JP2013166964A - めっき皮膜を有する多孔質ポリイミドフィルムの製造方法 - Google Patents

めっき皮膜を有する多孔質ポリイミドフィルムの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】めっき皮膜の付着性に優れた多孔質ポリイミドフィルムが製造可能なめっき皮膜を有する多孔質ポリイミドフィルム、及び超臨界二酸化炭素を使用しなくても孔の内壁にめっきが施された多孔質ポリイミドフィルムが製造可能なめっき皮膜を有する多孔質ポリイミドフィルムの製造方法を提供すること。
【解決手段】孔径が100nm〜10μmの孔を有する多孔質ポリイミドフィルムを触媒溶液に浸漬させて触媒を付着させた後、金属イオン濃度が0.1〜2重量%の無電解めっき液に浸漬すること、又は孔径が100nm〜100μmの孔を有する多孔質ポリイミドフィルムを触媒溶液に浸漬させ、触媒を付着させた後、金属イオン濃度が2〜3.5重量%の無電解めっき液に浸漬させ、次いで金属イオン濃度が0.1〜1.5重量%の無電解めっき液に浸漬させて当該多孔質ポリイミドフィルムに無電解めっきを施し、めっき皮膜を形成させることを特徴とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、めっき皮膜を有する多孔質ポリイミドフィルムの製造方法に関する。さらに詳しくは、本発明は、例えば、異方性導電膜、リチウムイオン電池用負極、多孔質電極などの電極材料、フレキシブルプリントケーブル(FPC)などの種々の用途に使用することが期待されるめっき皮膜を有する多孔質ポリイミドフィルムの製造方法に関する。
ポリイミドは、耐熱性、耐薬品性および電気絶縁性に優れるという性質を有する。このポリイミドが有する性質を利用して、近年、電気絶縁性を向上させるとともに軽量化を図るために、多孔質ポリイミドが開発されている。エレクトロニクス材料に応用することができる多孔質ポリイミドとして、多孔質ポリイミド膜の表面に導電性を付与するために、めっき皮膜が形成されたポリイミド膜が提案されている(例えば、特許文献1の段落[0065]−[0068]参照)。
前記めっき皮膜が形成された多孔質ポリイミド膜では、当該多孔質ポリイミド膜が有する孔の内壁に無電解めっきによってニッケルめっきが施されているが、当該無電解めっきを施す際には、多孔質ポリイミド膜とパラジウム錯体溶液とを圧力容器に入れ、当該圧力容器内に10MPaの超臨界二酸化炭素を導入し、加熱することにより、めっき皮膜を形成するときの核となる金属(パラジウム)が担持されている(特許文献1の段落[0066]参照)。
しかし、前記めっき皮膜が形成された多孔質ポリイミド膜を製造する際には、超臨界二酸化炭素を用いてめっき皮膜を形成するときに高圧の超臨界二酸化炭素が用いられているため、パラジウム錯体溶液が多孔質ポリイミド膜の孔の内部深くにまで含浸することから、多孔質ポリイミドの表面またはその近傍のみにめっき皮膜を形成させることが困難である。また、超臨界二酸化炭素を生成させるためには臨界圧力〔7.38MPa(72.8atm)〕以上の圧力を必要とするため設備が大がかりとなるばかりでなく、その操作に長時間を要することから、当該方法は工業的生産性に優れているとはいえない。
特開2012−7161号公報
本発明は、前記従来技術に鑑みてなされたものであり、表面またはその近傍にめっき皮膜を有し、めっき皮膜の付着性に優れた多孔質ポリイミドフィルムを製造することができるめっき皮膜を有する多孔質ポリイミドフィルムの製造方法を提供することを目的とする。
本発明は、また、超臨界二酸化炭素を使用しなくても、多孔質ポリイミドフィルムが有する孔の内壁にめっきが施された多孔質ポリイミドフィルムを効率よく製造することができるめっき皮膜を有する多孔質ポリイミドフィルムの製造方法を提供することを目的とする。
本発明は、
(1) めっき皮膜を有する多孔質ポリイミドフィルムを製造する方法であって、多孔質ポリイミドフィルムとして孔径が100nm〜1μmである孔を表面に有する多孔質ポリイミドフィルムを用い、無電解めっきを施すための触媒を溶解させた溶液に当該多孔質ポリイミドフィルムを浸漬させて触媒を付着させた後、当該多孔質ポリイミドフィルムを金属イオン濃度が0.1〜2重量%の無電解めっき液に浸漬させて当該多孔質ポリイミドフィルムに無電解めっきを施し、めっき皮膜を形成させることを特徴とするめっき皮膜を有する多孔質ポリイミドフィルムの製造方法、
(2) めっき皮膜を有する多孔質ポリイミドフィルムを製造する方法であって、多孔質ポリイミドフィルムとして、表面に存在する孔の孔径が100nm〜100μmである多孔質ポリイミドフィルムを用い、無電解めっきを施すための触媒を溶解させた溶液に当該多孔質ポリイミドフィルムを浸漬させ、当該多孔質ポリイミドフィルムに触媒を付着させた後、当該多孔質ポリイミドフィルムを金属イオン濃度が2〜3.5重量%の無電解めっき液に浸漬させ、次いで金属イオン濃度が0.1〜1.5重量%の無電解めっき液に浸漬させて当該多孔質ポリイミドフィルムに無電解めっきを施し、めっき皮膜を形成させることを特徴とするめっき皮膜を有する多孔質ポリイミドフィルムの製造方法、
(3) 無電解めっきを施すための触媒を溶解させた溶液に当該多孔質ポリイミドフィルムを浸漬させた後、当該溶液に超音波を付与し、次いで当該多孔質ポリイミドフィルムを金属イオン濃度が2〜3.5重量%の無電解めっき液に浸漬させる前記(2)に記載のめっき皮膜を有する多孔質ポリイミドフィルムの製造方法、ならびに
(4) 前記(1)〜(3)のいずれかに記載の製造方法によって得られためっき皮膜を有する多孔質ポリイミドフィルム
に関する。
本発明のめっき皮膜を有する多孔質ポリイミドフィルムの製造方法によれば、表面またはその近傍にめっき皮膜を有し、めっき皮膜の付着性に優れた多孔質ポリイミドフィルムを製造することができる。
また、本発明のめっき皮膜を有する多孔質ポリイミドフィルムの製造方法によれば、超臨界二酸化炭素を使用しなくても、多孔質ポリイミドフィルムが有する孔の内壁にめっきが施された多孔質ポリイミドフィルムを効率よく製造することができる。
さらに、本発明のめっき皮膜を有する多孔質ポリイミドフィルムは、前記製造方法によって得られたものであるので、例えば、異方性導電膜、リチウムイオン電池用負極、多孔質電極などの電極材料、フレキシブルプリントケーブル(FPC)などの種々の用途に使用することが期待されるものである。
実施例1で得られためっき皮膜を有する多孔質ポリイミドフィルムの断面における電子顕微鏡写真である。 実施例1で得られためっき皮膜を有する多孔質ポリイミドフィルムの断面における図1の電子顕微鏡写真を拡大した電子顕微鏡写真である。 実施例7で得られためっき皮膜を有する多孔質ポリイミドフィルムの断面における電子顕微鏡写真である。 実施例8で得られためっき皮膜を有する多孔質ポリイミドフィルムの断面における電子顕微鏡写真である。
本発明は、前記したように、
(1) めっき皮膜を有する多孔質ポリイミドフィルムを製造する方法であり、多孔質ポリイミドフィルムとして、孔径が100nm〜1μmである孔を表面に有する多孔質ポリイミドフィルムを用い、無電解めっきを施すための触媒を溶解させた溶液に当該多孔質ポリイミドフィルムを浸漬させて触媒を付着させた後、当該多孔質ポリイミドフィルムを金属イオン濃度が0.1〜2重量%の無電解めっき液に浸漬させて当該多孔質ポリイミドフィルムに無電解めっきを施し、めっき皮膜を形成させることを特徴とするめっき皮膜を有する多孔質ポリイミドフィルムの製造方法(以下、第1発明という)、および
