JP2013176365A - プロテアーゼを含有するパン・菓子の製造方法 - Google Patents

プロテアーゼを含有するパン・菓子の製造方法 Download PDF

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Hiroshi Kaneshige
寛 兼重
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志之和 瀧
Yuki Otsubo
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Abstract

【課題】経時変化によるべたつきの増加や保形性の低下が起こらないなど生地安定性の高いパン・菓子用生地、また該生地を用いてなる、さっくりと軟らかい食感で口溶けのよいパン・菓子、さらにはそれらの生地を作製する時にべたついたり、生地粘度が極端に低下することなく作業性を損なわないパン・菓子の製造方法を提供する。
【解決手段】生地中の小麦粉の蛋白質含量が7.0〜17.0重量%であり、40℃での相対活性が40%以下のエンド型プロテアーゼを小麦粉100gあたり50〜3300U含有するパン・菓子用生地混合物を10〜40℃で捏ねあげて生地を作成し、この生地を、加熱調理までの間の最高到達温度を40℃以下に維持し、加熱調理してパン・菓子を作製する。
【選択図】なし

Description

本発明は、プロテアーゼを含有するパン・菓子及びその製造方法に関する。
パンや菓子の主原料は小麦粉であり、小麦粉の蛋白質の主成分はグルテニンとグリアジンである。これらは水と共に練ることで結合し、弾性をもったグルテンという蛋白質重合体を形成するため、生地に粘りが出る。従来からこの性質を上手く利用してパン・菓子は製造されている。
パン生地においては、発酵により生じる炭酸ガスを包蔵させたり、保形性を低下させないために、グルテンを形成させ強固なネットワークを形成することが必要である。このため、蛋白質含量の高い強力粉を使用するのが一般的である。しかし、生地中で一旦形成されたグルテンは、加熱調理後もパンの中に存在しており、その影響で、硬くねちゃついて口の中に残留感のある口溶けの悪い食感となってしまうという問題があった。
ケーキ等の菓子生地においては、大量の気泡を生地中に含ませて加熱調理するため、気泡を安定化させるために、生地に若干の粘性を付与する必要がある。このためグルテンの形成がある程度必要であるが、パンのように強固なネットワークを形成させる必要はない。このため、なるべく蛋白質含量の低い薄力粉が使用される。しかし、蛋白質含量が極めて低い薄力粉は希少であり、コスト面からも大量に使用することは難しく、ほとんどの場合において、蛋白質含量が7〜9重量%程度の薄力粉が使用される。近年の工業生産においては、簡便で連続生産が可能な方法であるオールインミックス法が主流であり、上記のような薄力粉を使用してこの方法を用いると、生地が捏ねられてグルテンが必要以上に形成されてしまうため、焼き上がりのケーキの食感が硬くねちゃつき、口の中に残留感のある口溶けが悪いものとなってしまうという問題があった。
また小麦粉を極力捏ねないよう、小麦粉を除く原材料を先に起泡させた後に小麦粉を添加する後粉法やシュガーバッター製法があるが、これらの製法は作業工程が煩雑で生産効率が悪く、大量生産を目的とした菓子の工業生産にあまり適していなかった。
このような課題を解決しようと、さっくりと軟らかく口溶けのよいパンや菓子を製造する方法として、従来から種々の検討がなされており、アミラーゼや乳化剤を使用して製造する方法が一般的である。しかしこれらの方法は、焼成により糊化した澱粉が再結晶化するのを抑制し、経時による食感のぱさつきを抑えるものであり、グルテンの質は改質されず、根本的に上記課題を改善することはできていない。
またグルタチオン等の還元剤を含む生地改質材を使用することも一般的である。しかし、グルタチオンは蛋白質中のジスルフィド結合のみを還元すると考えられており、過剰に形成されたグルテンを充分に分解処理できず、上記課題を解決するには至っていない。
さらに、プロテアーゼを用いてグルテンを生地中で処理させる方法が提案されている。例えば、蛋白質分解酵素を含有する製パン用油中水型乳化油脂組成物があるが(特許文献1)、これは灰分が高い小麦粉を使用した場合にでも良好な物性のパン生地ができることを目的としており、実施例で使用しているプロテアーゼはこれまで通常使用されてきたものであり、至適温度が約50℃程度と低い。このため、このプロテアーゼを使用したパン生地は安定性が低く、パン生地の作業性が悪化し、良質なパンを得ることができなかった。
また練りパイ用ドウをプロテアーゼ処理した後に成形して焼成する方法が提案されているが(特許文献2)、試験例1に記載のパパインは、一般的なものと思われ、該パパインを用いて作製した練りパイ用ドウ(生地)は、製造後24時間を超えると、酵素反応が過剰に進みすぎて、パイ用ドウのダレ、べたつきが生じ、パイ生地の作業性が著しく悪化する旨が記載されている。作業性を確保するためには、このようなプロテアーゼをごく少量しか使用できず、その場合、パイの食感への効果はほとんど期待できない。
これらのプロテアーゼは、これまで通常使用されてきたもので、その至適温度は40〜60℃であり、パンや菓子作製時の生地の最高到達温度を40℃以下に維持しても比較的高い活性を有するため、生地作製から加熱調理前までの間に蛋白質の分解を促進し、形成されたグルテン構造を破壊してしまい、生地安定性に乏しく、生地がべたついて作業性を悪化させたりする。安定した作業性を確保するためには、上記プロテアーゼの添加量をごく少量に抑える必要があるが、その場合パン・菓子の食感が充分に改善されることはない。このためパン・菓子生地にこれまで通常使用されてきたプロテアーゼを使用しても、安定的に良質なパン・菓子を大量生産することは極めて難しい。
