JP2013171856A - 研磨用組成物及び半導体基板の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】研磨対象物の研磨面に生じるスクラッチを低減することができるとともに、同研磨面のヘイズレベルを低減することができる研磨用組成物を提供する。
【解決手段】研磨用組成物は、長径/短径比の平均値が1.5以上3.0以下である砥粒Aと、長径/短径比の平均値が1.0以上1.5未満である砥粒Bとを含有する。砥粒Aの長径の平均値は5nm以上100nm以下であり、砥粒Bの長径の平均値は5nm以上45nm以下である。
【選択図】なし

Description

本発明は、研磨用組成物及び半導体基板の製造方法に関する。
シリコン基板の表面を研磨する用途で使用される研磨用組成物として、二酸化ケイ素の粒子を砥粒として含有する研磨用組成物が知られている。例えば、特許文献1には、平均一次粒子径等の異なる2種類のシリカ粒子と、水溶性高分子と、塩基性化合物とを含有する研磨用組成物が開示されている。特許文献1の研磨用組成物では、平均一次粒子径等の異なる2種類のシリカ粒子を砥粒として含有させることによって、研磨速度の向上や研磨後のシリコン基板の表面粗さの低減を図っている。
特開2009−231486号公報
しかしながら、特許文献1の研磨用組成物を用いた場合には、シリコン基板の研磨面にスクラッチが発生し易いという問題があった。また、特許文献1の研磨用組成物は、シリコン基板の研磨面のヘイズレベルを低減するという観点においても不十分なものであった。
本発明の目的は、研磨対象物の研磨面に生じるスクラッチを低減することができるとともに、同研磨面のヘイズレベルを低減することができる研磨用組成物及び半導体基板の製造方法を提供することにある。
上記の目的を達成するために、本発明の研磨用組成物は、長径/短径比の平均値が1.5以上3.0以下である砥粒Aと、長径/短径比の平均値が1.0以上1.5未満である砥粒Bとを含有し、前記砥粒Aの長径の平均値は5nm以上100nm以下であり、前記砥粒Bの長径の平均値は5nm以上45nm以下であることを特徴とする。
研磨用組成物は、シリコン基板を研磨する用途に用いられることが好ましい。
研磨用組成物は、シリコン基板を最終研磨する用途に用いられることが好ましい。
また、本発明の半導体基板の製造方法は、上記研磨用組成物を用いてシリコン基板を研磨する研磨工程を含むことを特徴とする。
本発明の研磨用組成物及び半導体基板の製造方法によれば、研磨対象物の研磨面に生じるスクラッチを低減することができるとともに、同研磨面のヘイズレベルを低減することができる。
以下、本発明の一実施形態を説明する。
本実施形態の研磨用組成物は、砥粒を含有するものであり、好ましくは水溶性高分子、塩基性化合物、キレート剤、及び界面活性剤を更に含有する。そして、研磨用組成物は砥粒等の各成分を水に混合して調製される。
研磨用組成物は、研磨対象物としてのシリコン基板の表面を研磨する用途に使用される。シリコン基板の研磨工程には、例えば、シリコン単結晶インゴットから円盤状にスライスされたシリコン基板に対して、その表面を平面化する粗研磨工程(一次研磨・二次研磨)と、粗研磨工程後のシリコン基板の表面に存在する微細な凹凸を更に除去して鏡面化する最終研磨工程とが含まれるが、研磨用組成物は最終研磨する用途に使用されることが特に好ましい。そして、研磨用組成物を用いて表面を研磨されたシリコン基板は半導体基板の製造に好適に用いることができる。
(砥粒)
砥粒は、シリコン基板の表面に対して、物理的な作用を与えて物理的に研磨する。
砥粒の例としては、無機粒子、有機粒子、及び有機無機複合粒子が挙げられる。無機粒子の具体例としては、例えば、シリカ、アルミナ、セリア、チタニア等の金属酸化物からなる粒子、並びに窒化ケイ素粒子、炭化ケイ素粒子及び窒化ホウ素粒子が挙げられる。有機粒子の具体例としては、例えばポリメタクリル酸メチル(PMMA)粒子が挙げられる。
これらの具体例の中でもシリカが好ましい。シリカの具体例としては、コロイダルシリカ、フュームドシリカ、及びゾルゲル法シリカから選ばれるシリカ粒子が挙げられる。これらシリカ粒子の中でも、シリコン基板の研磨面に生じるスクラッチを減少させるという観点において、コロイダルシリカ及びフュームドシリカから選ばれるシリカ粒子、特にコロイダルシリカを用いることが好ましい。これらのうち一種を単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