(2) めっき皮膜を有する多孔質ポリイミドフィルムを製造する方法であって、多孔質ポリイミドフィルムとして、表面に存在する孔の孔径が100nm〜100μmである多孔質ポリイミドフィルムを用い、無電解めっきを施すための触媒を溶解させた溶液に当該多孔質ポリイミドフィルムを浸漬させ、当該多孔質ポリイミドフィルムに触媒を付着させた後、当該多孔質ポリイミドフィルムを金属イオン濃度が2〜3.5重量%の無電解めっき液に浸漬させ、次いで金属イオン濃度が0.1〜1.5重量%の無電解めっき液に浸漬させて当該多孔質ポリイミドフィルムに無電解めっきを施し、めっき皮膜を形成させることを特徴とするめっき皮膜を有する多孔質ポリイミドフィルムの製造方法(以下、第2発明という)
に関するものである。
〔多孔質ポリイミドフィルム〕
本発明においては、めっき皮膜を有する多孔質ポリイミドフィルムを製造するにあたり、その原料として、多孔質ポリイミドフィルムが用いられる。
多孔質ポリイミドフィルムを構成するポリイミドは、一般に異方性導電膜、リチウムイオン電池用負極、フレキシブルプリントケーブル(FPC)、多孔質電極などの用途に用いられているものであればよく、その種類には特に限定がない。
多孔質ポリイミドフィルムの表面に存在する孔の孔径は、当該多孔質ポリイミドフィルムの用途などによって異なるので一概には決定することができないことから、当該多孔質ポリイミドフィルムの用途などに応じて適宜設定することが好ましい。
第1発明では、多孔質ポリイミドフィルムとして、孔径が100nm〜1μmである孔を表面に有する多孔質ポリイミドフィルムが用いられる。第1発明では、孔径が100nm〜1μmである孔を表面に有する多孔質ポリイミドフィルムが用いられているので、表面またはその近傍にめっき皮膜を有するが、その内部にはめっき皮膜がほとんど存在していないめっき皮膜を有する多孔質ポリイミドフィルムを製造することができる。このめっき皮膜を有する多孔質ポリイミドフィルムは、比誘電率が低く、高周波領域での伝送損失が小さいという利点を有し、表面に形成されているめっき皮膜と多孔質ポリイミドフィルムとの付着性に優れている。
したがって、第1発明によって得られためっき皮膜を有する多孔質ポリイミドフィルムは、例えば、高周波領域での伝送損失が小さい高周波エレクトロニクス用フレキシブル低誘電率ケーブルなどに好適に使用することができる。
第1発明において、多孔質ポリイミドフィルムの表面に存在する孔の孔径は、めっき皮膜が投錨効果によって多孔質ポリイミドフィルムの表面に強固に付着するようにする観点から、100nm以上、好ましくは300nm以上、より好ましくは500nm以上であり、多孔質ポリイミドフィルムの表面に存在している孔から内部深くにまでめっき皮膜が形成されることを回避する観点から、1μm以下、好ましくは0.8μm以下である。
第2発明では、多孔質ポリイミドフィルムとして、孔径が100nm〜100μmである孔を表面に有する多孔質ポリイミドフィルムが用いられる。第2発明では、表面に存在する孔の孔径が100nm〜100μmである多孔質ポリイミドフィルムが用いられているので、超臨界二酸化炭素を使用しなくても、多孔質ポリイミドフィルムが有する孔の内壁にめっき皮膜が形成された多孔質ポリイミドフィルムを効率よく製造することができる。このめっき皮膜を有する多孔質ポリイミドフィルムは、導電性に優れるという利点を有する。
したがって、第2発明によって得られためっき皮膜を有する多孔質ポリイミドフィルムは、例えば、リチウム電池用負極材料などの電極材料などに好適に使用することができる。
第2発明において、多孔質ポリイミドフィルムの表面に存在する孔の孔径は、多孔質ポリイミドフィルムの表面に存在する孔からその内部深くにまで十分にめっき皮膜が形成されるようにする観点から、100nm以上、好ましくは1μm以上であり、めっき皮膜を有する多孔質ポリイミドフィルムの機械的強度を高める観点から、100μm以下、より好ましくは50μm以下である。
多孔質ポリイミドフィルムの空隙率(多孔質化させる前後の密度の変化から算出、以下同じ)は、めっき皮膜を有する多孔質ポリイミドフィルムの用途などによって異なるので一概には決定することができないことから、当該めっき皮膜を有する多孔質ポリイミドフィルムの用途などに応じて適宜設定することが好ましい。例えば、めっき皮膜を有する多孔質ポリイミドフィルムを比誘電率が低く高周波領域での伝送損失が小さい高周波エレクトロニクス用フレキシブル低誘電率ケーブルなどの用途に使用する場合には、当該多孔質ポリイミドフィルムの空隙率は、10〜80%であることが好ましい。また、例えば、めっき皮膜を有する多孔質ポリイミドフィルムを電極材料などの用途に使用する場合には、当該多孔質ポリイミドフィルムの空隙率は、50〜95%であることが好ましい。
多孔質ポリイミドフィルムの厚さは、表面に存在する孔の孔径、めっき皮膜を有する多孔質ポリイミドフィルムの用途などによって異なるので一概には決定することができないことから、当該表面に存在する孔の孔径、めっき皮膜を有する多孔質ポリイミドフィルムの用途などに応じて適宜設定することが好ましい。
例えば、第1発明では、多孔質ポリイミドフィルムとして、孔径が100nm〜1μmである孔を表面に有する多孔質ポリイミドフィルムが用いられることから、当該多孔質ポリイミドフィルムの厚さは、10〜100μm程度であることが好ましい。また、第2発明では、多孔質ポリイミドフィルムとして、孔径が100nm〜100μmである孔を表面に有する多孔質ポリイミドフィルムが用いられることから、当該多孔質ポリイミドフィルムの厚さは、20〜300μm程度であることが好ましい。
多孔質ポリイミドフィルムの大きさは、任意であり、めっき皮膜を有する多孔質ポリイミドフィルムの用途などに応じて適宜調整すればよい。
多孔質ポリイミドフィルムは、独立孔(独立気泡)を有していてもよく、連続孔(連続起泡)を有してもよく、あるいは独立孔と連続孔の双方を有していてもよい。主として独立孔を有する多孔質ポリイミドフィルムは、例えば、高周波領域での伝送損失が小さい高周波エレクトロニクス用フレキシブル低誘電率ケーブルなどの用途に好適に用いることができる。また、主として連続孔を有する多孔質ポリイミドフィルムは、例えば、電極材料などの用途に好適に用いることができる。
多孔質ポリイミドフィルムは、例えば、特開2012−7161号公報に記載の方法で製造することができるが、商業的に入手することができる多孔質ポリイミドフィルムを用いてもよい。
多孔質ポリイミドフィルムを製造する方法としては、例えば、フィルム状のポリアミド酸を多孔質化させ、得られた多孔質化させたポリアミド酸を加熱し、ポリアミド酸をポリイミドに変性させることにより、多孔質ポリイミドフィルムを形成させる方法などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。
以下に当該多孔質ポリイミドフィルムを形成させる方法に関する説明を詳述するが、本発明は、当該方法によって限定されるものではない。
前記ポリアミド酸は、例えば、ピロメリット酸などの芳香族多塩基酸またはその無水物と、4,4−ジアミノフェニルエーテルなどの芳香族ポリアミンとを反応させることによって調製することができる。
