JP2013166735A - 新規錯体、当該錯体を含む重合用触媒およびオリゴマー化用触媒、ならびにこれらの利用 - Google Patents

新規錯体、当該錯体を含む重合用触媒およびオリゴマー化用触媒、ならびにこれらの利用 Download PDF

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正人 ▲高▼野
Masato Takano
Kazuyuki Ito
和幸 伊藤
Akihiko Ishii
昭彦 石井
Norio Nakata
憲男 中田
Fumihiko Kawauchi
史彦 河内
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Saitama University NUC
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Abstract

【課題】脂肪族オレフィンオリゴマーを優れた活性で製造し得る重合用触媒、ならびに芳香族ビニル重合体等を優れた立体規則性で製造し得る重合用触媒、の調製に用い得る新規な錯体の提供。
【解決手段】下式(1)で表される錯体。
Figure 2013166735

【選択図】なし

Description

本発明は、新規なジルコニウムおよびハフニウム錯体、当該錯体を含む重合用触媒およびオリゴマー化用触媒、ならびに、当該触媒を用いた脂肪族オレフィンオリゴマー、環状オレフィン重合体および芳香族ビニル化合物重合体の製造方法に関するものである。
チーグラ・ナッタ型マグネシウム担持高活性チタン触媒により大いに発展したオレフィン重合の化学において、近年、メタロセン触媒の開発がトピックスの一つである。さらに、最近ではさらなる精密な重合プロセスを構築するための触媒として、いわゆるポストメタロセン系触媒の開発が注目されている。
2000年にKolらは、4族金属元素と親和性の高いフェノキシ基と窒素原子とを有する四座配位子を用いて、C対称性を有するジルコニウム錯体を開発し、これを触媒とする1−ヘキセンの重合反応を報告した(非特許文献1〜3)。さらに、Kol(非特許文献4)やドイツのOkudaら(非特許文献5,6)は、上記四座配位子の窒素原子を硫黄原子に置き換えた配位子を用いて4族金属錯体を合成し、α−オレフィンの立体選択的重合への展開をしている。Okudaら(非特許文献7)はさらに、上記四座配位子の窒素原子を硫黄原子に置き換えた配位子を用いて4族金属錯体を合成し、スチレンの立体選択的重合への展開をしている。
特許文献1では、エタン−1,2−ジチオールから誘導されるジフェノキシチタン、ジルコニムまたはハフニウム錯体を用いた、プロピレン重合およびスチレン重合が報告されている。
本発明者らは、trans−シクロオクタン−1,2−ジチオールから誘導されるジフェノキシチタン、ジルコニウムおよびハフニウム錯体を報告し(非特許文献8)、ジルコニウム錯体を触媒とした1−ヘキセンの重合について報告している(非特許文献9)。さらに、ハフニウム錯体を触媒としたプロピレン、1−ヘキセンの重合についても報告している(特許文献2)。
炭素原子数が4〜20を有する直鎖状アルファオレフィンは、界面活性剤、可塑剤、合成潤滑剤およびポリオレフィンの製造における主原料として用いられる。また、高純度のアルファオレフィンは、低密度ポリエチレンの製造およびオキソ法においての、コモノマーとして用いられることから特に価値がある。
したがって、炭素原子数が、例えば4〜数十程度の脂肪族オレフィンオリゴマーを高活性かつ、高選択的に製造可能な触媒が求められてきた。
また、特許文献1の方法により得られるスチレン重合体は、例えば、立体規則性の観点から改善の余地がある。
WO2007/075299 WO2011/099583
