JP2013180338A - 硬化肉盛アーク溶接用フラックス入りワイヤ - Google Patents

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Abstract

【課題】 常温だけでなく高温環境下においても耐摩耗性及び耐割れ性に優れる溶接金属が得られ、かつ溶接作業性が良好な硬化肉盛アーク溶接用フラックス入りワイヤを提供する。
【解決手段】 ワイヤ全質量に対する質量%で、ステンレス鋼外皮とフラックスの合計で、C:0.15〜0.60%、Si:0.3〜1.0%、Mn:1.5〜4.5%、Ni:7.0〜10.0%、Cr:13.0〜20.0%、Mo:3.0〜6.0%、W:3.0〜6.0%を含有し、前記C、Si、Mn、Ni、Cr、Mo、Wが下記式のA値で0.9〜1.5であることを特徴とする硬化肉盛アーク溶接用フラックス入りワイヤ。
A=(Cr+Mo+1.5Si+0.7W)/(Ni+30C+0.5Mn)・・・(式)
【選択図】 なし

Description

本発明は、硬化肉盛溶接に使用され、常温だけでなく高温環境化においても、耐摩耗性及び耐割れ性に優れる溶接金属が得られ、かつ良好な溶接作業性を確保する上で好適な硬化肉盛アーク溶接用フラックス入りワイヤに関する。
製鉄・製鋼設備や土木建設機械など産業機械の各種部品には、耐摩耗性、耐熱性、耐食性及び耐衝撃性などが要求されている。中でも、熱間加工に用いられる部品の表面は、高温ガス、燃焼ガスにさらされ、素材を必要な形状に成形するため金属接触による損傷が生じる。従って、かかる高温下での損傷を防止する観点から、高温下における耐摩耗性及び耐熱性が要求される。
また、上述した産業機械等の各設備を安全に運転・維持するためには、このような高温下での損傷が仮に生じた場合には、当該設備を全面的に交換するか、又は部分的な摩耗や剥離した部品を交換する必要がある。しかし、これら交換対象の損傷部分を廃棄し、その代替品を新たに製造すると償却費、製作費が膨大となりコストが高くなり、製作労力の負担の増大も過大となる。そのため、従来から摩耗や剥離した損傷部位の補修手段として硬化肉盛溶接方法が広く採用されている。
この補修手段としての硬化肉盛溶接方法は、従来から被覆アーク溶接棒が用いられ、部品表面に硬化肉盛溶接を施して高品質な肉盛層を形成させて長寿命化を図っている。近年では、溶接施工の高能率化の観点からサブマージアーク溶接方法及びガスシールドアーク溶接方法を利用した肉盛溶接施工が一般的となっている。
このような状況の中で特に高能率な硬化肉盛溶接が可能であり、高温環境下で優れた耐摩耗性を有し、加えて溶接作業性が良好な硬化肉盛アーク溶接用フラックス入りワイヤの開発が望まれている。しかし、従来の用途に適用されるマルテンサイト系や高Cr鉄系の肉盛溶接材料では、高温化における耐摩耗性及び耐割れ性が満足できないといった問題点があった。
また従来における硬化肉盛溶接の技術として、C、Si、Mn、Cr、W、V、Mo、B量を限定する硬化肉盛用フラックス入りワイヤが開示されている(例えば、特許文献1参照。)。この特許文献1の開示技術によれば、溶着金属の強度を向上させるとともに、耐割れ性も向上させることを目的とし、上述した各元素のうち、とりわけMoとBの含有量を最適化し、溶着金属組織を鋼のマルテンサイトと硼化物からなる複合組織としたものである。
しかし、このフラックス入りワイヤでは、高温環境下では、結晶粒が粗大化し、耐摩耗性が不十分になってしまうという問題点があった。また、Bが添加されているため、粒界中に低融点化合物を生成し、耐割れ性が低下してしまうという問題点があった。
