本発明は、ローラとブレードとが一体に形成されたピストンを有するロータリ圧縮機に関する。
一般的なロータリ圧縮機は、2つの端板部材と、2つの端板部材の間に配置されるシリンダと、シリンダ室内に配置された環状のローラ及びそのローラの外周面から延在するブレードを有するピストンとを備えている。シリンダは、シリンダ室及びシリンダ室の外側に設けられた保持孔を有しており、ブレードは、その保持孔内を通過して、ローラと共にシリンダ室内を高圧室と低圧室とに区画している。このとき、シリンダとピストンとの段差すなわちCR隙間を小さくすることができると、圧縮された冷媒がほとんど漏れなくなりCOPが向上する(例えば、特許文献1参照)。しかし、CR隙間が小さい場合には、端板部材やシリンダ等の組み立て時の歪みや運転時の圧力差及び熱膨張による変更などによって、端板部材の面とピストンの端面とが運転中に接触し、ピストンの端面において焼付きが生じるという問題がある。
そこで、上記問題を解消するために、ピストンの端面の焼付き耐力を向上させる方法が種々提案されている。例えば、ピストンのブレードの厚みを小さくし、ピストンの端面と2つの端板部材との接触面積を減少させることで、ピストンの端面における発熱を抑制することができる。
しかしながら、ピストンのブレードは、高圧室と低圧室との差圧に耐える必要があるため、その厚みを小さくすることには限界がある。また、シリンダ室での圧縮工程が行われるときに、端板部材の面には、ピストンの端面と常に対向する領域(図5における領域50a)が発生するため、上述の方法では、焼付き耐力を十分に向上させることは困難である。
そこで、本発明の目的は、ピストンの端面の焼付き耐力を向上させ、COPを向上させることが可能なロータリ圧縮機を提供することである。
第1の発明に係るロータリ圧縮機は、2つの端板部材と、前記2つの端板部材の間に配置され、シリンダ室及び前記シリンダ室の外側に設けられた保持孔を有するシリンダと、前記シリンダ室内に配置された環状のローラ、及び、前記ローラの外周面から前記保持孔内を通過するように延在し且つ前記ローラと共に前記シリンダ室内を高圧室と低圧室とに区画するブレードを有するピストンとを備え、前記ピストンにおける前記2つの端板部材にそれぞれ対向した端面の少なくとも一方には凹部が形成されていることを特徴としている。
このロータリ圧縮機では、ピストンの端面に凹部を形成することで、ピストンの端面と端板部材の面との接触面積を減少させることができる。これにより、ピストンの端面における発熱が抑制されるので焼付き耐力が向上する。そのため、端板部材の面とピストンの端面とが運転中に接触しても、ピストンの端面において焼付きが生じにくくなる。従って、CR隙間を小さくすることでCOPを向上させることができる。
第2の発明に係るロータリ圧縮機は、第1の発明に係るロータリ圧縮機であって、前記凹部の少なくとも一部は前記ブレードの端面に形成されると共に、前記凹部は前記ローラの内周部と連通していることを特徴としている。
このロータリ圧縮機では、ピストンの端面において最も焼付きが生じやすいブレードの端面に形成された凹部がローラの内周部と連通していることで、ローラの内周部から凹部内に油が供給される。これにより、ピストンの端面の冷却が促進されるので、焼付き耐力が向上する。
第3の発明に係るロータリ圧縮機は、第1または第2の発明に係るロータリ圧縮機であって、前記シリンダは、前記シリンダ室の外側に設けられ且つ前記保持孔を通過する前記ブレードの先端が進退可能な給油孔を有しており、前記凹部の少なくとも一部は前記ブレードの端面に形成されると共に、前記凹部は前記給油孔の内部と連通していることを特徴としている。
このロータリ圧縮機では、ピストンの端面において最も焼付きが生じやすいブレードの端面に形成された凹部が給油孔の内部と連通していることで、給油孔の内部から凹部内に油が供給される。これにより、ピストンの端面の冷却が促進されるので、焼付き耐力が向上する。
第4の発明に係るロータリ圧縮機は、第3の発明に係るロータリ圧縮機であって、前記2つの端板部材及び前記シリンダを収容する密閉ケーシングを備え、前記給油孔の上端は閉塞されると共に、前記給油孔の下端は前記密閉ケーシングの底部に配置された油溜まり部と連通していることを特徴としている。
このロータリ圧縮機では、常に、給油孔の内部が油溜まり部から供給される油で充填される。これにより、給油孔の内部から凹部内に油が確実に供給されるので、焼付き耐力が確実に向上する。
第5の発明に係るロータリ圧縮機は、第2〜4のいずれかの発明に係るロータリ圧縮機であって、前記凹部の少なくとも一部は前記ブレードの端面に形成されると共に、前記凹部の前記ブレードの端面に形成された部分は、平面視において前記ブレードの前記低圧室側の端部より前記高圧室側の端部に近接して配置されていることを特徴としている。
このロータリ圧縮機では、凹部内の油が溢れ、ブレードの端面を伝って低圧室に侵入するのを抑制することができる。これにより、圧縮機の性能が低下するのを抑制できる。
第6の発明に係るロータリ圧縮機は、2つの端板部材と、前記2つの端板部材の間に配置され、シリンダ室と、前記シリンダ室の外側に設けられた保持孔と、前記保持孔の外側に設けられた給油孔とを有するシリンダと、前記シリンダ室内に配置された環状のローラ、及び、前記ローラの外周面から前記保持孔内を通過するように延在し且つ前記ローラと共に前記シリンダ室内を高圧室と低圧室とに区画するブレードを有するピストンとを備え、前記ピストンにおける前記2つの端板部材にそれぞれ対向した端面の少なくとも一方には凹部が形成されており、前記凹部の少なくとも一部は前記ブレードの端面に形成されると共に、前記凹部は、前記ローラの内周部及び前記給油孔の内部と連通せず且つ前記低圧室の内部と連通していることを特徴としている。
このロータリ圧縮機では、ピストンの端面に凹部を形成することで、ピストンの端面と端板部材の面との接触面積を減少させることができる。これにより、ピストンの端面における発熱が抑制されるので焼付き耐力が向上する。そのため、端板部材の面とピストンの端面とが運転中に接触しても、ピストンの端面において焼付きが生じにくくなる。従って、CR隙間を小さくすることでCOPを向上させることができる。
また、このロータリ圧縮機では、低圧室の内部から凹部内に比較的冷たい吸入ガスが供給されることで、ピストンの端面の冷却が促進されるので、焼付き耐力が向上する。
第7の発明に係るロータリ圧縮機は、第6の発明に係るロータリ圧縮機において、前記凹部の前記ブレードの端面に形成された部分は、平面視において前記ブレードの前記高圧室側の端部より前記低圧室側の端部に近接して配置されていることを特徴としている。
このロータリ圧縮機では、高圧室内の冷媒が凹部内に侵入するのを抑制することができる。そのため、凹内部空間には低圧室の内部からの吸入ガスが維持されるために焼付き耐力がより向上し、且つ、高圧室から凹部空間を経由して低圧室に冷媒が侵入するのを抑制することができる。これにより、圧縮機の性能が低下するのを抑制できる。
第8の発明に係るロータリ圧縮機は、第1〜7のいずれかの発明に係るロータリ圧縮機であって、前記凹部は、前記シリンダ室での圧縮工程が行われるときに、前記端板部材における前記ピストンの凹部が形成された端面に対向した面において、前記ピストンの端面と常に対向する領域が発生しないように形成されていることを特徴としている。
このロータリ圧縮機では、シリンダ室での圧縮工程が行われるときに、端板部材の面においてピストンの端面と常に対向する領域が発生しないので、焼付き耐力が向上する。