Journal of American Chemical Society, 2000, Volume 122, 10706-10707 Journal of American Chemical Society, 2006, Volume 128, 13062-13063 Journal of American Chemical Society, 2008, Volume 130, 2144-2145 Inorganic Chemistry, 2007, Volume 46, 8114-8116 Journal of American Chemical Society, 2003, Volume 125, 4964-4965 Angewandte Chemie International Edition, 2007, Volume 46, 4790-4793 Organometallics, 2005, Volume 24, 2971-2982 戸田ら、第58回錯体化学討論会、講演要旨集1Ab−07、2008年9月20日 Journal of American Chemical Society, 2009, Volume 131, 13566-13567
本発明の一の課題は、脂肪族オレフィンをオリゴマー化して得られるオリゴマーを、優れた活性で製造し得るオレフィンオリゴマー化用触媒、当該触媒を用いるオリゴマーの製造方法、および当該触媒の調製に用い得る新規な錯体を提供することにある。
本発明の他の課題は、環状オレフィン重合体または芳香族ビニル重合体を優れた立体規則性で製造し得る重合用触媒、当該重合用触媒を用いる環状オレフィン重合体または芳香族ビニル重合体の製造方法、および当該重合用触媒の調製に用いる新規な錯体を提供することにある。
本発明者は、鋭意検討することにより上記課題を解決できることを見出した。
本発明は、下記一般式(1)で示される新規な錯体に関するものである。
Figure 2013166735
(式中、nは2または3であり、
Mはジルコニウムまたはハフニウムであり、
およびRは、それぞれ独立して、炭素原子数6〜30のアリール基、または、環を
構成する炭素原子数3〜20のヘテロ環式化合物残基を表す。
〜R4およびR〜R12は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1〜20のアルキル基、環を構成する炭素原子数3〜10のシクロアルキル基、炭素原子数2〜20のアルケニル基、炭素原子数2〜20のアルキニル基、炭素原子数7〜30のアラルキル基、炭素原子数6〜30のアリール基、炭素原子数1〜20のアルコキシ基、炭素原子数7〜30のアラルキルオキシ基、炭素原子数6〜30のアリールオキシ基、炭素原子数1〜20の置換シリル基、または、環を構成する炭素原子数3〜20のヘテロ環式化合物残基を表す。
上記R〜R12の定義に関わらず、RとR、RとR、RとR、RとR、RとR、RとR、RとR10、およびR11とR12は、それぞれ独立に、それぞれ相互に連結して環を形成してもよく、これらの環は置換基を有していてもよい。ただし、RとRが相互に連結して環を形成する場合と、RとRが相互に連結して環を形成する場合とにおいて、当該環は、それぞれ独立して、炭素原子数6〜30のアリール基、または、環を構成する炭素原子数3〜20のヘテロ環式化合物残基である。
Lは、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1〜20のアルキル基、環を構成する炭素原子数3〜10のシクロアルキル基、炭素原子数2〜20のアルケニル基、炭素原子数7〜30のアラルキル基、炭素原子数6〜30のアリール基、炭素原子数1〜20のアルコキシ基、炭素原子数7〜30のアラルキルオキシ基、炭素原子数6〜30のアリールオキシ基、炭素原子数1〜20の置換シリル基、炭素原子数1〜20の置換アミノ基、炭素原子数1〜20の置換チオラート基、または炭素原子数1〜20のカルボキシラート基を表す。
隣接するL同士は、相互に連結して環を形成してもよい。)
本発明によれば、優れた活性で脂肪族オレフィンオリゴマーを製造することができる。また、本発明によれば、優れた立体規則性で環状オレフィン重合体および芳香族ビニル重合体を製造することができる。
