JP2010281332A - 燃料噴射制御装置 - Google Patents
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- F02D41/3094—Controlling fuel injection the fuel injection being effected by at least two different injectors, e.g. one in the intake manifold and one in the cylinder
Abstract
【課題】エンジンの燃費の悪化、およびエンジンから排出される未燃焼のHCが低減される燃料噴射制御装置を提供する。
【解決手段】燃焼室28に連通する吸気ポート261、262にそれぞれインジェクタ61、62が設置されているため、インジェクタ61、62から噴射された燃料の吸気ポート261、262を隔てる壁部34への付着が抑制される。制御装置は、吸気ポート261、262を流れる吸気の流量に応じてインジェクタ61、62からの燃料の噴射量を制御している。そのため、吸気ポート261、262に燃料を噴射するインジェクタ61、62から過剰な燃料は噴射されない。これにより、過剰な燃料が吸気ポート261、262にとどまることが防止されるとともに、液滴となった燃料が燃焼室28へ流入することもない。その結果、燃料の不完全な燃焼は低減される。
【選択図】図1
【解決手段】燃焼室28に連通する吸気ポート261、262にそれぞれインジェクタ61、62が設置されているため、インジェクタ61、62から噴射された燃料の吸気ポート261、262を隔てる壁部34への付着が抑制される。制御装置は、吸気ポート261、262を流れる吸気の流量に応じてインジェクタ61、62からの燃料の噴射量を制御している。そのため、吸気ポート261、262に燃料を噴射するインジェクタ61、62から過剰な燃料は噴射されない。これにより、過剰な燃料が吸気ポート261、262にとどまることが防止されるとともに、液滴となった燃料が燃焼室28へ流入することもない。その結果、燃料の不完全な燃焼は低減される。
【選択図】図1
Description
本発明は、エンジンの燃料噴射制御装置に関し、特に燃焼室に連通する複数の吸気ポートにそれぞれインジェクタが設けられているエンジンの燃料噴射制御装置に関する。
近年、エンジンは、一つの気筒すなわち一つの燃焼室に複数の吸気ポートおよび吸気バルブを備えている。このように一つの燃焼室当たり複数の吸気ポートを備えるエンジンにおいて、各吸気ポートを流れる吸気に燃料を噴射するインジェクタとして、特許文献1に開示されている技術が公知である。特許文献1に開示されている技術の場合、インジェクタが形成した二つの燃料噴霧は二本の吸気ポートへ分配される。このように、インジェクタから二つの燃料噴霧を形成することにより、二本の吸気ポートを仕切る壁部への燃料の付着は低減される。
上述のように一つの燃焼室に二つ以上の吸気ポートが連通する場合、各吸気ポートの内径が異なっていたり、各吸気ポートに設けられる吸気バルブのリフト量が異なっていたり、各吸気ポートを流れる吸気の流量が異なることがある。これらの場合、特許文献1に開示されている技術では、インジェクタの噴孔を非対称に配置し、各吸気ポートへ噴射する燃料の分配比を設定している。
しかしながら、近年のエンジンでは、例えばエンジンの負荷に応じて複数の吸気バルブのうちのいずれかの吸気バルブの開閉を停止したり、リフト量を変更する場合がある。このとき、各吸気ポートを流れる吸気の流量は、吸気バルブのリフト量に応じて変化する。特許文献1に開示されている技術の場合、各吸気ポートに燃料を分配することはできても、各吸気ポートへ噴射する燃料の分配比は変更できない。そのため、エンジンの負荷によって各吸気ポートを流れる吸気の流量が変化すると、インジェクタから噴射された燃料の一部が吸気ポート内にとどまることになる。吸気ポートにとどまった燃料は、燃焼室での燃焼に寄与しない。その結果、エンジンの燃費の悪化を招くという問題がある。また、吸気ポート内にとどまった燃料は、吸気バルブの開弁時に、液状のまま燃焼室に流入する。そのため、燃料の燃焼が不十分となり、エンジンから排出される未燃焼の炭化水素(HC)の増大を招くという問題がある。
そこで、本発明の目的は、エンジンの燃費の悪化、およびエンジンから排出される未燃焼のHCが低減される燃料噴射制御装置を提供することにある。
請求項1記載の発明では、インジェクタは燃焼室に連通する二本以上の吸気ポートにそれぞれ設けられている。そのため、インジェクタからは、各吸気ポートへそれぞれ燃料が噴射される。噴射量制御手段は、各吸気ポートへ燃料を噴射する各インジェクタからの燃料の噴射量を、インジェクタごとに制御する。噴射量制御手段は、少なくとも1つの吸気バルブが吸気ポートと燃焼室との間を閉塞し、他の吸気バルブが吸気ポートと燃焼室との間を開閉しているとき、閉塞された前記吸気ポートに設けられたインジェクタからの燃料の噴射を停止する。これにより、例えばある吸気バルブが吸気ポートと燃焼室との間を閉塞しているとき、閉塞された吸気ポートに設けられたインジェクタは燃料を噴射しないといった燃料噴射制御が可能となる。このように、請求項1記載の発明では、各吸気ポートにそれぞれ設けられたインジェクタからの燃料噴射量をそれぞれ独立制御することができるので、インジェクタから噴射された燃料が吸気ポート内にとどまることを抑制し、エンジンの燃費の悪化、およびエンジンから排出される未燃焼のHCを低減することができる。
請求項2記載の発明では、噴射量制御手段は各吸気ポートの吸気の流量に応じて各インジェクタからの燃料の噴射量を制御しているので、例えば一つの吸気バルブが吸気ポートと燃焼室との間を閉塞し、この吸気ポートに吸気が流れないときに、この吸気ポートへの燃料噴射を停止させるといった制御が可能となる。このように、請求項2記載の発明では、各吸気ポートにおける吸気の流量に応じた燃料噴射制御ができるので、インジェクタから噴射された燃料が吸気ポート内にとどまることをより効果的に抑制できる。
請求項3記載の発明では、噴射量制御手段は各吸気バルブのリフト量に応じて各インジェクタからの燃料の噴射量を制御している。吸気バルブのリフト量が小さいとき、その吸気バルブによって開閉される吸気ポートにおける吸気の流量は小さくなる。そして、吸気バルブのリフト量が大きくなるにしたがって、吸気ポートにおける吸気の流量は増大する。一方、吸気バルブのリフト量が0、すなわち吸気バルブが吸気ポートを閉塞しているとき、その吸気ポートには吸気が流れない。このように、吸気バルブのリフト量とその吸気バルブによって開閉される吸気ポートの吸気の流量とは相関している。そのため、吸気バルブのリフト量に応じてインジェクタからの燃料の噴射量を制御することにより、各吸気ポートにおける吸気の流量に応じた燃料を噴射することができる。その結果、吸気ポートの内部に燃料がとどまることを抑制できる。
エンジンの負荷が小さいとき、エンジンに吸入される吸気の流量、すなわち必要とされる空気量は小さくなる。そのため、従来、一つの燃料室に連通する複数の吸気ポートをエンジンの場合、いずれかの吸気バルブを閉鎖し、他の吸気バルブのみを開く制御が実施されている。このように、吸気バルブの開閉に偏りを持たせることにより、燃焼室内に流入する燃料の流れにも偏りを形成し、混合気の形成が促進される。その結果、燃焼室における燃焼状態が向上し、燃費の向上および排出HCの低減を図ることができる。しかし、従来の場合、一本のインジェクタから二つ以上の吸気ポートへ燃料を噴射するため、吸気バルブが閉じている吸気ポート側にも燃料の噴霧が流入する。そのため、噴射された燃料の一部は、閉じている吸気ポート内にとどまる。吸気ポート内の燃料は、運転状態の変化によって吸気バルブが開放されると、液状のまま燃料室へ流入する。その結果、液状の燃料は燃焼が不完全となり、未燃焼のHCが増加するという問題がある。
