジンの冷却水により燃料噴射弁を冷却するようにしている。
特開2003−148240号公報
ところで、エンジンの吸気ポート内に向けて燃料を噴射する吸気ポート噴射用の燃料噴射弁は、筒内噴射用の燃料噴射弁に比べると雰囲気温度が低いため、従来はデポジットの問題は起きないと考えられていた。しかし、近年、ポンピングロスの低減などのために多量のEGRを行ったり、吸気バルブの作動タイミングを可変としてミラーサイクルで運転したりするエンジンがあり、このようなものでは吸気ポート噴射用の燃料噴射弁の噴孔部においてもデポジットが堆積しやすいことが分かった。
すなわち、エンジンにおいて多量のEGRを行ったり、ミラーサイクルで運転したりすると、燃焼に伴い生成されたPM(particulate matter)が既燃ガスと共に吸気ポートに還流されたり、気筒から吸気ポートに吹き返されたりするので、この既燃ガス中に含まれるPMが吸気ポート内に臨む燃料噴射弁の噴孔部に付着しやすい。
そして、エンジンの運転中は吸気の流れによって冷却されるため、燃料噴射弁の噴孔部の温度はあまり高くならないが、エンジンが停止すると周囲からの輻射やシリンダヘッドからの熱伝導によって噴孔部の温度が上昇し、残留している燃料と前記のPMのような既燃ガス成分とが反応することによって、比較的低い温度でもデポジットが生成されると考えられる。
このようなデポジットの生成を抑制するために、前記従来例(特許文献1)のようにエンジンの冷却水を利用して燃料噴射弁を冷却しようとしても、エンジン運転中の冷却水の温度は概ね100℃くらいになるので、前記のように比較的低い温度で起きるデポジットの生成を十分に抑制することは難しい。また、エンジン停止後に水室に冷却水を送るためには電動ポンプ等を作動させる必要があり、電力を消費するという問題もある。
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、エンジンの停止後に電力を消費することなく、燃料噴射弁を効果的に冷却できるようにして、デポジットの生成、堆積を抑制することにある。
前記目的を達成するために本発明は、エンジンに燃料を供給するための燃料噴射弁の近傍に、相変化によって冷熱を吸収または放出する潜熱蓄冷材を配設した。潜熱蓄冷材は、材料の相変化の際に吸収または放出する潜熱を利用するもので、その融点の近傍で多量の冷熱を放出させることができる。例えば吸気ポート噴射用の燃料噴射弁であれば潜熱蓄冷材の融点は、エンジンの運転中に吸気によって冷却される燃料噴射弁の噴孔部の温度よりも高い値に設定すればよい。
前記の特定事項により、エンジンが停止すると燃料噴射弁の噴孔部の温度は周囲からの輻射やシリンダヘッドからの熱伝導によって上昇するが、燃料噴射弁の近傍に配設されている潜熱蓄冷材の温度がその融点に達すると、この潜熱蓄冷材の融解によって熱が吸収(冷熱が放出)される。よって、燃料噴射弁を効果的に冷却しその噴孔部の温度上昇を抑制して、PMの多い雰囲気であってもデポジットの生成、堆積を抑制することができる。
こうして相変化を利用する潜熱蓄冷材は、その融点の近傍で多量の冷熱を放出するので、エンジン停止直後の燃料噴射弁の温度上昇を抑制するために必要な分量は多くはない。よって、燃料噴射弁の近傍に大きなスペースは必要でなく、また、潜熱蓄冷材を配設することに伴うコストの上昇も少ない。勿論、エンジン停止後に電力を消費することもない。
なお、「燃料噴射弁の近傍」というのは、エンジンの停止後に燃料噴射弁への周囲からの輻射やシリンダヘッドからの熱伝導を緩和できる部位であればよいが、デポジットの生成、堆積を抑制するためには噴孔部に近い方が好ましい。また、エンジンの運転中は吸気ポートを流れる吸気と熱交換しやすい部位が好ましい。
