JP2011157610A - Dlc膜被覆部材およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】金属製基材と、その表面に被覆形成された、被熱処理炭素共析型電気クロムめっき膜と、その被熱処理炭素共析型電気クロムめっき膜表面に被覆形成されたDLC膜とからなるDLC膜被覆部材およびその部材の製造方法。
【選択図】図1
Description
なお、図2は、クロムめっき膜から放出される水素ガスの圧力が大きくなって、DLC膜の膨れ部が破裂した状況を示すものであり、使用中にこのような現象が発生するようなことは避けなければならない。
(1)前記被熱処理炭素共析型電気クロムめっき膜は、厚さ:0.5〜10mm、硬さHv:1000〜1100の特性を有する炭化クロム含有膜であって、熱処理によってめっき膜中の水素ガスが放出されていると共に、めっき直後の熱処理前より硬さが硬化して、Hv≧700の膜質に変化したものであること、
(2)前記被熱処理炭素共析型電気クロムめっき膜の表面に被覆されるDLC膜の残留応力が1.0GPa以下であること、
(3)前記DLC膜は、炭素と水素を主成分とするアモルファス状を呈し、厚さが0.5〜20μm、かつ貫通気孔率が3.4×10−2%以下の膜質のものであること、
(4)前記DLC膜は、炭素と水素を主成分として含む他、Siの微粒子を3〜20原子%の割合で含む固形物含有皮膜であること、
(5)炭素共析型電気クロムめっき膜の熱処理は、空気中、不活性ガス中あるいは真空中のなかから選ばれるいずれかの環境中で、温度;150〜500℃、時間;0.5〜25時間の条件で行うこと、
が、より好ましい解決手段を与える。
(1)金属製基材表面に、DLC膜のアンダーコートとして被覆形成した炭素共析型電気クロムめっき膜を熱処理することによって、炭素共析型電気クロムめっき膜の特性を改善すること、とくに水素ガス発生起因を予め除去しておくことで、使用中のDLC膜の膨れ現象を未然に防止することができ、DLC膜の長期に亘る皮膜密着性が向上する。
(2)被熱処理炭素共析型電気クロムめっき膜は、熱処理によって硬さが上昇するので、大きな面圧を受けるような用途部材として適用すれば効果がある。
(3)電気クロムめっき膜の熱処理は、大気中、不活性ガス中、真空中のいずれでも可能であるうえ、熱処理温度も150〜500℃という低温下で行うことができ、また、時間も概ね25時間以内で処理することができるので、生産性に富み、経済的である。
基材としては金属製基材を用いる。具体的には、炭素鋼や低合金鋼、各種ステンレス鋼などの鋼鉄系のものをはじめ、Alおよびその合金、Tiおよびその合金、Mg合金、Niおよびその合金、銅およびその合金などが基材として好適である。これらの金属製基材は、機械装置用部材としての利用範囲が広いうえ、良好な電気伝導性を有し、次工程の電気めっき処理に対しても、好適な電気化学的性質を有しているからである。
前記金属製基材の表面を、機械加工や研削・研磨、酸洗、脱脂などの前処理を行った後、その表面に、クロム(Cr)を電気めっきして炭素共析型電気クロムめっき膜を被覆形成する。めっき液としては、表1に示すような成分組成の、金属クロムと炭化クロムを共析させるのに用いられる、蓚酸含有クロム酸液や蟻酸含有クロム酸液が推奨される。このようなめっき液を用いて電気めっきすると、炭素共析型電気Crめっき膜が形成されることになる。このめっき膜の厚さとしては、0.5μm〜10μmの範囲が好適である。該炭素共析型電気Crめっき膜が0.5μmより薄いと、均等なめっき膜が得られず、一方、10μm以上厚くしても、DLC膜との密着性効果が格段に向上するものではなく、生産コストの上昇を招くからである。
この工程は、本発明における最も特徴的な処理を行う工程である。前述のようにして得られる炭素共析型電気Crめっき膜を被覆形成した金属製基材は、次に、空気中、不活性ガス中あるいは真空中から選ばれるいずれかの環境中で、150〜500℃の温度にて0.5〜25hの条件の熱処理を行う。この熱処理の目的は、電気めっき処理時にCrめっき膜中に捕捉され、固溶化した水素ガスを、外部(膜外)へ放出させることにある。このことによって、該炭素共析型電気Crめっき膜上に被覆形成するDLC膜を被覆形成した後に、時間の経過とともに該めっき膜から放出される水素ガスによって、DLC膜の“膨れ現象”が発生するのを防止することができるのである。