シリカの真比重は、1.5以上であることが好ましく、より好ましくは1.6以上であり、更に好ましくは1.7以上である。シリカの真比重の増大によって、シリコン基板を研磨する際に高い研磨速度が得られる。シリカの真比重は、好ましくは2.2以下であり、より好ましくは1.9以下である。シリカの真比重は、シリカの粒子を乾燥させた際の重量とこのシリカの粒子に容量既知のエタノールを満たした際の重量とから算出される。
研磨用組成物における砥粒の含有量は、0.1質量%以上であることが好ましく、より好ましくは0.2質量%以上であり、更に好ましくは0.3質量%以上である。砥粒の含有量の増大によって、シリコン基板を研磨する際に高い研磨速度が得られる。研磨用組成物中における砥粒の含有量は、10質量%以下であることが好ましく、より好ましくは5質量%以下であり、更に好ましくは3質量%以下であり、最も好ましくは1質量%以下である。砥粒の含有量の減少によって、研磨用組成物の安定性が向上する。
また、砥粒は主に、長径/短径比の平均値が1.5以上3.0以下である砥粒Aと、長径/短径比の平均値が1.0以上1.5未満である砥粒Bとから構成されている。換言すれば、砥粒は、長径/短径比の平均値の異なる砥粒Aと砥粒Bとが混在した状態で研磨用組成物中に含有されている。
研磨用組成物中において、長径/短径比の平均値の異なる砥粒Aと砥粒Bとを混在させることにより、一方の粒子間に他方の粒子が入り込むようになって砥粒密度が高められる。研磨用組成物における砥粒密度が高められることによって、シリコン基板を研磨する際に高い研磨速度が得られる。
上記長径/短径比の平均値は、砥粒の粒子の形状を示す値であり、例えば、電子顕微鏡を用いた写真観察により求めることができる。具体的には、走査型電子顕微鏡を用いて砥粒を観察し、粒子画像に外接する最小の長方形を描く。そして、粒子画像に対して描かれた長方形について、その長辺の長さ(長径の値)を短辺の長さ(短径の値)で除した値を長径/短径比の平均値として算出する。こうした画像解析処理に基づく上記長径/短径比の平均値の算出は、一般的な画像解析ソフトウェアを用いて行うことができる。
以下、砥粒A及び砥粒Bについて具体的に記載する。
砥粒Aは、長径/短径比の平均値が1.5以上であり、好ましくは1.7以上である。砥粒Aの長径/短径比の平均値の増大によって、シリコン基板を研磨する際に高い研磨速度が得られる。砥粒Aは、長径/短径比の平均値が3.0以下であり、好ましくは2.2以下であり、より好ましくは2.0以下である。砥粒Aの長径/短径比の平均値の減少によって、シリコン基板の研磨面に生じるスクラッチが減少する。
砥粒Bは、長径/短径比の平均値が1.0以上であり、好ましくは1.05以上である。砥粒Bは、長径/短径比の平均値が1.5未満であり、好ましくは1.2以下である。砥粒Bの長径/短径比の平均値を上記の範囲に設定することにより、研磨用組成物中における砥粒密度を好適に高めることができる。砥粒Bの長径/短径比の平均値の減少によって、シリコン基板の研磨面のヘイズレベルが低減される。
砥粒Aの長径の平均値は、5nm以上であり、好ましくは30nm以上であり、より好ましくは45nm以上である。砥粒Aの長径の平均値の増大によって、シリコン基板を研磨する際に高い研磨速度が得られる。砥粒Aの長径の平均値は、100nm以下であり、好ましくは80nm以下であり、より好ましくは75nm以下である。砥粒Aの長径の平均値の減少によって、シリコン基板の研磨面のヘイズレベルが低減される。
砥粒Bの長径の平均値は、5nm以上であり、好ましくは20nm以上である。砥粒Bの長径の平均値の増大によって、シリコン基板を研磨する際に高い研磨速度が得られる。砥粒Bの長径の平均値は、45nm以下であり、好ましくは40nm以下である。砥粒Bの長径の平均値の減少によって、シリコン基板の研磨面のヘイズレベルが低減される。
砥粒の長径の平均値は、電子顕微鏡を用いた写真観察により求めることができる。具体的には、走査型電子顕微鏡を用いて所定個数(例えば200個)の砥粒A(又は砥粒B)を観察し、各々の粒子画像に外接する最小の長方形をそれぞれ描く。そして、粒子画像に対して描かれた長方形について、その長辺の長さ(長径の値)を求め、その平均値を算出する。
