本発明に係る回転電機の製造方法及び製造装置の好適な実施形態を、添付の図面を参照しながら、以下詳細に説明する。
図1は、本実施形態に係る製造方法及び製造装置により製造される分割コア部14を備えたステータ10の平面図である。ステータ10は、その内部に設けられる図示しないロータと組み合わされて回転電機を構成し、例えば、電動機又は発電機として用いられる。
ステータ10は、いわゆる3相Y型結線の突極巻のステータであり、図1に示すように、中空状のホルダ12と、3相の入力端子U、V、Wと、中性点を形成する中性端子Nと、ホルダ12の内周面12aに沿って複数(図1では18個)の分割コア部14を環状に配置して形成されるステータコア16とを備えている。
ステータコア16は、U相、V相、W相のコイル18をそれぞれ有する分割コア部14を6つずつ含む。この場合、ステータコア16では、複数の分割コア部14を環状に配置することにより、U相(U1相〜U6相)、V相(V1相〜V6相)、及び、W相(W1相〜W6相)の各コイル18が、図1の時計回りに、U1、V1、W1、U2、…、U6、V6、W6の順番に並ぶように配置される。
次に、U1相〜U6相、V1相〜V6相及びW1相〜W6相のコイル18を有する各分割コア部14のうち、代表的に、1個の分割コア部14の構成について、図2〜図4を参照しながら説明する。なお、ここで説明する分割コア部14の構成は、全ての相の分割コア部14に共通する構成である。
分割コア部14は、プレスにより打ち抜いた略T字状の金属板(鋼板)22を複数枚積層して構成される分割鉄心24と、分割鉄心24を電気的に絶縁するインシュレータ(巻枠)26と、インシュレータ26を介して分割鉄心24に巻回されるコイル素線(導線)18aにより構成されるコイル18とを有する。コイル素線18aは、断面長方形状の平角線である。
略T字状の分割鉄心24は、矢印B1方向(ステータコア16の外側に向かう方向)側において矢印C方向(ステータコア16の周方向)に沿って延在するヨーク部24aと、ヨーク部24aから矢印B2方向(ステータコア16の内側に向かう方向)に向かって延在する磁極部24bとから構成される。また、ヨーク部24aの矢印C2方向の端部には、略半円状の嵌合凹部32が形成され、ヨーク部24aの矢印C1方向の端部には、嵌合凹部32に対応した略半円状の嵌合凸部34が形成されている。
インシュレータ26は、可撓性を有する樹脂等の電気絶縁材料で構成されている。インシュレータ26は、コイル素線18aの中心部が巻回される巻回部38と、巻回部38から矢印B1方向に突出し、コイル素線18aの端部(始端部又は終端部)を矢印C方向に沿って入力端子U、V、W及び中性端子Nの箇所にまで引き回すための引き回し部40とを有している。
巻回部38は、矢印A方向(上下方向)に嵌合可能な上側巻回部38aと下側巻回部38bとから構成される。
上側巻回部38aは、断面略U字状に形成された上側巻回部本体42aと、上側巻回部本体42aの矢印B2方向の端部に立設する上側内周壁44aと、上側内周壁44aと対向するように、上側巻回部本体42aの矢印B1方向の端部に立設する上側外周壁46aとを有する。
下側巻回部38bは、上側巻回部本体42aと対向するように断面略U字状に形成された下側巻回部本体42bと、上側内周壁44aと対向するように下側巻回部本体42bの矢印B2方向の端部に立設する下側内周壁44bと、下側内周壁44bと対向するように下側巻回部本体42bの矢印B1方向の端部に立設する下側外周壁46bとを有する。
従って、分割鉄心24の磁極部24bを挟み込むように上側巻回部38aと下側巻回部38bとを嵌合させると、上側巻回部本体42aと下側巻回部本体42b、上側内周壁44aと下側内周壁44b、及び、上側外周壁46aと下側外周壁46bは、それぞれ、一部が重なり合って結合する。すなわち、上側巻回部38aの下方から下側巻回部38bが挿入されることで、上側巻回部38aと下側巻回部38bとが一体化されて巻回部38が構成され、該巻回部38の中央部には、矢印B方向に沿って孔48が形成される。これにより、孔48に磁極部24bが嵌まり込む一方で、巻回部38における上側内周壁44a及び下側内周壁44bと、上側外周壁46a及び下側外周壁46bとの間の箇所にコイル素線18aの中心部が巻回されることによりコイル18が構成される。
一方、引き回し部40は、上側外周壁46aの上端部近傍から矢印B1方向に突出するように設けられている。
引き回し部40は、板状部材50と、板状部材50上に形成され、図1の平面視で略U字状の導線収納部52と、導線収納部52の背後(矢印B2方向の背面における矢印C1方向側の箇所)に形成され、巻回部38に巻回されたコイル素線18aの終端部を固定する終端固定部54とから構成される。
導線収納部52は、巻回部38に巻回されたコイル素線18aの始端部又は終端部を矢印C方向に収納できるように構成されている。
