JP2013136804A - 樹脂接合用Al−Fe系アルミ合金部材の製造方法及びこの方法で得られた樹脂接合用Al−Fe系アルミ合金部材 - Google Patents
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Abstract
【解決課題】アルミ樹脂接合性に優れたAl-Fe系アルミ合金部材を簡便な方法で容易に製造することができる樹脂接合用Al-Fe系アルミ合金部材の製造方法を提供することにあり、また、この方法で得られた樹脂接合用Al-Fe系アルミ合金部材を提供することにある。
【解決手段】Fe原子0.1〜2.0質量%及びSi原子1.0質量%以下を含み、FeとSiの合金組成比(Fe/Si)がFe/Si>1であり、所定の処理条件で行われる熱処理によって、鋳造時に晶出したAl6FeをAl3Feに相変態させて得られたAl-Fe系アルミニウム合金からなるアルミ合金基材に、酸性エッチング液によるエッチング処理を施し、アルミ合金基材の表面に樹脂接合性に優れた微細な凹凸形状を付与する樹脂接合用Al-Fe系アルミ合金部材の製造方法であり、また、この方法で得られた樹脂接合用Al-Fe系アルミ合金部材である。
【選択図】なし
【解決手段】Fe原子0.1〜2.0質量%及びSi原子1.0質量%以下を含み、FeとSiの合金組成比(Fe/Si)がFe/Si>1であり、所定の処理条件で行われる熱処理によって、鋳造時に晶出したAl6FeをAl3Feに相変態させて得られたAl-Fe系アルミニウム合金からなるアルミ合金基材に、酸性エッチング液によるエッチング処理を施し、アルミ合金基材の表面に樹脂接合性に優れた微細な凹凸形状を付与する樹脂接合用Al-Fe系アルミ合金部材の製造方法であり、また、この方法で得られた樹脂接合用Al-Fe系アルミ合金部材である。
【選択図】なし
Description
この発明は、Fe原子を含むAl-Fe系アルミニウム合金からなる樹脂接合用のAl-Fe系アルミ合金部材の製造方法及びこの方法で得られた樹脂接合用Al-Fe系アルミ合金部材に係り、特に限定するものではないが、自動車用部品、家電機器用部品、産業機器用部品等を始めとする多くの用途に好適な樹脂接合用Al-Fe系アルミ合金部材の製造方法及びこの方法で得られた樹脂接合用Al-Fe系アルミ合金部材に関する。
アルミニウム合金は、軽量で加工性に富むほか機械的性質にも優れ、しかも、優れた熱伝導性、導電性、耐食性等の特性を有することから、建築材料、家電機器用材料、車両・船舶用材料等の極めて多くの用途に供されており、特にFe原子を含むAl-Fe系アルミニウム合金については、優れた張出成形性や伸び性等の特性を有することから、その特性を生かして電磁波シールド部品、容器向けキャップ材,熱反射板、LED等の照明器具、自動車用燃料タンク等の多くの用途に多用されており、そして、特に近年においては、かかる用途においても、その一部を熱的に及び/又は電気的に絶縁したい等のニーズから、部分的に断熱性や絶縁性に富む樹脂を接合することが求められている。
そして、このような用途に用いられ、部分的に樹脂を接合すること(部分的な樹脂化)が求められる場合において、これまではビス止めや接着剤等の手段が採用されていたが、これらの手段による部分的な樹脂化には、製造工程での工程数が増加するほか、重量増加の原因にもなり、これらビス止めや接着剤等の手段を必要としないアルミ−樹脂接合技術の開発が求められていた。
そこで、本発明者らは、先に酸性エッチング液を用いたエッチング処理によりアルミ合金部材の表面に微細な凹凸形状を付与し、この凹凸形状を利用して樹脂成形時にアルミ合金部材の表面に樹脂成形体を接合し、これによって過酷な環境下でも優れた密着性及び気密性を保持すると共に、優れた耐久性や耐熱性をも発揮するアルミ・樹脂射出一体成形品の製造方法を提供した(特許文献1)。しかしながら、このアルミ−樹脂接合技術をそのまま上記のAl-Fe系アルミニウム合金に適用すると、例えばアルミニウムをほとんど溶解しない硫酸及び/又は硝酸の水溶液を酸性エッチング液として用いた場合や合金組成中にSi原子が存在した場合等に、Al-Fe系アルミニウム合金と樹脂成形体との間の界面において十分な密着性及び/又は気密性(以下、「アルミ樹脂接合性」という。)が得られない場合があるという新たな問題に直面した。
そこで、本発明者らは、これらの問題が発生する原因を突き止めるべく種々検討した結果、Al-Fe系アルミニウム合金の鋳造時に晶出するAl6Feが上記の硫酸及び/又は硝酸の水溶液からなる酸性エッチング液に溶解せず、また、Al-Fe系アルミニウム合金の合金組成においてSi原子がFe原子の含有量を超えて存在すると、Al-Fe-Si三元系金属間化合物が生成し、この金属間化合物が上記の硫酸及び/又は硝酸の水溶液からなる酸性エッチング液に溶解し難いことが原因になっていることを突き止めた。
