JP2008202406A - 内燃機関の吸気バルブ制御装置及びこの制御装置を備えた内燃機関 - Google Patents

内燃機関の吸気バルブ制御装置及びこの制御装置を備えた内燃機関 Download PDF

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Abstract

【課題】上記タンブルコントロールバルブやスワールコントロールバルブ等の特別な手段を使用することなく、且つ燃料噴射圧力の高圧化といった手法も用いることなしに、気筒内において燃料を効果的に気化霧化させることができる内燃機関の吸気バルブ制御装置を提供する。
【解決手段】インジェクタ2に対向する第3吸気ポート42cを開閉する第3吸気バルブ43cと、第3吸気ポート42cに隣接する第1及び第2吸気ポート42a,42bを開閉する第1及び第2吸気バルブ43a,43bとを備えた吸気3バルブタイプの直噴エンジンに対し、冷間運転時には第3吸気バルブ43cのみを吸気行程時に開放し、低回転高負荷時には第1及び第2吸気バルブ43a,43bのみを吸気行程時に開放し、高回転時には全ての吸気バルブ43a,43b,43cを吸気行程時に開放する。
【選択図】図3

Description

本発明は、例えば自動車に搭載される内燃機関(以下、エンジンと呼ぶ場合もある)の吸気バルブ制御装置及びこの制御装置を備えた内燃機関に係る。特に、本発明は、気筒内において燃料を効果的に気化霧化させるための対策に関する。
従来より、例えば下記の特許文献1に開示されている筒内直噴式ガソリンエンジンにあっては、気筒内に燃料を直接的に噴射するため、その気筒内での燃料の気化霧化を促進させることが大きな課題となっている。つまり、気筒内での燃料の気化霧化を促進させ、良好な均質燃焼を行わせることで、燃焼室内での燃料の燃焼効率を高めて、出力の向上、排気エミッションの改善、燃料消費率の改善を図ることが要求されている。
尚、この種のエンジンとして、均質燃焼モードと成層燃焼モードとを切り換え可能とするものも知られているが、エンジン駆動状態の大半は均質燃焼モードであるため、このものにあっても気筒内での燃料の気化霧化を促進させることは重要である。
気筒内での燃料の気化霧化を促進させて良好な均質燃焼を実現することに鑑みられた代表的な手法として、これまで以下の構成が提案されている。
先ず、下記の特許文献2に開示されているように、気筒内に大きなタンブル流(縦方向の渦流)を生成するものである。つまり、このタンブル流による気筒内の攪拌によって燃料の気化霧化を促進するものである。例えば特許文献2のものでは、吸気通路を隔壁(仕切り板)によって上下2段の流路に区画すると共に、下段の流路を開閉可能とするタンブルコントロールバルブを備えさせ、必要に応じてタンブルコントロールバルブを閉鎖して気筒内に大きなタンブル流を発生させるようにしている。
また、下記の特許文献3に開示されているように、気筒内にスワール流(水平方向の渦流)を生成するものも知られている。つまり、このスワール流による気筒内の攪拌によって燃料の気化霧化を促進するものである。例えば特許文献3のものでは、吸気通路内にスワールコントロールバルブを備えさせ、このスワールコントロールバルブを開放することで気筒内にスワール流を発生させるようにしている。
更に、特許文献4に開示されているように、直噴用インジェクタとは別にポート噴射用インジェクタを配設した所謂デュアルインジェクション方式のものも知られている。これは、直噴用インジェクタから気筒内への燃料噴射と、ポート噴射用インジェクタから吸入ポート内への燃料噴射とを併用するものである。そして、ポート噴射用インジェクタから噴射された燃料は、ポート内及び気筒内を流れる間に気化霧化が促進されることになるため、気化霧化を促進し難い直噴用インジェクタからの燃料の噴射量を低減することができ、その結果、気筒内に存在する燃料としては気化霧化が促進されたものとして得ることができる。
特開2004−270531号公報 特開2006−307691号公報 特開2002−188550号公報 特開2006−46085号公報
しかしながら、上記各特許文献に開示されている手法では、吸気通路内にバルブを新たに設けたり、ポート噴射用インジェクタを新たに設ける必要があり、製造コストの高騰を招いてしまうことになる。また、上記特許文献2や特許文献3に開示されているものでは、吸気ポート内に隔壁やバルブを配設しているため、この吸気ポート内での吸気抵抗が増大し、吸入空気量の不足が懸念される。特に、エンジンの高負荷時において吸入空気量不足により十分な出力が得られなくなる可能性がある。
このため、上記各特許文献に開示されているような手段を用いることなしに気筒内での燃料の気化霧化を促進させる手法が求められている。
例えば、インジェクタの燃料噴射圧を高く設定すれば噴射燃料の微粒化が可能であり、燃料の単位質量当たりの表面積が拡大することで、気筒内での燃料の気化霧化を促進させることが可能であると考えられる。
しかし、この場合、インジェクタから噴射される燃料の液滴の初速度が非常に高くなるため、噴射された燃料のうちの多くが気筒内壁面(インジェクタからの燃料噴射方向で対向する気筒内壁面)にまで到達して、この液滴の燃料が気筒内壁面に付着してしまう可能性がある。
特に、気筒内で燃料を気化霧化させるための期間を長く確保するためには、できるだけ早いタイミングで燃料噴射を開始することが好ましく、吸気行程において燃料噴射を開始することが有効であるが、この場合、ピストンの降下(気筒内容積の拡大)に伴って気筒内圧力が低くなっている(大気圧以下の圧力になっている)気筒内に対して非常に高い圧力で燃料噴射を行うことになる。この両者(気筒内圧力と燃料噴射圧力)の圧力差が大きい程(気筒内圧力に対して燃料噴射圧力が相対的に高い程)噴射燃料の飛翔距離は長くなるため、上記タイミングで燃料噴射を開始した場合には、噴射燃料の大部分が液滴のまま気筒内壁面にまで到達してしまう可能性がある。つまり、燃料噴射タイミングを早めたとしても、結果的に、噴射燃料の大部分が気筒内壁面に付着してしまう可能性がある。
このようにして気筒内壁面に付着した燃料は殆ど気化されることがないため、気筒内全体の混合気が希釈(リーン)されてしまうことになる。
以上のことから、インジェクタからの燃料噴射圧を高く設定するには限界があり(例えば十数MPa程度が限界)、そのため、燃料の気化霧化を促進するにも自ずと限界がある。
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、特別な手段(上記タンブルコントロールバルブやスワールコントロールバルブ等)を使用することなく、且つ燃料噴射圧力の高圧化といった手法も用いることなしに、気筒内において燃料を効果的に気化霧化させることができる内燃機関の吸気バルブ制御装置及びこの制御装置を備えた内燃機関を提供することにある。
−課題の解決原理−
上記の目的を達成するために講じられた本発明の解決原理は、例えば筒内直噴式の吸気3バルブタイプに代表されるようなエンジンに対し、インジェクタに対向する吸気ポートに備えられた吸気バルブの開閉タイミングを制御し、この吸気ポートから導入される吸気の流れを利用して気筒内での燃料の流れを制御することで、気筒内での燃料の気化霧化を促進できるようにしている。
−解決手段−
具体的に、本発明は、1つの気筒に対して接続される複数の吸気ポートと、各吸気ポートにそれぞれ対応して配設され且つ開閉動作が可能な複数の吸気バルブと、気筒内の側方から気筒内中央側に向けて燃料を直接噴射する燃料噴射弁とを備えた内燃機関を前提とする。この内燃機関に対し、上記複数の吸気ポートのうちの一つの吸気ポートを、その吸気ポートから導入される吸気が流れ込むエリアと上記燃料噴射弁から噴射される燃料噴射エリアとが重なるように配設した噴射弁対向吸気ポートとして設ける一方、他の吸気ポートを、噴射弁対向吸気ポートに隣接して配設したサイド吸気ポートとして設ける。また、上記噴射弁対向吸気ポートを、気筒内に導入する吸気の流線が、燃料噴射弁からの燃料噴射方向よりもピストン側に向かうように配設する一方、サイド吸気ポートを、気筒内に導入する吸気の流線が、燃料噴射弁からの燃料噴射方向に略平行となるように配設する。そして、内燃機関の運転状態に応じて、上記噴射弁対向吸気ポートに備えられた噴射弁対向吸気バルブを吸気行程時に開放させる運転モードと閉鎖させる運転モードとを切り換える吸気バルブ開閉制御手段を備えさせている。
