JP2013181197A - 樹脂接合用Al−Mg−Si系アルミ合金部材の製造方法及びこの方法で得られた樹脂接合用Al−Mg−Si系アルミ合金部材 - Google Patents

樹脂接合用Al−Mg−Si系アルミ合金部材の製造方法及びこの方法で得られた樹脂接合用Al−Mg−Si系アルミ合金部材 Download PDF

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Abstract

【解決課題】Al-Mg-Si系アルミ合金部材の表面に樹脂成形体を接合することにより、アルミ-樹脂間において優れた密着性及び気密性を保持すると共にアルミニウム合金本来の優れた耐久性、押出加工性、及び機械的特性を有し、過酷な環境下に曝される機会のある種々の用途に適したアルミ−樹脂複合体を製造するのに好適な樹脂接合用Al-Mg-Si系アルミ合金部材の製造方法を提供する。
【解決手段】Mn含有量0.05質量%未満のAl-Mg-Si系アルミ合金基材を500〜600℃及び1〜20時間の条件で溶体化処理し、次いで150〜300℃及び1〜20時間の条件で時効処理を行った後、硫酸及び/又は硝酸の水溶液によるエッチング処理を施し、アルミ合金基材の表面に表面処理層を付与する樹脂接合用Al-Mg-Si系アルミ合金部材の製造方法である。
【選択図】なし

Description

この発明は、Al-Mg-Si系アルミニウム合金からなる樹脂接合用のアルミ合金部材の製造方法及びこの方法で得られたアルミ合金部材に係り、特に限定するものではないが、過酷な環境下に曝される機会のある自動車用部品、家電機器用部品、産業機器用部品等を始めとする多くの用途に好適な樹脂接合用Al-Mg-Si系アルミ合金部材の製造方法及びこの方法で得られた樹脂接合用Al-Mg-Si系アルミ合金部材に関する。
アルミニウム合金は、軽量で加工性に富むほか機械的性質にも優れ、しかも、優れた熱伝導性、導電性、耐食性等の特性を有することから、建築材料、家電機器用材料、車両・船舶用材料等の極めて多くの用途に供されており、特にAl-Mg-Si系アルミニウム合金については、熱伝導性及び導電性に優れていることから、例えば高熱伝導性を利用したヒートシンク等の放冷部品や高導電性を利用したブスバー、電線等の電気電子部品等の用途に多用されており、そして、特に近年においては、前者の用途の場合には、その一部を断熱したい等のニーズから、部分的に断熱性に富む樹脂を接合することが求められ、また、後者の用途の場合には、その一部を電気的に絶縁したい等のニーズから、部分的に絶縁性に富む樹脂を接合することが求められている。
そして、このような用途に用いられ、部分的に樹脂を接合すること(部分的な樹脂化)が求められる場合、これまではビス止めや接着剤等の手段が採用されていたが、これらの手段による部分的な樹脂化には、製造工程での工程数が増加するほか、重量増加の原因にもなり、これらビス止めや接着剤等の手段を必要としないアルミ-樹脂接合技術の開発が求められていた。
そこで、本発明者らは、先に塩酸系エッチング処理によりアルミ合金部材の表面に微細な凹凸形状を付与し、この凹凸形状を利用して樹脂成形時にアルミ合金部材の表面に樹脂成形体を接合し、これによって温度や湿度、粉塵等において過酷な環境下でも優れた密着性及び気密性を保持すると共に、優れた耐久性や耐熱性をも発揮するアルミ・樹脂射出一体成形品(アルミ−樹脂複合体)の製造方法を提供した(特許文献1)。しかしながら、Al-Mg-Si系アルミニウム合金にこのアルミ-樹脂接合技術をそのまま適用した場合には、Al-Mg-Si系アルミニウム合金が比較的多量のSiを含み、このSiがフッ酸以外の薬品にはほとんど溶解しないことから、Al-Mg-Si系アルミニウム合金のエッチング処理の際にSiがアルミ合金部材の表面で溶け残って堆積し、成形された樹脂成形体との間の密着性が損なわれ、アルミ-樹脂間の接合性に悪影響を及ぼすという問題があった。