第9の発明に係るロータリ圧縮機は、第1〜8のいずれかの発明に係るロータリ圧縮機であって、前記ピストンは、焼結で成形されていることを特徴としている。
このロータリ圧縮機では、ピストンを焼結で成形することでピストンの加工が容易となる。
第10の発明に係るロータリ圧縮機は、第1〜9のいずれかの発明に係るロータリ圧縮機であって、CO2冷媒を使用することを特徴としている。
このロータリ圧縮機では、非常に高圧となるCO2冷媒を使用した場合でも、焼付き耐力が向上する。
以上の説明に述べたように、本発明によれば、以下の効果が得られる。
第1の発明では、ピストンの端面に凹部を形成することで、ピストンの端面と端板部材の面との接触面積を減少させることができる。これより、ピストンの端面の発熱が抑制されるので焼付き耐力が向上する。そのため、端板部材の面とピストンの端面とが運転中に接触しても、ピストンの端面において焼付きが生じにくくなる。従って、CR隙間を小さくすることができるので、COPを向上させることができる。
第2の発明では、ピストンの端面において最も焼付きが生じやすいブレードの端面に形成された凹部がローラの内周部と連通していることで、ローラの内周部から凹部内に油が供給される。これより、ピストンの端面の冷却が促進されるので、焼付き耐力が向上する。
第3の発明では、ピストンの端面において最も焼付きが生じやすいブレードの端面に形成された凹部が給油孔の内部と連通していることで、給油孔の内部から凹部内に油が供給される。これより、ピストンの端面の冷却が促進されるので、焼付き耐力が向上する。
第4の発明では、常に、給油孔の内部が油溜まり部から供給される油で充填される。これより、給油孔の内部から凹部内に油が確実に供給されるので、焼付き耐力が確実に向上する。
第5の発明では、凹部内の油が溢れ、ブレードの端面を伝って低圧室に侵入するのを抑制することができる。これにより、圧縮機の性能が低下するのを抑制できる。
第6の発明では、低圧室の内部から凹部内に比較的冷たい吸入ガスが供給されることで、ピストンの端面の冷却が促進されるので、焼付き耐力が向上する。
第7の発明では、高圧室内の冷媒が凹部内に侵入するのを抑制することができる。そのため、凹内部空間には低圧室の内部からの吸入ガスが維持されるために焼付き耐力がより向上し、且つ、高圧室から凹部空間を経由して低圧室に冷媒が侵入するのを抑制することができる。これにより、圧縮機の性能が低下するのを抑制できる。
第8の発明では、シリンダ室での圧縮工程が行われるときに、端板部材の面においてピストンの端面と常に対向する領域が発生しないので、焼付き耐力が向上する。
第9の発明では、ピストンを焼結で成形することで、ピストンの加工が容易となる。
第10の発明では、非常に高圧となるCO2冷媒を使用した場合でも、焼付き耐力が向上する。
本発明の第1実施形態に係るロータリ圧縮機の概略構成図である。
図1のロータリ圧縮機のシリンダ内の構成を説明する平面図である。
ピストンの斜視図である。
圧縮工程を行うピストンのシリンダ内での動作を説明する図である。
従来のロータリ圧縮機のシリンダ内の構成を説明する平面図である。
本発明の第2実施形態に係るロータリ圧縮機のシリンダ内の構成を説明する平面図である。
図6のB−B線における断面図である。
第1実施形態の第1変形例に係るロータリ圧縮機のシリンダ内の構成を説明する平面図である。
第1実施形態の第2変形例に係るロータリ圧縮機のシリンダ内の構成を説明する平面図である。
図10(a)は、第1実施形態の第3変形例に係るロータリ圧縮機におけるピストンの上面図であり、図10(b)は、シリンダ内の構成を説明する断面図である。
図11(a)は、第2実施形態の第1変形例に係るロータリ圧縮機におけるピストンの上面図であり、図11(b)は、シリンダ内の構成を説明する断面図である。
(第1実施形態)
以下、図面に基づいて、本発明の第1実施形態に係るロータリ圧縮機について説明する。図1は、本発明の第1実施形態に係るロータリ圧縮機の概略構成図である。
ロータリ圧縮機1は、アキュムレータ(図示せず)から導入される水分が除去された冷媒ガスを圧縮して、その上端部に配置された排出流路25から圧縮した冷媒ガスを排出するものである。冷媒ガスとしては、例えば、CO2冷媒などが用いられる。
ロータリ圧縮機1は、図1に示すように、密閉ケーシング10と、密閉ケーシング10内に配置される駆動機構20と及び圧縮機構30とを備えている。このロータリ圧縮機1は、いわゆる高圧ドーム型の圧縮機であって、密閉ケーシング10内において、圧縮機構30が駆動機構20の下側に配置される。また、密閉ケーシング10の底部には、圧縮機構30の各摺動部に供給される潤滑油が貯留された油溜まり部40が配置されている。
駆動機構20は、圧縮機構30を駆動するために設けられており、駆動源となるモータ21と、モータ21に取り付けられるシャフト24とを備えている。
モータ21は、ロータ22と、このロータ22の径方向外側にエアギャップを介して配置されるステータ23とを有している。このロータ22には、シャフト24が取り付けられている。そして、ロータ22は、積層された電磁鋼板からなるロータ本体(図示せず)と、このロータ本体に埋設された磁石(図示せず)とを有している。また、ステータ23は、鉄からなるステータ本体26と、このステータ本体に巻回されたコイル27とを有している。モータ21は、コイル27に電流を流すことによってステータ23に発生する電磁力により、ロータ22をシャフト24と共に回転させる。
シャフト24には、後述するシリンダ33のシリンダ室B1内に位置するように偏心部22aが設けられている。この偏心部22aには、ローラ37が装着されている。これにより、シャフト24の回転に伴って、偏心部22aに装着されるローラ37がシリンダ室B1で回転する。
一方、圧縮機構30は、アキュムレータから吸入した冷媒を圧縮して吐出するために設けられている。この圧縮機構30により吐出された冷媒は、駆動機構20のステータ23とロータ22との間のエアギャップを通過して、駆動機構20を冷却した後、排出流路25から吐出される。この圧縮機構30は、駆動機構20のシャフト24の回転軸に沿って上から下に向かって、フロントマフラ31と、フロントヘッド(端板部材)32と、シリンダ33及びピストン34と、リアヘッド(端板部材)35とを有している。
フロントマフラ31は、フロントヘッド32との間にマフラー空間A1を形成するように取り付けられ、冷媒の吐出に伴う騒音の低減を図っている。このフロントマフラ31には、フロントヘッド32が嵌挿される開口31aが形成され、また、フロントヘッド32の外周面とシールするための鍔部31bが形成されている。そして、フロントマフラ31には、マフラー空間A1から圧縮された冷媒が密閉ケーシング10内へ吐出するための吐出孔(図示せず)が形成されている。
フロントヘッド32は、シリンダ33の上側に配置され、シリンダ33のシリンダ室B1の上方を閉塞する。このフロントヘッド32は、シャフト24が嵌挿される軸受け孔32aを有している。そして、フロントヘッド32の上面には、凹状の弁収容室(図示せず)と、シリンダ33のシリンダ室B1において圧縮された冷媒が吐出される吐出ポート(図示せず)とが設けられている。吐出ポートから吐出される冷媒は、上記したマフラー空間A1を介して、フロントマフラ31に形成される吐出孔から密閉ケーシング10内へ吐出される。また、弁収容室内には、吐出ポートの出口を開閉する吐出弁(図示せず)と、その吐出弁の開放を規制する押え部材(図示せず)とが設けられている。
