JP2013181573A - フロントフォーク - Google Patents

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和宏 三輪
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Abstract

【課題】 フロントフォークにおいて、圧縮行程及び/又は伸長行程の減衰力特性を簡易に1次的比例特性にすること。
【解決手段】 中空パイプ22における隔壁部22Aの外周の環状溝100内に該中空パイプ22の軸方向に沿って上下動可能に装填され、インナチューブ12の内周に摺接する環状リング110を有してなるフロントフォーク10において、前記環状リング110が、中空パイプ22における隔壁部22Aの外周の環状溝100の溝底部101との間に環状流路111を形成するとともに、該環状溝100内で前記油溜室27寄りとなる上端面に径方向に貫通する上切欠溝112を形成し、該環状溝100内で前記油室25寄りとなる下端面に径方向に貫通する下切欠溝113を形成してなり、中空パイプ22における隔壁部22Aの外周の環状溝100の溝底部101が、該中空パイプ22の軸方向に沿うテーパ状をなしてなるもの。
【選択図】 図5

Description

本発明は自動二輪車用フロントフォーク等として用いて好適なフロントフォークに関する。
フロントフォークとして、特許文献1に記載の如く、車輪側のアウタチューブ内に車体側のインナチューブを摺動自在に挿入し、アウタチューブ内の底部に、インナチューブの内周に摺接する隔壁部を備えた中空パイプを立設し、インナチューブの先端部の内周に設けたピストンがアウタチューブの内周に摺接し、このピストンが進退する油室を中空パイプの外周に設け、この油室をピストンにより該ピストンの上部の上油室と該ピストンの下部の下油室に仕切り、中空パイプの内周に、インナチューブの上部に及ぶ油溜室を区画するとともに、該油溜室の上部をエア室とし、中空パイプにおける隔壁部の外周の環状溝内に該中空パイプの軸方向に沿って上下動可能に装填され、インナチューブの内周に摺接する環状リングを有してなるものがある。
特許文献1に記載のフロントフォークは、環状リングが、中空パイプにおける隔壁部の外周の環状溝の溝底部との間に環状流路を形成するとともに、該環状溝内で前記油室寄りとなる下端面に径方向に貫通する下切欠溝を形成している。また、中空パイプの下部に下油室と油溜室とを連通する下オリフィスを設けるとともに、中空パイプの上部に上油室と油溜室とを連通する上オリフィスを設けている。
これにより、特許文献1に記載のフロントフォークにあっては、伸長行程で、上油室の圧力が上昇し、環状リングが環状溝内で上向き移動して上端面を該環状溝の溝上側面に当てて該環状溝を油溜室に対して閉じ、中空リングの上オリフィスによって2次的比例特性の減衰力を生ずる。また、圧縮行程で、下油室の圧力が上昇し、中空パイプの下オリフィスによって2次的比例特性の減衰力を生ずる。このとき、環状リングが中空パイプにおける隔壁部の環状溝内で下向き移動して上端面を該環状溝の溝上側面から離して該環状溝を油溜室と上油室の双方に開き、油溜室の油が上油室に流入する。
実公昭59-5206
特許文献1に記載のフロントフォークにあっては、圧縮行程の減衰力特性も、伸長行程の減衰力特性も、減衰力が伸縮ストローク速度に対して2次的比例特性で立上がり、高速域で減衰力が過大になり、乗り心地の悪化を招き、減衰力のバラツキを生ずるおそれもある。
本発明の課題は、フロントフォークにおいて、圧縮行程及び/又は伸長行程の減衰力特性を簡易に1次的比例特性にすることにある。
