JP2013178526A - 中空構造体及びその製造方法 - Google Patents

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Sadaaki Kato
禎明 加藤
Osamu Matsuzaka
治 松坂
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【課題】 感光性樹脂組成物を用いた中空構造体の製造方法を提供すること。
【解決手段】 基板上に、第1の感光性樹脂組成物を用いて感光性樹脂組成物層を形成する工程と、上記感光性樹脂組成物層の所定部分に活性光線を照射し、露光部を光硬化させる工程と、上記感光性樹脂組成物層の上記露光部以外の部分を除去することにより、パターンを形成する工程と、上記感光性樹脂組成物層の上記露光部を熱硬化させ、樹脂硬化物からなるリブ部を形成する工程と、フィルム化した第2の感光性樹脂組成物を上記リブ部の上部に貼り付けることにより中空構造を形成する工程と、を有する中空構造体の製造方法。
【選択図】 図1

Description

本発明は、中空構造体及びその製造方法に関する。
近年、半導体素子の高集積化、小型化が進むことで、急速な大容量化、低コスト化を実現している。その中で、携帯電話のノイズ除去などに用いられるSAW(Surface Acoustic Wave)フィルタは、現状、製造においてセラミックの加工がなされていることから高コストであること、構造上の制限から小型化・低背化が困難なことが問題となっている(下記特許文献1〜4参照)。
特開2001−244785号公報 特開平8−204482号公報 特開2003−8395号公報 特開2004−64732号公報
この問題を解決するため、製造の低コスト化・短時間化を達成するため、セラミック代替材として、フォトリソグラフィにより容易に加工できる感光性樹脂材料の開発が望まれている(上記特許文献3及び4参照)。
SAWフィルタは、圧電基板の表面に櫛歯状のアルミ電極(Inter Digital Transducer、IDT電極と称される)を持っており、この櫛歯状のアルミ電極が形成されている部分は、表面弾性波を伝搬するために中空空間である必要がある。そのため、感光性樹脂がセラミックの代替となるには、中空空間を形成するために厚膜を形成できる必要がある。
また、SAWフィルタ製造工程において、上記アルミ電極がフォトリソグラフィ時の現像液にさらされる場合がある。このとき、アルカリ現像液を使用すると、アルミ電極が腐食するという問題が起こることから、有機溶剤を用いて溶剤現像可能な感光性樹脂が求められている。さらに、上記アルミ電極の腐食を防止するという点から、感光性樹脂は、吸水率が低く、高温時の耐湿性(以下、「耐湿熱性」という)に優れることが要求される。
また、上記アルミ電極は、200℃を越える高温において帯電し、製品の特性に影響を及ぼすことから、低温硬化可能な感光性樹脂が求められている。
高耐熱性、高信頼性を有する感光性樹脂としては、感光性ポリイミド系材料が考えられるが、硬化温度が250〜350℃と高く、また、10μm以上の厚さの膜を形成困難であるといった問題がある。
一方、30μm程度の厚膜の形成が可能であり且つ硬化温度が150℃程度である感光性樹脂として、エポキシ系感光性樹脂が挙げられる。しかし、エポキシ系感光性樹脂は、一般に吸水率が高く、ポリイミドと比べて十分な耐湿熱性が得られないため、高温での透湿によりアルミ電極の腐食が発生するという問題がある。
本発明は、以上のような従来の課題を解決するためになされたものであって、溶剤現像に対応可能であり、低温硬化可能であり、吸水率が十分に低く、耐湿熱性に優れ、厚膜で解像度よく像形成が可能な感光性樹脂組成物、それを用いたSAWフィルタ及びその製造方法を提供することを目的とする。また、本発明は、感光性樹脂組成物を用いた中空構造体の製造方法及び中空構造体を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明は、(A)主鎖に炭素数5〜20の直鎖状又は分岐状のアルキレン基(但し、分岐状の場合、上記炭素数に分岐部分の炭素数は含めない)を有するポリアミック酸と、(B)重合性化合物と、(C)光重合開始剤と、を含有し、上記(B)重合性化合物が、分子内に4〜10のエチレン性不飽和基を有する重合性化合物を含む、感光性樹脂組成物を提供する。
かかる感光性樹脂組成物は、SAWフィルタの形成用途に特に好適に用いられる。上記感光性樹脂組成物は、ポリイミド前駆体である(A)主鎖に炭素数5〜20のアルキレン基を有するポリアミック酸を含む上記構成を有することにより、その樹脂硬化物は、吸水率が十分に低く、優れた耐湿熱性を得ることができる。また、上記(A)ポリアミック酸は、主鎖に炭素数5〜20のアルキレン基を有しているため、上記(B)重合性化合物との相溶性に優れる。更に、上記(A)ポリアミック酸を用いることで、その樹脂硬化物は優れた柔軟性・折り曲げ性を得ることができる。また、上記構成を有する上記感光性樹脂組成物は、解像度良く厚膜形成が可能である。更に、上記感光性樹脂組成物は、分子内に4〜10のエチレン性不飽和基を有する重合性化合物を含む(B)重合性化合物を用いることで、光硬化後の樹脂が十分な耐溶剤性を発現でき、有機溶剤を用いた溶剤現像が可能となる。また、上記感光性樹脂組成物は、上記(B)重合性化合物を含有することで、比較的低温(例えば200℃以下)で硬化可能となり、SAWフィルタ製造工程においてアルミ櫛歯電極の帯電を抑制することができる。
本発明の感光性樹脂組成物における上記(B)重合性化合物は、分子内に4〜10のエチレン性不飽和基を有する重合性化合物として、下記一般式(1)で表される化合物を含むことが好ましい。
Figure 2013178526

[式(1)中、Rはp価の有機基を示し、R’はそれぞれ独立に水素原子又はメチル基を示し、pは4〜6の整数を示す。]
かかる感光性樹脂組成物は、上記(B)重合性化合物として上記一般式(1)で表される化合物を含有することにより、光硬化性を向上させることができるとともに、得られる樹脂硬化物の耐湿熱性をより向上させることができる。また、感光性樹脂組成物の光硬化性及び樹脂硬化物の耐湿熱性に特に優れることから、上記一般式(1)で表される化合物はジペンタエリスリトールヘキサアクリレートであることが好ましい。
また、本発明の感光性樹脂組成物において、上記(B)重合性化合物は、更にビニル基含有エポキシ樹脂を含むことが好ましい。これにより、厚膜の形成が容易となり、得られる樹脂硬化物の耐熱性を向上させることができる。また、ビニル基含有エポキシ樹脂は、(A)ポリアミック酸との相溶性にも優れているため、好ましい。
また、本発明の感光性樹脂組成物において、上記(A)ポリアミック酸は、下記一般式(2)で表される構造を有する化合物を含むことが好ましい。
Figure 2013178526

[式(2)中、Arは4価の有機基を示し、Arは2価の有機基を示し、kは1以上の整数を示す。但し、Arが下記一般式(3)で表される4価の有機基、及び/又は、Arが下記一般式(4)で表わされる2価の有機基を示す。]
Figure 2013178526

[式(3)中、Xは炭素数5〜20の直鎖状又は分岐状のアルキレン基(但し、分岐状の場合、上記炭素数に分岐部分の炭素数は含めない)を示し、R及びRはそれぞれ独立に水素原子、炭素数1〜6のアルキル基又は炭素数1〜3のアルコキシ基を示し、m及びnはそれぞれ独立に1〜3の整数を示す。]
Figure 2013178526

[式(4)中、Zは単結合又は2価の有機基を示し、Y及びYはそれぞれ独立に炭素数5〜20の直鎖状又は分岐状のアルキレン基(但し、分岐状の場合、上記炭素数に分岐部分の炭素数は含めない)を示す。]
かかる感光性樹脂組成物は、(A)ポリアミック酸として上記一般式(2)で表される構造を有する化合物を含むことにより、得られる樹脂硬化物の吸水率をより低減させることができる。また、かかる感光性樹脂組成物は、(A)ポリアミック酸として上記一般式(2)で表される構造を有する化合物を含むことにより、露光時の感度に優れ、厚膜で解像度よく像形成を行うことができる。
ここで、上記一般式(4)中の上記Zは、下記一般式(5)、(6)又は(7)で表される2価の有機基であることが好ましい。
Figure 2013178526

[式(5)中、Rは水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のアルケニル基又は炭素数1〜3のアルコキシ基を示し、qは1〜4の整数を示す。なお、qが2以上の場合、複数存在するRは同一でも異なっていてもよい。]
Figure 2013178526

[式(6)中、Rは水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のアルケニル基又は炭素数1〜3のアルコキシ基を示し、rは1〜4の整数を示す。なお、rが2以上の場合、複数存在するRは同一でも異なっていてもよい。]
Figure 2013178526