一例として、前記燃料噴射弁のノズルの周囲を囲むようシリンダヘッドに環状の収容室を設けて、この収容室内に前記潜熱蓄冷材を収容してもよい。こうすれば、エンジンの運転中は吸気の流れと潜熱蓄冷材とを効果的に熱交換させることができ、一方、エンジンの停止後は潜熱蓄冷材により燃料噴射弁のノズルを効果的に冷却することができる。
前記潜熱蓄冷材はシリンダヘッドの収容室に直接、封入してもよいが、潜熱蓄冷材を密封容器に封入した上で、収容室内に収容する構造としてもよい。こうすれば潜熱蓄冷材の取り扱いが容易になり、シリンダヘッドの収容室に容易に収容できる。また、密閉容器の一部を直接、燃料噴射弁に接触させて冷却効率を高めることもできる。
好ましくは前記収容室を、前記燃料噴射弁のノズルの長手方向における一側に開口させ、該長手方向の他側に向かって断面積が徐々に減少するようにテーパ状の周面を有するものとする。そして、前記密封容器は、前記収容室に対応する環状に形成して、該収容室内に前記開口から嵌め込むようにし、その際に密封容器の周面が収容室のテーパ状の周面に密接するよう、当該密閉容器の周面もテーパ状に形成すればよい。
こうすれば、潜熱蓄冷材を封入した密封容器を収容室に嵌め込むことにより、両者のテーパ状の周面同士を密接させることができるので、この周面における冷熱の伝導効率が高くなる。よって、前記のような潜熱蓄冷材による燃料噴射弁の冷却効率を高める上で有利になる。
或いは前記燃料噴射弁の周囲を囲むようシリンダヘッドに別体の環状部材を取り付けて、その内部に潜熱蓄冷材を配設してもよい。こうすれば、シリンダヘッドの内部に収容室を形成して潜熱蓄冷材を収容するのに比べて製造が容易になる可能性がある。また、エンジンの仕様の変更等に起因して潜熱蓄冷材の分量を変更しなくてはならないときに、これに合わせて収容室の大きさ等を変更することが容易になる。
前記潜熱蓄冷材としては種々のものが公知であるが、吸気ポート噴射用の燃料噴射弁に適用する場合に潜熱蓄冷材の融点は70〜90℃の範囲内に設定するのが好ましく、80℃以下に設定するのがより好ましい。こうすれば、エンジンの停止後に燃料噴射弁の噴孔部の温度上昇を好適に抑制し、デポジットの生成、堆積をより確実に抑制することができる。
以上、説明したように本発明にかかる燃料噴射弁の冷却構造によると、エンジンの燃料噴射弁の近傍に潜熱蓄冷材を配設することによって、エンジン停止後の燃料噴射弁の温度上昇を効果的に抑制し、その噴孔部へのデポジットの生成、堆積を抑制することができる。しかも、エンジンの停止後に電力を消費することはなく、大幅なコストの上昇を招く心配もない。
本発明の実施形態に係る燃料噴射弁の冷却構造を適用したエンジンの要部を示す概略構成図である。 燃料噴射弁の冷却構造を拡大して示す断面図である。 エンジン停止後の燃料噴射弁のノズル先端部の温度の変化を、潜熱蓄冷材のある場合とない場合とで対比して示すグラフ図である。 ノズル先端部の温度とデポジットの堆積状態(流量低下率)との関係を示すグラフ図である。 潜熱蓄冷材の量と温度低下の度合いとの関係を示すグラフ図である。 潜熱蓄冷材の収容室等をテーパ状とした変形例1に係る図2相当図である。 潜熱蓄冷材を収容室に直接、封入した変形例2に係る図2相当図である。 潜熱蓄冷材を別体の環状部材に封入した変形例3に係る図2相当図である。
