JP2013169046A - 電動機の制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】電動機での脱調発生を的確に検知でき、電動機の性能を十分に活かしきれる電動機の制御装置を提供する。
【解決手段】CPU11は、各相に発生したスパイク電圧の幅(スパイク角度)を記憶するとともに、スパイク電圧波形を使用してスパイク検出信号を生成する。CPU11は、スパイク検出信号の立ち上がり/立ち下がりを割り込み処理で検出する。CPU11は、スパイク検出信号の立ち上がり/立ち下がりを所定回数検出できない場合は、最後に記憶したスパイク角度が所定角度以上であるか否かを判断し、スパイク角度が所定角度以上であれば脱調が発生したと判断して脱調保護制御を実行する。また、スパイク角度が所定角度以上でなければ、ブラシレスDCモータ200の制御を継続する。
【選択図】図1

Description

本発明は、電動機の制御装置に関わり、詳細にはインバータ制御によって駆動する電動機の制御装置に関する。
従来、空気調和機や冷蔵庫等に搭載される圧縮機は電動機を備えており、電動機としては、例えば、センサレス型の3相ブラシレスDCモータのような、インバータ制御によって駆動するものが適用されることが多い。そして、ブラシレスDCモータの制御方式としては、ブラシレスDCモータを駆動する制御装置に備えられたインバータ回路のスイッチング素子をPWM(Pulse Width Modulation)方式でスイッチング制御するものが知られている。
矩形波駆動によりブラシレスDCモータを駆動しているときは、ブラシレスDCモータの非通電相に誘起電圧が発生するが、この誘起電圧以上の電圧をインバータ回路から供給することでブラシレスDCモータの回転を継続させる。しかし、非通電相に発生する誘起電圧がインバータ回路からの供給電圧よりも高くなると、ブラシレスDCモータの回転数を上昇させることができなくなる。このような場合には、ブラシレスDCモータに供給する電流の位相を誘起電圧に対し進み位相にすることにより、誘起電圧が高い状態でも更に多くの電流をブラシレスDCモータに供給して回転数を上昇させる弱め界磁制御方式を用いて、ブラシレスDCモータの駆動制御を行う(例えば、特許文献1)。
ところで、上記のようなブラシレスDCモータでは、モータのトルク不足(過負荷)等に起因して脱調が発生するおそれがあり、脱調が発生すれば、例えば、ブラシレスDCモータへの通電を止めてブラシレスDCモータを停止させる脱調保護制御を行う必要がある。
矩形波駆動を行っているブラシレスDCモータでは、通電切り替えによって非通電相に還流電流が流れ、これに起因して各相にはスパイク電圧が発生する。このスパイク電圧は、ブラシレスDCモータの各相の電圧波形にスパイク状の波形(以後、スパイク電圧波形と記載)として現れるが、このスパイク電圧波形を用いて脱調発生を検知する方法が提案されている。
脱調が発生すれば、還流電流が流れる時間(還流電流時間)が長くなり、スパイク電圧の発生時間も長くなる。また、ブラシレスDCモータの制御手段は、ブラシレスDCモータに関する様々な処理を並列で行っており、スパイク電圧の検出は、所定のタイミング、例えば、インバータ回路を構成するスイッチング素子をオンするタイミングで実行する割り込み処理により行っている。
従って、スパイク電圧の発生時間が脱調により長くなって、スパイク電圧を検出する割り込み処理を行う期間が終了した後にスパイク電圧波形の立ち上がり/立ち下がりがくれば、スパイク電圧波形の立ち上がり/立ち下がりを検出できなくなる。この状態が所定回数、例えば5回連続して発生すれば、制御手段はブラシレスDCモータで脱調が発生したと判断し、脱調保護制御を実行する。
特開2003−199382号公報(第4〜5頁、第5図、第6図)
上述したように、ブラシレスDCモータの制御手段は、スパイク電圧波形の立ち上がり/立ち下がりを検出する割り込み処理を含めてブラシレスDCモータに関する様々な処理を並列で行っている。制御手段で並列に実行する処理が多く制御手段に大きな負荷が加わっている場合は、スパイク電圧波形の立ち上がり/立ち下がりの検出する割り込み処理を実行するタイミングとなっても、実際にスパイク電圧波形の立ち上がり/立ち下がりを検出する動作が遅れることがある。