このように、生地作製時にべたつくことがなくて作業性が良く、さっくりと軟らかく口溶けのよいパン・菓子を、煩雑な方法を使わず安定的に製造できる方法は従来まで提案されていない。
特開2010−200696号公報 特開平04−71442号公報
本発明の目的は、経時変化によるべたつきの増加や保形性の低下が起こらないなど生地安定性の高いパン・菓子用生地、また該生地を用いてなる、さっくりと軟らかい食感で口溶けのよいパン・菓子、さらにはそれらの生地を作製する時にべたついたり、生地粘度が極端に低下することなく作業性を損なわないパン・菓子の製造方法を提供することである。
本発明者らは上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、生地中の小麦粉の蛋白質含量が特定量であり、40℃での相対活性が低いエンド型プロテアーゼを小麦粉100gあたり特定量含有するパン・菓子用生地混合物を低温で捏ねあげ、焼成までの間の最高到達温度を40℃以下に維持して得られる生地を加熱調理して得られたパン・菓子は、作業時に生地がべたついたり、生地粘度が極端に低下することなく、また得られる生地は経時変化によるべたつきの増加や保形性の低下が起こらないなど生地安定性が高く、それを用いて作製したパン・菓子はさっくりと軟らかい食感で口溶けがよいことを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明の第一は、生地中の小麦粉の蛋白質含量が7.0〜17.0重量%であり、40℃での相対活性が40%以下のエンド型プロテアーゼを含有するパン・菓子用生地混合物を10〜40℃で捏ねあげ、得られる生地を加熱調理するパン・菓子の製造方法であって、エンド型プロテアーゼを小麦粉100gあたり50〜3300U含有するように生地混合物に混ぜてから、加熱調理までの間の最高到達温度を40℃以下に維持することを特徴とするパン又は菓子の製造方法に関する。本発明の第二は、生地中の小麦粉の蛋白質含量が7.0〜17.0重量%であり、40℃での相対活性が40%以下のエンド型プロテアーゼを、小麦粉100gあたり50〜3300U含有することを特徴とするパン又は菓子用生地に関する。
上記エンド型プロテアーゼは、好ましい実施態様では至適温度が約60〜80℃であり、より好ましくは、Carica papaya L.から抽出されたパパイン、又はAnanas comosus M.から抽出されたブロメラインである。
また、上記パン・菓子の製造方法では、40℃での相対活性が40%以下のエンド型プロテアーゼを、該エンド型プロテアーゼを含有する水中油型乳化油脂組成物、油中水型乳化油脂組成物又はショートニングなどの油脂組成物の形態で生地混合物に混ぜてもよい。
本発明の第三は、上記記載のパン又は菓子用生地を加熱調理してなるパン又は菓子に関する。
本発明の第四は、40℃での相対活性が40%以下のエンド型プロテアーゼを含有するパン又は菓子用油脂組成物に関する。好ましい実施態様では、前記油脂組成物は、水中油型乳化油脂組成物、油中水型乳化油脂組成物又はショートニングである。
本発明に従えば、経時変化によるべたつきの増加や保形性の低下が起こらないなど生地安定性の高いパン・菓子用生地、また該生地を用いてなる、さっくりと軟らかい食感で口溶けのよいパン・菓子、さらにはそれらの生地を作製する時にべたついたり、生地粘度が極端に低下することなく作業性を損なわないパン・菓子の製造方法を提供することができる。加えて、海外産などの蛋白質含量の多い小麦粉を使っても、軟らかさをコントロールしたパン・菓子を容易に製造することができる。
以下、本発明につき、さらに詳細に説明する。本発明のパン・菓子の製造方法は、生地中の小麦粉の蛋白質含量が特定量であり、40℃での相対活性が特定値以下のエンド型プロテアーゼを含有するパン・菓子用生地混合物を特定温度で捏ねあげ、得られる生地を加熱調理するパン・菓子の製造方法であって、エンド型プロテアーゼを生地混合物に混ぜてから加熱調理までの間の最高到達温度を特定温度以下に維持することを特徴とする。
本発明のパンとは、小麦粉を原料として加熱調理して製造されるものであれば、その他特に限定はなく、例えば、食パン、あんパンやクリームパン等の菓子パン、クロワッサン等のデニッシュペストリー、ロールパン、フランスパン等の堅焼きパン、バラエティブレッド、サンドイッチ等の調理パン、蒸しパン、またはそれらの二次加工品、或いはレンジ調理を必要とするもの等、いかなるパンでもよい。
本発明の菓子とは、小麦粉を原料として加熱調理して製造されるものであれば、その他特に限定はなく、例えば、ショートケーキ等のスポンジケーキ類、パウンドケーキやマドレーヌ、フィナンシェ、バウムクーヘン等のバターケーキ類、シュー菓子類、サバラン等の発酵菓子類、ワッフル類、タルトやミルフィーユ等のフィュタージュ類、パンケーキやクレープ等のデザート菓子類、ドーナツ類、ビスケットやクッキー等のビスケット類、どら焼きや饅頭、カステラ、げっぺい等の和菓子類またはそれらにチョコレートやクリーム、ジャム、あんこ等のフィリングをコーティング、サンド、注入、包あんした加工品等、いかなる菓子でもよい。
本発明において、パン・菓子用生地混合物とは、穀粉類を始めとする原材料を加熱調理前に混合した原料混合物のことであり、穀粉類はあらかじめ水や他の原材料とある程度捏ねあげていても良いし、α化などを施していても良い。そして、最終的に加熱調理する前の捏ねあがった生地混合物をパン・菓子用生地とする。
