JP2013084900A - Iii族窒化物複合基板 - Google Patents

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喜之 山本
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Abstract

【課題】支持基板と酸化物膜との接合強度および酸化物膜とIII族窒化物層との接合強度が高いIII族窒化物複合基板を提供する。
【解決手段】本III族窒化物複合基板1は、支持基板10と酸化物膜20とIII族窒化物層30aとを含み、支持基板10は多結晶で形成され、III族窒化物層30aは少なくともc軸方向に配向しているIII族窒化物結晶で形成され、酸化物膜20は不純物が添加され、不純物の濃度は、酸化物膜20において支持基板10側の第1主面20sからIII族窒化物層30a側の第2主面20tにかけて膜厚方向で変化し、第1主面20sにおける不純物の濃度は第2主面20tにおける不純物の濃度よりも高い。
【選択図】図1

Description

本発明は、支持基板と酸化物膜とIII族窒化物層とを含み、これらの接合強度が高いIII族窒化物複合基板に関する。
光デバイス、電子デバイスなどの半導体デバイスに用いられる複合基板の作製方法に関して、特開2007−201429号公報(特許文献1)および特開2007−201430号公報(特許文献2)は、支持基板と半導体材料の活性層との間に介在させた少なくとも1つの薄い絶縁層を備える複合基板の作製方法を開示する。
特開2007−201429号公報 特開2007−201430号公報
特開2007−201429号公報(特許文献1)および特開2007−201430号公報(特許文献2)に開示された方法で作製された複合基板は、半導体材料として用いられるSi(シリコン)、Ge(ゲルマニウム)、SiGe(シリコンゲルマニウム)、SiC(炭化ケイ素)、GaN(窒化ガリウム)、GaAs(ヒ化ガリウム)、InP(リン化インジウム)などと、絶縁層として用いられるSiO2(酸化ケイ素)、Si34(窒化ケイ素)、TiO2(二酸化チタン)、SrTiO3(チタン酸ストロンチウム)などとの間の界面の接合密着性が低いため、半導体材料で形成される支持基板と絶縁層との接着強度および絶縁層と半導体材料で形成される活性層との接合強度が低いという問題点があった。
本発明は、上記の問題点を解決して、支持基板と酸化物膜とIII族窒化物層とを含み、支持基板と酸化物膜との接合強度および酸化物膜とIII族窒化物層との接合強度が高いIII族窒化物複合基板を提供することを目的とする。
本発明にかかるIII族窒化物複合基板は、支持基板と、支持基板上に配置されている酸化物膜と、酸化物膜上に配置されているIII族窒化物層と、を含む。ここで、支持基板は多結晶で形成されている。また、III族窒化物層は少なくともc軸方向に配向しているIII族窒化物結晶で形成される。また、酸化物膜は不純物が添加され、不純物の濃度は、酸化物膜において支持基板側の第1主面からIII族窒化物層側の第2主面にかけて膜厚方向で変化し、第1主面における不純物の濃度は第2主面における不純物の濃度よりも高い。
本発明にかかるIII族窒化物複合基板において、酸化物膜は、第1主面における不純物の濃度を10質量%以下とし、第2主面における不純物の濃度を0.01質量%以上とすることができる。また、酸化物膜の不純物の濃度は、酸化物膜において第1主面から第2主面にかけて膜厚方向で単調に変化させることができる。また、支持基板は、窒化物、酸化物および金属からなる群から選ばれる少なくとも1種類を含むことができる。
本発明によれば、支持基板と酸化物膜とIII族窒化物層とを含み、支持基板と酸化物膜との接合強度および酸化物膜とIII族窒化物層との接合強度が高いIII族窒化物複合基板を提供できる。
本発明にかかるIII族窒化物複合基板の一例を示す概略断面図である。 本発明にかかるIII族窒化物複合基板を製造する方法の一例を示す概略断面図である。 酸化物膜と支持基板との接合強度を測定するための積層基板の一例を示す概略断面図である。 酸化物膜とIII族窒化物層との接合強度を測定するための積層基板の一例を示す概略断面図である。
[III族窒化物複合基板]
図1を参照して、本発明の一実施形態であるIII族窒化物複合基板1は、支持基板10と、支持基板10上に配置されている酸化物膜20と、酸化物膜20上に配置されているIII族窒化物層30aと、を含む。ここで、支持基板10は多結晶で形成されている。また、III族窒化物層30aは少なくともc軸方向に配向しているIII族窒化物結晶で形成されている。また、酸化物膜20は不純物が添加され、不純物の濃度は、酸化物膜20において支持基板10側の第1主面20sからIII族窒化物層30a側の第2主面20tにかけて膜厚方向で変化し、第1主面20sにおける不純物の濃度は第2主面20tにおける不純物の濃度よりも高い。
本実施形態のIII族窒化物複合基板1は、酸化物膜20における不純物濃度が、支持基板10側の第1主面20sからIII族窒化物層30a側の第2主面20tにかけて膜厚方向で変化し、第1主面20sにおける不純物の濃度が第2主面20tにおける不純物の濃度よりも高いため、支持基板10と酸化物膜20との接合強度および酸化物膜20とIII族窒化物層30aとの接合強度がいずれも高い。
(支持基板)
本実施形態のIII族窒化物複合基板1の支持基板10は、III族窒化物複合基板1の全体的なコストを低減する観点から、多結晶で形成されている。ここで、多結晶とは、複数の結晶粒からなる結晶をいい、これらの複数の結晶粒が互いに配向していても配向していなくともよい。また、支持基板10は、多結晶であれば特に制限ないが、低コストである観点から、窒化物、酸化物および金属からなる群から選ばれる少なくとも1種類を含むことが好ましい。
さらに、III族窒化物複合基板1のIII族窒化物層30a上に半導体層を成長させる際にIII族窒化物層30aなどにクラックが発生するのを抑制するため、支持基板10の熱膨張係数はIII族窒化物層30aの熱膨張係数と同じかまたは近似(両者の熱膨張係数の差が3×10-6-1以下)であることがより好ましい。かかる観点から、支持基板10は、InxAlyGa1-x-yN(0≦x、0≦y、x+y≦1)などのIII族窒化物、ムライト(3Al23・2SiO2〜2Al23・SiO2またはAl613Si2)などのAl23−SiO2系複合酸化物、MgO−SiO2系複合酸化物、MgO−Al23−SiO2系複合酸化物などの酸化物、ならびにMo(モリブデン)、Mo−Cr(モリブデン−クロム)合金などの金属の少なくとも1種類を含むことが好ましく、III族窒化物層を形成するIII族窒化物と同じ化学組成のIII族窒化物、Al23−SiO2系複合酸化物、Moなどの少なくとも1種類を含むことがより好ましい。
(III族窒化物層)
本実施形態のIII族窒化物複合基板1のIII族窒化物層30aは、III族窒化物層30a上に品質のよい半導体層を成長させる観点から、少なくともc軸方向に配向しているIII族窒化物結晶で形成されている。ここで、III族窒化物結晶は、六方晶系のウルツ鉱型結晶構造を有しており、結晶軸として、同一平面上に互いに120°の角度をなして伸びる(すなわち、互いに3回回転対称の位置にある)a1軸、a2軸およびa3軸と、その平面に対して垂直に伸びるc軸と、を有する。III族窒化物層30aは、上記観点から、c軸方向に加えて、a1軸方向、a2軸方向およびa3軸方向のいずれにも配向している結晶、すなわちIII族窒化物単結晶であることが好ましい。