また、ブラシレスDCモータに加えられる負荷が軽減されたときは、ブラシレスDCモータで脱調が発生した場合とは逆にスパイク電圧の発生時間が短くなることがある。スパイク電圧の発生時間が短くなったときに上記のように制御手段でスパイク電圧波形の立ち上がり/立ち下がりの検出する動作に遅れが発生すれば、スパイク電圧波形の立ち上がり/立ち下がりの検出する割り込み処理を行う前にスパイク電圧波形の立ち上がり/立ち下がりがくることとなり、スパイク電圧波形の立ち上がり/立ち下がりを検出できなくなる虞がある。
しかし、従来のブラシレスDCモータでは、スパイク電圧波形の立ち上がり/立ち下がりを検出できない状態が所定回数連続して発生すれば、その原因に関わらず脱調保護制御を実行していた。従って、制御手段で実行するスパイク電圧波形の立ち上がり/立ち下がりを検出する割り込み処理の遅れによってスパイク電圧波形の立ち上がり/立ち下がりを検出できない場合、つまり、脱調が発生している可能性が低い場合であっても、脱調保護制御を実行してブラシレスDCモータを停止していたので、不必要にブラシレスDCモータを停止させていた。
本発明は以上述べた問題点を解決するものであって、電動機での脱調発生を的確に検知でき、電動機の性能を十分に活かしきれる電動機の制御装置を提供することを目的とする。
上記の課題を解決するために、本発明の電動機の制御装置は、直流電力をインバータによって交流電力に変換して電動機に供給し、電動機の回転制御を行うものであって、電動機の各相への通電切り替えの際に発生する還流電流に起因して発生するスパイク電圧を検出してスパイク電圧の発生時間を記憶するとともに、スパイク電圧の波形であるスパイク電圧波形を用いてスパイク検出信号を生成するものである。そして、電動機の制御装置は、スパイク検出信号の立ち上がりあるいは立ち下がりを検出できないときに、最後に検出して記憶したスパイク電圧の発生時間を読み出し、この発生時間が所定時間以上である状態が所定回数続いた場合は、電動機が脱調したと判断して電動機を停止する脱調保護制御を行うものである。
上記のように構成した本発明の電動機の制御装置は、生成したスパイク検出信号および記憶したスパイク電圧の発生時間を用いて電動機での脱調発生を的確に検知できるので、脱調発生の誤検知による不必要な電動機の停止を回避することができる。
本発明の実施例における、ブラシレスDCモータの制御装置の構成を示すブロック図である。 本発明の実施例における、弱め界磁制御を行っている場合のブラシレスDCモータの挙動を説明するためのタイミングチャートである。 弱め界磁制御を行っているときに脱調が発生した場合の、ブラシレスDCモータの挙動を説明するためのタイミングチャートである。 弱め界磁制御を行っているときに、制御手段での処理に起因してスパイク検出信号が検出できなかった場合の、ブラシレスDCモータの挙動を説明するためのタイミングチャートである。 本発明の実施例における、ロータの位置検出が行えない場合の処理を説明するフローチャートである。
以下、本発明の実施の形態を、添付図面に基づいて詳細に説明する。実施例としては、空気調和機の室外機に搭載される圧縮機のブラシレスDCモータを駆動制御する制御装置を例に挙げて説明する。尚、本発明は以下の実施形態に限定されることはなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲で種々変形することが可能である。
制御装置100の制御対象であるブラシレスDCモータ200は、三相(U相、V相、W相とする)の巻線を有する中空形状のステータと、ステータの中空内部に配設され、四極の永久磁石を有して回転するロータとを備えた三相四極のセンサレス型のブラシレスDCモータである。このブラシレスDCモータ200として、ロータの内部に永久磁石を埋め込んだIPM(Interior Parmanent Magnet)モータを適用してもよいし、ロータの表面に永久磁石を配設したSPM(Surface Permanent Magnet)モータを適用してもよい。
