JP6194244B2 - バッキングプレート及びスパッタリングターゲット−バッキングプレート接合体 - Google Patents

バッキングプレート及びスパッタリングターゲット−バッキングプレート接合体 Download PDF

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Description

本発明は、低熱膨張材料をスパッタリングターゲット材とする際に使用するバッキングプレート、特にスパッタリングターゲットとバッキングプレートとの接合時又はスパッタリング時の反り(変形)を防止することができるバッキングプレート及びスパッタリングターゲット−バッキングプレート接合体に関する。
近年、半導体用の薄膜を形成するために、シリコン、ゲルマニウム、カーボン等の低熱膨張材料で且つ大口径のスパッタリングターゲットが必要とされている。例えば、シリコンターゲットは古くから太陽電池用の薄膜形成のために使用されており素材自体は決して珍しくはない。しかし、半導体用途の場合は微細化が進むとともに、従来よりも薄い薄膜で且つ基板全体で均一な膜厚を要求されるために、スパッタリングターゲットの反りの管理がより厳しくなってきている。また基板となるウエハの直径が200mm、300mm、450mmと大きくなるとともに、使用されるスパッタリングターゲットのサイズも大型化している。低熱膨張材料のターゲットを作製する場合は、大口径になるほどバッキングプレートとの膨張量に差が生じ、反りやすいという問題があった。
さらに近年では生産効率を上げるために、ハイパワーでスパッタリングされる。このハイパワーでのスパッタリングの際に問題となるのは、バッキングプレート自体の強度と冷却能(良熱伝導度)及びバッキングプレートとターゲットとの接合強度である。
特に低熱膨張のターゲット材と、一般に用いられる銅製のバッキングプレートをロウ材の融点以上に加熱しロウ付け後に冷却する際は、両者の膨張収縮量の違いからスパッタリングターゲット全体に反り(変形)が発生し、これがスパッタ時に均一な膜の形成を阻害し、またパーティクルを発生させる要因になっている。また接合界面においても両材料の収縮量の差は接合強度を低下させる問題となっている。
スパッタリングの安定性やパーティクルの低減をより厳しく要求される最近の半導体の用途では、この課題を解決させる必要があった。さらにスパッタ特性だけでなく、クリーンルーム内や冷却水を汚染させない耐食性に優れたバッキングプレートを有するスパッタリングターゲットが必要となっている。
従来技術として、Mo(モリブデン)を使用した例がいくつかある。その一つとして特許文献1がある。この文献1の段落0006に、接合後の冷却時に両者の熱膨張率の差により、反りやこの反りからターゲット部材の割れ等が発生するので、反りが少なく、冷却効率に優れたスパッタリングターゲットを提供するという目的が記載されている(段落0008)。しかし、この解決手段は、金属接合材料層にモリブデン粉末等の金属粉末を混在させる方法であり、後述する本発明とは全く異なる手法である。
特許文献2の段落0006には、支持板材料(バッキングプレート)は、強度、耐食性、および伝熱特性を考慮して選択されていると記載されており、より安定なプラズマを生成するために、渦電流を低減する材料として導電率が低いモリブデンが支持板材料の選択肢の一つに挙がっている(段落0007、段落0027参照)。しかし、モリブデンのバッキングプレートを使用して、もしそのモリブデンに直接触れるように冷却水を流す場合は、容易に酸化モリブデンの錆が発生し、スパッタ装置の周辺環境を汚染するはずだが、文献2ではその耐食性を改善する手段については全く触れていない。
また特許文献3では、MoやMo/Cu複合体をバッキングプレートとしたSiターゲットについて記載されている。またバッキングプレート材料は、シリコンの熱膨張係数(CTE)に近似する素材から選定するとある。しかしながら、Mo/Cuの複合材の作製方法は様々な手法が考えられるが、具体的な解決方法についての記載がない。また耐食性に関する記述はなく、単純に複合化しただけでは、目標とするスパッタリングターゲットの要求仕様を達成しえないと考えられる。
