JP2013171128A - 配線付き表示装置用前面保護板とその製造方法、及び表示装置 - Google Patents

配線付き表示装置用前面保護板とその製造方法、及び表示装置 Download PDF

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Abstract

【課題】タッチパネル等の外周部の配線等を隠す為に設けた遮光層の部分に可視情報と配線とを設けた、配線付き表示装置用前面保護板を工程数を増やさずに製造できるようにし、また、これを備えた表示装置とする。
【解決手段】配線付き表示装置用前面保護板10は、透光性基板1の不透明領域A2の面に、可視情報3の部分は非形成部とした遮光層2が形成され、この非形成部の部分で透光性基板側から見える様に形成する可視情報形成層3Lを、遮光層2の部分に形成する配線4と、同一材料で同時形成可能な面に同時形成する。さらに、タッチパネルの位置検知用の透明電極を設けてタッチパネルと一体化しても良い。これを、タッチパネルも組み込むなどして、液晶表示パネル、ELパネル等の表示パネルと組み合わせて表示装置とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、配線付き表示装置用前面保護板とその製造方法、及び表示装置に関する。特に、ロゴマークなどの可視情報と共に配線も備えた配線付き表示装置用前面保護板と、この製造方法、及びこれを備えた表示装置に関する。
近年、スマートフォン、タブレットPC(パーソナルコンピュータ)など各種表示装置において、表示パネルと組み合わせて使用される位置入力装置として、タッチパネルが急速に普及してきている。タッチパネルは、以前から、電磁誘導方式、抵抗膜方式など各種方式のものが知られ、各種用途で使用されてきたが、最近その中でも特に注目されてきているのは、マルチタッチ(多点同時入力)が可能な静電容量方式のタッチパネルである。
図12は、タッチパネル20を備えた表示装置200の一例を模式的に示す図である。図12(a)は分解平面図であり、図12(b)の断面図は図12(a)の分解平面図中で、C−C線で表示装置用前面保護板40を切断したときの表示装置用前面保護板40のみの断面図である。タッチパネル20は、表示パネル30に対して、表示パネル30からの表示光の出光側である表側(紙面で手前側)に配置される。さらに、タッチパネル20の保護の為に、前記表示パネル30からの表示光がタッチパネル20を通過して出光する側であるタッチパネル20の表側に、表示装置用前面保護板40が配置される(特許文献1、特許文献2、特許文献3)。
表示装置用前面保護板40は、通常、図12で例示する様に、その表示用領域A1の外周部が不透明領域A2となっており、不透明領域A2には遮光層2が形成されている。不透明領域A2中には、製品ロゴなどの可視情報3が通常設けられ、不透明領域A2は、この可視情報3と遮光層2とによって表現される意匠によって、表示装置用前面保護板40の加飾部にもなっている。不透明領域A2によって、表示装置用前面保護板40の裏側に配置されるタッチパネル20が、その外周部に有する配線4やコネクタ等が見えて外観を損ねないようにしている。
同図では、遮光層2が不透明領域A2内において非形成部を有し、この非形成部が可視情報3のパターンと同じパターンとなっている。そして、この遮光層2の非形成部を含めた部分に且つ少し大きめに、可視情報形成層3N形成されている。この結果、遮光層2の非形成部を透して可視情報形成層3Nが所定パターンの可視情報3として見える構成となっている。
不透明領域A2に設けられる遮光層2及び可視情報形成層3Nは、スクリーン印刷法によって形成されるのが普通である。
表示装置用前面保護板40、タッチパネル20及び表示パネル30の各部材の間は、界面反射による表示光の損失や外光反射を減らして表示を見易くする等のために、空間を設けずに樹脂層で埋めて密着積層することもある。
また、薄型化、軽量化、部品点数削減などに対する要求に応えるべく、表示装置用前面保護板40とタッチパネル20との一体化、或いはタッチパネル20と表示パネル30との一体化などの各種一体化の形態が、提案され実用化も始まっている(特許文献1、特許文献2)。
特開2009−193587号公報 実用新案登録第3153971号公報 特開2008−266473号公報(〔0009〕、〔0030〕、図2)
ところで、表示装置用前面保護板40の他の部材との一体化の例として、例えばタッチパネル用の透明電極に電気的な接続を行う配線4を一体化する場合、表示装置用前面保護板40を構成する透光性基板1の面上に、遮光層2及び可視情報形成層3Nを形成したのち、さらに、配線4を形成することになる。
しかし、表示装置用前面保護板40を配線付きとする場合、配線4を形成する工程が増えることから、製造工程数の増加によって、工程数的にもコスト増は避けられない。
ただ、こうした構成であっても、なるべく、低コストで製造できることが望まれている。
本発明の課題は、製品ロゴマークなどの可視情報を有する表示装置用前面保護板に対して、さらに配線を設けて一体化した、配線付き表示装置用前面保護板を、工程数を増やさずに製造できるものとすることである。また、こうした配線付き表示装置用前面保護板の製造方法と、これを備えた表示装置を提供することである。
本発明では、次の様な構成の表示装置用前面保護板とその製造方法、及び表示装置とした。
(1)中央の表示用領域と、この表示用領域の外周部に設けられ可視光を遮蔽する不透明領域とを有し、この不透明領域に不透明な配線を有する、配線付き表示装置用前面保護板であって、
透光性基板と、この透光性基板の一方の面上の前記不透明領域に設けられた遮光層と、
前記一方の面上の前記遮光層に重なり前記透光性基板側から目視不能となるように設けられた前記配線と、
前記一方の面上の前記不透明領域内であって前記遮光層の非形成部を含む部分に、前記透光性基板側から目視可能な可視情報を呈するように、設けられた可視情報形成層と、を有し、
前記可視情報形成層と前記配線とは、同一材料で形成され、且つ前記可視情報形成層と前記配線とは、これらの両層が同時形成可能な面に接して形成されている、
配線付き表示装置用前面保護板。
(2)前記透光性基板の前記一方の面上に、さらに、タッチパネルの位置検知用の透明電極が、前記表示用領域から前記不透明領域の前記遮光層の部分に延びて設けられており、前記遮光層の部分で前記配線に電気的に接続されている、前記(1)の配線付き表示装置用前面保護板。
(3)中央の表示用領域と、この表示用領域の外周部に設けられ可視光を遮蔽する不透明領域とを有し、この不透明領域に不透明な配線を有する、配線付き表示装置用前面保護板の製造方法であって、
(A)透光性基板の一方の面上の前記不透明領域とする部分に、可視情報の部分は非形成部にして、遮光層を形成する遮光層形成工程と、
(B)前記一方の面上に前記遮光層の非形成部を含む部分に形成する可視情報形成層、及び前記遮光層の形成部に形成する前記配線を、同一材料で且つ同時形成する、可視情報及び配線同時形成工程と、
を少なくともこの順に有する、配線付き表示装置用前面保護板の製造方法。
(4)前記(1)の配線付き表示装置用前面保護板と、タッチパネルと、表示パネルとを備え、前記タッチパネルは位置検知用の透明電極の周囲に有する不透明な配線が前記表示装置用前面保護板の遮光層に重なり前記表示装置用前面保護板側から目視不能となるように配置された構成であるか、
または、前記(2)のタッチパネル用の透明電極を有する配線付き表示装置用前面保護板と、表示パネルとを備えた構成である、
表示装置。
(5)前記表示パネルが、液晶パネルまたは電界発光パネルである、前記(4)の表示装置。
本発明の配線付き表示装置用前面保護板によれば、可視情報と配線とを同じ材料で同時に形成することができる構成であるので、工程数を増やさずに製造できるものとすることができる。