請求項1に係る発明は、車輪側のアウタチューブ内に車体側のインナチューブを摺動自在に挿入し、アウタチューブ内の底部に、インナチューブの内周に摺接する隔壁部を備えた中空パイプを立設し、インナチューブの先端部の内周に設けたピストンがアウタチューブの内周に摺接し、このピストンが進退する油室を中空パイプの外周に設け、この油室をピストンにより該ピストンの上部の上油室と該ピストンの下部の下油室に仕切り、中空パイプの内周に、インナチューブの上部に及ぶ油溜室を区画するとともに、該油溜室の上部をエア室とし、中空パイプにおける隔壁部の外周の環状溝内に該中空パイプの軸方向に沿って上下動可能に装填され、インナチューブの内周に摺接する環状リングを有してなるフロントフォークにおいて、前記環状リングが、中空パイプにおける隔壁部の外周の環状溝の溝底部との間に環状流路を形成するとともに、該環状溝内で前記油溜室寄りとなる上端面に径方向に貫通する上切欠溝を形成し、該環状溝内で前記油室寄りとなる下端面に径方向に貫通する下切欠溝を形成してなり、中空パイプにおける隔壁部の外周の環状溝の溝底部が、該中空パイプの軸方向に沿うテーパ状をなしてなるようにしたものである。
請求項2に係る発明は、請求項1に係る発明において更に、前記中空パイプにおける環状溝のテーパ状溝底部が、前記油溜室寄りから前記油室寄りに向けて拡径されてなるようにしたものである。
請求項3に係る発明は、請求項1に係る発明において更に、前記中空パイプにおける環状溝のテーパ状溝底部が、前記油溜室寄りから前記油室寄りに向けて縮径されてなるようにしたものである。
請求項4に係る発明は、請求項1〜3のいずれかに係る発明において更に、前記環状リングの上端面に形成される上切欠溝の形態と下端面に形成される下切欠溝の形態を互いに異ならせてなるようにしたものである。
請求項5に係る発明は、請求項1〜4のいずれかに係る発明において更に、前記環状リングの上端面に形成される上切欠溝が該上端面の周方向に連続する多数の歯溝からなり、及び/又は前記環状リングの下端面に形成される下切欠溝が該下端面の周方向に連続する多数の歯溝からなるようにしたものである。
(請求項1、2、3)
(a)環状リングが、中空パイプにおける隔壁部の外周の環状溝の溝底部との間に環状流路を形成するとともに、該環状溝内で前記油溜室寄りとなる上端面に径方向に貫通する上切欠溝を形成し、該環状溝内で前記油室寄りとなる下端面に径方向に貫通する下切欠溝を形成してなり、中空パイプにおける隔壁部の外周の環状溝の溝底部が、該中空パイプの軸方向に沿うテーパ状をなす。
中空パイプにおける隔壁部の環状溝のテーパ状溝底部を軸方向の下方(油溜室の側から上油室の側へ向く方向)に向けて拡径したとき、環状リングの上下動に基づく減衰力特性は以下の通りになる。尚、中空パイプにおける隔壁部の環状溝のテーパ状溝底部を軸方向の上方(上油室の側から油溜室の側へ向く方向)に向けて縮径したときには、その減衰力特性は以下と反対になる。
即ち、この環状リングに基づく減衰力特性についてみれば、伸長行程では、上油室の圧力が上昇し、中空パイプにおける隔壁部の環状溝内で環状リングが上向き移動し、該環状リングが該環状溝のテーパ状溝底部との間に形成する環状流路の流路面積を縮小するものになる。これにより、上油室から環状リングと環状溝との隙間を通って油溜室に流れる油に対し、環状流路に基づく1次的比例特性の減衰力であって、かつ環状流路の縮小に基づく大き目の減衰力を生ずる。即ち、伸長行程の減衰力特性が1次的比例特性になり、高速域で減衰力が過大にならずに乗り心地を良好にし、減衰力のバラツキも抑制する。