またC、Si、Mn、Ni、Cr及びMn/Siの各成分の含有量を限定する硬化肉盛用フラックス入りワイヤが開示されている(例えば、特許文献2参照。)。この特許文献2の開示技術によれば、CrおよびC量の調整とNiの添加により溶着金属の安定した硬さが得るようにし、Si及びMn量の調整と、Tiの添加によって良好なビード形状が得られるようにしている。さらに、この特許文献2の開示技術では、アルカリ金属化合物等を適量添加することでアークを極めて安定化させ、スパッタ発生量を低減させることを見出したものである。
しかし、このフラックス入りワイヤでは、C及びNi量が低いのでオーステナイト相の晶出量が少なく、またMo及びWを含有していないので高温時における耐熱性及び耐摩耗性が悪くなるといった問題点があった。
特開平11−197877号公報 特開2010―253516号公報
そこで本発明は、上述した問題点に鑑みて案出されたものであり、その目的とするところは、硬化肉盛溶接に使用され、常温だけでなく高温環境下においても耐摩耗性及び耐割れ性に優れる溶接金属が得られ、かつ溶接作業性が良好な硬化肉盛アーク溶接用フラックス入りワイヤを提供することにある。
上述した課題を解決するために、本発明に係る硬化肉盛アーク溶接用フラックス入りワイヤは、ステンレス鋼外皮にフラックスを充填してなる硬化肉盛アーク溶接用フラックス入りワイヤにおいて、ワイヤ全質量に対する質量%で、ステンレス鋼外皮とフラックスの合計で、C:0.15〜0.60%、Si:0.3〜1.0%、Mn:1.5〜4.5%、Ni:7.0〜10.0%、Cr:13.0〜20.0%、Mo:3.0〜6.0%、W:3.0〜6.0%を含有し、前記C、Si、Mn、Ni、Cr、Mo、Wの各成分の前記含有量(質量%)が下記式のA値で0.9〜1.5であり、その他は、ステンレス鋼外皮のFe成分、鉄合金からのFe成分、金属酸化物、弗素化合物及び不可避不純物であることを特徴とする。
A=(Cr+Mo+1.5Si+0.7W)/(Ni+30C+0.5Mn)・・・(式)
また本発明に係る硬化肉盛アーク溶接用フラックス入りワイヤは、ワイヤ全質量に対する質量%で、フラックスに、TiO2:0.5〜4.0%、SiO2:0.1〜1.5%、Al23及びZrO2の1種以上の合計:0.05〜0.20%、弗素化合物のF換算値:0.1〜1.5%を含有することを特徴とするものであってもよい。
本発明の硬化肉盛アーク溶接用フラックス入りワイヤによれば、常温だけでなく高温環境化においても、耐摩耗性及び耐割れに優れる溶接金属が得られ、かつ溶接作業性が良好な硬化肉盛アーク溶接用フラックス入りワイヤを提供することができる。
本発明者らは、上述した課題を解決するために、各種成分組成のフラックス入りワイヤを試作して詳細に検討した。その結果、Mo及びWを添加することによって、高温での耐摩耗性が向上することを見出した。
一方、高温で長時間保持した場合、フェライト中に極めて硬くもろいσ相が析出され、硬度のばらつきが生じて耐摩耗性が低下することが明らかとなった。そこで、フェライト生成元素であり、σ相の析出を助長するMo添加量の適正化を行うことによって、フェライト量を低く抑えσ相を低減することが可能となることを新たに見出した。
また本発明者らは、C及びCr量の調整を行い、W及びCr炭化物を生成させ、耐摩耗性を向上させることが可能となることを見出した。
さらに本発明者らは、フェライト量が低くなるとともに、耐割れ性が悪くなる傾向が認められたため、更なる検討を行った。その結果、耐割れ性を向上させるためには、Ni添加量の適正化を行いフェライト晶出量を調整することによって、耐割れ性に影響を及ぼすPをフェライト中に固溶させ、さらには、Mnを添加することによって、低融点化合物の偏析を低減することが有効であることを見出した。また溶接作業性は、TiO2、SiO2、Al23、ZrO2及び弗素化合物の適量添加することにより良好にできる知見を得た。