[式(7)中、Rは水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のアルケニル基又は炭素数1〜3のアルコキシ基を示し、sは1〜4の整数を示す。なお、sが2以上の場合、複数存在するRは同一でも異なっていてもよい。]
かかる感光性樹脂組成物は、(A)ポリアミック酸として上記一般式(5)、(6)及び(7)で表される構造のうちの少なくとも一種の構造を有する化合物を含むことにより、得られる樹脂硬化物の吸水率をより低減させることができる。
本発明はまた、上記本発明の感光性樹脂組成物からなる樹脂硬化物を備えるSAWフィルタを提供する。かかるSAWフィルタは、その構成材料である樹脂硬化物が上記本発明の感光性樹脂組成物からなるものであるため、吸水率が十分に低く、優れた耐湿熱性を得ることができ、電極の腐食を十分に抑制することができる。
本発明は更に、基板上に、上記本発明の感光性樹脂組成物からなる感光性樹脂組成物層を積層し、該感光性樹脂組成物層の所定部分に活性光線を照射して露光部を光硬化せしめ、次いで、上記感光性樹脂組成物層の上記露光部以外の部分を有機溶剤系の現像液を用いて除去した後、上記感光性樹脂組成物層の上記露光部を熱硬化させて樹脂硬化物を形成する工程を含む、SAWフィルタの製造方法を提供する。かかる製造方法によれば、上記本発明の感光性樹脂組成物を用いているため、有機溶媒を用いた溶剤現像が可能であり、厚膜で解像度よく像形成が可能であるとともに、比較的低温(例えば200℃以下)で硬化して樹脂硬化物を形成することができる。そのため、SAWフィルタの製造工程での電極の腐食や帯電を十分に抑制することができる。
本発明はまた、基板上に、第1の感光性樹脂組成物を用いて感光性樹脂組成物層を形成する工程と、上記感光性樹脂組成物層の所定部分に活性光線を照射し、露光部を光硬化させる工程と、上記感光性樹脂組成物層の上記露光部以外の部分を除去することにより、パターンを形成する工程と、上記感光性樹脂組成物層の上記露光部を熱硬化させ、樹脂硬化物からなるリブ部を形成する工程と、フィルム化した第2の感光性樹脂組成物を上記リブ部の上部に貼り付けることにより中空構造を形成する工程と、を有する中空構造体の製造方法を提供する。
上記中空構造を形成する工程において、フィルム化した上記第2の感光性樹脂組成物を上記リブ部の上部に熱圧着により貼り付けてもよい。
上記第1の感光性樹脂組成物と上記第2の感光性樹脂組成物とは、同じ材料であってもよい。
上記基板は、櫛形電極を有する基板であってもよい。
上記中空構造体は、SAWフィルタであってもよい。
上記パターンを形成する工程において、有機溶剤系の現像液を用いてもよい。
上記樹脂硬化物の吸水率は、1.2%以下であることが好ましい。
上記感光性樹脂組成物層を光硬化させた光硬化物の5%重量減少温度は、300℃以上であることが好ましい。
本発明は更に、上記本発明の製造方法によって得られる中空構造体を提供する。
本発明によれば、溶剤現像に対応可能であり、低温硬化可能であり、吸水率が十分に低く、耐湿熱性に優れ、厚膜で解像度よく像形成が可能な感光性樹脂組成物、それを用いたSAWフィルタ及びその製造方法を提供することができる。また、本発明によれば、感光性樹脂組成物を用いた中空構造体の製造方法及び中空構造体を提供することができる。
本発明のSAWフィルタの好適な一実施形態を示す模式断面図である。 (a)〜(c)は、本発明のSAWフィルタの製造方法の好適な一実施形態を示す工程図である。
以下、場合により図面を参照しつつ本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、以下の説明では、同一又は相当部分には同一符号を付し、重複する説明は省略する。また、図面の寸法比率は図示の比率に限られるものではない。
(感光性樹脂組成物)
本発明の感光性樹脂組成物は、(A)主鎖に炭素数5〜20の直鎖状又は分岐状のアルキレン基(但し、分岐状の場合、上記炭素数に分岐部分の炭素数は含めない)を有するポリアミック酸(以下、場合により「(A)成分」という)と、(B)重合性化合物(以下、場合により「(B)成分」という)と、(C)光重合開始剤(以下、場合により「(C)成分」という)と、を含有し、上記(B)重合性化合物が、分子内に4〜10のエチレン性不飽和基を有する重合性化合物を含むものである。以下、各成分について詳細に説明する。
(A)ポリアミック酸は、例えば、(a1)テトラカルボン酸二無水物成分と(a2)ジアミン成分とを反応させて得ることができる。
上記(a1)テトラカルボン酸二無水物成分としては、例えば、ピロメリット酸二無水物、1,2,3,4−ベンゼンテトラカルボン酸無水物、1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸無水物、1,2,4,5−シクロペンタンテトラカルボン酸無水物、1,2,4,5−シクロヘキサンテトラカルボン酸無水物、2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物,3,3’,4,4’−ビシクロヘキシルテトラカルボン酸無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸無水物、2,3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルエーテルテトラカルボン酸無水物(4,4’−オキシジフタル酸二無水物)、2,3’,4,4’−ジフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、2,3,3’,4’−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸無水物、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,2,5,6−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7−アントラセンテトラカルボン酸二無水物、1,2,7,8−フェナンスレンテトラカルボン酸二無水物、3,4,9,10−ペリレンテトラカルボン酸二無水物、2,2−ビス[4−(3,4−ジカルボキシベンゾイルオキシ)フェニル]ノナン二無水物、2,2−ビス[4−(3,4−ジカルボキシベンゾイルオキシ)フェニル]デカン二無水物、2,2−ビス[4−(3,4−ジカルボキシベンゾイルオキシ)フェニル]トリデカン二無水物、2,2−ビス[4−(3,4−ジカルボキシベンゾイルオキシ)フェニル]テトラデカン二無水物、2,2−ビス[4−(3,4−ジカルボキシベンゾイルオキシ)フェニル]ペンタデカン二無水物、1,1−ビス[4−(3,4−ジカルボキシベンゾイルオキシ)フェニル]−2−メチルデカン二無水物、1,1−ビス[4−(3,4−ジカルボキシベンゾイルオキシ)フェニル]−2−メチルオクタン二無水物、1,1−ビス[4−(3,4−ジカルボキシベンゾイルオキシ)フェニル]−2−エチルペンタデカン二無水物、2,2−ビス[3,5−ジメチル−4−(3,4−ジカルボキシベンゾイルオキシ)フェニル]ドデカン二無水物、2,2−ビス[3,5−ジメチル−4−(3,4−ジカルボキシベンゾイルオキシ)フェニル]デカン二無水物、2,2−ビス[3,5−ジメチル−4−(3,4−ジカルボキシベンゾイルオキシ)フェニル]トリデカン二無水物、2,2−ビス[3,5−ジエチル−4−(3,4−ジカルボキシベンゾイルオキシ)フェニル]ペンタデカン二無水物、1,1−ビス[4−(3,4−ジカルボキシベンゾイルオキシ)フェニル]シクロヘキサン二無水物、1,1−ビス[4−(3,4−ジカルボキシベンゾイルオキシ)フェニル]プロピルシクロヘキサン二無水物、1,1−ビス[4−(3,4−ジカルボキシベンゾイルオキシ)フェニル]ヘプチルシクロヘキサン二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)テトラフルオロプロパン二無水物、4,4−ビス(2,3−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルメタン二無水物等が挙げられる。これらは単独又は2種以上併用して使用される。
上記(a2)ジアミン成分としては、例えば、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’,5,5’−テトラメチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’,5,5’−テトラエチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジメチル−5,5’−ジエチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−チレンビス(シクロヘキシルアミン)、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノジシクロヘキシルメタン、3,3’−ジメトキシ−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’ジエトキシ−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、ビス(3−アミノフェニル)エーテル、ビス(4−アミノフェニル)エーテル、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,3’−ジエチル−4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,3’−ジメトキシ−4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]エーテル、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、3,3’−ジエチル−4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、3,3’−ジメトキシ−4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、3,3’−ジエトキシ−4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノジフェニルプロパン、3,3’−ジエチル−4,4’−ジアミノジフェニルプロパン、3,3’−ジメトキシ−4,4’−ジアミノジフェニルプロパン、3,3’−ジエトキシ−4,4’−ジアミノジフェニルプロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、1,3−ビス(4−アミノフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)プロパン、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、3,3’−ジエチル−4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、3,3’−ジメトキシ−4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、3,3’−ジエトキシ−4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、2,2’−ジアミノジエチルスルフィド、2,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、m−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,2−ビス(4−アミノフェニル)エタン、1,2−ビス(4−アミノフェニル)エタン、ビス(3−アミノフェニル)スルホン、ビス(4−アミノフェニル)スルホン、o−トルイジンスルホン、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、4,4’−ジアミノジベンジルスルホキシド、ビス(4−アミノフェニル)ジエチルシラン、ビス(4−アミノフェニル)ジフェニルシラン、ビス(4−アミノフェニル)エチルホスフィンオキシド、ビス(4−アミノフェニル)フェニルホスフィンオキシド、ビス(4−アミノフェニル)−N−フェニルアミン、ビス(4−アミノフェニル)−N−メチルアミン、1,2−ジアミノナフタレン、1,4−ジアミノナフタレン、1,5−ジアミノナフタレン、1,6−ジアミノナフタレン、1,7−ジアミノナフタレン、1,8−ジアミノナフタレン、2,3−ジアミノナフタレン、2,6−ジアミノナフタレン、1,4−ジアミノ−2−メチルナフタレン、1,5−ジアミノ−2−メチルナフタレン、1,3−ジアミノ−2−フェニルナフタレン、9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン、4,4’−ジアミノビフェニル、3,3’−ジアミノビフェニル、3,3’−ジヒドロキシ−4,4’−ジアミノビフェニル、3,3’−ジクロロ−4,4’−ジアミノビフェニル、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、3,4’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、3,3’−ジメトキシ−4,4’−ジアミノビフェニル、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、2,4−ジアミノトルエン、2,5−ジアミノトルエン、2,6−ジアミノトルエン、3,5−ジアミノトルエン、1−メトキシ−2,4−ジアミノベンゼン、1,3−ジアミノ−4,6−ジメチルベンゼン、1,4−ジアミノ−2,5−ジメチルベンゼン、1,4−ジアミノ−2−メトキシ−5−メチルベンゼン、1,4−ジアミノ−2,3,5,6−テトラメチルベンゼン、1,4−ビス(2−メトキシ−4−アミノペンチル)ベンゼン、1,4−ビス(1,1−ジメチル−5−アミノペンチル)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、o−キシレンジアミン、m−キシレンジアミン、p−キシレンジアミン、9,10−ビス(4−アミノフェニル)アントラセン、3,3’−ジアミノベンゾフェノン、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、4−アミノフェニル−3−アミノベンゾエート、2,2−ビス(4−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(3−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2−(3−アミノフェニル)−2−(4−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、1,1−ビス(4−アミノフェニル)−1−フェニル−2,2,2−トリフルオロエタン、1,1−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]−1−フェニル−2,2,2−トリフルオロエタン、1,3−ビス(3−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、1,3−ビス(3−アミノフェニル)デカフルオロプロパン、2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(3−アミノ−4−メチルフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(5−アミノ−4−メチルフェニル)ヘキサフルオロプロパン、1,4−ビス(3−アミノフェニル)ブタ−1−エン−3−イン等が挙げられる。これらは単独又は2種以上併用して使用される。
ここで、(a1)テトラカルボン酸二無水物成分及び(a2)ジアミン成分のどちらか若しくは両方の主鎖に炭素数5〜20の直鎖状又は分岐状のアルキレン基(但し、分岐状の場合、上記炭素数に分岐部分の炭素数は含めない)を含有させれば、低温硬化性、可撓性、低吸水率、低反り性及び熱圧着時のレジスト濡れ性を実現することができる。
また、(a1)テトラカルボン酸二無水物成分及び(a2)ジアミン成分のどちらか若しくは両方の主鎖に脂環式の炭化水素基及び/又は芳香族基を含有させれば、耐熱性をより向上させることができる。
また、(A)ポリアミック酸は、ポリアルキレンオキシ基等のエーテル結合を含まないことが好ましい。エーテル結合は、高温で結合が壊れやすく、そのため、樹脂の耐熱性(5%重量減少温度)が低下する要因となる。さらに、エーテル結合を有すると、吸水し易く、絶縁特性(HAST)等に悪影響を及ぼす要因ともなる。このようなエーテル結合を含まない炭素数5〜20の直鎖状又は分岐状のアルキレン基(但し、分岐状の場合、上記炭素数に分岐部分の炭素数は含めない)を有するポリアミック酸としては、下記一般式(2)で表される構造を有する化合物が挙げられる。
Figure 2013178526
上記式(2)中、Arは4価の有機基を示し、Arは2価の有機基を示す。また、kは1以上の整数を示すが、好ましくは5〜50の整数を示し、より好ましくは10〜40の整数を示す。但し、上記式(2)において、少なくとも、Arが下記一般式(3)で表される4価の有機基を示すか、Arが下記一般式(4)で表わされる2価の有機基を示すことが必要である。なお、Arが下記一般式(3)で表される4価の有機基を示すとともに、Arが下記一般式(4)で表わされる2価の有機基を示すことが特に好ましい。Ar、Ar及びkがそれぞれ上述した好適条件を満たすことで、得られる樹脂硬化物の吸水率をより低減することができる。
Figure 2013178526
上記式(3)中、Xは炭素数5〜20の直鎖状又は分岐状のアルキレン基(但し、分岐状の場合、上記炭素数に分岐部分の炭素数は含めない)を示すが、好ましくは炭素数6〜12の直鎖状又は分岐状のアルキレン基(但し、分岐状の場合、上記炭素数に分岐部分の炭素数は含めない)を示す。また、R及びRはそれぞれ独立に水素原子、炭素数1〜6のアルキル基又は炭素数1〜3のアルコキシ基を示す。更に、m及びnはそれぞれ独立に1〜3の整数を示す。
Figure 2013178526
上記式(4)中、Zは単結合又は2価の有機基を示すが、好ましくは下記一般式(5)、(6)又は(7)で表される2価の有機基を示す。また、Y及びYはそれぞれ独立に炭素数5〜20の直鎖状又は分岐状のアルキレン基(但し、分岐状の場合、上記炭素数に分岐部分の炭素数は含めない)を示すが、好ましくは炭素数6〜16の直鎖状又は分岐状のアルキレン基(但し、分岐状の場合、上記炭素数に分岐部分の炭素数は含めない)を示す。Zが下記一般式(5)、(6)及び/又は(7)で表される基である上記一般式(4)の構造を有するポリアミック酸を用いることにより、低温硬化性(例えば200℃以下)、低反り性、耐熱性(5%重量減少温度)、絶縁性及び低吸水性を向上させることができる。
Figure 2013178526
上記式(5)中、Rは水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のアルケニル基又は炭素数1〜3のアルコキシ基を示す。また、qは1〜4の整数を示す。なお、qが2以上の場合、複数存在するRは同一でも異なっていてもよい。
Figure 2013178526
上記式(6)中、Rは水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のアルケニル基又は炭素数1〜3のアルコキシ基を示す。また、rは1〜4の整数を示す。なお、rが2以上の場合、複数存在するRは同一でも異なっていてもよい。
Figure 2013178526
上記式(7)中、Rは水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のアルケニル基又は炭素数1〜3のアルコキシ基を示す。また、sは1〜4の整数を示す。なお、sが2以上の場合、複数存在するRは同一でも異なっていてもよい。
また、上述した主鎖に炭素数5〜20の直鎖状又は分岐状のアルキレン基(但し、分岐状の場合、上記炭素数に分岐部分の炭素数は含めない)を有する(a1)テトラカルボン酸二無水物成分としては、下記一般式(8)で表される化合物が挙げられる。
Figure 2013178526