また、III族窒化物層30aの熱膨張係数は、III族窒化物層30aの上に半導体層を形成する際にIII族窒化物層30aなどにクラックが発生するのを抑制する観点から、支持基板10の熱膨張係数と同じかまたは近似(両者の熱膨張係数の差が3×10-6-1以下)であるかが好ましい。
(酸化物膜)
本実施形態のIII族窒化物複合基板1の酸化物膜20は、不純物が添加されている。ここで、不純物の濃度は、酸化物膜20において支持基板10側の第1主面20sからIII族窒化物層30a側の第2主面20tにかけて膜厚方向で変化し、第1主面20sにおける不純物の濃度は第2主面20tにおける不純物の濃度よりも高い。
後述するように、III族窒化物多結晶で形成されている支持基板10と酸化物膜20との接合強度は、酸化物膜20に不純物が添加されていないときに比べて不純物が添加されその不純物の濃度が高くなる程、高くなる。また、酸化物膜20と少なくともc軸方向に配向しているIII族窒化物結晶(好ましくはIII族窒化物単結晶)で形成されているIII族窒化物層30aとの接合強度は、酸化物膜20に不純物が添加されていないときに比べて不純物が添加されその不純物の濃度が高くなる程、低くなる。
したがって、酸化物膜20において、支持基板10側の第1主面20sからIII族窒化物層30a側の第2主面20tにかけて膜厚方向で不純物の濃度を変化させ、第1主面20sにおける不純物の濃度を第2主面20tにおける不純物の濃度よりも高くすることにより、支持基板10と酸化物膜20との接合強度および酸化物膜20とIII族窒化物層30aとの接合強度がいずれも高いIII族窒化物複合基板1が得られる。また、酸化物膜20は、不純物が添加されることにより、導電性が高くなる。ここで、酸化物膜20における不純物の存在および濃度は、SIMS(2次イオン質量分析)法により測定される。
さらに、支持基板10と酸化物膜20との接合強度および酸化物膜20とIII族窒化物層30aとの接合強度がいずれも十分に高くする観点から、酸化物膜20は、第1主面20sにおける不純物の濃度が10質量%以下であり、第2主面20tにおける不純物の濃度が0.01質量%以上であることが好ましい。また、酸化物膜20における不純物の濃度を、膜厚方向で最も低いところ(たとえば第2主面20t)においても、0.01質量%以上とすることにより、III族窒化物複合基板1の膜厚方向における導電性が確保される。
さらに、光透過性が高い観点から、酸化物膜20の不純物の濃度は、酸化物膜20において第1主面20sから第2主面20tにかけて膜厚方向で単調に変化することが好ましい。ここで、単調に変化するとは、酸化物膜20の膜厚方向の任意の位置x1、x2(x1<x2)における不純物の濃度f(x1)、f(x2)において、f(x1)<f(x2)(単調増加)またはf(x1)>f(x2)(単調減少)であることをいう。
ここで、酸化物膜20は、支持基板10とIII族窒化物層30aとの間の接合強度を高めるものであれば特に制限はないが、安価に成膜できる観点からSiO2膜などが好ましく挙げられ、その酸化物膜の屈折率がGaNなどのIII族窒化物結晶の屈折率に近く、酸化物膜とIII族窒化物結晶との界面で高い光透過性を有する観点からTiO2膜、SrTiO3膜などが好ましく挙げられ、その酸化物膜を損なうことなく安定した不純物の添加ができる観点から、TiO2膜には不純物としてNb、La、Sb、Mo、Fe、Al、Sn、Pt、I、B、Nなどが添加されることが好ましく、SrTiO3膜には不純物としてLa、Nb、Sb、Mo、Fe、Al、Sn、Pt、I、B、Nなどが添加されることが好ましい。
[III族窒化物複合基板の製造方法]
図2を参照して、本実施形態のIII族窒化物複合基板1を製造する方法は、特に制限はないが、効率よく製造する観点から、たとえば、以下の方法が、好適に挙げられる。
すなわち、III族窒化物複合基板1の製造方法は、支持基板10の主面10m上に酸化物膜20aを形成する工程(図2(A))と、III族窒化物基板30の主面30n上に酸化物膜20bを形成し、III族窒化物基板30の主面30nから所定の深さの位置にイオン注入領域30iを形成する工程(図2(B))と、支持基板10に形成された酸化物膜20aとIII族窒化物基板30に形成された酸化物膜20bとを貼り合わせる工程(図2(C))と、III族窒化物基板30をイオン注入領域30iにおいてIII族窒化物層30aと残りのIII族窒化物基板30bとに分離することにより、支持基板10上に酸化物膜20を介在させてIII族窒化物層30aが接合されたIII族窒化物複合基板を形成する工程(図2(D))と、を含む。
(支持基板に酸化物膜を形成する工程)
図2(A)を参照して、支持基板10の主面10m上に酸化物膜20aを形成する工程において、酸化物膜20aを形成する方法は、特に制限はなく、スパッタ法、パルスレーザ堆積法、MBE(分子線成長)法、電子線蒸着法、化学気相成長法などが好適である。また、酸化物膜の形成中に、不純物の添加量を変化させることにより、酸化物膜の膜厚方向において不純物の濃度を変化させることができる。支持基板10としては、半導体層形成の際にコストを低減しクラックの発生を抑制する観点から、III族窒化物多結晶支持基板が用いられ、特に、III族窒化物焼結体が好適に用いられる。また、酸化物膜20aとしては、特に制限はなく、SiO2膜、TiO2膜、SrTiO3膜などが好適に形成される。
(III族窒化物基板に酸化物膜を形成しイオン注入領域を形成する工程)
図2(B)を参照して、III族窒化物基板30の主面30n上に酸化物膜20bを形成し、III族窒化物基板30の主面30nから所定の深さの位置にイオン注入領域30iを形成する工程において、酸化物膜20bを形成する方法は、特に制限はなく、上記の酸化物膜20aを形成する方法と同様である。また、III族窒化物基板30の主面30nから所定の深さの位置にイオン注入領域30iを形成する方法は、III族窒化物基板30の主面30n上に形成された酸化物膜20b側からイオンIを注入することにより行なう。注入するイオンIは、イオン注入されるIII族窒化物層30aの結晶性の低下を抑制する観点から、質量の小さいイオンが好ましく、たとえば水素イオン、ヘリウムイオンなどが好ましい。また、イオンIが注入される所定の深さは、500nm以上1000μm以下が好ましい。
ここで、III族窒化物基板30は、後工程における分離によりIII族窒化物層30aを形成させるものであり、III族窒化物層30aと同様に、少なくともc軸方向に配向しているIII族窒化物結晶(好ましくはIII族窒化物単結晶)で形成されている。かかるIII族窒化物基板を準備する方法は、特に制限はないが、結晶性のよいIII族窒化物基板を得る観点から、HVPE(ハイドライド気相成長)法、MOVPE(有機金属気相成長)法、MBE(分子線成長)法、昇華法などの気相法、フラックス法、高窒素圧溶液法などの液相法などが好適である。
(支持基板とIII族窒化物基板との貼り合わせ工程)
図2(C)を参照して、支持基板10に形成された酸化物膜20aとIII族窒化物基板30に形成された酸化物膜20bとを貼り合わせる工程において、その貼り合わせ方法は、特に制限はなく、貼り合わせ面を洗浄しそのまま貼り合わせた後600℃〜1200℃程度に昇温して接合する直接接合法、貼り合わせ面を洗浄しプラズマやイオンなどで活性させた後に室温(たとえば25℃)〜400℃程度の低温で接合する表面活性化法などが好適である。かかる貼り合わせにより、酸化物膜20aと酸化物膜20bとが接合により一体化して酸化物膜20が形成され、支持基板10とIII族窒化物基板30とが酸化物膜20を介在させて接合される。
