JP2016207875A - 研磨方法 - Google Patents

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誠 田畑
真希 浅田
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真希 浅田
公亮 土屋
Kosuke Tsuchiya
公亮 土屋
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Abstract

【課題】研磨パッドの立ち上げを短時間で行うことができ且つ研磨対象物の研磨作業が簡便な研磨方法を提供する。【解決手段】本発明の研磨方法は、パッド立ち上げ研磨用組成物と未使用の研磨パッドとを用いてダミー被研磨物を研磨することによって未使用の研磨パッドを立ち上げるパッド立ち上げ工程と、研磨対象物研磨用組成物とパッド立ち上げ工程により立ち上げた研磨パッドとを用いて研磨対象物を研磨する研磨工程と、を備える。パッド立ち上げ研磨用組成物と研磨対象物研磨用組成物は、同一の研磨用組成物原液を異なる希釈倍率で希釈して得たものであり、研磨対象物研磨用組成物の希釈倍率よりもパッド立ち上げ研磨用組成物の希釈倍率の方が高い。【選択図】なし

Description

本発明は研磨方法に関する。
コンピュータに使用される半導体デバイスにおいて、更なる高度集積化及び高速化を実現するために、デザインルールと呼ばれる配線幅の微細化が年々進んでいる。そのため、従来問題とされなかったナノメートルスケールの基板表面欠陥が半導体デバイスの性能に悪影響を与える事例が増えている。したがって、ナノメートルスケールの基板表面欠陥に対処することの重要性が高まっている。
半導体デバイスの製造には基板の研磨工程が含まれる。基板の研磨工程で用いられる研磨用組成物としては、例えば特許文献1に開示されているものが提案されている。このような研磨工程では、研磨用組成物を研磨パッドに供給しながら研磨対象物と研磨用組成物を接触させて研磨を行うが、新品(未使用状態)の研磨パッドは、そのままでは研磨対象物の研磨に使用することはできず、研磨対象物の研磨に使用する前にダミー研磨(立ち上げ研磨)を行って立ち上げる必要がある。
ダミー研磨においては、通常は研磨対象物の研磨と同一の研磨用組成物を使用するが、最近では精密な研磨を行うために研磨用組成物の研磨力が小さくなっているため、研磨対象物の研磨と同一の研磨用組成物をダミー研磨に用いると立ち上げに非常に長い時間を要するという問題があった。ダミー研磨に好適な研磨用組成物を用いて立ち上げを行えば、立ち上げに要する時間を短縮することができるが、研磨対象物の研磨と別種の研磨用組成物を使用することになるため、研磨対象物の研磨作業が煩雑になると言う問題があった。
国際公開第2013/061771号
本発明の目的は、上記のような従来技術が有する問題点を解決し、研磨パッドの立ち上げを短時間で行うことができ且つ研磨対象物の研磨作業が簡便な研磨方法を提供することにある。
上記の目的を達成するため、本発明の一態様として、パッド立ち上げ研磨用組成物と未使用の研磨パッドとを用いてダミー被研磨物を研磨することによって未使用の研磨パッドを立ち上げるパッド立ち上げ工程と、研磨対象物研磨用組成物とパッド立ち上げ工程により立ち上げた研磨パッドとを用いて研磨対象物を研磨する研磨工程と、を備え、パッド立ち上げ研磨用組成物と研磨対象物研磨用組成物は、同一の研磨用組成物原液を異なる希釈倍率で希釈して得たものであり、研磨対象物研磨用組成物の希釈倍率よりもパッド立ち上げ研磨用組成物の希釈倍率の方が高い研磨方法を提供する。
本発明によれば、研磨パッドの立ち上げを短時間で行うことができ且つ研磨対象物の研磨作業を簡便に行うことができる。
本発明の一実施形態について詳細に説明する。本実施形態の研磨方法は、研磨対象物の研磨に使用するには不向きな未使用(新品)の研磨パッドを立ち上げて研磨対象物の研磨に好適に使用可能とするパッド立ち上げ工程と、パッド立ち上げ工程により立ち上げた研磨パッドを用いて研磨対象物を研磨する研磨工程と、を備えている。パッド立ち上げ工程においてはパッド立ち上げ研磨用組成物を用い、研磨工程においては研磨対象物研磨用組成物を用いる。これら両研磨用組成物は、同一の研磨用組成物原液を異なる希釈倍率で希釈して得たものであり、研磨対象物研磨用組成物の希釈倍率よりもパッド立ち上げ研磨用組成物の希釈倍率の方が高い。
すなわち、パッド立ち上げ工程においては、研磨用組成物原液を高い希釈倍率で希釈して得たパッド立ち上げ研磨用組成物と未使用の研磨パッドとを用いてダミー被研磨物を研磨することによって、未使用の研磨パッドを立ち上げる。また、研磨工程においては、研磨用組成物原液を低い希釈倍率で希釈して得た研磨対象物研磨用組成物とパッド立ち上げ工程により立ち上げた研磨パッドとを用いて、研磨対象物を研磨する。
パッド立ち上げ研磨用組成物としては、相対的に研磨力の高い研磨用組成物が所望される。本発明者らは、その目的を達成するために鋭意検討した結果、研磨用組成物原液を高希釈化(低濃度化)することが重要であることを見出し、本発明を完成させた。
このように、研磨用組成物原液を希釈して所望の研磨速度を発現するパッド立ち上げ研磨用組成物を得ることが可能であるため、研磨パッドの立ち上げを短時間で行うことが可能なパッド立ち上げ研磨用組成物を容易に得ることができる。また、研磨対象物研磨用組成物も同様に、研磨用組成物原液を希釈して所望の研磨速度、研磨精度を発現する研磨対象物研磨用組成物を得ることが可能である。
さらに、パッド立ち上げ研磨用組成物と研磨対象物研磨用組成物とは、同一の研磨用組成物原液を異なる希釈倍率で希釈して得たものであるので、1種の研磨用組成物原液でパッドの立ち上げと研磨対象物の研磨とを行うことができる。よって、パッド立ち上げ工程と研磨工程とを備える一連の研磨作業が簡便である。
なお、研磨用組成物原液の希釈倍率は、研磨対象物研磨用組成物の希釈倍率よりもパッド立ち上げ研磨用組成物の希釈倍率の方が高ければ、特に限定されるものではないが、研磨対象物研磨用組成物を得る際の希釈倍率は1倍(すなわち、希釈なし)とすることもできる。