[式(8)中、Xは炭素数5〜20の直鎖状又は分岐状のアルキレン基(但し、分岐状の場合、上記炭素数に分岐部分の炭素数は含めない)を示す。]
上記一般式(8)で表される化合物としては、例えば、ペンタメチレンビストリメリテート二無水物、ヘキサメチレンビストリメリテート二無水物、ヘプタメチレンビストリメリテート二無水物、オクタメチレンビストリメリテート二無水物、ノナメチレンビストリメリテート二無水物、デカメチレンビストリメリテート二無水物、ドデカメチレンビストリメリテート二無水物等が挙げられる。これらは、単独で又は2種を組み合わせて使用される。
上述した主鎖に炭素数5〜20の直鎖状又は分岐状のアルキレン基(但し、分岐状の場合、上記炭素数に分岐部分の炭素数は含めない)を有する(a2)ジアミン成分としては、例えば、ヘキサメチレンジアミン、ヘプタメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、デカメチレンジアミン、2,11−ジアミノドデカン、1,12−ジアミノオクタデカン、2,5−ジメチルヘキサメチレンジアミン、3−メチルヘプタメチレンジアミン、2,5−ジメチルヘプタメチレンジアミン、4,4−ジメチルヘプタメチレンジアミン、5−メチルノナメチレンジアミン、3−メトキシヘキサメチレンジアミン等の脂肪族ジアミン、下記一般式(9)、(10)又は(11)で表される化合物などが挙げられる。
Figure 2013178526

[式(9)中、Y及びYはそれぞれ独立に炭素数5〜20の直鎖状又は分岐状のアルキレン基(但し、分岐状の場合、上記炭素数に分岐部分の炭素数は含めない)を示し、Rは水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のアルケニル基又は炭素数1〜3のアルコキシ基を示し、qは1〜4の整数を示す。なお、qが2以上の場合、複数存在するRは同一でも異なっていてもよい。]
Figure 2013178526