本発明の配線付き表示装置用前面保護板の製造方法によれば、可視情報と配線とを同じ材料で同時に形成するので、工程数を増やさずに製造できる。
本発明の表示装置によれば、それが備える配線付き表示装置用前面保護板が、前記効果を有する。
本発明による配線付き表示装置用前面保護板の一実施形態を説明する平面図(a)と、平面図中C−C線での部分拡大断面図(b)。 本発明による配線付き表示装置用前面保護板の別の実施形態(非形成部よりも大きめの可視情報形成層)を説明する部分拡大断面図。 図2の実施形態における平面図であり、表側から見た正面図(a)と、裏側から見た背面図(b)。 本発明による配線付き表示装置用前面保護板の別の実施形態(多層の遮光層)を説明する部分拡大断面図。 可視情報形成層と配線とが、同一材料で同時形成可能な構成と、そうでない構成との相違を説明する断面図。 本発明による配線付き表示装置用前面保護板の別の実施形態(オーバーコート層付き)を説明する部分拡大断面図。 本発明による配線付き表示装置用前面保護板の別の実施形態(タッチパネル用の透明電極付き)を説明する部分拡大断面図。 本発明による配線付き表示装置用前面保護板を製造する方法の工程例を示す断面図。 配線付き表示装置用前面保護板を製造する従来の方法の工程例を示す断面図。 本発明による表示装置の一実施形態を模式的に説明する断面図。 本発明による表示装置の別の実施形態を模式的に説明する断面図。 従来の表示装置用前面保護板と表示装置の一例を示す分解平面図(a)と、分解平面図中C−C線での表示装置用前面保護板の断面図(b)。
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。なお、図面は概念図であり、説明上の都合に応じて適宜、構成要素の縮尺関係、縦横比等は誇張されていることがある。
〔A〕用語の定義:
以下に、本発明において用いる主要な用語について、その定義をここで説明しておく。
「表側」とは、配線付き表示装置用前面保護板10或いはその他の構成要素において、配線付き表示装置用前面保護板10を表示パネル30と組み合わせて使用したときに、表示パネル30から表示光が出光する側であり、表示パネル30の表示を観察する側を意味する。
「裏側」とは、前記「表側」とは反対側を意味し、配線付き表示装置用前面保護板10或いはその他の構成要素において、表示パネル30の表示光が入光する側を意味する。
「一方の面」と、その反対側の面である「他方の面」とは、何れかが前記「表側」となり、何れの面が前記「表側」となるかは本来は任意である。ただし、本明細書においては、遮光層2を必ず有する側の面を「一方の面」と呼ぶことにしており、この一方の面が裏側として使用される面となる。そこで、表側として使用される他方の面に符号S1を付けて「他方の面S1」と呼び、裏側となる一方の面に符号S2を付けて「一方の面S2」とも呼ぶ。
〔B〕配線付き表示装置用前面保護板:
本発明による配線付き表示装置用前面保護板を、図1に示す一実施形態例を参照して説明する。図1(a)は平面図、図1(b)は部分拡大断面図である。
図1に示す実施形態の配線付き表示装置用前面保護板10は、図1(a)の平面図で示すように、中央の表示用領域A1と、この表示用領域A1の外周部に設けられ可視光を遮蔽する不透明領域A2とを有する。図1(b)の断面図は、図1(a)の平面図にて、C−C線で切断したときの断面図である。図1(b)の断面図で示すように、本実施形態における配線付き表示装置用前面保護板10は、透光性基板1と、この透光性基板1の他方の面S1とこの他方の面S1とは反対側の一方の面S2との2面のうちの、一方の面S2において、前記不透明領域A2に設けられた遮光層2とを有する。この遮光層2は、着色顔料を感光性樹脂の硬化物からなる樹脂バインダ中に含む層となっている。
本実施形態においては、遮光層2は透光性基板1の一方の面S2上に設けられ、この一方の面S2を裏側にして、言い換えると、一方の面S2はタッチパネル20や表示パネル30側に向けて、他方の面S1は表示パネル30の表示の観察者V側に向けて、用いられることを想定した形態である。
前記遮光層2は、着色顔料と感光性樹脂の未硬化物とを含む着色感光性樹脂組成物を透光性基板1上に塗布し、フォトリソグラフィ法によってパターン形成することで、膜厚6μm以下で形成されている。
可視情報形成層3Lは、不透明領域A2内であって、可視情報3の平面視形状のパターンとして形成された遮光層2の非形成部の全域において、透光性基板1の面に接して形成されている。この結果、可視情報形成層3Lは透光性基板1側から所定パターンの可視情報3として認識される。
可視情報形成層3Lは、銀、パラジウム及び銅からなる銀合金(APCとも言う)によって、金属薄膜として形成されている。配線4も、同一材料の銀合金で形成されている。つまり、可視情報形成層3Lと配線4とは、金属組成が全く同一の銀合金で形成されている。
しかも、可視情報形成層3Lと配線4とは、同一材料で且つ同時に形成されている。言い換えると、可視情報形成層3Lと配線4とは、同一材料で、両層が同時形成可能な面に接して形成されている。両層が同時形成可能な面とは、本実施形態においては、遮光層2の面であり、可視情報形成層3Lと配線4とは、遮光層2に接して形成されている。図1の実施形態では、図1(b)の断面図に示すように、可視情報形成層3Lはそれが有する面のうち側面S3が遮光層2の側面に接し、配線4は、それが有する面のうち、透光性基板1側の面S4が、遮光層2の面に接している。
以上のような構成とすることで、本実施形態における配線付き表示装置用前面保護板10では、可視情報3を追加しても、工程数を増やさずに製造できるものとすることができる。或いは、可視情報3も配線4も有するものを、製造工程数を減らして製造できるものとすることができる。
また、製品ロゴマークなどは、現在、銀色の金属色が圧倒的に多く、こうした可視情報3を、配線4と同一材料で形成した可視情報形成層3Lによって表現しても、何ら意匠性を損なうこともない。
以下、構成要素毎にさらに詳述する。
〔表示用領域A1と不透明領域A2〕
配線付き表示装置用前面保護板10は、図1(a)の平面図で例示したように、中央に表示用領域A1を有し、表示用領域A1の外周部に、可視光を遮蔽する不透明領域A2を有する。表示用領域A1は、図1(b)の断面図において、二点鎖線の想像線で示す表示パネル30に適用したときに、配線付き表示装置用前面保護板10を透して、表示パネル30が表示する内容を表示できる領域である。不透明領域A2は、表示パネル30が外周部に有する配線、コネクタなどを隠したり、或いは、図1(b)の断面図において、二点鎖線の想像線で示すタッチパネル20に適用したときに、タッチパネル20がその外周部に有する不透明な配線、コネクタなどを隠したりする為の領域である。また、不透明領域A2は、遮光層2及びそれが表現する色、並びに、ロゴやマークなどの可視情報3によって加飾部にもなる領域である。
〔透光性基板1〕
透光性基板1は、少なくとも可視光線に対して透明で、配線付き表示装置用前面保護板10を適用するタッチパネル20や表示パネル30に対して、これらの表面を保護し得る機械強度を有するものであれば、特に制限はなく、代表的にはガラス板を用いることができる。とくに、前記ガラス板として、化学強化ガラスはフロートガラスに比べて機械的強度に優れ、その分薄くできる点で好ましい。化学強化ガラスは、典型的には、ガラスの表面近傍について、ナトリウムをカリウムに代えるなどイオン種を一部交換することで、化学的な方法によって機械的物性を強化したガラスである。
透光性基板1には、樹脂を用いることも可能である。例えば、前記樹脂としては、アクリル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、シクロオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂などを用いることができる。透光性基板1に樹脂を用いることで、軽量にできる上、可撓性を持たせることも可能となる。