以下に、本実施形態の研磨方法及び研磨用組成物(パッド立ち上げ研磨用組成物、研磨対象物研磨用組成物)について詳細に説明する。なお、以下に説明する種々の操作や物性の測定は、特に断りがない限り、室温(20℃以上25℃以下)、相対湿度40%以上50%以下の条件下で行われたものである。
(研磨対象物)
研磨工程において研磨される研磨対象物の種類は特に限定されるものではないが、単体シリコン、シリコン化合物、金属等があげられる。単体シリコン及びシリコン化合物は、シリコン含有材料を含む層を有する研磨対象物である。
単体シリコンとしては、例えば単結晶シリコン、多結晶シリコン(ポリシリコン)、アモルファスシリコン等があげられる。また、シリコン化合物としては、例えば窒化ケイ素、二酸化ケイ素(例えば、テトラエトキシシラン(TEOS)を用いて形成される二酸化ケイ素層間絶縁膜)、炭化ケイ素等があげられる。これらの中でも、特に単結晶シリコンの研磨に対して本発明は好適である。
また、金属としては、例えば、タングステン、銅、アルミニウム、ハフニウム、コバルト、ニッケル、チタン、タンタル、金、銀、白金、パラジウム、ロジウム、ルテニウム、イリジウム、オスミウム等があげられる。これらの金属は、合金又は金属化合物の形態で含まれていてもよい。
(研磨パッド)
未使用の研磨パッドの研磨面にはコーティング剤が被覆されているので、そのままでは研磨対象物の研磨への使用には不向きであり、研磨対象物の研磨に使用する前にダミー研磨(立ち上げ研磨)による立ち上げを行って、コーティング剤を剥離する必要がある。
研磨パッドの材質は特に限定されるものではなく、一般的な不織布、スウェード、ポリウレタン発泡体、ポリエチレン発泡体、多孔質フッ素樹脂等を特に制限なく使用することができる。また、材質の違いの他、硬度や厚さ等の物性が種々異なるものを用いることができる。さらに、砥粒を含むもの、砥粒を含まないもののいずれも用いることができる。さらに、研磨パッドの研磨面には、液状の研磨用組成物が溜まるような穴状の構造や、液状の研磨用組成物の流路となる溝が設けられていてもよい。
(ダミー被研磨物)
パッド立ち上げ工程においては、未使用の研磨パッドを用いてダミー被研磨物を研磨することにより、未使用の研磨パッドの立ち上げを行う。ダミー被研磨物の種類は、未使用の研磨パッドの立ち上げを行うことができるものであれば特に限定されるものではないが、研磨工程において研磨される研磨対象物と同種のものを用いることができる。例えば、研磨工程においてシリコンウェーハを研磨する場合には、パッド立ち上げ工程においてはダミー被研磨物として同種のシリコンウェーハを用いることができる。
(研磨用組成物原液)
研磨用組成物原液の組成(成分及び濃度)は特に限定されるものではなく、砥粒及び水を含有するスラリーとすることができる。また、研磨用組成物原液は水溶性高分子及び塩基性化合物の少なくとも一方をさらに含有してもよい。
(砥粒)
砥粒の種類は特に限定されるものではなく、無機粒子、有機粒子、有機無機複合粒子のいずれも使用可能である。無機粒子の具体例としては、シリカ、アルミナ、セリア、チタニア、酸化クロム等の金属酸化物からなる粒子や、窒化ケイ素、炭化ケイ素、窒化ホウ素等のセラミックからなる粒子があげられる。また、有機粒子の具体例としては、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)粒子があげられる。これらの砥粒は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
これらの具体例の中でもシリカが好ましい。シリカの具体例としては、コロイダルシリカ、フュームドシリカ、及びゾルゲル法シリカから選ばれるシリカ粒子があげられる。これらシリカ粒子の中でも、シリコンウェーハ基板の被研磨面に生じるスクラッチを減少させるという観点において、コロイダルシリカ及びフュームドシリカから選ばれるシリカ粒子を用いることがより好ましく、コロイダルシリカを用いることが特に好ましい。さらに、シリカの表面には有機酸を固定化してもよい。有機酸の例としては、スルホン酸、カルボン酸、スルフィン酸、及びホスホン酸があげられる。
砥粒の平均一次粒子径は5nm以上であることが好ましく、より好ましくは10nm以上であり、更に好ましくは20nm以上である。砥粒の平均一次粒子径の増大によって、シリコンウェーハ基板を研磨する際に高い研磨速度が得られる。砥粒の平均一次粒子径は100nm以下であることが好ましく、より好ましくは70nm以下であり、更に好ましくは50nm以下である。砥粒の平均一次粒子径の減少によって、研磨用組成物の安定性が向上する。
砥粒の平均一次粒子径の値は、例えば、BET法により測定される比表面積から算出される。砥粒の比表面積の測定は、例えば、マイクロメリテックス社製の「FlowSorbII 2300」を用いて行うことができる。
砥粒の平均二次粒子径は10nm以上であることが好ましく、より好ましくは20nm以上であり、更に好ましくは30nm以上である。砥粒の平均二次粒子径の増大によって、シリコンウェーハ基板を研磨する際に高い研磨速度が得られる。砥粒の平均二次粒子径は200nm以下であることが好ましく、より好ましくは150nm以下であり、更に好ましくは100nm以下である。砥粒の平均二次粒子径の減少によって、研磨用組成物の安定性が向上する。砥粒の平均二次粒子径は、例えば、日機装株式会社製の型式「UPA−UT151」を用いた動的光散乱法により測定することができる。
(水溶性高分子)
研磨用組成物原液は水溶性高分子として、研磨用組成物の調製時に固体又は固形の状態で水に投入される固体原料の水溶性高分子を含有してもよい。水溶性高分子により、研磨後の研磨対象物の表面粗さがより低減する(平滑となる)。固体原料とは、水に溶解する前の原料の状態において、温度23℃、相対湿度50%、及び1気圧の環境下にて目視で固体又は固形の状態のものを意味する。また、水溶性高分子は、水、又は水とアルコール、ケトン等の水系有機溶剤との混合溶剤中において単量体から合成されるものもあるが、その溶液状態のままの水系液形態のもの、あるいは、揮発性溶剤を留去した水溶液形態のものも含む。なお、以下では、「固体原料の水溶性高分子」、「水系液形態の水溶性高分子」、「水溶液形態の水溶性高分子」を、単に「水溶性高分子」と記載する。
