JP2013176953A - 防眩フィルム作製のための金型およびその製造方法 - Google Patents

防眩フィルム作製のための金型およびその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】良好な耐久性を有する防眩フィルム製造用金型を提供する。
【解決手段】金型用基材7と、金型用基材7上に形成された下地銅めっき層71と、下地銅めっき層71上に形成された銀めっき剥離層72と、銀めっき剥離層72上に形成された銅めっき加工層8と、銅めっき加工層8上にクロムめっき又はニッケルめっきによって形成された保護めっき層83と、保護めっき層83上に形成される炭素を主成分とする保護膜85とを有し、保護膜85の保護めっき層83とは反対側の表面の算術平均粗さRaが0.04μm以上0.1μm以下であり、最大断面高さ粗さRzが0.3μm以上0.6μm以下であり、平均長さRSmが50μm以上130μm以下である。
【選択図】図1

Description

本発明は、防眩性に優れた防眩(アンチグレア)フィルムに関する。
液晶ディスプレイやプラズマディスプレイパネル、ブラウン管(陰極線管:CRT)ディスプレイ、有機エレクトロルミネッセンス(EL)ディスプレイなどの画像表示装置は、その表示面に外光が映り込むと視認性が著しく損なわれてしまう。このような外光の映り込みを防止するために、画質を重視するテレビやパーソナルコンピュータ、外光の強い屋外で使用されるビデオカメラやデジタルカメラ、反射光を利用して表示を行う携帯電話などにおいては、従来から画像表示装置の表面に外光の映り込みを防止するために防眩フィルムが使用されている。
このような防眩フィルムとして、例えば、特許文献1(特開2006−53371号公報)には、基材を研磨し、サンドブラスト加工を施した後、無電解ニッケルめっきを施すことによって、表面に微細な凹凸を有するロールを製造し、かかるロールの凹凸面をTACフィルム上に形成された光硬化性樹脂層に押し付けながら硬化して作製された防眩フィルムが記載されている。すなわち、金型の凹凸面の形状を透明樹脂フィルムに転写した後、金型の凹凸面の形状が転写された透明樹脂フィルムを金型から剥がすことを含む防眩フィルムの製造方法が開示されている。
防眩フィルムには、防眩性、画像表示装置の表面に配置した際に良好なコントラストを発現すること、画像表示装置の表面に配置した際に散乱光によって表示面全体が白っぽくなり、表示が濁った色になる、いわゆる「白ちゃけ」の発生を抑制すること、及び、画像表示装置の表面に配置した際に画像表示装置の画素と防眩フィルムの表面凹凸形状とが干渉し、結果として輝度分布が発生して見えにくくなる、いわゆる「ギラツキ」の発生を抑制することが要望されている。
しかし、特許文献1に開示された防眩フィルムは、サンドブラスト加工によって凹凸形状を形成した金型を使用して作製されるため凹凸形状の精度の点で充分でなく、特に、50μm以上の周期を持つ比較的大きな凹凸形状を有する場合があるため「ギラツキ」が発生しやすかった。また、使用される金型は、最表面が無電解ニッケルめっきであるため、無電解ニッケルめっきが酸素や湿度などの影響によって変色し、十分な耐久性を有さなかった。
特許文献2(特開2010−76385号公報)には、金型用基材の表面に銅めっきを施す第1めっき工程と、第1めっき工程によってめっきが施された表面を研磨する研磨工程と、研磨された面に感光性樹脂膜を塗布形成する感光性樹脂膜塗布工程と、感光性樹脂膜上にパターンを露光する露光工程と、パターンが露光された感光性樹脂膜を現像する現像工程と、現像された感光性樹脂膜をマスクとして用いてエッチング処理を行い、研磨されためっき面に凹凸を形成する第1エッチング工程と、感光性樹脂膜を剥離する感光性樹脂膜剥離工程と、感光性樹脂膜を完全に除去した後に、第1エッチング工程によって形成された凹凸面をエッチング処理によって鈍らせる第2エッチング工程と、鈍らせた凹凸面にクロムめっきを施す第2めっき工程とを含む、防眩フィルム製造用金型の製造方法について記載されている。また、金型用基材の表面に下地銅めっき層、銀めっき剥離層、銅めっき加工層、クロムめっき層を形成した防眩フィルム製造用金型について開示されている。
特許文献2に記載された防眩フィルム製造用金型は、銅めっき加工層の表面にクロムめっき層(保護めっき層)が設けられているが、酸素や湿度の影響によってクロムめっきが変色したり、クロムめっきに存在するクラックを通じて銅めっき加工層が腐食され、その腐食がクロムめっき表面まで拡大し、結果として金型の品質を低下させる場合があった。
防眩フィルム製造用の金型を用いて作製した防眩フィルムには、防眩性、画像表示装置の表面に配置した際に良好なコントラストを発現すること、画像表示装置の表面に配置した際に散乱光によって表示面全体が白っぽくなり、表示が濁った色になる、いわゆる「白ちゃけ」の発生を抑制すること、及び、画像表示装置の表面に配置した際に画像表示装置の画素と防眩フィルムの表面凹凸形状とが干渉し、結果として輝度分布が発生して見えにくくなる、いわゆる「ギラツキ」の発生を抑制することが要望されている。さらに、安定した品質の防眩フィルムを製造するために、防眩フィルム製造用の金型は、経時変化が無く耐久性が良好であることが必要である。
防眩フィルムに求められる特性(防眩性、良好なコントラストの発現、白ちゃけ発生の抑制、ギラツキ発生の抑制)については、特許文献2に開示されているようにパターン露光によって表面形状を形成した防眩フィルム製造用金型によって達成される。しかし、この防眩フィルム製造用金型は最表面がクロムめっきであるために、上述のように十分な耐久性を有していなかった。
このような金型の耐久性を向上する手段としては以下の方法が考えられる。
・クロムめっき厚みを厚くし、銅めっき加工層まで貫通しているクラックを減少させる。
・クロムめっき加工時の加工条件を調整し、銅めっき加工層まで貫通しているクラックを減少させる。
・離型剤等を金型上に塗布する。
しかしながら、クロムめっき厚みを厚くする方法では、銅めっき加工層に起因する不具合は解消することが出来ても、クロムめっき自体の不具合は解消することが出来ない。また、クロムめっき厚みを厚くすると、クロムめっきの析出異常による欠陥が発生する虞が高くなるという問題がある。
また、クロムめっき加工時の加工条件調整によって、銅めっき加工層まで貫通しているクラックを減少させる方法でも、銅めっき加工層に起因する不具合は解消することが出来ても、クロムめっき自体の不具合は解消することが出来ない。
また、離型剤等を金型上に塗布する方法では、金型の使用によって離型剤が徐々に剥がれ、その効果が弱まり、結果として十分な耐久性を発現しない可能性がある。また、離型剤を塗布した際の塗布ムラなどが新たな不具合として発現する虞がある。特に、金型用基材が円筒形状の場合には塗布ムラが発生し易い傾向があり、塗布ムラを発生させないように高い均一性をもって離型剤を塗布することは非常に困難である。
特開2006−53371号公報 特開2010−76385号公報
上記課題に鑑み、本発明は、良好な耐久性を有する防眩フィルム製造用金型を提供することを目的とする。
本発明は、金型用基材と、
該金型用基材上に形成された下地銅めっき層と、