シリンダ33には、シャフト24の回転に伴って偏心運動するローラ37が配置されるシリンダ室B1が設けられる。このシリンダ室B1とマフラー空間A1とは、上記した図示しない吐出ポートを介して連通される。したがって、シャフト24の偏心部22aに装着されるローラ37の偏心運動によって圧縮された冷媒は、シリンダ室B1から上記した吐出ポートを介してマフラー空間A1に導かれる。
リアヘッド35は、シリンダ33の下側に配置され、シリンダ33のシリンダ室B1の下方を閉塞する。また、リアヘッド35には、シャフト24を支持するための軸受け孔35aが形成されている。
次に、圧縮機構におけるシリンダ室内の構成について、図2〜図4を参照して説明する。図2は、図1のロータリ圧縮機のシリンダ室内の構成を説明する平面図である。図3は、ピストンの斜視図である。図4は、圧縮工程を行うピストンのシリンダ室内での動作を説明する図である。
シリンダ33は、図2に示すように、その内側に配置されたシリンダ室B1と、シリンダ室B1の外側に設けられた保持孔41及び給油孔42とを有している。保持孔41には、一対のブッシュ45が配設されている。一対のブッシュ45は、それぞれ、略円柱状の部材を2つ割りにした形状に形成されている。給油孔42には、保持孔41を通過するブレード38の先端が進退可能になっている。また、シリンダ33には、半径方向に延びる低圧ポート43が貫通しており、この低圧ポート43には、アキュムレータに接続された吸込パイプ17が嵌挿されている。そして、低圧ポート43は、吸込口44においてシリンダ室B1に開口している。
また、シリンダ33内に配置されたピストン34は、図2及び図3に示すように、環状のローラ37と、ローラ37の外周面から延在する平板形状のブレード38とを有している。ローラ37は、上述したように、シリンダ室B1内において偏心部22aに装着されている。ブレード38は、保持孔41内に配設された一対のブッシュ45間を通過する。また、ピストン34は、焼結で成形されている。
そして、ピストン34の上面34a(フロントヘッド32の下面と対向する端面34a)には、凹部50が形成されている。凹部50は、略直方体形状であって、ローラ37の上面37aの一部及びブレード38の上面38aの一部をそれぞれ含むように、ローラ37とブレード38との境界に跨って形成されている。
ここで、図4(a)〜図4(d)に示すように、0°(上死点)の状態にあるローラ37が、駆動機構20の駆動により時計回りに90°、180°(下死点)、270°と順に回転する。そして、ピストン34の上面34aに凹部が形成されていない場合には、図5に示すように、シリンダ室B1での圧縮工程が行われるときに、フロントヘッド32の下面においてピストン34の上面34aと常に対向する領域50a(黒色の部分)が発生する。
そのため、本実施形態では、凹部50は、シリンダ室B1での圧縮工程が行われるときに、フロントヘッド32の下面においてピストン34の上面34aと常に対向する領域が発生しないように形成されている。つまり、凹部50は、図5で示した領域50aを含むように形成されている。従って、本実施形態では、シリンダ室B1で圧縮工程が行われるときに、フロントヘッド32の下面においてピストン34の上面34aと常に対向する領域が発生しない。
[第1実施形態のロータリ圧縮機の特徴]
第1実施形態のロータリ圧縮機1には、以下のような特徴がある。
本実施形態のロータリ圧縮機1では、ピストン34の端面34aに凹部50を形成することで、ピストン34の上面34aとフロントヘッド32の下面との接触面積を減少させることができる。これより、ピストン34の上面34aの発熱が抑制され、焼付き耐力が向上する。そのため、フロントヘッド32の下面とピストン34の上面34aとが運転中に接触しても、ピストン34の上面34aにおいて焼付きが生じにくくなる。従って、CR隙間を小さくすることでCOPを向上させることができる
また、凹部50が、シリンダ室B1での圧縮工程が行われるときに、フロントヘッド32の下面においてピストン34の上面34aと常に対向する領域(図5では領域50a)が発生しないので、焼付き耐力が向上する。
また、ピストン34を焼結で成形することでピストン34の加工が容易となる。 また、冷媒ガスとして、非常に高圧となるCO2冷媒を使用した場合、圧力差が大きいためにブレード肉厚を大きくする必要があり、しかも運転中の圧力変形も大きくなることから焼付き易くなるが、本形状により焼付き耐力が向上する。
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態のロータリ圧縮機について、図6及び図7を参照して説明する。図6は、本発明の第2実施形態に係るロータリ圧縮機のシリンダ内の構成を説明する平面図である。図7は、図6のB−B線における断面図である。
この第2実施形態では、給油孔の上端が閉塞されると共に給油孔が油溜まり部と連通している点で、第1実施形態と主に異なる。なお、第2実施形態では、その他の構成は、第1実施形態と同様であるので、第1実施形態と同一の番号を付し、その説明を省略する。
シリンダ33は、図6に示すように、その内側にシリンダ室B1と、シリンダ室B1の外側に設けられた保持孔41及び給油孔142とを有している。本実施の形態では、給油孔142の上端は、図7に示すように、シリンダ33の上側に配置されたフロントヘッド132の下面によって閉塞されている。また、給油孔142の下端は、シリンダ33の下側に配置されたリアヘッド135の貫通孔135aを介して、密閉ケーシングの底部に配置された油溜まり部40(図1参照)と連通している。
そして、シリンダ室B1内に配置されたピストン134は、図6及び図7に示すように、環状のローラ137と、ローラ137の外周面から延在する平板形状のブレード138とを有している。
そして、ピストン134の上面134a(フロントヘッド132の下面と対向する端面134a)には、凹部51が形成されている。凹部51は、略直方体形状であって、ローラ137の上面137aの一部及びブレード138の上面138aの一部をそれぞれ含むように、ローラ137とブレード138との境界に跨って形成されている。
本実施形態では、凹部51は、ブレード138の上面138aの全長にわたって形成されている。つまり、凹部51は、その一端がブレード138の先端まで形成されており、給油孔142の内部と連通している。そして、給油孔142の内部には、図7に示すように、リアヘッド135の貫通孔135aを介して油溜まり部40から油が供給されることによって、常に油が充填された状態に保たれている。
[第2実施形態のロータリ圧縮機の特徴]
第2実施形態のロータリ圧縮機には、以下のような特徴がある。
本実施形態のロータリ圧縮機では、ピストン134の上面において最も焼付きが生じやすいブレード138の上面138aに形成された凹部51が給油孔142の内部と連通していることで、給油孔142の内部から凹部51内に油が供給される。これにより、ピストン134の上面134aの冷却が促進されるので、焼付き耐力が向上する。
また、給油孔142の上端が閉塞されると共に、給油孔142の下端が油溜まり部40と連通していることで、給油孔142が油溜まり部40からの油で常に充填される。これにより、給油孔142の内部から凹部51内に油が確実に供給されるので、焼付き耐力が確実に向上する。
以上、本発明の実施形態について図面に基づいて説明したが、具体的な構成は、これらの実施形態に限定されるものでないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明だけではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
