JP2013179253A - Iii族窒化物複合基板からの支持基板の分離方法およびiii族窒化物ウエハの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】III族窒化物複合基板からの支持基板の分離方法およびIII族窒化物ウエハの製造方法は、エッチャントEにより一部がエッチングされて多孔10pが形成される支持基板10と、支持基板10上に配置されたエッチャントEによりエッチングされる接合層20と、接合層20上に配置されたIII族窒化物層30aと、を含むIII族窒化物複合基板1を準備する工程と、エッチャントEにより支持基板10の一部および接合層20をエッチングすることにより除去する工程と、を含む。
【選択図】図1
Description
図1および図2を参照して、本発明の一実施形態であるIII族窒化物複合基板からの支持基板の分離方法は、エッチャントEにより一部がエッチングされて多孔10pが形成される支持基板10と、支持基板10上に配置されたエッチャントEによりエッチングされる接合層20と、接合層20上に配置されたIII族窒化物層30aと、を含むIII族窒化物複合基板を準備する工程(図1(A)および図2(A))と、エッチャントEにより支持基板10の一部および接合層20をエッチングすることにより除去する工程(図1(B)〜(D)および図2(C)〜(E))と、を含む。
図1(A)および図2(A)を参照して、本実施形態のIII族窒化物複合基板から支持基板を分離する方法は、まず、エッチャントEにより一部がエッチングされて多孔10pが形成される支持基板10と、支持基板10上に配置されたエッチャントEによりエッチングされる接合層20と、接合層20上に配置されたIII族窒化物層30aと、を含むIII族窒化物複合基板を準備する工程を含む。
図3(A)を参照して、支持基板10の主面10m上に接合層20aを形成する。ここで、接合層20aは、後述する接合層20bと一体化して接合層20を形成するものであり、接合層20と同様の材料で形成される。また、接合層20aを形成する方法は、その接合層20aの形成に適している限り特に制限はないが、品質のよい接合層20aを効率的に形成する観点から、スパッタ法、CVD(化学気相堆積)法、PLD(パルスレーザ堆積)法、MBE(分子線成長)法、電子線蒸着法などが好ましい。
図3(B)を参照して、III族窒化物基板30の主面30n上に接合層20bを形成し、III族窒化物基板30の主面30nから所定の深さの位置にイオン注入領域30iを形成する。
図3(C)を参照して、次いで、支持基板10に形成された接合層20aとIII族窒化物基板30に形成された接合層20bとを貼り合わせる。その貼り合わせ方法は、特に制限はなく、貼り合わせ面を洗浄しそのまま貼り合わせた後600℃〜1200℃程度に昇温して接合する直接接合法、貼り合わせ面を洗浄しプラズマやイオンなどで活性させた後に室温(たとえば25℃)〜400℃程度の低温で接合する表面活性化法などが好適である。かかる貼り合わせにより、接合層20aと接合層20bとが接合により一体化して接合層20が形成され、支持基板10とIII族窒化物基板30とが接合層20を介在させて接合される。
図3(D)を参照して、次いで、III族窒化物基板30をイオン注入領域30iにおいてIII族窒化物層30aと残りのIII族窒化物基板30bとに分離することにより、支持基板10上に接合層20を介在させてIII族窒化物層30aが接合されたIII族窒化物複合基板1を形成する。
図1(B)〜(D)および図2(C)〜(E)を参照して、本実施形態のIII族窒化物複合基板から支持基板を分離する方法は、次に、エッチャントEにより支持基板10の一部および接合層20をエッチングすることにより除去する工程を含む。
図1および図2を参照して、本発明の別の実施形態であるIII族窒化物ウエハの製造方法は、エッチャントEにより一部がエッチングされて多孔10pが形成される支持基板10と、支持基板10上に配置されたエッチャントEによりエッチングされる接合層20と、接合層20上に配置されたIII族窒化物層30aと、を含むIII族窒化物複合基板1を準備する工程(図1(A)および図2(A))と、エッチャントEにより支持基板10の一部および接合層20をエッチングすることにより除去する工程(図1(B)〜(D)および図2(C)〜(E))と、を含む。
図1(A)および図2(A)を参照して、本実施形態のIII族窒化物ウエハの製造方法は、まず、エッチャントEにより一部がエッチングされて多孔10pが形成される支持基板10と、支持基板10上に配置されたエッチャントEによりエッチングされる接合層20と、接合層20上に配置されたIII族窒化物層30aと、を含むIII族窒化物複合基板1を準備する工程を含む。かかるIII族窒化物複合基板1を準備する工程は、上述したIII族窒化物複合基板からの支持基板の分離方法におけるIII族窒化物複合基板1を準備する工程と同様であるため、ここでは繰り返さない。
図1(B)〜(D)および図2(C)〜(E)を参照して、本実施形態のIII族窒化物ウエハの製造方法は、次に、エッチャントEにより支持基板10の一部および接合層20をエッチングすることにより除去する工程を含む。
III族窒化物エピタキシャル層40を成長させる方法は、特に制限はないが、結晶性のよいIII族窒化物基板30を得る観点から、HVPE(ハイドライド気相成長)法、MOVPE(有機金属気相成長)法、MBE法、昇華法などの気相法、フラックス法、高窒素圧溶液法などの液相法などが好適である。
図2および図3を参照して、以下の実施例A1〜A9は、支持基板10としてムライト(3Al2O3・2SiO〜2Al2O3・SiO)−シリカ(SiO2)焼結体基板と、接合層20としてSiO2層と、を含むIII族窒化物複合基板1を用いて、III族窒化物複合基板1からの支持基板10の分離およびIII族窒化物ウエハ2の製造を行なった例である。
1.III族窒化物複合基板の準備
1−1.支持基板への接合層の形成
図3(A)を参照して、支持基板10として、常圧(大気圧)焼結した後HIP(熱間等方圧プレス)焼結することにより作製された、直径が4インチ(101.6mm)で厚さが100μmで主面10mが鏡面化された充填率が99.9%で平均粒子径が5μmのムライト−シリカ焼結体基板を準備した。このムライト−シリカ焼結体基板の平均粒子径は、電子顕微鏡を用いて測定した。このムライト−シリカ焼結体基板の各組成分の含有率は、ICP−MS(誘導結合プラズマ−質量分析)およびXRD(X線回折)により測定したところ、ムライトの含有率が99質量%で、シリカの含有率が1質量%であった。図4を参照して、このムライト−シリカ焼結体基板の主面10mは、電子顕微鏡を用いて観察したところ、平坦な鏡面であった。