そこで、請求項4記載の発明では、吸気バルブのリフト量が所定値以下となると、その吸気ポートのインジェクタからの燃料の噴射は停止される。これにより、吸気ポートが吸気バルブによって閉鎖されているとき、あるいは吸気バルブのリフト量が小さいとき、その吸気ポートに設けられたインジェクタからは燃料が噴射されない。その結果、吸気ポートの内部にとどまる燃料が低減される。したがって、未燃焼のHCが低減し、燃費を向上することができる。
そこで、請求項4記載の発明では、吸気バルブのリフト量が所定値以下となると、その吸気ポートのインジェクタからの燃料の噴射は停止される。これにより、吸気ポートが吸気バルブによって閉鎖されているとき、あるいは吸気バルブのリフト量が小さいとき、その吸気ポートに設けられたインジェクタからは燃料が噴射されない。その結果、吸気ポートの内部にとどまる燃料が低減される。したがって、未燃焼のHCが低減し、燃費を向上することができる。
請求項5または6記載の発明では、二本以上の吸気ポートにそれぞれ設けられるインジェクタはそれぞれ特性に応じて制御される。そのため、簡単な制御で各吸気ポートへ適切な量の燃料が噴射され、吸気ポートの内部に燃料がとどまることを抑制できる。したがって、エンジンの燃費の悪化、およびエンジンから排出される未燃焼のHCを低減することができる。
従来、エンジンの始動時などのように、エンジン始動からの期間が短かったり、エンジンの温度が低いとき、吸気バルブが吸気ポートを開く前にインジェクタから燃料が噴射される。このように吸気ポートが開く前にインジェクタから燃料を噴射し、噴射される燃料の微粒化の促進、および燃料の気化の促進を図ることにより、エンジン始動における未燃焼のHC排出が低減される。一方、例えばスロットルの開度が大きい(WOT:Wide Open Throttle)ときなどエンジンの負荷が大きな場合、吸気バルブが吸気ポートを開いているときにインジェクタから燃料が噴射される。これにより、噴射された燃料の気化潜熱によって燃焼室内の空気が冷却され、燃焼室内の空気密度が低減するため、エンジン出力が向上する。この場合、吸気バルブが吸気ポートを開いている期間は短いため、トルクを向上するためには単位時間当たりの燃料の噴射量を大きくする必要がある。しかし、単位時間当たりの燃料の噴射量を大きくすると、噴射される燃料の微粒化が阻害される。その結果、始動時の排出HCの低減と、高負荷時の出力向上との両立は困難である。
そこで、請求項7または8記載の発明では、二本以上のインジェクタはそれぞれ単位時間当たりの燃料の噴射量および噴射期間が異なっている。これにより、例えばエンジン始動直後などの場合、単位時間当たりの燃料の噴射量が小さなインジェクタから燃料を噴射する。例えばエンジン始動直後などの場合、吸気バルブが吸気ポートを開くまでの間にインジェクタから燃料が噴射される。そのため、吸気バルブが吸気ポートを開くまでの期間は、比較的時間的な長さが長くなる。その結果、単位時間当たりの燃料の噴射量が小さなインジェクタから比較的長期間燃料が噴射される。これにより、燃料の微粒化を促進しつつ、必要な燃料量が確保される。一方、例えばWOT状態などエンジンの負荷が大きい場合、単位時間当たりの燃料の噴射量が大きなインジェクタから燃料を噴射する。例えばエンジンの負荷が大きい場合、吸気バルブが吸気ポートを開いている間にインジェクタから燃料が噴射される。そのため、吸気バルブが吸気ポートを開いている間、すなわちインジェクタからの燃料の噴射期間は、比較的時間的長さが短くなる。その結果、単位時間当たりの燃料の噴射量が大きなインジェクタから比較的短期間燃料が噴射される。これにより、燃焼室にインジェクタから噴射された燃料が直接流入し、燃焼室の温度を低下させる。また、単位時間当たりの噴射量を大きくすることにより、必要な燃料量が確保される。したがって、例えばエンジン始動のHCの低減と、高負荷時の出力向上とを両立することができる。
そこで、請求項7または8記載の発明では、二本以上のインジェクタはそれぞれ単位時間当たりの燃料の噴射量および噴射期間が異なっている。これにより、例えばエンジン始動直後などの場合、単位時間当たりの燃料の噴射量が小さなインジェクタから燃料を噴射する。例えばエンジン始動直後などの場合、吸気バルブが吸気ポートを開くまでの間にインジェクタから燃料が噴射される。そのため、吸気バルブが吸気ポートを開くまでの期間は、比較的時間的な長さが長くなる。その結果、単位時間当たりの燃料の噴射量が小さなインジェクタから比較的長期間燃料が噴射される。これにより、燃料の微粒化を促進しつつ、必要な燃料量が確保される。一方、例えばWOT状態などエンジンの負荷が大きい場合、単位時間当たりの燃料の噴射量が大きなインジェクタから燃料を噴射する。例えばエンジンの負荷が大きい場合、吸気バルブが吸気ポートを開いている間にインジェクタから燃料が噴射される。そのため、吸気バルブが吸気ポートを開いている間、すなわちインジェクタからの燃料の噴射期間は、比較的時間的長さが短くなる。その結果、単位時間当たりの燃料の噴射量が大きなインジェクタから比較的短期間燃料が噴射される。これにより、燃焼室にインジェクタから噴射された燃料が直接流入し、燃焼室の温度を低下させる。また、単位時間当たりの噴射量を大きくすることにより、必要な燃料量が確保される。したがって、例えばエンジン始動のHCの低減と、高負荷時の出力向上とを両立することができる。
従来、二つ以上の吸気バルブを有するエンジンの場合、エンジンの負荷が小さい条件では、吸気バルブを閉じた後に、少なくとも一つの吸気バルブを再度開閉させて、少量の空気を燃焼室へ供給するものがある。これにより、燃焼室内における空気流動を強め、燃焼室の燃焼を改善し、燃費の向上を図っている。しかし、少なくとも一つの吸気バルブを開閉させる場合、一本のインジェクタから燃料を噴射すると、閉じている吸気バルブ側にも燃料が流入する。そのため、閉じている吸気バルブ側の吸気ポートの内部に燃料がとどまり、とどまった燃料は吸気バルブが開くと液状のまま燃焼室へ流入する。その結果、燃焼室では十分に燃料の燃焼が行われず、未燃焼のHCの排出を招くおそれがある。
そこで、請求項9記載の発明では、二本以上のインジェクタごとに単位時間当たりの燃料噴射回数を制御している。これにより、吸気ポート、特に吸気バルブが閉じられている側にとどまる燃料が低減される。したがって、燃費の向上および排出されるHCの低減を図ることができる。
そこで、請求項9記載の発明では、二本以上のインジェクタごとに単位時間当たりの燃料噴射回数を制御している。これにより、吸気ポート、特に吸気バルブが閉じられている側にとどまる燃料が低減される。したがって、燃費の向上および排出されるHCの低減を図ることができる。
請求項10記載の発明では、二本以上の吸気ポートはそれぞれ内径が異なっている。そして、インジェクタの燃料の噴射角は、各吸気ポートの内径に応じて設定されている。すなわち、吸気ポートの内径が小さいとき、インジェクタから噴射される燃料の噴射角は小さく、吸気ポートの内径が大きいとき、インジェクタから噴射される燃料の噴射角は大きく設定されている。そのため、インジェクタから噴射された燃料の各吸気ポートを形成する壁面への付着を抑制できる。例えば、インジェクタから噴射された燃料が吸気ポートを形成する壁面に付着すると、付着した燃料は液滴となって燃焼室へ流入する。液滴となって燃焼室へ流入した燃料は、燃焼に寄与せず、未燃焼のままエンジンから排出される。請求項10記載の発明では、インジェクタから噴射される燃料の噴射角を吸気ポートの内径に応じて設定することにより、吸気ポートを形成する壁面への燃料の付着が低減される。そのため、液滴状の燃料が燃焼室へ流入することは低減される。したがって、エンジンの燃費の悪化、およびエンジンから排出される未燃焼のHCを低減することができる。