この特定事項により、吸気通路を経て各吸気ポートに分流された吸気(吸入空気)は、吸気行程において吸気バルブが開放されている吸気ポートから気筒内に導入され、所定タイミングでの燃料噴射弁からの燃料噴射によって気筒内で混合気を生成することになる。この際、例えば噴射弁対向吸気ポートに備えられた噴射弁対向吸気バルブのみを開放すれば、燃料噴射弁から噴射された燃料は、この噴射弁対向吸気ポートから流れ込んでくる吸気によって案内される。つまり、ピストン側(下方)に向かう吸気流れにより、燃料も吸気の所謂エアカーテン効果によってピストン側に向かうように流れることになる。一方、上記噴射弁対向吸気バルブを閉鎖し、サイド吸気ポートに備えられた吸気バルブ(以下、サイド吸気バルブと呼ぶ)のみを開放すれば、燃料噴射弁から噴射された燃料は、このサイド吸気ポートから流れ込んでくる吸気によって加速されることになり、気筒の軸心に対して略直交する方向(燃料噴射弁からの燃料噴射方向が延長される方向)の広範囲に亘って分散されることになる。
従って、燃料噴射弁から噴射された燃料が気筒内壁面(燃料噴射弁からの燃料噴射方向で対向する気筒内壁面)にまで達してしまう可能性のある内燃機関運転状態では、噴射弁対向吸気バルブのみを開放することで、この燃料の気筒内壁面付着を抑制できる。一方、この燃料の気筒内壁面付着が発生する可能性の低い内燃機関運転状態では、噴射弁対向吸気バルブを閉鎖し、サイド吸気バルブのみを開放することで、燃料の気筒内壁面付着を回避しながら広範囲に亘る燃料分散が可能になる。
このように、本解決手段によれば、噴射弁対向吸気バルブを開放するか否かによって気筒内における燃料の流れを制御することができ、内燃機関の運転状態に適した燃料流れを得て、燃料の気化霧化を促進することが可能になる。
より具体的な構成としては以下のものが挙げられる。つまり、1つの気筒に対して接続される複数の吸気ポートと、各吸気ポートにそれぞれ対応して配設され且つ開閉動作が可能な複数の吸気バルブと、気筒内の側方から気筒内中央側に向けて燃料を直接噴射する燃料噴射弁とを備えた内燃機関を前提とする。この内燃機関に対し、上記複数の吸気ポートのうちの一つの吸気ポートを、その吸気ポートから導入される吸気が流れ込むエリアと上記燃料噴射弁から噴射される燃料噴射エリアとが重なるように配設した噴射弁対向吸気ポートとして設ける一方、他の吸気ポートを、噴射弁対向吸気ポートに隣接して配設されたサイド吸気ポートとして設ける。また、上記噴射弁対向吸気ポートを、気筒内に導入する吸気の流線が、燃料噴射弁からの燃料噴射方向よりもピストン側に向かうように配設する一方、サイド吸気ポートを、気筒内に導入する吸気の流線が、燃料噴射弁からの燃料噴射方向に略平行となるように配設する。そして、内燃機関の冷間運転時、上記噴射弁対向吸気ポートに備えられた噴射弁対向吸気バルブのみを吸気行程時に開放させる吸気バルブ開閉制御手段を備えさせている。
内燃機関の冷間運転時は、気筒内の温度が低く、例えば燃料の沸点以下となっているため、燃料の気化霧化が十分になされない可能性のある運転状態であり、燃料噴射弁から噴射された燃料が気化霧化されることなく比較的大きな液滴のまま飛翔距離が長くなって気筒内壁面にまで到達してしまう可能性が高い状況にある。このような運転状態において、本解決手段にあっては、上記噴射弁対向吸気バルブのみを吸気行程時に開放させる。これにより、上述した如く、燃料噴射弁から噴射された燃料は、この噴射弁対向吸気ポートから流れ込んでくる吸気によって案内され、ピストン側に向かうように流れる(上記カーテン効果による燃料流れの制御)。つまり、燃料噴射弁から噴射された燃料が気筒内壁面(燃料噴射弁からの燃料噴射方向で対向する気筒内壁面)にまで到達してしまうことが抑制され、燃料の大部分を気筒内空間で流動させることが可能になる。また、この際、サイド吸気ポートに備えられたサイド吸気バルブは閉鎖されており、吸気の全量が上記噴射弁対向吸気ポートから流れ込んでくるので、このピストン側に向かう吸気の流速を比較的高く得ることができる。このため、燃料噴射弁からの燃料噴射圧力が比較的高い状況であったとしても、この燃料の流れをピストン側に向けて偏向させることが可能であって、気筒内壁面への燃料付着を抑制することができる。その結果、気筒内に噴射された燃料の略全量を気筒内での気化霧化に寄与させることができ、気筒内全体の混合気が希釈(リーン)されてしまうことがなくなる。これにより、燃焼室内での良好な均質燃焼が可能になり、燃焼効率を高めて、出力の向上、排気エミッションの改善、燃料消費率の改善を図ることが可能になる。
また、気筒内で燃料を気化霧化させるための期間を長く確保するために早いタイミングで(例えば吸気行程の開始と略同時に)燃料噴射を開始させた場合、つまり、ピストンの降下に伴って気筒内圧力が低くなっていく場合であっても、気筒内圧力に対して燃料噴射圧力が相対的に高くなっていることの影響を受けることなく、噴射燃料が気筒内壁面へ付着してしまうことが抑制できるため、良好な均質燃焼を行うことが可能である。
この場合における、より具体的な構成として、3個の吸気ポートを備えさせ、これら吸気ポートのうち中央に位置するものを上記噴射弁対向吸気ポートとし、この噴射弁対向吸気ポートの両側に位置するものをサイド吸気ポートとする。そして、吸気バルブ開閉制御手段が、内燃機関の低回転高負荷時には上記サイド吸気ポートに備えられた吸気バルブのみを吸気行程時に開放し、内燃機関の高回転時には全ての吸気バルブを吸気行程時に開放する構成としている。
上述した解決手段の作用に加えて、内燃機関の低回転高負荷時に、上記サイド吸気ポートに備えられた吸気バルブ(サイド吸気バルブ)のみを吸気行程時に開放したことにより、燃料噴射弁から噴射された燃料は、このサイド吸気ポートから流れ込んでくる吸気によって加速されることになり、気筒の軸心に対して略直交する方向(燃料噴射弁からの燃料噴射方向が延長される方向)の広範囲に亘って分散されることになる。これにより、気筒内の広範囲に亘る燃料分散が可能になり、効果的な燃料の気化霧化が行える。
また、内燃機関の高回転時に、全ての吸気バルブを吸気行程時に開放したことにより、気筒内への吸気量を十分に確保することができ、内燃機関の高出力化(全開性能の向上)を図ることができる。この場合、噴射弁対向吸気ポートから流れ込んでくる吸気の流速は比較的低い(噴射弁対向吸気バルブのみを開放させた場合よりも低い)ため、上記カーテン効果も僅かである。このため、燃料噴射弁から噴射された燃料の大部分がピストン側に向かって流れてしまうといった状況を招くことはなく、気筒内の広範囲に亘って燃料を分散することが可能になる。
他の解決手段としては以下の構成も挙げられる。先ず、1つの気筒に対して接続される複数の吸気ポートと、各吸気ポートにそれぞれ対応して配設され且つ開閉動作が可能な複数の吸気バルブと、気筒内の側方から気筒内中央側に向けて燃料を直接噴射する燃料噴射弁とを備えた内燃機関を前提とする。この内燃機関に対し、上記複数の吸気ポートのうちの一つの吸気ポートを、その吸気ポートから導入される吸気が流れ込むエリアと上記燃料噴射弁から噴射される燃料噴射エリアとが重なるように配設した噴射弁対向吸気ポートとして設ける一方、他の吸気ポートを、噴射弁対向吸気ポートに隣接して配設されたサイド吸気ポートとして設ける。また、上記噴射弁対向吸気ポートを、気筒内に導入する吸気の流線が、燃料噴射弁からの燃料噴射方向よりもピストン側に向かうように配設する一方、サイド吸気ポートを、気筒内に導入する吸気の流線が、燃料噴射弁からの燃料噴射方向に略平行となるように配設する。そして、内燃機関の低回転低負荷時、上記噴射弁対向吸気ポートに備えられた噴射弁対向吸気バルブのみを吸気行程時に開放させる吸気バルブ開閉制御手段を備えさせている。