図3(B)を参照して、III族窒化物基板30として、HVPE法により作製された、直径が4インチ(101.6mm)で厚さが440μmのGaN基板を準備した。このIII族窒化物基板30のN原子面側の主面30n上にCVD法により接合層20bを形成するための厚さ300nmのSiO2層を形成した。次いで、このSiO2層が形成された主面30n側から水素イオンを注入して、主面30nから300nmの深さの位置にイオン注入領域30iを形成した。イオン注入領域30iが形成されたIII族窒化物基板30の主面30n上に形成されたSiO2層の主面を表面から30nmの深さまでCMPして、接合層20bとして主面が鏡面化された厚さ270nmのSiO2層を形成した。
図3(C)を参照して、支持基板10に形成された接合層20aの鏡面化された主面と、III族窒化物基板30に形成された接合層20bの鏡面化された主面とを、Arイオンガンを用いて活性化した後、大気中で貼り合わせた。貼り合わせ後、大気中で室温(たとえば25℃)から200℃まで3時間かけてゆっくり加熱することにより接合強度を向上させた。
図3(D)を参照して、支持基板10およびIII族窒化物基板30とが貼り合わされた積層基板を、さらに、500℃に加熱して応力をかけることにより、III族窒化物基板30をイオン注入領域30iで分離して、図2(A)に示すように、支持基板10であるムライト−シリカ焼結体基板の主面上に、接合層20である厚さ540nmのSiO2層を介在させて、III族窒化物層30aである厚さ300nmのGaN層が形成されたIII族窒化物複合基板1が得られた。
図2(B)を参照して、III族窒化物複合基板1のIII族窒化物層30aの主面上に、MOVPE法によりIII族窒化物エピタキシャル層40として厚さ1000nmのGaNエピタキシャル層を成長させた。
図2(C)〜(E)を参照して、III族窒化物層30aの主面上にIII族窒化物エピタキシャル層40を成長させたIII族窒化物複合基板1(以下、III族窒化物エピタキシャル層付のIII族窒化物複合基板1という。)を、エッチャントEとして液温が30℃で200rpmの速度で攪拌されている1000cm3の50質量%のフッ化水素酸(HF)水溶液中に浸漬させた。エッチング時間0.2時間で、III族窒化物複合基板1から支持基板10が分離され、III族窒化物層30aとIII族窒化物エピタキシャル層40とが積層したIII族窒化物ウエハ2が得られた。
実施例A1と同様にしてIII族窒化物エピタキシャル層付のIII族窒化物複合基板1を作製し、エッチャントEとして10質量%のフッ化水素酸(HF)水溶液を用いたこと以外は実施例A1と同様にしてIII族窒化物エピタキシャル層付のIII族窒化物複合基板1をエッチングした。エッチング時間1.0時間で、III族窒化物複合基板1から支持基板10が分離され、III族窒化物層30aとIII族窒化物エピタキシャル層40とが積層したIII族窒化物ウエハ2が得られた。結果を表1にまとめた。
実施例A1と同様にしてIII族窒化物エピタキシャル層付のIII族窒化物複合基板1を作製し、エッチャントEとして1質量%のフッ化水素酸(HF)水溶液を用いたこと以外は実施例A1と同様にしてIII族窒化物エピタキシャル層付のIII族窒化物複合基板1をエッチングした。エッチング時間1.5時間で、III族窒化物複合基板1から支持基板10が分離され、III族窒化物層30aとIII族窒化物エピタキシャル層40とが積層したIII族窒化物ウエハ2が得られた。結果を表1にまとめた。
実施例A1と同様にしてIII族窒化物エピタキシャル層付のIII族窒化物複合基板1を作製した後、そのIII族窒化物エピタキシャル層付のIII族窒化物複合基板1の支持基板10の露出している主面側から研削することにより支持基板10の厚さを40μmとした。支持基板10の厚さが40μmであるIII族窒化物エピタキシャル層付のIII族窒化物複合基板1を、実施例A2と同様にしてエッチングした。エッチング時間0.3時間で、III族窒化物複合基板1から支持基板10が分離され、III族窒化物層30aとIII族窒化物エピタキシャル層40とが積層したIII族窒化物ウエハ2が得られた。結果を表1にまとめた。
支持基板10として厚さが500μmのムライト−シリカ焼結体基板を用いたこと以外は、実施例A1と同様にしてIII族窒化物エピタキシャル層付のIII族窒化物複合基板1を作製した。支持基板10の厚さが500μmであるIII族窒化物エピタキシャル層付のIII族窒化物複合基板1を、実施例A2と同様にしてエッチングした。エッチング時間2.5時間で、III族窒化物複合基板1から支持基板10が分離され、III族窒化物層30aとIII族窒化物エピタキシャル層40とが積層したIII族窒化物ウエハ2が得られた。結果を表1にまとめた。
支持基板10として厚さが1000μmのムライト−シリカ焼結体基板を用いたこと以外は、実施例A1と同様にしてIII族窒化物エピタキシャル層付のIII族窒化物複合基板1を作製した。支持基板10の厚さが1000μmであるIII族窒化物エピタキシャル層付のIII族窒化物複合基板1を、実施例A2と同様にしてエッチングした。エッチング時間7.0時間で、III族窒化物複合基板1から支持基板10が分離され、III族窒化物層30aとIII族窒化物エピタキシャル層40とが積層したIII族窒化物ウエハ2が得られた。結果を表1にまとめた。
支持基板10として平均粒子径が30μmのムライト−シリカ焼結体基板を用いたこと以外は、実施例A1と同様にしてIII族窒化物エピタキシャル層付のIII族窒化物複合基板1を作製した。支持基板10の平均粒子径が30μmであるIII族窒化物エピタキシャル層付のIII族窒化物複合基板1を、実施例A2と同様にしてエッチングした。エッチング時間0.7時間で、III族窒化物複合基板1から支持基板10が分離され、III族窒化物層30aとIII族窒化物エピタキシャル層40とが積層したIII族窒化物ウエハ2が得られた。結果を表1にまとめた。
支持基板10として平均粒子径が1μmのムライト−シリカ焼結体基板を用いたこと以外は、実施例A1と同様にしてIII族窒化物エピタキシャル層付のIII族窒化物複合基板1を作製した。支持基板10の平均粒子径が1μmであるIII族窒化物エピタキシャル層付のIII族窒化物複合基板1を、実施例A2と同様にしてエッチングした。エッチング時間2.0時間で、III族窒化物複合基板1から支持基板10が分離され、III族窒化物層30aとIII族窒化物エピタキシャル層40とが積層したIII族窒化物ウエハ2が得られた。結果を表1にまとめた。
支持基板10として平均粒子径が0.1μmのムライト−シリカ焼結体基板を用いたこと以外は、実施例A1と同様にしてIII族窒化物エピタキシャル層付のIII族窒化物複合基板1を作製した。支持基板10の平均粒子径が0.1μmであるIII族窒化物エピタキシャル層付のIII族窒化物複合基板1を、実施例A1と同様にしてエッチングした。エッチング時間10時間で、III族窒化物複合基板1から支持基板10が分離され、III族窒化物層30aとIII族窒化物エピタキシャル層40とが積層したIII族窒化物ウエハ2が得られた。結果を表1にまとめた。