請求項11記載の発明では、二本以上のインジェクタは、燃料の噴射角が異なっている。そして、第一のインジェクタの燃料の噴射角は、吸気ポートの内径に応じて設定されており、第二のインジェクタの燃料の噴射角は、第一のインジェクタの燃料の噴射角よりも広角に設定されている。そして、前記吸気バルブの閉弁時に噴射する場合には第一のインジェクタからの噴射量が第二のインジェクタからの噴射量よりも多くなるよう制御され、吸気バルブの開弁時に噴射する場合には第二のインジェクタからの噴射量が第一のインジェクタからの噴射量よりも多くなるよう制御される。これにより、エンジンの燃費の悪化、およびエンジンから排出される未燃焼のHCを低減することができ、しかも例えばエンジン負荷が大きい場合における吸気バルブ開弁時での噴射の際には、出力を向上させることもできる。
以下、本発明を適用した複数の実施形態を図面に基づいて説明する。
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態による燃料噴射制御装置を適用したエンジンシステムを図2に示す。エンジンシステム10は、エンジン本体20、および燃料噴射制御装置の制御手段としての制御装置11を備えている。エンジン本体20は、図3に示すように例えばガソリンを燃料とするガソリンエンジンである。なお、燃料は、例えばアルコールなどであってもよい。
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態による燃料噴射制御装置を適用したエンジンシステムを図2に示す。エンジンシステム10は、エンジン本体20、および燃料噴射制御装置の制御手段としての制御装置11を備えている。エンジン本体20は、図3に示すように例えばガソリンを燃料とするガソリンエンジンである。なお、燃料は、例えばアルコールなどであってもよい。
エンジン本体20は、シリンダブロック21とシリンダヘッド22とを備えている。シリンダブロック21は、筒状のシリンダ23を形成している。エンジン本体20は、一つまたは複数のシリンダ23を有している。シリンダ23は、内側にピストン24を収容している。ピストン24は、コンロッド25によりシリンダ23の軸方向へ往復移動する。
シリンダヘッド22は、シリンダブロック21の一方の端部側に配置されている。シリンダヘッド22は、吸気ポート26および排気ポート27を形成している。エンジン本体20は、シリンダヘッド22を貫いて吸気ポート26を開閉する吸気バルブ40と、排気ポート27を開閉する排気バルブ50とを備えている。
吸気バルブ40は、シリンダヘッド22を貫いている。吸気バルブ40は、軸部41と弁部42とを有している。軸部41は、ガスケット43を挟んでシリンダヘッド22に摺動可能に支持されている。軸部41は、軸方向の一方の端部が弁部42に接続し、他方の端部がタペット44を挟んで吸気カム45に接している。弁部42は、吸気ポート26の端部を開閉する。シリンダヘッド22とタペット44との間には、弾性部材としてのスプリング46が設置されている。スプリング46は、タペット44をシリンダヘッド22から離れる方向へ押し付けている。タペット44は、吸気バルブ40と一体に移動する。そのため、スプリング46は、吸気バルブ40が吸気ポート26を閉塞する方向へ押し付けている。
排気バルブ50は、シリンダヘッド22を貫いている。排気バルブ50は、軸部51と弁部52とを有している。軸部51は、ガスケット53を挟んでシリンダヘッド22に摺動可能に支持されている。軸部51は、軸方向の一方の端部が弁部52に接続し、他方の端部がタペット54を挟んで排気カム55に接している。弁部52は、排気ポート27の端部を開閉する。シリンダヘッド22とタペット54との間には、弾性部材としてのスプリング56が設置されている。スプリング56は、タペット54をシリンダヘッド22から離れる方向へ押し付けている。タペット54は、排気バルブ50と一体に移動する。そのため、スプリング56は、排気バルブ50が排気ポート27を閉塞する方向へ押し付けている。
シリンダ23を形成しているシリンダブロック21の内壁面と、シリンダヘッド22のシリンダブロック21側の面と、ピストン24のシリンダヘッド22側の端面と、吸気バルブ40のピストン24側の端面と、排気バルブ50のピストン24側の端面とが形成する空間は、燃焼室28である。燃焼室28は、吸気ポート26および排気ポート27に連通可能である。燃焼室28と吸気ポート26との連通は、吸気バルブ40によって開閉される。燃焼室28と排気ポート27との連通は、排気バルブ50によって開閉される。吸気ポート26は、燃焼室28とは反対側の端部がインテークマニホールド31が形成する吸気通路32に連通している。インテークマニホールド31は、燃焼室28とは反対側の端部が図示しない吸気導入部に連通している。吸気導入部から導入された空気は、例えば図示しないエアクリーナ、スロットルおよびサージタンクを経由してインテークマニホールド31が形成する吸気通路32から吸気ポート26へ供給される。
本実施形態の場合、図1に示すように燃焼室28には、吸気ポート26および排気ポート27がそれぞれ二本ずつ連通している。すなわち、本実施形態のエンジン本体20は、いわゆる4バルブエンジンである。なお、エンジン本体20の吸気ポート26および排気ポート27は、それぞれ三本以上が燃焼室28へ連通する構成としてもよい。また、例えば燃焼室28に連通する吸気ポート26を三本とし、排気ポート27を二本とするいわゆる5バルブエンジンのように、吸気ポート26と排気ポート27との本数は異なってもよい。
シリンダヘッド22は、図3に示すように燃焼室28のほぼ中央部に点火装置33が設置される。点火装置33は、シリンダヘッド22を貫いて設置されている。点火装置33は、図示しない点火コイルと点火プラグとが一体に構成されている。点火装置33は、点火プラグ側の端部が燃焼室28に露出している。
シリンダヘッド22には、図1および図3に示すように吸気ポート26の途中にインジェクタ61、62が設置されている。インジェクタ61、62は、図3に示すようにシリンダヘッド22を貫いている。インジェクタ61、62は、軸方向の一方の端部が吸気ポート26に露出し、他方の端部が燃料レール63に接続している。インジェクタ61、62は、それぞれ燃料レール63とは反対側の端部に噴孔611、621を有している。燃料レール63は、例えばシリンダヘッド22に支持されている。燃料レール63には、図示しない燃料タンクから燃料が供給される。インジェクタ61、62は、燃料レール63へ供給された燃料を噴孔611、621から吸気ポート26を流れる吸気へ噴射する。
シリンダヘッド22には、図1および図3に示すように吸気ポート26の途中にインジェクタ61、62が設置されている。インジェクタ61、62は、図3に示すようにシリンダヘッド22を貫いている。インジェクタ61、62は、軸方向の一方の端部が吸気ポート26に露出し、他方の端部が燃料レール63に接続している。インジェクタ61、62は、それぞれ燃料レール63とは反対側の端部に噴孔611、621を有している。燃料レール63は、例えばシリンダヘッド22に支持されている。燃料レール63には、図示しない燃料タンクから燃料が供給される。インジェクタ61、62は、燃料レール63へ供給された燃料を噴孔611、621から吸気ポート26を流れる吸気へ噴射する。
第1実施形態の場合、燃焼室28に連通する吸気ポート26は、図1に示すように二本の吸気ポート261および吸気ポート262に分岐している。インジェクタ61、62は、二本の吸気ポート261、262にそれぞれ一本ずつ設置されている。すなわち、インジェクタ61、62は、噴孔611、621側の端部が二本の吸気ポート261、262の分岐部263よりも燃焼室28側に配置されている。その結果、インジェクタ61およびインジェクタ62から噴射された燃料が吸気ポート261と吸気ポート262との間の壁部34に付着することを抑制できる。第1実施形態の場合、インジェクタ61の単位時間当たりの燃料の噴射量Q1と、インジェクタ62の単位時間当たりの燃料の噴射量Q2とは、ほぼ同一である。
