JP2013176417A - 表皮材の止着用クリップへの取付構造 - Google Patents

表皮材の止着用クリップへの取付構造 Download PDF

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Abstract

【課題】止着用クリップを大型化することなく、押し込み作業時の上面の指当たり面積を広げられるようにする。
【解決手段】表皮材3の止着用クリップ10への取付構造である。止着用クリップ10は、表皮材3の裏面に取り付けられたサスペンダ3Cを差し込みにより係着させるチャック部11と、クッションパッド2の吊込み溝2A内に押し込みにより引掛けられるフック部12と、を有する。チャック部11は、サスペンダ3Cの差し込みによりサスペンダ3Cに両挟み状に弾性変形して掛着し、サスペンダ3Cの上面に形状を引掛けた状態となって係合する一対の挟持片11Aを備える。サスペンダ3Cには、サスペンダ3Cがチャック部11の各挟持片11Aの間に差し込まれて係着された状態時に、各挟持片11Aの間の隙間11Gから突出して、各挟持片11Aの上面11Dとの間に形成される段差を縮めて高さを近似させる突出部3C3が形成されている。
【選択図】図7

Description

本発明は、表皮材の止着用クリップへの取付構造に関する。詳しくは、表皮材をクッションパッドの吊込み溝内に吊り込んで止着させるための止着用クリップに取り付ける、表皮材の止着用クリップへの取付構造に関する。
従来、車両用シートにおいて、表皮材をクッションパッドの表面に密着させた状態に張設するために、表皮材の所々の面部を、樹脂製の止着用クリップを用いて、クッションパッドに形成された吊込み溝内に吊り込んで止着させる技術が知られている(下記特許文献1参照)。上記止着用クリップは、表皮材の裏面に共縫いされた綿布の先に取り付けられたサスペンダを差し込んで係着させるためのチャック部と、クッションパッドの吊込み溝内に一部が露呈するように埋設された止着用のワイヤーに引掛けられて係止されるフック部と、を有する。上記チャック部は、サスペンダを内部に差し込むことにより、サスペンダに両挟み状に弾性変形して掛着し、サスペンダの上面に形状を引掛けた状態となって、サスペンダに一体的に係着される構成となっている。
特開2006−122594号公報
しかし、上記特許文献1に開示された従来技術では、止着用クリップにサスペンダを係着させた後、止着用クリップをクッションパッド内の止着用のワイヤーに押し込んで掛着させる際、その押し込み力を止着用クリップの上面にかけるときに、その指当たりの面積がチャック部の両挟持片の上面しか広さがなく、押し込みの作業性が悪い。本発明は、上記問題を解決するものとして創案されたものであって、本発明が解決しようとする課題は、止着用クリップを大型化することなく、押し込み作業時の上面の指当たり面積を広げられるようにすることにある。
上記課題を解決するために、本発明の表皮材の止着用クリップへの取付構造は次の手段をとる。
第1の発明は、表皮材をクッションパッドの吊込み溝内に吊り込んで止着させるための止着用クリップに取り付ける、表皮材の止着用クリップへの取付構造である。止着用クリップは、表皮材の裏面に取り付けられたサスペンダを差し込みにより係着させることのできるチャック部と、クッションパッドの吊込み溝内に押し込みにより引掛けられて掛着されるフック部と、を有する。チャック部は、サスペンダの差し込みによりサスペンダに両挟み状に弾性変形して掛着し、サスペンダの上面に形状を引掛けた状態となって係合する一対の挟持片を備えた構成とされる。サスペンダには、サスペンダがチャック部の一対の挟持片の間に差し込まれて係着された状態時に、一対の挟持片の間の隙間から突出して、一対の挟持片の各上面との間に形成される段差を縮めて高さを近似させる突出部が形成されている。
