JP2013179128A - 電界効果トランジスタ - Google Patents
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Abstract
【課題】電界効果トランジスタのゲートリーク電流の低減
【解決手段】アンドープのGaNから成るチャネル層14(第1の半導体層)の上に、アンドープのAl0.22Ga0.78Nから成る障壁層20が形成され、その上にアンドープのGaNから成る厚さ1nmの中間層22が形成されている。中間層22の上には、厚さ4nmの1.0×1020/cm3 にMgがドープされたp−In0.2 Ga0.8 Nから成る電界発生層30が形成されている。この電界発生層30の上にNi/Au/Niから成るゲート電極40が形成されている。InGaNはピエゾ電界効果が大きいので、ヘテロ成長したこの層には大きな応力歪みがかかり大きなピエゾ電界が発生し、チャネルのレベルを上昇させることができる。第2の半導体層と電界発生層との間にGaNから成る中間層を介在させたたので、電界発生層であるInGaNの結晶性が向上し、これにより、ゲートリーク電流を顕著に低減させることができる。
【選択図】図1
【解決手段】アンドープのGaNから成るチャネル層14(第1の半導体層)の上に、アンドープのAl0.22Ga0.78Nから成る障壁層20が形成され、その上にアンドープのGaNから成る厚さ1nmの中間層22が形成されている。中間層22の上には、厚さ4nmの1.0×1020/cm3 にMgがドープされたp−In0.2 Ga0.8 Nから成る電界発生層30が形成されている。この電界発生層30の上にNi/Au/Niから成るゲート電極40が形成されている。InGaNはピエゾ電界効果が大きいので、ヘテロ成長したこの層には大きな応力歪みがかかり大きなピエゾ電界が発生し、チャネルのレベルを上昇させることができる。第2の半導体層と電界発生層との間にGaNから成る中間層を介在させたたので、電界発生層であるInGaNの結晶性が向上し、これにより、ゲートリーク電流を顕著に低減させることができる。
【選択図】図1
Description
本発明は、ゲートリーク電流を低減させた III族窒化物半導体を用いた電界効果トランジスタに関する。特に、ノーマリオフ型の電界効果トランジスタに関する。
近年、 III族窒化物半導体を用いた電界効果トランジスタは、バンドギャップが広いことから、高耐圧、高温動作、高周波動作、高出力、高電圧信号入力などが可能であることから、盛んに、研究されている。
III族窒化物半導体を用いた電界効果トランジスタの一つとして、例えば、アンドープのGaN層をチャネル層とし、AlGaN層を障壁層とし、その障壁層の上にゲート電極、ソース電極、ドレイン電極を形成した高移動度トランジスタが知られている。 III族窒化物半導体を用いたこのヘテロ接合電界効果トランジスタにおいては、自発分極とヘテロ接合による歪みによりピエゾ電気分極を発生させてヘテロ界面において、高い二次元電子濃度を実現するものである。
そして、この III族窒化物半導体を用いた電界効果トランジスタをノーマリオフ型として動作可能とする構造が、下記特許文献1−4において知られている。特許文献1、4は、ゲート電極の下にInGaN層を設けることで、その層の直下に位置するAlGaNから成るキャリア供給層から受ける歪みによりInGaN層に発生するピエゾ電界によりチャネルの伝導帯を持ち上げることで、ノーマリオフ型を実現している。また、特許文献2は、ゲート電極の下にGaNから成るキャップ層を用いて、下層のAlGaNから成るキャリア供給層とのピエゾ電気分極との差により、チャネルの伝導帯を持ち上げることで、ノーマリオフを実現している。また、特許文献3は、チャネル層、キャリア供給層に、Inを添加することで、それらの層に発生するピエゾ電気分極により、チャネルの伝導帯を持ち上げることで、ノーマリオフを実現している。
特に、本願発明者は、特許文献4に示すように、ゲート電極直下にp−InGaNから成る電界発生層を設けることで、しきい値電圧を高い側にシフトさせたノーマリオフ型の電界効果トランジスタを提案している。
しかしながら、上記構造のノーマリオフ型電界効果トランジスタは、ゲートリーク電流が大きいという問題があった。本発明者は、この原因を調査した結果、AlGaNから成る障壁層(キャリア供給層とも言う)の上に、InGaNから成る電界発生層を、直接、成長させた場合には、InGaN層にピット状V字型欠陥が発生し、これにより、ゲートリーク電流が増加すること、素子間においてゲートリーク電流が大きくばらつくことを見出した。
