JP2013166976A - Cu−Ga合金スパッタリングターゲットの製造方法及びCu−Ga合金スパッタリングターゲット - Google Patents

Cu−Ga合金スパッタリングターゲットの製造方法及びCu−Ga合金スパッタリングターゲット Download PDF

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Abstract

【課題】 取扱いが困難な金属ナトリウムを安定的に使用することが可能なCu−Ga合金スパッタリングターゲットの製造方法を提供する。
【解決手段】
ナトリウムを含有するCu−Ga合金スパッタリングターゲットの製造方法において、Ga−Na合金中におけるナトリウムの量が15質量%以下となるように、ガリウム及びナトリウムを攪拌しながら溶解することによりGa−Na合金を形成し、Ga−Na合金と銅とを原料として用いて、Cu−Ga合金スパッタリングターゲット中にナトリウムを0.01〜7質量%、ガリウムを1〜45質量%含み、残部が銅と不可避的不純物となるように加熱し、鋳造する。
【選択図】 なし

Description

本発明は、CIGS(Cu−In−Ga−Se四元系合金)太陽電池の光吸収層の形成に使用されるアルカリ金属を含有するCu−Ga合金スパッタリングターゲットの製造方法及びCu−Ga合金スパッタリングターゲットに関する。
近年、クリーンエネルギーの一つとして太陽光発電が注目されており、その中でも結晶系Siが主流となっているが、供給面やコストの問題から、薄膜系太陽電池でも特に変換効率の高いCIGS系太陽電池が注目されている。CIGS系太陽電池は、Cu−In−Ga−Se四元系合金に代表される薄膜化合物半導体を光吸収層に使用した薄膜太陽電池である。Cu−In−Ga−Se薄膜太陽電池は、ソーダライムガラス基板上に、裏面電極となるMo電極層が形成され、Mo電極層の上に光吸収層となるCu−In−Ga−Se四元系合金膜が形成され、光吸収層の上にバッファ層としてZnS、CdSなどが形成され、バッファ層の上に透明導電膜が形成された基本構造を有する。
Cu−In−Ga−Se四元系合金膜からなる光吸収層の形成方法として、蒸着法が知られているが、成膜時間を要してしまうことから、スパッタ法によって形成する方法が提案されている。
Cu−In−Ga−Se四元系合金膜をスパッタ法により成膜する方法として、次のような方法が知られている。まず、Inターゲットを使用してスパッタによりIn膜を成膜し、In膜の上にCu−Ga二元系合金ターゲットを使用してスパッタすることにより、Cu−Ga二元系合金膜を成膜する。得られたIn膜及びCu−Ga二元系合金膜からなる積層膜をSe雰囲気中で熱処理してCu−In−Ga−Se四元系合金膜を形成する。
このCu−In−Ga−Se薄膜太陽電池を高性能化するためには、光吸収層にアルカリ金属、例えばナトリウムを添加する必要がある。
一般に、ソーダ石灰を主成分とするソーダ石灰ガラス等を基板に用いる場合には、基板に含まれるアルカリ金属が光吸収層に拡散するため、意図的にアルカリ金属を添加する必要はない。
一方、耐熱性に優れた無アルカリガラスや低アルカリガラスを基板に用いようとする場合、又はフレキシブル太陽電池を作成する目的で金属基板やプラスチック基板を用いようとする場合には、基板からのアルカリ金属の拡散が期待できない。そのため、アルカリプリカーサを用いることによって、アルカリ金属を光吸収層に拡散させる必要がある。
アルカリプリカーサを用いる方法では、アルカリプリカーサを形成し、そこから光吸収層にアルカリ金属を拡散させる。この方法は、アルカリプリカーサを設けるために、工程数が増えてしまい、産業的にはデメリットである。また、このようにアルカリ金属を光吸収層に拡散させる方法では、アルカリ金属の添加量を細かく制御することが困難である。更に、この方法は、光吸収層の厚さ方向で考えると、アルカリ金属源に近いほどアルカリ金属の濃度が濃くなり、アルカリ金属源と反対側ではアルカリ金属の濃度が薄くなる傾向がある。このことは、太陽電池の高性能化を計る上では良い手段であるとは言えない。