制御装置100は、交流電力を供給する交流電源1と、交流電源1から供給された交流電力を直流電力に変換するコンバータ回路2と、コンバータ回路2で変換した直流電力を平滑化する平滑コンデンサ3と、平滑コンデンサ3で平滑化した直流電力を用いてブラシレスDCモータ200を矩形波駆動するインバータ回路4(インバータ手段の少なくとも一部をなす)と、ブラシレスDCモータ200の各巻線電圧(モータ端子電圧)を、各巻線からそれぞれ抵抗を介して合成し、この合成点とグランドとの間に接続した抵抗で分圧することによって得られるモータ仮想中性点電圧を出力する仮想中性点電圧回路6と、仮想中性点電圧回路6が出力したモータ仮想中性点電圧を基準電圧と比較して両電圧の交点(ゼロクロス点)を求め、この求めた交点からロータの位置を検出する位置検出回路8と、位置検出回路8などからの信号に基づいてブラシレスDCモータ200の制御を行う制御手段10と、制御回路10が出力する制御信号をもとにインバータ回路4を介してブラシレスDCモータ200を駆動するモータ駆動回路7と、を備える。
平滑コンデンサ3とインバータ回路4との間には、インバータ回路4の母線電流を検出するシャント抵抗5が接続されている。電流検出回路9は、シャント抵抗5の両端の電圧を検出する。電流検出回路9は、入力した電圧からインバータ回路4の母線電流を算出し、算出した母線電流は、制御手段10が有するA/D変換部14を介して後述するCPU11に入力される。
インバータ回路4は、上アームに3個のスイッチング素子41U1、41V1、41W1、下アームに3個のスイッチング素子41U2、41V2、41W2、の計6個のスイッチング素子を有しこれらがブリッジ接続されて三相ブリッジ回路を構成している。これら6個のスイッチング素子(以下、個別に言及する場合を除きスイッチング素子41と記載する)は、例えば、IGBT(絶縁ゲートバイポーラトランジスタ)、MOSFET(電界効果トランジスタ)等によって実現することができる。各スイッチング素子41には還流ダイオード42が並列に接続されており、具体的には、スイッチング素子41のエミッタ端子に還流ダイオード42のアノード端子が接続され、スイッチング素子41のコレクタ端子に還流ダイオード42のカソード端子が接続されている。還流ダイオード42は、対応するスイッチング素子41がスイッチをオフした瞬間に非通電相となるブラシレスDCモータ200のステータ巻線に蓄積されたエネルギーによって発生する還流電流を、入力電源側に流す機能を有する。
制御手段10は、ブラシレスDCモータ200の回転数を制御するCPU11と、CPU11からの指令に基づいてPWM(Pulse Width Modulation)波形を生成し、生成したPWM波形をモータ駆動回路7へ出力するPWM生成部12と、各種処理を実行するための制御用プログラム等が予め記憶されたROM(Read Only Memory)および各種処理の演算パラメータやデータ等を記憶するRAM(Ramdom Access Memoly)とからなる記憶部15と、入力部13と、A/D変換部14とを有する。
次に、上述した構成を有する制御装置100を用いて実現されるブラシレスDCモータ200の制御方法について説明する。位置検出回路8は、仮想中性点電圧回路6を介して取り込んだブラシレスDCモータ200の非通電相に発生する誘起電圧と基準電圧とを比較し、両者の交点(ゼロクロス点)を検出する。そして、位置検出回路8は、検出したゼロクロス点に基づいて位置検出信号を生成し制御手段10に出力する。
入力部13を介してロータの位置検出信号を入力したCPU11は、この位置検知信号を用いてブラシレスDCモータ200のモータ回転数(実回転数)を算出する。また、CPU11は、算出したモータ回転数と室外機の制御部から出力された回転数(周波数)目標値との差、および、電流検出回路9から入力したインバータ回路4の母線電流値からPWM波形のデューティ比を算出し、算出したデューティ比を含む回転数指示信号をPWM生成部12に出力する。さらには、CPU11は、入力した位置検知信号を用いて、転流タイミングおよびインバータ回路4のどのスイッチング素子41のオン/オフを切り替えるかについての情報を含む転流信号をPWM生成部12に出力する。