本発明でパン・菓子の製造に用いる小麦粉は、蛋白質含量が7.0〜17.0重量%であれば、その他特に限定はなく、単一品種の小麦から製造された小麦粉、或いはそれらのブレンド品でもよい。蛋白質含量が7.0重量%未満であると、グルテンが過剰に形成されず、本発明の効果が期待できない場合がある。蛋白質含量が17.0重量%を超えると、エンド型プロテアーゼを添加しても、生地中で一旦形成されたグルテンが加熱調理後もパン・菓子の中にも存在し、その影響で、焼き上がりの食感が硬くねちゃつき、口の中に残留感のある口溶けが悪いものとなってしまう場合がある。
本発明のエンド型プロテアーゼは、40℃での相対活性が40%以下であることが好ましく、35%以下がより好ましく、30%以下が更に好ましい。40℃での相対活性が40%を超えると、生地中でグルテンの分解が進み、生地がべたついたりして作業性が悪化したり、保形性や安定性が低下し、加熱調理時のパン・菓子の浮きが悪くなり、食感が硬くなる場合がある。ここでいう相対活性とは、酵素の至適温度における活性値に対する各温度での相対値(%)で表した数値である。
前記エンド型プロテアーゼの至適温度は、約60〜80℃であることが好ましい。至適温度が60℃より低いと、一般的なパン・菓子生地作製時の温度である10〜40℃でグルテンの分解が進み、生地がべたついて作業性が悪化したり、保形性や安定性が低下したりして、加熱調理時のパン・菓子の浮きが悪くなり、食感が硬くなる場合がある。至適温度が80℃より高いと、加熱調理後もプロテアーゼ活性が残存することがあり、加熱調理後のパン・菓子の品質管理が困難になる場合がある。
そして、40℃での相対活性が40%以下且つ至適温度が60〜80℃のエンド型プロテアーゼの具体例としては、Carica papaya L.から抽出されたパパイン、又はAnanas comosus M.から抽出されたブロメラインなどが挙げられ、それらの群より選ばれる少なくとも1種を使用できる。
本発明におけるプロテアーゼの活性値は、例えば、食品添加物公定書(第8版)「ブロメライン」欄(421頁〜422頁)に記載の測定方法に従って測定することができる。当該測定方法の概要は、プロテアーゼがカゼインをどの程度消化できるか吸光度(275nm)により定量するというものであり、1分間にチロシン1μgに相当するアミノ酸を生成する酵素量が1Uである。
本発明のエンド型プロテアーゼのパン・菓子用生地混合物への添加量は、小麦粉100gあたり50〜3300Uであることが好ましく、より好ましくは300〜3000U、さらに好ましくは300〜2000Uである。50Uよりも少ないと、プロテアーゼの蛋白質分解作用が不足する場合があり、3300Uよりも多いと、生地中でグルテンの分解が進み、生地がべたついたりして作業性が悪化したり、保形性や安定性が低下し、加熱時のパン・菓子の浮きが悪くなり、食感が硬くなる場合がある。小麦粉の蛋白質含量が前記の範囲であり、エンド型プロテアーゼの添加量が前記の範囲であれば、生地混合物へのエンド型プロテアーゼの添加は、最終的に加熱調理する前のパン・菓子用生地作製工程のどの段階で行っても良い。また、生地混合物へのエンド型プロテアーゼの添加は、全量を一括で添加してもよいし、複数回に分割して添加してもよい。なお、上記した小麦粉に対するエンド型プロテアーゼの添加量(U)は、各プロテアーゼ(酵素)の比活性(U/g)と添加量(g)の積である。
本発明に使用できる原材料としては、上記のような蛋白質含量が7.0〜17.0重量%である小麦粉と、40℃での相対活性が40%以下のエンド型プロテアーゼ以外にも、通常パン・菓子に使用されるいかなる原材料を使用してもよく、必要に応じて、油脂製品、糖類、卵、乳製品、ココア、でん粉、穀物粉、食塩、フルーツ、ナッツ、香辛料、酵母、酒、水及びそれらの加工品、乳化剤、香料、着色料、膨張剤、酸化防止剤、増粘剤、酸味料、甘味料、pH調整剤、保存料、酵素、イーストフード、その他の生地改良剤等の食品添加物を添加してもよい。
本発明のパン・菓子の製造は、以下のような方法に従うことが好ましい。即ち、前記小麦粉に前記エンド型プロテアーゼを添加したパン・菓子用生地混合物を、40℃以下、好ましくは10〜40℃、より好ましくは10〜35℃で捏ねあげ、前記エンド型プロテアーゼを生地混合物に混ぜてから加熱調理までの間の最高到達温度を40℃以下に維持することが好ましい。ここでは、添加したエンド型プロテアーゼが加熱調理するまではできるだけ働かないようにすることが重要である。パンの製法としては、ストレート法、ノータイム法、中種法等が挙げられる。また菓子の製法としては、オールインミックス法、後粉法、シュガーバッター法、フラワーバッター法等が挙げられる。
本発明における加熱調理とは、焼いたり、揚げたり、蒸したり、蒸し焼きにしたり、レンジ調理したりする加工のことを言い、加熱中の最高到達温度が90℃を超えることが好ましい。最高到達温度が90℃を超えない場合、または加熱調理しない場合は、エンド型プロテアーゼの酵素活性が残存するため、パン・菓子の品質管理が極めて困難な場合があるため、好ましくない。
前記においてパン・菓子用生地混合物を捏ねあげる温度が40℃を超えると、生地中でグルテンの分解が進み、生地がべたついたり、粘度が極端に低下して作業性が悪化したり、保形性や安定性が低下し、加熱調理時のパン・菓子の浮きが悪くなり、食感が硬くなる場合がある。また、エンド型プロテアーゼを生地混合物に混ぜてから加熱調理までの間の最高到達温度が40℃を超えると、生地中でグルテンの分解が進み、生地がべたついたり、粘度が極端に低下して作業性が悪化したり、保形性や安定性が低下し、加熱調理時のパン・菓子の浮きが悪くなり、食感が硬くなる場合がある。このため、湯種パンやシューの製造においては、生地温度が40℃以下になってからエンド型プロテアーゼを混ぜる必要がある。前記条件を満たしていれば、加熱調理前に冷蔵あるいは冷凍しても構わない。
