本発明を実施するための形態を説明する。
図1は、本実施形態に関わる半導体装置の基板101の詳細を示したものである。
図1に示すように、基板101は、金属ベース102上に回路パターン104が形成されたセラミックス板103が搭載されて構成されている。さらに、当該回路パターン104には、IGBT105及びダイオード106が搭載されている。これらIGBT105のコレクタ電極面とダイオード106のカソード電極面が同電位となる回路パターン104上に、図示しない接合層を介して接合する。ここで、金属ベース102は後述する方法によって、セラミックス板103と接合層を介さずに直接接合されている。このように構成することによって、金属ベース102の反りの影響を最も受ける金属ベース102とセラミック板103の間の接合層をなくすことができ、反りによってセラミックス板103が剥離するのを防止することが可能となる。さらに、接合層を介さず直接セラミックス板103と金属ベース102が接するため、放熱性も向上し、金属ベース102自体の反りも抑制することが可能となる。なお、詳細については後述するが、この回路パターン104は、IGBT105の正(コレクタ)電極、負(エミッタ)電極、及びゲート電極とが、それぞれ電気的に接することのないよう、加工されている。
図2は、基板101に配線107が搭載された半導体モジュール200を示したものである。配線107は、IGBT105のエミッタ電極とダイオード106のアノード電極が同電位となるように、回路パターン104上に接合される。なお、IGBT105のゲート電極は、コレクタ電極及びエミッタ電極とは異なる電位となっている回路パターン104上に配線107を介して接合することで、半導体モジュール200が得られる。
次に、図3に2個の半導体モジュール200aと200bを並べて、ケース108を上方より被せて接着固定したものを示す。なお、ここでは図面を見やすくするために配線107は省略されている。半導体モジュール200a及び200bには、それぞれ、基板凹部121(121a1〜121a4、及び121b1〜121b4)が設けられている。この基板凹部121は、例えば図示するように半導体モジュール200aの基板凹部121a4と、半導体モジュール200bの基板凹部121b1が互いに連結されたときに孔となるように構成されている。半導体モジュール200a及び200bが連結されたときにできるこの孔は、ケース108に設けられたケース孔109とネジ止め等されてケース108と一体化される。
通常は1枚の金属ベースからなる半導体モジュール200を、このように半導体モジュール200a及び200bと分割することによって、高温雰囲気下であったとしても、金属ベースの反りを低減した半導体装置が提供可能となる。また、半導体モジュール200にこのような基板凹部121を設けることによって、互いに隣接する半導体モジュール200の密着する面を十分に取り、隣接するパワーモジュールへの熱伝導を確保しつつ、半導体モジュール200同士が連結可能となる。そのため、半導体モジュール200a、200bが互いの金属ベース102を放熱に利用することが可能となり、放熱性が向上する。
次に、図4〜図7に、半導体装置300が完成するまでの各過程を示す。図4に示すようにケース108と一体となった半導体モジュール200には、コレクタ端子111a、111b及びエミッタ端子112a、112bの4個の主端子が接続される。このコレクタ端子111及びエミッタ端子112は互いに対向するように配置されてケース108の外部まで突出することによって、配線インダクタンスを低減し、半導体素子に発生する熱を低減できる。そのため、発熱による金属ベース102の反りを低減することが抑制することが可能となる。
さらに、当該半導体装置300には、半導体モジュール200a、200bのエミッタ電位を同電位に保ち、かつエミッタ側の電位を測定可能とするエミッタ補助端子115、半導体モジュール200a、200bに搭載されたIGBT105の動作を制御するゲート端子116、及び半導体モジュール200aの電位を測定するためのコレクタ補助端子117の3つの補助端子を有する。後述するように、これら4つの主端子及び3つの補助端子は、ケース108に設けられた固定部(301、302、324、325等)に摺動可能に配置されて、その後接合される。そのため、主端子と半導体モジュールにおける接合部、及び補助端子と半導体モジュールにおける接合部の歪みが低減された接合状態となっている。
また、本実施形態の半導体モジュール200a、200bのように、分割された2つの半導体モジュール200を接合する際には、特に半導体モジュール200ごとでの校差があるため、2つの半導体モジュール200a、200bと接合される補助端子を端子固定部材に保持された後に接合すると、端子固定部が無い場合と比較して、補助端子と半導体モジュールに生じる応力を低減することが可能となる。このような構成にすることによって、製造時に発生する接合部の残留応力を低減することが可能となるため、高温時に発生する膨張、収縮による歪みを低減することが可能となる。
コレクタ端子111、エミッタ端子112、エミッタ補助端子115、ゲート端子116、及びコレクタ補助端子117がそれぞれの半導体モジュール200における回路パターン104と接合された後にケース108内に図示していないゲルを流し込む。そして、図5に示すように、ゲルを流し込んだ半導体装置300の上方より、蓋120を被せて接着固定することで、図6に示す半導体装置300が得られる。
