以下、本発明のハンドラー及び部品検査装置を具体化した第1及び第2実施形態について、図1〜図11を参照して説明する。なお、部品検査装置は、電子部品を搬送するハンドラーと、ハンドラーとは別体の装置であって電子部品の電気的特性を検査するテスターとを備えるものである。
[ハンドラー及び部品検査装置の構成]
まず、第1及び第2実施形態のハンドラー、及び該ハンドラーを備える部品検査装置に共通する全体構成について図1を参照して説明する。図1に示されるように、ハンドラー10の基台11には、各種ロボットの搭載される搭載面11aが上面として設けられ、該搭載面11aの大部分が、カバー部材12によって覆われている。これらカバー部材12と搭載面11aとにより囲まれた空間である搬送空間は、外部から供給されるドライエアにより湿度と温度とが所定の値に維持されている。
基台11の搭載面11aには、カバー部材12の外側と内側との間で電子部品Tを搬送する4つのコンベアーC1〜C4が配列されている。このうち、コンベアーの配列方向であるX方向の一方側には、カバー部材12の外側から内側に向かって検査前の電子部品Tを搬送する供給用コンベアーC1が敷設され、X方向の他方側には、カバー部材12の内側から外側に向かって検査後の電子部品Tを搬送する回収用コンベアーC2,C3,C4が敷設されている。これらのコンベアーC1〜C4では、複数の電子部品Tが各コンベアー上のデバイストレイC1a〜C4aに収容された状態で搬送される。
また、搭載面11aのうち、搬送空間の略中央には、搭載面11aを貫通する矩形状の開口部13が形成されている。この開口部13には、テスターのテストヘッド14が取り付けられている。テストヘッド14は、その上面に電子部品Tが嵌め込まれる検査用ソケットを有しており、該電子部品Tを検査するためのテスター内の検査回路に電気的に接続されている。このテスターにおいては、テストヘッド14と検査用ソケット14aとによって1つのステージが構成されている。
さらに、搭載面11aのうち、X方向と直交するY方向では、開口部13の両側に、検査前及び検査後の電子部品Tが一時的に載置される第1シャトル15と第2シャトル16とが配設されている。これらのシャトル15,16は、X方向に延びるように形成されており、その上面における上記供給用コンベアーC1側には、検査前の電子部品Tが収容される収容ポケット17,18が複数形成された供給用シャトルプレート15a,16aがそれぞれ固定されている。一方、シャトル15,16の上面における上記回収用コンベアーC2〜C4側には、検査後の電子部品Tが収容される回収用シャトルプレート15b,16bがそれぞれ固定されている。そして、これらシャトル15,16は、搭載面11aに固設されたX方向に延びるシャトルガイド15c,16cにそれぞれ連結されてX方向に沿って往動及び復動する。ハンドラー10においては、第1シャトル15と供給用シャトルプレート15aとによって1つのステージが構成されており、第2シャトル16と供給用シャトルプレート16aとによって1つのステージが構成されている。
基台11の搭載面11a上には、検査用ソケット14a、供給用シャトルプレート15a,16a、及び回収用シャトルプレート15b,16bの各々に電子部品Tを搬送するロボット機構が搭載されている。そして、ロボット機構を構成する供給ロボット20、搬送ロボット30、及び回収ロボット40の動作に合わせて、上述のシャトル15,16はシャトルガイド15c,16cに沿って移動する。
供給ロボット20は、供給用コンベアーC1上のデバイストレイC1aから、シャトル15,16上の供給用シャトルプレート15a,16aに検査前の電子部品Tを搬送するロボットであり、供給用コンベアーC1のY方向に配置されている。詳しくは、供給ロボット20は、Y方向に延びる固定軸である供給側固定ガイド21と、供給側固定ガイド21に対してY方向に往動及び復動可能に連結された供給側可動ガイド22と、供給側可動ガイド22に対してX方向に往動及び復動可能に連結された供給用ハンドユニット23とを有している。また、供給用ハンドユニット23は、その下端に電子部品Tを吸着する吸着部を有し、搭載面11a対して下降及び上昇可能に供給側可動ガイド22に連結されている。そして、供給側可動ガイド22及び供給用ハンドユニット23の移動により、デバイストレイC1aに載置された電子部品Tが、供給用ハンドユニット23の吸着部に吸着されて搬送され、供給用シャトルプレート15a,16aに載置される。
回収ロボット40は、シャトル15,16上の回収用シャトルプレート15b,16bから、回収用コンベアーC2〜C4上のデバイストレイC2a〜C4aに検査後の電子部品Tを搬送するロボットであり、回収用コンベアーC2〜C4のY方向に配置されている。詳しくは、回収ロボット40は、上述の供給ロボット20と同様、Y方向に延びる固定軸である回収側固定ガイド41と、回収側固定ガイド41に対してY方向に往動及び復動可能に連結された回収側可動ガイド42と、回収側可動ガイド42に対してX方向に往動及び復動可能に連結された回収用ハンドユニット43とを有している。また、回収用ハンドユニット43は、その下端に電子部品Tを吸着する吸着部を有し、搭載面11a対して下降及び上昇可能に回収側可動ガイド42に連結されている。そして、回収側可動ガイド42及び回収用ハンドユニット43の移動により、回収用シャトルプレート15b,16bに載置された電子部品Tが、回収用ハンドユニット43の吸着部に吸着されて搬送され、デバイストレイC2a〜C4aに載置される。
搬送ロボット30は、搬送空間の略中央に設置されたY方向に延びる固定軸である搬送ガイド31と、搬送ガイド31に対してY方向に往動及び復動可能に連結された第1搬送ユニット32及び第2搬送ユニット33とを有している。このうち、第1搬送ユニット32は、第1シャトル15上とテストヘッド14上との間を往復し、第2搬送ユニット33は、第2シャトル16上とテストヘッド14上との間を往復する。また、第1搬送ユニット32及び第2搬送ユニット33は、各々がその下端に電子部品Tを吸着する吸着部を有し、搭載面11a対して下降及び上昇可能に搬送ガイド31に連結されている。
そして、第1搬送ユニット32は、第1シャトル15上の供給用シャトルプレート15aに載置された検査前の電子部品Tを吸着部に吸着して搬送し、テストヘッド14の検査用ソケット14aに所定の押圧力で嵌め込む。検査用ソケット14aの底面には、電子部品Tの雄端子と嵌合可能な複数の雌端子が凹設されており、電子部品Tの有する雄端子が検査用ソケット14aの雌端子に嵌め込まれることによって、電子部品Tの電気的特性がテスターにより検査可能になる。テスターは、ハンドラー10から検査開始の指令を受けて電子部品Tの検査を開始し、その検査結果とともに検査の終了を示す信号をハンドラー10に出力する。こうして電子部品Tの検査が終了すると、第1搬送ユニット32は、検査後の電子部品Tをテストヘッド14の検査用ソケット14aから第1シャトル15上の回収用シャトルプレート15bへ搬送する。
同様に、第2搬送ユニット33は、第2シャトル16上の供給用シャトルプレート16aに載置された検査前の電子部品Tを吸着部に吸着して搬送し、テストヘッド14の検査用ソケット14aに所定の押圧力で嵌め込む。そして、テスターによる電子部品Tの検査が終了すると、第2搬送ユニット33は、検査後の電子部品Tを、テストヘッド14の検査用ソケット14aから第2シャトル16上の回収用シャトルプレート16bへ搬送する。このような第1搬送ユニット32及び第2搬送ユニット33によるテストヘッド14への電子部品Tの搬送は交互に行われ、電子部品Tがテスターによって順次検査されていく。
なお、供給用ハンドユニット23、回収用ハンドユニット43、第1搬送ユニット32及び第2搬送ユニット33は、複数の電子部品を同時に吸着保持するものであり、各々の吸着部は例えば真空吸着によって電子部品Tを吸着して把持することの可能なエンドエフェクターとして構成される。
ここで、本実施形態では、第1シャトル15の周囲に、搬送空間内で隔離され、第1シャトル15と供給用シャトルプレート15a及び回収用シャトルプレート15bとを収容する部屋を有する収容容器としての収容ボックス50が配設されている。同様に、開口部13及び開口部13に取り付けられたテストヘッド14の周囲には、搬送空間内で隔離され、テストヘッド14及び検査用ソケット14aを収容する部屋である検査ボックス51が配設されている。さらに、第2シャトル16の周囲には、搬送空間内で隔離され、第2シャトルと供給用シャトルプレート16a及び回収用シャトルプレート16bとを収容する部屋である収容ボックス52が配設されている。そして、これら収容ボックス50、検査ボックス51、及び収容ボックス52の各々において電子部品Tの冷却が行なわれる。