図2に示す制御装置(ECU)11は、例えばCPU、ROMおよびRAMから構成されるマイクロコンピュータである。制御装置11は、エンジン本体20の各インジェクタ61、62に接続している。制御装置11は、各インジェクタ61、62に駆動信号を出力し、各インジェクタ61、62からの燃料噴射のタイミングを制御する。制御装置11は、吸気バルブ40のリフト量を検出するリフトセンサ47に接続している。第1実施形態のように、一つの燃焼室28に二本の吸気ポート261、262が連通している場合、リフトセンサ47は各吸気ポート261、262を開閉する各吸気バルブ40に設置されている。これにより、制御装置11は、各吸気バルブ40のリフト量を検出する。
制御装置11は、インジェクタ61、62および吸気バルブ40のリフトセンサ47だけでなく、点火装置33、ならびに例えば回転数センサ12、スロットルセンサ13および水温センサ14などに接続している。制御装置11は、点火装置33に駆動信号を出力し、所定の時期に燃焼室28の混合気に着火する。回転数センサ12は、エンジン本体20の回転数を検出する。スロットルセンサ13は、図示しないスロットルの開度を検出する。また、水温センサ14は、エンジン本体20の冷却水の温度を検出する。制御装置11は、これらの回転数センサ12、スロットルセンサ13および水温センサ14などからエンジン本体20の運転状態および負荷状態を検出し、インジェクタ61、62からの燃料の噴射量を設定する。
エンジンシステム10が例えば図示しないバルブリフト量可変装置あるいはバルブタイミング可変装置などを備えている場合、エンジン本体20の回転数あるいは負荷に応じて吸気バルブ40のリフト量は変化する。また、エンジン本体20の回転数あるいは負荷によっては、複数の吸気バルブ40のうちのいずれかを駆動しない場合もある。このように、吸気バルブ40のリフト量が変化すると、吸気バルブ40のリフト量によって吸気ポート261、262における吸気の流量は変化する。そこで、制御装置11は、吸気バルブ40のリフト量を検出することにより、吸気ポート261、262を流れる吸気の流量を検出する。例えば、吸気バルブ40が吸気ポート261、262を閉塞しているとき、吸気ポート261、262には吸気の流れが生じない。一方、吸気バルブ40のリフト量が大きくなるにしたがって、吸気ポート261、262を流れる吸気の流量は増大する。
吸気ポート261、262に吸気の流れが生じていないとき、吸気バルブ40は吸気ポート261、262を閉塞している。そのため、インジェクタ61、62から燃料を噴射すると、噴射された燃料は吸気バルブ40の燃焼室28とは反対側すなわち吸気ポート261、262の内部にとどまる。また、例えば各吸気バルブ40の開度が異なり、吸気ポート261の吸気の流量に比較して吸気ポート262の吸気の流量が小さいとき、吸気ポート262のインジェクタ62から吸気ポート261のインジェクタ61と同一の流量の燃料を噴射すると、吸気ポート262の吸気の流量に対し噴射される燃料が過剰となる。過剰な燃料は、一部が液滴となって吸気ポート262の内部にとどまる。
吸気ポート262の内部にとどまった燃料は、エンジン本体20の回転数あるいは負荷の変化によって、吸気ポート262の吸気バルブ40が開弁すると、液状のまま燃焼室28へ流入する。液状の燃料は、微粒化が不十分なため、燃焼が不十分となる。燃焼が不十分な燃料は、エンジン本体20の出力に寄与しない。その結果、エンジン本体20から排出される未燃焼のHCが増加するとともに、エンジン本体20の燃費の低下を招く。
第1実施形態の場合、制御装置11は、吸気バルブ40のリフト量を検出している。そして、制御装置11は、検出した吸気バルブ40のリフト量に応じて各インジェクタ61、62からの燃料の噴射量を設定している。制御装置11は、吸気ポート261、262を開閉する吸気バルブ40のリフト量が小さく、吸気ポート261、262を流れる吸気の流量が小さいとき、インジェクタ61、62からの燃料の噴射量を低減する。一方、制御装置11は、吸気ポート261、262を開閉する吸気バルブ40のリフト量が大きく、吸気ポート261、262を流れる吸気の流量が大きいとき、インジェクタ61、62からの燃料の噴射量を増大する。さらに、制御装置11は、吸気バルブ40がリフトしないとき、すなわち吸気ポート261、262に吸気の流れが生じないとき、インジェクタ61、62からの燃料の噴射を停止する。このように、制御装置11は、燃焼室28に連通する各吸気ポート261、262における吸気の流量に応じて、各吸気ポート261、262へ燃料を噴射する各インジェクタ61、62を制御する。
また、制御装置11は、吸気バルブ40のリフト量が所定値以下となるとインジェクタ61、62からの燃料の噴射を停止する構成としてもよい。第1実施形態のように吸気バルブ40が複数ある場合、吸気バルブ40のいずれかはリフト量が小さくなったり、リフトしない場合がある。このように吸気バルブ40のリフト量が小さい、あるいはリフトしないなどのようにリフト量が所定値以下となったとき、リフト量が小さな吸気ポート261または吸気ポート262には吸気の流れがほとんど生じない。このように吸気ポート261、262に吸気の流れがほとんど生じないとき、インジェクタ61またはインジェクタ62から燃料を噴射すると、噴射された燃料は吸気バルブ40の上流側すなわち燃焼室28とは反対側の吸気ポート261、262にとどまる。吸気ポート261、262にとどまった燃料は、吸気バルブ40の軸部41や弁部42に付着したり、壁部34や吸気ポート261、262を形成する壁面に付着しやすくなる。これらに付着した燃料は、液滴となって吸気ポート261、262内にとどまり、エンジン本体20の運転状態の変化によって吸気バルブ40が開いたとき、液滴のまま燃焼室28へ流入するおそれがある。そこで、制御装置11は、吸気バルブ40のリフト量が所定値以下となると、インジェクタ61、62からの燃料の噴射を停止する。したがって、吸気ポート261および吸気ポート262から燃焼室28への液滴状の燃料の流入が低減され、未燃焼のHCの排出を低減することができ、燃費を向上することができる。
第1実施形態の場合、インジェクタ61とインジェクタ62とはほぼ同一の燃料噴射特性を有している。すなわち、インジェクタ61とインジェクタ62とは、単位時間当たりの燃料の噴射量Q1、Q2がほぼ同一である。そのため、制御装置11は、図1(B)に示すように吸気バルブ40のリフト量、すなわち吸気ポート261、262の吸気の流量に応じて、インジェクタ61およびインジェクタ62の駆動期間t1、t2を変更する。インジェクタ61、62の駆動期間t1、t2が長いとき、すなわち制御装置11からインジェクタ61、62への駆動信号の出力期間が長いとき、インジェクタ61、62の開弁期間は長くなる。その結果、インジェクタ61、62からの燃料の噴射量q1、q2は増大する。一方、制御装置11からインジェクタ61、62への駆動信号の出力期間が短いとき、インジェクタ61、62の開弁期間は短くなる。その結果、インジェクタ61、62からの燃料の噴射量q1、q2は減少する。これらのように、インジェクタ61およびインジェクタ62への駆動信号の出力期間を制御することにより、インジェクタ61およびインジェクタ62からの燃料の噴射量q1、q2は制御される。
例えば、インジェクタ61およびインジェクタ62の単位時間当たりの燃料の噴射量はそれぞれQ1、Q2とする。第1実施形態の場合、Q1=Q2である。そして、図1(B)に示すように、インジェクタ61の駆動期間をt1とし、インジェクタ62の駆動期間t2とする。このとき、インジェクタ61からの燃料の噴射量q1は、q1=Q1×t1となる。また、インジェクタ62からの燃料の噴射量q2は、q2=Q2×t2となる。Q1=Q2であり、t1>t2であるので、q1>q2となる。したがって、インジェクタ61およびインジェクタ62の駆動期間を変更することにより、インジェクタ61から吸気ポート261への燃料の噴射量q1、およびインジェクタ62から吸気ポート262への燃料の噴射量q2を設定することができる。