実施例1でオリゴマー化反応の生成物をガスクロマトグラフ分析(GC分析)した結果を示す図である。 実施例2でオリゴマー化反応の生成物をGC分析した結果を示す図である。 実施例3でオリゴマー化反応の生成物をGC分析した結果を示す図である。 実施例4でオリゴマー化反応の生成物をGC分析した結果を示す図である。 実施例5でオリゴマー化反応の生成物をGC分析した結果を示す図である。 実施例6でオリゴマー化反応の生成物をGC分析した結果を示す図である。 実施例7でオリゴマー化反応の生成物をGC分析した結果を示す図である。 実施例8でオリゴマー化反応の生成物をGC分析した結果を示す図である。 実施例9でオリゴマー化反応の生成物をGC分析した結果を示す図である。
式(1)で表される錯体について説明する。
Figure 2013166735
nは2または3であり、好ましくは3である。
Mはジルコニウム原子またはハフニウム原子であり、好ましくはジルコニウム原子である。
およびRは、それぞれ独立して、炭素原子数6〜30のアリール基、または環を構成する炭素原子数が3〜20のヘテロ環式化合物残基であり、
好ましくは、RとRが同一であって、炭素原子数6〜30のアリール基、または環を構成する炭素原子数が3〜20のヘテロ環式化合物残基である。
〜R4およびR〜R12は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1〜20のアルキル基、環を構成する炭素原子数3〜10のシクロアルキル基、炭素原子数2〜20のアルケニル基、炭素原子数2〜20のアルキニル基、炭素原子数7〜30のアラルキル基、炭素原子数6〜30のアリール基、炭素原子数1〜20のアルコキシ基、炭素原子数7〜30のアラルキルオキシ基、炭素原子数6〜30のアリールオキシ基、炭素原子数1〜20の置換シリル基、または炭素原子数3〜20のヘテロ環式化合物残基を表す。
〜RおよびR〜R12として好ましくは、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1〜20のアルキル基、環を構成する炭素原子数が3〜10のシクロアルキル基、炭素原子数7〜30のアラルキル基、炭素原子数6〜30のアリール基、炭素原子数1〜20のアルコキシ基、炭素原子数6〜30のアリールオキシ基、または炭素原子数1〜20の置換シリル基であり、
より好ましくは、それぞれ独立して、水素原子、炭素原子数1〜20のアルキル基、環を構成する炭素原子数が3〜10のシクロアルキル基、炭素原子数7〜30のアラルキル基、炭素原子数6〜30のアリール基、または炭素原子数1〜20の置換シリル基である。R、R、RおよびR〜R12として、さらに好ましくは、水素原子であり、
およびRとしてさらに好ましくは、炭素原子数1〜20のアルキル基、環を構成する炭素原子数が3〜10のシクロアルキル基、炭素原子数7〜30のアラルキル基、炭素原子数6〜30のアリール基、または炭素原子数1〜20の置換シリル基である。
およびRとして特に好ましい形態は、RとRが同一であって、炭素原子数1〜20のアルキル基、環を構成する炭素原子数が3〜10のシクロアルキル基、炭素原子数7〜30のアラルキル基、炭素原子数6〜30のアリール基、または炭素原子数1〜20の置換シリル基であり、
最も好ましくは、RとRが同一であって、炭素原子数1〜20のアルキル基である。
上記した、アルキル基、シクロアルキル基、アラルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基およびヘテロ環式化合物残基は置換基を有していてもよい。ここでの置換基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基
、tert-ブチル基、トリメチルシリル基、フルオロ基、クロロ基、トリフルオロメチル基などが挙げられ、好ましくは、メチル基、エチル基、イソプロピル基、tert-ブチル基、フルオロ基である。