そこで、Cu−In−Ga−Se光吸収層を作製する際に使用する成膜材料、すなわち、スパッタリングターゲットや蒸着材料にアルカリ金属を添加すれば、Cu−In−Ga−Se光吸収層にアルカリ金属を添加することができる。しかしながら、アルカリ金属は非常に反応性が高い金属であり、取扱いが困難である。このため、薄膜太陽電池のアルカリ金属を含有する光吸収層を形成するスパッタリングターゲットを製造する方法において、アルカリ金属単体を用いずにアルカリ金属を含有したスパッタリングターゲットを製造する方法が求められている。
しかしながら、アルカリ金属である金属ナトリウムは、消防法の第3類に属する物質であり、化学的に極めて活性なため、空気中の酸素と容易に反応し、水と反応しやすい物質である。そのため、金属ナトリウムは、油中又は不活性雰囲気で保管する必要がある。また、工業的においては、金属ナトリウムは、比較的に沸点が低いことから沸点以上の高温処理、例えば、溶解にて溶解原料として用いると容易に気化する。しかし、気化したナトリウムは、反応性が高いため、取扱いが非常に困難である。
これに関して、特許文献1、2では、ナトリウムを安定的に含有させる方法として、金属ナトリウムを投入するのではなく、NaS、NaFのような化合物の状態で添加する方法が提案されている。しかし、これらの方法の場合、不純物がスパッタリングターゲット中に含有されてしまうので、成膜した後の太陽電池特性に支障が生じる可能性がある。
特許第4793504号公報 特開2011−214140号公報
本発明は、このような実情に鑑みて提案されたものであり、取扱いが困難な金属ナトリウムを安定的に使用して、ナトリウムを含有するCu−Ga合金スパッタリングターゲットを製造することが可能なCu−Ga合金スパッタリングターゲットの製造方法及びCu−Ga合金スパッタリングターゲットを提供することを目的とする。
本発明者らは、鋭意検討の結果、ナトリウムを含有するCu−Ga合金スパッタリングターゲットを製造する際に、まず、Ga−Na合金(Ga−Naの二元系合金)中におけるナトリウムの量が所定量以下であるGa−Na合金を形成し、次に、このGa−Na合金と銅とを原料として用いて、加熱し、鋳造することによって、取扱いが困難な金属ナトリウムを安定的に使用して、ナトリウムを含有するCu−Ga合金スパッタリングターゲットを製造することができることを見出し、本発明を完成させるに至った。
本発明は、ナトリウムを含有するCu−Ga合金スパッタリングターゲットの製造方法において、Ga−Na合金中におけるナトリウムの量が15質量%以下となるように、ガリウム及びナトリウムを攪拌しながら溶解することによりGa−Na合金を形成し、Ga−Na合金と銅とを原料として用いて、Cu−Ga合金スパッタリングターゲット中にナトリウムを0.01〜7質量%、ガリウムを1〜45質量%含み、残部が銅と不可避的不純物となるように加熱し、鋳造することを特徴とする。
本発明は、ナトリウムを含有するCu−Ga合金スパッタリングターゲットにおいて、Ga−Na合金と銅とが原料として用いられており、Ga−Na合金は、Ga−Na合金中におけるナトリウムの量が15質量%以下となるように、ガリウム及びナトリウムを攪拌しながら溶解することによって得られ、ナトリウムを0.01〜7質量%、ガリウムを1〜45質量%含み、残部が銅と不可避的不純物であることを特徴とする。
本発明によれば、Ga−Na合金を形成し、このGa−Na合金と銅とを原料として用いることによって、取扱いが困難な金属ナトリウムを安定的に使用して、ナトリウムを含有するCu−Ga合金スパッタリングターゲットを製造することができる。