[式(10)中、Y及びYはそれぞれ独立に炭素数5〜20の直鎖状又は分岐状のアルキレン基(但し、分岐状の場合、上記炭素数に分岐部分の炭素数は含めない)を示し、Rは水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のアルケニル基又は炭素数1〜3のアルコキシ基を示し、rは1〜4の整数を示す。なお、rが2以上の場合、複数存在するRは同一でも異なっていてもよい。]
Figure 2013178526

[式(11)中、Y及びYはそれぞれ独立に炭素数5〜20の直鎖状又は分岐状のアルキレン基(但し、分岐状の場合、上記炭素数に分岐部分の炭素数は含めない)を示し、Rは水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のアルケニル基又は炭素数1〜3のアルコキシ基を示し、sは1〜4の整数を示す。なお、sが2以上の場合、複数存在するRは同一でも異なっていてもよい。]
上記一般式(10)で表される化合物としては、[3,4−ビス(1−アミノヘプチル)−6−ヘキシル−5−(1−オクテニル)]シクロヘキセン(商品名「Versamine551」、コグニスジャパン(株)社製)が市販品として入手可能である。これらは、単独で又は2種以上を組み合わせて使用される。
本発明に用いる(A)ポリアミック酸は、低温硬化性(例えば200℃以下)、低吸水性及び耐湿熱性の向上の観点から、上述のように、(a1)テトラカルボン酸二無水物成分と(a2)ジアミン成分との反応によって得られる、主鎖に炭素数5〜20の直鎖状又は分岐状のアルキレン基(但し、分岐状の場合、上記炭素数に分岐部分の炭素数は含めない)を有する化合物であることが好ましく、中でも、炭素数6〜16の直鎖状又は分岐状のアルキレン基(但し、分岐状の場合、上記炭素数に分岐部分の炭素数は含めない)を有する化合物であることがより好ましく、炭素数7〜14の直鎖状又は分岐状のアルキレン基(但し、分岐状の場合、上記炭素数に分岐部分の炭素数は含めない)を有する化合物であることが特に好ましい。炭素数が5未満の直鎖状又は分岐状のアルキレン基(但し、分岐状の場合、上記炭素数に分岐部分の炭素数は含めない)を有する場合では、得られる樹脂硬化物の吸水率、弾性率が上昇する傾向があり、炭素数が20を超える直鎖状又は分岐状のアルキレン基(但し、分岐状の場合、上記炭素数に分岐部分の炭素数は含めない)を有する場合では、得られる樹脂硬化物の耐熱性等が低下する傾向がある。
本発明に用いる(A)ポリアミック酸は、例えば、ほぼ等モルの(a1)テトラカルボン酸二無水物成分と(a2)ジアミン成分とを有機溶媒中で80℃以下、好ましくは60℃以下の反応温度にて1〜12時間付加重合反応させて得られる。
上記(a1)テトラカルボン酸二無水物成分と、上記(a2)ジアミン成分とを反応させる際の溶媒としては、例えば、含窒素系溶剤類(N,N’−ジメチルスルホキシド、N,N’−ジメチルホルムアミド、N,N’−ジエチルホルムアミド、N,N’−ジメチルアセトアミド、N,N’−ジエチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、ヘキサメチレンホスホアミドN−メチルピロリドン等)、ラクトン類(γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、γ−カプロラクトン、ε−カプロラクトン、α−アセチル−γ−ブチロラクトン等)、脂環式ケトン類(シクロヘキサノン、4−メチルシクロヘキサノン等)、エーテル類(3−メチル−3−メトキシブチルアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテルアセテート等)などが挙げられる。これらの中でも、溶解性及び反応性の観点から、含窒素系溶剤類が好ましく、N−メチル−2−ピロリドンが特に好ましい。これらは、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用される。
上記(a1)テトラカルボン酸二無水物成分と(a2)ジアミン成分との組み合わせは、最終硬化後のポリイミド樹脂膜(樹脂硬化物)の耐熱性、機械的特性、電気的特性を考慮して選択することが好ましい。
また、(A)ポリアミック酸の接着性を向上させるために、(A)ポリアミック酸にアミノベンズイミダゾール又はその誘導体を導入することが好ましい。アミノベンズイミダゾール及びその誘導体としては、例えば、2−アミノベンズイミダゾール、2−アミノ−6−メチル−ベンズイミダゾール、2−アミノ−6−エチル−ベンズイミダゾール、2−アミノ−6−ブチル−ベンズイミダゾール、2−アミノ−6−ニトロ−ベンズイミダゾール等が挙げられる。これらの中でも、接着性の観点から、2−アミノ−ベンズイミダゾールが好ましい。
アミノベンズイミダゾール又はその誘導体を導入する際の導入量は、(A)ポリアミック酸100モルに対して0.1〜10モルであることが好ましく、1〜5モルであることがより好ましく、2〜3モルであることが特に好ましい。アミノベンズイミダゾール又はその誘導体の導入量が0.1モル未満では接着性の向上効果が不十分となる傾向があり、10モルを超えると現像性及び保存安定性が低下する傾向がある。
(A)成分であるポリアミック酸の重量平均分子量は、10000〜60000であることが好ましく、20000〜50000であることがより好ましい。重量平均分子量が10000未満では硬化膜が脆くなる傾向があり、60000を超えると現像性が低下する傾向がある。
感光性樹脂組成物において、(A)ポリアミック酸の含有量は、(A)成分及び(B)成分の合計量100質量部に対して、20〜80質量部であることが好ましく、30〜60質量部であることがより好ましい。この含有量が20質量部未満であると、含有量が上記範囲内にある場合と比較して、現像性が低下する傾向にあり、含有量が80質量部を超えると、含有量が上記範囲内にある場合と比較して、解像度が低下したり、低温でのイミド化率が低下する傾向にある。
また、本発明の感光性樹脂組成物において、(B)重合性化合物は、分子内に4〜10のエチレン性不飽和基を有する重合性化合物を含むものである。分子内に4〜10のエチレン性不飽和基を有する重合性化合物は、分子内のエチレン性不飽和基の数が4〜6であることが好ましい。この条件を満たすことにより、(A)ポリアミック酸との相溶性及び現像性のバランスが良くなる傾向がある。なお、分子内のエチレン性不飽和基の数が4未満であると、現像性が低下する傾向があり、10を超えると、(A)ポリアミック酸との相溶性が低下する傾向がある。
分子内に4〜10のエチレン性不飽和基を有する重合性化合物としては、分子量が1000以下である下記一般式(1)で表される化合物が好ましい。
Figure 2013178526