図5を用いて蓋120について説明する。蓋120には、コレクタ端子外部引出し孔211、エミッタ端子外部引出し孔212、エミッタ補助端子外部引出し孔215、ゲート端子外部引出し孔216、及びコレクタ補助端子外部引出し孔217が設けられており、主端子及び補助端子がそれぞれの孔から外部に突出するように構成されている。さらに、当該蓋120には、コレクタ端子固定孔213、エミッタ端子固定孔214、エミッタ補助端子固定孔218、ゲート端子固定孔219、コレクタ補助端子固定孔220が設けられ、図6に示すように突出した主端子及び補助端子が図7に示すように折り曲げられたときにネジ止めするための孔が設けられている。
また、図6に示すようにコレクタ端子111、エミッタ端子112には、それぞれコレクタ端子孔部113及びエミッタ端子孔部114が設けられており、これらの孔は前述したコレクタ端子固定孔213及びエミッタ端子固定孔214にそれぞれネジで固定される。同様にエミッタ補助端子115、ゲート端子116、及びコレクタ補助端子117にも、それぞれエミッタ補助端子孔部122、ゲート端子孔部123、コレクタ補助端子孔部124が設けられており、これらの孔は前述したエミッタ補助端子固定孔218、ゲート端子固定孔219、コレクタ補助端子固定孔220にそれぞれネジで固定される。最終的には、ネジは省略されているが、図7に示すような半導体装置300として完成される。
図8は、本実施形態の半導体モジュール200に形成された回路パターン104の詳細を説明する図である。なお、見やすくするために配線107は省略している。回路パターン104は、コレクタ端子111と接続されるコレクタ側回路パターン104a、エミッタ端子112と接続されるエミッタ側回路パターン104b、エミッタ補助端子115と接続されるエミッタ補助端子側回路パターン104d、及びゲート端子116と接続されるゲート端子側回路パターン104cから構成される。コレクタ側回路パターン104aは、IGBT105のコレクタ電極面とダイオード106のカソード電極面が接する領域である。
また、当該コレクタ側回路パターン104aは、IGBT105及びダイオード106を搭載する素子搭載部104a1、素子搭載部104a1からセラミックス板103の短辺方向と平行な方向に突出して構成されるコレクタ端子接続部104a2、及び素子搭載部104a1からセラミックス板103の長辺方向と平行な方向にコレクタ補助端子接続部104a3から構成される。この素子搭載部104a1は、エミッタ側回路パターン104b(104b1、104b2)と、エミッタ補助端子側回路パターン104dに挟まれるような形で配置されている。このようにコレクタ側回路パターン104a、及びエミッタ側回路パターン104bを配置することによって、主に2つの効果がある。1つは、コレクタ端子接続部104a2からIGBT105(もしくはダイオード106)及び配線107を介してエミッタ側回路パターン104b(104b1、104b2)に至るまでの電流経路130が、図8に示すとおり折り返すような経路となり、電流の流れが互いに逆向きとなる。そのため、それぞれの向きで流れる電流によって発生する磁界を打ち消すことができ、低インダクタンスを実現することができる。このように電流によって発生する磁界を低減できるため、当該磁界によって金属ベース102に発生する渦電流を抑制でき、渦電流による発熱が抑制され、金属ベース102に発生する反りを抑えることが可能となる。
もう1つの効果については、後に詳細に説明するが、コレクタ端子111とエミッタ端子112を積層させた状態で、セラミックス板103の一辺側まで引き延ばすことが可能となることによって、コレクタ端子111とエミッタ端子112を互いに積層して配線される面積を増加させることができるため、半導体モジュール200としてさらに低インダクタンスを実現することができる。コレクタ端子111とエミッタ端子112でのインダクタンスを低減することによって、素子で発生する熱を低減することが可能となり、当該素子から回路パターン104を介して端子接合部に伝わる熱を抑制することが可能となる。従って、端子接合部の温度上昇を抑制することができ、端子接合部の剥離を抑制することが可能となる。
従って上述した回路構成にすることによって、金属ベース102の反り抑制と、端子接合部での温度上昇の抑制が可能となり、相乗的に端子接合部の剥離を抑制することが可能となる。
エミッタ補助端子側回路パターン104dは、エミッタ補助端子接続部104d1と串歯状に形成されたエミッタ補助端子側主回路パターン104d2から構成され、ゲート端子側回路パターン104cは、ゲート端子接続部104c1と串歯状に形成されたゲート端子側主回路パターン104c2から構成される。エミッタ補助端子側主回路パターン104d2とゲート端子側主回路パターン104c2とは、互いに串歯部分がかみ合うような形で配置されている。エミッタ補助端子側回路パターン104dと、ゲート補助端子側回路パターン104cをこのように構成することによって、セラミックス板103を小型にすることができ、ひいては金属ベース102の小型化につながり、全体的に金属ベース102の反り量を低減できる。