芳香族多塩基酸またはその無水物と芳香族ポリアミンとを反応させる際には、有機溶媒を用いることが好ましい。有機溶媒としては、例えば、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロドリン、N,N−ジメチルホルムアミドなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。有機溶媒の量は、特に限定されないが、芳香族多塩基酸またはその無水物と芳香族ポリアミンとの合計100重量部あたり100〜800重量部程度であることが好ましい。
なお、芳香族多塩基酸またはその無水物と芳香族ポリアミンとを反応させることにより、ポリアミド酸は、ポリアミド酸溶液として得られる。当該ポリアミド酸溶液に含まれる有機溶媒の量を調整することにより、得られる多孔質ポリイミドフィルムが有する孔径を容易に調節することができる。有機溶媒量を増やすことにより、多孔質ポリイミドフィルムが有する孔径を大きくすることができるので、例えば、孔径が10μm以上である孔を表面に有する多孔質ポリイミドフィルムを容易に製造することができる。一方、有機溶媒量を低減させることにより、多孔質ポリイミドフィルムが有する孔径を小さくすることができるので、例えば、孔径が2〜3μm程度である微細化された孔を表面に有する多孔質ポリイミドフィルムを容易に製造することができる。
なお、ポリアミド酸を多孔質化させた後、その多孔質形状を維持させるために、ポリアミド酸には、例えば、光重合性モノマーを含有させることが好ましい。好適な光重合性モノマーとしては、エチレン性不飽和基を有するモノマーなどが挙げられる。
エチレン性不飽和基を有するモノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸、フマル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸、無水イタコン酸、シトラコン酸、無水シトラコン酸、クロトン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、tert−ブチルアクリルアミドスルホン酸、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−フェノキシ−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、グリセリンモノ(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノ(メタ)アクリレート、ジメチルアミノメチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、2,2,2−トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、2,2,3,3−テトラフルオロプロピル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、メチロール(メタ)アクリルアミド、メトキシメチル(メタ)アクリルアミド、エトキシメチル(メタ)アクリルアミド、プロポキシメチル(メタ)アクリルアミド、ブトキシメトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシメチル(メタ)アクリルアミド、2−(メタ)アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロピルフタレート、フタル酸誘導体のハーフ(メタ)アクリレートなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらのモノマーは、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
なお、本明細書において、「(メタ)アクリ」は、「アクリ」または「メタクリ」を意味する。
光重合性モノマーの量は、特に限定されないが、芳香族多塩基酸またはその無水物と芳香族ポリアミンとの合計量100重量部あたり、1〜30重量部程度であることが好ましい。
光重合性モノマーを用いる場合、当該光重合性モノマーを効率よく重合させるために、光重合開始剤を用いることが好ましい。光重合開始剤としては、例えば、ジフェニル(2,4,6−トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキサイドなどのホスフィン化合物をはじめ、アセトフェノン化合物、ベンゾイン化合物、ベンゾフェノン化合物、チオキサンソン化合物、トリアジン化合物、キノン化合物、ボレート化合物、カルバゾール化合物、イミダゾール化合物、チタノセン化合物などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらの光重合開始剤は、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
光重合開始剤の量は、特に限定されないが、光重合性モノマー100重量部あたり1〜20重量部程度であることが好ましい。
芳香族多塩基酸またはその無水物と芳香族ポリアミンとを反応させる際の反応条件は、特に限定されず、一般に採用されている条件であればよい。例えば、芳香族多塩基酸またはその無水物と芳香族ポリアミンとを反応させる際には、その反応雰囲気を窒素ガスなどの不活性ガス雰囲気とし、反応温度を0〜20℃程度とし、反応時間は芳香族多塩基酸またはその無水物と芳香族ポリアミンとの反応が終了するのに要する時間とすればよい。
芳香族多塩基酸またはその無水物と芳香族ポリアミンとを反応させることによってポリアミド酸が得られるが、本発明においては、当該ポリアミド酸は、フィルム状で用いられる。ポリアミド酸をフィルム状に成形する方法としては、例えば、スピンコーター、バーコーター、ディップコーターなどのコーターを用いてポリアミド酸を基材に塗布することによってフィルムを形成し、必要により、形成されたフィルムから溶媒を揮散除去することによって当該フィルムに含まれている溶媒の量を調整する方法などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。前記基材としては、例えば、アルミニウム箔、亜鉛箔、ニッケル箔、錫箔、銅箔などの金属箔、ガラスプレート、樹脂シート、樹脂フィルムなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらの基材のなかでは、酸またはアルカリで溶解させることにより、形成されたフィルムを基材から容易に除去することができることから、イオン化傾向が大きい金属箔が好ましい。
次に、ポリアミド酸から溶媒を揮散除去することにより、多孔質を有するポリアミド酸を製造することができる。その際にはポリアミド酸を効率よく多孔質化させる観点から、二酸化炭素ガスでポリアミド酸を加圧することによってポリアミド酸に二酸化炭素ガスを含浸させた後、除圧することによってポリアミド酸を多孔質化させることが好ましい。
二酸化炭素ガスでポリアミド酸を加圧する際の二酸化炭素ガスのガス圧は、ポリアミド酸を効率よく多孔質化させる観点および生産効率を高める観点から、ゲージ圧で3〜8MPa程度であることが好ましい。