該下地銅めっき層上に形成された銀めっき剥離層と、
該銀めっき剥離層上に形成された銅めっき加工層と、
該銅めっき加工層上にクロムめっき又はニッケルめっきによって形成された保護めっき層と、
該保護めっき層上に形成される炭素を主成分とする保護膜とを有し、
前記銅めっき加工層の前記銀めっき剥離層とは反対側の表面に微細な凹凸形状を有し、
前記保護膜の保護めっき層とは反対側の表面の算術平均粗さRaが0.04μm以上0.1μm以下であり、最大断面高さ粗さRzが0.3μm以上0.6μm以下であり、平均長さRSmが50μm以上130μm以下であることを特徴とする防眩フィルム製造用金型である。
前記保護膜は蒸着により形成されることが好ましい。また、前記保護膜の厚さが0.1〜5μmであることが好ましい。
また、本発明は、上記防眩フィルム製造用金型を製造するための製造方法であって、
金型用基材の表面に下地銅めっき層を形成する第1めっき工程と、
前記下地銅めっき層上に銀めっき剥離層を形成する第2めっき工程と、
前記銀めっき剥離層上に銅めっき加工層を形成する第3めっき工程と、
前記銅めっき加工層の前記銀めっき剥離層とは反対側の表面を研磨する研磨工程と、
研磨された前記銅めっき加工層の表面に感光性樹脂を塗布して感光性樹脂膜を形成する感光性樹脂膜形成工程と、
前記感光性樹脂膜上にパターン露光する露光工程と、
パターン露光された前記感光性樹脂膜を現像する現像工程と、
現像された前記感光性樹脂膜をマスクとしてエッチング処理を行い、研磨された前記銅めっき加工層の表面に微細な凹凸形状を形成する第1エッチング工程と、
第1エッチング工程後に前記感光性樹脂膜を剥離する感光性樹脂膜剥離工程と、
第1エッチング工程によって形成された前記凹凸形状をエッチング処理によって鈍らせる第2エッチング工程と、
第2エッチング工程によって鈍らされた前記凹凸形状を有する前記銅めっき加工層の表面に、クロムめっき又はニッケルめっきからなる保護めっき層を形成する第4めっき工程と、
前記保護めっき層上に、炭素を主成分とする保護膜を蒸着により形成する蒸着工程とを含む、製造方法にも関する。
露光工程においては、前記感光性樹脂膜上に露光されるパターンの一次元パワースペクトルを空間周波数に対する強度として表したときのグラフが、空間周波数0.007μm−1以上0.015μm−1以下において1つの極大値を有し、かつ、空間周波数0.05μm−1以上0.1μm−1以下において1つの極大値を有することが好ましい。
本発明においては、保護めっき層上に安定な炭素を主成分とする保護膜を形成したことにより、保護めっき層および銅めっき加工層への酸素および湿度の影響を無くすことが出来る。このことより、金型を長期間使用したとしても変色などの不具合が発生しない。また、炭素を主成分とする蒸着によって形成される保護膜は高い硬度と良好な滑り性を有するため、傷が付き難い。よって、非常に良好な耐久性を有する防眩フィルム製造用金型が提供される。
(a)〜(k)は、本発明の防眩フィルム製造用金型の製造方法の一例を説明するための模式図である。 二次元パワースペクトルH(f,f)を周波数空間における原点からの距離fで平均化する方法を説明する模式図である。 ギラツキ評価用パターンのユニットセルを示す平面図である。 ギラツキ評価の状態を示す断面模式図である。 実施例で使用したパターンを示す図である。 実施例で使用したパターンの1次元パワースペクトルを示す図である。
本発明の防眩フィルム製造用金型は、金型用基材と、
該金型用基材上に形成された下地銅めっき層と、
該下地銅めっき層上に形成された銀めっき剥離層と、
該銀めっき剥離層上に形成された銅めっき加工層と、
該銅めっき加工層上にクロムめっき又はニッケルめっきによって形成された保護めっき層と、
該保護めっき層上に炭素を主成分とする保護膜とを有する。
また、前記銅めっき加工層の前記銀めっき剥離層とは反対側の表面に微細な凹凸形状を有し、前記保護膜の保護めっき層とは反対側の表面について、算術平均粗さRaが0.04μm以上0.1μm以下であり、最大断面高さ粗さRzが0.3μm以上0.6μm以下であり、平均長さRSmが50μm以上130μm以下である。ここで、表面の算術平均粗さRa、最大断面高さ粗さRz、平均長さRSmは、JIS B 0601の規定に準拠したものである。
<金型の製造方法>
図1は、本発明の金型の製造方法の好ましい一例を模式的に示す図である。図1には各工程での金型の断面を模式的に示している。本発明の金型の製造方法は、第1めっき工程と、第2めっき工程と、第3めっき工程と、研磨工程と、感光性樹脂膜形成工程と、露光工程と、現像工程と、第1エッチング工程と、感光性樹脂膜剥離工程と、第2エッチング工程と、蒸着工程とを基本的に含む。以下、図1を参照しながら、本発明の金型の製造方法の各工程について詳細に説明する。
(第1めっき工程)
本発明の金型の製造方法では、まず、金型に用いる基材(金型用基材7)の表面に、下地銅めっき層71を形成する(図1(a))。このように、金型用基材7の表面に下地銅めっき層71を形成することにより、金型用基材7に存在していた欠陥を効果的に解消することが出来る。これは、被覆性が高く、平滑化作用が強い銅めっきを施すことにより、金型用基材の微小な凹凸や鬆などが埋められて、平坦で光沢のある表面が形成されるためである。また、銅めっき層は良好な被加工性を有するため、後述する研磨加工などが容易となる。
第1めっき工程において用いられる銅としては、銅の純金属であってもよく、銅を主体とする合金であってもよい。したがって、本明細書でいう「銅」は、銅および銅合金を含む意味である。銅めっきは、それぞれ電解めっきで行っても無電解めっきで行ってもよいが、通常は電解めっきが採用される。
銅めっきを施す際には、めっき層が余り薄いと、下地となる金型用基材7の表面の影響が排除しきれないことから、その厚みは50μm以上であるのが好ましい。めっき層の厚みの上限は、コストの観点から、一般的には500μm程度で十分である。
なお、本発明の金型の製造方法において、金型用基材7の形成に好適に用いられる金属材料としては、コストの観点からアルミニウム、鉄などが挙げられる。さらに取扱いの利便性から、軽量なアルミニウムがより好ましい。ここでいうアルミニウムや鉄も、それぞれ純金属であることができるほか、アルミニウムまたは鉄を主体とする合金であってもよい。
また、金型用基材7の形状は、当分野において従来より採用されている適宜の形状であれば特に制限されず、平板状であってもよいし、円柱状または円筒状のロールであってもよい。ロール状の基材を用いて金型を作製すれば、防眩フィルムを連続的なロール状で製造することができるという利点がある。
(第2めっき工程)
続く第2めっき工程では、上述した第1めっき工程にて金型用基材7の表面に形成された下地銅めっき層71上に、銀めっき剥離層72を形成する(図1(b))。この銀めっき剥離層72は、続く第3めっき工程にて形成される銅めっき加工層8との密着性が低いため、金型用基材7の再利用が容易になる。すなわち、一度作製した金型の表面凹凸形状を除去する際に、銅めっき加工層8から上の層を容易に剥離することが可能となり、金型用基材7を再利用する場合には第1めっき工程および第2めっき工程が不要となる。また、第1めっき工程後に、金型用基材7上の下地銅めっき層71の表面に所望の機械精度を有するように機械加工を行っておけば、金型用基材7を再利用する際にはそれらの機械加工も不要となる。