そして、本発明者は、AlGaN層の上に薄いGaN層を成長させた後に、InGaNを成長させると、InGaN層においてピット状V字型欠陥の密度を極めて低減でき、そのように成長させたInGaNを電界発生層とした電界効果トランジスタにおいては、ゲートリーク電流が大きく低減し、素子間の特性のばらつきも大きく減少することを発見した。
本発明は、上記の発見に基づくものであり、電界効果トランジスタにおいて、ゲートリーク電流を低減させると共に素子特性を安定化させることである。
上記の課題を解決するためには、以下の手段が有効である。
即ち、第1の発明は、ゲート電極と、ソース電極と、ドレイン電極と、チャネルを形成する第1の半導体層と、該第1の半導体層の上に形成されたGaxAl1-xN(0≦x<1)から成る第2の半導体層と、該第2の半導体層の上に形成されたInyGa1-yN(0<y<1)から成る電界発生層とを有する電界効果トランジスタにおいて、第2の半導体層と電界発生層との間に、GaNから成る中間層を設けたことを特徴とする。
即ち、第1の発明は、ゲート電極と、ソース電極と、ドレイン電極と、チャネルを形成する第1の半導体層と、該第1の半導体層の上に形成されたGaxAl1-xN(0≦x<1)から成る第2の半導体層と、該第2の半導体層の上に形成されたInyGa1-yN(0<y<1)から成る電界発生層とを有する電界効果トランジスタにおいて、第2の半導体層と電界発生層との間に、GaNから成る中間層を設けたことを特徴とする。
ここで、電界効果トランジスタは、ゲート電極に印加する電圧により、ソース電極、ドレイン電極間のチャネルの抵抗を制御する素子として、最も広い意味に解釈されるものである。例えば、ゲートリーク電流を大きく低減させることができることから、ショットキーゲート高移動度トランジスタ(HEMT)をあげることができるが、電界によりチャネルを制御するという電界効果トランジスタの原理を用いたトランジスタであれば、絶縁ゲート型、その他の変形された電界効果トランジスタでも、本発明は適用可能である。また、本発明は、ノーマリオフ型の電界効果トランジスタに応用できるだけでなく、しきい値電圧を上昇させることができるので、しきい電圧を任意に設定できるノーマリオン型領域の電界効果トランジスタにも応用することができる。
チャネルは、nチャネルでもpチャネルでも良い。すなわち、チャネルのキャリアは電子でも正孔でも良い。nチャネルの方がキャリアの移動度が高いのでデバイスとしては有利である。nチャネルの場合には、結晶成長面にはGa面を用いる。ただし、pチャネルのときは電界発生層は、キャリア(正孔)のエネルギーを上げ、かつ第2の半導体層である障壁層としては電子親和力+禁制帯幅の大きいものを用いる必要がある。また、結晶面としてはpチャネルの場合にはN面を使うことが望ましい。
第1の半導体層は、キャリアの移動度を高くして、チャネル抵抗の低減や動作速度の向上の目的から言えば、不純物がノンドープであることが望ましい。しかし、例えば、チャネルのキャリアのエネルギーの調整、歪み量の調整、その他各種の目的のために、全部、又は、一部の領域に不純物がドープされていても良い。第2の半導体層は、アンドープでも、チャネルがn型であれば、n型にドープしても良い。チャネルがp型であれば、p型にドープしても良い。第1の半導体層の結晶面としては、nチャネルの場合にはGa面、pチャネルの場合にはN面を使うことが望ましい。
電界発生層のInGaNには、中間層のGaN及び第2の半導体層のAlGaNから、膜厚の方向に引っ張り歪み(面方向には圧縮歪み)を与えることができる。また、電界発生層の主面をGa面とする。この時、電界発生層の分極の向きは、AlGaNからゲート電極に向かう方向となる。これにより、電界発生層の界面に電荷が誘起されて、ゲート電極から第1の半導体層に向かう向きに電界を生じる。すなわち、ゲート電極を第1の半導体層に対して正電位とすることができる。これにより、電界発生層が接合する下層の半導体層の伝導帯のエネルギーレベルを上昇させることができ、第1の半導体層のチャネルのエネルギーレベルを上昇させることができる。また、チャネルをpチャネルとする場合には、N面を用いたチャネルの正孔のエネルギーを上昇( 価電子帯のエネルギーレベルを下げる) させることができる。