支持基板10としてムライト−シリカ単結晶基板を用いたこと以外は、実施例A1と同様にしてIII族窒化物エピタキシャル層付のIII族窒化物複合基板1を作製した。支持基板10がムライト−シリカ単結晶基板であるIII族窒化物エピタキシャル層付のIII族窒化物複合基板1を、実施例A2と同様にしてエッチングした。72時間エッチングを行なっても、III族窒化物複合基板1から支持基板10を分離することはできなかった。これは、支持基板10がムライト−シリカ単結晶基板であったため、支持基板10がエッチャントEにほとんどエッチングされなかったため、ほとんどのエッチャントEが接合層20に到達できなかったためと考えられる。結果を表1にまとめた。
(支持基板のエッチングによるSi/Al質量比の変化)
支持基板として、常圧(大気圧)焼結した後HIP(熱間等方圧プレス)焼結することにより作製された、直径が2インチ(50.8mm)で厚さが500μmで主面10mが鏡面化された充填率が99.9%で平均粒子径が3μmのムライト−シリカ焼結体基板を準備した。このムライト−シリカ焼結体基板のSi/Al質量比(Alの質量に対するSiの質量の比)は、EDX(エネルギー分散型X線分光)分析をしたところ、0.98であった。
(支持基板のエッチングによる質量および厚さの変化)
支持基板として、常圧(大気圧)焼結した後HIP(熱間等方圧プレス)焼結することにより作製された、質量が1.388gで直径が2インチ(50.8mm)で平均厚さが1471μmで主面10mが鏡面化された充填率が99.9%で平均粒子径が3μmのムライト−シリカ焼結体基板を準備した。ここで、このムライト−シリカ焼結体基板の平均厚さは、中央点およびその中央点で直交する直線上にありその中央点から20mmの距離にある4点(計5点)における厚さの平均である。
(III族窒化物複合基板のエッチングにおける支持基板の厚さと除去時間との関係)
図2(A)および(B)を参照して、実施例A5と同様にして、支持基板10である厚さ500μmのムライト−シリカ焼結体基板の主面上に、接合層20である厚さ540nmのSiO2層を介在させて、III族窒化物層30aである厚さ300nmのGaN層が形成されたIII族窒化物複合基板1のIII族窒化物層30aの主面上に、III族窒化物エピタキシャル層40としてGaNエピタキシャル層を成長させたIII族窒化物エピタキシャル層付のIII族窒化物複合基板1を4つ準備した。これら4つのIII族窒化物エピタキシャル層付のIII族窒化物複合基板1の支持基板10の露出している主面側から研削することにより支持基板10の厚さを、それぞれ、40μm、65μm、100μmおよび150μmとした。
図2および図3を参照して、以下の実施例B1〜B9は、支持基板10としてムライト(3Al2O3・2SiO〜2Al2O3・SiO)−シリカ(SiO2)−YSZ(イットリア安定化ジルコニア、以下同じ)焼結体基板と、接合層20としてSiO2層と、を含むIII族窒化物複合基板1を用いて、III族窒化物複合基板1からの支持基板10の分離およびIII族窒化物ウエハ2の製造を行なった例である。
1.III族窒化物複合基板の準備
1−1.支持基板への接合層の形成
図3(A)を参照して、支持基板10として、常圧(大気圧)焼結した後HIP(熱間等方圧プレス)焼結することにより作製された、直径が4インチ(101.6mm)で厚さが100μmで主面10mが鏡面化された充填率が99.9%で平均粒子径が5μmのムライト−シリカ−YSZ焼結体基板を準備した。このムライト−シリカ−YSZ焼結体基板基板の平均粒子径は、電子顕微鏡を用いて測定した。このムライト−シリカ−YSZ焼結体基板の各組成分の含有率は、ICP−MS(誘導結合プラズマ−質量分析)およびXRD(X線回折)により測定したところ、ムライトの含有率が69.3質量%で、シリカの含有率が0.7質量%で、YSZの含有率が30質量%であり、YSZにおけるY2O3含有率が10モル%でZrO2含有率が90モル%であった。このムライト−シリカ−YSZ焼結体基板の主面10mは、電子顕微鏡を用いて観察したところ、平坦な鏡面であった。
図3(B)を参照して、III族窒化物基板30として、HVPE法により作製された、直径が4インチ(101.6mm)で厚さが440μmのGaN基板を準備した。このIII族窒化物基板30のN原子面側の主面30n上にスパッタ法により接合層20bを形成するための厚さ300nmのSiO2層を形成した。次いで、このSiO2層が形成された主面30n側から水素イオンを注入して、主面30nから300nmの深さの位置にイオン注入領域30iを形成した。イオン注入領域30iが形成されたIII族窒化物基板30の主面30n上に形成されたSiO2層の主面を表面から30nmの深さまでCMPして、接合層20bとして主面が鏡面化された厚さ270nmのSiO2層を形成した。
図3(C)を参照して、支持基板10に形成された接合層20aの鏡面化された主面と、III族窒化物基板30に形成された接合層20bの鏡面化された主面とを、Arイオンガンを用いて活性化した後、大気中で貼り合わせた。貼り合わせ後、大気中で室温(たとえば25℃)から200℃まで3時間かけてゆっくり加熱することにより接合強度を向上させた。
図3(D)を参照して、支持基板10およびIII族窒化物基板30とが貼り合わされた積層基板を、さらに、500℃に加熱して応力をかけることにより、III族窒化物基板30をイオン注入領域30iで分離して、図2(A)に示すように、支持基板10であるムライト−シリカ−YSZ焼結体基板の主面上に、接合層20である厚さ540nmのSiO2層を介在させて、III族窒化物層30aである厚さ300nmのGaN層が形成されたIII族窒化物複合基板1が得られた。
図2(B)を参照して、III族窒化物複合基板1のIII族窒化物層30aの主面上に、MOVPE法によりIII族窒化物エピタキシャル層40として厚さ1000nmのGaNエピタキシャル層を成長させた。
図2(C)〜(E)を参照して、III族窒化物層30aの主面上にIII族窒化物エピタキシャル層40を成長させたIII族窒化物複合基板1(III族窒化物エピタキシャル層付のIII族窒化物複合基板1)を、エッチャントEとして液温が30℃で200rpmの速度で攪拌されている1000cm3の50質量%のフッ化水素酸(HF)水溶液中に浸漬させた。エッチング時間0.2時間で、III族窒化物複合基板1から支持基板10が分離され、III族窒化物層30aとIII族窒化物エピタキシャル層40とが積層したIII族窒化物ウエハ2が得られた。
実施例B1と同様にしてIII族窒化物エピタキシャル層付のIII族窒化物複合基板1を作製し、エッチャントEとして10質量%のフッ化水素酸(HF)水溶液を用いたこと以外は実施例B1と同様にしてIII族窒化物エピタキシャル層付のIII族窒化物複合基板1をエッチングした。エッチング時間1.0時間で、III族窒化物複合基板1から支持基板10が分離され、III族窒化物層30aとIII族窒化物エピタキシャル層40とが積層したIII族窒化物ウエハ2が得られた。結果を表5にまとめた。