第2めっき工程で形成される銀めっき剥離層72は、置換銀めっきによって形成されることが好ましい。置換銀めっきは、置換銀めっき液を被めっき材に塗布することによって行われる。塗布方法としては従来公知の方法を使用することが出来て、回転塗布、スプレー塗布、浸漬塗布などの方法が好ましく用いられる。
置換銀めっき液は、可溶性銀塩と錯化剤を基本組成として有する溶液であり、可溶性銀塩としては溶液中で銀イオンを生成する可溶性の塩類であれば任意のものが使用でき、硫酸銀、亜硫酸銀、炭酸銀、酢酸銀、乳酸銀、スルホコハク酸銀、硝酸銀、有機スルホン酸銀、ホウフッ化銀、クエン酸銀、酒石酸銀、グルコン酸銀、スルファミン酸銀、シュウ酸銀、酸化銀、メタンスルホン酸銀、エタンスルホン酸銀、酢酸銀、乳酸銀、クエン酸銀などが挙げられる。また、錯化剤としてはチオ尿素類、スルフィド類、メルカプタン類などの含イオウ化合物などが挙げられる。
第2めっき工程で形成される銀めっき剥離層72は、第1めっき工程において形成された下地銅めっき層の形状に影響を及ぼさないことが望まれるため、銀めっき剥離層の厚みは薄い方が好ましい。具体的には1μm以下であることが好ましく、0.5μm以下であることがより好ましい。
また、第2めっき工程を実施する前に、下地銅めっき層71の表面は研磨加工によって所望の精度に機械加工されていることが好ましい。これは第1めっき工程において下地銅めっき層71を形成した状態のままでは、表面が完全に平滑になるとは限らないためである。また、前述したように第1めっき工程後に、下地銅めっき層71の表面に所望の機械精度を有するような機械加工を行っておけば、金型用基材7の再利用が容易となる。下地銅めっき層71の表面を研磨する方法としては、所望の機械精度が得られるものであれば特に制限されるものではなく、回転砥石による機械研磨加工や切削工具を用いた鏡面切削加工が好ましく用いられる。
(第3めっき工程)
続く第3めっき工程では、銀めっき剥離層72上に銅めっき加工層8を形成する(図1(c))。
第3めっき工程において用いられる銅は、上記第1めっき工程と同様に、銅の純金属であってもよく、銅を主体とする合金であってもよい。銅めっきは、電解めっきで行っても無電解めっきで行ってもよいが、通常は電解めっきで行われる。
銅めっきを施す際には、めっき層が余り薄いと、下地となる金型用基材7の表面の影響が排除しきれないことから、その厚みは50μm以上であるのが好ましい。めっき層の厚みの上限は、コストの観点から、一般的には500μm程度で十分である。
(研磨工程)
続く研磨工程では、銅めっき加工層8の銀めっき剥離層72とは反対側の表面80を研磨する(図1(c))。当該工程を経て、銅めっき加工層8の表面80は、鏡面に近い状態に研磨されることが好ましい。これは、金型用基材7(金属板や金属ロールなど)は、その表面形状を所望の精度にするために、切削や研削などの機械加工が施されていることが多く、それにより基材表面に加工目が残っており、銅めっきが施された状態でも、それらの加工目が残ることがあり、また、めっきした状態で表面が完全に平滑になるとは限らないためである。
すなわち、このような加工目などが残った表面に後述する工程を施したとしても、各工程を施した後に形成される凹凸よりも加工目などの凹凸の方が深いことがあり、加工目などの影響が残る可能性があり、そのような金型を用いて防眩フィルムを製造した場合には、光学特性に予期できない影響を及ぼすことがある。
銅めっき加工層8の表面80を研磨する方法については特に制限されるものではなく、機械研磨法、電解研磨法、化学研磨法のいずれも使用できる。機械研磨法としては、超仕上げ法、ラッピング、流体研磨法、バフ研磨法が例示される。また、研磨工程において切削工具を用いて鏡面切削することによって、金型用基材表面7を鏡面としてもよい。その際の切削工具の材質や形状などは特に制限されるものではなく、超硬バイト、CBNバイト、セラミックバイト、ダイヤモンドバイトなどを使用することが出来るが、加工精度の観点からダイヤモンドバイトを用いることが好ましい。
研磨工程後の銅めっき加工層8の表面粗度は、JIS B 0601の規定に準拠した中心線平均粗さRaが0.1μm以下であることが好ましく、0.05μm以下であることがより好ましい。研磨後の中心線平均粗さRaが0.1μmより大きいと、最終的な金型表面の凹凸形状に研磨後の表面粗度の影響が残る可能性があるので好ましくない。また、中心線平均粗さRaの下限については、特に制限されないが、加工時間や加工コスト等の観点から、おのずと限界がある。
(感光性樹脂膜形成工程)
続く感光性樹脂膜形成工程では、上述した研磨工程によって研磨を施した銅めっき加工層8の表面80に、感光性樹脂を溶媒に溶解した溶液として塗布し、加熱・乾燥することにより、感光性樹脂膜9を形成する(図1(d))。
感光性樹脂としては従来公知の感光性樹脂を用いることができる。たとえば、感光部分が硬化する性質をもったネガ型の感光性樹脂としては分子中にアクリル基またはメタアクリル基を有するアクリル酸エステルの単量体やプレポリマー、ビスアジドとジエンゴムとの混合物、ポリビニルシンナマート系化合物などを用いることができる。また、現像により感光部分が溶出し、未感光部分だけが残る性質をもったポジ型の感光性樹脂としてはフェノール樹脂系やノボラック樹脂系などを用いることができる。また、感光性樹脂には、必要に応じて、増感剤、現像促進剤、密着性改質剤、塗布性改良剤などの各種添加剤を配合してもよい。
これらの感光性樹脂を銅めっき加工層8の表面80に塗布する際には、良好な塗膜を形成するために、適当な溶媒に希釈して塗布することが好ましく、セロソルブ系溶媒、プロピレングリコール系溶媒、エステル系溶媒、アルコール系溶媒、ケトン系溶媒、高極性溶媒などを使用することができる。
本発明では、この感光性樹脂膜形成工程において、感光性樹脂膜の膜厚の変動係数が10%未満になるように感光性樹脂を塗布して感光性樹脂膜が形成されることが好ましい。このように膜厚の変動係数を所定値未満とし、より均一な膜厚とすることにより、得られる金型表面の凹凸形状のムラを軽減することが可能となる。加えて、該金型を使用して作製される防眩フィルムのムラも抑制することが可能となる。
ここでいう感光性樹脂膜の膜厚の変動係数とは、感光性樹脂膜の膜厚の標準偏差を感光性樹脂膜の膜厚の平均値で割った値を意味するものである。つまり、この変動係数が大きいほど、膜厚にムラが生じていることを意味するものである。感光性樹脂膜の膜厚が異なると、後の露光工程における感度や、後の現像工程における現像時間も変化するため、前記変動係数が10%以上になると、現像工程により金型基材表面の感光性樹脂膜に現像されるパターンにもムラを生じることになり、結果として、得られる金型表面の凹凸形状や、該金型を使用して作製される防眩フィルムにもムラが生じることになる。なお、前記変動係数は、前述した金型表面の凹凸形状のムラを抑制する観点から、5%以下となるようにするのがより好ましい。
前記変動係数は、金型用基材7の表面8に形成された感光性樹脂膜9の厚さを3箇所以上測定し、その平均値と標準偏差を計算することによって求めることが出来る。ここで精度良く変動係数を求めるためには感光性樹脂膜9の厚さは10箇所以上測定することが好ましい。
