JP2013171128A - 配線付き表示装置用前面保護板とその製造方法、及び表示装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】配線付き表示装置用前面保護板10は、透光性基板1の不透明領域A2の面に、可視情報3の部分は非形成部とした遮光層2が形成され、この非形成部の部分で透光性基板側から見える様に形成する可視情報形成層3Lを、遮光層2の部分に形成する配線4と、同一材料で同時形成可能な面に同時形成する。さらに、タッチパネルの位置検知用の透明電極を設けてタッチパネルと一体化しても良い。これを、タッチパネルも組み込むなどして、液晶表示パネル、ELパネル等の表示パネルと組み合わせて表示装置とする。
【選択図】図1
Description
不透明領域A2に設けられる遮光層2及び可視情報形成層3Nは、スクリーン印刷法によって形成されるのが普通である。
また、薄型化、軽量化、部品点数削減などに対する要求に応えるべく、表示装置用前面保護板40とタッチパネル20との一体化、或いはタッチパネル20と表示パネル30との一体化などの各種一体化の形態が、提案され実用化も始まっている(特許文献1、特許文献2)。
しかし、表示装置用前面保護板40を配線付きとする場合、配線4を形成する工程が増えることから、製造工程数の増加によって、工程数的にもコスト増は避けられない。
ただ、こうした構成であっても、なるべく、低コストで製造できることが望まれている。
(1)中央の表示用領域と、この表示用領域の外周部に設けられ可視光を遮蔽する不透明領域とを有し、この不透明領域に不透明な配線を有する、配線付き表示装置用前面保護板であって、
透光性基板と、この透光性基板の一方の面上の前記不透明領域に設けられた遮光層と、
前記一方の面上の前記遮光層に重なり前記透光性基板側から目視不能となるように設けられた前記配線と、
前記一方の面上の前記不透明領域内であって前記遮光層の非形成部を含む部分に、前記透光性基板側から目視可能な可視情報を呈するように、設けられた可視情報形成層と、を有し、
前記可視情報形成層と前記配線とは、同一材料で形成され、且つ前記可視情報形成層と前記配線とは、これらの両層が同時形成可能な面に接して形成されている、
配線付き表示装置用前面保護板。
(2)前記透光性基板の前記一方の面上に、さらに、タッチパネルの位置検知用の透明電極が、前記表示用領域から前記不透明領域の前記遮光層の部分に延びて設けられており、前記遮光層の部分で前記配線に電気的に接続されている、前記(1)の配線付き表示装置用前面保護板。
(3)中央の表示用領域と、この表示用領域の外周部に設けられ可視光を遮蔽する不透明領域とを有し、この不透明領域に不透明な配線を有する、配線付き表示装置用前面保護板の製造方法であって、
(A)透光性基板の一方の面上の前記不透明領域とする部分に、可視情報の部分は非形成部にして、遮光層を形成する遮光層形成工程と、
(B)前記一方の面上に前記遮光層の非形成部を含む部分に形成する可視情報形成層、及び前記遮光層の形成部に形成する前記配線を、同一材料で且つ同時形成する、可視情報及び配線同時形成工程と、
を少なくともこの順に有する、配線付き表示装置用前面保護板の製造方法。
(4)前記(1)の配線付き表示装置用前面保護板と、タッチパネルと、表示パネルとを備え、前記タッチパネルは位置検知用の透明電極の周囲に有する不透明な配線が前記表示装置用前面保護板の遮光層に重なり前記表示装置用前面保護板側から目視不能となるように配置された構成であるか、
または、前記(2)のタッチパネル用の透明電極を有する配線付き表示装置用前面保護板と、表示パネルとを備えた構成である、
表示装置。
(5)前記表示パネルが、液晶パネルまたは電界発光パネルである、前記(4)の表示装置。
本発明の配線付き表示装置用前面保護板の製造方法によれば、可視情報と配線とを同じ材料で同時に形成するので、工程数を増やさずに製造できる。
本発明の表示装置によれば、それが備える配線付き表示装置用前面保護板が、前記効果を有する。