内燃機関の低回転低負荷時は、気筒内の圧力が極端に低く、気筒内圧力に対して燃料噴射圧力が相対的に大幅に高くなっており、気筒内における噴射燃料の飛翔距離は長くなる可能性が高い運転状態であり、噴射燃料の大部分が液滴のまま気筒内壁面にまで到達してしまう可能性が高い状況である。このような運転状態において、本解決手段にあっては、上記噴射弁対向吸気バルブのみを吸気行程時に開放させる。これにより、上述した場合と同様に、燃料噴射弁から噴射された燃料は、この噴射弁対向吸気ポートから流れ込んでくる吸気によって案内され、ピストン側に向かうように流れる。つまり、燃料噴射弁から噴射された燃料が気筒内壁面にまで到達してしまうことが抑制され、燃料の大部分を気筒内空間で流動させることが可能になる。また、この際、サイド吸気ポートに備えられたサイド吸気バルブは閉鎖されており、吸気の全量が上記噴射弁対向吸気ポートから流れ込んでくるので、このピストン側に向かう吸気の流速を比較的高く得ることができ、燃料噴射弁からの燃料噴射圧力が比較的高い状況であったとしても、この燃料の流れをピストン側に向けて偏向させることで気筒内壁面への燃料付着を抑制することができる。その結果、筒内に噴射された燃料の略全量を気筒内での気化霧化に寄与させることができ、気筒内全体の混合気が希釈(リーン)されてしまうことがなくなる。これにより、燃焼室内での良好な均質燃焼が可能になり、燃焼効率を高めて、出力の向上、排気エミッションの改善、燃料消費率の改善を図ることが可能になる。
この場合における、より具体的な構成として、3個の吸気ポートを備えさせ、これら吸気ポートのうち中央に位置するものを上記噴射弁対向吸気ポートとし、この噴射弁対向吸気ポートの両側に位置するものをサイド吸気ポートとする。そして、各吸気ポートに備えられた各吸気バルブに可変バルブリフト機構を備えさせ、バルブリフト量が可変となる構成としている。
内燃機関の低回転低負荷時は、吸気両が極端に少なくなっている(スロットルバルブが略全閉に近い状態となっている)。このような状況で、2個のサイド吸気バルブを開放させて吸気行程を行うと、吸入空気量に応じて、これらサイド吸気バルブのリフト量を極端に小さく設定する必要がある。このため、各サイド吸気バルブのリフト量に誤差(メカニカルな誤差)が生じている場合、両サイド吸気バルブのリフト量の誤差が積算されることになり、この誤差の影響を大きく受けてしまうことになる。これでは、適正な吸入空気量を得ることができず、エンジン回転数が不安定(ラフアイドル)になる可能性がある。
本解決手段では、この低回転低負荷時に噴射弁対向吸気バルブのみを開放している。このため、吸入空気量に応じたバルブリフト量としては比較的大きく設定することができ、上記リフト量の誤差の影響度合いを低く抑えることができる。
例えば、各サイド吸気バルブを開放させるに際し、リフト量に1.5mmの誤差がそれぞれ生じている場合であってバルブリフト量が15mmに設定されると、各サイド吸気ポートにおいてそれぞれ10%のリフト量誤差が生じることになり吸気量のズレが大きくなる。これに対し、噴射弁対向吸気バルブのみを開放させるに際し、リフト量に1.5mmの誤差が生じている場合であってバルブリフト量が30mmに設定されると、噴射弁対向吸気ポートにおいて5%のリフト量誤差が生じているのみであり、吸気量のズレも小さくなる。従って、本解決手段では、適正な吸気量を確保して安定したエンジンの運転状態を得ることが可能である。尚、この効果は、噴射弁対向吸気ポートの内径寸法をサイド吸気ポートの内径寸法よりも小さく設定した場合によりいっそう顕著に得られる。
更に、他の解決手段としては以下の構成も挙げられる。先ず、1つの気筒に対して接続される複数の吸気ポートと、各吸気ポートにそれぞれ対応して配設され且つ開閉動作が可能な複数の吸気バルブと、気筒内の側方から気筒内中央側に向けて燃料を直接噴射する燃料噴射弁とを備えた内燃機関を前提とする。この内燃機関に対し、上記複数の吸気ポートのうちの一つの吸気ポートを、その吸気ポートから導入される吸気が流れ込むエリアと上記燃料噴射弁から噴射される燃料噴射エリアとが重なるように配設した噴射弁対向吸気ポートとして設ける一方、他の吸気ポートを、噴射弁対向吸気ポートに隣接して配設されたサイド吸気ポートとして設ける。また、上記噴射弁対向吸気ポートを、気筒内に導入する吸気の流線が、燃料噴射弁からの燃料噴射方向よりもピストン側に向かうように配設する一方、サイド吸気ポートを、気筒内に導入する吸気の流線が、燃料噴射弁からの燃料噴射方向に略平行となるように配設する。そして、内燃機関の吸気行程時、上記サイド吸気ポートに備えられたサイド吸気バルブのみを開放した後、上記燃料噴射弁からの燃料噴射の途中で、上記噴射弁対向吸気ポートに備えられた噴射弁対向吸気バルブを開放させる吸気バルブ開閉制御手段を備えさせている。
この場合における、より具体的な構成として、3個の吸気ポートを備えさせ、これら吸気ポートのうち中央に位置するものを上記噴射弁対向吸気ポートとし、この噴射弁対向吸気ポートの両側に位置するものをサイド吸気ポートとする。そして、吸気バルブ開閉制御手段が、吸気行程の開始と略同時に上記サイド吸気ポートに備えられた吸気バルブのみを開放し、燃料噴射弁からの燃料噴射動作の開始後、その終了前に、上記噴射弁対向吸気ポートに備えられた吸気バルブを開放する構成としている。
この特定事項によれば、内燃機関の吸気行程においては、先ず、サイド吸気バルブのみを開放し、サイド吸気ポートから吸気が気筒内に導入された状態で燃料噴射弁からの燃料噴射が開始される。このとき、噴射された燃料は、サイド吸気ポートから流れ込んでくる吸気によって案内され、気筒の軸心に対して略直交する方向(燃料噴射弁からの燃料噴射方向が延長される方向)の広範囲に亘って分散されることになる。
そして、この燃料噴射弁からの燃料噴射が継続されている途中で、上記噴射弁対向吸気バルブの開放が行われる。この噴射弁対向吸気バルブが開放された後に燃料噴射弁から噴射された燃料は、噴射弁対向吸気ポートから流れ込んでくる吸気によって案内され、ピストン側に向かうように流れる(吸気のカーテン効果)。つまり、この燃料は気筒内壁面にまで到達しない燃料として気筒内を流動することになる。
このように、燃料噴射弁からの燃料噴射期間における前半で噴射された燃料はサイド吸気ポートから流れ込んでくる吸気によって広範囲に分散され、上記気筒内壁面付近まで達する燃料として得られるのに対し、後半で噴射された燃料は噴射弁対向吸気ポートから流れ込んでくる吸気によって気筒内壁面付近に達することなく、ピストン側に向かって流れる燃料として得られる。
つまり、吸気行程の前半では、燃料をピストン側に向けて流さないことで、比較的低温度(気筒内壁面よりも低温度)のピストンの頂面に燃料を付着させないようにしてピストン頂面での液相燃料の滞留を防止(スモークやPMの発生原因を防止し)、気筒内の気化潜熱の有効利用による気化霧化の促進を図る。また、吸気行程の後半では、ピストンは下死点付近まで移動しているため、このピストン側に向けて燃料を流してもピストン頂面に付着することなく、このピストンに向けて流れる間に燃料を気化霧化させる。つまり、燃料を気化霧化させる期間を長く確保できるようにしている。
このように、吸気行程の前半と後半とで燃料流れを切り換えることで、ピストン頂面及び気筒内壁面への燃料付着を抑制することができ、且つ気筒内の気化潜熱を有効利用できる。その結果、筒内に噴射された燃料の略全量を気筒内での気化霧化に寄与させることができ、気筒内全体の混合気が希釈(リーン)されてしまうことがなくなる。これにより、燃焼室内での良好な均質燃焼が可能になり、燃焼効率を高めて、出力の向上、排気エミッションの改善、燃料消費率の改善を図ることが可能になる。
また、上述した各解決手段のうち何れか一つの吸気バルブ制御装置を備えた内燃機関も本発明の技術的思想の範疇である。つまり、上記噴射弁対向吸気ポート及びサイド吸気ポートのうち吸気行程において吸気バルブが開放された吸気ポートから気筒内に導入された吸気に対して燃料噴射弁から燃料が噴射されることで気筒内に混合気が生成され、圧縮行程を経た後、点火栓の点火によって膨張行程を行う構成とされた内燃機関である。
本発明では、燃料噴射弁に対向する吸気ポートに備えられた吸気バルブの開閉タイミングを制御し、この吸気ポートから導入される吸気の流れを利用して気筒内での燃料の流れを制御することで、気筒内での燃料の気化霧化を促進できるようにしている。このため、気筒内全体の混合気が希釈されてしまうことがなくなり、燃焼室内での良好な均質燃焼が可能になって、出力の向上、排気エミッションの改善、燃料消費率の改善を図ることが可能になる。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。本実施形態では、本発明を自動車に搭載された筒内直噴式多気筒(例えば4気筒)ガソリンエンジンに適用した場合について説明する。