ところで、このAl-Mg-Si系アルミニウム合金は、耐食性や押出加工性に優れているだけでなく、熱処理によって高い機械的性質が得られ、また、陽極酸化処理特性も良好であることから、一定の熱処理(溶体化処理)と時効処理とを施すことにより微細なMg2Siの金属間化合物を析出させ、建築材、家電製品の筐体、車両・船舶等の部材等の様々な用途に適したアルミニウム合金材とすることが知られており(特許文献2)、また、このようなAl-Mg-Si系のアルミニウム合金板に500℃以上での焼入れ処理、200〜400℃での焼戻し処理、及び、焼戻し処理で析出したMg2Si金属間化合物を酸水溶液で溶解して除去するエッチング処理を施し、エッチング処理で形成された粗面化表面上に感光膜(感光層)設けることにより、アルミニウム合金板と感光膜との間の密着性に優れた平版印刷版支持体用アルミニウム支持体を製造することが知られており(特許文献3)、更に、均質化処理及び熱間圧延を経て表面にMg2Si晶出物が露出したAl-Mg-Si系のアルミニウム合金板を形成し、このアルミニウム合金板に陽極酸化処理又はエッチング処理を施してMg2Si晶出物を脱離させ、このMg2Si晶出物が離脱して形成された凹部又は脱離穴によるアンカー効果を利用して表面にポリエステル系、ポリオレフィン系、又はポリアミド系の樹脂フィルムを密着性良く被覆した樹脂被覆缶胴用アルミニウム合金板も知られている(特許文献4)。
しかしながら、これらの特許文献3〜4の場合においても、熱処理によって生成するMg2Si晶出物がこの熱処理の条件によって針状相、棒状中間相β’、板状安定相β等の種々の形態をとることから、熱処理条件によってエッチング後に形成される凹凸形状が変化して安定せず、例えば、電気電子部品向けヒートシンク部材、LED照明用アルミベース放熱基盤、液冷ユニット向けウォータージャケット部材等の自動車用部品、家電機器用部品、産業機器用部品等の如く過酷な環境下に曝された際における金属−樹脂の界面での密着強度及び気密性が必ずしも充分ではなく、より優れた密着強度及び気密性を持つ金属−樹脂複合体の開発が要請されていた。
WO2009/151、099A1号公報 特開平10-088,300号公報 特開昭59-220,395号公報 特開2000-309,839号公報
そして、本発明者らは、Al-Mg-Si系アルミニウム合金が有する特性を損なうことなく、例えば過酷な環境下に曝される機会のある自動車用部品、家電機器用部品、産業機器用部品等の多くの用途において使用するのに好適な樹脂接合用Al-Mg-Si系アルミ合金部材の製造方法について種々検討を重ねる中で、意外なことには、機械的強度の改善に有効なMnの含有量が0.05質量%以上になると、製造されたアルミ−樹脂複合体のAl-Mg-Si系アルミニウム合金−樹脂成形体の界面での剪断強度が顕著に低下し、また、この界面での密着強度及び気密性が低下することを見い出した。
そこで、本発明者らは、更にこのAl-Mg-Si系アルミニウム合金−樹脂成形体の界面での剪断強度の向上を図り、この界面での密着強度及び気密性を改善して過酷な環境下に曝される機会のある多くの用途に好適な樹脂接合用Al-Mg-Si系アルミ合金部材を開発すべく鋭意検討した結果、Mnの含有量が0.05質量未満のAl-Mg-Si系アルミ合金基材を所定の条件下で溶体化処理すると共に所定の条件下で時効処理を行なうことにより、表面にクロスヘッド型又はエキスパンドメタル型の極微細な凹凸形状を有する表面処理層を形成することができ、これによって、この表面処理層の上に設けられる樹脂成形体との間の界面での剪断強度を改善できることを見い出し、本発明を完成した。
従って、本発明の目的は、Al-Mg-Si系アルミニウム合金からなるアルミ合金部材の表面に樹脂成形体を接合することにより、アルミ-樹脂間において優れた密着性及び気密性を保持すると共にAl-Mg-Si系アルミニウム合金本来の優れた耐久性、押出加工性、及び機械的特性を有し、過酷な環境下に曝される機会のある種々の用途に適したアルミ−樹脂複合体を製造するのに好適な樹脂接合用Al-Mg-Si系アルミ合金部材の製造方法を提供することにある。
また、本発明の目的は、上記の方法によって製造され、優れた密着性及び気密性を有すると共に優れた耐久性、押出加工性、及び機械的特性をも有し、種々の用途に適したアルミ−樹脂複合体の製造に好適な樹脂接合用Al-Mg-Si系アルミ合金部材を提供することにある。
すなわち、本発明は、Mnの含有量が0.05質量%未満であるAl-Mg-Si系アルミニウム合金からなるアルミ合金基材を500〜600℃及び1〜20時間の条件で溶体化処理し、次いで冷却した後に150〜300℃及び1〜20時間の条件で時効処理を行った後、硫酸及び/又は硝酸の水溶液からなる酸性エッチング液によるエッチング処理を施し、前記アルミ合金基材の表面に表面処理層を付与することを特徴とする樹脂接合用Al-Mg-Si系アルミ合金部材の製造方法である。
また、本発明は、上記の方法によって得られ、表面にクロスヘッド型又はエキスパンドメタル型の極微細な凹凸構造の表面処理層を有することを特徴とする樹脂接合用Al-Mg-Si系アルミ合金部材である。ここで、本発明において「クロスヘッド型の極微細な凹凸構造」とは、微細な凹凸構造を形成する多数の凸部の一部又は全部においてその先端部分が略々十字架形状を有する凹凸構造である場合をいい、また、本発明において「エキスパンドメタル型の極微細な凹凸構造」とは、微細な凹凸構造があたかも金属繊維が網目状に絡まり合ってエキスパンドメタル様の構造を呈する場合をいう。