以下に、本発明において用いる主要な用語について、その定義をここで説明しておく。
「裏側」とは、前記「表側」とは反対側を意味し、配線付き表示装置用前面保護板10或いはその他の構成要素において、表示パネル30の表示光が入光する側を意味する。
「一方の面」と、その反対側の面である「他方の面」とは、何れかが前記「表側」となり、何れの面が前記「表側」となるかは本来は任意である。ただし、本明細書においては、遮光層2を必ず有する側の面を「一方の面」と呼ぶことにしており、この一方の面が裏側として使用される面となる。そこで、表側として使用される他方の面に符号S1を付けて「他方の面S1」と呼び、裏側となる一方の面に符号S2を付けて「一方の面S2」とも呼ぶ。
本発明による配線付き表示装置用前面保護板を、図1に示す一実施形態例を参照して説明する。図1(a)は平面図、図1(b)は部分拡大断面図である。
可視情報形成層3Lは、銀、パラジウム及び銅からなる銀合金(APCとも言う)によって、金属薄膜として形成されている。配線4も、同一材料の銀合金で形成されている。つまり、可視情報形成層3Lと配線4とは、金属組成が全く同一の銀合金で形成されている。
また、製品ロゴマークなどは、現在、銀色の金属色が圧倒的に多く、こうした可視情報3を、配線4と同一材料で形成した可視情報形成層3Lによって表現しても、何ら意匠性を損なうこともない。
配線付き表示装置用前面保護板10は、図1(a)の平面図で例示したように、中央に表示用領域A1を有し、表示用領域A1の外周部に、可視光を遮蔽する不透明領域A2を有する。表示用領域A1は、図1(b)の断面図において、二点鎖線の想像線で示す表示パネル30に適用したときに、配線付き表示装置用前面保護板10を透して、表示パネル30が表示する内容を表示できる領域である。不透明領域A2は、表示パネル30が外周部に有する配線、コネクタなどを隠したり、或いは、図1(b)の断面図において、二点鎖線の想像線で示すタッチパネル20に適用したときに、タッチパネル20がその外周部に有する不透明な配線、コネクタなどを隠したりする為の領域である。また、不透明領域A2は、遮光層2及びそれが表現する色、並びに、ロゴやマークなどの可視情報3によって加飾部にもなる領域である。
透光性基板1は、少なくとも可視光線に対して透明で、配線付き表示装置用前面保護板10を適用するタッチパネル20や表示パネル30に対して、これらの表面を保護し得る機械強度を有するものであれば、特に制限はなく、代表的にはガラス板を用いることができる。とくに、前記ガラス板として、化学強化ガラスはフロートガラスに比べて機械的強度に優れ、その分薄くできる点で好ましい。化学強化ガラスは、典型的には、ガラスの表面近傍について、ナトリウムをカリウムに代えるなどイオン種を一部交換することで、化学的な方法によって機械的物性を強化したガラスである。
透光性基板1には、樹脂を用いることも可能である。例えば、前記樹脂としては、アクリル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、シクロオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂などを用いることができる。透光性基板1に樹脂を用いることで、軽量にできる上、可撓性を持たせることも可能となる。
図1に例示する実施形態における遮光層2は、透光性基板1のタッチパネル20及び表示パネル30側となる裏側の一方の面S2の不透明領域A2の部分に形成されている。遮光層2は、不透明領域A2中の全領域に設けられている。逆に言えば、この遮光層2によって、不透明領域A2が不透明な領域として形成される。
本実施形態においては、遮光層2は、透光性基板1の他方の面S1と一方の面S2のうちの一方の面S2の、不透明領域A2に形成される。
遮光層2は、タッチパネル20がその中央の位置検知領域に対して、その外周部に有する配線や制御回路、或いは表示パネル30がその中央の表示領域に対して、その外周部に有する配線や制御回路などを隠し、目視不能にして、タッチパネル20や表示パネル30を用いた表示装置において、外観を損なわないようにする機能を有する。
