JP2013172261A - 撮像装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】プリフラッシュ時の外光による露光時間を低減し、プリフラッシュ調光精度を向上させつつ、多様な構図にも対応し得る撮像装置を提供する。
【解決手段】行列状に配置されランダムアクセス可能な撮像素子の画像内に含まれる顔部500を検出する。顔部500に応じた測光エリアとすべく、撮像装置のシステム制御回路は、プリフラッシュの発光タイミングを設定する。また、列方向の測光エリアを顔部に限定すべく、各行から特定の列の画像信号のみを読み出す。
【選択図】図3
【解決手段】行列状に配置されランダムアクセス可能な撮像素子の画像内に含まれる顔部500を検出する。顔部500に応じた測光エリアとすべく、撮像装置のシステム制御回路は、プリフラッシュの発光タイミングを設定する。また、列方向の測光エリアを顔部に限定すべく、各行から特定の列の画像信号のみを読み出す。
【選択図】図3
Description
本発明は撮像装置に関し、特に、画素毎に露光及び読出動作が異なるCMOS画像センサを用いたプリフラッシュ(あるいはプリストロボ)測光技術に関する。
デジタル撮像装置の撮像素子には、CCD画像センサの他にCMOS画像センサが用いられており、CMOS画像センサはランダムアクセス、高速読み出し、高感度、低消費電力等の利点がある。
プリフラッシュ発光とは、本発光前の予備発光を意味し、本発光時のフラッシュ発光を最適化するための事前の調光用の発光である。プリフラッシュ時は、被写体にプリフラッシュの光と、フラッシュ光のない状態で被写体にもともと照射されていた光、いわゆる外光の両方が照射されており、両者の被写体からの反射光に基づいた像が、撮像装置の撮像素子に結像される。プリフラッシュ光による撮像信号分をプリフラッシュ光成分といい、外光によるものを外光分という。プリフラッシュ時の撮像素子の信号出力には両成分が含まれているため、プリフラッシュ光成分のみを抽出することが正確なプリフラッシュ調光に必要である。CMOS画像センサを用いる場合、露光動作及び読出動作が画素行毎に異なるため、プリフラッシュ時に露光動作しているCMOS画像センサの一部の領域にしかプリフラッシュの影響を与えることができず、本発光の光量を精度良く求めることが困難である。このため、プリフラッシュの露光時間を十分に長くする技術が提案されているが、外光がある場合にプリフラッシュを行うと、CMOS画像センサのある領域の入力光量がCMOS画像センサの飽和レベルを超える場合がある。例えば、高反射率被写体がカメラに近接している場合がこれにあたる。プリフラッシュ調光は、信号が飽和しないことが前提であるため、仮に一部の画素領域でも飽和していると、本発光の光量を高精度に求めることが困難となる。
下記の特許文献1には、プリフラッシュの動作時に、CMOS画像センサの全画素の露光動作を同時に開始させてプリフラッシュの画像を撮像することで、CMOS画像センサの全ての領域の入力光量ができるだけ飽和レベルを超えないように露光時間を短くしつつ、CMOS画像センサの全ての領域にプリフラッシュの影響を与えることが開示されている。
また、特許文献2には、フラッシュ本発光のためのプリフラッシュ時に正確な光量を検出し、本発光時に適切なAEやホワイトバランス調整を実行することを目的として、CMOS画像センサ内のフラッシュ測光エリアに含まれる撮像素子の蓄積時間中に測光用プリ発光を行うことが開示されている。また、測光用プリ発光が終了した後に当該エリア内の撮像素子から信号を順次読み出すことが開示されている。
一般的には外光がある場合にはフラッシュの必要がないためプリフラッシュも不要であるが、逆光におけるポートレート撮影時においては主要被写体である人物の顔部が暗くなってしまうためフラッシュが必要となり、このような場合に上述したようなCMOSセンサの飽和レベルを超える問題が生じ得る。特許文献1には、CMOS画像センサの全画素の露光時間を同時に開始させてプリフラッシュの画像を撮影することで、ダイナミックレンジを超える入力光量となることを抑制しているが、CMOS画像センサからの画像信号の読出しは撮像領域の上部から下部へと順次行われるため、下部の領域では外光成分が相対的に大きくなり、飽和しやすくなる。主被写体や近接被写体は上部下部を問わずどこにでも存在し得る。例えば、主要被写体である人物の顔部が撮像領域の下部に存在する場合に問題が生じてしまう。これは、いわゆる縦位置撮影を行うとよく出現する。また、特許文献2においては、フラッシュ測光エリアに含まれる撮像素子の蓄積時間にプリフラッシュを行うことでフラッシュ発光のAEを調整しているが、フラッシュ測光エリアは撮像領域の中央部に設定されており、主要被写体である人物の顔部が中央に存在していればともかく、中央以外に存在する場合には同様に問題が生じてしまう。特に、ポートレート撮影時には、必ずしも画角中央に人物を配置するのではなく、背景とのバランスを考慮して意図的に人物の顔部を中央から外すように構図を決める場合も少なくない。上記の縦位置撮影もこの一例である。フラッシュ測光エリアを一義的に中央に設定したのでは、ユーザが意図する多様な構図に適応的に応答することは困難である。
本発明の目的は、プリフラッシュ時の外光による露光時間を低減し、プリフラッシュ調光精度を向上させつつ、多様な構図にも対応し得る撮像装置を提供することにある。
本発明は、行列状に配置されランダムアクセス可能な撮像素子を備えた撮像装置であって、前記撮像素子で得られる画像内に含まれる顔部を検出する検出手段と、前記顔部に応じた測光エリアとすべく、プリフラッシュの発光タイミングを制御する制御手段とを備えることを特徴とする。
本発明の1つの実施形態では、前記撮像素子は第1行から第m行までで構成され、前記検出手段で検出される顔部の存在位置が、第i行(iは自然数でi≧1)から第j行(jは自然数でm≧j)までの範囲である場合、前記制御手段は、少なくとも、第i行から第j行までの範囲を含み、かつ、第1行から第m行までの範囲より狭い範囲を測光エリアとすべく、プリフラッシュの発光タイミングを制御する。
また、本発明の他の実施形態では、前記制御手段は、前記測光エリアを第a行(i≧a≧1)から第b行(m≧b≧j)までとした場合、前記撮像素子を第1行から第m行に向けて順次リセットして露光する場合に、前記第b行のリセットが終了した時点からプリフラッシュを開始する。