本発明に係るパン・菓子の製造方法において、前記エンド型プロテアーゼを生地混合物に添加する際は、そのまま生地混合物に添加してもよいし、前記エンド型プロテアーゼを含有する油脂組成物の形態、例えば、水中油型乳化油脂組成物、油中水型乳化油脂組成物、ショートニングの何れかの形態で含有させて添加してもよい。
前記エンド型プロテアーゼを含有する水中油型乳化油脂組成物は、例えば次のように製造することができる。まず油脂に、必要に応じて乳化剤やその他油溶性成分を溶解させた油相部を調製する。次に、水にエンド型プロテアーゼを添加し、さらに必要に応じて、糖類や糖アルコール類、その他水溶性成分を溶解させた水相部を調製し、攪拌しながら前記水相部に前記油相部を投入して水中油型乳化液を調製する。そして必要に応じて殺菌工程を経てから、この乳化液をホモジナイザーで均質化しながら10〜60℃まで冷却し、必要に応じてテンパリング処理して水中油型乳化油脂組成物を得ることができる。
また前記エンド型プロテアーゼを含有する油中水型乳化油脂組成物は、水中油型乳化油脂組成物の場合と同様にして油相部と水相部を調製する。それから前記油相部を攪拌しながら、そこへ前記水相部を投入して油中水型乳化液を調製し、必要に応じて殺菌工程を経てから、この乳化液を常法通り冷却捏和し、必要に応じてテンパリング処理して油中水型乳化油脂組成物を得ることができる。
本発明のショートニングは、常法に従い作製される水分を含まない油脂組成物であればよく、固形でも液状でもよく、親油性の原材料、例えば乳化剤などを添加してもよい。その際、前記エンド型プロテアーゼは油脂組成物中に添加され、分散した状態となる。その製造方法は特に限定はないが、溶解させた油脂を冷却捏和し、必要に応じてテンパリング処理してショートニングを得ることができる。
以下に実施例を示し、本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。
<パン・菓子の食感評価>
実施例・比較例で得られたパン・菓子を、焼成してから2日後に熟練した10人のパネラ−に食べてもらい、さっくりさ、軟らかさ、口溶けの観点で各々食感を評価し、その結果を集約した。その際の評価基準は以下の通りである。
(さっくりさ)
1点:非常にねちゃつく、2点:ややねちゃつく、3点:普通である、4点:ややさっくりしている、5点:非常にさっくりしている。
(軟らかさ)
1点:非常に硬い、2点:やや硬い、3点:普通である、4点:やや軟らかい、5点:非常に軟らかい。
(口溶け)
1点:非常に悪い、2点:やや悪い、3点:普通である、4点:やや良い、5点:非常に良い。
<パンの比容積評価>
実施例・比較例で得られたパンの比容積を以下のようにして求めた。レーザー体積計((株)アステックス製「WinVM2000」)を用いてワンローフ型食パンの体積(単位:cc)を計測し、体積を重量(単位:g)で除して比容積を計算した。
<パン生地作業性評価>
実施例・比較例におけるプルマン型及びワンローフ型食パン作製時の作業性について総合的に評価した。その際の評価基準は以下の通りである。
1点:べたつく、若しくは伸展性が悪く、作業性が著しく劣る。
2点:ややべたつく、若しくはやや伸展性が悪く、作業性が少し劣る。
3点:普通である。
4点:べたつきがなく、伸展性も良く、良好な作業性である。
5点:べたつきがなく、伸展性も良く、極めて良好な作業性である。
<菓子生地作業性評価>
実施例・比較例においては、作業性評価の指標として、作製した菓子生地の粘度を測定した。生地粘度は、ビスコテスター(リオン(株)製「VT−04F」、2号ローター使用)を用いて、ローターを回転させてから10秒後の粘度を記録した。生地作製直後と常温で1時間静置後、それぞれの生地粘度を測定した。常温で1時間静置前後の生地粘度の変化が大きいほど安定性に乏しい生地であり、作業性が低下すると評価した。
(実施例1) 食パン評価
<食パン生地の配合・製造>
強力粉(日清製粉(株)製「ミリオン」、蛋白質含量:12.2重量%)70重量部、イースト((株)カネカ製「イーストSR」)1.8重量部、イーストフード((株)カネカ製「イーストフードC」)0.1重量部、乳化剤(理研ビタミン(株)製「パンマック200V」)0.25重量部及び水42重量部をミキサーボウルに投入し、低速で2分間、中速で2分間混合し、中種生地を得た。この中種生地を28℃、相対湿度85%の恒温槽で4時間中種醗酵を行った。醗酵の終了した中種生地と、強力粉(日清製粉(株)製「ミリオン」、蛋白質含量:12.2重量%)30重量部、上白糖6重量部、食塩2重量部、脱脂粉乳2重量部、水24重量部及びプロテアーゼ(天野エンザイム(株)製「パパインW−40」、比活性:400,000U/g)を小麦粉100gあたり400Uになるようにミキサーボウルに投入し、低速で3分間、中速で3分間混合した。さらにショートニング((株)カネカ製「VショートK」)6重量部を投入して、低速で3分間、中速で3分間、高速で1分間混合し、食パン生地を得た(生地中の小麦粉の蛋白質含量:12.2重量%、小麦粉100gあたりのエンド型プロテアーゼ含有量:400U)。捏ねあげ温度は27℃であった。なお、天野エンザイム(株)製「パパインW−40」は、40℃での相対活性が16%、至適温度が80℃であった。
<プルマン型食パンの成形・焼成>