遮光層2の形成法は基本的には特に限定されないが、例えば、着色顔料と感光性樹脂の未硬化物とを含む着色感光性樹脂組成物を、透光性基板1の面上に塗布した後、所定のパターンで露光し、現像するという、いわゆるフォトリソグラフィ法により形成することができる。本実施形態においては、前記遮光層2はフォトリソグラフィ法によって形成したものである。
このように感光性樹脂組成物を用いてフォトリソグラフィ法で形成した遮光層2は、スクリーン印刷法に比べて、膜厚を薄く、例えば6μm以下に容易にでき、遮光層2の形成部と非形成部との境界に生じる遮光層2の段差を小さくできる点で好ましい。
段差に関する説明においては、「非形成部」とは、不透明領域A2内での部分以外に、
不透明領域A2と表示用領域A1との境界部分での段差の元になる表示用領域A1での非形成部も含む意味である。
感光性樹脂組成物を用いてフォトリソグラフィ法で形成した遮光層2の膜厚は、具体的には、0.5〜6μmとすることができる。
遮光層2に用いる着色顔料としては、遮光層2で表現する色に応じたものを用いれば良く、特に制限はない。例えば、着色顔料としては、黒色顔料、白色顔料、赤色顔料、黄色顔料、青色顔料、緑色顔料、紫色顔料などを用いることができる。着色顔料は、1種単独で用いても良いし、同種類の色、或いは異なる色の着色顔料を複数種類用いても良い。
着色顔料を分散保持する樹脂バインダの樹脂成分となる前記硬化性樹脂としては、感光性樹脂、及び、熱硬化性樹脂から選ばれる樹脂を1種以上用いることができる。
前記多官能アクリレート系モノマーには、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、などを1種以上用いることができる。
なお、本発明において、(メタ)アクリレートとは、メタクリレート、又は、アクリレートのいずれかであることを意味する。
遮光層2の形成法は、本発明においては、特に限定されないことは既に述べたが、遮光層2は、前記硬化性樹脂の未硬化物を含む樹脂バインダ中に着色顔料を含有する、着色硬化性樹脂組成物によって、形成することができる。
前記着色硬化性樹脂組成物には、さらに、この樹脂組成物を透光性基板1の面上に塗布する際の塗布適性、或いは印刷する際の印刷適性の調整などの為に、溶剤を含むことができる。
前記溶剤としては、例えば、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチルセロソルブ、3−メトキシブチルアセテート、等を1種以上用いることができる。
着色硬化性樹脂組成物を塗布した後は、フォトリソグラフィー技術を用いて露光、現像、ベークなどの所定の工程を経て、パターニングすることにより、透光性基板1の面上の一部に、所定パターンの遮光層2を形成することができる。
遮光層2は、単層であってもよいが、本発明においては、遮光層2は、2層以上の多層構成としても良い。例えば、互いに異なる色の層を3層重ねて、都合3色でフルカラー意匠を表現しても良い。1層の遮光層2を1.5μmで形成すれば、3層でも4.5μmと、遮光層2全体でも6μm以下で充分に形成することもできる。
図1に例示する本実施形態における配線付き表示装置用前面保護板10では、遮光層2が形成される不透明領域A2には可視情報3として製品のロゴマークが形成されている。
本発明においては、可視情報3としては、不透明領域A2の領域内において、製品ロゴマーク以外に、操作説明用の文字や記号、模様などの任意の目視可能な情報を設けることができる。
可視情報形成層3Lは、配線4と同一材料で形成されている。このため、可視情報形成層3Lは導電体層として形成されている。この可視情報形成層3Lは、配線4と、同一材料で、同時形成可能な面に接して形成されている。
