(第1実施形態)
本発明の第1実施形態に係る画像形成装置の一例について説明する。
(全体構成)
図1には、本発明の実施形態の一例としての画像形成装置10が示されている。画像形成装置10は、現像剤像の一例としてのトナー像Tが形成される画像形成部12と、記録媒体の一例としての記録用紙Pを供給し搬送する用紙供給部18と、保持した記録用紙P上に画像形成部12で形成したトナー像Tを転写する転写装置14と、転写装置14から解放された記録用紙P上のトナー像Tを定着する定着装置16と、画像形成装置10の全体(各部)の動作を制御する制御部20と、を有している。また、画像形成装置10の各構成部材は、本体を構成する筐体11の内部に収容されており、筐体11の上部には、定着装置16から排出された記録用紙Pを積載する排紙積載部42が設けられている。
筐体11は、後述する転写ドラム30を除く他の部材、部位が設けられた装置本体の一例としての本体部11Aと、転写ドラム30を回転可能に支持するとともに本体部11Aに対して相対移動可能に設けられた移動部11Bと、を含んで構成されている。
移動部11Bは、転写ドラム30を後述する回転軸31Aの軸方向(以後、Z方向という)に見て、転写ドラム30の中心から外周面よりも外側まで延びた半円形状の側板を含んで構成されており、転写ドラム30がベアリング(図示省略)により回転可能に設けられている。また、移動部11Bの転写ドラム30よりも下側で且つ本体部11Aに近い部位には、Z方向を軸方向とする円柱状の連結部材13が取り付けられている。さらに、移動部11Bの転写ドラム30よりも上側の部位には、Z方向に貫通するとともに定着装置16側から転写ドラム30側へ向けて湾曲した円弧状の案内孔15が形成されている。
一方、本体部11Aには、連結部材13を回転可能に支持するベアリング(図示省略)が設けられている。また、本体部11Aには、定着装置16側から転写ドラム30の上方へ向けて水平に張り出した張出部17が形成されている。張出部17には、Z方向を軸方向とする円柱状のピン19の一端が固定されている。そして、ピン19の他端が、移動部11Bの案内孔15に挿入されている。
ここで、図2(A)、(B)に示すように、移動部11Bを手前側(図示の左側)に動かすと、移動部11Bは、連結部材を中心として円弧状に移動する。そして、移動部11Bは、案内孔15の孔壁がピン19に案内されながら移動し、案内孔15の孔壁の定着装置16に近い側の端面がピン19と接触することで移動を規制されて止まる。このときの転写ドラム30の位置を退避位置という(図2(B)に示す位置)。また、転写ドラム30の外周面が感光体ドラム22の外周面と接触するときの転写ドラム30の位置を対向位置という(図2(A)に示す位置)。
図1に示すように、画像形成部12は、本体部11Aに回転可能に設けられた像保持体の一例としての感光体ドラム22と、感光体ドラム22を帯電させる帯電装置24と、帯電された感光体ドラム22を露光する露光装置26と、現像剤の一例としてのトナー(図示省略)を用いて現像を行う現像装置28と、転写後に感光体ドラム22上に残ったトナーを清掃する清掃装置46と、を含んで構成されている。
感光体ドラム22は、表面(外周面)に一例として負の帯電極性を有する感光層22Aを備えるとともに、モータを含む駆動手段(図示省略)によって矢印A方向(図示の時計回り方向)に回転するように設けられている。また、感光体ドラム22の外径は、一例として30mmとなっている。さらに、感光体ドラム22は接地されている。そして、帯電装置24、露光装置26、現像装置28、清掃装置46は、感光体ドラム22の感光層22A(外周面)と対向して矢印A方向に沿って、この順番で設置されている。
帯電装置24は、一例として、接触ローラ型の放電装置であり、電圧印加手段(図示省略)により電圧が印加され、接地された感光体ドラム22との間で電位差が生じることにより放電するようになっている。そして、帯電装置24は、感光体ドラム22とともに回転しながら感光体ドラム22を帯電させる。
露光装置26は、画像データ処理部(図示省略)から送られた画像データ(画像情報)に基づいて感光体ドラム22の帯電表面に光を照射することで、静電潜像を形成する構成となっている。また、露光装置26は、一例として、複数配置された光源としてのLED(図示省略)と屈折率分布型レンズ(図示省略)とを含んで構成されている。
現像装置28は、全体が円柱状のロータリー型の現像装置であり、感光体ドラム22の回転軸(図示省略)と軸方向を揃えられた回転軸28Aと、回転軸28Aの周囲に中心角90°毎に設置されたイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の現像器28Y、28M、28C、28Kとを有している。また、現像装置28は、本体部11Aに対して着脱可能に設けられている。さらに、現像装置28は、回転軸28Aを中心として矢印C方向(図示の時計回り方向)に回転するように構成されている。
なお、カラー画像(多色画像)ではなく単色画像のみを形成する場合には、現像装置28を単色の現像器のみ(一例として黒(K)の現像器28Kのみ)を有する現像装置と交換してもよい。そして、現像装置28は、感光体ドラム22の外周面と対向する位置において、現像器28Y、28M、28C、28Kのうちいずれかが停止するようになっている。このようにして、現像装置28は、露光装置26によって形成された感光体ドラム22上の静電潜像をトナーを用いて現像するようになっている。現像装置28の外径は、一例として、100mmとなっている。
現像器28Y、28M、28C、28Kには、一例として、磁性トナーまたは非磁性トナーを単独で用いる1成分現像剤(図示省略)が収容されている。なお、本実施形態では一例として1成分現像剤を用いているが、トナー及びキャリアを含む2成分現像剤を用いてもよい。また、以後の説明では、1成分現像剤を単に現像剤という。
清掃装置46は、一例として、ブレード方式のクリーナで構成されており、感光体ドラム22の表面(外周面)に残った転写後の現像剤や現像剤以外の付着物をブレードで除去するようになっている。