現在、DLC膜の形成方法としては、プラズマCVD法、イオン化蒸着法、アークイオンプレーティング法、プラズマブースタ法など多くの方法が知られている。また、形成されるDLC膜の性質は、被覆形成の方法やその条件によって異なるのが普通である。一般に、DLC膜は、高硬度で表面摩擦係数の小さいものを製造しようとした場合、成膜時の残留応力が大きくなる傾向がある。一般に、もしDLC膜を厚く成長させようとすると、皮膜内部の残留応力値が大きくなり、時として基材との接合力よりも大きくなって、アンダーコートの有無にかかわらず該DLC皮膜が剥離することがあった。これは電気クロムめっき膜の水素ガス発生に起因する膨れ現象由来のものとも異なる。それ故に、発明者らの経験によると、硬質のDLC膜の最大厚さは3μm未満にとどまっていることが普通である。なお、ここで言う硬質のDLC膜とは、硬さHv:3000程度以上のものである。
(イ)常温(18℃)での気相状態のもの
CH4、CH2CH2、C2H2、CH3CH2CH3、CH3CH2CH2CH3
(ロ)常温で液相状態のもの
C6H5CH3、C6H5CH2CH、C6H4(CH3)2、CH3(CH2)4CH3、C6H12、
一般に、DLC膜は、硬く耐摩耗性に優れているものの、成膜時に大きな残留応力が発生するため、柔軟性に欠けるという傾向がある。そのため、DLC膜に局部的な微小欠陥が発生したり、また、基材やアンダーコートとDLC膜との熱膨張係数の相違に起因する熱応力の発生によって剥離しやすくなるので、成膜時のDLC膜は、残留応力を軽減させることが重要である。
被熱処理炭素共析型電気Crめっき膜からなるアンダーコート層の上に被覆形成した前記DLC膜は平滑であり、成膜状態のままで十分に使用可能なものが得られる。しかし、DLCの膜厚が大きくなるほど平滑性が低下する傾向があり、特に、膜厚の10μm以上に達する場合には、精密なラッピング加工処理を施した方が、DLC膜の特性をより発揮できる場合がある。さらに、厚膜にしたDLC膜の表面は、レーザビームや電子ビーム熱源によって、彫刻加工が容易となるので、目的に応じて上記のような加工処理を施してもよい。
気相状態の炭化水素ガスから析出する、アモルファス状炭素水素固形物微粒子の堆積層であるDLC膜は、必然的に残留応力が発生する。即ち、大きな残留応力を内蔵するDLC膜は、膜厚が大きくなればなるほど残留応力も大きくなる。そして、最終的には、その残留応力が膜の密着強さより大きくなって、DLC膜が剥離するに至ので、厚膜のDLC膜を被覆形成する場合には、予め残留応力値を測定し、その許容応力値(残留応力によって決定される限界膜厚)を決定することが重要である。
本発明では、被熱処理炭素共析型電気Crめっき膜の表面に被覆形成するDLC膜の気孔率(正確には貫通気孔率)を定量的に求めるため、(社)日本機械学会が制定した「ドライコーティング膜の欠陥評価試験方法、JSME S010・1996」に従う、電気化学的手法を適用することとした。すなわち、DLC膜を構成する炭素と水素を主成分とする成分は、酸、アルカリに対して腐食されず、膜成分そのものは耐食性に優れているものの、DLC膜に小さくても貫通気孔が存在すると、この気孔を通って、腐食成分が内部へ侵入して、基材またはアンダーコートを腐食する原因となる。
但し、Fは、DLC膜の貫通気孔部から浸入した電解液によって溶出した試験片基材部の形態因子であるが、本発明では測定時間が短いため計算上省略した。
この実施例では、炭素共析型電気Crめっき膜の表面に被覆形成するDLC膜の貫通気孔率と水素ガスに起因するDLC膜の膨れ現象の関係を調査した。
(1)供試基材
供試基材としてSUS304鋼(寸法:幅30mm×長さ50mm×厚さ3.2mm)を用いた。
(2)Crめっき
SUS304鋼基材の全面に対して、表1に示す蓚酸含有液を用いて、炭素共析型電気Crめっき膜を2mmの厚さに施工した。
(3)DLC膜の形成
炭素共析型電気Crめっき膜の表面に、膜厚0.3〜20μmのDLC膜をプラズマCVD法によって被覆形成した。
(4)DLC膜の貫通気孔率の測定法
供試DLC膜の貫通気孔率は、JSME S010に規定されている電気化学的手法によって求めた。