各実施形態について説明する前に、各実施形態に共通の構成部分であるエンジンの概略構成等について説明する。
−エンジンの概略構成−
図1は、本実施形態に係るエンジン(内燃機関)1の概略構成を示している。この図1に示すように、このエンジン1は、火花点火式レシプロエンジン1であり、筒内直噴式のインジェクタ(燃料噴射弁)2によりシリンダ11の気筒12内へ燃料を直接噴射して混合気を生成するようになっている。
また、エンジン1の各気筒12内にはピストン3が設けられており、この気筒12内での混合気の燃焼に伴ってこのピストン3が往復運動する。このピストン3の往復運動はコネクティングロッド31を介してクランクシャフト6に伝達され、ここで回転運動に変換されて、エンジン1の出力として取り出されるようになっている。
本実施形態に係るエンジン1の吸気系としては、吸気通路4、インテークマニホールド41、シリンダヘッド13に形成された吸気ポート42が備えられている。本実施形態に係るエンジン1は1気筒当たり3本の吸気ポート(第1〜第3の吸気ポート)42a,42b,42c(図3参照)を備えており、各吸気ポート42a,42b,42cそれぞれが吸気バルブ(第1〜第3の吸気バルブ)43a,43b,43cによって開閉可能となっている。詳細については後述する。
図1中の矢印Aは吸気系における吸気(空気)の流れを示している。また、各吸気バルブ43a,43b,43cは、図示しない吸気カムシャフトにより駆動される。この吸気カムシャフトは、クランクシャフト6から取り出される動力がタイミングベルト等によって伝達されて回転駆動される。
また、エンジン1は、上記吸気通路4におけるエアクリーナ45の下流側に設けられたスロットルボディ44により吸入空気量が調整されるようになっている。このスロットルボディ44は、バタフライバルブで成るスロットルバルブ44aと、このスロットルバルブ44aを開閉駆動するスロットルモータ44bと、スロットルバルブ44aの開度を検出するスロットル開度センサ44cとを備えている。後述するエンジンECU8は、ドライバにより操作されるアクセルの開度を検知するアクセル開度センサ82からの出力を取得して、スロットルモータ44bに制御信号を送り、スロットル開度センサ44cからの開度フィードバック信号に基づいて、スロットルバルブ44aを適切な開度に制御する。これにより、エンジン1の気筒12内へ導入する空気Aの量を制御する。
一方、エンジン1の排気系としては、シリンダヘッド13に形成された排気ポート71a,71b(図3参照)、エキゾーストマニホールド72、排気通路7が備えられている。本実施形態に係るエンジン1は1気筒当たり2本の排気ポート(第1及び第2の排気ポート)71a,71bを備えており、各排気ポート71a,71bそれぞれが排気バルブ(第1及び第2の排気バルブ)73a,73bによって開閉可能となっている。また、これら排気バルブ73a,73bは、図示しない排気カムシャフトにより駆動される。この排気カムシャフトは、クランクシャフト6から取り出される動力がタイミングベルト等によって伝達されて回転駆動される。
上記インジェクタ2は、燃料蓄圧容器としてのデリバリパイプ21に接続されており、このデリバリパイプ21から燃料が供給されるようになっている。インジェクタ2によって気筒12内へ直接噴射された燃料は、上記吸気通路4、インテークマニホールド41、吸気ポート42を経て気筒12内へ導入された空気Aと共に混合気を形成する。尚、このインジェクタ2からの燃料噴射は、エンジン1の負荷KLやエンジン回転数NEに応じた上記エンジンECU8の演算処理により、噴射タイミング及び噴射量が調整される。
シリンダヘッド13には点火プラグ(点火栓)5が配設されている。インジェクタ2から気筒12内へ噴射された燃料が、気筒12内に導入された空気Aと混合気を形成した状態で、圧縮行程を経て、点火プラグ5の点火が行われることで燃料が燃焼する(膨張行程)。その燃焼圧力はピストン3に伝えられ、これにより上記ピストン3の往復運動が行われる。
燃焼後の混合気は排気ガスExとなり、排気バルブ73a,73bの開弁動作に伴って、排気ポート71a,71bを経てエキゾーストマニホールド72に排出される(排気行程)。そして、この排気ガスExは、エキゾーストマニホールド72の下流側に設けられた触媒コンバータ74により浄化された後、排気通路7を経て大気中へ放出される。
−制御ブロックの説明−
エンジン1には、その運転を制御するために運転に関する情報、及びエンジン1の制御に関する情報を取得するためのセンサ類が取り付けられる。このセンサ類としては、エンジン回転数の検知に利用されるクランク角センサ81、上記アクセル開度センサ82、吸入空気量を検出するエアフローセンサ83、吸入空気温度を検出する吸気温度センサ84、ウォータジャケット内の冷却水温度を検出する冷却水温センサ85及び排気ガスEx中の酸素濃度を検出するO2センサ86等のセンサ類がある。エンジン1の運転を制御するエンジンECU(Electronic Control Unit)8は、これらのセンサ類からの出力を取得して、エンジン1の運転を制御する。
図2はこの制御系を示すブロック図である。この図に示すように、エンジンの制御システムは、エンジン1の運転状態を制御するための上記エンジンECU8を備えている。このエンジンECU8は、CPU(Central Processing Unit)8A、ROM(Read Only Memory)8B、RAM(Random Access Memory)8C及びバックアップRAM8D等を備えている。
ROM8Bは、各種制御プログラムや、それら各種制御プログラムを実行する際に参照されるマップ等が記憶されている。CPU8Aは、ROM8Bに記憶された各種制御プログラムやマップに基づいて演算処理を実行する。
RAM8CはCPU8Aでの演算結果や各センサから入力されたデータ等を一時的に記憶するメモリであり、バックアップRAM8Dはエンジン1の停止時にその保存すべきデータ等を記憶する不揮発性のメモリである。そして、CPU8A、ROM8B、RAM8C及びバックアップRAM8Dは、バス8Gを介して互いに接続されるとともに、外部入力回路8E及び外部出力回路8Fと接続されている。
外部入力回路8Eには、上記スロットル開度センサ44c、クランク角センサ81、アクセル開度センサ82、エアフローセンサ83、吸気温度センサ84、冷却水温センサ85、O2センサ86の他に、吸気圧力を検出する吸気圧力センサ87、デリバリパイプ21内の燃料圧力を検出する燃圧センサ88、気筒判別用のカム角センサ89等も接続されている。一方、外部出力回路8Fには、上記インジェクタ2、スロットルモータ44b、点火プラグ5の点火タイミングを決定するイグナイタ51、デリバリパイプ21に燃料を供給する図示しない高圧燃料ポンプに備えられ且つ燃料吐出量を制御する電磁スピル弁SV等が接続されている。
エンジンECU8は、自動車の走行時にあっては、エンジン回転数及び負荷率等に基づき、インジェクタ2から噴射される燃料の量を制御するのに用いられる最終燃料噴射量を算出する。
ここで、エンジン回転数は、上記クランク角センサ81の検出信号から求められる。また、負荷率は、エンジン1の最大機関負荷に対する現在の負荷割合を示す値であって、エンジン1の吸入空気量に対応するパラメータとエンジン回転数NEとから算出される。
そして、エンジンECU8は、演算にて算出された最終燃料噴射量に基づいてインジェクタ2を駆動制御し、インジェクタ2から噴射される燃料の量を制御する。インジェクタ2から噴射される燃料の量(燃料噴射量)は、デリバリパイプ21内の燃料圧力(燃圧)と燃料噴射時間によって定まるため、燃料噴射量を適正にするためには上記燃圧を適正な値に維持する必要がある。これを達成するために、エンジンECU8は、上記燃圧センサ88の検出信号から求められる実燃圧が機関運転状態に応じて設定される目標燃圧に近づくように、高圧燃料ポンプの燃料吐出量をフィードバック制御して燃圧を適正値に維持する。尚、高圧燃料ポンプの燃料吐出量は、上記電磁スピル弁SVの閉弁期間(閉弁開始時期)を調整することによってフィードバック制御される。
