JP2013169768A - 積層体 - Google Patents

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Abstract

【課題】コールドスプレー法により金属基材上に金属皮膜を形成した積層体において、製造工程において生じた変形が矯正され、所望の形状をなす積層体を提供する。
【解決手段】第1の金属又は合金により形成され、互いに対向する主面11a及び主面11bを有する基材と、第2の金属又は合金からなる粉末をガスと共に加速し、主面11aに固相状態のままで吹き付けて堆積させることにより、主面11a上に形成された皮膜12とを備え、基材11の主面11a側の厚み方向における端部領域111は第1の残留圧縮応力を有し、基材11内部の主面11b側の厚み方向における端部領域112は第2の残留圧縮応力を有する。
【選択図】図1

Description

本発明は、金属又は合金の基材上に、金属又は合金の皮膜を積層した積層体に関する。
近年、コールドスプレー法と呼ばれる皮膜形成方法が知られている。コールドスプレー法は、金属材料の粉末を融点又は軟化点以下の状態で不活性ガスとともにノズルから噴射し、固相状態のまま基材に衝突させることにより、基材の表面に皮膜を形成する方法である(例えば、特許文献1参照)。コールドスプレー法においては、溶射法と比較して低い温度で加工が行われるので、熱応力の影響が緩和される。そのため、相変態がなく酸化も抑制された金属皮膜を得ることができる。特に、基材及び皮膜となる材料がともに金属である場合、金属材料の粉末が基材(又は先に形成された皮膜)に衝突した際に粉末と基材との間で塑性変形が生じてアンカー効果が得られると共に、互いの酸化皮膜が破壊されて新生面同士による金属結合が生じるので、密着強度の高い積層体を得ることができる。
コールドスプレー法により形成された積層体においては、基材と皮膜との間において良好な熱伝導性を得ることができる。このようなコールドスプレー法による皮膜の特性を活かしたデバイスの例として、基材の一方の面に金属皮膜による回路パターンを介してチップ(トランジスタ)を配設し、該基材の他方の面に、金属皮膜を介して温度調節部(冷却部又は加熱部)を配設したパワーモジュール(パワーデバイスとも呼ばれる)が知られている(例えば、特許文献2参照)。
米国特許第5302414号明細書 特開2009−43814号公報
しかしながら、コールドスプレー法により平板状の基材に皮膜を形成する場合、材料の粉末が基材に衝突した際に基材表面が塑性変形することに加え、形成される皮膜内に生じる残留圧縮応力により、成膜面が凸となるように基材が反ってしまうという問題が生じている。
この問題に対し、特許文献2においては、コールドスプレー法により温度調節部であるヒートシンク上に金属層を形成した構造体を加熱した後で金型を用いてプレスし、或いは、加熱しながらプレスすることにより、基材内部の残留圧縮応力を緩和させて、構造体の変形を矯正している。
しかしながら、この場合、互いに異なる種類の金属からなる構造体(例えば、アルミニウムの基材に対して銅皮膜を形成した構造体)を加熱すると、基材と皮膜との間の境界において金属間化合物が生成され、層間における熱伝導率及び導電率や構造体の強度が低下するおそれがある。
また、基材にフィン等の構造が設けられている場合、構造体をプレスする際の荷重が低く制限されるため、変形の矯正が不十分となるおそれがある。
さらに、金型により構造体をプレスする方式では、変形の矯正量を任意にコントロールすることは困難である。
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、コールドスプレー法により金属基材上に金属皮膜を形成した積層体において、製造工程において生じる変形が矯正され、所望の形状をなす積層体を提供することを目的とする。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る積層体は、第1の金属又は合金により形成され、互いに対向する第1及び第2の主面を有する基材と、第2の金属又は合金からなる粉末をガスと共に加速し、前記第1の主面に固相状態のままで吹き付けて堆積させることにより、前記第1の主面上に形成された皮膜とを備え、前記基材の前記第1の主面側の厚み方向における端部領域は第1の残留圧縮応力を有し、前記基材の前記第2の主面側の厚み方向における端部領域は第2の残留圧縮応力を有することを特徴とする。
上記積層体において、前記第1の残留圧縮応力と前記第2の残留圧縮応力との差が、±40MPa以内であることを特徴とする。