[第1実施形態における温度調整ユニットの構成]
次に、第1実施形態のハンドラー及び部品検査装置において、電子部品Tの温度を調整する温度調整ユニットについて説明する。まず、温度調整ユニットの構成について、図2を参照して説明する。なお、部品検査装置には、供給用シャトルプレート15a,16aの収容ポケット17,18に収容された電子部品Tの温度を調整する温度調整ユニット、テストヘッド14の検査用ソケット14aに収容された電子部品Tの温度を調整する温度調整ユニットが搭載されている。第1実施形態では、供給用シャトルプレート15aの収容ポケット17に収容される電子部品Tの温度を調整する温度調整ユニットを用いて説明する。
図2に示されるように、1つの温度調整ユニットは、供給用シャトルプレート15aに形成された複数の収容ポケット17のうち、2つの収容ポケット17A,17Bの温度を調整する。温度調整ユニットは、収容ポケット17A,17Bの温度を調整することで、該収容ポケット17A,17Bに収容される電子部品Tの温度を調整する。温度調整ユニットは、例えば、収容ポケット17A,17Bの温度が第1目標温度である例えば−45℃となるように調整する。また例えば、温度調整ユニットは、第1目標温度にある収容ポケット17A,17Bの温度が例えば18℃といった常温である第2目標温度になるように調整する。
温度調整ユニットにおいて、貯蔵タンク55には、第1の媒体である窒素が液相状態にある液体窒素が貯蔵されている。貯蔵タンク55には、共通路56を介して第1供給路57Aが接続されている。この第1供給路57Aは、収容ポケット17Aの直下を通るように第1シャトル15に形成された媒体流路58Aの流入端EnAに接続されている。第1供給路57Aには、第1の制御弁としての窒素供給バルブ59A(以下、単にバルブ59Aという。)が配設されており、このバルブ59Aは、第1供給路57Aを開閉して媒体流路58Aに対する第1の媒体の供給量を制御する。
また、貯蔵タンク55には、共通路56を介して第1供給路57Bが接続されている。第1供給路57Bは、第1供給路57Aと略等しい流路断面積を有する配管であって、収容ポケット17Bの直下を通るように第1シャトル15に形成された媒体流路58Bの流入端EnBに接続されている。第1供給路57Bには、第1の制御弁としての窒素供給バルブ59B(以下、単にバルブ59Bという。)が配設されており、このバルブ59Bは、第1供給路57Bを開閉して媒体流路58Bに対する第1の媒体の供給量を制御する。
すなわち、第1シャトル15は、媒体流路58Aと媒体流路58Bとに対して互いに異なる量の第1の媒体が供給可能となっていることから、収容ポケット17Aに対応する媒体流路58Aを有する支持部と、収容ポケット17Bに対応する媒体流路58Bを有する支持部とを有している。
これら第1供給路57A,57Bには、各バルブ59A,59Bの下流側に気化容器60が配設されている。気化容器60内は、第1供給路57A,57Bよりも流路断面積が大きい気化室61A,61Bに仕切られており、気化室61Aに第1供給路57Aの液体窒素が流入し、気化室61Bに第1供給路57Bの液体窒素が流入する。気化室61A,61Bに流入した液体窒素は、第1目標温度よりも低い温度の窒素ガスとなって気化容器60から流出する。そして、窒素ガスとなった第1の媒体は、媒体流路58A,58Bに流入して収容ポケット17A,17Bを直接的に冷却する。
また、第1シャトル15の内部には、各収容ポケット17A,17Bの直下に加熱ヒーター62A,62B(以下、単にヒーター62A,62Bという。)が備えられている。ヒーター62A,62Bは、収容ポケット17A,17Bを加熱する。また、各収容ポケット17A,17Bには、該収容ポケット17A,17Bの温度を検出する温度センサー63A,63Bが備えられている。そして、媒体流路58A,58Bを流通する窒素ガスによる冷却とヒーター62A,62Bによる加熱との協働によって、各収容ポケット17A,17Bが第1目標温度に制御される。
一方、媒体流路58Aの流出端ExAには、排出路64Aが接続されている。排出路64Aは、収容ボックス50に接続されており、媒体流路58Aから排出された窒素ガスを収容ボックス50に導入する。また、媒体流路58Bの流出端ExBには、排出路64Bが接続されている。排出路64Bは、接続部65において排出路64Aに接続されており、媒体流路58Bから排出された窒素ガスを排出路64Aに排出する。すなわち、収容ボックス50には、媒体流路58A,58Bから排出された窒素ガスが導入される。
排出路64Aには、排出路64Bとの接続部65よりも上流側に、媒体流路58Aから接続部65への気体の流れを許容し、且つ接続部65から媒体流路58Aへの気体の流れを抑止する逆止弁66Aが配設されている。同様に排出路64Bには、排出路64Bとの接続部65よりも上流側に、媒体流路58Bから接続部65への気体の流れを許容し、且つ接続部65から媒体流路58Bへの気体の流れを抑止する逆止弁66Bが配設されている。こうした逆止弁66A,66Bを設けることによって、例えば、媒体流路58Aから排出された媒体が排出路64Bを逆流して媒体流路58Bに流入すること、媒体流路58Bから排出された媒体が排出路64Aを逆流して媒体流路58Aに流入すること、これらを抑えることができる。
また、排出路64Aには、排出路64Bとの接続部65よりも下流側に加熱部としての熱交換器67が配設されている。熱交換器67は、いわゆるプレート式熱交換器であって、排出路64Aと、ドライエア供給源69からのドライエアであるパージエアが供給されるパージエア供給路70とが接続されている。熱交換器67では、排出路64Aを流通する媒体と、パージエア供給路70を流通するパージエアとが並行流となっており、これら媒体とパージエアとの間で熱交換が行なわれる。
また、排出路64Aには、熱交換器67の下流側に、熱交換器67から収容ボックス50への気体の流れを許容し、且つ収容ボックス50から熱交換器67への気体の逆流を抑止する逆止弁68が配設されている。こうした逆止弁68を設けることによって、排出路64Aを通じて、熱交換器67、媒体流路58A,58B、気化容器60に対し、収容ボックス50から窒素ガスよりも水分含有量の多いエアが流れ込むことを抑えることができる。その結果、バルブ59A,59Bが再び開状態に制御されたときに、逆止弁68よりも上流側にある熱交換器67や媒体流路58A,58B、気化容器60等、窒素ガスの流通経路において結露や氷結が発生することを抑えることができる。
ドライエア供給源69は、コンプレッサーや乾燥機で構成されており、部品検査装置の周辺にあるエアを圧縮し、乾燥させたうえでパージエア供給路70に供給する。パージエア供給路70に対する供給量は、パージエア供給路70の流路断面積を変化させるパージエア供給バルブ71(以下、単にバルブ71という。)によって制御される。パージエア供給路70は、収容ボックス50に接続されており、熱交換器67から流出したパージエアは、収容ボックス50に導入される。パージエア供給路70には、バルブ71と熱交換器67との間にパージエアを加熱するエアヒーター72が配設されている。熱交換器67には、このエアヒーター72によって加熱されたパージエアが供給される。
また、パージエア供給路70には、熱交換器67の下流側に、熱交換器67から収容ボックス50への気体の流れを許容し、且つ収容ボックス50から熱交換器67への気体の逆流を抑止する逆止弁73が配設されている。こうした逆止弁73を設けることによって、収容ボックス50から窒素ガスよりも水分含有量の多いエアが流れ込むことを抑えられ、熱交換器67及びパージエア供給路70を乾燥状態に維持することができる。
上記ドライエア供給源69は、上記パージエア供給路70の他、該ドライエア供給源69の生成するドライエアを第2の媒体である昇温ガスとして第2供給路75に供給する。この第2供給路75は、分岐部76において第2供給路75Aと第2供給路75Bとに分岐されている。第2供給路75Aは、第1供給路57Aに対して接続部77Aで接続され、第2供給路75Bは、第1供給路57Bに対して接続部77Bで接続されている。