特許第3829367号公報 特表2007−534834号公報 WO2013/070679/A1
本発明は、低熱膨張材料からなるターゲットに接合するためのMo又はMo合金製バッキングプレートであり、当該Mo又はMo合金製バッキングプレートを冷却する側(冷却面側)の表面に、Raが2μm以上で且つRyが15μm以上に粗化された粗化面と、該粗化面に耐食性の金属からなる層を備えることを特徴とする。
スパッタリングの際に問題となるのは、バッキングプレート自体の強度と冷却能及びバッキングプレートとターゲットとの接合強度である。
またスパッタ装置の冷却水やクリーンルーム等の周辺環境を汚染させないことである。
熱膨張差を緩和させるためにモリブデンをバッキングプレートに用いて水冷する場合に錆の発生を防止する処理が必要となる。特に、半導体用途では、微細化が進みスパッタリング時の安定性やパーティクルの管理が非常に厳しくなっている。本願発明は、低熱膨張材料からなるターゲットに接合するためのMo又はMo合金製バッキングプレートとの接合に発生する問題を解決することを課題とする。
上記の課題を解決するため、以下の発明を提供するものである。
1)低熱膨張材料からなるターゲットに接合するためのMo又はMo合金製バッキングプレートであって、当該Mo又はMo合金製バッキングプレートを冷却する側(ターゲット接合面と反対側)の表面に、Raが2μm以上で且つRyが15μm以上に粗化された粗化面と、該粗化面に耐食性の金属であるCu、Ni、Cr、Ag又はAuから選択した単層又は多層からなる層を備えることを特徴とするMo又はMo合金製バッキングプレート。
2)前記耐食性の金属からなる層は、20μm以上の厚さを有することを特徴とする上記1)記載のMo又はMo合金製バッキングプレート。なお、この場合の耐食性の金属からなる層の厚さは、総厚を意味する。以下、同様である。
3)前記耐食性の金属からなる層は、50μm以上の厚さを有することを特徴とする1)記載のMo又はMo合金製バッキングプレート。
4)Mo又はMo合金製バッキングプレートが円盤状であり、直径が330mm以上であることを特徴とする上記1)〜3)のいずれかに記載のMo又はMo合金製バッキングプレート。
5)前記耐食性の金属からなる層の面内厚みばらつきが50%以下とすることを特徴とする上記1)〜4)に記載のMo又はMo合金製バッキングプレート。
6)前記耐食性の金属からなる層の表面粗さRaが1.0μm以下であることを特徴とする上記1)〜5)のいずれかに記載のMo又はMo合金製バッキングプレート。
7)前記Mo合金は、Moが主成分であり、80wt%以上含有することを特徴とする上記1)〜6)のいずれかに記載のMo又はMo合金製バッキングプレート。
8)上記1)〜7)のいずれかに記載のMo又はMo合金製バッキングプレートと低熱膨張材料からなるターゲットを接合したことを特徴とするスパッタリングターゲット−バッキングプレート接合体。
9)低熱膨張材料からなるターゲットが、99.99wt%(4N)以上のシリコン、ゲルマニウム、カーボン又はこれらを主成分とする低熱膨張材料であることを特徴とする上記1)〜8)に記載のスパッタリングターゲット−バッキングプレート接合体。
本発明は、低熱膨張材料からなるターゲットに接合するためのMo又はMo合金製バッキングプレートであり、当該Mo又はMo合金製バッキングプレートを冷却する側(冷却面側)の表面に、Ra2μm以上、Ry15μm以上に粗化された粗化面と、該粗化面に耐食性の金属からなる層を備えることを特徴とする。また層の表面粗さRaが1.0μm以下であることを特徴とする。
本願発明では、低熱膨張材料からなるターゲットと、熱膨張係数が近いMo又はMo合金製バッキングプレートを接合するため、スパッタリングターゲットの反りを極力低減できる。それによりパーティクルが少なく、基板全体に均一な膜の形成が可能となる。またモリブデンの冷却面側に適切なめっき層を備えることにより、従来はモリブデンの腐食で発生する黒い粉状の錆が冷却水に混入したり、クリーンルーム内に拡散する問題を解決することが可能となった。またスパッタリングの際に問題となる、バッキングプレート自体の強度、耐食性、冷却能及びバッキングプレートとターゲットとの接合強度についても、低熱膨張、高熱伝導度、高強度のモリブデン材料を用いて耐食処理を行った本願発明は効果がある。