他方、圧縮行程では、上油室の圧力が低減し、中空パイプにおける隔壁部の環状溝内で環状リングが下向き移動し、中空パイプにおける隔壁部の環状溝内で環状リングが下向き移動し、該環状リングが該環状溝のテーパ状溝底部との間に形成する環状流路の流路面積を拡大するものになる。これにより、油溜室から環状リングと環状溝との隙間を通って上油室に流れる油に対し、環状流路に基づく1次的比例特性の減衰力であって、かつ環状流路の拡大に基づく小さ目の減衰力を生ずる。又は、環状流路の拡大の程度が大きいときには、減衰力を生じない。従って、油溜室から上油室へのオイル充填効率が向上し、圧縮行程から伸長行程への反転時の減衰力のサボリを抑制する。
(b)中空パイプにおける隔壁部の環状溝の溝底部をテーパ状にするだけの簡易な構造により、上述(a)を実現できる。
(請求項4)
(c)環状リングは、上下の端面に上切欠溝と下切欠溝を形成している。従って、上述(a)の伸長行程で、環状リングが環状溝内を上向き移動して上端面を該環状溝の溝上側面に当て、上油室の油が環状リングの上切欠溝を通って油溜室に向けて流れるとき、環状リングの上切欠溝に基づく1次的比例特性の減衰力を生ずる。また、上述(a)の圧縮行程で、環状リングが環状溝内を下向き移動して下端面を該環状溝の溝下側面に当て、油溜室の油が環状リングの下切欠溝を通って上油室に向けて流れるとき、環状リングの下切欠溝に基づく1次的比例特性の減衰力を生ずる。
ここで、環状リングに設けた上切欠溝と下切欠溝の形態(溝の個数、隔壁部の周方向に沿う溝長、隔壁部の半径方向に沿う溝幅、溝深さ)を互いに異ならせることにより、上下の切欠溝に基づく圧縮行程の減衰力特性と伸長行程の減衰力特性を変えることができる。
例えば、環状リングの上切欠溝が環状溝の溝上側面に当たって形成する流路面積を、環状リングの下切欠溝が環状溝の溝下側面に当たって形成する流路面積より小さいものとするとき、伸長行程で上油室から油溜室に流れる油に上切欠溝が及ぼす減衰力を大き目にする。圧縮行程で油溜室から上油室に流れる油に下切欠溝が及ぼす減衰力を小さ目にし、又は下切欠溝により形成される流路面積が相当に大きければ減衰力を生じない。
(請求項5)
(d)前記環状リングの上端面に形成される上切欠溝が該上端面の周方向に連続する多数の歯溝からなり、及び/又は前記環状リングの下端面に形成される下切欠溝が該下端面の周方向に連続する多数の歯溝からなるものとする。これにより、環状リングの多数の歯溝からなる上切欠溝と下切欠溝の溝表面と油との接触面積が大きくなり、それらの上切欠溝と下切欠溝に基づく1次的比例特性を一層顕著にし、伸縮ストローク速度が速いときの減衰力の過大化を一層緩和するものになる。
図1はフロントフォークの全体を示す断面図である。 図2は図1の下部断面図である。 図3はピストンを示す断面図である。 図4は中空パイプを示し、(A)は正面図、(B)は平面図である。 図5は中空パイプを示し、(A)は断面図、(B)は環状リングまわりにおける伸長行程のオイル流れを示す模式図である。 図6は中空パイプを示し、(A)は断面図、(B)は環状リングまわりにおける圧縮行程のオイル流れを示す模式図である。 図7は環状リングを示し、(A)は斜視図、(B)は正面図、(C)は平面図である。 図8は中空パイプを示し、(A)は正面図、(B)は平面図である。 図9は中空パイプを示す断面図である。 図10は環状リングの変形例を示し、(A)は斜視図、(B)は正面図、(C)は平面図である。
フロントフォーク10(油圧緩衝器)は、自動二輪車等に用いられ、図1〜図3に示す如く、車輪側の、一端が閉じ、他端が開口するアウタチューブ11(車輪側チューブ)に、車体側のインナチューブ12(車体側チューブ)を摺動自在に挿入している。アウタチューブ11のインナチューブ12が挿入される開口端には、摺動ガイド13、シールスペーサ14、オイルシール15、ストッパリング16、ダストシール17が設けられる。インナチューブ12のアウタチューブ11に挿入される下端外周部には、摺動ガイド19が設けられる。