以上説明したように、第1実施形態では、燃焼室28に連通する各吸気ポート261、262にそれぞれインジェクタ61、62が設置されている。そのため、インジェクタ61、62から噴射された燃料が、吸気ポート261と吸気ポート262とを隔てる壁部34に付着することを抑制でき、燃焼室28へ流入する。その結果、壁部34に付着した液滴状の燃料の燃焼室28への流入は低減され、燃料の不完全な燃焼は低減される。したがって、エンジン本体20から排出される未燃焼のHCは低減されるとともに、エンジン本体20の燃費を向上することができる。
また、第1実施形態では、燃焼室28に連通する各吸気ポート261、262を流れる吸気の流量を各吸気バルブ40のリフト量から検出している。そして、制御装置11は、各吸気ポート261、262を流れる吸気の流量に応じて各インジェクタ61、62からの燃料の噴射量q1、q2を制御している。そのため、各吸気ポート261、262に燃料を噴射する各インジェクタ61、62から過剰な燃料は噴射されない。これにより、過剰な燃料が吸気ポート261、262にとどまることが防止されるとともに、液滴となった燃料が燃焼室28へ流入することもない。その結果、燃料の不完全な燃焼は低減される。したがって、エンジン本体20から排出される未燃焼のHCは低減されるとともに、エンジン本体20の燃費を向上することができる。
また、第1実施形態では、制御装置11はインジェクタ61、62の駆動期間t1、t2の変更によってインジェクタ61、62からの燃料の噴射量q1、q2を制御している。したがって、簡単な構成で確実かつ精密に燃料の噴射量を制御することができる。
(第2実施形態)
本発明の第2実施形態による燃料噴射制御装置を適用したエンジンシステムについて説明する。なお、第1実施形態と同一の構成部位には同一の符号を付し、説明を省略する。
第2実施形態では、エンジン本体20の構成の概略は第1実施形態と同一である。第2実施形態では、図4に示すように各インジェクタ61、62の燃料噴射特性、すなわち各インジェクタ61、62の単位時間当たりの燃料の噴射量が相違している。インジェクタ61、62は、例えば噴孔611、621の大きさおよび数などにより、単位時間当たりの燃料の噴射量が異なる。第2実施形態の場合、インジェクタ61の単位時間当たりの燃料の噴射量はQ3であり、インジェクタ62の単位時間当たりの燃料の噴射量はQ4である。
本発明の第2実施形態による燃料噴射制御装置を適用したエンジンシステムについて説明する。なお、第1実施形態と同一の構成部位には同一の符号を付し、説明を省略する。
第2実施形態では、エンジン本体20の構成の概略は第1実施形態と同一である。第2実施形態では、図4に示すように各インジェクタ61、62の燃料噴射特性、すなわち各インジェクタ61、62の単位時間当たりの燃料の噴射量が相違している。インジェクタ61、62は、例えば噴孔611、621の大きさおよび数などにより、単位時間当たりの燃料の噴射量が異なる。第2実施形態の場合、インジェクタ61の単位時間当たりの燃料の噴射量はQ3であり、インジェクタ62の単位時間当たりの燃料の噴射量はQ4である。
第2実施形態では、一つの燃焼室28に二本の吸気ポート261、262が連通している。このとき、吸気の流量が大きな主となる吸気ポート261と、吸気の流量が小さな従となる吸気ポート262とが設定される場合がある。主となる吸気ポート261に設置されるインジェクタ61は、単位時間当たりの燃料の噴射量Q3が大きく設定されている。一方、従となる吸気ポート262に設置されるインジェクタ62は、単位時間当たりの燃料の噴射量Q4が小さく設定されている。すなわち、Q3>Q4である。
制御装置11は、図4(B)に示すようにインジェクタ61の駆動期間t3およびインジェクタ62の駆動期間t4をほぼ同一に設定する。これにより、インジェクタ61からの燃料の噴射量q3は、q3=Q3×t3となる。また、インジェクタ62からの燃料の噴射量q4は、q4=Q4×t4となる。このとき、Q3>Q4であるため、t3=t4であっても、q3>q4となる。そのため、各インジェクタ61、62からの燃料の噴射量q3、q4は、吸気ポート261、262を流れる吸気の流量に応じて設定される。したがって、エンジン本体20から排出される未燃焼のHCは低減されるとともに、エンジン本体20の燃費を向上することができる。
また、第2実施形態では、制御装置11は、燃料噴射特性の異なるインジェクタ61、62により、駆動期間t3と駆動期間t4とを同一に設定し燃料を噴射することによって各インジェクタ61、62からの燃料の噴射量q3、q4を制御している。したがって、簡単な構成で確実かつ精密に燃料の噴射量を制御することができる。
なお、第1実施形態と第2実施形態とを組み合わせて、すなわち燃料噴射特性の異なるインジェクタ61、62の単位時間当たりの燃料の噴射量Q3、Q4と、駆動期間t3、t4とをいずれも変更することにより、燃料の噴射量q3、q4を制御する構成としてもよい。
なお、第1実施形態と第2実施形態とを組み合わせて、すなわち燃料噴射特性の異なるインジェクタ61、62の単位時間当たりの燃料の噴射量Q3、Q4と、駆動期間t3、t4とをいずれも変更することにより、燃料の噴射量q3、q4を制御する構成としてもよい。
(第3実施形態)
本発明の第3実施形態による燃料噴射制御装置を適用したエンジンシステムについて説明する。なお、第1実施形態と同一の構成部位には同一の符号を付し、説明を省略する。
第3実施形態では、図5に示すように一つの燃焼室28に連通する二本の吸気ポート261、262の内径が異なっている。すなわち、吸気ポート261の内径D1は、吸気ポート262の内径D2よりも大きい。この場合、インジェクタ61およびインジェクタ62から噴射される燃料の噴射角θ1、θ2が同一であると、内径が小さな吸気ポート262に設置されたインジェクタ62から噴射された燃料の噴霧は、吸気ポート262を形成する壁面35に付着するおそれがある。インジェクタ62から噴射された燃料の噴霧が吸気ポート262を形成する壁面35に付着すると、付着した燃料は液滴となって壁面35に沿って燃焼室28へ流入する。その結果、燃焼室28における燃料の燃焼が不完全となるおそれがある。
本発明の第3実施形態による燃料噴射制御装置を適用したエンジンシステムについて説明する。なお、第1実施形態と同一の構成部位には同一の符号を付し、説明を省略する。
第3実施形態では、図5に示すように一つの燃焼室28に連通する二本の吸気ポート261、262の内径が異なっている。すなわち、吸気ポート261の内径D1は、吸気ポート262の内径D2よりも大きい。この場合、インジェクタ61およびインジェクタ62から噴射される燃料の噴射角θ1、θ2が同一であると、内径が小さな吸気ポート262に設置されたインジェクタ62から噴射された燃料の噴霧は、吸気ポート262を形成する壁面35に付着するおそれがある。インジェクタ62から噴射された燃料の噴霧が吸気ポート262を形成する壁面35に付着すると、付着した燃料は液滴となって壁面35に沿って燃焼室28へ流入する。その結果、燃焼室28における燃料の燃焼が不完全となるおそれがある。
そこで、第3実施形態では、吸気ポート261、262の内径に応じて、インジェクタ61の噴射角θ1とインジェクタ62の噴射角θ2とを設定している。これにより、内径が大きな吸気ポート261に設置されたインジェクタ61からは噴射角の大きなθ1の噴霧が形成され、内径が小さな吸気ポート262に設置されたインジェクタ62からは噴射角の小さなθ2の噴霧が形成される。これらの結果、インジェクタ61およびインジェクタ62から噴射された燃料が吸気ポート261および吸気ポート262を形成する壁面に付着することを抑制できる。したがって、エンジン本体20から排出される未燃焼のHCは低減されるとともに、エンジン本体20の燃費を向上することができる。