この第1の発明によれば、表皮材のサスペンダを止着用クリップのチャック部に差し込んで係着させた状態では、サスペンダに形成された突出部が、チャック部の両挟持片の間に突出し、両挟持片の各上面との間の段差を縮めて、サスペンダ(突出部)の上面と両挟持片の各上面との高さが近似された状態となる。これにより、止着用クリップにサスペンダを係着させた後、止着用クリップをクッションパッドの吊込み溝内に押し込みにより引掛ける際に、その押し込み力をかける止着用クリップの上面に、上記サスペンダ(突出部)の上面によって指当たりの面積が広く確保され、押し込みの作業性を向上させることができる。
第2の発明は、上述した第1の発明において、突出部が一対の挟持片の各上面よりも低く突出しているものである。
この第2の発明によれば、止着用クリップの上面に押し込み力をかける際に、表皮材、もしくは表皮材とサスペンダとを繋ぐ綿布ごと、止着用クリップの上面に押し込み力をかけても、表皮材もしくは綿布の厚みが、サスペンダの突出部と両挟持片の各上面との間に形成される段差により吸収される。したがって、止着用クリップに押し込み力をかけるための指当たり面を、より面一に近い状態にすることができ、押し込みの作業性を更に向上させることができる。
実施例1の表皮材の吊込み構造を示す断面図である。 図1の状態を斜めの角度から見て示した斜視図である。 止着用クリップの斜視図である。 止着用クリップを反対側から見た斜視図である。 サスペンダをチャック部に差し込む途中の状態を示した拡大図である。 サスペンダをチャック部に係着させた状態を示した拡大図である。 止着用クリップをワイヤーに押し込む途中の状態を示した段階図である。 図7の状態から止着用クリップを更にワイヤーに押し込んだ状態を示した段階図である。 図8の状態から止着用クリップを更にワイヤーに押し込んだ状態を示した段階図である。 図9の状態から止着用クリップを更にワイヤーに押し込んだ状態を示した段階図である。 止着用クリップがワイヤーに掛着された状態を示した図である。 他の実施例のサスペンダの突出部の形状を示した拡大図である。
以下に、本発明を実施するための形態について、図面を用いて説明する。
始めに、実施例1の表皮材3の止着用クリップ10への取付構造について、図1〜図11を用いて説明する。本実施例の表皮材3の止着用クリップ10への取付構造は、図1〜図2に示すように、車両用シートのシートクッション1の表面に被覆される布製の表皮材3の一部を、クッションパッド2に形成された吊込み溝2A内に吊り込んで止着させるための止着用クリップ10に取り付ける取付構造に関するものである。
すなわち、上記表皮材3は、これをクッションパッド2の表面に密着させた見栄えの良い状態に張設するために、その所々の裏面部が、上述した止着用クリップ10によって、クッションパッド2に形成された吊込み溝2A内に吊り込まれて止着された状態に張設されている。この吊り込みにより、表皮材3が、シートクッション1の着座部となる中央部と、そのサイドに膨らんで形成されるサイドサポート部と、の間の境界部位など、表皮材3の張設に「浮き」や「皺」などの不具合が生じやすい箇所においても、クッションパッド2の表面に密着した見栄えの良い状態に張設されている。
上記止着用クリップ10は、ポリプロピレンやポリエチレン等の合成樹脂材料により形成されており、チャック部11と、フック部12と、を有する。チャック部11は、表皮材3の裏面部に取り付けられた樹脂製のサスペンダ3Cを差し込みにより一体的に係着させられるようになっている。フック部12は、クッションパッド2の吊込み溝2A内に一部が露呈するように埋設された止着用のワイヤー2Cに引掛けて係着させられるようになっている。上記チャック部11は、詳しくは、図4〜図6に示すように、上記サスペンダ3Cを図示上方側から差し込むことで、サスペンダ3Cに両挟み状に弾性変形して掛着し、サスペンダ3Cの上面に形状を引掛けた状態となって抜け止め可能に係着する一対の挟持片11Aを有する。