砥粒A及び砥粒Bの質量に基づく含有比率は、90:10乃至10:90の範囲であることが好ましく、より好ましくは80:20乃至20:80の範囲である。砥粒A及び砥粒Bの含有比率を上記範囲とすることにより、研磨用組成物中における砥粒密度を好適に高めることができる。
上記砥粒Aと上記砥粒Bとが混在する砥粒は、例えば、長径/短径比の平均値が1.5以上3.0以下であり、長径の平均値が5nm以上100nm以下である砥粒と、長径/短径比の平均値が1.0以上1.5未満であり、長径の平均値が5nm以上45nm以下である砥粒とを配合することによって得ることができる。
(水)
水は他の成分の分散媒又は溶媒となる。水は研磨用組成物に含有される他の成分の働きが阻害されることを極力回避するため、例えば遷移金属イオンの合計含有量が100ppb以下とされることが好ましい。例えば、イオン交換樹脂を用いる不純物イオンの除去、フィルターによる異物の除去、蒸留等の操作によって水の純度を高めることができる。具体的には、例えば、イオン交換水、純水、超純水、蒸留水等を用いることが好ましい。
(水溶性高分子)
研磨用組成物中には水溶性高分子を含有させることができる。水溶性高分子は、研磨時やリンス処理時等のシリコン基板の表面処理時において、シリコン基板の研磨面の濡れ性を高める。水溶性高分子としては、分子中に、カチオン基、アニオン基及びノニオン基から選ばれる少なくとも一種の官能基を有するものを使用することができる。具体的な水溶性高分子としては、分子中に水酸基、カルボキシル基、アシルオキシ基、スルホ基、第四級窒素構造、複素環構造、ビニル構造、ポリオキシアルキレン構造等を含むものが挙げられる。
水溶性高分子の具体例としては、セルロース誘導体、ポリ(N−アシルアルキレンイミン)等のイミン誘導体、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリビニルピロリドンを構造の一部に含む共重合体、ポリビニルカプロラクタム、ポリビニルカプロラクタムを構造の一部に含む共重合体、ポリオキシエチレン、ポリオキシアルキレン構造を有する重合体、これらのジブロック型やトリブロック型、ランダム型、交互型といった複数種の構造を有する重合体、ポリエーテル変性シリコーン等が挙げられる。
水溶性高分子は、一種を単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
水溶性高分子の中でも、研磨面における濡れ性の向上、パーティクルの低減、及び表面粗さの低減等の観点から、セルロース誘導体、ポリビニルピロリドン、又はポリオキシアルキレン構造を有する重合体が好適である。セルロース誘導体の具体例としては、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、エチルヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース等が挙げられる。セルロース誘導体の中でも、シリコン基板の研磨面に濡れ性を与える能力が高く、良好な洗浄性を有する点から、ヒドロキシエチルセルロースが特に好ましい。
水溶性高分子の重量平均分子量は、ポリエチレンオキサイド換算で、1000以上であることが好ましく、より好ましくは10000以上であり、更に好ましくは100000以上であり、最も好ましくは200000以上である。水溶性高分子の重量平均分子量の増大によって、シリコン基板の研磨面の濡れ性が高まる傾向となる。水溶性高分子の重量平均分子量は、2000000以下であることが好ましく、より好ましくは1500000以下であり、更に好ましくは1000000以下であり、最も好ましくは500000以下である。水溶性高分子の重量平均分子量の減少によって、研磨用組成物の安定性がより保たれる傾向となる。
研磨組成物中における水溶性高分子の含有量は、0.002質量%以上であることが好ましく、より好ましくは0.004質量%以上であり、更に好ましくは0.006質量%以上である。研磨用組成物中における水溶性高分子の含有量の増大によって、研磨面の濡れ性がより向上する傾向となる。研磨用組成物中における水溶性高分子の含有量は、0.5質量%以下であることが好ましく、より好ましくは0.2質量%以下であり、更に好ましくは0.1質量%以下である。研磨用組成物中における水溶性高分子の含有量の減少によって、研磨用組成物の安定性がより保たれる傾向となる。