次に、図9を用いて、エミッタ端子112の固定方法を説明する。まず始めに、2台の半導体モジュール200a、200bの回路パターン104bと接合するエミッタ端子112をケース108に配置する。ケース108には、太い径の固定部301(301a、301b)と細い径の固定部302(302a、302b)が一体となった凸部が設けられており、エミッタ端子112設けられた穴311(311a、311b)が当該凸部にはめ込まれる。固定部301、302は図示するように、蓋120が搭載される方向に突出している。なお、この穴311の径は、太い径の固定部301にはめ込み可能となるように構成される。このように構成することによって、エミッタ端子112を回路パターン104に接合するまでは、当該エミッタ端子が摺動可能となる。そのため、エミッタ端子112と回路パターン104の接合時に余計な応力が残ることなく接合が可能となる。
また、後に説明するが、エミッタ端子112(112a、112b)には、蓋120が搭載されたときに、当該蓋120を支えることができる蓋体保持部316(316a、316b)が設けられている。この蓋体保持部316によって、エミッタ端子112を蓋120と半導体モジュール200に挟み込むことが可能となり、外部からの振動による端子の剥離を防止することが可能となる。
続いて図10を用いて、コレクタ端子111の固定方法を示す。コレクタ端子111には、ケース108に設けられた前述の凸部にはめ込むための穴312が設けられている。この穴312の径は、固定部302にはめ込み可能なように形成されており、かつ固定部301よりも径が細くなっている。このように穴312を形成することによって、当該コレクタ端子111とエミッタ端子112とが直接接触しないで一定の距離を保てるようになる。また、当該コレクタ端子111には、蓋120に設けられた凸部と嵌め合わされる接続穴313、314が設けられている。さらにこのコレクタ端子111には、エミッタ端子112同様、蓋120が搭載されたときに当該蓋を支えることができる蓋体保持部317が設けられている。これらの構成によって、コレクタ端子111も蓋120と半導体モジュール200に挟み込むことが可能となり、外部からの振動による端子の剥離を防止することが可能となる。
なお、コレクタ端子111がケース108に搭載されたときには、コレクタ端子111とエミッタ端子の面間の距離として、固定部301の高さからエミッタ端子の厚さ分を引いた距離を最低限の距離として確保することが可能となる。そのため、この固定部301の高さからエミッタ端子の厚さ分を引いた距離を、コレクタ端子111とエミッタ端子112間の絶縁が十分取れる距離とすることによって、半導体モジュール300を作成する際に端子間の沿面距離が十分に取れていないことによる歩留まりを抑制することが可能となる。
また、蓋体保持部316及び317は、コレクタ端子111及びエミッタ端子112が搭載されたときに互いの高さが揃うように設けられる。このように構成することによって、蓋120によってコレクタ端子111及びエミッタ端子112が十分に押し付けられるため、振動によって端子接続部の剥離防止が可能となる。
半導体装置300として完成したときには、コレクタ端子111の端部はコレクタ端子接続部104a1に接続され、エミッタ端子112の端部はエミッタ端子接続部104b1、104b2に接続される。このとき、図10に示すように、コレクタ端子111の端部とエミッタ端子112の端部が半導体モジュール200の一端側に集められているため、コレクタ端子111とエミッタ端子112が対向した部分を大きく取ることが可能となる。このような構成とすることによって、配線インダクタンスをより低減することが可能となり、インダクタンスの増加による素子の発熱を抑制することができる。
なお、上述したコレクタ端子111の端部やエミッタ端子112の端部は、超音波接合によって回路パターン104と接合することが可能である。一例として、コレクタ端子111を超音波接合した跡を、上方より観察した状態を図11に示す。超音波接合では、超音波振動を加えるツールを上方より押し当て、荷重を与えながら超音波振動を与える。結果として、ツール先端部の形状701が端子接合部の上面に転写され、超音波接合の痕跡が残る。
図12は、エミッタ補助端子115、ゲート端子116、及びコレクタ補助端子117をそれぞれケース108に配置する方法について説明する。エミッタ補助端子115と当該エミッタ補助端子115の底部323aを、ケース108に設けた凹部324(324a)、325(325a)にはめ込むことで、エミッタ補助端子115の横ずれを防止することが可能になる。さらにエミッタ補助端子115の搭載方向、言い換えると上下方向に摺動可能な状態で2つの半導体モジュール200(200a、200b)と接合できるため、接合時に無理な応力がかかることなく、エミッタ補助端子115を接合することが可能となる。また、外部からの振動によって、近傍に設けられているゲート端子116と直接の接触を防止することが可能となる。さらに、凹部324、325に搭載された後、エミッタ補助端子115は、半導体モジュール200a、200bのそれぞれのエミッタ補助端子側回路パターン104dと超音波接合される。このような工程を経て独立した半導体モジュール200a、200b上に接続されたIGBT105のエミッタ電極を、1個の補助端子で電気的に接続してセンシングする端子が設けられる。