アウタチューブ11の底部には銅パッキンを介してボルト21が挿入され、このボルト21により固定される中空パイプ22が立設している。ボルト21は中空パイプ22の下端テーパ部の下の縮径部の内周のねじ部に螺着する。インナチューブ12の上端部にはOリングを介してキャップボルト23の下端部の外周が螺着される。
キャップボルト23のインナチューブ12の内部に臨む端面には、ばね受板31を介してばね受カラー32、ばね受板33が突き当て支持されている。ばね受板33と、中空パイプ22の上端部に設けられる拡径状隔壁部22Aの上端面からなるばね板部34との間には、圧縮コイルばね35が介装される。
中空パイプ22の上端部には上述の隔壁部22Aが設けられ、隔壁部22Aの外周の環状溝100内に、インナチューブ12の内周に摺接する環状リング110を嵌挿している。中空パイプ22における隔壁部22Aの下側部分の外周に後述する油室25を設ける。
インナチューブ12のアウタチューブ11に挿入された先端部(下端部)の内周にはピストン40が設けられる。ピストン40は、インナチューブ12の内径段差部に係止された環状上ピース41と、インナチューブ12の下端加締部12Aにより上ピース41に固定化される筒状下ピース42、ワッシャ43とからなり、上ピース41と下ピース42の間にチェック弁44を配置している。チェック弁44については後述する。
インナチューブ12の先端部のピストン40は、アウタチューブ11の内周に摺接し、中空パイプ22の外周の油室25を進退し、この油室25を上下に仕切る。即ち、インナチューブ12と中空パイプ22と隔壁部22Aとピストン40により上油室25Aを、ピストン40の下部のアウタチューブ11と中空パイプ22により下油室25Bを形成する。
中空パイプ22の内周に、インナチューブ12の上部に及ぶ油溜室27を区画し、油溜室27に作動油を充填するとともに、油溜室27の上部をエア室28とする。そして、中空パイプ22の外周の下油室25Bと、中空パイプ22の内周の油溜室27とを連通し、インナチューブ12が中空パイプ22の外周の油室25に進退する容積分の油を補償するための孔51(孔51は油に絞り抵抗を及ぼさない。但し、孔51は油に絞り抵抗を及ぼしても良い。)を、中空パイプ22に穿設して設けている。
中空パイプ22は、伸長行程で高圧化する上油室25Aの油の一部を中空パイプ22の内周の油溜室27に流出させる小孔52(小孔52は油に絞り抵抗を及ぼす。但し、小孔52は油に絞り抵抗を及ぼさなくても良い。)を、隔壁部22Aの直下に穿設している。
アウタチューブ11とインナチューブ12の間に、アウタチューブ11の内周に固定される摺動ガイド13と、インナチューブ12の外周に固定される摺動ガイド19に挟まれる環状隙間室60を設ける。インナチューブ12のピストン40を設けた部分に孔61を穿設するとともに、ピストン40の下ピース42に孔62を穿設し、これらの孔61、62によって環状隙間室60を中空パイプ22の外周の油室25(上油室25A、下油室25B)に連通する。これにより、環状隙間室60に作動油を供給し、摺動ガイド13、19の潤滑、容積補償を行なう。
ここで、前述のピストン40に設けたチェック弁44は、図3に示す如く、環状隙間室60に連通するインナチューブ12の孔61及びピストン40の下ピース42の孔62と、中空パイプ22の外周の上油室25Aとの間に設けられる。チェック弁44は、上ピース41により背面支持される皿ばね状(コイルでも可)スプリング44Aにより付勢され、そのテーパ面を下ピース42の上テーパ部42Aのテーパ面に着座せしめられるとともに、その内周と中空パイプ22の外周との間に環状隙間44Bを形成している。これにより、チェック弁44は、圧縮行程で、高圧化する下油室25Bの油圧により開弁し、下油室25Bから上油室25Aへの油の流入を許容する。他方、チェック弁44は、伸長行程で、高圧化する上油室25Aの油圧により下ピース42の上テーパ部42Aに着座し、上油室25Aから流出する油をその環状隙間44Bにより絞る。