すなわち、導線収納部52は、板状部材50の矢印C2方向側と矢印C1方向側とにそれぞれ立設するブロック52a、52bと、ブロック52a、52bの矢印B2方向の背面を連結する連結部52cとから構成される。ブロック52aには、矢印C方向に沿って延在し、平角線のコイル素線18aの始端部又は終端部を収納可能な幅(矢印A方向に沿った長さ)及び深さ(矢印B方向に沿った奥行き)を有する導線端部保持溝56a〜62aが、矢印A方向に所定間隔で設けられている。一方、ブロック52bにも、ブロック52aと同様に、矢印C方向に沿って延在し、コイル素線18aの始端部又は終端部を収納可能な幅及び深さを有する導線端部保持溝56b〜62bが、矢印A方向に所定間隔で設けられている。なお、図2及び図3に示すように、導線端部保持溝56aと導線端部保持溝56b、導線端部保持溝58aと導線端部保持溝58b、導線端部保持溝60aと導線端部保持溝60b、導線端部保持溝62aと導線端部保持溝62bは、互いに略同一の高さに形成されている。
また、ブロック52aにおいて導線端部保持溝56a〜62aを画成する部分は、該ブロック52aの本体部64aから矢印B1方向及び矢印C2方向に平板状に延在する庇状の壁部66a〜74aとして構成される。ブロック52bについても、ブロック52aの場合と同様に、導線端部保持溝56b〜62bを画成する部分は、ブロック52bの本体部64bから矢印B1方向及び矢印C1方向に平板状に延在する庇状の壁部66b〜74bとして構成される。なお、壁部72a、72b間は、連結部76により矢印C方向に連結されている。
ところで、ステータコア16において、各分割コア部14では、同一形状の平角線のコイル素線18aの中心部がそれぞれ巻回されてコイル18を構成する。導線収納部52では、コイル素線18aの始端部又は終端部について、平角線の長辺側を矢印A方向に沿わせた状態で矢印C方向に引き回し、各導線端部保持溝56a〜62a、56b〜62bに収納する。そのため、各導線端部保持溝56a〜62a、56b〜62bは、略同一の幅(高さ)を有する。また、各導線端部保持溝56a〜62a、56b〜62bのうち、最上部の導線端部保持溝56a、56bの深さは、他の導線端部保持溝58a〜62a、58b〜62bの深さよりも深く、他の導線端部保持溝58a〜62a、58b〜62bは、略同一の深さに設定されている。
そして、導線端部保持溝56aと導線端部保持溝56b、導線端部保持溝58aと導線端部保持溝58b、導線端部保持溝60aと導線端部保持溝60b、導線端部保持溝62aと導線端部保持溝62bには、互いに同じコイル素線18aの始端部又は終端部が引き回され、収納される。
具体的に、U1相〜U6相のコイル18を構成する各コイル素線18aの始端部は入力端子Uに接続され、V1相〜V6相のコイル18を構成する各コイル素線18aの始端部は入力端子Vに接続され、W1相〜W6相のコイル18を構成する各コイル素線18aの始端部は入力端子Wに接続され、全ての相(U1〜U6相、V1〜V6相、W1〜W6相)のコイル18を構成する各コイル素線18aの終端部は中性端子Nに接続される。そのため、最も深い導線端部保持溝56a、56bには、全ての相から合計で18本のコイル素線18aの終端部が引き回されて収納される。
ブロック52bの背後には、コイル素線18aの終端部を固定する終端固定部54が配設されている。終端固定部54は、図4に示すように、ブロック52bに沿って矢印A方向に立設する立設部54aと、該立設部54aの矢印B2方向側から膨出する壁部54bとから構成される。この場合、各分割コア部14において、自己の巻回部38に巻回されたコイル素線18aの終端部は、平角線の長辺側が壁部54b及びブロック52bに沿い、且つ、平角線の短辺側を立設部54aの表面に沿わせた状態で終端固定部54に固定され、導線端部保持溝56a、56bに引き回される。
また、導線端部保持溝56a、56bよりも浅い深さの他の導線端部保持溝58a〜62a、58b〜62bについても、導線端部保持溝58a、58bには、U1相〜U6相の合計で6本のコイル素線18aの始端部が引き回されて収納され、導線端部保持溝60a、60bには、V1相〜V6相の合計で6本のコイル素線18aの始端部が引き回されて収納され、導線端部保持溝62a、62bには、W1相〜W6相の合計で6本のコイル素線18aの始端部が引き回されて収納される。
なお、図4に示すように、上側外周壁46aの矢印C2方向側の上端部は、上側巻回部本体42aよりも上方に延出することにより、巻回部38におけるコイル素線18aの巻き始めの箇所(コイル素線18aの始端部)を係止する始端固定部80として構成される。
ステータ10を構成する分割コア部14は、以上のように構成されるものであり、次に、分割コア部14を含む回転電機の製造に用いられる本実施形態に係る製造装置としての巻取装置100について、図5〜図13Bを参照しながら説明する。
図5は、巻取装置100の概略正面図である。
この巻取装置100は、仮巻プーリ(第1の仮巻用プーリ)102に配置された1個の分割コア部14の巻回部38にコイル素線18aの中心部を巻回してコイル18を構成する一方で、コイル素線18aの始端部及び終端部をそれぞれ仮巻プーリ102の外周面に同一方向にそれぞれ巻回し、仮巻プーリ102に巻回されたコイル素線18aの始端部を第1プーリ(第2の仮巻用プーリ)104に巻き取ると同時にコイル素線18aの終端部を第2プーリ(第3の仮巻用プーリ)106に巻き取ることが可能な装置である。
巻取装置100は、分割コア部14及び仮巻プーリ102を回転自在に支持する回転支持機構108と、第1プーリ104を分割コア部14及び仮巻プーリ102の周囲を公転させながら自転させる第1プーリ回動機構110と、第2プーリ106を自転させる第2プーリ回動機構112とを備える。