以下、本発明を実施するための形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る燃料噴射装置を適用したガソリンエンジン1(以下、エンジン1と称する)の要部を示している。図1においてエンジン1は、シリンダブロック2の上部にシリンダヘッド3を搭載し、シリンダ2a(気筒)の内部に嵌挿したピストン4との間に燃焼室5を区画してなる。図1の例ではシリンダヘッド3の下面に、燃焼室5の天井面となる浅い窪みが形成されている一方、燃焼室5の床面となるピストン4の頂面は、天井面に対応する中凸形状とされ、その吸気側(図の左側)に偏在するように浅皿状の窪みが形成されている。
図1に示すようにシリンダヘッド3の吸気側には、下端が燃焼室5の天井面に開口するように吸気ポート31が形成されている。図の例では吸気ポート31は、上方に向かいつつ外側に湾曲して斜め外方に延びており、その上端は、シリンダヘッド3の吸気側面に膨出するポート形成部3aの上面に開口している。一方、シリンダヘッド3の排気側(図の右側)には排気ポート32が形成されて、下端が燃焼室5の天井面に開口する一方、上端はシリンダヘッド3の排気側面に開口している。
図示はしないが、吸気ポート31の上端の開口には吸気マニホルドが取り付けられて、エアクリーナを通過した空気(吸気)を吸気ポート31へ流通させるようになっている。すなわち、図1のように吸気バルブ33が作動されて、吸気ポート31の下端の開口が開かれると、ピストン4の下降に伴い吸気が吸気ポート31からシリンダ2a内に吸い込まれる。吸気バルブ33は、図示しないカム軸などを有する動弁系によってクランク軸の回転に同期して作動される。
同様に図示はしないが、排気ポート32の上端の開口には排気マニホルドが取り付けられている。そして、カム軸などを有する動弁系によって排気バルブ34が作動され、排気ポート32の下端の開口が開かれると、既燃ガスがシリンダ2aから排気ポート32へ排出され、排気マニホルドから排気管へと流出するようになっている。なお、図には1つのシリンダ2aのみを示しているが、本実施形態のエンジン1は単気筒エンジンであってもよいし、多気筒エンジンであってもよい。
また、図1に示すようにシリンダヘッド3には、シリンダ2a毎に点火プラグ35が配設されており、点火回路35aから電力の供給を受けて点火プラグ35が火花放電することにより、燃焼室5内に形成された混合気に点火するようになっている。混合気は、吸気ポート噴射用インジェクタ36(燃料噴射弁であり以下、単にインジェクタ36と称する)から吸気ポート31内に向けて噴射された燃料が、この吸気ポート31内および燃焼室5内において吸気と混じり合って形成される。
そうして燃料を噴射するインジェクタ36は、先端側のノズル36aを下方に向けてシリンダヘッド3のポート形成部3aに取り付けられ、そのノズル36aの先端の噴孔部を吸気ポート31内に臨ませている。すなわち、インジェクタ36のノズル36aは、シリンダヘッド3のポート形成部3aの上部に膨出するように形成されたインジェクタ支持部37に装着されて、吸気ポート31内に斜め下向きに、図の例では吸気バルブ33の傘部の近傍に向かって燃料を噴射するように配設されている。
一方、インジェクタ36の基端部(図の上端部)には、図には模式的に示すように燃料供給管10が接続されていて、燃料ポンプ11により燃料タンク12から吸い上げた燃料をインジェクタ36に供給するようになっている。図示しないが燃料供給管10には燃料圧レギュレータが介設されており、燃料ポンプ11からの燃料の圧力が予め定められた設定燃料圧よりも高くなると燃料の一部を燃料タンク12に戻すことによって、インジェクタ36へ供給する燃料の圧力を調整する。