本発明に係る積層体は、第1の金属又は合金により形成され、互いに対向する第1及び第2の主面を有する基材と、第2の金属又は合金からなる粉末をガスと共に加速し、前記第1の主面に固相状態のままで吹き付けて堆積させることにより、前記第1の主面上に形成された皮膜とを備え、前記基材の前記第2の主面において、算術平均面粗さは0.2μm〜5.0μmの範囲であり、十点平均面粗さは0.9μm〜22.0μmの範囲であることを特徴とする。
上記積層体において、前記基材の前記第2の主面は、硬質材料によって形成された粒子を衝突させる表面加工が施されていることを特徴とする。
本発明によれば、基材上にコールドスプレー法により皮膜を形成した積層体において、成膜面である基材の第1の主面側の厚み方向における端部領域が第1の残留圧縮応力を有し、第1の主面と対向する第2の主面側の厚み方向における端部領域が第2の残留圧縮応力を有するので、両残留圧縮応力の釣り合いにより、製造工程において生じた変形が矯正され、所望の形状をなす積層体を得ることが可能となる。
図1は、本発明の実施の形態1に係る積層体を示す断面図である。 図2は、本発明の実施の形態1に係る積層体の製造方法を示すフローチャートである。 図3は、本発明の実施の形態1に係る積層体の製造方法を説明する模式図である。 図4は、コールドスプレー法による成膜装置を示す模式図である。 図5は、基材の厚み方向における応力分布を示すグラフである。 図6は、変形例1に係る積層体を示す断面図である。 図7は、変形例2に係る積層体を示す断面図である。 図8は、本発明の実施の形態2に係る積層体の製造方法を示すフローチャートである。 図9は、本発明の実施の形態2に係る積層体の製造方法を説明する模式図である。 図10は、本発明の実施例に係る積層体の厚み方向における応力の測定結果を示すグラフである。 図11は、比較例に係る積層体の厚み方向における応力の測定結果を示すグラフである。
以下、本発明を実施するための形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、以下の実施の形態により本発明が限定されるものではない。また、以下の説明において参照する各図は、本発明の内容を理解し得る程度に形状、大きさ、及び位置関係を概略的に示してあるに過ぎない。即ち、本発明は各図で例示された形状、大きさ、及び位置関係のみに限定されるものではない。
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1に係る積層体を示す断面図である。図1に示すように、本実施の形態1に係る積層体1は、金属又は合金によって形成された基材11と、該基材の一方の主面11a上に金属又は合金によって形成された皮膜12とを備える。
基材11は、略平板状をなしている。また、基材11の内部において、製造の工程や熱履歴により少量の残留応力が生じるが、これらの端部領域111、112における残留圧縮応力の釣り合いにより、基材11はいずれか一方の側に反ることなく、略平板状を維持している。
また、基材11の主面11bは、後述する製造工程における表面処理により、圧延板等の表面と比較して粗い状態となっている。具体的には、主面11bの算術平均面粗さRaは0.2μm〜5.0μm程度であり、十点平均面粗さRzは0.9μm〜22.0μm程度である。
皮膜12は、金属又は合金の粉末をガスと共に加速し、主面11aに固相状態のままで吹き付けて堆積させる、所謂コールドスプレー法によって形成されている。皮膜12と基材11との境界(主面11a)近傍においては、粉末が主面11aに衝突した際の衝撃した際の塑性変形により、基材11に皮膜12が食い込むアンカー効果と金属結合とが生じている。
なお、基材11をなす金属又は合金と皮膜12をなす金属又は合金とは、同じ種類であっても良いし、互いに異なる種類であっても良い。具体的には、アルミニウムの基材11に対して銅の皮膜12を積層したり、銅の基材11に対して銅の皮膜12を積層するといった組み合わせの例が挙げられる。
このような積層体1は、例えば、パワーモジュール等のデバイスにおいて、回路が形成される基板や、ヒートシンクが設けられる基板として用いられる。
次に、積層体1の製造方法について、図2〜図4を参照しながら説明する。図2は、積層体1の製造方法を示すフローチャートである。図3は、積層体1の製造方法における各工程を説明する図である。図4は、コールドスプレー法による成膜装置を示す模式図である。
まず、工程S101において、図3(a)に示すように、金属又は合金からなる平板の基材11を用意する。基材11の種類としては、圧延板、押し出し成形品等、特に限定せずに使用することができる。また、基材11の形状についても特に限定されない。
続く工程S102において、図3(b)に示すように、基材11の主面11a上に、コールドスプレー法により所望の厚さの皮膜12を形成する。