本発明の最も大きな特徴は、AlGaNから成る第2の半導体層の上に、GaNから成る中間層を形成し、その中間層の上に、InGaNから成る電界発生層を形成したことである。これにより、InGaNの結晶性を良好とすることで、ゲートリーク電流を低減させることができる。
本発明において、中間層の厚さは、特に限定されるものではないが、1モノレイヤー以上、30nm以下とすることが望ましい。GaNがAlGaN層上に形成されていさえすれば、InGaN層に従来発生していたピット状V字型欠陥を、極力抑制することができる。GaN層の厚さが30nmを越えて厚くなると、相互コンダクタンスが小さくなり過ぎるので望ましくない。したがって、中間層の厚さは、30nm以下とすることが望ましい。また、中間層の厚さは、3モノレイヤー以上、10nm以下も望ましい範囲である。また、ゲート電極と、ソース電極又は/及びドレイン電極間の中間層をエッチングする場合に、その容易性を考慮すると、中間層の厚さは、3モノレイヤー以上、5nm以下も望ましい。
また、電界発生層のIn組成比yは、0<y≦0.4であることが望ましい。In組成比が大きい程、大きなピエゾ電気分極を得ることができるが、結晶性が低下するので望ましくない。そのため、中間層のIn組成比は、0.4以下であることが望ましい。
また、電界発生層の厚さは、0.2nm以上、10nm以下であることが望ましい。さらに、望ましくは、0.2nm以上、4nm以下である。電界発生層は下層とヘテロ接合し、電界発生層の厚さは歪みが緩和されない臨界膜厚よりも小さい値に設定されている必要がある。下層に格子整合しないでヘテロ成長させた層は、その厚さが厚くなると、転位などが発生して歪みが緩和する。このため、電界発生層の厚さは、歪みが緩和しない厚さよりも薄いことが必要である。
電界発生層のInの組成比yは、0.4以下が望ましい。さらに、望ましくは、0.01〜0.4である。特に、望ましくは、0.2〜0.3である。Inの組成比が0.3、0.1の時に、それぞれ、5MV/cm、1.5MV/cmのピエゾ分極電界を発生させることができる。これは、電界発生層の厚さが10nmの時には、それぞれ、5V、1.5Vの電圧を意味し、下層の半導体の伝導帯を、それぞれ、5eV、1.5eVだけ上昇できることを意味する。すなわち、電界発生層の膜厚1nm当たり、伝導帯を、それぞれ、0.5eV、0.15eVだけ上昇させることができる。下層の半導体層の伝導帯を所望の値だけ上昇させるには、Inの組成比と電界発生層の厚さとを適性に設計すれば良い。
また、第1の半導体層はGaNから成ることが望ましい。また、第1の半導体層は、InzGa1-zN(0<z≦0.3)であっても良い。また、第1の半導体層と、第2の半導体層との間にAlN層を設けても良い。この時、AlN層の厚さは、0.01nm以上、1nm以下であることが望ましい。また、電界発生層は、p伝導型であることが望ましい。p型の方が、電界発生層の伝導帯をより持ち上げることができ、チャネルの伝導帯をより持ち上げることができる。
電界発生層は、ゲート電極の下にのみ形成されていることが望ましい。電界発生層は、極めて薄い層でもチャネルのキャリアのエネルギーを制御できる。したがって、エッチングにより、電界発生層のゲート電極の下にのみ形成することが極めて容易となる。これによりチャネル抵抗を低減させることができる。
また、本発明は、ゲート電極は電界発生層に直接、接合したショットキーゲート型の電界効果トランジスタとすることが望ましい。この場合に、本願発明のゲートリーク電流の低減効果を、効果的にトランジスタに反映させることができる。本発明は、絶縁ゲート型(例えば、MOS型)の電界効果トランジスタにも用いることができる。この場合にも耐圧の向上、ゲートリーク電流の低減効果を実現できる。
また、本発明は、ゲート電極は電界発生層に直接、接合したショットキーゲート型の電界効果トランジスタとすることが望ましい。この場合に、本願発明のゲートリーク電流の低減効果を、効果的にトランジスタに反映させることができる。本発明は、絶縁ゲート型(例えば、MOS型)の電界効果トランジスタにも用いることができる。この場合にも耐圧の向上、ゲートリーク電流の低減効果を実現できる。
AlGaNから成る第2の半導体層の上に、GaNから成る中間層を形成し、その上に、InGaNから成る電界発生層を形成したことにより、InGaNの結晶性を良好とすることで、ゲートリーク電流を極めて顕著に低減させることができた。