回転支持機構108は、駆動源(回転駆動部)114と、該駆動源114から上方に延出する回転軸116と、回転軸116の先端に固定され且つ分割コア部14及び仮巻プーリ102が配置される取付治具118とから構成される。
取付治具118は、図5〜図6Bに示すように、下方に延在するスピンドル軸120が回転軸116に対して略同軸に嵌着されることにより、回転軸116の先端に固定される。
取付治具118は、スピンドル軸120の先端に固定されたベース122と、ベース122の外周側から立設する複数のスペーサ124により上方で支持された略リング状の載置台126と、ベース122の中央部に配置された分割コア部支持台128とを備える。
載置台126には略リング状の嵌合部材132が配置されており、嵌合部材132の内側に略リング状の仮巻プーリ102を嵌合させることにより、該仮巻プーリ102を載置台126に配置することができる。
すなわち、分割コア部14は、引き回し部40及びヨーク部24a(図2及び図3参照)を下方に向けた状態で、仮巻プーリ102内方の孔部と載置台126内方の孔部とを挿通して分割コア部支持台128に載置される。分割コア部支持台128に分割コア部14が載置された場合、図5〜図6B及び図12A〜図13Bに示すように、分割コア部14は、外観上、引き回し部40及びヨーク部24aが仮巻プーリ102及び載置台126の内側に配置され、巻回部38が仮巻プーリ102から上方に延出するように配置される。
取付治具118に配置された分割コア部14及び仮巻プーリ102は、駆動源114の駆動作用下に、回転軸116が進退することにより上下動し、あるいは、回転軸116の回転によって該回転軸116を中心に回転(自転)する。
仮巻プーリ102の外周面には、図6A、図6B及び図12A〜図13Bに示すように、仮巻プーリ102の周方向に形成され且つコイル素線18aの始端部が巻回される幅広の第1溝部170と、前記周方向に形成され且つコイル素線18aの終端部が巻回される幅狭の第2溝部172とがそれぞれ形成されている。この場合、仮巻プーリ102の外周面における下側に第1溝部170が形成されると共に、上側に第2溝部172が形成される。また、コイル素線18aの始端部及びコイル素線18aの終端部は、それぞれ、仮巻プーリ102の外周面に沿って同一方向に巻回される。
第1溝部170の幅は、コイル素線18aの始端部が重ね巻きされないように螺旋状に巻回される程度の広い幅とされている。一方、第2溝部172の幅は、コイル素線18aの終端部が重ね巻きされるようにコイル素線18aの長辺側の幅に設定されている。
また、仮巻プーリ102の外周面には、第1溝部170で巻回されたコイル素線18aの始端部を、分割コア部14の巻回部38まで引き回すための第1引き回し溝部174が設けられている。第1引き回し溝部174は、コイル素線18aの始端部に上下方向(エッジワイズ方向)への巻き癖を付けないようにするため、第1溝部170におけるコイル素線18aの始端部の巻き終わり箇所から、巻回部38におけるコイル素線18aの巻き始めの箇所(図4に示す始端固定部80の位置)にまで、仮巻プーリ102の外周面を略半周分かけて緩やかに上昇する、円弧状に形成された溝部である。
さらに、仮巻プーリ102の外周面には、巻回部38でのコイル素線18aの中心部の巻回によりコイル18が形成された結果、巻回部38から延出したコイル素線18aの終端部を、第2溝部172まで引き回すための第2引き回し溝部176が設けられている。第2引き回し溝部176は、コイル素線18aの終端部に上下方向(エッジワイズ方向)への巻き癖を付けないようにするため、巻回部38におけるコイル素線18aの中心部の巻き終わりの箇所(図4に示す終端固定部54近傍の位置)から、第2溝部172におけるコイル素線18aの終端部の巻き始めの所定箇所にまで、仮巻プーリ102の外周面を略1/4周分かけて緩やかに下降する、円弧状に形成された溝部である。
なお、第1引き回し溝部174の深さは、コイル素線18aの始端部及び終端部への巻き癖を付けないようにするために、第1引き回し溝部174に巻回されるコイル素線18aの始端部と、第2溝部172及び第2引き回し溝部176に巻回されるコイル素線18aの終端部とが接触しない程度の深さであることが望ましい。
そして、取付治具118の外周部におけるベース122と載置台126との間の箇所には、コイル素線18aの始端部の先端部分(先端部)を仮巻プーリ102及び取付治具118から飛び出させた状態で一時的に固定するための先端固定部134が設けられている。そのため、コイル素線18aの始端部は、先端部が先端固定部134に固定された状態で、第1溝部170での巻き始め位置にまで引き回される。この場合、嵌合部材132における先端固定部134と前記巻き始め位置との間の箇所には、コイル素線18aの始端部を前記巻き始め位置にまで引き回すために、切欠部136が設けられている。
一方、先端固定部134の設置箇所とは反対側に設けられた1つのスペーサ124の先端部は、載置台126を貫通して上方に延出し、コイル素線18aの終端部を係止するための係止部130を構成する。係止部130は、図6Bに示すように、仮巻プーリ102に巻回されたコイル素線18aの終端部の巻き終わり部分を一時的に係止することにより、該コイル素線18aの終端部が仮巻プーリ102からほどけることを防止する。
ここで、先端固定部134の構成について、図6A及び図7〜図11Bを参照しながら説明する。