これによってハイパワーでのスパッタリングにおいても、均一な成膜を可能とし、不良率を低減し、かつ生産効率を上げることができるという大きな効果を有する。またスパッタ装置の冷却水やクリーンルーム等の周辺環境を汚染させない高清浄度のスパッタリングターゲットの提供が可能となる。
粗化されたMo表面の例(実施例1)を示す図である。 加熱処理で膨れためっき膜(Mo表面に粗化なし)の外観を示す図である。 9点の厚みの測定ポイントの例示を示す図である。 粗化したMoに、Ni+Cuめっきした後の例を示す図である。 図のAは、めっきした後(まま)のRaを実測した表面の外観を、Bはめっきした後、平坦化した後のRaを実測した表面の外観を示す図である。 Moにめっきした断面を示す図であり、図のAは、めっきままの断面を、Bは平坦化後の断面を示す図である。
Arガスを導入したスパッタリング装置において、ターゲット側をカソードとし基板側をアノードとして、双方に電圧を印加し、Arイオンによるターゲットへの衝撃によりターゲット材を叩き出し、その飛来による基板への被覆方法、又はターゲットからスパッタされた原子がイオン化し、さらにスパッタを行ういわゆる自己スパッタによる被覆方法が、スパッタリング方法として既に知られている。
多くの場合、スパッタリングターゲットはバッキングプレートに接合し、かつ該バッキングプレートを冷却して、ターゲットの異常な温度上昇を防止し、安定したスパッタリングが可能なように構成されている。
このようなスパッタ装置において、生産効率を上げ、高速のスパッタリングが可能となるように、スパッタリングパワーを上昇させる傾向にある。バッキングプレートとスパッタリングターゲットは同質の材料を用いることは殆どない。通常、バッキングプレートは熱伝導性の良い材料であり、かつ一定の強度を持つ材料が使用される。
さらに、スパッタリング装置の中で、バッキングプレートを冷却し、このバッキングプレートを介してターゲットにかかる熱衝撃を吸収させている。しかし、その冷却にも限界がある。特に問題となるのは、ターゲットとバッキングプレートとの熱膨張の差異による剥離又はターゲットの変形(反り)である。
また、ターゲットはエロージョンを受け、形状に凹凸が生ずるが、高いパワーでスパッタリングを行う場合には、スパッタ時の熱により生じる熱応力が集中してターゲットが変形(反り)を起こしてユニフォーミテイが悪化すること、あるいはアーキングが起きて異常パーティクル発生が生じ、極端なケースではプラズマの発生が止まるという現象が生じる。
このような問題の解決のため、バッキングプレートの強度を高める、あるいは材質を変更して熱応力を軽減させる等の対策をとることが考えられるが、ターゲットの材質である低熱膨張材料との適合性の問題があり、これまで適切な解決方法が見出されていなかった。
反りの発生は、ターゲットとバッキングプレート材をロウ材の融点以上の温度でボンディングして冷却する場合にも発生する。
従来は、線膨張係数(CTE)が2.6×10−6/KであるSiに対して、バッキングプレートに、銅や無酸素銅(CTE:約17×10−6/K)が使用されていた。そのためバッキングプレート側が大きく収縮し、スパッタリング材料側に凸型に変形していた。その対策として、ターゲット部材とバッキングプレートの接合で使用される金属インジウム半田等のロウ材の層を厚くして緩和させる方法がとられることもあるが、大口径のターゲットでは限界があり、反りの抑制に十分とは言えなかった。
このようなことから、低熱膨張(CTE:3.7〜5.3×10−6/K)で熱伝導度の大きいモリブデン製のバッキングプレートを使用し、一定の効果が得られた。しかし、半導体用途のハイパワーなスパッタリングではターゲットの温度上昇を抑えるために、モリブデン製BPの裏面(スパッタ面と反対側)に冷却ジャケットを取り付けて水を循環させる必要がある。
ここで大きな問題が発生した。すなわち、冷却水と直接触れるモリブデンは容易に腐食し、黒い粉が発生するため、冷却水(循環水)や周辺装置に悪影響を及ぼす問題が生じた。このことから、Moの耐食性改善が必要となったが、この場合にもいくつか問題を生じた。