フロアタイムを25分間とった後、230gに分割し、丸めを行った。その後ベンチタイムを20分間とった後、モルダー成形し、3斤型角食型に入れ、38℃、相対湿度85%の恒温槽に入れ、55分間ホイロをとった後、195℃の固定窯に入れて36分間焼成し、プルマン型食パンを得た。プロテアーゼを生地混合物に混ぜてから焼成までの間の最高到達温度は38℃であった。
<ワンローフ型食パンの成形・焼成>
フロアタイムを25分間とった後、230gに分割し、丸めを行った。その後ベンチタイムを20分間とった後、モルダー成形し、ワンローフ型に入れ、38℃、相対湿度85度の恒温槽に入れ、60分間ホイロをとった後、205℃の固定窯に入れて25分間焼成し、ワンローフ型食パンを得た。プロテアーゼを生地混合物に混ぜてから焼成までの間の最高到達温度は38℃であった。
(実施例2) 食パン評価
プロテアーゼ(天野エンザイム(株)製「パパインW−40」)の添加量を小麦粉100gあたり1200Uにした以外は、実施例1と同様にして食パンを得た。プロテアーゼを生地混合物に混ぜてから焼成までの間の最高到達温度は38℃であった。
(実施例3) 食パン評価
プロテアーゼ(天野エンザイム(株)製「パパインW−40」)の添加量を小麦粉100gあたり2000Uにした以外は、実施例1と同様にして食パンを得た。プロテアーゼを生地混合物に混ぜてから焼成までの間の最高到達温度は38℃であった。
(実施例4) 食パン評価
プロテアーゼ(天野エンザイム(株)製「パパインW−40」)の添加量を小麦粉100gあたり1200Uにし、さらにα−アミラーゼとして新日本化学工業(株)製「スミチームAS、比活性:1,500U/g」を小麦粉100gあたり75U添加した以外は、実施例1と同様にして食パンを得た。プロテアーゼを生地混合物に混ぜてから焼成までの間の最高到達温度は38℃であった。
(実施例5) 食パン評価
プロテアーゼとして天野エンザイム(株)製「パパインW−40」を小麦粉100gあたり400U添加する代わりに、三菱化学フーズ(株)製「精製パパイン、比活性:800,000U/g」を小麦粉100gあたり1200U添加した以外は、実施例1と同様にして食パンを得た。プロテアーゼを生地混合物に混ぜてから焼成までの間の最高到達温度は38℃であった。なお、三菱化学フーズ(株)製「精製パパイン」は、40℃での相対活性が32%、至適温度は80℃であった。
(比較例1) 食パン評価
プロテアーゼを添加しなかった以外は、実施例1と同様にして食パンを得た。焼成前の全工程間の最高到達温度は38℃であった。
(比較例2) 食パン評価
プロテアーゼとして天野エンザイム(株)製「パパインW−40」を小麦粉100gあたり400U添加する代わりに、新日本化学工業(株)製「スミチームP、比活性:300,000U/g」を小麦粉100gあたり300U添加した以外は、実施例1と同様にして食パンを得た。プロテアーゼを生地混合物に混ぜてから焼成までの間の最高到達温度は38℃であった。なお、新日本化学工業(株)製「スミチームP」は、40℃での相対活性が55%、至適温度は60℃であった。
(比較例3) 食パン評価
プロテアーゼとして天野エンザイム(株)製「パパインW−40」を小麦粉100gあたり400U添加する代わりに、新日本化学工業(株)製「スミチームP」を小麦粉100gあたり3000U添加した以外は、実施例1と同様にして食パンを得た。プロテアーゼを生地混合物に混ぜてから焼成までの間の最高到達温度は38℃であった。
(比較例4) 食パン評価
プロテアーゼ(天野エンザイム(株)製「パパインW−40」)の添加量を小麦粉100gあたり4000Uにした以外は、実施例1と同様にして食パンを得た。プロテアーゼを生地混合物に混ぜてから焼成までの間の最高到達温度は38℃であった。
以上の実施例1〜5及び比較例1〜4における、食パン作製時の作業性及び得られたプルマン型食パンの食感並びにワンローフ型食パンの比容積を評価し、表1にまとめた。
Figure 2013176365
(実施例6) ロールパン評価
<ロールパンの配合・製造>
強力粉(日清製粉(株)製「ミリオン」、蛋白質含量12.2重量%)100重量部、上白糖20重量部、液卵10重量部、イースト((株)カネカ製「イーストGA」)3重量部、食塩1.2重量部、脱脂粉乳2重量部、アスコルビン酸0.0015重量部、水48重量部及びプロテアーゼ(天野エンザイム(株)製「パパインW−40」、比活性:400,000U/g、40℃での相対活性が16%、至適温度は80℃)を小麦粉100gあたり400Uとなるようにミキサーボウルに投入し、低速で5分間混合した後、ショートニング((株)カネカ製「VショートK」)8重量部を入れ、さらに5分間混合し、ロールパン生地を得た(生地中の小麦粉の蛋白質含量:12.2重量%、小麦粉100gあたりのエンド型プロテアーゼ含有量:400U)。捏ねあげ温度は28℃であった。得られた生地はフロアタイムを60分間とった後、80gに分割し、丸めを行った。その後ベンチタイムを20分間とった後、モルダー成形し、38℃、相対湿度85%の恒温槽に入れ、60分間ホイロをとった後、200℃の固定窯に入れて8分間焼成し、ロールパンを得た。プロテアーゼを生地混合物に混ぜてから焼成までの間の最高到達温度は38℃であった。
(実施例7) ロールパン評価
プロテアーゼとして天野エンザイム(株)製「パパインW−40」を小麦粉100gあたり400U添加する代わりに、天野エンザイム(株)製「ブロメラインF、比活性:800,000U/g」を小麦粉100gあたり800U添加した以外は、実施例6と同様にしてロールパンを得た。プロテアーゼを生地混合物に混ぜてから焼成までの間の最高到達温度は38℃であった。なお、天野エンザイム(株)製「ブロメラインF」は、40℃での相対活性が38%、至適温度は65℃であった。