例えば、上述の第1実施形態において、ピストン34の上面34aに形成された凹部52は、図8に示すように、その少なくとも一部がブレード38の上面38aに形成されると共に、ローラ37の上面37aにおいてローラ37の内周部まで延在するように形成されてもよい(第1実施形態の第1変形例)。すなわち、凹部52は、ローラ37の内周部と連通して形成されてもよい。ここで、凹部52は、ローラ37の内周部と連通していることから、高圧の油が凹部52内に供給される。この場合には、ローラ37の内周部から凹部52内に油が供給されることで、ピストン34の上面34aの冷却が促進されるので、焼付き耐力が向上する。
また、図8では、凹部52は、ブレード38の上面38aにおいて、平面視においてブレード38の低圧室側の端部39bより高圧室側の端部39aに近接して配置されている。つまり、凹部52は、平面視において、ブレード38の伸延方向に沿って形成された略長方形状であって、凹部52とブレード38の高圧室側の端部39aとの距離x1は、凹部52とブレード38の低圧室側の端部39bとの距離y1より小さくなっている。この場合には、凹部52内の油が溢れ、ブレード38の上面38aを伝って低圧室に侵入するのを抑制することができる。これにより、圧縮機の性能が低下するのを抑制できる。
ここで、図8では、凹部52は、ブレード38の端面に形成されると共にローラ37の端面に形成されており、ローラ37の内周部と連通しているが、凹部は、ブレード38の端面だけに形成されており、給油孔42の内部と連通していてもよい。この場合には、ブレードの端面に形成された凹部が、平面視においてブレードの低圧室側の端部39bより高圧室側の端部39aに近接して配置されていればよい。また、凹部のブレードの端面に形成された部分が、平面視においてブレードの低圧室側の端部より高圧室側の端部に近接して配置されているとは、平面視において、ブレードの端面に形成された凹部の少なくとも一部が、ブレードの低圧室側の端部より高圧室側の端部に近接して配置されていればよい。つまり、平面視において、ブレードの端面に形成された凹部の少なくとも一部において、凹部と高圧室側の端部との距離が、凹部と低圧室側の端部との距離より小さくなっていればよい。また、凹部は、平面視において、ブレードの端面の幅方向中心位置(図8の2点鎖線)より高圧室側(高圧室側の端部39a側)だけに配置されたものでもよい。
また、上述の第1実施形態において、ピストン34の上面34aに形成された凹部53は、図9に示すように、その少なくとも一部がブレード38の上面38aに形成されると共に、ローラ37の内周部及び給油孔42の内部と連通せず且つシリンダ室B1における低圧室の内部と連通して形成されてもよい(第1実施形態の第2変形例)。ここで、凹部53は、ローラ37の内周部及び給油孔42の内部と連通していないことから、高圧の油は凹部53内にほとんど供給されない。この場合には、低圧室の内部から凹部53内に比較的冷たい吸入ガスが供給されることで、ピストン34の端面34aの冷却が促進されるので、焼付き耐力が向上する。また、図9では、凹部53は、平面視において、ブレード38の伸延方向に沿って形成された略長方形状であって、凹部53とブレード38の高圧室側の端部39aとの距離x1は、凹部53(低圧室の内部と連通していない部分)とブレード38の低圧室側の端部39bとの距離y1より大きくなっている。この場合には、高圧室内の冷媒が凹部53内に侵入するのを抑制することができる。そのため、凹内部空間には低圧室の内部からの吸入ガスが維持されるために焼付き耐力がより向上し、且つ、高圧室から凹部空間を経由して低圧室に冷媒が侵入するのを抑制することができる。これにより、圧縮機の性能が低下するのを抑制できる。
ここで、図9では、凹部53は、ブレード38の端面だけに形成されているが、凹部はブレード38の端面に形成されると共にローラ37の端面に形成されていてもよく、この場合には、凹部のブレードの端面に形成された部分が、平面視においてブレードの高圧室側の端部39aより低圧室側の端部39bに近接して配置されていればよい。また、凹部のブレードの端面に形成された部分が、平面視においてブレードの高圧室側の端部より低圧室側の端部に近接して配置されているとは、平面視において、ブレードの端面に形成された凹部(低圧室の内部と連通していない部分)の少なくとも一部が、ブレードの高圧室側の端部より低圧室側の端部に近接して配置されていればよい。つまり、平面視において、ブレードの端面に形成された凹部(低圧室の内部と連通していない部分)の少なくとも一部において、凹部と低圧室側の端部との距離が、凹部と高圧室側の端部との距離より小さくなっていればよい。また、凹部は、平面視において、ブレードの端面の幅方向中心位置(図9の2点鎖線)より低圧室側(低圧室側の端部39b側)だけに配置されたものでもよい。
また、上述の第1実施形態において、ピストン34は、図10(a)及び図10(b)に示すように、ブレード38の上面38aに形成された凹部54を有すると共に、ブレード38の下面(リアヘッド35に対向する端面)に形成された凹部55を有するものでもよい。凹部54及び凹部55は、平面視において同一の位置になるように、ブレード38の端面にそれぞれ形成されている。そして、ピストン34は、凹部54、55を連通させるために上下方向に延びる接続流路61と、接続流路61とローラ37の内周部とを連通させるために水平方向に延びる連通流路62とを有している(第1実施形態の第3変形例)。つまり、凹部54、55は、接続流路61及び連通流路62を介して、ローラ37の内周部と連通している。この場合には、ローラ37の内周部から凹部54、55内に油が供給されることで、ピストン34の上面34a及び下面34bの冷却が促進されるので、焼付き耐力が向上する。
ここで、ピストン34は、凹部54、55、接続流路61及び連通流路62を有するものに限らず、凹部54、接続流路61の上方部分及び連通流路62を有するものでもよいし、凹部55、接続流路61の下方部分及び連通流路62を有するものでもよい。つまり、凹部は、ブレードの上面だけに形成されており、ピストンの内部に形成された流路によってローラの内周部と連通してもよいし、凹部は、ブレードの下面だけに形成されており、ピストンの内部に形成された流路によってローラの内周部と連通してもよい。
また、上述の第2実施形態において、ピストン134は、図11(a)及び図11(b)に示すように、ブレード138の上面に形成された凹部56を有すると共に、ブレード138の下面(リアヘッド135に対向する端面)に形成された凹部57を有するものでもよい。凹部56及び凹部57は、平面視において同一の位置になるように、ブレード138の端面にそれぞれ形成されている。そして、ピストン134は、凹部56、57を連通させるために上下方向に延びる接続流路63と、接続流路63とローラ137の内周部とを連通させるために水平方向に延びる連通流路64とを有している(第2実施形態の第1変形例)。つまり、凹部56、57は、接続流路63及び連通流路64を介して、ローラ137の内周部と連通している。この場合には、給油孔142の内部から凹部56、57内に油が供給されることで、ピストン134の上面134a及び下面134bの冷却が促進されるので、焼付き耐力が向上する。