続いてゲート端子116について説明する。ゲート端子116及び当該ゲート端子の底部323bを、ケース108に設けた凹部324(324b)、325(325b)にはめ込むことで、ゲート端子116の横ずれを防止することが可能となる。さらにゲート端子116の搭載方向、言い換えると上下方向に摺動可能な状態で2つの半導体モジュール200(200a、200b)と接合できるため、接合時に無理な応力がかかることなく、ゲート端子116を接合することが可能となる。さらに、凹部324、325に搭載された後、ゲート端子116は、半導体モジュール200a、200bのそれぞれのとゲート端子側回路パターン104cと超音波接合される。このような工程を経て、独立した半導体モジュール200a、200b上に接続したIGBT105のゲート電極を、1個の補助端子で電気的に接続される。このように構成することによって、配線数を増やすことなく、複数の半導体モジュールを制御することが可能となる。
最後にコレクタ補助端子117について説明する。コレクタ補助端子117の底部321を、ケース108に設けたL型の凹部322にはめ込むことで、コレクタ補助端子117の横ずれを防止できる。さらにコレクタ補助端子117の搭載方向、言い換えると上下方向に摺動可能な状態で半導体モジュール200と接合できるため、接合時に無理な応力がかかることなく、コレクタ補助端子117を接合することが可能となる。さらに、凹部322に搭載された後、コレクタ補助端子117と回路パターン104aが超音波接合で接合され、コレクタ電流をセンシングする端子が設けられる。
以上の過程で接続したエミッタ補助端子115、及びゲート端子116は、回路パターン104と超音波接合されており、さらに凹部324、325に保持されているため、製造工程や、外部からの振動で位置ずれすることが無くなり、半導体装置を製造する際の歩留まりを抑制することができる。また、当該構成によって半導体装置300に強い振動が加わったとしても、凹部324、325に保持されているため、当該端子にかかる応力を分散することが可能となり、使用時にこれらの端子の剥離を抑制することが可能となる。さらに、エミッタ補助端子115、ゲート端子116、コレクタ補助端子117を蓋120で押さえつけるように構成しても良い。このように構成することによって、より振動に強い半導体装置300を作成することができる。
続いて、図13を用いて、蓋120の詳細を説明する。蓋120には接続穴313と接続するための突起部318(318a、318b)、及び接続穴314と接続するための突起部319(319a、319b)が設けられている。これらの突起部318、319は、蓋120を搭載する方向に突出しており、蓋120をケース108に搭載する際に、それぞれ突起部と対応する接続穴313、314と嵌め合わされる。このように蓋120を構成することによって、コレクタ端子111、及びエミッタ端子112はケース108に固定されるだけでなく、蓋120にも固定されることになる。そのため、外部から強い振動が加わっても横ずれすることを防止することが可能となる。
また、蓋120は、コレクタ端子111に形成された蓋体保持部317、及びエミッタ端子112に形成された蓋体保持部316に搭載されるような形となり、蓋120の自重でそれぞれの端子を押さえつけるような形となる。したがって、それぞれの端子がケース108(もしくは半導体モジュール200)と蓋120に挟み込まれる形となり、ケース108や蓋120に振動で発生する応力を逃がすことができ、超音波接合部の負荷を軽減できる。そのため、外的な振動による各端子の剥離を防止することができる。
このように、半導体装置300に設けられた全ての端子が横ずれを防止する構成を取っており、またインダクタンスを低減して発生する熱を低減できる構成とし、さらに金属ベース102を分割して小さく構成していることにより、使用時における端子の剥離を抑制した半導体装置300を作成することが可能となる。
本実施形態では、金属ベース102の材質を述べなかったが、熱伝導性の良い金属材料が好ましい。例えば、Al、Cu、Alを含む複合材料、Cuを含む複合材料が挙げられる。厚さは強度を考慮して3〜10mmが望ましい。
また、本実施形態では、金属ベース102とセラミックス板103が、互いに接合層を介することなく接合している。具体的には、金属の溶湯を型中に流し込み、固める際に、セラミックス板と一緒に固め、接合する。溶湯金属として、熱伝導性の良いAlまたはCuが良い。特に、融点が1000℃以下であり、セラミックス板形成時の焼成温度よりも低いAlの方が望ましい。
さらに、セラミックス板103の材料の熱膨張係数が1×10-6〜10×10-6/Kであることから、金属ベース102も熱膨張係数も同等にするのが望ましい。このような材料をえらぶことによって、セラミックス板103と金属ベース102の間で熱によって発生する応力を抑制することが可能となるため、金属ベース102の反りを抑制することが可能となる
セラミックス板103として、熱伝導率の高い窒化物系材料を選ぶと良い。特に、AlNまたはSiNが望ましい。厚さは強度、放熱性、耐電圧、を考慮して0.1〜1mmが望ましい。