以下、本発明を具体的な実施例に基づいて説明する。本発明は、下記の実施例に限定されるものではない。
図1は、実施例1に係るHEMTの断面図である。サファイアから成る基板10の上に、膜厚約150nmのAlNから成るバッファ層12が形成されており、その層12の上に、アンドープの厚さ2μmのGaNから成るチャネル層14が形成されている。チャネル層14は、本発明の第1の半導体層に該当する。チャネル層14の上には、厚さ18nmのアンドープのAl0.22Ga0.78Nから成る障壁層20が形成され、障壁層20の上には厚さ1nmのアンドープのGaNから成る中間層22が形成されている。そして、中間層22の上には、厚さ4nmの1.0×1020/cm3 にMgがドープされたp−In0.2 Ga0.8 Nから成る電界発生層30が形成されている。この電界発生層30の上にNi/Pt/Auから成る厚さ400nmのゲート電極40が形成されている。ただし、Ni/Pt/Auにおける記号/は、電界発生層30の側から順に、Ni、Pt、Auを蒸着させることを意味する(以下、同じ)。また、障壁層20の上に(中間層22、電界発生層30の上部でもある)Ti/Al/Ni/Auから成る厚さ400nmのソース電極41とTi/Al/Ni/Auから成る厚さ400nmのドレイン電極42とが形成されている。障壁層20は、本発明の第2の半導体層に該当する。
上記の各層の成長は、有機金属化合物気相成長法(MOVPE)により行うことができる。ガスとしては、キャリアガス(H2 又はN2 )と、アンモニアガス(NH3 )と、トリメチルガリウム(Ga(CH3)3 )(以下、「TMG」と記す)、トリメチルアルミニウム(Al(CH3)3 )(以下、「TMA」と記す)と、トリメチルインジウム(In(CH3)3 )(以下、「TMI」と記す)、シラン(SiH4 )、ビスシクロペンタジエニルマグネシウム(Mg(C5H5)2 )(以下、「Cp2 Mg」と記す)を用いることができる。ただし、これらの半導体結晶層を結晶成長させる方法としては、上記の有機金属化合物気相成長法(MOVPE)の他にも、分子線気相成長法(MBE)、ハイドライド気相成長法(HVPE)等が有効である。
図1に示したHEMTの製造方法は、公知である。一例として、次のようにして製造することができる。基板10の上に、キャリアガスとして、水素(H2 )ガスを用い、400℃にて、アンモニアとTMAを適用流し、AlNから成る低温形成のバッファ層12を厚さ150nmに形成する。次に、結晶成長温度を1100℃として、水素ガス、アンモニア、TMGを、それぞれ、適量流速で供給して、厚さ2μmのGaNから成るチャネル層14を成長させる。このチャネル層14は、厚いほど、結晶性が良いので、厚い程望ましい。そのチャネル層14の上に、基板温度を1150℃として、水素ガス、アンモニア、TMG、TMAを、それぞれ、適量流速で供給して、Al0.22Ga0.78Nからなる障壁層20を18nmの厚さに成長させる。次に、障壁層20の上に、基板温度を1100℃として、水素ガス、アンモニア、TMGを、それぞれ、適量流速で供給して、アンドープのGaNから成る中間層22を、厚さ1nmに形成する。次に、その中間層22の上に、基板温度を800℃にして、Cp2Mg、水素ガス、アンモニア、TMG、TMIを、それぞれ、適量流速で供給して、p−In0.2 Ga0.8 Nから成る電界発生層30を4nmの厚さに形成する。その後、アニーリングして電界発生層30をp型化する。上記した金属を蒸着した後加熱して、ソース電極41、ドレイン電極42の合金化を行う。次にフォトリソグラフィと金属の蒸着・リフトオフにより、ゲート電極40を形成する。
図2は、上記のHEMTにおける各層の伝導帯のバンド図である。第1の半導体層14/第2の半導体層20/中間層22/電界発生層30/ゲート電極40のバンド図である。すなわち、アンドープGaN/アンドープAl0.22Ga0.78N/アンドープGaN/p−In0.2 Ga0.8 N/金属のヘテロ接合の伝導帯を例示している。以下、単に、p−In0.2 Ga0.8 NをInGaN、アンドープAl0.22Ga0.78NをAlGaNで表記する。