ここで、ピストン134は、凹部56、57、接続流路63及び連通流路64を有するものに限らず、凹部56、接続流路63の上方部分及び連通流路64を有するものでもよいし、凹部57、接続流路63の下方部分及び連通流路64を有するものでもよい。つまり、凹部は、ブレードの上面だけに形成されており、ピストンの内部に形成された流路によって給油孔142の内部と連通してもよいし、凹部は、ブレードの下面だけに形成されており、ピストンの内部に形成された流路によって給油孔142の内部と連通してもよい。
また、上述の第1及び第2実施形態では、凹部50、51は、ローラ37、137の上面37a、137aの一部及びブレード38、138の上面38a、138aの一部をそれぞれ含むように形成されていたが、本発明はこれに限らず、凹部50、51は、ローラ37、137の上面37a、137a及びブレード38、138の上面38a、138aのどちらかだけに形成されていてもよい。
また、上述の第1及び第2実施形態、並びに第1実施形態の第1、第2変形例では、凹部50、51、52、53が、ピストン34、134の上面34a、134a(フロントヘッド32、132に対向する端面)に形成されている場合について説明した。さらに、上述の第1実施形態の第3変形例及び第2実施形態の第1変形例では、凹部54、56が、ピストン34、134の上面34a、134aに形成されていると共に、凹部55、57が、ピストン34、134の下面34b、134b(リアヘッド35、135に対向する端面)に形成されている場合について説明した。しかしながら、本発明はこれに限定されるものではない。すなわち、凹部は、ピストン34、134の下面のみに形成されてもよい。
本発明を利用すれば、ピストンの端面の焼付き耐力を向上させ、COPを向上させることができる。
1 ロータリ圧縮機
10 密閉ケーシング
32、132 フロントヘッド(端板部材)
33 シリンダ
34、134 ピストン
35、135 リアヘッド(端板部材)
37、137 ローラ
38、138 ブレード
40 油溜まり部
41 保持孔
42、142 給油孔
50、51、52、53、54、55、56、57 凹部
B1 シリンダ室
本発明は、ローラとブレードとが一体に形成されたピストンを有するロータリ圧縮機に関する。
一般的なロータリ圧縮機は、2つの端板部材と、2つの端板部材の間に配置されるシリンダと、シリンダ室内に配置された環状のローラ及びそのローラの外周面から延在するブレードを有するピストンとを備えている。シリンダは、シリンダ室及びシリンダ室の外側に設けられた保持孔を有しており、ブレードは、その保持孔内を通過して、ローラと共にシリンダ室内を高圧室と低圧室とに区画している。このとき、シリンダとピストンとの段差すなわちCR隙間を小さくすることができると、圧縮された冷媒がほとんど漏れなくなりCOPが向上する(例えば、特許文献1参照)。しかし、CR隙間が小さい場合には、端板部材やシリンダ等の組み立て時の歪みや運転時の圧力差及び熱膨張による変更などによって、端板部材の面とピストンの端面とが運転中に接触し、ピストンの端面において焼付きが生じるという問題がある。
そこで、上記問題を解消するために、ピストンの端面の焼付き耐力を向上させる方法が種々提案されている。例えば、ピストンのブレードの厚みを小さくし、ピストンの端面と2つの端板部材との接触面積を減少させることで、ピストンの端面における発熱を抑制することができる。
しかしながら、ピストンのブレードは、高圧室と低圧室との差圧に耐える必要があるため、その厚みを小さくすることには限界がある。また、シリンダ室での圧縮工程が行われるときに、端板部材の面には、ピストンの端面と常に対向する領域(図5における領域50a)が発生するため、上述の方法では、焼付き耐力を十分に向上させることは困難である。
そこで、本発明の目的は、ピストンの端面の焼付き耐力を向上させ、COPを向上させることが可能なロータリ圧縮機を提供することである。
第1の発明に係るロータリ圧縮機は、2つの端板部材と、前記2つの端板部材の間に配置され、シリンダ室及び前記シリンダ室の外側に設けられた保持孔を有するシリンダと、前記シリンダ室内に配置された環状のローラ、及び、前記ローラの外周面から前記保持孔内を通過するように延在し且つ前記ローラと共に前記シリンダ室内を高圧室と低圧室とに区画するブレードを有するピストンとを備え、前記シリンダは、前記シリンダ室の外側に設けられ且つ前記保持孔を通過する前記ブレードの先端が進退可能な給油孔を有しており、前記ピストンにおける前記2つの端板部材にそれぞれ対向した端面の少なくとも一方には凹部が形成されており、前記凹部の少なくとも一部は前記ブレードの端面に形成されると共に、前記凹部は、前記ローラの内周部側と連通し、かつ、前記給油孔の内部と連通しないことを特徴としている。
このロータリ圧縮機では、ピストンの端面に凹部を形成することで、ピストンの端面と端板部材の面との接触面積を減少させることができる。これにより、ピストンの端面における発熱が抑制されるので焼付き耐力が向上する。そのため、端板部材の面とピストンの端面とが運転中に接触しても、ピストンの端面において焼付きが生じにくくなる。従って、CR隙間を小さくすることでCOPを向上させることができる。
このロータリ圧縮機では、ピストンの端面において最も焼付きが生じやすいブレードの端面に形成された凹部がローラの内周部と連通していることで、ローラの内周部から凹部内に油が供給される。これにより、ピストンの端面の冷却が促進されるので、焼付き耐力が向上する。
第2の発明に係るロータリ圧縮機は、第1の発明に係るロータリ圧縮機であって、前記凹部の前記ブレードの端面に形成された部分は、平面視において前記ブレードの前記低圧室側の端部より前記高圧室側の端部に近接して配置されていることを特徴としている。
このロータリ圧縮機では、凹部内の油が溢れ、ブレードの端面を伝って低圧室に侵入するのを抑制することができる。これにより、圧縮機の性能が低下するのを抑制できる。
第3の発明に係るロータリ圧縮機は、第1または第2の発明に係るロータリ圧縮機であって、前記凹部は、前記シリンダ室での圧縮工程が行われるときに、前記端板部材における前記ピストンの凹部が形成された端面に対向した面において、前記ピストンの端面と常に対向する領域が発生しないように形成されていることを特徴としている。
このロータリ圧縮機では、シリンダ室での圧縮工程が行われるときに、端板部材の面においてピストンの端面と常に対向する領域が発生しないので、焼付き耐力が向上する。
第4の発明に係るロータリ圧縮機は、第1〜3のいずれかの発明に係るロータリ圧縮機であって、前記ピストンは、焼結で成形されていることを特徴としている。
このロータリ圧縮機では、ピストンを焼結で成形することでピストンの加工が容易となる。
第5の発明に係るロータリ圧縮機は、第1〜4のいずれかの発明に係るロータリ圧縮機であって、CO2冷媒を使用することを特徴としている。
このロータリ圧縮機では、非常に高圧となるCO2冷媒を使用した場合でも、焼付き耐力が向上する。
以上の説明に述べたように、本発明によれば、以下の効果が得られる。
第1の発明では、ピストンの端面に凹部を形成することで、ピストンの端面と端板部材の面との接触面積を減少させることができる。これより、ピストンの端面の発熱が抑制されるので焼付き耐力が向上する。そのため、端板部材の面とピストンの端面とが運転中に接触しても、ピストンの端面において焼付きが生じにくくなる。従って、CR隙間を小さくすることができるので、COPを向上させることができる。