前記金属層は、公知の薄膜形成法によって金属薄膜層として形成することができる。例えば、スパッタ法、蒸着法、イオンプレーティング法等の物理的気相成長法、CVD(Chemical Vapor Deposition)法などの化学的気相成長法、等の気相成長法、或いは塗工法などである。
可視情報形成層3Lの膜厚は、金属薄膜層の場合、例えば0.3〜2μm程度とすることができる。
ただ、フォトリソグラフィ法で金属薄膜層として形成することは、例えば1μm以下と薄くできる点、及び同時形成する配線4を高精細に形成できる点で、好ましい。
光反射は、可視情報形成層3Lの透光性基板1側の界面の状態によって、鏡面反射、拡散反射などとなる。
むしろ、可視情報形成層3Lを、遮光層2の非形成部に正確に位置決めして形成するよりは、前記非形成部よりも大きめに形成する方が容易である。
可視情報形成層3Lは、図4の断面図で例示する様に、遮光層2が多層である場合は、多層の遮光層2のうちの少なくも1層の非形成部の平面視位置に重なる部分に設けることもできる。つまり、本発明において、可視情報形成層3Lが、遮光層2の非形成部に設けられるという表現において、前記「非形成部」とは、遮光層2が多層の場合に、その一部の層の非形成部も意味する。もちろん、これらの「非形成部」とは、表示用領域A1において遮光層2が形成されない部分のことではなく、あくまでも不透明領域A2の領域内でのことである。
本実施形態においては、可視情報形成層3Lと配線4とは、同一材料で形成されている以外に、さらに、これらの両層が同時形成可能な面に接して形成されている。ここで、「同時形成可能な面」について、この条件に該当しない「同時形成不可能な面」と対比させつつ、更に説明する。
ただ、同時形成可能な面に接して、可視情報形成層3Lと配線4とが形成されていたからと言って、これらは別々に形成された物とすることもできる。しかし、同時形成可能な面に接して形成された構成においては、わざわざ、工程数を増やしてコスト高となるのを容認してまで、両層を同時に形成せずに、分けて形成する必要もないし、その必然性もない。両層を同時に形成することで、工程数を増やさずに形成できる物とすることができ、その分、低コストな物にできるからである。
側面は形成面乃至は透光性基板1の一方の面S2に、垂直であると見做す。これは、後述する「折り返すことなく」の定義において、斜めの側面に沿って「折り返し」が生じたとしても、これは無視してよいからである。
同図に描かれた太い矢印の意味は、これらか詳述するので、ここでは簡単に説明しておく。同図で配線4が遮光層2に接する面の部分から、可視情報形成層3Lが遮光層2の面に接する部分まで、左向きの矢印は、逆向きになることなく一直線に延びており、両層がそれぞれ接して形成された面は、折り返すことなく接続されていることを示す。
この可視情報形成層3Nは透光性基板1の面に接して形成され、可視情報形成層3Nは遮光層2で覆われ、配線4は可視情報形成層3Nを覆っている遮光層2の面に、接して形成されている。したがって、明らかに、可視情報形成層3Nおよび配線4について、両層は互いに同時形成不可能な面に接して形成されている。
同図で配線4が遮光層2に接する面の部分から、可視情報形成層3Nが透光性基板1の面に接する部分まで、左向きでスタートした矢印は、左端の側面に沿って折り返すことで、可視情報形成層3Nが透光性基板1の面に接する部分まで延びており、両層がそれぞれ接して形成された面は、折り返すことなく接続されているとは、いえない。
接続した面とは、同図で折れ線の矢印で示すとおり、配線4が接して形成されている透明電極8の面から、可視情報形成層3Lが接して形成されている遮光層2の面にまで、層の側面を通じて、(折り返すことなく)たどることができることを意味する。このように、両層の形成されている面が、互いに折り返すことなく接続した面であるときは、同時形成可能な面となる。
前記矢印が、折り返すか否かを判断する断面図は、平面視において、可視情報形成層3Nと配線4とを最短距離で結ぶことができる直線を含む断面における断面図とすることができる。つまり、「折り返す」を判断するための矢印としては、可視情報形成層3Nと配線4とを最短距離で結ぶことができる直線を含む断面に於ける矢印を採用できる。
以上のように、「同時形成可能な面」とは、可視情報形成層3Lが接して形成される面と、配線4が接して形成される面とが、「互いに折り返すことなく接続された面」である、と言うこともできる。
配線4は、可視情報3と同一材料で同時形成されている。
配線4は、不透明な導電体層として形成される。配線4は、例えば、タッチパネル用途では、表示用領域A1から不透明領域A2にわたって形成される透明電極を、制御回路に接続するものとすることができる。配線4は、同じタッチパネル用途であっても、透明電極を用いない検知方式、例えば光学方式において、光学センサを制御回路に接続する配線であっても良い。
前記金属層を形成するには、公知の薄膜形成法によることができる。例えば、スパッタ法、蒸着法、イオンプレーティング法等の物理的気相成長法、CVD(Chemical Vapor Deposition)法などの化学的気相成長法、等の気相成長法、或いは塗工法などである。
配線4の膜厚は、金属薄膜層の場合、例えば0.3〜2μm程度とすることができる。
ただ、フォトリソグラフィ法で金属薄膜層として形成することは、例えば1μm以下と薄くできる点、高精細に形成できる点で、好ましい。
本発明の配線付き表示装置用前面保護板10は、上記した形態以外のその他の形態をとり得る。以下、その一部を説明する。
しかし、本発明においては、更にその他の構成要素を設けても良い。
本発明においては、可視情報3を表示する為の必須の層として、配線4と同一材料且つ同時形成可能な面に接して形成された可視情報形成層3Lを、有する。しかし、可視情報3を表示するために、配線4に対して、(a)同一材料、(b)同時形成可能な面に接して形成されている、という、(a)及び(b)の両条件を満足することがない、他の可視情報形成層3Nを、前記可視情報形成層3Lと共に有していても良い。こうした可視情報形成層3Nは、前記(a)または(b)のいずれかを満足しない層であるか、前記(a)及び(b)を共に満足しない層、である。
また、本発明においては、不透明領域A2中に、タッチパネル20や表示パネル30の外周部の配線などの隠蔽に支障を来たさなければ、例えば、遮光層2の非形成部に形成した着色樹脂層からなる可視情報形成層3Nのように、透明であるなど、遮光性が遮光層2よりも小さい領域が一部に存在しても良い。
可視情報形成層3Nは、図5(b)のように、透光性基板1と遮光層2との間に形成することもできる。
図6で示す配線付き表示装置用前面保護板10のように、可視情報形成層3L及び配線4が、それぞれ接して形成される面がオーバーコート層5の面であっても良い。同図の実施形態でのオーバーコート層5は、透光性基板1の遮光層2が形成された側の一方の面上に、遮光層2の全部を被覆するように、かつ表示用領域A1も含めて、形成された例である。このため、オーバーコート層5は、表示に支障を来たさないように、透明な層として形成される。
オーバーコート層5は、特に透光性基板1がガラス製である場合に、配線4同士間の絶縁性が経時的に低下するのを抑える等の為に設ける層である。
また、前記硬化性樹脂としては、前記遮光層2で述べた感光性樹脂などを用いることもできる。感光性樹脂の場合は、部分形成するときにフォトリソグラフィ法を利用することができる。
タッチパネル用の透明電極を設けて、透光性基板1をタッチパネル用基板と兼用しても良い。タッチパネル機能との一体化は、タッチパネルとして必要な機能の一部を一体化する形態でも、その分に応じた部品点数の低減、薄型化の効果は得られるが、タッチパネルとしての必要な機能の全部を一体化するのが、より好ましい。
タッチパネル機能の一部を一体化する場合、例えば、そのタッチパネル機能として位置検知用の透明電極が必要な方式では、この透明電極を一体化することができる。タッチパネルの位置検知方式は従来から各種知られており、透明電極が2層になる位置検知方式では、このうちの少なくとも1層を、より好ましくは2層を一体化するのが望ましい。