[式(1)中、Rはp価の有機基を示し、R’はそれぞれ独立に水素原子又はメチル基を示し、pは4〜6の整数を示す。]
(B)成分である分子内に4〜10のエチレン性不飽和基を有する重合性化合物としては、例えば、テトラメチロールメタンテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらは1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用される。
また、分子内に4〜10のエチレン性不飽和基を有する重合性化合物としては、耐溶剤性をより向上できる観点から、下記一般式(12)で表されるエチレン性不飽和結合を5つ以上有する光重合性化合物が好ましい。
Figure 2013178526
上記式(12)中、Rは水素原子又は−CO−CR=CHを示し、R、R及びRはそれぞれ独立に水素原子又はメチル基を示す。なお、上記式(12)中のR、R及びRが水素原子であるジペンタエリスリトールペンタ及びヘキサアクリレートは、DPE−6A(共栄社化学(株)製、商品名)及びKAYARAD−DPHA(日本化薬(株)製、商品名)として商業的に入手可能である。
上述した分子内に4〜10のエチレン性不飽和基を有する重合性化合物は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
また、(B)重合性化合物は、上述した分子内に4〜10のエチレン性不飽和基を有する重合性化合物の他に、更にビニル基含有エポキシ樹脂を含むことが好ましい。ビニル基含有エポキシ樹脂は、ノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、及びサリチルアルデヒド型エポキシ樹脂からなる群より選択される少なくとも1種類のエポキシ樹脂(a)と、ビニル基含有モノカルボン酸(b)と、を反応させて得られる樹脂(B’)、及び/又は、樹脂(B’)に飽和又は不飽和基含有多塩基酸無水物(c)を反応させて得られる樹脂(B”)である。
樹脂(B”)においては、エポキシ樹脂(a)とビニル基含有モノカルボン酸(b)との反応で、エポキシ樹脂(a)のエポキシ基とビニル基含有モノカルボン酸(b)のカルボキシル基との付加反応により水酸基が形成され、得られた樹脂と飽和又は不飽和基含有多塩基酸無水物(c)との反応で、生成した水酸基(エポキシ樹脂(a)中にある元来ある水酸基も含む)と飽和又は不飽和基含有多塩基酸無水物(c)の酸無水物基とが半エステル化反応しているものと推察される。
ノボラック型エポキシ樹脂としては、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂があり、公知の方法でフェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂にエピクロルヒドリンを反応させることで得られる。
また、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂は、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂の水酸基とエピクロルヒドリンを反応させることにより得ることができる。
水酸基とエピクロルヒドリンとの反応を促進するためには、反応温度50〜120℃でアルカリ金属水酸化物存在下、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド等の極性有機溶剤中で反応を行うのが好ましい。反応温度が50℃未満では反応が遅くなり、反応温度が120℃では副反応が多く生じてしまい好ましくない。
サリチルアルデヒド型エポキシ樹脂としては、具体的にはFAE−2500、EPPN−501H、EPPN−502H(以上、日本化薬(株)製、商品名)等が挙げられる。
ビニル基含有モノカルボン酸(b)としては、例えば、アクリル酸、アクリル酸の二量体、メタクリル酸、β−フルフリルアクリル酸、β−スチリルアクリル酸、桂皮酸、クロトン酸、α−シアノ桂皮酸等が挙げられ、また、水酸基含有アクリレートと飽和あるいは不飽和二塩基酸無水物との反応生成物である半エステル化合物、ビニル基含有モノグリシジルエーテル若しくはビニル基含有モノグリシジルエステルと飽和又は不飽和二塩基酸無水物との反応生成物である半エステル化合物が挙げられる。これら半エステル化合物は、水酸基含有アクリレート、ビニル基含有モノグリシジルエーテル若しくはビニル基含有モノグリシジルエステルと飽和あるいは不飽和二塩基酸無水物とを等モル比で反応させることで得られる。これらビニル基含有モノカルボン酸(b)は、単独で又は二種類以上併用して用いることができる。
ビニル基含有モノカルボン酸(b)の一例である上記半エステル化合物の合成に用いられる水酸基含有アクリレート、ビニル基含有モノグリシジルエーテル、ビニル基含有モノグリシジルエステルとしては、例えば、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレート、ヒドロキシブチルアクリレート、ヒドロキシブチルメタクリレート、ポリエチレングリコールモノアクリレート、ポリエチレングリコールモノメタクリレート、トリメチロールプロパンジアクリレート、トリメチロールプロパンジメタクリレート、ペンタエリスルトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ペンタエリスリトールペンタメタクリレート、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート等が挙げられる。
上記半エステル化合物の合成に用いられる飽和あるいは不飽和二塩基酸無水物としては、例えば、無水コハク酸、無水マレイン酸、テトラヒドロ無水フタル酸、無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、エチルテトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、エチルヘキサヒドロ無水フタル酸、無水イタコン酸等が挙げられる。
エポキシ樹脂(a)とビニル基含有モノカルボン酸(b)との反応において、エポキシ樹脂(a)のエポキシ基1当量に対して、ビニル基含有モノカルボン酸(b)が0.8〜1.05当量となる比率で反応させることが好ましく、更に好ましくは0.9〜1.0当量である。
エポキシ樹脂(a)とビニル基含有モノカルボン酸(b)は有機溶剤に溶かして反応させられ、有機溶剤としては、例えば、エチルメチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、トルエン、キシレン、テトラメチルベンゼン等の芳香族炭化水素類、メチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、メチルカルビトール、ブチルカルビトール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールジエチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル等のグリコールエーテル類、酢酸エチル、酢酸ブチル、ブチルセロソルブアセテート、カルビトールアセテート等のエステル類、オクタン、デカンなどの脂肪族炭化水素類、石油エーテル、石油ナフサ、水添石油ナフサ、ソルベントナフサ等の石油系溶剤等が挙げられる。
更に、反応を促進させるために触媒を用いるのが好ましい。用いられる触媒としては、例えば、トリエチルアミン、ベンジルメチルアミン、メチルトリエチルアンモニウムクロライド、ベンジルトリメチルアンモニウムクロライド、ベンジルトリメチルアンモニウムブロマイド、ベンジルトリメチルメチルアンモニウムアイオダイド、トリフェニルホスフィン等が挙げられる。触媒の使用量は、エポキシ樹脂(a)とビニル基含有モノカルボン酸(b)の合計100質量部に対して、好ましくは0.1〜10質量部である。
また、反応中の重合を防止する目的で、重合防止剤を使用するのが好ましい。重合禁止剤としては、例えば、ハイドロキノン、メチルハイドロキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル、カテコール、ピロガロール等が挙げられ、その使用量は、エポキシ樹脂(a)とビニル基含有モノカルボン酸(b)の合計100質量部に対して、好ましくは0.01〜1質量部である。反応温度は、好ましくは60〜150℃、更に好ましくは80〜120℃である。
必要に応じてビニル基含有モノカルボン酸(b)と、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸無水物、ビフェニルテトラカルボン酸無水物等の多塩基酸無水物とを併用することができる。
飽和若しくは不飽和基含有多塩基酸無水物(c)としては、例えば、無水コハク酸、無水マレイン酸、テトラヒドロ無水フタル酸、無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、エチルテトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、エチルヘキサヒドロ無水フタル酸、無水イタコン酸等が挙げられる。
反応生成物(B’)と飽和若しくは不飽和基含有多塩基酸無水物(c)との反応において、反応生成物(B’)中の水酸基1当量に対して、飽和若しくは不飽和基含有多塩基酸無水物(c)を0.1〜1.0当量反応させることで、ビニル基含有エポキシ樹脂の酸価を調整できる。ビニル基含有エポキシ樹脂の酸価は0〜150mgKOH/gであることが好ましく、0〜80mgKOH/gであることがよりに好ましく、0〜60mgKOH/gであることが特に好ましい。酸価が150mgKOH/gを超えると現像時に膜が膨潤する又は膜の吸水率が増加する傾向がある。反応生成物(B’)と飽和若しくは不飽和基含有多塩基酸無水物(c)との反応温度は、60〜120℃が好ましい。
また、必要に応じて、エポキシ樹脂(a)として、例えば、水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂を、更に、酸変性ビニル基含有エポキシ樹脂として、スチレン−無水マレイン酸共重合体のヒドロキシエチルアクリレート変性物あるいはスチレン−無水マレイン酸共重合体のヒドロキシエチルアクリレート変性物等のスチレン−マレイン酸系樹脂を一部併用することもできる。
入手可能なビニル基含有エポキシ樹脂としては、例えばヒタロイド7660、ヒタロイド7661(以上、日立化成工業株式会社製、商品名)、KAYARAD CCR−1159、KAYARAD PCR−1169H、KAYARAD TCR−1310、KAYARAD TCR−1310H(以上、日本化薬株式会社製、商品名)などが挙げられる。これらの中でも、(A)ポリアミック酸との相溶性、現像液への溶解性、及び硬化膜の耐熱性の観点から、ビニル基を含有するノボラック型エポキシ樹脂であるヒタロイド7660、ヒタロイド7661(以上、日立化成工業株式会社製、商品名)が好ましい。これらは1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いられる。
ビニル基含有エポキシ樹脂を有する光重合性化合物の重量平均分子量は、1000〜20000であることが好ましく、1000〜10000であることがより好ましく、2000〜8000であることが特に好ましい。重量平均分子量が上記範囲内であることにより、(A)ポリアミック酸との相溶性、有機溶剤系現像液への溶解性、及び得られる樹脂硬化物の耐熱性、を高水準で達成することができる傾向がある。
更に、(B)重合性化合物は、上述した分子内に4〜10のエチレン性不飽和基を有する重合性化合物及びビニル基含有エポキシ樹脂以外の他の重合性化合物を含有していてもよい。他の重合性化合物としては、公知の重合性化合物を特に制限なく使用することができるが、例えば、多価アルコールにα,β−不飽和カルボン酸を反応させて得られる化合物、ビスフェノールA系(メタ)アクリレート化合物、グリシジル基含有化合物にα,β−不飽和カルボン酸を反応させて得られる化合物、ノニルフェノキシポリエチレンオキシアクリレート、フタル酸系化合物、(メタ)アクリル酸アルキルエステル等が挙げられる。これらは1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用される。
上記多価アルコールにα,β−不飽和カルボン酸を反応させて得られる化合物としては、例えば、エチレン基の数が2〜14であるポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレン基の数が2〜14であるポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、エチレン基の数が2〜14でありプロピレン基の数が2〜14であるポリエチレン・ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、EO変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、PO変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、EO,PO変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタンテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらは1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用される。ここで、「EO」とはエチレンオキサイドを示し、EO変性された化合物はエチレンオキサイド基のブロック構造を有するものを示す。また、「PO」とはプロピレンオキサイドを示し、PO変性された化合物はプロピレンオキサイド基のブロック構造を有するものを示す。