即ち、本発明を適用した硬化肉盛アーク溶接用フラックス入りワイヤは、ステンレス鋼外皮にフラックスを充填してなる硬化肉盛アーク溶接用フラックス入りワイヤにおいて、ワイヤ全質量に対する質量%で、ステンレス鋼外皮とフラックスの合計で、C:0.15〜0.60%、Si:0.3〜1.0%、Mn:1.5〜4.5%、Ni:7.0〜10.0%、Cr:13.0〜20.0%、Mo:3.0〜6.0%、W:3.0〜6.0%を含有し、前記C、Si、Mn、Ni、Cr、Mo、Wの各成分の前記含有量(質量%)が下記式のA値で0.9〜1.5であり、その他は、ステンレス鋼外皮のFe成分、鉄合金からのFe成分、金属酸化物、弗素化合物及び不可避不純物であることを特徴とする硬化肉盛アーク溶接用フラックス入りワイヤである。
A=(Cr+Mo+1.5Si+0.7W)/(Ni+30C+0.5Mn)・・・(式)
上述した成分組成からなる本発明を適用した硬化肉盛アーク溶接用フラックス入りワイヤは、ステンレス鋼外皮及び充填フラックスの各成分組成それぞれの単独及び共存による相乗効果によりなし得たものであるが、以下にそれぞれの各成分組成の添加理由及び限定理由を述べる。なお、各成分組成の含有量は、ワイヤ全質量に対する質量%で示す。また、各成分組成の含有量は、ステンレス鋼外皮とフラックスの合計の量である。
[C:0.15〜0.60%]
Cは、ステンレス鋼外皮、フェロマンガン、フェロシリコンマンガン及びグラファイト等から添加され、Cr及びWとの間で炭化物を生成して、溶着金属の硬さを高める効果がある。Cが0.15%未満では、Cr及びWとの間での炭化物の生成が不十分で、常温での硬さが得ることができない。一方、Cが0.60%を超えるとCr及びWとの間での炭化物が粗大化し、高温での硬さにばらつきが生じる。従って、Cは0.15〜0.60%とする。
[Si:0.3〜1.0%]
Siは、脱酸作用を有し、ステンレス鋼外皮、金属シリコン、フェロシリコン及びフェロシリコンマンガン等から添加され、ビード形状やスラグ被包性を改善する効果を有する。Siが0.3%未満では、溶接時の脱酸反応によって形成されるスラグ量が少なくなり、スラグ被包性を損なう。一方、Siが1.0%を超えるとスラグ量が過多となり、ビード形状が劣化する。従って、Siは0.3〜1.0%とする。
[Mn:1.5〜4.5%]
Mnは、Siと同様に脱酸作用を有し、ステンレス鋼外皮、金属マンガン、フェロマンガン及びフェロシリコンマンガン等から添加され、アークの安定及びスパッタ発生量を低減にすると共に低融点化合物の偏析を低減し、耐割れ性を改善する効果を有する。Mnが1.5%未満では、オーステナイト粒界に低融点化合物が偏析するため、耐割れ性が悪くなる。一方、Mnが4.5%を超えると、溶接時に生じる脱酸反応によって溶滴移行が阻害され、アークが不安定でスパッタ発生量が多くなる。従って、Mnは1.5〜4.5%とする。
[Ni:7.0〜10.0%]
Niは、ステンレス鋼外皮、金属ニッケル及びフェロニッケル等から添加され、オーステナイト相を安定化させる元素であるため、フェライト量の調整及び耐割れ性を改善する効果を有する。Niが7.0%未満では、オーステナイトの晶出量が減少してフェライト量が多くなるため、オーステナイトから析出するCr及びWとの間での炭化物の生成が全体的に抑制され、十分な高温での硬さを得ることができない。一方、Niが10.0%を超えると、フェライトの晶出量が少なくなり、低融点化合物の偏析が助長されて耐割れ性が悪くなる。従って、Niは7.0〜10.0%とする。