以下、本発明の実施の形態(以下、「本実施の形態」という。)について、図面を参照しながら以下の順序で詳細に説明する。
1.Ga−Na合金作製工程
2.加熱工程
3.鋳造工程
4.スパッタリングターゲット製造工程
本実施の形態に係るCu−Ga合金スパッタリングターゲットの製造方法では、Ga−Na合金中におけるナトリウムの量が15質量%以下となるように、ガリウム及びナトリウムを攪拌しながら溶解することによりGa−Na合金を形成し、このGa−Na合金と銅とを原料として用いて、Cu−Ga合金スパッタリングターゲット中にナトリウムを0.01〜7質量%、ガリウムを1〜45質量%含み、残部が銅と不可避的不純物となるように加熱し、鋳造する。
これにより、取扱いが困難な金属ナトリウムを安定的に使用して、ナトリウムを含有するCu−Ga合金スパッタリングターゲットを製造することができる。
本実施の形態に係るCu−Ga合金スパッタリングターゲットの製造方法は、例えば、Ga−Na合金作製工程と、加熱工程と、鋳造工程と、スパッタリングターゲット製造工程とを有する。
<1.Ga−Na合金作製工程>
Ga−Na合金作製工程においては、Ga−Na合金中におけるナトリウムの量が15質量%以下となるように、ガリウム及びナトリウムを攪拌しながら溶解することによってGa−Na合金を形成する。
ナトリウムを含有するCu−Ga合金スパッタリングターゲットの組成としては、主にナトリウムとガリウムと銅とが挙げられるが、本実施の形態においては、まず、ナトリウム及びガリウムを用いてGa−Na合金を形成する。ガリウムは、融点が30℃程度と低温であることから、後に詳述するようにガリウムとナトリウムとの合金を100〜600℃で加熱して形成する際にナトリウムが気化することなく、容易に且つ安定的にGa−Na合金を形成することができる。一方、銅は、融点が1084℃程度と高温であるため、銅の融点以上の温度域で、例えば銅とナトリウムとガリウムとの合金を形成しようとすると、ナトリウムが気化してしまい、組成の制御が困難である。また、気化したナトリウムの反応性は、非常に高い。また、ガリウムや銅以外の融点が低い物質、例えば、スズ(Sn)やビスマス(Bi)は、供する材質、すなわち、スズやビスマス自体が不純物となってしまうため好ましくない。
Ga−Na合金を形成する際には、Ga−Na合金中におけるナトリウムの量を15質量%以下とする。Ga−Na合金中におけるナトリウムの量を15質量%以下とすることにより、ナトリウム相が晶出してしまうのを防止することができる。このように、ナトリウム相が晶出するのを防止することができるため、Ga−Na合金中にナトリウム特有の反応性の高い性質が残ってしまうことを防止することができる。したがって、取扱いが困難な金属ナトリウムを安定的に使用して、ナトリウムを含有するCu−Ga合金スパッタリングターゲットを製造することができる。
Ga−Na合金を形成する際には、ガリウム及びナトリウムを100〜600℃で攪拌しながら溶解することが好ましく、400〜600℃で攪拌しながら溶解することがより好ましい。ガリウム及びナトリウムを加熱する際の温度を100℃以上600℃以下とすることにより、合金化の初期段階でガリウムとナトリウムとの化合物が形成されてしまうのを防止することができ、ガリウムとナトリウムとが均一に混合されなくなってしまうのを効果的に防止することができる。また、ガリウム及びナトリウムを溶解する際の温度を400℃以上とすることにより、より効果的に、合金化の初期段階で化合物が形成されてしまうのを防止し、また、ガリウム及びナトリウムが均一に混合されなくなってしまうのを防止することができる。
Ga−Na合金を形成する際に、ガリウム及びナトリウムを攪拌する方法としては、ガリウムとナトリウムとが均一に混合されるようにすることが可能な方法であれば、特に限定されず、種々の方法を採用することができる。例えば、ガリウム及びナトリウムを100〜600℃で攪拌棒によって攪拌しながら溶解するようにしてもよい。