実施例B1と同様にしてIII族窒化物エピタキシャル層付のIII族窒化物複合基板1を作製し、エッチャントEとして1質量%のフッ化水素酸(HF)水溶液を用いたこと以外は実施例B1と同様にしてIII族窒化物エピタキシャル層付のIII族窒化物複合基板1をエッチングした。エッチング時間1.4時間で、III族窒化物複合基板1から支持基板10が分離され、III族窒化物層30aとIII族窒化物エピタキシャル層40とが積層したIII族窒化物ウエハ2が得られた。結果を表5にまとめた。
実施例B1と同様にしてIII族窒化物エピタキシャル層付のIII族窒化物複合基板1を作製した後、そのIII族窒化物エピタキシャル層付のIII族窒化物複合基板1の支持基板10の露出している主面側から研削することにより支持基板10の厚さを40μmとした。支持基板10の厚さが40μmであるIII族窒化物エピタキシャル層付のIII族窒化物複合基板1を、実施例B2と同様にしてエッチングした。エッチング時間0.3時間で、III族窒化物複合基板1から支持基板10が分離され、III族窒化物層30aとIII族窒化物エピタキシャル層40とが積層したIII族窒化物ウエハ2が得られた。結果を表5にまとめた。
支持基板10として厚さが500μmのムライト−シリカ−YSZ焼結体基板を用いたこと以外は、実施例B1と同様にしてIII族窒化物エピタキシャル層付のIII族窒化物複合基板1を作製した。支持基板10の厚さが500μmであるIII族窒化物エピタキシャル層付のIII族窒化物複合基板1を、実施例B2と同様にしてエッチングした。エッチング時間2.4時間で、III族窒化物複合基板1から支持基板10が分離され、III族窒化物層30aとIII族窒化物エピタキシャル層40とが積層したIII族窒化物ウエハ2が得られた。結果を表5にまとめた。
支持基板10として厚さが1000μmのムライト−シリカ−YSZ焼結体基板を用いたこと以外は、実施例B1と同様にしてIII族窒化物エピタキシャル層付のIII族窒化物複合基板1を作製した。支持基板10の厚さが1000μmであるIII族窒化物エピタキシャル層付のIII族窒化物複合基板1を、実施例B2と同様にしてエッチングした。エッチング時間6.7時間で、III族窒化物複合基板1から支持基板10が分離され、III族窒化物層30aとIII族窒化物エピタキシャル層40とが積層したIII族窒化物ウエハ2が得られた。結果を表5にまとめた。
支持基板10として平均粒子径が30μmのムライト−シリカ−YSZ焼結体基板を用いたこと以外は、実施例B1と同様にしてIII族窒化物エピタキシャル層付のIII族窒化物複合基板1を作製した。支持基板10の平均粒子径が30μmであるIII族窒化物エピタキシャル層付のIII族窒化物複合基板1を、実施例B2と同様にしてエッチングした。エッチング時間0.7時間で、III族窒化物複合基板1から支持基板10が分離され、III族窒化物層30aとIII族窒化物エピタキシャル層40とが積層したIII族窒化物ウエハ2が得られた。結果を表5にまとめた。
支持基板10として平均粒子径が1μmのムライト−シリカ−YSZ焼結体基板を用いたこと以外は、実施例B1と同様にしてIII族窒化物エピタキシャル層付のIII族窒化物複合基板1を作製した。支持基板10の平均粒子径が1μmであるIII族窒化物エピタキシャル層付のIII族窒化物複合基板1を、実施例B2と同様にしてエッチングした。エッチング時間1.9時間で、III族窒化物複合基板1から支持基板10が分離され、III族窒化物層30aとIII族窒化物エピタキシャル層40とが積層したIII族窒化物ウエハ2が得られた。結果を表5にまとめた。
支持基板10として平均粒子径が0.1μmのムライト−シリカ−YSZ焼結体基板を用いたこと以外は、実施例B1と同様にしてIII族窒化物エピタキシャル層付のIII族窒化物複合基板1を作製した。支持基板10の平均粒子径が0.1μmであるIII族窒化物エピタキシャル層付のIII族窒化物複合基板1を、実施例B1と同様にしてエッチングした。エッチング時間9.5時間で、III族窒化物複合基板1から支持基板10が分離され、III族窒化物層30aとIII族窒化物エピタキシャル層40とが積層したIII族窒化物ウエハ2が得られた。結果を表5にまとめた。
支持基板10としてムライト−シリカ−YSZ単結晶基板を用いたこと以外は、実施例B1と同様にしてIII族窒化物エピタキシャル層付のIII族窒化物複合基板1を作製した。支持基板10がムライト−シリカ−YSZ単結晶基板であるIII族窒化物エピタキシャル層付のIII族窒化物複合基板1を、実施例B2と同様にしてエッチングした。72時間エッチングを行なっても、III族窒化物複合基板1から支持基板10を分離することはできなかった。これは、支持基板10がムライト−シリカ−YSZ単結晶基板であったため、支持基板10がエッチャントEにほとんどエッチングされなかったため、ほとんどのエッチャントEが接合層20に到達できなかったためと考えられる。結果を表5にまとめた。
図2および図3を参照して、以下の実施例C1〜C9は、支持基板10としてムライト(3Al2O3・2SiO〜2Al2O3・SiO)−マグネシア(MgO)焼結体基板と、接合層20としてMgO層と、を含むIII族窒化物複合基板1を用いて、III族窒化物複合基板1からの支持基板10の分離およびIII族窒化物ウエハ2の製造を行なった例である。
1.III族窒化物複合基板の準備
1−1.支持基板への接合層の形成
図3(A)を参照して、支持基板10として、常圧(大気圧)焼結した後HIP(熱間等方圧プレス)焼結することにより作製された、直径が4インチ(101.6mm)で厚さが100μmで主面10mが鏡面化された充填率が99.9%で平均粒子径が5μmのムライト−マグネシア焼結体基板を準備した。このムライト−マグネシア焼結体基板の平均粒子径は、電子顕微鏡を用いて測定した。このムライト−マグネシア焼結体基板の各組成分の含有率は、ICP−MS(誘導結合プラズマ−質量分析)により測定したところ、ムライトの含有率が85質量%で、マグネシアの含有率が15質量%であった。このムライト−マグネシア焼結体基板(支持基板10)の主面10mは、電子顕微鏡を用いて観察したところ、平坦な鏡面であった。
図3(B)を参照して、III族窒化物基板30として、HVPE法により作製された、直径が4インチ(101.6mm)で厚さが440μmのGaN基板を準備した。このIII族窒化物基板30のN原子面側の主面30n上にスパッタ法により接合層20bを形成するための厚さ300nmのMgO層を形成した。次いで、このMgO層が形成された主面30n側から水素イオンを注入して、主面30nから300nmの深さの位置にイオン注入領域30iを形成した。イオン注入領域30iが形成されたIII族窒化物基板30の主面30n上に形成されたMgO層の主面を表面から30nmの深さまでCMPして、接合層20bとして主面が鏡面化された厚さ270nmのMgO層を形成した。