さらに、本実施形態では、セラミックス板103上に積層した回路パターン104の形成方法について言及しなかったが、接合部の温度が外因により上昇して応力が増加しても、回路パターン104が剥離しない接合方法であれば良い。例えば、ろう材、はんだ材、焼結金属体等が挙げられる。この焼結体の金属材料にはナノオーダーの金属粒子が用いられる。この材料は、ナノオーダーのサイズの粒子で当該粒子の体積に対する表面積比が増大することを利用して、これらの金属の融点以下で接合を可能とするものである。特に、AgやCuのナノ粒子を用いることが好ましく、接合温度が350℃以下、耐熱性が500℃以上となるAgまたはCuを含む焼結体が望ましい。このような焼結体を形成する材料は、熱伝導率がはんだよりも優れており放熱性が向上するため、金属ベース102の温度上昇を抑制できることから、反りも低減することができる。
また、セラミックス板103上に回路パターン104の形成方法として、金属ベース102を溶湯金属で形成する際に、放熱ベースを接合するセラミックス板の対面にも、金属の溶湯を流し込み、回路板を形成しても良い。
回路パターン104に形成する回路パターン104a〜104dは、平坦な回路板を形成した後、周知のエッチング技術で加工すれば良い。また、ろう材、はんだ材、焼結金属体等でセラミックス板に接合する場合は、各回路パターン104a〜104dに対応して加工された回路板をそれぞれ貼り付けても良い。また、溶湯金属で接合する場合は、パターン加工された型に金属の溶湯を流し込んで形成しても良い。
回路パターン104上にIGBT105とダイオード106の半導体素子を接合する接合材料は、はんだ材、焼結金属体等、接合温度が400℃以下であることが望ましい。特に、接合温度が350℃以下、耐熱性が500℃以上となるAgまたはCuを含む焼結体が望ましい。
IGBT105のエミッタ電極とダイオード106のアノード電極を接続する配線107は、電気伝導率の良いAl、CuまたはAlかCuを含む複合材料が適している。また、断面が円形の、または矩形のリボンを適用できる。配線と電極との接合には、超音波接合を適用すれば良い。
コレクタ端子111、エミッタ端子112、エミッタ補助端子115、ゲート端子116、及びコレクタ補助端子117は、高電気伝導かつ高熱伝導性を有するCuまたはAl、またはこれらを含む金属材料で構成される。とりわけ、CuまたはCuを含む複合材料が高電気伝導かつ高熱伝導性に優れている。
また、主端子および補助端子は、回路パターン104と接合する端部と、半導体装置の外部とを接続する端部を有しており、その形状は金属材料を切断または折り曲げ加工することで形成される。ただし、切断または折り曲げ加工だけでの形成が困難な場合、複数の金属片を焼結金属、溶接、超音波して一体化すれば良い。
本実施形態では、半導体素子の正極、負極それぞれと電気的に接続されている主電極端子を半導体モジュール毎に接続したが、半導体装置外部での接続方法によっては半導体モジュール間を1本ずつの主端子で接続しても良い。
本実施形態で用いたケース108および蓋120は、高絶縁、高強度、高耐熱な材料で構成すると良い。例えば、エポキシ等の熱硬化性樹脂や、ポリフェニレンサルファイド(PPS)等の熱可塑性樹脂、あるいはこれらの樹脂にガラスやセラミックス等の絶縁性フィラーを混ぜた複合樹脂であれば、成形性にも優れていてよい。
また、ケース108および蓋120の接着固定で使用する接着は、硬化後に絶縁性、耐熱性、耐衝撃性を兼ね備え接着剤が好ましい。例えば、シリコーン系の接着剤が良い。
本実施形態では、各端子に設けた穴に、ケース108と蓋120に設けた凸部を挿入し、ケースとフタで挟み込むことで保持したが、この方法に限るものではない。例えば、端子の一面または段差部に、蓋120の一部を接触させて保持しても良い。
本実施形態では、蓋120を接着固定する前に、ケース108にゲルを流し込んだが、蓋120を接着固定した後にゲルを流し込んでも良い。この場合、蓋120の一部にゲルを流し込む穴を設けておき、ゲルを流し込んだ後に穴を封止する。
本実施形態では、各半導体モジュール毎に、エミッタ電極およびコレクタ電極それぞれの独立した主端子を接続し、計4個の主端子を配置したが、これに限ることはない。半導体装置の外部での接続点が、各電極毎に1点ずつでよければ、各半導体モジュールと半導体装置外部とを1個ずつ(半導体装置として計2個)の主端子で接続できるのも、本発明の特徴である。
本実施形態では、2個の半導体モジュール200a、200bを1個のケース108に納めたが、半導体装置に要求される電流容量に応じて、半導体モジュールの数を増やせば良い。例えば、電流容量400Aの半導体モジュールで、電流容量1200Aの半導体装置を構成する場合、半導体モジュール3個を1個のケースに納めれば良い。このとき、エミッタ電極、ゲート電極と接続する補助端子は、それぞれの電極に対して1個ずつであり、各半導体モジュールと半導体装置外部とを同電位で接続することができる。
本発明の半導体装置は、家電、自動車、風力・太陽光発電、鉄道、産業機器向け電力変換システムに用いる電流・電圧制御装置として用いることができる。
〔実施形態1〕