なお、多孔質ポリアミド酸に光重合性モノマーが用いられている場合には、当該光重合性モノマーを重合させるために、例えば、紫外線などの光線を照射することが好ましい。このようにして光重合性モノマーを重合させることにより、多孔質ポリアミド酸が有する多孔構造を維持させることができる。二酸化炭素ガスの除圧は、光線を照射することによって重合性モノマーを重合させた後に行なうことが当該多孔構造を維持する観点から好ましい。
次に、前記で得られた多孔質ポリアミド酸を加熱することによってポリアミド酸をポリイミド酸に変性させることができる。多孔質ポリアミド酸の加熱温度は、当該多孔質ポリアミド酸に用いられているポリアミドの種類などによって異なるので一概には決定することができないが、通常、180〜360℃程度の温度範囲から当該ポリアミド酸の種類に適した温度を選択することが好ましい。多孔質ポリアミド酸の加熱時間は、加熱温度などによって異なるので一概には決定することができないことから、ポリアミド酸をポリイミド酸に変性させるのに要する時間であればよい。
以上のようにして、多孔質ポリイミドフィルムを製造することができる。得られた多孔質ポリイミドフィルムに基材が付着している場合、そのままの状態で無電解めっきを施してもよいが、多孔質ポリイミドフィルムの両面にめっき皮膜を形成させる場合には、あらがじめ、当該基材を除去しておくことが好ましい。
〔多孔質ポリイミドフィルムの無電解めっき〕
次に、多孔質ポリイミドフィルムに無電解めっきを施すが、その前に、めっき皮膜を形成させる際の核となる触媒をあらかじめ多孔質ポリイミドフィルムに付着させておくことが好ましい。当該触媒は、無電解めっきを施すための触媒を溶解させた溶液に多孔質ポリイミドフィルムを浸漬させることにより、多孔質ポリイミドフィルムに容易に付着させることができる。
めっき皮膜を形成させるための触媒を多孔質ポリイミドフィルムに付着させる際には、電解めっきを施すための触媒を溶解させた溶液を用いることができる。めっき皮膜を形成させるための金属触媒としては、例えば、パラジウム、白金、バナジウム、チタン、マグネシウムなどの金属が挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。
金属触媒は、通常、溶媒に溶解させるために金属錯体として用いられる。金属錯体としては、例えば、パラジウムアセチルアセトナト、パラジウムヘキサフルオロアセチルアセトナト、バナジウムトリフルオロアセチルアセトナト、チタンアセチルアセトナト、チタンテトラメチルペンタジオン、マグネシウムアセチルアセトナトなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらの金属錯体は、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
金属錯体を溶解させるために用いられる溶媒としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン系有機溶媒、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコールなどのアルコール系有機溶媒などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらの溶媒は、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。これらの溶媒のなかでは、ケトン系有機溶媒が好ましく、アセトンがより好ましい。溶媒の量は、特に限定されないが、めっき皮膜を効率よく形成させる観点および多孔質ポリイミドフィルムの孔内に金属錯体溶液を効率よく含浸させる観点から、金属錯体100重量部あたり、好ましくは10〜200重量部、より好ましくは50〜150重量部である。
触媒金属を溶媒に溶解させた触媒溶液に多孔質ポリイミドフィルムを浸漬させる際の触媒溶液の温度は、特に限定がなく、室温であってもよく、当該触媒溶液を冷却してもよくあるいは加熱してもよい。
第2発明においては、触媒溶液に多孔質ポリイミドフィルムを浸漬させ、当該触媒溶液に超音波を付与することが好ましい。このように多孔質ポリイミドフィルムを浸漬させた触媒溶液に超音波を付与するという操作を採った場合には、触媒溶液に多孔質ポリイミドフィルムを常圧で浸漬させるだけで触媒溶液を多孔質ポリイミドフィルムが有する孔の内部深くにまで含浸させることができるので、めっき皮膜を当該孔の内部深くに形成させることができる。
触媒溶液に多孔質ポリイミドフィルムを浸漬させた状態で当該触媒溶液に超音波を付与する際の超音波の強度および超音波を付与する時間は、特に限定されず、多孔質ポリイミドフィルムが有する孔の内部深くにまで触媒溶液が含浸するのに要する超音波強度および超音波付与時間であればよい。
第1発明においても、第2発明と同様に多孔質ポリイミドフィルムを浸漬させた触媒溶液に超音波を付与するという操作を採用してもよいが、第1発明では、多孔質ポリイミドフィルムの孔の内部深くにまでめっき層を形成させなくてもよいので、当該操作を採用しなくてもよい。
多孔質ポリイミドフィルムを触媒溶液に浸漬させた後は、当該触媒溶液から多孔質ポリイミドフィルムを取り出し、当該多孔質ポリイミドフィルムを加熱することにより、触媒を多孔質ポリイミドフィルムに固定することができる。当該孔質ポリイミドフィルムを加熱する温度は、特に限定されないが、触媒を多孔質ポリイミドフィルムに強固に固定するとともに多孔質ポリイミドフィルムに熱履歴が加わらないようにする観点から、80〜150℃程度であることが好ましい。
なお、孔質ポリイミドフィルムを加熱する際には、触媒が酸化することを防止するために、不活性ガス雰囲気中で当該孔質ポリイミドフィルムを加熱することが好ましい。不活性ガスは、触媒に対して不活性なガスであればよい。不活性ガスとしては、例えば、二酸化炭素ガス、アルゴンガス、窒素ガスなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。
次に、孔質ポリイミドフィルムに無電解めっきを施すことにより、孔質ポリイミドフィルムにめっき皮膜を形成させることができる。孔質ポリイミドフィルムの無電解めっきは、例えば、多孔質ポリイミドフィルムを無電解めっき液(めっき浴)に浸漬することによって行なうことができる。
多孔質ポリイミドフィルムに無電解めっきを施す際のめっき方法としては、例えば、無電解ニッケルめっき法、無電解ニッケル−タングステン合金めっき法、無電解銅めっき法、無電解スズめっき法、無電解金めっき法などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみ限定されるものではない。これらの無電解めっきの方法のなかでは、無電解ニッケルめっき法は、本発明において好適に用いることができる方法である。無電解ニッケルめっきを行なう際には、一般に使用されている無電解ニッケルめっき浴を用いることができる。無電解ニッケルめっき浴としては、例えば、無電解ニッケルめっき浴、無電解ニッケル−リンめっき浴、無電解ニッケル−ホウ素めっき浴などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。
