JP2013175627A - 熱電デバイスおよびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】熱電素子を経由せずに伝達される熱を抑制する。
【解決手段】熱電デバイスは、第1のシート状基板10と、第1のシート状基板の表面に配置され、直列に接続された複数の熱電素子と、複数の熱電素子を覆って、第1のシート状基板に結合された第2のシート状基板30と、複数の熱電素子の接続部の位置において、交互に第1のシート状基板と第2のシート状基板に埋め込まれた熱伝達部材19,35と、第1のシート状基板において、直列に接続された複数の熱電素子に沿うように、その側方に形成された空所VCと、を有する。
【選択図】図1

Description

本発明は熱電デバイスおよびその製造方法に関する。
近年、廃棄されている熱エネルギを電気エネルギに変換する熱電デバイスが関心を集めている。熱電変換材料で形成した熱電素子中の電荷担体(電子または正孔)は温度に依存する熱エネルギを有する。熱電変換材料中に温度差を形成すると、高温側の電荷担体の熱エネルギは低温側の電荷担体の熱エネルギよりも高く、高温側から低温側に電荷担体が拡散し、電荷(起電力)を発生する現象を示す。電荷担体として正孔を含むp型熱電素子と、電荷担体として電子を含むn型熱電素子とにおいては、温度差によって生じる起電力が逆極性になる。
p型熱電変換素子とn型熱電変換素子を並列に配置し、1端で相互接続し、他端を出力端子とし、両端間に温度差を形成すると、他端に逆極性の電荷(起電力)が生じることになる。このような、p型熱電素子とn型熱電素子が温度差方向と並列に配置され、直列に接続された構造が、π型(熱電変換)構造と呼ばれ、広く用いられている。多数のπ型構造をさらにp型熱電素子とn型熱電素子が直列に接続されるように直列接続していくと、両端に生じる電位差は増大していく。発生する起電力は、直列接続された素子数と温度差に依存する。
熱電変換モジュールは、セラミック等の電気的絶縁基板を用い、p型とn型の熱電変換素子を温度差方向と並列に配置し、熱電変換素子の上下の接続配線によって複数の熱電変換素子を電気的に直列に接続し、直列接続の終端からリード線を引き出したものが一般的である。例えば、1対の電気的絶縁基板上に接続配線を形成し、複数の熱電変換素子を1対の絶縁基板間に保持し、直列に接続する。数mm〜数cm角で、厚さ数mm程度の硬い平板状熱電デバイスが用いられる。
しかしながら、硬い平板状の実装状態では、さまざまな場所、例えば排気管や人体のような曲面上の場所に装着するのは容易でなく、またサイズが大きく扱いにくい。曲面上に装着するには、フレキシブルなフィルム状基板上に熱電変換素子を集積できることが好ましい。熱電変換素子はフィルム面と平行に形成できることが望ましい。
熱源は、一定温度の表面を有することが多い。温度勾配は、熱源表面から法線方向に形成される。熱源表面にシート状熱電デバイスを装着すると、温度勾配は熱電デバイスの厚さ方向に形成されることになる。厚さ方向の熱勾配を面内方向の熱勾配に変換することが望まれる。厚さ方向の温度勾配を面内方向の温度勾配に変換でき、かつ熱源表面形状に合わせて変形可能なフレキシブルな構成が望まれる。熱電変換モジュールの両面にポリイミド等のフィルム状基板を設けた構成において、両表面の温度を熱電素子に効率的に伝達する構成が提案されている(例えば特許文献1,2)。
ある提案においては、p型熱電素子とn型熱電素子を接続した熱電変換モジュールの両面にポリイミド等のフィルム状基板を設けた構成において、フィルム状基板に高熱伝導率の熱伝達部材を選択的に埋め込み、熱電変換モジュールに熱的に結合することにより、膜厚方向の温度勾配を、面内方向の温度勾配に変換し、この温度勾配を利用して効率的に発電を行うと記載する。平面視において、p型熱電素子と重なるように、シートの一方の外面に熱伝導率の高い熱伝達部材が設けられ、反対側の外面には、n型熱電素子と重なるように熱伝達部材が設けられている。
このように、熱電変換モジュールの両側にフレキシブルフィルムを設け、両フレキシブルフィルムの外面から熱電変換モジュールの異なる場所近傍まで熱伝達部材を埋め込んだシート状熱電デバイスにおいて、シート状熱電デバイスの厚さ方向に温度差が生じると、高温側の熱伝達部材から熱電変換モジュールに、さらに熱電変換モジュールを介して低温側熱伝達部材に熱流が生じる。熱伝達部材間の温度差により、熱電変換モジュールに面内方向の温度差が生じる。