前記燃料ポンプ11およびインジェクタ36は、ECU6の出力信号に基づいて制御される。ECU6は、公知のごとくデジタルコンピュータからなり、図示はしないが例えばエアフローメータ、燃料圧センサ、空燃比センサ、冷却水温センサ、クランクポジションセンサ等々、エンジン1の運転状態を表す種々のセンサからの信号を入力する。そして、ECU6は、各種の制御ルーチンを実行することで、エンジン運転状態に応じてインジェクタ36の作動による燃料噴射量や燃料噴射時期、点火プラグ35の点火時期等を制御する。
−インジェクタの冷却構造−
一例として本実施形態のエンジン1は、所定の負荷状態では吸気バルブ33の閉じ時期をシリンダ2aの圧縮行程半ばまで遅らせて、いわゆるミラーサイクルで運転するものである。こうして圧縮行程の半ばまで吸気バルブ33が開いていると、シリンダ2a内に残留する既燃ガスが吸気の一部と共に吸気ポート31に吹き戻されることになり、その既燃ガス中に含まれるPMがインジェクタ36のノズル36aに付着しやすくなる。同様に、排気の一部を吸気系に還流させるEGRを行う場合にも、その排気中に含まれるPMがインジェクタ36のノズル36aに付着しやすくなる。
そして、インジェクタ36のノズル36aにPMが付着すると、これが噴孔部に残留している燃料と反応して、比較的低い温度(100℃くらい)でもデポジットが生成されると考えられる。こうして生成されたデポジットは噴孔部に堆積して、ニードルの作動に悪い影響を及ぼすおそれがあり、場合によっては噴孔部を徐々に目詰まりさせて、インジェクタ36の流量低下を引き起こすおそれもあった。
すなわち、エンジン1の運転中であればインジェクタ36の噴孔部は、噴出する燃料によって冷却されるとともに、吸気の流れによっても冷却されるので、デポジットの生成は少ない。しかし、例えばエンジン1が高負荷運転の後に停止した直後は、周囲からの輻射やシリンダヘッド3からの熱伝導によりノズル36aの温度が100℃を越えて上昇し、前記のように噴孔部に残留する燃料とPMのような既燃ガス成分との反応によってデポジットが生成されるのである。
そこで、本実施形態のエンジン1では図2に拡大して示すように、インジェクタ36のノズル36aの周囲を囲む環状の収容室37aを設けて、ここに潜熱蓄冷材38を収容している。潜熱蓄冷材38は公知のように、相変化を利用して冷熱を吸収または放出するものであり、例えば、比較的安価で一般的に使用されるパラフィン系のものとすればよい。パラフィンの融点は炭素数によって異なるが、本実施形態ではエンジン1の停止後に融解して、インジェクタ36のノズル36aの温度を90℃以下に維持できるような値(例えば70〜90℃くらい)に設定している。
また、本実施形態では、潜熱蓄冷材38をドーナツ状の密封容器39に封入した上で、収容室37a内に収容している。パラフィンはその種類によっては、シリンダヘッド3を構成するアルミニウム合金を腐食させる可能性があるが、密封容器39に封入しておけば問題はない。また、予め密封容器39に封入しておけば取り扱いが容易であり、エンジン1の製造ラインでシリンダヘッド3の収容室37aに収容する作業は容易である。なお、密封容器39は一例として樹脂製であるが、金属製としてもよい。
図の例では収容室37aは、インジェクタ36の軸線Xの延びる方向(長手方向)における一側(図では上側)に開口し、この開口を閉ざすように上方から蓋部材40が重ね合わされている。また、密封容器39の断面は概ね正方形状とされ、その下面が収容室37aの薄肉の底壁を介して下方の吸気ポート31に接する一方、ドーナツ状をなす密封容器39の内周側の表面は、収容室37aの内周壁を介してインジェクタ36に接している。
よって、エンジン1の運転中には吸気ポート31内の吸気の流れとの潜熱蓄冷材38との間で効果的に熱交換が行われる一方、エンジン1の停止後にインジェクタ36のノズル36a先端の噴孔部が輻射熱を受けるときには、同様に潜熱蓄冷材38も輻射熱を受けるようになる。また、潜熱蓄冷材38は、シリンダヘッド3からインジェクタ36のノズル36aへ伝導する熱も受けるようになり、それが融解することによって効果的に熱を吸収(冷熱を放出)する。