第1発明においては、多孔質ポリイミドフィルムを金属イオン濃度が0.1〜2重量%の無電解めっき液に浸漬することによってめっき皮膜が形成される。第1発明では、このように多孔質ポリイミドフィルムとして、孔径が100nm〜1μmである孔を表面に有する多孔質ポリイミドフィルムを用い、金属イオン濃度が0.1〜2重量%の無電解めっき液を用いる点に大きな特徴の1つがある。
第1発明では、前記方法が採られているので、表面またはその近傍にめっき皮膜を有する多孔質ポリイミドフィルムが得られ、その内部にめっき皮膜が存在しがたいので、比誘電率が低く、高周波領域での伝送損失が小さいめっき皮膜を有する多孔質ポリイミドフィルムを製造することができる。さらに、形成されためっき皮膜は、多孔質ポリイミドフィルムの表面に存在している孔によって投錨効果が奏されることから、多孔質ポリイミドフィルムの表面に強固に付着させることができるという利点がある。
第1発明において、無電解めっき液における金属イオン濃度は、表面またはその近傍にめっき皮膜を有する多孔質ポリイミドフィルムが得られ、その内部にめっき皮膜が存在しがたいようにする観点から、0.1重量%以上、好ましくは0.3重量%以上、より好ましくは0.4重量%以上であり、均一なめっき皮膜を形成させる観点から、2重量%以下、好ましくは1.5重量%以下、より好ましくは1重量%以下である。
また、第2発明では、多孔質ポリイミドフィルムを金属イオン濃度が2〜3.5重量%の無電解めっき液に浸漬させ、次いで金属イオン濃度が0.1〜1.5重量%の無電解めっき液に浸漬させて当該多孔質ポリイミドフィルムに無電解めっきを施し、めっき皮膜を形成させる。第2発明では、金属イオン濃度が2〜3.5重量%の無電解めっき液が用いられているので、多孔質ポリイミドフィルムの表面のみならず、当該多孔質ポリイミドフィルムが有する孔の内壁にめっきが施された多孔質ポリイミドフィルムを効率よく製造することができる。このめっき皮膜を有する多孔質ポリイミドフィルムは、導電性に優れているので、例えば、電極材料などに好適に使用することができる。
したがって、第2発明によれば、高圧を有する超臨界二酸化炭素が不要であることから、加圧操作が不要であるとともに加圧設備が不要であるので、効率よくめっき皮膜を有する多孔質ポリイミドフィルムを製造することができる。当該多孔質ポリイミドフィルムにめっきを施した場合には、めっき皮膜を有する多孔質ポリイミドフィルムは、導電性に優れていることから、例えば、電極材料などに好適に使用することができる。
第2発明において、多孔質ポリイミドフィルムに無電解めっき液を含浸させる際の無電解めっき液における金属イオン濃度は、めっき皮膜を多孔質ポリイミドフィルムの表面のみならず、当該多孔質ポリイミドフィルムが有する孔の内壁に効率よく形成させる観点から、2重量%以上、好ましくは2.4重量%以上、より好ましくは2.7重量%以上であり、多孔質ポリイミドフィルムに無電解めっき液を含浸させる作業性を向上させる観点から、3.5重量%以下、好ましくは3重量%以下、より好ましくは2.9重量%以下、さらに好ましくは2.8重量%以下である。
金属イオン濃度が2〜3.5重量%の無電解めっき液の液温は、多孔質ポリイミドフィルムに無電解めっき液を含浸させる作業性を向上させるとともに、めっき反応が起こらないようにする観点から、0〜30℃程度であることが好ましい。多孔質ポリイミドフィルムに無電解めっき液を含浸させる際には、多孔質ポリイミドフィルムに無電解めっき液を効率よく含浸させるために、多孔質ポリイミドフィルムを無電解めっき液に浸漬した後、当該多孔質ポリイミドフィルムに超音波を付与してもよい。
なお、多孔質ポリイミドフィルムに金属イオン濃度が2〜3.5重量%の無電解めっき液を含浸させる前には、当該多孔質ポリイミドフィルムの孔内に無電解めっき液が浸透しやすくするために、当該多孔質ポリイミドフィルムの孔内に水を含浸させておいてもよい。
多孔質ポリイミドフィルムを金属イオン濃度が2〜3.5重量%の無電解めっき液に浸漬させる際には、多孔質ポリイミドフィルムが有する孔内に当該無電解めっき液が十分に浸透するまで行なうことが好ましい。
次に、金属イオン濃度が0.1〜1.5重量%の無電解めっき液を用いて多孔質ポリイミドフィルムに無電解めっきを施す。多孔質ポリイミドフィルムの無電解めっきは、例えば、多孔質ポリイミドフィルムを無電解めっき用のめっき浴に浸漬させることによって行なうことができる。この無電解めっき液における金属イオン濃度は、めっき皮膜を多孔質ポリイミドフィルムの表面のみならず、当該多孔質ポリイミドフィルムが有する孔の内壁に効率よく形成させる観点から、0.1重量%以上、好ましくは0.3重量%以上であり、多孔質ポリイミドフィルムに無電解めっき液を含浸させる作業性を向上させる観点から、1.5重量%以下、好ましくは1.3重量%以下、より好ましくは1.0重量%以下である。
金属イオン濃度が0.1〜1.5重量%の無電解めっき液を用いて無電解めっきを行なう際のめっき浴の温度は、そのめっき浴の種類などによって異なるので一概には決定することができないことから、当該めっき浴に適した温度を選択することが好ましいが、めっき効率を高める観点および均一なめっき皮膜を形成させる観点から、30〜80℃程度であることが好ましい。
多孔質ポリイミドフィルムの表面上に形成されるめっき皮膜の厚さは、特に限定されず、得られるめっき皮膜を有する多孔質ポリイミドフィルムの用途などに応じて適宜調整すればよいが、通常、0.5〜3μm程度であることが好ましい。
このようにして多孔質ポリイミドフィルムに無電解めっきを行なうことにより、めっき皮膜を有する多孔質ポリイミドフィルムが得られる。めっき皮膜を有する多孔質ポリイミドフィルムには、必要に応じて常法により、精製水などで洗浄してもよい。
以上のようにして得られるめっき皮膜を有する多孔質ポリイミドフィルムは、異方性導電膜、リチウムイオン電池用負極、フレキシブルプリントケーブル(FPC)、多孔質電極などの用途に使用することが期待されるものである。
次に、本発明を実施例に基づいてさらに詳細に説明するが、本発明は、かかる実施例のみに限定されるものではない。
調製例1
100mL容の4つ口セパラブルフラスコに撹拌翼、シリカゲル管、試料注入用漏斗および窒素パージ用ラインを取り付けた後、フラスコ内に窒素ガスを導入し、10℃に設定した冷却水を当該フラスコのジャケットに循環させ、フラスコの内温が一定になった段階で、撹拌下にて4,4−ジアミノフェニルエーテル2.02gおよびN,N−ジメチルアセトアミド22.0gをセパラブルフラスコ内に添加した。4,4−ジアミノフェニルエーテルがN,N−ジメチルアセトアミドに溶解したことを確認した後、ピロメリット酸無水物2.20gをセパラブルフラスコ内に添加し、溶解させた後、セパラブルフラスコの内容物を10℃にて5時間撹拌することにより、ポリアミド酸溶液を得た。
前記で得られたポリアミド酸溶液5.00gをアンプル管に入れた後、重合開始剤としてジフェニル(2,4,6−トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキサイド0.153g、紫外線硬化性モノマーとしてメタクリル酸2−(ジメチル)アミノエチル1.21gをアンプル管内に添加し、均一な組成となるように撹拌することにより、多孔質ポリイミド用原料を得た。
調製例2
製造例1で作成された多孔質ポリイミド原料にN,N−ジメチルアセトアミドを1.26g加えて多孔質ポリイミド用原料を得た。
調製例3
製造例1で作成された多孔質ポリイミド原料にN,N−ジメチルアセトアミドを2.52g加えて多孔質ポリイミド用原料を得た。