図1から、図7に示す半導体装置300の製造手順を説明する図である。作製する半導体装置300は、電圧3.3kV、電流1200Aの容量を有するものとした。半導体装置の等価回路を図14に表す。電流容量600Aの半導体モジュール200a、200bの2個で構成した。エミッタ電極主端子E1(上述のエミッタ端子112aに対応)、E2(上述のエミッタ端子112bに対応)、コレクタ電極主端子C1(上述のコレクタ端子111aに対応)、C2(上述のコレクタ端子111bに対応)、ゲート電極補助端子G(上述のゲート端子116に対応)、モニタリング用エミッタ補助端子E′(上述のエミッタ補助端子115に対応)、コレクタ補助端子C′(上述のコレクタ補助端子117に対応)の計7端子に半導体装置に設けた。ゲート電極補助端子G、モニタリング用エミッタ補助端子E′は、上述したように半導体装置内部でそれぞれ連続した1本の端子で形成されている。
図1に示すように、基板101は、金属ベース102、セラミックス板103、回路パターン104の積層構造とした。金属ベース102は、Al−SiC複合材料であり、137mm×57mm×5mmに加工した。また、図7の半導体装置300を、図示しない電力変換装置等に固定するのに必要な半径4mmのネジが通るように、金属ベース102の4隅には半径4.25mmの半円が加工した(上述の基板凹部121に対応)。セラミックス板103は、AlNであり、47mm×105mm×0.635mmに加工した。金属ベース102とセラミックス板103は、Al−SiC複合材料形成時に含浸する溶湯Alを介して接合した。回路パターン104は、無酸素銅(Cu)であり、最外形が43mm×101mm×0.5mmとなるようにパターンを加工した。回路パターン104は、金属ベース102とセラミックス板103を一体化した後に、平坦なCu板を、セラミックス板103の表面にAgを含む焼結体を介して接合した。このとき、接合温度のピーク値は250℃とした。そして、周知のエッチング技術でCu板と接合層をパターン加工した。さらに、IGBT105のコレクタ電極面とダイオード106のカソード電極面が同電位となるように、回路パターン104にAgを含む焼結体を介して接合した。接合温度のピーク値は250℃とした。
次に、図2に示すように、IGBT105のエミッタ電極とダイオード106のアノード電極が同電位となるように、配線107を介して回路パターン上に接合した。ここで用いたIGBTはSiチップ、最外形14.5mm×17mm×0.4mmとし、許容電流密度は約65A/cm2とした。また、ダイオードはSiチップ、最外形14.5mm×10.2mm×0.4mmであり、電流密度は約120A/cm2とした。
さらに、図2に示すように、IGBT105のエミッタ電極とダイオード106のアノード電極が同電位となるように、配線107を介して回路パターン104上に接合した。配線107として、幅1mm、厚さ0.3mmのCuリボンを使用した。各半導体素子に対して、10本ずつCuリボンを超音波接合した。さらに、エミッタセンス用配線として、IGBT105のエミッタ電極の一部と、回路板とを直径0.3mmのCuワイヤ1本で超音波接合した。また、IGBT105のゲート電極と回路パターン104とを直径0.3mmのCuワイヤ1本で超音波接合した。結果として、耐圧3.3kV、電量容量600Aの半導体モジュール200が得られた。本実施形態では、電流容量が1200Aの半導体装置を作製することから、半導体装置1台につき2個の半導体モジュールを作製した。
次に、図3に示すように、半導体モジュール200aと200bを並べて、ケース108を上方より被せて接着固定した。ケース108は、市販のPPS製、最外形部で130mm×140mm×24mmとなるように成形加工した。接着剤として、シリコーン一液型を用いた。半導体モジュール200a、200bと接するケース108の部位に接着剤を塗布した後、150℃で1時間保持して硬化した。
次に、図4に示すように、4個の主端子であるコレクタ端子111a、111b、及びエミッタ端子112a、112bと、3個の補助端子であるエミッタ補助端子115、ゲート端子116、コレクタ端子117を、半導体モジュール200a、200bと、ケース108の所定の位置に接するように、ケース108の上方より配置し、各端子と半導体モジュールの回路板とを超音波接合した。各端子は、厚さ1mmの無酸素銅(Cu)板を切断、折り曲げ加工して作製した。超音波接合は市販の接合装置を使用した。
ここで、各端子の接続方法を、図9〜図13を用いて説明する。図9に示すように、2台の半導体モジュール200a、200bとケース108を接着した半導体装置300に、エミッタ側回路パターン104bと接合するエミッタ端子112a、112bをケース108内に配置した。このとき、ケース108には固定部301a、301bが設けており、エミッタ端子112a、112bに加工した穴311a、311bをはめ込むことで、エミッタ端子112a、112bの横ずれと、外部からの振動による基板との接触を防ぐことができる。さらに、エミッタ端子112a、112bとエミッタ側回路パターン104bが接する部位に、半導体モジュール200上方より超音波接合装置のツールを押し当て超音波を発生することで、IGBT105のエミッタ電極と電気的に接続されたエミッタ端子112a、112bを接合した。次に、図10に示すように、コレクタ端子111a、111bをケース108内に配置した。このとき、ケース108に設けた凸部302a、302bの上段部に、コレクタ端子111a、111bに加工した穴312a、312bをはめ込むことで、コレクタ端子111a、111bの横ずれ防止と、先に取り付けたエミッタ端子112a、112bとの間隔を保持することができ、半導体装置300を作成する際の歩留まりを抑制することができる。さらに、コレクタ端子111a、111bとコレクタ側回路パターン104aが接する部位を半導体モジュール200上方より超音波接合装置のツールを押し当て超音波を発生することで、IGBT105のコレクタ電極と電気的に接続された、コレクタ主端子が形成された。このとき、コレクタ端子111a、111bにおけるコレクタ側回路パターン104aとの接合時には図11に示すような接合痕が残る。