〜R12における炭素原子数6〜30の置換または無置換のアリール基としては、例えば、フェニル基、2−トリル基、3−トリル基、4−トリル基、2,3−キシリル基、2,4−キシリル基、2,5−キシリル基、2,6−キシリル基、3,4−キシリル基、3,5−キシリル基、2,3,4−トリメチルフェニル基、2,3,5−トリメチルフェニル基、2,3,6−トリメチルフェニル基、2,4,6−トリメチルフェニル基、3,4,5−トリメチルフェニル基、2,3,4,5−テトラメチルフェニル基、2,3,4,6−テトラメチルフェニル基、2,3,5,6−テトラメチルフェニル基、ペンタメチルフェニル基、エチルフェニル基、n−プロピルフェニル基、イソプロピルフェニル基、n−ブチルフェニル基、sec−ブチルフェニル基、tert−ブチルフェニル基、イソブチルフェニル基、n−ペンチルフェニル基、ネオペンチルフェニル基、n−ヘキシルフェニル基、n−オクチルフェニル基、n−デシルフェニル基、n−ドデシルフェニル基、n−テトラデシルフェニル基、ナフチル基、アントラセニル基、3,5−ジイソプロピルフェニル基、2,6−ジイソプロピルフェニル基、3,5−ジtert−ブチルフェニル基、2−フルオロフェニル基、3−フルオロフェニル基、4−フルオロフェニル基、ペンタフルオロフェニル基、2−トリフルオロメチルフェニル基、3−トリフルオロメチルフェニル基、4−トリフルオロメチルフェニル基、2,3−ジフルオロフェニル基、2,4−ジフルオロフェニル基、2,5−ジフルオロフェニル基、2,6−ジフルオロフェニル基、2,4,6−トリフルオロフェニル基、2−クロロフェニル基、2,3−ジクロロフェニル基、2,4−ジクロロフェニル基、2,5−ジクロロフェニル基、2−ブロモフェニル基、3−ブロモフェニル基、4−ブロモフェニル基、2,3−ジブロモフェニル基、2,4−ジブロモフェニル基、あるいは2,5−ジブロモフェニル基が挙げられ、好ましくは、フェニル基、2−トリル基、3−トリル基、4−トリル基、2,3−キシリル基、2,4−キシリル基、2,5−キシリル基、2,6−キシリル基、3,4−キシリル基、3,5−キシリル基、2,3,4−トリメチルフェニル基、2,3,5−トリメチルフェニル基、2,3,6−トリメチルフェニル基、2,4,6−トリメチルフェニル基、3,4,5−トリメチルフェニル基、エチルフェニル基、n−プロピルフェニル基、イソプロピルフェニル基、3,5−ジイソプロピルフェニル基、2,6−ジイソプロピルフェニル基、3,5−ジtert−ブチルフェニル基などの炭素原子数6〜20のフェニル基;2−フルオロフェニル基、3−フルオロフェニル基、4−フルオロフェニル基、ペンタフルオロフェニル基、2,3−ジフルオロフェニル基、2,4−ジフルオロフェニル基、2,5−ジフルオロフェニル基、2,6−ジフルオロフェニル基、2,4,6−トリフルオロフェニル基などのフッ素化フェニル基;2−トリフルオロメチルフェニル基、3−トリフルオロメチルフェニル基、4−トリフルオロメチルフェニル基などのフッ素化アルキルフェニル基であり、より好ましくは、フェニル基、2−トリル基、3−トリル基、4−トリル基、2,6−キシリル基、3,5−キシリル基、2,4,6−トリメチルフェニル基、3,5−ジイソプロピルフェニル基、2,6−ジイソプロピルフェニル基、3,5−ジtert−ブチルフェニル基、2−フルオロフェニル基、ペンタフルオロフェニル基、2,3−ジフルオロフェニル基、2,4−ジフルオロフェニル基、2,5−ジフルオロフェニル基、2,6−ジフルオロフェニル基、2,4,6−トリフルオロフェニル基である。
〜R12における環を構成する炭素原子数が3〜20の置換または無置換のヘテロ環式化合物残基としては、例えば、チエニル基、フリル基、1−ピロリル基、1−イミダゾリル基、1−ピラゾリル基、ピリジル基、ピラジニル基、ピリミジニル基、ピリダジニル基、2−イソインドリル基、1−インドリル基、キノリル基、ジベンゾ−1H−ピロール−1−イル基、N−カルバゾリル基が挙げられ、好ましくはチエニル基、フリル基、1−ピロリル基、ピリジル基、ピリミジニル基、2−イソインドリル基、1−インドリル基
、キノリル基、ジベンゾ−1H−ピロール−1−イル基、N−カルバゾリル基である。