製造例1
銅箔(縦:4cm、横:3.75cm、厚さ:40μm)上に、調製例1で得られた多孔質ポリイミド用原料をバーコーターで塗布することによってフィルムを形成した後、この銅箔を耐圧容器内に入れ密閉した。この耐圧容器内に圧力6.5MPaの二酸化炭素ガスを導入し、30秒間静置した後、波長365nmにおける強度が162mW/cm2の紫外線をフィルムに60秒間照射した。
次に、耐圧容器内の圧力を大気圧に減圧させることにより、フィルムを多孔質化させ、多孔質化されたフィルムが形成された銅箔を耐圧容器から取り出し、40℃のインキュベーター中で約8時間乾燥させた後、真空乾燥器内で乾燥させた。
次に、多孔質化されたフィルムが形成された銅箔を真空乾燥器から取り出した後、オーブンに入れ、オーブン内に流量20L/minの窒素ガスを導入しながら230℃から320℃の温度に1時間かけて昇温し、320℃の温度で1.5時間保持し、320℃から230℃の温度に1時間かけて降温することにより、ポリアミド酸をポリイミドに変性させることにより、多孔質ポリイミドフィルムが形成された銅箔を得た。
前記で得られた多孔質ポリイミドフィルムが形成された銅箔を25℃の30重量%硝酸水溶液に20〜30分間程度浸漬させ、銅箔を溶解させることにより、多孔質ポリイミドフィルムを得た。この硝酸水溶液から多孔質ポリイミドフィルムを取り出し、アセトンで洗浄し、純水で水洗し、10重量%硝酸水溶液で洗浄し、純水で洗浄し、10%水酸化ナトリウム水溶液で洗浄し、純水で濯いだ後、真空乾燥機に入れて乾燥させた。
前記で得られた多孔質ポリイミドフィルムの厚さは、約30μmであり、表面に存在している孔の長径は1.2μm、短径は0.27μmであり、平均孔径は670nmであり、空隙率は60%であった。この多孔質ポリイミドフィルムには、直径が10μm以上のボイドがみられなかったことから、ケーブル用のフィルムとして使用することができることが確認された。
なお、多孔質ポリイミドフィルムの平均孔径は、多孔質ポリイミドフィルムの走査型電子顕微鏡写真を撮影し、その撮影画像に存在している任意の孔20個を選択し、各孔の面積に相当する円の直径を求め、この20個の孔の平均値を意味する。
製造例2
製造例1において、多孔質ポリイミド用原料として調製例2で得られた多孔質ポリイミド用原料を用いたことと酸および塩基による洗浄が行われていない以外は、製造例1と同様の操作を行なうことにより、多孔質ポリイミドフィルムを得た。得られた多孔質ポリイミドフィルムの厚さは、約30μmであり、表面に存在している孔の長径は14μm、短径は7.9μmであり、空隙率は76%であった。
製造例3
製造例1において、多孔質ポリイミド用原料として調製例3で得られた多孔質ポリイミド用原料を用いたことと酸および塩基による洗浄が行われていない以外は、製造例1と同様の操作を行なうことにより、多孔質ポリイミドフィルムを得た。得られた多孔質ポリイミドフィルムの厚さは、約30μmであり、表面に存在している孔の長径は21μm、短径は15μmであり、空隙率は85%であった。
実施例1
アセトン5mLにパラジウム錯体としてパラジウムヘキサフルオロアセチルアセトナト5mgを溶解させた溶液をアンプル管に入れ、製造例1で得られた多孔質ポリイミドフィルムをこの溶液に浸漬させ、アンプル管に20分間超音波を付与した後、アンプル管を室温で3時間静置することにより、パラジウム錯体を多孔質ポリイミドフィルムに付着させた。前記多孔質ポリイミドフィルムを乾燥させた後、オートクレーブに入れ、オートクレーブ内に二酸化炭素ガスを数10秒間吹き付けることにより、空気をパージした。オートクレーブの温度を120℃に設定し、常圧で1時間静置した後、多孔質ポリイミドフィルムをオートクレーブから取り出した。
純水を入れたビーカーにこの多孔質ポリイミドフィルムを入れ、純水中に浸漬させ、ビーカーに超音波を照射することにより、多孔質ポリイミドフィルムに含まれている気泡を十分に除去した後、ビーカーから多孔質ポリイミドフィルムを取り出した。
次に、無電解メッキ液の原液〔奥野製薬工業(株)製、商品名:ニコロンDK−M〕10重量%、無電解メッキ液の原液〔奥野製薬工業(株)製、商品名:ニコロンDK−1〕5重量%および純水85重量%からなる無電解メッキ液(金属イオン濃度:0.413重量%)10mLをフッ素樹脂製のめっき反応器に入れ、この反応器を65℃の温浴中に入れることにより、無電解メッキ液の液温を65℃に調整した。この無電解メッキ液に前記多孔質ポリイミドフィルムを1時間浸漬することにより、めっき皮膜を有する多孔質ポリイミドフィルムを得た。得られためっき皮膜を有する多孔質ポリイミドフィルムを無電解メッキ液から取り出し、60℃の純水で十分に洗浄した。このめっき皮膜を有する多孔質ポリイミドフィルムにおけるめっきの析出量は0.235g/cm3であった。また、このめっき皮膜を有する多孔質ポリイミドフィルムの両表面に厚さが1〜2μmのニッケルめっき皮膜が形成されていた。
前記で得られためっき皮膜を有する多孔質ポリイミドフィルムの断面の電子顕微鏡写真を図1および図2に示す。図1および図2の拡大倍率は、それぞれ各図の右下に記載されている。なお、図2は、図1の拡大写真である。
図1〜2に示されるように、めっき皮膜を有する多孔質ポリイミドフィルムにおいて、その両表面に厚さが1〜2μmのニッケルめっき皮膜が形成されていることがわかる。
このめっき皮膜の表面抵抗を電極間の距離が6mmに固定された端子で測定したところ、9.9Ωであり、厚さ方向の体積抵抗率は10GΩ・cm以上であった。このことから、このめっき皮膜を有する多孔質ポリイミドフィルムは、厚さ方向に絶縁性を有するが、めっき皮膜が形成されている表面に電気信号を流すことができることがわかる。
次に、このめっき皮膜を有する多孔質ポリイミドフィルムの表面にセロハン粘着テープを貼り付けて剥がしてみたが、めっき皮膜に剥離が認められなかった。このことから、このめっき皮膜を有する多孔質ポリイミドフィルムは、めっき皮膜の付着性に優れていることがわかる。
このめっき皮膜を有する多孔質ポリイミドフィルムは、フィルム内に空孔が存在しているので、低誘電率を有することから、信号の減衰が小さい高周波信号用ケーブルとして有用であることがわかる。
実施例2
実施例1において、無電解メッキ液に前記多孔質ポリイミドフィルムを浸漬する時間を1時間から2時間に変更したこと以外は、実施例1と同様の操作を行なうことにより、めっき皮膜を有する多孔質ポリイミドフィルムを得た。得られためっき皮膜を有する多孔質ポリイミドフィルムを無電解メッキ液から取り出し、60℃の純水で十分に洗浄した。このめっき皮膜を有する多孔質ポリイミドフィルムにおけるめっきの析出量は0.939g/cm3であった。また、このめっき皮膜を有する多孔質ポリイミドフィルムの両表面に厚さが1〜2μmのニッケルめっき皮膜が形成されていた。
次に、このめっき皮膜を有する多孔質ポリイミドフィルムの表面にセロハン粘着テープを貼り付けて剥がしてみたが、めっき皮膜に剥離が認められなかった。このことから、このめっき皮膜を有する多孔質ポリイミドフィルムは、めっき皮膜の付着性に優れていることがわかる。
実施例3