先端固定部134は、載置台126から垂下して設けられた固定ピン140と、該固定ピン140と略平行に設けられ、固定ピン140と協働してコイル素線18aの先端部を狭持固定する2つの可動ピン142、144とを有する。
2つの可動ピン142、144は、スライドブロック146の底面に固定され、該スライドブロック146は、2つのばね部材148、150を介して、ベース122及び/又は載置台126に固定された支持部材152に支持されている。支持部材152のスライドブロック146側の側面における2つのばね部材148、150間の箇所には、突起部154がスライドブロック146に向かって突出形成されている。また、スライドブロック146の両側面は、2つのばね部材148、150と略平行に配置され、且つ、ベース122及び/又は載置台126に固定されたガイドブロック156、158に接触している。
図7及び図8Aに示すように、通常、スライドブロック146は、2つのばね部材148、150の弾発力によって、取付治具118の外周側に配設された固定ピン140に当接している。この場合、スライドブロック146の固定ピン140側の側面には、平面視で、円弧状の凹部164が固定ピン140と対向するように形成されている。これにより、スライドブロック146が固定ピン140に当接して、該固定ピン140が凹部164内に収容されると、固定ピン140及び2つの可動ピン142、144は、図8A及び図8Bに示すように、略一直線上に配置されることになる。
なお、図8A、図9A、図10A及び図11Aは、取付治具118の下方から見上げたときの先端固定部134を図示したものである。
ここで、スライドブロック146の固定ピン140側の側面に、2つのピン部材160、162を当接させて支持部材152側に押圧すると、図9A及び図9Bに示すように、2つのばね部材148、150の弾発力に抗して、ガイドブロック156、158の案内作用下に、スライドブロック146を支持部材152側に摺動させることができる。これにより、固定ピン140に対してスライドブロック146を離間させ、図9B〜図10Bに示すように、固定ピン140と可動ピン142、144との間に、コイル素線18aを通す程度の隙間を作ることができる。なお、支持部材152には突起部154が形成されているため、スライドブロック146が摺動可能な距離は、図8Aに示すスライドブロック146の支持部材152側の側面と、突起部154との間の距離となる。
この状態で、図10A及び図10Bに示すように、固定ピン140と2つの可動ピン142、142との間にコイル素線18aの先端部を通し、その後、ピン部材160、162をスライドブロック146から離間させると、スライドブロック146は、ばね部材148、150の弾発力によって、ガイドブロック156、158の案内作用下に、固定ピン140側に摺動する。スライドブロック146が固定ピン140近傍まで摺動すると、コイル素線18aの先端部は、図11A及び図11Bに示すように、その一部が先端固定部134(を含む取付治具118)から外部に飛び出した状態で、固定ピン140と2つの可動ピン142、144との3本のピンによって狭持される。
この場合、コイル素線18aの先端部は、ばね部材148、150の弾発力に起因したスライドブロック146の凹部164及び可動ピン142、144からの押圧力を受けることにより固定ピン140に押し付けられる。これにより、コイル素線18aの先端部は、固定ピン140の側面、可動ピン142、144の側面及び凹部164に沿って、仮巻プーリ102の円周方向に変形した(曲がった)状態で固定される。また、コイル素線18aの先端部には、ばね部材148、150の弾発力に起因して、固定ピン140、可動ピン142、144及び凹部164との間で大きな摩擦力がさらに加えられている。
そのため、コイル素線18aの先端部の固定後に、仮巻プーリ102に張力をかけつつコイル素線18aを仮巻プーリ102に巻回しても、該張力に抗してコイル素線18aの先端部の固定状態を維持することができる。すなわち、前記張力によってコイル素線18aが引っ張られても、固定ピン140と2つの可動ピン142、144との3本のピンからコイル素線18aの先端部が抜けることを阻止することができる。
なお、固定ピン140及び2つの可動ピン142、144は、いずれも、上端部が他の部材に固定され、下端部が他の部材に固定されていない。そのため、図10A及び図10Bに示すように、下方から固定ピン140と2つの可動ピン142、144との間にコイル素線18aの先端部を誘い込むように挿入することが可能になる。
また、図11A及び図11Bの状態において、コイル素線18aの先端部を下方(固定ピン140及び2つの可動ピン142、144の軸方向)に移動させることにより、固定ピン140及び2つの可動ピン142、144からコイル素線18aの先端部を離間させて、狭持状態から解放することもできる。すなわち、コイル素線18aの先端部は、仮巻プーリ102の円周方向に沿って変形された状態で固定されると共に、大きな摩擦力が加えられているが、コイル素線18aの変形位置(固定位置)を下方向に変位させることにより、狭持状態から解放することが可能である。
先端固定部134の構成は、以上の通りである。