そこで、本発明者らは、アルミニウムをほとんど溶解しない硫酸及び/又は硝酸の水溶液からなる酸性エッチング液を用いてAl-Fe系アルミニウム合金からなるアルミ合金基材をエッチング処理し、このアルミ合金基材の表面にアルミ樹脂接合性に優れた凹凸形状を付与することについて鋭意検討した結果、Fe原子とSi原子について特定の合金組成を有し、圧延加工の前又は後の熱処理により鋳造時に晶出したAl6FeをAl3Feに相変態させたアルミ合金基材を調製し、このアルミ合金基材の表面に生成したAl3Fe を所定の酸性エッチング液でエッチング処理することにより、アルミ樹脂接合性に優れたAl-Fe系アルミ合金部材を容易に製造できることを見い出し、本発明を完成した。
従って、本発明の目的は、アルミ樹脂接合性に優れたAl-Fe系アルミ合金部材を簡便な方法で容易に製造することができる樹脂接合用Al-Fe系アルミ合金部材の製造方法を提供することにあり、また、この方法で得られた樹脂接合用Al-Fe系アルミ合金部材を提供することにある。
すなわち、本発明は、Fe原子を0.1〜2.0質量%の範囲で含むと共にSi原子の含有量が1.0質量%以下であって、FeとSiの合金組成比(Fe/Si)がFe/Si>1であり、かつ、処理温度500〜650℃及び処理時間1時間以上の処理条件で行われる圧延加工の前又は後の熱処理によって、鋳造時に晶出したAl6Feの一部又は全部をAl3Feに相変態させて得られたAl-Fe系アルミニウム合金からなるアルミ合金基材に、硫酸及び/又は硝酸の水溶液からなる酸性エッチング液によるエッチング処理を施し、前記アルミ合金基材の表面に樹脂接合性に優れた微細な凹凸形状を付与することを特徴とする樹脂接合用Al-Fe系アルミ合金部材の製造方法である。
本発明において、前記アルミ合金基材を構成するAl-Fe系アルミニウム合金については、Fe原子を0.1質量%以上2.0質量%以下、好ましくは0.3質量%以上1.8質量%以下の範囲で含み、また、Si原子が1.0質量%以下で、好ましくは0.9質量%以下であり、更に、FeとSiの合金組成比(Fe/Si)がFe/Si>1、好ましくはFe/Si≧1.2であることが必要である。ここで、Fe原子が0.1質量%より少ないとアルミ合金基材の表面に凹凸形状を付与する上で必要な量のAl3Feが得られず、また、2.0質量%より多くなるとアルミ合金基材の耐久性が低下する。また、Si原子が1.0質量%より多くなるとAl-Fe-Si三元系金属間化合物が生成し、アルミ合金基材の表面に凹凸形状を付与する上で必要なAl3Feの生成が阻害される。更に、合金組成比(Fe/Si)がFe/Si≦1であると、この場合にもAl-Fe-Si三元系金属間化合物が優先的に生成し、Al3Feの生成が阻害されてアルミ合金基材の表面に所望の凹凸形状を付与するのが難しくなる。
本発明において、使用されるアルミ合金基材は、鋳造時に晶出したAl6Feの一部又は全部をAl3Feに相変態させるために、処理温度500〜650℃及び処理時間1時間以上、好ましくは2時間以上20時間以下の処理条件で行われる圧延加工の前又は後に熱処理が行われるが、この熱処理については、例えば溶融塩炉に浸漬する方法や連続的に加熱炉中を通過させる方法等の処理でもよいが、好ましくは鋳造後に鋳造炉で行われる均質化処理(ソーキング)であるのがよい。処理温度が500℃未満ではAl6FeがAl3Feに相変態し難く、反対に、650℃を超えるとアルミ合金基材が溶解する虞がある。この圧延加工の前又は後の熱処理においては、好ましくは鋳造時に晶出したAl6Feの50%以上を、より好ましくは70%以上をAl3Feに相変態させるのがよい。この時のAl6FeからAl3Feへの相変態の割合が少ないと、硫酸及び/又は硝酸の水溶液からなる酸性水溶液にAl6Feが溶解しないため、アルミ合金基材の表面に樹脂接合性に優れた微細な凹凸形状を十分に付与することできないという問題が生じる虞がある。
このようにして調製されたアルミ合金基材については、次に、硫酸及び/又は硝酸の水溶液からなる酸性エッチング液を用いてエッチング処理を行い、このアルミ合金基材の表面に存在するAl3Fe を溶解し、アルミ合金基材の表面に所望の凹凸形状を形成せしめる。
ここで、酸性エッチング液として用いる硫酸及び/又は硝酸の水溶液については、硫酸水溶液の場合にはその酸濃度が1重量%以上80重量%以下、好ましくは5重量%以上50重量%以下であるのがよく、また、硝酸水溶液の場合にはその酸濃度が1重量%以上80重量%以下、好ましくは5重量%以上50重量%以下であるのがよく、更に、硫酸・硝酸混合水溶液の場合には硫酸水溶液の酸濃度が10重量%以上40重量%以下で含み,硝酸水溶液を5重量%以上30重量%以下であるのがよい。酸性エッチング液の酸濃度が上記範囲より低いと、反応が十分に進まず溶解量が不十分になる虞があり、反対に、上記範囲より高くなると反応速度が速くなり過ぎて溶解量の制御が困難になる。なお、上記の酸性エッチング液については、溶解量を制御する等の目的のため、必要によりクロム酸、リン酸、酢酸、シュウ酸、アスコルビン酸、安息香酸、酪酸、クエン酸、ぎ酸、乳酸、イソブチル酸、リンゴ酸、プロピオン酸、酒石酸等の硫酸及び硝酸以外の酸を添加してもよい。