図4は、コールドスプレー法による成膜装置(コールドスプレー装置)の概要を示す模式図である。図4に示すコールドスプレー装置30は、圧縮ガスを加熱するガス加熱器31と、皮膜12の材料の粉末を収容し、スプレーガン33に供給する粉末供給装置32と、加熱された圧縮ガス及びそこに供給された材料粉末を基材に噴射するガスノズル34と、ガス加熱器31及び粉末供給装置32に対する圧縮ガスの供給量をそれぞれ調節するバルブ35及び36とを備える。
圧縮ガスとしては、ヘリウム、窒素、空気などが使用される。ガス加熱器31に供給された圧縮ガスは、例えば50℃以上であって、皮膜12の材料粉末の融点よりも低い範囲の温度に加熱された後、スプレーガン33に供給される。圧縮ガスの加熱温度は、好ましくは300〜900℃である。
一方、粉末供給装置32に供給された圧縮ガスは、粉末供給装置32内の材料粉末をスプレーガン33に所定の吐出量となるように供給する。
加熱された圧縮ガスは末広形状をなすガスノズル34により超音速流(約340m/s以上)にされる。この際の圧縮ガスのガス圧力は、1〜5MPa程度とすることが好ましい。圧縮ガスの圧力をこの程度に調整することにより、基材11に対する皮膜12の密着強度の向上を図ることができるからである。より好ましくは、2〜4MPa程度の圧力で処理すると良い。スプレーガン33に供給された粉末材料は、この圧縮ガスの超音速流の中への投入により加速され、固相状態のまま、基材11に高速で衝突して堆積し、皮膜を形成する。なお、材料粉末を基材11に向けて固相状態で衝突させて皮膜を形成できる装置であれば、図4に示すコールドスプレー装置30に限定されるものではない。
このコールドスプレー法を行っている間、基材11に皮膜12の材料粉末が衝突することにより端部領域111に圧縮応力が生じ、塑性変形により主面11a側に伸びが生じる。それにより、図3(c)に示すように、基材11は、成膜面側(主面11a側)が凸となるように反ってしまう。この際、図5(a)に示すように、非成膜面側(主面11b側)の端部領域112にも微量の残留圧縮応力が生じる。なお、図5において、縦軸は基材11の厚み方向における位置を示し、横軸は基材11に生じる応力の大きさを示している。
続く工程S103において、図3(d)に示すように、基材11の主面11bに対してブラスト加工を施す。それにより、図5(b)に示すように、ブラスト面側(主面11b側)の端部領域112に圧縮応力を生じさせる。即ち、基材11の厚み方向においては、図5(a)とは逆位相の分布を示す応力が発生することになる。
その結果、基材11には、図5(c)に示すように、成膜面側の端部領域111と非成膜面側の端部領域112とで互いに釣り合うような分布の残留圧縮応力が蓄積する。このように、端部領域111及び端部領域112における残留圧縮応力をバランスさせることにより、コールドスプレー時に湾曲した基材11及びそこに積層した皮膜12を平板状に戻すことができる。
それにより、図1に示す積層体1が完成する。
ブラスト加工の加工条件としては、基材11に衝突させる粒子の材料や径、粒子の噴射圧力、加工時間等が挙げられ、これらの諸加工条件を、基材11の材料の種類(硬さ)、主面11bに許容される表面粗さ、工程S102の終了時点での基材11の湾曲の度合い、加工終了時での積層体1に許容される平面度等に応じて適宜設定される。
なお、ブラスト加工後の基材11の主面11aにおける表面粗さは、一般に、コールドスプレー法による皮膜12表面における表面粗さと比較して小さいので、ブラスト加工により積層体1の機能に問題が生じることはない。必要であれば、工程S103の後で、基材11の主面11bや皮膜12の表面に対して研磨処理を施しても良い。
また、工程S103においては、金属、合金、セラミックス、冷却した樹脂材料といった硬質材料の粒子を基材11の表面に衝突させる表面加工を施すことができれば良い。従って、ブラスト加工以外にも、例えばショットピーニング等の表面処理技術を用いても良い。
以上説明したように、実施の形態1によれば、コールドスプレー法により基材11上に皮膜12を形成した際に生じた反り等の変形をブラスト加工により矯正するので、緻密で下層との密着度が高いというコールドスプレー法による皮膜12の特性を生かしつつ、平面度の高い平板状の積層体1を得ることができる。
また、実施の形態1によれば、コールドスプレー法により生じた変形を矯正する際に加熱を行うことがない。このため、基材11と皮膜12とが互いに異種の金属又は合金によって形成されている場合であっても、両者の境界面における金属間化合物の生成を抑制することができる。従って、両者間における熱伝導率及び導電率の低下や、積層体1自体の強度の低下を抑制することが可能となる。