本発明において、前記アルミ合金基材を構成するAl-Mg-Si系アルミニウム合金については、Mgを0.2質量%以上4.0質量%以下、好ましくは0.3質量%以上1.5質量%以下の範囲で含有すると共に、Siを0.1質量%以上2.5質量%以下、好ましくは0.3質量%以上1.5質量%以下の範囲で含有し、Mnの含有量については、できるだけ少ないのがよく、0.05質量%未満、好ましくは0.04質量%未満であるのがよい。Mgの含有量が0.2質量%より少ないとMg2Siが十分に析出しないという問題があり、反対に、4.0質量%より多くなると鋳造性が低下するという問題が生じる。また、Siの含有量が0.1質量%より少ないとMg2Siが十分に析出しないという問題があり、反対に、2.5質量%より多くなると溶体化処理時にSiが溶融することによりブリスターが発生する危険が生じ、高い温度での溶体化処理が困難になるという問題が生じる。更に、Mnの含有量が0.05質量%以上になると、このMnが優先的にSiと結合して粗大な析出物(Al-Mn-Si系合金)を形成するため、結果としてAl-Mg-Si系アルミニウム合金−樹脂成形体の界面での剪断強度が顕著に低下し、また、この界面での密着強度及び気密性が低下する。
本発明においては、上記の如きAl-Mg-Si系アルミニウム合金からなるアルミ合金基材を、先ず、500℃以上600℃以下及び1時間以上20時間以下の条件で溶体化処理し、合金中のMg及びSiをAl中に固溶化させ、Mg2Si金属間化合物を生成させる。この際の温度条件が、500℃より低いと合金中のMg及びSiをAl中に固溶させることができず、反対に、600℃より高くなるとAl自体が溶融してしまう。
また、本発明においては、上記の溶体化処理が終了して一旦冷却した後に、再び、150℃以上300℃以下及び1時間以上20時間以下の条件で時効処理を行ない、溶体化処理で生成したMg2Si金属間化合物を所望の形状、すなわち次のエッチング処理により所望のクロスヘッド型又はエキスパンドメタル型の極微細な凹凸構造の表面処理層を得るのに適したMg2Si金属間化合物の形状に変態化させる。この際の温度条件が、150℃より低いと所望の形状を有するMg2Siが析出せず、反対に、300℃より高くなるとMg2Siが肥大化し過ぎて分散性が低下する。
そして、この時効処理において、上記の温度条件が200℃未満であるとエッチング処理によりクロスヘッド型の極微細な凹凸構造の表面処理層を得るのに適したMg2Si金属間化合物に変態し、また、200℃以上であるとエッチング処理によりエキスパンドメタル型極微細な凹凸構造の表面処理層を得るのに適したMg2Si金属間化合物に変態する傾向にあり、Al-Mg-Si系アルミニウム合金−樹脂成形体の界面での剪断強度の向上を図るという観点からは、好ましくは温度条件を200℃以上300℃以下にするのがよい。
このようにして調製されたアルミ合金基材については、次に、硫酸及び/又は硝酸の水溶液からなる酸性エッチング液を用いてエッチング処理を行い、このアルミ合金基材の表面に存在するMg2Si金属間化合物を溶解し、アルミ合金基材の表面に所望のクロスヘッド型又はエキスパンドメタル型の極微細な凹凸構造の表面処理層を形成せしめる。
ここで、酸性エッチング液として用いる硫酸及び/又は硝酸の水溶液については、硫酸水溶液の場合にはその酸濃度が1重量%以上60重量%以下、好ましくは5重量%以上50重量%以下であるのがよく、また、硝酸水溶液の場合にはその酸濃度が5重量%以上60重量%以下、好ましくは10重量%以上50重量%以下であるのがよく、更に、硫酸・硝酸混合水溶液の場合には酸濃度が5重量%以上50重量%以下である硫酸水溶液中に酸濃度が5重量%以上30重量%以下である硝酸水溶液を添加するのがよい。酸性エッチング液の酸濃度が上記範囲より低いと反応が十分に進まず溶解量が不十分になる虞があり、反対に、上記範囲より高くなると反応速度が速くなり過ぎて溶解量の制御が困難になる。なお、上記の酸性エッチング液については、溶解量を制御する等の目的のため、必要によりクロム酸、リン酸、酢酸、シュウ酸、アスコルビン酸、安息香酸、酪酸、クエン酸、ぎ酸、乳酸、イソブチル酸、リンゴ酸、プロピオン酸、酒石酸等の硫酸及び硝酸以外の酸を添加してもよい。