感光性樹脂膜の膜厚の変動係数が10%未満になるように感光性樹脂膜を塗布形成する方法としては、(1)感光性樹脂が溶媒に溶解した溶液〔以下、感光性樹脂溶液ということがある。〕に添加するレベリング剤の種類や量を調整することにより、該溶液のレベリング性を調整する方法、(2)前記溶液の希釈率を調整する方法、(3)適した塗布形式を採用する方法、(4)塗布条件を調整する方法などが挙げられる。
レベリング剤としては、シリコーン系のレベリング剤を使用することが好ましい。シリコーン系のレベリング剤を感光性樹脂溶液に添加すると、金属金型に対して塗工した際に塗布された溶液の表面張力が効果的に低下し、レベリング性が向上するためである。このようなシリコーン系のレベリング剤として、例えば、アルキル変性シリコーンオイル、ポリエーテル変性シリコーンオイル、エポキシ変性シリコーンオイル、アミノ変性シリコーンオイル、カルボキシ変性シリコーンオイル、カルビノール変性シリコーンオイル、アルコキシ変性シリコーンオイル、両末端変性シリコーンオイル、ポリエステル変性シリコーンオイル、アラルキル変性シリコーンオイル、アクリル系シリコーンオイルなどの有機変性されたシリコーンオイルが挙げられる。
前述したレベリング剤は、単独で使用してもよく、それらの2種以上を使用してもよい。また、感光性樹脂溶液に添加するレベリング剤の添加量は、感光性樹脂100重量部に対して0.1〜5重量部であることが好ましい。レベリング剤の添加量が少なすぎると、レベリング性向上の効果が得られないため好ましくなく、多すぎると感光性樹脂膜の金型基材への密着性が低下したり、感光性樹脂溶液の安定性が低下したりするため、好ましくない。
感光性樹脂溶液における感光性樹脂の含有量は、3〜50重量%であることが好ましく、5〜20重量%であることがより好ましい。感光性樹脂の含有量が、50重量%を上回る場合には、感光性樹脂溶液を塗布し、乾燥させる際のレベリング性が不十分となり、感光性樹脂膜の厚さの変動係数が大きくなるおそれがある。一方、感光性樹脂の含有量が、5重量%を下回る場合には、感光性樹脂溶液を塗布し、乾燥させる際に液垂れなどが発生し、感光性樹脂膜の厚さの変動係数が大きくなるおそれがある。また、感光性樹脂を希釈する溶媒としては前述のものを用いることができるが、レベリング性を向上させるために、メタノール(64.7度)、エタノール(78.4度)、イソプロピルアルコール(82.4度)、メチルエチルケトン(79.5度)などの沸点の比較的低い溶媒と、メチルイソブチルケトン(116.2度)、メチルセロソルブ(124度)、エチルチルセロソルブ(136.4度)、プロピレングリコールモノメチルエーテル(121度)などの高沸点溶媒の混合溶媒を用いることが好ましい。
感光性樹脂溶液の塗布形式としては、該溶液の物性に応じて従来公知の形式を適宜選択しうるが、中でも、回転塗布、ロール塗布、ワイヤーバー塗布、リングコートが好ましく採用される。この中でもリングコート方式が特に好ましく採用される。リングコート方式は円筒状の基材に対して溶液を均一に塗布する方法として効果的なものである。リングコート方式では、溶液が塗布される円筒状基材の外周を取り囲む円盤状の塗布ヘッドが円筒状基材に沿って相対的に移動することによって溶液が塗布される。塗布装置中で円筒状基材は鉛直に支持され、その外周を取り囲む円盤状塗布ヘッドに溶液が供給された後、塗布ヘッドを円筒状基材の上端部側から下端部側に所定の速度で移動させることにより、円筒状基材の表面に溶液が均一に塗布される。溶液が円筒状基材に塗布される間は所定量の塗布液が塗布ヘッドに供給され続ける。リングコート方式を採用した場合、均一に溶液を塗布するために重要なパラメータは塗布ヘッドの相対移動速度である。塗布ヘッドの相対移動速度は、塗布される溶液の粘度やレベリング性に依存するため一概には言えないが、0.5〜300mm/secであることが好ましい。
また、感光性樹脂溶液を塗布した後、加熱、乾燥処理を施すのが好ましく、その温度は20〜80℃であるのが好ましく、25〜40℃であるのがより好ましい。加熱、乾燥温度が20℃を下回る場合には、乾燥時間が長くなり、乾燥中に液垂れが発生したりする可能性が高くなるため好ましくない。一方、加熱、乾燥温度が80℃を上回る場合には、乾燥時間が短くなり、乾燥中のレベリング効果が発現せず、感光性樹脂膜の厚さの変動係数が大きくなる可能性があるため好ましくない。
(露光工程)
続く露光工程では、所定のパターンを上述した感光性樹脂膜形成工程で形成された感光性樹脂膜9上に露光する、所謂パターン露光を行う(図1(e))。
露光工程に用いる光源は塗布された感光性樹脂の感光波長や感度等に合わせて適宜選択すればよく、たとえば、高圧水銀灯のg線(波長:436nm)、高圧水銀灯のh線(波長:405nm)、高圧水銀灯のi線(波長:365nm)、半導体レーザ(波長:830nm、532nm、488nm、405nmなど)、YAGレーザ(波長:1064nm)、KrFエキシマーレーザ(波長:248nm)、ArFエキシマーレーザ(波長:193nm)、F2エキシマーレーザ(波長:157nm)等を用いることができる。
本発明の金型の製造方法において表面の凹凸形状を精度良く形成するためには、露光工程において、上述したパターンを感光性樹脂膜上に精密に制御された状態で露光することが好ましい。本発明の金型の製造方法においては、上述したパターンを感光性樹脂膜上に精度よく露光するために、コンピュータ上でパターンを画像データとして作成し、その画像データに基づいたパターンを、コンピュータ制御されたレーザヘッドから発するレーザ光によって描画することが好ましい。レーザ描画を行うに際しては印刷版作成用のレーザ描画装置を使用することができる。このようなレーザ描画装置としては、たとえばLaser Stream FX((株)シンク・ラボラトリー製)などが挙げられる。
〔露光されるパターンの特性〕
ここで、露光工程において感光性樹脂膜上に露光される所定のパターンの特性について説明する。
本発明の防眩フィルム製造用金型を用いて製造される防眩フィルムの微細凹凸表面は、十分な防眩性を発現するために70μm以上の長周期成分を含むことが好ましい。しかしながら、防眩フィルムの微細凹凸表面によって発生するギラツキを抑制するという観点から、40μm以上60μm以下の成分を含まないことが好ましい。
このような特徴を有する防眩フィルムの微細凹凸表面を精度よく形成するために、露光工程で感光性樹脂膜上に露光されるパターンの一次元パワースペクトルを空間周波数に対する強度として表したときのグラフが、空間周波数0.007μm−1以上0.015μm−1以下において1つの極大値を有し、かつ、空間周波数0.05μm−1以上0.1μm−1以下において1つの極大値を有することが好ましい。ここで、「パターン」とは、本発明の防眩フィルムの微細凹凸表面を形成するための画像データや透光部と遮光部を有するマスクなどを意味する。
また、本発明の防眩フィルム製造用金型の製造方法に用いるパターンの空間周波数0.007μm−1以上0.015μm−1以下における第一の極大値の強度は、空間周波数0.05μm−1以上0.1μm−1以下における第二の極大値の強度より小さいことが好ましい。第一の極大値の強度が第二の極大値より大きい場合にはギラツキが強くなる傾向があるため好ましくない。