また、実施の形態1によれば、コールドスプレー法により生じた変形を補正するための平面研磨等の後工程が不要になる。従って、積層体1の製造工程を簡素化することができる。
また、ブラスト加工においては、加工条件を容易に変更することができるので、基材11の材料及び形状や、コールドスプレー法により基材11に生じた変形や、積層体1に要求される平面度等に応じて加工条件を調整することにより、変形の矯正量を任意にコントロールすることが可能となる。従って、例えば、基材にフィン等の3次元的な構造が設けられている場合であっても、ブラスト加工によりフィンの隙間や周囲の平板部分に残留圧縮応力を与えることにより、基材に生じた変形を矯正することが可能となる。
このような積層体1をパワーモジュール等の基板として用いる場合、積層体1における金属間化合物の生成を抑制できることから、積層体1の内部、及び積層体1に設けられる回路部やフィン等の放熱部材との間で良好な伝熱性が得られるので、パワーモジュールにおける放熱性を向上させることが可能となる。また、積層体1における金属間化合物の生成を抑制すると共に、応力集中を抑制することができるので、良好な耐久性を有するパワーモジュールを実現することが可能となる。
(変形例1)
上記実施の形態1においては、基材11に生じた変形をブラスト加工により矯正して、主面が平板状の積層体1を作製した。しかしながら、実施の形態1と同様の製造方法により、例えば図6に示すように、皮膜12側が凸となるように湾曲した積層体を作製することもできる。上述のとおり、ブラスト加工であれば、変形の矯正量を任意にコントロールすることができるので、例えば、実施の形態1の場合よりも粒子の噴射圧力を弱くするか、または、加工時間を短くするなどして基材11に与える残留圧縮応力を調整し、矯正量を抑制することにより、皮膜12側が凸となる所望の湾曲を残すことができる。
(変形例2)
また、別の変形例として、例えば図7に示すように、基材11側が凸となるように湾曲した積層体を作製しても良い。この場合、例えば、実施の形態1の場合よりもブラスト加工における粒子の噴射圧力を強くするか、または加工時間を長くするなどして基材11に与える残留圧縮応力を調整し、変形の矯正量を増加させることにより、平板状を通り越して、基材11側が所望の凸となるように、該基材11を湾曲させることができる。
(実施の形態2)
次に、本発明の実施の形態2について説明する。
実施の形態2に係る積層体は、実施の形態1と同様に、金属又は合金からなる基材上に、金属又は合金からなる皮膜を積層させたものであり、製造方法が実施の形態1とは異なる。図8は、実施の形態2に係る積層体の製造方法を示すフローチャートである。また、図9は、該製造方法における各工程を説明する図である。
まず、工程S201において、金属又は合金からなる平板の基材21を用意する。基材11の種類や形状については実施の形態1と同様である。
続く工程S202において、図9(a)に示すように、基材21の一方の主面21aに対してブラスト加工を施す。それにより、図5(b)に示すように、ブラスト面(主面21a)側の端部領域211に圧縮応力が発生し、その結果、図9(b)に示すように、主面21a側が凸となるように基材21が湾曲する。
続く工程S203において、図9(c)に示すように、基材21のもう一方の主面21bに、コールドスプレー法により所望の厚さの皮膜22を形成する。なお、コールドスプレー法に用いられる装置や成膜条件については、実施の形態1と同様である。
このコールドスプレー法を行っている間、主面21bに皮膜22の材料粉末が衝突することにより端部領域212に圧縮応力が生じ、塑性変形により主面21b側に伸びが発生する。それにより、図5(a)に示すように、非成膜面側(主面21a側)の端部領域211にも微量の残留圧縮応力が蓄積する。そこで、図5(c)に示すように、成膜面側と非成膜面側とで残留圧縮応力が互いに釣り合うように、予めブラスト加工によって図5(b)に示すような分布の圧縮応力を基材21に生じさせておくことにより、基材21の湾曲を矯正しつつ、皮膜22を形成することができる。その結果、図9(d)に示すような平板状の積層体2を得ることができる。
なお、工程S202におけるブラスト加工の加工条件や、基材21の変形量については、工程S203におけるコールドスプレー法により矯正可能な量に応じて適宜調整すると良い。
なお、実施の形態2においても、工程S203の後で、必要に応じて基材21の主面21aや皮膜22の表面に対して研磨処理を施しても良い。
また、実施の形態2においても、工程S202におけるブラスト加工の加工条件を調整することにより、変形例1と同様に、皮膜22側が凸となるように湾曲した積層体や、変形例2と同様に、基材21側が凸となるように湾曲した積層体を作製しても良い。
(実施例)