水溶性高分子としては、分子中に、カチオン基、アニオン基及びノニオン基から選ばれる少なくとも一種の官能基を有するものを使用することができる。具体的には、分子中に、水酸基、カルボキシル基、アシルオキシ基、スルホ基、アミド基、アミジノ基、イミノ基、イミド基、第四級窒素構造、前記官能基単位を含む複素環構造、ビニル構造、ポリオキシアルキレン構造等を含むもののいずれも使用することができる。
水溶性高分子の具体例としては、セルロース誘導体、ポリビニルアルコール、ポリ(メタ)アクリル酸、ポリ(メタ)アクリルアミドアルキルスルホン酸、ポリイソプレンスルホン酸、ポリビニルスルホン酸、ポリアリルスルホン酸、ポリイソアミレンスルホン酸、ポリスチレンスルホン酸塩、ポリ(メタ)アクリルアミド、ポリアルキルアミノアルキル(メタ)アクリルアミド、ポリビニルピロリドン、ポリビニルピロリドンを構造の一部に含む共重合体、ポリビニルカプロラクタム、ポリビニルカプロラクタムを構造の一部に含む共重合体、ポリアルコキシアルキル(メタ)アクリルアミド、ポリヒドロキシアルキル(メタ)アクリルアミド、ポリ(メタ)アクリルロイルモルホリン、ポリアミジン、ポリエチレンイミン、親水化ポリイミド、各種ポリアミノ酸、ポリ(N−アシルアルキレンイミン)等のイミン誘導体、ポリビニルアルコールの水酸基部分の一部を第四級窒素構造に置換したポリビニルアルコール誘導体、ポリオキシエチレン、ポリオキシアルキレン構造を有する重合体、これらのジブロック型やトリブロック型、ランダム型、交互型といった複数種の構造を有する重合体等があげられる。なお、本明細書においては、ポリ(メタ)アクリル酸との表記は、アクリル酸及び/又はメタクリル酸を意味する。これは、水溶性高分子以外の化合物についても同様である。
上記水溶性高分子の中でも、シリコンウェーハ基板の被研磨面における濡れ性の向上、パーティクルの付着の抑制、及び表面粗さの低減等の観点から、セルロース誘導体、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリアクリロイルモルホリン、ポリ(N−イソプロピルアクリルアミド)又はポリオキシアルキレン構造を有する重合体が好適である。
セルロース誘導体の具体例としては、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、エチルヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース等があげられる。セルロース誘導体の中でも、シリコンウェーハ基板の被研磨面に濡れ性を与える能力が高く、良好な洗浄性を有する点から、ヒドロキシエチルセルロースが特に好ましい。また、水溶性高分子は、一種を単独で用いてもよいし、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
(塩基性化合物)
研磨用組成物原液は塩基性化合物を含有してもよい。塩基性化合物がシリコンウェーハ等の研磨対象物の表面に化学的な作用を与えて、化学的に研磨する(ケミカルエッチング)ので、研磨対象物を研磨する際の研磨速度を向上させることが容易となる。
塩基性化合物の具体例としては、無機の塩基性化合物、アルカリ金属又はアルカリ土類金属の水酸化物又は塩、水酸化第四級アンモニウム又はその塩、アンモニア、アミン等が挙げられる。アルカリ金属の具体例としては、カリウム、ナトリウム等が挙げられる。塩の具体例としては、炭酸塩、炭酸水素塩、硫酸塩、酢酸塩等が挙げられる。第四級アンモニウムの具体例としては、テトラメチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム、テトラブチルアンモニウム等が挙げられる。アルカリ金属の水酸化物又は塩の具体例としては、水酸化カリウム、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム、硫酸カリウム、酢酸カリウム、塩化カリウム等が挙げられる。水酸化第四級アンモニウム又はその塩の具体例としては、水酸化テトラメチルアンモニウム、水酸化テトラエチルアンモニウム、水酸化テトラブチルアンモニウム等が挙げられる。アミンの具体例としては、メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、エチレンジアミン、モノエタノールアミン、N−(β−アミノエチル)エタノールアミン、ヘキサメチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、無水ピペラジン、ピペラジン六水和物、1−(2−アミノエチル)ピペラジン、N−メチルピペラジン、グアニジン、イミダゾールやトリアゾール等のアゾール類等が挙げられる。これらの塩基性化合物は、一種を単独で用いてもよいし、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
塩基性化合物の中でも、アンモニア、アンモニウム塩、アルカリ金属水酸化物、アルカリ金属塩、及び第四級アンモニウム水酸化物から選ばれる少なくとも一種が好ましい。塩基性化合物の中でも、アンモニア、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化テトラメチルアンモニウム、水酸化テトラエチルアンモニウム、炭酸水素アンモニウム、炭酸アンモニウム、炭酸水素カリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、及び炭酸ナトリウムから選ばれる少なくとも一種がより好ましい。塩基性化合物の中でも、アンモニア、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化テトラメチルアンモニウム、及び水酸化テトラエチルアンモニウムから選ばれる少なくとも一種が更に好ましく、一層好ましくはアンモニア及び水酸化テトラメチルアンモニウムの少なくとも一方であり、最も好ましくはアンモニアである。