〔遮光層2〕
図1に例示する実施形態における遮光層2は、透光性基板1のタッチパネル20及び表示パネル30側となる裏側の一方の面S2の不透明領域A2の部分に形成されている。遮光層2は、不透明領域A2中の全領域に設けられている。逆に言えば、この遮光層2によって、不透明領域A2が不透明な領域として形成される。
本実施形態においては、遮光層2は、透光性基板1の他方の面S1と一方の面S2のうちの一方の面S2の、不透明領域A2に形成される。
遮光層2は、タッチパネル20がその中央の位置検知領域に対して、その外周部に有する配線や制御回路、或いは表示パネル30がその中央の表示領域に対して、その外周部に有する配線や制御回路などを隠し、目視不能にして、タッチパネル20や表示パネル30を用いた表示装置において、外観を損なわないようにする機能を有する。
遮光層2の遮光性は、要求仕様、表現色にもよるが、透過率で言えば大きくても3%以下(光学濃度ODにて1.5以上)、より好ましくは透過率で1%以下(光学濃度OD2.0以上)、さらに好ましくは透過率で0.01%以下(光学濃度OD4.0以上)が望ましい。
遮光層2は、不要な部品を隠すための遮光性と共に、外観意匠を向上させる機能も有する。つまり、遮光層2は、任意の意匠を表現する加飾層としての機能も有する。
遮光層2は、着色顔料を硬化性樹脂の硬化物からなる樹脂バインダ中に含む層から形成されている。本実施形態においては、硬化性樹脂として感光性樹脂を用いてある。このため、遮光層2は、着色顔料を感光性樹脂の硬化物からなる樹脂バインダ中に含む層からなる。
遮光層2の形成法は基本的には特に限定されないが、例えば、着色顔料と感光性樹脂の未硬化物とを含む着色感光性樹脂組成物を、透光性基板1の面上に塗布した後、所定のパターンで露光し、現像するという、いわゆるフォトリソグラフィ法により形成することができる。本実施形態においては、前記遮光層2はフォトリソグラフィ法によって形成したものである。
このように感光性樹脂組成物を用いてフォトリソグラフィ法で形成した遮光層2は、スクリーン印刷法に比べて、膜厚を薄く、例えば6μm以下に容易にでき、遮光層2の形成部と非形成部との境界に生じる遮光層2の段差を小さくできる点で好ましい。
段差に関する説明においては、「非形成部」とは、不透明領域A2内での部分以外に、
不透明領域A2と表示用領域A1との境界部分での段差の元になる表示用領域A1での非形成部も含む意味である。
感光性樹脂組成物を用いてフォトリソグラフィ法で形成した遮光層2の膜厚は、具体的には、0.5〜6μmとすることができる。
本発明においては、遮光層2は、不透明領域A2にパターン状に形成されるが、パターン形成する方法は、フォトリソグラフィ法に限定されものではなく、例えば、スクリーン印刷法、インクジェット印刷法などの印刷法であっても良い。但し、前記した様に、スクリーン印刷法に比べて、段差の問題を効果的に改善できる程度に薄くでき、且つ高精度で容易に形成できる等の点で、フォトリソグラフィ法は好ましい形成法の一種である。
(着色顔料)
遮光層2に用いる着色顔料としては、遮光層2で表現する色に応じたものを用いれば良く、特に制限はない。例えば、着色顔料としては、黒色顔料、白色顔料、赤色顔料、黄色顔料、青色顔料、緑色顔料、紫色顔料などを用いることができる。着色顔料は、1種単独で用いても良いし、同種類の色、或いは異なる色の着色顔料を複数種類用いても良い。
前記黒色顔料には、例えば、チタンブラック(低次酸化チタン、酸窒化チタンなど)、カーボンブラックなどを用いることができる。
前記白色顔料には、酸化チタン、シリカ、タルク、カオリン、クレイ、硫酸バリウム、水酸化カルシウム、などを用いることができる。
前記赤色顔料には、例えば、ジケトピロロピロール系、アントラキノン系、ペリレン系などの赤色顔料を用いることができ、前記黄色顔料には、例えば、イソインドリン系、アントラキノン系などの黄色顔料を用いることができ、前記青色顔料には、例えば、銅フタロシアニン系、アントラキノン系などの青色顔料を用いることができ、前記緑色顔料には、例えば、フタロシアニン系、イソインドリン系などの緑色顔料を用いることができ、前記紫色顔料には、キナクリドン系の紫色顔料を用いることができる。
着色顔料の粒子の大きさは、通常、平均粒径で1μm以下であり、好ましくは大よそ0.03〜0.3μmである。
着色顔料の含有量は、遮光層2で表現する色にもよるが、着色顔料及び樹脂バインダを含む遮光層2の全固形分量に対する着色顔料の量の百分率で表した、顔料濃度で、例えば、通常10〜60%程度である。言い換えると、遮光層2の全固形分100質量部に対して、着色顔料は、通常、10〜60質量部の範囲である。
(硬化性樹脂)
着色顔料を分散保持する樹脂バインダの樹脂成分となる前記硬化性樹脂としては、感光性樹脂、及び、熱硬化性樹脂から選ばれる樹脂を1種以上用いることができる。
前記感光性樹脂としては、例えば、アクリル系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリ桂皮酸ビニル系樹脂、環化ゴム、等の反応性ビニル基などの光反応性基を有する感光性樹脂を1種以上を用いることができる。前記アクリル系樹脂では、例えば、アルカリ可溶性樹脂、多官能アクリレート系モノマー、光重合開始剤、その他添加剤などからなる感光性樹脂を樹脂バインダの樹脂成分として用いることができる。
前記アルカリ可溶性樹脂には、ベンジルメタクリレート−メタクリル酸共重合体などのメタクリル酸エステル共重合体、ビスフェノールフルオレン構造を有するエポキシアクリレートなどのカルド樹脂、などを1種以上用いることができる。
前記多官能アクリレート系モノマーには、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、などを1種以上用いることができる。
なお、本発明において、(メタ)アクリレートとは、メタクリレート、又は、アクリレートのいずれかであることを意味する。
前記光重合開始剤には、アルキルフェノン系、オキシムエステル系、トリアジン系、チタネート系などを1種以上用いることができる。例えば、アルキルフェノン系では、(2−メチル−1[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モリフォリノプロパン−1−オン(イルガキュア(登録商標)907、BASFジャパン株式会社製))、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モノフォリオフェニル)ブタノン−1(イルガキュア(登録商標)369、BASFジャパン株式会社製))、オキシムエステル系では、1,2−オクタンジオン,1−[4−(フェニルチオ)フェニル]−,2−(O−ベンゾイルオキシム)(イルガキュア(登録商標)OXE01、BASFジャパン株式会社製))などを用いることができる。
前記熱硬化性樹脂としては、例えば、アクリル系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリイミド系樹脂等を、1種以上用いることができる。
遮光層2の樹脂バインダとしては、この他、光増感剤、分散剤、界面活性剤、安定剤、レベリング剤などの、公知の各種添加剤を含むことができる。
(遮光層2の形成)
遮光層2の形成法は、本発明においては、特に限定されないことは既に述べたが、遮光層2は、前記硬化性樹脂の未硬化物を含む樹脂バインダ中に着色顔料を含有する、着色硬化性樹脂組成物によって、形成することができる。
前記着色硬化性樹脂組成物には、さらに、この樹脂組成物を透光性基板1の面上に塗布する際の塗布適性、或いは印刷する際の印刷適性の調整などの為に、溶剤を含むことができる。
前記溶剤としては、例えば、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチルセロソルブ、3−メトキシブチルアセテート、等を1種以上用いることができる。