〜RおよびR〜R12における炭素原子数1〜20の置換または無置換のアルキル基としては、例えば、パーフルオロメチル基、パーフルオロエチル基、パーフルオロ−n−プロピル基、パーフルオロイソプロピル基、パーフルオロ−n−ブチル基、パーフルオロ−sec−ブチル基、パーフルオロイソブチル基、パーフルオロ−tert−ブチル基、パーフルオロ−n−ペンチル基、パーフルオロイソペンチル基、パーフルオロ−tert−ペンチル基、パーフルオロネオペンチル基、パーフルオロ−n−ヘキシル基、パーフルオロ−n−ヘプチル基、パーフルオロ−n−オクチル基、パーフルオロ−n−デシル基、パーフルオロ−n−ドデシル基、パーフルオロ−n−ペンタデシル基、パーフルオロ−n−エイコシル基、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、tert−ペンチル基、ネオペンチル基、n−ヘキシル基、テキシル基、ネオヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−デシル基、n−ドデシル基、n−ペンタデシル基、n−エイコシル基が挙げられる。
〜RおよびR〜R12における炭素原子数1〜20の置換または無置換のアルキル基として好ましくは、パーフルオロメチル基、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、tert−ペンチル基、ネオペンチル基、n−ヘキシル基、テキシル基、ネオヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−デシル基などの炭素原子数4〜10のアルキル基であり、より好ましくは、パーフルオロメチル基、メチル基、イソプロピル基、イソブチル基、tert−ブチル基、イソペンチル基、tert−ペンチル基、ネオペンチル基、テキシル基などの炭素原子数1〜8のアルキル基であり、さらに好ましくは、パーフルオロメチル基、メチル基、イソプロピル基、イソブチル基、tert−ブチル基といった炭素原子数1〜4のアルキル基である。
〜RおよびR〜R12における環を構成する炭素原子数が3〜10の置換または無置換のシクロアルキル基としては、例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、1−メチルシクロペンチル基、1−メチルシクロヘキシル基、1−フェニルシクロヘキシル基、1−インダニル基、2−インダニル基、ノルボルニル基、ボルニル基、メンチル基、1−アダマンチル基、2−アダマンチル基、3,5−ジメチルアダマンチル基、3,5、7−トリメチルアダマンチル基、3,5−ジエチルアダマンチル基、3,5、7−トリエチルアダマンチル基、3,5−ジイソプロピルアダマンチル基、3,5、7−トリイソプロピルアダマンチル基、3,5−ジイソブチルアダマンチル基、3,5、7−トリイソブチルアダマンチル基、3,5−ジフェニルアダマンチル基、3,5、7−トリフェニルアダマンチル基、3,5−ジ(p−トルイル)アダマンチル基、3,5、7−トリ(p−トルイル)アダマンチル基、3,5−ジ(3,5−キシリル)アダマンチル基、3,5、7−トリ(3,5−キシリル)アダマンチル基が挙げられ、好ましくはシクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、1−メチルシクロペンチル基、1−メチルシクロヘキシル基、1−インダニル基、2−インダニル基、ノルボルニル基、ボルニル基、メンチル基、1−アダマンチル基、2−アダマンチル基、3,5−ジメチルアダマンチル基、3,5−ジエチルアダマンチル基、3,5−ジフェニルアダマンチル基、3,5−ジ(p−トルイル)アダマンチル基、3,5−ジ(3,5−キシリル)アダマンチル基などの炭素原子数5〜26(環を構成する炭素原子以外の炭素原子も含む総数)のシクロアルキル基であり、より好ましくは、シクロヘキシル基、1−メチルシクロヘキシル基、ノルボルニル基、ボルニル基、1−アダマンチル基、2−アダマンチル基、3,5−ジメチルアダマンチル基、3,5−ジエチルアダマンチル基などの炭素原子数6〜14(環を構成する炭素原子以外の炭素原子も含む総数)のシクロアルキル基である。