ガリウムとナトリウムとを合金化させる方法としては、特に限定されないが、例えば、不活性ガス雰囲気中で簡易的なホットプレートを用いる方法や、溶解炉を用いる方法が挙げられ、特に、溶解炉を用いる方法が好ましい。溶解炉を用いることにより、ガリウム及びナトリウムをより均一に混合することができ、より安定的なGa−Na合金を作製することが可能となる。
<2.加熱工程>
加熱工程では、Ga−Na合金作製工程で作製したGa−Na合金と、銅とを加熱する。加熱工程においては、Ga−Na合金と銅とを、例えば坩堝内で加熱する。坩堝の材質は、加熱温度が100〜400℃の範囲においては特に限定されず、例えば、黒鉛坩堝、鉄やSUSなど比較的融点が高い金属製のものを用いることができる。加熱温度が400℃以上の場合には、坩堝の材質として、金属ナトリウムとの反応が少ない鉄やステンレス鋼(SUS)など比較的融点が高い金属製のものが好ましい。黒鉛坩堝は、450℃位で金属ナトリウムと相関化合物を形成してしまうが、例えば黒鉛坩堝の内面を金属ナトリウムと反応しないような物質で保護することにより、金属ナトリウムとの相間化合物が形成されるのを防止することができる。
銅の配合量は、Ga−Na合金の組成を鑑みて、銅を主成分としてガリウムが1〜45質量%、ナトリウムが0.01〜7質量%となるように配合する。すなわち、Cu−Ga合金スパッタリングターゲットが、質量比でナトリウムを0.01〜7質量%、ガリウムを1〜45質量%含み、残部が銅と不可避的不純物となるようにする。ガリウムの量を45質量%よりも多くすると、ガリウムの染み出しが発生してしまう。すなわち、ガリウムの量を45質量%以下とすることにより、スパッタリングターゲット製造工程においてガリウムが溶けて、一部に液相が発生してしまうことを防止することができる。そのため、均一な組織のスパッタリングターゲットを得ることができる。また、ナトリウムの量が7質量%より多くなると、Ga−Na合金中におけるナトリウムの量が15質量%を超えてしまうため好ましくない。
銅の形状は、特に限定されず、例えば、塊状や粉末状のものを用いることができる。Ga−Na合金の組成において、ガリウムが少ない場合には、原料として銅以外にガリウム又はCu−Ga合金を用いてもよい。銅以外に用いるガリウム又はCu−Ga合金の形状は、特に限定されず、例えば、塊状や粉末状のものを用いることができる。
<3.鋳造工程>
鋳造工程においては、加熱工程で加熱して得られたGa−Na合金と銅との溶解物を鋳型に鋳造し、ナトリウムを含有するCu−Ga合金の鋳塊を作製する。Ga−Na合金と銅とを用いてナトリウムを含有するCu−Ga合金を作製する際には、不活性ガス雰囲気中において、例えば、高周波誘導溶解炉で900〜1000℃に加熱して鋳造することが好ましい。このように、不活性ガス雰囲気中において、高周波誘導溶解炉で900〜1000℃に加熱して鋳造することにより、銅、ガリウム及びナトリウムの酸化を防止することができる。
<4.スパッタリングターゲット製造工程>
スパッタリングターゲット製造工程においては、鋳造工程で得られたナトリウムを含有するCu−Ga合金の鋳塊を用いて、ナトリウムを含有するCu−Ga合金スパッタリングターゲットを製造する。スパッタリングターゲットの製造方法は、特に限定されず、例えばワイヤーカットなどでの切出しによる製法や、粉砕して焼結による製法を採用することができる。ワイヤーカットなどで切出す場合には、任意の寸法に切出した後、平面研削などで指定の厚さに調整することでスパッタリングターゲットを作製することができる。また、鋳塊を粉砕する場合には、例えばホットプレス装置を用いて高温・高圧にて、粉砕粉末から焼結体を作製し、得られた焼結体を指定寸法に切出し、平面切削することでスパッタリングターゲットを作製することができる。