(第4実施形態)
本発明の第4実施形態による燃料噴射制御装置を適用したエンジンシステムについて説明する。なお、第4実施形態による燃料噴射制御装置は、構成自体は上述の第1実施形態から第3実施形態と同一であるので説明は省略し、燃料噴射制御について説明する。
第4実施形態では、インジェクタ61、62はそれぞれ単位時間当たりの燃料の噴射量および噴射期間が異なっている。インジェクタ61は、インジェクタ62に比較して単位時間当たりの燃料の噴射量が大きく設定されている。これにより、例えばエンジン本体20の始動直後などの場合、制御装置11は単位時間当たりの燃料の噴射量が小さなインジェクタ62から燃料を噴射させる。エンジン本体20の始動直後などの場合、吸気バルブ40が吸気ポート261、262を一旦閉じてから再び開くまでの間にインジェクタ62から燃料が噴射される。そのため、吸気バルブ40が吸気ポート261、262を閉じてから開くまでの期間は比較的長い。その結果、単位時間当たりの燃料の噴射量が小さなインジェクタ62から比較的長期間燃料が噴射される。これにより、燃料の微粒化を促進しつつ、必要な燃料量が確保される。
本発明の第4実施形態による燃料噴射制御装置を適用したエンジンシステムについて説明する。なお、第4実施形態による燃料噴射制御装置は、構成自体は上述の第1実施形態から第3実施形態と同一であるので説明は省略し、燃料噴射制御について説明する。
第4実施形態では、インジェクタ61、62はそれぞれ単位時間当たりの燃料の噴射量および噴射期間が異なっている。インジェクタ61は、インジェクタ62に比較して単位時間当たりの燃料の噴射量が大きく設定されている。これにより、例えばエンジン本体20の始動直後などの場合、制御装置11は単位時間当たりの燃料の噴射量が小さなインジェクタ62から燃料を噴射させる。エンジン本体20の始動直後などの場合、吸気バルブ40が吸気ポート261、262を一旦閉じてから再び開くまでの間にインジェクタ62から燃料が噴射される。そのため、吸気バルブ40が吸気ポート261、262を閉じてから開くまでの期間は比較的長い。その結果、単位時間当たりの燃料の噴射量が小さなインジェクタ62から比較的長期間燃料が噴射される。これにより、燃料の微粒化を促進しつつ、必要な燃料量が確保される。
一方、例えばWOT状態などエンジン本体20の負荷が大きい場合、制御装置11は単位時間当たりの燃料の噴射量が大きなインジェクタ61から燃料を噴射させる。例えばエンジン本体20の負荷が大きい場合、吸気バルブ40が吸気ポート261、262を開いている間にインジェクタ61から燃料が噴射される。そのため、吸気バルブ40が吸気ポート261、262を開いている間、すなわちインジェクタ61からの燃料の噴射期間は短い。その結果、単位時間当たりの燃料の噴射量が大きなインジェクタ61から比較的短期間燃料が噴射される。これにより、燃焼室28にインジェクタ61から噴射された燃料が直接流入し、燃焼室28の温度を低下させる。また、単位時間当たりの噴射量を大きくすることにより、必要な燃料量が確保される。
以上のように第4実施形態では、インジェクタ61とインジェクタ62とは単位時間当たりの燃料の噴射量が異なっている。制御装置11は、インジェクタ61およびインジェクタ62からの燃料の噴射期間を制御することにより、例えばエンジン本体20のエンジン始動直後のように、エンジン本体20始動からの時間が短く、エンジン本体20の温度が低いとき、あるいはエンジン本体20がアイドル状態のとき、単位時間当たりの燃料の噴射量が小さなインジェクタ62から燃料を長期間噴射させる。一方、制御装置11は、例えばWOT状態などエンジン本体20の負荷が大きなとき、単位時間当たりの燃料の噴射量が大きなインジェクタ61から燃料を短期間噴射させる。したがって、例えばアイドル状態などのように低負荷時のエンジン始動のHCの低減と、高負荷時の出力向上とを両立することができる。
(第5実施形態)
本発明の第5実施形態による燃料噴射制御装置を適用したエンジンシステムについて説明する。なお、第5実施形態による燃料噴射制御装置は、構成自体は上述の第1実施形態から第3実施形態と同一であるので説明は省略し、燃料噴射制御について説明する。
第5実施形態では、インジェクタ61、62ごとに単位時間当たりの燃料噴射回数を制御している。第5実施形態のように複数の吸気バルブ40を有するエンジン本体20の場合、エンジン本体20の負荷が小さい条件では、吸気バルブ40を閉じた後に、少なくとも一つの吸気バルブ40を再度開閉させて、少量の空気を燃焼室28へ供給することがある。これにより、燃焼室28内における空気流動を強め、燃焼室28の燃焼を改善し、燃費の向上が図られる。しかし、少なくとも一つの吸気バルブ40を開閉させる場合、一本のインジェクタから燃料を噴射すると、閉じている吸気バルブ40側にも燃料が流入する。そのため、閉じている吸気バルブ40側の吸気ポート261、262の内部に燃料がとどまり、とどまった燃料は吸気バルブ40が開くと液状のまま燃焼室へ流入する。
本発明の第5実施形態による燃料噴射制御装置を適用したエンジンシステムについて説明する。なお、第5実施形態による燃料噴射制御装置は、構成自体は上述の第1実施形態から第3実施形態と同一であるので説明は省略し、燃料噴射制御について説明する。
第5実施形態では、インジェクタ61、62ごとに単位時間当たりの燃料噴射回数を制御している。第5実施形態のように複数の吸気バルブ40を有するエンジン本体20の場合、エンジン本体20の負荷が小さい条件では、吸気バルブ40を閉じた後に、少なくとも一つの吸気バルブ40を再度開閉させて、少量の空気を燃焼室28へ供給することがある。これにより、燃焼室28内における空気流動を強め、燃焼室28の燃焼を改善し、燃費の向上が図られる。しかし、少なくとも一つの吸気バルブ40を開閉させる場合、一本のインジェクタから燃料を噴射すると、閉じている吸気バルブ40側にも燃料が流入する。そのため、閉じている吸気バルブ40側の吸気ポート261、262の内部に燃料がとどまり、とどまった燃料は吸気バルブ40が開くと液状のまま燃焼室へ流入する。
そこで、第5実施形態では、インジェクタ61、62ごとに単位時間当たりの燃料噴射回数を制御している。例えば吸気バルブ40が開閉し、いずれか一方が再び開閉するまでの期間に、インジェクタ61またはインジェクタ62から燃料が噴射される回数は異なる。そのため、吸気バルブ40のいずれか一方が再び開閉するとき、閉じられた状態を維持する吸気ポート261または吸気ポート262には燃料が噴射されない。その結果、吸気バルブ40が閉じられている側の吸気ポート261または吸気ポート262にとどまる燃料は低減される。これにより、液状の燃料が燃焼室28へ流入することが低減される。したがって、燃費の向上および排出されるHCの低減を図ることができる。
(第6実施形態)
本発明の第6実施形態による燃料噴射制御装置を適用したエンジンシステムについて説明する。なお、第1実施形態と同一の構成部位には同一の符号を付し、説明を省略する
上述した第1実施形態から第3実施形態では、インジェクタ61を吸気ポート261に配置し、インジェクタ62を吸気ポート262に配置し、各インジェクタ61、62はいずれも二本の吸気ポート261、262の分岐部263よりも燃焼室28側に配置する零について説明した。しかし、図6に示すように、二本のインジェクタ61、62は、分岐部263よりも燃焼室28とは反対側に配置してもよい。すなわち、インジェクタ61、62は、第1実施形態から第3実施形態に説明したように、分岐部263よりも燃焼室28側の吸気バルブ40に近接して配置してもよいし、分岐部263よりも燃焼室28とは反対側の吸気バルブ40から遠ざかった位置に配置してもよい。
本発明の第6実施形態による燃料噴射制御装置を適用したエンジンシステムについて説明する。なお、第1実施形態と同一の構成部位には同一の符号を付し、説明を省略する