−吸気系の構成−
次に、本実施形態に係るエンジン1の吸気系の構成について説明する。図3は、上記吸気ポート42a,42b,42c、排気ポート71a,71b及びその周辺部分を模式的に示す一つの気筒12の平面図である。
上述した如く、シリンダヘッド13には、気筒12内に開口する第1〜第3の吸気ポート42a,42b,42cと、第1及び第2の排気ポート71a,71bとが形成されている。
第1〜第3の吸気ポート42a,42b,42cのうち中央に位置する第3吸気ポート(噴射弁対向吸気ポート)42cは、他の吸気ポート(第1及び第2吸気ポート:サイド吸気ポート)42a,42bよりも小径に設定されている。また、この第3吸気ポート42cは、その中心軸の延長方向が、他の吸気ポート(第1及び第2吸気ポート)42a,42bの中心軸の延長方向に比べて僅かに鉛直方向を向いている。図4は、第3吸気ポート42cの中心軸に沿った断面図を示しており、図5は、第2吸気ポート42bの中心軸に沿った断面図を示している。これら図からも明らかなように、第3吸気ポート42cは、その中心軸の延長方向が、第1及び第2吸気ポート42a,42bの中心軸の延長方向に比べて僅かに鉛直方向を向いている。
このため、第1及び第2吸気ポート42a,42bから吸気が導入される場合には、その吸気の流線は水平方向に対して僅かに下向きとなるのに対し(図5に実線で示す矢印参照)、第3吸気ポート42cから吸気が導入される場合には、その吸気の流線は鉛直方向に近くなるように設定されている(図4に実線で示す矢印参照)。
そして、上記第1〜第3の各吸気ポート42a,42b,42cには、気筒12内に対する開閉を切り換える上記第1〜第3の吸気バルブ43a,43b,43cがそれぞれ配設されている。このため、これら第1〜第3の吸気バルブ43a,43b,43cのうち開放された吸気バルブ43a,43b,43cに対応する吸気ポート42a,42b,42cから気筒12内に空気が導入されることになる。つまり、第1及び第2吸気バルブ43a,43bが開放されて第1及び第2吸気ポート42a,42bから吸気が導入される場合には、上述した如く吸気は水平方向に対して僅かに下向きに流れ込むことになる(図5参照)。これに対し、第3吸気バルブ43cが開放されて第3吸気ポート42cから吸気が導入される場合には、上述した如く吸気は鉛直方向に近い方向に流れ込むことになる(図4参照)。
また、上記インジェクタ2の配設状態として、その燃料噴射方向が、上記第1及び第2吸気ポート42a,42bから吸気が導入される際の吸気の流線に略平行となるように設定されている。図5における破線の矢印は、このインジェクタ2からの燃料噴射方向を示している。
また、図3から明らかなように、このインジェクタ2は、気筒12の平面視において上記第3吸気ポート42cに対応した位置に配設されている。つまり、このインジェクタ2から噴射される燃料の噴射エリアと、第3吸気バルブ43cが開放されることで第3吸気ポート42cから流れ込む吸気の流入エリアとが重なり合うように、これら第3吸気ポート42c及びインジェクタ2はそれぞれ配設されている。
また、本実施形態における各吸気バルブ43a,43b,43cは、それぞれリフト量が可変となっている。具体的には、これら3つの吸気バルブ43a,43b,43cのうち第1及び第2吸気バルブ(サイド吸気バルブ)43a,43bは、共にリフト量が可変とされながらも、これらは互いに同一タイミング及び同一リフト量で開閉動作を行う。これに対し、第3吸気バルブ(噴射弁対向吸気バルブ)43cは、上記第1及び第2吸気バルブ43a,43bとは個別のリフト量で開閉動作が行われる構成となっている。また、第1及び第2吸気バルブ43a,43bの最大リフト量に比べて第3吸気バルブ43cの最大リフト量は小さく設定されている。また、これら各吸気バルブ43a,43b,43cの最大リフト量は同一に設定されていてもよい。
このように、リフト量を可変とするための機構としては周知の機構が採用可能である。例えば特開2006−200391号公報や特開2000−345819号公報に開示されている可変バルブリフト機構が採用されている。
前者の公報に開示されている可変バルブリフト機構を簡単に説明すると、吸気カムシャフトに並設されたコントロールシャフト及びロッカシャフトと、このロッカシャフトに軸支された仲介駆動機構とを備えている。そして、この仲介駆動機構は、ロッカシャフトの外周面に嵌め込まれた略円筒状のスライダギアと、このスライダギアにスプライン係合されることでロッカシャフトに軸支される入力アーム及び出力アームとにより構成されている。そして、上記コントロールシャフトをその軸線方向に直線変位させ、それに連動してスライダギアを同方向に直線変位させることで、上記スプライン係合されている入力アームと出力アームとが回転変位する。こうして、コントロールシャフトの直線変位により入力アームと出力アームとの相対位置が変更され、吸気カムから吸気バルブへの押圧力の伝達態様が変更されることでバルブリフト量が可変とされている。
また、後者の公報に開示されている可変バルブリフト機構を簡単に説明すると、吸気カムシャフト上に低リフトカムと高リフトカムとを備えさせ、高リフトカムを吸気カムシャフトの径方向に移動可能に設け、この高リフトカムを作動状態と非作動状態とを切り替えることでバルブリフト量が可変とされている。
一方、上述した如く第1及び第2の排気ポート71a,71bには、気筒12内に対する開閉を切り換える第1及び第2の排気バルブ73a,73bがそれぞれ配設されている。このため、これら第1及び第2の排気バルブ73a,73bを開弁することによって、気筒12内から第1及び第2の排気ポート71a,71bへと燃焼後の筒内ガスが排出されるようになっている。
(第1実施形態)
次に、本発明の第1実施形態について説明する。本実施形態は、エンジン1の運転状態に応じて、吸気行程時に開放させる吸気バルブ43a,43b,43cの切り換え(吸気バルブ開閉制御手段によるモード切り換え)を行うものである。以下、エンジン1の運転状態と、その際に使用する吸気バルブ43a,43b,43cについて説明する。
−低回転高負荷時−
エンジン1の運転状態が低回転高負荷時である場合(例えばエンジン回転数が2000rpm程度の状態からアクセルが全開された場合)には、上記第1〜第3の吸気バルブ43a,43b,43cのうち第1及び第2吸気バルブ43a,43bのみを吸気行程において開放し、第3吸気バルブ43cを閉鎖状態のまま維持する。つまり、第1及び第2吸気バルブ43a,43bのリフト量を大きく設定すると共に、第3吸気バルブ43cのリフト量を「0」に設定する。
この場合の吸気行程時における第1及び第2吸気バルブ43a,43bの状態を図5に示し、第3吸気バルブ43cの状態を図6に示している。このように開放動作を行う吸気バルブを選定した場合の動作について以下に説明する。
吸気行程時にインジェクタ2から噴射された燃料は、上記第1及び第2吸気バルブ43a,43bの開放に伴って第1及び第2吸気ポート42a,42bから流れ込んでくる吸気によって加速されることになる。これは、上述した如く、インジェクタ2からの燃料噴射方向が、第1及び第2吸気ポート42a,42bからの吸気の流線に略平行となるように設定されていることに起因する。
このため、気筒12の軸心に対して略直交する方向(インジェクタ2からの燃料噴射方向が延長される方向)の広範囲に亘って燃料は分散されることになる。図5におけるF1は、噴射された燃料の飛翔エリアを示している。これにより、気筒12内の広範囲に亘る燃料分散が可能になり、効果的な燃料の気化霧化が行えることになる。
−高回転時−
エンジン1の運転状態が高回転時(例えば5000rpm)である場合には、上記第1〜第3の吸気バルブ43a,43b,43cの全てを吸気行程において開放する。つまり、第1〜第3の吸気バルブ43a,43b,43cの全てのリフト量を大きく設定する。