第2供給路75における分岐部76よりも上流側には、第2供給路75の流路断面積を変化させて、第2供給路75に対する昇温ガスの供給量を制御する第2の制御弁としての昇温ガス供給バルブ78(以下、単にバルブ78という。)が配設されている。また、第2供給路75におけるバルブ78と分岐部76との間には、昇温ガスを第2目標温度である18℃よりも高い所定の温度である例えば60℃まで加熱する加熱部としてのエアヒーター79とが配設されている。すなわち、窒素供給バルブ59A,59Bが閉状態、且つバルブ78が開状態にある場合、第1供給路57A,57Bには、第2目標温度よりも高い温度の昇温ガスが流入することとなり、収容ポケット17A,17Bが昇温ガスによって直接的に加熱されることになる。
また、第2供給路75Aには、第2供給路75から第1供給路57Aに対する昇温ガスの流れを許容し、且つ第1供給路57Aから第2供給路75への窒素ガスの流れを抑止する抑止する抑止部としての逆止弁80Aが配設されている。同様に、第2供給路75Bには、第2供給路75から第1供給路57Bに対する昇温ガスの流れを許容し、且つ第1供給路57Bから第2供給路75への窒素ガスの流れを抑止する抑止部としての逆止弁80Bが配設されている。
[第1実施形態におけるハンドラー及び部品検査装置の電気的構成]
次に、第1実施形態におけるハンドラー及び部品検査装置の電気的構成について、ハンドラー10の電気的構成を中心に図3を参照して説明する。上記ハンドラー10に備えられた制御部を構成する制御装置85は、中央処理装置(CPU)、不揮発性メモリー(ROM)、及び揮発性メモリー(RAM)を有するマイクロコンピューターを中心に構成されている。制御装置85は、上記ROM及びRAMに格納された各種データ及びプログラムに基づいて、上述の供給ロボット20、搬送ロボット30、回収ロボット40といったロボット機構の動作をはじめとするハンドラー10にかかわる各種制御を統括的に行っている。また、制御装置85には、テスター88が電気的に接続されており、テスター88との間で電子部品Tの検査の開始や終了を示す信号の入出力を行っている。ここでは、制御装置85による制御のうち、収容ポケット17A,17Bに対応する温度調整ユニットにかかわる制御の態様について説明する。なお、制御装置85は、入出力装置86を介して入力される目標温度に関する情報に基づいて、温度調整ユニットに関わる各種制御を実行する。
制御装置85は、電子部品Tの目標温度が例えば−45℃である第1目標温度である場合には、収容ポケットを冷却する第1温度調整状態である冷却運転を実施する。また、制御装置85は、電子部品Tの目標温度が第1目標温度から例えば18℃といった常温である第2目標温度に切り替えられた場合には、収容ポケットを常温に復帰させる第2温度調整状態である常温復帰運転を実施する。
図3に示されるように、制御装置85には、バルブ駆動部87aと加熱ヒーター駆動部87bとエアヒーター駆動部87cとを有する温度調整ユニット駆動部87が電気的に接続されている。
まず、冷却運転に関し、バルブ駆動部87a、加熱ヒーター駆動部87b、エアヒーター駆動部87cによる各バルブ、各加熱ヒーター、各エアヒーターの駆動態様について説明する。
冷却運転において、バルブ駆動部87aは、制御装置85から入力された第1目標温度と、温度センサー63A,63Bの検出値とに基づいて、収容ポケット17A,17Bの温度が第1目標温度になるように、バルブ59A,59Bの各々の開閉時間を設定するとともに、該開閉時間を示す信号を各バルブ59A,59Bに出力する。バルブ59A,59Bは、入力された信号に応じた開閉を行うことで媒体流路58A,58Bの各々に対する窒素ガスの供給量を調整する。また、バルブ駆動部87aは、バルブ78が閉状態に維持されることを示す信号をバルブ78に出力する。また、バルブ駆動部87aは、バルブ71の開度を最大開度に維持することを示す信号をバルブ71に出力する。
冷却運転において、加熱ヒーター駆動部87bは、制御装置85から入力された第1目標温度と、温度センサー63A,63Bから入力された温度とに基づいて、収容ポケット17A,17Bの温度が目標温度になるように、ヒーター62A,62Bの各々に対して駆動電力を生成するとともに、該駆動電力を各ヒーター62A,62Bに出力し、ヒーター62A,62Bを駆動する。
冷却運転において、エアヒーター駆動部87cは、エアヒーター72,79のうち、エアヒーター72のみを駆動する。エアヒーター駆動部87cは、バルブ59A,59Bの開閉時間に基づいて、熱交換器67における窒素ガスとパージエアとの熱交換によって、これら窒素ガスとパージエアが常温となるように、エアヒーター72に対して駆動電力を生成するとともに、該駆動電力をエアヒーター72に出力し、エアヒーター72を駆動する。
次に、常温復帰運転に関し、バルブ駆動部87a、加熱ヒーター駆動部87b、エアヒーター駆動部87cによる各バルブ、各加熱ヒーター、各エアヒーターの駆動態様について説明する。
常温復帰運転において、バルブ駆動部87aは、バルブ59A,59Bが閉状態に維持されることを示す信号を各バルブ59A,59Bに出力する。また、バルブ駆動部87aは、バルブ78の開度を最大開度にすることを示す信号をバルブ78に出力する。また、バルブ駆動部87aは、バルブ71の開度を最大開度にすることを示す信号をバルブ71に出力する。
常温復帰運転において、加熱ヒーター駆動部87bは、制御装置85から入力された第2目標温度と、温度センサー63A,63Bから入力された温度とに基づいて、収容ポケット17A,17Bの温度が第2目標温度になるように、ヒーター62A,62Bの各々に対して駆動電力を生成するとともに、該駆動電力を各ヒーター62A,62Bに出力し、ヒーター62A,62Bを駆動する。
常温復帰運転において、エアヒーター駆動部87cは、エアヒーター72,79の双方を駆動する。エアヒーター駆動部87cは、媒体流路58A,58Bに供給される昇温ガスが第2目標温度よりも高い所定の温度となるように、エアヒーター79に対して駆動電力を生成する。エアヒーター駆動部87cは、その生成した駆動電力をエアヒーター79に出力し、エアヒーター79を駆動する。
また、エアヒーター駆動部87cは、温度センサー63A,63Bの検出値に基づいて、熱交換器67における昇温ガスとパージエアとの熱交換によって、これら昇温ガスとパージエアの双方が常温以上の温度となるように、エアヒーター72に対して駆動電力を生成する。エアヒーター駆動部87cは、その生成した駆動電力をエアヒーター72に出力し、エアヒーター72を駆動する。
すなわち、温度調整ユニット駆動部87は、冷却運転と常温復帰運転とにおいて、図4に示すように、窒素供給バルブ59A,59B、昇温ガス供給バルブ78、パージエア供給バルブ71、加熱ヒーター62A,62B、エアヒーター72,79の駆動態様を変化させる。
なお、温度調整ユニット駆動部87と同様、供給用シャトルプレート15aの他の収容ポケット17や、供給用シャトルプレート16aの収容ポケット18、テストヘッド14の検査用ソケット14aに対応する温度調整ユニットに対しても、該温度調整ユニットごとに温度調整ユニット駆動部が設けられている。すなわち、制御装置85は、各温度調整ユニットを互いに独立させた態様で制御する。
[第1実施形態における冷却運転時の温度調整ユニットについて]
次に、冷却運転時における温度調整ユニットについて図5を参照して説明する。上述したように、第1実施形態のハンドラー及び部品検査装置における冷却運転では、バルブ59A,59B,71が開閉制御されるとともに、バルブ78が閉状態に制御される。なお、冷却運転においては、バルブ78が閉状態であり、且つ第1供給路57A,57Bから第2供給路75への窒素ガスの流れが逆止弁80A,80Bで抑止されるため、第2供給路75,75A,75Bには流体が流通していない。そのため、図5では、第2供給路75,75A,75Bを点線で示している。
図5に示されるように、貯蔵タンク55から第1供給路57A,57Bに供給された液体窒素は、やがて気化容器60に流入する。気化容器60に流入した液体窒素は、該気化容器60において窒素ガスへと転移したのち、続いて媒体流路58A,58Bに流入して収容ポケット17A,17Bを冷却する。