(塩基性化合物)
研磨用組成物中には塩基性化合物を含有させることができる。塩基性化合物は、シリコン基板の研磨面に対して、化学的な作用を与えて化学的に研磨する(ケミカルエッチング)。これにより、シリコン基板を研磨する際の研磨速度を向上させることが容易となる。
塩基性化合物の具体例としては、アルカリ金属の水酸化物又は塩、水酸化第四級アンモニウム又はその塩、アンモニア、アミン等が挙げられる。アルカリ金属としては、カリウム、ナトリウム等が挙げられる。塩としては、炭酸塩、炭酸水素塩、硫酸塩、酢酸塩等が挙げられる。第四級アンモニウムとしては、テトラメチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム、テトラブチルアンモニウム等が挙げられる。アルカリ金属の水酸化物又は塩の具体例としては、水酸化カリウム、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム、硫酸カリウム、酢酸カリウム、塩化カリウム等が挙げられる。水酸化第四級アンモニウム又はその塩の具体例としては、水酸化テトラメチルアンモニウム、水酸化テトラエチルアンモニウム、水酸化テトラブチルアンモニウム等が挙げられる。アミンの具体例としては、メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、エチレンジアミン、モノエタノールアミン、N−(β−アミノエチル)エタノールアミン、ヘキサメチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、無水ピペラジン、ピペラジン六水和物、1−(2−アミノエチル)ピペラジン、N−メチルピペラジン、グアニジン等が挙げられる。これらの塩基性化合物は、一種を単独で用いてもよいし、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
塩基性化合物の中でも、アンモニア、アンモニウム塩、アルカリ金属水酸化物、アルカリ金属塩、及び第四級アンモニウム水酸化物から選ばれる少なくとも一種であることが好ましい。塩基性化合物の中でも、アンモニア、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化テトラメチルアンモニウム、水酸化テトラエチルアンモニウム、炭酸水素アンモニウム、炭酸アンモニウム、炭酸水素カリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、及び炭酸ナトリウムから選ばれる少なくとも一種がより好ましい。塩基性化合物の中でも、アンモニア、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化テトラメチルアンモニウム、及び水酸化テトラエチルアンモニウムから選ばれる少なくとも一種がさらに好ましく、一層好ましくはアンモニア及び水酸化テトラメチルアンモニウムの少なくとも一方であり、最も好ましくはアンモニアである。
研磨用組成物中における塩基性化合物の含有量は、0.001質量%以上であることが好ましく、より好ましくは0.002質量%以上であり、更に好ましくは0.003質量%以上である。研磨用組成物中における塩基性化合物の含有量の増大によって、シリコン基板を研磨する際に高い研磨速度が得られる傾向となる。研磨用組成物中における塩基性化合物の含有量は、1.0質量%以下であることが好ましく、より好ましくは0.5質量%以下であり、更に好ましくは0.2質量%以下である。研磨用組成物中における塩基性化合物の含有量の減少によって、シリコン基板の形状が維持され易くなる傾向となる。
研磨用組成物のpHは8.0以上であることが好ましく、より好ましくは8.5以上であり、更に好ましくは9.0以上である。研磨用組成物のpHの増大によって、シリコン基板を研磨する際に高い研磨速度が得られる傾向となる。研磨用組成物のpHは12.5以下であることが好ましく、より好ましくは12.0以下であり、更に好ましくは11.5以下である。研磨用組成物のpHの減少によって、シリコン基板の形状が維持され易くなる傾向となる。