なお、図に表れているように密封容器39の容積は、封入する潜熱蓄冷材38の体積よりも大きくされており、この潜熱蓄冷材38の相変化による体積変化を吸収するために、密封容器39の内部には空気や窒素ガスなども封入されている。
以上の構造により、例えばエンジン1が高負荷運転の後に停止すると、周囲からの輻射やシリンダヘッド3からの熱伝導によりインジェクタ36のノズル36aの温度が上昇するが、このときにノズル36aを取り囲む潜熱蓄冷材38の温度も上昇し、それが融点に達すると潜熱蓄冷材38が融解し始める。これによりノズル36aを取り囲む潜熱蓄冷材38が多量の熱を吸収(冷熱を放出)するので、インジェクタ36のノズル36aおよびその噴孔部を効果的に冷却することができる。
一例として図3は、エンジン1の停止後にノズル36aの先端部(噴孔部)の温度の変化を計測した実験結果であり、前記実施形態のように潜熱蓄冷材38を配設した場合の効果を潜熱蓄冷材38のない場合と対比して示す。潜熱蓄冷材38のない場合、エンジン1の停止時点で55℃付近にあったノズル先端部の温度は、急上昇して5分以内に100℃を越えてピーク(図の例では105〜110℃くらい)に達する。その後、温度は徐々に低下するが、10分くらいまでは100℃以上に保たれている。
これに対し本実施形態のように潜熱蓄冷材38を配設すれば、エンジン1停止後の温度上昇は緩やかになり、約10分くらいかけて75℃くらいまで上昇するが、それ以上は上昇せずに潜熱蓄冷材38の融点(75℃)付近に保たれている。なお、この実験に使用したエンジン1では潜熱蓄冷材38として、融点が75℃のパラフィンワックスをインジェクタ36のノズル36aの周囲に20g配設している。
また、図4は、インジェクタ36のノズル36aの温度を75℃、100℃および120℃にそれぞれ維持して、所定時間が経過した後のノズル36aの温度とその噴孔部におけるデポジットの堆積量との関係を調べた実験結果のグラフ図である。デポジットの堆積量としては、これにより噴孔部が塞がってインジェクタ36の流量が低下する割合(流量低下率)で表す。なお、実験に用いたエンジン1において吸気中には、ガソリンエンジンの排気中に含まれるPMを模した燃料液滴の炭化物(疑似PM)を添加している。
グラフに現れているようにノズル36aの温度が90℃を越えると流量の低下が見られ、噴孔部にデポジットが堆積していることが分かる。流量低下率は、ノズル36aの温度上昇とともに急激に大きく(絶対値が大きく)なっており、この例では120℃においてノズル36aの噴孔部が殆ど塞がってしまうことが分かる(流量低下率が−100%)。これに対しノズル36aの温度が90℃以下であれば、インジェクタ36の流量低下率は目標値(例えば3〜5%)未満になっており、温度上昇を抑制できればデポジットの堆積も抑制できることが分かる。
したがって、本実施形態に示すインジェクタ36の冷却構造によると、そのノズル36の周囲を取り囲むように潜熱蓄冷材38を配設して、エンジン1停止後に周囲からの輻射熱やシリンダヘッドから伝導する熱を吸収し、75〜80℃くらいで融解させることによって、ノズル36aの温度上昇を効果的に抑制できる。インジェクタ36のノズル36aの温度を75〜80℃以下に抑制すれば、吸気ポート31内がPMの多い雰囲気であっても噴孔部へのデポジットの生成、堆積を十分に抑制できる。