また、本発明のさらに他の実施形態では、前記測光エリアを第a行(i≧a≧1)から第b行(m≧b≧j)までとした場合、さらに、前記プリフラッシュが終了した時点から、前記第a行の画像信号の読出しを開始する読出し手段を備える。
また、本発明のさらに他の実施形態では、前記測光エリアを第i行から第j行までとした場合、前記読出し手段は、プリフラッシュが終了した時点から、前記i行の読出しを開始する。
また、本発明のさらに他の実施形態では、前記撮像素子は、第1列から第n列までで構成され、前記検出手段で検出される顔部の存在位置が、第u列(uは自然数でu≧1)から第v列(vは自然数でn≧v)までの範囲である場合、さらに、少なくとも、第u列から第v列までの範囲を含み、かつ、第1列から第n列までの範囲より狭い範囲を測光エリアとすべく、各行から対応する列の画像信号を読出す読出し手段を備える。
また、本発明のさらに他の実施形態では、前記制御手段は、前記検出手段で検出された前記顔部が複数存在する場合、前記顔部の画像内の分布に応じた測光エリアとすべく、プリフラッシュの発光タイミング及び撮像素子の各行と各列の読出し範囲を制御する。
本発明によれば、プリフラッシュ時の外光による露光時間を低減し、プリフラッシュ調光精度を向上させつつ、多様な構図にも対応し得る。
以下、図面に基づき本発明の実施形態について説明する。但し、以下の実施形態は例示であり、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。
まず、本実施形態における撮像装置としてのデジタルカメラの基本構成について説明する。
図1に、本実施形態におけるデジタルカメラ1の構成ブロック図を示す。レンズ10、シャッタ・絞り12、光学フィルタ31を介して被写体像は撮像素子14に結像する。撮像素子14は、被写体像を電気信号に変換し、アナログ画像信号としてアナログ前処理回路(アナログフロントエンド)16に出力する。絞りは、システム制御回路20からの露光制御信号により駆動制御される(露出制御:AE)。また、レンズ10は、システム制御回路20からのフォーカス制御信号により駆動制御される(フォーカス制御:AF)。
通常、光学フィルタ31は、IRカットフィルタが用いられ、これに光学ローパスフィルタが加わることもある。撮像素子14は、通常、オンチップカラーフィルタ・マイクロレンズを有した2次元形状に配列した画素アレイを意味する。撮像素子14は、ランダムアクセス可能なCMOS画像センサが用いられる。
アナログ前処理回路(アナログフロントエンド)16は、アナログアンプ、ゲインコントローラ及びADコンバータを備え、撮像素子14からのアナログ画像信号を増幅し、デジタル画像信号に変換してデジタル信号処理回路18に出力する。なお、近年の多くのCMOS画像センサはデジタル出力、すなわちアナログ前処理回路16を撮像素子内部に有しているが、いずれのタイプの画像センサを撮像素子に用いても構わない。
デジタル信号処理回路18は、供給されたデジタル画像信号に対し、ゲイン補正(ホワイトバランス調整)、ガンマ補正、同時化処理、RGB−YC変換、ノイズ低減処理、輪郭補正、JPEG圧縮の各処理を実行する。
ゲイン補正(ホワイトバランス調整)は、光源色温度によるRGBのバランスを補正する処理であり、入力されたR信号、G信号、B信号のゲインをそれぞれ調整する。ゲインを調整する方法としては、光源の種類(太陽光、電灯光)等をユーザが手動で入力し、入力された光源に基づいてゲインを調整する方法、撮影光源下に白やグレーの物体を配置し、これらをカメラで撮影して補正する方法、カメラで光源を自動的に判断して補正する方法(オートホワイトバランス)がある。
ガンマ補正は、撮像素子14の出力特性をディスプレイの入出力特性(sRGB)に合わせる処理である。
同時化処理は、Bayer配列のカラーフィルタを用いた単板撮像方式において1つの画素に1つの色の信号しか存在しないため、足りない色の信号を近隣の画素の色信号から演算して算出する処理である。同時化処理の方法として、近隣の画素の値を平均する方法、注目画素からの距離に応じて加重平均する方法等がある。
RGB−YC変換処理は、同時化処理されたR信号、G信号、B信号をY信号、Cb信号、Cr信号に変換する処理である。すなわち、
Y=0.30R+0.59G+0.11B
Cb=B−Y
Cr=R−Y
により輝度信号のY信号、色差信号のCb信号、Cr信号に変換する。
Y=0.30R+0.59G+0.11B
Cb=B−Y
Cr=R−Y
により輝度信号のY信号、色差信号のCb信号、Cr信号に変換する。
ノイズ低減処理は、メディアンフィルタ等を用いてパルス性のノイズのような孤立点を除去する処理である。この処理によりノイズは除去されるが同時に解像度も低下するため、通常、色差信号Cb,Crに対して実行される。
輪郭補正処理は、光学的ローパスフィルタ等の影響によるMTF(Modulation Transfer Function)の低下を補正するための処理であり、輪郭抽出処理とノンリニア処理により原画像信号に輪郭信号を付加する。通常、輪郭補正処理は、輝度信号に対して実行される。
JPEG圧縮は、輝度信号のY信号、色差信号のCb信号、Cr信号それぞれを8画素×8画素のブロックに分割し、各ブロック毎にDCT変換、量子化、ハフマン符号化を順次行い圧縮する。
デジタル信号処理回路18は、以上のような処理により圧縮された画像信号をデータバス22を介してバッファメモリ28に格納し、バッファメモリ28に格納された画像データを読み出して液晶モニタ26に表示する。あるいは、画像信号をメモリカード24に記憶する。
システム制御回路20は、各種スイッチ(SW)19から入力された信号に基づき各部の動作を制御する。例えば、シャッタボタンの操作信号に基づいて各部の動作を制御し、撮影して得られた画像信号を液晶モニタ26に表示し、あるいはメモリカード24に記憶する。また、撮影に際し、既述したように露出制御(AE)及びフォーカス制御(AF)を実行する。フォーカス制御に関しては、コントラスト検出式AFとTTL位相差検出式AFがある。コントラスト検出式AFでは、撮像画像のコントラスト最大点を合焦位置とするもので、現在位置からフォーカスを少し動かし、コントラストが減少した場合に逆方向に、コントラストが増大した場合にさらに同方向に動かし、どちらの方向に動かしても減少する場合に当該位置を合焦位置とするものである(所謂山登り法)。TTL位相差検出式AFでは、レンズ透過光を測距ユニットで計測し、レンズの合焦位置を決定するものであり、測距ユニットでは合焦位置からのずれの方向及びずれ量に応じて像が左右に移動することを利用して合焦位置を決定する。