上記一対の挟持片11Aは、図3に示すように、チャック部11の底面部11E上から、それぞれ図示上方側に向かって互いに離間する斜め外方側に向かって開くように延出し、それらの上端部において、互いに内向する側に向かって延びる掛部11Bがそれぞれ形成され、更に各掛部11Bの内側の端部から図示下方側に向かって突出する係合突起11Cを有する形状となっている。上記一対の挟持片11Aの各掛部11Bの間には、上述したサスペンダ3Cを上方側から差し込めるようにするための隙間11Gが設定されている。
ここで、上記サスペンダ3Cは、上記表皮材3の裏面部(縫合部3A)に沿って共縫いされた長尺帯状の吊込み布3Bの図示下端側の縁部に沿って縫合されて取り付けられている。上記吊込み布3Bは、詳しくは、表皮材3のクッションパッド2の吊込み溝2A内に吊り込まれる部位の裏面部に沿って設定された、表皮材3の面材同士が縫合される縫合部3Aに沿って共縫いされて結合されている。サスペンダ3Cは、この吊込み布3Bの図示下端側の縁部に沿って所々に断続的に設けられて縫合されている。サスペンダ3Cが断続的に設けられていることにより、サスペンダ3Cが設定されていないところでは、表皮材3を自由に曲げ撓ませやすくなっており、表皮材3をクッションパッド2の形に沿った状態に好適に張設させられるようになっている。
上述したサスペンダ3Cは、図2及び図4に示すように、その差し込みの先端側となる下端側に向かって形状が先細り状に延びる逆三角形の横断面形状に形成されており、その先細り形状の両側面を成す各面が、それぞれ、外側に膨らむように湾曲した傾斜面3C1として形成されている。詳しくは、上記サスペンダ3Cは、その上面の中央部に、上方側に突出する突出部3C3が形成されている。この突出部3C3の構成については、後に詳しく説明することとする。また、上記サスペンダ3Cの突出部3C3の両サイドの上面部上には、それぞれ上方側に向かって突出する係合突起3C2が形成されている。これら係合突起3C2は、突出部3C3よりも低く突出しており、突出部3C3と共にサスペンダ3Cの長手方向に連続的に延びる条状に形成されている。上記サスペンダ3Cは、図4〜図6に示すように、上記止着用クリップ10のチャック部11に対して、次のように差し込まれて係着されている。
すなわち、図4に示すように、上記サスペンダ3Cは、これを上記チャック部11の両挟持片11Aの掛部11Bの間の隙間11G内に差し込むように下方側へ押し込むことにより、各掛部11Bがサスペンダ3Cの各傾斜面3C1によって両外側に押し開けられるように力を受ける。これにより、各挟持片11Aが、その底面部11Eとの結合点となる下端部を支点に両外側に押し開かれるように撓み変形し、両挟持片11Aの間の隙間11G内にサスペンダ3Cが差し込まれる。このサスペンダ3Cの差し込みは、図6に示すように、サスペンダ3Cが両掛部11Bとの当接から下方側へ抜けて、サスペンダ3Cの先端部(下端部)がチャック部11の底面部11E上に設けられた立板状のストッパ11Fに押し付けられて受け止められる位置まで行えるようになっている。この差し込みにより、サスペンダ3Cとの当接から外れた両挟持片11Aが復元変形して両掛部11Bが開口を閉じる方向(内方向)に移動して、サスペンダ3Cが、上記閉じられた両挟持片11Aによって両側から挟持されると共に、両掛部11Bによってチャック部11から抜けないように囲い込まれた状態となる。ここで、上記ストッパ11Fは、上記両挟持片11Aの根元部間を繋ぐように、これらと底面部11Eとに結合された状態で形成されている。
上記サスペンダ3Cの差し込みの後、差し込み力が除荷されることにより、図6に示すように、サスペンダ3Cが、ストッパ11Fの復元変形に伴う弾発力によって、差し込み方向とは反対方向に押し戻される。これにより、サスペンダ3Cは、その上面部上の両端部に形成された各係合突起3C2が各挟持片11Aの各掛部11Bに押し当てられて係止されると共に、各係合突起3C2の両内側(突出部3C3との間の溝内)に、各掛部11Bの内側の端部に形成された各係合突起11Cがそれぞれ係合する。この係合により、サスペンダ3Cは、図1に示すように、その使用時に、表皮材3にかかる張力作用によって、チャック部11に対して図示右方側や左方側、或いは長手方向側に斜めに引張られるような力がかけられても、上記係合突起3C2,11C同士の係合により、チャック部11に対して抜け外れないように強固に抜け止めされた状態に保持されるようになっている。