尚、インナチューブ12に設けたピストン40の上ピース41と、中空パイプ22に設けた隔壁部22Aの間に、伸長行程のストローク端である最大伸長時のリバウンドスプリング36を設け、最伸長ストロークを規制する。また、中空パイプ22の下端部とアウタチューブ11の底部との間にオイルロックピース37を挟持し、圧縮行程のストローク端である最大圧縮時にピストン40の下ピース42の下端内周に設けたオイルロックカラー38によりオイルロックピース37の周囲の作動油を加圧して最圧縮ストロークを規制する。
ピストン40の下ピース42とワッシャ43の間には、下ピース42の内周との間に微小な隙間を介する上述のオイルロックカラー38が上下移動自在に嵌装される。オイルロックカラー38は、フロントフォーク10の最圧縮近辺で、中空パイプ22の側に設けたオイルロックピース37との間に微小隙間を介して嵌合し、最圧縮時の緩衝をする。そして、最圧縮状態からの伸長時には、下方に移動してオイルロックカラー38の外周の微小な隙間からなる油路を開放する。
以下、中空パイプ22における隔壁部22Aの外周の環状溝100内に装填される環状リング110について説明する。
環状リング110は、図4〜図7に示す如く、周方向の1ヵ所に切れ目110Aを付与されたC字状リングであり、中空パイプ22における隔壁部22Aの外周の環状溝100内に装填される。環状リング110は、軸方向に沿う高さhを中空パイプ22の軸方向に沿う環状溝100の溝幅wより小さくし、該環状溝100内で中空パイプ22の軸方向に沿って上下動可能に装填され、アウタチューブ12の内周に摺接する。
環状リング110は、中空パイプ22における隔壁部22Aの外周の環状溝100の溝底部101との間に一定の環状隙間からなる環状流路111を形成するとともに、環状溝100内で油溜室27寄りとなる上端面の周方向複数位置にて径方向に貫通する上切欠溝112を形成し、環状溝100内で油室25寄りとなる下端面の周方向複数位置にて径方向に貫通する下切欠溝113を形成する。
そして、環状リング110にあっては、中空パイプ22における隔壁部22Aの外周の環状溝100の溝底部101が、中空パイプ22の軸方向に沿うテーパ状をなすものにしている。本実施例では、環状溝100のテーパ状溝底部101が、油溜室27寄りから油室25寄りに向けて拡径するものとしている。
従って、フロントフォーク10にあっては、車両が受ける衝撃を圧縮コイルばね35とエア室28の空気ばねによって吸収して緩和し、この衝撃の吸収に伴なう圧縮コイルばね35の振動を以下の減衰作用により制振する。
(伸長行程)
フロントフォーク10の伸長行程では、インナチューブ12が圧縮状態から上昇して上油室25Aの圧力が上昇し、上油室25Aの油がピストン40の上テーパ部42Aに着座せしめられるチェック弁44の環状隙間44Bから下油室25Bに移動する際に環状隙間44Bで生ずる流路抵抗、及び上油室25Aの油が中空パイプ22の小孔52から出て油溜室27に移動する際に生ずる流路抵抗に起因する減衰力を生ずる。
また、この伸長固定では、図5に示す如く、環状リング110が中空パイプ22の隔壁部22Aの環状溝100内で上向き移動する。これにより、後に詳述する如く、環状リング110が環状溝100との間に形成する環状流路111と上切欠溝112を通って、上油室25Aから図5(B)の矢印で示す如くに油溜室27に流れる油に、環状流路111と上切欠溝112の大きな流路抵抗に起因する大き目の減衰力を生ずる。
また、この伸長行程では、インナチューブ12の断面積×ストローク分の油が油溜室27から、中空パイプ22に設けた孔51を経て下油室25Bに補給される。