また、システム制御回路20は、AEにより露光不足と判定した場合、フラッシュ装置30に制御信号を出力してフラッシュ装置30を発光させる。具体的には、システム制御回路20は、本発光に先立ってフラッシュ装置30をプリ発光させ、このときの露光量を撮像素子14からの信号に基づいて本発光時の発光量を調整する。フラッシュ装置30は、発光回路及びフラッシュから構成され、発光回路はシステム制御回路20からの制御信号に従ってフラッシュに駆動信号を出力しその発光を制御する。
CMOS画像センサは、2次元の行列状に配置された複数の画素と、同列の画素が共通して電気的に接続され各列のいずれかの画素から出力されたそれぞれの画素への入射光信号に比例する電気信号を水平方向に1画素毎に出力するカラム回路部とを備える。カラム回路部からの出力は、アナログ/デジタルのいずれかになる。CMOS画像センサは、任意のアドレスの画素を読み出すことができるが、一般には同列の画素を同時に読み出すことができないため、読出し動作は線順次となる。ここで、線順次とは、2次元の行列状に配置された複数の画素の最も上にある第1行の画素を読出し、次に、第2行の画素を読出し、次に第3行の画素を読み出す等、行毎に順次上から下に画像信号を読み出すことをいう。
システム制御回路20は、このようなCMOS画像センサの特性に鑑み、フラッシュ発光に先立つプリフラッシュの発光タイミングを調整することで、CMOS画像センサに入射する外光によるノイズを抑制し、プリフラッシュの調光精度を向上させる。
図2に、本実施形態におけるプリフラッシュの発光タイミングを説明するための前提となる、従来のプリフラッシュの発光タイミングを示す。図において、横軸は時間経過(t)を、縦軸は画面上の縦方向の位置を示す。ここで、ライン100は2次元配置されたCMOS画像センサのリセットタイミングを示し、ライン200はCMOS画像センサの読出しタイミングを示し、矩形300はプリフラッシュのタイミングを示し、矢印400はCMOS画像センサの露光期間を示す。外光成分に対する露光時間は、矢印の期間に等しく、このうちプリフラッシュ光成分に対する露光時間は矩形300の幅に等しい。CMOS画像センサの第1行から順次リセットするため、リセットタイミングは第1行が先行し最終行が後行するのでリセットタイミングを示すライン100は上から下にかけて斜めとなる。CMOS画像センサの最終行のリセットが終了した後、プリフラッシュが実行される。全ての画素のリセットが終了してからプリフラッシュを発光させるため、全ての画素にプリフラッシュの発光を及ぼすことができる。つまり、全ての画素でプリフラッシュの被写体からの反射光を受光することができる。プリフラッシュ実行後に、CMOS画像センサの第1行から順次、画像信号を読み出していく。読出しタイミングも第1行が先行し最終行が後行するので読出しタイミングを示すライン200も上から下にかけて斜めとなる。第1行に着目すると、プリフラッシュ発光直後に読出しが開始されるが、第2行ではそれよりも時間的に遅いタイミングで読出しが開始されるため、プリフラッシュ発光後においても露光が行われる。ここで、矢印400の長さに相当する、外光成分への露光時間をTout、プリフラッシュ光に対する露光時間をTpreとする。上記のように、外光成分が多い、すなわち図2に示すようにTout/Tpreが大きいと、CMOS画像センサの飽和レベルを超えてしまうおそれがあり、高精度のプリフラッシュ調光が困難となる。
そこで、本実施形態では、主要被写体である人物の顔部に着目し、この顔部においてプリフラッシュ調光すべく、プリフラッシュの発光タイミングを調整する。プリフラッシュの発光タイミングは、従来のように必ずしもすべての画素にプリフラッシュ光の影響が及ぶようにするのではなく、限定した領域、具体的には主要被写体である人物の顔部が存在する領域が選択的に露光されるように設定される。言い換えれば、主要被写体である人物の顔部が存在する領域をプリフラッシュの測光エリアに設定する。従って、人物の顔部が2次元配列されたCMOS画像センサの中央部に存在する場合には、当該中央部がプリフラッシュの測光エリアとなるが、人物の顔部がCMOS画像センサの上部領域に存在する場合には、当該上部領域がプリフラッシュの測光エリアに設定され、人物の顔部がCMOS画像センサの下部領域に存在する場合には、当該下部領域がプリフラッシュの測光エリアに設定される。顔部の位置に応じてプリフラッシュ測光エリアが適応的に変化する点に留意されたい。
図3及び図4に、本実施形態におけるプリフラッシュの発光タイミングを示す。ライン100,200は図2と同様にそれぞれCMOS画像センサのリセットタイミング及び画像信号の読出しタイミングを示す。まず、図3において、撮像領域の上部に主要被写体である人物の顔部500が存在するものとする。この場合、顔部500が存在するエリアをプリフラッシュの測光エリアとすべく、プリフラッシュの発光タイミング300を調整する。具体的には、顔部500の下端部を500a、上端部を500bとして、下端部500aに対応するCMOS画像センサの行のリセットが終了したタイミングPにおいてプリフラッシュを発光させ、上端部500bに対応するCMOS画像センサの行の読出しタイミングQがプリフラッシュの終了タイミングに略一致するようにプリフラッシュの発光時間を調整する。プリフラッシュの発光時間が一定の場合、プリフラッシュの発光が終了したタイミングで上端部500bに対応する行の読出しが開始されるように読出しタイミング200を調整すればよい。顔部500の上端部500bに対応する行を第i行、下端部500aに対応する行を第j行とした場合、第j行のリセットが終了したタイミングでプリフラッシュを発光させ、プリフラッシュの発光が終了したタイミングにおいて第i行の読み出しが開始するように調整する。