また、上記の酸性エッチング液を用いたエッチング処理の処理条件については、処理温度が通常20℃以上90℃以下、好ましくは30℃以上80℃以下であって、処理時間が通常1分以上20分以下、好ましくは5分以上15分以下であるのがよい。このエッチング処理の処理条件における処理温度が20℃より低いと反応が十分に進まず溶解量が不十分になる虞があり、反対に、90℃より高くなると反応速度が速くなり過ぎて溶解量の制御が困難になる。同様に、エッチング処理の処理時間が1分より短いと反応が十分に進まず溶解量が不十分になる虞があり、反対に、20分より長くなると生産効率が低下して量産性が悪くなる。
本発明において、以上のようにして得られたアルミ合金基材の表面にコンタミ等が残渣している場合には、脱脂や表面調整、表面付着物・汚染物等の除去を目的に、このアルミ合金基材のエッチング処理に先駆けて、酸水溶液に浸漬した後にアルカリ水溶液に浸漬する前処理を行うのがよい。この目的で使用される酸水溶液としては例えば、市販の酸性脱脂剤で調製したもの、硫酸、硝酸、フッ酸、リン酸等の鉱酸や酢酸、クエン酸等の有機酸や、これらの酸を混合して得られた混合酸等の酸試薬を用いて調製したもの等の酸の1〜50重量%水溶液を用いるのがよく、また、アルカリ水溶液としては例えば、市販のアルカリ性脱脂剤により調製したもの、苛性ソーダ等のアルカリ試薬により調製したもの、又はこれらのものを混合して調製したもの等のアルカリの1〜50重量%水溶液を用いるのがよく、更に、浸漬時間については、酸水溶液及びアルカリ水溶液のいずれの場合も0.5〜10分間程度であるのがよい。
本発明により得られた樹脂接合用Al-Fe系アルミ合金部材は、上記のエッチング処理によって溶解されたAl3Feの跡が凹状部となってこのAl-Fe系アルミ合金部材の表面に凹凸形状を形成し、この凹凸形状により樹脂成形体との間に優れたアルミ樹脂接合性を発現する。そして、本発明のAl-Fe系アルミ合金部材において、Al-Fe系アルミ合金部材の表面に観察される凹状部サイズが0.1〜1μmであるモミの木状凹状部の面積比率〔すなわち、走査型電子顕微鏡(日立製FE-SEM、S-4500形)を用いてSEM像(図1)を観察し、その結果を図2のように画像処理して求められる測定視野2μm角における凹状部の面積比率〕が20%以上90%以下、好ましくは35%以上80%以下であるのがよい。このAl-Fe系アルミ合金部材の表面における凹状部の面積比率が20%より低いと凹部に入り込む樹脂量が不十分になり、樹脂接合性に悪影響を及ぼすという問題が生じる虞があり、反対に、90%より高くなると凹部に入り込んだ樹脂を支えるためのアルミ部が極端に少なくなり、結果として樹脂接合性に悪影響を及ぼすという問題が生じる虞が生じる。
本発明の方法により得られた樹脂接合用Al-Fe系アルミ合金部材は、その表面に形成された微細な凹凸形状により、例えばこのAl-Fe系アルミ合金部材を射出成形用金型内にセットし、この金型内に溶融した所定の熱可塑性樹脂を射出して固化させる、いわゆるAl-Fe系アルミ合金部材を用いた熱可塑性樹脂の射出一体成形により、Al-Fe系アルミ合金部材の必要な部分に樹脂成形体を接合してアルミ−樹脂複合体を製造した際に、優れたアルミ樹脂接合性を発揮する。
ここで、本発明の樹脂接合用Al-Fe系アルミ合金部材を用いたアルミ−樹脂複合体を製造する際に使用される熱可塑性樹脂としては、各種の熱可塑性樹脂を単独で用いることができるが、本発明のAl-Fe系アルミ合金部材を用いて製造されるアルミ−樹脂複合体に求められる物性、用途、使用環境等を考慮すると、熱可塑性樹脂としては、好ましくは、例えばポリプロピレン樹脂、ポリエチレン樹脂、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合体(ABS)、ポリカーボネート樹脂(PC)、ポリアミド樹脂(PA)、ポリフェニレンスルフィド(PPS)等のポリアリーレンサルファイド樹脂、ポリアセタール樹脂、液晶性樹脂、ポリエチレンテレフタレート(PET)やポリブチレンテレフタレート(PBT)等のポリエステル系樹脂、ポリオキシメチレン樹脂、ポリイミド樹脂、シンジオタクティックポリスチレン樹脂等やこれらの熱可塑性樹脂の2種以上の混合物が挙げられ、また、アルミ形状体と樹脂成形体との間の密着性、機械的強度、耐熱性、寸法安定性(耐変形、反り等)、電気的性質等の性能をより改善するために、より好ましくは、これらの熱可塑性樹脂に繊維状、粉粒状、板状等の充填剤や、各種のエラストマー成分を添加するのがよい。
また、熱可塑性樹脂に添加される充填剤としては、ガラス繊維、カーボン繊維、金属繊維、アスベスト繊維、硼素繊維等の無機質繊維充填剤や、ポリアミド、フッ素樹脂、アクリル樹脂等の高融点有機質繊維充填剤や、石英粉末、ガラスビーズ、ガラス粉、炭酸カルシウムを始めとする無機粉体類等の粉状充填剤や、ガラスフレーク、タルクやマイカ等の珪酸塩類等の板状充填剤等が例示され、熱可塑性樹脂100重量部に対して250重量部以下、好ましくは20重量部以上220重量部以下、より好ましくは30重量部以上100重量部以下の範囲で添加される。この充填剤の添加量が250重量部を超えると、流動性が低下しアルミ形状体の凹部へ進入し難くなり良好な密着強度を得られなかったり、機械的特性の低下を招くという問題が生じる。