〜RおよびR〜R12における炭素原子数2〜20の置換または無置換のアルケニル基としては、ビニル基、アリル基、プロペニル基、2−メチル−2−プロペニル基、ホモアリル基、ペンテニル基、ヘキセニル基、ヘプテニル基、オクテニル基、ノネニル基、デセニル基などが挙げられ、好ましくは炭素原子数3〜6のアルケニル基であり、より好ましくはアリル基、ホモアリル基である。
〜RおよびR〜R12における炭素原子数2〜20の置換または無置換のアルキニル基としては、例えばエチニル基、1−プロピニル基、2−プロピニル基、1−ブチニル基、3−メチル−1−ブチニル基、3,3−ジメチル−1−ブチニル基、2−ブチニル基、3−ブチニル基、1−ペンチニル基、4−メチル−1−ペンチニル基、2−ペンチニル基、3−ペンチニル基、4−ペンチニル基、4−メチル−1−ペンテニル基、1−ヘキシニル基、1−オクチニル基、フェニルエチニル基が挙げられ、好ましくは炭素原子数3〜8のアルキニル基であり、より好ましくは3-メチル−1−ブチニル基、3,3−ジメチル−1−ブチニル基、4−メチル−1−ペンテニル基またはフェニルエチニル基である。
〜RおよびR〜R12における炭素原子数7〜30の置換または無置換のアラルキル基としては、例えば、ベンジル基、(2−メチルフェニル)メチル基、(3−メチルフェニル)メチル基、(4−メチルフェニル)メチル基、(2,3−ジメチルフェニル)メチル基、(2,4−ジメチルフェニル)メチル基、(2,5−ジメチルフェニル)メチル基、(2,6−ジメチルフェニル)メチル基、(3,4−ジメチルフェニル)メチル基、(3,5−ジメチルフェニル)メチル基、(2,3,4−トリメチルフェニル)メチル基、(2,3,5−トリメチルフェニル)メチル基、(2,3,6−トリメチルフェニル)メチル基、(3,4,5−トリメチルフェニル)メチル基、(2,4,6−トリメチルフェニル)メチル基、(2,3,4,5−テトラメチルフェニル)メチル基、(2,3,4,6−テトラメチルフェニル)メチル基、(2,3,5,6−テトラメチルフェニル)メチル基、(ペンタメチルフェニル)メチル基、(エチルフェニル)メチル基、(n−プロピルフェニル)メチル基、(イソプロピルフェニル)メチル基、(n−ブチルフェニル)メチル基、(sec−ブチルフェニル)メチル基、(tert−ブチルフェニル)メチル基、(イソブチルフェニル)メチル基、(n−ペンチルフェニル)メチル基、(ネオペンチルフェニル)メチル基、(n−ヘキシルフェニル)メチル基、(n−オクチルフェニル)メチル基、(n−デシルフェニル)メチル基、ナフチルメチル基、アントラセニルメチル基、ジメチル(フェニル)メチル基、ジメチル(4−メチルフェニル)メチル基、ジメチル(1−ナフチル)メチル基、ジメチル(2−ナフチル)メチル基、メチル(エチル)(フェニル)メチル基、メチル(ジフェニル)メチル基、メチルビス(4−メチルフェニル)メチル基、トリフェニルメチル基が挙げられ、好ましくはベンジル基、ナフチルメチル基、アントラセニルメチル基、ジメチル(フェニル)メチル基、ジメチル(4−メチルフェニル)メチル基、ジメチル(1−ナフチル)メチル基、ジメチル(2−ナフチル)メチル基、メチル(エチル)(フェニル)メチル基、メチル(ジフェニル)メチル基、メチルビス(4−メチルフェニル)メチル基、トリフェニルメチル基であり、より好ましくは、ジメチル(フェニル)メチル基、ジメチル(4−メチルフェニル)メチル基、ジメチル(1−ナフチル)メチル基、ジメチル(2−ナフチル)メチル基、メチル(エチル)(フェニル)メチル基、メチル(ジフェニル)メチル基、メチルビス(4−メチルフェニル)メチル基、トリフェニルメチル基などの炭素原子数9〜20の第3級アラルキル基である。
〜RおよびR〜R12における炭素原子数1〜20の置換シリル基としては、例えば、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、トリ−n−プロピルシリル基、トリイソプロピルシリル基、トリ−n−ブチルシリル基、トリイソブチルシリル基、tert