(5)膨れの観察方法
DLC膜表面の膨れ現象は、下記の条件にて試験した。
条件(A);炭素共析型電気Crめっき膜(無処理)の表面に直接DLC膜を被覆形成した後、50℃の環境に500h放置し、その後、DLC膜の表面を拡大鏡(×8)を用いて、膨れ現象の有無を観察した。
条件(B);電気Crめっき膜を施工したSUS304鋼試験片を、200℃×2hの熱処理を行った後、その被熱処理炭素共析型電気Crめっき膜の表面に所定のDLC膜を被覆形成した。さらに、試験片を50℃の環境に500h放置した後、条件(A)と同じ方法によって、膨れ現象の有無を観察した。
なお、比較として電気Crめっき膜を施工しないSUS304鋼試験片の表面に直接DLC膜を被覆形成したものも準備し、前記条件(A)、(B)による試験に用いた。
(6)試験結果
試験結果を表4に要約した。この結果から明らかなように、SUS304鋼上に、DLC膜を直接被覆形成した(No.1)には、条件(A)、(B)の環境においても、膨れ現象は発生せず、基材のSUS304鋼からのDLC膜の膨れを促すような水素ガスの発生はなかったものと考えられる。
これに対して、電気Crめっき膜の表面に被覆形成したDLC膜(No.3〜8)については、50℃の環境で500h放置すると、小さな膨れ現象の発生が認められ、この放置時間中に電気Crめっき膜中に吸収され固溶化されていた水素ガスが放出され、この結果、DLC膜が局部的に膨れたことを示している。また、これらの膨れ現象は、No.3〜8のDLC膜の貫通気孔率では、水素ガスの膜通過ができないほどの緻密性を有していることを物語っている。一方、No.2のDLC膜のように貫通気孔率が高い場合には(1.1×10−1%)、たとえ水素ガスが発生したとしても、水素ガスが膜を通過して外部へ放出されるため、膨れ現象の発生には到らなかったものと思われる。
この実施例では、炭素共析型電気Crめっき膜の膜厚と、そのめっき膜熱処理条件とが、DLC膜の膨れ現象に及ぼす影響について調査した。
(1)供試基材
供試基材として、SUS304鋼から寸法:幅30mm×長さ50mm×厚さ3.2mmの試験片を切り出した。
(2)電気Crめっき処理
試験片の全面に直接、表1に示す蟻酸含有液を用いてめっきした炭素共析型電気Crめっき膜を、0.5、1.0、3.0、10、20mmの厚さに形成した。
(3)熱処理条件
炭素共析型電気Crめっき膜を形成した試験片を空気中で、温度100℃〜180℃に25h、250℃は2h、500℃は0.5hの熱処理を施した。なお、比較例として室温(20℃)に50h放置した電気Crめっき膜の試験片も準備した。
(4)DLC膜の形成
熱処理後の炭素共析型電気Crめっき膜試験片の表面に、プラズマCVD法によって、膜厚3μm(貫通気孔率0.8×10−2%)のDLC膜を被覆形成した。
(5)DLC膜の膨れ現象の観察方法
DLC膜を被覆形成した試験片を50℃の恒温槽中に、500h放置した後、DLC膜の表面を拡大鏡(×10)を用いて観察し、水素ガスに起因する膨れ現象の有無を調査した。
(6)試験結果
試験結果を表5に要約した。この結果から明らかなように、室温および熱処理温度150℃未満の条件で処理した炭素共析型電気Crめっき膜表面のDLC膜には、すべて膨れ現象が観察され、めっき膜中に吸収、固溶化された水素ガスが残存していることがわかる。また、DLC膜の膨れ現象は、めっき膜が薄いと少なく、めっき膜が厚いほど、このめっき膜中に固溶化している水素ガス量が多いことが認められた。これに対して、150℃以上の温度で0.5〜2h熱処理した被熱処理炭素共析型電気Crめっき膜の表面に被覆形成したDLC膜には、膨れ現象が観察されず、熱処理によってめっき膜中の水素ガスが放出されていたことが確認された。
この実施例では、基材表面に形成した炭素共析型電気めっき膜の種類と熱処理環境を変化させ、DLC膜の表面に発生する水素ガスに起因する膨れ現象の有無について調査した。
(1)供試基材
供試基材として、S45C鋼から寸法:幅30mm×長さ50mm×厚さ3.2mmの試験片を切り出した。
(2)電気Crめっき処理
試験片の全面にわたって、Cu、Niなどの下地めっきを施した後、表1に示す蓚酸含有液を用いて電気めっきし、炭素共析型電気Crめっき膜を形成したものと、Cu、Niめっき膜のみの試験片も、比較のため準備した。