(比較例5) ロールパン評価
プロテアーゼを添加しなかった以外は、実施例6と同様にしてロールパンを得た。焼成前の全工程間の最高到達温度は38℃であった。
(比較例6) ロールパン評価
プロテアーゼ(天野エンザイム(株)製「パパインW−40」)の添加量を小麦粉100gあたり4000Uにした以外は、実施例6と同様にしてロールパンを得た。プロテアーゼを生地混合物に混ぜてから焼成までの間の最高到達温度は38℃であった。
(比較例7) ロールパン評価
プロテアーゼとして天野エンザイム(株)製「パパインW−40」を小麦粉100gあたり400U添加する代わりに、新日本化学工業(株)製「スミチームP」(比活性:300,000U/g、40℃での相対活性が55%、至適温度は60℃)を小麦粉100gあたり300U添加した以外は、実施例6と同様にしてロールパンを得た。プロテアーゼを生地混合物に混ぜてから焼成までの間の最高到達温度は38℃であった。
(比較例8) ロールパン評価
プロテアーゼとして天野エンザイム(株)製「パパインW−40」を小麦粉100gあたり400U添加する代わりに、新日本化学工業(株)製「スミチームP」を小麦粉100gあたり3000U添加した以外は、実施例6と同様にしてロールパンを得た。プロテアーゼを生地混合物に混ぜてから焼成までの間の最高到達温度は38℃であった。
以上の実施例6〜7及び比較例5〜8における、ロールパン作製時の作業性及び得られたロールパンの食感並びに比容積を食パンと同様にして評価し、表2にまとめた。
Figure 2013176365
(実施例8) スポンジケーキ評価
砂糖100重量部、液卵(キユーピータマゴ(株)製「液全卵(殺菌)」)130重量部、乳化油脂((株)カネカ製「ハイメル」)15重量部、水20重量部及びプロテアーゼ(天野エンザイム(株)「パパインW−40」、比活性:400,000U/g、40℃での相対活性が16%、至適温度は80℃)を小麦粉100gあたり2000Uとなるようにミキサーボウルに投入し、低速で30秒間混合した後、薄力粉(日清製粉(株)製「バイオレット」、蛋白質含量:7.1重量%)100重量部とベーキングパウダー1重量部を投入し、低速で30秒間、中速で3分30秒間混合し、比重0.45g/ccのスポンジケーキ生地を得た(生地中の小麦粉の蛋白質含量:7.1重量%、小麦粉100gあたりのエンド型プロテアーゼ含有量:2000U)。捏ねあげ温度は22℃であった。得られた生地を6号缶に350g流し込み、170℃の固定窯で35分間焼成し、スポンジケーキを得た。プロテアーゼを生地混合物に混ぜてから焼成までの間の最高到達温度は22℃であった。
(比較例9) スポンジケーキ評価
プロテアーゼを添加しなかった以外は、実施例8と同様にしてスポンジケーキを得た。焼成前の全工程間の最高到達温度は22℃であった。
(比較例10) スポンジケーキ評価
プロテアーゼとして天野エンザイム(株)製「パパインW−40」を小麦粉100gあたり2000U添加する代わりに、新日本化学工業(株)製「スミチームP」(比活性:300,000U/g、40℃での相対活性が55%、至適温度は60℃)を小麦粉100gあたり3900U添加した以外は、実施例8と同様にしてスポンジケーキを得た。プロテアーゼを生地混合物に混ぜてから焼成までの間の最高到達温度は22℃であった。
(比較例11) スポンジケーキ評価
プロテアーゼ(天野エンザイム(株)製「パパインW−40」)の添加量を小麦粉100gあたり4000Uにした以外は、実施例8と同様にしてスポンジケーキを得た。プロテアーゼを生地混合物に混ぜてから焼成までの間の最高到達温度は22℃であった。
(比較例12) スポンジケーキ評価
プロテアーゼ(天野エンザイム(株)製「パパインW−40」)の添加量を小麦粉100gあたり8000Uにした以外は、実施例8と同様にしてスポンジケーキを得た。プロテアーゼを生地混合物に混ぜてから焼成までの間の最高到達温度は22℃であった。
以上の実施例8及び比較例9〜12における、スポンジケーキ生地作製直後と、さらに常温で1時間静置した後の生地粘度を測定し、また得られたスポンジケーキの食感を評価し、それらを表3にまとめた。
Figure 2013176365
(実施例9) パウンドケーキ評価
マーガリン((株)カネカ製「コンセブールガトー」)100重量部、砂糖100重量部及びプロテアーゼ(天野エンザイム(株)「パパインW−40」、比活性:400,000U/g、40℃での相対活性が16%、至適温度は80℃)を小麦粉100gあたり1000Uとなるようにミキサーボウルに投入し、低速で2分間、中速で2分間混合した。次いで、液卵(キユーピータマゴ(株)製「液全卵(殺菌)」)100重量部を、低速で混合しながら流し入れ、低速で1分30秒間、中速で1分30秒間混合した。最後に薄力粉(日清製粉(株)製「バイオレット」、蛋白質含量:7.1重量%)100重量部とベーキングパウダー1重量部を投入し、低速で30秒間、中速で10秒間混合し、比重0.88g/ccのパウンドケーキ生地を得た(生地中の小麦粉の蛋白質含量:7.1重量%、小麦粉100gあたりのエンド型プロテアーゼ含有量:1000U)。捏ねあげ温度は23℃であった。得られた生地を型に370g流し込み、180℃の固定窯で45分間焼成し、パウンドケーキを得た。プロテアーゼを生地混合物に混ぜてから焼成までの間の最高到達温度は23℃であった。
(実施例10) パウンドケーキ評価
プロテアーゼ(天野エンザイム(株)製「パパインW−40」)の添加量を小麦粉100gあたり2000Uにした以外は、実施例9と同様にしてパウンドケーキを得た。プロテアーゼを生地混合物に混ぜてから焼成までの間の最高到達温度は23℃であった。