上記の特性を有するパターンを作製するためには、例えば、ドットをランダムに配置して作成したパターンや乱数もしくは計算機によって生成された疑似乱数により濃淡を決定したランダムな明度分布を有するパターンから、特定の空間周波数範囲の成分を除去するバンドパスフィルターを通過させれば良い。
〔一次元パワースペクトル〕
次に、パターンの一次元パワースペクトルについて説明する。一次元パワースペクトルは二次元パワースペクトルから求められる。
パターンの二次元パワースペクトルは、例えば画像データであれば、画像データを2階調の二値化画像データに変換した後、画像データの階調を二次元関数h(x,y)で表し、得られた二次元関数h(x,y)をフーリエ変換して二次元関数H(f,f)を計算し、得られた二次元関数H(f,f)を二乗することによって求めることができる。ここで、xおよびyは画像データ面内の直交座標を表し(例えばx方向が画像データの横方向、y方向が画像データの縦方向である)、fおよびfはx方向の周波数およびy方向の周波数を表している。
実際には、画像データの階調を示す二次元関数h(x,y)は画素毎の階調が、各画素に対応する値として得られるため離散関数である。よって、式(1)で定義される離散フーリエ変換によって離散関数H(f,f)を計算し、離散関数H(f,f)を二乗することによってパワースペクトルが求められる。ここで式(1)中のπは円周率、iは虚数単位である。また、Mはx方向の画素数であり、Nはy方向の画素数であり、lは−M/2以上M/2以下の整数であり、mは−N/2以上N/2以下の整数である。
さらに、ΔfおよびΔfはそれぞれx方向およびy方向の周波数間隔であり、式(2)および式(3)で定義される。ここで式(2)および式(3)中のΔxおよびΔyはそれぞれ、x方向、y方向の画素の間隔である。
ここで、露光工程で露光されるパターンはランダムであることが好ましく、パターンがランダムである場合、周波数空間(空間周波数領域)における二次元パワースペクトルH(f,f)は原点(f=0,f=0)を中心に対称となる。よって、二次元関数H(f,f)は、周波数空間における原点からの距離f(単位:μm−1)を変数とする一次元関数H(f)に変換することが出来る。
具体的には、まず、図2に示すように周波数空間において、原点O(f=0,f=0)から(n−1/2)Δf以上(n+1/2)Δf未満の距離に位置する全ての点(図2中の黒丸の点)の個数Nnを計算する。図2に示した例ではNn=16個である。次に、原点Oから(n−1/2)Δf以上(n+1/2)Δf未満の距離に位置する全ての点のH(f,f)の合計値Hn(図2中の黒丸の点におけるH(f,f)の合計値)を計算し、式(4)に示すように、その合計値Hnを点の個数Nnで割ったものをH(f)の値とした。
ここで、M≧Nの場合、nは0以上N/2以下の整数であり、M<Nの場合、nは0以上M/2以下の整数である。また、Δfは(Δf+Δf)/2とした。
(現像工程)
続く現像工程においては、感光性樹脂膜9にポジ型の感光性樹脂を用いた場合には、露光された領域91は現像液によって溶解され、露光されていない領域90のみが銅めっき加工層8上に残存し(図1(e)、(f))、続く第1エッチング工程においてマスクとして作用する。なお、感光性樹脂膜9にネガ型の感光性樹脂を用いた場合には、露光されていない領域90のみ現像液によって溶解され、露光された領域91が銅めっき加工層8上に残存し、続く第1エッチング工程におけるマスクとして作用する。
現像工程に用いる現像液については従来公知のものを使用することができる。たとえば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、ケイ酸ナトリウム、メタケイ酸ナトリウム、アンモニア水などの無機アルカリ類、エチルアミン、n−プロピルアミンなどの第一アミン類、ジエチルアミン、ジ−n−ブチルアミンなどの第二アミン類、トリエチルアミン、メチルジエチルアミンなどの第三アミン類、ジメチルエタノールアミン、トリエタノールアミンなどのアルコールアミン類、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、トリメチルヒドロキシエチルアンモニウムヒドロキシドなどの第四級アンモニウム塩、ピロール、ピヘリジンなどの環状アミン類などのアルカリ性水溶液、キシレン、トルエンなどの有機溶剤などを挙げることができる。
現像工程における現像方法については特に制限されず、浸漬現像、スプレー現像、ブラシ現像、超音波現像などの方法を用いることができる。
(第1エッチング工程)
続く第1エッチング工程では、現像工程後に残存した感光性樹脂膜90をマスクとして用いて、主に銅めっき加工層8のマスクの無い領域81をエッチングする(図1(g))。
第1エッチング工程におけるエッチング処理は、通常、塩化第二鉄(FeCl)液、塩化第二銅(CuCl)液、アルカリエッチング液(Cu(NHCl)などを用いて、金属表面を腐食させることによって行われるが、塩酸や硫酸などの強酸を用いることもできるし、電解めっき時と逆の電位をかけることによる逆電解エッチングを用いることもできる。エッチング処理を施した際の金型用基材に形成される凹形状は、下地金属の種類、感光性樹脂膜の種類およびエッチング手法などによって変わりうるが、エッチング量が10μm以下である場合には、エッチング液に触れている金属表面から略等方的にエッチングされる。ここでいうエッチング量とは、エッチングにより削られる基材の厚みである。
第1エッチング工程におけるエッチング量は好ましくは1〜50μmであり、より好ましくは2〜10μmである。エッチング量が1μm未満である場合には、金属表面に凹凸形状がほとんど形成されずに、ほぼ平坦な金型となってしまうので、防眩性を示さなくなってしまう。また、エッチング量が50μmを超える場合には、金属表面に形成される凹凸形状の高低差が大きくなり、得られた金型を使用して作製した防眩フィルムが白ちゃけることとなるため好ましくない。
第1エッチング工程におけるエッチング処理は1回のエッチング処理によって行ってもよいし、エッチング処理を2回以上に分けて行ってもよい。ここでエッチング処理を2回以上に分けて行う場合には、2回以上のエッチング処理におけるエッチング量の合計が1〜50μmであることが好ましい。このエッチング量は、エッチング処理の手法、エッチング処理に使用する処理液の組成、エッチング処理温度、エッチング処理時間等を調整することにより、制御することができる。中でも、エッチング処理の手法、処理液の組成、処理温度を固定して、処理時間の長短を調整することにより、エッチング量の大小を制御する方法が簡便であり好ましい。
(感光性樹脂膜剥離工程)
続く感光性樹脂膜剥離工程では、第1エッチング工程で微細凹凸形状82が形成された銅めっき加工層8の表面から、マスク(現像工程後に残存した感光性樹脂膜)90を完全に除去する(図1(h))。