上述した第1実施形態から第3実施形態では、インジェクタ61を吸気ポート261に配置し、インジェクタ62を吸気ポート262に配置し、各インジェクタ61、62はいずれも二本の吸気ポート261、262の分岐部263よりも燃焼室28側に配置する零について説明した。しかし、図6に示すように、二本のインジェクタ61、62は、分岐部263よりも燃焼室28とは反対側に配置してもよい。すなわち、インジェクタ61、62は、第1実施形態から第3実施形態に説明したように、分岐部263よりも燃焼室28側の吸気バルブ40に近接して配置してもよいし、分岐部263よりも燃焼室28とは反対側の吸気バルブ40から遠ざかった位置に配置してもよい。
第6実施形態では、吸気ポート26を流れる吸気は、分岐部263において吸気ポート261と吸気ポート262とに分かれて流れる。そのため、吸気ポート26から分岐する吸気ポート261および吸気ポート262へ流入する吸気は、シリンダ23径方向において中心側から外周側、すなわちシリンダ23を形成するシリンダブロック21の内周壁231側へ流れを形成する。そのため、インジェクタ61およびインジェクタ62から噴射された燃料の噴霧は、矢印fで示す吸気の流れに沿って運ばれる。
第6実施形態の場合、インジェクタ61およびインジェクタ62は、それぞれ吸気バルブ40の中心軸よりもシリンダ23の中心軸側に配置されている。そのため、インジェクタ61およびインジェクタ62から噴射された燃料の噴霧は、矢印fで示す吸気の流れに運ばれても、吸気ポート261および吸気ポート262の中心付近すなわち吸気バルブ40の弁部42の中心付近から燃焼室28へ流入する。これにより、吸気ポート26から吸気ポート261および吸気ポート262へ吸気の流れが形成される場合でも、シリンダ23を形成するシリンダブロック21の内周壁231への燃料の付着は低減される。
シリンダブロック21の内周壁231に付着した燃料は、液状のまま燃焼室28にとどまり燃焼に寄与せず、不完全な燃焼および燃費の悪化を招く。一方、第6実施形態の場合、吸気バルブ40から遠ざかった位置にインジェクタ61およびインジェクタ62を配置しても、シリンダブロック21の内周壁231への燃料の付着が低減され、燃焼に寄与しない燃料が低減される。そのため、インジェクタ61およびインジェクタ62から噴射された燃料の不完全な燃焼が低減される。その結果、エンジン本体20外部への未燃焼の燃料の排出は低減される。したがって、エンジン本体20から排出される未燃焼のHCを低減することができる。また、インジェクタ61およびインジェクタ62から噴射された燃料は、液滴となることなく効率よく燃焼する。そのため、エンジン本体20に所定の出力を要求するとき、インジェクタ61およびインジェクタ62から噴射すべき燃料量は低減される。したがって、燃費を向上することができる。
(第7実施形態)
本発明の第7実施形態による燃料噴射制御装置を適用したエンジンシステムについて説明する。なお、第7実施形態による燃料噴射制御装置は、二本以上のインジェクタは、燃料の噴射角が異なっており、第一のインジェクタ61の燃料の噴射角は、吸気ポート261の内径に応じて設定され、第二のインジェクタ62の燃料の噴射角は、第一のインジェクタ61の燃料の噴射角よりも広角に設定されている。この構成以外は上述の第1実施形態から第3実施形態と同一であるので説明は省略し、燃料噴射制御について説明する。
本発明の第7実施形態による燃料噴射制御装置を適用したエンジンシステムについて説明する。なお、第7実施形態による燃料噴射制御装置は、二本以上のインジェクタは、燃料の噴射角が異なっており、第一のインジェクタ61の燃料の噴射角は、吸気ポート261の内径に応じて設定され、第二のインジェクタ62の燃料の噴射角は、第一のインジェクタ61の燃料の噴射角よりも広角に設定されている。この構成以外は上述の第1実施形態から第3実施形態と同一であるので説明は省略し、燃料噴射制御について説明する。
第7実施形態では、吸気バルブ40の閉弁時に燃料を噴射する場合、第一のインジェクタ61からの噴射量が第二のインジェクタ62からの噴射量よりも多くなるように噴射量を制御し、吸気バルブ40の開弁時に燃料を噴射する場合、第二のインジェクタ62からの噴射量が第一のインジェクタ61からの噴射量よりも多くなるように噴射量を制御している。
2つの吸気バルブ40を持つエンジンシステムにおいて、始動時、及びエンジン本体20の負荷が小さい条件では、吸気バルブ40の閉弁時に燃料を噴射する。その際、吸気ポート261の内径に応じて設定された噴射角を持つ第一のインジェクタ61から主に燃料を噴射することにより、吸気ポート261を形成する壁面への燃料の付着が低減され、液滴状の燃料が燃焼室28へ流入することが低減され、エンジン本体20の燃費の悪化の低減、およびエンジン本体20から排出される未燃焼のHCを低減することができる。またエンジン本体20の負荷が大きい条件では、吸気バルブ40の開弁時に燃料を噴射する。その際、吸気ポート261には吸気の流れが発生し、噴射された燃料はその流れに乗って燃焼室28内に流入するため、吸気ポート261、262の内径に応じた噴射角以上で噴射しても吸気ポート261の壁面に付着する燃料が低減される。インジェクタ62からの噴射角をより広角にすることができれば、噴霧同士の干渉が低減し微粒化が促進されるため、より吸気冷却効果を得ることができ、吸入空気量が増加し、出力を向上できる。よって吸気バルブ40の開弁時に燃料を噴射する際は、吸気ポート261、262内径に応じて設定された噴射角を持つインジェクタ61よりも、より広角に設定された噴射角を持つインジェクタ62から主に燃料を噴射すれば、エンジン本体20の燃費の悪化の低減、およびエンジン本体20から排出される未燃焼のHCを低減しつつ、出力を向上することができる。
(第8実施形態)
本発明の第8実施形態による燃料噴射装置を適用したエンジンシステムについて説明する。第8実施形態によるエンジンシステムは、上述の第6実施形態で説明したエンジンシステムにおける燃料噴射時期を制御するものである。
第1実施形態と同様に、図7に示す第8実施形態によるエンジンシステム10は、制御装置11を備えている。制御装置11は、各インジェクタ61、61に駆動信号を出力し、各インジェクタ61、62からの燃料噴射のタイミングを制御する。制御装置11は、リフトセンサ47、点火装置33、回転数センサ12、スロットルセンサ13および水温センサ14などに接続している。
本発明の第8実施形態による燃料噴射装置を適用したエンジンシステムについて説明する。第8実施形態によるエンジンシステムは、上述の第6実施形態で説明したエンジンシステムにおける燃料噴射時期を制御するものである。
第1実施形態と同様に、図7に示す第8実施形態によるエンジンシステム10は、制御装置11を備えている。制御装置11は、各インジェクタ61、61に駆動信号を出力し、各インジェクタ61、62からの燃料噴射のタイミングを制御する。制御装置11は、リフトセンサ47、点火装置33、回転数センサ12、スロットルセンサ13および水温センサ14などに接続している。
第8実施形態では、インジェクタ61は早期噴射インジェクタを構成し、インジェクタ62は後期噴射インジェクタを構成している。制御装置11は、早期噴射インジェクタであるインジェクタ61の噴射時期を、吸気バルブ40がリフトする前に設定している。すなわち、インジェクタ61からは、吸気バルブ40がリフトする前に燃料が噴射される。これにより、インジェクタ61から噴射された燃料は、吸気バルブ40のリフトによって燃焼室28へ吸気とともに吸入される。一方、制御装置11は、インジェクタ62の噴射時期を、インジェクタ61からの燃料の噴射が開始された後に設定している。すなわち、インジェクタ62からは、インジェクタ61からの燃料の噴射が開始された後に、燃料の噴射が開始される。