(キレート剤)
研磨用組成物中にはキレート剤を含有させることができる。キレート剤は、研磨系中の金属不純物成分を捕捉して錯体を形成することによってシリコン基板の金属汚染を抑制する。
キレート剤の具体例としては、例えば、アミノカルボン酸系キレート剤、及び有機ホスホン酸系キレート剤が挙げられる。アミノカルボン酸系キレート剤の具体例としては、エチレンジアミン四酢酸、エチレンジアミン四酢酸ナトリウム、ニトリロ三酢酸、ニトリロ三酢酸ナトリウム、ニトリロ三酢酸アンモニウム、ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸、ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸ナトリウム、ジエチレントリアミン五酢酸、ジエチレントリアミン五酢酸ナトリウム、トリエチレンテトラミン六酢酸、トリエチレンテトラミン六酢酸ナトリウムが挙げられる。有機ホスホン酸系キレート剤の具体例としては、2−アミノエチルホスホン酸、1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸、アミノトリ(メチレンホスホン酸)、エチレンジアミンテトラキス(メチレンホスホン酸)、ジエチレントリアミンペンタ(メチレンホスホン酸)、エタン−1,1,−ジホスホン酸、エタン−1,1,2−トリホスホン酸、エタン−1−ヒドロキシ−1,1−ジホスホン酸、エタン−1−ヒドロキシ−1,1,2−トリホスホン酸、エタン−1,2−ジカルボキシ−1,2−ジホスホン酸、メタンヒドロキシホスホン酸、2−ホスホノブタン−1,2−ジカルボン酸、1−ホスホノブタン−2,3,4−トリカルボン酸、α−メチルホスホノコハク酸等が挙げられる。
(界面活性剤)
研磨用組成物中には界面活性剤を含有させることができる。界面活性剤は、シリコン基板の研磨面の荒れを抑制する。これにより、研磨面のヘイズレベルを低減することが容易となる。特に、研磨用組成物に塩基性化合物を含有させた場合には、塩基性化合物による化学的研磨(ケミカルエッチング)によってシリコン基板の研磨面に荒れが生じ易くなる傾向となる。このため、塩基性化合物と界面活性剤との併用は特に有効である。
界面活性剤としては、重量平均分子量が1000未満のものが好ましく、アニオン性又はノニオン性の界面活性剤が挙げられる。界面活性剤の中でも、ノニオン性界面活性剤が好適に用いられる。ノニオン性界面活性剤は、起泡性が低いため、研磨用組成物の調製時や使用時の取り扱いが容易となる。また、例えばイオン性の界面活性剤を用いた場合よりも、pH調整が容易となる。ノニオン性界面活性剤の具体例としては、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のオキシアルキレン重合体、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセルエーテル脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル等のポリオキシアルキレン付加物等が挙げられる。
具体的には、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン共重合体、ポリオキシエチレングリコール、ポリオキシエチレンプロピルエーテル、ポリオキシエチレンブチルエーテル、ポリオキシエチレンペンチルエーテル、ポリオキシエチレンヘキシルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルエーテル、ポリオキシエチレン−2−エチルヘキシルエーテル、ポリオキシエチレンノニルエーテル、ポリオキシエチレンデシルエーテル、ポリオキシエチレンイソデシルエーテル、ポリオキシエチレントリデシルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンイソステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンドデシルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンスチレン化フェニルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルアミン、ポリオキシエチレンステアリルアミン、ポリオキシエチレンオレイルアミン、ポリオキシエチレンステアリルアミド、ポリオキシエチレンオレイルアミド、ポリオキシエチレンモノラウリン酸エステル、ポリオキシエチレンモノステアリン酸エステル、ポリオキシエチレンジステアリン酸エステル、ポリオキシエチレンモノオレイン酸エステル、ポリオキシエチレンジオレイン酸エステル、モノラウリン酸ポリオキシエチレンソルビタン、モノパルチミン酸ポリオキシエチレンソルビタン、モノステアリン酸ポリオキシエチレンソルビタン、モノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン、トリオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン、テトラオレイン酸ポリオキシエチレンソルビット、ポリオキシエチレンヒマシ油、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油等が挙げられる。
界面活性剤は、一種を単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
(その他成分)
研磨用組成物は、必要に応じて研磨用組成物に一般に含有されている公知の添加剤、例えば有機酸、有機酸塩、無機酸、無機酸塩、防腐剤、防カビ剤等を更に含有してもよい。
有機酸の具体例としては、ギ酸、酢酸、プロピオン酸等の脂肪酸、安息香酸、フタル酸等の芳香族カルボン酸、クエン酸、シュウ酸、酒石酸、リンゴ酸、マレイン酸、フマル酸、コハク酸、有機スルホン酸、有機ホスホン酸等が挙げられる。有機酸塩の具体例としては、有機酸の具体例で記載した有機酸のナトリウム塩及びカリウム塩等のアルカリ金属塩、又はアンモニウム塩が挙げられる。
無機酸の具体例としては、硫酸、硝酸、塩酸、炭酸等が挙げられる。無機酸塩の具体例としては、無機酸の具体例で記載した無機酸のナトリウム塩及びカリウム塩等のアルカリ金属塩、又はアンモニウム塩が挙げられる。
有機酸塩及び無機酸塩の中でも、シリコン基板の金属汚染を抑制するという点から、アンモニウム塩が好ましい。
有機酸及びその塩、並びに無機酸及びその塩は、一種を単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
防腐剤及び防カビ剤の具体例としては、イソチアゾリン系化合物、パラオキシ安息香酸エステル類、フェノキシエタノール等が挙げられる。
上記した研磨用組成物を用いてシリコン基板の表面を研磨する研磨工程においては、シリコン基板の表面に研磨用組成物を供給しながら、同表面に研磨パッドを押し付けてシリコン基板及び研磨パッドを回転させる。このとき、研磨パッドとシリコン基板表面との間の摩擦による物理的作用、及び研磨用組成物中の砥粒とシリコン基板表面との間の摩擦による物理的作用によってシリコン基板の表面は研磨される。研磨用組成物が塩基性化合物を含有する場合には、上記物理的作用に加えて、塩基性化合物による化学的作用によってもシリコン基板の表面は研磨される。
以上詳述した本実施形態によれば、次のような効果が発揮される。
(1)研磨用組成物は、長径/短径比の平均値が1.5以上3.0以下である砥粒Aと、長径/短径比の平均値が1.0以上1.5未満である砥粒Bとを含有する。砥粒Aの長径の平均値は5nm以上100nm以下であり、砥粒Bの長径の平均値は5nm以上45nm以下である。これにより、研磨用組成物を用いて研磨した後のシリコン基板の研磨面に生じるスクラッチを低減することができるとともに、同研磨面のヘイズレベルを低減することができる。
(2)研磨用組成物は、シリコン基板を研磨する用途、特にシリコン基板を最終研磨する用途に用いられることで、研磨面のヘイズレベルが低く、且つ研磨面にスクラッチの少ない高品質なシリコン基板を得ることが容易となる。
(3)半導体基板の製造方法は、上記(1)欄で述べた研磨用組成物を用いてシリコン基板を研磨する研磨工程を含む。これにより、研磨面のヘイズレベルが低く、且つ研磨面にスクラッチの少ないシリコン基板が形成され、同シリコン基板から品質の高い半導体基板を製造することができる。
なお、前記実施形態は次のように変更されてもよい。
・ 前記実施形態の研磨用組成物は、一剤型であってもよいし、二剤型を始めとする多剤型であってもよい。