また、上記の酸性エッチング液を用いたエッチング処理の処理条件については、処理温度が通常20℃以上90℃以下、好ましくは30℃以上80℃以下であって、処理時間が通常1分以上20分以下、好ましくは5分以上15分以下であるのがよい。このエッチング処理の処理条件における処理温度が20℃より低いと反応が十分に進まず溶解量が不十分になる虞があり、反対に、90℃より高くなると反応速度が速くなり過ぎて溶解量の制御が困難になる。同様に、エッチング処理の処理時間が1分より短いと反応が十分に進まず溶解量が不十分になる虞があり、反対に、20分より長くなると生産効率が低下して量産性が悪くなる。
本発明において、以上のようにして得られたアルミ合金基材の表面にコンタミ等が残渣している場合には、脱脂や表面調整、表面付着物・汚染物等の除去を目的に、このアルミ合金基材のエッチング処理に先駆けて、酸水溶液に浸漬した後にアルカリ水溶液に浸漬する前処理を行うのがよい。この目的で使用される酸水溶液としては、例えば、市販の酸性脱脂剤で調製したもの、硫酸、硝酸、フッ酸、リン酸等の鉱酸や酢酸、クエン酸等の有機酸や、これらの酸を混合して得られた混合酸等の酸試薬を用いて調製したもの等の酸の1〜50重量%水溶液が用いるのがよく、また、アルカリ水溶液としては、例えば、市販のアルカリ性脱脂剤により調製したもの、苛性ソーダ等のアルカリ試薬により調製したもの、又はこれらのものを混合して調製したもの等のアルカリの1〜50重量%水溶液が用いるのがよく、更に、浸漬時間については、酸水溶液及びアルカリ水溶液のいずれの場合も0.5〜10分間程度であるのがよい。
本発明により得られたアルミ合金部材は、上記のエッチング処理によって溶解されたMg2Si金属間化合物の跡が凹状部となってこのアルミ合金部材の表面にクロスヘッド型又はエキスパンドメタル型の極微細な凹凸構造の表面処理層を形成し、この表面処理層により樹脂成形体との間に優れたアルミ樹脂接合性を発現する。
そして、本発明のアルミ合金部材において、アルミ合金部材の表面に観察されるクロスヘッド型又はエキスパンドメタル型の極微細な凹凸構造の表面処理層は、次のようなメカニズムによって形成されるものと推定される。
すなわち、MgとSiとを含むAl-Mg-Si系アルミニウム合金では、溶体化処理及び時効処理の際の温度条件により、図1に示すように、生成したMg2Si金属間化合物の結晶構造が針状(a)→棒状(b)→板状(c)→ランダムな立方体形状(d)の如く変態する。このランダムな立方体形状(d)の結晶構造はMg2Si金属間化合物の板状(c)結晶が重なり合って形成されるが、クロスヘッド型の極微細な凹凸構造は、このようなランダムな立方体形状(d)の結晶構造を有するMg2Si金属間化合物を析出させ、このMg2Si金属間化合物を硫酸及び/又は硝酸の水溶液で溶解させた場合に発現する。ここで、ランダムな立方体形状(d)の結晶構造を有するMg2Si金属間化合物を析出させるためには、焼き入れを十分に行ない、かつ、時効処理の際の温度を高くするのがよく、反対に、析出させないためには、焼き入れを不十分にし、あるいは時効処理の際の温度を低くするのがよい。また、Al-Mg-Si系アルミニウム合金において、Mnの含有量が多い場合には、MnがAl-Mn-Si系アルミニウム合金を作ってMg2Si金属間化合物の形成が阻害されるので、焼き入れが不十分になる可能性が高くなる。この場合には、時効処理の際の温度を上げても針状(a)→棒状(b)→板状(c)への変態が起こらず、結果としてアルミ-樹脂間の接合性にプラスに寄与するクロスヘッド型の極微細な凹凸構造を発現させることができない。また、エキスパンドメタル型の極微細な凹凸構造の表面処理層は、上記の板状(c)のMg2Si金属間化合物の結晶が重なり合わずに分散した状態のままエッチング処理により溶解した場合に形成されるものと考えられ、また、時効処理の際の温度が高いほどMg2Si金属間化合物の析出量が多くなるので、時効処理の際の温度が高いほどエッチング処理後にエキスパンドメタル型の極微細な凹凸構造が発現し易くなると考えられる。