感光性樹脂膜剥離工程では、通常、剥離液を用いて感光性樹脂膜を溶解する。剥離液としては、上述した現像液と同様のものを用いることができるが、pH、温度、濃度および浸漬時間などを変化させること、例えば、現像液よりもpH、温度、濃度を高くしたり、浸漬時間を長くしたりすることによって、ネガ型の感光性樹脂膜を用いた場合には露光部の、ポジ型の感光性樹脂膜を用いた場合には非露光部の感光性樹脂膜を完全に溶解して除去する。感光性樹脂膜剥離工程における剥離方法についても特に制限されず、浸漬現像、スプレー現像、ブラシ現像、超音波現像などの方法を用いることができる。
(第2エッチング工程)
続く第2エッチング工程では、第1エッチング工程によって形成された凹凸形状82を、エッチング処理によって鈍らせる(図1(i))。この第2エッチング処理によって、第1エッチング処理によって形成された凹凸形状82における表面傾斜が急峻な部分がなくなり、得られた金型を用いて製造された防眩フィルムの光学特性が好ましい方向へと変化する。
第2エッチング工程のエッチング処理も、第1エッチング工程と同様に、通常、塩化第二鉄(FeCl)液、塩化第二銅(CuCl)液、アルカリエッチング液(Cu(NH)4Cl)などを用い、表面を腐食させることによって行われるが、塩酸や硫酸などの強酸を用いることもできるし、電解めっき時と逆の電位をかけることによる逆電解エッチングを用いることもできる。
エッチング処理を施した後の凹凸の鈍り具合は、下地金属の種類、エッチング手法、および第1エッチング工程により得られた凹凸のサイズと深さなどによって変わりうるが、鈍り具合を制御する上で最も大きな因子は、エッチング量である。ここでいうエッチング量も、第1エッチング工程と同様に、エッチングにより削られる銅めっき加工層8の厚みである。エッチング量が小さいと、第1エッチング工程により得られた凹凸の表面形状を鈍らせる効果が不十分であり、その凹凸形状を透明フィルムに転写して得られる防眩フィルムの光学特性があまり良くならない。一方で、エッチング量が大きすぎると、凹凸形状がほとんどなくなってしまい、ほぼ平坦な金型となってしまうので、防眩性を示さなくなってしまう。そこで、エッチング量は1〜50μmの範囲内であることが好ましく、4〜20μmの範囲内であることがより好ましい。
第2エッチング工程におけるエッチング処理についても、第1エッチング工程と同様に、1回のエッチング処理によって行ってもよいし、エッチング処理を2回以上に分けて行ってもよい。ここでエッチング処理を2回以上に分けて行う場合には、2回以上のエッチング処理におけるエッチング量の合計が1〜50μmであることが好ましい。
(第4めっき工程)
続く第4めっき工程では、第2エッチング工程によって鈍らされた凹凸形状82を有する銅めっき加工層8の表面に、クロムめっき又はニッケルめっきからなる保護めっき層83を形成する。
クロムめっきの種類は特に制限されないが、いわゆる光沢クロムめっきや装飾用クロムめっきなどと呼ばれる、良好な光沢を発現するクロムめっきを用いることが好ましい。クロムめっきは通常、電解によって行われ、そのめっき浴としては、無水クロム酸(CrO)と少量の硫酸を含む水溶液が用いられる。電流密度と電解時間を調節することにより、クロムめっきの厚みを制御することができる。
ニッケルめっきの種類も特に制限されないが、いわゆる光沢ニッケルめっきなどと呼ばれる、良好な光沢を発現するニッケルめっきを用いることが好ましい。ニッケルめっきは電解によって行われることが好ましく、そのめっき浴としては硫酸ニッケル、塩化ニッケル、ホウ酸を含む水溶液が用いられる。電流密度と電解時間を調節することにより、ニケルめっきの厚みを制御することができる。
保護めっき層83を形成した後の金型表面の凹凸形状を、続く保護膜形成のための蒸着工程で殆ど変化させないことが好ましい。微細な凹凸形状が形成された銅めっき加工層8の表面に被覆性の高い保護めっき層83を形成することによって、工業的に有利に凹凸形状が鈍らせられ、その凹凸形状が防眩フィルム製造用金型として好ましい方向に変化するためである。
この際の凹凸形状の鈍り具合は、下地金属の種類、第1エッチング工程より得られた凹凸のサイズと深さ、まためっきの種類や厚みなどによって変わりうるが、鈍り具合を制御するうえで最も大きな因子は、めっき厚みである。保護めっき層の厚みが薄いと、保護めっき層形成前に得られた凹凸形状を鈍らせる効果が不十分であり、その凹凸形状を透明フィルムに転写して得られる防眩フィルムの光学特性があまり良くならない。一方で、めっき厚みが厚すぎると、生産性が悪くなるうえに、ノジュールと呼ばれる突起状のめっき欠陥が発生してしまうため好ましくない。そこで、保護めっき層の厚みは1〜10μmの範囲内であるのが好ましく、3〜6μmの範囲内であるのがより好ましい。
本発明では、保護めっき層84の銅めっき加工層8とは反対側の表面の凹凸形状は、JIS B 0601の規定に準拠した算術平均粗さRaが0.04μm以上0.1μm以下であることが好ましい。また、JIS B 0601の規定に準拠した最大断面高さRtが0.3μm以上0.6μm以下であることが好ましい。また、JIS B 0601の規定に準拠した平均長さRSmが50μm以上130μm以下であることが好ましい。
算術平均粗さRaが0.04μmを下回る場合には、その凹凸形状を透明フィルムに転写して得られる防眩フィルムの防眩性が不十分となる可能性がある。一方、算術平均粗さRaが0.1μmを上回る場合には、その凹凸形状を透明フィルムに転写して得られる防眩フィルムに白ちゃけが発生する虞がある。
最大断面高さ粗さRzが0.3μmを下回る場合には、その表面凹凸形状を透明フィルムに転写して得られる防眩フィルムの防眩性が不十分となる可能性がある。一方、最大断面高さ粗さRzが0.6μmを上回る場合には、その凹凸形状を透明フィルムに転写して得られる防眩フィルムに白ちゃけが発生する虞があるし、凹凸形状の均一性が低下してギラツキが発生する可能性がある。
また、平均長さRSmが50μmを下回る場合には、その凹凸形状を透明フィルムに転写して得られる防眩フィルムの防眩性が不十分となる可能性がある。一方、平均長さRsmが130μmを上回る場合には、その凹凸形状を透明フィルムに転写して得られる防眩フィルムにギラツキが発生する虞がある。
(蒸着工程)
続く蒸着工程では、保護めっき層83の銅めっき加工層8とは反対側の表面84に、炭素を主成分とする保護膜85を蒸着により形成する(図1(k))。炭素を主成分とする保護膜85は、光沢があって、硬度が高く、摩擦係数が小さく、良好な離型性を与え得る。この保護膜85によって、金型の表面硬度および耐摩耗性を向上させ、金型としての耐久性を向上させる。すなわち、保護膜85を形成することによって、使用中に凹凸が磨り減ったり、金型が損傷したりすることを防止することができる。
炭素を主成分とする保護膜としては、水素化アモルファス炭素膜、テトラヘドラル形アモルファス炭素膜、水素化テトラヘドラル形アモルファス膜、スパッタアモルファス炭素膜などのダイヤモンド・ライク・カーボンと呼ばれる保護膜が好ましい。なお、炭素を主成分とする保護膜は、他に水素や酸素などの他の元素をある程度含んでいてもよい。
これらの炭素を主成分とする保護膜の形成方法としては、各種の蒸着法を用いることができ、たとえば、水素化アモルファス炭素膜や水素化テトラヘドラル形アモルファス膜はプラズマCVD法やイオン化蒸着法などにより、テトラヘドラル形アモルファス炭素膜はイオンビーム蒸着法などにより、スパッタアモルファス炭素膜はスパッタリング法などにより形成される。