CPU11から回転数指示信号および転流信号を入力したPWM生成部12は、回転数指示信号に含まれるデューティ比となるPWM波形を生成するとともに、転流信号に含まれる転流タイミングおよびインバータ回路4のどのスイッチング素子41のオン/オフを切り替えるかについての情報から通電切り替え信号を生成する。そして、PWM生成部12は、生成したPWM波形を同じく生成した通電切り替え信号に重畳した駆動信号を生成し、モータ駆動回路7に出力する。
PWM生成部12から駆動信号を入力したモータ駆動回路7は、入力した駆動信号に基づくモータ駆動信号を生成し、インバータ回路4へ出力する。モータ駆動回路7からモータ駆動信号を入力したインバータ回路4は、平滑コンデンサ3で平滑化した直流電圧および入力したモータ駆動信号を用いて三相の矩形波電圧を生成し、この各矩形波電圧を所定の通電タイミングでブラシレスDCモータ200に印加する。
尚、以下の説明では、上記のようにロータの位置検出結果に応じてブラシレスDCモータ200の駆動制御を行う場合を、通常制御と記載する。
上記のようにブラシレスDCモータ200の制御を行うことにより、ブラシレスDCモータ200の回転数が目標回転数となるように制御する。PWM方式では、駆動信号に重畳するPWM制御のデューティ比が増加するにしたがって通電切り替えタイミングの電気的な位相(通電位相)が進んでモータ回転数が上昇する。そして、PWM波形のデューティ比が100%に達した後、さらにモータ回転数を上げるためには、ブラシレスDCモータ200に供給する電流の位相を誘起電圧に対し進み位相にすることにより、誘起電圧が高い状態でも更に多くの電流をブラシレスDCモータ200に供給することが可能となり、これによりブラシレスDCモータ200の回転数を上昇させる弱め界磁制御を実行する。
次に、制御装置100を用いて実現されるブラシレスDCモータ200の弱め界磁制御および弱め界磁制御行っているときの脱調検出方法について、図1乃至図4を用いて具体的に説明する。ブラシレスDCモータ200の回転数を、PWM制御のデューティ比が100%に達した後さらに上昇させる場合は、制御手段10のCPU11は、通常制御からブラシレスDCモータ200の各相の通電位相の位相角を進める弱め界磁制御に移行する。
図2は、CPU11が弱め界磁制御を行っているときの、制御装置100の挙動を説明するためのタイミングチャートである。図2において、駆動信号はインバータ回路4の各スイッチング素子41のオン/オフを行うための信号を示しており、駆動信号(U1)はスイッチング素子41U1のベースに供給されるもの、駆動信号(V1)はスイッチング素子41V1のベースに供給されるもの、駆動信号(W1)はスイッチング素子41W1のベースに供給されるもの、をそれぞれ示している。また、駆動信号(U2)はスイッチング素子41U2のベースに供給されるもの、駆動信号(V2)はスイッチング素子41V2のベースに供給されるもの、駆動信号(W2)はスイッチング素子41W2のベースに供給されるもの、をそれぞれ示している。
CPU11がブラシレスDCモータ200の弱め界磁制御を行うときは、ブラシレスDCモータ200を通常制御にて駆動する場合の転流タイミングより所定の電気角(予め決定されて記憶部15に記憶されている)だけ早く転流するよう、上記各駆動信号をインバータ回路4に供給する。これにより、ブラシレスDCモータ200の各相の通電位相の位相角を進めて弱め界磁制御を実行している。
図2において、電圧波形はブラシレスDCモータ200が弱め界磁制御にて駆動しているときの、各相の電圧の変化(0からインバータ4に印加される電圧Vpとの間で変化する)を示しており、UN電圧波形はブラシレスDCモータ200のU相コイルにおける電圧変化、VN電圧波形はブラシレスDCモータ200のV相コイルにおける電圧変化、WN電圧波形はブラシレスDCモータ200のW相コイルにおける電圧変化、をそれぞれ示している。
各相の電圧波形には、非通電時に各相に流れる還流電流によるスパイク電圧が、図2に示すようなスパイク電圧波形として現れる。スパイク電圧は、インバータ回路4の下アームを構成するスイッチング素子41U2、41V2,41W2がオンからオフに切り替わった場合、および、上アームを構成するスイッチング素子41U1、41V1、41W1がオンからオフに切り替わった場合に、それぞれ発生する。