・ 前記実施形態の研磨用組成物は、製造時及び販売時には濃縮された状態であってもよい。すなわち、前記実施形態の研磨用組成物は、研磨用組成物の原液の形態で製造及び販売してもよい。
・ 前記実施形態の研磨用組成物は、研磨用組成物の原液を水で希釈することにより調製されてもよい。この場合の希釈倍率は、好ましくは2倍以上であり、より好ましくは5倍以上であり、更に好ましくは10倍以上である。上記希釈倍率が増大することによって、研磨用組成物の原液の輸送コストが安価になるとともに、保管場所を節約することができる。上記希釈倍率は、好ましくは100倍以下であり、より好ましくは50倍以下であり、更に好ましくは40倍以下である。上記希釈倍率が減少することによって、研磨用組成物の原液の安定性が保たれ易くなる。
・ 前記実施形態の研磨用組成物に含有される各成分は製造の直前にフィルターによりろ過処理されたものであってもよい。また、前記実施形態の研磨用組成物は、使用の直前にフィルターによりろ過処理して使用されるものであってもよい。ろ過処理が施されることによって、研磨用組成物中の粗大異物が取り除かれて品質が向上する。
上記ろ過処理に用いるフィルターの材質及び構造は特に限定されるものではない。フィルターの材質としては、例えば、セルロース、ナイロン、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリプロピレン、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリカーボネート、ガラス等が挙げられる。フィルターの構造としては、例えばデプス、プリーツ、メンブレン等が挙げられる。
・ 前記実施形態の研磨用組成物を用いた研磨工程で使用される研磨パッドは、特に限定されない。例えば、不織布タイプ、スウェードタイプ、砥粒を含むもの、砥粒を含まないもののいずれを用いてもよい。
・ 前記実施形態の研磨用組成物を用いてシリコン基板を研磨するに際して、一度研磨に使用された研磨用組成物を回収して、シリコン基板の研磨に再び使用してもよい。研磨用組成物を再使用する方法としては、例えば、研磨装置から排出された研磨用組成物をタンク内に回収し、再度研磨装置内へ循環させて使用する方法が挙げられる。研磨用組成物を再使用することは、廃液として排出される研磨用組成物の量が減ることにより環境負荷が低減できる点、及び使用する研磨用組成物の量が減ることによりシリコン基板の研磨にかかる製造コストを抑制できる点において有用である。
研磨用組成物を再使用する場合には、研磨により消費・損失された砥粒等の各成分の一部又は全部を、組成物調整剤として添加することが好ましい。組成物調整剤は、各成分を個々に添加してもよいし、各成分を循環タンクの大きさや研磨条件等に応じた任意の比率にて混合した状態で添加してもよい。再使用される研磨用組成物に対して組成物調整剤を添加することにより、研磨用組成物の組成が維持されて、研磨用組成物の機能を持続的に発揮させることができる。
・ 前記実施形態の研磨用組成物は、長径/短径比が1.5以上3.0以下である砥粒Aと、長径/短径比が1.0以上1.5未満である砥粒Bとを含有するものであり、砥粒Aの長径の平均値が5nm以上100nm以下であり、砥粒Bの長径の平均値が5nm以上45nm以下であるものであってもよい。
・ 前記実施形態の研磨用組成物は、シリコン基板を研磨する以外の用途で使用されてもよい。例えば、ステンレスなどの金属、プラスチック、ガラス、及びサファイア等の研磨製品を得るために用いてもよい。
実施例及び比較例を挙げて前記実施形態をさらに具体的に説明する。
砥粒A及び砥粒Bとしてのシリカ粒子A及びシリカ粒子B、塩基性化合物としてのアンモニア、水溶性高分子としての重量平均分子量が250,000のヒドロキシエチルセルロース、並びにイオン交換水を配合して、実施例1,2及び比較例1〜4の研磨用組成物を調製した。シリカ粒子A及びシリカ粒子Bとしては、長径/短径比の平均値が1.5以上3.0以下であるコロイダルシリカ、及び長径/短径比の平均値が1.0以上1.5未満であるコロイダルシリカをそれぞれ配合した。
各例の研磨用組成物の共通組成、並びにシリカ粒子A及びシリカ粒子Bの詳細な構成を表1及び3に示す。表3に示すシリカ粒子A及びシリカ粒子Bの長径の平均値は、日立製作所製の走査型電子顕微鏡“S−4700”を用いた写真観察に基づいて算出した長径/短径比の平均値である。