第1の発明では、ピストンの端面において最も焼付きが生じやすいブレードの端面に形成された凹部がローラの内周部と連通していることで、ローラの内周部から凹部内に油が供給される。これより、ピストンの端面の冷却が促進されるので、焼付き耐力が向上する。
第3の発明では、凹部内の油が溢れ、ブレードの端面を伝って低圧室に侵入するのを抑制することができる。これにより、圧縮機の性能が低下するのを抑制できる。
第3の発明では、シリンダ室での圧縮工程が行われるときに、端板部材の面においてピストンの端面と常に対向する領域が発生しないので、焼付き耐力が向上する。
第4の発明では、ピストンを焼結で成形することで、ピストンの加工が容易となる。
第5の発明では、非常に高圧となるCO2冷媒を使用した場合でも、焼付き耐力が向上する。
本発明の第1実施形態に係るロータリ圧縮機の概略構成図である。
図1のロータリ圧縮機のシリンダ内の構成を説明する平面図である。
ピストンの斜視図である。
圧縮工程を行うピストンのシリンダ内での動作を説明する図である。
従来のロータリ圧縮機のシリンダ内の構成を説明する平面図である。
本発明の第2実施形態に係るロータリ圧縮機のシリンダ内の構成を説明する平面図である。
図6のB−B線における断面図である。
第1実施形態の第1変形例に係るロータリ圧縮機のシリンダ内の構成を説明する平面図である。
第1実施形態の第2変形例に係るロータリ圧縮機のシリンダ内の構成を説明する平面図である。
図10(a)は、第1実施形態の第3変形例に係るロータリ圧縮機におけるピストンの上面図であり、図10(b)は、シリンダ内の構成を説明する断面図である。
図11(a)は、第2実施形態の第1変形例に係るロータリ圧縮機におけるピストンの上面図であり、図11(b)は、シリンダ内の構成を説明する断面図である。
(第1実施形態)
以下、図面に基づいて、本発明の第1実施形態に係るロータリ圧縮機について説明する。図1は、本発明の第1実施形態に係るロータリ圧縮機の概略構成図である。
ロータリ圧縮機1は、アキュムレータ(図示せず)から導入される水分が除去された冷媒ガスを圧縮して、その上端部に配置された排出流路25から圧縮した冷媒ガスを排出するものである。冷媒ガスとしては、例えば、CO2冷媒などが用いられる。
ロータリ圧縮機1は、図1に示すように、密閉ケーシング10と、密閉ケーシング10内に配置される駆動機構20と及び圧縮機構30とを備えている。このロータリ圧縮機1は、いわゆる高圧ドーム型の圧縮機であって、密閉ケーシング10内において、圧縮機構30が駆動機構20の下側に配置される。また、密閉ケーシング10の底部には、圧縮機構30の各摺動部に供給される潤滑油が貯留された油溜まり部40が配置されている。
駆動機構20は、圧縮機構30を駆動するために設けられており、駆動源となるモータ21と、モータ21に取り付けられるシャフト24とを備えている。
モータ21は、ロータ22と、このロータ22の径方向外側にエアギャップを介して配置されるステータ23とを有している。このロータ22には、シャフト24が取り付けられている。そして、ロータ22は、積層された電磁鋼板からなるロータ本体(図示せず)と、このロータ本体に埋設された磁石(図示せず)とを有している。また、ステータ23は、鉄からなるステータ本体26と、このステータ本体に巻回されたコイル27とを有している。モータ21は、コイル27に電流を流すことによってステータ23に発生する電磁力により、ロータ22をシャフト24と共に回転させる。
シャフト24には、後述するシリンダ33のシリンダ室B1内に位置するように偏心部22aが設けられている。この偏心部22aには、ローラ37が装着されている。これにより、シャフト24の回転に伴って、偏心部22aに装着されるローラ37がシリンダ室B1で回転する。
一方、圧縮機構30は、アキュムレータから吸入した冷媒を圧縮して吐出するために設けられている。この圧縮機構30により吐出された冷媒は、駆動機構20のステータ23とロータ22との間のエアギャップを通過して、駆動機構20を冷却した後、排出流路25から吐出される。この圧縮機構30は、駆動機構20のシャフト24の回転軸に沿って上から下に向かって、フロントマフラ31と、フロントヘッド(端板部材)32と、シリンダ33及びピストン34と、リアヘッド(端板部材)35とを有している。
フロントマフラ31は、フロントヘッド32との間にマフラー空間A1を形成するように取り付けられ、冷媒の吐出に伴う騒音の低減を図っている。このフロントマフラ31には、フロントヘッド32が嵌挿される開口31aが形成され、また、フロントヘッド32の外周面とシールするための鍔部31bが形成されている。そして、フロントマフラ31には、マフラー空間A1から圧縮された冷媒が密閉ケーシング10内へ吐出するための吐出孔(図示せず)が形成されている。
フロントヘッド32は、シリンダ33の上側に配置され、シリンダ33のシリンダ室B1の上方を閉塞する。このフロントヘッド32は、シャフト24が嵌挿される軸受け孔32aを有している。そして、フロントヘッド32の上面には、凹状の弁収容室(図示せず)と、シリンダ33のシリンダ室B1において圧縮された冷媒が吐出される吐出ポート(図示せず)とが設けられている。吐出ポートから吐出される冷媒は、上記したマフラー空間A1を介して、フロントマフラ31に形成される吐出孔から密閉ケーシング10内へ吐出される。また、弁収容室内には、吐出ポートの出口を開閉する吐出弁(図示せず)と、その吐出弁の開放を規制する押え部材(図示せず)とが設けられている。
シリンダ33には、シャフト24の回転に伴って偏心運動するローラ37が配置されるシリンダ室B1が設けられる。このシリンダ室B1とマフラー空間A1とは、上記した図示しない吐出ポートを介して連通される。したがって、シャフト24の偏心部22aに装着されるローラ37の偏心運動によって圧縮された冷媒は、シリンダ室B1から上記した吐出ポートを介してマフラー空間A1に導かれる。
リアヘッド35は、シリンダ33の下側に配置され、シリンダ33のシリンダ室B1の下方を閉塞する。また、リアヘッド35には、シャフト24を支持するための軸受け孔35aが形成されている。
次に、圧縮機構におけるシリンダ室内の構成について、図2〜図4を参照して説明する。図2は、図1のロータリ圧縮機のシリンダ室内の構成を説明する平面図である。図3は、ピストンの斜視図である。図4は、圧縮工程を行うピストンのシリンダ室内での動作を説明する図である。
シリンダ33は、図2に示すように、その内側に配置されたシリンダ室B1と、シリンダ室B1の外側に設けられた保持孔41及び給油孔42とを有している。保持孔41には、一対のブッシュ45が配設されている。一対のブッシュ45は、それぞれ、略円柱状の部材を2つ割りにした形状に形成されている。給油孔42には、保持孔41を通過するブレード38の先端が進退可能になっている。また、シリンダ33には、半径方向に延びる低圧ポート43が貫通しており、この低圧ポート43には、アキュムレータに接続された吸込パイプ17が嵌挿されている。そして、低圧ポート43は、吸込口44においてシリンダ室B1に開口している。
また、シリンダ33内に配置されたピストン34は、図2及び図3に示すように、環状のローラ37と、ローラ37の外周面から延在する平板形状のブレード38とを有している。ローラ37は、上述したように、シリンダ室B1内において偏心部22aに装着されている。ブレード38は、保持孔41内に配設された一対のブッシュ45間を通過する。また、ピストン34は、焼結で成形されている。