具体的には、UN電圧波形においては、駆動信号(U2)がオンからオフに切り替わったときにスパイク電圧波形(U2)が、駆動信号(U1)がオンからオフに切り替わったときにスパイク電圧波形(U1)が、それぞれ現れる。また、VN電圧波形においては、駆動信号(V2)がオンからオフに切り替わったときにスパイク電圧波形(V2)が、駆動信号(V1)がオンからオフに切り替わったときにスパイク電圧波形(V1)が、それぞれ現れる。また、WN電圧波形においては、駆動信号(W2)がオンからオフに切り替わったときにスパイク電圧波形(W2)が、駆動信号(W1)がオンからオフに切り替わったときにスパイク電圧波形(W1)が、それぞれ現れる。
尚、以下の説明では、上記各相の電圧波形に発生するスパイク電圧波形の幅、つまり、スパイク電圧の発生時間を電気角に換算したスパイク角度で表わす。図2では、スパイク電圧波形(U1)およびスパイク電圧波形(U2)に対応するスパイク角度をRu、スパイク電圧波形(V1)およびスパイク電圧波形(V2)に対応するスパイク角度をRv、スパイク電圧波形(W1)およびスパイク電圧波形(W2)に対応するスパイク角度をRw、としている。CPU11は、各相に発生するスパイク角度を記憶部15に上書きして記憶している。
スパイク検出信号は、上述した各スパイク電圧波形を用いてCPU11が生成するものである。具体的には、CPU11は、スイッチング素子41U2、41V2、41W2がそれぞれオンからオフに切り替わったときに発生するスパイク電圧波形(U2)、(V2)、(W2)がVp→0となるとき(以後、立ち下がりと記載)、および、スイッチング素子41U1、41V1、41W1がそれぞれオンからオフに切り替わったときに発生するスパイク電圧波形(U1)、(V1)、(W1)が0→Vpとなるとき(以後、立ち上がりと記載)とを検出し、これらを用いて図2に示すようなスパイク検出信号を生成する。
検出許可は、CPU11が生成したスパイク検出信号の立ち上がり/立ち下がりを割り込み処理によって検出するタイミングを示すものである。図2に示すように、検出許可はスイッチング素子41U1、41V1、41W1がそれぞれオフからオンに切り替わるときに同期して禁止→許可とするものであり、スパイク検出信号の立ち上がり/立ち下がりを検出すれば、許可→禁止となる。尚、この検出許可は、禁止→許可となってから所定時間(図3に示す最大許可時間Tm)までの間にスパイク検出信号の立ち上がり/立ち下がりを検出できない場合も、許可→禁止となる。
ブラシレスDCモータ200を弱め界磁制御で駆動しているとき、脱調が発生せずに正常に駆動制御が行えている場合は、各相に発生するスパイク電圧のスパイク角度は一定(Ru=Rv=Rw)であり、スパイク検出信号も一定の周期で立ち上がり/立ち下がりを繰り返す。従って、CPU11は、スパイク検出信号の立ち上がり/立ち下がりを検出できていれば、ブラシレスDCモータ200で脱調が発生していないと判断できる。
一方、ブラシレスDCモータ200で脱調が発生してスパイク角度が大きくなる場合は、スパイク検出信号の幅が広くなり、CPU11が割り込み処理で検出許可としている間にスパイク検出信号の立ち上がり/立ち下がりを検出できない虞がある(以下、脱調状態と記載)。また、CPU11に大きな負荷が加わっていて実際にスパイク電圧波形を検出する動作が遅れ、かつ、ブラシレスDCモータ200に加えられる負荷が軽減されてスパイク角度が小さくなる場合も、スパイク検出信号の立ち上がり/立ち下がりを検出できない虞がある(以下、検出不可状態と記載)。
従来のブラシレスDCモータの制御装置において、上記のようにスパイク検出信号を生成してその立ち上がり/立ち下がりを検出することによって脱調発生を検知する場合は、スパイク検出信号の立ち上がり/立ち下がりを検出できない原因に関わらず、つまり、脱調状態であるか検出不可状態であるかに関わらず、スパイク検出信号の立ち上がり/立ち下がりを所定回数連続して検出できなければ脱調が発生したと判断し、脱調保護制御を行っていた。