熱電素子の両端間に発生する起電力は両端間の温度差に依存する。p型熱電素子とn型熱電素子を交互に接続した熱電変換モジュールにおいて、効率的に起電力を発生させるには、接続部の位置に熱伝達部材を配置することが好ましい。複数の接続部がある場合は、交互に高温側、低温側に熱伝達部材を設けることになる。
別のある提案においては、ポリイミド等の支持基板上に、p型熱電素子とn型熱電素子を交互に接続した熱電変換モジュールにおいて、1つ置きの接続部の下方の支持基板に凹部を設け、凹部下方に熱伝達部材を埋め込み、凹部表面上でp型熱電素子とn型熱電素子を結合している。支持基板上方にポリイミド等の上方基板を結合し、凹部に空洞を形成し、凹部のない平坦面に形成された接続部の上方において上方基板に熱伝達部材を埋め込むことも開示する。支持基板の熱伝達部材から接続部との熱的結合を介して熱電素子に、更に上方基板の熱伝達部材へと熱的結合が生じる。凹部に形成された接続部は、空洞で上方基板から離隔され、接続部と上方基板との間の熱流が抑制される。
特開2006−186255号公報 特開2011−4333号公報
1対のシート状基板の間に熱電素子を直列接続した熱電デバイスにおいて、1対のシート状基板が直接接触する領域においては、熱電素子を経由せずに、高温側基板から低温側基板に熱流が生じる。この熱流は、起電力に寄与しない。
熱電素子を経由せずに伝達される熱を抑制することが望まれる。
実施例の1観点によれば、
第1のシート状基板と、
前記第1のシート状基板の表面に配置され、直列に接続された複数の熱電素子と、
前記複数の熱電素子を覆って、前記第1のシート状基板に結合された第2のシート状基板と、
前記複数の熱電素子の接続部の位置において、交互に前記第1のシート状基板と前記第2のシート状基板に埋め込まれた熱伝達部材と、
前記第1のシート状基板において、前記直列に接続された複数の熱電素子に沿うように、その側方に形成された空所と、
を有する熱電デバイス
が提供される。
実施例の他の観点によれば、
第1のシート状基板の表面に、直列に接続された複数の熱電素子を形成し、
前記直列に接続された複数の熱電素子をマスクとして、前記第1のシート状基板をエッチングし、
前記直列に接続された複数の熱電素子を覆って、前記第1のシート状基板上に、第2のシート状基板を結合する、
熱電デバイスの製造方法であって、前記第1のシート状基板、前記第2のシート状基板には、前記直列に接続された複数の熱電素子の接続部の位置において、交互に前記第1のシート状基板と前記第2のシート状基板に熱伝達部材が埋め込まれている、熱電デバイスの製造方法
が提供される。
図1A,1B,1C,1Dは、本発明の実施例によるシート状熱電デバイスの概略的平面図、図1AにおけるIB−IB‘線、IC−IC’線、ID−ID‘線に沿う断面図である。 図2A,2B,2C,2Dは、図1に示すシート状熱電デバイスの製造プロセスにおける下側基板を示す概略的平面図、図1AのIB−IB線、IC−IC線、ID−ID線に沿う断面図である。 図3A,3B,3C,3Dは、図1に示すシート状熱電デバイスの製造プロセスにおけるp型熱電パターンの形成を示す概略的平面図、図1AのIB−IB線、IC−IC線、ID−ID線に沿う断面図である。 図4A,4B,4C,4Dは、図1に示すシート状熱電デバイスの製造プロセスにおける接続配線の形成を示す概略的平面図、図1AのIB−IB線、IC−IC線、ID−ID線に沿う断面図である。 図5A,5B,5C,5Dは、図1に示すシート状熱電デバイスの製造プロセスにおける、熱電パターン、接続配線をマスクとした、下側基板のエッチングを示す概略的平面図、図1AのIB−IB線、IC−IC線、ID−ID線に沿う断面図である。 図6A,6Bは伝熱シミュレーションの結果を示すグラフである。 図7A,7Bは、熱電デバイスの応用例を示す斜視図である。 図8A,8B,8Cは、変形例を示す概略断面図である。
以下、図面を参照して、実施例による熱電デバイスを説明する。