(その他の添加剤)
研磨用組成物原液には、その性能を向上させるために、必要に応じて、一般的な研磨用組成物に含有されている公知の添加剤、例えば有機酸、有機酸塩、無機酸、無機酸塩、界面活性剤、キレート剤、防腐剤、防カビ剤等を更に添加してもよい。ただし、酸化剤は実質的に含有しないことが好ましい。有機酸、有機酸塩、無機酸及び無機酸塩のいずれかを添加した場合には、水溶性高分子との相互作用により、研磨後のシリコンウェーハ基板の被研磨面の親水性を向上させることができる。
有機酸の具体例としては、ギ酸、酢酸、プロピオン酸等の脂肪酸、安息香酸、フタル酸等の芳香族カルボン酸、クエン酸、シュウ酸、酒石酸、リンゴ酸、マレイン酸、フマル酸、コハク酸、有機スルホン酸、有機ホスホン酸等が挙げられる。有機酸塩の具体例としては、有機酸の具体例で記載した有機酸のナトリウム塩及びカリウム塩等のアルカリ金属塩、又はアンモニウム塩が挙げられる。
無機酸の具体例としては、硫酸、硝酸、塩酸、炭酸等が挙げられる。無機酸塩の具体例としては、無機酸の具体例で記載した無機酸のナトリウム塩及びカリウム塩等のアルカリ金属塩、又はアンモニウム塩が挙げられる。
有機酸塩及び無機酸塩の中でも、シリコンウェーハ基板の金属汚染を抑制するという点から、アンモニウム塩が好ましい。
有機酸及びその塩、並びに無機酸及びその塩は、一種を単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
(界面活性剤)
界面活性剤を添加することで、塩基性化合物のケミカルエッチング作用に起因する基板表面の荒れを抑制することができ、表面の平滑性が向上する。
界面活性剤としては、アニオン性又はノニオン性の界面活性剤が挙げられる。界面活性剤の中でも、ノニオン性界面活性剤が好適に用いられる。ノニオン性界面活性剤は、起泡性が低いため、研磨用組成物の調製時や使用時の取り扱いが容易となる。また、例えばイオン性の界面活性剤を用いた場合よりも、pH調整が容易となる。
ノニオン性界面活性剤の具体例としては、オキシアルキレンの単独重合体、複数の種類のオキシアルキレンの共重合体、ポリオキシアルキレン付加物が挙げられる。オキシアルキレンの単独重合体の具体例としては、ポリオキシエチレン、ポリエチレングリコール、ポリオキシプロピレン及びポリオキシブチレンが挙げられる。複数の種類のオキシアルキレンの共重合体の具体例としては、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール及びポリオキシエチレンポリオキシブチレングリコールが挙げられる。
ポリオキシアルキレン付加物の具体例としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセルエーテル脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルなどが挙げられる。更に具体的には、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン共重合体、ポリオキシエチレングリコール、ポリオキシエチレンプロピルエーテル、ポリオキシエチレンブチルエーテル、ポリオキシエチレンペンチルエーテル、ポリオキシエチレンヘキシルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルエーテル、ポリオキシエチレン−2−エチルヘキシルエーテル、ポリオキシエチレンノニルエーテル、ポリオキシエチレンデシルエーテル、ポリオキシエチレンイソデシルエーテル、ポリオキシエチレントリデシルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンイソステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンドデシルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンスチレン化フェニルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルアミン、ポリオキシエチレンステアリルアミン、ポリオキシエチレンオレイルアミン、ポリオキシエチレンステアリルアミド、ポリオキシエチレンオレイルアミド、ポリオキシエチレンモノラウリン酸エステル、ポリオキシエチレンモノステアリン酸エステル、ポリオキシエチレンジステアリン酸エステル、ポリオキシエチレンモノオレイン酸エステル、ポリオキシエチレンジオレイン酸エステル、モノラウリン酸ポリオキシエチレンソルビタン、モノパルミチン酸ポリオキシエチレンソルビタン、モノステアリン酸ポリオキシエチレンソルビタン、モノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン、トリオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン、テトラオレイン酸ポリオキシエチレンソルビット、ポリオキシエチレンヒマシ油、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油が挙げられる。
これらのノニオン性界面活性剤の中でも、オキシアルキレンの単独重合体又は複数の種類のオキシアルキレンの共重合体を用いることが好ましい。この場合には、研磨後のシリコンウェーハ基板の被研磨面のヘイズを実用上特に好適なレベルにまで低減することが容易である。それは、僅かな親水性を有するエーテル結合と僅かな疎水性を有するアルキレン基が、これらの重合体の分子鎖中に交互に存在することが理由と考えられる。
(キレート剤)
研磨用組成物原液には、キレート剤を添加してもよい。キレート剤は、研磨系中の金属不純物成分を捕捉して錯体を形成することによってシリコンウェーハ基板の金属汚染を抑制する。