[Cr:13.0〜20.0%]
Crは、ステンレス鋼外皮、金属クロム及びフェロクロム等から添加され、フェライト相を安定化させる元素であると共にCr炭化物を生成し、溶着金属の硬度を増加させる効果を有する。Crが13.0%未満では、Cr炭化物の生成が抑制されて十分な常温での硬さを得ることができない。一方、Crが20.0%を超えると、Cr炭化物の生成が多くなり、常温での硬さが過大となるため、延性が低下して肉盛溶接部の剥離が生じる。従って、Crは13.0〜20.0%とする。
[Mo:3.0〜6.0%]
Moは、ステンレス鋼外皮、金属モリブデン及びフェロモリブデン等から添加され、Cr及びW炭化物の生成を助長し、高温での硬さを増加させ、二次硬化性を改善する効果を有する。Moが3.0%未満では、高温での硬さを十分に得ることができない。一方、Moが6.0%を超えると、フェライト中より極めて硬くもろいσ相が析出され、高温での硬さにばらつきが生じるため、耐摩耗性が低下する。従って、Moは3.0〜6.0%とする。ここでの二次硬化性は、500℃以上でオーステナイト中にMo炭化物が分散することによって、耐摩耗性の改善に寄与する。
[W:3.0〜6.0%]
Wは、金属タングステン及びタングステンカーバイト等から添加され、W炭化物の形成を助長して硬さを増加させ、耐磨耗性を改善する効果を有するとともに、σ相の析出を低減する。Wが3.0%未満では、十分な常温での硬さを得ることができない。一方、6.0%を超えると、Cr及びWを含む炭化物が粗大化するため、常温での硬さにばらつきが生じて耐磨耗性が低下する。従って、Wは3.0〜6.0%とする。
[A値:0.9〜1.5]
前記C、Si、Mn、Ni、Cr、Mo、Wを下記式のA値で0.9〜1.5にすることによって、フェライト相とオーステナイト相のバランスを調整し、耐割れ性とσ相の析出を抑制する効果を有する。A値が0.9未満では、フェライト晶出量の低下に伴いP、Sの固溶度が低下するため耐割れ性が悪くなる。一方、A値が1.5を超えると、フェライトの晶出量が増加するため、高温に長時間保持するとフェライト中からσ相が析出され、高温での硬さにばらつきが生じる。従って、A値は0.9〜1.5とする。
A=(Cr+Mo+1.5Si+0.7W)/(Ni+30C+0.5Mn)・・・(式)
[TiO2:0.5〜4.0%]
TiO2は、ルチール、酸化チタン、チタン酸ソーダ、チタンスラグ、イルミナイト等から添加される。これらはビード全体を均一に被包する作用を有する。また、アークを持続し溶滴移行を安定させる効果がある。TiO2が0.5%未満であると、スラグの粘性が高くなるため、溶滴移行が阻害されアーク安定性が悪くなる。一方、TiO2が4.0%を超えると、アークは持続し、溶滴移行は円滑に行われるが、溶接時に生成されるスラグ量が増加し、スラグ被包性が悪くなる。従って、TiO2は0.5〜4.0%とする。
[SiO2:0.1〜1.5%]
SiO2は、珪砂、ジルコンサンド等より添加されスラグ形成剤として作用し、少量でスラグの物性を調整する効果がある。SiO2が0.1%未満であると、もろく非晶質なスラグの形成が損なわれるため、スラグ剥離性が悪くなる。一方、SiO2が1.5%を超えると、アークが荒くなりスパッタ発生量が多くなる。従って、SiO2は0.1〜1.5%とする。
[Al23及びZrO2の1種以上の合計:0.05〜0.20%]