筐体11内には、後述する用紙収容部18Aから記録用紙Pを転写部位Trに供給するための搬送経路の一例としての供給経路40と、トナー像Tが転写された記録用紙Pを定着装置16を介して排紙積載部42に排出するための排出経路41とが設けられている。また、本実施形態では、後述する転写ドラム30に向けて供給されてくる記録用紙Pが、後述する先端グリッパ32及び後端グリッパ34によって転写ドラム30に巻き付けられた状態で回転することになる。
一方、用紙供給部18は、画像形成装置10の下方、具体的には、詳細を後述する転写ドラム30の下方に備えられ記録用紙Pを内部に収容する用紙収容部18Aと、用紙収容部18Aから記録用紙Pを取り出す取出しロール18Bと、を有している。さらに、用紙供給部18は、密着した記録用紙Pを分離する分離ロール(図示省略)と、供給経路40に設けられ記録用紙Pを設定されたタイミングで搬送するための位置合せセンサ18Cと、記録用紙Pを搬送する搬送ロール18Dと、を有している。
また、供給経路40付近には用紙検知センサ36が設けられている。用紙検知センサ36は、供給経路40を挟んで転写ドラム30の外周面と対向して配置されており、転写ドラム30に巻き付けられて搬送される記録用紙Pの通過を検知する。詳細には、用紙検知センサ36は、近赤外光を転写ドラム30の外周面に向けて出射する。そして、転写ドラム30の外周面あるいは転写ドラム30に保持される記録用紙Pからの反射光(近赤外光)を受光する。そして、この反射光の光量の変化を検知することによって、記録用紙Pの搬送方向の先端及び搬送方向の後端が通過したことが検出される。
なお、用紙検知センサ36は、後述する後端グリッパ34の待機位置よりも記録用紙Pの搬送方向の上流側に設けられている。本実施形態では一例として、用紙検知センサ36は、後端グリッパ34の待機位置と、記録用紙Pの後述する給紙位置Paとの間に配置されている。さらに、用紙検知センサ36は、転写ドラム30の軸方向端部の外周面に設けられたマーク(図示省略)を検知することで、回転する転写ドラム30の回転位置も測定するようになっている。
排出経路41に隣接して転写部位Trよりも下流側の位置には、剥離部材45が設けられている。剥離部材45は、転写部位Trに向けて楔形に形成された剥離部45Aと、排出経路41に沿って配置され記録用紙Pを案内する平面状の案内部45Bとを有している。これにより、転写部位Trを通過した記録用紙Pの先端が、再度、転写ドラム30に巻き付こうとしても、剥離部材45との接触により排出経路41側へ案内され、記録用紙Pが転写ドラム30から剥離されるようになっている。
定着装置16は、排出経路41に設けられており、一例として、ハロゲンランプで構成された加熱源(図示省略)を内側に備え回転可能に配置された加熱ロール16Aと、加熱ロール16Aと軸方向を揃えて回転可能に設けられ加熱ロール16Aの外周面に記録用紙Pを押し付ける加圧ロール16Bとを有している。また、記録用紙Pの搬送方向で定着装置16よりも下流側には、排出ロール44が設けられている。
(要部構成)
次に、転写装置14について説明する。
図1に示すように、転写装置14は、記録用紙Pを保持する記録媒体搬送体の一例としての転写ドラム30と、転写ドラム30を回転させる転写ドラム駆動部(図示省略)と、転写ドラム30の外周面と対向する感光体ドラム22上のトナー像Tを、転写ドラム駆動部の回転で搬送される記録用紙Pに転写する転写手段の一例としての転写バイアス印加部33と、を有している。また、転写装置14は、記録用紙Pが通過することを検知する用紙検知センサ36を含んでいる。
転写ドラム30は、円筒状で外周面31Eに記録用紙Pが巻き付けられる筒部31と、記録用紙Pの先端部を把持する把持部の一例としての先端グリッパ32と、記録用紙Pの後端部を保持する保持部の一例としての後端グリッパ34と、を含んで構成されている。また、画像形成装置10内には、供給経路40に干渉しないように後端グリッパ34からの転写ドラム30の離間を許容する許容手段の一例としての連結構造100が設けられている。なお、連結構造100の詳細は後述する。
筒部31は、外周面31Eが感光体ドラム22の外周面と対向し且つ回転軸31Aを中心に回転可能に設けられており、本体部11Aに対して着脱(相対移動)可能となっている。また、筒部31は、円筒状の基部31Bと、基部31Bの外周面に形成された弾性層31Cと、を有している。詳細には、弾性層31Cは、記録用紙Pの搬送方向における先端である先端部BLから記録用紙Pの搬送方向における後端である後端部BTまで、基部31Bの外周に沿って延伸している。そして、筒部31には、径方向に窪んで基部31Bが露出する切欠部31Dが形成されている。
また、筒部31は、弾性層31Cが弾性変形して感光体ドラム22とニップ部を形成する状態で、感光体ドラム22の回転に対して僅かな周速差で矢印B方向(図示の反時計回り方向)に回転するように設けられている。ここで、感光体ドラム22の回転軸(図示省略)は本体部11Aに回転可能に支持され、筒部31の回転軸31Aは移動部11Bに回転可能に支持されている。そして、感光体ドラム22と筒部31との回転軸間の距離は維持されるように配置されている。筒部31の外径は、一例として、感光体ドラム22の外径よりも大きく、120mmとなっている。
筒部31の基部31Bは、一例として、導電性を有する中空管であり、金属製である。また、弾性層31Cは、半導電性を有する弾性部材でポリウレタン、クロロプレン、EPDM(エチレン・プロピレンゴム)、NBR(ニトリルゴム)などのゴム製であり、一例として、ポリウレタンを用いている。なお、弾性層31Cの外周表面には誘電体シートのような誘電体は設けられていない。そして、筒部31の周長(弾性層31Cの周長)は、画像形成装置10によって記録用紙Pに形成される画像の、記録用紙Pの搬送方向における長さの最大長(プリント最大長)よりも長くなっている。
ここで、基部31Bは、転写バイアス印加部33からトナーの極性とは逆極性の電圧からなる転写バイアスが印加されるようになっている。これにより、接地された感光体ドラム22と転写ドラム30(基部31B)との間に電位差が生じ、感光体ドラム22上のトナー像Tが、転写部位Trにおいて弾性層31C上の記録用紙Pに転写される。なお、転写部位Trとは、感光体ドラム22と転写ドラム30とが対向(対峙)する領域であって、感光体ドラム22上のトナー像Tを弾性層31C上の記録用紙Pに転写するため、感光体ドラム22と転写ドラム30とが接触し得る領域をいう。