(III族窒化物複合基板の形成工程)
図2(D)を参照して、III族窒化物基板30をイオン注入領域30iにおいてIII族窒化物層30aと残りのIII族窒化物基板30bとに分離することにより、支持基板10上に酸化物膜20を介在させてIII族窒化物層30aが接合されたIII族窒化物複合基板1を形成する工程において、III族窒化物基板30をイオン注入領域30iにおいて分離する方法は、III族窒化物基板30のイオン注入領域30iに何らかのエネルギーを与える方法であれば特に制限はなく、イオン注入領域30iに、応力を加える方法、熱を加える方法、光を照射する方法、および超音波を印加する方法の少なくともいずれかの方法が可能である。
かかるイオン注入領域30iは、注入されたイオンにより脆化しているため、上記エネルギーを受けることにより、III族窒化物基板30は、支持基板10上の酸化物膜20上に貼りあわされたIII族窒化物層30aと、残りのIII族窒化物基板30bと、に容易に分離される。
上記のようにして、支持基板10上の酸化物膜20上にIII族窒化物層30aを形成することにより、支持基板10と、支持基板10上に配置されている酸化物膜20と、酸化物膜20上に配置されているIII族窒化物層30aと、を含むIII族窒化物複合基板1が得られる。
上記のIII族窒化物複合基板1の製造方法においては、イオン注入法を用いてIII族窒化物層30aを形成する場合を説明したが、支持基板上の酸化物膜に、イオンを注入していないIII族窒化物基板を貼り合わせた後、III族窒化物結晶体をその貼り合わせた主表面から所定の深さの面で分離することにより、III族窒化物層を形成することもできる。この場合、III族窒化物基板を分離する方法として、特に制限はなく、ワイヤーソー、内周刃、外周刃などを用いた切断などの方法を用いることができる。
(参考例A)
図1を参照して、多結晶(焼結体)で形成される直径2インチ(50.8mm)で厚さ500μmのGaN支持基板(支持基板10)、直径2インチ(50.8mm)で厚さが600nmのTiO2膜(酸化物膜20)および単結晶で形成される直径2インチ(50.8mm)で厚さが300nmのGaN層(III族窒化物層30a)がこの順に接合されたGaN複合基板(III族窒化物複合基板1)について、TiO2膜(酸化物膜20)中のNb(不純物)の濃度と、TiO2膜(酸化物膜20)とGaN支持基板(支持基板10)との接合強度との関係、ならびに、TiO2膜(酸化物膜20)中のNb(不純物)の濃度と、TiO2膜(酸化物膜20)とGaN層(III族窒化物層30a)との接合強度との関係を、以下のようにして調べた。
1.酸化物膜中の不純物の濃度と、酸化物膜と支持基板との接合強度と、の関係
(1)サンプルの作製
図3を参照して、以下のようにして、酸化物膜20と支持基板10との接合強度を測定するためのサンプルを作製した。
まず、HP(ホットプレス)法により形成された多結晶(焼結体)である直径2インチ(50.8mm)で厚さ500μmのGaN支持基板(支持基板10)の主面上に、スパッタ法により厚さ600nmのTiO2膜(酸化物膜20)を形成させることにより、GaN支持基板(支持基板10)の主面上にTiO2膜(酸化物膜20)が形成された積層基板1Sを作製した。ここで、成長させるTiO2膜(酸化物膜)のNb(不純物)の濃度が、0質量%、0.01質量%、0.1質量%、1質量%および10質量%の5種類の積層基板1Sを作製した。
次いで、得られた積層基板1Sを12mm×12mmの大きさにチップ化することにより、1種類の積層基板1Sについて9個のサンプルを得た。
(2)サンプルの接合強度の測定
上記サンプルのGaN支持基板(支持基板)およびTiO2膜(酸化物膜)をそれぞれ引張試験機の治具にエポキシ接着剤を用いて固定し、GaN支持基板(支持基板)とTiO2膜(酸化物膜)とを引張ることにより、GaN支持基板(支持基板)とTiO2膜(酸化物膜)との間の接合強度(9個のサンプルの平均値、以下同じ)を測定した。各種の積層基板1Sのサンプルの接合強度は、TiO2膜(酸化物膜)のNb(不純物)の濃度が0質量%のときの積層基板1Sのサンプルの接合強度を1.00としたときの相対接合強度として算出した。
上記の引張試験において、上記のいずれの積層基板1Sのいずれのサンプルも、GaN支持基板(支持基板)とTiO2膜(酸化物膜)との界面または界面の近傍で破断した。
また、各種積層基板1Sの接合強度は、Nb(不純物)の濃度が0質量%のとき1.00、Nb(不純物)の濃度が0.01質量%のとき1.01、Nb(不純物)の濃度が0.1質量%のとき1.02、Nb(不純物)の濃度が1質量%のとき1.40、Nb(不純物)の濃度が10質量%のとき1.10であった。すなわち、Nb(不純物)の濃度が0質量%のときに比べて、Nb(不純物)の濃度が0.01質量%〜10質量%のときは、TiO2膜(酸化物膜)とGaN支持基板(支持基板)との間の接合強度が高くなった。結果を表1にまとめた。
2.酸化物膜中の不純物の濃度と、酸化物膜とIII族窒化物層との接合強度と、の関係
(1)サンプルの作製
図4を参照して、以下のようにして、酸化物膜とIII族窒化物層との接合強度を測定するためのサンプルを作製した。
まず、直径2インチ(50.8mm)で厚さ500μmのサファイア支持基板100の主面上に、スパッタ法により厚さ300nmのTiO2膜(酸化物膜20a)を形成した。ここで、成長させるTiO2膜(酸化物膜20a)は、そのNb(不純物)の濃度が、0質量%、0.01質量%、0.1質量%、1質量%および10質量%の5種類とした。
次に、HVPE法により形成された単結晶である直径2インチ(50.8mm)で厚さ500μmのGaN基板(III族窒化物基板30)のN原子表面である主面上に、スパッタ法により厚さ300nmのTiO2膜(酸化物膜20b)を形成させた。ここで、成長させるTiO2膜(酸化物膜20b)は、そのNb(不純物)の濃度が、0質量%、0.01質量%、0.1質量%、1質量%および10質量%の5種類とした。
次いで、上記5種類のTiO2膜(酸化物膜20b)が形成されたGaN基板(III族窒化物基板30)のTiO2膜(酸化物膜20b)側から水素イオンを注入して、GaN基板(III族窒化物基板)のN原子表面である主面から300nmの深さの位置にイオン注入領域を形成した。
次に、サファイア支持基板100に形成されたTiO2膜(酸化物膜20a)と、イオン注入領域が形成されたGaN基板(III族窒化物基板)に形成されたTiO2膜(酸化物膜20b)とを、貼り合わせた。ここで、貼り合わせるTiO2膜(酸化物膜20aと酸化物膜20b)は、それらに含まれるNb濃度が互いに同じであるもの同士とした。
次に、上記で貼り合わせた基板を、300℃で2時間熱処理することにより、貼り合わせた基板の接合強度を高めるとともに、GaN基板(III族窒化物基板)をイオン注入領域で分離することにより、サファイア支持基板100上にTiO2膜(酸化物膜20)およびGaN層(III族窒化物層30a)がこの順に接合され、TiO2膜(酸化物膜20)のNb(不純物)濃度が、それぞれ0質量%、0.01質量%、0.1質量%、1質量%および10質量%の5種類である積層基板1Tを作製した。