キレート剤の例としては、例えば、アミノカルボン酸系キレート剤及び有機ホスホン酸系キレート剤が挙げられる。アミノカルボン酸系キレート剤の具体例としては、例えば、エチレンジアミン四酢酸、エチレンジアミン四酢酸ナトリウム、ニトリロ三酢酸、ニトリロ三酢酸ナトリウム、ニトリロ三酢酸アンモニウム、ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸、ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸ナトリウム、ジエチレントリアミン五酢酸、ジエチレントリアミン五酢酸ナトリウム、トリエチレンテトラミン六酢酸及びトリエチレンテトラミン六酢酸ナトリウムが挙げられる。
また、有機ホスホン酸系キレート剤の具体例としては、例えば、2−アミノエチルホスホン酸、1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸、アミノトリ(メチレンホスホン酸)、エチレンジアミンテトラキス(メチレンホスホン酸)、ジエチレントリアミンペンタ(メチレンホスホン酸)、エタン−1,1−ジホスホン酸、エタン−1,1,2−トリホスホン酸、エタン−1−ヒドロキシ−1,1−ジホスホン酸、エタン−1−ヒドロキシ−1,1,2−トリホスホン酸、エタン−1,2−ジカルボキシ−1,2−ジホスホン酸、メタンヒドロキシホスホン酸、2−ホスホノブタン−1,2−ジカルボン酸、1−ホスホノブタン−2,3,4−トリカルボン酸及びα−メチルホスホノコハク酸が挙げられる。
これらキレート剤の中でも、エチレンジアミン四酢酸、ジエチルトリアミン五酢酸、トリエチレンテトラミン六酢酸、エチレンジアミンテトラキス(メチレンホスホン酸)、ジエチレントリアミンペンタ(メチレンホスホン酸)を用いることが好ましく、エチレンジアミンテトラキス(メチレンホスホン酸)を用いることが最も好ましい。キレート剤は、一種を単独で用いてもよいし、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
(水)
水は、他の成分の分散媒又は溶媒となる。水は、研磨用組成物に含有される他の成分の働きが阻害されることを極力回避するため、例えば遷移金属イオンの合計の含有量が100ppb以下とされることが好ましい。例えば、イオン交換樹脂を用いる不純物イオンの除去、フィルターによる粒子の除去、蒸留等の操作によって、水の純度を高めることができる。具体的にはイオン交換水、純水、超純水、蒸留水等を用いることが好ましい。
(研磨用組成物原液の製造方法)
研磨用組成物原液の製造方法は特に限定されるものではなく、砥粒と、所望により水溶性高分子、塩基性化合物、各種添加剤とを、水中で攪拌、混合することによって製造することができる。例えば、砥粒と、水溶性高分子と、塩基性化合物と、界面活性剤等の添加剤とを、水中で攪拌、混合することによって製造することができる。混合時の温度は特に限定されるものではないが、10℃以上40℃以下が好ましく、溶解速度を向上させるために加熱してもよい。また、混合時間も特に限定されない。
(パッド立ち上げ研磨用組成物及び研磨対象物研磨用組成物の製造方法)
研磨用組成物原液を水で希釈することにより、パッド立ち上げ研磨用組成物及び研磨対象物研磨用組成物を調製することができる。同一の研磨用組成物原液を高希釈倍率で希釈することにより、高い加工力を有するパッド立ち上げ研磨用組成物を調製し、低希釈倍率(パッド立ち上げ研磨用組成物を製造する際の希釈倍率よりも低い希釈倍率)で希釈することにより、高精度で研磨可能な研磨対象物研磨用組成物を調製する。
パッド立ち上げ研磨用組成物と未使用の研磨パッドとを用いてダミー被研磨物を研磨することによって、未使用の研磨パッドを好適に立ち上げることができる。また、研磨対象物研磨用組成物と立ち上げた研磨パッドとを用いて研磨対象物を研磨することによって、優れた表面品質を有する研磨対象物を得ることができる。
なお、パッドの立ち上げの進行はダミー被研磨物の被研磨量と相関があり、被研磨量の増加に伴いパッドの立ち上げが進行する。すなわち、ダミー研磨時の研磨速度が大きいと、パッド立ち上げを短時間で完了することができる。
希釈媒体の種類は特に限定されるものではなく、水、有機溶剤等を用いることができるが、水を用いることが好ましい。
研磨対象物研磨用組成物を調製する際の希釈倍率は、パッド立ち上げ研磨用組成物を調製する際の希釈倍率よりも低ければ、特に限定されるものではないが、研磨対象物研磨用組成物中の各種成分の濃度が以下の範囲となるような希釈倍率であることが好ましい。
すなわち、研磨対象物研磨用組成物中の砥粒の濃度は、0.01質量%以上であることが好ましく、0.03質量%以上であることがより好ましく、0.05質量%以上であることがさらに好ましい。このような範囲であれば、研磨対象物の研磨速度が優れている。また、研磨対象物研磨用組成物中の砥粒の濃度は、5質量%以下であることが好ましく、3質量%以下であることがより好ましく、1質量%以下であることがさらに好ましい。このような範囲であれば、研磨対象物研磨用組成物のコストを抑えることができる。
さらに、研磨対象物研磨用組成物中の水溶性高分子の濃度は、0.0001質量%以上であることが好ましく、0.001質量%以上であることがより好ましく、0.005質量%以上であることがさらに好ましい。このような範囲であれば、研磨対象物の被研磨面の表面粗さがより低減する。また、研磨対象物研磨用組成物中の水溶性高分子の濃度は、0.5質量%以下であることが好ましく、0.1質量%以下であることがより好ましく、0.05質量%以下であることがさらに好ましい。このような範囲であれば、研磨対象物の被研磨面への水溶性高分子の残存量が低減する。
さらに、研磨対象物研磨用組成物中の塩基性化合物の濃度は、0.0001質量%以上であることが好ましく、0.001質量%以上であることがより好ましく、0.002質量%以上であることがさらに好ましい。このような範囲であれば、研磨対象物の研磨速度が優れている。また、研磨対象物研磨用組成物中の塩基性化合物の濃度は、0.5質量%以下であることが好ましく、0.3質量%以下であることがより好ましく、0.1質量%以下であることがさらに好ましい。このような範囲であれば、研磨対象物の被研磨面の表面粗さがより低減する。