また、この伸長行程では、インナチューブ12の上昇によって収縮する、アウタチューブ11とインナチューブ12の間の環状隙間室60の油が、インナチューブ12の孔61、ピストン40の孔62から、油室25に排出される。
(圧縮行程)
フロントフォーク10の圧縮行程では、インナチューブ12が伸長状態から下降して下油室25Bの圧力が上昇し、ピストン40のチェック弁44が上向き移動して開くことにより下油室25Bの油が上油室25Aの側に置換するとともに、インナチューブ12の断面積×ストローク分の油が下油室25Bから中空パイプ22に設けた孔51を通って油溜室27へ移動する。
また、この圧縮行程では、図6に示す如く、環状リング110が中空パイプ22の隔壁部22Aの環状溝100内で下向き移動する。これにより、後に詳述する如く、環状リング110が環状溝100との間に形成する環状流路111と下切欠溝113を通って、油溜室27から図6(B)の矢印で示す如くに上油室25Aに流れる油に、環状流路111と下切欠溝113の小さな流路抵抗に起因する小さ目の減衰力を生じ、又は減衰力を生じない。
また、この圧縮行程では、油室25の油が、インナチューブ12の孔61、ピストン40の孔62から、インナチューブ12の下降によって拡張する、アウタチューブ11とインナチューブ12の間の環状隙間室60に補給される。
以下、環状リング110の環状流路111と、上切欠溝112と下切欠溝113の流路抵抗に基づく減衰力特性について詳述する。
(a)環状リング110が、中空パイプ22における隔壁部22Aの外周の環状溝100の溝底部101との間に環状流路111を形成するとともに、該環状溝100内で前記油溜室27寄りとなる上端面に径方向に貫通する上切欠溝112を形成し、該環状溝100内で前記油室25寄りとなる下端面に径方向に貫通する下切欠溝113を形成してなり、中空パイプ22における隔壁部22Aの外周の環状溝100の溝底部101が、該中空パイプ22の軸方向に沿うテーパ状をなす。
尚、中空パイプ22における隔壁部22Aの環状溝100のテーパ状溝底部101を軸方向の上方(上油室25Aの側から油溜室27の側へ向く方向)に向けて縮径したときには、その減衰力特性は以上と反対になる。
即ち、この環状リング110に基づく減衰力特性についてみれば、伸長行程では、上油室25Aの圧力が上昇し、中空パイプ22における隔壁部22Aの環状溝100内で環状リング110が上向き移動し、該環状リング110が該環状溝100のテーパ状溝底部101との間に形成する環状流路111の流路面積を縮小するものになる。これにより、上油室25Aから環状リング110と環状溝100との隙間を通って油溜室27に流れる油に対し、環状流路111に基づく1次的比例特性の減衰力であって、かつ環状流路111の縮小に基づく大き目の減衰力を生ずる。即ち、伸長行程の減衰力特性が1次的比例特性になり、高速域で減衰力が過大にならずに乗り心地を良好にし、減衰力のバラツキも抑制する。
他方、圧縮行程では、上油室25Aの圧力が低減し、中空パイプ22における隔壁部22Aの環状溝100内で環状リング110が下向き移動し、中空パイプ22における隔壁部22Aの環状溝100内で環状リング110が下向き移動し、該環状リング110が該環状溝100のテーパ状溝底部101との間に形成する環状流路111の流路面積を拡大するものになる。これにより、油溜室27から環状リング110と環状溝100との隙間を通って上油室25Aに流れる油に対し、環状流路111に基づく1次的比例特性の減衰力であって、かつ環状流路111の拡大に基づく小さ目の減衰力を生ずる。又は、環状流路111の拡大の程度が大きいときには、減衰力を生じない。従って、油溜室27から上油室25Aへのオイル充填効率が向上し、圧縮行程から伸長行程への反転時の減衰力のサボリを抑制する。