これに対し、本発明のブラシレスDCモータ200の制御装置100では、以下に説明する方法により、スパイク検出信号の立ち上がり/立ち下がりを所定回数連続して検出できないときに、その原因が
ブラシレスDCモータ200の脱調であるか否かを判断し、脱調が発生したと判断すれば脱調保護制御を行う。
まず、ブラシレスDCモータ200で脱調が発生している場合(脱調状態)について、図3を用いて説明する。尚、図3において、図2と同じ用語や記号については詳細な説明を省略する。
ブラシレスDCモータ200で脱調が発生したとき、各相の電圧波形に現れるスパイク電圧のスパイク角度は大きくなる。スパイク角度が大きくなれば、これに伴ってCPU11が生成したスパイク検出信号の幅も広がる。このとき、スパイク検出信号の幅が、検出許可の最大許可時間Tmの間に検出できないほど広がっている場合は、CPU11はスパイク検出信号の立ち上がりを検出できない。尚、図3では、例としてUN電圧波形に現れるスパイク電圧波形(U1a)に対応するスパイク角度がRua(>Ru)と大きくなって、CPU11がスパイク検出信号の立ち上がりを検出できないことを示している。尚、図3において、スパイク電圧波形(U1a)に対応する検出できないスパイク検出信号の立ち上がりを破線で示すとともに「○」を付与している。
CPU11は、スパイク検出信号の立ち上がり/立ち下がりが検出できないとき、記憶部15に記憶しているスパイク角度を読み出す。前述したように、CPU11は、検出許可のタイミングでスパイク検出信号の立ち上がり/立ち下がりを検出できたときにこれに対応するスパイク角度を記憶部15に上書き記憶するので、図3の場合では、「○」を付与した検出できないスパイク検出信号の立ち上がりの直前のスパイク検出信号の立ち下がり(「◎」を付与したもの)に対応するスパイク電圧のスパイク角度、つまり、VN検出電圧に現れるスパイク電圧波形(V2j)に対応するスパイク角度Rvj1を読み出す。
また、CPU11は、記憶部15に予め記憶されておりブラシレスDCモータ200が脱調しているか否かを判断するための閾値である脱調判断角度Rs(例えば、電気角で24度)を読み出し、脱調判断角度Rsとスパイク角度Rvj1とを比較してスパイク角度Rvj1が脱調判断角度Rs以上であるか否かを判断する。図3では、スパイク角度Rvj1が脱調判断角度Rs以上であるので、CPU11は、スパイク検出信号の立ち上がり/立ち下がりを検出できなかった回数:1回をカウントする。具体的には、図3において「○」を付与したスパイク検出信号の立ち上がりを検出する際の、検出許可の時間Tmが経過した時点で1回とカウントする。
ブラシレスDCモータ200が脱調している場合は、UN電圧波形のスパイク角度が大きくなった以降の各相のスパイク角度も大きくなるので、上記と同様に以降のスパイク検出信号の立ち上がり/立ち下がりも検出できない。図3では、スパイク電圧波形(U1a)の次にスパイク検出信号を生成する元となるWN電圧波形に現れるスパイク電圧波形(W2a)に対応するスパイク角度がRwa(>Rw)と大きくなり、この次の、VN電圧波形に現れるスパイク電圧波形(V1a)に対応するスパイク角度もRva(>Rv)と大きくなって、CPU11がこれらスパイク電圧波形(W2a)やスパイク電圧波形(V1a)に対応するスパイク検出信号の立ち上がり/立ち下がりも検出できないことを示している。尚、図3において、「○」を付与した検出できないスパイク検出信号の立ち上がり以降のスパイク検出信号は破線で示し、検出できない立ち上がり/立ち下がりには「△」を付与している。
CPU11は、最初に検出できなかったスパイク検出信号の立ち上がり以降についても、スパイク検出信号の立ち上がり/立ち下がりを検出できなかった場合は、その度に脱調判断角度Rsとスパイク角度Rvj1とを比較を行い、スパイク角度Rvj1が脱調判断角度Rs以上であれば、スパイク検出信号の立ち上がり/立ち下がりを検出できなかった回数をカウントしていく。そして、この回数が所定回数連続、例えば、5回連続すれば、CPU11は、ブラシレスDCモータ200が脱調したと判断し、モータ駆回路7に対してブラシレスDCモータ200への通電を停止するようPWM生成部12を介して指示し、ブラシレスDCモータ200を停止する脱調保護制御を実行する。