先端グリッパ32及び後端グリッパ34は、転写ドラム30とともに回転可能となっており、転写ドラム30上で記録用紙Pを保持するように構成されている。ここでは、先端グリッパ32及び後端グリッパ34の詳細について説明する。
図3(A)、(B)に示すように、転写ドラム30上において、記録用紙Pの搬送方向(矢印B)の先端部(図3(A)における記録用紙Pの左側の端部)を先端グリッパ32が把持しており、記録用紙Pの搬送方向の後端部(図3(A)における記録用紙Pの右側の端部)を後端グリッパ34が保持している。そして、先端グリッパ32は、転写ドラム30に対して固定されている。
また、後端グリッパ34は、転写ドラム30とは別体として設けられており、転写ドラム30の周方向における後端グリッパ34の位置を変更可能となっている。ここで、先端グリッパ32は、記録用紙Pを把持したとき、記録用紙Pの搬送方向へのずれを許容せず、かつ転写ドラム30から離れる方向の移動を制限する。一方、後端グリッパ34は、記録用紙Pを保持したとき、記録用紙Pの搬送方向へのずれを許容し、かつ転写ドラム30から離れる方向の移動を制限する。なお、転写ドラム30が停止している状態において、後端グリッパ34が、給紙位置Paと転写部位Tr(図1参照)との間で転写ドラム30の外周と対向する位置を初期位置(待機位置)という。また、初期位置では、後端グリッパ34が転写ドラム30に対して離間配置されているので、初期位置は、後述する後端グリッパ34の離間位置とも言える。
(先端グリッパ)
次に、先端グリッパ32について説明する。
図3(B)に示すように、先端グリッパ32は、転写ドラム30の切欠部31Dにおいて、筒部31に一端が連結されており、他端が筒部31に対して相対移動することで、筒部31との間に進入する記録用紙Pを把持するようになっている。
詳細には、先端グリッパ32は、一例として、ステンレス鋼(SUS)で構成されており、弾性層31Cの後端部BTと先端部BLとの間に設けられている。そして、先端グリッパ32は、先端グリッパ32の開閉状態に関わらず感光体ドラム22(図1参照)と接触しないように構成されている。また、筒部31のZ方向両端部には、Z方向外側へ向けて突出した円柱状のピン62が設けられており、先端グリッパ32が、ピン62を中心として円弧状に移動可能(揺動可能)に支持されている。
さらに、先端グリッパ32は、筒部31に一端が固定された引張りばね(図示省略)の他端が連結されている。これにより、先端グリッパ32は、引張りばねの引張力で弾性層31Cの先端部BLに近づき、先端部BLとともに記録用紙Pを把持するようになっている。
一方、先端グリッパ32は、図示を省略するが、ピン62に連結された部位からさらに筒部31の内側へ延出されている。そして、この延出部分には、引張ばね(図示省略)と同じ側にソレノイド(図示省略)が設けられている。ここで、ソレノイドの動作で延出部分が引張ばねを伸ばす方向に移動することで、引張りばねの引張力が作用している状態でも、先端グリッパ32が開放状態で保持されるようになっている。また、先端グリッパ32は、記録用紙Pの搬送方向の下流側に向けて開放するようになっている。なお、ソレノイドが元の位置へ移動したときは、引張りばねの引張力によって先端グリッパ32が閉じることになる。このようにして、先端グリッパ32の開閉が行われる。
(後端グリッパ)
次に、後端グリッパ34について説明する。
図4(A)、(B)に示すように、後端グリッパ34は、Z方向において転写ドラム30を跨ぐように(コ字状に)設けられている。また、後端グリッパ34は、Z方向に沿った軸方向を有する円盤状の軸部34A及び軸部34Bが、Z方向の両端部に設けられている。軸部34A及び軸部34Bには、径方向の内側にベアリング35A、35Bが取り付けられている。そして、ベアリング35A、35Bに回転軸31Aが挿入されることで、後端グリッパ34が、回転軸31Aの周囲を転写ドラム30に対して独立に回転するようになっている。
詳細には、後端グリッパ34は、転写ドラム30の外周面31Eに対向して記録用紙Pを保持する矩形状の用紙保持部34Cと、転写ドラム30のZ方向両端部で外周面31Eに沿って後端グリッパ34と一体に周方向に移動可能に設けられた環状部材101A、101Bと、環状部材101A、101Bに一端が連結されることで用紙保持部34Cを転写ドラム30に連結する連結部材102A、102Bと、を有している。なお、連結部材102A、102Bの詳細は後述する。
さらに、後端グリッパ34は、転写ドラム30の径方向で連結部材102A、102Bよりも内側に配置されるとともに該径方向に移動可能に設けられた昇降部34D、34Eと、昇降部34D、34Eを昇降させる押上部材39A、39Bと、筒部31よりも内側に設けられ昇降部34D、34Eを径方向内側へ付勢するスプリング37A、37Bと、有している。
用紙保持部34Cは、転写ドラム30の回転軸31Aに沿って延伸し、画像形成装置10(図1参照)で使用することのできる記録用紙Pの最大の幅(記録用紙Pが転写ドラム30の外周面に巻き付けられたときのZ方向の長さ)よりも長くなっている。なお、用紙保持部34Cは、転写部位Tr(図1参照)において感光体ドラム22と接触することから、厚みが薄く角部を持たないことが望ましい。
また、用紙保持部34Cは、フィルム状、ワイヤ状、円柱状等のいずれの形状であってもよい。さらに、用紙保持部34Cは、例えばPET(ポリエチレンテレフタレート)、ポリイミド、フッ素系樹脂などの樹脂で構成される。ここでは一例として、用紙保持部34Cがポリイミドで構成されている。
昇降部34D、34Eは、画像形成装置10(図1参照)で使用可能な記録用紙Pの最大の幅よりも長い間隔を隔てて対向配置され、転写ドラム30の径方向に延伸している。また、昇降部34D、34Eは、筒部31を径方向に貫通する貫通孔31F、31G内に配置されている。そして、昇降部34D、34Eは、回転軸31Aの径方向外側へ移動して連結部材102A、102Bを押し上げ、又は回転軸31Aの径方向内側へ移動して連結部材102A、102Bを下降させるようになっている。