また、熱可塑性樹脂に添加されるエラストマー成分としては、ウレタン系、コアシェル型、オレフィン系、ポリエステル系、アミド系、スチレン系等のエラストマーが例示され、射出成形時の熱可塑性樹脂の溶融温度等を考慮して選択され、また、熱可塑性樹脂100重量部に対して30重量部以下、好ましくは3〜25重量部の範囲で使用される。このエラストマー成分の添加量が30重量部を超えると、更なる密着強度向上効果が見られず機械的特性の低下等の問題が生じる。このエラストマー成分の配合効果は、熱可塑性樹脂としてポリエステル系樹脂を用いた場合に特に顕著に現れる。
更に、本発明のアルミ−樹脂複合体を製造するための熱可塑性樹脂には、一般に熱可塑性樹脂に添加される公知の添加剤、すなわち難燃剤、染料や顔料等の着色剤、酸化防止剤や紫外線吸収剤等の安定剤、可塑剤、潤滑剤、滑剤、離型剤、結晶化促進剤、結晶核剤等を、要求される性能に応じて適宜添加することができる。
本発明において、Al-Fe系アルミ合金部材を射出成形用金型内にセットして行う熱可塑性樹脂の射出成形については、用いられる熱可塑性樹脂に求められる成形条件を採用し得るものであるが、射出成形時に溶融した熱可塑性樹脂がAl-Fe系アルミ合金部材の凹状部内に確実に進入して固化することが重要であり、金型温度やシリンダー温度を熱可塑性樹脂の種類や物性、更には成形サイクルの許す範囲で比較的高めに設定するのが好ましく、特に金型温度については、下限温度を90℃以上、好ましくは130℃以上にする必要があるが、上限は、使用する熱可塑性樹脂の種類に応じて、100℃から当該熱可塑性樹脂の融点又は軟化点(エラストマー成分が添加される場合にはどちらか高い方の融点又は軟化点)より20℃程度低い温度までの範囲であるのがよい。また、下限金型温度は、熱可塑性樹脂の融点から140℃以上低くならないように設定するのが好ましい。
なお、本発明の樹脂接合用Al-Fe系アルミ合金部材を用いて行われるアルミ−樹脂複合体の製造方法については、上記の熱可塑性樹脂の射出一体成形法に限らず、熱圧着法を採用してもよい。すなわち、先ず、使用する熱可塑性樹脂の溶融温度に応じてAl-Fe系アルミ合金部材を90〜300℃程度の温度に加熱し、その表面に熱可塑性樹脂性の樹脂成形体を加圧下に押し当て、この樹脂成形体の表面の一部を溶融させてAl-Fe系アルミ合金部材表面の凹状部内に侵入させ、更に加圧下に冷却することにより所望のアルミ−樹脂複合体を製造する。
本発明方法によれば、Al-Fe系アルミニウム合金からなるアルミ合金部材の表面に簡便な方法で凹凸形状を形成し、アルミ樹脂接合性に優れたAl-Fe系アルミ合金部材を容易に製造することができる。しかも、製造されるAl-Fe系アルミ合金部材は、Fe原子が添加されているので優れた張出成形性や伸び性等の特性を有し、この特性を生かして電磁波シールド部品、容器向けキャップ材,熱反射板、LED等の照明器具、自動車用燃料タンク等の多くの用途向けの材料として好適に利用することができる。
以下、本発明の実施例及び比較例に基づいて、本発明の実施の形態を具体的に説明する。
〔実施例1〕
1.Al-Fe系アルミ合金基材の調製
Si:0.08質量%、Fe:1.23質量%、Cu:0.01質量%、Mn:0.03質量%を含むアルミニウム合金を鋳造炉で鋳造した後、540℃で11時間の均質化処理を行い、熱延加工と冷延加工を行って2000mm×1000mm×3mmのサイズのAl-Fe系アルミ合金基材を作製し、このAl-Fe系アルミ合金基材から大きさ40mm×40mm×3mmのアルミ基材試験片を作製した。
1.Al-Fe系アルミ合金基材の調製
Si:0.08質量%、Fe:1.23質量%、Cu:0.01質量%、Mn:0.03質量%を含むアルミニウム合金を鋳造炉で鋳造した後、540℃で11時間の均質化処理を行い、熱延加工と冷延加工を行って2000mm×1000mm×3mmのサイズのAl-Fe系アルミ合金基材を作製し、このAl-Fe系アルミ合金基材から大きさ40mm×40mm×3mmのアルミ基材試験片を作製した。
2.Al-Fe系アルミ合金基材のX線回折
X線回折装置(リガク製 RAD-rR)を用い、上で得られたアルミ基材試験片の表面に内在する金属間化合物の積分回折強度値を測定した。
結果を表1に示す。
X線回折装置(リガク製 RAD-rR)を用い、上で得られたアルミ基材試験片の表面に内在する金属間化合物の積分回折強度値を測定した。
結果を表1に示す。
3.Al-Fe系アルミ合金部材の調製
続いて、上で得られたアルミ基材試験片について、30wt%-硝酸水溶液に常温で1分間浸漬した後にイオン交換水で十分に水洗し、次いで5wt%-水酸化ナトリウム溶液に50℃で1分間浸漬した後に水洗し、更に、30wt%-硝酸水溶液に常温で1分間浸漬した後に水洗する前処理を施した。