また、本発明により得られたアルミ合金部材において、アルミ合金部材の表面処理層に観察されるクロスヘッド型凹凸構造の存在比率〔すなわち、走査型電子顕微鏡(日立製FE-SEM、S-4500形)を用いてSEM像(実施例1の場合の図2)を観察し、その結果を実施例1の場合の図3のように画像処理して求められる測定視野0.1mm角における凹状部の面積比率をクロスヘッド型凹凸構造の存在比率として算出〕については、通常20%以上90%以下、好ましくは35%以上80%以下であるのがよい。アルミ合金部材の表面における凹状部の存在比率が20%より低いと凹部に入り込む樹脂量が不十分になり、樹脂接合性に悪影響を及ぼすという問題が生じる虞があり、反対に、90%より高くなると凹部に入り込んだ樹脂を支えるためのアルミ部が極端に少なくなり、結果として樹脂接合性に悪影響を及ぼすという問題が生じる虞が生じる。また,実施例2及び実施例4については、同様の測定方法〔すなわち、走査型電子顕微鏡(日立製FE-SEM、S-4500形)を用いてSEM像(実施例2の場合の図5)を観察し、その結果を実施例2の場合の図8のように画像処理して求められる測定視野0.1mm角における凹状部の面積比率〕によりエキスパンドメタル構造の存在比率を算出した。通常10%以上好ましくは20%以上であると、接合強度及び気密性の向上が得られる。
本発明の方法により得られたアルミ合金部材は、その表面に形成されたクロスヘッド型又はエキスパンドメタル型の極微細な凹凸構造の表面処理層により、例えばこのアルミ合金部材を射出成形用金型内にセットし、この金型内に溶融した所定の熱可塑性樹脂を射出して固化させる、いわゆるアルミ合金部材を用いた熱可塑性樹脂の射出一体成形により、アルミ合金部材の必要な部分に樹脂成形体を接合してアルミ−樹脂複合体を製造した際に、優れたアルミ樹脂接合性を発揮する。
ここで、本発明のアルミ合金部材を用いたアルミ−樹脂複合体を製造する際に使用される熱可塑性樹脂としては、各種の熱可塑性樹脂を単独で用いることができるが、本発明のアルミ合金部材を用いて製造されるアルミ−樹脂複合体に求められる物性、用途、使用環境等を考慮すると、熱可塑性樹脂としては、好ましくは、例えばポリプロピレン樹脂、ポリエチレン樹脂、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合体(ABS)、ポリカーボネート樹脂(PC)、ポリアミド樹脂(PA)、ポリフェニレンスルフィド(PPS)等のポリアリーレンサルファイド樹脂、ポリアセタール樹脂、液晶性樹脂、ポリエチレンテレフタレート(PET)やポリブチレンテレフタレート(PBT)等のポリエステル系樹脂、ポリオキシメチレン樹脂、ポリイミド樹脂、シンジオタクティックポリスチレン樹脂等やこれらの熱可塑性樹脂の2種以上の混合物が挙げられ、また、アルミ形状体と樹脂成形体との間の密着性、機械的強度、耐熱性、寸法安定性(耐変形、反り等)、電気的性質等の性能をより改善するために、より好ましくは、これらの熱可塑性樹脂に繊維状、粉粒状、板状等の充填剤や、各種のエラストマー成分を添加するのがよい。
また、熱可塑性樹脂に添加される充填剤としては、ガラス繊維、カーボン繊維、金属繊維、アスベスト繊維、硼素繊維等の無機質繊維充填剤や、ポリアミド、フッ素樹脂、アクリル樹脂等の高融点有機質繊維充填剤や、石英粉末、ガラスビーズ、ガラス粉、炭酸カルシウムを始めとする無機粉体類等の粉状充填剤や、ガラスフレーク、タルクやマイカ等の珪酸塩類等の板状充填剤等が例示され、熱可塑性樹脂100重量部に対して250重量部以下、好ましくは20重量部以上220重量部以下、より好ましくは30重量部以上100重量部以下の範囲で添加される。この充填剤の添加量が250重量部を超えると、流動性が低下しアルミ形状体の凹部へ進入し難くなり良好な密着強度を得られなかったり、機械的特性の低下を招くという問題が生じる。
また、熱可塑性樹脂に添加されるエラストマー成分としては、ウレタン系、コアシェル型、オレフィン系、ポリエステル系、アミド系、スチレン系等のエラストマーが例示され、射出成形時の熱可塑性樹脂の溶融温度等を考慮して選択され、また、熱可塑性樹脂100重量部に対して30重量部以下、好ましくは3〜25重量部の範囲で使用される。このエラストマー成分の添加量が30重量部を超えると、更なる密着強度向上効果が見られず機械的特性の低下等の問題が生じる。このエラストマー成分の配合効果は、熱可塑性樹脂としてポリエステル系樹脂を用いた場合に特に顕著に現れる。
更に、本発明のアルミ−樹脂複合体を製造するための熱可塑性樹脂には、一般に熱可塑性樹脂に添加される公知の添加剤、すなわち難燃剤、染料や顔料等の着色剤、酸化防止剤や紫外線吸収剤等の安定剤、可塑剤、潤滑剤、滑剤、離型剤、結晶化促進剤、結晶核剤等を、要求される性能に応じて適宜添加することができる。