図3(C)を参照して、支持基板10に形成された接合層20aの鏡面化された主面と、III族窒化物基板30に形成された接合層20bの鏡面化された主面とを、Arイオンガンを用いて活性化した後、大気中で貼り合わせた。貼り合わせ後、大気中で室温(たとえば25℃)から200℃まで3時間かけてゆっくり加熱することにより接合強度を向上させた。
図3(D)を参照して、支持基板10およびIII族窒化物基板30とが貼り合わされた積層基板を、さらに、500℃に加熱して応力をかけることにより、III族窒化物基板30をイオン注入領域30iで分離して、図2(A)に示すように、支持基板10であるムライト−マグネシア焼結体基板の主面上に、接合層20である厚さ540nmのMgO層を介在させて、III族窒化物層30aである厚さ300nmのGaN層が形成されたIII族窒化物複合基板1が得られた。
図2(B)を参照して、III族窒化物複合基板1のIII族窒化物層30aの主面上に、MOVPE法によりIII族窒化物エピタキシャル層40として厚さ1000nmのGaNエピタキシャル層を成長させた。
図2(C)〜(E)を参照して、III族窒化物層30aの主面上にIII族窒化物エピタキシャル層40を成長させたIII族窒化物複合基板1(III族窒化物エピタキシャル層付のIII族窒化物複合基板1)を、エッチャントEとして液温が30℃で200rpmの速度で攪拌されている1000cm3の50質量%の硝酸(HNO3)水溶液中に浸漬させた。エッチング時間0.2時間で、III族窒化物複合基板1から支持基板10が分離され、III族窒化物層30aとIII族窒化物エピタキシャル層40とが積層したIII族窒化物ウエハ2が得られた。
実施例C1と同様にしてIII族窒化物エピタキシャル層付のIII族窒化物複合基板1を作製し、エッチャントEとして10質量%の硝酸(HNO3)水溶液を用いたこと以外は実施例C1と同様にしてIII族窒化物エピタキシャル層付のIII族窒化物複合基板1をエッチングした。エッチング時間1.0時間で、III族窒化物複合基板1から支持基板10が分離され、III族窒化物層30aとIII族窒化物エピタキシャル層40とが積層したIII族窒化物ウエハ2が得られた。結果を表6にまとめた。
実施例C1と同様にしてIII族窒化物エピタキシャル層付のIII族窒化物複合基板1を作製し、エッチャントEとして1質量%の硝酸(HNO3)水溶液を用いたこと以外は実施例C1と同様にしてIII族窒化物エピタキシャル層付のIII族窒化物複合基板1をエッチングした。エッチング時間1.5時間で、III族窒化物複合基板1から支持基板10が分離され、III族窒化物層30aとIII族窒化物エピタキシャル層40とが積層したIII族窒化物ウエハ2が得られた。結果を表6にまとめた。
実施例C1と同様にしてIII族窒化物エピタキシャル層付のIII族窒化物複合基板1を作製した後、そのIII族窒化物エピタキシャル層付のIII族窒化物複合基板1の支持基板10の露出している主面側から研削することにより支持基板10の厚さを40μmとした。支持基板10の厚さが40μmであるIII族窒化物エピタキシャル層付のIII族窒化物複合基板1を、実施例C2と同様にしてエッチングした。エッチング時間0.3時間で、III族窒化物複合基板1から支持基板10が分離され、III族窒化物層30aとIII族窒化物エピタキシャル層40とが積層したIII族窒化物ウエハ2が得られた。結果を表6にまとめた。
支持基板10として厚さが500μmのムライト−マグネシア焼結体基板を用いたこと以外は、実施例C1と同様にしてIII族窒化物エピタキシャル層付のIII族窒化物複合基板1を作製した。支持基板10の厚さが500μmであるIII族窒化物エピタキシャル層付のIII族窒化物複合基板1を、実施例C2と同様にしてエッチングした。エッチング時間2.5時間で、III族窒化物複合基板1から支持基板10が分離され、III族窒化物層30aとIII族窒化物エピタキシャル層40とが積層したIII族窒化物ウエハ2が得られた。結果を表6にまとめた。
支持基板10として厚さが1000μmのムライト−マグネシア焼結体基板を用いたこと以外は、実施例C1と同様にしてIII族窒化物エピタキシャル層付のIII族窒化物複合基板1を作製した。支持基板10の厚さが1000μmであるIII族窒化物エピタキシャル層付のIII族窒化物複合基板1を、実施例C2と同様にしてエッチングした。エッチング時間7.0時間で、III族窒化物複合基板1から支持基板10が分離され、III族窒化物層30aとIII族窒化物エピタキシャル層40とが積層したIII族窒化物ウエハ2が得られた。結果を表6にまとめた。
支持基板10として平均粒子径が30μmのムライト−マグネシア焼結体基板を用いたこと以外は、実施例C1と同様にしてIII族窒化物エピタキシャル層付のIII族窒化物複合基板1を作製した。支持基板10の平均粒子径が30μmであるIII族窒化物エピタキシャル層付のIII族窒化物複合基板1を、実施例C2と同様にしてエッチングした。エッチング時間0.7時間で、III族窒化物複合基板1から支持基板10が分離され、III族窒化物層30aとIII族窒化物エピタキシャル層40とが積層したIII族窒化物ウエハ2が得られた。結果を表6にまとめた。
支持基板10として平均粒子径が1μmのムライト−マグネシア焼結体基板を用いたこと以外は、実施例C1と同様にしてIII族窒化物エピタキシャル層付のIII族窒化物複合基板1を作製した。支持基板10の平均粒子径が1μmであるIII族窒化物エピタキシャル層付のIII族窒化物複合基板1を、実施例C2と同様にしてエッチングした。エッチング時間2.0時間で、III族窒化物複合基板1から支持基板10が分離され、III族窒化物層30aとIII族窒化物エピタキシャル層40とが積層したIII族窒化物ウエハ2が得られた。結果を表6にまとめた。
支持基板10として平均粒子径が0.1μmのムライト−マグネシア焼結体基板を用いたこと以外は、実施例C1と同様にして(III族窒化物エピタキシャル層40)を作製した。支持基板10の平均粒子径が0.1μmであるIII族窒化物エピタキシャル層付のIII族窒化物複合基板1を、実施例C1と同様にしてエッチングした。エッチング時間10時間で、III族窒化物複合基板1から支持基板10が分離され、III族窒化物層30aとIII族窒化物エピタキシャル層40とが積層したIII族窒化物ウエハ2が得られた。結果を表6にまとめた。