Al23はアルミナ、ZrO2はジルコンサンド及び酸化ジルコニウム等から添加され、Al23及びZrO2の1種以上の合計が0.05%以上でスラグ粘性を改善してビード形状を改善するスラグ形成剤として作用する。一方、Al23及びZrO2の1種以上の合計が0.20%を超えると、スラグの粘性が高くなり、過度に溶滴が成長するため、スパッタ発生量が多くなる。従って、Al23及びZrO2の1種以上の合計は0.05〜0.20%とする。
[弗素化合物のF換算値:0.1〜1.5%]
Fは、弗化ソーダ、珪弗化カリ、氷晶石、弗化アルミ、弗化リチウム及び蛍石等から添加され、アークの安定性を向上させるが、弗素化合物のF換算値が0.1%未満では、アークが不安定になる。一方、弗素化合物のF換算値が1.5%を超えると、スラグの融点が低下し、溶融金属よりスラグ凝固が早くなり、ビード形状が不均一になる。従って、弗素化合物のF換算値は0.1〜1.5%とする。
その他は、ステンレス鋼外皮のFe成分、鉄合金からのFe成分及び不可避不純物である。なお、耐割れ性の観点から、Pは0.040%以下、Sは0.030%以下であることが好ましい。
以上、本発明の硬化肉盛アーク溶接用フラックス入りワイヤの成分組成の限定理由を述べたが、フラックス入りワイヤの製造方法について言及すると、例えばステンレス鋼外皮を帯鋼から管状に成形する場合には、配合、撹拌、乾燥した充填フラックスをU形に成形した溝に満たした後丸形に成形し、所定のワイヤ径まで伸線する。この際、成形した外皮シームを溶接することで、シームレスタイプのフラックス入りワイヤとすることもできる。またステンレス鋼外皮がパイプの場合には、パイプを振動させてフラックスを充填し、所定のワイヤ径まで伸線することができる。いずれも製造方法を用いても、ワイヤ径は0.8〜3.6mmまで製造が可能である。
フラックスは、供給、充填が円滑に行えるように、固着剤(珪酸カリ及び珪酸ソーダの水溶液)を添加して造粒して用いることもできる。
以下、実施例により本発明を詳細に説明する。
表1に示す化学成分のオーステナイト系ステンレス鋼外皮を用いて表2に示す各種成分組成の硬化肉盛アーク溶接用フラックス入りワイヤを試作した。
ちなみに表2は、表1に示すフープ番号W1〜W3のオーステナイト系ステンレス鋼外皮の各成分組成のフラックスを加えた場合におけるワイヤ全質量に対する質量%である。つまりフラックス入りワイヤ全質量に対する、各化学成分のステンレス鋼外皮とフラックスの合計の質量%を示している。表2には、フラックス充填率を表示しているが、これは、各化学成分のステンレス鋼外皮とフラックスの合計の質量に対する、フラックスの質量の割合である。なお、ワイヤ径は2.0mmとした。
Figure 2013180338
Figure 2013180338
溶接作業性評価は、表3に示す成分のSM490A鋼板を用いてJIS Z 3114に準拠し、表4に示す溶接条件で、下向溶接姿勢で3層下盛の肉盛溶接を行い、4層目の溶接で溶接作業性評価を行った。溶接作業性は、アーク安定性、スパッタ、スラグ被包性及びビード形状は、目視試験にて行った。また、溶接作業性を評価した試験片を用いて、JIS Z 3114、JIS Z 2244及びJISZ 2252に準拠してビッカース硬さの測定を行った。ビッカース硬さは、常温時(試験温度:20℃)において、10点の平均が250〜350であり、高温時(試験温度:600℃)において、10点の平均が200〜300を良好とした。また、各試験温度にて測定したビッカース硬さのばらつき範囲は、最高値と最低値の差が50以下を良好とした。
耐割れ性は、JIS Z 3155に準拠してC型ジグ拘束突合せ溶接割れ試験を行った。C型ジグ拘束突合せ溶接割れ試験は、表3に示す成分のSM490A鋼板に2層バタリングを行い開先とした。試験板のルート間隔を2mmとして、表4に示す溶接条件で試験ビード長さ約80mmを2本溶接した。評価は、平均割れ率が5%以下のものを良好とした。それらの結果を表5にまとめて示す。