そして、ピストン34の上面34a(フロントヘッド32の下面と対向する端面34a)には、凹部50が形成されている。凹部50は、略直方体形状であって、ローラ37の上面37aの一部及びブレード38の上面38aの一部をそれぞれ含むように、ローラ37とブレード38との境界に跨って形成されている。
ここで、図4(a)〜図4(d)に示すように、0°(上死点)の状態にあるローラ37が、駆動機構20の駆動により時計回りに90°、180°(下死点)、270°と順に回転する。そして、ピストン34の上面34aに凹部が形成されていない場合には、図5に示すように、シリンダ室B1での圧縮工程が行われるときに、フロントヘッド32の下面においてピストン34の上面34aと常に対向する領域50a(黒色の部分)が発生する。
そのため、本実施形態では、凹部50は、シリンダ室B1での圧縮工程が行われるときに、フロントヘッド32の下面においてピストン34の上面34aと常に対向する領域が発生しないように形成されている。つまり、凹部50は、図5で示した領域50aを含むように形成されている。従って、本実施形態では、シリンダ室B1で圧縮工程が行われるときに、フロントヘッド32の下面においてピストン34の上面34aと常に対向する領域が発生しない。
[第1実施形態のロータリ圧縮機の特徴]
第1実施形態のロータリ圧縮機1には、以下のような特徴がある。
本実施形態のロータリ圧縮機1では、ピストン34の端面34aに凹部50を形成することで、ピストン34の上面34aとフロントヘッド32の下面との接触面積を減少させることができる。これより、ピストン34の上面34aの発熱が抑制され、焼付き耐力が向上する。そのため、フロントヘッド32の下面とピストン34の上面34aとが運転中に接触しても、ピストン34の上面34aにおいて焼付きが生じにくくなる。従って、CR隙間を小さくすることでCOPを向上させることができる
また、凹部50が、シリンダ室B1での圧縮工程が行われるときに、フロントヘッド32の下面においてピストン34の上面34aと常に対向する領域(図5では領域50a)が発生しないので、焼付き耐力が向上する。
また、ピストン34を焼結で成形することでピストン34の加工が容易となる。 また、冷媒ガスとして、非常に高圧となるCO2冷媒を使用した場合、圧力差が大きいためにブレード肉厚を大きくする必要があり、しかも運転中の圧力変形も大きくなることから焼付き易くなるが、本形状により焼付き耐力が向上する。
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態のロータリ圧縮機について、図6及び図7を参照して説明する。図6は、本発明の第2実施形態に係るロータリ圧縮機のシリンダ内の構成を説明する平面図である。図7は、図6のB−B線における断面図である。
この第2実施形態では、給油孔の上端が閉塞されると共に給油孔が油溜まり部と連通している点で、第1実施形態と主に異なる。なお、第2実施形態では、その他の構成は、第1実施形態と同様であるので、第1実施形態と同一の番号を付し、その説明を省略する。
シリンダ33は、図6に示すように、その内側にシリンダ室B1と、シリンダ室B1の外側に設けられた保持孔41及び給油孔142とを有している。本実施の形態では、給油孔142の上端は、図7に示すように、シリンダ33の上側に配置されたフロントヘッド132の下面によって閉塞されている。また、給油孔142の下端は、シリンダ33の下側に配置されたリアヘッド135の貫通孔135aを介して、密閉ケーシングの底部に配置された油溜まり部40(図1参照)と連通している。
そして、シリンダ室B1内に配置されたピストン134は、図6及び図7に示すように、環状のローラ137と、ローラ137の外周面から延在する平板形状のブレード138とを有している。
そして、ピストン134の上面134a(フロントヘッド132の下面と対向する端面134a)には、凹部51が形成されている。凹部51は、略直方体形状であって、ローラ137の上面137aの一部及びブレード138の上面138aの一部をそれぞれ含むように、ローラ137とブレード138との境界に跨って形成されている。
本実施形態では、凹部51は、ブレード138の上面138aの全長にわたって形成されている。つまり、凹部51は、その一端がブレード138の先端まで形成されており、給油孔142の内部と連通している。そして、給油孔142の内部には、図7に示すように、リアヘッド135の貫通孔135aを介して油溜まり部40から油が供給されることによって、常に油が充填された状態に保たれている。
[第2実施形態のロータリ圧縮機の特徴]
第2実施形態のロータリ圧縮機には、以下のような特徴がある。
本実施形態のロータリ圧縮機では、ピストン134の上面において最も焼付きが生じやすいブレード138の上面138aに形成された凹部51が給油孔142の内部と連通していることで、給油孔142の内部から凹部51内に油が供給される。これにより、ピストン134の上面134aの冷却が促進されるので、焼付き耐力が向上する。
また、給油孔142の上端が閉塞されると共に、給油孔142の下端が油溜まり部40と連通していることで、給油孔142が油溜まり部40からの油で常に充填される。これにより、給油孔142の内部から凹部51内に油が確実に供給されるので、焼付き耐力が確実に向上する。
以上、本発明の実施形態について図面に基づいて説明したが、具体的な構成は、これらの実施形態に限定されるものでないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明だけではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
例えば、上述の第1実施形態において、ピストン34の上面34aに形成された凹部52は、図8に示すように、その少なくとも一部がブレード38の上面38aに形成されると共に、ローラ37の上面37aにおいてローラ37の内周部まで延在するように形成されてもよい(第1実施形態の第1変形例)。すなわち、凹部52は、ローラ37の内周部と連通して形成されてもよい。ここで、凹部52は、ローラ37の内周部と連通していることから、高圧の油が凹部52内に供給される。この場合には、ローラ37の内周部から凹部52内に油が供給されることで、ピストン34の上面34aの冷却が促進されるので、焼付き耐力が向上する。
また、図8では、凹部52は、ブレード38の上面38aにおいて、平面視においてブレード38の低圧室側の端部39bより高圧室側の端部39aに近接して配置されている。つまり、凹部52は、平面視において、ブレード38の伸延方向に沿って形成された略長方形状であって、凹部52とブレード38の高圧室側の端部39aとの距離x1は、凹部52とブレード38の低圧室側の端部39bとの距離y1より小さくなっている。この場合には、凹部52内の油が溢れ、ブレード38の上面38aを伝って低圧室に侵入するのを抑制することができる。これにより、圧縮機の性能が低下するのを抑制できる。
ここで、図8では、凹部52は、ブレード38の端面に形成されると共にローラ37の端面に形成されており、ローラ37の内周部と連通しているが、凹部は、ブレード38の端面だけに形成されており、給油孔42の内部と連通していてもよい。この場合には、ブレードの端面に形成された凹部が、平面視においてブレードの低圧室側の端部39bより高圧室側の端部39aに近接して配置されていればよい。また、凹部のブレードの端面に形成された部分が、平面視においてブレードの低圧室側の端部より高圧室側の端部に近接して配置されているとは、平面視において、ブレードの端面に形成された凹部の少なくとも一部が、ブレードの低圧室側の端部より高圧室側の端部に近接して配置されていればよい。つまり、平面視において、ブレードの端面に形成された凹部の少なくとも一部において、凹部と高圧室側の端部との距離が、凹部と低圧室側の端部との距離より小さくなっていればよい。また、凹部は、平面視において、ブレードの端面の幅方向中心位置(図8の2点鎖線)より高圧室側(高圧室側の端部39a側)だけに配置されたものでもよい。