硬化性樹脂として感光性樹脂を用いる場合、以上の様な、着色顔料と硬化性樹脂の未硬化物を含む着色硬化性樹脂組成物、或いは、前記着色顔料、前記感光性樹脂の未硬化物としては、従来、カラーフィルタ用途として調整された着色レジスト用の材料を用いても良い。
硬化性樹脂として感光性樹脂を用いる場合、着色硬化性樹脂組成物を、透光性基板1の面上に塗布する方法は、例えば、スピンコート法、ロールコート法、ダイコート法、スプレーコート法、ビードコート法などの公知の塗工法によることができる。
着色硬化性樹脂組成物を塗布した後は、フォトリソグラフィー技術を用いて露光、現像、ベークなどの所定の工程を経て、パターニングすることにより、透光性基板1の面上の一部に、所定パターンの遮光層2を形成することができる。
硬化性樹脂として熱硬化性樹脂を用いる場合は、着色硬化性樹脂組成物からなるインクを用いて、印刷法によってパターン状に形成する。印刷法としては、段差の点では、膜厚を6μm以下で形成できる方法が好ましく、例えば、オフセット印刷法、フレキソ印刷法、インクジェット印刷法等を適宜採用する。
(多層の遮光層2)
遮光層2は、単層であってもよいが、本発明においては、遮光層2は、2層以上の多層構成としても良い。例えば、互いに異なる色の層を3層重ねて、都合3色でフルカラー意匠を表現しても良い。1層の遮光層2を1.5μmで形成すれば、3層でも4.5μmと、遮光層2全体でも6μm以下で充分に形成することもできる。
〔可視情報3〕
図1に例示する本実施形態における配線付き表示装置用前面保護板10では、遮光層2が形成される不透明領域A2には可視情報3として製品のロゴマークが形成されている。
本発明においては、可視情報3としては、不透明領域A2の領域内において、製品ロゴマーク以外に、操作説明用の文字や記号、模様などの任意の目視可能な情報を設けることができる。
可視情報3は、表側から見える様に、不透明領域A2内において遮光層2の非形成部に設けられる。可視情報3は、遮光層2の前記非形成部の部分に設けられた可視情報形成層3Lを、表側から見たときの色及び形状によって表現される目視可能な情報である。
[可視情報形成層3L]
可視情報形成層3Lは、配線4と同一材料で形成されている。このため、可視情報形成層3Lは導電体層として形成されている。この可視情報形成層3Lは、配線4と、同一材料で、同時形成可能な面に接して形成されている。
可視情報形成層3Lを、透光性基板1の側の表側から見たときの可視情報3は、この可視情報形成層3Lと遮光層2との関係によって、その色及びパターンが決まる。このため、可視情報3には遮光層2が関係する要素もあることから、本明細書においては、可視情報3と可視情報形成層3Lとを区別して呼ぶことにする。
可視情報形成層3Lの形成には、例えば、銀、金、銅、クロム、プラチナ、アルミニウム、パラジウム、モリブデンなどの金属(含むその合金)などを用いることができる。例えば、銀、パラジウム及び銅からなる合金(APCとも言う)の金属層としてスパッタ法により製膜後、フォトリソグラフィ法によりパターン形成したものを用いることができる。
前記金属層は、公知の薄膜形成法によって金属薄膜層として形成することができる。例えば、スパッタ法、蒸着法、イオンプレーティング法等の物理的気相成長法、CVD(Chemical Vapor Deposition)法などの化学的気相成長法、等の気相成長法、或いは塗工法などである。
可視情報形成層3Lの膜厚は、金属薄膜層の場合、例えば0.3〜2μm程度とすることができる。
可視情報形成層3Lの形成法としては、特に制限はなく、フォトリソグラフィ法以外に、スクリーン印刷法、インクジェット印刷法などの印刷法によって形成しても良い。
ただ、フォトリソグラフィ法で金属薄膜層として形成することは、例えば1μm以下と薄くできる点、及び同時形成する配線4を高精細に形成できる点で、好ましい。
可視情報形成層3Lは、導電体層として形成されるが、可視情報形成層3L自体は、導電性を有していても、有していなくても、いずれでも良い。可視情報形成層3Lは、本来は導電性である必要はないが、配線4と同一材料で形成される結果として、導電性を有する導電体層として形成される。ただし、本実施形態においては、この導電性を可視情報形成層3Lは利用することはない。しかし、本発明においては、この導電性を利用する形態を排除しない。
可視情報形成層3Lは、本実施形態においては、配線4と絶縁されて形成されている。具体的には、可視情報3と配線4とは、互いに物理的に接続した連続層としてではなく、互いに分離独立した独立層として形成されている。ただ、本発明においては、可視情報形成層3Lと配線4とが、物理的に接続された連続層として形成されている形態を、排除しない。
可視情報形成層3Lは、配線4と同一材料で形成されることから、導電体層でもあり、また、導電体層でもあることから、通常は金属色を呈する。すなわち、可視情報形成層3Lは、銀色、金色、銅色などと用いる材料特有の金属色を呈することができる。このため、可視情報形成層3Lは、光反射性の層とすることができる。例えば、可視情報形成層3Lは、反射率70%以上の層とすることができる。
光反射は、可視情報形成層3Lの透光性基板1側の界面の状態によって、鏡面反射、拡散反射などとなる。
可視情報形成層3Lを形成する部分は、模式図でもある図1(b)の断面図のように、本実施形態においては、平面視形状において、遮光層2の非形成部の全域であった。しかし、遮光層2が遮光性であることから、図2及び図3などの様に、遮光層2の非形成部の全域を含む部分に、この非形成部よりも大きめに可視情報形成層3Lを形成しても良い。図3は、図2の断面図の様に、遮光層2の非形成部の全域とその周囲を被覆するように可視情報形成層3Lを形成した構成において、図3(a)が表示装置用前面保護板10を表側から見た正面図であり、図3(b)が表示装置用前面保護板10を裏側から見た背面図である。
むしろ、可視情報形成層3Lを、遮光層2の非形成部に正確に位置決めして形成するよりは、前記非形成部よりも大きめに形成する方が容易である。
(多層の遮光層2の一部層での非形成部への適用)
可視情報形成層3Lは、図4の断面図で例示する様に、遮光層2が多層である場合は、多層の遮光層2のうちの少なくも1層の非形成部の平面視位置に重なる部分に設けることもできる。つまり、本発明において、可視情報形成層3Lが、遮光層2の非形成部に設けられるという表現において、前記「非形成部」とは、遮光層2が多層の場合に、その一部の層の非形成部も意味する。もちろん、これらの「非形成部」とは、表示用領域A1において遮光層2が形成されない部分のことではなく、あくまでも不透明領域A2の領域内でのことである。
図4では、遮光層2が、透光性基板1側から順に遮光層2aと遮光層2bとから構成される例である。透光性基板1側の遮光層2aは、不透明領域A2内において非形成部を持たない。一方、遮光層2bは、不透明領域A2内において非形成部を有する。可視情報3は、この遮光層2bの非形成部の部分に設けられる。この場合、可視情報形成層3Lは、透光性基板1側から遮光層2aを透して見える必要があり、このため、遮光層2aについては積極的な遮光性は持たせずに、透明である。ただ、透明とは言っても白色も含めて無着色透明では遮光層2としての意味がないので、白色も含めて着色透明な層となっている。例えば、遮光層2aが青色であれば、これを透して可視情報形成層3Lを見ると、可視情報3としては、青みが加わった色とすることができる。ここでの透明とは、可視情報形成層3Lが見える程度以上の透明性を意味する。
つまり、可視情報形成層3Lは、遮光層2が多層構成である場合は、この多層の遮光層2を構成する全層のうち、少なくとも1層を除く、残りの1層以上の非形成部に設けることもできる。可視情報形成層3Lが設けられる非形成部を持たない前記少なくも1層(図4では遮光層2a)は、可視情報形成層3Lが見える程度以上の透明性を有する着色透明層である。この着色透明層を透して、可視情報形成層3Lが視認できることになる。