上記のように、本発明では、保護めっき層を施した後の金型表面の凹凸形状を、保護膜形成によって殆ど変化させず、金型の凹凸面として用いることが好ましい。よって、保護膜の厚みは0.1〜5μmの範囲内であることが好ましく、0.5〜3μmの範囲内であることがより好ましい。保護膜の厚みが薄いと、金型としての耐久性が不十分となる可能性がある。一方で、保護膜の厚みが厚すぎると、金型表面の凹凸形状が保護膜形成によって変化し、その凹凸形状を透明フィルムに転写して得られる防眩フィルムの光学特性があまり良くならない。また、保護膜の厚みが厚すぎると、生産性が悪くなるため好ましくない。
本発明では、金型表面の凹凸形状は、保護めっき層を施した後でも殆ど変化していないことが好ましい。よって、保護膜表面の凹凸形状は、保護めっき層表面の凹凸形状と同様に、JIS B 0601の規定に準拠した算術平均粗さRaが0.04μm以上0.1μm以下であることが好ましい。また、JIS B 0601の規定に準拠した最大断面高さRtが0.3μm以上0.6μm以下であることが好ましい。また、JIS B 0601の規定に準拠した平均長さRSmが50μm以上130μm以下であることが好ましい。
算術平均粗さRaが0.04μmを下回る場合には、その凹凸形状を透明フィルムに転写して得られる防眩フィルムの防眩性が不十分となる可能性がある。一方、算術平均粗さRaが0.1μmを上回る場合には、その凹凸形状を透明フィルムに転写して得られる防眩フィルムに白ちゃけが発生する虞がある。
最大断面高さ粗さRzが0.3μmを下回る場合には、その凹凸形状を透明フィルムに転写して得られる防眩フィルムの防眩性が不十分となる可能性がある。一方、最大断面高さ粗さRzが0.6μmを上回る場合には、その凹凸形状を透明フィルムに転写して得られる防眩フィルムに白ちゃけが発生する虞があるし、表面凹凸形状の均一性が低下してギラツキが発生する可能性がある。
また、平均長さRSmが50μmを下回る場合には、その凹凸形状を透明フィルムに転写して得られる防眩フィルムの防眩性が不十分となる可能性がある。一方、平均長さRsmが130μmを上回る場合には、その凹凸形状を透明フィルムに転写して得られる防眩フィルムにギラツキが発生する虞がある。
以下、実施例を挙げて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。また、以下の例における金型または防眩フィルムの評価方法は、次のとおりである。
〔1〕金型の表面粗さパラメータの測定
保護めっき層形成後の保護めっき層表面、および、保護膜形成後の保護膜表面についての算術平均粗さRa、最大断面高さ粗さRz、および平均長さRSmは、JIS B 0601:2001に規定される方法で測定した。具体的には、この規格に準拠した小形表面粗さ測定機 サーフテスト SJ−301(株式会社ミツトヨ製)を用いて測定を行った。
〔2〕防眩フィルムのヘイズの測定
防眩フィルムのヘイズは、防眩フィルムを光学的に透明な粘着剤を用いて防眩層形成面とは反対側の面でガラス基板に貼合し、該ガラス基板に貼合された防眩フィルムについて、ガラス基板側から光を入射させ、JIS K 7136に準拠した(株)村上色彩技術研究所製のヘイズメーター「HM−150」型を用いて測定した。
〔3〕金型の耐久性(保管後の劣化の程度)の評価
防眩フィルム製造用金型を常温常湿下で100日間保管し、保管後の表面状態を蛍光灯のついた明るい室内で目視で観察し、変色やムラの発生などの劣化の程度を目視で評価した。劣化の程度は1から3の3段階で次の基準により評価した。
劣化の程度 1:変色やムラの発生が観察されない。
2:変色やムラの発生などの劣化がわずかに観察される。
3:変色やムラの発生などの劣化が明確に観察される。
〔4〕防眩フィルムの防眩性能の評価
(映り込み、白ちゃけ、ムラの目視評価)
防眩フィルムの裏面からの反射を防止するために、凹凸面が表面となるように黒色アクリル樹脂板に防眩フィルムを貼合し、蛍光灯のついた明るい室内で凹凸面側から目視で観察し、蛍光灯の映り込みの有無、白ちゃけの程度、ムラの程度を目視で評価した。映り込み、白ちゃけおよびムラは、それぞれ1から3の3段階で次の基準により評価した。
映り込み 1:映り込みが観察されない。
2:映り込みが少し観察される。
3:映り込みが明瞭に観察される。
白ちゃけ 1:白ちゃけが観察されない。
2:白ちゃけが少し観察される。
3:白ちゃけが明瞭に観察される。
ムラ 1:ムラが観察されない。
2:ムラが少し観察される。
3:ムラが明瞭に観察される。
(ギラツキの評価)
ギラツキは次の手順で評価した。すなわち、まず図3に平面図で示すようなユニットセルのパターンを有するフォトマスクを用意した。この図において、ユニットセル40は、透明な基板上に、線幅10μmでカギ形のクロム遮光パターン41が形成され、そのクロム遮光パターン41の形成されていない部分が開口部42となっている。ここでは、ユニットセルの寸法が211μm×70μm(図の縦×横)、したがって開口部の寸法が201μm×60μm(図の縦×横)のものを用いた。図示するユニットセルが縦横に多数並んで、フォトマスクを形成する。
そして、図4に模式的な断面図で示すように、フォトマスク43のクロム遮光パターン41を上にしてライトボックス45に置き、ガラス板47に粘着剤で防眩フィルム1をその凹凸面が表面となるように貼合したサンプルをフォトマスク43上に置く。ライトボックス45の中には、光源46が配置されている。この状態で、サンプルから約30cm離れた位置49で目視観察することにより、ギラツキの程度を7段階で官能評価した。レベル1はギラツキが全く認められない状態、レベル7はひどくギラツキが観察される状態に該当し、レベル4はごくわずかにギラツキが観察される状態である。
<実施例1>
(金型Aの製造)
直径200mmのアルミロール(JISによるA5056)(金型用基材7)の表面70に厚さ100μmの下地銅めっき層71を形成し、回転砥石で研磨した後、シュウ酸銀水溶液を塗布して銀めっき剥離層72を形成した。銀めっき剥離層の厚みは1μm以下であった。次に、銀めっき剥離層上に厚さ120μmの銅めっき加工層8を形成した。銅めっき加工層8の表面80を鏡面研磨し、研磨された銅めっき加工層8表面に感光性樹脂を塗布、乾燥して感光性樹脂膜9を形成した(図1(a)〜(d)参照)。
次に、この図5に示すパターンを繰り返し並べたパターンを感光性樹脂膜9上にレーザー光によって露光し、現像した(図1(e)、(f)参照)。レーザー光による露光、および現像はLaser Stream FX((株)シンク・ラボラトリー製)を用いて行った。感光性樹脂膜9にはポジ型の感光性樹脂を使用した。
ここで、図5は、本実施例の防眩フィルム製造用金型を作製するために用いたパターンの一例である画像データの一部を表わした図である。図5に示したパターンである画像データは33mm×33mmの大きさで、12800dpiで作成した。また、図6は、実施例で使用した図5に示すパターンの1次元パワースペクトルを示す図である。図6に示されるように、1次元パワースペクトルを空間周波数に対する強度として表したときのグラフが、空間周波数0.007μm−1以上0.015μm−1以下において1つの極大値(第一の極大値)を有し、かつ、空間周波数0.05μm−1以上0.1μm−1以下において1つの極大値(第二の極大値)を有することが分かる。