次に、フック部12の構成について説明する。図3〜図4に示すように、フック部12は、上述したチャック部11の各挟持片11Aの横並び方向と同じ並び方向に対向配置されたガイド片12A及びフック片12Bと、チャック部11の底面部11Eの底面側に形成された湾曲形状の受止片12Cと、を有する。ガイド片12Aは、図4に示すように、上記チャック部11の一方側の挟持片11Aの上方側に延びる途中の外側面部上から下方側へ垂下するように延出して形成されている。また、フック片12Bは、図3に示すように、上記チャック部11の他方側の挟持片11Aの上方側に斜めに延出する下部側領域の外側の面部上から延出して、下方側へ向かってガイド片12Aと対向する内側に鉤状に曲がる形に延出して形成されている。
受止片12Cは、チャック部11の底面部11Eの底面側に凹状に湾曲する湾曲面12C1を形成するように形成されている。上記フック部12は、図7〜図11に示すように、これをクッションパッド2の吊込み溝2A内に露呈するワイヤー2Cに向けて押し込むように操作することにより、ワイヤー2Cを上述したガイド片12Aとフック片12Bの曲げられた先端部分とによって形成される先細り状の隙間内へと導く(図7参照)。そして、更に押し込みを進行させると、ガイド片12Aとフック片12Bとがワイヤー2Cによりそれぞれ互いの間の隙間を広げるように外側へ撓み(図8参照)、ワイヤー2Cをガイド片12Aとフック片12Bと受止片12Cとによって囲まれた空間12D内に入り込ませる(図9〜図10参照)。これにより、ガイド片12Aとフック片12Bの各変形が戻されて、ワイヤー2Cがフック片12Bによって抜け止め可能に引掛けられて係着された状態となる(図11参照)。
具体的に説明すると、上述したガイド片12Aには、そのフック片12Bと対向する下部領域の内側面部上に、図示上方側に向かって突出量が大きくなっていく傾斜状の形に突出するガイド突起12A1が形成されている。また、フック片12Bは、その鉤状に曲げ返された先端の中央部に、先端側に向かって先細り状に尖って突出する尖り部12B1が形成されている。上記尖り部12B1は、図7に示すように、その自由状態では、上述したガイド片12Aのガイド突起12A1と近接した状態をとるように形成されている。
また、受止片12Cは、図9〜図10に示すように、上記ガイド片12Aとフック片12Bの先端部分との間の隙間内に差し込まれたワイヤー2Cを、その湾曲面12C1の形状によって、フック片12Bの曲げ返し部分の直上位置にくるように案内して位置決めするように案内するようになっている。上記湾曲面12C1は、上記フック片12Bの曲げ返し部分の直上位置に、その凹みの最も深い部分がくる形に形成されており、図10に示すように、差し込まれたワイヤー2Cがその面上に当接することで、ワイヤー2Cをその最も深く凹む面の位置まで移動案内するようになっている。
上記フック部12は、先に、前述した表皮材3の裏面部に取り付けられたサスペンダ3Cを止着用クリップ10のチャック部11に差し込んで係着させた状態にしてから、作業者が止着用クリップ10の上面11Dに指で押し付け力をかけて、フック部12をクッションパッド2の吊込み溝2A内に露呈するワイヤー2Cに押し込むことでワイヤー2Cに止着される。ここで、図2に示すように、上記ワイヤー2Cは、クッションパッド2の発泡成形時にインサート成形されることで、吊込み溝2Aよりも更に深い箇所に埋め込まれた状態として設けられている。そして、吊込み溝2Aの所々の箇所に吊込み溝2Aよりも更に深く凹むように止着溝2Bが形成されることにより、ワイヤー2Cの所々の部位が外部に露呈した状態として設けられている。