以下、図7の実施形態を参照して、タッチパネル機能の一体化の一例を説明する。
より具体的には、本実施形態は、透光性基板1の遮光層2が形成された後の一方の面である一方の面S2上に、さらに、オーバーコート層5を介して、可視情報形成層3Lと、配線4と、タッチパネルの位置検知用の透明電極8のうちの第1の透明電極8aと、が形成されている。配線4は、表示用領域A1から遮光層2がある不透明領域A2の部分に延びた前記透明電極8aに対して前記遮光層2の部分で電気的に接続されるように、前記遮光層2の部分に形成されている。
図7の断面図で言えば、前記交差部分は、透光性基板1に近い側の透明電極8が、第1の透明電極8aであるので、第1の透明電極8aが形成された後の交差部分に対して絶縁層6が形成され、交差部分を跨いで接続用の透明電極が形成されて第2の透明電極8bが完成する。
さらに、透明電極8bを形成後の、透光性基板1の配線4が形成された側の一方の面S2のほぼ全面に、オーバーコート層5aが形成され、第1の透明電極8a及び第2の透明電極8bの表面を含む、配線付き表示装置用前面保護板10としての裏側の表面を、傷付きなどから保護している。ただし、図示は省略するが、このオーバーコート層5aは、配線4がフレキシブルプリント配線基板(FPC)を介して制御回路に接続する部分は形成せず、配線4を露出してある。
次に、遮光層2が形成された側の面全面に、オーバーコート層5を形成した後、遮光層2の部分のオーバーコート層5の面に接して可視情報形成層3Lと配線4とを同一材料で同時にパターン形成し、次に、透明電極8として、第1の透明電極8aの全部と、交差部分が分断し欠損した第2の透明電極8bとを、同じ面に同時にパターン形成する。
次に、前記交差部分に絶縁層6をパターン形成し、この絶縁層6を跨いで、前記第2の透明電極8bの残りの欠損部分をパターン形成して第2の透明電極8bの全体を完成させる。最後に、オーバーコート層5aを、配線4の一部を残して全面に形成することで、タッチパネル機能を一体化した配線付き表示装置用前面保護板10が作成される。
本発明による、配線付き表示装置用前面保護板の製造方法は、前記した配線付き表示装置用前面保護板を製造する方法である。
すなわち、中央の表示用領域A1と、この表示用領域A1の外周部に設けられ可視光を遮蔽する不透明領域A2とを有し、この不透明領域A2に不透明な配線4を有する、配線付き表示装置用前面保護板10を製造する方法であって、
(A)透光性基板1の一方の面上の不透明領域A1とする部分に、可視情報3の部分は非形成部にして、遮光層2を形成する遮光層形成工程と、
(B)前記一方の面上に前記遮光層2の非形成部を含む部分に形成する可視情報形成層3L、及び前記遮光層2の形成部に形成する前記配線4を、同一材料で且つ同時形成する、可視情報及び配線同時形成工程と、
を少なくともこの順に有する。
また、同図に示す工程例では、工程(A)と工程(B)との間に、工程(C)で示す、オーバーコート層形成工程(C)を有する。
また、同図に示す工程例でも、工程(A)と工程(B)との間に、工程(C)で示す、オーバーコート層形成工程(C)を有する。
そして、オーバーコート層形成工程(C)の後に、図9(ハ)の可視情報形成層形成工程(D)を行う。可視情報形成層形成工程(D)では、可視情報形成層3Nが形成される。この例では、可視情報形成層3Nは、次に形成する配線4とは同一材料では形成されていない。
次に、図9(ニ)の配線形成工程(D)を行う。配線形成工程(D)では、配線4を形成する。
従来の製造方法では、仮に、可視情報形成層3Nと配線4とが、同一材料で形成されるとしても、同時に形成されることはない。
このように、従来の製造方法では、可視情報3と配線4とを設けるために、それぞれ別々の工程を実施しており、工程数が増えることによって、コスト高となっていた。