(同時形成可能な面とは)
本実施形態においては、可視情報形成層3Lと配線4とは、同一材料で形成されている以外に、さらに、これらの両層が同時形成可能な面に接して形成されている。ここで、「同時形成可能な面」について、この条件に該当しない「同時形成不可能な面」と対比させつつ、更に説明する。
ただ、同時形成可能な面に接して、可視情報形成層3Lと配線4とが形成されていたからと言って、これらは別々に形成された物とすることもできる。しかし、同時形成可能な面に接して形成された構成においては、わざわざ、工程数を増やしてコスト高となるのを容認してまで、両層を同時に形成せずに、分けて形成する必要もないし、その必然性もない。両層を同時に形成することで、工程数を増やさずに形成できる物とすることができ、その分、低コストな物にできるからである。
「同時形成可能な面」の説明において、「面」とは、可視情報形成層3L或いは配線4が接する相手側の層において、「表面」と「界面」とを含み、また「側面」も含む。ただし、可視情報形成層3L或いは配線4を形成する面は、可視情報形成層3L或いは配線4に対して透光性基板1側となる層の面であるので、可視情報形成層3L或いは配線4に対して透光性基板1側とは反対側の層の面は除く。前記透光性基板1側とは反対側の面とは、例えば、以下の説明で参照する図5(d)のオーバーコート層5の透光性基板1側の面である。
側面は形成面乃至は透光性基板1の一方の面S2に、垂直であると見做す。これは、後述する「折り返すことなく」の定義において、斜めの側面に沿って「折り返し」が生じたとしても、これは無視してよいからである。
先ず、図5(a)は、同時形成可能な面の例であり、可視情報形成層3Lは透光性基板1及び遮光層2の面に接して形成され、配線4は遮光層2の面に接して形成されている。このため、可視情報形成層3L及び配線4は共に、遮光層2の面に接した部分を有する。つまり、同時形成可能な面に接して形成されている。
同図に描かれた太い矢印の意味は、これらか詳述するので、ここでは簡単に説明しておく。同図で配線4が遮光層2に接する面の部分から、可視情報形成層3Lが遮光層2の面に接する部分まで、左向きの矢印は、逆向きになることなく一直線に延びており、両層がそれぞれ接して形成された面は、折り返すことなく接続されていることを示す。
図5(b)は、同時形成不可能な面の例である。このため、可視情報形成層の添え字は、「3L」ではなく「3N」として、同図では可視情報形成層3Nが形成されている。
この可視情報形成層3Nは透光性基板1の面に接して形成され、可視情報形成層3Nは遮光層2で覆われ、配線4は可視情報形成層3Nを覆っている遮光層2の面に、接して形成されている。したがって、明らかに、可視情報形成層3Nおよび配線4について、両層は互いに同時形成不可能な面に接して形成されている。
同図で配線4が遮光層2に接する面の部分から、可視情報形成層3Nが透光性基板1の面に接する部分まで、左向きでスタートした矢印は、左端の側面に沿って折り返すことで、可視情報形成層3Nが透光性基板1の面に接する部分まで延びており、両層がそれぞれ接して形成された面は、折り返すことなく接続されているとは、いえない。
図5(c)は、同時形成可能な面の例である。可視情報形成層3Lは透光性基板1及び遮光層2の面に接して形成され、配線4は透明電極8の面に接して形成されており、両層は互いに異なる層の面に接して形成されている。両層は共通する層の面に接して形成されている部分を持たない。しかし、透明電極8の面と、遮光層2の面とは、接続した面となっている。
接続した面とは、同図で折れ線の矢印で示すとおり、配線4が接して形成されている透明電極8の面から、可視情報形成層3Lが接して形成されている遮光層2の面にまで、層の側面を通じて、(折り返すことなく)たどることができることを意味する。このように、両層の形成されている面が、互いに折り返すことなく接続した面であるときは、同時形成可能な面となる。
図5(d)は、同時形成不可能な面の例である。可視情報形成層3Nは透光性基板1及び遮光層2の面に接して形成され、配線4はオーバーコート層5の面に接して形成されている。このオーバーコート層5は、遮光層2及び可視情報形成層3Nの面、ならびに表示用領域A1において透光性基板1の面、に接して形成されている。可視情報形成層3Nが接して形成されている面と、配線4が接して形成されている面とは、互いに接続した面ではない。これをより厳密に表現すると、両層がそれぞれ接して形成されている面同士は、互いに折り返すことなく接続した面ではない。言い換えると、折り返して接続した面に接して形成されている。
「折り返す」とは、同図で折れ線の矢印で示す様に、矢印の折れ線が延びる方向が、断面図において、元の方向に戻ることを意味する。
前記矢印が、折り返すか否かを判断する断面図は、平面視において、可視情報形成層3Nと配線4とを最短距離で結ぶことができる直線を含む断面における断面図とすることができる。つまり、「折り返す」を判断するための矢印としては、可視情報形成層3Nと配線4とを最短距離で結ぶことができる直線を含む断面に於ける矢印を採用できる。
以上説明したように、同時形成可能な面とは、図5(c)で例示した場合のように、可視情報形成層3Lが接して形成される面と、配線4が接して形成される面が、異なる層の面であっても良い。ただ、両層がそれぞれ形成される面が異なる層の面であっても、図5(d)のように、同時形成不可能な面のこともある。この違いは、両層の形成される面が異なる層の面であっても、折り返すことなく接続した面であるか否かによって、同時形成可能な面であるか否かを判別できる。
以上のように、「同時形成可能な面」とは、可視情報形成層3Lが接して形成される面と、配線4が接して形成される面とが、「互いに折り返すことなく接続された面」である、と言うこともできる。
〔配線4〕
配線4は、可視情報3と同一材料で同時形成されている。
配線4は、不透明な導電体層として形成される。配線4は、例えば、タッチパネル用途では、表示用領域A1から不透明領域A2にわたって形成される透明電極を、制御回路に接続するものとすることができる。配線4は、同じタッチパネル用途であっても、透明電極を用いない検知方式、例えば光学方式において、光学センサを制御回路に接続する配線であっても良い。
このように、配線4の用途は、特に限定されるものではない。配線4は、例えば、赤外線センサ、明るさセンサなどのセンサへの配線、グランドパターン、電磁波シールドパターン、静電防止パターン、アンテナ、非接触式充電コイル、などの導電体パターンであっても良い。
配線4には、例えば、銀、金、銅、クロム、プラチナ、アルミニウム、パラジウム、モリブデンなどの金属(含むその合金)などを用いることができる。例えば、銀、パラジウム及び銅からなる合金(APCとも言う)の金属層としてスパッタ法により製膜後、フォトリソグラフィ法によりパターン形成したものを用いることができる。
前記金属層を形成するには、公知の薄膜形成法によることができる。例えば、スパッタ法、蒸着法、イオンプレーティング法等の物理的気相成長法、CVD(Chemical Vapor Deposition)法などの化学的気相成長法、等の気相成長法、或いは塗工法などである。
配線4の膜厚は、金属薄膜層の場合、例えば0.3〜2μm程度とすることができる。
配線4の形成法としては、特に制限はなく、フォトリソグラフィ法以外に、スクリーン印刷法、インクジェット印刷法などの印刷法によって形成しても良い。
ただ、フォトリソグラフィ法で金属薄膜層として形成することは、例えば1μm以下と薄くできる点、高精細に形成できる点で、好ましい。
〔変形形態〕
本発明の配線付き表示装置用前面保護板10は、上記した形態以外のその他の形態をとり得る。以下、その一部を説明する。
図1で示した実施形態では、配線付き表示装置用前面保護板10は、透光性基板1と、遮光層2と、可視情報形成層3Lと、配線4とを有し、可視情報形成層3Lによって、可視情報3を表現した形態例であった。