次に、図4において、撮像領域の下部に主要被写体である人物の顔部500が存在するものとする。この場合、顔部500が存在するエリアをプリフラッシュの測光エリアとすべく、プリフラッシュの発光タイミング300を調整する。具体的には、顔部500の下端部を500a、上端部を500bとして、下端部500aに対応するCMOS画像センサの行のリセットが終了したタイミングRにおいてプリフラッシュを発光させ、上端部500bに対応するCMOS画像センサの行の読出しタイミングSがプリフラッシュの終了タイミングに略一致するようにプリフラッシュの発光時間を調整する。プリフラッシュの発光時間が一定の場合、プリフラッシュの発光が終了したタイミングで上端部500bに対応する行の読出しが開始されるように読出しタイミングを調整すればよい。顔部500の上端部500bに対応する行を第q行、下端部500aに対応する行を第p行とした場合、第p行のリセットが終了したタイミングでプリフラッシュを発光させ、プリフラッシュの発光が終了したタイミングにおいて第q行の読み出しが開始するように調整する。
なお、図3において、測光エリアを顔部500の上端部500b及び下端部500aに正確に対応させる必要は必ずしもなく、顔部500を少なくとも含み、かつ、画像全体の範囲よりも狭い範囲を測光エリアとすることもできる。例えば第(i‐1)行〜第(j+1)行を測光エリアとする、あるいは第(i‐2)行〜第(j+2)行とする等である。一般に、顔部500の存在位置を第i行〜第j行とし、CMOS撮像素子が第1行〜第m行で構成されるとした場合、測光エリアは、第a行〜第b行に設定することができる。ここで、i≧a≧1、m≧b≧jである。第b行のリセットが終了した時点でプリフラッシュを発光させ、プリフラッシュが終了した時点で第a行の読出しを開始する。図4の場合も同様である。
図5に、本実施形態において前提となる、従来の制御フローチャートを示す。
まず、システム制御回路20は、AEを実行し(S101)、フラッシュ装置30を発光させる必要があるか否かを判定する(S102)。外光が十分にあり、主被写体と背景の輝度差が大きな逆光下においてのポートレートシーン等のフラッシュが必要なシーンでない場合には、フラッシュ装置30を発光させる必要がないと判定し、システム制御回路20はフラッシュ装置30を発光させることなく画像(撮影すべき画像の意味で本画像と称する)を取得する(S103)。
一方、外光が十分でない場合、又は上記した逆光下においてポートレート撮影を行う場合には、システム制御回路20はフラッシュ装置30を発光させる必要があると判定する。この場合、図2に示す従来の発光タイミング、すなわち全てのCMOS画像のリセットが終了したタイミングでプリフラッシュを発光させてCMOS画像を露光し、画像(このときの画像を画像Aと称する)を取得する(S104)。次に、システム制御回路20は、プリフラッシュを発光させない状態で画像(このときの画像を画像Bと称する)を取得する(S105)。次に、システム制御回路20は、画像Aから画像Bを減算する処理を行い画像Cを取得する(S106)。画像Aから画像Bを減算するのは、プリフラッシュの影響のみによる画像を取得すべきところ、画像Aはプリフラッシュ成分と外光成分が含まれた画像であり、外光成分の画像を除去する必要があるからである。画像Aから画像Bを減算することで、プリフラッシュのみの画像を得ることができる。なお、図5では、画像Aを取得した後に画像Bを取得しているが、画像Aの取得に先立って画像Bを取得してもよいのは言うまでもない。システム制御回路20は、画像Cを取得した後、この画像Cを用いてフラッシュ(プリフラッシュでない本来のフラッシュの意味で本フラッシュと称する)の発光量を設定し、本フラッシュ発光下において画像(本画像)を取得する(S107)。
これに対し、図6に、本実施形態における制御フローチャートを示す。
まず、システム制御回路20は、AEを実行し(S201)、フラッシュ装置30を発光させる必要があるか否かを判定する(S202)。フラッシュ装置30を発光させる必要がない場合、フラッシュ装置30を発光させることなく本画像を取得する(S203)。
一方、外光が十分でない場合、例えば逆光下においてポートレート撮影を行う場合には、システム制御回路20はフラッシュ装置を発光させる必要があると判定する。この場合、システム制御回路20は、CMOS画像センサから得られる画像(ライブビュー画像)に人物の顔部が存在するか否かを判定する(S204)。顔部を検出するアルゴリズムは公知であり、顔の輪郭や顔の各部位(目や鼻、口)の相対位置や大きさ等を用いて実行する。予め顔の特徴をテンプレートとしてメモリに記憶しておき、テンプレートマッチングにより顔を検出してもよく、色データ(肌色か否か)を用いて顔を検出してもよい。顔検出して顔に合焦するように制御する顔AF、顔検出して露出制御する顔AE、顔検出してホワイトバランスを調整する顔WBが公知であるが、これら顔AF、顔AE、顔WBで用いられる顔検出アルゴリズムをそのまま適用することができる。
顔部が検出されない場合、システム制御回路20は、通常のプリフラッシュ、すなわち図2に示される従来のプリフラッシュの発光タイミングでプリフラッシュ発光させ、画像Aを取得する(S205)。他方、顔部が検出された場合、システム制御回路20は、検出された顔に合わせた露光時間を計算して、検出された顔位置に応じたプリフラッシュタイミングでプリフラッシュ発光させ、画像Aを取得する(S206)。なお、顔に合わせた露光時間は、顔の縦長さをx(行)、1ラインの読出し時間をTl、プリフラッシュの必要な時間をTpreとすると、
露光時間Tout=(x−1)・Tl+Tpre
である。また、露光時間ToutとTpreとの比は、
Tout/Tpre={(x−1)・Tl+Tpre}/Tpre
=1+(x−1)・Tl/Tpre
である。また、顔位置に応じたプリフラッシュタイミングは図3、図4に示すタイミングである。具体的には、検出された顔部の領域を記憶し、領域の右下隅の最終画素の露出が開始された時点(リセットのタイミング)でプリフラッシュを発光させ、プリフラッシュの終了時点で領域の中で最初の画素である左上隅の画素の読出しを始める。以下の画素は、同じ露光時間を維持しながら読み出す。このS206の処理についてはさらに後述する。