(3)熱処理条件
それぞれのめっき膜を形成した試験片は、空気中、Arの不活性ガス中および真空中において、それぞれ2hの熱処理を行った後、DLC膜を被覆形成した。また、比較用の試験片として、熱処理を施していないめっき膜上にDLC膜を被覆形成した試験片も用意した。
(4)DLC膜の形成
めっき膜を形成しただけの上記試験片および熱処理を行っためっき膜試験片の表面に対して、プラズマCVD法によって、厚さ3μmのDLC膜(貫通気孔率0.8×10−2%)を被覆形成した。
(5)DLC膜の膨れ現象の観察方法
実施例2と同じ条件と方法で実施した。
(6)試験結果
試験結果を表6に要約した。この結果から明らかなように、熱処理を施さずに、DLC膜を被覆形成した試験片には、すべて膨れ現象が発生した。とくに、CuやNiの電気めっき膜の表面に形成したDLC膜にも、膨れ現象が認められたことから、めっき膜中に固溶化される水素ガスは、Crめっき膜に限らず、電気めっき膜全体の問題であることがわかる。ただ、Cu、Niめっき膜に形成されたDLC膜に発生する膨れ現象は、Crめっき膜の場合に比較すると、発生頻度が小さい傾向がある。
一方、被熱処理電気めっき膜の表面に被覆形成したDLC膜には、熱処理環境が空気中、不活性ガス中、真空中のいずれの場合においても膨れ現象は認められなかった。
この実施例では、炭素共析型電気Crめっき膜の熱処理の有無と、その表面に被覆形成したDLC膜の密着性をJIS R3255に規定されている薄膜の密着性を評価するためのスクラッチ試験を適用して調査した。
(1)供試基材
供試基材として、SUS304鋼、SS400鋼、Al(JIS H4000規定の1050級を用い、それぞれの基材から寸法:幅30mm×長さ50mm×厚さ3.2mmの試験片を切り出した。
(2)電気Crめっき処理
試験片の全面に表1に示す蟻酸含有液を用いて電気めっきし、炭素共析型電気Crめっき膜を直接、2μm厚に形成した。なお、比較例としてCrめっき膜を施工しない試験片を準備した。
(3)熱処理条件
炭素共析型電気Crめっき膜を形成した試験片を空気中で、SUS304鋼とSS400鋼は250℃×2h、Alは180℃×5hの熱処理を行った。
(4)DLC膜の形成
熱処理後の被熱処理炭素共析型電気Crめっき膜試験片の全面に、プラズマCVD法によって、膜厚2μmのDLC膜(貫通気孔率1.0×10−2%)を被覆形成した。
(5)スクラッチ試験方法
スクラッチ試験方法は、JIS R3255に規定されているガラス基板上に形成された薄膜の付着試験方法に準じて実施した。具体的には、ダイヤモンド針に30Nの負荷を与えつつ、針を移動することによって発生する傷の状態を拡大鏡によって観察して、DLC膜の剥離の有無を調査した。
(6)試験結果
スクラッチ試験結果を表7に要約した。この結果から明らかなように、試験片に直接DLC膜を被覆形成した場合(No.1、4、7)では、スクラッチ疵の周辺のDLC膜に剥離現象が明瞭に観察され、密着性に乏しいことがわかる。これに対して、炭素共析型電気Crめっき膜を形成後DLC膜を直に被覆形成した場合(No.2、5、8)および炭素共析型電気Crめっき膜を熱処理した後、DLC膜を被覆形成した試験片(No.3、6、9)は、いずれもDLC膜の表面にスクラッチ疵は発生するものの、剥離部は認められず良好な密着性を維持している状況が確認された。これらの結果から、炭素共析型電気Crめっき膜の場合、これを熱処理しても、その表面に被覆形成するDLC膜の密着性に悪影響を与えないことが判明した。
この実施例では、電気Crめっき膜の熱処理の有無と、Siを共析させたDLC膜の膨れ現象との関係を調査した。
(1)供試基材
供試基材として、SUS304鋼を用い、寸法:幅30mm×長さ50mm×厚さ3.2mmの試験片を作製した。
(2)電気Crめっき処理
試験片の全面に直接、炭素共析型電気Crめっき膜を3μm厚に形成した。
(3)熱処理条件
炭素共析型電気Crめっき膜を形成した試験片を空気中で、240℃×2hの熱処理を施した。なお、比較例として、熱処理を施さない電気Crめっき膜試験片も準備した。
(4)DLC膜の形成
電気Crめっき膜試験片の全面に対して、プラズマCVD法によって、厚さ3μmのDLC膜を被覆形成したが、膜中にSi微粒子(粒径2.34×10−10m)を3、8、15、30原子%共析させた。また、Si微粒子を共析させないDLC膜も作製した。