支持基板10としてムライト−マグネシア単結晶基板を用いたこと以外は、実施例C1と同様にしてIII族窒化物エピタキシャル層付のIII族窒化物複合基板1を作製した。支持基板10がムライト−マグネシア単結晶基板であるIII族窒化物エピタキシャル層付のIII族窒化物複合基板1を、実施例C2と同様にしてエッチングした。72時間エッチングを行なっても、III族窒化物複合基板1から支持基板10を分離することはできなかった。これは、支持基板10がムライト−マグネシア単結晶基板であったため、支持基板10がエッチャントEにほとんどエッチングされなかったため、ほとんどのエッチャントEが接合層20に到達できなかったためと考えられる。結果を表6にまとめた。
図2および図3を参照して、以下の実施例D1〜D9は、支持基板10としてAlN(窒化アルミニウム、以下同じ)−TiN(窒化チタン、以下同じ)焼結体基板と、接合層20としてTiN層と、を含むIII族窒化物複合基板1を用いて、III族窒化物複合基板1からの支持基板10の分離およびIII族窒化物ウエハ2の製造を行なった例である。
1.III族窒化物複合基板の準備
1−1.支持基板への接合層の形成
図3(A)を参照して、支持基板10として、常圧(大気圧)焼結した後HIP(熱間等方圧プレス)焼結することにより作製された、直径が4インチ(101.6mm)で厚さが100μmで主面10mが鏡面化された充填率が99.9%で平均粒子径が5μmのAlN−TiN焼結体基板を準備した。このAlN−TiN焼結体基板の平均粒子径は、電子顕微鏡を用いて測定した。このAlN−TiN焼結体基板の各組成分の含有率は、ICP−MS(誘導結合プラズマ−質量分析)により測定したところ、AlNの含有率が75質量%で、TiNの含有率が25質量%であった。このAlN−TiN焼結体基板の主面10mは、電子顕微鏡を用いて観察したところ、平坦な鏡面であった。
図3(B)を参照して、III族窒化物基板30として、HVPE法により作製された、直径が4インチ(101.6mm)で厚さが440μmのGaN基板を準備した。このIII族窒化物基板30のN原子面側の主面30n上にスパッタ法により接合層20bを形成するための厚さ300nmのTiN層を形成した。次いで、このTiN層が形成された主面30n側から水素イオンを注入して、主面30nから300nmの深さの位置にイオン注入領域30iを形成した。イオン注入領域30iが形成されたIII族窒化物基板30の主面30n上に形成されたTiN層の主面を表面から30nmの深さまでCMPして、接合層20bとして主面が鏡面化された厚さ270nmのTiN層を形成した。
図3(C)を参照して、支持基板10に形成された接合層20aの鏡面化された主面と、III族窒化物基板30に形成された接合層20bの鏡面化された主面とを、Arイオンガンを用いて活性化した後、大気中で貼り合わせた。貼り合わせ後、大気中で室温(たとえば25℃)から200℃まで3時間かけてゆっくり加熱することにより接合強度を向上させた。
図3(D)を参照して、支持基板10およびIII族窒化物基板30とが貼り合わされた積層基板を、さらに、500℃に加熱して応力をかけることにより、III族窒化物基板30をイオン注入領域30iで分離して、図2(A)に示すように、支持基板10であるAlN−TiN焼結体基板の主面上に、接合層20である厚さ540nmのTiN層を介在させて、III族窒化物層30aである厚さ300nmのGaN層が形成されたIII族窒化物複合基板1が得られた。
図2(B)を参照して、III族窒化物複合基板1のIII族窒化物層30aの主面上に、MOVPE法によりIII族窒化物エピタキシャル層40として厚さ1000nmのGaNエピタキシャル層を成長させた。
図2(C)〜(E)を参照して、III族窒化物層30aの主面上にIII族窒化物エピタキシャル層40を成長させたIII族窒化物複合基板1(III族窒化物エピタキシャル層付のIII族窒化物複合基板1)を、エッチャントEとして液温が30℃で200rpmの速度で攪拌されている1000cm3の50質量%の硝酸(HNO3)水溶液中に浸漬させた。エッチング時間0.3時間で、III族窒化物複合基板1から支持基板10が分離され、III族窒化物層30aとIII族窒化物エピタキシャル層40とが積層したIII族窒化物ウエハ2が得られた。
実施例D1と同様にしてIII族窒化物エピタキシャル層付のIII族窒化物複合基板1を作製し、エッチャントEとして10質量%の硝酸(HNO3)水溶液を用いたこと以外は実施例D1と同様にしてIII族窒化物エピタキシャル層付のIII族窒化物複合基板1をエッチングした。エッチング時間1.3時間で、III族窒化物複合基板1から支持基板10が分離され、III族窒化物層30aとIII族窒化物エピタキシャル層40とが積層したIII族窒化物ウエハ2が得られた。結果を表7にまとめた。
実施例D1と同様にしてIII族窒化物エピタキシャル層付のIII族窒化物複合基板1を作製し、エッチャントEとして1質量%の硝酸(HNO3)水溶液を用いたこと以外は実施例D1と同様にしてIII族窒化物エピタキシャル層付のIII族窒化物複合基板1をエッチングした。エッチング時間1.9時間で、III族窒化物複合基板1から支持基板10が分離され、III族窒化物層30aとIII族窒化物エピタキシャル層40とが積層したIII族窒化物ウエハ2が得られた。結果を表7にまとめた。
実施例D1と同様にしてIII族窒化物エピタキシャル層付のIII族窒化物複合基板1を作製した後、そのIII族窒化物エピタキシャル層付のIII族窒化物複合基板1の支持基板10の露出している主面側から研削することにより支持基板10の厚さを40μmとした。支持基板10の厚さが40μmであるIII族窒化物エピタキシャル層付のIII族窒化物複合基板1を、実施例D2と同様にしてエッチングした。エッチング時間0.4時間で、III族窒化物複合基板1から支持基板10が分離され、III族窒化物層30aとIII族窒化物エピタキシャル層40とが積層したIII族窒化物ウエハ2が得られた。結果を表7にまとめた。
支持基板10として厚さが500μmのAlN−TiN焼結体基板を用いたこと以外は、実施例D1と同様にしてIII族窒化物エピタキシャル層付のIII族窒化物複合基板1を作製した。支持基板10の厚さが500μmであるIII族窒化物エピタキシャル層付のIII族窒化物複合基板1を、実施例D2と同様にしてエッチングした。エッチング時間3.1時間で、III族窒化物複合基板1から支持基板10が分離され、III族窒化物層30aとIII族窒化物エピタキシャル層40とが積層したIII族窒化物ウエハ2が得られた。結果を表7にまとめた。
支持基板10として厚さが1000μmのAlN−TiN焼結体基板を用いたこと以外は、実施例D1と同様にしてIII族窒化物エピタキシャル層付のIII族窒化物複合基板1を作製した。支持基板10の厚さが1000μmであるIII族窒化物エピタキシャル層付のIII族窒化物複合基板1を、実施例D2と同様にしてエッチングした。エッチング時間8.8時間で、III族窒化物複合基板1から支持基板10が分離され、III族窒化物層30aとIII族窒化物エピタキシャル層40とが積層したIII族窒化物ウエハ2が得られた。結果を表7にまとめた。