なお、研磨対象物研磨用組成物の希釈倍率は1倍でもよく、すなわち、研磨用組成物原液を希釈せずそのまま研磨対象物研磨用組成物として用いてもよい。
一方、パッド立ち上げ研磨用組成物を調製する際の希釈倍率は、研磨対象物研磨用組成物を調製する際の希釈倍率よりも高ければ、特に限定されるものではないが、パッド立ち上げ研磨用組成物中の各種成分の濃度が以下の範囲となるような希釈倍率であることが好ましい。
すなわち、パッド立ち上げ研磨用組成物中の砥粒の濃度は、0.001質量%以上であることが好ましく、0.003質量%以上であることがより好ましく、0.005質量%以上であることがさらに好ましい。このような範囲であれば、研磨パッドの立ち上げ性能が優れている。また、パッド立ち上げ研磨用組成物中の砥粒の濃度は、3質量%以下であることが好ましく、1質量%以下であることがより好ましく、0.5質量%以下であることがさらに好ましい。このような範囲であれば、パッド立ち上げ研磨用組成物のコストを抑えることができる。
さらに、パッド立ち上げ研磨用組成物中の水溶性高分子の濃度は、0.000001質量%以上であることが好ましく、0.00001質量%以上であることがより好ましく、0.00005質量%以上であることがさらに好ましい。また、パッド立ち上げ研磨用組成物中の水溶性高分子の濃度は、0.2質量%以下であることが好ましく、0.05質量%以下であることがより好ましく、0.025質量%以下であることがさらに好ましく、0.01質量%以下であることが最も好ましい。このような範囲であれば、ダミー被研磨物の被研磨量が増加し、研磨パッドの立ち上げ性能が向上する。
さらに、パッド立ち上げ研磨用組成物中の塩基性化合物の濃度は、0.00001質量%以上であることが好ましく、0.0001質量%以上であることがより好ましく、0.0002質量%以上であることがさらに好ましい。このような範囲であれば、ダミー被研磨物の被研磨量が増加し、研磨パッドの立ち上げ性能が向上する。また、パッド立ち上げ研磨用組成物中の塩基性化合物の濃度は、0.25質量%以下であることが好ましく、0.15質量%以下であることがより好ましく、0.05質量%以下であることがさらに好ましい。このような範囲であれば、パッド立ち上げ研磨用組成物のコストを抑えることができる。
(研磨パッドの立ち上げ方法(パッド立ち上げ工程))
パッド立ち上げ研磨用組成物と未使用の研磨パッドとを用いてダミー被研磨物を研磨することによって、未使用の研磨パッドを立ち上げることができる。ダミー被研磨物を研磨する方法や条件は特に限定されるものではなく、一般的な研磨の方法、条件の範囲内において未使用の研磨パッドの立ち上げに好適な方法、条件を適宜選択すればよい。
(研磨対象物の研磨方法(研磨工程))
研磨対象物研磨用組成物とパッド立ち上げ工程により立ち上げた研磨パッドとを用いて、研磨対象物を研磨する。研磨対象物を研磨する方法や条件は特に限定されるものではなく、一般的な研磨の方法、条件の範囲内において研磨対象物の研磨に好適な方法、条件を適宜選択すればよい。
また、研磨に使用する研磨装置も特に限定されるものではなく、一般的な研磨装置を使用することが可能であり、例えば片面研磨装置や両面研磨装置を使用することができる。例えば、研磨対象物であるシリコンウェーハを、片面研磨装置を用いて研磨する場合には、キャリアと呼ばれる保持具を用いてシリコンウェーハを保持し、研磨パッドが貼付された定盤をシリコンウェーハの片面に押しつけて研磨対象物研磨用組成物を供給しながら定盤を回転させることにより、シリコンウェーハの片面を研磨する。
また、両面研磨装置を用いてシリコンウェーハを研磨する場合には、キャリアと呼ばれる保持具を用いてシリコンウェーハを保持し、研磨パッドが貼付された定盤をシリコンウェーハの両側からシリコンウェーハの両面にそれぞれ押しつけて、研磨対象物研磨用組成物を供給しながら両側の定盤を回転させることにより、シリコンウェーハの両面を研磨する。
いずれの研磨装置を用いた場合でも、摩擦(研磨パッド及び研磨対象物研磨用組成物と、シリコンウェーハとの摩擦)による物理的作用と研磨対象物研磨用組成物がシリコンウェーハにもたらす化学的作用とによって、シリコンウェーハが研磨される。
なお、本実施形態の研磨対象物研磨用組成物は、研磨対象物の仕上げ研磨に好適な仕上げ研磨向けの研磨用組成物であるが、仕上げ研磨の前に行う予備研磨に用いることもできる。また、研磨対象物研磨用組成物を用いて研磨を行う仕上げ研磨工程の前に、別の研磨用組成物を用いて研磨を行う予備研磨工程を設けてもよい。
また、本実施形態の研磨対象物研磨用組成物は、研磨対象物の研磨に使用された後に回収し、研磨対象物の研磨に再使用することができる。研磨対象物研磨用組成物を再使用する方法の一例としては、研磨装置から排出された研磨対象物研磨用組成物をタンクに回収し、再度研磨装置内へ循環させて研磨に使用する方法があげられる。研磨対象物研磨用組成物を循環使用すれば、廃液として排出される研磨対象物研磨用組成物の量を減らすことができるので、環境負荷を低減することができる。また、使用する研磨対象物研磨用組成物の量を減らすことができるので、研磨対象物の研磨に要する製造コストを抑制することができる。
〔実施例〕
以下に実施例を示し、本発明をさらに具体的に説明する。
<研磨用組成物の調製について>
砥粒、水溶性高分子、塩基性化合物、界面活性剤、及び水を混合して、研磨用組成物原液を製造した。砥粒は平均一次粒子径25nmのコロイダルシリカであり、研磨用組成物原液中の砥粒の濃度は7.0質量%である。