露光時間Tout=(x−1)・Tl+Tpre
である。また、露光時間ToutとTpreとの比は、
Tout/Tpre={(x−1)・Tl+Tpre}/Tpre
=1+(x−1)・Tl/Tpre
である。また、顔位置に応じたプリフラッシュタイミングは図3、図4に示すタイミングである。具体的には、検出された顔部の領域を記憶し、領域の右下隅の最終画素の露出が開始された時点(リセットのタイミング)でプリフラッシュを発光させ、プリフラッシュの終了時点で領域の中で最初の画素である左上隅の画素の読出しを始める。以下の画素は、同じ露光時間を維持しながら読み出す。このS206の処理についてはさらに後述する。
画像Aを取得した後、システム制御回路20は、プリフラッシュを発光させない状態で画像Bを取得する(S207)。なお、画像Bを取得する際に、S205の処理で画像Aを取得した場合には従来の方法で画像Bを取得するが、S206の処理で画像Aを取得した場合、画像Aと同一の読出し方法で画像Bを取得する。すなわち、検出された顔部の領域の各画素の露光時間を、画像Aを取得したときの露光時間と同一とする。
図7に、S206の処理で画像Aを取得する場合の読出しタイミングを示し、図8に、これに対応してS207で画像Bを取得する場合の読出しタイミングを示す。図7において、図3の場合と同様に、顔部500の上端部500bに対応する第i行のリセットタイミングをP1、顔部500の下端部500aに対応する第j行のリセットタイミングをP2、第i行の読出しタイミングをQ1、第j行の読出しタイミングをQ2とする。第i行の露光時間はP1〜Q1であり、第j行の露光時間はP2〜Q2である。第i行と第j行の間の行も同様に決定される。画像Aを取得する際には、このような露光時間の間にプリフラッシュが発光することとなり、画像Aには上記の露光時間における外光成分とプリフラッシュ成分が含まれる。この画像Aから外光成分を除去するためには、画像Aの露光時間と等しい露光時間を有する画像Bを取得する必要がある。
図8において、画像Bを取得する際には、第i行のリセットタイミングをP1とし、第i行の読出しタイミングをQ1として、第i行の露光時間を画像A取得時の露光時間と同一のP1〜Q1とする。第j行についても同様に、第j行のリセットタイミングをP2、第j行の読出しタイミングをQ2として、第j行の露光時間を画像A取得時の露光時間と同一のP2〜Q2とする。具体的には、第i行〜第j行の露光時間が画像A取得時の露光時間と同一となるように読出しタイミングのライン200を調整する。以上のようにして、画像Aに対応する画像Bを取得できる。
再び図6に戻り、画像Bを取得すると、システム制御回路20は、画像Aから画像Bを減算して外光成分を除去した画像Cを取得する(S208)。そして、画像Cを用いて本フラッシュの発光量を調整し、本画像を取得する(S209)。
このような処理によれば、被写体である人物の顔部に着目し、この顔部分を選択的に測光エリアとしてプリフラッシュの発光タイミングを調整するので、外光が存在する場合においても外光成分に対する露光時間を抑制して入力光量がCMOS画像センサの飽和レベルを超える事態を防止し、プリフラッシュの調光精度を向上させることができる。より定量的にいえば、図2に示す従来技術に対し、図3に示すように本実施形態ではTout/Tpreを図2に示す従来技術より著しく小さくして外光成分の影響を小さくできる。特に、このような処理によれば、検出された顔部の位置に応じて適応的に測光エリアが設定され、プリフラッシュの発光タイミングが調整されるので、ユーザの意図する任意の構図に適応して調光することが可能である。
次に、図6のS206の処理、すなわち顔位置に応じたプリフラッシュ発光及び画像Aの取得処理について、より詳細に説明する。
図9に、プリフラッシュ発光及び画像Aの取得処理の詳細フローチャートを示す。
システム制御回路20は、まず画像内に含まれる顔の数をカウントし、単数であるか複数であるかを判定する(S302)。顔検出の方法については既述した通りである。
検出された顔の数が単数、つまり1人の顔しか検出されない場合には、検出された顔の大きさを検出する。この顔の大きさは、撮像領域内における相対的な大きさであり、撮像領域内の画素数の内、顔部が占有する画素数で検出される。なお、顔の大きさは、撮像領域を100とした場合の百分率で検出してもよい。例えば、顔の大きさを10%とする等である。そして、システム制御部20は、検出された顔が相対的に大きいか小さいかを判定する(S303)。この判定は、検出された顔の大きさを所定のしきい値と大小比較して行われ、例えば撮像領域に対する顔の面積比率が20%以下であれば「小」、20%を超える場合には「大」と判定する。もちろん、20%は一例であって、他の適当な数値を用いることができ、ユーザがしきい値を手動で設定してシステム制御回路20に記憶させることもできる。顔の大きさを判定するのは、当該顔が主要被写体であるか否かを簡易に判定するためであり、顔の数が単数であり、しかもその顔の大きさが大きく撮像領域で大きな面積を占有している場合には、当該顔が主要被写体である可能性が高いとみなすことができる。
顔の大きさを判定した結果、顔が大きいと判定した場合、上記のように当該顔が主要被写体である可能性が高いので、システム制御回路20は、検出された当該顔位置に応じてプリフラッシュタイミングを設定する(S309)。すなわち、図3あるいは図4に示すように、顔の下端部に対応する行のリセットが終了した時点でプリフラッシュを発光させるように制御する。