媒体流路58A,58Bから排出路64A,64Bに排出された窒素ガスは、接続部65にて合流したのち、熱交換器67に流入する。この熱交換器67には、上記窒素ガスの他、エアヒーター72によって加熱されて窒素ガスよりも温度の高いパージガスが流入している。熱交換器67に流入した窒素ガスは、パージガスとの熱交換によって常温まで加熱されたのち、収容ボックス50に導入される。また、熱交換器67に流入したパージエアは、窒素ガスとの熱交換によって常温まで降温させられたのち、収容ボックス50に導入される。
こうした冷却運転において、制御装置85は、温度センサー63A,63Bから入力される温度が第1目標温度となるように、各バルブ59A,59Bの開閉時間とヒーター62A,62Bに出力される駆動電力とを制御する。また、制御装置85は、バルブ71を最大開度に制御するとともに、収容ボックス50に導入される窒素ガス及びパージエアが常温となるようにエアヒーター72に出力される駆動電力を制御する。
[第1実施形態における常温復帰運転時の温度調整ユニットについて]
次に、常温復帰運転の温度調整ユニットについて、図6を参照して説明する。上述したように、第1実施形態のハンドラー及び部品検査装置における常温復帰運転では、バルブ59A,59Bが閉状態に制御されるとともに、バルブ71,78の開度が最大開度に制御される。なお、常温復帰運転においては、貯蔵タンク55から接続部77A,77Bまでの第1供給路57A,57Bには第1の媒体である窒素が流通していない。そのため、図6では、共通路56と第1供給路57A,57Bの一部とを点線で示している。
図6に示されるように、ドライエア供給源69から第2供給路75に供給された昇温ガスは、エアヒーター79によって第2目標温度よりも高い温度まで加熱させられたのち、分岐部76において第2供給路75A,75Bに分流される。第2供給路75A,75Bに流入した昇温ガスは、接続部77A,77Bにおいて第1供給路57A,57Bに流入し、続けて媒体流路58A,58Bに流入する。媒体流路58A,58Bに流入した昇温ガスは、収容ポケット17A,17Bを加熱したのち、排出路64A,64Bに排出される。すなわち、第1目標温度にあった各収容ポケット17A,17Bは、ヒーター62A,62Bに加えて、媒体流路58A,58Bを流通する昇温ガスによって直接的に加熱される。
媒体流路58A,58Bから排出路64A,64Bに排出された昇温ガスは、接続部65にて合流したのち、熱交換器67に流入する。この熱交換器67には、上記窒素ガスの他、エアヒーター72によって常温以上の温度に調整されたパージガスが流入している。熱交換器67に流入した窒素ガスは、パージガスとの熱交換によって常温以上の温度に調整されたのち、収容ボックス50に導入される。また、熱交換器67に流入したパージエアは、窒素ガスとの熱交換後も常温以上の温度が維持され、その後、収容ボックス50に導入される。
こうした常温復帰運転において、制御装置85は、温度センサー63A,63Bから入力される温度が第2目標温度となるように、バルブ78の開度を最大開度に制御しつつ、エアヒーター79に出力される駆動電力とヒーター62A,62Bに出力される駆動電力とを制御する。また、制御装置85は、バルブ71を最大開度に制御するとともに、収容ボックス50に導入される窒素ガス及びパージエアが常温以上となるようにエアヒーター72に出力される駆動電力を制御する。
やがて温度センサー63A,63Bの検出値が第2目標温度に到達すると、ヒーター62A,62B、エアヒーター72,79の駆動が停止され、常温復帰運転が終了する。これにより、収容ポケット17A,17Bの温度が第1目標温度から第2目標温度に切り替えられ、これにともない収容ポケット17A,17Bに収容された電子部品Tの温度も第1目標温度から第2目標温度に切り替えられる。なお、バルブ71,78は、常温復帰運転の終了後も開状態に維持される。これにより、収容ボックス50内にドライエアが供給され続けられ、該収容ボックス50内が乾燥状態に維持される。
[第1実施形態のハンドラー及び部品検査装置の作用]
次に、第1実施形態におけるハンドラー及び部品検査装置の作用について説明する。
第1実施形態のハンドラー及び部品検査装置において、電子部品Tの目標温度が第1目標温度から第2目標温度に切り替えられると上述した常温復帰運転が実施される。常温復帰運転が開始されると、媒体流路58A,58Bに供給される媒体が第1の媒体である窒素から第2の媒体である昇温ガスに切り替えられる。そして、第1目標温度にあった各収容ポケット17A,17Bは、第2目標温度に到達するまで昇温ガスによって加熱されることとなる。
そのため、例えば各収容ポケット17A,17Bが常温になるまで装置自体を待機させる場合や常温のドライエアを媒体流路58A,58Bに供給する場合に比べて、各収容ポケット17A,17Bが第2目標温度に切り替わるまでに要する時間を短縮することができる。
また、第2供給路75A,75Bには、逆止弁80A,80Bが配設されていることから、冷却運転時に窒素ガスの一部がエアヒーター79に流入し、該窒素ガスによってエアヒーター79が冷却されることを抑えることができる。これにより、窒素ガスの一部がエアヒーター79に流入してしまう場合に比べて、常温復帰運転開始時におけるエアヒーター79の温度が高められることとなる。その結果、第1供給路57A,57Bに対して、第2目標温度よりも高い温度の昇温ガスが早期に供給されることから、各収容ポケット17A,17Bが第2目標温度に切り替わるまでに要する時間をさらに短縮することができる。
また、第2供給路75には、エアヒーター79の上流側にバルブ78が配設されている。ここで、バルブ78にも上記窒素ガスの一部が流入するとなれば、バルブ78の設計温度を窒素ガスの温度よりも低い温度に設定する必要がある。すなわち、上記逆止弁80A,80Bによって上記バルブ78に対する窒素ガスの流入が抑止されることで、バルブ78の設計温度を高く設定することができる。その結果、バルブ78を構成する部材に関する自由度を高めることができる。
また、媒体流路58A,58Bから排出路64Aに排出された窒素ガス及び昇温ガスは、収容ボックス50に導入される。窒素ガスは、液体窒素を気化させたものであり水分含有量が0に近く、また昇温ガスも、ドライエアであって、部品検査装置の周辺のエアに比べれば水分含有量が少ない。そのため、これら窒素ガス及び昇温ガスが収容ボックス50に導入されることによって、収容ボックス50内が水分含有量の少ない気体で満たされることになる。その結果、収容ボックス50内で結露が発生することを抑えることができる。
一方、媒体流路58A,58Bから排出路64A,64Bに排出された窒素ガスは、収容ポケット17A,17Bを含む窒素ガスの流通経路を冷却しているため、気化容器60から流出した直後に比べて温度が高くなっているものの、未だ常温よりも低い温度が維持されている。また、媒体流路58A,58Bから排出路64A,64Bに排出された昇温ガスは、収容ポケット17A,17Bを含む窒素ガスの流通経路を加熱しているため、常温よりも低い温度まで温度が低下している可能性がある。こうした窒素ガスや昇温ガスが収容ボックス50に導入されるとなれば、いくら水分含有量の少ない気体が収容ボックス50に供給されているとはいえ、収容ボックス50内の温度がその時々の露点よりも低い温度になってしまい、収容ボックス50内において結露が発生する虞がある。この点、収容ボックス50に導入される窒素ガス及び昇温ガスは、熱交換器67におけるパージガスとの熱交換によって、その温度が常温以上の温度に調整される。そのため、収容ボックス50内の温度がその時々の露点よりも低い温度まで低下することが抑えられ、収容ボックス50内で結露が発生することをさらに抑えることができる。
そして、収容ポケット17A,17Bを冷却する窒素ガス、収容ポケット17A,17Bを加熱する昇温ガス、これらを収容ボックス50における結露対策用のガスとして使用している。そのため、収容ボックス50において結露が発生することを抑えるうえで上記窒素ガス及び昇温ガスを有効に利用することができる。
また、第2供給路75は、エアヒーター79の下流側にある分岐部76において、第2供給路75A,75Bに分岐されて、これら第2供給路75A,75Bが第1供給路57A,57Bに接続されている。すなわち、第2供給路75は、エアヒーター79の下流側で2つの第1供給路57A,57Bに対して並列に接続されている。そのため、2つの第1供給路57A,57Bに昇温ガスを供給する上で、ドライエア供給源69、バルブ78、エアヒーター79を共通化することができる。その結果、2つの第2供給路75A,75Bの各々にドライエア供給源69、バルブ78、エアヒーター79が配設される場合に比べて、第2供給路の構成を簡素化することができる。