続いて、上で得られたアルミ基材試験片について、30wt%-硝酸水溶液に常温で1分間浸漬した後にイオン交換水で十分に水洗し、次いで5wt%-水酸化ナトリウム溶液に50℃で1分間浸漬した後に水洗し、更に、30wt%-硝酸水溶液に常温で1分間浸漬した後に水洗する前処理を施した。
このようにして前処理が施されたアルミ基材試験片について、10wt%-硫酸溶液中に40℃で20分間浸漬した後に水洗するエッチング処理を施した後に水洗し、80℃の熱風で5分間乾燥させ、表面に凹状部を有するアルミ部材試験片(実施例1のAl-Fe系アルミ合金部材)を作製した。
4. Al-Fe系アルミ合金部材の表面観察
得られたアルミ部材試験片の表面を、走査型電子顕微鏡(日立製FE-SEM、S-4500形)を用いて観察し、その後、画像処理を行って表面に形成された凹状部の存在比率を算出した。
観察されたアルミ部材試験片の表面は図1のSEM写真に示す通りであった。また、図1を画像処理した図2の画像から測定されたアルミ部材試験片のある領域の凹状部の存在比率は60%であった。なお、観察場所を変えてもほとんど変わりがなかった。結果を表1に示す。
得られたアルミ部材試験片の表面を、走査型電子顕微鏡(日立製FE-SEM、S-4500形)を用いて観察し、その後、画像処理を行って表面に形成された凹状部の存在比率を算出した。
観察されたアルミ部材試験片の表面は図1のSEM写真に示す通りであった。また、図1を画像処理した図2の画像から測定されたアルミ部材試験片のある領域の凹状部の存在比率は60%であった。なお、観察場所を変えてもほとんど変わりがなかった。結果を表1に示す。
6.せん断破壊荷重測定試験
以上のようにして得られた実施例1のアルミ部材試験片を射出成形機(NISSEI社製ST10R2V)の金型内にセットし、熱可塑性樹脂として充填剤含有ポリフェニレンスルフィド樹脂(ポリプラスチックス社製PPS グレード名1140A6)を用い、射出時間(保圧時間を含む)5秒、射出速度60mm/秒、保圧力90MPa、成形温度310℃、及び金型温度180℃の成形条件で射出成形し、図11に示すように、大きさ40mm×40mm×3mmのアルミ部材試験片1の表面に、大きさ40mm×10mm×5mmの樹脂成形体2を10mm×5mmの接合面積で接合させ、上記アルミ部材試験片1の表面の一部に樹脂成形体2が一体的に固着したせん断強度測定試験用のアルミ樹脂試験片(アルミ−樹脂複合体)を作製した。
以上のようにして得られた実施例1のアルミ部材試験片を射出成形機(NISSEI社製ST10R2V)の金型内にセットし、熱可塑性樹脂として充填剤含有ポリフェニレンスルフィド樹脂(ポリプラスチックス社製PPS グレード名1140A6)を用い、射出時間(保圧時間を含む)5秒、射出速度60mm/秒、保圧力90MPa、成形温度310℃、及び金型温度180℃の成形条件で射出成形し、図11に示すように、大きさ40mm×40mm×3mmのアルミ部材試験片1の表面に、大きさ40mm×10mm×5mmの樹脂成形体2を10mm×5mmの接合面積で接合させ、上記アルミ部材試験片1の表面の一部に樹脂成形体2が一体的に固着したせん断強度測定試験用のアルミ樹脂試験片(アルミ−樹脂複合体)を作製した。
次に、せん断強度測定試験機(島津製作所製:100kNオートグラフ)を用い、図12に示すように、その試験片固定用治具3に上記のせん断強度測定試験用のアルミ樹脂試験片を図示外のボルトで固定し、接合部から0.1mm離れた位置で樹脂成形体2上に押しジグ4を当て、この押しジグ4により樹脂成形体2にせん断荷重を加え、アルミ部材試験片1と樹脂成形体2との間の接合部の剥離状態を調べた。この時の剥離形態について、樹脂成形体2の樹脂がアルミ部材試験片1側に接合面積の70%以上の割合で残る「凝集破壊」である場合を最良好(◎)とし、また、樹脂がアルミ部材試験片1側に一部でも残る「凝集破壊」である場合を良好(○)とし、更に、樹脂がアルミ部材試験片1側に残らずに剥離が接合界面で発生した場合を不良(×)として評価した。結果は最良好(◎)であった。
結果を表1に示す。
結果を表1に示す。
〔実施例2〕
Si:0.08質量%、Fe:1.23質量%、Cu:0.01質量%、Mn:0.03質量%を含むアルミニウム合金を鋳造炉で鋳造した後、640℃で1時間の均質化処理を行なった以外は、上記実施例1と同様にしてアルミ基材試験片(実施例2のAl-Fe系アルミ合金基材)を作製し、実施例1と同様にしてその表面における金属間化合物の積分回折強度値を測定した。
結果を表1に示す。
Si:0.08質量%、Fe:1.23質量%、Cu:0.01質量%、Mn:0.03質量%を含むアルミニウム合金を鋳造炉で鋳造した後、640℃で1時間の均質化処理を行なった以外は、上記実施例1と同様にしてアルミ基材試験片(実施例2のAl-Fe系アルミ合金基材)を作製し、実施例1と同様にしてその表面における金属間化合物の積分回折強度値を測定した。