押上部材39A、39Bは、軸部34A、34BをZ方向に貫通した貫通孔34F、34Gに挿入された板状の部材であり、昇降部34D、34Eとともに回転軸31Aの周囲を回転可能に設けられている。また、押上部材39A、39Bは、ソレノイド(図示省略)を駆動させることにより、Z方向に移動可能に設けられている。そして、押上部材39A、39BがZ方向に(互いに逆方向に)移動することにより、昇降部34D、34Eが転写ドラム30の径方向に移動するようになっている。なお、昇降部34D、34Eの端面及び押上部材39A、39Bの端面は、水平面あるいは垂直面に対して角度45°の傾斜面(テーパ面)となっており、これらの端面どうしが接触するように配置されている。
ここで、図4(A)に示すように、押上部材39A、39Bが転写ドラム30へ向けて(Z方向に)移動すると、押上部材39A、39Bと接触した昇降部34D、34Eが筒部31の径方向外側へ押し上げられる。そして、連結部材102A、102Bが筒部31の径方向外側へ押し上げられ、用紙保持部34Cと外周面31Eとの間隔が広がる(開放される)。このときの後端グリッパ34の位置が離間位置である。
また、図4(B)に示すように、押上部材39A、39Bが転写ドラム30から離れる方向に移動すると、昇降部34D、34Eが筒部31の径方向内側へ移動(下降)する。そして、連結部材102A、102Bが筒部31の径方向内側へ下降し、用紙保持部34Cと外周面31Eとの間隔が狭くなって、外周面31Eに巻き付けられた記録用紙Pが用紙保持部34Cで保持される。このときの後端グリッパ34の位置が保持位置である。
一方、図4(A)、(B)に示すように、転写ドラム30は、転写ドラム駆動部50によって回転駆動されるようになっている。転写ドラム駆動部50は、転写ドラム30を回転駆動する転写ドラムモータM1と、回転軸31Aの一端に固定され転写ドラムモータM1から駆動力が伝達される転写ドラムギアG1とを有している。
また、後端グリッパ34は、後端グリッパ駆動部60によって回転駆動されるようになっている。後端グリッパ駆動部60は、後端グリッパ34の軸部34Bを回転駆動する後端グリッパモータM2と、軸部34Bの外周面に設けられ後端グリッパモータM2から駆動力が伝達される軸部ギアG2とを有している。
(連結構造)
次に、連結構造100について説明する。
図5(A)に示すように、転写ドラム30のZ方向の両端部にそれぞれ連結構造100が設けられている。なお、連結構造100は、Z方向の手前側と奥側で対称配置されており、同様の構成となっているため、ここでは手前側の連結構造100について説明し、奥側の連結構造100については説明を省略する。
図5(B)に示すように、連結構造100は、後端グリッパ34を転写ドラム30に対して移動可能に支持する連結部材102Aと、本体部11Aの一部を構成する板状のブラケット106に設けられ、後端グリッパ34の移動を規制する規制部材104と、を有している。
連結部材102Aは、トナー像T(図1参照)の転写が行われるときに転写ドラム30の外周面31Eに沿うと共に転写ドラム30の周方向に均等な厚みとなるように円弧状に形成された取付部110Aを有している。取付部110Aの周方向の一端には、Z方向に間隔をあけて対向するとともに周方向に沿って延出されたアーム部110B、110Cが、取付部110Aと一体で形成されている。また、アーム部110BのZ方向手前側の側面からZ方向手前側へ向けて円柱状のピン110Dが突出しており、アーム部110CのZ方向奥側の側面からZ方向奥側へ向けて円柱状のピン110Eが突出している。
さらに、アーム部110Bとアーム部110Cとの間には、Z方向に沿ってアーム部110Bとアーム部110Cとを連結する連結ピン110Fが設けられている。加えて、取付部110Aにおけるアーム部110B、110C側とは反対側の端部でZ方向手前側の側面には、Z方向を軸方向としてZ方向手前側へ延出された円柱状の接触部112の一端が取り付けられている。そして、用紙保持部34CのZ方向手前側の端部は、ビス114により取付部110Aに締結(連結)されている。
環状部材101Aには、連結部材102Aを収容可能な大きさの切欠部103が、周方向に沿って周方向の一部に形成されている。また、環状部材101Aにおける切欠部103には、周方向に沿うと共にZ方向に間隔をあけて対向配置された壁部103A、壁部103Bが設けられている。そして、壁部103A、103Bには、ピン110D、110Eが回転可能に取り付けられている。このようにして、連結部材102Aは、転写ドラム30の軸方向の端部に一端が連結され、他端が後端グリッパ34(用紙保持部34C)に連結されている。
また、図9(A)に示すように、連結部材102Aの連結ピン110Fには、引張りばね116の一端が取り付けられている。そして、引張りばね116の他端は、筒部31の内側に張り出した張出部117からZ方向の手前側に突出した凸部118に引っ掛けられている。これにより、連結部材102Aの他端(用紙保持部34C側)は、筒部31の内側へ向けて引っ張られ、切欠部103内に設けられたストッパ(図示省略)と接触して切欠部103内に収容されている。
一方、図5(B)に示すように、規制部材104は、一例として、ゴム製のブロックで構成されており、接触部112よりも転写ドラム30側で且つ接触部112に隣接する位置に設けられている。これにより、転写ドラム30を対向位置から退避位置へ移動するとき、規制部材104に連結部材102Aの接触部112が接触するようになっている。なお、規制部材104と接触部112は、転写ドラム30が回転するときは接触しないように配置されている。
(画像形成装置10の画像形成動作)
次に、画像形成装置10(図1参照)の画像形成動作について説明する。なお、ここでは一例として、画像形成装置10によって1枚の記録用紙Pに複数色の画像形成を行う場合について説明する。