以上のように、本実施の形態に係るCu−Ga合金スパッタリングターゲットの製造方法では、まず、Ga−Na合金中におけるナトリウムの量が15質量%以下となるように、ガリウム及びナトリウムを攪拌しながら溶解することによりGa−Na合金を形成する。次に、このGa−Na合金と銅とを原料として用いて、Cu−Ga合金スパッタリングターゲット中にナトリウムを0.01〜7質量%、ガリウムを1〜45質量%含み、残部が銅と不可避的不純物となるように加熱し、鋳造する。これにより、合金中にナトリウム相が晶出するのを防止することができるため、Ga−Na合金中にナトリウム特有の反応性の高い性質が残ってしまうことを防止することができる。したがって、取扱いが困難な金属ナトリウムを安定的に使用して、ナトリウムを含有するCu−Ga合金スパッタリングターゲットを製造することができる。例えば、ナトリウムを含む太陽電池の光吸収層を容易に作製することができる。また、太陽電池の光吸収層を作製するにあたって、上述したナトリウムを含有するCu−Ga合金スパッタリングターゲットを用いることにより、ナトリウムを光吸収層に拡散させるためのアルカリプリカーサを設ける必要が無く、産業的にも有利である。
上述したCu−Ga合金スパッタリングターゲットの製造方法で得られたCu−Ga合金スパッタリングターゲットは、Ga−Na合金と銅とが原料として用いられており、ナトリウムを0.01〜7質量%、ガリウムを1〜45質量%含み、残部が銅と不可避的不純物である。また、このGa−Na合金は、Ga−Na合金中におけるナトリウムの量が15質量%以下となるように、ガリウム及びナトリウムを攪拌しながら溶解することによって得られたものである。
このようなCu−Ga合金スパッタリングターゲットにおいては、例えばNaS、NaFのような化合物の状態で金属ナトリウムが添加されずに、金属ナトリウムの状態で使用することができるため、不純物がスパッタリングターゲット中に含有されることを防止することができる。また、スパッタリングターゲットに割れなどの不具合が発生することを防止することができる。そのため、このようなCu−Ga合金スパッタリングターゲットを用いることによって、例えば、成膜した後の太陽電池特性に支障が生じることをより効果的に防止することができる。
以下、本発明の具体的な実施例について説明する。なお、下記のいずれかの実施例に本発明の範囲が限定されるものではない。
(実施例1)
ナトリウムを含有するCu−Ga合金を作製するための出発原料として7000g用意し、Gaを35質量%、Naを1質量%含有し、残部がCuとなるように秤量した。そのうち、秤量した金属ガリウム2450g、金属ナトリウム70gを黒鉛坩堝に入れてホットプレートにてアルゴン雰囲気中で150℃に加熱してGa−Na合金(Ga−Na合金中のNa濃度が2.7質量%)を作製した。
作製したGa−Na合金と4480gの金属銅原料とを用いて、高周波誘導真空溶解炉(富士電波工業株式会社製)で、SUS304の坩堝中でアルゴンガス雰囲気にて900℃まで加熱し、鉄製の鋳型に鋳造した。
得られたCu−Ga−Na鋳塊の表面の異物をグラインダー等で除去した後、スタンプミルにて粒径の最大値で106μm以下となるように粉砕し、粉砕粉末を得た。
次に、この粉砕粉末7000gをホットプレス装置(IHI株式会社製)にて470×130mmの黒鉛型に粉砕粉末を投入し、温度を680℃、圧力を300kg/cmの条件としてアルゴン雰囲気中でプレスした。得られた焼結体を平面研削にて加工し、ワイヤーカットで450×120mmに周囲加工した後、ボンディングすることでCu−Ga−Naスパッタリングターゲットを作製した。
(実施例2)