結果を表1に示す。
続いて、このアルミ基材試験片について、実施例1と同様にして前処理を施した後、実施例1と同じ条件でエッチング処理を施し、次いで水洗し、80℃の熱風で5分間乾燥させ、アルミ部材試験片(実施例2のAl-Fe系アルミ合金部材)を作製し、実施例1と同様にしてその表面を観察すると共に凹状部の存在比率を求めた。
観察されたアルミ部材試験片の表面は図3のSEM写真に示す通りであり、また、測定されたアルミ部材試験片のある領域の凹状部の存在比率は66%であった。なお、観察場所を変えてもほとんど変わりがなかった。結果を表1に示す。
〔実施例3〕
Si:0.07質量%、Fe:0.30質量%、Cu:0.02質量%、Mn:0.03質量%を含むアルミニウム合金を鋳造炉で鋳造した後、640℃で1時間の均質化処理を行なった以外は、上記実施例1と同様にしてアルミ基材試験片(実施例3のAl-Fe系アルミ合金基材)を作製し、実施例1と同様にしてその表面における金属間化合物の積分回折強度値を測定した。
結果を表1に示す。
Si:0.07質量%、Fe:0.30質量%、Cu:0.02質量%、Mn:0.03質量%を含むアルミニウム合金を鋳造炉で鋳造した後、640℃で1時間の均質化処理を行なった以外は、上記実施例1と同様にしてアルミ基材試験片(実施例3のAl-Fe系アルミ合金基材)を作製し、実施例1と同様にしてその表面における金属間化合物の積分回折強度値を測定した。
結果を表1に示す。
続いて、このアルミ基材試験片について、実施例1と同様にして前処理を施した後、80℃及び5分間の条件で実施例1と同様にしてエッチング処理を施し、次いで水洗し、80℃の熱風で5分間乾燥させ、アルミ部材試験片(実施例3のAl-Fe系アルミ合金部材)を作製し、実施例1と同様にしてその表面を観察すると共に凹状部の存在比率を求めた。
観察されたアルミ部材試験片の表面は図4のSEM写真に示す通りであり、また、測定されたアルミ部材試験片のある領域の凹状部の存在比率は35%であった。なお、観察場所を変えてもほとんど変わりがなかった。結果を表1に示す。
〔実施例4〕
Si:0.40質量%、Fe:0.30質量%、Cu:0.02質量%、Mn:0.03質量%を含むアルミニウム合金を鋳造炉で鋳造した後、540℃で11時間の均質化処理を行なった以外は、上記実施例1と同様にしてアルミ基材試験片(実施例4のAl-Fe系アルミ合金基材)を作製し、実施例1と同様にしてその表面における金属間化合物の積分回折強度値を測定した。
結果を表1に示す。
Si:0.40質量%、Fe:0.30質量%、Cu:0.02質量%、Mn:0.03質量%を含むアルミニウム合金を鋳造炉で鋳造した後、540℃で11時間の均質化処理を行なった以外は、上記実施例1と同様にしてアルミ基材試験片(実施例4のAl-Fe系アルミ合金基材)を作製し、実施例1と同様にしてその表面における金属間化合物の積分回折強度値を測定した。
結果を表1に示す。
続いて、このアルミ基材試験片について、実施例1と同様にして前処理を施した後、80℃及び5分間の条件で実施例1と同様にしてエッチング処理を施し、次いで水洗し、80℃の熱風で5分間乾燥させ、アルミ部材試験片(実施例4のAl-Fe系アルミ合金部材)を作製し、実施例1と同様にしてその表面を観察すると共に凹状部の存在比率を求めた。
観察されたアルミ部材試験片の表面は図5のSEM写真に示す通りであり、また、測定されたアルミ部材試験片のある領域の凹状部の存在比率は25%であった。なお、観察場所を変えてもほとんど変わりがなかった。結果を表1に示す。
〔実施例5〕
Si:1.23質量%、Fe:0.90質量%、Cu:0.02質量%、Mn:0.03質量%を含むアルミニウム合金を鋳造炉で鋳造した後、540℃で11時間の均質化処理を行なった以外は、上記実施例1と同様にしてアルミ基材試験片(実施例5のAl-Fe系アルミ合金基材)を作製し、実施例1と同様にしてその表面における金属間化合物の積分回折強度値を測定した。
結果を表1に示す。
Si:1.23質量%、Fe:0.90質量%、Cu:0.02質量%、Mn:0.03質量%を含むアルミニウム合金を鋳造炉で鋳造した後、540℃で11時間の均質化処理を行なった以外は、上記実施例1と同様にしてアルミ基材試験片(実施例5のAl-Fe系アルミ合金基材)を作製し、実施例1と同様にしてその表面における金属間化合物の積分回折強度値を測定した。
結果を表1に示す。
続いて、このアルミ基材試験片について、実施例1と同様にして前処理を施した後、80℃及び5分間の条件で実施例1と同様にしてエッチング処理を施し、次いで水洗し、80℃の熱風で5分間乾燥させ、アルミ部材試験片(実施例5のAl-Fe系アルミ合金部材)を作製し、実施例1と同様にしてその表面を観察すると共に凹状部の存在比率を求めた。
観察されたアルミ部材試験片の表面は図6のSEM写真に示す通りであり、また、測定されたアルミ部材試験片のある領域の凹状部の存在比率は15%であった。なお、観察場所を変えてもほとんど変わりがなかった。結果を表1に示す。