図1に示す画像形成装置10において、原稿読取装置(図示省略)によって読み取られた原稿の色材反射光像やパーソナルコンピュータ(図示省略)などによって形成された色材画像データは、一例として、R(赤)、G(緑)、B(青)の各データとして画像データ処理部(図示省略)に入力され、予め定められた画像処理が施される。画像処理が施された画像データは、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の4色の色材諧調データに変換され、露光装置26に出力される。
続いて、画像形成動作の開始に伴い、感光体ドラム22及び転写ドラム30は同期して(転写ドラム30が感光体ドラム22の回転に対して僅かな周速差で回転するように)回転を開始する。このとき、先端グリッパ32及び後端グリッパ34は、ともに開いている。また、先端グリッパ32は、転写ドラム30とともに回転するのに対して、後端グリッパ34は、転写ドラム30とともに回転することなく初期位置に静止している(周速度がゼロである)。詳細には、図6(A)に示すように、後端グリッパ34は、転写ドラム30の外周であって、給紙位置Paと転写部位Trとの間の位置に対向するように配置されている。
続いて、図1に示すように、回転する感光体ドラム22の感光層22Aが帯電装置24により帯電された後、露光装置26により感光体ドラム22へ光が照射されて、画像情報に応じた一色目(一例としてイエロー)の静電潜像が形成される。また、転写ドラム30が回転を開始するのに伴い、用紙検知センサ36が転写ドラム30の回転位置の測定を行う。測定された回転位置は、制御部20へと送られる。
一方、現像装置28では、感光体ドラム22上に形成される静電潜像に対応する色成分トナーを有する現像装置(イエローの場合にはイエローの現像器28Y)が、感光体ドラム22との対向位置に配置されるように予め回転させられ、停止している。そして、現像器28Yにより感光体ドラム22上の静電潜像が現像され、感光体ドラム22上にトナー像Tが形成される。そして、トナー像T(ここではイエローのトナー像)は、感光体ドラム22の回転に伴って転写装置14と対向する転写部位Trに向かって送られていく。
また、画像形成動作の開始に対応して、記録用紙Pの供給も行われる。詳細には、取出しロール18Bにより用紙収容部18Aから取り出した記録用紙Pを、搬送ロール18Dを用いて供給経路40に送り出す。そして、用紙検知センサ36が記録用紙Pの搬送方向の先端が通過したことを検出し、検出信号を制御部20へと送る。検出信号を受けた制御部20は、用紙検知センサ36によって得られた検出信号及び位相に基づき、先端グリッパ32が給紙位置Paに到達するのに合わせて記録用紙Pが給紙位置Paに到達するように、搬送を制御する。
続いて、図6(B)に示すように、給紙位置Paにおいて、先端グリッパ32が開いた状態から閉じた状態へと移行する。これに伴って、記録用紙Pの搬送方向の先端部が先端グリッパ32によって把持される。また、このとき、後端グリッパ34は、転写ドラム30の外周であって待機位置に静止している。そして、記録用紙Pを把持した先端グリッパ32は、静止した後端グリッパ34と転写ドラム30の回転軸31Aとの間を通過する。
続いて、後端グリッパ34と回転軸31Aとの間を通過した先端グリッパ32は、記録用紙Pを把持したまま転写部位Trを通過する。転写部位Trを通過した記録用紙Pは、先端グリッパ32に把持されたまま転写ドラム30の外周面31Eに巻き付いた状態となって搬送される。
続いて、図1に示すように、露光装置26により画像情報に応じた一色目(一例としてイエロー)の静電潜像が感光体ドラム22上に形成された後に、用紙検知センサ36によって記録用紙Pの搬送方向の後端が通過したことが検知される。そして、用紙検知センサ36からの検知信号を受けた制御部20が、後端グリッパ34へと指示を出す。指示を受けた後端グリッパ34は、開いた状態から閉じた状態へと移行する(図4(A)の矢印D1参照)。
続いて、図6(C)に示すように、閉じた後端グリッパ34は、転写ドラム30と同期して回転を開始する。言い換えると、記録用紙Pは、搬送方向の先端部を先端グリッパ32によって把持され、かつ後端部を後端グリッパ34によって保持されながら転写ドラム30とともに回転する。そして、感光体ドラム22上に形成された一度目(一例としてイエロー)のトナー像は、感光体ドラム22と転写ドラム30とが対向する転写部位Trにおいて、転写ドラム30上の記録用紙Pに転写される。なお、転写後に感光体ドラム22上に残留したトナーは、清掃装置46(図1参照)によって除去される。
続いて、二色目から最終色の前(一例としてマゼンタ、シアンの順)までの潜像形成、現像、及び転写が、上述した手順に従って同様に繰り返される。ここで、各色のトナー像Tを形成するに際しては、現像装置28(図1参照)が回転を行い、対応する現像器28M、28C、28K(図1参照)が停止位置に配置される。この間、図6(D)に示すように、記録用紙Pは、先端グリッパ32及び後端グリッパ34によって、転写ドラム30に巻き付けられた状態で回転搬送され、転写部位Trを通過するたびに二色目以降のトナー像が重ねあわされるようにして順次転写される。その結果、黒(K)を除く、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)各色のトナー像が、転写ドラム30上の記録用紙Pに多重転写される。
そして、最終色(一例として黒)のトナー像Tが転写されるときには、最終色前の転写のときと異なり、転写部位Trを抜けた後、先端グリッパ32が閉じた状態から開いた状態へと移行する。これにより、先端グリッパ32による記録用紙Pの把持が解除される。そして、図1に示すように、カラー画像が形成された記録用紙Pは、記録用紙Pの搬送方向の先端が、剥離部材45により転写ドラム30から剥離され、排紙位置Pbから排出経路41へと進入する。
続いて、記録用紙Pが搬送されるのに合せて、記録用紙Pの搬送方向の後端を保持する後端グリッパ34は、閉じた状態から開いた状態へと移行する(図4(A)の矢印D2参照)。なお、後端グリッパ34が閉じた状態から開いた状態へと移行するときは、露光装置26により画像情報に応じた最終色(一例として黒)の静電潜像の形成中又は形成後である。そして、開いた状態の後端グリッパ34は、待機位置で停止する。