実施例2では、出発原料を実施例1と同様にして秤量して、秤量した金属ガリウム2450g、金属ナトリウム70g(Ga−Na合金中のNa濃度が2.7質量%)を黒鉛坩堝に入れてホットプレートにてアルゴン雰囲気中で550℃に加熱してGa−Na合金を作製した。以降は、実施例1と同様の製法でCu−Ga−Naスパッタリングターゲットを作製した。
(実施例3)
実施例3では、ナトリウムを含有するCu−Ga合金を作製するための出発原料として7000g用意し、Gaを35質量%、Naを1質量%含有し、残部がCuとなるように秤量した。そのうち、秤量した金属ガリウム550gと、金属ナトリウム70gとを黒鉛坩堝に入れてホットプレートにてアルゴン雰囲気中で150℃に加熱してGa−Na合金(Ga−Na合金中のNa濃度が11.3質量%)を作製した。
作製したGa−Na合金と4480gの金属銅原料と、金属ガリウム原料を1900g用いて、高周波誘導真空溶解炉(富士電波工業株式会社製)でSUS304の坩堝中でアルゴンガス雰囲気にて900℃まで加熱し、鉄製の鋳型に鋳造した。以降は、実施例1と同様の製法でCu−Ga−Naスパッタリングターゲットを作製した。
(実施例4)
実施例4では、出発原料として7000g用意し、Gaを25質量%、Naを1質量%含有し、残部がCuとなるように秤量した。そのうち、秤量した金属ガリウム1750gと、金属ナトリウム70gとを黒鉛坩堝に入れてホットプレートにてアルゴン雰囲気中で150℃に加熱してGa−Na合金(Ga−Na合金中のNa濃度が3.8質量%)を作製した。以降は、実施例1と同様の製法でCu−Ga−Naスパッタリングターゲットを作製した。
(実施例5)
実施例5では、出発原料として7000g用意し、ガリウムを35質量%、Naを5質量%含有し、残部がCuとなるように秤量した。そのうち、秤量した金属ガリウム2520gと、金属ナトリウム350gとを黒鉛坩堝に入れてホットプレートにてアルゴン雰囲気中で150℃に加熱してGa−Na合金(Ga−Na合金中のNa濃度が12.2質量%)を作製した。以降は、実施例1と同様の製法でCu−Ga−Naスパッタリングターゲットを作製した。
(比較例1)
比較例1では、実施例1と同様に秤量し、そのうち、秤量した金属ガリウム280gと、金属ナトリウム70gとを黒鉛坩堝に入れてホットプレートにてアルゴン雰囲気中で150℃に加熱してGa−Na合金(Ga−Na合金中のNa濃度が20.0質量%)を作製したが、金属ナトリウムとして残存したためにその後の取扱いが困難という不具合が発生した。そのため、比較例1では、Cu−Ga−Naスパッタリングターゲットを作製することができなかった。
(比較例2)
比較例2では、実施例1と同様に秤量し、そのうち、秤量した金属ガリウム280gと、金属ナトリウム70gとを黒鉛坩堝に入れて高周波誘導真空溶解炉においてアルゴン雰囲気中で550℃まで加熱したが、黒鉛と反応して坩堝が破損し作業が継続出来ないという不具合が発生した。そのため、比較例1では、Cu−Ga−Naスパッタリングターゲットを作製することができなかった。
(比較例3)
比較例3では、出発原料として7000g用意し、ガリウムを50質量%、Naを1質量%含有し、残部がCuとなるように秤量した。そのうち、秤量した金属ガリウム3430g、金属ナトリウム70gを黒鉛坩堝に入れてホットプレートにてアルゴン雰囲気中で150℃に加熱してGa−Na合金(Ga−Na合金中のNa濃度が2.0質量%)を作製した。以降は、実施例1と同様の製法でCu−Ga−Naスパッタリングターゲットを作製した。
(比較例4)
比較例4では、出発原料として7000g用意し、ガリウムを35質量%、Naを10質量%含有し、残部がCuとなるように秤量した。そのうち、秤量した金属ガリウム2453g、金属ナトリウム700gを黒鉛坩堝に入れてホットプレートにてアルゴン雰囲気中で150℃に加熱してGa−Na合金(Ga−Na合金中のNa濃度が22.2質量%)を作製した。以降は、実施例1と同様の製法でCu−Ga−Naスパッタリングターゲットを作製した。