図1Aに示すように、ポリイミド等のフレキシブルな材料で形成された下側基板10の上に、p型熱電素子12p、n型熱電素子12n、が交互に配置され、銅等の金属配線15によって、直列に接続されている。p型熱電素子12p、n型熱電素子12nを直接接続できる場合、金属配線15は必須の構成要件ではない。例えば、p型熱電素子12pはクロメル膜で形成し、n型熱電素子12nはコンスタンタン膜で形成し、膜厚は、共に約1μmである。例えば、メタルマスクを用い、スパッタリングによって成膜する。金属配線15は、例えばメタルマスクを用いたスパッタリングにより、膜厚0.3μmのCu膜で形成する。直列接続された熱電素子の両端には、金属配線15と同一工程で形成されたCu膜のリード線16,17が形成される。なお、図示の配置では、横方向に4つ(2対)の熱電素子が並び、縦方向に5列配置されているが、実際にはより多くの熱電素子が接続される。例えば、1対の熱電素子の長さが約400μm、幅が約50μmであり、図中の縦方向に100μmピッチ(熱電素子幅50μm、ギャップ50μm)で配置される。5cm平方の基板上に約1000対の熱電素子が配置される。
図1Dに示すように、1つ置きの金属配線15の下方には、Cu等の良熱伝導体で形成された熱伝達ビア19が基板10に埋め込まれている。
図1Aに戻って、熱電素子12p、12n、及び金属配線15,16,17の外側の基板10の表面は、ドライエッチングによって掘り込まれ、窪み(空所)VCとなっている。熱電素子12p、12n、金属配線15,16,17をマスクとして、基板10の表面をドライエッチングすることにより、基板10の平面視において、熱電素子12p、12n、金属配線15,16,17以外の領域を占有する窪み(空所)VCを形成することができる。
熱電素子12p、12n、金属配線15,16,17を含めて、直列接続された複数の熱電素子と呼ぶことがある。例えば、基板10には、直列接続された複数の熱電素子に沿うように、その側方に窪み(空所)が形成されている、と言える。なお、熱電素子12p、12n、金属配線15,16,17の上にマスクを形成し、基板10をエッチングしてもよい。この場合も、接続された複数の熱電素子に沿うように、その側方に窪み(空所)を形成する。
図1Aにおいては図示されていないが、図1B,1C,1Dに示すように、下側基板10の上に、ポリイミド等で形成された上側基板30が結合される。なお、図1B,1C,1Dは、図1AのIB−IB線、IC−IC線、ID−ID線に沿う断面図である。図1B,1Cに示すように、熱電素子12p、12n、配線15(16,17も)の外側の下側基板10の領域には空所VCが形成されている。空所VCの幅を約50μm程度とすれば、空気の対流はほとんど生じない。空所VC内の熱移動は、ほぼ熱伝導によることになる。空気の熱伝導率は、ポリイミド等の固体の熱伝導率より低いので、上下基板30−10間での熱伝導による熱移動は、空所VCの形成により抑制される。
図1Dに示すように、下側基板10に熱伝達ビア19が配置されていない金属配線15の位置に対応して、上側基板30に熱伝達ビア35が埋め込まれている。例えば、下側基板10が熱源に接触し、上側基板30表面が外気に解放されていると、熱源―熱伝達ビア19―金属配線15−熱電素子12(12p、12n)−金属配線15−熱伝達ビア35−外気のように熱が流れる。熱伝達ビア19、35の存在により、熱電素子12に横方向の温度差が生じ、起電力が生じる。ここで、図1B,1Cに示すように、熱電素子12p、12n、金属配線15の側部外方には空所VCが形成されているので、熱電素子12p、12n、金属配線15の側部外方への熱拡散(熱伝導)が抑制され、熱流が熱電素子12p、12n、金属配線15に集中する。
以下、図2〜図5を参照して、図1に示す熱電デバイスの製造プロセスを説明する。図2〜図5において、図番中のA,B,C,Dは、図1同様、平面図、IB−IB線、IC−IC線、ID−ID線に沿う断面図を示す。
図2は、下側基板の構成を示す。下側基板10は、例えば厚さ25μmのポリイミドシートであり、熱電素子を形成した状態において、1つ置きの接続部の位置にCu等の高熱伝導率を有する熱伝達ビア19が埋め込まれている。熱伝達ビア19は、例えば直径40μm、高さ20μmの円柱形状である。図2Aに破線で示すように、例えば横方向は400μmピッチ、縦方向は100μmピッチで行列状に配置されている。