一方、顔が小さいと判定した場合には、システム制御回路20はさらに当該顔までの距離が近いかあるいは遠いかを判定する(S304)。この判定は、AF測距により得られた距離情報を所定のしきい値と大小比較することにより行われる。あるいは、顔の大きさを第2しきい値と比較することにより行われる。当該顔が小さく、かつ、当該顔までの距離がしきい値を超えて遠いと判定した場合、システム制御回路20は、従来のプリフラッシュタイミングでフラッシュ装置30を駆動する(S311)。すなわち、顔を検出したにもかかわらず、当該顔が小さく距離が遠い場合には、当該顔は主要被写体でない可能性が高いので、顔に応じてプリフラッシュタイミングを設定するのではなく、図2に示すプリフラッシュタイミングとする。この判定は、顔の距離が遠い場合は、そもそもプリフラッシュ時に顔が飽和レベルを超える可能性が低いという意味でも妥当である。他方、当該顔が小さく、かつ、当該顔までの距離がしきい値以内であって近いと判定した場合、システム制御回路20は、次に、当該顔以外に画像内の高輝度体が存在するか否かを判定する(S305)。この判定は、検出した顔が小さいものの距離が近い場合には、当該顔は主要被写体である可能性はあるものの、それ以外の被写体も同時に主要被写体としてユーザが認識している可能性があるからである。例えば、明るい色の服を着た人物が主被写体である場合がこれに該当する。プリフラッシュ調光は、顔と服の両者のバランスを考慮してなされるのが適切である。高輝度体であるか否かは、例えば被写体のエッジを輪郭として検出し、輪郭内の平均輝度を算出し、平均輝度と所定のしきい値とを大小比較することで実行される。画像内に高輝度体が存在するもののその数がしきい値以下であって少ないと評価できる場合(高輝度体が存在しない場合も含む)、システム制御回路20は、これらの高輝度体は主要被写体ではないとみなし、検出された顔を中心としてプリフラッシュのタイミングを設定する(S309)。また、画像内の高輝度体が存在し、かつ、その数がしきい値を超えて多いと評価できる場合、システム制御回路20は、これら高輝度体の位置が検出された顔と同列であるか、あるいは同行であるかを判定する(S306)。複数の高輝度体が顔と同行である場合、システム制御回路20は、主要被写体が検出した顔と同行に複数存在するものとして、プリフラッシュの発光タイミングを顔中心としつつ、かつ、顔を含む複数の高輝度体が存在する行範囲の全ての領域からプリフラッシュによる画像信号を読み出す(S307:図ではこれを横長限定と称する)。例えば、図9において、カメラを縦向きにして明るい色の服を着た人物を撮影する場合である。また、複数の高輝度体が顔と同列である場合、システム制御回路20は、顔部分とそれと同列の高輝度体の両方を含むようにプリフラッシュの発光タイミングを設定し、かつ、これらの領域から画像信号を読み出す(S308:図ではこれを縦長限定と称する)。例えば、図9において、カメラを横向き(通常位置)にして明るい色の服を着た人物を撮影する場合である。ここで、画像信号の読出し領域を限定するとは、ある特定の行範囲及び/又は列範囲に限定することをいう。例えば、図7において、画像信号の読出しはライン200に沿って行われるが、このうち、Q1〜Q2のみに読出しを限定することで、読出し領域は第i行〜第j行に限定される。
また、S302で顔の数が複数と判定された場合、システム制御回路20は、検出された複数の顔までの距離が近いか否かを判定する(S310)。この判定は、S304と同様にAFで検出された距離情報をしきい値と大小比較することで実行される。そして、検出された複数の顔がいずれも遠い場合には、S304で遠いと判定された場合と同様に、通常のプリフラッシュのタイミングに設定する(S311)。また、検出された複数の顔がいずれも近い場合には、図10の処理に移行する。
図10において、システム制御回路20は、検出された複数の顔の画像内分布が、集中しているか、全体に均一に分布しているか、あるいはとびとびに分布しているか否かを判定する(S401)。複数の顔が集中している場合は、これらの顔が中央・横長・縦長のいずれの形態に集中しているかを判定する(S402)。中央に集中している場合は、プリフラッシュの発光タイミングをこれらの顔を中心として設定する(S403)。複数の顔が横長に集中している場合は、プリフラッシュの発光タイミングをこれらの顔を含むように横長に設定する(S404)。これは、例えば集合写真で顔1列に横方向に並んでいる場合が該当する。複数の顔が縦長に集中している場合は、プリフラッシュの発光タイミングをこれらの顔を含むよう縦長に設定する(S405)。これは、例えば集合写真で顔1列に横方向に並んでいる場合をカメラを縦方向にして撮影した場合が該当する。また、複数の顔が全体に均一に分布している場合、いずれかの顔に着目してプリフラッシュのタイミングを設定することは妥当でないため、通常のプリフラッシュの発光タイミングとする(S406)。さらに、複数の顔がとびとびに分布している場合には、これら複数の顔の存在領域に応じてプリフラッシュの発光タイミングを設定する(S407)。
一方、図11に、プリフラッシュ時の測光エリアを他の方法で決定する処理フローチャートを示す。これは、撮影時のカメラの向きに応じて決定する方法である。S502〜S504までの処理は、図9におけるS302〜S304の処理と同一である。次に、システム制御回路20は、カメラの向きが横向きであるか否かを判定する(S505)。カメラの向きを判定する技術は公知であり、例えば重力センサ(Gセンサ)を用いて行うことができる。あるいは、撮像素子14で得られた画像を解析して行うこともできる。そして、カメラの向きが横向きである場合、プリフラッシュの発光タイミングを、顔を含めて縦長の領域に設定する(S507)。また、カメラの向きが縦向きである場合、プリフラッシュの発光タイミングを、顔を含めて横長の領域に設定する(S506)。S508,S509,S510の処理については、図9と同様である。
次に、図9〜図11の各処理を模式的に説明する。
図12に、S311,S406,S510における通常調光、つまり従来のプリフラッシュの発光タイミングを示す。ここで、CMOS画像センサは説明の都合上、簡易的に9列×6行の画素から構成されているものとし、ハッチングは画像信号の読出しを示す。図中の間隔tが1単位時間を示し、この1単位時間t内に3画素の信号を読み出すことができるものとする。また、便宜上、この時間tがプリフラッシュ発光期間と一致するものとする。通常調光では、既述した通り、第1行〜第6行まで順次リセットが行われ、第6行のリセットが終了した時点でプリフラッシュを発光して第1行〜第6行すべての行にプリフラッシュの影響を与える。プリフラッシュが終了した後、第1行から第6行まで順次画像信号を読出す。すなわち、第1行の第1列〜第9列の全ての列を読出した後、第2行の全ての列を読出す。第2行の全ての列を読み出した後、第3行の全ての列を読み出す。以上の処理を第6行まで繰り返し実行する。図12(b)に、画像におけるプリフラッシュ発光時の測光エリアをハッチングで示す。通常調光では、画像内全域が測光エリアとなる。