支持基板10として平均粒子径が30μmのAlN−TiN焼結体基板を用いたこと以外は、実施例D1と同様にしてIII族窒化物エピタキシャル層付のIII族窒化物複合基板1を作製した。支持基板10の平均粒子径が30μmであるIII族窒化物エピタキシャル層付のIII族窒化物複合基板1を、実施例D2と同様にしてエッチングした。エッチング時間0.9時間で、III族窒化物複合基板1から支持基板10が分離され、III族窒化物層30aとIII族窒化物エピタキシャル層40とが積層したIII族窒化物ウエハ2が得られた。結果を表7にまとめた。
支持基板10として平均粒子径が1μmのAlN−TiN焼結体基板を用いたこと以外は、実施例D1と同様にしてIII族窒化物エピタキシャル層付のIII族窒化物複合基板1を作製した。支持基板10の平均粒子径が1μmであるIII族窒化物エピタキシャル層付のIII族窒化物複合基板1を、実施例D2と同様にしてエッチングした。エッチング時間2.5時間で、III族窒化物複合基板1から支持基板10が分離され、III族窒化物層30aとIII族窒化物エピタキシャル層40とが積層したIII族窒化物ウエハ2が得られた。結果を表7にまとめた。
支持基板10として平均粒子径が0.1μmのAlN−TiN焼結体基板を用いたこと以外は、実施例D1と同様にしてIII族窒化物エピタキシャル層付のIII族窒化物複合基板1を作製した。支持基板10の平均粒子径が0.1μmであるIII族窒化物エピタキシャル層付のIII族窒化物複合基板1を、実施例D1と同様にしてエッチングした。エッチング時間13時間で、III族窒化物複合基板1から支持基板10が分離され、III族窒化物層30aとIII族窒化物エピタキシャル層40とが積層したIII族窒化物ウエハ2が得られた。結果を表7にまとめた。
支持基板10としてAlN−TiN単結晶基板を用いたこと以外は、実施例C1と同様にしてIII族窒化物エピタキシャル層付のIII族窒化物複合基板1を作製した。支持基板10がAlN−TiN単結晶基板であるIII族窒化物エピタキシャル層付のIII族窒化物複合基板1を、実施例D2と同様にしてエッチングした。90時間エッチングを行なっても、III族窒化物複合基板1から支持基板10を分離することはできなかった。これは、支持基板10がAlN−TiN単結晶基板であったため、支持基板10がエッチャントEにほとんどエッチングされなかったため、ほとんどのエッチャントEが接合層20に到達できなかったためと考えられる。結果を表7にまとめた。
図2および図3を参照して、以下の実施例E1〜E9は、支持基板10としてムライト(3Al2O3・2SiO〜2Al2O3・SiO)−シリカ(SiO2)−チタン酸ストロンチウム(以下、SrTiO3とも記載する)焼結体基板と、接合層20としてSiO2層と、を含むIII族窒化物複合基板1を用いて、III族窒化物複合基板1からの支持基板10の分離およびIII族窒化物ウエハ2の製造を行なった例である。
1.III族窒化物複合基板の準備
1−1.支持基板への接合層の形成
図3(A)を参照して、支持基板10として、常圧(大気圧)焼結した後HIP(熱間等方圧プレス)焼結することにより作製された、直径が4インチ(101.6mm)で厚さが100μmで主面10mが鏡面化された充填率が99.9%で平均粒子径が5μmのムライト−シリカ−SrTiO3焼結体基板を準備した。このムライト−シリカ−SrTiO3焼結体基板基板の平均粒子径は、電子顕微鏡を用いて測定した。このムライト−シリカ−SrTiO3焼結体基板の各組成分の含有率は、ICP−MS(誘導結合プラズマ−質量分析)およびXRD(X線回折)により測定したところ、ムライトの含有率が86.1質量%で、シリカの含有率が0.9質量%で、SrTiO3の含有率が13質量%であった。このムライト−シリカ−SrTiO3焼結体基板の主面10mは、電子顕微鏡を用いて観察したところ、平坦な鏡面であった。
図3(B)を参照して、III族窒化物基板30として、HVPE法により作製された、直径が4インチ(101.6mm)で厚さが440μmのGaN基板を準備した。このIII族窒化物基板30のN原子面側の主面30n上にスパッタ法により接合層20bを形成するための厚さ300nmのSiO2層を形成した。次いで、このSiO2層が形成された主面30n側から水素イオンを注入して、主面30nから300nmの深さの位置にイオン注入領域30iを形成した。イオン注入領域30iが形成されたIII族窒化物基板30の主面30n上に形成されたSiO2層の主面を表面から30nmの深さまでCMPして、接合層20bとして主面が鏡面化された厚さ270nmのSiO2層を形成した。
図3(C)を参照して、支持基板10に形成された接合層20aの鏡面化された主面と、III族窒化物基板30に形成された接合層20bの鏡面化された主面とを、Arイオンガンを用いて活性化した後、大気中で貼り合わせた。貼り合わせ後、大気中で室温(たとえば25℃)から200℃まで3時間かけてゆっくり加熱することにより接合強度を向上させた。
図3(D)を参照して、支持基板10およびIII族窒化物基板30とが貼り合わされた積層基板を、さらに、500℃に加熱して応力をかけることにより、III族窒化物基板30をイオン注入領域30iで分離して、図2(A)に示すように、支持基板10であるムライト−シリカ−SrTiO3焼結体基板の主面上に、接合層20である厚さ540nmのSiO2層を介在させて、III族窒化物層30aである厚さ300nmのGaN層が形成されたIII族窒化物複合基板1が得られた。
図2(B)を参照して、III族窒化物複合基板1のGaN層(III族窒化物層30a)の主面上に、MOVPE法によりIII族窒化物エピタキシャル層40として厚さ1000nmのGaNエピタキシャル層を成長させた。
図2(C)〜(E)を参照して、III族窒化物層30aの主面上にIII族窒化物エピタキシャル層40を成長させたIII族窒化物複合基板1(III族窒化物エピタキシャル層付のIII族窒化物複合基板1)を、エッチャントEとして液温が30℃で200rpmの速度で攪拌されている1000cm3の50質量%のフッ化水素酸(HF)水溶液中に浸漬させた。エッチング時間0.2時間で、III族窒化物複合基板1から支持基板10が分離され、III族窒化物層30aとIII族窒化物エピタキシャル層40とが積層したIII族窒化物ウエハ2が得られた。
実施例E1と同様にしてIII族窒化物エピタキシャル層付のIII族窒化物複合基板1を作製し、エッチャントEとして10質量%のフッ化水素酸(HF)水溶液を用いたこと以外は実施例E1と同様にしてIII族窒化物エピタキシャル層付のIII族窒化物複合基板1をエッチングした。エッチング時間1.1時間で、III族窒化物複合基板1から支持基板10が分離され、III族窒化物層30aとIII族窒化物エピタキシャル層40とが積層したIII族窒化物ウエハ2が得られた。結果を表8にまとめた。