上記フック部12は、図7に示すように、上述した止着溝2B内に露呈するワイヤー2Cに押し込まれて、ワイヤー2Cがガイド片12Aのガイド突起12A1とフック片12Bの尖り部12B1との間の隙間内に差し込まれることにより、ガイド片12Aとフック片12Bとがそれぞれワイヤー2Cの押し込み力によって、それらの根元部となる各挟持片11Aの各側面部との結合端部を支点にそれぞれ両外側に押し開かれるように撓み変形し(図8参照)、ワイヤー2Cを上述した受止片12Cの湾曲面12C1上に当接する位置まで受け入れる(図9参照)。
これにより、ガイド片12A及びフック片12Bが、ワイヤー2Cとの当接状態から外れて復元変形し、ガイド突起12A1とフック片12Bの尖り部12B1との間の開口隙間が閉じられる。詳しくは、上記ワイヤー2Cの差し込み時におけるガイド片12Aとフック片12Bの撓み変形は、前述したようにガイド片12Aの方がフック片12Bよりも高い位置(ワイヤー2Cが差し込まれる方向に対して遠い位置)でチャック部11の側部に結合されており、その片持ち状とされて片の長さが長くなっている構成により、ガイド片12Aの方がフック片12Bよりもより大きく外側に撓み変形しやすくなっている。
上記フック部12のワイヤー2Cへの差し込みは、図10に示すように、フック部12の押し込み力によって、ワイヤー2Cが上記湾曲面12C1の形状による案内によって、湾曲面12C1の凹みが最も深くなる箇所に到達する位置まで行えるようになっており、この位置でフック部12の押し込み力を取り除くことにより、図11に示すように、止着用クリップ10が表皮材3にかかる張力作用によって差し込み方向とは反対方向に引張り込まれて、ワイヤー2Cがフック片12Bに掛かった状態となって止着される。これにより、表皮材3の一部が、クッションパッド2の吊込み溝2A内に吊り込まれて止着された状態とされて保持される。
ここで、上記フック片12Bの曲げ返し部となる下端側部位の外側部(図示右側部)には、フック片12Bが曲げ返される方向とは反対方向に曲げ返される形の治具掛部12B2が形成されている。この治具掛部12B2は、フック部12に係着されたワイヤー2Cを、フック部12との係着から外す際に、図示しないドライバー等の治具をその曲げ返された溝形状内に差し込んでフック片12Bを外側に強制的に曲げ変形させることにより、ガイド片12Aとの間の隙間を広げてワイヤー2Cをフック部12から外し出せるようにするためのものとなっている。
ところで、図3〜図4及び図7に示すように、上述したフック部12のガイド片12Aとフック片12Bには、それぞれ、上記ワイヤー2Cが間に差し込まれる各内面側の部位に、ワイヤー2Cに差し込まれる側に向かって突出する突起12A2,12B3が形成されている。具体的には、ガイド片12Aに形成された側の突起12A2は、ガイド片12Aのガイド突起12A1が傾斜状に立ち上がっていく根元側の端部箇所に1個、山状に突出する形に形成されている。また、フック片12Bに形成された側の突起12B3は、フック片12Bの底面側となる鉤状に曲げ返された傾斜部位箇所に1個、差し込み方向側に山状に突出する形に形成されている。上記フック片12Bに形成された突起12B3は、上述したフック片12Bに形成された尖り部12B1と、差し込み方向に一列に並んで配置形成されている。
上述した各突起12A2,突起12B3は、それぞれ、図7〜図11に示すように、フック部12を吊込み溝2A内のワイヤー2Cに差し込む際に、吊込み溝2A内にクッションパッド2の成形不具合によりクッションパッド2の肉部(不具合の肉部2D)が張り出して形成されていても、各突起12A2,12B3がこの不具合の肉部2Dにかかることで、この肉部2Dを切り裂いて、ガイド片12Aやフック片12Bが上記不具合の肉部2Dによって外側へ押しずらされないように真っ直ぐに差し込めるように機能するものとなっている。このように、上記ガイド片12Aとフック片12Bとにそれぞれ突起12A2,12B3が形成されていることにより、止着用クリップ10にかける押し込み力により、各突起12A2,12B3により不具合の肉部2Dを切り裂いて、フック部12をワイヤー2Cに適切に押し込んで掛着させることができる。