次に、図12に示すように、エミッタ補助端子115、ゲート端子116、コレクタ補助端子117をケース108内に配置した。エミッタ補助端子115の底部323aを、ケース108に設けた凹部324aにはめ込むことで、エミッタ補助端子115の横ずれと、外部からの振動による基板との接触を防ぐことができる。さらに、エミッタ補助端子115とエミッタ補助端子側回路パターン104dが接する部位を超音波接合することで、独立した半導体モジュール200a、200b上に接続したIGBTのエミッタ電極を1個の補助端子で電気的に接続するエミッタ電流センシング端子を設けた。
また、ゲート端子116の底部323bを、ケース108に設けた凹部324bにはめ込むことで、ゲート端子116の横ずれ、外部からの振動による基板および近接するエミッタ補助端子115との接触を防ぐことができる。さらに、ゲート端子116とゲート側回路パターン104dが接する部位を超音波接合することで、独立した半導体モジュール200a、200b上に接続したIGBTのゲート電極を1個の補助端子で電気的に接続するゲート端子116を設けた。
さらに、コレクタ補助端子117との底部321を、ケース108に設けたL型の凹部322にはめ込むことで、コレクタ補助端子117の横ずれと、外部からの振動による基板との接触を防ぐことができる。さらに、コレクタ補助端子117とコレクタ側回路パターン104aが接する部位を超音波接合することで、コレクタ電流をセンシングする端子を設けた。
次に、ケース108内に市販されている高電圧対応のゲルを流し込んだ。ゲルは、ケース108の上面から約5mm下の深さまで流し込んだ。そして、真空脱法を行い、ゲル中に含まれている気泡を取りのぞいた。
次に、蓋120を被せて接着固定する。接着剤として、シリコーン一液型を用いた。ケース108と蓋120の部位に接着剤を塗布した後、150℃で1時間保持して硬化した。この最、ゲルも同時に加熱硬化されている。
ここで、蓋120によるコレクタ端子111、エミッタ端子112、エミッタ補助端子115、ゲート端子116、及びコレクタ補助端子117の支え方を説明する。図13に示すように、蓋120に設けた突起部317aをコレクタ端子111aの穴313aに、突起部317bをコレクタ端子111bの穴313bに、突起部318aをコレクタ端子111aの穴314aに、突起部318bをコレクタ端子111bの穴314bに通して、さらにこれらの突起部317、318でエミッタ端子112を押さえつけることで、コレクタ端子111、及びエミッタ端子基板101、ケース108、蓋120で挟み込む。
また、エミッタ補助端子115とゲート端子116は、それぞれ蓋120と凹部324、325によって挟み込まれる形で固定され、コレクタ補助端子117は、蓋120とL型の凹部322に挟み込まれる形で固定される。
このように構成することによって、外部からの振動に対して、接合部の接合信頼性が高い半導体装置300を作成することが可能となる。
最後に図7に示すように蓋120をケース108に搭載する。半導体装置300の蓋120上面のコレクタ端子固定孔213a、213b、エミッタ端子固定孔214a、214bにはM8のネジを締める六角ボルトを、エミッタ補助端子固定孔218、ゲート端子固定孔219、コレクタ補助端子固定孔220にはM4のネジを締める六角ボルトをそれぞれ挿入した。そして、ナットの穴と端子の穴が一致するように、端子を折り曲げることで半導体装置300が完成する。
作製した半導体装置300は、電圧3.3kV、電流1200Aの容量を有するものである。この半導体装置300は、図示しない電圧制御装置(インバータ)とバズバーを介してコレクタ端子111、及びエミッタ端子112が接続される。さらに、エミッタ補助端子115、ゲート端子116、およびコレクタ補助端子117は、半導体装置300を駆動する制御装置と電気的に接続される。半導体装置500を、−40℃〜150℃(各温度で30分保持)の温度サイクル試験に投入したところ、1000サイクル後でもモジュールが破損せず、電気的な特性も初期状態とほぼ同じであった。さらに、IGBTのON/OFFを連続して行うパワーサイクル試験(ジャンクション温度150℃、ケース外温度50℃)を行ったところ、50、000サイクル経過しても、電気的な特性が初期状態をほぼ維持した。比較のため、既存モジュールで同様のパワーサイクル試験を行ったところ、36、000サイクルで動作しなくなった。また、本パワーサイクル試験を行う際、半導体装置300の下面と、図示しない冷却板との間に熱伝導性を維持するためにグリースを塗ったが、本発明の半導体装置300ではグリースが装置の外周部に漏れることは無かった。一方、既存の半導体装置の場合、装置の外周部にグリースの漏れが確認された。これは、金属ベースの反り変動によってグリースが流出したためである。グリースの流出によって、半導体装置の下面と、冷却板との間に非接触部が生じて放熱性が劣化したことが、既存の半導体装置が動作しなくなった一因と考えられた。さらに、動作不能となった既存の半導体装置を分解したところ、金属ベースと絶縁回路基板を接合するはんだ接合界面の一部でクラックが観察された。クラックによって、絶縁回路基板から金属ベースへの熱伝導が劣化したことも、既存の半導体装置が動作しなくなった一因である。以上の結果から、本発明の熱や高信頼化を確認できた。