また、水溶性高分子は、重量平均分子量250000のヒドロキシエチルセルロース(以下「HEC」と記す)と重量平均分子量45000のポリビニルピロリドン(以下「PVP」と記す)であり、研磨用組成物原液中の水溶性高分子の濃度は、HECが0.17質量%で、PVPが0.10質量%である。さらに、塩基性化合物はアンモニアであり、研磨用組成物原液中のアンモニアの濃度は0.20質量%である。さらに、界面活性剤は、エチレンオキサイド(EO)とプロピレンオキサイド(PO)とのブロック共重合体(以下「PEO(ポリエチレンオキサイド)−PPO(ポリプロピレンオキサイド)−PEO型トリブロック体」と記す)であり、研磨用組成物原液中のPEO−PPO−PEO型トリブロック体の濃度は0.05質量%である。なお、PEO−PPO−PEO型トリブロック体の重量平均分子量は9000である。
この研磨用組成物原液に水を添加し希釈倍率40倍又は80倍で希釈して、40倍希釈スラリー及び80倍希釈スラリーを調製した。これら40倍希釈スラリー又は80倍希釈スラリーを用いてシリコンウェーハの研磨を行って、研磨速度、ヘイズ、欠陥数を評価した。
<研磨パッドの立ち上げ方法について>
まず、研磨パッドの立ち上げ方法について説明する。直径が300mm、伝導型がP型、結晶方位が<100>のシリコンウェーハを用意し、下記に示す標準スラリーIを用いて、下記に示す条件1の研磨条件で第一の研磨パッド(フジボウ株式会社製のFP55)の立ち上げ研磨を行った。続いて、下記に示す標準スラリーIIを用いて、下記に示す条件2の研磨条件でさらに第二の研磨パッド(フジボウ株式会社製のPOLYPAS27NX)の立ち上げ研磨を行った。
標準スラリーIは、砥粒及び塩基性化合物を水に添加して製造したものである。砥粒は平均一次粒子径35nmのコロイダルシリカであり、標準スラリーI中の砥粒の濃度は0.95質量%である。また、塩基性化合物は水酸化カリウムであり、標準スラリーI中の水酸化カリウムの濃度は0.065質量%である。
標準スラリーIIは、砥粒、水溶性高分子、塩基性化合物、を水に添加して製造したものである。砥粒は平均一次粒子径35nmのコロイダルシリカであり、標準スラリーII中の砥粒の濃度は0.3質量%である。また、水溶性高分子は重量平均分子量500000のHECであり、標準スラリーII中の水溶性高分子の濃度は0.01質量%である。さらに、塩基性化合物はアンモニアであり、標準スラリーII中のアンモニアの濃度は0.02質量%である。
(研磨条件1)
研磨機:株式会社岡本工作機械製作所製の枚葉研磨機PNX−332B
研磨荷重:20kPa
定盤回転速度:20rpm
キャリア回転速度:20rpm
研磨時間:1時間
定盤冷却水の温度:20℃
研磨用組成物(スラリー)の温度:20℃
研磨用組成物の供給速度:1L/分(掛け流し使用)
(研磨条件2)
研磨機:株式会社岡本工作機械製作所製の枚葉研磨機PNX−332B
研磨荷重:15kPa
定盤回転速度:30rpm
キャリア回転速度:30rpm
研磨時間:10時間
定盤冷却水の温度:20℃
研磨用組成物(スラリー)の温度:20℃
研磨用組成物の供給速度:2L/分(掛け流し使用)
<研磨速度の評価方法について>
研磨速度の評価用のシリコンウェーハを準備する方法について説明する。直径が200mm、伝導型がP型、結晶方位が<100>で、COP(Crystal Originated Particle、結晶欠陥)フリーのシリコンウェーハを用意し、前記研磨パッドの立ち上げ方法にて立ち上げた第一の研磨パッド(フジボウ株式会社製のFP55)と標準スラリーIを用いて、下記に示す条件3の研磨条件で研磨を行った。続いて、前記研磨パッドの立ち上げ方法にて立ち上げた第二の研磨パッド(フジボウ株式会社製のPOLYPAS27NX)と下記に示す標準スラリーIIIを用いて、下記に示す条件4の研磨条件でさらに研磨を行った。
標準スラリーIIIは、砥粒、水溶性高分子、塩基性化合物、及び界面活性剤を水に添加して製造したものである。砥粒は平均一次粒子径35nmのコロイダルシリカであり、標準スラリーIII中の砥粒の濃度は0.46質量%である。また、水溶性高分子は重量平均分子量250000のHECであり、標準スラリーIII中の水溶性高分子の濃度は0.017質量%である。さらに、塩基性化合物はアンモニアであり、標準スラリーIII中のアンモニアの濃度は0.009質量%である。さらに、界面活性剤は重量平均分子量9000のPEO−PPO−PEO型トリブロック体であり、標準スラリーIII中のPEO−PPO−PEO型トリブロック体の濃度は0.002質量%である。
(研磨条件3)
研磨機:株式会社岡本工作機械製作所製の枚葉研磨機PNX−332
研磨荷重:15kPa
定盤回転速度:30rpm
キャリア回転速度:30rpm
研磨時間:3分間
定盤冷却水の温度:20℃
研磨用組成物(スラリー)の温度:20℃
研磨用組成物の供給速度:0.55L/分(掛け流し使用)
(研磨条件4)
研磨機:株式会社岡本工作機械製作所製の枚葉研磨機PNX−332
研磨荷重:15kPa
定盤回転速度:30rpm
キャリア回転速度:30rpm
研磨時間:4分間
定盤冷却水の温度:20℃
研磨用組成物(スラリー)の温度:20℃
研磨用組成物の供給速度:0.4L/分(掛け流し使用)
標準スラリーIIIを用いた条件4による研磨が終了したら、洗浄液を用いて洗浄し(SC−1洗浄)、イソプロピルアルコール蒸気乾燥を行った。こうして得られた評価用シリコンウェーハの質量を測定し、研磨前の質量とした。なお、洗浄液の組成は、アンモニア水(アンモニア濃度29質量%):過酸化水素水(過酸化水素濃度31質量%):脱イオン水=1:3:30(体積比)である。
次に、評価用シリコンウェーハの研磨を行って研磨速度を評価する方法について説明する。評価用シリコンウェーハを濃度3質量%のフッ化水素(HF)水溶液に浸漬して、評価用シリコンウェーハの表面の酸化膜を除去した。この酸化膜を除去した評価用シリコンウェーハに対して、前記研磨パッドの立ち上げ方法にて立ち上げた第二の研磨パッド(フジボウ株式会社製のPOLYPAS27NX)と40倍希釈スラリー又は80倍希釈スラリーを用いて、上記条件4の研磨条件(ただし、研磨時間は10分間とした)で研磨を行った。そして、上記洗浄液を用いて洗浄し(SC−1洗浄)、イソプロピルアルコール蒸気乾燥を行った後に、評価用シリコンウェーハの質量を測定して、研磨後の質量とした。