図13に、S309における顔中心限定の処理を示す。顔位置が画像の上部、例えば第1行〜第3行である場合、第1行、第2行、第3行とリセットが行われ、第3行のリセットが終了した時点でプリフラッシュを発光させる。そして、プリフラッシュが終了した後、第1行から第6行まで順次画像信号を読み出す。第4行〜第6行については、プリフラッシュの発光タイミングの後に露光が行われるため、プリフラッシュの影響は受けない。プリフラッシュの影響を受けるのは、第1行〜第3行のみであり、図13(b)に示すように、画像上部の顔を含むエリアのみが測光エリアとなる。
図14に、同様にS309における顔中心限定の処理を示す。顔位置が画像の下部、例えば第3行〜第5行である場合、第1行、第2行、第3行、第4行、第5行とリセットが行われ、第5行のリセットが終了した時点でプリフラッシュを発光させる。そして、第3行についてはプリフラッシュが終了した時点から画像信号の読出しを開始し、次に第4行、第5行と画像信号を読み出す。第1行、第2行についてはプリフラッシュが行われている間は露光されず、既に読出しが実行されているのでプリフラッシュの影響は受けない。第6行についても同様であり、プリフラッシュの発光タイミングの後に露光が行われるため、プリフラッシュの影響を受けない。プリフラッシュの影響を受けるのは第3行〜第5行のみであり、図14(b)に示すように、画像下部の顔を含むエリアのみが測光エリアとなる。また、図14(c)に、カメラが縦向きの場合を示す。S307の処理であり、同様に顔を中心とした位置に測光エリアが限定される。
図15に、同様にS309における顔中心限定の処理を示す。顔位置が画像の上部、例えば第2行〜第3行である場合、第3行のリセットが終了した時点でプリフラッシュを発光させる。一方、読み出しタイミングに関しては、プリフラッシュの発光が終了した時点で第2行の読出しを開始し、次いで第3行の読出しを実行する。図13と図15とを対比すると、プリフラッシュの発光タイミングは同一であるが、読出しタイミングが互いに異なっている点に留意されたい。すなわち、図13では、プリフラッシュが終了した時点から第1行の読出しを開始しているのに対し、図15では第1行の読み出しはプリフラッシュの発光タイミングの前から開始されており、第2行の読み出しがプリフラッシュの終了時点から開始されている。従って、図13と図15とを対比すると、測光エリアである第2行及び第3行の読出しタイミングが、図15の方が図13よりも早くなることがわかる。結果として、図13では露光時間が7単位時間(Tout=7)であったのに対し、図15では4単位時間(Tout=4)、つまり1行分の読出し時間である3単位時間短いことになり、Tout/Tpreの値を小さくすることができる。言い換えれば、図15の方が図13よりも露光時間の内、プリフラッシュの影響を受けない無駄な時間を削減できる。
図16に、S407における複数領域に限定する場合の処理を示す。顔位置が画像の上部と下部にとびとびに存在する場合であり、画像上部の顔が第1行〜第2行に存在し、画像下部の顔が第5行〜第6行に存在するものとする。この場合、プリフラッシュの発光タイミング自体は図12に示す従来の発光タイミングと同様に、第6行のリセットが終了した時点でプリフラッシュを発光させる。そして、プリフラッシュが終了した時点で第1行の読出しを開始し、第1行の読出しが終了すると次に第2行の読出しを開始する。第2行の読出しが終了すると、第3行、第4行の読出しは行わず、第5行に飛んで第5行の読み止しを開始する。第5行の読出しが終了すると次に第6行の読出しを開始する。プリフラッシュの影響は第1行〜第6行の全てに及ぶが、読出し行を顔位置に応じて第1行、第2行、第5行、第6行に限定することで、結果的に図16(b)に示すように上部の顔位置、及び下部の顔位置に対応した測光エリアとなる。
図17に、S308における縦長に限定する処理を示す。顔以外に高輝度体が多く存在し、高輝度体が顔と同列にある場合である。主要被写体である人物の顔部のみならず、当該人物の上半身あるいは服装も画像内に存在する場合が典型例である。この場合、顔位置及び高輝度体が第1行〜第6行にわたって存在し、かつ、少なくとも第3列〜第8列にわたって存在しているものとする。なお、実際の存在領域は第3列〜第8列よりも狭いものとする。この場合、プリフラッシュの発光タイミングは図12に示す従来のタイミングと同様であり、第6行のリセットが終了した時点でプリフラッシュを発光させる。そして、プリフラッシュが終了した時点で第1行の読出しを開始する。但し、第1行の読出しを開始する場合、第1列から読み出すのではなく、第3列〜第8列のみを読み出す。第1行の読出しが終了すると、次に第2行の読出しを開始するが、第2行の読出しでも、第3列〜第8列のみを読み出す。以下、同様にして第3行〜第6行まで読み出す。図において、各行の読出し時間が、図12の場合の読出し時間よりも短縮されている点に留意されたい。これは、図12では各行において第1列から第9列まで読出しているのに対し、図17では各行において第3列〜第8列に限定して読み出していることに基づく。
図18に、S308における縦長に限定する他の処理を示す。顔位置及び高輝度体が第1行〜第6行にわたって存在し、かつ、正確に第3列〜第5列にわたって存在しているものとする。この場合、プリフラッシュの発光タイミングは図12に示す従来のタイミングと同様であり、第6行のリセットが終了した時点でプリフラッシュを発光させる。そして、プリフラッシュが終了した時点で第1行の読出しを開始する。但し、第1行の読出しを開始する場合、第1列から読み出すのではなく、第3列〜第5列のみを読み出す。第1行の読出しが終了すると、次に第2行の読出しを開始するが、第2行の読出しでも、第3列〜第5列のみを読み出す。以下、同様にして第3行〜第6行まで読み出す。図において、各行の読出し時間が、図12及び図17の場合の読出し時間よりも短縮されている点に留意されたい。これは、図12では各行において第1列から第9列まで読出しており、図17では各行において第3列〜第8列を読み出しているのに対し、図18では各行において第3列〜第5列に限定して読み出していることに基づく。