以上説明したように、第1実施形態のハンドラー及び部品検査装置によれば、以下に列挙する効果が得られるようになる。
(1)常温復帰運転によって、第1目標温度にあった収容ポケット17A,17Bを第2目標温度に切り替えることができるとともに、第2目標温度に切り替わるまでに要する時間を短縮することができる。
(2)また、窒素ガスの流通経路と昇温ガスの流通経路とが、第1供給路と第2供給路との接続部よりも下流側で共有化されていることから、窒素ガスの流通経路と昇温ガスの流通経路とが別々に設けられた場合に比べて、温度の切り替えに要する構成を簡素にすることが可能である。
(3)また、逆止弁80A,80Bによって、エアヒーター79に対する窒素ガスの流入が抑止されることから、各収容ポケット17A,17Bが第2目標温度に切り替わるまでに要する時間をさらに短縮することができる。
(4)バルブ78は、第2供給路75においてエアヒーター79の上流側に配設されており、該エアヒーター79と同様に、窒素ガスの流入が逆止弁80A,80Bで抑止される。そのため、バルブ78を構成する部材に関する自由度を高めることができる。
(5)収容ポケットの冷却に利用した窒素ガス、及び収容ポケットの加熱に利用した昇温ガスが収容ボックス50に導入されることから、収容ボックス50を満たす気体の水分含有量を少なくすることができる。その結果、収容ボックス50内において結露が発生することを抑えることができる。
(6)排出路64Aには、媒体流路58A,58Bから排出された窒素ガス及び昇温ガスの温度を調整する熱交換器67が配設されている。その結果、収容ボックス50内の温度が露点よりも低い温度まで低下することが抑えられ、収容ボックス50内において結露が発生することをさらに抑えることができる。
(7)収容ポケットの冷却に使用した窒素ガス、収容ポケットの加熱に使用した昇温ガス、これらを収容ボックス50における結露対策用のガスとして使用している。そのため、収容ボックス50において結露が発生することを抑えるうえで上記窒素ガス及び昇温ガスを有効に利用することができる。
(8)第2供給路75は、エアヒーター79の下流側で2つの第1供給路57A,57Bに対して並列に接続されている。すなわち、2つの第2供給路75A,75Bに対し、1つのドライエア供給源69、1つのバルブ78で昇温ガスを供給することができる。その結果、第2供給路の構成を簡素化することができる。
(9)また、2つの第2供給路75A,75Bの各々にエアヒーター79が配設される場合に比べて、第2供給路におけるエアヒーターの設置台数を少なくすることができることから、第2供給路の構成をさらに簡素化することができる。
(10)排出路64Aには逆止弁68が配設されていることから、該逆止弁68よりも上流側における窒素ガスの流通経路において結露や氷結が発生することを抑えることができる。
(11)また、排出路64Aには逆止弁66A、排出路64Bには逆止弁66Bが配設されている。これにより、これら逆止弁66A,66Bよりも上流側における窒素ガスの流通経路において、結露や氷結が発生することをさらに抑えることができる。
[第2実施形態における温度調整ユニットの構成]
次に、第2実施形態のハンドラー及び部品検査装置において、電子部品Tの温度を調整する温度調整ユニットについて説明する。
まず、第2実施形態における温度調整ユニットの構成について、図7を参照して説明する。なお、第1実施形態の温度調整ユニットでは収容ポケットの媒体流路に対して、第1の媒体である窒素及び第2の媒体である昇温ガスを供給していたが、第2実施形態においては、第1の媒体及び第2の媒体とは異なる温度調整媒体が収容ポケットの媒体流路に供給される。そして、第1の媒体は、温度調整媒体を介して間接的に収容ポケットを冷却する。同様に、第2の媒体も、温度調整媒体を介して間接的に収容ポケットを加熱する。第2実施形態においては、第1実施形態と異なる部分について詳細に説明し、第1実施形態における温度調整ユニットと同じ機能を有する構成要素については、同じ符号を付すことによりその詳細な説明を省略する。
図7に示されるように、温度調整ユニットにおいて、ドライエア供給源69は、温度調整媒体としてのドライエアを媒体供給路であるドライエア供給路90に供給する。ドライエア供給路90は、第1熱交換器91の供給側流路91a、第2熱交換器92のドライエア側流路92a、第3熱交換器93のドライエア側流路93aを介して、収容ポケット17Aに対応する媒体流路58Aの一端に接続されている。この媒体流路58Aの他端に接続された連結路95は、第4熱交換器94のドライエア側流路94aを介して収容ポケット17Bに対応する媒体流路58Bの一端に接続されている。この媒体流路58Bの他端に接続されたドライエア排気路96は、第1熱交換器91の排気側流路91bを介して収容ボックス50に接続されている。なお、第3熱交換器93のドライエア側流路93a、第4熱交換器94のドライエア側流路94aが第1の流路に相当する。
すなわち、温度調整媒体としてドライエア供給源69から供給されたドライエアは、第1熱交換器91の供給側流路91a、第2熱交換器92のドライエア側流路92a、第3熱交換器93のドライエア側流路93aを通じて、収容ポケット17Aに対応する媒体流路58Aに流入する。媒体流路58Aから排出されたドライエアは、第4熱交換器94のドライエア側流路94aを通じて、収容ポケット17Bに対応する媒体流路58Bに流入する。そして、媒体流路58Bからドライエア排気路96に排出されたドライエアは、第1熱交換器91の排気側流路91bを通じて、収容ボックス50に導入される。
ドライエア供給路90には、第1熱交換器91の上流側に、媒体制御弁としてのドライエア供給バルブ97(以下、単にバルブ97という。)が配設されている。バルブ97は、ドライエア供給路90の流路断面積を変化させて、媒体流路58A,58Bに対するドライエアの供給量を制御する。また、ドライエア供給路90には、バルブ97と第1熱交換器91との間に、ドライエアを第2目標温度である18℃よりも高い所定の温度である例えば60℃まで加熱する加熱部としてのエアヒーター98が配設されている。
ドライエア排気路96には、第1熱交換器91の下流側に逆止弁99が配設されており、この逆止弁99の下流側には加熱部としてのエアヒーター100が配設されている。逆止弁99は、第1熱交換器91からエアヒーター100への気体の流れを許容し、且つエアヒーター100から第1熱交換器91への気体の流れを抑止する。エアヒーター100は、収容ボックス50に導入されるドライエアの温度を例えば常温以上の温度に調整する。
一方、第1供給路57Aは、バルブ59Aの下流側にて第3熱交換器93におけるガス側流路93bの流入端EnAに接続されており、第3熱交換器93に供給された媒体は、ガス側流路93bの流出端ExAから排出路64Aに排出される。第1供給路57Bは、バルブ59Bの下流側にて第4熱交換器94におけるガス側流路94bの流入端EnBに接続されており、第4熱交換器94に供給された媒体は、ガス側流路94bの流出端ExBから排出路64Bに排出される。これら排出路64A,64Bに排出された媒体は、接続部65で合流したのち、第2熱交換器92のガス側流路92bに流入する。排出路64Aには、第2熱交換器92の下流側に逆止弁68が配設されているとともに、この逆止弁68の下流側に、排出路64Aから収容ボックス50に導入される媒体の温度を常温以上の温度に調整するエアヒーター101が配設されている。
上述した第1〜第4熱交換器91〜94は、いわゆるプレート式熱交換器であって、各熱交換器における2つの流路が第1供給路57A,57Bよりも大きな流路断面積で形成されている。第1熱交換器91では、ドライエア供給源69から供給されて収容ポケット17A,17Bを冷却する前のドライエアと、媒体流路58Bから排出されて収容ポケット17A,17Bを冷却した後のドライエアとの間で熱交換が可能となっている。第2熱交換器92では、第1熱交換器91を通過したドライエアと、第3及び第4熱交換器93,94から排出されて、先行するドライエアとの間で熱交換した後の媒体との間で熱交換が可能となっている。第3熱交換器93では、第2熱交換器92を通過したドライエアと、第1供給路57Aから供給された媒体との間で熱交換が可能となっている。第4熱交換器94では、媒体流路58Aから排出されたドライエアと、第1供給路57Bから供給された媒体との間で熱交換が可能となっている。