(実施例11) パウンドケーキ評価
プロテアーゼ(天野エンザイム(株)製「パパインW−40」)の添加量を小麦粉100gあたり3000Uにした以外は、実施例9と同様にしてパウンドケーキを得た。プロテアーゼを生地混合物に混ぜてから焼成までの間の最高到達温度は23℃であった。
(比較例13) パウンドケーキ評価
プロテアーゼを添加しなかった以外は、実施例9と同様にしてパウンドケーキを得た。焼成前の全工程間の最高到達温度は23℃であった。
(比較例14) パウンドケーキ評価
プロテアーゼ(天野エンザイム(株)製「パパインW−40」)の添加量を小麦粉100gあたり4000Uにした以外は、実施例9と同様にしてパウンドケーキを得た。プロテアーゼを生地混合物に混ぜてから焼成までの間の最高到達温度は23℃であった。
(比較例15) パウンドケーキ評価
プロテアーゼとして天野エンザイム(株)製「パパインW−40」を小麦粉100gあたり1000U添加する代わりに、新日本化学工業(株)製「スミチームP」(比活性:300,000U/g、40℃での相対活性が55%、至適温度は60℃)を小麦粉100gあたり3000U添加した以外は、実施例9と同様にしてパウンドケーキを得た。プロテアーゼを生地混合物に混ぜてから焼成までの間の最高到達温度は23℃であった。
以上の実施例9〜11及び比較例13〜15における、パウンドケーキ生地作製直後と、さらに常温で1時間静置後の生地粘度を測定し、また得られたパウンドケーキの食感を評価し、それらを表4にまとめた。
Figure 2013176365
(実施例12) ドーナツ評価
強力粉(日清製粉(株)製「ミリオン」、蛋白質含量:12.2重量%)70重量部、液卵15重量部、上白糖3重量部、イースト((株)カネカ製「イーストGA」)3.0重量部、イーストフード((株)カネカ製「ニューフードC」)0.1重量部及び水28重量部をミキサーボウルに投入し、低速で2分間、中速で2分間混合し、中種生地を得た。この中種生地を28℃、相対湿度85%の恒温槽で2.5時間中種醗酵を行った。醗酵の終了した中種生地と、強力粉(日清製粉(株)製「ミリオン」、蛋白質含量:12.2重量%)10重量部、薄力粉(日清製粉(株)製「バイオレット」、蛋白質含量:7.1重量%)20重量部、上白糖10重量部、食塩1.5重量部、脱脂粉乳2重量部、水16重量部及びプロテアーゼ(天野エンザイム(株)製「パパインW−40」、比活性:400,000U/g、40℃での相対活性が16%、至適温度は80℃)を小麦粉100gあたり800Uとなるようにミキサーボウルに投入し、低速で2分間、中速で4分間混合した。さらにショートニング((株)カネカ製「エバーライトG」)10重量部を投入して、低速で2分間、中速で2分間混合し、ドーナツ生地を得た(生地中の小麦粉の蛋白質含量:11.18重量%、小麦粉100gあたりのエンド型プロテアーゼ含有量:800U)。捏ねあげ温度は27℃であった。得られた生地はフロアタイムを20分間とった後、50gに分割し、丸めを行った。その後ベンチタイムを20分間とった後、成形し、35℃、相対湿度60%の恒温槽に入れ、60分間ホイロをとり、その後室温でラックタイムを10分間とった後、180℃のフライ油で片面2分間、さらに反転させて2分間揚げ、ドーナツを得た。プロテアーゼを生地混合物に混ぜてから揚げるまでの間の最高到達温度は35℃であった。
(比較例16) ドーナツ評価
プロテアーゼを添加しなかった以外は、実施例12と同様にしてドーナツを得た。プロテアーゼを生地混合物に混ぜてから焼成までの間の最高到達温度は35℃であった。
以上の実施例12及び比較例16における、ドーナツ作製時の作業性及び得られたドーナツの食感並びに比容積を食パンと同様にして評価し、表5にまとめた。
Figure 2013176365
(製造例1) 水中油型乳化油脂組成物Aの作製
モノグリセリン脂肪酸エステル(理研ビタミン(株)製「エマルジーMS」)7重量部、有機酸モノグリセリン脂肪酸エステル(ダニスコA/S製「GRINSTED CITREM BC−B」)2.5重量部、ナタネ油18重量部を混合してから70℃で完全に溶解させて油相部とした。また、ショ糖脂肪酸エステル(三菱化学フーズ(株)製「S−1170」)3重量部、ソルビトール50重量部、水19.5重量部及びプロテアーゼ(天野エンザイム(株)製「パパインW−40」、比活性:400,000U/g、40℃での相対活性が16%、至適温度は80℃)を水中油型乳化液100gあたり13200Uとなるように混合してから70℃に加温して水相部とした。該水相部を攪拌しながらそこへ該油相部を投入し、水中油型乳化液を調製した。この乳化液をホモジナイザーで均質化しながら、1℃/分の速度で50℃まで冷却した後、38℃の恒温槽に入れて48時間温調し、水中油型乳化油脂組成物Aを得た。得られた水中油型乳化油脂組成物Aは20℃で保管した。
(製造例2) 水中油型乳化油脂組成物Bの作製
プロテアーゼを添加しなかった以外は、製造例1と同様にして水中油型乳化油脂組成物Bを得た。得られた水中油型乳化油脂組成物Bは20℃で保管した。
(実施例13) スポンジケーキ評価
砂糖100重量部、液卵(キユーピータマゴ(株)製「液全卵(殺菌)」)130重量部、水中油型乳化油脂組成物A15重量部、水20重量部をミキサーボウルに投入し、低速で30秒間混合した後、薄力粉(日清製粉(株)製「バイオレット」、蛋白質含量:7.1重量%)100重量部とベーキングパウダー1重量部を投入し、低速で30秒間、中速で3分30秒間混合し、比重0.45g/ccのスポンジケーキ生地を得た。捏ねあげ温度は22℃であった。得られた生地を6号缶に350g流し込み、170℃の固定窯で35分間焼成し、スポンジケーキを得た。プロテアーゼを生地混合物に混ぜてから焼成までの間の最高到達温度は22℃であった。なお、スポンジケーキにおけるプロテアーゼの配合量は小麦粉100gあたり1980Uであった。