他の光重合性化合物の具体例としては、M−203、M−305(以上、東亜合成社製、商品名)、FA−129(日立化成工業社製、商品名)等が挙げられる。
感光性樹脂組成物において、(B)重合性化合物の含有量は、(A)成分及び(B)成分の合計量100質量部に対して、20〜80質量部であることが好ましく、30〜70質量部であることがより好ましく、35〜65質量部であることが更に好ましく、40〜60質量部であることが特に好ましい。この含有量が20質量部未満であると、含有量が上記範囲内にある場合と比較して、解像度が低下したり、耐湿熱性が低下する傾向にあり、含有量が80質量部を超えると、含有量が上記範囲内にある場合と比較して、現像性が低下する傾向にある。
また、感光性樹脂組成物において、分子内に4〜10のエチレン性不飽和基を有する重合性化合物の含有量は、(A)成分及び(B)成分の合計量100質量部に対して、20〜80質量部であることが好ましく、40〜60質量部であることがより好ましい。この含有量が20質量部未満であると、含有量が上記範囲内にある場合と比較して、現像性が低下する傾向にあり、80質量部を超えると、含有量が上記範囲内にある場合と比較して、耐湿熱性が低下する傾向にある。
更に、感光性樹脂組成物において、ビニル基含有エポキシ樹脂の含有量は、(A)成分及び(B)成分の合計量100質量部に対して、20〜50質量部であることが好ましく、30〜40質量部であることがより好ましい。この含有量が20質量部未満であると、含有量が上記範囲内にある場合と比較して、耐熱性が低下する傾向にあり、50質量部を超えると、含有量が上記範囲内にある場合と比較して、現像性が低下する傾向にある。
本発明における(C)成分である光重合開始剤は、活性光線により遊離ラジカルを生成するものであれば特に制限はなく、例えば、芳香族ケトン、アシルフォスフィンオキサイド、オキシムエステル類、キノン類、ベンゾインエーテル化合物、ベンジル誘導体、2,4,5−トリアリールイミダゾール二量体、アクリジン誘導体、N−フェニルグリシン、N−フェニルグリシン誘導体、クマリン系化合物が挙げられる。
芳香族ケトンとしては、例えば、ベンゾフェノン、N,N’−テトラメチル−4,4’−ジアミノベンゾフェノン(すなわちミヒラーケトン)、N,N’−テトラエチル−4,4’−ジアミノベンゾフェノン、4−メトキシ−4’−ジメチルアミノベンゾフェノン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタン−1−オン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノ−プロパン−1−オンが挙げられる。
アシルフォスフィンオキサイドとしては、例えば、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキシド、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−フォスフィンオキシドが挙げられる。
オキシムエステル類としては、例えば、1,2−オクタンジオン,1−[4−(フェニルチオ)−,2−(O−ベンゾイルオキシム)]が挙げられる。
キノン類としては、例えば、2−エチルアントラキノン、フェナントレンキノン、2−tert−ブチルアントラキノン、オクタメチルアントラキノン、1,2−ベンズアントラキノン、2,3−ベンズアントラキノン、2−フェニルアントラキノン、2,3−ジフェニルアントラキノン、1−クロロアントラキノン、2−メチルアントラキノン、1,4−ナフトキノン、9,10−フェナントラキノン、2−メチル−1,4−ナフトキノン、2,3−ジメチルアントラキノンが挙げられる。
ベンゾインエーテル化合物としては、例えば、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインフェニルエーテルが挙げられる。
ベンジル誘導体としては、例えば、ベンゾイン、メチルベンゾイン、エチルベンゾイン等のベンゾイン化合物、ベンジルジメチルケタールが挙げられる。
2,4,5−トリアリールイミダゾール二量体としては、例えば、2−(2−クロロフェニル)−1−〔2−(2−クロロフェニル)−4,5−ジフェニル−1,3−ジアゾール−2−イル〕−4,5−ジフェニルイミダゾール等の2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジ(メトキシフェニル)イミダゾール二量体、2−(o−フルオロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(o−メトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(p−メトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体が挙げられる。
アクリジン誘導体としては、例えば、9−フェニルアクリジン、1,7−ビス(9,9’−アクリジニル)ヘプタンが挙げられる。
(C)光重合開始剤は、常法によって合成してもよく、市販のものを入手してもよい。入手可能な(C)光重合開始剤としては、例えば、イルガキュア−369、イルガキュア−907、イルガキュア−651、イルガキュア−819、イルガキュア−OXE−01(以上、いずれもチバスペシャリティーケミカルズ(株)製、商品名)等が挙げられる。
上述した(C)光重合開始剤の中でも、特に光硬化性の向上や高感度化の観点から、アシルフォスフィンオキサイドが好ましい。アシルフォスフィンオキサイドとしては、下記一般式(13)で表される化合物が好ましい。
Figure 2013178526
上記式(13)中、R11、R12及びR13はそれぞれ独立に1価の有機基を示し、h、i及びjはそれぞれ独立に0〜5の整数を示す。ここで、R11、R12及びR13で示される1価の有機基としては、炭化水素基が好ましく、炭素数1〜20の炭化水素基がより好ましい。かかる炭化水素基としては、アルキル基が好ましく、炭素数1〜20のアルキル基がより好ましく、炭素数1〜5のアルキル基がより好ましい。また、h、i及びjの組み合わせとしては、hが0、iが0、jが3であることが好ましい。
上記一般式(13)で表される化合物としては、例えば、イルガキュア−819(チバスペシャリティーケミカルズ(株)製、商品名)として商業的に入手可能である。
上記(C)光重合開始剤は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。本発明において、レジスト形状をも良好にできる観点からは、アシルフォスフィンオキサイドと、オキシムエステル類とを併用することが特に好ましい。
感光性樹脂組成物において、(C)光重合開始剤の含有量は、感光性樹脂組成物の固形分全量を基準として、1〜20質量%であることが好ましく、1〜10質量%であることがより好ましい。(C)光重合開始剤の含有量が上記範囲を外れると、含有量が上記範囲内である場合と比較して、感光性樹脂組成物の感度が低下したり、相溶性が低下したりする傾向にある。
また、本発明の感光性樹脂組成物には、更に(D)架橋剤を加えてもよい。(D)架橋剤としては、特に制限されないが、エポキシ化合物、ブロック化イソシアネート化合物などが挙げられる。エポキシ化合物として具体的には、HP−4032D(商品名、大日本インキ工業株式会社製、ナフタレン型エポキシ樹脂)が好ましい。また、ブロック化イソシアネート化合物として具体的には、BL−3175(商品名、住化バイエルウレタン株式会社製、ブロック化イソシアネート)が好ましい。これらの架橋剤を添加すると、硬化後の感光性樹脂組成物の基板への密着性をより向上させることができる。これらの(D)架橋剤は、1種を単独で又は2種以上を混合して使用される。
感光性樹脂組成物に(D)架橋剤を含有させる場合、その含有量は、(A)ポリアミック酸100質量部に対して、10〜50質量部であることが好ましく、20〜40質量部であることがより好ましい。(D)架橋剤の含有量が上記範囲を外れると、含有量が上記範囲内である場合と比較して、キュア(硬化)後の硬化膜が脆くなったり、解像度が低下する傾向がある。
また、本発明の感光性樹脂組成物には、更に(E)増感剤を加えることができる。(E)増感剤としては、例えば、ミヒラーズケトン、4,4−ジエチルアミノベンゾフェノン、3,3’−カルボニルビス(ジエチルアミノクマリン)などが挙げられる。(E)増感剤としては、感光性樹脂組成物の感度、及び、溶剤との相溶性等の観点から、クマリン類が好ましく、クマリン102(商品名、アクロス社製)が特に好ましい。これらの(E)増感剤は、1種を単独で又は2種以上を混合して使用される。
感光性樹脂組成物における(E)増感剤の含有量は、感光性樹脂組成物の固形分全量を基準として0.1〜1質量%であることが好ましい。(E)増感色素の含有量が上記範囲を外れると、含有量が上記範囲内である場合と比較して、感光性樹脂組成物の感度が低下したり、溶剤との相溶性が低下する傾向がある。
本発明の感光性樹脂組成物は、上述した(A)ポリアミック酸、(B)重合性化合物、(C)光重合開始剤、必要に応じて用いられる(D)架橋剤、並びに、必要に応じて用いられる(E)増感剤を、溶媒とともに混合することにより得ることができる。
このときに用いられる溶媒としては特に制限されないが、例えば、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートなどを主成分とする極性溶媒や、γ−ブチロラクトンなどの溶媒が挙げられる。これらの溶媒は1種を単独で又は2種以上の混合物として用いられる。
また、感光性樹脂組成物には、必要に応じて、感光性樹脂組成物と基板との接着性を向上させるために、接着助剤を添加してもよい。接着助剤としては、例えば、γ−グリシドキシシラン、アミノシラン、γ−ウレイドシラン等のシランカップリング剤などが挙げられる。
(SAWフィルタ及びその製造方法)
図1は、本発明のSAWフィルタの好適な一実施形態を示す模式断面図である。図1に示すように、SAWフィルタ100は、基板10と、該基板10上に形成された櫛形電極20と、基板10上の櫛形電極20が形成されている部分に中空空間を形成するためのリブ部30及び蓋部40と、櫛形電極20に電気的に接続された配線50と、を備えている。そして、リブ部30及び蓋部40は、本発明の感光性樹脂組成物からなる樹脂硬化物で構成されている。
上記基板10としては、例えば、タンタル酸リチウム基板、ニオブ酸リチウム基板、ガリウム砒素基板等の圧電性基板が用いられる。上記櫛形電極20の材質としては、例えば、アルミニウム等が用いられる。上記配線50の材質としては、例えば、鉛−スズ、はんだ等が用いられる。
次に、上記SAWフィルタ100の製造方法について説明する。図2(a)〜(c)は、本発明のSAWフィルタ100の製造方法の好適な一実施形態を示す工程図である。
まず、図2(a)に示すように、櫛形電極20が形成された基板10上に本発明の感光性樹脂組成物からなる感光性樹脂組成物層32を積層する。
ここで、感光性樹脂組成物の塗布方法としては、スピンナーを用いた回転塗布、スプレー塗布、浸漬塗布、ロールコーティングなどの方法が挙げられるが、これらに限定されない。
また、感光性樹脂組成物をポリエチレンテレフタレートなどの有機フィルムに塗布し、乾燥して溶剤を除去することによりドライフィルムレジストとし、それを基板10に貼り付けることも可能である。
塗布膜厚は、塗布手段、感光性樹脂組成物の固形分濃度及び粘度等によって異なるが、通常、乾燥後の被膜(感光性樹脂組成物層)の膜厚が1〜300μmになるように塗布される。乾燥後の被膜の膜厚が1〜300μmになるようにするためには、本発明の感光性樹脂組成物を溶剤で溶解させ、粘度を1〜50Pa・sに調節することが好ましく、20〜40Pa・sに調節することがより好ましい。また、感光性樹脂組成物の固形分濃度は、20〜70質量%にすることが好ましく、30〜60質量%にすることがより好ましい。得られる被膜の膜厚が300μmを超えると、解像度が低下する傾向がある。
基板10上に感光性樹脂組成物を塗布した後、被膜を乾燥して、感光性樹脂組成物層32を得る。乾燥は、オーブン、ホットプレートなどを使用し、60〜120℃の範囲で1分〜1時間行うことが好ましい。
次に、図2(a)に示すように、必要に応じて所望のパターンを有するネガマスク60を介して感光性樹脂組成物層32の所定部分に活性光線を照射し、露光部を光硬化せしめる。
ここで、露光に用いられる活性光線としては、紫外線、可視光線、電子線、X線などが挙げられる。これらの中でも特に、紫外線、可視光線が好ましい。