次に、各例の研磨用組成物を用いて、予備研磨後のシリコン基板の表面を表2に記載の条件で研磨した(最終研磨に相当)。シリコン基板は、直径が300mm、伝導型がP型、結晶方位が<100>、抵抗率が0.1Ω・cm以上100Ω・cm以下であるシリコン基板を株式会社フジミインコーポレーテッド製の研磨スラリー(商品名GLANZOX 1103)を用いて予備研磨したものを用いた。各例の研磨用組成物について研磨速度を評価するとともに、研磨後のシリコン基板について研磨面のヘイズレベル及びスクラッチを評価した。
(研磨速度)
研磨前後におけるシリコン基板の質量差を測定し、得られた質量差をシリコン基板の密度、面積、及び研磨時間で除することにより研磨速度を算出するとともに、その算出値に基づいて研磨速度を評価した。その結果を表3の研磨速度欄に示す。研磨速度の評価基準は以下のとおりである。
評価A:研磨速度が0.04μm/分以上である場合。
評価B:研磨速度が0.03μm/分以上0.04μm/分未満である場合。
評価C:研磨速度が0.02μm/分以上0.03μm/分未満である場合。
評価D:研磨速度が0.02μm/分未満である場合。
(ヘイズレベル)
ケーエルエー・テンコール社製のウェーハ検査装置“Surfscan SP2”を用いて、同装置のDWOモードで研磨後のシリコン基板の研磨面を計測したときに得られる測定値に基づいて同研磨面のヘイズレベルを評価した。その結果を表3のヘイズレベル欄に示す。ヘイズレベルの評価基準は以下のとおりである。
評価A:上記測定値が0.090ppm未満である場合。
評価B:上記測定値が0.090ppm以上0.095ppm未満である場合。
評価C:上記測定値が0.095ppm以上0.100ppm未満である場合。
評価D:上記測定値が0.100ppm以上である場合。
(スクラッチ)
ケーエルエー・テンコール社製のウェーハ検査装置“Surfscan SP2”を用いて、研磨後のシリコン基板の研磨面に存在するスクラッチを評価した。その結果を表3のスクラッチ欄に示す。スクラッチの評価基準は以下のとおりである。
評価A:シリコン基板の研磨面にスクラッチが確認されない場合。
評価C:シリコン基板の研磨面にスクラッチが確認された場合。
表3に示すように、実施例1及び2においては、研磨速度、ヘイズレベル及びスクラッチのいずれの評価においても優れた結果が得られた。一方、比較例1〜4においては、研磨速度、ヘイズレベル及びスクラッチのうちの一つ以上の評価が不十分となる結果であった。
これらの結果から、好適な研磨速度を維持しつつ、研磨面のヘイズレベル及びスクラッチを低減させるという観点において、研磨用組成物中に、長径/短径比の平均値が1.5以上3.0以下であるシリカ粒子A及び長径/短径比の平均値が1.0以上1.5未満であるシリカ粒子Bを含有させること、並びにシリカ粒子Aの長径の平均値を5nm以上100nm以下とするとともに、シリカ粒子Bの長径の平均値を5nm以上45nm以下とすることが有効であると示唆される。
次に、前記実施形態及び実施例等から把握できる技術的思想について記載する。
(イ) 長径/短径比の平均値が1.5以上3.0以下である砥粒Aと、長径/短径比の平均値が1.0以上1.5未満である砥粒Bとを配合してなり、前記砥粒Aの長径の平均値は5nm以上100nm以下であり、前記砥粒Bの長径の平均値は5nm以上45nm以下であることを特徴とする研磨用組成物。

Claims (4)

  1. 長径/短径比の平均値が1.5以上3.0以下である砥粒Aと、長径/短径比の平均値が1.0以上1.5未満である砥粒Bとを含有し、
    前記砥粒Aの長径の平均値は5nm以上100nm以下であり、
    前記砥粒Bの長径の平均値は5nm以上45nm以下であることを特徴とする研磨用組成物。
  2. シリコン基板を研磨する用途に用いられる請求項1に記載の研磨用組成物。
  3. シリコン基板を最終研磨する用途に用いられる請求項2に記載の研磨用組成物。
  4. 請求項1〜3のいずれか一項に記載の研磨用組成物を用いてシリコン基板を研磨する研磨工程を含むことを特徴とする半導体基板の製造方法。
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