〔比較例1〕
Si:0.08質量%、Fe:1.23質量%、Cu:0.01質量%、Mn:0.03質量%を含むAl合金を鋳造炉で鋳造後、480℃で11時間の均質化処理を行なった以外は、上記実施例1と同様にしてアルミ基材試験片(比較例1のAl-Fe系アルミ合金基材)を作製し、実施例1と同様にしてその表面における金属間化合物の積分回折強度値を測定した。
結果を表1に示す。
Si:0.08質量%、Fe:1.23質量%、Cu:0.01質量%、Mn:0.03質量%を含むAl合金を鋳造炉で鋳造後、480℃で11時間の均質化処理を行なった以外は、上記実施例1と同様にしてアルミ基材試験片(比較例1のAl-Fe系アルミ合金基材)を作製し、実施例1と同様にしてその表面における金属間化合物の積分回折強度値を測定した。
結果を表1に示す。
続いて、このアルミ基材試験片について、実施例1と同様にして前処理を施した後、実施例1と同様にしてエッチング処理を施し、次いで水洗し、80℃の熱風で5分間乾燥させ、アルミ部材試験片(比較例1のAl-Fe系アルミ合金部材)を作製し、実施例1と同様にしてその表面を観察すると共に凹状部の存在比率を求めた。
観察されたアルミ部材試験片の表面は図7のSEM写真に示す通りであり、また、測定されたアルミ部材試験片のある領域の凹状部の存在比率は0%であった。なお、観察場所を変えてもほとんど変わりがなかった。結果を表1に示す。
〔比較例2〕
Si:0.40質量%、Fe:0.40質量%、Cu:0.06質量%、Mn:0.01質量%を含むAl合金を鋳造炉で鋳造後、540℃で11時間の均質化処理を行なった以外は、上記実施例1と同様にしてアルミ基材試験片(比較例2のAl-Fe系アルミ合金基材)を作製し、実施例1と同様にしてその表面における金属間化合物の積分回折強度値を測定した。
結果を表1に示す。
Si:0.40質量%、Fe:0.40質量%、Cu:0.06質量%、Mn:0.01質量%を含むAl合金を鋳造炉で鋳造後、540℃で11時間の均質化処理を行なった以外は、上記実施例1と同様にしてアルミ基材試験片(比較例2のAl-Fe系アルミ合金基材)を作製し、実施例1と同様にしてその表面における金属間化合物の積分回折強度値を測定した。
結果を表1に示す。
続いて、このアルミ基材試験片について、実施例1と同様にして前処理を施した後、実施例1と同様にしてエッチング処理を施し、次いで水洗し、80℃の熱風で5分間乾燥させ、アルミ部材試験片(比較例2のAl-Fe系アルミ合金部材)を作製し、実施例1と同様にしてその表面を観察すると共に凹状部の存在比率を求めた。
観察されたアルミ部材試験片の表面は図8のSEM写真に示す通りであり、また、測定されたアルミ部材試験片のある領域の凹状部の存在比率は0%であった。なお、観察場所を変えてもほとんど変わりがなかった。結果を表1に示す。
〔比較例3〕
Si:0.40質量%、Fe:0.30質量%、Cu:0.06質量%、Mn:0.01質量%を含むAl合金を鋳造炉で鋳造後、540℃で11時間の均質化処理を行なった以外は、上記実施例1と同様にしてアルミ基材試験片(比較例3のAl-Fe系アルミ合金基材)を作製し、実施例1と同様にしてその表面における金属間化合物の積分回折強度値を測定した。
結果を表1に示す。
Si:0.40質量%、Fe:0.30質量%、Cu:0.06質量%、Mn:0.01質量%を含むAl合金を鋳造炉で鋳造後、540℃で11時間の均質化処理を行なった以外は、上記実施例1と同様にしてアルミ基材試験片(比較例3のAl-Fe系アルミ合金基材)を作製し、実施例1と同様にしてその表面における金属間化合物の積分回折強度値を測定した。
結果を表1に示す。
続いて、このアルミ基材試験片について、実施例1と同様にして前処理を施した後、実施例1と同様にしてエッチング処理を施し、次いで水洗し、80℃の熱風で5分間乾燥させ、アルミ部材試験片(比較例3のAl-Fe系アルミ合金部材)を作製し、実施例1と同様にしてその表面を観察すると共に凹状部の存在比率を求めた。
観察されたアルミ部材試験片の表面は図9のSEM写真に示す通りであり、また、測定されたアルミ部材試験片のある領域の凹状部の存在比率は0%であった。なお、観察場所を変えてもほとんど変わりがなかった。結果を表1に示す。
〔比較例4〕
Si:1.23質量%、Fe:1.20質量%、Cu:0.06質量%、Mn:0.01質量%を含むAl合金を鋳造炉で鋳造後、540℃で11時間の均質化処理を行なった以外は、上記実施例1と同様にしてアルミ基材試験片(比較例4のAl-Fe系アルミ合金基材)を作製し、実施例1と同様にしてその表面における金属間化合物の積分回折強度値を測定した。
結果を表1に示す。
Si:1.23質量%、Fe:1.20質量%、Cu:0.06質量%、Mn:0.01質量%を含むAl合金を鋳造炉で鋳造後、540℃で11時間の均質化処理を行なった以外は、上記実施例1と同様にしてアルミ基材試験片(比較例4のAl-Fe系アルミ合金基材)を作製し、実施例1と同様にしてその表面における金属間化合物の積分回折強度値を測定した。