(b)中空パイプ22における隔壁部22Aの環状溝100の溝底部101をテーパ状にするだけの簡易な構造により、上述(a)を実現できる。
(c)環状リング110は、上下の端面に上切欠溝112と下切欠溝113を形成している。従って、上述(a)の伸長行程で、環状リング110が環状溝100内を上向き移動して上端面を該環状溝100の溝上側面に当て、上油室25Aの油が環状リング110の上切欠溝112を通って油溜室27に向けて流れるとき、環状リング110の上切欠溝112に基づく1次的比例特性の減衰力を生ずる。また、上述(a)の圧縮行程で、環状リング110が環状溝100内を下向き移動して下端面を該環状溝100の溝下側面に当て、油溜室27の油が環状リング110の下切欠溝113を通って上油室25Aに向けて流れるとき、環状リング110の下切欠溝113に基づく1次的比例特性の減衰力を生ずる。
ここで、環状リング110に設けた上切欠溝112と下切欠溝113の形態(溝の個数、隔壁部22Aの周方向に沿う溝長、隔壁部22Aの半径方向に沿う溝幅、溝深さ)を互いに異ならせることにより、上下の切欠溝112、113に基づく圧縮行程の減衰力特性と伸長行程の減衰力特性を変えることができる。
例えば、環状リング110の上切欠溝112が環状溝100の溝上側面に当たって形成する流路面積を、環状リング110の下切欠溝113が環状溝100の溝下側面に当たって形成する流路面積より小さいものとするとき、伸長行程で上油室25Aから油溜室27に流れる油に上切欠溝112が及ぼす減衰力を大き目にする。圧縮行程で油溜室27から上油室25Aに流れる油に下切欠溝113が及ぼす減衰力を小さ目にし、又は下切欠溝113により形成される流路面積が相当に大きければ減衰力を生じない。
図8〜図10に示した変形例が図1〜図7に示した実施例と異なる点は、環状リング110を環状リング120に代えたことにある。120Aは切れ目を示す。
即ち、図8〜図10に示した環状リング120は、環状リング120の上端面に形成される上切欠溝122が該上端面の周方向に連続する多数の歯溝122Aからなり、及び環状リング120の下端面に形成される下切欠溝123が該下端面の周方向に連続する多数の歯溝123Aからなるものである。本実施例では、環状リング120の周方向に沿って、上切欠溝122と下切欠溝123が四角形状の山と谷を交互に連ねた多数の歯溝122A、123Aからなるものとした。但し、環状リング120の周方向に沿って、上切欠溝122と下切欠溝123が三角形状の山と谷を交互に連ねる多数の歯溝122A、123Aからなるもの等でも良い。
本変形例では、環状リング120の上端面に形成される上切欠溝122が該上端面の周方向に連続する多数の歯溝122Aからなり、及び前記環状リング120の下端面に形成される下切欠溝123が該下端面の周方向に連続する多数の歯溝123Aからなるものとする。これにより、環状リング120の多数の歯溝122A、123Aからなる上切欠溝122と下切欠溝123の溝表面と油との接触面積が大きくなり、それらの上切欠溝122と下切欠溝123に基づく1次的比例特性を一層顕著にし、伸縮ストローク速度が速いときの減衰力の過大化を一層緩和するものになる。
以上、本発明の実施例を図面により詳述したが、本発明の具体的な構成はこの実施例に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があっても本発明に含まれる。例えば、環状リング120は、上切欠溝122と下切欠溝123の一方だけを多数の歯溝122A又は123Aからなるものにしても良い。