アセトン5mLにパラジウム錯体としてパラジウムヘキサフルオロアセチルアセトナト10mgを溶解させた溶液をアンプル管に入れ、製造例1で得られた多孔質ポリイミドフィルムをこの溶液に浸漬させ、アンプル管に20分間超音波を付与した後、アンプル管を室温で24時間静置することにより、パラジウム錯体を多孔質ポリイミドフィルムに付着させた。前記多孔質ポリイミドフィルムを乾燥させた後、オートクレーブに入れ、オートクレーブ内に二酸化炭素ガスを数10秒間吹き付けることにより、空気をパージした。オートクレーブの温度を120℃に設定し、常圧で1時間静置した後、多孔質ポリイミドフィルムをオートクレーブから取り出した。
純水を入れたビーカーにこの多孔質ポリイミドフィルムを入れ、純水中に浸漬させ、ビーカーに超音波を照射することにより、多孔質ポリイミドフィルムに含まれている気泡を十分に除去した後、ビーカーから多孔質ポリイミドフィルムを取り出した。
この多孔質ポリイミドフィルムが有する孔の平均孔径は、670nmであった。したがって、平均孔径が1μm以下であることから、当該多孔質ポリイミドフィルムは、膜厚方向に絶縁されためっき皮膜を有する多孔質ポリイミドフィルムに好適であることがわかる。
次に、無電解メッキ液の原液〔奥野製薬工業(株)製、商品名:ニコロンDK−M〕10重量%、無電解メッキ液の原液〔奥野製薬工業(株)製、商品名:ニコロンDK−1〕5重量%および純水85重量%からなる無電解メッキ液(金属イオン濃度:0.413重量%)8mLをフッ素樹脂製のめっき反応器に入れ、この反応器を65℃の温浴中に入れることにより、無電解メッキ液の液温を65℃に調整した。この無電解メッキ液に前記多孔質ポリイミドフィルムを1時間浸漬することにより、めっき皮膜を有する多孔質ポリイミドフィルムを得た。得られためっき皮膜を有する多孔質ポリイミドフィルムを無電解メッキ液から取り出し、60℃の純水で十分に洗浄した。このめっき皮膜を有する多孔質ポリイミドフィルムにおけるめっきの析出量は0.375g/cm3であった。
次に、このめっき皮膜を有する多孔質ポリイミドフィルムの表面にセロハン粘着テープを貼り付けて剥がしてみたが、めっき皮膜に剥離が認められなかった。このことから、このめっき皮膜を有する多孔質ポリイミドフィルムは、めっき皮膜の付着性に優れていることがわかる。
実施例4
実施例3において、無電解メッキ液に前記多孔質ポリイミドフィルムを浸漬する時間を1時間から2時間に変更したこと以外は、実施例1と同様の操作を行なうことにより、めっき皮膜を有する多孔質ポリイミドフィルムを得た。得られためっき皮膜を有する多孔質ポリイミドフィルムを無電解メッキ液から取り出し、60℃の純水で十分に洗浄した。このめっき皮膜を有する多孔質ポリイミドフィルムにおけるめっきの析出量は0.969g/cm3であった。また、このめっき皮膜を有する多孔質ポリイミドフィルムの両表面に厚さが1〜2μmのニッケルめっき皮膜が形成されていた。
次に、このめっき皮膜を有する多孔質ポリイミドフィルムの表面にセロハン粘着テープを貼り付けて剥がしてみたが、めっき皮膜に剥離が認められなかった。このことから、このめっき皮膜を有する多孔質ポリイミドフィルムは、めっき皮膜の付着性に優れていることがわかる。
実施例5
アセトン5mLにパラジウム錯体としてパラジウムヘキサフルオロアセチルアセトナト5mgを溶解させた溶液をアンプル管に入れ、製造例2で得られた多孔質ポリイミドフィルムをこの溶液に浸漬させ、アンプル管に20分間超音波を付与した後、アンプル管を室温で3時間静置することにより、パラジウム錯体を多孔質ポリイミドフィルムに付着させた。前記多孔質ポリイミドフィルムを乾燥させた後、オートクレーブに入れ、オートクレーブ内に二酸化炭素ガスを数10秒間吹き付けることにより、空気をパージした。オートクレーブの温度を120℃に設定し、常圧で1時間静置した後、多孔質ポリイミドフィルムをオートクレーブから取り出した。
純水を入れたビーカーにこの多孔質ポリイミドフィルムを入れ、純水中に浸漬させ、ビーカーに超音波を照射することにより、多孔質ポリイミドフィルムに含まれている気泡を十分に除去した後、ビーカーから多孔質ポリイミドフィルムを取り出した。
この多孔質ポリイミドフィルムが有する孔の平均孔径は、1040nmであった。したがって、平均孔径が1μm以上であることから、当該多孔質ポリイミドフィルムは、膜厚方向にも導通されためっき皮膜を有する多孔質ポリイミドフィルムに好適であることがわかる。
次に、無電解メッキ液の原液〔奥野製薬工業(株)製、商品名:ニコロンDK−M〕10重量%、無電解メッキ液の原液〔奥野製薬工業(株)製、商品名:ニコロンDK−1〕5重量%および純水85重量%からなる無電解メッキ液(金属イオン濃度:0.413重量%)8mLをフッ素樹脂製のめっき反応器に入れ、この反応器を65℃の温浴中に入れることにより、無電解メッキ液の液温を65℃に調整した。この無電解メッキ液に前記多孔質ポリイミドフィルムを1時間浸漬することにより、めっき皮膜を有する多孔質ポリイミドフィルムを得た。得られためっき皮膜を有する多孔質ポリイミドフィルムを無電解メッキ液から取り出し、60℃の純水で十分に洗浄した。このめっき皮膜を有する多孔質ポリイミドフィルムにおけるめっきの析出量は0.225g/cm3であった。厚さ方向抵抗率は2.2MΩ・cm、表面抵抗は340Ωであった。
次に、このめっき皮膜を有する多孔質ポリイミドフィルムの表面にセロハン粘着テープを貼り付けて剥がしてみたが、めっき皮膜に剥離が認められなかった。このことから、このめっき皮膜を有する多孔質ポリイミドフィルムは、めっき皮膜の付着性に優れていることがわかる。
実施例6
実施例5において、無電解メッキ液に前記多孔質ポリイミドフィルムを浸漬する時間を1時間から2時間に変更したこと以外は、実施例5と同様の操作を行なうことにより、めっき皮膜を有する多孔質ポリイミドフィルムを得た。得られためっき皮膜を有する多孔質ポリイミドフィルムを無電解メッキ液から取り出し、60℃の純水で十分に洗浄した。このめっき皮膜を有する多孔質ポリイミドフィルムにおけるめっきの析出量は0.939g/cm3であった。また、このめっき皮膜を有する多孔質ポリイミドフィルムの両表面に厚さが1〜2μmのニッケルめっき皮膜が形成されていた。厚さ方向抵抗率は31kΩ・cm、表面抵抗は200Ωであった。
次に、このめっき皮膜を有する多孔質ポリイミドフィルムの表面にセロハン粘着テープを貼り付けて剥がしてみたが、めっき皮膜に剥離が認められなかった。このことから、このめっき皮膜を有する多孔質ポリイミドフィルムは、めっき皮膜の付着性に優れていることがわかる。
実施例7
アセトン5mLにパラジウム錯体としてパラジウムヘキサフルオロアセチルアセトナト10mgを溶解させた溶液をアンプル管に入れ、製造例3で得られた多孔質ポリイミドフィルムをこの溶液に浸漬させ、アンプル管に20分間超音波を付与した後、アンプル管を室温で24時間静置することにより、パラジウム錯体を多孔質ポリイミドフィルムに付着させた。前記多孔質ポリイミドフィルムを乾燥させた後、オートクレーブに入れ、オートクレーブ内に二酸化炭素ガスを数10秒間吹き付けることにより、空気をパージした。オートクレーブの温度を120℃に設定し、常圧で1時間静置した後、多孔質ポリイミドフィルムをオートクレーブから取り出した。
純水を入れたビーカーにこの多孔質ポリイミドフィルムを入れ、純水中に浸漬させ、ビーカーに超音波を照射することにより、多孔質ポリイミドフィルムに含まれている気泡を十分に除去した後、ビーカーから多孔質ポリイミドフィルムを取り出した。