まずモリブデンは難めっき材料で容易にめっきできないこと、まためっき後にボンディングを行うためロウ材の融点以上にの高温に大気中で曝され、めっき膜が酸化変色すること、まためっき膜中に存在するピンホールを無くす必要あることなどである。これらは、逐一克服する必要がある。
以上から、低熱膨張材料からなるターゲットに接合するためのMo又はMo合金製バッキングプレートは、Mo又はMo合金製バッキングプレートを冷却する側(冷却面側:接合するターゲットの反対側)の表面に、Raが2μm以上で且つRyが15μm以上に粗化された粗化面を形成すること、そしてこの粗化面に耐食性の金属からなる単層又は多層の層を形成するものである。
ここでRa(算術平均粗さ)が2μm未満であると、十分なアンカー効果が得られず、またRy(最大高さ)は15μm未満であると、楔(くさび)となる深い結合が得られないため好ましくないので、従ってRa,Ry共に、上記の粗さに制御する必要がある。なお、Raの上限は10μm、Ryの上限は50μmとするのが望ましい。これは、表面粗化が大き過ぎる場合は、金属めっき層の膜厚調整や、その表面を平滑化する工程が困難になるからである。
耐食性の金属からなる層は、Cu、Ni、Cr、Ag又はAuから選択した金属めっきを使用することができる。なお、めっき層の厚さは、当然ではあるが、単層めっきの場合は、単層の厚さ、多層の場合は総厚を意味する。
めっきは、電気めっき、無電解めっき等の湿式めっき法又は乾式めっき法を使用することができるが、ある程度の厚さ、具体的には耐食性の金属からなるめっき層を20μm以上の厚さ、さらには50μm以上の厚さを有することが必要なので、生産効率から考えて、通常湿式めっき法を用いて形成する。ここで、層の厚さは20μm未満であると、めっき層に含まれるピンホールを介して短期間に腐食する可能性があるため好ましくないので、上記の数値とするのが望ましい。
前記Mo又はMo合金は、Moが主成分であり、80wt%以上であり、99.999wt%(5N)であるのが望ましい。合金元素に特に制限はないが、Cr0.7〜1.2wt%含有する合金を使用することができる。このMo又はMo合金は、強度が高くかつ熱伝導性に富む材料である。
耐食性の金属からなるめっき層を形成する際に注意すべきことは、上記にも述べたように、モリブデンは難めっき材料であることである。このことから、Mo又はMo合金製バッキングプレートのめっき表面を、Raが2μm以上で且つRyが15μm以上に粗化された粗化面を形成することである。これにより、耐食性の金属からなるめっき層の接着力を増加させることができる。
このようにして、耐食性の金属からなる層を備えたMo又はMo合金製バッキングプレートは、冷却水と直接触れるモリブデンの腐食を抑制することが可能となり、黒い粉が発生することなく、排水や周辺装置に悪影響を及ぼす問題を無くすことが可能となった。また、バッキングプレート自体の強度と冷却能及びバッキングプレートとターゲットとの接合強度を高めることができ、スパッタリングターゲットとバッキングプレートとの接合時又はスパッタリング時の熱影響により反り(変形)を効果的に抑制することが可能となり、これによりスパッタリング時にパーティクルが発生するという問題を解決することができる。
本願発明のMo又はMo合金製バッキングプレートは、角型にも適用できるが通常は円盤状であり、直径が330mm以上である大型のバッキングプレートに特に有効である。現状では、最大の径で530mmが確認されている。また、このような大型のバッキングプレートにおいても、前記耐食性の金属からなる層の面内ばらつきを50μm未満とすることできる。この点も、本願発明の特徴の一つである。
層の面内厚みのばらつきは、以下のように評価することができる。すなわち、厚みを、中心、中心から周縁までの1/2の距離で90°ごとに回転した4点、及び周縁から6mm中心側で、同様に90°ごとに回転した4点の、合計9点で測定した場合に、平均厚み[(t1+t2+・・・t9)/9]に対する最大、最小厚みが、左記平均厚みの半値未満のばらつき内で収まっていれば、面内厚みばらつきが50%未満と、評価することができる。