続いて、後端グリッパ34による保持が解除された記録用紙Pの搬送方向の後端は、剥離部材45により転写ドラム30から剥離され排紙位置Pbから排出経路41へと進入する。そして、排出経路41へと進入した記録用紙Pは、定着装置16に送られ、加熱ロール16A及び加圧ロール16Bによってトナー像Tが定着される。定着終了後の記録用紙Pは、排出ロール44によって画像形成装置10の機外に排出され、排紙積載部42に積載される。
なお、画像形成装置10において1枚の記録用紙Pに単色(一例として黒(モノクロ))の画像形成を行う場合は、転写ドラム30の外周に記録用紙Pを巻き付けずに記録用紙Pを搬送して、記録用紙P上にトナー像T(図1参照)を転写する。
(作用)
次に、第1実施形態の作用について説明する。
図7(A)に示すように、画像形成装置10では、記録用紙Pを供給経路40に沿って搬送しているとき、記録用紙Pの先端を先端グリッパ32が掴み損ねたり、記録用紙Pの先端が後端グリッパ34に引っ掛かるなどして、記録用紙Pを搬送できなくなる所謂、転写ジャムが生じる場合がある。
また、図7(B)に示すように、一例として、モノクロモード(単色)の画像形成を行う画像形成装置10では、記録用紙Pを供給経路40に沿って搬送しているとき、トナー像の転写後において記録用紙Pの先端が剥離部材45に引っ掛かり、記録用紙Pを搬送できなくなる所謂、剥離ジャムが生じる場合がある。なお、図7(A)、(B)では、用紙検知センサ36(図1参照)の図示を省略している。
ここで、図8(A)に示すように、記録用紙Pのジャムの一例として、転写ジャムが生じたとき、離間位置の後端グリッパ34が筒部31との間に記録用紙Pを通した状態で、画像形成装置10が停止する。このとき、図9(A)に示すように、接触部112と規制部材104とは接触していない。
続いて、図8(B)に示すように、ユーザー(図示省略)が移動部11Bの上部を手前側(図示の左側)へ移動させると、移動部11Bは、連結部材13を中心として円弧状に移動する。このとき、図9(B)に示すように、接触部112と規制部材104とが接触する。そして、規制部材104が本体部11A側に固定されていることから、接触部112及び後端グリッパ34は移動を規制され、その場に留まる。
一方、転写ドラム30は、移動部11Bに回転可能に設けられているため、移動部11Bの移動に合わせて移動する。これにより、連結部材102Aの他端が転写ドラム30に対して相対移動した状態となり、転写ドラム30の外周面31Eと後端グリッパ34との間が広がる。
このようにして、連結構造100が後端グリッパ34からの転写ドラム30の離間を許容し、転写ドラム30と後端グリッパ34との間隔が元の間隔(通常の画像形成時の間隔)よりも大きく広がるので、転写ジャムとなった記録用紙Pの画像形成装置10からの取り出しが容易となる。そして、記録用紙Pを無理に引き出さずに済むので、後端グリッパ34の用紙保持部34Cの破損が抑制される。なお、ここでは転写ジャムの場合について説明しているが、剥離ジャムの場合も同様である。
また、図9(A)、(B)に示すように、画像形成装置10では、移動部11B側の接触部112と、本体部11A側の規制部材104とを接触させるだけでよいので、転写ドラム30と後端グリッパ34との相対移動が簡易な構成で行われる。
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態に係る画像形成装置の一例について説明する。なお、前述した第1実施形態と基本的に同一の部材及び部位には、前記第1実施形態と同一の符号を付与してその説明を省略する。
図10(A)、(B)には、第2実施形態の画像形成装置130が示されている。画像形成装置130は、第1実施形態の画像形成装置10(図1参照)において、筐体11、後端グリッパ34、及び連結構造100に換えて、本体を構成する筐体132と、記録用紙Pの後端を保持する保持部の一例としての後端グリッパ134と、後端グリッパ134からの転写ドラム30の離間を許容する許容手段の一例としての受渡構造140と、を有している。なお、筐体132、後端グリッパ134、及び受渡構造140を除く他の部位については、画像形成装置10と同様の構成であるため、説明を省略する。
筐体132は、転写ドラム30を除く他の部材、部位が設けられた装置本体の一例としての本体部132Aと、転写ドラム30を回転可能に支持するとともに本体部132Aに対して相対移動可能に設けられた移動部132Bと、を含んで構成されている。
移動部132Bは、Z方向に見て、転写ドラム30の中心から外周面よりも外側まで延びた半円形状の側板を含んで構成されており、転写ドラム30がベアリング(図示省略)により回転可能に設けられている。また、移動部132Bの転写ドラム30よりも下側で且つ本体部132Aに近い部位には、Z方向を軸方向とする円柱状の連結部材133が取り付けられている。
一方、本体部132Aには、感光体ドラム22と転写ドラム30との間へ記録用紙Pを搬送する搬送部材の一例としての搬送ロール18Dが回転可能に支持される支持体の一例としての装置フレーム139が設けられている。装置フレーム139には、図12(A)に示すように、後述する第2支持部材144が設けられている。
また、図10(A)、(B)に示すように、本体部132Aには、Z方向における転写ドラム30の両端部よりも外側に直立した支持壁132Cが設けられている。支持壁132Cには、Z方向と交差する面内で円弧状であり且つZ方向に貫通した案内孔132Dが形成されている。そして、案内孔132Dには、移動部132Bの連結部材133が挿入されている。
ここで、移動部132Bを手前側(図示の左側)に動かすと、移動部132Bは、連結部材133が、リンク部材(図示省略)により案内孔132Dに沿って移動することにより移動する。そして、案内孔132Dの孔壁の本体部132Aから遠い側の端面に連結部材133が接触することで、移動部132Bが移動を規制されて止まる。このときの転写ドラム30の位置を退避位置という(図10(B)に示す位置)。また、転写ドラム30の外周面が感光体ドラム22の外周面と接触するときの転写ドラム30の位置を対向位置という(図10(A)に示す位置)。