その後、塩化第二銅液で第1のエッチング処理を行った。その際のエッチング量は4μmとなるように設定した。第1のエッチング処理後のロールから感光性樹脂膜を除去し、再度、塩化第二銅液で第2のエッチング処理を行った。その際のエッチング量は11μmとなるように設定した(図1(g)〜(i)参照)。
その後、クロムめっき加工を行い、保護めっき層83としてのクロムめっき層を形成した(図1(j)参照)。このときの、クロムめっき層の厚みは4μmとなるように設定した。また、クロムめっき層表面の算術平均粗さRaは0.06μmであり、最大断面高さ粗さRzは0.43μmであり、平均長さRSmは98μmであった。
その後、クロムめっき層上にスパッタ法によって保護膜85としてのダイアモンド・ライク・カーボン(DLC)膜を形成して金型Aを作製した(図1(k)参照)。このときの、DLC膜の厚みは0.5μmであった。また、DLC膜表面の算術平均粗さRaは0.06μmであり、最大断面高さ粗さRzは0.44μmであり、平均長さRSmは98μmであった。
(防眩フィルムAの製造)
光硬化性樹脂組成物GRANDIC 806T(大日本インキ化学工業(株)製)を酢酸エチルにて溶解して、50重量%濃度の溶液とし、さらに、光重合開始剤であるルシリンTPO(BASF社製、化学名:2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド)を、硬化性樹脂成分100重量部あたり5重量部添加して塗布液を調製した。厚み80μmのトリアセチルセルロース(TAC)フィルム上に、この塗布液を乾燥後の塗布厚みが6μmとなるように塗布し、60℃に設定した乾燥機中で3分間乾燥させた。乾燥後のフィルムを、先に得られた金型Aの凹凸面に、光硬化性樹脂組成物層が金型側となるようにゴムロールで押し付けて密着させた。この状態でTACフィルム側より、強度20mW/cmの高圧水銀灯からの光をh線換算光量で200mJ/cmとなるように照射して、光硬化性樹脂組成物層を硬化させた。この後、TACフィルムを硬化樹脂ごと金型から剥離して、表面に凹凸を有する硬化樹脂とTACフィルムとの積層体からなる、透明な防眩フィルムAを作製した。
<比較例1>
保護膜としてのDLC膜を形成しないこと以外は実施例1と同様にして金型Bを得た。得られた金型Bを用いたこと以外は、実施例1と同様にして防眩フィルムBを作製した。
<比較例2>
直径300mmのアルミロール(JISによるA5056)の表面を鏡面研磨し、研磨されたアルミ面に、ブラスト装置((株)不二製作所製)を用いて、ジルコニアビーズTZ−SX−17(東ソー(株)製、平均粒径:20μm)を、ブラスト圧力0.1MPa(ゲージ圧、以下同じ)、ビーズ使用量8g/cm(ロールの表面積1cmあたりの使用量、以下同じ)でブラストし、表面に凹凸をつけた。得られた凹凸つきアルミロールに対し、無電解ニッケルめっき加工を行い、金型Cを作製した。このとき、無電解ニッケルめっき厚みが15μmとなるように設定した。得られた金型Cを用いたこと以外は、実施例1と同様にして防眩フィルムCを作製した。
(金型の評価結果)
上記金型A〜C(実施例1、比較例1、2)についての上記評価の結果を表1に示す。
実施例1の防眩フィルム製造用金型(金型A)は非常に良好な耐久性を示した。また、実施例1の防眩フィルム製造用金型を用いて作製した防眩フィルムAは良好な防眩性能を示した。一方、保護膜を形成しなかった比較例1の金型Bでは、常温常湿下で保管後に白濁とムラの発生が確認された。また、本発明とは異なる製法によって作製した比較例2の金型Cでは、常温常湿下で保管後に白濁の発生が確認された上に、その金型Cを用いて作製した防眩フィルムCはギラツキが強く発生した。
40 フォトマスクのユニットセル、41 フォトマスクのクロム遮光パターン、42 フォトマスクの開口部、43 フォトマスク、45 ライトボックス、46 光源、47 ガラス板、49 ギラツキの観察位置、50 拡散板、7 金型用基材、71 下地銅めっき層、72 銀めっき剥離層、8 銅めっき加工層、80 表面、81 マスクの無い領域、82 凹凸形状、83 保護めっき層、84 保護めっき層の表面、85 保護膜、9 感光性樹脂膜、90 露光されていない領域、91 露光された領域。

Claims (5)

  1. 金型用基材と、
    該金型用基材上に形成された下地銅めっき層と、
    該下地銅めっき層上に形成された銀めっき剥離層と、
    該銀めっき剥離層上に形成された銅めっき加工層と、
    該銅めっき加工層上にクロムめっき又はニッケルめっきによって形成された保護めっき層と、
    該保護めっき層上に形成される炭素を主成分とする保護膜とを有し、
    前記保護膜の保護めっき層とは反対側の表面の算術平均粗さRaが0.04μm以上0.1μm以下であり、最大断面高さ粗さRzが0.3μm以上0.6μm以下であり、平均長さRSmが50μm以上130μm以下であることを特徴とする防眩フィルム製造用金型。
  2. 前記保護膜は蒸着により形成される、請求項1に記載の防眩フィルム製造用金型。
  3. 前記保護膜の厚さが0.1〜5μmである、請求項1または2に記載の防眩フィルム製造用金型。
  4. 請求項1に記載の防眩フィルム製造用金型を製造するための製造方法であって、
    金型用基材の表面に下地銅めっき層を形成する第1めっき工程と、
    前記下地銅めっき層上に銀めっき剥離層を形成する第2めっき工程と、
    前記銀めっき剥離層上に銅めっき加工層を形成する第3めっき工程と、
    前記銅めっき加工層の前記銀めっき剥離層とは反対側の表面を研磨する研磨工程と、
    研磨された前記銅めっき加工層の表面に感光性樹脂を塗布して感光性樹脂膜を形成する感光性樹脂膜形成工程と、
    前記感光性樹脂膜上にパターン露光する露光工程と、
    パターン露光された前記感光性樹脂膜を現像する現像工程と、
    現像された前記感光性樹脂膜をマスクとしてエッチング処理を行い、研磨された前記銅めっき加工層の表面に微細な凹凸形状を形成する第1エッチング工程と、
    第1エッチング工程後に前記感光性樹脂膜を剥離する感光性樹脂膜剥離工程と、
    第1エッチング工程によって形成された前記凹凸形状をエッチング処理によって鈍らせる第2エッチング工程と、
    第2エッチング工程によって鈍らされた前記凹凸形状を有する前記銅めっき加工層の表面に、クロムめっき又はニッケルめっきからなる保護めっき層を形成する第4めっき工程と、
    前記保護めっき層上に、炭素を主成分とする保護膜を蒸着により形成する蒸着工程とを含む、製造方法。
  5. 露光工程において、前記感光性樹脂膜上に露光されるパターンの一次元パワースペクトルを空間周波数に対する強度として表したときのグラフが、空間周波数0.007μm−1以上0.015μm−1以下において1つの極大値を有し、かつ、空間周波数0.05μm−1以上0.1μm−1以下において1つの極大値を有する、請求項4に記載の製造方法。
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