潜熱蓄冷材38は、その融点(本実施形態では一例として75℃)において多量の冷熱を放出するので、エンジン1停止直後のインジェクタ36のノズル36aの温度上昇を抑制するために必要な量は多くはない。よって、潜熱蓄冷材38を配設するためにインジェクタ36の近傍に大きなスペースは必要でなく、また、コストの上昇も多くない。勿論、エンジン1の停止後に電力を消費することもない。
例えば前記図4において、潜熱蓄冷材38を配設しない場合のインジェクタノズル36aのピーク温度は105〜110℃くらいであり、これを75〜80℃くらいの目標温度に大体30℃低下させればよい。本実施形態における潜熱蓄冷材38の量と、これによるノズル36aの温度低下ΔTとの関係を調べたところ、図5に示すようになり、ΔT=30℃とするために必要な潜熱蓄冷材38の量は20g程度でよいことが分かる。
なお、エンジン1の停止後に十分な時間が経過し、潜熱蓄冷材38の温度がその凝固点を下回れば、今度は凝固熱分の冷熱が潜熱蓄冷材に吸収されて(熱を放出して)、その蓄冷能力が回復する。また、そうなる前にエンジンが再始動された場合にも、吸気ポート31内の吸気の流れによって潜熱蓄冷材38が冷却され、凝固することでその蓄冷能力は回復する。
−変形例−
次に、前記実施形態の変形例について図6〜8を参照して説明する。これらの変形例において前記実施形態と同一部材には同一の符号を付してその説明は省略する。
(変形例1)
図6に示す変形例1では、シリンダヘッド3に形成した収容室37aと、これに収容される密封容器39と、のそれぞれの形状が前記実施形態と異なっているのみなので、これら収容室37aおよび密封容器38にも同じ符号を付す。
具体的に変形例1において収容室37aは、その上部の開口から下側(インジェクタノズル36aの軸線X方向の他側)に向かって徐々に断面積が減少するように、外周面および内周面がいずれもテーパ状に形成されている。つまり、収容室37aの円環状の断面における半径方向の長さが、上部の開口から下方に向かって徐々に小さくなっている。
その収容室37aに上部の開口からはめ込まれる密封容器39は、当該収容室37aと概ね同じ大きさおよび形状であり、密封容器39の外周円の半径が上から下に向かって徐々に小さくなる一方、内周円の半径は上から下に向かって徐々に大きくなっている。つまり、円環状の密封容器39の外周側の表面は、前記収容室37aのテーパ状の外周面に対応するテーパ状とされ、密封容器39の内周側の表面は収容室37aのテーパ状の内周面に対応するテーパ状とされている。
したがって、潜熱蓄冷材38を封入した密封容器39を上方から収容室37aに嵌め込むことにより、自ずと両者のテーパ状の周面同士が密接するようになって、この面を介しての冷熱の伝導効率が高くなる。よって、潜熱蓄冷材38によるインジェクタノズル36aの冷却効率を高める上で有利になる。
(変形例2)
図7に示す変形例2では、前記実施形態やその変形例1のような密封容器39を用いることなく、収容室37aに直接、潜熱蓄冷材38を封入している。すなわち、図の例では収容室37aの寸法、形状は実施形態のものと同じであるが、蓋部材40の下面が重ね合わされるインジェクタ支持部37の上面において、収容室37aの開口近傍には環状溝37bが形成され、その内部にシール部材41(例えばOリング)が配設されている。
こうして密封容器39を用いずに、シリンダヘッド3に形成した収容室37aに直接、潜熱蓄冷材38を封入する構造とすれば密封容器39の分、コストダウンを図ることが可能になる。シリンダヘッドの腐食を考慮して潜熱蓄冷材38の種類を選択する必要はあるが、潜熱蓄冷材38は常温では個体なので、収容室37aに封入する作業はあまり難しくはない。
(変形例3)