次に、無電解メッキ液の原液〔奥野製薬工業(株)製、商品名:ニコロンDK−M〕67重量%と無電解メッキ液の原液〔奥野製薬工業(株)製、商品名:ニコロンDK−1〕33重量%からなる無電解メッキ液(金属イオン濃度:2.75重量%)7.5mLをフッ素樹脂製のめっき反応器に入れ、室温で一晩静置した。その後、無電解メッキ液の原液〔奥野製薬工業(株)製、商品名:ニコロンDK−M〕10重量%と無電解メッキ液の原液〔奥野製薬工業(株)製、商品名:ニコロンDK−1〕5重量%および純水85重量%からなる無電解メッキ液(金属イオン濃度:0.413重量%)10mLをフッ素樹脂製のめっき反応器に入れ、この反応器を65℃の温浴中に入れることにより、無電解メッキ液の液温を65℃に調整した。この無電解メッキ液に前記多孔質ポリイミドフィルムを1時間浸漬することにより、めっき皮膜を有する多孔質ポリイミドフィルムを得た。得られためっき皮膜を有する多孔質ポリイミドフィルムを無電解メッキ液から取り出し、60℃の純水で十分に洗浄した。このめっき皮膜を有する多孔質ポリイミドフィルムにおけるめっきの析出量は0.509g/cm3であった。また、このめっき皮膜を有する多孔質ポリイミドフィルムの両表面に厚さが1〜2μmのニッケルめっき皮膜が形成されていた。厚さ方向抵抗率は790Ω・cm、表面抵抗は7.9Ωであった。
次に、このめっき皮膜を有する多孔質ポリイミドフィルムの表面にセロハン粘着テープを貼り付けて剥がしてみたが、めっき皮膜に剥離が認められなかった。このことから、このめっき皮膜を有する多孔質ポリイミドフィルムは、めっき皮膜の付着性に優れていることがわかる。
実施例8
実施例1において、無電解メッキ液に前記多孔質ポリイミドフィルムを浸漬する時間を1時間から2時間に変更したこと以外は、実施例1と同様の操作を行なうことにより、めっき皮膜を有する多孔質ポリイミドフィルムを得た。得られためっき皮膜を有する多孔質ポリイミドフィルムを無電解メッキ液から取り出し、60℃の純水で十分に洗浄した。このめっき皮膜を有する多孔質ポリイミドフィルムにおけるめっきの析出量は0.884g/cm3であった。また、このめっき皮膜を有する多孔質ポリイミドフィルムの両表面に厚さが1〜2μmのニッケルめっき皮膜が形成されていた。厚さ方向抵抗率は880Ω・cm、表面抵抗は5.2Ωであった。
次に、このめっき皮膜を有する多孔質ポリイミドフィルムの表面にセロハン粘着テープを貼り付けて剥がしてみたが、めっき皮膜に剥離が認められなかった。このことから、このめっき皮膜を有する多孔質ポリイミドフィルムは、めっき皮膜の付着性に優れていることがわかる。
実施例7で得られためっき皮膜を有する多孔質ポリイミドフィルムの断面の電子顕微鏡写真を図3に、実施例8で得られためっき皮膜を有する多孔質ポリイミドフィルムの断面の電子顕微鏡写真を図4に示す。図3および図4の拡大倍率は、それぞれ各図の右下に記載されている。
図3および4に示された結果から明らかなように、実施例7および8で得られためっき皮膜を有する多孔質ポリイミドフィルムは、いずれもフィルムに孔径が15μm以上の孔が形成されているので、多孔質ポリイミドフィルムの内部の奥深くまでめっき皮膜を形成させることができることがわかる。
実施例7で得られためっき皮膜を有する多孔質ポリイミドフィルムのめっき皮膜の表面抵抗を測定したところ、7.9Ωであり、厚さ方向の体積抵抗率は790Ω・cmであった。また、実施例8で得られためっき皮膜を有する多孔質ポリイミドフィルムのめっき皮膜の表面抵抗を測定したところ、5.29Ωであり、厚さ方向の体積抵抗率は880Ω・cmであった。このことから、実施例7および8で得られためっき皮膜を有する多孔質ポリイミドフィルムは、いずれも、導電性に優れていることが確認された。したがって、これらのめっき皮膜を有する多孔質ポリイミドフィルムは、電極材料に使用することが期待されるものである。
また、実施例7で得られためっき皮膜を有する多孔質ポリイミドフィルムにおけるめっきの析出量は0.509g/cm3であり、実施例8で得られためっき皮膜を有する多孔質ポリイミドフィルムにおけるめっきの析出量は0.884g/cm3であった。また、実施例7および8で得られためっき皮膜を有する多孔質ポリイミドフィルムには、いずれもその両表面に厚さが1〜2μmのニッケルめっき皮膜が形成されていることが確認された。
本発明の製造方法によって得られた皮膜を有する多孔質ポリイミドフィルムにおいて、表面またはその近傍のみにめっき皮膜を有する多孔質ポリイミドフィルムは、その内部に空隙が存在するので比誘電率が低いことから、高周波領域での伝送損失が小さい高周波エレクトロニクス用フレキシブル低誘電率ケーブルなどに使用することが期待される。
また、本発明の製造方法によって得られためっき皮膜を有する多孔質ポリイミドフィルムにおいて、孔の内壁にめっきが施された多孔質ポリイミドフィルムは、その表面および内部にめっきが施されているので、その表面および内部が導電性を有することから、比表面積が大きいという多孔質ポリイミドフィルムの特性および柔軟性を生かして、例えば、充放電時のひび割れによる性能劣化を防ぐことができるリチウム電池用負極材料などに使用することが期待される。
したがって、本発明の製造方法によって得られためっき皮膜を有する多孔質ポリイミドフィルムは、電池用電極材料、実装用異方性導電膜、高周波用フレキシブル低誘電率ケーブルなどに使用されることが期待される。

Claims (4)

  1. めっき皮膜を有する多孔質ポリイミドフィルムを製造する方法であって、多孔質ポリイミドフィルムとして、表面に存在する孔の孔径が100nm〜10μmである多孔質ポリイミドフィルムを用い、無電解めっきを施すための触媒を溶解させた溶液に当該多孔質ポリイミドフィルムを浸漬させて触媒を付着させた後、当該多孔質ポリイミドフィルムを金属イオン濃度が0.1〜2重量%の無電解めっき液に浸漬させて当該多孔質ポリイミドフィルムに無電解めっきを施し、めっき皮膜を形成させることを特徴とするめっき皮膜を有する多孔質ポリイミドフィルムの製造方法。
  2. めっき皮膜を有する多孔質ポリイミドフィルムを製造する方法であって、多孔質ポリイミドフィルムとして、表面に存在する孔の孔径が100nm〜100μmである多孔質ポリイミドフィルムを用い、無電解めっきを施すための触媒を溶解させた溶液に当該多孔質ポリイミドフィルムを浸漬させ、当該多孔質ポリイミドフィルムに触媒を付着させた後、当該多孔質ポリイミドフィルムを金属イオン濃度が2〜3.5重量%の無電解めっき液に浸漬させ、次いで金属イオン濃度が0.1〜1.5重量%の無電解めっき液に浸漬させて当該多孔質ポリイミドフィルムに無電解めっきを施し、めっき皮膜を形成させることを特徴とするめっき皮膜を有する多孔質ポリイミドフィルムの製造方法。
  3. 無電解めっきを施すための触媒を溶解させた溶液に当該多孔質ポリイミドフィルムを浸漬させた後、当該溶液に超音波を付与し、次いで当該多孔質ポリイミドフィルムを金属イオン濃度が2〜3.5重量%の無電解めっき液に浸漬させる請求項2に記載のめっき皮膜を有する多孔質ポリイミドフィルムの製造方法。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載の製造方法によって得られためっき皮膜を有する多孔質ポリイミドフィルム。
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