図5に戻り、第1プーリ回動機構110は、回転軸116に軸支されたアーム180と、アーム180上に配設されたレール182と、レール182に沿って摺動することにより回転軸116に対して進退可能なスライダ184と、スライダ184に立設する駆動源186と、駆動源186の軸部188に連結された回転駆動源190とを備え、回転駆動源190から上方に延在する回転軸192に第1プーリ104の中心軸194が略同軸に取り付けられている。
ここで、駆動源114の駆動作用下に回転軸116が回転することにより、回転軸116に対してアーム180が回動する。これにより、第1プーリ回動機構110は、分割コア部14、仮巻プーリ102、回転軸116及び取付治具118に対して回動(公転)する。また、駆動源186の駆動作用下に軸部188が進退することにより、回転駆動源190及び第1プーリ104が昇降する。さらに、回転駆動源190の駆動作用下に回転軸192が回転することにより、第1プーリ104は、中心軸194を中心として回転(自転)する。第1プーリ104は、その外周面に形成された溝部196にコイル素線18aの始端部を巻取可能である。
第2プーリ回動機構112は、ベース210上に配設されたレール212と、レール212に沿って摺動することにより回転軸116に対して進退可能なスライダ214と、スライダ214に立設する支持部材216と、支持部材216に対して上下方向に配設されたレール218と、レール218に沿って上下方向に摺動するスライダ220と、スライダ220から上方に延出する支持部材222に支持された回転駆動源224とを備え、回転駆動源224から上方に延出する回転軸226に第2プーリ106の中心軸228が略同軸に取り付けられている。
ここで、回転駆動源224の駆動作用下に回転軸226が回転することにより、第2プーリ106が中心軸228を中心として回転(自転)する。また、第2プーリ106の外周面に形成された溝部230にコイル素線18aの終端部を巻取可能である。
なお、前述のように、回転軸116の回転により第1プーリ回動機構110が公転するので、第2プーリ106は、第1プーリ回動機構110が図5の二点鎖線に示す位置にまで公転したときに、第1プーリ回動機構110と第2プーリ回動機構112との干渉が発生しないような所望の位置に配置される。
次に、巻取装置100の動作(製造方法)について、図5〜図16Bを参照しながら説明する。なお、この説明では、必要に応じて、図1〜図4も参照しながら説明する。
ここでは、1個の分割コア部14の巻回部38にコイル素線18aの中心部を巻回してコイル18を形成し、該1個の分割コア部14を構成する場合について説明する。
先ず、図5及び図12Aに示すように、嵌合部材132と仮巻プーリ102とを嵌合させて、仮巻プーリ102を載置台126に配置する。次に、分割コア部14の引き回し部40及びヨーク部24aを下方に向けた状態で、仮巻プーリ102及び載置台126の各孔部に分割コア部14を挿通させ、分割コア部支持台128に載置する。これにより、分割コア部支持台128に引き回し部40及びヨーク部24aが接触するので、巻回部38が仮巻プーリ102から上方に延出した状態で分割コア部14が分割コア部支持台128に載置されることになる。
次に、図示しない供給装置から仮巻プーリ102にコイル素線18aを供給して、図6A及び図7〜図11Bに示すように、コイル素線18aの始端部の先端部分(先端部)を先端固定部134に固定する(第1の工程)。
第1の工程では、先ず、図8A及び図8Bに示すように、スライドブロック146に2つのピン部材160、162を当接させて支持部材152側に押圧する。これにより、図9A及び図9Bに示すように、スライドブロック146は、2つのばね部材148、150の弾発力に抗して、ガイドブロック156、158の案内作用下に、支持部材152側に摺動する。
この場合、2つのピン部材160、162は、スライドブロック146が突起部154に当接する位置にまで該スライドブロック146を押圧する。これにより、図9A及び図9Bに示す位置にまで、固定ピン140に対して2つの可動ピン142、144を離間させることができる。
次に、2つのピン部材160、162によるスライドブロック146の押圧を維持した状態で、図10A及び図10Bに示すように、下方から固定ピン140と2つの可動ピン142、144との間にコイル素線18aの先端部を誘い込むように挿入する。
次に、図11A及び図11Bに示すように、ピン部材160、162をスライドブロック146から退動させて、該スライドブロック146に対する押圧を解除する。これにより、スライドブロック146は、ばね部材148、150の弾発力によって、ガイドブロック156、158の案内作用下に、固定ピン140側に摺動する。この結果、コイル素線18aの先端部は、その一部が先端固定部134から外部に飛び出し、且つ、固定ピン140の側面、可動ピン142、144の側面及び凹部164に沿って、仮巻プーリ102の円周方向に変形した状態で、固定ピン140と2つの可動ピン142、144との間に狭持固定される。
このようにしてコイル素線18aの先端部が先端固定部134に固定された場合、次に、前記供給装置から仮巻プーリ102にコイル素線18aを供給しつつ、コイル素線18aの始端部を、先端固定部134から切欠部136を介して第1溝部170の巻き始め位置にまで引き回し、第1溝部170に巻回する(第2の工程)。すなわち、第2の工程では、第1溝部170下方の所定箇所(巻き始め位置)からコイル素線18aの始端部を巻き始め、第1溝部170の周方向に沿って螺旋状にコイル素線18aの始端部を巻回する。