[第2実施形態におけるハンドラー及び部品検査装置の電気的構成]
次に、第2実施形態におけるハンドラー及び部品検査装置の電気的構成について、ハンドラー10の電気的構成を中心に図8を参照して説明する。なお、加熱ヒーター駆動部87bによるヒーター62A,62Bの駆動態様は、第1実施形態と同じであるためその詳細な説明を省略する。
まず、冷却運転に関し、バルブ駆動部87a、エアヒーター駆動部87cによる各バルブ、各エアヒーターの駆動態様について説明する。
冷却運転において、バルブ駆動部87aは、制御装置85から入力された第1目標温度と、温度センサー63A,63Bから入力された温度とに基づいて、収容ポケット17A,17Bの温度が第1目標温度になるように、バルブ59A,59Bの開閉時間を設定する。バルブ駆動部87aは、その開閉時間を示す信号を各バルブ59A,59Bに出力する。バルブ59A,59Bは、入力された信号に応じた開閉を行うことで第3及び第4熱交換器93,94に対する窒素ガスの供給量を調整する。また、バルブ駆動部87aは、制御装置85から入力された第1目標温度と、温度センサー63A,63Bから入力された温度とに基づいて、収容ポケット17A,17Bの温度が第1目標温度になるように、バルブ97の開度を設定する。バルブ駆動部87aは、その開度を示す信号をバルブ97に出力する。バルブ97は、入力された信号に応じて媒体流路58A,58Bに対するドライエアの供給量を調整する。また、バルブ駆動部87aは、バルブ78が閉状態に維持されることを示す信号を該バルブ78に出力する。
冷却運転において、エアヒーター駆動部87cは、エアヒーター79,98,100,101のうち、エアヒーター100,101を駆動する。エアヒーター駆動部87cは、バルブ59A,59Bの開閉時間に基づいて、収容ボックス50に導入される窒素ガスの温度が常温となるように、エアヒーター101に対して駆動電力を生成するとともに、該駆動電力をエアヒーター101に出力し、エアヒーター101を駆動する。また、エアヒーター駆動部87cは、バルブ97の開度に基づいて、収容ボックス50に導入されるドライエアの温度が常温となるように、エアヒーター100に対して駆動電力を生成するとともに、該駆動電力をエアヒーター100に出力し、エアヒーター100を駆動する。
次に、常温復帰運転に関し、バルブ駆動部87a、エアヒーター駆動部87cによる各バルブ、各エアヒーターの駆動態様について説明する。
常温復帰運転において、バルブ駆動部87aは、バルブ59A,59Bが閉状態に維持されることを示す信号を各バルブ59A,59Bに出力する。また、バルブ駆動部87aは、バルブ78,97の各々の開度を最大開度に維持することを示す信号を各バルブ78,97に出力する。
常温復帰運転において、エアヒーター駆動部87cは、エアヒーター79,98,100,101を駆動する。エアヒーター駆動部87cは、第1供給路57A,57Bに供給される昇温ガスが第2目標温度よりも高い所定の温度となるように、エアヒーター79に対して駆動電力を生成するとともに、該駆動電力をエアヒーター79に出力し、エアヒーター79を駆動する。
エアヒーター駆動部87cは、第1熱交換器91に供給されるドライエアが第2目標温度よりも高い所定の温度となるように、エアヒーター98に対して駆動電力を生成するとともに、該駆動電力をエアヒーター98に出力し、エアヒーター98を駆動する。
エアヒーター駆動部87cは、温度センサー63A,63Bの検出値に基づいて、収容ボックス50に導入されるドライエアの温度が常温以上の温度となるように、エアヒーター100に対して駆動電力を生成するとともに、該駆動電力をエアヒーター100に出力し、エアヒーター100を駆動する。
エアヒーター駆動部87cは、温度センサー63A,63Bの検出値に基づいて、収容ボックス50に導入される昇温ガスの温度が常温以上の温度となるように、エアヒーター101に対して駆動電力を生成するとともに、該駆動電力をエアヒーター101に出力し、エアヒーター101を駆動する。
すなわち、温度調整ユニット駆動部87は、冷却運転と常温復帰運転とでは、図9に示すように、窒素供給バルブ59A,59B、昇温ガス供給バルブ78、ドライエア供給バルブ97、加熱ヒーター62A,62B、エアヒーター79,98,100,101の駆動態様を変化させる。
[第2実施形態における冷却運転時の温度調整ユニットについて]
次に、冷却運転時における温度調整ユニットについて、図10を参照して説明する。上述したように、第2実施形態のハンドラー及び部品検査装置における冷却運転では、バルブ59A,59B,97が開閉制御されるとともに、バルブ78が閉状態に制御される。また、エアヒーター79,98が停止状態に制御されるとともに、エアヒーター100,101の駆動電力が制御される。なお、冷却運転においては、バルブ78が閉状態であり、且つ第1供給路57A,57Bから第2供給路75への窒素ガスの流れが逆止弁80A,80Bで抑止されるため、第2供給路75,75A,75Bには流体が流通していない。そのため、図10では、第2供給路75,75A,75Bを点線で示している。
図10に示されるように、貯蔵タンク55から第1供給路57Aに供給された液体窒素は、第3熱交換器93のガス側流路93bに流入して窒素ガスへと転移したのち第2熱交換器92のガス側流路92bに流入する。貯蔵タンク55から第1供給路57Bに供給された液体窒素は、第4熱交換器94のガス側流路94bに流入して窒素ガスへと転移したのち第2熱交換器92のガス側流路92bに流入する。そして、第2熱交換器92のガス側流路92bから排出された窒素ガスは、エアヒーター101によって常温まで加熱されたのち、収容ボックス50に導入される。
一方、ドライエア供給源69からドライエア供給路90に供給されたドライエアは、第1熱交換器91の供給側流路91a、第2熱交換器92のドライエア側流路92a、第3熱交換器93のドライエア側流路93aに続けて流入する。ドライエアは、第1及び第2熱交換器91,92における熱交換によって段階的に冷却されたのち、第3熱交換器93における窒素ガスとの熱交換によって第1目標温度よりも低い温度まで冷却される。そして、第3熱交換器93のドライエア側流路93aを通過したドライエアは、媒体流路58Aに流入して収容ポケット17Aを冷却する。
媒体流路58Aから排出されたドライエアは、連結路95を通じて第4熱交換器94のドライエア側流路94aに流入する。第4熱交換器94に流入するドライエアは、収容ポケット17Aの冷却によって昇温されているが、該第4熱交換器94における窒素ガスとの熱交換によって第1目標温度よりも低い温度まで再び冷却される。そして、第4熱交換器94を通過したドライエアは、媒体流路58Bに流入して収容ポケット17Bを冷却する。媒体流路58Bからドライエア排気路96に排出されたドライエアは、続けて第1熱交換器91の排気側流路91bを通過したのち、エアヒーター100によって常温まで加熱されたうえで収容ボックス50に導入される。
媒体流路58Bからドライエア排気路96に排出されるドライエアは、収容ポケット17Bの冷却によって昇温されているとはいえ、常温よりは低い温度にある。そのため、第1熱交換器91では、先行して収容ポケット17A,17Bを冷却したドライエアの廃熱を利用して、第2熱交換器92に流入する前のドライエアが冷却される。
また、第2熱交換器92に流入する窒素ガスは、第3及び第4熱交換器93,94におけるドライエアとの熱交換によって昇温されているとはいえ、第1熱交換器91で冷却されたドライエアの温度よりは低い温度にある。そのため、第2熱交換器92では、先行するドライエアを冷却した窒素ガスの廃熱を利用して、第3熱交換器93に流入する前のドライエアが冷却される。
制御装置85は、温度センサー63A,63Bから入力される温度が第1目標温度となるように、各媒体流路58A,58Bに供給されるドライエアの供給量と、各第1供給路57A,57Bに供給される液体窒素の供給量と、ヒーター62A,62Bに出力される駆動電力とを制御する。これにより、各収容ポケット17A,17Bに収容された電子部品Tが第1目標温度に制御される。
[第2実施形態における常温復帰運転時の温度調整ユニットについて]