格子定数は、InGaN、GaN、AlGaNの順で大きい。したがって、InGaNは、GaN、AlGaNより、成長面上において圧縮応力を受け、成長面に垂直な方向に引っ張り応力を受ける。この結果、Ga面を成長面とするInGaNは自発分極とピエゾ電気分極とは反対を向き、ピエゾ電気分極の方が遥かに大きい。したがって、InGaNでは、InGaNからゲート電極に向かう方向に分極する。また、AlGaNは、第1の半導体層のGaNから成長面内で引っ張り応力を受け、成長面に垂直な方向に圧縮応力を受ける。AlGaNでは、自発分極とピエゾ電気分極とが同一方向を向き、GaNの自発分極はAlGaNの自発分極と同じ方向を向き、これらの大きさは、InGaNのピエゾ電気分極に比べると遥かに小さい。したがって、ゲート電極/InGaNの界面には正の電荷が、InGaN/中間層GaN界面、中間層GaN/AlGaN界面には負の電荷が誘起される。
この結果、分極の向きと、各界面での正味の電荷密度を反映した電界の向きは、図2に示すようになる。また、ゲート電極とInGaNとのショトキー障壁を考慮して伝導帯を表記すると図2の実線Aとなる。なお、曲線Bは、電界発生層30をアンドープInGaNとした場合、曲線Cは、電界発生層30と中間層22を設けない場合の伝導帯を表している。
図2において、Et は、電界発生層InGaNをp型にすることによる電位上昇分、BV は、p−InGaNとゲート電極間のショットキー障壁電圧、ΔVは、歪み分極によるエネルギー上昇電圧、EC は、InGaNとAlGaNとが接合した場合の障壁電圧である。このようにして、p−InGaNの電界発生層がない場合に比べて、チャネルの伝導帯をΔV+Et だけ持ち上げることができる。
上記の電界効果トランジスタのゲートリーク電流を測定した。図3がゲートソース間電圧VGSに対するゲート電流IG の変化特性を示している。図4は、GaNから成る中間層22を設けずに、i−AlGaNから成る第2の半導体層20の上に、p−InGaNから成る電界発生層30を直接接合した場合の電界効果トランジスタにおけるゲートリーク電流の特性図である。明らかに、GaNから成る中間層22を設けた場合の逆バイアスでのゲートリーク電流は、中間層22を設けない場合のゲートリーク電流の1/104 以下に低下していることが分かる。また、中間層22を設けた場合には、良好なショットキー障壁が形成され、良好な整流特性を示し、素子間の特性のばらつきも小さく抑制されていることが分かる。
次に、アンドープGaN/アンドープAl0.22Ga0.78N/アンドープGaN/p−In0.2 Ga0.8 Nと、順に積層した場合のp−In0.2 Ga0.8 NのTEM像を測定した。その結果を図5に示す。また、アンドープGaN/アンドープAl0.22Ga0.78N/p−In0.2 Ga0.8 Nの順に積層した場合、すなわち、アンドープGaNの中間層22を設けない場合におけるp−In0.2 Ga0.8 NのTEM像を図6に示す。明らかに、アンドープGaNから成る中間層22を設けた場合の方が、p−In0.2 Ga0.8 Nの転位が少なく、結晶性が良いことが理解される。このp−In0.2 Ga0.8 Nの結晶性の改善が、ゲートリーク電流を大きく低減させた理由である。
図7は、実施例2に係る電界効果トランジスタの構成を示している。実施例1において、第1の半導体層14と第2の半導体層20との間にアンドープのAlN層16を設けたことが特徴である。その他は、実施例1と同一である。
図8は、実施例3に係る電界効果トランジスタの構成を示している。実施例1において、電界発生層30とGaNから成る中間層22をゲート電極40の直下にのみ形成したことが特徴である。この構造により、ゲート電極40と、ソース電極41又はドレイン電極42との間のチャネルは、電界発生層30による電界が印加されないので、チャネルの伝導帯は、ゲート電極40の直下よりも低い。したがって、チャネル抵抗を低減させることができる。
図9は、実施例4に係る電界効果トランジスタの構成を示している。実施例2において、電界発生層30とGaNから成る中間層22をゲート電極40の直下にのみ形成したことが特徴である。
その他、InGaNから成る電界発生層30は、上記実施例では、p伝導型で構成したが、アンドープであっても良い。図10の(a)は、電界発生層30のIn組成比と、しきい値電圧のシフト量との関係を示し、(b)は電界発生層30のMg濃度と、しきい値電圧のシフト量との関係を示している。In組成比が0.3以下の範囲において、しきい値電圧のシフト量は、In組成比に比例して増加していることが分かる。また、Mg濃度が1×1019/cm3 以上となると、しきい値電圧のシフト量は急激に増加、Mg濃度1×1020/cm3 において、シフト量は、1.2Vが得られている。したがって、電界発生層30のMg濃度は、1×1019/cm3 以上とすることが望ましい。さらには、1×1020/cm3 以上とすることがより望ましい。