図8に示す変形例3では、潜熱蓄冷材38の密封容器を兼ねる環状部材42によって、インジェクタ36を支持する構造としたものである。環状部材42は、前記実施形態と同じく樹脂製であってもよいが、剛性を高めるために金属製としてもよい。シリンダヘッド3のインジェクタ支持部37には、インジェクタホールに連通するように大径の収容室37cを形成して、これに前記の環状部材42を嵌入し、図示のようにインジェクタ36の周囲を囲むようにしている。
この変形例3の構造では、前記実施形態や変形例1、2のような蓋部材40が必要なく、構造が簡単になって製造も容易になる可能性がある。また、仮にエンジン1の仕様の変更によって潜熱蓄冷材38に要求される冷却能力が変化しても、これに対応して環状部材42の大きさを変更し、その内部に封入する潜熱蓄冷材38の量を変更できる。
−その他の実施形態−
本発明の構造は、前記した実施形態およびその変形例1〜3に限定されるものでなく、それ以外の他の構造も包含している。例えば前記実施形態等では本発明を吸気ポート噴射用のインジェクタ36に適用した場合について説明したが、これに限定されず、本発明はシリンダ内に直接、燃料を噴射する筒内噴射用のインジェクタにも適用できる。
また、前記の実施形態では潜熱蓄冷材38としてパラフィン系のものを使用しているが、これにも限定されず、塩化マグネシウムや酢酸ナトリウム等の無機塩類を使用してもよい。更に前記の実施形態では一例として、ガソリンエンジン1に適用した場合について述べたが、本発明は、ガソリンエンジン以外の内燃機関、例えばガスエンジンにも適用可能であり、外燃機関にも適用可能である。
本発明によると、エンジンの停止後に燃料噴射弁を効果的に冷却し、噴孔部でのデポジットの生成および堆積を抑制することができるので、運転、停止の頻度が高い車両のエンジンに適用して極めて有益である。
1 エンジン
36 吸気ポート噴射用燃料噴射弁(燃料噴射弁)
36a ノズル
37a インジェクタ支持部に形成された収容室
38 潜熱蓄冷材
39 密封容器
42 環状の部材

Claims (6)

  1. エンジンに燃料を供給するための燃料噴射弁の近傍に、相変化によって冷熱を吸収または放出する潜熱蓄冷材を配設したことを特徴とする燃料噴射弁の冷却構造。
  2. 請求項1に記載の燃料噴射弁の冷却構造において、
    前記燃料噴射弁のノズルの周囲を囲むようシリンダヘッドに環状の収容室が設けられ、この収容室内に前記潜熱蓄冷材が収容されている、燃料噴射弁の冷却構造。
  3. 請求項2に記載の燃料噴射弁の冷却構造において、
    前記潜熱蓄冷材が密封容器に封入されて前記収容室内に収容されている、燃料噴射弁の冷却構造。
  4. 請求項3に記載の燃料噴射弁の冷却構造において、
    前記収容室が、前記燃料噴射弁のノズルの長手方向における一側に開口するとともに、該長手方向の他側に向かって断面積が徐々に減少するようにテーパ状の周面を有し、
    前記密封容器が前記収容室に対応する環状に形成されて、該収容室内に前記開口から嵌め込まれており、当該密封容器の周面が前記収容室のテーパ状の周面に密接するようテーパ状に形成されている、燃料噴射弁の冷却構造。
  5. 請求項1に記載の燃料噴射弁の冷却構造において、
    前記燃料噴射弁の周囲を囲むようシリンダヘッドに取り付けられた環状の部材の内部に前記潜熱蓄冷材が配設されている、燃料噴射弁の冷却構造。
  6. 請求項1〜5のいずれか1つに記載の燃料噴射弁の冷却構造において、
    前記潜熱蓄冷材の融点が70〜90℃の範囲内に設定されている、燃料噴射弁の冷却構造。
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