(2)サンプルの接合強度の測定
上記サンプルのサファイア支持基板100およびGaN層(III族窒化物層30a)をそれぞれ引張試験機の治具にエポキシ接着剤を用いて固定し、サファイア支持基板100とGaN層(III族窒化物層30a)とを引張ることにより、GaN層(III族窒化物層30a)とTiO2膜(酸化物膜20)との間の接合強度を測定した。各種の積層基板1Tのサンプルの接合強度は、TiO2膜(酸化物膜)のNb(不純物)の濃度が0質量%のときの積層基板1Tのサンプルの接合強度を1.00としたときの相対接合強度として算出した。
上記の引張試験において、上記のいずれの積層基板1Tのいずれのサンプルも、GaN層(III族窒化物層30a)とTiO2膜(酸化物膜20)との界面または界面の近傍で破断した。
また、各種積層基板1Tの接合強度は、Nb(不純物)の濃度が0質量%のとき1.00、Nb(不純物)の濃度が0.01質量%のとき0.78、Nb(不純物)の濃度が0.1質量%のとき0.72、Nb(不純物)の濃度が1質量%のとき0.56、Nb(不純物)の濃度が10質量%のとき0.55であった。すなわち、Nb(不純物)の濃度が0質量%のときに比べて、Nb(不純物)の濃度が0.01質量%から10質量%と高くなる程、TiO2膜(酸化物膜)とGaN層(III族窒化物層)との間の接合強度が低くなった。結果を表1にまとめた。
Figure 2013084900
図1および表1を参照して、GaN支持基板(支持基板10)、TiO2膜(酸化物膜20)およびGaN層(III族窒化物層30a)がこの順に接合されたGaN複合基板(III族窒化物複合基板1)において、TiO2膜(酸化物膜20)とGaN支持基板(支持基板10)との接合強度を高めるにはTiO2膜(酸化物膜20)のNb(不純物)濃度を高くすることが有効であり(特に、不純物濃度を1質量%程度とするのが好ましく)、TiO2膜(酸化物膜20)とGaN層(III族窒化物層30a)との接合強度を高めるにはTiO2膜(酸化物膜20)のNb(不純物)濃度を低くすることが有効であることがわかった。
(実施例A)
1.支持基板の主面上への酸化物膜の形成
図2(A)を参照して、HP法により形成された多結晶(焼結体)である直径2インチ(50.8mm)で厚さ500μmのGaN支持基板(支持基板10)の主面上に、スパッタ法により厚さ300nmのTiO2膜(酸化物膜20a)を形成させた。ここで、成長させるTiO2膜(酸化物膜20a)は、そのNb(不純物)の濃度を、GaN支持基板(支持基板10)側から膜厚方向に、1質量%から0.5質量%(例A1)、1質量%から0.5質量%(例A2)、10質量%から5質量%(例A3)、1質量%から10質量%(例A4)と単調に変化させて、上記例A1から例A4の4種類とした。
2.III族窒化物基板の主面上への酸化物膜の形成およびイオン注入領域の形成
図2(B)を参照して、HVPE法により形成された単結晶である直径2インチ(50.8mm)で厚さ500μmのGaN基板(III族窒化物基板30)のN原子表面である主面30n上に、スパッタ法により厚さ300nmのTiO2膜(酸化物膜20b)を形成させた。ここで、成長させるTiO2膜(酸化物膜20b)は、そのNb(不純物)の濃度を、GaN基板(III族窒化物基板30)側から膜厚方向に、0.01質量%から0.5質量%(例A1)、0質量%から0.5質量%(例A2)、0.01質量%から5質量%(例A3)、0.01質量%から10質量%(例A4)と単調に変化させて、上記例A1から例A4の4種類とした。
次いで、上記5種類のTiO2膜(酸化物膜20b)が形成されたGaN基板(III族窒化物基板30)のTiO2膜(酸化物膜20b)側から水素イオンを注入して、GaN基板(III族窒化物基板)のN原子表面である主面から300nmの深さの位置にイオン注入領域を形成した。
3.支持基板とIII族窒化物基板との貼り合わせ
図2(C)を参照して、例A1から例A4のそれぞれにおいて、GaN支持基板(支持基板10)に形成されたTiO2膜(酸化物膜20a)と、イオン注入領域が形成されたGaN基板(III族窒化物基板)に形成されたTiO2膜(酸化物膜20b)とを、貼り合わせた。
4.III族窒化物複合基板の形成
図2(D)を参照して、上記で貼り合わせた基板を、300℃で2時間熱処理することにより、貼り合わせた基板の接合強度を高めるとともに、GaN基板(III族窒化物基板)をイオン注入領域で分離することにより、例A1〜例A4について、GaN支持基板(支持基板10)上にTiO2膜(酸化物膜20)およびGaN層(III族窒化物層30a)がこの順に接合されたGaN複合基板(III族窒化物複合基板1)を作製した。
例A1〜例A4のGaN複合基板(III族窒化物複合基板1)は、TiO2膜(酸化物膜20)のNb(不純物)の濃度が、TiO2膜(酸化物膜20)の支持基板10側の第1主面20sからIII族窒化物層30a側の第2主面20tにかけて膜厚方向に、1質量%から0.01質量%まで単調に変化し(例A1)、1質量%から0質量%まで単調に変化し(例A2)、10質量%から0.01質量%まで単調に変化し(例A3)、1質量%から10質量%を経て0.01質量%まで極大値を有するように変化していた(例A4)。
5.III族窒化物複合基板の物性
上記参考例Aにおける接合強度の値を考慮すると、例A1〜例A4のGaN複合基板(III族窒化物複合基板1)におけるTiO2膜(酸化物膜20)とGaN支持基板(支持基板10)との接合強度およびTiO2膜(酸化物膜20)とGaN層(III族窒化物層30a)との接合強度は、それぞれ、1.40および0.78(例A1)、1.40および1.00(例A2)、1.10および0.78(例A3)、1.40および0.78(例A4)と、いずれも高くなった。結果を表2に示した。
また、例A1〜例A4のGaN複合基板(III族窒化物複合基板1)の膜厚保方向の比抵抗(電気抵抗率)は、ピコアンペアメータにより測定したところ、例A1が2.8×102Ωcm、例A2が8.9×106Ωcm、例A3が6.5×10-1Ωcm、例A4が8.7×101Ωcmあり、例A2以外は高い導電性を示した。結果を表2に示した。例A2のGaN複合基板は、TiO2膜(酸化物膜20)のGaN層(III族窒化物層30a)側の主面におけるNb(不純物)の濃度が0質量%であったため、膜厚方向の導電性が極めて低くなったものと考えられる。また、例A3のGaN複合基板は、比抵抗が最も小さくなった。これは、TiO2膜(酸化物膜20)のNb濃度が10〜0.01質量%でありTiO2膜全体としてのNb濃度が高かったためと考えられる。
また、例A1〜例A4のGaN複合基板(III族窒化物複合基板1)の膜厚保方向のピーク波長が500nmの光の透過率は、紫外可視光透過率測定装置により測定したところ、例A1が62%、例A2が83%、例A3が46%、例A4が41%であった。結果を表2に示した。例A2のGaN複合基板は、光の透過率が最大であった。これは、TiO2膜(酸化物膜20)のNb濃度が1〜0質量%と低かったためと考えられる。
Figure 2013084900
(参考例B)