しかし、本発明による製造方法では、可視情報形成層3Lと配線4とは、同一材料で、同一の工程で同時形成するため、配線4に加えて可視情報形成層3Lを設けたからと言って、或いは、可視情報形成層3Lに加えて配線4を設けたからと言って、工程数が増えることがなく、コスト高にならずに、従来の製造方法に比べて低コストで製造できる。
本発明による表示装置は、上記した配線付き表示装置用前面保護板10と、表示パネルとを備え、タッチパネルは備えないか備なえた、表示装置である。
すなわち、本発明による表示装置は、上記した配線付き表示装置用前面保護板10と、タッチパネルと、表示パネルとを備え、このタッチパネルは位置検知用の透明電極8の周囲に有する不透明な配線4が前記配線付き表示装置用前面保護板10の遮光層2に重なり前記配線付き表示装置用前面保護板10側から目視不能となるように配置される構成であるか、
または、タッチパネル用の透明電極8も有する配線付き表示装置用前面保護板10と、表示パネルとを備えた構成である。
本実施形態においては、配線付き表示装置用前面保護板10は、前述した本発明による配線付き表示装置用前面保護板10である。より具体的に、この配線付き表示装置用前面保護板10はタッチパネル機能の一部として、さらに配線4と透明電極8とを有し、この透明電極8として、図示はしないが、図7で例示した配線付き表示装置用前面保護板10のように第1の透明電極8aと第2の透明電極8bとを有する形態のものである。
しかも、配線付き表示装置用前面保護板10は、可視情報形成層3Lと配線4とが同一材料で同時形成可能な面に同時形成されているので、製造工程数を減らして低コストにでき、さらにタッチパネル機能が一体化しているので、部品点数が減り組み立て工数が少なくなり、低コストなものとできる。
本発明の表示装置100は、上記した形態以外のその他の形態をとり得る。以下、その一部を説明する。
図10で例示した実施形態による表示装置100では、配線付き表示装置用前面保護板10はタッチパネル機能の一部として、配線4に加えて、透明電極8の第1の透明電極8aと第2の透明電極8bとが一体化している形態であった。
しかし、本発明においては、組み込もうとするタッチパネルが透明電極を備えた方式のものであり、しかもこの透明電極が、例えば抵抗膜方式のものであり、互いに絶縁された第1の透明電極8aと第2の透明電極8bとの2層が、互いに別々の基板上に形成される構造である場合は、図11に例示するように、このうちのいずれか一方の基板を配線付き表示装置用前面保護板10の透光性基板1と兼用する形態とすることができる。他方の透明電極が形成された基板は、配線付き表示装置用前面保護板10および表示パネル30とは別体のタッチパネル構成部材20aとして組み込んで、表示装置100を構成する。同図では、配線付き表示装置用前面保護板10が透明電極8aを備え、タッチパネル構成部材20aが透明電極8bを備える。
配線付き表示装置用前面保護板10が備える配線4は、例えばセンサ接続用として、タッチパネル20とは一体化しない形態の配線付き表示装置用前面保護板10と、タッチパネル20と、表示パネル30とから、表示装置100を構成してもよい。センサ接続用の配線4を、可視情報形成層3Lと同一材料で同時形成できるので、製造工程数の増加を抑えて低コストのものとできる。
タッチパネル20は、中央の位置検知領域の外周部に、配線、制御回路、これらを電気的に接続するコネクタなどの何らかの不透明な構成要素を有する。これらの不透明な構成要素は、配線付き表示装置用前面保護板10の不透明領域A2の遮光層2に平面視において重なり、隠れる位置となるような、タッチパネル20と配線付き表示装置用前面保護板10との位置関係となっている。このため、これら配線などの不透明な構成要素が、表示装置100の外観を損なわない様にすることができる。
図10で例示した実施形態による表示装置100では、配線付き表示装置用前面保護板10と表示パネル30との間は、空隙を有し空気層が存在する構造となっているが、本発明においては、配線付き表示装置用前面保護板10と表示パネル30との間は、粘着剤層など樹脂層で埋め尽くしても良い。また、タッチパネル20を備える形態では、タッチパネル20と表示パネル30との間も同様である。