前記耐食性の金属からなる層の表面粗さRaは1.0μm以下であることが望ましい。めっき層を形成した状態では、表面粗さRaが1.5μmを超えるので、研磨することにより、上記の表面粗さRaは1.0μm以下に調整できる。これにより、バッキングプレート冷却ジャケットのO−リングを当てた時、水漏れしないシール面を確保できる。
上記のように作製したMo又はMo合金製バッキングプレートと低熱膨張材料からなるターゲットを接合し、本願発明のスパッタリングターゲット−バッキングプレート接合体得ることができる。低熱膨張材料からなるターゲットは、99.99wt%(4N)以上のシリコン、ゲルマニウム(CTE:5〜6×10−6/K)、カーボン(CTE:3〜4×10−6/K)又はこれらを主成分とする低熱膨張材料を使用してスパッタリングターゲット−バッキングプレート接合体とすることができる。しかし、接合するターゲット材は、上記に限定する必要がないことは、言うまでもない。また、ターゲットとバッキングプレートとの接合は、従来公知の技術を使用することができ、特に制限はない。なお、上記4Nとは、酸素、窒素、カーボン等のガス成分を除く金属不純物の量が0.01wt%以下のことを示す。
なお、ターゲットとバッキングプレートプレートの組立体を加工する際及びスパッタリング中にも、前記耐食性の金属からなるめっき層剥離が生じないという優れた効果を有する。スパッタリングターゲット−バッキングプレート接合体では、接合界面の接着強度を3kgf/mm以上とすることが可能である。本願発明は、このようなスパッタリングターゲット−バッキングプレート接合体を提供できる。
本願発明を、実施例及び比較例に基づいて説明する。なお、本実施例はあくまで一例であり、この例のみに制限されるものではない。すなわち、本発明に含まれる他の態様または変形を包含するものである。
(実施例1〜2、比較例1〜2)
難めっき材料であるモリブデンでは、通常の下地処理では十分に密着性のあるめっき膜を得ることができない。そこで適切な下地条件を見つけるために、50×50×2mmtのMoサンプルを用意し、サンドブラストやワイヤーブラシを用いて表面を粗化させた。表1の実施例1、実施例2は、ブラストサンドに炭化ケイ素#30を用いて圧縮空気圧を調整し投射材のスピードを変えて作製したものである。一連の粗さの測定は、ミツトヨ製のSurftest SJ−301を用いて行った。実施例1のRaは3.5μm、Ryは24μmとなり、実施例2のRaは4.2μm、Ryは35μmとなった。ここで図1は、実施例1のサンプル表面を、マイクロスコープで表面観察及び3D解析した結果である。
また、比較例1はワイヤーブラシで擦る処理、比較例2は投射材にアルミナ#120を用いてサンドブラストで作製したサンプルになる。比較例1のRaは0.4μm、Ryは3μmとなり、比較例2のRaは1.8μm、Ryは14μmとなった。
これらの下地粗化したサンプルは、最初にニッケルストライクめっきを厚さ約0.1μmまで行い、下地表面を活性化してニッケル膜を形成させた。次に総厚が約20〜25μmの範囲に入るように銅めっきを行い、表1に示した2種類の方法でめっき膜の密着性を評価した。
実施例1及び実施例2は、共にめっき膜の剥離や膨れはなかった。一方、比較例1は図2に示すようピーリング試験での剥離や、アニール試験での膨れが発生した。また比較例2は、ピーリング試験では剥離は生じなかったが、アニール試験では小さな膨れが僅かではあるが発生した。
これらの結果から、Mo表面の粗化は、Ra(算術平均粗さ)が2μm以上、且つRy(最大高さ)が15μmが必要であることが分かる。
(実施例3〜4、比較例3〜4)
めっき厚みの最適化を行うために、前項と同様に50×50×2mmtのMoサンプルを用意した。Mo表面の粗化は、炭化ケイ素#30を用いてサンドブラストを行った結果、表2に示すRaとRyになった。すなわち、実施例3のRaは3.4μm、Ryは22μmとなり、実施例4のRaは2.9μm、Ryは18μmとなった。
次に、めっきは、ニッケルストライクめっきを厚さ約0.1μmまで行った後、銅めっきの電析時間を調整し、実施例3はめっき層の総厚が20μm、実施例4は50μm、比較例3と比較例4は、それぞれ10μmと2μmになるよう作製した。