ところで、図7に示すように、上述した止着用クリップ10のチャック部11に表皮材3のサスペンダ3Cを装着した後、作業者が止着用クリップ10の上面11Dに指で押し付け力をかけてフック部12をワイヤー2Cに掛着させる際、止着用クリップ10に指を押し当てられる指当たり面は、チャック部11の各挟持片11Aの上面11Dに限られる。そこで、本実施例では、上記止着用クリップ10の上面11Dに押し付け力をかける際の指当たり面を広く確保するために、チャック部11に装着されるサスペンダ3Cの上部に、各挟持片11Aの各上面11Dとの間の段差を縮めて高さを近似させる突出部3C3が形成されている。
上記突出部3C3は、サスペンダ3Cがチャック部11に差し込まれて強固に一体的に係着された状態において、各挟持片11Aの各上面11Dよりも僅かに低い高さ位置まで突出する大きさに形成されており、その上面は、上側に凸となる形に丸く湾曲して形成されている。また、突出部3C3の上記湾曲した上面の両角は、丸く面取りされており、上面が丸く形成されていることにより、この上面から続く両角の丸めのアールが、指当たりの良い緩やかな湾曲となる形に形成されている。
したがって、上記突出部3C3により、作業者が止着用クリップ10の上面11Dに指で押し付け力をかける際には、止着用クリップ10の上面11Dに、上記サスペンダ3Cの突出部3C3の上面が近似した高さ位置に位置することとなり、押し込み力をかけられる指当たり面積が広く確保されるため、押し込み作業がしやすくなっている。詳しくは、上記押し込み力は、実際には、止着用クリップ10の両上面11Dに跨って指を当てるため、サスペンダ3Cの突出部3C3の上面から延びる吊込み布3Bが、突出部3C3の上面に折り畳まれる形で押し込み力がかけられる態様となる。そのことを考慮して、突出部3C3は止着用クリップ10の各上面11Dよりも僅かに低い高さ位置まで突出する大きさに設定されており、押し込み力がかけられる際に、吊込み布3Bが突出部3C3の上面に折り重なることで、止着用クリップ10の各上面11Dとの段差がより縮められて面一状に近づけられるため、実際の指当たり面が、面一状に近い形で連続的に広く形成されるようになっている。
また、上記のように突出部3C3が止着用クリップ10の各上面11Dよりも僅かに低い高さ位置まで突出する大きさに設定されていることで、止着用クリップ10の両上面11Dに跨って指を当てる際に、指の腹が、止着用クリップ10の各上面11Dと突出部3C3との間の僅かな段差(凹部)内に収まりやすくなり、段差が飛び出ている場合と比べて指が滑りにくくなっている。したがって、互いに高さが近似された止着用クリップ10の各上面11Dと突出部3C3の上面とに跨って、広く力を分散させて安定した態様で押し込み力をかけることができる。この押し込み力をかける際には、サスペンダ3Cはチャック部11に強固に掛着して差し込み方向にほとんど一体の状態に結合された状態となっているため、突出部3C3に押し込み力がかけられても、サスペンダ3Cがチャック部11内に沈み込むことなく、常に突出部3C3と止着用クリップ10の各上面11Dとの高さ位置が近似した状態のままで、これらに押し込み力を分散させてかけられるようになっている。
このように、本実施例の止着用クリップ10によれば、表皮材3のサスペンダ3Cを止着用クリップ10のチャック部11に差し込んで係着させた状態では、サスペンダ3Cに形成された突出部3C3が、チャック部11の両挟持片11Aの間に突出し、両挟持片11Aの各上面11Dとの間の段差を縮めて、サスペンダ3Cの突出部3C3の上面と両挟持片11Aの各上面11Dとの高さが近似された状態となる。これにより、止着用クリップ10にサスペンダ3Cを係着させた後、止着用クリップ10をクッションパッド2の吊込み溝2A内に押し込みにより引掛ける際に、その押し込み力をかける止着用クリップ10の上面11Dに、上記サスペンダ3Cの突出部3C3の上面によって指当たりの面積が広く確保され、押し込みの作業性を向上させることができる。