本発明において、アルミ合金部材を射出成形用金型内にセットして行う熱可塑性樹脂の射出成形については、用いられる熱可塑性樹脂に求められる成形条件を採用し得るものであるが、射出成形時に溶融した熱可塑性樹脂がアルミ合金部材の凹状部内に確実に進入して固化することが重要であり、金型温度やシリンダー温度を熱可塑性樹脂の種類や物性、更には成形サイクルの許す範囲で比較的高めに設定するのが好ましく、特に金型温度については、下限温度を90℃以上、好ましくは130℃以上にする必要があるが、上限は、使用する熱可塑性樹脂の種類に応じて、100℃から当該熱可塑性樹脂の融点又は軟化点(エラストマー成分が添加される場合にはどちらか高い方の融点又は軟化点)より20℃程度低い温度までの範囲であるのがよい。また、下限金型温度は、熱可塑性樹脂の融点から140℃以上低くならないように設定するのが好ましい。
なお、本発明のアルミ合金部材を用いて行われるアルミ−樹脂複合体の製造方法については、上記の熱可塑性樹脂の射出一体成形法に限らず、熱圧着法を採用してもよい。すなわち、先ず、使用する熱可塑性樹脂の溶融温度に応じてアルミ合金部材を90〜300℃程度の温度に加熱し、その表面に熱可塑性樹脂性の樹脂成形体を加圧下に押し当て、この樹脂成形体の表面の一部を溶融させてアルミ合金部材表面の凹状部内に侵入させ、更に加圧下に冷却することにより所望のアルミ−樹脂複合体を製造する。
本発明によれば、Al-Mg-Si系アルミニウム合金からなるアルミ合金部材の表面に樹脂成形体を接合することにより、アルミ-樹脂間において優れた密着性及び気密性を保持すると共にAl-Mg-Si系アルミニウム合金本来の優れた耐久性、押出加工性、及び機械的特性を有するアルミ−樹脂複合体を製造するのに好適な樹脂接合用Al-Mg-Si系アルミ合金部材を製造することができる。しかも、製造されたアルミ−樹脂複合体は、優れた密着性及び気密性を有するものであるから、例えば自動車用部品、家電機器用部品、産業機器用部品等を始めとする過酷な環境下に曝される機会のある種々の用途に適している。
図1は、本発明方法において、クロスヘッド型又はエキスパンドメタル型の極微細な凹凸構造の表面処理層が形成されるメカニズム(推定)を説明するための説明図である。
図2は、本発明の実施例1で得られたアルミ合金部材の表面を走査型電子顕微鏡で観察した際に得られたSEM画像を示す写真である。
図3は、図2のSEM画像の画像処理後の処理画像を示す写真である。
図4は、実施例1で得られたアルミ-樹脂複合体のアルミ完全除去後の樹脂側表面形状を走査型電子顕微鏡で観察した際に得られたSEM画像を示す写真である。
図5は、本発明の実施例2で得られた図2と同様のアルミ合金部材表面のSEM画像を示す写真である。
図6は、図5の一部を拡大したSEM画像を示す写真である。
図7は、図5のSEM画像の画像処理後の処理画像を示す図3と同様の写真である。
図8は、図5のSEM画像おけるエキスパンドメタル構造部のみを画像処理により抽出した画像処理後の処理画像を示す写真である。
図9は、実施例2で得られた図4と同様の樹脂側表面形状のSEM画像を示す写真である。
図10は、本発明の実施例3で得られた図2と同様のアルミ合金部材表面のSEM画像を示す写真である。
図11は、図10のSEM画像の画像処理後の処理画像を示す図3と同様の写真である。
図12は、実施例3で得られた図4と同様の樹脂側表面形状のSEM画像を示す写真である。
図13は、本発明の実施例4で得られた図2と同様のアルミ合金部材表面のSEM画像を示す写真である。
図14は、図13の一部を拡大したSEM画像を示す写真である。
図15は、図13のSEM画像の画像処理後の処理画像を示す図3と同様の写真である。
図16は、図13のSEM画像におけるエキスパンドメタル構造部のみを画像処理により抽出した画像処理後の処理画像を示す図8と同様の写真である。
図17は、実施例4で得られた図4と同様の樹脂側表面形状のSEM画像を示す写真である。
図18は、本発明の実施例5で得られた図2と同様のアルミ合金部材表面のSEM画像を示す写真である。
図19は、図18のSEM画像の画像処理後の処理画像を示す図3と同様の写真である。
図20は、実施例5で得られた図4と同様の樹脂側表面形状のSEM画像を示す写真である。
図21は、本発明の実施例6で得られた図2と同様のアルミ合金部材表面のSEM画像を示す写真である。
図22は、図21のSEM画像の画像処理後の処理画像を示す図3と同様の写真である。
図23は、実施例6で得られた図4と同様の樹脂側表面形状のSEM画像を示す写真である。
図24は、本発明の比較例1で得られた図2と同様のアルミ合金部材表面のSEM画像を示す写真である。
図25は、図24のSEM画像の画像処理後の処理画像を示す図3と同様の写真である。
図26は、比較例1で得られた図4と同様の樹脂側表面形状のSEM画像を示す写真である。
図27は、本発明の比較例2で得られた図2と同様のアルミ合金部材表面のSEM画像を示す写真である。