めっき膜の耐食性については、表2に示した2種類の方法でめっき膜の耐食性を評価した。実施例3及び実施例4は、恒温高湿槽での50日間の耐久試験後は腐食の症状は観察されなかった。一方、水中撹拌試験では、実施例3は45日後に下地のモリブデンが腐食したと思われる黒色部が生じた。実施例3のめっき厚みが20μmの場合は、スパッタリングターゲットのライフと考えられる30日を超す耐食性は有しているが、さらに実施例4のように50μm以上の方が、耐食性が向上する。
比較例3及び比較例4については、比較例3のRaは3.2μm、Ryは20μmであり、比較例4のRaは3.1μm、Ryは19μmとしたものである。また、めっきの総厚は、比較例3では10μm、比較例4では、2μmとしたものである。
表2のめっき膜の耐食性の評価に示すように、恒温高湿槽と水中撹拌試験のいずれも耐久性を満足させることはできず、めっき層の総厚は少なくとも20μm以上は必要と考えられる。
(実施例5、比較例5)
スパッタリングターゲットは、対象となるウエハに均一に成膜するために一回り大きいサイズになる。またターゲットを保持するバッキングプレートは、さらに一回り大きくなる。従って、直径300mmのシリコンウエハ用に使用されるスパッタリングターゲットのバッキングプレートは直径が500mmを超える。
そこで直径550mmで厚み20mmのMoディスクを用いて、バッキングプレートの形状に加工した後、めっきする面の下地を炭化ケイ素#30でサンドブラストして、Raが2μm以上で且つRyが15μm以上になるように粗化した。次にニッケルストライクめっきを厚さ約0.1μmまで行った後、電気めっきで銅が計算上80μmになるよう処理した。
実施例5では、電流密度が高いモリブデンディスクの周縁部でデンドライト状の異常析出や、めっき膜が極端に厚くなるのを避けるためにシリコンゴムシートを密着させたフードを取り付けた。このフードは様々な試験結果からめっきの厚み方向に15mm飛び出させた。めっき後は、図3で示した中心、中心と周縁の中間地点、及び周辺から6mm中心寄りの地点の合計9点のめっき層の厚みを測定し、平均厚みに対する最大、最小厚みのばらつきを算出した。
結果は、表3に示すように、実施例5ではめっき厚のばらつきは9点の平均厚みの±40%以内に収まっていた。
一方、フードなしで電気めっきした比較例5では、場所により大きく厚みが異なっており、薄い部分は耐食性が不十分な厚みとなっていた。
Mo下地を激しく粗化するために、実用可能な200μm以下の電気めっき程度では、めっき層の表面が十分に平滑にはならない。
図4は、50×50×2mmtのMo板にRaが3.2μm、Ryが25μmの表面粗化を行い、0.1μm厚みのニッケルストライクめっきと80μm厚みの銅めっきを行ったサンプルのめっき層を、マイクロスコープで表面観察及び3D解析を行った結果を示す。この時の表面粗さはRaが2.2μm、Ryが13μmであった。
バッキングプレートに冷却ジャケットを取り付けて水冷する場合、この表面粗さではO−ringを押し当てた時のシール性が不十分で水圧が高圧となった場合は水漏れの危険がある。そこで表面粗さをRa1.0μm以下にすることが望ましい。
図5は、左半分(A)がめっきまま、右半分の(B)めっき層の表面粗さを1.0μm以下に平坦化した外観写真である。また図6は、その断面を示しており、めっきままの表面は粗化された下地の凹凸に合わせて上下にうねっているが、平坦化後はフラットになっているのが分かる。
スパッタリングターゲットとする場合、ターゲット材料をボンディングしてからバッキングプレートにめっきを行う場合と、バッキングプレートに先にめっきを行ってからターゲット材料をボンディングする場合の2通りがある。
後者の場合は、ボンディング時に大気中で200℃前後まで加熱するために、光沢のあるめっき層が赤黒く酸化してしまう問題がある。
この場合、改めて表面を研磨してめっき材料の新生面を出して外観を改善する必要がある。従って製品のめっき厚みを制御する際は、ボンディング後に除去する酸化層の厚みを考慮する。酸化層の除去とシーリング性能を高める平坦化の処理は、同時に行っても良い。ちなみに、ボンディングでの200℃の加熱は、めっき膜のピンホールを低減させて良質なめっき膜に改善する効果が確認されている。