図1を参照して、多結晶(焼結体)で形成される直径2インチ(50.8mm)で厚さ500μmのGaN支持基板(支持基板10)、直径2インチ(50.8mm)で厚さが600nmのSrTiO3膜(酸化物膜20)および単結晶で形成される直径2インチ(50.8mm)で厚さが300nmのGaN層(III族窒化物層30a)がこの順に接合されたGaN複合基板(III族窒化物複合基板1)について、SrTiO3膜(酸化物膜20)中のLa(不純物)の濃度と、SrTiO3膜(酸化物膜20)とGaN支持基板(支持基板10)との接合強度との関係、ならびに、SrTiO3膜(酸化物膜20)中のLa(不純物)の濃度と、SrTiO3膜(酸化物膜20)とGaN層(III族窒化物層30a)との接合強度との関係を、以下のようにして調べた。
1.酸化物膜中の不純物の濃度と、酸化物膜と支持基板との接合強度と、の関係
酸化物膜20としてSrTiO3膜を形成し、その不純物をLaとしたこと以外は、参考例Aと同様にして、5種類の積層基板1Sについてサンプルを作製し、引張試験によりそれらのサンプルの接合強度を測定した。いずれの積層基板1Sのいずれのサンプルも、GaN支持基板(支持基板)とTiO2膜(酸化物膜)との界面または界面の近傍で破断した。
各種積層基板1Sの接合強度は、La(不純物)の濃度が0質量%のとき1.00、La(不純物)の濃度が0.01質量%のとき1.01、La(不純物)の濃度が0.1質量%のとき1.04、La(不純物)の濃度が1質量%のとき1.43、La(不純物)の濃度が10質量%のとき1.12であった。すなわち、La(不純物)の濃度が0質量%のときに比べて、La(不純物)の濃度が0.01質量%〜10質量%のときは、SrTiO3膜(酸化物膜)とGaN支持基板(支持基板)との間の接合強度が高くなった。結果を表3にまとめた。
2.酸化物膜中の不純物の濃度と、酸化物膜とIII族窒化物層との接合強度と、の関係
酸化物膜20としてSrTiO3膜を形成し、その不純物をLaとしたこと以外は、参考例Aと同様にして、5種類の積層基板1Tについてサンプルを作製し、引張試験によりそれらのサンプルの接合強度を測定した。いずれの積層基板1Tのいずれのサンプルも、GaN層(III族窒化物層)とTiO2膜(酸化物膜)との界面または界面の近傍で破断した。
各種積層基板1Tの接合強度は、La(不純物)の濃度が0質量%のとき1.00、La(不純物)の濃度が0.01質量%のとき0.76、La(不純物)の濃度が0.1質量%のとき0.71、La(不純物)の濃度が1質量%のとき0.55、La(不純物)の濃度が10質量%のとき0.54であった。すなわち、La(不純物)の濃度が0質量%のときに比べて、La(不純物)の濃度が0.01質量%から10質量%と高くなる程、SrTiO3膜(酸化物膜)とGaN層(III族窒化物層)との間の接合強度が低くなった。結果を表3にまとめた。
Figure 2013084900
図1および表3を参照して、GaN支持基板(支持基板10)、SrTiO3膜(酸化物膜20)およびGaN層(III族窒化物層30a)がこの順に接合されたGaN複合基板(III族窒化物複合基板1)において、SrTiO3膜(酸化物膜20)とGaN支持基板(支持基板10)との接合強度を高めるにはSrTiO3膜(酸化物膜20)のLa(不純物)濃度を高くすることが有効であり(特に、不純物濃度を1質量%程度とするのが好ましく)、SrTiO3膜(酸化物膜20)とGaN層(III族窒化物層30a)との接合強度を高めるにはSrTiO3膜(酸化物膜20)のLa(不純物)濃度を低くすることが有効であることがわかった。
(実施例B)
図1および図2を参照して、酸化物膜20としてSrTiO3膜を形成し、その不純物をLaとしたこと以外は、実施例Aと同様にして、例B1〜例B4として、GaN支持基板(支持基板10)上にSrTiO3膜(酸化物膜20)およびGaN層(III族窒化物層30a)がこの順に接合されたGaN複合基板(III族窒化物複合基板1)を作製した。
例B1〜例B4のGaN複合基板(III族窒化物複合基板1)は、SrTiO3膜(酸化物膜20)のLa(不純物)の濃度が、SrTiO3膜(酸化物膜20)の支持基板10側の第1主面20sからIII族窒化物層30a側の第2主面20tにかけて膜厚方向に、1質量%から0.01質量%まで単調に変化し(例B1)、1質量%から0質量%まで単調に変化し(例B2)、10質量%から0.01質量%まで単調に変化し(例B3)、1質量%から10質量%を経て0.01質量%まで極大値を有するように変化していた(例B4)。
例B1〜例B4のGaN複合基板(III族窒化物複合基板1)について、上記参考例Bにおける接合強度の値を考慮すると、例B1〜例B4のGaN複合基板(III族窒化物複合基板1)におけるSrTiO3膜(酸化物膜20)とGaN支持基板(支持基板10)との接合強度およびSrTiO3膜(酸化物膜20)とGaN層(III族窒化物層30a)との接合強度は、それぞれ、1.43および0.76(例B1)、1.43および1.00(例B2)、1.12および0.76(例B3)、1.43および0.76(例B4)と、いずれも高くなった。結果を表4に示した。
また、例B1〜例B4のGaN複合基板(III族窒化物複合基板1)の膜厚保方向の比抵抗(電気抵抗率)は、例B1が9.1×102Ωcm、例B2が4.7×107Ωcm、例B3が1.3×100Ωcm、例B4が3.8×102Ωcmであり、例B2以外は高い導電性を示した。結果を表4に示した。例B2のGaN複合基板は、SrTiO3膜(酸化物膜20)のGaN層(III族窒化物層30a)側の主面におけるLa(不純物)の濃度が0質量%であったため、膜厚方向の導電性が極めて低くなったものと考えられる。また、例B3のGaN複合基板は、比抵抗が最も小さくなった。これは、SrTiO3膜(酸化物膜20)のLa濃度が10〜0.01質量%でありSrTiO3膜全体としてのLa濃度が高かったためと考えられる。
また、例B1〜例B4のGaN複合基板(III族窒化物複合基板1)の膜厚保方向のピーク波長が500nmの光の透過率は、例B1が64%、例B2が86%、例B3が48%、例B4が43%であった。結果を表4に示した。例B2のGaN複合基板は、光の透過率が最大であった。これは、SrTiO3膜(酸化物膜20)のLa濃度が1〜0質量%と低かったためと考えられる。
Figure 2013084900
(参考例C)
図1を参照して、多結晶(焼結体)で形成される直径2インチ(50.8mm)で厚さ500μmのムライト支持基板(支持基板10)、直径2インチ(50.8mm)で厚さが600nmのTiO2膜(酸化物膜20)および単結晶で形成される直径2インチ(50.8mm)で厚さが300nmのGaN層(III族窒化物層30a)がこの順に接合されたGaN複合基板(III族窒化物複合基板1)について、TiO2膜(酸化物膜20)中のNb(不純物)の濃度と、TiO2膜(酸化物膜20)とムライト支持基板(支持基板10)との接合強度との関係、ならびに、TiO2膜(酸化物膜20)中のNb(不純物)の濃度と、TiO2膜(酸化物膜20)とGaN層(III族窒化物層30a)との接合強度との関係を、以下のようにして調べた。
1.酸化物膜中の不純物の濃度と、酸化物膜と支持基板との接合強度と、の関係
支持基板10として直径2インチ(50.8mm)で厚さ500μmのムライト支持基板を用いたこと以外は、参考例Aと同様にして、5種類の積層基板1Sについてサンプルを作製し、引張試験によりそれらのサンプルの接合強度を測定した。いずれの積層基板1Sのいずれのサンプルも、ムライト支持基板(支持基板)とTiO2膜(酸化物膜)との界面または界面の近傍で破断した。