しかし、本発明においては、更にその他の構成要素を設けても良い。
[可視情報形成層3Lに該当しない可視情報形成層3N]
本発明においては、可視情報3を表示する為の必須の層として、配線4と同一材料且つ同時形成可能な面に接して形成された可視情報形成層3Lを、有する。しかし、可視情報3を表示するために、配線4に対して、(a)同一材料、(b)同時形成可能な面に接して形成されている、という、(a)及び(b)の両条件を満足することがない、他の可視情報形成層3Nを、前記可視情報形成層3Lと共に有していても良い。こうした可視情報形成層3Nは、前記(a)または(b)のいずれかを満足しない層であるか、前記(a)及び(b)を共に満足しない層、である。
可視情報形成層3Nは、不透明領域A2の領域内であるからといって、必ずしも遮光層2と同程度に不透明である必要はない。例えば、暗所でも判るように裏側から照明される操作説明用の文字や記号などの可視情報形成層3Nである。
また、本発明においては、不透明領域A2中に、タッチパネル20や表示パネル30の外周部の配線などの隠蔽に支障を来たさなければ、例えば、遮光層2の非形成部に形成した着色樹脂層からなる可視情報形成層3Nのように、透明であるなど、遮光性が遮光層2よりも小さい領域が一部に存在しても良い。
ここで、可視情報形成層3Nを例示すれば、製品ロゴマークは銀色の必須の可視情報形成層3Lとして形成し、これに加えて、操作説明用の記号や文字などで裏側から照明可能に、着色樹脂層として形成した層である。
可視情報形成層3Nは、図5(b)のように、透光性基板1と遮光層2との間に形成することもできる。
[オーバーコート層5]
図6で示す配線付き表示装置用前面保護板10のように、可視情報形成層3L及び配線4が、それぞれ接して形成される面がオーバーコート層5の面であっても良い。同図の実施形態でのオーバーコート層5は、透光性基板1の遮光層2が形成された側の一方の面上に、遮光層2の全部を被覆するように、かつ表示用領域A1も含めて、形成された例である。このため、オーバーコート層5は、表示に支障を来たさないように、透明な層として形成される。
オーバーコート層5は、特に透光性基板1がガラス製である場合に、配線4同士間の絶縁性が経時的に低下するのを抑える等の為に設ける層である。
前記オーバーコート層5には、透明な樹脂、それも耐熱性の点で硬化性樹脂が好ましく、例えば、エポキシ系樹脂、アクリル系樹脂、ポリイミド系樹脂などを用いることができ、具体例を挙げれば、熱硬化性のエポキシ樹脂などを用いることができる。オーバーコート層5は、前記遮光層2と同様の塗工法で形成することができる。
また、前記硬化性樹脂としては、前記遮光層2で述べた感光性樹脂などを用いることもできる。感光性樹脂の場合は、部分形成するときにフォトリソグラフィ法を利用することができる。
[タッチパネル機能との一体化]
タッチパネル用の透明電極を設けて、透光性基板1をタッチパネル用基板と兼用しても良い。タッチパネル機能との一体化は、タッチパネルとして必要な機能の一部を一体化する形態でも、その分に応じた部品点数の低減、薄型化の効果は得られるが、タッチパネルとしての必要な機能の全部を一体化するのが、より好ましい。
タッチパネルとして必要な機能の全部を一体化した配線付き表示装置用前面保護板10は、タッチパネルと言うこともできる。タッチパネルとして必要な機能の一部を一体化した配線付き表示装置用前面保護板10は、タッチパネル用部材と言うこともできる。この点において、前記配線4がタッチパネル用のものである場合は、これだけでも、配線付き表示装置用前面保護板10は、タッチパネル用部材と言うこともできる。
タッチパネル機能の一部を一体化する場合、例えば、そのタッチパネル機能として位置検知用の透明電極が必要な方式では、この透明電極を一体化することができる。タッチパネルの位置検知方式は従来から各種知られており、透明電極が2層になる位置検知方式では、このうちの少なくとも1層を、より好ましくは2層を一体化するのが望ましい。
以下、図7の実施形態を参照して、タッチパネル機能の一体化の一例を説明する。
図7の断面図で示す配線付き表示装置用前面保護板10の実施形態では、遮光層2、可視情報形成層3L及び配線4を形成した側の一方の面S2の面上に、さらに、タッチパネル用の透明電極8を形成した構成例である。ここでのタッチパネル用の透明電極8は、投影型静電容量方式の電極である。
より具体的には、本実施形態は、透光性基板1の遮光層2が形成された後の一方の面である一方の面S2上に、さらに、オーバーコート層5を介して、可視情報形成層3Lと、配線4と、タッチパネルの位置検知用の透明電極8のうちの第1の透明電極8aと、が形成されている。配線4は、表示用領域A1から遮光層2がある不透明領域A2の部分に延びた前記透明電極8aに対して前記遮光層2の部分で電気的に接続されるように、前記遮光層2の部分に形成されている。
位置検知用の透明電極8として、第1の透明電極8aと、第2の透明電極8bとは、本実施形態では、透光性基板1の同一の面である一方の面S2の面上に形成されるために、絶縁層6を介して互いに絶縁されて形成されている。第1の透明電極8a、及び第2の透明電極8bのパターンは、投影型静電容量方式では各種パターンが知られており、特に限定はない。典型的には、複数の第1の透明電極8aが、第1の方向に延びて、この第1の方向に交差する方向、通常は直交する方向を第2の方向として、第2の透明電極8bが第2の方向に延びたパターンとなっている。
第1の透明電極8aと第2の透明電極8bとの交差部分は、絶縁層6によって絶縁されている。絶縁層6は、少なくとも前記第1の透明電極8aと第2の透明電極8bとの交差部分に必要となる。前記第1の透明電極8aと第2の透明電極8bとのうち一方の電極のみ、他方の電極との交差部分が欠損したパターンで同一の面に同時に形成した後、交差部分のみ前記絶縁層6を形成し、この後、欠損部分を電気的に接続する接続部とする透明電極が形成されている。
図7の断面図で言えば、前記交差部分は、透光性基板1に近い側の透明電極8が、第1の透明電極8aであるので、第1の透明電極8aが形成された後の交差部分に対して絶縁層6が形成され、交差部分を跨いで接続用の透明電極が形成されて第2の透明電極8bが完成する。
前記透明電極8には、ITO(Indium Tin Oxide;インジウム錫酸化物)、IZO(Indium Zinc Oxide;インジウム亜鉛化物)、AZO(Aluminum Zinc Oxide;アルミニウム亜鉛酸化物)等の透明導電体薄膜をパターン形成したものを用いることができる。
前記絶縁層6は、前述したオーバーコート層5と同様の材料、方法で形成することができる。よって、さらなる説明は省略する。
そして、第1の透明電極8a及び第2の透明電極8bが、中央の表示用領域A1内の位置検知領域から前記遮光層2に重なる部分まで延びた部分の下の透光性基板1側に、それ自体が不透明で目視できる、配線4が形成されている。配線4は、図面では、第1の透明電極8aに対してのみ模式的に描いてある。この配線4と同時に、同一材料で可視情報形成層3Lも形成されている。
さらに、透明電極8bを形成後の、透光性基板1の配線4が形成された側の一方の面S2のほぼ全面に、オーバーコート層5aが形成され、第1の透明電極8a及び第2の透明電極8bの表面を含む、配線付き表示装置用前面保護板10としての裏側の表面を、傷付きなどから保護している。ただし、図示は省略するが、このオーバーコート層5aは、配線4がフレキシブルプリント配線基板(FPC)を介して制御回路に接続する部分は形成せず、配線4を露出してある。
前記オーバーコート層5aには、前記オーバーコート層5と同様の材料、及び形成法を用いることができる。
図7の断面図で例示した実施形態の配線付き表示装置用前面保護板10を構成する各層は、例えば、次の様にして形成される。先ず、透光性基板1の一方の面S2に、所定パターンの遮光層2を形成する。