実施例1〜5及び比較例1〜4の条件等をまとめたものを表1に示す。
Figure 2013166976
表1において、「製造時の不具合」は、実施例1〜5及び比較例1〜4において、製造時に不具合が発生しなかった場合を(○)、製造時に何らかの不具合が発生した場合を(×)と評価した。また、「ターゲットの不具合」は、実施例1〜5及び比較例1〜4において、スパッタリングターゲットに割れなどの不具合が発生しなかった場合を(○)、スパッタリングターゲットに割れなどの不具合が発生した場合を(×)、製造時に不具合が生じてスパッタリングターゲットを作製できなかった場合を(−)と評価した。
比較例1では、Ga−Na合金中に金属ナトリウムが残存したため、その後の取扱いが困難という製造時の不具合が発生した。これは、Ga−Na合金を形成する際に、Ga−Na合金中におけるナトリウムの量が15質量%を超えており、ナトリウムの量が多すぎたためと考えられる。
比較例2では、Ga−Na合金中に金属ナトリウムが残存したため、その後の取扱いが困難という製造時の不具合が発生した。これは、Ga−Na合金を形成する際に、Ga−Na合金中におけるナトリウムの量が15質量%を超えており、ナトリウムの量が多すぎたためと考えられる。
比較例3では、Cu−Ga合金スパッタリングターゲットに不具合(割れ)が発生した。これは、Cu−Ga合金スパッタリングターゲット中の銅の含有量が少なすぎたためと考えられる。
比較例4では、Ga−Na合金中に金属ナトリウムが残存したため、その後の取扱いが困難という製造時の不具合が発生した。これは、Ga−Na合金を形成する際に、Ga−Na合金中におけるナトリウムの量が15質量%を超えており、ナトリウムの量が多すぎたためと考えられる。
一方、実施例1〜実施例5では、Ga−Na合金中に金属ナトリウムが残存せず、製造時の不具合が発生しなかった。これは、Ga−Na合金中におけるナトリウムの量が15質量%以下となるように、ガリウム及びナトリウムを攪拌しながら溶解することによりGa−Na合金を形成し、Ga−Na合金と銅とを原料として用いて、Cu−Ga合金スパッタリングターゲット中にナトリウムを0.01〜7質量%、ガリウムを1〜45質量%含み、残部が銅と不可避的不純物となるように加熱し、鋳造したためと考えられる。

Claims (3)

  1. ナトリウムを含有するCu−Ga合金スパッタリングターゲットの製造方法において、
    Ga−Na合金中におけるナトリウムの量が15質量%以下となるように、ガリウム及びナトリウムを攪拌しながら溶解することによりGa−Na合金を形成し、
    上記Ga−Na合金と銅とを原料として用いて、Cu−Ga合金スパッタリングターゲット中にナトリウムを0.01〜7質量%、ガリウムを1〜45質量%含み、残部が銅と不可避的不純物となるように加熱し、鋳造することを特徴とするCu−Ga合金スパッタリングターゲットの製造方法。
  2. 上記ガリウム及びナトリウムを100〜600℃で攪拌しながら溶解することによって、上記Ga−Na合金を形成することを特徴とする請求項1記載のCu−Ga合金スパッタリングターゲットの製造方法。
  3. ナトリウムを含有するCu−Ga合金スパッタリングターゲットにおいて、
    Ga−Na合金と銅とが原料として用いられており、
    上記Ga−Na合金は、Ga−Na合金中におけるナトリウムの量が15質量%以下となるように、ガリウム及びナトリウムを攪拌しながら溶解することによって得られ、
    ナトリウムを0.01〜7質量%、ガリウムを1〜45質量%含み、残部が銅と不可避的不純物であることを特徴とするCu−Ga合金スパッタリングターゲット。
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