図3に示すように、メタルマスク21を用い、p型熱電材料のパターン12pをスパッタリングで形成する。p型熱電材料として例えばクロメルを用いる。その後、マスクを換えてn型熱電材料のパターン12nをスパッタリングで形成する(図4B,4D参照)。n型熱電材料として例えばコンスタンタンを用いる。p型熱電パターン12p、n型熱電パターン12nは、共に約1μmの膜厚を有する。
図4に示すように、p型熱電パターン12p、n型熱電パターン12nを接続するCu等の金属配線15を、メタルマスク23を用いたスパッタリングで形成する。金属配線15の膜厚は約0.3μmである。なお、直列接続されるp型熱電パターン12p、n型熱電パターン12nの両端に、同時に引き出し配線16,17を形成している。以下、引き出し配線16,17を含めて、金属配線と言うこともある。直列接続された複数の熱電素子12p、12nが形成される。
図5に示すように、形成した直列接続された複数の熱電素子[熱電パターン12p、12n、接続配線15,16,17]をマスクとして、下側基板10の表面部をドライエッチングする。例えば、Oに5%のCHを混合した混合ガスをエッチャントとした反応性イオンエッチング(RIE)でポリイミド等の樹脂系基板をエッチングする。例えば、13.56MHzの高周波電力100W〜400W,ガス圧数torrの条件で行う。専用のマスクを作成する必要がないので、工程を簡略化でき、低コストである。熱電パターン(12p、12n)、接続配線(15,16,17)の周囲の、下側基板10表面に窪みVCが形成される。窪みVCの深さは、例えばエッチング時間で調整できる。窪みVCの深さに特に制約はないが、例えば基板の自己支持能力(強度)を維持するために、基板厚さの半分以下とするのが好ましい。25μm厚さのポリイミドシートの場合、窪みVCの深さは、例えば12μm以下とする。窪みVCの深さが小さいと熱流遮蔽能力が小さくなる。例えば、深さ10μm程度の窪みVCを形成する。
その後、熱電パターン(12p、12n)、接続配線(15,16,17)を覆って、下側基板10の上に、上側基板30を粘着性接着剤を用いて接着し、図1に示す構成を得る。上側基板30は、例えば厚さ25μmのポリイミドシートであり、下側基板10に熱伝達ビア19を配置していない接続部の位置にCu等の高熱伝導率を有する熱伝達ビア35が埋め込まれている。熱伝達ビア35は、例えば直径40μm、高さ20μmの円柱形状である。ドライエッチングで形成された窪みVCが、上側基板30−下側基板10間に形成された空所VCになる。空所VCは、基板材料がない場所の意味である。
図1Dに示すように、直列接続された熱電素子の接続部に交互に下側熱伝達ビア19、上側熱伝達ビア35が配置される。下側基板10を熱源上に配置すると、熱源からの熱は、下側熱伝達ビア19から、(金属配線15を介して)熱電パターン12p、12nに流れ、(金属配線15を介して)上側熱伝達ビア35へと流れる。
図1Cにおいては、熱伝達ビア19上方の金属配線15の両側に空所VCが形成され、熱流の側方への拡散が抑制され、熱伝達ビア19と金属配線15との熱的結合が促進される構造となっている。図1Bに示す熱電素子12p、12nは両側方に空所VCが形成され、熱電パターンから側方への熱拡散を抑制した構造となっている。熱電パターン中には温度勾配が形成される。
上記記載に例示した材料、数値を用いて伝熱シミュレーションを行った。条件は、上下基板:厚さ25μmのポリイミドシート、ポリイミドの熱伝導率:約0.17W/mK,上下基板に埋め込まれるCu熱伝達ビアの寸法:直径40μm、高さ20μm、各熱電パターンの寸法:厚さ1μm、長さ200μm、幅50μm、p型熱電パターン材料:クロメル、n型熱電パターン材料:コンスタンタン等である。空所VCの深さは10μmである。
図1に示す熱電デバイスの底面を、温度100℃の熱源に密着させ、上面を外気(空気)に露出する。自然対流状態として10W/mKの熱伝達係数、強制送風状態として100W/mKの熱伝達係数を想定する。
図6Aは、空所VCが熱伝導性を有さないとした場合、自然対流状態と強制送風状態において、空所VCを形成することにより、上下熱伝達ビアが露出する、上面−底面間に生じる温度差がどの程度変化するかを計算した結果を示すグラフである。いずれの場合にも、生じる温度差は、空所VCを形成することにより1.6倍以上となる。発電量は、温度差の2乗に比例するので、2.5倍以上となる。