また、突出部3C3が止着用クリップ10の各上面11Dよりも僅かに低い高さ位置まで突出する大きさに設定されていることで、止着用クリップ10の上面11Dに押し込み力をかける際に、表皮材3とサスペンダ3Cとを繋ぐ吊込み布3Bごと、止着用クリップ10の上面11Dに押し込み力をかけても、吊込み布3Bの厚みが、サスペンダ3Cの突出部3C3と両挟持片11Aの各上面11Dとの間に形成される段差により吸収される。したがって、止着用クリップ10に押し込み力をかけるための指当たり面を、より面一に近い状態にすることができ、押し込みの作業性を更に向上させることができる。
以上、本発明の実施形態を1つの実施例を用いて説明したが、本発明は上記実施例のほか各種の形態で実施できるものである。例えば、本発明の表皮材の止着用クリップへの取付構造は、車両用シートのシートクッション以外にも、シートバック等の他のシート構造部において、表皮材の一部をクッションパッドに形成された吊込み溝内に吊り込んで止着させるための用途のものに適用することができる。また、上記車両用シート以外の各種の同様の構成(表皮材の一部をクッションパッドに形成された吊込み溝内に吊り込んで止着させる構成)に対しても、本発明の表皮材の止着用クリップへの取付構造を適用することができる。また、サスペンダに形成する突出部の上面は、平坦であってもよく、凹状に湾曲した形状であってもよい。また、図12に示すように、サスペンダ3Cに形成する突出部3C3が、止着用クリップの上面11Dと面一状に面を形成する位置まで突出して形成されていてもよい。また、突出部が、止着用クリップの上面よりも突出して形成されていてもよい。
1 シートクッション
2 クッションパッド
2A 吊込み溝
2B 止着溝
2C ワイヤー
2D 不具合の肉部
3 表皮材
3A 縫合部
3B 吊込み布
3C サスペンダ
3C1 傾斜面
3C2 係合突起
3C3 突出部
10 止着用クリップ
11 チャック部
11A 挟持片
11B 掛部
11C 係合突起
11D 上面
11E 底面部
11F ストッパ
11G 隙間
12 フック部
12A ガイド片
12A1 ガイド突起
12A2 突起
12B フック片
12B1 尖り部
12B2 治具掛部
12B3 突起
12C 受止片
12C1 湾曲面
12D 空間

Claims (2)

  1. 表皮材をクッションパッドの吊込み溝内に吊り込んで止着させるための止着用クリップに取り付ける、表皮材の止着用クリップへの取付構造であって、
    前記止着用クリップは、前記表皮材の裏面に取り付けられたサスペンダを差し込みにより係着させることのできるチャック部と、前記クッションパッドの前記吊込み溝内に押し込みにより引掛けられて掛着されるフック部と、を有し、
    前記チャック部は、前記サスペンダの差し込みにより該サスペンダに両挟み状に弾性変形して掛着し、該サスペンダの上面に形状を引掛けた状態となって係合する一対の挟持片を備えた構成とされ、
    前記サスペンダには、該サスペンダが前記チャック部の前記一対の挟持片の間に差し込まれて係着された状態時に、該一対の挟持片の間の隙間から突出して、前記一対の挟持片の各上面との間に形成される段差を縮めて高さを近似させる突出部が形成されていることを特徴とする表皮材の止着用クリップへの取付構造。
  2. 請求項1に記載の表皮材の止着用クリップへの取付構造であって、
    前記突出部が前記一対の挟持片の各上面よりも低く突出していることを特徴とする表皮材の止着用クリップへの取付構造。
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