各種積層基板1Sの接合強度は、Nb(不純物)の濃度が0質量%のとき1.00、Nb(不純物)の濃度が0.01質量%のとき1.21、Nb(不純物)の濃度が0.1質量%のとき1.22、Nb(不純物)の濃度が1質量%のとき1.68、Nb(不純物)の濃度が10質量%のとき1.32であった。すなわち、Nb(不純物)の濃度が0質量%のときに比べて、Nb(不純物)の濃度が0.01質量%〜10質量%のときは、TiO2膜(酸化物膜)とムライト支持基板(支持基板)との間の接合強度が高くなった。結果を表5にまとめた。
2.酸化物膜中の不純物の濃度と、酸化物膜とIII族窒化物層との接合強度と、の関係
参考例Aにおけるサンプルの接合強度の測定から、各種積層基板1Tの接合強度は、Nb(不純物)の濃度が0質量%のとき1.00、Nb(不純物)の濃度が0.01質量%のとき0.78、Nb(不純物)の濃度が0.1質量%のとき0.72、La(不純物)の濃度が1質量%のとき0.56、La(不純物)の濃度が10質量%のとき0.55であった。すなわち、La(不純物)の濃度が0質量%のときに比べて、La(不純物)の濃度が0.01質量%から10質量%と高くなる程、TiO2膜(酸化物膜)とGaN層(III族窒化物膜)との間の接合強度が低くなった。結果を表5にまとめた。
Figure 2013084900
図1および表5を参照して、ムライト支持基板(支持基板10)、TiO2膜(酸化物膜20)およびGaN層(III族窒化物層30a)がこの順に接合されたGaN複合基板(III族窒化物複合基板1)において、TiO2膜(酸化物膜20)とムライト支持基板(支持基板10)との接合強度を高めるにはTiO2膜(酸化物膜20)のNb(不純物)濃度を高くすることが有効であり(特に、不純物濃度を1質量%程度とするのが好ましく)、TiO2膜(酸化物膜20)とGaN層(III族窒化物層30a)との接合強度を高めるにはTiO2膜(酸化物膜20)のNb(不純物)濃度を低くすることが有効であることがわかった。
(実施例C)
図1および図2を参照して、支持基板10として直径2インチ(50.8mm)で厚さ500μmのムライト支持基板を用いたこと以外は、実施例Aと同様にして、例C1〜例C4として、ムライト支持基板(支持基板10)上にTiO2膜(酸化物膜20)およびGaN層(III族窒化物層30a)がこの順に接合されたGaN複合基板(III族窒化物複合基板1)を作製した。
例C1〜例C4のGaN複合基板(III族窒化物複合基板1)は、TiO2膜(酸化物膜20)のNb(不純物)の濃度が、TiO2膜(酸化物膜20)の支持基板10側の第1主面20sからIII族窒化物層30a側の第2主面20tにかけて膜厚方向に、1質量%から0.01質量%まで単調に変化し(例C1)、1質量%から0質量%まで単調に変化し(例C2)、10質量%から0.01質量%まで単調に変化し(例C3)、1質量%から10質量%を経て0.01質量%まで極大値を有するように変化していた(例C4)。
例C1〜例C4のGaN複合基板(III族窒化物複合基板1)について、上記参考例Cにおける接合強度の値を考慮すると、例C1〜例C4のGaN複合基板(III族窒化物複合基板1)におけるTiO2膜(酸化物膜20)とムライト支持基板(支持基板10)との接合強度およびTiO2膜(酸化物膜20)とGaN層(III族窒化物層30a)との接合強度は、それぞれ、1.68および0.78(例C1)、1.68および1.00(例C2)、1.32および0.78(例C3)、1.68および0.78(例C4)と、いずれも高くなった。結果を表6に示した。
また、例C1〜例C4のGaN複合基板(III族窒化物複合基板1)の膜厚保方向のピーク波長が500nmの光の透過率は、例C1が56%、例C2が75%、例C3が41%、例C4が37%であった。結果を表6に示した。例C2のGaN複合基板は、光の透過率が最大であった。これは、TiO2膜(酸化物膜20)のNb濃度が1〜0質量%と低かったためと考えられる。
Figure 2013084900
(参考例D)
図1を参照して、多結晶(焼結体)で形成される直径2インチ(50.8mm)で厚さ500μmのムライト支持基板(支持基板10)、直径2インチ(50.8mm)で厚さが600nmのSrTiO3膜(酸化物膜20)および単結晶で形成される直径2インチ(50.8mm)で厚さが300nmのGaN層(III族窒化物層30a)がこの順に接合されたGaN複合基板(III族窒化物複合基板1)について、SrTiO3膜(酸化物膜20)中のLa(不純物)の濃度と、SrTiO3膜(酸化物膜20)とムライト支持基板(支持基板10)との接合強度との関係、ならびに、SrTiO3膜(酸化物膜20)中のLa(不純物)の濃度と、SrTiO3膜(酸化物膜20)とGaN層(III族窒化物層30a)との接合強度との関係を、以下のようにして調べた。
1.酸化物膜中の不純物の濃度と、酸化物膜と支持基板との接合強度と、の関係
支持基板10として直径2インチ(50.8mm)で厚さ500μmのムライト支持基板を用いたこと以外は、参考例Bと同様にして、5種類の積層基板1Sについてサンプルを作製し、引張試験によりそれらのサンプルの接合強度を測定した。いずれの積層基板1Sのいずれのサンプルも、ムライト支持基板(支持基板)とTiO2膜(酸化物膜)との界面または界面の近傍で破断した。
各種積層基板1Sの接合強度は、La(不純物)の濃度が0質量%のとき1.00、La(不純物)の濃度が0.01質量%のとき1.21、La(不純物)の濃度が0.1質量%のとき1.25、La(不純物)の濃度が1質量%のとき1.72、La(不純物)の濃度が10質量%のとき1.34であった。すなわち、La(不純物)の濃度が0質量%のときに比べて、La(不純物)の濃度が0.01質量%〜10質量%のときは、GaN支持基板(支持基板)とSrTiO3膜(酸化物膜)との間の接合強度が高くなった。結果を表7にまとめた。
2.酸化物膜中の不純物の濃度と、酸化物膜とIII族窒化物層との接合強度と、の関係
参考例Bにおけるサンプルの接合強度の測定から、各種積層基板1Tの接合強度は、La(不純物)の濃度が0質量%のとき1.00、La(不純物)の濃度が0.01質量%のとき0.76、La(不純物)の濃度が0.1質量%のとき0.71、La(不純物)の濃度が1質量%のとき0.55、La(不純物)の濃度が10質量%のとき0.54であった。すなわち、La(不純物)の濃度が0質量%のときに比べて、La(不純物)の濃度が0.01質量%から10質量%と高くなる程、SrTiO3膜(酸化物膜)とGaN支持基板(支持基板)との間の接合強度が低くなった。結果を表7にまとめた。
Figure 2013084900
図1および表7を参照して、ムライト支持基板(支持基板10)、SrTiO3膜(酸化物膜20)およびGaN層(III族窒化物層30a)がこの順に接合されたGaN複合基板(III族窒化物複合基板1)において、SrTiO3膜(酸化物膜20)とムライト支持基板(支持基板10)との接合強度を高めるにはSrTiO3膜(酸化物膜20)のLa(不純物)濃度を高くすることが有効であり(特に、不純物濃度を1質量%程度とするのが好ましく)、SrTiO3膜(酸化物膜20)とGaN層(III族窒化物層30a)との接合強度を高めるにはSrTiO3膜(酸化物膜20)のLa(不純物)濃度を低くすることが有効であることがわかった。
(実施例D)
図1および図2を参照して、支持基板10として直径2インチ(50.8mm)で厚さ500μmのムライト支持基板を用いたこと以外は、実施例Bと同様にして、例D1〜例D4として、ムライト支持基板(支持基板10)上にSrTiO3膜(酸化物膜20)およびGaN層(III族窒化物層30a)がこの順に接合されたGaN複合基板(III族窒化物複合基板1)を作製した。