図6Bは、空所VCが空気で満たされ、相応する熱伝導率を有する場合、空所VCの深さを変えた時に生じる温度差を算出した結果を示す。空所VC内の空気は乾燥しており、0.0241W/mKの熱伝導率を有するとした。空所VC内を真空にした場合も合わせて示す。幅50μm程度の空所は、熱伝導以外の対流、熱輻射による熱の移動はほぼゼロなので、熱伝導のみを考慮した。真空では熱伝導が生じないので、深さに関係なく、温度差は約1.8Kとなった。
空気の場合、温度差は、深さゼロ(空所がない従来構造の場合)で約1.1Kであり、空所VCの深さ1μmまで比較的急激に増加し、その後深さを増加していくとほぼリニアに増加する。厚さ25μmのポリイミドシートを用いる場合、強度を確保するためには、深さ12μm以下、例えば深さ10μmの空所VCを採用するのが好ましいであろうと既述した。深さ10μm、12μmで、温度差は約1.43K,約1.5Kとなる。真空の場合の温度差1.8Kと比較すれば小さい温度差であるが、空所VCのない場合の温度差1.1Kと比較すれば十分増大された温度差と言えよう。
なお、空所VC内を真空に維持できれば、断熱性は格段に向上する。空所VCを真空状態に維持できる構造は、極めて好ましい。真空状態でなく、減圧状態であっても、断熱性は向上する。大気圧、もしくは減圧状態の場合、望ましくは熱伝導性の悪い気体、例えばアルゴン、クリプトン、キセノン等のガスが封入されているのが好ましい。これらの気体であれば、空気よりも断熱性が高く、デバイスの性能向上に寄与する。
図7A,7Bは、フレキシブルなシート状熱電デバイスの応用例を示す。図7Aは、パイプ状配管41に、熱電デバイス、センサ、無線モジュールを含むモニタ42を装着した状態を示す。モニタ42は1対のポリイミドシートの間に発電部、センサ部、通信部を挟んで形成されている。発電部に上述の実施例が用いられ、センサ部、通信部の電力を供給する。
図7Bは、例えば腕時計のように人間のリスト51に装着し、熱電デバイス52、例えば脈拍測定などの血液に冠するセンサ、発振デバイスを含むモニタ53を有する。熱電デバイス52は体温と外気温との温度差で発電する。直列接続する熱電素子数を多くすることにより、起電力を確保する。
図8A,8B,8Cは、変形例を示す概略断面図である。
図8Aは、熱電デバイスが曲げられる状態を示す。空所VCにおいて、上面と下面とが接触すると熱流遮蔽効果が大幅に低下する。曲率半径rで曲げられて、長さ2L,高さdの空所VCの上面と下面とが接触する時、
(r+L) = (r+d)
d = {(r+L1/2−r}
が成立する。
d > {(r+L1/2−r}
であれば、上面と下面は接触しない。
図8Bは、空所VCに詰物FLを充填した構成である。空所VCが何もない場所でなく、詰物がFLが充填された空間であれば、上面と下面の接触は回避できる。詰物FLとしては、発泡剤、発砲ゴム、珪酸カルシウム等の断熱材材料を用いることができる。これらの材料は、例えばポリイミド等の基板材料より熱伝導率が低く、空所VCに詰めることにより、機械的強度を増大しつつ、断熱性を確保する。
図8Cは、下側基板に空所VC1を形成するのみでなく、上側基板30にも空所VC2を形成する構成を示す。熱の拡散をより抑制することができる。但し、上側基板30の空所VC2は、マスクを形成して、エッチングすることで形成する。
以上実施例に沿って、本発明を説明したが、これらは制限的意味を有さない。例示した材料、プロセス、数値は限定的なものではない。
フレキシブルな基板を形成する材料としてポリイミドを例示したが、同様に柔軟性を有する有機樹脂系材料を広く用いることができる。例えば、ポリイミド、カプトン、ポリカーボネート、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート(PET),ポリサルフォン(PSF),ポリエーテルエチルケトン(PEEK),ポリフェニレンサルファイト(PPS)等から条件に適合するものを選択できる。第1の基板と第2の基板の材料を異ならせることもできる。