また、上述の第1実施形態において、ピストン34の上面34aに形成された凹部53は、図9に示すように、その少なくとも一部がブレード38の上面38aに形成されると共に、ローラ37の内周部及び給油孔42の内部と連通せず且つシリンダ室B1における低圧室の内部と連通して形成されてもよい(第1実施形態の第2変形例)。ここで、凹部53は、ローラ37の内周部及び給油孔42の内部と連通していないことから、高圧の油は凹部53内にほとんど供給されない。この場合には、低圧室の内部から凹部53内に比較的冷たい吸入ガスが供給されることで、ピストン34の端面34aの冷却が促進されるので、焼付き耐力が向上する。また、図9では、凹部53は、平面視において、ブレード38の伸延方向に沿って形成された略長方形状であって、凹部53とブレード38の高圧室側の端部39aとの距離x1は、凹部53(低圧室の内部と連通していない部分)とブレード38の低圧室側の端部39bとの距離y1より大きくなっている。この場合には、高圧室内の冷媒が凹部53内に侵入するのを抑制することができる。そのため、凹内部空間には低圧室の内部からの吸入ガスが維持されるために焼付き耐力がより向上し、且つ、高圧室から凹部空間を経由して低圧室に冷媒が侵入するのを抑制することができる。これにより、圧縮機の性能が低下するのを抑制できる。
ここで、図9では、凹部53は、ブレード38の端面だけに形成されているが、凹部はブレード38の端面に形成されると共にローラ37の端面に形成されていてもよく、この場合には、凹部のブレードの端面に形成された部分が、平面視においてブレードの高圧室側の端部39aより低圧室側の端部39bに近接して配置されていればよい。また、凹部のブレードの端面に形成された部分が、平面視においてブレードの高圧室側の端部より低圧室側の端部に近接して配置されているとは、平面視において、ブレードの端面に形成された凹部(低圧室の内部と連通していない部分)の少なくとも一部が、ブレードの高圧室側の端部より低圧室側の端部に近接して配置されていればよい。つまり、平面視において、ブレードの端面に形成された凹部(低圧室の内部と連通していない部分)の少なくとも一部において、凹部と低圧室側の端部との距離が、凹部と高圧室側の端部との距離より小さくなっていればよい。また、凹部は、平面視において、ブレードの端面の幅方向中心位置(図9の2点鎖線)より低圧室側(低圧室側の端部39b側)だけに配置されたものでもよい。
また、上述の第1実施形態において、ピストン34は、図10(a)及び図10(b)に示すように、ブレード38の上面38aに形成された凹部54を有すると共に、ブレード38の下面(リアヘッド35に対向する端面)に形成された凹部55を有するものでもよい。凹部54及び凹部55は、平面視において同一の位置になるように、ブレード38の端面にそれぞれ形成されている。そして、ピストン34は、凹部54、55を連通させるために上下方向に延びる接続流路61と、接続流路61とローラ37の内周部とを連通させるために水平方向に延びる連通流路62とを有している(第1実施形態の第3変形例)。つまり、凹部54、55は、接続流路61及び連通流路62を介して、ローラ37の内周部と連通している。この場合には、ローラ37の内周部から凹部54、55内に油が供給されることで、ピストン34の上面34a及び下面34bの冷却が促進されるので、焼付き耐力が向上する。
ここで、ピストン34は、凹部54、55、接続流路61及び連通流路62を有するものに限らず、凹部54、接続流路61の上方部分及び連通流路62を有するものでもよいし、凹部55、接続流路61の下方部分及び連通流路62を有するものでもよい。つまり、凹部は、ブレードの上面だけに形成されており、ピストンの内部に形成された流路によってローラの内周部と連通してもよいし、凹部は、ブレードの下面だけに形成されており、ピストンの内部に形成された流路によってローラの内周部と連通してもよい。
また、上述の第2実施形態において、ピストン134は、図11(a)及び図11(b)に示すように、ブレード138の上面に形成された凹部56を有すると共に、ブレード138の下面(リアヘッド135に対向する端面)に形成された凹部57を有するものでもよい。凹部56及び凹部57は、平面視において同一の位置になるように、ブレード138の端面にそれぞれ形成されている。そして、ピストン134は、凹部56、57を連通させるために上下方向に延びる接続流路63と、接続流路63とローラ137の内周部とを連通させるために水平方向に延びる連通流路64とを有している(第2実施形態の第1変形例)。つまり、凹部56、57は、接続流路63及び連通流路64を介して、ローラ137の内周部と連通している。この場合には、給油孔142の内部から凹部56、57内に油が供給されることで、ピストン134の上面134a及び下面134bの冷却が促進されるので、焼付き耐力が向上する。
ここで、ピストン134は、凹部56、57、接続流路63及び連通流路64を有するものに限らず、凹部56、接続流路63の上方部分及び連通流路64を有するものでもよいし、凹部57、接続流路63の下方部分及び連通流路64を有するものでもよい。つまり、凹部は、ブレードの上面だけに形成されており、ピストンの内部に形成された流路によって給油孔142の内部と連通してもよいし、凹部は、ブレードの下面だけに形成されており、ピストンの内部に形成された流路によって給油孔142の内部と連通してもよい。
また、上述の第1及び第2実施形態では、凹部50、51は、ローラ37、137の上面37a、137aの一部及びブレード38、138の上面38a、138aの一部をそれぞれ含むように形成されていたが、本発明はこれに限らず、凹部50、51は、ローラ37、137の上面37a、137a及びブレード38、138の上面38a、138aのどちらかだけに形成されていてもよい。
また、上述の第1及び第2実施形態、並びに第1実施形態の第1、第2変形例では、凹部50、51、52、53が、ピストン34、134の上面34a、134a(フロントヘッド32、132に対向する端面)に形成されている場合について説明した。さらに、上述の第1実施形態の第3変形例及び第2実施形態の第1変形例では、凹部54、56が、ピストン34、134の上面34a、134aに形成されていると共に、凹部55、57が、ピストン34、134の下面34b、134b(リアヘッド35、135に対向する端面)に形成されている場合について説明した。しかしながら、本発明はこれに限定されるものではない。すなわち、凹部は、ピストン34、134の下面のみに形成されてもよい。
本発明を利用すれば、ピストンの端面の焼付き耐力を向上させ、COPを向上させることができる。
1 ロータリ圧縮機
10 密閉ケーシング
32、132 フロントヘッド(端板部材)
33 シリンダ
34、134 ピストン
35、135 リアヘッド(端板部材)
37、137 ローラ
38、138 ブレード
40 油溜まり部
41 保持孔
42、142 給油孔
50、51、52、53、54、55、56、57 凹部
B1 シリンダ室