次に、CPU11に大きな負荷が加わっていて実際にスパイク電圧波形を検出する動作が遅れ、かつ、スパイク角度が小さくなっている場合(検出不可状態)について、図4を用いて説明する。尚、図4において、図2と同じ用語や記号については詳細な説明を省略する。
ブラシレスDCモータ200に加えられる負荷が軽減されたとき、各相の電圧波形に現れるスパイク電圧のスパイク角度が小さくなることがある。また、前述したように、CPU11はスパイク検出信号の検出を割り込み処理で行っており、CPU11に大きな負荷が加わっている場合は、図4に示すように、スイッチング素子41U1、41V1、41W1がオフからオンに切り替えるときに同期して禁止→許可としても、実際に検出ができるタイミングが、スイッチング素子41U1、41V1、41W1がオフからオンに切り替えるときより時間Trだけ遅れることがある。
例えば、図4に示すように、スパイク検出信号の立ち上がり/立ち下がりの検出タイミングが時間Trだけ遅れているとき、かつ、UN電圧波形に現れるスパイク電圧波形(U1b)に対応するスパイク角度がRub(<Ru)となりこれに基づいてCPU11が生成したスパイク検出信号の幅が狭くなったとき、CPU11はスパイク検出信号の立ち上がりを検出できない。尚、図4において、スパイク電圧波形(U1b)に対応する検出できないスパイク検出信号の立ち上がりを破線で示すとともに「○」を付与している。
CPU11は、スパイク検出信号の立ち上がり/立ち下がりが検出できないとき、記憶部15に記憶しているスパイク角度を読み出す。前述したように、CPU11は、検出許可のタイミングでスパイク検出信号の立ち上がり/立ち下がりを検出できたときにこれに対応するスパイク角度を記憶部15に上書き記憶するので、図4の場合では、「○」を付与した検出できないスパイク検出信号の立ち上がりの直前のスパイク検出信号の立ち下がり(「◎」を付与したもの)に対応するスパイク電圧のスパイク角度、つまり、VN検出電圧に現れるスパイク電圧波形(V2j)に対応するスパイク角度Rvj2を読み出す。
また、CPU11は、記憶部15に予め記憶されておりブラシレスDCモータ200が脱調しているか否かを判断するための閾値である脱調判断角度Rs(例えば、電気角で24度)を読み出し、脱調判断角度Rsとスパイク角度Rvj2とを比較してスパイク角度Rvj2が脱調判断角度Rs以上であるか否かを判断する。図4では、スパイク角度Rvj1が脱調判断角度Rs以上でないので、CPU11は、ブラシレスDCモータ200が脱調していないと判断し、ブラシレスDCモータ200の弱め界磁制御を継続する。
UN電圧波形のスパイク角度が小さくなった以降も、各相のスパイク角度が小さくなる状態が続けば、上記と同様に以降のスパイク検出信号の立ち上がり/立ち下がりも検出できない。図4では、スパイク電圧波形(U1b)の次にスパイク検出信号を生成する元となるWN電圧波形に現れるスパイク電圧波形(W2b)に対応するスパイク角度がRwb(<Rw)と小さくなり、この次の、VN電圧波形に現れるスパイク電圧波形(V1b)に対応するスパイク角度もRvb(<Rv)と小さくなって、CPU11がこれらスパイク電圧波形(W2b)やスパイク電圧波形(V1b)に対応するスパイク検出信号の立ち上がり/立ち下がりも検出できないことを示している。尚、図4において、「○」を付与した検出できないスパイク検出信号の立ち上がり以降のスパイク検出信号は破線で示し、検出できない立ち上がり/立ち下がりには「△」を付与している。
CPU11は、最初に検出できなかったスパイク検出信号の立ち上がり以降についても、スパイク検出信号の立ち上がり/立ち下がりを検出できなかった場合は、その度に脱調判断角度Rsとスパイク角度Rvj2とを比較を行う。スパイク角度Rvj2が脱調判断角度Rs以上でなければ、CPU11は、ブラシレスDCモータ200が脱調していないと判断し、ブラシレスDCモータ200の弱め界磁制御を継続する。