具体的には、駆動源114(図5参照)の駆動作用下に回転軸116を回転させて、分割コア部14、仮巻プーリ102及び取付治具118を回転(自転)させれば、前記供給装置を所定位置に固定した状態で、該供給装置からコイル素線18aを繰り出しながら、コイル素線18aの始端部を第1溝部170に巻回することが可能になる。この結果、第1溝部170において、コイル素線18aの始端部は、図12Bに示すように、第1引き回し溝部174の手前の位置にまで巻回される。
なお、第2の工程では、回転軸116の回転と、分割コア部14、仮巻プーリ102及び取付治具118の自転とによって、仮巻プーリ102に張力をかけつつ、コイル素線18aの始端部を第1溝部170に巻回することになる。前述のように、コイル素線18aの先端部は、変形した状態で先端固定部134に固定されると共に、大きな摩擦力がさらに加えられている。この結果、前記張力に抗してコイル素線18aの先端部の固定状態を維持すると共に、前記張力でコイル素線18aが引っ張られても、先端固定部134からのコイル素線18aの先端部の抜けを阻止することができる。
その後、回転軸116をさらに回転させて、コイル素線18aの始端部を第1引き回し溝部174に引き回す。第1引き回し溝部174は、図12A及び図13Bに示すように、第1溝部170におけるコイル素線18aの始端部の巻き終わり位置(第1引き回し溝部174の始点位置)から、巻回部38における始端固定部80の位置(第1引き回し溝部174の終点位置)にまで、仮巻プーリ102の外周面を略半周分かけて緩やかに上昇する円弧状に形成された溝部であるため、第1引き回し溝部174にコイル素線18aの始端部を引き回しても、コイル素線18aの始端部には上下方向への巻き癖は付かない。この結果、コイル素線18aの始端部は、図12Bに示すように、第1引き回し溝部174の終点位置にまで引き回され、巻回部38の始端固定部80に係止される。
次に、図5及び図13Aに示すように、分割コア部14の巻回部38にコイル素線18aの中心部を巻回してコイル18を形成する(第3の工程)。
第3の工程では、駆動源114の駆動作用下に回転軸116をさらに回転させることにより、分割コア部14、仮巻プーリ102及び取付治具118を自転させて、前記供給装置からコイル素線18aを繰り出しながら、巻回部38にコイル素線18aの中心部を巻回させる。この結果、巻回部38にコイル素線18aの中心部が巻回されてコイル18が形成される。
なお、分割コア部14、仮巻プーリ102及び取付治具118の自転方向(回転軸116の回転方向)は、前述したコイル素線18aの始端部を巻回する場合での分割コア部14、仮巻プーリ102及び取付治具118の自転方向と同じ方向であることは勿論である。また、図13Aでは、巻回部38に形成されたコイル18の中心部の図示を省略している。
次に、図6A、図6B、図13A及び図13Bに示すように、前記供給装置から仮巻プーリ102にコイル素線18aを供給して、コイル素線18aの終端部を仮巻プーリ102に巻回する。
この場合、駆動源114の駆動作用下に回転軸116をさらに回転させることにより、分割コア部14、仮巻プーリ102及び取付治具118を自転させて、前記供給装置からコイル素線18aを繰り出しながら、コイル素線18aの終端部を第2引き回し溝部176に引き回す。
第2引き回し溝部176は、図12A〜図13Aに示すように、巻回部38における終端固定部54の位置(第2引き回し溝部176の始点位置)から第2溝部172におけるコイル素線18aの終端部の巻き始めの所定位置にまで、仮巻プーリ102の外周面を略1/4半周分かけて緩やかに下降する円弧状に形成された溝部であるため、第2引き回し溝部176にコイル素線18aの終端部を引き回しても、コイル素線18aの終端部には上下方向への巻き癖は付かない。
なお、分割コア部14、仮巻プーリ102及び取付治具118の自転方向(回転軸116の回転方向)は、第2工程及び第3工程での分割コア部14、仮巻プーリ102及び取付治具118の自転方向と同じ方向であることは勿論である。
このようにして、第2溝部172におけるコイル素線18aの終端部の巻き始めの所定位置にまでコイル素線18aの終端部が引き回された後に、回転軸116を引き続き回転させて分割コア部14、仮巻プーリ102及び取付治具118を自転させることで、前記供給装置からコイル素線18aを繰り出しながら、コイル素線18aの終端部を第2溝部172に巻回させる。
この場合、図6A、図6B、図13A及び図13Bに示すように、コイル素線18aの始端部と同じ方向に巻回されるように、コイル素線18aの終端部を第2溝部172の周方向に沿って重ね巻きする。
なお、第1引き回し溝部174は、該第1引き回し溝部174に巻回されるコイル素線18aの始端部と、第2溝部172及び第2引き回し溝部176に巻回されるコイル素線18aの終端部とが接触しない程度の深さに設定されているため、第2溝部172にコイル素線18aの終端部を重ね巻きしても、コイル素線18aの始端部及び終端部への巻き癖は付かない。
このようにして、第2溝部172に所定回数重ね巻きされたコイル素線18aの終端部の先端(巻き終わり部分)は、係止部130によって一時的に係止される。これにより、第2溝部172に重ね巻きされたコイル素線18aの終端部が仮巻プーリ102からほどけることを防止することができる。