次に、遮光層2が形成された側の面全面に、オーバーコート層5を形成した後、遮光層2の部分のオーバーコート層5の面に接して可視情報形成層3Lと配線4とを同一材料で同時にパターン形成し、次に、透明電極8として、第1の透明電極8aの全部と、交差部分が分断し欠損した第2の透明電極8bとを、同じ面に同時にパターン形成する。
次に、前記交差部分に絶縁層6をパターン形成し、この絶縁層6を跨いで、前記第2の透明電極8bの残りの欠損部分をパターン形成して第2の透明電極8bの全体を完成させる。最後に、オーバーコート層5aを、配線4の一部を残して全面に形成することで、タッチパネル機能を一体化した配線付き表示装置用前面保護板10が作成される。
上記した本実施形態では、タッチパネルとしての中央の位置検知領域の周辺に設けられる、それ自体が不透明で目視され得る配線4は、遮光層2と平面視において重なる領域内に設けることで、表示装置に適用したときに外観を損なうことがない。しかも、この配線4は、可視情報形成層3Lと同一材料で同時形成可能な面に接して同時に形成されている。このため、工程数を増やさずに製造できるものとすることができ、低コスト化も可能となる。さらに、タッチパネル機能も備えており、部品点数の削減、軽量化にも効果的である。
〔C〕配線付き表示装置用前面保護板の製造方法:
本発明による、配線付き表示装置用前面保護板の製造方法は、前記した配線付き表示装置用前面保護板を製造する方法である。
すなわち、中央の表示用領域A1と、この表示用領域A1の外周部に設けられ可視光を遮蔽する不透明領域A2とを有し、この不透明領域A2に不透明な配線4を有する、配線付き表示装置用前面保護板10を製造する方法であって、
(A)透光性基板1の一方の面上の不透明領域A1とする部分に、可視情報3の部分は非形成部にして、遮光層2を形成する遮光層形成工程と、
(B)前記一方の面上に前記遮光層2の非形成部を含む部分に形成する可視情報形成層3L、及び前記遮光層2の形成部に形成する前記配線4を、同一材料で且つ同時形成する、可視情報及び配線同時形成工程と、
を少なくともこの順に有する。
図8は、本発明による配線付き表示装置用前面保護板を製造する方法の工程例を示す断面図である。同図では、簡略化のために、遮光層形成工程(A)は工程(A)で示し、可視情報及び配線同時形成工程(B)は工程(B)で示す。
また、同図に示す工程例では、工程(A)と工程(B)との間に、工程(C)で示す、オーバーコート層形成工程(C)を有する。
以下の説明において、透光性基板1、遮光層2、可視情報形成層3L、配線4、オーバーコート層5などの各層の材料及び形成方法は、既に説明したので、ここではさらなる説明は省略する。
図8(イ)の遮光層形成工程(A)は、前述した遮光層2を透光性基板1の一方の面上に形成する工程である。
図8(ロ)のオーバーコート層形成工程(C)は、オーバーコート層7を形成する工程である。
図8(ハ)の可視情報及び配線同時形成工程(B)は、前記遮光層工程(A)によって遮光層2が形成された側の透光性基板1の一方の面上に、可視情報形成層3Lと配線4とを同一材料で同時に形成する工程である。これらの両層は、同時に形成することから、当然、同時形成可能な面に接して形成される。同時形成可能な面は、本実施形態例に於いては、具体的には、オーバーコート層形成工程(C)が介在するので、オーバーコート層5の面である。
一方、図9は、配線付き表示装置用前面保護板の従来の製造方法の工程例を示す断面図である。同図でも、簡略化のために、遮光層形成工程(A)は工程(A)で示し、可視情報形成工程(D)は工程(D)で示し、配線形成工程(E)は工程(E)で示す。
また、同図に示す工程例でも、工程(A)と工程(B)との間に、工程(C)で示す、オーバーコート層形成工程(C)を有する。
先ず、図9(イ)の遮光層形成工程(A)、及び、図9(ロ)のオーバーコート層形成工程(C)は、図8を参照して上述した本発明による実施形態例の場合と同じである。
そして、オーバーコート層形成工程(C)の後に、図9(ハ)の可視情報形成層形成工程(D)を行う。可視情報形成層形成工程(D)では、可視情報形成層3Nが形成される。この例では、可視情報形成層3Nは、次に形成する配線4とは同一材料では形成されていない。
次に、図9(ニ)の配線形成工程(D)を行う。配線形成工程(D)では、配線4を形成する。
以上、従来の製造方法では、可視情報形成層3Nと配線4とは、同時に形成されることはない。また、上記した例では、また同一材料で形成されることもない。
従来の製造方法では、仮に、可視情報形成層3Nと配線4とが、同一材料で形成されるとしても、同時に形成されることはない。
このように、従来の製造方法では、可視情報3と配線4とを設けるために、それぞれ別々の工程を実施しており、工程数が増えることによって、コスト高となっていた。
しかし、本発明による製造方法では、可視情報形成層3Lと配線4とは、同一材料で、同一の工程で同時形成するため、配線4に加えて可視情報形成層3Lを設けたからと言って、或いは、可視情報形成層3Lに加えて配線4を設けたからと言って、工程数が増えることがなく、コスト高にならずに、従来の製造方法に比べて低コストで製造できる。
〔D〕表示装置:
本発明による表示装置は、上記した配線付き表示装置用前面保護板10と、表示パネルとを備え、タッチパネルは備えないか備なえた、表示装置である。
すなわち、本発明による表示装置は、上記した配線付き表示装置用前面保護板10と、タッチパネルと、表示パネルとを備え、このタッチパネルは位置検知用の透明電極8の周囲に有する不透明な配線4が前記配線付き表示装置用前面保護板10の遮光層2に重なり前記配線付き表示装置用前面保護板10側から目視不能となるように配置される構成であるか、
または、タッチパネル用の透明電極8も有する配線付き表示装置用前面保護板10と、表示パネルとを備えた構成である。
図10は、本発明による表示装置の実施形態例であり、同図に示す表示装置100は、図面上方の観察者V側の表側から順に、配線付き表示装置用前面保護板10、表示パネル30を備えている。
本実施形態においては、配線付き表示装置用前面保護板10は、前述した本発明による配線付き表示装置用前面保護板10である。より具体的に、この配線付き表示装置用前面保護板10はタッチパネル機能の一部として、さらに配線4と透明電極8とを有し、この透明電極8として、図示はしないが、図7で例示した配線付き表示装置用前面保護板10のように第1の透明電極8aと第2の透明電極8bとを有する形態のものである。
前記表示パネル30は、液晶表示パネル、電界発光(EL)パネルが代表的であるが、この他、電子ペーパーパネル、ブラウン管によるディスプレイ装置でもよく、公知の各種表示パネルでよい。
以上のような構成の、表示装置100とすることで、表示パネル30の表示用領域の外周部、において存在する、表示内容それ自体には不要な、配線、コネクタ、制御回路などの各種構成要素を隠して、これらにより外観が損なわれることを防ぐことができる。
しかも、配線付き表示装置用前面保護板10は、可視情報形成層3Lと配線4とが同一材料で同時形成可能な面に同時形成されているので、製造工程数を減らして低コストにでき、さらにタッチパネル機能が一体化しているので、部品点数が減り組み立て工数が少なくなり、低コストなものとできる。
〔表示装置としての変形形態〕
本発明の表示装置100は、上記した形態以外のその他の形態をとり得る。以下、その一部を説明する。
[タッチパネル機能を一体化した配線付き表示装置用前面保護板10]
図10で例示した実施形態による表示装置100では、配線付き表示装置用前面保護板10はタッチパネル機能の一部として、配線4に加えて、透明電極8の第1の透明電極8aと第2の透明電極8bとが一体化している形態であった。