次に、図2(b)に示すように、感光性樹脂組成物層32の露光部以外の部分(未露光部)を有機溶剤系の現像液を用いて除去することによりパターンを形成した後、感光性樹脂組成物層32の露光部を熱硬化させ、樹脂硬化物からなるリブ部30を形成する。
ここで、現像液としては、N−メチルピロリドン、エタノール、シクロヘキサノン、シクロペンタノンのような有機溶剤を使用することができる。これらの中でも、アルミ配線の腐食をより確実に防ぐために、感光性樹脂組成物層32の現像には、シクロヘキサノンを用いることが好ましい。
また、現像後、必要に応じて、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコールなどのアルコールや、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテルアセテートなどでリンスすることが好ましい。
現像後の熱硬化(キュア)は、温度を選択して段階的に昇温しながら1〜2時間実施することが好ましい。熱硬化は、120〜200℃で行うことが好ましい。加熱温度を段階的に昇温する場合、例えば、120℃、150℃、180℃で各20分間熱処理した後、200℃で60分間熱処理を行うことが好ましい。
次に、図2(c)に示すように、リブ部30上に蓋部40を設けて中空構造を形成する。以上の工程を経て、SAWフィルタの作製を完了する。
ここで、蓋部40は、例えば、予め本発明の感光性樹脂組成物を成膜してフィルム化したものを用いて作製することができる。すなわち、このフィルム化した感光性樹脂組成物を、リブ30の上部に貼り付けしてから、露光、現像、熱硬化して蓋部40を形成することができる。
また、蓋部40とリブ部30との接着は、例えば、ロールラミネーターを用いた熱圧着による接着等により行うことができる。
なお、蓋部40は、本発明の感光性樹脂組成物以外の材料で構成されたものであってもよい。但し、蓋部40は、耐湿熱性に優れ、且つ、吸水率の低い材料で構成されていることが好ましい。また、蓋部40としては、セラミック等の封止用基板を用いることもできる。本発明の感光性樹脂組成物により形成されたパターンは、少なくともSAWフィルタの中空構造形成用のリブ材に用いられる。
以上のように、本発明によれば、SAWフィルタ製造工程において、溶剤現像液を用いたフォトリソグラフィにより圧電基板に厚膜リブパターンを一括形成でき、さらにその上からフィルム状に形成した感光性樹脂組成物の硬化物(もしくは、セラミック等の封止用基板)で封止することにより、中空構造を形成することができる。また、この中空空間内は周囲の樹脂組成物により防湿されるため、アルミ電極の腐食を抑制することができる。
以下、実施例及び比較例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。また、以下の合成例において、ポリアミック酸の重量平均分子量及び数平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定し、標準ポリスチレンを用いた検量線により換算して求めた。
[ポリアミック酸の合成]
(合成例1)
300mLの4つ口セパラブルフラスコに、バーサミン551(商品名、[3,4−ビス(1−アミノヘプチル)−6−ヘキシル−5−(1−オクテニル)]シクロヘキセン、コグニスジャパン社製)を15.73g(0.028mol)、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン3.54g(0.014mol)、及び、N−メチルピロリドン30.0gを加えて室温で15分間攪拌した。次に、1,10−(デカメチレン)ビス(トリメリテート)二無水物22.24g(0.043mol)、及び、N−メチルピロリドン30.00gの混合溶液を15分間かけて添加した。添加終了後、得られた混合液を60℃まで昇温し、8時間攪拌することで、ポリアミック酸のN−メチルピロリドン溶液を得た。得られた溶液中の固形分は40質量%であり、ポリアミック酸の重量平均分子量は29000、分散度(重量平均分子量/数平均分子量)は1.7であった。なお、「バーサミン551」は、下記式(14)で表される化合物及び/又は下記式(14)で表される化合物の不飽和部が水添された化合物を含むジアミン化合物である。
Figure 2013178526
(合成例2)
300mLの4つ口セパラブルフラスコに、バーサミン551を19.61g(0.035mol)及びN−メチルピロリドン30gを加えて室温で15分間攪拌した。次に、1,10−(デカメチレン)ビス(トリメリテート)二無水物20.39g(0.039mol)、及び、N−メチルピロリドン30.00gの混合溶液を15分間かけて添加した。添加終了後、得られた混合液を60℃まで昇温し、8時間攪拌することで、ポリアミック酸のN−メチルピロリドン溶液を得た。得られた溶液中の固形分は40質量%であり、ポリアミック酸の重量平均分子量は33000、分散度(重量平均分子量/数平均分子量)は3.4であった。
(合成例3)
300mLの4つ口セパラブルフラスコに、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン12.89g(0.052mol)、γ−ブチロラクトン10.0gを加えて40℃で15分間攪拌した。次に、4,4’−オキシジフタル酸二無水和物16.44g(0.053mol)、及び、γ−ブチロラクトン29.66mLの混合溶液を15分間かけて添加した。添加終了後、60℃まで昇温し、5時間攪拌することで、ポリアミック酸のγ−ブチロラクトン溶液を得た。得られた溶液中の固形分は40質量%であり、ポリアミック酸の重量平均分子量は40000、分散度(重量平均分子量/数平均分子量)は2.0であった。
(分子量測定)
合成例1〜3で合成したポリアミック酸の重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定し、標準ポリスチレンを用いた検量線により換算して求めた。GPCの条件を以下に示す。
(GPC条件)
検出器:LV4000 UV Detector(日立製作所社製、商品名)
ポンプ:L6000 Pump(日立製作所社製、商品名)
C−R4A Chromatopack(島津製作所製、商品名)
カラム:Gelpack GL−S300MDT−5(計2本)(日立化成工業社製、商品名)
溶離液:THF/DMF=1/1(容積比)+LiBr(0.03mol/L)+HPO(0.06mol/L)
流量:1mL/分
[実施例1〜6及び比較例1〜5]
上記各合成例で合成した(A)ポリアミック酸の溶液、(B)重合性化合物、及び、(C)光重合開始剤を、それぞれ下記表1に示した配合割合(質量部)で混合し、実施例1〜6及び比較例1〜5の感光性樹脂組成物の溶液を得た。なお、表1中の数字は固形分の質量部を示している。また、表1中の各成分は、以下に示すものである。
DPE−6A(商品名、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、共栄社化学株式会社)、
ATM−4E(商品名、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、新中村化学工業株式会社)、
A−TMPT(商品名、トリメチロールプロパントリアクリレート、新中村化学工業株式会社)、
ヒタロイド7660(商品名、酸変性エポキシアクリレート、日立化成工業株式会社製)、
I−819(商品名、ビスアシルフォスフィンオキサイド、チバスペシャリティーケミカルズ株式会社製)、
I−OXE−01(商品名、フェニルチオベンゾイルオキシム、チバスペシャリティーケミカルズ株式会社製)、
A−NPG(商品名、ネオペンチルグリコールジアクリレート、新中村化学工業株式会社製)、
FA−321M(商品名、エトキシ変性ビスフェノールAジメタクリレート、日立化成工業株式会社製)、
UN−904(商品名、エチレン性不飽和基数が10である光重合性化合物(10官能アクリレート)、根上工業社製)、
UN−905(商品名、エチレン性不飽和基数が15である光重合性化合物(15官能アクリレート)、根上工業社製)。
Figure 2013178526
<耐溶剤性の評価>
実施例及び比較例の感光性樹脂組成物の溶液を、シリコン基板上にスピンコーターを用いて均一に塗布し、110℃のホットプレートで5分間乾燥し、乾燥後の膜厚30μm、サイズ10mm×10mmの感光性樹脂組成物層を形成した。この感光性樹脂組成物層を形成した試験基板について、ウシオ電機社製のプロキシミティー露光機(商品名:UX−1000SM)を用いて露光量600mJ/cmで感光性樹脂組成物層の露光を行い、光硬化させた。次いで、この感光性樹脂組成物層の硬化膜が形成されたシリコン基板を1cm角にカットして試験片を得た。この試験片を、有機溶剤系現像液であるシクロヘキサノンに浸漬し、光硬化後の感光性樹脂組成物層(レジスト)の剥離及び膨潤の有無を確認することで、下記の基準に基づいて耐溶剤性を評価した。その結果を表2に示す。なお、耐溶剤性の評価が「C」のものは、溶剤現像が困難なため、他の評価を行わなかった。
A:3分経過後もレジストの剥離及び膨潤がない。
B:1〜3分の間にレジストが剥離及び/又は膨潤した。
C:1分以内にレジストが剥離及び/又は膨潤した。
<解像度の評価>
実施例及び比較例の感光性樹脂組成物の溶液を、シリコン基板上にスピンコーターを用いて均一に塗布し、110℃のホットプレートで5分間乾燥し、乾燥後の膜厚30μmの感光性樹脂組成物層を形成した。この感光性樹脂組成物層を形成した試験基板について、ホール径100μmφの開口パターンを有するネガマスクを介して、ウシオ電機社製のプロキシミティー露光機(商品名:UX−1000SM)を用いて露光量600mJ/cmで感光性樹脂組成物層の露光を行った。この試験基板を、有機溶剤系現像液であるシクロヘキサノンに5分間浸漬して現像を行った。現像後のレジストパターンを観察し、下記の基準に基づいて耐溶剤性を評価した。その結果を表2に示す。
A:ホール径100μmφが開口しており、現像後残渣もない。
B:ホール径100μmφは開口しているが、現像後残渣がある。
C:ホール径100μmφが開口していない。
<耐湿熱性の評価>
実施例及び比較例の感光性樹脂組成物の溶液を、シリコン基板上にスピンコーターを用いて均一に塗布し、110℃のホットプレートで5分間乾燥し、乾燥後の膜厚30μmの感光性樹脂組成物層を形成した。この感光性樹脂組成物層を形成した試験基板について、ウシオ電機社製のプロキシミティー露光機(商品名:UX−1000SM)を用いて露光量600mJ/cmで感光性樹脂組成物層の露光を行い、光硬化させた。その後、感光性樹脂組成物層を、120℃で40分間、続いて200℃で60分間加熱して硬化させた。この試験基板を、121℃、100%RH、2気圧の条件下に100時間放置した後、硬化膜の外観を目視にて評価し、更に接着性をJIS K5400(1990年)に準拠した碁盤目試験にて評価した。評価基準は以下の通りである。その結果を表2に示す。
(外観)
A:硬化膜に剥離、膨れ、クラックが見られない。
B:硬化膜に若干の剥離、膨れ、クラックの、どれか一つでも見られる。
C:硬化膜に剥離、膨れ、クラックの、どれか一つでも見られる。
(碁盤目試験)
テープ剥離後の残マス数が、
A:100/100(剥離無し)
B:≧90/100(1〜10マスの剥離)
C:<90/100(剥離が10マスよりも多い)
<吸水率の測定>
実施例及び比較例の感光性樹脂組成物の溶液を、アプリケーターを用いて、厚さ1mmのガラス板上に均一に塗布し、110℃のホットプレートで5分間乾燥し、乾燥後の膜厚30μmの感光性樹脂組成物層を形成した。この感光性樹脂組成物層を形成した試験基板について、ウシオ電機社製のプロキシミティー露光機(商品名:UX−1000SM)を用いて露光量600mJ/cmで感光性樹脂組成物層の露光を行い、光硬化させた。その後、感光性樹脂組成物層を、120℃で40分間、続いて200℃で60分間加熱して硬化させた。この試験基板を精製水に24時間浸漬し、浸漬前後での重量変化から下記式(I)により吸水率を求め、その値から下記の基準に基づいて吸水率を評価した。その結果を表2に示す。
吸水率(%)=(浸漬後硬化膜重量−浸漬前硬化膜重量)/(浸漬前硬化膜重量)×100 (I)
A:吸水率<0.8%
B:0.8%≦吸水率≦1.2%
C:吸水率>1.2%
<耐熱性(5%重量減少温度)の評価>
実施例及び比較例の感光性樹脂組成物の溶液を、アプリケーターを用いて、厚さ1mmのガラス板上に均一に塗布し、110℃のホットプレートで5分間乾燥し、乾燥後の膜厚30μmの感光性樹脂組成物層を形成した。この感光性樹脂組成物層を形成した試験基板について、ウシオ電機社製のプロキシミティー露光機(商品名:UX−1000SM)を用いて露光量600mJ/cmで感光性樹脂組成物層の露光を行い、光硬化させた。得られた硬化膜を剥離して3mm×3mmに刻んだ試験片を作製し、TG−DTA法を用いて測定を行った。このとき、5%重量減少温度を耐熱性の値とした。その結果を表2に示す。
使用装置:Seiko Instruments Inc.TG/DTA6300
測定条件:温度範囲;25℃〜400℃、昇温速度;10℃/min、測定雰囲気;空気
Figure 2013178526