特に、本発明による配線付き表示装置用前面保護板10は、配線4も一体化してある関係上、この配線と電気的な接続をする為の他の構成要素、例えば、タッチパネル用の透明電極が、遮光層2の形成部と非形成部との境界の段差部分を乗り越えて形成されるときに断線を生じない様にすることが好ましい。この点では、遮光層2の段差が例えば6μm以下とするのが好ましい。こうした6μm以下の遮光層2は、着色顔料と、感光性樹脂のような硬化性樹脂とを含む着色硬化性樹脂組成物を用いたフォトリソグラフィ法によって形成することができる。こうすることによって、遮光層2の段差部分での残留気泡の発生を減らし改善することができる。
本発明による配線付き表示装置用前面保護板10、及び表示装置100の用途は、特に限定されない。例えば、スマートフォンなどの携帯電話、タブレットPCなどの携帯情報端末、パーソナルコンピュータ、カーナビゲーション、デジタルカメラ、電子手帳、ゲーム機器、自動券売機、ATM端末、POS端末、などである。
2 遮光層
3 可視情報
3L 可視情報形成層
3N (従来の)可視情報形成層
4 配線
5 オーバーコート層
5a オーバーコート層
6 絶縁層
8 透明電極
8a 第1の透明電極
8b 第2の透明電極
10 配線付き表示装置用前面保護板
20 タッチパネル
20a タッチパネル構成部材
30 表示パネル
40 従来の表示装置用前面保護板
100 表示装置
200 従来の表示装置
A1 表示用領域
A2 不透明領域
S1 他方の面
S2 一方の面
V 観察者
Claims (5)
- 中央の表示用領域と、この表示用領域の外周部に設けられ可視光を遮蔽する不透明領域とを有し、この不透明領域に不透明な配線を有する、配線付き表示装置用前面保護板であって、
透光性基板と、この透光性基板の一方の面上の前記不透明領域に設けられた遮光層と、
前記一方の面上の前記遮光層に重なり前記透光性基板側から目視不能となるように設けられた前記配線と、
前記一方の面上の前記不透明領域内であって前記遮光層の非形成部を含む部分に、前記透光性基板側から目視可能な可視情報を呈するように、設けられた可視情報形成層と、を有し、
前記可視情報形成層と前記配線とは、同一材料で形成され、且つ前記可視情報形成層と前記配線とは、これらの両層が同時形成可能な面に接して形成されている、
配線付き表示装置用前面保護板。 - 前記透光性基板の前記一方の面上に、さらに、タッチパネルの位置検知用の透明電極が、前記表示用領域から前記不透明領域の前記遮光層の部分に延びて設けられており、前記遮光層の部分で前記配線に電気的に接続されている、請求項1に記載の配線付き表示装置用前面保護板。
- 中央の表示用領域と、この表示用領域の外周部に設けられ可視光を遮蔽する不透明領域とを有し、この不透明領域に不透明な配線を有する、配線付き表示装置用前面保護板の製造方法であって、
(A)透光性基板の一方の面上の前記不透明領域とする部分に、可視情報の部分は非形成部にして、遮光層を形成する遮光層形成工程と、
(B)前記一方の面上に前記遮光層の非形成部を含む部分に形成する可視情報形成層、及び前記遮光層の形成部に形成する前記配線を、同一材料で且つ同時形成する、可視情報及び配線同時形成工程と、
を少なくともこの順に有する、配線付き表示装置用前面保護板の製造方法。 - 請求項1に記載の配線付き表示装置用前面保護板と、タッチパネルと、表示パネルとを備え、前記タッチパネルは位置検知用の透明電極の周囲に有する不透明な配線が前記表示装置用前面保護板の遮光層に重なり前記表示装置用前面保護板側から目視不能となるように配置された構成であるか、
または、請求項2に記載の、タッチパネル用の透明電極を有する配線付き表示装置用前面保護板と、表示パネルとを備えた、
表示装置。 - 前記表示パネルが、液晶パネルまたは電界発光パネルである、請求項4に記載の表示装置。
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