Figure 2013180338
Figure 2013180338
Figure 2013180338
表2及び表5中のワイヤNo.1〜8が本願発明例、ワイヤNo.9〜18は比較例である。本願発明であるワイヤNo.1〜8は、C、Si、Mn、Ni、Cr、Mo、W、A値、各酸化物及びF換算値が適正であるので、常温硬さ及び高温硬さが良好であり、いずれの硬さのばらつきが認められず、耐割れ性及び溶接作業性も良好であり、極めて満足な結果であった。
比較例中ワイヤNo.9は、Cが多いので、高温硬さのばらつきが大きかった。また、A値が低いので、割れ率が高かった。さらに、TiO2が少ないので、アークが不安定で、Al23とZrO2の合計が多いので、スパッタ発生量も多かった。
ワイヤNo.10は、Crが多いので、常温硬さが高かった。また、A値が高いので、高温硬さのばらつきが大きかった。さらに、TiO2が多いので、スラグ被包性が悪く、Al23とZrO2の合計が少ないので、ビード形状も悪かった。
ワイヤNo.11は、Siが少ないので、スラグ被包性が不良であった。また、Crが少ないので、常温硬さが低かった。さらに、SiO2が多いので、スパッタ発生量が多かった。
ワイヤNo.12は、Siが多いので、ビード形状が不良であった。また、Mnが少ないので、割れ率が高かった。
ワイヤNo.13は、Mnが多いので、アークが不安定でスパッタ発生量が多かった。また、Moが多いので、高温硬さのばらつきが大きかった。
ワイヤNo.14は、Niが低いので、高温硬さが低かった。また、Wが多いので、常温硬さのばらつきが大きかった。さらに、SiO2が少ないので、スラグ剥離性が悪かった。
ワイヤNo.15は、Cが少ないので、常温硬さが低かった。また、Niが多いので、割れ率が高かった。さらに、弗素化合物のF換算値が少ないので、アークが不安定であった。
ワイヤNo.16は、Wが少ないので、常温硬さが低かったまた、Moが少ないので、高温硬さが低かった。さらに、弗素化合物のF換算値が多いので、ビード形状が悪かった。

Claims (2)

  1. ステンレス鋼外皮にフラックスを充填してなる硬化肉盛アーク溶接用フラックス入りワイヤにおいて、
    ワイヤ全質量に対する質量%で、ステンレス鋼外皮とフラックスの合計で、
    C:0.15〜0.60%、
    Si:0.3〜1.0%、
    Mn:1.5〜4.5%、
    Ni:7.0〜10.0%、
    Cr:13.0〜20.0%、
    Mo:3.0〜6.0%、
    W:3.0〜6.0%を含有し、
    前記C、Si、Mn、Ni、Cr、Mo、Wの各成分の前記含有量(質量%)が下記式のA値で0.9〜1.5であり、その他は、ステンレス鋼外皮のFe成分、鉄合金からのFe成分、金属酸化物、弗素化合物及び不可避不純物であることを特徴とする硬化肉盛アーク溶接用フラックス入りワイヤ。
    A=(Cr+Mo+1.5Si+0.7W)/(Ni+30C+0.5Mn)・・・(式)
  2. ワイヤ全質量に対する質量%で、フラックスに、
    TiO2:0.5〜4.0%、
    SiO2:0.1〜1.5%、
    Al23及びZrO2の1種以上の合計:0.05〜0.20%、
    弗素化合物のF換算値:0.1〜1.5%を含有することを特徴とする請求項1に記載の硬化肉盛アーク溶接用フラックス入りワイヤ。
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