熱電材料としてクロメルとコンスタンタンを例示したが、これに限るものではない。例えば、熱電材料として、(a)ドーズによりn型にもp型にもなる、Bi−Sb系材料、Bi−Te系材料、PbTe系材料、Si−Ge系材料、β−FeSi等、(b)n型の材料、Ca0.9La0.1MnO,MgSi等、(c)p型の材料、炭化硼素(BC系材料)、CaCo,P3HT(poly 3-hexylthiophene)等を用いることもできる。
成膜プロセスとしてスパッタリングを記載したが、これに限るものではない。蒸着、化学気相堆積(CVD)、メッキ法などを用いることもできる。金属配線としてCuを用いる場合を記載したが、AgやAl、これらの合金等を用いてもよい。熱伝達ビアをCuで構成する場合を記載したが、Al,Ag、Snを含む半田材料等を用いることもできる。
その他、種々の変形、置換、改良、組み合わせ、等が可能なことは当業者に自明であろう。
10 下側基板、
12 熱電素子、
12p p型熱電素子(パターン)、
12n n型熱電素子(パターン)、
15 金属配線、
16,17 リード線、
19 (下側基板の)熱伝達ビア、
21,23 メタルマスク、
30 上側基板、
35 (上側基板の)熱伝達ビア、
VC 窪み、空所、
VC1 (下側基板の)窪み、空所、
VC2 (上側基板の)窪み、空所、
41 配管、
42 モニタ、
51 リスト、
52 熱電デバイス、
53 モニタ、
FL 詰物、

Claims (10)

  1. 第1のシート状基板と、
    前記第1のシート状基板の表面に配置され、直列に接続された複数の熱電素子と、
    前記複数の熱電素子を覆って、前記第1のシート状基板に結合された第2のシート状基板と、
    前記複数の熱電素子の接続部の位置において、交互に前記第1のシート状基板と前記第2のシート状基板に埋め込まれた熱伝達部材と、
    前記第1のシート状基板において、前記直列に接続された複数の熱電素子に沿うように、その側方に形成された空所と、
    を有する熱電デバイス。
  2. 前記第1のシート状基板と前記第2のシート状基板は、フレキシブルな有機シートで形成されている請求項1に記載の熱電デバイス。
  3. 前記直列に接続された複数の熱電素子は、p型熱電素子とn型熱電素子とが交互に接続されたものである請求項1または2に記載の熱電デバイス。
  4. 前記空所は、前記第1のシート状基板の平面視において、前記直列に接続された複数の熱電素子以外の領域を占有する請求項1〜3のいずれか1項に記載の熱電デバイス。
  5. 前記空所内に前記第1のシート状基板より熱伝導率の低い材料の詰物が充填されている請求項1〜4のいずれか1項に記載の熱電デバイス。
  6. 第1のシート状基板の表面に、直列に接続された複数の熱電素子を形成し、
    前記直列に接続された複数の熱電素子をマスクとして、前記第1のシート状基板をエッチングして空所を形成し、
    前記直列に接続された複数の熱電素子を覆って、前記第1のシート状基板上に、第2のシート状基板を結合する、
    熱電デバイスの製造方法であって、前記第1のシート状基板、前記第2のシート状基板には、前記直列に接続された複数の熱電素子の接続部の位置において、交互に前記第1のシート状基板と前記第2のシート状基板に熱伝達部材が埋め込まれている、熱電デバイスの製造方法。
  7. 前記直列に接続された複数の熱電素子を形成する際、p型熱電材料のパターン、n型熱電材料のパターン、金属配線のパターンを別個の工程で作成する請求項6記載の熱電デバイスの製造方法。
  8. 前記p型熱電材料のパターン、n型熱電材料のパターン、金属配線のパターンを別個の工程で作成する際、メタルマスクを用いる請求項7に記載の熱電デバイスの製造方法。
  9. 前記第1のシート状基板が有機樹脂の基板であり、前記第1のシート状基板をエッチングする際、反応性イオンエッチングを用いる請求項6〜8のいずれか1項に記載の熱電デバイスの製造方法。
  10. 前記第2のシート状基板を結合する前に、前記第1のシート状基板の前記空所に、前記第1のシート状基板より熱伝導率の低い詰物を充填する請求項6〜9のいずれか1項に記載の熱電デバイスの製造方法。
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