図7に示すように、インジェクタ61からの燃料の噴射が開始されたとき、インジェクタ62からはまだ燃料が噴射されない。また、このとき、吸気バルブ40は、吸気ポート261、262と燃焼室28との間を閉鎖している。そのため、吸気ポート261の内部では、インジェクタ61から噴射された燃料によって混合気が生成される。そして、インジェクタ61からの燃料の噴射が終了すると、吸気バルブ40は吸気ポート261を開放する。これにより、吸気ポート261の内部で生成された混合気は、吸気バルブ40の開放とともに、燃焼室28へ流入する。これと同時に、制御装置11は、インジェクタ62からの燃料の噴射を開始させる。
吸気ポート261の内部は、インジェクタ61から燃料が噴射されているため、吸気ポート262の内部に比較して圧力が高い。そのため、吸気ポート261および吸気ポート262の吸気バルブ40が開くと、圧力の高い吸気ポート261側の混合気は燃焼室28においてより強い気流を形成する。これにより、燃焼室28の内部では、圧力差によるスワール流が形成される。その結果、例えば点火装置33の近傍には、吸気ポート261から燃焼室28へ流入した燃料の濃度の高い噴霧が形成される。
上述のように、インジェクタ61からの燃料の噴射が開始された後、制御装置11はインジェクタ62からの燃料の噴射を開始する。そのため、エンジン本体20の出力の確保に必要な燃料量は、インジェクタ61、62から噴射される燃料によって確保される。その結果、例えばエンジン本体20がアイドル状態のとき、点火装置33の周囲に少ない燃料量で濃い混合気が形成される。したがって、燃焼室28に吸入される混合気の量が少ないときでも、少ない燃料で安定した燃焼を確保することができ、燃費の向上とともに、排出される未燃焼のHCの低減を図ることができる。
(変形例)
第8実施形態では、図7に示すようにインジェクタ61からの燃料の噴射が終了した後、インジェクタ62からの燃料の噴射が開始される例を説明した。しかし、図8に示すようにインジェクタ61からの燃料の噴射開始から噴射終了までの間に、インジェクタ62から燃料の噴射を開始する構成としてもよい。
第8実施形態では、図7に示すようにインジェクタ61からの燃料の噴射が終了した後、インジェクタ62からの燃料の噴射が開始される例を説明した。しかし、図8に示すようにインジェクタ61からの燃料の噴射開始から噴射終了までの間に、インジェクタ62から燃料の噴射を開始する構成としてもよい。
以上説明した本発明の第1実施形態から第5実施形態では、吸気ポート261、262の吸気の流量を吸気バルブ40のリフト量から検出する例について説明した。しかし、吸気ポート261、262にそれぞれ吸気流量センサを設置して、吸気ポート261、262を流れる吸気の流量を検出し、インジェクタ61、62からの燃料の噴射量を制御する構成としてもよい。
また、以上説明した複数の実施形態では、各実施形態を個別に適用する例について説明したが、複数の実施形態を組み合わせて適用してもよい。例えば第6実施形態で説明したインジェクタ61、62の配置形態に、第1実施形態から第5実施形態および第7実施形態の燃料噴射量の制御を組み合わせてもよい。また、例えば、逆に第1実施形態から第5実施形態におけるインジェクタ61、62の配置形態に、第8実施形態の燃料噴射時期の制御を組み合わせてもよい。
以上説明した本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の実施形態に適用可能である。
また、以上説明した複数の実施形態では、各実施形態を個別に適用する例について説明したが、複数の実施形態を組み合わせて適用してもよい。例えば第6実施形態で説明したインジェクタ61、62の配置形態に、第1実施形態から第5実施形態および第7実施形態の燃料噴射量の制御を組み合わせてもよい。また、例えば、逆に第1実施形態から第5実施形態におけるインジェクタ61、62の配置形態に、第8実施形態の燃料噴射時期の制御を組み合わせてもよい。
以上説明した本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の実施形態に適用可能である。
10:エンジンシステム、11:制御装置(燃料噴射制御装置、噴射量制御手段)、20:エンジン本体、26:吸気ポート、28:燃焼室、40:吸気バルブ、61、62:インジェクタ、261、262:吸気ポート
Claims (11)
- 燃焼室に連通する二本以上の吸気ポートと、二本以上の前記吸気ポートの端部にそれぞれ設けられ前記吸気ポートと前記燃焼室との間を開閉する吸気バルブと、を備えるエンジンの燃料噴射制御装置であって、
二本以上の前記吸気ポートにそれぞれ設けられ、前記吸気ポートを流れる吸気に燃料を噴射するインジェクタと、
前記インジェクタごとに燃料の噴射量を制御する噴射量制御手段と、
を備え、
前記噴射量制御手段は、少なくとも1つの前記吸気バルブが前記吸気ポートと前記燃焼室との間を閉塞し、他の前記吸気バルブが前記吸気ポートと前記燃焼室との間を開閉しているとき、閉塞された前記吸気ポートに設けられた前記インジェクタからの燃料の噴射を停止する燃料噴射制御装置。 - 前記噴射量制御手段は、各前記吸気ポートを流れる吸気の流量に応じて前記インジェクタによる燃料の噴射量を制御する請求項1記載の燃料噴射制御装置。
- 前記噴射量制御手段は、各前記吸気バルブのリフト量に応じて前記インジェクタによる燃料の噴射量を制御する請求項1記載の燃料噴射制御装置。
- 前記噴射量制御手段は、前記吸気バルブのリフト量が所定値以下のとき、そのリフト量が所定値以下となる吸気ポートに設けられている前記インジェクタからの燃料の噴射を停止する請求項3記載の燃料噴射制御装置。
- 二本以上の前記インジェクタは、それぞれ単位時間当たりの燃料の噴射量が概ね同一であり、
前記噴射量制御手段は、各前記インジェクタからの燃料の噴射期間を制御する請求項1から4のいずれか一項記載の燃料噴射制御装置。 - 二本以上の前記インジェクタは、それぞれ単位時間当たりの燃料の噴射量が異なり、
前記噴射量制御手段は、各前記インジェクタからの燃料の噴射期間を概ね同一に制御する請求項1から4のいずれか一項記載の燃料噴射制御装置。 - 二本以上の前記インジェクタは、それぞれ単位時間当たりの燃料の噴射量、および燃料の噴射期間が異なり、
前記噴射量制御手段は、前記エンジンの運転状態に応じて前記インジェクタから噴射する燃料の噴射量および噴射期間を制御する請求項1から4のいずれか一項記載の燃料噴射制御装置。 - 前記噴射量制御手段は、
前記エンジンの始動から所定期間内であって前記エンジンの温度が所定値以下のとき、単位時間当たりの燃料の噴射量が小さなインジェクタから、前記吸気バルブが前記吸気ポートを開くまで燃料を噴射し、
前記エンジンの負荷が所定値以上のとき、単位時間当たりの燃料の噴射量が大きなインジェクタから前記吸気バルブが前記吸気ポートを開いている間に燃料を噴射する請求項7記載の燃料噴射制御装置。 - 前記噴射量制御手段は、二本以上の前記インジェクタからの単位時間当たりの燃料噴射回数を制御する請求項1から4のいずれか一項記載の燃料噴射制御装置。
- 二本以上の前記吸気ポートは、それぞれ内径が異なり、
各前記インジェクタからの燃料の噴射角は、各前記吸気ポートの内径に応じて設定されている請求項1から9のいずれか一項記載の燃料噴射制御装置。 - 二本以上の前記インジェクタは、前記吸気ポートの内径に応じて設定された噴射角を有する第一のインジェクタと、前記第一のインジェクタの噴射角よりも広角な噴射角を有する第二のインジェクタとを含み、
前記噴射量制御手段は、前記吸気バルブの閉弁時に噴射する場合には前記第一のインジェクタからの噴射量が前記第二のインジェクタからの噴射量よりも多くなるよう噴射量を制御し、前記吸気バルブの開弁時に噴射する場合には前記第二のインジェクタからの噴射量が前記第一のインジェクタからの噴射量よりも多くなるよう噴射量を制御する請求項1から10のいずれか一項記載の燃料噴射制御装置。
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