しかし、本発明においては、組み込もうとするタッチパネルが透明電極を備えた方式のものであり、しかもこの透明電極が、例えば抵抗膜方式のものであり、互いに絶縁された第1の透明電極8aと第2の透明電極8bとの2層が、互いに別々の基板上に形成される構造である場合は、図11に例示するように、このうちのいずれか一方の基板を配線付き表示装置用前面保護板10の透光性基板1と兼用する形態とすることができる。他方の透明電極が形成された基板は、配線付き表示装置用前面保護板10および表示パネル30とは別体のタッチパネル構成部材20aとして組み込んで、表示装置100を構成する。同図では、配線付き表示装置用前面保護板10が透明電極8aを備え、タッチパネル構成部材20aが透明電極8bを備える。
このように、タッチパネル用の透明電極を有する形態の配線付き表示装置用前面保護板10と、表示パネル30とを備えた構成の表示装置100は、その一形態として、タッチパネルの一部の機能を有するタッチパネル部材をタッチパネル20aとして、備える構成も含む。
また、タッチパネル用の透明電極を有する形態の配線付き表示装置用前面保護板10は、制御回路、この制御回路と配線4を電気的に接続するコネクタなどのタッチパネル機能の全部が一体化されたものとしても良い。もちろん、この場合、タッチパネルの機能の全部が一体化された配線付き表示装置用前面保護板10を用いる場合は、独立したタッチパネル20は備える必要はなく、前記配線付き表示装置用前面保護板10と、表示パネル30とを少なくとも備えた構成の表示装置となる。この形態では、表示パネル30の外周部の配線、コネクタ、制御回路などを隠せることになる。
どのような構成で配線付き表示装置用前面保護板10とタッチパネル機能とを一体化するかは、使用し得る製造設備、組立工程などの諸条件に適した、構成を選べば良い。
以上のような構成とすることによって、配線4と可視情報形成層3Lとは、同一材料で同時形成できるので、製造工程数の増加を抑えて低コストのものとできる。
[タッチパネル機能は一体化しない配線付き表示装置用前面保護板10]
配線付き表示装置用前面保護板10が備える配線4は、例えばセンサ接続用として、タッチパネル20とは一体化しない形態の配線付き表示装置用前面保護板10と、タッチパネル20と、表示パネル30とから、表示装置100を構成してもよい。センサ接続用の配線4を、可視情報形成層3Lと同一材料で同時形成できるので、製造工程数の増加を抑えて低コストのものとできる。
前記タッチパネル20は、典型的には、マルチタッチ(多点同時入力)が可能な投影型静電容量方式のタッチパネルであるが、この他、表面型静電容量方式、抵抗膜方式、電磁誘導方式、光学方式、など、透明電極を必要としない位置検知方式も含めた公知の各種位置検知方式のタッチパネルのいずれでも良い。
タッチパネル20は、中央の位置検知領域の外周部に、配線、制御回路、これらを電気的に接続するコネクタなどの何らかの不透明な構成要素を有する。これらの不透明な構成要素は、配線付き表示装置用前面保護板10の不透明領域A2の遮光層2に平面視において重なり、隠れる位置となるような、タッチパネル20と配線付き表示装置用前面保護板10との位置関係となっている。このため、これら配線などの不透明な構成要素が、表示装置100の外観を損なわない様にすることができる。
[粘着シートなどの樹脂層の介在]
図10で例示した実施形態による表示装置100では、配線付き表示装置用前面保護板10と表示パネル30との間は、空隙を有し空気層が存在する構造となっているが、本発明においては、配線付き表示装置用前面保護板10と表示パネル30との間は、粘着剤層など樹脂層で埋め尽くしても良い。また、タッチパネル20を備える形態では、タッチパネル20と表示パネル30との間も同様である。
特に、本発明による配線付き表示装置用前面保護板10は、配線4も一体化してある関係上、この配線と電気的な接続をする為の他の構成要素、例えば、タッチパネル用の透明電極が、遮光層2の形成部と非形成部との境界の段差部分を乗り越えて形成されるときに断線を生じない様にすることが好ましい。この点では、遮光層2の段差が例えば6μm以下とするのが好ましい。こうした6μm以下の遮光層2は、着色顔料と、感光性樹脂のような硬化性樹脂とを含む着色硬化性樹脂組成物を用いたフォトリソグラフィ法によって形成することができる。こうすることによって、遮光層2の段差部分での残留気泡の発生を減らし改善することができる。
前記樹脂層には、粘着シートを用いることができる。前記粘着シートとしては、透明性に優れた光学グレードのものが好ましく、このような粘着シートとしては、アクリル系粘着剤、ポリエステル系粘着剤、エポキシ系粘着剤、シリコーン系粘着剤などからなるものを用いることができる。
〔E〕用途:
本発明による配線付き表示装置用前面保護板10、及び表示装置100の用途は、特に限定されない。例えば、スマートフォンなどの携帯電話、タブレットPCなどの携帯情報端末、パーソナルコンピュータ、カーナビゲーション、デジタルカメラ、電子手帳、ゲーム機器、自動券売機、ATM端末、POS端末、などである。
1 透光性基板
2 遮光層
3 可視情報
3L 可視情報形成層
3N (従来の)可視情報形成層
4 配線
5 オーバーコート層
5a オーバーコート層
6 絶縁層
8 透明電極
8a 第1の透明電極
8b 第2の透明電極
10 配線付き表示装置用前面保護板
20 タッチパネル
20a タッチパネル構成部材
30 表示パネル
40 従来の表示装置用前面保護板
100 表示装置
200 従来の表示装置
A1 表示用領域
A2 不透明領域
S1 他方の面
S2 一方の面
V 観察者

Claims (5)

  1. 中央の表示用領域と、この表示用領域の外周部に設けられ可視光を遮蔽する不透明領域とを有し、この不透明領域に不透明な配線を有する、配線付き表示装置用前面保護板であって、
    透光性基板と、この透光性基板の一方の面上の前記不透明領域に設けられた遮光層と、
    前記一方の面上の前記遮光層に重なり前記透光性基板側から目視不能となるように設けられた前記配線と、
    前記一方の面上の前記不透明領域内であって前記遮光層の非形成部を含む部分に、前記透光性基板側から目視可能な可視情報を呈するように、設けられた可視情報形成層と、を有し、
    前記可視情報形成層と前記配線とは、同一材料で形成され、且つ前記可視情報形成層と前記配線とは、これらの両層が同時形成可能な面に接して形成されている、
    配線付き表示装置用前面保護板。
  2. 前記透光性基板の前記一方の面上に、さらに、タッチパネルの位置検知用の透明電極が、前記表示用領域から前記不透明領域の前記遮光層の部分に延びて設けられており、前記遮光層の部分で前記配線に電気的に接続されている、請求項1に記載の配線付き表示装置用前面保護板。
  3. 中央の表示用領域と、この表示用領域の外周部に設けられ可視光を遮蔽する不透明領域とを有し、この不透明領域に不透明な配線を有する、配線付き表示装置用前面保護板の製造方法であって、
    (A)透光性基板の一方の面上の前記不透明領域とする部分に、可視情報の部分は非形成部にして、遮光層を形成する遮光層形成工程と、
    (B)前記一方の面上に前記遮光層の非形成部を含む部分に形成する可視情報形成層、及び前記遮光層の形成部に形成する前記配線を、同一材料で且つ同時形成する、可視情報及び配線同時形成工程と、
    を少なくともこの順に有する、配線付き表示装置用前面保護板の製造方法。
  4. 請求項1に記載の配線付き表示装置用前面保護板と、タッチパネルと、表示パネルとを備え、前記タッチパネルは位置検知用の透明電極の周囲に有する不透明な配線が前記表示装置用前面保護板の遮光層に重なり前記表示装置用前面保護板側から目視不能となるように配置された構成であるか、
    または、請求項2に記載の、タッチパネル用の透明電極を有する配線付き表示装置用前面保護板と、表示パネルとを備えた、
    表示装置。
  5. 前記表示パネルが、液晶パネルまたは電界発光パネルである、請求項4に記載の表示装置。
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