なお、比較例1〜3については、耐溶剤性が劣っていたため、解像度、耐湿熱性、吸水率及び5%重量減少温度の評価は行わなかった。
10…基板、20…櫛形電極、30…リブ部、32…感光性樹脂組成物層、40…蓋部、50…配線、100…SAWフィルタ。

Claims (9)

  1. 基板上に、第1の感光性樹脂組成物を用いて感光性樹脂組成物層を形成する工程と、
    前記感光性樹脂組成物層の所定部分に活性光線を照射し、露光部を光硬化させる工程と、
    前記感光性樹脂組成物層の前記露光部以外の部分を除去することにより、パターンを形成する工程と、
    前記感光性樹脂組成物層の前記露光部を熱硬化させ、樹脂硬化物からなるリブ部を形成する工程と、
    フィルム化した第2の感光性樹脂組成物を前記リブ部の上部に貼り付けることにより中空構造を形成する工程と、
    を有する中空構造体の製造方法。
  2. 前記中空構造を形成する工程において、フィルム化した前記第2の感光性樹脂組成物を前記リブ部の上部に熱圧着により貼り付ける、請求項1記載の中空構造体の製造方法。
  3. 前記第1の感光性樹脂組成物と前記第2の感光性樹脂組成物とが同じ材料である、請求項1又は2記載の中空構造体の製造方法。
  4. 前記基板が櫛形電極を有する基板である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の中空構造体の製造方法。
  5. 前記中空構造体がSAWフィルタである、請求項1〜4のいずれか一項に記載の中空構造体の製造方法。
  6. 前記パターンを形成する工程において、有機溶剤系の現像液を用いる、請求項1〜5のいずれか一項に記載の中空構造体の製造方法。
  7. 前記樹脂硬化物の吸水率が1.2%以下である、請求項1〜6のいずれか一項に記載の中空構造体の製造方法。
  8. 前記感光性樹脂組成物層を光硬化させた光硬化物の5%重量減少温度が300℃以上である、請求項1〜7のいずれか一項に記載の中空構造体の製造方法。
  9. 請求項1〜8のいずれか一項に記載の製造方法によって得られる中空構造体。
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