本発明は、車輪側のアウタチューブ内に車体側のインナチューブを摺動自在に挿入し、アウタチューブ内の底部に、インナチューブの内周に摺接する隔壁部を備えた中空パイプを立設し、インナチューブの先端部の内周に設けたピストンがアウタチューブの内周に摺接し、このピストンが進退する油室を中空パイプの外周に設け、この油室をピストンにより該ピストンの上部の上油室と該ピストンの下部の下油室に仕切り、中空パイプの内周に、インナチューブの上部に及ぶ油溜室を区画するとともに、該油溜室の上部をエア室とし、中空パイプにおける隔壁部の外周の環状溝内に該中空パイプの軸方向に沿って上下動可能に装填され、インナチューブの内周に摺接する環状リングを有してなるフロントフォークにおいて、前記環状リングが、中空パイプにおける隔壁部の外周の環状溝の溝底部との間に環状流路を形成するとともに、該環状溝内で前記油溜室寄りとなる上端面に径方向に貫通する上切欠溝を形成し、該環状溝内で前記油室寄りとなる下端面に径方向に貫通する下切欠溝を形成してなり、中空パイプにおける隔壁部の外周の環状溝の溝底部が、該中空パイプの軸方向に沿うテーパ状をなしてなるものにした。これにより、フロントフォークにおいて、圧縮行程及び/又は伸長行程の減衰力特性を簡易に1次的比例特性にすることができる。
10 フロントフォーク
11 アウタチューブ
12 インナチューブ
22 中空パイプ
22A 隔壁部
25 油室
25A 上油室
25B 下油室
27 油溜室
28 エア室
40 ピストン
100 環状溝
101 溝底部
110 環状リング
111 環状流路
112 上切欠溝
113 下切欠溝
120 環状リング
122 上切欠溝
122A 歯溝
123 下切欠溝
123A 歯溝

Claims (5)

  1. 車輪側のアウタチューブ内に車体側のインナチューブを摺動自在に挿入し、
    アウタチューブ内の底部に、インナチューブの内周に摺接する隔壁部を備えた中空パイプを立設し、
    インナチューブの先端部の内周に設けたピストンがアウタチューブの内周に摺接し、このピストンが進退する油室を中空パイプの外周に設け、この油室をピストンにより該ピストンの上部の上油室と該ピストンの下部の下油室に仕切り、
    中空パイプの内周に、インナチューブの上部に及ぶ油溜室を区画するとともに、該油溜室の上部をエア室とし、
    中空パイプにおける隔壁部の外周の環状溝内に該中空パイプの軸方向に沿って上下動可能に装填され、インナチューブの内周に摺接する環状リングを有してなるフロントフォークにおいて、
    前記環状リングが、中空パイプにおける隔壁部の外周の環状溝の溝底部との間に環状流路を形成するとともに、該環状溝内で前記油溜室寄りとなる上端面に径方向に貫通する上切欠溝を形成し、該環状溝内で前記油室寄りとなる下端面に径方向に貫通する下切欠溝を形成してなり、
    中空パイプにおける隔壁部の外周の環状溝の溝底部が、該中空パイプの軸方向に沿うテーパ状をなしてなることを特徴とするフロントフォーク。
  2. 前記中空パイプにおける環状溝のテーパ状溝底部が、前記油溜室寄りから前記油室寄りに向けて拡径されてなる請求項1に記載のフロントフォーク。
  3. 前記中空パイプにおける環状溝のテーパ状溝底部が、前記油溜室寄りから前記油室寄りに向けて縮径されてなる請求項1に記載のフロントフォーク。
  4. 前記環状リングの上端面に形成される上切欠溝の形態と下端面に形成される下切欠溝の形態を互いに異ならせてなる請求項1〜3のいずれかに記載のフロントフォーク。
  5. 前記環状リングの上端面に形成される上切欠溝が該上端面の周方向に連続する多数の歯溝からなり、及び/又は前記環状リングの下端面に形成される下切欠溝が該下端面の周方向に連続する多数の歯溝からなる請求項1〜4のいずれかに記載のフロントフォーク。
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