(後端グリッパ)
次に、後端グリッパ134について説明する。
図11(A)に示すように、後端グリッパ134は、記録用紙P(図示省略)を保持する矩形状の用紙保持部34Cと、用紙保持部34CのZ方向両端部で表面側(転写ドラム30(図10(A)参照)の径方向外側)に突出した第2凸部135A、135Bと、第2凸部135A、135Bの反対側(用紙保持部34Cの裏面側(径方向内側))に突出した第1凸部136A、136Bと、を有している。
第2凸部135A、135B、第1凸部136A、136Bは、いずれも円柱の端面に径方向外側へ拡がる傘状の抜け止め部位が形成された構成となっている。なお、後端グリッパ134は、Z方向の一端側(手前側)と他端側(奥側)とで対称形状となっているため、以後は一端側について説明し、他端側の説明を省略する。
図11(B)に示すように、後端グリッパ134の第1凸部136Aは、後述する第1支持部の一例としての第1支持部材142と係合するように配置されており、第2凸部135Aは、後述する第2支持部の一例としての第2支持部材144と係合するように配置されている。
図11(C)に示すように、転写ドラム30のZ方向の両端部には、環状部材146が設けられている。環状部材146は、第1実施形態の環状部材101A、101Bと同様の構成となっており、周方向の一部には切欠部146Aが形成されている。そして、切欠部146A内には、第1支持部材142が収容されている。また、Z方向手前側、奥側の環状部材146は、第1実施形態の軸部34A、34B(図4(A)参照)に取り付けられており、後端グリッパ駆動部60(図4(A)参照)によって、後端グリッパ134と一体で回転駆動されるようになっている。
なお、本実施形態では、後述する接触部材148(図12(A)参照)が第1支持部材142と接触することで(後端グリッパ134の受け渡し時よりも少ない押し込み量で接触することで)、後端グリッパ134のZ方向の張力が緩められ、後端グリッパ134が離間位置に配置されるようになっている。また、第1支持部材142が接触部材148から離れることで、後端グリッパ134のZ方向の張力が強められ、後端グリッパ134が保持位置に配置されるようになっている。
(受渡構造)
次に、受渡構造140について説明する。
図12(A)に示すように、転写ドラム30のZ方向の両端部にそれぞれ受渡構造140が設けられている。なお、受渡構造140は、Z方向の手前側と奥側で対称配置されており、同様の構成となっているため、ここでは手前側の受渡構造140について説明し、奥側の受渡構造140については説明を省略する。また、以後の説明では、転写ドラム30が記録用紙Pを搬送するときの回転方向を+B方向と記載し、+B方向とは逆の回転方向を−B方向と記載する。
受渡構造140は、転写ドラム30側に設けられた第1支持部材142と、本体部132A側に設けられた第2支持部材144と、後端グリッパ134を第1支持部材142から第2支持部材144へ、又は第2支持部材144から第1支持部材142へ受け渡しさせる受渡手段の一例としての受渡部150と、を有している。
図11(C)に示すように、第1支持部材142は、切欠部146A内で径方向外側へ突出したピン146Bを回転中心として揺動可能に設けられている。また、第1支持部材142は、+B方向側から−B方向側へ向けて、第1係合部142A、幅広部142B、連結部142C、及び被付勢部142Dが一体となった形状となっている。
第1係合部142Aは、−B方向に向けて開口した平面視でJ字状の部位である。また、第1係合部142Aの開口幅は、既述の第1凸部136A、136B(図11(A)参照)と係合可能で且つ第1凸部136A、136Bが離脱可能な大きさとなっている。幅広部142Bは、第1係合部142Aの一端に連続して−B方向に延出するとともにZ方向に幅広とされた部位である。
連結部142Cは、幅広部142Bの他端に連続して−B方向へ向けて徐々にZ方向の幅が減少する部位であり、径方向に貫通孔142Eが形成されている。そして、貫通孔142Eにピン146Bが挿入されている。被付勢部142Dは、連結部142Cの他端から−B方向へ延出された部位である。
一方、環状部材146の切欠部146A内で−B方向の端部には、Z方向の手前側で且つ+B方向へ向けて壁部146Cが形成されている。壁部146Cは、被付勢部142Dと対向配置されている。そして、壁部146Cに圧縮ばね147の一端が取り付けられ、圧縮ばね147の他端が被付勢部142Dに取り付けられている。これにより、被付勢部142Dが圧縮ばね147でZ方向に付勢され、幅広部142Bが切欠部146AからZ方向手前側へ突出した状態となっている。なお、被付勢部142Dは、幅広部142Bが環状部材146から突出した状態において、切欠部146A内からZ方向へ突出しない大きさ、形状となっている。
図12(A)に示すように、第2支持部材144は、装置フレーム139から径方向に突出したピン139Aを回転中心として揺動可能に設けられている。また、第2支持部材144は、−B方向側から順に、第2係合部144A、幅広部144B、連結部144C、及び取付部144Dが一体となった形状となっている。
第2係合部144Aは、Z方向手前側に向けて開口した平面視でJ字状の部位である。また、第2係合部144Aの開口幅は、既述の第2凸部135A、135B(図11(A)参照)と係合可能で且つ第2凸部135A、135Bが離脱可能な大きさとなっている。幅広部144Bは、第2係合部144Aの一端に連続して+B方向(図11(C)参照)に延出するとともにZ方向に幅広とされた部位である。
連結部144Cは、幅広部144Bの他端に連続して+B方向へ向けて徐々にZ方向の幅が減少する部位であり、径方向に貫通孔144Eが形成されている。そして、貫通孔144Eにピン139Aが挿入されている。取付部144Dは、連結部144Cの他端から+B方向へ延出された部位である。