この場合の吸気行程時における第1及び第2吸気バルブ43a,43bの状態を図5に示し、第3吸気バルブ43cの状態を図4に示している。このように開放動作を行う吸気バルブを選定したことにより、全ての吸気ポート42a,42b,42cから吸気を行うことができ、気筒12内への吸気量を十分に確保することができて、内燃機関の高出力化(全開性能の向上)を図ることができる。また、この場合、第3吸気ポート42cから流れ込んでくる吸気の流速は比較的低い(第3吸気バルブ43cのみを開放させた場合よりも低い)ため、インジェクタ2から噴射された燃料の大部分がピストン3側(下側)に向かって流れてしまうといった状況を招くことはなく、気筒12内の広範囲に亘って燃料を分散することが可能である。図4におけるF2は、噴射された燃料の飛翔エリアを示している。
−冷間時−
エンジン1の運転状態が冷間時(例えば冷却水温度が20℃程度)である場合には、上記第1から第3の吸気バルブ43a,43b,43cのうち第3吸気バルブ43cのみを吸気行程において開放し、第1及び第2吸気バルブ43a,43bを閉鎖状態のまま維持する。つまり、第3吸気バルブ43cのリフト量を大きく設定すると共に、第1及び第2吸気バルブ43a,43bのリフト量を「0」に設定する。
この場合の吸気行程時における第1及び第2吸気バルブ43a,43bの状態を図7に示し、第3の吸気バルブ43cの状態を図4に示している。このように開放動作を行う吸気バルブを選定した場合の動作について以下に説明する。
上記冷間時は、気筒12内の温度が低く、例えば燃料の沸点(ガソリンの場合は70℃程度)以下となっているため、気筒12内での燃料の気化霧化が十分になされない可能性のある運転状態であり、インジェクタ2から噴射された燃料が気化霧化されることなく比較的大きな液滴のまま飛翔距離が長くなって気筒内壁面にまで到達してしまう可能性が高い状況にある。
このような運転状態において、本実施形態では、上記第3吸気バルブ43cのみを吸気行程時に開放させる。これにより、インジェクタ2から噴射された燃料は、第3吸気ポート42cから流れ込んでくる吸気によって案内され、ピストン3側に向かうように流れる。つまり、インジェクタ2から噴射された燃料が気筒12の内壁面(インジェクタ2からの燃料噴射方向で対向する気筒内壁面)にまで到達してしまうことが抑制され、燃料の大部分を気筒12内の空間で流動させることが可能になる。また、この際、第1及び第2の吸気バルブ43a,43bは閉鎖されており、吸気の全量が上記第3吸気ポート42cから流れ込んでくるので、このピストン3側に向かう吸気の流速を比較的高く得ることができる。図4におけるF3は、噴射された燃料の飛翔エリアを示している。このため、インジェクタ2からの燃料噴射圧力が比較的高い状況であったとしても、この燃料の流れをピストン3側に向けて偏向させることが可能であって、気筒12の内壁面への燃料付着を確実に抑制することができる。
その結果、気筒12内に噴射された燃料の略全量を気筒12内での気化霧化に寄与させることができ、気筒12内の全体の混合気が希釈(リーン)されてしまうことがなくなる。これにより、気筒12内での良好な均質燃焼が可能になり、燃焼効率を高めて、出力の向上、排気エミッションの改善、燃料消費率の改善を図ることが可能になる。
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態について説明する。本実施形態も、エンジン1の運転状態に応じて、吸気行程時に開放させる吸気バルブ43a,43b,43cの切り換え(吸気バルブ開閉制御手段によるモード切り換え)を行うものである。以下、エンジン1の運転状態と、その際に使用する吸気バルブ43a,43b,43cについて説明する。
−低回転低負荷時−
エンジン1の運転状態が低回転低負荷時(例えばアイドリング中)である場合には、上記第1から第3の吸気バルブ43a,43b,43cのうち第3吸気バルブ43cのみを吸気行程において開放し、第1及び第2吸気バルブ43a,43bを閉鎖状態のまま維持する。つまり、第3吸気バルブ43cのリフト量を大きく設定すると共に、第1及び第2吸気バルブ43a,43bのリフト量を「0」に設定する。
この場合の吸気行程時における第1及び第2の吸気バルブ43a,43bの状態を図7に示し、第3の吸気バルブ43cの状態を図4に示している。このように開放動作を行う吸気バルブを選定した場合の動作について以下に説明する。
エンジン1の低回転低負荷時は、気筒12内の圧力が極端に低く、気筒12内の圧力に対して燃料噴射圧力が相対的に大幅に高くなっており、気筒12内における噴射燃料の飛翔距離は長くなる可能性が高い運転状態であり、噴射燃料の大部分が液滴のまま気筒内壁面にまで到達してしまう可能性が高い状況である。
このような運転状態において、本実施形態にあっては、上記第3吸気バルブ43cのみを吸気行程時に開放させる。これにより、インジェクタ2から噴射された燃料は、第3吸気ポート43cから流れ込んでくる吸気によって案内され、ピストン3側に向かうように流れる(図4の領域F3を参照)。つまり、インジェクタ2から噴射された燃料が気筒内壁面にまで到達してしまうことが抑制され、燃料の大部分を気筒12内の空間で流動させることが可能になる。また、この際、第1及び第2の吸気バルブ43a,43bは閉鎖されており、吸気の全量が上記第3吸気ポート43cから流れ込んでくるので、このピストン3側に向かう吸気の流速を比較的高く得ることができ、インジェクタ2からの燃料噴射圧力が比較的高い状況であったとしても、この燃料の流れをピストン3側に向けて偏向させることで気筒内壁面への燃料付着を確実に抑制することができる。
その結果、気筒12内に噴射された燃料の略全量を気筒12内での気化霧化に寄与させることができ、気筒12内全体の混合気が希釈(リーン)されてしまうことがなくなる。これにより、燃焼室内での良好な均質燃焼が可能になり、燃焼効率を高めて、出力の向上、排気エミッションの改善、燃料消費率の改善を図ることが可能になる。
また、上記効果に加えて、本実施形態では以下の効果も奏することができる。つまり、エンジン1の低回転低負荷時は、吸入空気量が極端に少なくなっている(スロットルバルブ44aが略全閉に近い状態となっている)。このような状況で、第1及び第2の吸気バルブ43a,43bを共に開放させて吸気行程を行うと、吸入空気量に応じて、これら第1及び第2吸気バルブ43a,43bのバルブリフト量を極端に小さく設定する必要がある。このため、第1及び第2吸気バルブ43a,43bのバルブリフト量に誤差(メカニカルな誤差)が生じている場合、これら第1及び第2吸気バルブ43a,43bのバルブリフト量の誤差が積算されることになり、この誤差の影響を大きく受けてしまうことになる。これでは、適正な吸入空気量を得ることができず、エンジン回転数が不安定(ラフアイドル)になる可能性がある。
本実施形態では、この低回転低負荷時に第3吸気バルブ43cのみを開放している。つまり、内径寸法の小さい第3吸気ポート42cのみにより吸気を行うようにしている。このため、吸入空気量に応じたバルブリフト量としては比較的大きく設定することができ、上記バルブリフト量の誤差の影響度合いを低く抑えることができる。
図8を用いて具体的に説明する。図8(a)は、低回転低負荷時に第1及び第2の吸気バルブ43a,43bを開放させるようにした従来例における各吸気バルブ43a,43bのバルブリフト量の変化を示しており、図中Aは、これら吸気バルブ43a,43bの最大バルブリフト量を示し、図中Bは低回転低負荷時に設定されるバルブリフト量を示している。これに対し、図8(b)は、低回転低負荷時に第3吸気バルブ43cのみを開放させるようにした本実施形態における第3吸気バルブ43cのバルブリフト量の変化を示している。尚、これら図にあっては、目標バルブリフト量を実線で示し、後述するメカニカルな誤差(バルブリフト量に関わりなく一定となる誤差:t)の影響による実バルブリフト量を破線で示している。
これら図に示すように、バルブのリフト量に関わりなく上記誤差(図中の寸法t)は略一定であるため、第1及び第2の吸気バルブ43a,43bを開放させる従来技術(図8(a)に示すもの)にあっては、目標バルブリフト量(実線)が極端に小さく設定された場合(実線B)には、この目標バルブリフト量に対する誤差(t)の割合は非常に大きくなって、実バルブリフト量(破線B)が極端に小さくなり、吸気量のズレが大きくなっている。