研磨前後の評価用シリコンウェーハの質量差を研磨時間で除した値を研磨速度とした。算出した研磨速度を表1に示す。なお、表1に示した研磨速度は、40倍希釈スラリーを用いて研磨して得られた研磨速度を100とした場合の相対値であり、相対値が120以上である場合はA、100超過120未満である場合はB、100以下であるである場合はCと示してある。
Figure 2016207875
表1に示す結果から分かるように、40倍希釈スラリーを用いた比較例2、3よりも80倍希釈スラリーを用いた実施例1及び比較例1の方が研磨速度が大きかった。この研磨速度は、研磨パッドの立ち上げ能力の高さを表すので、希釈倍率の高い80倍希釈スラリーの方が希釈倍率の低い40倍希釈スラリーよりも研磨パッドの立ち上げ能力が高いことが分かる。よって、希釈倍率の高い80倍希釈スラリーの方が希釈倍率の低い40倍希釈スラリーよりも、研磨パッドの立ち上げを短時間で行うことができる。
<ヘイズ、欠陥数の評価方法について>
まず、ヘイズ、欠陥数の評価用のシリコンウェーハを準備する方法について説明する。直径が300mm、伝導型がP型、結晶方位が<100>で、COPフリーのシリコンウェーハを用意し、前記研磨パッドの立ち上げ方法にて立ち上げた第一の研磨パッド(フジボウ株式会社製のFP55)と標準スラリーIを用いて、下記に示す条件5の研磨条件で研磨を行った。続いて、前記研磨パッドの立ち上げ方法にて立ち上げた第二の研磨パッド(フジボウ株式会社製のPOLYPAS27NX)と標準スラリーIIIを用いて、下記に示す条件6の研磨条件でさらに研磨を行った。標準スラリーIIIを用いた条件6による研磨が終了したら、上記洗浄液を用いて洗浄し(SC−1洗浄)、イソプロピルアルコール蒸気乾燥を行った。
(研磨条件5)
研磨機:株式会社岡本工作機械製作所製の枚葉研磨機PNX−332B
研磨荷重:20kPa
定盤回転速度:20rpm
キャリア回転速度:20rpm
研磨時間:3分間
定盤冷却水の温度:20℃
研磨用組成物(スラリー)の温度:20℃
研磨用組成物の供給速度:1L/分(掛け流し使用)
(研磨条件6)
研磨機:株式会社岡本工作機械製作所製の枚葉研磨機PNX−332B
研磨荷重:15kPa
定盤回転速度:30rpm
キャリア回転速度:30rpm
研磨時間:3分間
定盤冷却水の温度:20℃
研磨用組成物(スラリー)の温度:20℃
研磨用組成物の供給速度:2L/分(掛け流し使用)
次に、上記のようにして得られた評価用シリコンウェーハの研磨を行ってヘイズ及び欠陥数を評価する方法について説明する。ヘイズ、欠陥数の評価用シリコンウェーハに対しては、予備研磨と仕上げ研磨を行う。予備研磨は、前記研磨パッドの立ち上げ方法にて立ち上げた第一の研磨パッド(フジボウ株式会社製のFP55)と標準スラリーIを用いて、条件5の研磨条件で行った。仕上げ研磨は、前記研磨パッドの立ち上げ方法にて立ち上げた第二の研磨パッド(フジボウ株式会社製のPOLYPAS27NX)と40倍希釈スラリー又は80倍希釈スラリーを用いて、条件6の研磨条件で行った。
そして、上記洗浄液を用いて洗浄し(SC−1洗浄)、イソプロピルアルコール蒸気乾燥を行った後に、ケーエルエー・テンコール社製のウェーハ表面検査装置Surfscan SP2を用いて評価用シリコンウェーハの表面のヘイズを測定するとともに、レーザーテック株式会社製の欠陥検査装置MAGICS M5350を用いて評価用シリコンウェーハの表面の欠陥数を測定した。
測定したヘイズ及び欠陥数を表1に示す。なお、表1に示したヘイズは、40倍希釈スラリーを用いて仕上げ研磨を行った評価用シリコンウェーハのヘイズを100とした場合の相対値であり、相対値が100以下である場合はA、100超過105未満である場合はB、105以上であるである場合はCと示してある。また、表1に示した欠陥数は、40倍希釈スラリーを用いて仕上げ研磨を行った評価用シリコンウェーハの欠陥数を100とした場合の相対値であり、相対値が100以下である場合はA、100超過125未満である場合はB、125以上であるである場合はCと示してある。
表1に示す結果から分かるように、80倍希釈スラリーを用いた比較例1、3よりも40倍希釈スラリーを用いた実施例1及び比較例2の方がヘイズ及び欠陥数が優れていた。よって、希釈倍率の低い40倍希釈スラリーの方が希釈倍率の高い80倍希釈スラリーよりも、精密な研磨が行えることが分かる。
研磨速度、ヘイズ、及び欠陥数の評価を総合すると、希釈倍率の高い80倍希釈スラリーを用いて研磨パッドの立ち上げを行い、希釈倍率の低い40倍希釈スラリーを用いて仕上げ研磨を行った実施例1の研磨方法は、比較例1〜3の研磨方法とは異なり、研磨パッドの立ち上げを短時間で行うことができ且つ高精度な仕上げ研磨を行うことができる。また、同一の研磨用組成物原液を異なる希釈倍率で希釈することにより、パッド立ち上げ研磨用組成物と研磨対象物研磨用組成物とを得ることができるので、研磨パッドの立ち上げから研磨対象物の仕上げ研磨までの作業が簡便である。

Claims (4)

  1. パッド立ち上げ研磨用組成物と未使用の研磨パッドとを用いてダミー被研磨物を研磨することによって前記未使用の研磨パッドを立ち上げるパッド立ち上げ工程と、研磨対象物研磨用組成物と前記パッド立ち上げ工程により立ち上げた研磨パッドとを用いて研磨対象物を研磨する研磨工程と、を備え、
    前記パッド立ち上げ研磨用組成物と前記研磨対象物研磨用組成物は、同一の研磨用組成物原液を異なる希釈倍率で希釈して得たものであり、前記研磨対象物研磨用組成物の希釈倍率よりも前記パッド立ち上げ研磨用組成物の希釈倍率の方が高い研磨方法。
  2. 前記研磨用組成物原液は砥粒及び水を含有する請求項1に記載の研磨方法。
  3. 前記研磨用組成物原液は水溶性高分子及び塩基性化合物の少なくとも一方をさらに含有する請求項2に記載の研磨方法。
  4. 前記研磨対象物がシリコンウェーハである請求項1〜3のいずれか一項に記載の研磨方法。
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