次に、図5に示すフローチャートを用いて、本実施例におけるCPU11での処理の流れについて説明する。図5に示すフローチャートは、ブラシレスDCモータ200での脱調発生を検知する場合の処理の流れを説明するものであり、STはステップを表しこれに続く番号はステップ番号を表している。
尚、図5では本発明に関わる処理を中心に説明しており、ブラシレスDCモータ200を前述した通常制御にて駆動している場合等の、その他の処理については説明を省略している。
制御手段10のCPU11がブラシレスDCモータ200の駆動制御を開始し、スパイク検出信号の立ち上がり/立ち下がりを検出できなかった回数Nを0にリセットする(ST1)。次に、CPU11は、各相に現れたスパイク電圧波形からスパイク検出信号を生成する(ST2)。次に、CPU11は、スパイク検出信号の立ち上がり/立ち下がりを割り込み処理で検出できたか否かを判断する(ST3)。
スパイク検出信号の立ち上がり/立ち下がりを検出できれば(ST3−Yes)、CPU11は、検出した立ち上がり/立ち下がりに対応する相のスパイク電圧のスパイク角度を記憶部15に記憶し(ST9)、ST1に処理を戻す。
スパイク検出信号の立ち上がり/立ち下がりを検出できなければ(ST3−No)、CPU11は、記憶部15からスパイク角度Rj(本実施例ではRvj1やRvj2)と脱調判断角度Rs(本実施例では24度)とを読み出す(ST4)。次に、CPU11は、脱調判断角度Rs(本実施例では24度)とスパイク角度Rjとを比較し、スパイク角度Rjが脱調判断角度Rs以上であるか否かを判断する(ST5)。
スパイク角度Rjが脱調判断角度Rs以上でなければ(ST5−No)、CPU11は、ST1に処理を戻す。スパイク角度Rjが脱調判断角度Rs以上であれば(ST5−Yes)、CPU11は、スパイク検出信号の立ち上がり/立ち下がりを検出できなかった回数Nをカウント、つまり、前回までの回数Nに1を加算する(ST6)。
次に、CPU11は、スパイク検出信号の立ち上がり/立ち下がりを検出できなかった回数Nが所定回数Na(本実施例では5回)となったか否かを判断する(ST7)。回数NがNaとなっていなければ(ST7−No)、CPU11は、ST2に処理を戻す。回数NがNaとなっていれば(ST7−Yes)、CPU11は、ブラシレスDCモータ200への通電を停止する脱調保護制御を実行し(ST8)、処理を終了する。
以上説明したように、本発明の電動機の制御装置は、生成したスパイク検出信号および記憶したスパイク電圧の幅を用いて電動機での脱調発生を的確に検知できるので、脱調発生の誤検知による不必要な電動機の停止を回避することができる。
1 交流電源
2 コンバータ回路
3 平滑コンデンサ
4 インバータ回路
5 シャント抵抗
6 仮想中性点電圧回路
7 モータ駆動回路
8 位置検出回路
9 電流検出回路
10 制御手段
11 CPU
12 PWM生成部
13 入力部
14 A/D変換部
41U1、41U2 スイッチング素子
41V1、41V2 スイッチング素子
41W1、41W2 スイッチング素子
42 還流ダイオード
100 制御装置
200 ブラシレスDCモータ

Claims (2)

  1. 直流電力をインバータによって交流電力に変換して電動機に供給し、同電動機の回転制御を行う電動機の制御装置であって、
    前記電動機の制御装置は、前記電動機の各相への通電切り替えの際に発生する還流電流に起因して発生するスパイク電圧を検出して同スパイク電圧の発生時間を記憶するとともに、同スパイク電圧の波形であるスパイク電圧波形を用いてスパイク検出信号を生成し、
    前記電動機の制御装置は、前記スパイク検出信号の立ち上がりあるいは立ち下がりを検出できないときに、最後に検出して記憶した前記スパイク電圧の発生時間を読み出し、
    前記電動機の制御装置は、読みだした前記スパイク電圧の発生時間が所定時間以上である状態が所定回数続いた場合は、前記電動機が脱調したと判断することを特徴とする電動機の制御装置。
  2. 前記電動機が脱調したと判断した場合、同電動機を停止する脱調保護制御を行うことを特徴とする請求項1に記載の電動機の制御装置。
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