これに対し、本実施形態の如く第3吸気バルブ43cのみを開放させた場合には、上記と同様の誤差寸法(t)が生じていたとしても、目標バルブリフト量(実線C)が大きく設定されていることで、この目標バルブリフト量に対する誤差(t)の割合は小さく、実バルブリフト量(破線C)も十分に確保されている。このため、吸気量のズレも小さくできる。
このように、本実施形態の如く、低回転低負荷時に第3吸気バルブ43cのみを開放させるようにすれば、適正な吸気量を確保して安定したエンジン1の運転状態を得ることが可能である。特に、本実施形態の場合には、第3吸気ポート42cの内径寸法を第1及び第2の吸気ポート42a,42bの内径寸法よりも小さく設定していることで、この低回転低負荷時における第3吸気バルブ43cの目標バルブリフト量を大きく設定することができるため、よりいっそう顕著な効果を得ることができる。
(第3実施形態)
次に、本発明の第3実施形態について説明する。本実施形態は、エンジン1の吸気行程時における第1及び第2の吸気バルブ43a,43bの開閉タイミングと第3吸気バルブ43cの開閉タイミングとを互いに異ならせていることに特徴がある。以下、各吸気バルブ43a,43b,43c及び排気バルブ73a,73bのバルブ開閉タイミング及びバルブリフト量の変化を示す図9を用いて具体的に説明する。
排気行程の終了タイミングの前段階(クランク角度でピストン上死点から十数度程度前)から第1及び第2吸気バルブ43a,43bの開弁動作を開始させる(図中のタイミングT1)。そして、インジェクタ2からの燃料噴射動作の開始後(燃料噴射動作の開始タイミングは図中のT2)、その終了前であって(燃料噴射動作の終了タイミングは図中のT4)、未だ第1及び第2の吸気バルブ43a,43bが開弁状態にある(全閉状態に至っていない)タイミング(図中のタイミングT3)で第3吸気バルブ43cの開弁動作を開始させるようにしている。
より具体的には、第1及び第2の吸気バルブ43a,43bのバルブリフト量が最大リフト量となるタイミングを過ぎて、これら第1及び第2の吸気バルブ43a,43bの閉弁動作が開始された後に第3吸気バルブ43cの開弁動作を開始させるようにしている。また、第1及び第2の吸気バルブ43a,43bのバルブリフト量が最大リフト量となった時点で第3吸気バルブ43cの開弁動作を開始させるようにしてもよい。このように第1及び第2の吸気バルブ43a,43bの開閉タイミングと第3吸気バルブ43cの開閉タイミングとを互いに異ならせる場合、これらバルブ開閉タイミングを任意に変更可能とする周知の可変バルブタイミング機構(例えば特開2006−9694号公報に開示されている機構など)を備えさせることが有効である。
このように各吸気バルブ43a,43b,43cの開閉タイミングを設定した場合の動作について以下に説明する。
上述した如くエンジン1の吸気行程においては、先ず、第1及び第2吸気バルブ43a,43bのみを開放し、第1及び第2吸気ポート42a,42bのみから吸気が気筒12内に導入された状態となり、この状態でインジェクタ2からの燃料噴射が開始される。このとき、噴射された燃料は、第1及び第2の吸気ポート42a,42bから流れ込んでくる吸気によって案内され、気筒12の軸心に対して略直交する方向(インジェクタ2からの燃料噴射方向が延長される方向)の広範囲に亘って分散されることになる(図5参照)。
そして、このインジェクタ2からの燃料噴射が継続されている途中で、上記第3吸気バルブ43cの開放が行われる。この第3吸気バルブ43cが開放された後にインジェクタ2から噴射された燃料は、第3吸気ポート42cから流れ込んでくる吸気によって案内され、ピストン3側に向かうように流れる(図4参照)。つまり、この燃料は気筒12の内壁面にまで到達しない燃料として気筒12内を流動することになる。
この際、第3吸気ポート42cから流れ込んでくる吸気によって案内される燃料は、図4における飛翔エリアF2の状態から飛翔エリアF3の状態へと徐々に移行していくことになる。つまり、徐々に下向きの流れに変化していくことになる。これは、第3吸気バルブ43cの開放が行われた時点では、第1及び第2吸気バルブ43a,43bは徐々に閉鎖していく状態となっており(図9参照)、第1及び第2吸気ポート42a,42bからの吸気量が徐々に減少していき、これに伴って第3吸気ポート42cからの吸気量が徐々に増加していく、つまり、上記カーテン効果が増強されていく状態となるからである。
このように、本実施形態では、インジェクタ2からの燃料噴射期間における前半で噴射された燃料は第1及び第2吸気ポート42a,42bから流れ込んでくる吸気によって広範囲に分散され、上記気筒内壁面付近まで達する燃料として得られ、後半で噴射された燃料は第3吸気ポート42cから流れ込んでくる吸気によって気筒内壁面付近に達することなく、ピストン3側に向かって流れる燃料として得られる。つまり、吸気行程の前半では、燃料をピストン3側に向けて流さないことで、比較的低温度(気筒内壁面よりも低温度)のピストン3の頂面に燃料を付着させないようにしてピストン3の頂面での液相燃料の滞留を防止し、気筒12内の気化潜熱の有効利用による気化霧化の促進を図る。また、吸気行程の後半では、ピストン3は下死点付近まで移動しているため、このピストン3側に向けて燃料を流してもピストン3の頂面に燃料が付着することなく、このピストン3に向けて流れる間に燃料を気化霧化させる。つまり、燃料を気化霧化させる期間を長く確保できるようにしている。
このように、吸気行程の前半と後半とで燃料流れを切り換えることで、ピストン3の頂面及び気筒内壁面への燃料付着を抑制することができる。その結果、気筒12内に噴射された燃料の略全量を気筒内での気化霧化に寄与させることができ、気筒12内の全体の混合気が希釈(リーン)されてしまうことがなくなる。これにより、燃焼室内での良好な均質燃焼が可能になり、燃焼効率を高めて、出力の向上、排気エミッションの改善、燃料消費率の改善を図ることが可能になる。
−その他の実施形態−
以上説明した各実施形態は、本発明を自動車に搭載された筒内直噴式4気筒ガソリンエンジンに適用した場合について説明した。本発明は、自動車用に限らず、その他の用途に使用されるエンジンにも適用可能である。また、気筒数やエンジン形式(直列型やV型や水平対向型等の別)についても特に限定されるものではない。
また、上述した各実施形態では、吸気側が3バルブであって、排気側が2バルブである5バルブタイプのエンジン1に本発明を適用した場合について説明した。本発明はこれに限らず、吸気側が2バルブであって一方の吸気バルブによって開閉される一つの吸気ポートがインジェクタの配設位置に対向するようなエンジンや、吸気側に4個以上のバルブを備え、そのうち一つの吸気バルブによって開閉される一つの吸気ポートがインジェクタの配設位置に対向するようなエンジンに対しても本発明は適用可能である。また、各吸気ポート42a,42b,42cの内径寸法の大きさの関係も上記実施形態(第3吸気ポート42cの内径が他の吸気ポート42a,42bの内径よりも小さく設定されていること)に限定されるものではない。また、排気バルブ73a,73bの個数も上記各実施形態のものには限定されない。
また、上述した各実施形態は互いに組み合わせることも可能である。つまり、上記第1実施形態において、エンジン1の運転状態が低回転低負荷時であるときには上記第2実施形態の動作を行わせるようにしたり、エンジン1の運転状態が高回転時であるときには上記第3実施形態の動作を行わせるようにしてもよい。また、上記第2実施形態において、エンジン1の運転状態が高回転時であるときには上記第3実施形態の動作を行わせるようにしてもよい。
また、上記第3実施形態では、吸気行程時における第1及び第2の吸気バルブ43a,43bの開閉タイミングと第3吸気バルブ43cの開閉タイミングとを互いに異ならせるようにしていたが、上記第1実施形態及び第2実施形態において、全ての吸気バルブ43a,43b,43cの開閉動作を行うに際して(例えば第1実施形態における高回転時)、この第3実施形態の場合と同様に各吸気バルブ43a,43b,43cの開閉タイミングを互いに異ならせるようにしてもよいし、これらの開閉タイミングを互いに一致させるようにしてもよい。