図28は、図27のSEM画像の画像処理後の処理画像を示す図3と同様の写真である。
図29は、比較例2で得られた図4と同様の樹脂側表面形状のSEM画像を示す写真である。
図30は、各実施例及び各比較例で得られたアルミ合金部材を用いて作製されたせん断破壊荷重測定試験用のアルミ樹脂試験片(アルミ−樹脂複合体)を示す説明図である。
図31は、せん断破壊荷重測定試験機の試験片固定用冶具にアルミ樹脂試験片を固定し、せん断破壊荷重を測定する際の様子を説明するための説明図である。
以下、本発明の実施例及び比較例に基づいて、本発明の実施の形態を具体的に説明する。
〔実施例1〕
1.アルミ合金基材の調製
Si:0.21質量%、Mg:0.42質量%、及びMn:0.01質量%を含むAl-Mg-Si系アルミニウム合金を鋳造炉で鋳造した後、押出加工を行い、2050mm×800mm×3mmの大きさのフラットバー(アルミ合金基材)を成形した。
2.アルミ合金部材の調製
上で得られたフラットバーについて、520℃及び1時間の条件で溶体化処理を施した後、大気雰囲気下で室温まで自然放冷し、次いで190℃及び3時間の条件で時効処理を実施した。また、得られた溶体化処理及び時効処理後(熱処理後)のフラットバーから、大きさ40mm×40mm×3mmの熱処理後アルミ合金基材を切り出した。
上で得られた熱処理後アルミ合金基材について、30wt%-硝酸水溶液に常温で1分間浸漬した後にイオン交換水で十分に水洗し、次いで5wt%-水酸化ナトリウム水溶液に50℃で1分間浸漬した後に水洗し、更に、30wt%-硝酸水溶液に常温で1分間浸漬した後に水洗する前処理を施した。
次に、この前処理を施した熱処理後アルミ合金基材について、10wt%-硫酸水溶液中に30℃で10分間浸漬した後に水洗するエッチング処理を施し、次いで水洗した後に、80℃の熱風で5分間乾燥させ、実施例1のアルミ合金部材を作製した。
このようにして得られた実施例1のアルミ合金部材について、その表面を走査型電子顕微鏡(日立製FE-SEM、S-4500形)で観察し、その後、画像処理を行って長さ0.1〜10.0μmの大きさを有する凹状部について、その存在比率(面積比率)を算出した。また、X線回析装置(リガク製 RAD-rR)を用い、得られたアルミ合金基材の表面に内在する金属間化合物の積分回析強度値を測定し、その結果からアルミ合金基材中のMg2Si金属間化合物の割合を求めた。この時に得られたアルミ合金部材表面のSEM画像を図2に、また、その画像処理後の処理画像を図3にそれぞれ示すと共に、結果を表1に示す。
3.アルミ−樹脂複合体の調製
以上のようにして得られた実施例1のアルミ合金部材を射出成形機(NISSEI社製ST10R2V)の金型内にセットし、熱可塑性樹脂として、充填剤を含むポリフェニレンスルフィド樹脂(ポリプラスチックス社製PPS、グレード名1140A6)を用い、射出時間(保圧時間を含む)5秒、射出速度60mm/秒、保圧力90MPa、成形温度310℃、及び金型温度180℃の成形条件で射出成形し、図30に示すように、40mm×40mm×3mmの大きさのアルミ合金部材1の表面に、長辺長さ40mm×短辺長さ10mm×高さ5mmの大きさの樹脂成形体2が40mm×10mm×5mmの面積で一体的に接合された実施例1のアルミ−樹脂複合体を調製した。この実施例1のアルミ−樹脂複合体については、樹脂側表面観察用とせん断破壊荷重測定試験用のために2つ作製した。
4.アルミ−樹脂複合体の樹脂側表面の観察
実施例1で得られたアルミ−樹脂複合体を10wt%-水酸化ナトリウム水溶液に80℃で10時間浸漬し、アルミ−樹脂複合体のアルミ側を完全に除去し、樹脂側表面観察用の試験体を作製し、得られた試験体の表面を走査型電子顕微鏡(日立製FE-SEM、S-4500形)で観察し、アルミ−樹脂複合体におけるアルミ−樹脂接合界面における樹脂成形体側表面の形状を調べ、クロスヘッド型又はエキスパンドメタル型の凹凸構造の存在比率を調べた。この時に得られた樹脂成形体表面のSEM画像を図4に示すと共に、結果を表1に示す。
5.剪断破壊荷重測定試験
次に、剪断強度測定試験機(島津製作所製:100kNオートグラフ)を用い、図31に示すように、その試験片固定用治具3に上記のせん断破壊加重測定試験用のアルミ樹脂試験片を図示外のボルトで固定し、接合部から0.1mm離れた位置で樹脂成形体2上に押しジグ4を当て、この押しジグ4により樹脂成形体2に剪断荷重を加え、アルミ部材試験片1と樹脂成形体2との間の接合部の剥離状態(剪断強度)を調べた。この時の剥離形態について、樹脂成形体2の樹脂がアルミ部材試験片1側に接合面積の70%以上の割合で残る「凝集破壊」である場合を最良好(◎)とし、また、樹脂がアルミ部材試験片1側に一部でも残る「凝集破壊」である場合を良好(○)とし、更に、樹脂がアルミ部材試験片1側に残らずに剥離が接合界面で発生した場合を不良(×)として評価した。結果は最良好(◎)であった。