以上の工程を行うことにより、仮巻プーリ102にコイル素線18aの始端部及び終端部が巻回されると共に、分割コア部14の巻回部38にコイル素線18aの中心部が巻回されてコイル18が形成される。
次に、仮巻プーリ102から第1プーリ104へのコイル素線18aの始端部の巻き取りと、仮巻プーリ102から第2プーリ106へのコイル素線18aの終端部の巻き取りとについて、図14A〜図16Aを参照しながら説明する。
図14A及び図14Bに示すように、第1プーリ104の軸部198には、溝部196に連通する導線端部保持溝200が形成されている。そこで、先ず、先端固定部134から飛び出したコイル素線18aの先端部を導線端部保持溝200に挿入する。
次に、駆動源186(図5参照)の駆動作用下に軸部188を退動させることにより、回転駆動源190及び第1プーリ104を下降させる。前述のように、コイル素線18aの先端部は、仮巻プーリ102の円周方向に沿って変形された状態で固定される共に、大きな摩擦力がさらに加えられているが、固定ピン140及び2つの可動ピン142、144の下端部は、他の部材に固定されていないため、導線端部保持溝200にコイル素線18aの先端部が挿入された第1プーリ104を下降させて、コイル素線18aの先端部の変形位置を下方向にずらすことにより、固定ピン140及び2つの可動ピン142、144からコイル素線18aの先端部を離間させ、狭持状態から解放することができる。
一方、係止部130に係止されたコイル素線18aの終端部の巻き終わり部分についても、略直線状に引き伸ばした状態で、第2プーリ106の溝部230に連通する導線端部保持溝232(図15A参照)に挿入する。
このようにして、図15Aに示すように、コイル素線18aの先端部が先端固定部134から離間して第1プーリ104の導線端部保持溝200に挿入保持されると共に、コイル素線18aの終端部も第2プーリ106の導線端部保持溝232に挿入保持された状態で、巻取装置100は、第1プーリ104及び第2プーリ106の高さ位置を図5に示す状態に調整する。次に、駆動源114(図5参照)の駆動による回転軸116の回転と、回転駆動源190の駆動による回転軸192の回転と、回転駆動源224の駆動による回転軸226の回転とを同時に開始させる。
これにより、図5及び図15Bに示すように、分割コア部14、仮巻プーリ102及び取付治具118は、回転軸116の回転によって自転を開始する。また、回転軸116の回転によるアーム180の回動と回転軸192の回転とによって、第1プーリ104は、分割コア部14、仮巻プーリ102及び取付治具118に対して公転及び自転を開始する。さらに、第2プーリ106は、回転軸226の回転によって自転を開始する。
ここで、図15Bに示すように、分割コア部14及び仮巻プーリ102が時計方向に自転する場合、第1プーリ104は、分割コア部14及び仮巻プーリ102に対して時計方向に公転しながら反時計方向に自転すると共に、第2プーリ106は、時計方向に自転する。このように、分割コア部14及び仮巻プーリ102と、第1プーリ104と、第2プーリ106とが連携して回転及び/又は回動するため、仮巻プーリ102の第1溝部170(図6A、図6B及び図12A〜図13B参照)で螺旋状に巻回されたコイル素線18aの始端部を第1プーリ104の溝部196に巻き取ると同時に、仮巻プーリ102の第2溝部172で重ね巻きされたコイル素線18aの終端部を第2プーリ106の溝部230に巻き取ることができ、仮巻プーリ102に巻回されたコイル素線18aの始端部及び終端部を高速に巻き取ることが可能となる。
なお、巻取装置100では、第1プーリ104及び第2プーリ106によりコイル素線18aの始端部及び終端部を同時に巻き取る前に、第1プーリ104及び第2プーリ106の位置調整を行うため、図5に示すように、第1プーリ104の公転によって該第1プーリ104と第2プーリ106とが近接する場合でも、第1プーリ回動機構110と第2プーリ回動機構112との干渉の発生を回避しつつ、コイル素線18aの始端部及び終端部の巻き取りを継続して行うことができる。
また、コイル素線18aの始端部は、仮巻プーリ102の第1引き回し溝部174にも引き回され、一方で、コイル素線18aの終端部は、仮巻プーリ102の第2引き回し溝部176にも引き回されている。従って、第1プーリ104は、第1溝部170及び第1引き回し溝部174に巻回されたコイル素線18aの始端部を巻き取れるところまで公転及び自転し、第2プーリ106は、第2溝部172及び第2引き回し溝部176に巻回されたコイル素線18aの終端部を巻き取れるところまで自転する。
そして、図16Aに示すように、仮巻プーリ102に巻回されたコイル素線18aの始端部の第1プーリ104への巻き取りが完了すると共に、仮巻プーリ102に巻回されたコイル素線18aの終端部の第2プーリ106への巻き取りが完了すれば、巻取装置100は、駆動源114、回転駆動源190及び回転駆動源224の駆動を停止させて、分割コア部14、仮巻プーリ102及び取付治具118の自転と、第1プーリ104の公転及び自転と、第2プーリ106の自転とを停止させる。
次に、取付治具118から分割コア部14を取り外し、回転軸192から第1プーリ104を取り外し、さらに、回転軸226から第2プーリ106を取り外して、巻取装置100から分割コア部14、第1プーリ104及び第2プーリ106を離間させる。