図19に、S308における縦長に限定するさらに他の処理を示す。顔位置及び高輝度体が第1行〜第6行にわたって存在し、かつ、第3列〜第5列にわたって存在するものとする。この場合、顔位置及び高輝度体をプリフラッシュの測光エリアとするが、この場合においても顔位置のみを測光エリアとすることもできる。具体的には、顔位置が第2行〜第3行に存在するものとすると、第3行のプリセットが終了した時点でプリフラッシュを発光させ、プリフラッシュが終了した時点で第2行の読出しを開始する。但し、第2行の読出しは、第3列〜第5列のみとする。第2行の読出しが終了すると、次に第3行の読出しを開始する。但し、第3行の読出しも、第3列〜第5列のみとする。他の行、すなわち第1行、第4行〜第6行についても同様に第3列〜第5列のみとする。図18では、各行の読出しは第3列〜第5列に限定されているものの、プリフラッシュの影響は第1行〜第6行の全ての行に及んでいるのに対し、図19では、各行の読出しは第3列〜第5列に限定され、しかもプリフラッシュの影響は第2行と第3行のみに及んでいる点に留意されたい。
図19の処理をより一般化すると、被写体の顔部が第i行〜第j行(i、jはそれぞれ自然数)、第u列〜第v列(u、vはそれぞれ自然数)に存在する場合、第j行のリセットが終了した時点でプリフラッシュを発光させ、プリフラッシュが終了した時点で第i行の読出しを開始し、第i行の読出しは第u列〜第v列のみとし、第i行の読出しが終了した後に次の行の読出しを開始して第j行まで読み出し、各行の読出しはいずれも第u列〜第v列のみとする、といえる。第i行の読出しは第u列〜第v列のみであり、この行の読出しが終了すると直ちに次の行の読出しを開始できるので、トータルの読出し時間が著しく短縮化される。
図20に、S407の処理を示す。図16では画像の上部と下部に顔が存在する場合であるが、図20は、画像の左右にとびとびに顔及び高輝度体が存在する場合である。図18と同様に、プリフラッシュタイミングは従来と同様であるが、読出しタイミングを変化させる。すなわち、顔位置及び高輝度体がそれぞれ同列にあり、第1列〜第3列と、第7列〜第9列に存在するものとする。プリフラッシュが終了した時点で第1行の読出しを開始し、第1列〜第3列、及び第7列〜第9列を読出す。他の行についても同様である。
以上説明したように、本実施形態によれば、画像の全領域がプリフラッシュの測光エリアとなるようにプリフラッシュの発光タイミングを設定するのではなく、主要被写体である人物の顔部を検出し、この顔部に応じて測光エリアを適応的に設定すべくプリフラッシュの発光タイミングを設定し、さらにはプリフラッシュの発光タイミングと画像信号の読出しタイミングをともに設定するので、プリフラッシュ時の外光による露光時間を低減し、プリフラッシュ調光精度を向上させつつ、多様な構図にも対応することができる。なお、図13〜図15、図17〜図19に示す実施形態では、全画素領域を読み出したが、実際には測光エリア以外の画素領域を読み出す必要はない。例えば、図13において、第4〜第6行目の読出しは省略できる。これによって、プリフラッシュ時の読み出し時間を短縮することが可能である。
なお、本実施形態では、デジタルカメラを例にとり説明したが、デジタルビデオカメラにも同様に適用することができる。
1 デジタルカメラ、10 レンズ、12 シャッタ・絞り、14 撮像素子(CMOS画像センサ)、16 アナログ前処理回路、18 デジタル信号回路、19 操作スイッチ、20 システム制御回路、22 データバス、24 メモリカード、26 液晶モニタ、28 バッファメモリ、30 フラッシュ装置。
Claims (8)
- 行列状に配置されランダムアクセス可能な撮像素子を備えた撮像装置であって、
前記撮像素子で得られる画像内に含まれる顔部を検出する検出手段と、
前記顔部に応じた測光エリアとすべく、プリフラッシュの発光タイミングを制御する制御手段と、
を備えることを特徴とする撮像装置。 - 請求項1記載の撮像装置において、
前記撮像素子は第1行から第m行までで構成され、
前記検出手段で検出される顔部の存在位置が、第i行(iは自然数でi≧1)から第j行(jは自然数でm≧j)までの範囲である場合、
前記制御手段は、少なくとも、第i行から第j行までの範囲を含み、かつ、第1行から第m行までの範囲より狭い範囲を測光エリアとすべく、プリフラッシュの発光タイミングを制御する
ことを特徴とする撮像装置。 - 請求項2記載の撮像装置において、
前記測光エリアを第a行(i≧a≧1)から第b行(m≧b≧j)までとした場合、
前記制御手段は、前記撮像素子を第1行から第m行に向けて順次リセットして露光する場合に、前記第b行のリセットが終了した時点からプリフラッシュを開始することを特徴とする撮像装置。 - 請求項3記載の撮像装置において、
前記測光エリアを第i行から第j行までとした場合、
前記制御手段は、前記第j行のリセットが終了した時点からプリフラッシュを開始することを特徴とする撮像装置。 - 請求項3、4のいずれかに記載の撮像装置において、
前記第a行の画像信号の読出しを開始する読出し手段
を備えることを特徴とする撮像装置。 - 請求項5記載の撮像装置において、
前記測光エリアを第i行から第j行までとした場合、
前記読出し手段は、プリフラッシュが終了した時点から、前記i行の読出しを開始する
ことを特徴とする撮像装置。 - 請求項2記載の撮像装置において、
前記撮像素子は、第1列から第n列までで構成され、
前記検出手段で検出される顔部の存在位置が、第u列(uは自然数でu≧1)から第v列(vは自然数でn≧v)までの範囲である場合、さらに、
少なくとも、第u列から第v列までの範囲を含み、かつ、第1列から第n列までの範囲より狭い範囲を測光エリアとすべく、各行から対応する列の画像信号を読出す読出し手段
を備えることを特徴とする撮像装置。 - 請求項1記載の撮像装置において、
前記制御手段は、前記検出手段で検出された前記顔部が複数存在する場合、前記顔部の画像内の分布に応じた測光エリアとすべく、プリフラッシュの発光タイミング及び撮像素子の各行と各列の読出し範囲を制御する
ことを特徴とする撮像装置。
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-
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