例D1〜例D4のGaN複合基板(III族窒化物複合基板1)は、SrTiO3膜(酸化物膜20)のLa(不純物)の濃度が、SrTiO3膜(酸化物膜20)の支持基板10側の第1主面20sからIII族窒化物層30a側の第2主面20tにかけて膜厚方向に、1質量%から0.01質量%まで単調に変化し(例D1)、1質量%から0質量%まで単調に変化し(例D2)、10質量%から0.01質量%まで単調に変化し(例D3)、1質量%から10質量%を経て0.01質量%まで極大値を有するように変化していた(例D4)。
例D1〜例D4のGaN複合基板(III族窒化物複合基板1)について、上記参考例Dにおける接合強度の値を考慮すると、例D1〜例D4のGaN複合基板(III族窒化物複合基板1)におけるSrTiO3膜(酸化物膜20)とムライト支持基板(支持基板10)との接合強度およびSrTiO3膜(酸化物膜20)とGaN層(III族窒化物層30a)との接合強度は、それぞれ、1.72および0.76(例D1)、1.72および1.00(例D2)、1.34および0.76(例D3)、1.72および0.76(例D4)と、いずれも高くなった。結果を表8に示した。
また、例D1〜例D4のGaN複合基板(III族窒化物複合基板1)の膜厚保方向のピーク波長が500nmの光の透過率は、例D1が58%、例D2が77%、例D3が43%、例D4が39%であった。結果を表8に示した。例D2のGaN複合基板は、光の透過率が最大であった。これは、SrTiO3膜(酸化物膜20)のLa濃度が1〜0質量%と低かったためと考えられる。
Figure 2013084900
(参考例E)
図1を参照して、多結晶で形成される直径2インチ(50.8mm)で厚さ500μmのMo支持基板(支持基板10)、直径2インチ(50.8mm)で厚さが600nmのTiO2膜(酸化物膜20)および単結晶で形成される直径2インチ(50.8mm)で厚さが300nmのGaN層(III族窒化物層30a)がこの順に接合されたGaN複合基板(III族窒化物複合基板1)について、TiO2膜(酸化物膜20)中のNb(不純物)の濃度と、TiO2膜(酸化物膜20)とMo支持基板(支持基板10)との接合強度との関係、ならびに、TiO2膜(酸化物膜20)中のNb(不純物)の濃度と、TiO2膜(酸化物膜20)とGaN層(III族窒化物層30a)との接合強度との関係を、以下のようにして調べた。
1.酸化物膜中の不純物の濃度と、酸化物膜と支持基板との接合強度と、の関係
支持基板10として直径2インチ(50.8mm)で厚さ500μmのMo支持基板を用いたこと以外は、参考例Aと同様にして、5種類の積層基板1Sについてサンプルを作製し、引張試験によりそれらのサンプルの接合強度を測定した。いずれの積層基板1Sのいずれのサンプルも、Mo支持基板(支持基板)とTiO2膜(酸化物膜)との界面または界面の近傍で破断した。
各種積層基板1Sの接合強度は、Nb(不純物)の濃度が0質量%のとき1.00、Nb(不純物)の濃度が0.01質量%のとき1.11、Nb(不純物)の濃度が0.1質量%のとき1.12、Nb(不純物)の濃度が1質量%のとき1.54、Nb(不純物)の濃度が10質量%のとき1.21であった。すなわち、Nb(不純物)の濃度が0質量%のときに比べて、Nb(不純物)の濃度が0.01質量%〜10質量%のときは、TiO2膜(酸化物膜)とMo支持基板(支持基板)との間の接合強度が高くなった。結果を表9にまとめた。
2.酸化物膜中の不純物の濃度と、酸化物膜とIII族窒化物層との接合強度と、の関係
参考例Aにおけるサンプルの接合強度の測定から、各種積層基板1Tの接合強度は、Nb(不純物)の濃度が0質量%のとき1.00、Nb(不純物)の濃度が0.01質量%のとき0.78、Nb(不純物)の濃度が0.1質量%のとき0.72、La(不純物)の濃度が1質量%のとき0.56、La(不純物)の濃度が10質量%のとき0.55であった。すなわち、Nb(不純物)の濃度が0質量%のときに比べて、Nb(不純物)の濃度が0.01質量%から10質量%と高くなる程、TiO2膜(酸化物膜)とGaN層(III族窒化物膜)との間の接合強度が低くなった。結果を表9にまとめた。
Figure 2013084900
図1および表9を参照して、Mo支持基板(支持基板10)、TiO2膜(酸化物膜20)およびGaN層(III族窒化物層30a)がこの順に接合されたGaN複合基板(III族窒化物複合基板1)において、TiO2膜(酸化物膜20)とMo支持基板(支持基板10)との接合強度を高めるにはTiO2膜(酸化物膜20)のNb(不純物)濃度を高くすることが有効であり(特に、不純物濃度を1質量%程度とするのが好ましく)、TiO2膜(酸化物膜20)とGaN層(III族窒化物層30a)との接合強度を高めるにはTiO2膜(酸化物膜20)のNb(不純物)濃度を低くすることが有効であることがわかった。
(実施例E)
図1および図2を参照して、支持基板10として直径2インチ(50.8mm)で厚さ500μmのMo支持基板を用いたこと以外は、実施例Aと同様にして、例E1〜例E4として、Mo支持基板(支持基板10)上にTiO2膜(酸化物膜20)およびGaN層(III族窒化物層30a)がこの順に接合されたGaN複合基板(III族窒化物複合基板1)を作製した。
例E1〜例E4のGaN複合基板(III族窒化物複合基板1)は、TiO2膜(酸化物膜20)のNb(不純物)の濃度が、TiO2膜(酸化物膜20)の支持基板10側の第1主面20sからIII族窒化物層30a側の第2主面20tにかけて膜厚方向に、1質量%から0.01質量%まで単調に変化し(例E1)、1質量%から0質量%まで単調に変化し(例E2)、10質量%から0.01質量%まで単調に変化し(例E3)、1質量%から10質量%を経て0.01質量%まで極大値を有するように変化していた(例E4)。
例E1〜例E4のGaN複合基板(III族窒化物複合基板1)について、上記参考例Eにおける接合強度の値を考慮すると、例E1〜例E4のGaN複合基板(III族窒化物複合基板1)におけるTiO2膜(酸化物膜20)とMo支持基板(支持基板10)との接合強度およびTiO2膜(酸化物膜20)とGaN層(III族窒化物層30a)との接合強度は、それぞれ、1.54および0.78(例E1)、1.54および1.00(例E2)、1.21および0.78(例E3)、1.54および0.78(例E4)と、いずれも高くなった。結果を表10に示した。
また、例E1〜例E4のGaN複合基板(III族窒化物複合基板1)の膜厚保方向の比抵抗(電気抵抗率)は、例E1が1.7×101Ωcm、例E2が5.3×106Ωcm、例E3が3.9×10-2Ωcm、例E4が5.2×100Ωcmあり、例E2以外は高い導電性を示した。結果を表10に示した。例E2のGaN複合基板は、TiO2膜(酸化物膜20)のGaN層(III族窒化物層30a)側の主面におけるNb(不純物)の濃度が0質量%であったため、膜厚方向の導電性が極めて低くなったものと考えられる。また、例E3のGaN複合基板は、比抵抗が最も小さくなった。これは、TiO2膜(酸化物膜20)のNb濃度が10〜0.01質量%でありTiO2膜全体としてのNb濃度が高かったためと考えられる。
Figure 2013084900
(参考例F)