50mm×50mm×1.5mの銅(C1020)の基材上に、コールドスプレー法により厚さ約1.5mmの銅皮膜を形成した後、非成膜面(銅皮膜の裏側の基材面)にブラスト加工を施した。
それにより得られた積層体の表面粗さは、以下の通りであった。
銅皮膜表面 :算術平均面粗さRa 約6.5μm
十点平均面粗さRz 約40μm
ブラスト面 :算術平均面粗さRa 約3.5μm
(非成膜面):十点平均面粗さRz 約20μm
また、積層体の平面度は0.03であった。
(比較例)
50mm×50mm×1.5mの銅(C1020)の基材上に、コールドスプレー法により厚さ約1.5mmの銅皮膜を形成した。なお、比較例においては、ブラスト加工は省略した。また、コールドスプレー法における成膜条件は、実施例と同じである。
それにより得られた積層体の表面粗さは、以下の通りであった。
銅皮膜表面 :算術平均面粗さRa 約6.5μm
十点平均面粗さRz 約40μm
非成膜面 :算術平均面粗さRa 約0.2μm
(ブラストなし):十点平均面粗さRz 約3.1μm
また、積層体の平面度は0.10であった。
上記実施例及び比較例に係る積層体に対してそれぞれエッチングを行い、厚み方向における残留応力を0.05mm間隔で測定した。図10及び図11は、その結果を示すグラフである。
図10は、実施例に係る積層体におけるCS面の表面からの深さ方向の点、及びブラスト面の表面からの深さ方向の点における応力値を示すグラフである。このうち、図10(a)は、基材の主面の1つの辺に沿った方向(x方向)における平均値を示し、図10(b)は、図10(a)とは直交する辺に沿った方向(y方向)における平均値を示す。
一方、図11は、変形例に係る積層体におけるCS面の表面からの深さ方向の点、及び非成膜面の表面からの深さ方向の点における応力値を示すグラフである。このうち、図10(a)は、基材の主面の1つの辺に沿った方向(x方向)における平均値を示し、図10(b)は、図10(a)とは直交する辺に沿った方向(y方向)における平均値を示す。
図10及び図11を比較して明らかなように、実施例の場合、積層体の両面(CS面、ブラスト面)からの深さが互いに等しい位置同士では応力値の差が少なく、±40MPa以内に収まっている。即ち、積層体の両面において、応力値が概ね釣り合っていることがわかる。また、深さに応じた応力値の変化の傾向(増加又は減少)も、積層体の両面において概ね揃っている。
それに対して比較例の場合、積層体の両面(CS面、非成膜面)からの深さが互いに等しい位置においても応力値の差が大きく、差が±40MPaを超える位置も存在する。また、深さに応じた応力値の変化の傾向は、積層体の両面において不揃いとなっている。
以上の実験結果より、CS面とは反対側の基材の面にブラスト加工を施して、積層体の厚み方向における圧縮応力を積層体の両面において釣り合わせることにより、積層体の平面度を向上させることができるといえる。
1、2 積層体
11、21 基材
11a、11b、21a、21b 主面
12、22 皮膜
30 コールドスプレー装置
31 ガス加熱器
32 粉末供給装置
33 スプレーガン
34 ガスノズル
35、36 バルブ
111、112、211、212 端部領域

Claims (4)

  1. 第1の金属又は合金により形成され、互いに対向する第1及び第2の主面を有する基材と、
    第2の金属又は合金からなる粉末をガスと共に加速し、前記第1の主面に固相状態のままで吹き付けて堆積させることにより、前記第1の主面上に形成された皮膜と、
    を備え、
    前記基材の前記第1の主面側の厚み方向における端部領域は第1の残留圧縮応力を有し、
    前記基材の前記第2の主面側の厚み方向における端部領域は第2の残留圧縮応力を有することを特徴とする積層体。
  2. 前記第1の残留圧縮応力と前記第2の残留圧縮応力との差が、±40MPa以内であることを特徴とする請求項1に記載の積層体。
  3. 第1の金属又は合金により形成され、互いに対向する第1及び第2の主面を有する基材と、
    第2の金属又は合金からなる粉末をガスと共に加速し、前記第1の主面に固相状態のままで吹き付けて堆積させることにより、前記第1の主面上に形成された皮膜と、
    を備え、
    前記基材の前記第2の主面において、算術平均面粗さは0.2μm〜5.0μmの範囲であり、十点平均面粗さは0.9μm〜22.0μmの範囲であることを特徴とする積層体。
  4. 前記基材の前記第2の主面は、硬質材料によって形成された粒子を衝突させる表面加工が施されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の積層体。
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