次に、常温復帰運転時の温度調整ユニットについて図11を参照して説明する。上述したように、第2実施形態のハンドラー及び部品検査装置における常温復帰運転では、温度調整ユニットにおいて、バルブ78,97が開閉制御されるとともに、バルブ59A,59Bが閉状態に制御される。また、エアヒーター79,98,100,101の駆動電力が制御される。なお、常温復帰運転においては、貯蔵タンク55から接続部77A,77Bまでの第1供給路57A,57Bには第1の媒体である窒素が流通していない。そのため、図11では、共通路56と第1供給路57A,57Bの一部とを点線で示している。
図11に示されるように、ドライエア供給源69から第2供給路75に供給された昇温ガスは、エアヒーター79によって第2目標温度よりも高い温度まで加熱されたのち、分岐部76において第2供給路75A,75Bに分流される。
第2供給路75Aに流入した昇温ガスは、接続部77Aにおいて第1供給路57Aに流入し、続けて第3熱交換器93のガス側流路93bに流入する。また、第2供給路75Bに流入した昇温ガスは、接続部77Bにおいて第1供給路57Bに流入し、続けて第4熱交換器94のガス側流路94bに流入する。これら第3及び第4熱交換器93,94から排出路64A,64Bに排出された昇温ガスは、接続部65にて合流して第2熱交換器92のガス側流路92bに流入する。そして、第2熱交換器92から排出された昇温ガスは、エアヒーター101に流入する。すなわち、昇温ガスは、第2〜第4熱交換器92〜94等、冷却運転時に低温となっていた窒素ガスの流通経路を加熱する。そして、窒素ガスの流通経路を加熱することによって温度が低下した昇温ガスは、エアヒーター101によってその温度が常温以上の温度に調整されたのち、収容ボックス50に導入される。
一方、ドライエア供給源69からドライエア供給路90に供給されたドライエアは、エアヒーター98によって第2目標温度よりも高い所定の温度まで加熱される。その後、ドライエアは、ドライエア供給路90、及び冷却運転時にドライエアを段階的に冷却していた第1〜第3熱交換器91〜93を加熱しながら流通し、やがて媒体流路58Aに流入する。
この過程においてドライエアは、その温度が徐々に低下することになるが、第2及び第3熱交換器92,93は、上記ドライエアに加えて、第2供給路75Aからの昇温ガスによっても加熱されている。そのため、媒体流路58Aに流入するドライエアは、第2及び第3熱交換器92,93に昇温ガスが供給されない場合よりも高い温度で媒体流路58Aに流入することになる。そして、冷却運転時に低温にあった収容ポケット17Aは、媒体流路58Aに流入するドライエアによって加熱される。
媒体流路58Aから排出されたドライエアは、連結路95、及び冷却運転時にドライエアを冷却していた第4熱交換器94を加熱しながら流通し、やがて媒体流路58Bに流入する。この過程においてもドライエアは、その温度が徐々に低下することになるが、第4熱交換器94も、上記ドライエアに加えて、第2供給路75Bからの昇温ガスによって加熱されている。そのため、媒体流路58Bに流入するドライエアは、第4熱交換器94に昇温ガスが供給されない場合よりも高い温度で媒体流路58Bに流入する。そして、冷却運転時に低温となっていた収容ポケット17Bは、媒体流路58Bに流入するドライエアによって加熱される。
媒体流路58Bからドライエア排気路96に排出されたドライエアは、ドライエア排気路96、及び第1熱交換器91を加熱しながら流通したのち、エアヒーター100に流入する。ドライエアは、エアヒーター100によってその温度が常温以上の温度に調整されたうえで収容ボックス50に導入される。
そして、常温復帰運転が進むにつれて、ドライエア供給路90、第1〜第4熱交換器91〜94の温度が上昇することから、媒体流路58A,58Bに流入するドライエアの温度も常温以上の温度まで上昇する。やがて温度センサー63A,63Bの検出値が第2目標温度に到達すると、バルブ78が閉状態に制御されるとともにエアヒーター79,98,100,101の駆動が停止され、常温復帰運転が終了する。これにより、収容ポケット17A,17Bの温度が第1目標温度から第2目標温度に切り替えられ、これにともない収容ポケット17A,17Bに収容された電子部品Tの温度も第1目標温度から第2目標温度に切り替えられる。なお、バルブ97は、常温復帰運転の終了後も開状態に制御される。これにより、収容ボックス50内にドライエアが供給され続け、該収容ボックス50内が乾燥状態に維持される。
[第2実施形態におけるハンドラー及び部品検査装置の作用]
次に、第2実施形態におけるハンドラー及び部品検査装置の作用について説明する。第2実施形態のハンドラー及び部品検査装置において、電子部品Tの目標温度が第1目標温度から第2目標温度に切り替えられると常温復帰運転が実施される。
常温復帰運転が開始されると、第1供給路57A,57Bに供給される媒体が第1の媒体である窒素から第2の媒体である昇温ガスに切り替えられるとともに、ドライエア供給路90から第1熱交換器91に供給されるドライエアが第2目標温度よりも高い所定の温度まで加熱されたドライエアに切り替えられる。そして、第1目標温度にあった各収容ポケット17A,17Bが第2目標温度に到達するまで、ドライエアの流通経路及び窒素ガスの流通経路が加熱されることとなる。
そのため、例えば各収容ポケット17A,17Bが常温になるまで装置自体を待機させる場合や、第2供給路75A,75Bに昇温ガスが供給されず且つ常温のドライエアがドライエア供給路90に供給される場合に比べて、ドライエアの流通経路が早期に昇温される。その結果、媒体流路58A,58Bに到達するまでの過程におけるドライエアの温度低下が抑えられることから、各収容ポケット17A,17Bが第2目標温度に切り替わるまでに要する時間を短縮することができる。
また、収容ボックス50には、エアヒーター100によって常温以上の温度が調整されたドライエアと、エアヒーター101によって常温以上の温度に調整された窒素ガスまたは昇温ガスが導入される。そのため、媒体流路58A,58Bから排出されたドライエア、排出路64A,64Bに排出された窒素ガスまたは昇温ガス、これらが常温よりも低い温度で収容ボックス50に導入される場合に比べて、収容ボックス50内の温度がその時々における露点よりも低い温度まで低下することを抑えることができる。
また、ドライエア排気路96において、第1熱交換器91の下流には逆止弁99が配設されている。そのため、バルブ97が閉状態に制御されている期間において、ドライエアの流通経路に対し、ドライエアよりも水分含有量の多いエアが収容ボックス50から流れ込むことを抑えることができる。その結果、冷却運転時にドライエアの流通経路において結露や氷結が発生することを抑えることができる。
以上説明したように、第2実施形態におけるハンドラー及び部品検査装置によれば、第1実施形態に記載した(2)〜(5)、(7)〜(11)に準ずる効果に加えて、以下に列挙する効果が得られるようになる。
(12)常温復帰運転によって、窒素ガスの流通経路、ドライエアの流通経路がともに加熱されることで、各収容ポケット17A,17Bに供給されるドライエアの温度を効果的に高めることができる。その結果、第1目標温度にあった収容ポケット17A,17Bを第2目標温度に切り替えることができるとともに、第2目標温度に切り替わるまでに要する時間を短縮することができる。
(13)排出路64Aには、第2熱交換器92から排出された窒素ガスあるいは昇温ガスを常温以上の温度に調整するエアヒーター101が配設されている。また、ドライエア排気路96には、媒体流路58Bから排出されたドライエアを常温以上の温度に調整するエアヒーター100が配設されている。その結果、収容ボックス50内の温度がその時々における露点よりも低い温度まで低下することが抑えられ、収容ボックス50内において結露が発生することをさらに抑えることができる。
(14)ドライエア排気路96には第1熱交換器91の下流側に逆止弁99が配設されていることから、該逆止弁99よりも上流側におけるドライエアの流通経路において結露や氷結が発生することを抑えることができる。
なお、上記の第1及び第2実施形態は、以下のように適宜変更して実施することもできる。
・第1及び第2実施形態において、第2供給路は、収容ポケット17Aに対応する第1供給路57A、収容ポケット17Bに対応する第1供給路57Bに対して並列に接続されている。これに限らず、収容ポケットが複数ある場合には、互いに異なるドライエア供給源、流量制御弁、エアヒーターを備える第2供給路が複数の第1供給路に対して個別に接続されていてもよい。