本発明は、AlGaNから成る第2の半導体層の上に、GaNから成る中間層を形成し、その上に、InGaNから成る電界発生層を形成したことにより、InGaNの結晶性を向上させたことが特徴である。したがって、本明細書において、電界効果トランジスタとは別に、AlGaN層とInGaN層との間にGaNから成る中間層を設けることで、InGaN層の結晶性を向上させた半導体層の積層構造及び半導体積層構造の製造方法も発明として認識することができる。また、上述したように、InGaNの結晶性が改善されるのであるから、ショットキーゲート型だけではなく、絶縁ゲート型の電界効果トランジスタにおいても、本発明を用いることができ、素子特性を向上させることができる。
本発明は、ゲートリーク電流を低減させると共に、素子間特性のばらつきを抑制した電界効果トランジスタを構成することができる。また、ノーマリオフ型のトランジスタを提供できる。
10…基板
14…チャネル層(第1の半導体層)
16…AlN層
20…障壁層(第2の半導体層)
22…中間層
40…電界発生層
14…チャネル層(第1の半導体層)
16…AlN層
20…障壁層(第2の半導体層)
22…中間層
40…電界発生層
Claims (10)
- ゲート電極と、ソース電極と、ドレイン電極と、チャネルを形成する第1の半導体層と、該第1の半導体層の上に形成されたGaxAl1-xN(0≦x<1)から成る第2の半導体層と、該第2の半導体層の上に形成されたInyGa1-yN(0<y<1)から成る電界発生層とを有する電界効果トランジスタにおいて、
前記第2の半導体層と前記電界発生層との間に、GaNから成る中間層を設けたことを特徴とする電界効果トランジスタ。 - 前記中間層の厚さは、1モノレイヤー以上、30nm以下であることを特徴とする請求項1に記載の電界効果トランジスタ。
- 前記電界発生層のIn組成比yは、0<y≦0.4であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の電界効果トランジスタ。
- 前記電界発生層の厚さは、0.2nmm以上、10nm以下であることを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れか1項に記載の電界効果トランジスタ。
- 前記第1の半導体層はGaNから成ることを特徴とする請求項1乃至請求項4の何れか1項に記載の電界効果トランジスタ。
- 前記第1の半導体層は、InzGa1-zN(0<z≦0.3)から成ることを特徴とする請求項1乃至請求項4の何れか1項に記載の電界効果トランジスタ。
- 前記第1の半導体層と、前記第2の半導体層との間にAlN層を設けたことを特徴とする請求項1乃至請求項6の何れか1項に記載の電界効果トランジスタ。
- 前記AlN層の厚さは、0.01nm以上、1nm以下であることを特徴とする請求項1乃至請求項9の何れか1項に記載の電界効果トランジスタ。
- 前記電界発生層は、p伝導型であることを特徴とする請求項1乃至請求項8の何れか1項に記載の電界効果トランジスタ。
- 前記ゲート電極は前記電界発生層に直接、接合していることを特徴とする請求項1乃至請求項9の何れか1項に記載の電界効果トランジスタ。
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2017010041A1 (ja) * | 2015-07-10 | 2017-01-19 | 株式会社デンソー | 半導体装置 |
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2012
- 2012-02-28 JP JP2012041372A patent/JP2013179128A/ja active Pending
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WO2017010041A1 (ja) * | 2015-07-10 | 2017-01-19 | 株式会社デンソー | 半導体装置 |
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