〔実施形態2〕
本実施形態では、電圧3.3kV、電流1800Aの容量を有する半導体装置400の作製方法を説明する。半導体装置の等価回路を図15に表す。電流容量600Aの半導体モジュール200a、200b、200cの3個で構成した。エミッタ電極主端子E1、E2、E3(上述のエミッタ端子112に対応)、コレクタ電極主端子C1、C2、C3(上述のコレクタ端子111に対応)、ゲート電極補助端子G(上述のゲート端子116に対応)、モニタリング用エミッタ補助端子E′(上述のエミッタ補助端子115に対応)、コレクタ補助端子C′(上述のコレクタ補助端子117に対応)の計9端子を半導体装置400に設けた。ゲート電極補助端子G、モニタリング用エミッタ補助端子E′は、半導体装置400内部でそれぞれ連続した1本の端子で形成されている。
以下、実施形態1とは異なる部分のみ記載する。基板101の構成は実施形態1と同じである。また、IGBT105、ダイオード106の大きさ、許容電流密度は実施形態1と同じである。IGBT105とダイオード106を回路パターン104に接合する際には、Cuを含む焼結体で接合した。接合温度のピーク値は300℃とした。
次に、実施形態1と同様に、配線107を配線することで、耐圧3.3kV、電量容量600Aの半導体モジュール200が得られた。本実施形態では、電流容量が1800Aの半導体装置を作製することから、半導体装置1台につき3個の半導体モジュールを作製した。
次に、3個の半導体モジュール200a、200b、200cを並べて、ケース108を上方より被せて接着固定した。ケースは、市販のPPS製、最外形部で190mm×140mm×24mmとなるように成形加工した。
次に、3対のコレクタ端子111とエミッタ端子112及びエミッタ補助端子115、ゲート端子116、コレクタ端子117を、3個の半導体モジュール200a、200b、200cとケース108の所定の位置に接するように、ケース108の上方より配置し、各端子と半導体モジュール200の回路パターン104とを超音波接合した。そして、実施形態1と同様にゲルを流し込み、蓋120の接着を行った。最後に、六角ボルトを配置して各端子を折り曲げることで、電圧3.3kV、電流1800Aの容量を有する半導体装置400が得られた。
この半導体装置400は、図示しない電圧制御装置(インバータ)とバズバーを介して3個のコレクタ端子111、及び3個のエミッタ端子112が接続される。さらに、エミッタ補助端子115、ゲート端子116、およびコレクタ補助端子117は、半導体装置400を駆動する制御装置と電気的に接続される。
作製した半導体装置400を、−40℃〜150℃(各温度で30分保持)の温度サイクル試験に投入したところ、1000サイクル後でもモジュールが破損せず、電気的な特性も初期状態とほぼ同じであった。さらに、IGBT105のON/OFFを連続して行うパワーサイクル試験(ジャンクション温度150℃、ケース外温度50℃)を行ったところ、50、000サイクル経過しても、電気的な特性が初期状態をほぼ維持した。
〔実施形態3〕
図16は、実施形態2の半導体装置400を使って構成した電動機駆動回路用インバータ装置の一例を示す。2個の半導体装置400a、400bが直列に接続されて3相分のインバータ駆動回路を構成した。2個の半導体装置400a、400bの半導体モジュール200a同士、200b同士、200c同士の直列接続点は、それぞれ交流端子U、V、Wに接続する。各交流端子810、811、812と3相誘導電動機806とは、配線807により接続した。上アーム側の半導体装置400aのコレクタは、3個とも共通であり、直流端子Aにおいて整流回路803の高電位側と接続する。下アーム側の半導体装置400bのエミッタは、3個とも共通であり、直流端子Bにおいて整流回路803の低電位側と接続する。整流回路803は、交流電源802を整流し、半導体装置500に直流を供給する。半導体装置500はこの電流を再度交流に変換し、3相誘導電動機806を駆動する。上アーム側のゲートとエミッタ間には、上アーム駆動回路804を形成した。また、上アーム駆動回路には、モニタリング用のエミッタ電極補助端子E′(上述のエミッタ補助端子115に対応)と、コレクタ電極補助端子C′(上述のコレクタ補助端子117に対応)も接続する。下アーム側のゲートとエミッタ間には、下アーム駆動回路805を形成した。また、下アーム駆動回路には、モニタリング用のエミッタ電極補助端子E′(上述のエミッタ補助端子115に対応)と、コレクタ電極補助端子C′(上述のコレクタ補助端子117に対応)も接続する。このように、本発明に係る半導体装置400を用いて大型のモーターでも駆動させることが可能となる。