・第1及び第2実施形態において、1つの第2供給路75は、3つ以上の第1供給路に対して並列に接続されていてもよい。
・第1及び第2実施形態において、分岐部76の上流側におけるエアヒーター79を割愛し、分岐部76の下流側である第2供給路75A,75Bの各々にエアヒーターを備えていてもよい。
・第1及び第2実施形態において、媒体流路58A,58Bは、互いに異なるシャトルに配設された媒体流路であってもよい。その際、例えば媒体流路58Bが第2シャトル16に配設されているならば、該媒体流路58Bから排出されたドライエアは、収容ボックス52に導入される構成が好ましい。
・第1及び第2実施形態において、ハンドラー10は、該ハンドラー10が乾燥雰囲気下に設置されているならば、収容ボックス50,52、検査ボックス51が割愛された構成であってもよい。
・第1及び第2の媒体は、大気中よりも水分含有量が少ないものであればよい。例えば、第1の媒体は、液化ガスを気化させたガスであればよく、例えば酸素、水素、ヘリウム等であってもよい。また例えば、第2の媒体は、ドライエアに限らず、液化ガスを気化させたガスであってもよく、第1の媒体同様、窒素、酸素、水素、ヘリウム等であってもよい。
・第1及び第2実施形態において、窒素ガス、及び昇温ガス等のドライエアは、カバー部材12内や大気中に排出されてもよい。
・第1及び第2実施形態において、昇温ガス供給バルブ78は、エアヒーター79と分岐部76との間に配設されてもよいし、第2供給路75A,75Bにおける逆止弁80A,80Bの下流側に配設されていてもよい。
・第1及び第2実施形態においては、逆止弁80A,80Bを抑止部としている。これに限らず、抑止部は、第1供給路57A,57Bから第2供給路75に対する窒素ガスの流入を抑止するものであればよく、例えば制御装置85によって開閉が制御される仕切弁などであってもよい。
・第1及び第2実施形態において、第2供給路75A,75Bにおける逆止弁80A,80Bの少なくとも一方が割愛された構成であってもよい。
・第1及び第2実施形態において、第2の媒体である昇温ガスを加熱するエアヒーター79が割愛された構成であってもよい。すなわち、第2の媒体は、常温であってもよい。
・第1及び第2実施形態において、媒体流路は、例えば第1シャトル15ではなく供給用シャトルプレート15aに形成されていてもよいし、第1シャトル15及び供給用シャトルプレート15aに連なるように形成されていてもよい。
・第2実施形態のドライエア供給路90において、エアヒーター98が割愛された構成であってもよい。こうした構成の下では、常温復帰運転が進行するにつれて、第2〜第4熱交換器92〜94における昇温ガスとの熱交換によって加熱されたドライエアが媒体流路58A,58Bに供給されることになる。
・第1実施形態において、第2供給路は、図12に示されるような構成であってもよい。すなわち、図12に示されるように、パージエア供給路70における熱交換器67と逆止弁73との間にある分岐部111と、バルブ78とを接続する分岐路113を第2供給路としてもよい。また、同様に、排出路64Aにおける熱交換器67と逆止弁68との間に分岐部を設け、この分岐部とバルブ78を接続する分岐路を第2供給路としてもよい。
・第1実施形態において、収容ポケット17A,17Bが常温に復帰したことを温度センサー63A,63Bの検出値でなく、例えば熱交換器67や排出路64Aに新たに設けられた温度センサーの検出値に基づいて判断してもよい。
・第2実施形態において、第2供給路は、図13に示されるような構成であってもよい。図13に示されるように、ドライエア排気路96における第1熱交換器91と逆止弁99との間にある分岐部115と、バルブ78とを接続する分岐路117を第2供給路としてもよい。また、同様に、排出路64Aにおける第2熱交換器92と逆止弁68との間に分岐部を設け、この分岐部とバルブ78を接続する分岐路を第2供給路としてもよい。
・第2実施形態において、収容ポケット17A,17Bが常温に復帰したことを温度センサー63A,63Bの検出値でなく、例えばドライエア排気路96に設けられた温度センサーの検出値に基づいて判断してもよい。
・第2実施形態において、制御装置85は、例えばエアヒーター100に流入するドライエアの温度を検出する温度センサーを設け、該温度センサーの検出値に基づいて、エアヒーター100に出力する駆動電力を生成してもよい。同様に、制御装置85は、例えばエアヒーター101に流入する窒素ガスあるいは昇温ガスの温度を検出する温度センサーを設け、該温度センサーの検出値に基づいて、エアヒーター101に出力する駆動電力を生成してもよい。
・第1及び第2実施形態では、第2温度調整状態として、収容ポケット17A,17Bを常温に復帰させる常温復帰運転について説明した。これに限らず、第2温度調整状態は、収容ポケットを常温以上の温度に昇温させる運転状態であればよく、例えば120℃程度といった第2目標温度よりも高い第3目標温度まで収容ポケットを昇温させるような運転状態であってもよい。この運転状態においても、各バルブの開閉態様は常温復帰運転と同じであり、エアヒーターによって第3目標温度よりも高い温度まで昇温ガス及びドライエアが加熱される。
・また、この上記運転状態において、各加熱ヒーター62A,62Bは、制御装置85から入力された第3目標温度と、温度センサー63A,63Bから入力された温度とに基づいて、収容ポケット17A,17Bの温度が第3目標温度となるように駆動されてもよい。
・また、第2温度調整状態が常温復帰運転であるという前提の下では、第3目標温度まで収容ポケット17A,17Bを昇温させる運転状態において、各加熱ヒーター62A,62Bのみが駆動されてもよい。
・上記第1及び第2実施形態において、基台11を貫通する開口部13に取り付けられたテストヘッド14とテストヘッド14上面の検査用ソケット14aとによりステージが構成されるものとした。これに代えて、図14に示されるように、媒体の流れる媒体流路120、ヒーター121、及び検査用ソケット14aの収容される収容部122を備える台座123を基台11に設置し、この台座123を支持部としてもよい。この場合、検査用ソケット14aは、台座123の収容部122に収容されることによってハンドラー10に搭載される。そして、台座123の温度が調整されることによって、検査用ソケット14aに収容された電子部品の温度が調整される。
部品検査装置を構成するハンドラーとテスターとは別体の装置であるため、テストヘッド14及び検査用ソケット14aをステージとする場合、ハンドラー側の構成とは別に、予めテスターのテストヘッド14に媒体の流れる媒体流路やヒーターを備えておく必要がある。この点、上述した構成によれば、媒体流路やヒーターを備えたテストヘッド14を要することなく、検査用ソケット14aに収容された電子部品Tの温度を調整することが可能となる。
なお、温度センサーは、検査用ソケット14aの温度が検出可能であれば、台座123に搭載されていてもよいし、検査用ソケット14aに搭載されていてもよい。また、図14に記載の台座123には1つの収容部122が形成されているが、台座123に形成される収容部122の数は、2以上であってもよい。また、台座123の収容部122にテストヘッド14及び検査用ソケット14aが収容される構成としてもよい。要は、電子部品を支持する支持部として、熱を伝導する部材を挟んで電子部品に間接的に触れる部材そのものが冷却される態様であればよい。なお、台座123に複数の収容部122が形成されている場合、台座123には、各収容部122に個別に対応する媒体流路120が形成されることが好ましい。
・また、支持部は、基台11の搭載面11a上、もしくはカバー部材12によって覆われた搬送空間内における基台11の上方で電子部品Tを支持する部分であれば任意に設定することが可能である。例えば、供給用シャトルプレート15aと回収用シャトルプレート15bとをそれぞれ別のステージとして、これらに対して各別の温度調整ユニットを設けてもよい。また、搬送ロボット30における第1搬送ユニット32及び第2搬送ユニット33の下端の吸着部にステージを配設し、第1搬送ユニット32及び第2搬送ユニット33の各々の下端部に温度調整ユニットを設けるようにしてもよい。要は、電子部品Tが支持される部分であれば、その箇所を支持部として温度調整ユニットを設けることができる。なお、各温度調整ユニット間において電子部品Tを搬送する際には、収容容器の一部を開閉して電子部品Tの移送を行うようにすればよい。