(5)DLC膜の膨れ現象の観察方法
実施例2と同じ条件と方法で実施した。
(6)試験結果
試験結果を表8に要約した。この結果から明らかなように、炭素共析型電気Crめっき膜形成試験片を熱処理せずに、しかも通常のDLC膜を被覆形成したもの(No.1)では、複数ヵ所に膨れ現象の発生が認められた。これに対して、同じめっき膜だけと、熱処理してなるものに対し、Siを共析させたDLC膜(No.2〜5)を被成したものでは、膨れ現象は全く観察されなかったので、本発明に係る炭素共析型電気Crめっき膜に対する熱処理の施工は、水素ガスに起因するSi共析DLC膜の場合でも、同様に膨れ現象が防止できることが判明した。
52 被処理体
53 導体
54 高電圧パルス発生電源
55 プラズマ発生用電源
56 重畳装置
57a、57b バルブ
58 アース線
59 高電圧導入端子
Claims (11)
- 金属製基材と、その表面に被覆形成された、被熱処理炭素共析型電気クロムめっき膜と、その被熱処理炭素共析型電気クロムめっき膜表面に被覆形成されたDLC膜とからなることを特徴とするDLC膜被覆部材。
- 前記被熱処理炭素共析型電気クロムめっき膜は、厚さ:0.5〜10mm、硬さHv:1000〜1100の特性を有する炭化クロム含有膜であって、熱処理によってめっき膜中の水素ガスが放出されていると共に、めっき直後の熱処理前より硬さが硬化して、Hv≧700の膜質に変化したものであることを特徴とする請求項1に記載のDLC膜被覆部材。
- 前記被熱処理炭素共析型電気クロムめっき膜の表面に被覆したDLC膜の残留応力が1.0GPa以下であることを特徴とする請求項1または2に記載のDLC膜被覆部材。
- 前記DLC膜は、炭素と水素を主成分とするアモルファス状を呈し、厚さが0.5〜20μm、かつ貫通気孔率が3.4×10−2%以下の膜質のものであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1に記載のDLC膜被覆部材。
- 前記DLC膜は、炭素と水素を主成分として含む他、Siの微粒子を3〜20原子%の割合で含む固形物含有皮膜であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1に記載のDLC膜被覆部材。
- 金属製基材の表面に、蓚酸もしくは蟻酸を含有するクロム酸めっき液中で電気めっきして得られる炭素共析型電気クロムめっき膜を被覆形成し、次いで、その炭素共析型電気クロムめっき膜を熱処理することにより、被熱処理炭素共析型電気クロムめっき膜とし、その後、その被熱処理炭素共析型電気クロムめっき膜の表面にDLC膜を被覆形成することを特徴とするDLC膜被覆部材の製造方法。
- 前記被熱処理炭素共析型電気クロムめっき膜は、厚さ:0.5〜10mm、硬さHv:1000〜1100の特性を有する炭化クロム含有膜であって、熱処理によってめっき膜中の水素ガスが放出されていると共に、めっき直後の熱処理前より硬さが硬化して、Hv≧700の膜質に変化したものであることを特徴とする請求項1に記載のDLC膜被覆部材の製造方法。
- 前記被熱処理炭素共析型電気クロムめっき膜の表面に被覆したDLC膜の残留応力が1.0GPa以下であることを特徴とする請求項6または7に記載のDLC膜被覆部材の製造方法。
- 炭素共析型電気クロムめっき膜の熱処理は、空気中、不活性ガス中あるいは真空中のなかから選ばれるいずれかの環境中で、温度;150〜500℃、時間;0.5〜25時間の条件で行うことを特徴とする請求項6〜8のいずれか1に記載のDLC膜被覆部材の製造方法。
- 前記DLC膜は、炭素と水素を主成分とするアモルファス状を呈し、厚さが0.5〜20μm、かつ貫通気孔率が3.4×10−2%以下の膜質のものであることを特徴とする請求項6〜9のいずれか1に記載のDLC膜被覆部材の製造方法。
- 前記DLC膜は、炭素と水素を主成分として含む他、Siの微粒子を3〜20原子%の割合で含む固形物含有皮膜であることを特徴とする請求項6〜10のいずれか1に記載のDLC膜被覆部材の製造方法。
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