図1を参照して、多結晶で形成される直径2インチ(50.8mm)で厚さ500μmのMo支持基板(支持基板10)、直径2インチ(50.8mm)で厚さが600nmのSrTiO3膜(酸化物膜20)および単結晶で形成される直径2インチ(50.8mm)で厚さが300nmのGaN層(III族窒化物層30a)がこの順に接合されたGaN複合基板(III族窒化物複合基板1)について、SrTiO3膜(酸化物膜20)中のLa(不純物)の濃度と、SrTiO3膜(酸化物膜20)とMo支持基板(支持基板10)との接合強度との関係、ならびに、SrTiO3膜(酸化物膜20)中のLa(不純物)の濃度と、SrTiO3膜(酸化物膜20)とGaN層(III族窒化物層30a)との接合強度との関係を、以下のようにして調べた。
1.酸化物膜中の不純物の濃度と、酸化物膜と支持基板との接合強度と、の関係
支持基板10として直径2インチ(50.8mm)で厚さ500μmのMo支持基板を用いたこと以外は、参考例Bと同様にして、5種類の積層基板1Sについてサンプルを作製し、引張試験によりそれらのサンプルの接合強度を測定した。いずれの積層基板1Sのいずれのサンプルも、Mo支持基板(支持基板)とTiO2膜(酸化物膜)との界面または界面の近傍で破断した。
各種積層基板1Sの接合強度は、La(不純物)の濃度が0質量%のとき1.00、La(不純物)の濃度が0.01質量%のとき1.11、La(不純物)の濃度が0.1質量%のとき1.14、La(不純物)の濃度が1質量%のとき1.57、La(不純物)の濃度が10質量%のとき1.23であった。すなわち、La(不純物)の濃度が0質量%のときに比べて、La(不純物)の濃度が0.01質量%〜10質量%のときは、SrTiO3膜(酸化物膜)とMo支持基板(支持基板)との間の接合強度が高くなった。結果を表11にまとめた。
2.酸化物膜中の不純物の濃度と、酸化物膜とIII族窒化物層との接合強度と、の関係
参考例Bにおけるサンプルの接合強度の測定から、各種積層基板1Tの接合強度は、La(不純物)の濃度が0質量%のとき1.00、La(不純物)の濃度が0.01質量%のとき0.76、La(不純物)の濃度が0.1質量%のとき0.71、La(不純物)の濃度が1質量%のとき0.55、La(不純物)の濃度が10質量%のとき0.54であった。すなわち、La(不純物)の濃度が0質量%のときに比べて、La(不純物)の濃度が0.01質量%から10質量%と高くなる程、SrTiO3膜(酸化物膜)とGaN層(III族窒化物層)との間の接合強度が低くなった。結果を表11にまとめた。
Figure 2013084900
図1および表11を参照して、Mo支持基板(支持基板10)、SrTiO3膜(酸化物膜20)およびGaN層(III族窒化物層30a)がこの順に接合されたGaN複合基板(III族窒化物複合基板1)において、SrTiO3膜(酸化物膜20)とMo支持基板(支持基板10)との接合強度を高めるにはSrTiO3膜(酸化物膜20)のLa(不純物)濃度を高くすることが有効であり(特に、不純物濃度を1質量%程度とするのが好ましく)、SrTiO3膜(酸化物膜20)とGaN層(III族窒化物層30a)との接合強度を高めるにはSrTiO3膜(酸化物膜20)のLa(不純物)濃度を低くすることが有効であることがわかった。
(実施例F)
図1および図2を参照して、支持基板10として直径2インチ(50.8mm)で厚さ500μmのMo支持基板を用いたこと以外は、実施例Bと同様にして、例F1〜例F4として、Mo支持基板(支持基板10)上にSrTiO3膜(酸化物膜20)およびGaN層(III族窒化物層30a)がこの順に接合されたGaN複合基板(III族窒化物複合基板1)を作製した。
例F1〜例F4のGaN複合基板(III族窒化物複合基板1)は、SrTiO3膜(酸化物膜20)のLa(不純物)の濃度が、SrTiO3膜(酸化物膜20)の支持基板10側の第1主面20sからIII族窒化物層30a側の第2主面20tにかけて膜厚方向に、1質量%から0.01質量%まで単調に変化し(例F1)、1質量%から0質量%まで単調に変化し(例F2)、10質量%から0.01質量%まで単調に変化し(例F3)、1質量%から10質量%を経て0.01質量%まで極大値を有するように変化していた(例F4)。
例F1〜例F4のGaN複合基板(III族窒化物複合基板1)について、上記参考例Fにおける接合強度の値を考慮すると、例F1〜例F4のGaN複合基板(III族窒化物複合基板1)におけるSrTiO3膜(酸化物膜20)とMo支持基板(支持基板10)との接合強度およびSrTiO3膜(酸化物膜20)とGaN層(III族窒化物層30a)との接合強度は、それぞれ、1.57および0.76(例F1)、1.57および1.00(例F2)、1.23および0.76(例F3)、1.57および0.76(例F4)と、いずれも高くなった。結果を表12に示した。
また、例F1〜例F4のGaN複合基板(III族窒化物複合基板1)の膜厚保方向の比抵抗(電気抵抗率)は、例F1が5.5×101Ωcm、例F2が2.8×107Ωcm、例F3が7.8×10-2Ωcm、例F4が2.1×101Ωcmであり、例F2以外は高い導電性を示した。結果を表12に示した。例F2のGaN複合基板は、SrTiO3膜(酸化物膜20)のGaN層(III族窒化物層30a)側の主面におけるLa(不純物)の濃度が0質量%であったため、膜厚方向の導電性が極めて低くなったものと考えられる。また、例F3のGaN複合基板は、比抵抗が最も小さくなった。これは、SrTiO3膜(酸化物膜20)のLa濃度が10〜0.01質量%でありSrTiO3膜全体としてのLa濃度が高かったためと考えられる。
Figure 2013084900
今回開示された実施の形態および実施例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
1 III族窒化物複合基板、1S,1T 積層基板、10 支持基板、10m,30n 主面、20,20a,20b 中間膜、20s 第1主面、20t 第2主面、30 III族窒化物基板、30a III族窒化物層、30b 残りのIII族窒化物基板、30i イオン注入領域、100 サファイア支持基板。

Claims (4)

  1. 支持基板と、前記支持基板上に配置されている酸化物膜と、前記酸化物膜上に配置されているIII族窒化物層と、を含み、
    前記支持基板は多結晶で形成され、
    前記III族窒化物層は少なくともc軸方向に配向しているIII族窒化物結晶で形成され、
    前記酸化物膜は不純物が添加され、前記不純物の濃度は、前記酸化物膜において前記支持基板側の第1主面から前記III族窒化物層側の第2主面にかけて膜厚方向で変化し、前記第1主面における前記不純物の濃度は前記第2主面における前記不純物の濃度よりも高い、III族窒化物複合基板。
  2. 前記酸化物膜は、前記第1主面における前記不純物の濃度が10質量%以下であり、前記第2主面における前記不純物の濃度が0.01質量%以上である請求項1に記載のIII族窒化物複合基板。
  3. 前記酸化物膜の前記不純物の濃度は、前記酸化物膜において前記第1主面から前記第2主面にかけて膜厚方向で単調に変化する請求項1または請求項2に記載のIII族窒化物複合基板。
  4. 前記支持基板は、窒化物、酸化物および金属からなる群から選ばれる少なくとも1種類を含む請求項1から請求項3のいずれかに記載のIII族窒化物複合基板。
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