一方、装置フレーム139には、取付部144Dと対向して壁部139Bが形成されている。そして、壁部139Bに引張りばね145の一端が取り付けられ、引張りばね145の他端が取付部144Dに取り付けられている。これにより、取付部144Dが引張りばね145でZ方向に引っ張られ、第2係合部144Aが環状部材146に近接した状態となっている。
受渡部150は、環状部材146よりもZ方向外側で且つ環状部材146に隣接して配置された接触部材148と、既述の転写ドラム駆動部50とを有している。接触部材148は、径方向に見て円形状(環状)のゴム製部材であり、転写ドラム30が回転したときに第1支持部材142の幅広部142Bと接触して、第1係合部142AをZ方向内側へ向けて移動させるように配置されている。即ち、周方向の特定位置において、接触部材148は、第2支持部材144が後端グリッパ134を支持可能となる位置へ第1支持部材142を移動するように設けられている。
(作用)
次に、第2実施形態の作用について説明する。
図13(A)に示すように、画像形成装置130において転写ジャムが生じたとき、後端グリッパ134が記録用紙Pを挟んだまま画像形成装置130が停止する。このとき、後端グリッパ134は、記録用紙Pを保持する保持位置にある。なお、図13(A)、(B)では、用紙検知センサ36(図1参照)の図示を省略している。
続いて、図12(A)に示すように、転写ドラム駆動部50(図4(A)参照)が転写ドラム30を−B方向に回転させる。そして、図12(B)に示すように、接触部材148が、第1支持部材142の幅広部142Bと接触して第1支持部材142を回転させ、第2凸部135A及び第1凸部136Aが環状部材146よりもZ方向内側に移動する(用紙保持部34Cは撓んだ状態となる)。
続いて、図12(C)に示すように、転写ドラム30がさらに−B方向に回転したとき、環状部材146よりもZ方向内側に位置している第2凸部135Aが、第2支持部材144の幅広部144Bを乗り越えて第2係合部144Aと係合する。
続いて、図12(D)に示すように、転写ドラム駆動部50(図4(A)参照)が転写ドラム30を+B方向に回転させる。このとき、第2支持部材144が元の位置で保持されており、第1支持部材142が転写ドラム30とともに+B方向に移動する。これにより、第2凸部135Aは、第2支持部材144の第2係合部144Aによって+B方向への移動を規制され、第2係合部144Aと係合(結合)した状態で支持される。一方、第1支持部材142は、第1凸部136Aとの係合(結合)が解除された状態で+B方向へ移動する。このようにして、後端グリッパ134が第1支持部材142から第2支持部材144へ受け渡される。なお、転写ドラム30は、+B方向へ予め設定された距離だけ移動した時点で回転が停止される。
続いて、図13(B)に示すように、ユーザー(図示省略)が移動部132Bの上部を手前側(図示の左側)へ移動させると、移動部132Bは、上方が開放されるように移動する。このとき、図12(D)に示すように、後端グリッパ134は既に第2支持部材144(本体部132A)に受け渡しされているため、転写ドラム30の外周面31Eと後端グリッパ134との間が広がる。
このようにして、受渡構造140(図12(A)参照)が後端グリッパ134からの転写ドラム30の離間を許容し、転写ドラム30と後端グリッパ134との間隔が元の間隔(通常の画像形成時の間隔)よりも大きく広がるので、転写ジャムとなった記録用紙Pの画像形成装置130からの取り出しが容易となる。そして、記録用紙Pを無理に引き出さずに済むので、後端グリッパ134の用紙保持部34Cの破損が抑制される。なお、ここでは転写ジャムの場合について説明しているが、剥離ジャムの場合も同様である。
また、図13(A)、(B)に示すように、画像形成装置130では、後端グリッパ134が本体部132A側に受け渡されているため、転写ドラム30が本体部132Aに対して遠く離れても後端グリッパ134には影響が無い。これにより、転写ドラム30と後端グリッパ134との間隔がさらに広げられ、記録用紙Pの取り出しが容易となる。
さらに、画像形成装置130では、搬送ロール18D及び第2支持部材144(図12(A)参照)が、同じ装置フレーム139に設けられている。これにより、転写ジャムで搬送ロール18Dに記録用紙Pの一端が挟まったままであったとしても、後端グリッパ134と搬送ロール18Dの相対的な位置関係は変わらないため、記録用紙Pを取り出すときに、後端グリッパ34が取り出しの邪魔になることが抑制される(さらに記録用紙Pと用紙保持部34Cの相対的な位置関係も変わらないため、用紙保持部34Cの破損や記録用紙Pの断裂も抑止される)。
ここで、図12(D)において、後端グリッパ134を元の位置(第1支持部材142)へ戻すときは、転写ドラム30を−B方向に回転していくことで、第1凸部136Aと第1支持部材142の第1係合部142Aとが係合(結合)する。そして、第2凸部135Aが第2係合部144Aを押して、第2凸部135Aが抜ける方向に第2支持部材144が回転することで、第2凸部135Aが第2係合部144Aから抜ける。このようにして、第2凸部135Aと第2係合部144Aとの係合(結合)が解除される。
図10(A)に示すように、一例として、画像形成装置130では、後端グリッパ134が待機位置(供給経路40における用紙検知センサ36よりも下流側の位置)に到達したときに、後端グリッパ134を第1支持部材142から第2支持部材144に移動させるようになっている。
なお、本発明は上記の実施形態に限定されない。
許容手段及び受渡手段の他の例として、電磁石を用いて、第1支持部材への通電を停止して後端グリッパ134の結合状態(支持状態)を解除し、第2支持部材へ通電して後端グリッパ134を結合状態(支持状態)とし、受け渡しを行ってもよい。
また、接触部材148に換えてアクチュエータや偏心カムを用いて第1支持部材を移動させてもよい。
さらに、記録媒体搬送体は、転写ドラム30に限らず、単に記録用紙Pを搬送するための搬送ロールであってもよい。
加えて、後端グリッパについて、保持位置、離間位置の変更は、第1実施形態のような転写ドラム30に対して径方向に昇降するタイプ、第2実施形態のようなZ方向の張力を変更するタイプのいずれを用いてもよい。