ボンディング後の酸化層を削り過ぎてめっき層が薄くなり過ぎるのを避け、より確実な厚みの品質管理を行う手法として、Cu、Ni、Cr、Ag又はAuで表面の色が異なるめっきを複数組み合わせて多層にしてもよい。
例えば、0.1μmのニッケルストライクめっきの後、Cuを50μm、ニッケルを10μm、さらにCuを50μmめっきする。ボンディングで最表層のCuが酸化した時に新生面を出すために研磨した時に、銅色から灰色のニッケルに変化すれば、その部分のめっき厚みは薄くなっていることを確認(認知)できる。このような手法は、めっき厚みのばらつきが生じやすい大口径のモリブデンに特に有効である。
本発明は、低熱膨張材料からなるターゲットに接合するためのMo又はMo合金製バッキングプレートであり、当該Mo又はMo合金製バッキングプレートを冷却する側(スパッタ面と反対側)の表面に、Raが2μm以上で且つRyが15μm以上に粗化された粗化面と、該粗化面に耐食性の金属であるCu、Ni、Cr、Ag又はAuから選択した単層又は多層の層を備えることを特徴とする。
スパッタリングの際に特に問題となるのは、スパッタリングターゲットの反り、接合強度、バッキングプレートの耐食性であり、ターゲット材とバッキングプレートの熱膨張差を小さくし、接合時又はスパッタリング時の熱影響により反り(変形)が低減するとともに、接合界面の内部歪みを抑制した。また水冷するモリブデンが腐食し、スパッタ装置の周辺環境を汚染するという問題があるが、本願発明は、これを克服できる優れた効果を有する。
そして、これによりスパッタリングの安定性に優れ、パーティクルが少なく、基板全体に均一な薄膜を形成できるスパッタリングターゲットの提供が可能となる。またハイパワーでのスパッタリングにおいても、スパッタ装置の周辺環境をクリーンに保ち、均一な成膜を可能とし、また不良率を低減し、かつ生産効率を上げることができるという大きな効果を有し、産業上極めて有効である。

Claims (8)

  1. 室温での線膨張係数が6X10−6/K以下の低熱膨張材料からなるターゲットに接合するためのMo又はMo合金製バッキングプレートであって、当該Mo又はMo合金製バッキングプレートを冷却する側(冷却面側)の表面に、Raが2μm以上で且つRyが15μm以上に粗化された粗化面と、該粗化面に耐食性の金属であるCu、Ni、Cr、Ag又はAuから選択した単層又は多層の、20μm以上の厚さの層を備えることを特徴とするMo又はMo合金製バッキングプレート。
  2. 前記耐食性の金属からなる層は、50μm以上の厚さを有することを特徴とする請求項1記載のMo又はMo合金製バッキングプレート。
  3. Mo又はMo合金製バッキングプレートが円盤状であり、直径が330mm以上であることを特徴とする請求項1又は2のいずれかに記載のMo又はMo合金製バッキングプレート。
  4. 前記耐食性の金属からなる層の面内厚みばらつきが50%未満とすることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のMo又はMo合金製バッキングプレート。
  5. 前記耐食性の金属からなる層の表面粗さRaが1.0μm以下であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のMo又はMo合金製バッキングプレート。
  6. 前記Mo合金は、Moを80wt%以上含有する合金であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のMo合金製バッキングプレート。
  7. 前記請求項1〜6のいずれかに記載のMo又はMo合金製バッキングプレートと低熱膨張材料からなるターゲットを接合したことを特徴とするスパッタリングターゲット−バッキングプレート接合体。
  8. 低熱膨張材料からなるターゲットが、99.99wt%(4N)以上のシリコン、ゲルマニウム、カーボンのいずれかの単一材料又はこれらを95wt%以上含む複合材料あることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載のスパッタリングターゲット−バッキングプレート接合体。
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