実施形態に係るエンジンの概略構成を示す図である。 エンジンの制御系を示すブロック図である。 吸気ポート、排気ポート及びその周辺部分を模式的に示す平面図である。 第3吸気ポートの中心軸に沿った断面図であって、第3吸気バルブの開放状態を示す図である。 第2吸気ポートの中心軸に沿った断面図であって、第2吸気バルブの開放状態を示す図である。 第3吸気ポートの中心軸に沿った断面図であって、第3吸気バルブの閉鎖状態を示す図である。 第2吸気ポートの中心軸に沿った断面図であって、第2吸気バルブの閉鎖状態を示す図である。 図8(a)は、第1及び第2吸気バルブを開放させるようにした従来例における各吸気バルブのバルブリフト量の変化を示す図であり、図8(b)は、第3吸気バルブのみを開放させるようにした本実施形態における第3吸気バルブのバルブリフト量の変化を示す図である。 第3実施形態における排気バルブ、第1及び第2吸気バルブ、第3吸気バルブのバルブ開閉タイミング及びバルブリフト量の変化を示す図である。
符号の説明
1 エンジン(内燃機関)
12 気筒
2 インジェクタ(燃料噴射弁)
3 ピストン
42a 第1吸気ポート(サイド吸気ポート)
42b 第2吸気ポート(サイド吸気ポート)
42c 第3吸気ポート(噴射弁対向吸気ポート)
43a 第1吸気バルブ(サイド吸気バルブ)
43b 第2吸気バルブ(サイド吸気バルブ)
43c 第3吸気バルブ(噴射弁対向吸気バルブ)
5 点火プラグ(点火栓)

Claims (8)

  1. 1つの気筒に対して接続される複数の吸気ポートと、各吸気ポートにそれぞれ対応して配設され且つ開閉動作が可能な複数の吸気バルブと、気筒内の側方から気筒内中央側に向けて燃料を直接噴射する燃料噴射弁とを備えた内燃機関において、
    上記複数の吸気ポートのうちの一つの吸気ポートは、その吸気ポートから導入される吸気が流れ込むエリアと上記燃料噴射弁から噴射される燃料噴射エリアとが重なるように配設された噴射弁対向吸気ポートとして設けられている一方、他の吸気ポートは、噴射弁対向吸気ポートに隣接して配設されたサイド吸気ポートとして設けられていて、
    上記噴射弁対向吸気ポートは、気筒内に導入する吸気の流線が、燃料噴射弁からの燃料噴射方向よりもピストン側に向かうように配設されている一方、サイド吸気ポートは、気筒内に導入する吸気の流線が、燃料噴射弁からの燃料噴射方向に略平行となるように配設されており、
    内燃機関の運転状態に応じて、上記噴射弁対向吸気ポートに備えられた噴射弁対向吸気バルブを吸気行程時に開放させる運転モードと閉鎖させる運転モードとを切り換える吸気バルブ開閉制御手段を備えていることを特徴とする内燃機関の吸気バルブ制御装置。
  2. 1つの気筒に対して接続される複数の吸気ポートと、各吸気ポートにそれぞれ対応して配設され且つ開閉動作が可能な複数の吸気バルブと、気筒内の側方から気筒内中央側に向けて燃料を直接噴射する燃料噴射弁とを備えた内燃機関において、
    上記複数の吸気ポートのうちの一つの吸気ポートは、その吸気ポートから導入される吸気が流れ込むエリアと上記燃料噴射弁から噴射される燃料噴射エリアとが重なるように配設された噴射弁対向吸気ポートとして設けられている一方、他の吸気ポートは、噴射弁対向吸気ポートに隣接して配設されたサイド吸気ポートとして設けられていて、
    上記噴射弁対向吸気ポートは、気筒内に導入する吸気の流線が、燃料噴射弁からの燃料噴射方向よりもピストン側に向かうように配設されている一方、サイド吸気ポートは、気筒内に導入する吸気の流線が、燃料噴射弁からの燃料噴射方向に略平行となるように配設されており、
    内燃機関の冷間運転時、上記噴射弁対向吸気ポートに備えられた噴射弁対向吸気バルブのみを吸気行程時に開放させる吸気バルブ開閉制御手段を備えていることを特徴とする内燃機関の吸気バルブ制御装置。
  3. 上記請求項2記載の内燃機関の吸気バルブ制御装置において、
    3個の吸気ポートを備えており、これら吸気ポートのうち中央に位置するものが上記噴射弁対向吸気ポートであり、この噴射弁対向吸気ポートの両側に位置するものがサイド吸気ポートとされており、
    吸気バルブ開閉制御手段は、内燃機関の低回転高負荷時には上記サイド吸気ポートに備えられた吸気バルブのみを吸気行程時に開放し、内燃機関の高回転時には全ての吸気バルブを吸気行程時に開放するよう構成されていることを特徴とする内燃機関の吸気バルブ制御装置。
  4. 1つの気筒に対して接続される複数の吸気ポートと、各吸気ポートにそれぞれ対応して配設され且つ開閉動作が可能な複数の吸気バルブと、気筒内の側方から気筒内中央側に向けて燃料を直接噴射する燃料噴射弁とを備えた内燃機関において、
    上記複数の吸気ポートのうちの一つの吸気ポートは、その吸気ポートから導入される吸気が流れ込むエリアと上記燃料噴射弁から噴射される燃料噴射エリアとが重なるように配設された噴射弁対向吸気ポートとして設けられている一方、他の吸気ポートは、噴射弁対向吸気ポートに隣接して配設されたサイド吸気ポートとして設けられていて、
    上記噴射弁対向吸気ポートは、気筒内に導入する吸気の流線が、燃料噴射弁からの燃料噴射方向よりもピストン側に向かうように配設されている一方、サイド吸気ポートは、気筒内に導入する吸気の流線が、燃料噴射弁からの燃料噴射方向に略平行となるように配設されており、
    内燃機関の低回転低負荷時、上記噴射弁対向吸気ポートに備えられた噴射弁対向吸気バルブのみを吸気行程時に開放させる吸気バルブ開閉制御手段を備えていることを特徴とする内燃機関の吸気バルブ制御装置。
  5. 上記請求項4記載の内燃機関の吸気バルブ制御装置において、
    3個の吸気ポートを備えており、これら吸気ポートのうち中央に位置するものが上記噴射弁対向吸気ポートであり、この噴射弁対向吸気ポートの両側に位置するものがサイド吸気ポートとされており、
    各吸気ポートに備えられた各吸気バルブは、可変バルブリフト機構が備えられてバルブリフト量が可変に構成されていることを特徴とする内燃機関の吸気バルブ制御装置。
  6. 1つの気筒に対して接続される複数の吸気ポートと、各吸気ポートにそれぞれ対応して配設され且つ開閉動作が可能な複数の吸気バルブと、気筒内の側方から気筒内中央側に向けて燃料を直接噴射する燃料噴射弁とを備えた内燃機関において、
    上記複数の吸気ポートのうちの一つの吸気ポートは、その吸気ポートから導入される吸気が流れ込むエリアと上記燃料噴射弁から噴射される燃料噴射エリアとが重なるように配設された噴射弁対向吸気ポートとして設けられている一方、他の吸気ポートは、噴射弁対向吸気ポートに隣接して配設されたサイド吸気ポートとして設けられていて、
    上記噴射弁対向吸気ポートは、気筒内に導入する吸気の流線が、燃料噴射弁からの燃料噴射方向よりもピストン側に向かうように配設されている一方、サイド吸気ポートは、気筒内に導入する吸気の流線が、燃料噴射弁からの燃料噴射方向に略平行となるように配設されており、
    内燃機関の吸気行程時、上記サイド吸気ポートに備えられたサイド吸気バルブのみを開放した後、上記燃料噴射弁からの燃料噴射の途中で、上記噴射弁対向吸気ポートに備えられた噴射弁対向吸気バルブを開放させる吸気バルブ開閉制御手段を備えていることを特徴とする内燃機関の吸気バルブ制御装置。
  7. 上記請求項6記載の内燃機関の吸気バルブ制御装置において、
    3個の吸気ポートを備えており、これら吸気ポートのうち中央に位置するものが上記噴射弁対向吸気ポートであり、この噴射弁対向吸気ポートの両側に位置するものがサイド吸気ポートとされており、
    吸気バルブ開閉制御手段は、吸気行程の開始と略同時に上記サイド吸気バルブのみを開放し、燃料噴射弁からの燃料噴射動作の開始後、その終了前に、上記噴射弁対向吸気バルブを開放するよう構成されていることを特徴とする内燃機関の吸気バルブ制御装置。
  8. 上記請求項1〜7のうち何れか一つに記載の内燃機関の吸気バルブ制御装置を備えた内燃機関であって、
    上記噴射弁対向吸気ポート及びサイド吸気ポートのうち吸気行程において吸気バルブが開放された吸気ポートから気筒内に導入された吸気に対して燃料噴射弁から燃料が噴射されることで気筒内に混合気が生成され、圧縮行程を経た後、点火栓の点火によって膨張行程を行う構成とされていることを特徴とする内燃機関。
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