その後、分割コア部14、第1プーリ104及び第2プーリ106は、図16Bに示す長板状のパレット240に配置される。この場合、分割コア部14は、クランプ部材242、244によりクランプされた状態でパレット240に配置される。
分割コア部14は、パレット240によって、ステータコア16を製造するための所定位置(分割コア部14を環状配置するためのステーションにおける所定位置)にまで搬送される。
分割コア部14がステーションの所定位置に配置された場合、第1プーリ104に巻き取られた(巻回された)コイル素線18aの始端部は、導線端部保持溝58a、58b、導線端部保持溝60a、60b、又は、導線端部保持溝62a、62bに引き回されて収納される。また、第2プーリ106に巻き取られた(巻回された)コイル素線18aの終端部は、導線端部保持溝56a、56bに引き回されて収納される。
以上説明したように、本実施形態に係る製造方法及び巻取装置(製造装置)100によれば、コイル素線18aの先端部(始端部の先端部分)は、先端固定部134によって、仮巻プーリ102及び取付治具118の外側に飛び出した状態で固定される。従って、仮巻プーリ102に巻回されたコイル素線18aの始端部を第1プーリ104に巻き取るときには、飛び出したコイル素線18aの先端部を先端固定部134から取り外し、該先端部を第1プーリ104に固定した後に、仮巻プーリ102及び第1プーリ104を回転させればよい。これにより、仮巻プーリ102からコイル素線18aの先端部を含むコイル素線18aの始端部を第1プーリ104に巻き取ることが可能となるので、バスリングの無いステータ10を有する回転電機を容易に製造することができる。
また、本実施形態では、先端固定部134が固定ピン140と2つの可動ピン142、144とを有し、固定ピン140と2つの可動ピン142、144との間にコイル素線18aの先端部を狭持させることにより、該コイル素線18aの先端部を仮巻プーリ102及び取付治具118の外側に飛び出した状態で固定させることができる。このようにすれば、簡単な構成で、コイル素線18aの先端部を固定することができる。また、固定ピン140及び2つの可動ピン142、144に狭持されたコイル素線18aの先端部を下方(固定ピン140及び2つの可動ピン142、144の軸方向)に移動させることにより、該コイル素線18aの先端部を狭持状態から容易に解放させることができる。
また、本実施形態に係る製造方法及び巻取装置100では、下記の効果も得られる。
仮巻プーリ102にコイル素線18aの始端部及び終端部を巻回し、且つ、コイル素線18aを分割コア部14の巻回部38に巻回してコイル18を形成した後に、第1プーリ104によるコイル素線18aの始端部の巻き取りと、第2プーリ106によるコイル素線18aの終端部の巻き取りとを同時に行うので、該コイル素線18aの始端部及び終端部の巻き取りを短時間で行うことができる。
この場合、回転支持機構108による分割コア部14及び仮巻プーリ102の一体的な回転(自転)と、第1プーリ回動機構110による第1プーリ104の公転及び自転と、第2プーリ回動機構112による第2プーリ106の自転とをそれぞれ行わせることにより、分割コア部14及び仮巻プーリ102と、第1プーリ104と、第2プーリ106とが連携して回転及び/又は回動することになるため、第1プーリ104によるコイル素線18aの始端部の巻き取りと、第2プーリ106によるコイル素線18aの終端部の巻き取りとを同時に行わせることができ、仮巻プーリ102に巻回されたコイル素線18aの始端部及び終端部を高速に巻き取ることが可能となる。
また、コイル素線18aの始端部が重ならないように、仮巻プーリ102の外周面に形成された第1溝部170にコイル素線18aの始端部が螺旋状に巻回されるので、第1プーリ104にコイル素線18aの始端部を巻き取る際に、仮巻プーリ102からコイル素線18aの始端部が巻き取れなくなることを回避することができる。
また、コイル素線18aの始端部と重ならず、且つ、該コイル素線18aの始端部と同じ方向に巻回されるように、仮巻プーリ102の外周面に形成された第2溝部172にコイル素線18aの終端部が重ね巻きされている。そのため、仮巻プーリ102において、コイル素線18aの始端部と同じ方向にコイル素線18aの終端部を巻回すれば、仮巻プーリ102を一方向に回転させるだけで、第1プーリ104によるコイル素線18aの始端部の巻き取りと、第2プーリ106によるコイル素線18aの終端部の巻き取りとを同時に行うことができる。また、コイル素線18aの終端部を重ね巻きすることにより、コイル素線18aの始端部を螺旋状に巻回するためのスペースを仮巻プーリ102の外周面に確保することができる。なお、第2プーリ106は、第2溝部172に重ね巻きされたコイル素線18aの終端部をほどきながら巻き取ることになる。
さらに、分割コア部14の巻回部38にコイル素線18aの中心部が巻回されるので、第1プーリ104によるコイル素線18aの始端部の巻き取りと、第2プーリ106によるコイル素線18aの終端部の巻き取りとが完了すれば、該分割コア部14を環状に配置することが可能になり、ステータコア16の製造効率を向上させることができる。
本発明は上記した実施形態に限らず、本発明の要旨を逸脱することなく、種々の構成を採り得ることは当然可能である。