(比較例17) スポンジケーキ評価
水中油型乳化油脂組成物Aを15重量部添加する代わりに、水中油型乳化油脂組成物Bを15重量部配合した以外は、実施例13と同様にしてスポンジケーキを得た。焼成前の全工程間の最高到達温度は22℃であった。
以上の実施例13及び比較例17における、スポンジケーキ生地作製直後と、さらに常温で1時間静置後の生地粘度を測定し、また得られたスポンジケーキの食感を評価し、それらを表6にまとめた。
Figure 2013176365
(製造例3) 油中水型乳化油脂組成物Aの作製
ヤシ油とハイエルシンナタネ極度硬化油のエステル交換油(IV=10)8重量部、パーム油とヤシ油のエステル交換油(IV=45)57重量部、パーム低融点部(IV=64)12重量部、ナタネ油5重量部、乳脂肪1重量部を混合してから70℃で完全に溶解させ、全粉乳1重量部、水16重量部及びプロテアーゼ(天野エンザイム(株)製「パパインW−40」、比活性:400,000U/g、40℃での相対活性が16%、至適温度は80℃)を油中水型乳化液100gあたり1000Uとなるように混合してから70℃に加温して水相部とした。該油相部を攪拌しながらそこへ該水相部を投入し、油中水型乳化液を調製した。この乳化液を60℃に温度を調節し、プロペラミキサーにて攪拌混合した後、常法通り掻き取り式チューブラー冷却捏和装置にて冷却捏和して、油中水型乳化油脂組成物Aを得た。得られた油中水型乳化油脂組成物Aは4℃の冷蔵庫で保管した。
(製造例4) 油中水型乳化油脂組成物Bの作製
プロテアーゼを添加しなかった以外は、製造例3と同様にして油中水型乳化油脂組成物Bを得た。得られた油中水型乳化油脂組成物Bは4℃の冷蔵庫で保管した。
(実施例14) パウンドケーキ評価
油中水型乳化油脂組成物A100重量部、砂糖100重量部をミキサーボウルに投入し、低速で2分間、中速で2分間混合した。次いで、液卵(キユーピータマゴ(株)製「液全卵(殺菌)」)100重量部を、低速で混合しながら流し入れ、低速で1分30秒間、中速で1分30秒間混合した。最後に薄力粉(日清製粉(株)製「バイオレット」、蛋白質含量:7.1重量%)100重量部とベーキングパウダー1重量部を投入し、低速で30秒間、中速で10秒間混合し、比重0.88g/ccのパウンドケーキ生地を得た。捏ねあげ温度は23℃であった。なお、パウンドケーキにおけるプロテアーゼの配合量は小麦粉100gあたり1000Uであった。得られた生地370gを型に流し込み、180℃の固定窯で45分間焼成し、パウンドケーキを得た。プロテアーゼを生地混合物に混ぜてから焼成までの間の最高到達温度は23℃であった。
(比較例18) パウンドケーキ評価
油中水型乳化油脂組成物Aの代わりに、油中水型乳化油脂組成物Bを配合した以外は、実施例14と同様にしてパウンドケーキを得た。焼成前の全工程間の最高到達温度は23℃であった。
以上の実施例14及び比較例18における、パウンドケーキ生地作製直後と、さらに常温で1時間静置後の生地粘度を測定し、また得られたパウンドケーキの食感を評価し、それらを表7にまとめた。
Figure 2013176365

Claims (10)

  1. 生地中の小麦粉の蛋白質含量が7.0〜17.0重量%であり、40℃での相対活性が40%以下のエンド型プロテアーゼを含有するパン・菓子用生地混合物を10〜40℃で捏ねあげ、得られる生地を加熱調理するパン・菓子の製造方法であって、エンド型プロテアーゼを小麦粉100gあたり50〜3300U含有するように生地混合物に混ぜてから、加熱調理までの間の最高到達温度を40℃以下に維持することを特徴とするパン又は菓子の製造方法。
  2. エンド型プロテアーゼの至適温度が約60〜80℃である請求項1に記載のパン又は菓子の製造方法。
  3. エンド型プロテアーゼが、Carica papaya L.から抽出されたパパイン、又はAnanas comosus M.から抽出されたブロメラインであることを特徴とする請求項2に記載のパン又は菓子の製造方法。
  4. 40℃での相対活性が40%以下のエンド型プロテアーゼを含有する、水中油型乳化油脂組成物、油中水型乳化油脂組成物又はショートニングを生地混合物に混ぜることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のパン又は菓子の製造方法。
  5. 生地中の小麦粉の蛋白質含量が7.0〜17.0重量%であり、40℃での相対活性が40%以下のエンド型プロテアーゼを、小麦粉100gあたり50〜3300U含有することを特徴とするパン又は菓子用生地。
  6. エンド型プロテアーゼの至適温度が約60〜80℃である請求項5に記載のパン又は菓子用生地。
  7. エンド型プロテアーゼが、Carica papaya L.から抽出されたパパイン、又はAnanas comosus M.から抽出されたブロメラインであることを特徴とする請求項6に記載のパン又は菓子用生地。
  8. 請求項5〜7のいずれか一項に記載のパン又は菓子用生地を加熱調理してなるパン又は菓子。
  9. 40℃での相対活性が40%以下のエンド型プロテアーゼを含有するパン又は菓子用油脂組成物。
  10. 水中油型乳化油脂組成物、油中水型乳化油脂組成物又はショートニングである請求項9に記載のパン又は菓子用油脂組成物。
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