結果を表1に示す。
〔実施例2〜5及び比較例1、2〕
Mg、Si、及びMnについて表1に示す組成を有するAl-Mg-Si系アルミニウム合金を鋳造炉で鋳造した後、実施例1と同様にしてフラットバー(アルミ合金基材)を成形し、次いで表1に示す条件で溶体化処理、時効処理、及び硫酸水溶液でのエッチング処理を施した以外は、実施例1と同様にして実施例2〜6及び比較例1、2の各アルミ合金部材を調製した。
〔実施例6〕
実施例1と同様にして得られた熱処理後アルミ合金基材について、実施例1と同様の前処理を行った後、10wt%-硝酸水溶液中に30℃で10分間浸漬した後に水洗するエッチング処理を施し、次いで水洗した後に、80℃の熱風で5分間乾燥させ、アルミ合金部材を作製した。
このようにして調製された各実施例2〜6及び比較例1、2のアルミ合金部材について、上記実施例1と同様にして、凹状部の存在比率とクロスヘッド型又はエキスパンドメタル型の凹凸構造の有無を調べると共に、アルミ部材試験片1と樹脂成形体2との間の接合部の剥離状態(剪断強度)を調べて評価した。
結果を表1に示す。
また、実施例2で得られたアルミ合金部材表面のSEM画像を図5に、その一部を拡大した画像を図6に、その画像処理後の処理画像を図7に、図5のSEM画像におけるエキスパンドメタル構造部のみを画像処理により抽出した処理画像を図8に、また、樹脂成形体表面のSEM画像を図9にそれぞれ示す。
実施例3で得られたアルミ合金部材表面のSEM画像を図10に、その画像処理後の処理画像を図11に、また、樹脂成形体表面のSEM画像を図12にそれぞれ示す。
実施例4で得られたアルミ合金部材表面のSEM画像を図13に、その一部を拡大した画像を図14に、その画像処理後の処理画像を図15に、図13のSEM画像におけるエキスパンドメタル構造部のみを画像処理により抽出した処理画像を図16に、また、樹脂成形体表面のSEM画像を図17にそれぞれ示す。
実施例5で得られたアルミ合金部材表面のSEM画像を図18に、その画像処理後の処理画像を図19に、また、樹脂成形体表面のSEM画像を図20にそれぞれ示す。
実施例6で得られたアルミ合金部材表面のSEM画像を図21に、その画像処理後の処理画像を図22に、また、樹脂成形体表面のSEM画像を図23にそれぞれ示す。
そして、比較例1で得られたアルミ合金部材表面のSEM画像を図24に、その画像処理後の処理画像を図25に、また、樹脂成形体表面のSEM画像を図26にそれぞれ示す。
また、比較例2で得られたアルミ合金部材表面のSEM画像を図27に、その画像処理後の処理画像を図28に、また、樹脂成形体表面のSEM画像を図29にそれぞれ示す。

Claims (6)

  1. Mnの含有量が0.05質量%未満であるAl-Mg-Si系アルミニウム合金からなるアルミ合金基材を500〜600℃及び1〜20時間の条件で溶体化処理し、次いで冷却した後に150〜300℃及び1〜20時間の条件で時効処理を行った後、硫酸及び/又は硝酸の水溶液からなる酸性エッチング液によるエッチング処理を施し、前記アルミ合金基材の表面に表面処理層を付与することを特徴とする樹脂接合用Al-Mg-Si系アルミ合金部材の製造方法。
  2. 前記時効処理の処理温度が200〜300℃である請求項1に記載の樹脂接合用Al-Mg-Si系アルミ合金部材の製造方法。
  3. Al-Mg-Si系アルミニウム合金が、Mgを0.2〜4.0質量%の範囲で含有すると共に、Siを0.1〜2.5質量%の範囲で含有する請求項1又は2に記載の樹脂接合用Al-Mg-Si系アルミ合金部材の製造方法。
  4. 時効処理終了後エッチング処理に先駆けて、酸水溶液に浸漬した後にアルカリ水溶液に浸漬する前処理を施す請求項1〜3のいずれかに記載の樹脂接合用Al-Mg-Si系アルミ合金部材の製造方法。
  5. エッチング処理の処理条件が、20〜90℃及び処理時間1〜20分である請求項1〜4の何れかに記載の樹脂接合用Al-Mg-Si系アルミ合金部材の製造方法。
  6. 請求項1〜5に記載のいずれかの方法によって得られ、表面にクロスヘッド型又はエキスパンドメタル型の極微細な凹凸構造の表面処理層を有することを特徴とする樹脂接合用Al-Mg-Si系アルミ合金部材。
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