結果を表1に示す。
続いて、このアルミ基材試験片について、実施例1と同様にして前処理を施した後、実施例1と同様にしてエッチング処理を施し、次いで水洗し、80℃の熱風で5分間乾燥させ、アルミ部材試験片(比較例4のAl-Fe系アルミ合金部材)を作製し、実施例1と同様にしてその表面を観察すると共に凹状部の存在比率を求めた。
観察されたアルミ部材試験片の表面は図10のSEM写真に示す通りであり、また、測定されたアルミ部材試験片のある領域の凹状部の存在比率は0%であった。なお、観察場所を変えてもほとんど変わりがなかった。結果を表1に示す。
〔比較例5〕
Si:0.08質量%、Fe:1.23質量%、Cu:0.06質量%、Mn:0.01質量%を含むAl合金を鋳造炉で鋳造後、680℃で1時間の均質化処理を行なった以外は、上記実施例1と同様にしてアルミ基材試験片(比較例5のAl-Fe系アルミ合金基材)を作製し、実施例1と同様にしてその表面における金属間化合物の積分回折強度値を測定した。
結果を表1に示す。
Si:0.08質量%、Fe:1.23質量%、Cu:0.06質量%、Mn:0.01質量%を含むAl合金を鋳造炉で鋳造後、680℃で1時間の均質化処理を行なった以外は、上記実施例1と同様にしてアルミ基材試験片(比較例5のAl-Fe系アルミ合金基材)を作製し、実施例1と同様にしてその表面における金属間化合物の積分回折強度値を測定した。
結果を表1に示す。
続いて、このアルミ基材試験片について、実施例1と同様にして前処理を施した後、実施例1と同様にしてエッチング処理を施し、次いで水洗し、80℃の熱風で5分間乾燥させ、アルミ部材試験片(比較例5のAl-Fe系アルミ合金部材)を作製し、実施例1と同様にしてその表面を観察すると共に凹状部の存在比率を求めた。
観察されたアルミ部材試験片の表面は図10のSEM写真に示す通りであり、また、測定されたアルミ部材試験片のある領域の凹状部の存在比率は0%であった。なお、観察場所を変えてもほとんど変わりがなかった。結果を表1に示す。
Claims (5)
- Fe原子を0.1〜2.0質量%の範囲で含むと共にSi原子の含有量が1.0質量%以下であって、FeとSiの合金組成比(Fe/Si)がFe/Si>1であり、かつ、処理温度500〜650℃及び処理時間1時間以上の処理条件で行われる圧延加工の前又は後の熱処理によって、鋳造時に晶出したAl6Feの一部又は全部をAl3Feに相変態させて得られたAl-Fe系アルミニウム合金からなるアルミ合金基材に、硫酸及び/又は硝酸の水溶液からなる酸性エッチング液によるエッチング処理を施し、前記アルミ合金基材の表面に樹脂接合性に優れた微細な凹凸形状を付与することを特徴とする樹脂接合用Al-Fe系アルミ合金部材の製造方法。
- 圧延加工の前又は後の熱処理により、鋳造時に晶出したAl6Feの50%以上がAl3Feに相変態される請求項1に記載の樹脂接合用Al-Fe系アルミ合金部材の製造方法。
- エッチング処理に先駆けて、酸水溶液に浸漬した後にアルカリ水溶液に浸漬する前処理を施す請求項1又は2に記載の樹脂接合用Al-Fe系アルミ合金部材の製造方法。
- エッチング処理の処理条件が、処理温度30〜80℃及び処理時間5〜30分である請求項1〜3の何れかに記載の樹脂接合用Al-Fe系アルミ合金部材の製造方法。
- 請求項1〜4に記載のいずれかの方法によって得られ、表面に極微細な凹凸形状を付与することを特徴とする樹脂接合用Al-Fe系アルミ合金部材。
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JP2011287526A JP2013136804A (ja) | 2011-12-28 | 2011-12-28 | 樹脂接合用Al−Fe系アルミ合金部材の製造方法及びこの方法で得られた樹脂接合用Al−Fe系アルミ合金部材 |
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JP2011287526A Pending JP2013136804A (ja) | 2011-12-28 | 2011-12-28 | 樹脂接合用Al−Fe系アルミ合金部材の製造方法及びこの方法で得られた樹脂接合用Al−Fe系アルミ合金部材 |
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CN105755469A (zh) * | 2015-01-05 | 2016-07-13 | 三星电子株式会社 | 铝-树脂复合体及其制造方法 |
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- 2011-12-28 JP JP2011287526A patent/JP2013136804A/ja active Pending
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