実施例E1と同様にしてIII族窒化物エピタキシャル層付のIII族窒化物複合基板1を作製し、エッチャントEとして1質量%のフッ化水素酸(HF)水溶液を用いたこと以外は実施例E1と同様にしてIII族窒化物エピタキシャル層付のIII族窒化物複合基板1をエッチングした。エッチング時間1.7時間で、III族窒化物複合基板1から支持基板10が分離され、III族窒化物層30aとIII族窒化物エピタキシャル層40とが積層したIII族窒化物ウエハ2が得られた。結果を表8にまとめた。
実施例E1と同様にしてIII族窒化物エピタキシャル層付のIII族窒化物複合基板1を作製した後、そのIII族窒化物エピタキシャル層付のIII族窒化物複合基板1の支持基板10の露出している主面側から研削することにより支持基板10の厚さを40μmとした。支持基板10の厚さが40μmであるIII族窒化物エピタキシャル層付のIII族窒化物複合基板1を、実施例E2と同様にしてエッチングした。エッチング時間0.3時間で、III族窒化物複合基板1から支持基板10が分離され、III族窒化物層30aとIII族窒化物エピタキシャル層40とが積層したIII族窒化物ウエハ2が得られた。結果を表8にまとめた。
支持基板10として厚さが500μmのムライト−シリカ−SrTiO3焼結体基板を用いたこと以外は、実施例E1と同様にしてIII族窒化物エピタキシャル層付のIII族窒化物複合基板1を作製した。支持基板10の厚さが500μmであるIII族窒化物エピタキシャル層付のIII族窒化物複合基板1を、実施例E2と同様にしてエッチングした。エッチング時間2.8時間で、III族窒化物複合基板1から支持基板10が分離され、III族窒化物層30aとIII族窒化物エピタキシャル層40とが積層したIII族窒化物ウエハ2が得られた。結果を表8にまとめた。
支持基板10として厚さが1000μmのムライト−シリカ−SrTiO3焼結体基板を用いたこと以外は、実施例E1と同様にしてIII族窒化物エピタキシャル層付のIII族窒化物複合基板1を作製した。支持基板10の厚さが1000μmであるIII族窒化物エピタキシャル層付のIII族窒化物複合基板1を、実施例E2と同様にしてエッチングした。エッチング時間7.7時間で、III族窒化物複合基板1から支持基板10が分離され、III族窒化物層30aとIII族窒化物エピタキシャル層40とが積層したIII族窒化物ウエハ2が得られた。結果を表8にまとめた。
支持基板10として平均粒子径が30μmのムライト−シリカ−SrTiO3焼結体基板を用いたこと以外は、実施例E1と同様にしてIII族窒化物エピタキシャル層付のIII族窒化物複合基板1を作製した。支持基板10の平均粒子径が30μmであるIII族窒化物エピタキシャル層付のIII族窒化物複合基板1を、実施例E2と同様にしてエッチングした。エッチング時間0.8時間で、III族窒化物複合基板1から支持基板10が分離され、III族窒化物層30aとIII族窒化物エピタキシャル層40とが積層したIII族窒化物ウエハ2が得られた。結果を表8にまとめた。
支持基板10として平均粒子径が1μmのムライト−シリカ−SrTiO3焼結体基板を用いたこと以外は、実施例E1と同様にしてIII族窒化物エピタキシャル層付のIII族窒化物複合基板1を作製した。支持基板10の平均粒子径が1μmであるIII族窒化物エピタキシャル層付のIII族窒化物複合基板1を、実施例E2と同様にしてエッチングした。エッチング時間2.2時間で、III族窒化物複合基板1から支持基板10が分離され、III族窒化物層30aとIII族窒化物エピタキシャル層40とが積層したIII族窒化物ウエハ2が得られた。結果を表8にまとめた。
支持基板10として平均粒子径が0.1μmのムライト−シリカ−SrTiO3焼結体基板を用いたこと以外は、実施例E1と同様にしてIII族窒化物エピタキシャル層付のIII族窒化物複合基板1を作製した。支持基板10の平均粒子径が0.1μmであるIII族窒化物エピタキシャル層付のIII族窒化物複合基板1を、実施例E1と同様にしてエッチングした。エッチング時間11時間で、III族窒化物複合基板1から支持基板10が分離され、III族窒化物層30aとIII族窒化物エピタキシャル層40とが積層したIII族窒化物ウエハ2が得られた。結果を表8にまとめた。
支持基板10としてムライト−シリカ−SrTiO3単結晶基板を用いたこと以外は、実施例B1と同様にしてIII族窒化物エピタキシャル層付のIII族窒化物複合基板1を作製した。支持基板10がムライト−シリカ−SrTiO3単結晶基板であるIII族窒化物エピタキシャル層付のIII族窒化物複合基板1を、実施例E2と同様にしてエッチングした。79時間エッチングを行なっても、III族窒化物複合基板1から支持基板10を分離することはできなかった。これは、支持基板10がムライト−シリカ−SrTiO3単結晶基板であったため、支持基板10がエッチャントEにほとんどエッチングされなかったため、ほとんどのエッチャントEが接合層20に到達できなかったためと考えられる。結果を表8にまとめた。
Claims (7)
- エッチャントにより一部がエッチングされて多孔が形成される支持基板と、前記支持基板上に配置された前記エッチャントによりエッチングされる接合層と、前記接合層上に配置されたIII族窒化物層と、を含むIII族窒化物複合基板を準備する工程と、
前記エッチャントにより前記支持基板の一部および前記接合層をエッチングすることにより除去する工程と、を含むIII族窒化物複合基板からの支持基板の分離方法。 - 前記支持基板は、多結晶体で形成されている請求項1に記載のIII族窒化物複合基板からの支持基板の分離方法。
- 前記支持基板を形成する前記多結晶体の平均粒子径が1μm以上30μm以下である請求項2に記載のIII族窒化物複合基板からの支持基板の分離方法。
- エッチャントにより一部がエッチングされて多孔が形成される支持基板と、前記支持基板上に配置された前記エッチャントによりエッチングされる接合層と、前記接合層上に配置されたIII族窒化物層と、を含むIII族窒化物複合基板を準備する工程と、
前記エッチャントにより前記支持基板の一部および前記接合層をエッチングすることにより除去する工程と、を含むIII族窒化物ウエハの製造方法。 - 前記III族窒化物複合基板を準備する工程後、前記支持基板の一部および前記接合層をエッチングすることにより除去する工程前に、
前記III族窒化物複合基板の前記III族窒化物層上にIII族窒化物エピタキシャル層を成長させる工程を、さらに含む請求項4に記載のIII族窒化物ウエハの製造方法。 - 前記支持基板は、多結晶体で形成されている請求項4または請求項5に記載のIII族窒化物ウエハの製造方法。
- 前記支持基板を形成する前記多結晶体の平均粒子径が1μm以上30μm以下である請求項6に記載のIII族窒化物ウエハの製造方法。
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