−ブチルジメチルシリル基、メチルジフェニルシリル基、ジメチル(フェニル)シリル基、tert−ブチルジフェニルシリル基、トリフェニルシリル基、メチルビス(トリメチルシリル)シリル基、ジメチル(トリメチルシリル)シリル基、トリス(トリメチルシリル)シリル基が挙げられ、好ましくはトリメチルシリル基、トリエチルシリル基、トリ−n−プロピルシリル基、トリイソプロピルシリル基、tert−ブチルジメチルシリル基などの炭素原子数3〜20のトリアルキルシリル基;メチルビス(トリメチルシリル)シリル基、ジメチル(トリメチルシリル)シリル基、トリス(トリメチルシリル)シリル基などの炭素原子数3〜20のハイドロカルビルシリル基を置換基として有するシリル基が挙げられる。
〜RおよびR〜R12における炭素原子数1〜20の置換または無置換のアルコキシ基としては、例えば、パーフルオロメトキシ基、パーフルオロエトキシ基、パーフルオロ−n−プロポキシ基、パーフルオロイソプロポキシ基、パーフルオロ−n−ブトキシ基、パーフルオロ−sec−ブトキシ基、パーフルオロイソブトキシ基、パーフルオロ−n−ペンチルオキシ基、パーフルオロネオペンチルオキシ基、パーフルオロ−n−ヘキシルオキシ基、パーフルオロ−n−ヘプチルオキシ基、パーフルオロ−n−オクチルオキシ基、パーフルオロ−n−デシルオキシ基、パーフルオロ−n−ドデシルオキシ基、パーフルオロ−n−ペンタデシルオキシ基、パーフルオロ−n−エイコシルオキシ基、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、sec−ブトキシ基、イソブトキシ基、n−ペンチルオキシ基、ネオペンチルオキシ基、n−ヘキシルオキシ基、n−ヘプチルオキシ基、n−オクチルオキシ基、n−デシルオキシ基、n−ドデシルオキシ基、n−ペンタデシルオキシ基、n−エイコシルオキシ基が挙げられ、好ましくは炭素原子数1〜4のアルコキシ基であり、より好ましくはメトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基である。
〜RおよびR〜R12における炭素原子数6〜30の置換または無置換のアリールオキシ基としては、例えばフェノキシ基、2,3,4−トリメチルフェノキシ基、2,3,5−トリメチルフェノキシ基、2,3,6−トリメチルフェノキシ基、2,4,6−トリメチルフェノキシ基、3,4,5−トリメチルフェノキシ基、2,3,4,5−テトラメチルフェノキシ基、2,3,4,6−テトラメチルフェノキシ基、2,3,5,6−テトラメチルフェノキシ基、ペンタメチルフェノキシ基、2,6−ジイソプロピルフェノキシ基、2−フルオロフェノキシ基、3−フルオロフェノキシ基、4−フルオロフェノキシ基、ペンタフルオロフェノキシ基、2−トリフルオロメチルフェノキシ基、3−トリフルオロメチルフェノキシ基、4−トリフルオロメチルフェノキシ基、2,3−ジフルオロフェノキシ基、2,4−フルオロフェノキシ基、2,5−ジフルオロフェノキシ基、2−クロロフェノキシ基、2,3−ジクロロフェノキシ基、2,4−ジクロロフェノキシ基、2,5−ジクロロフェノキシ基、2−ブロモフェノキシ基、3−ブロモフェノキシ基、4−ブロモフェノキシ基、2,3−ジブロモフェノキシ基、2,4−ジブロモフェノキシ基、あるいは2,5−ジブロモフェノキシ基が挙げられ、好ましくは炭素原子数6〜14のアリールオキシ基であり、より好ましくは2,4,6−トリメチルフェノキシ基、3,4,5−トリメチルフェノキシ基、2,6−ジイソプロピルフェノキシ基、ペンタフルオロフェノキシ基である。
〜RおよびR〜R12における炭素原子数7〜30の置換または無置換のアラルキルオキシ基としては、例えば、ベンジルオキシ基、(2−メチルフェニル)メトキシ基、(3−メチルフェニル)メトキシ基、(4−メチルフェニル)メトキシ基、(2,3−ジメチルフェニル)メトキシ基、(2,4−ジメチルフェニル)メトキシ基、(2,5−ジメチルフェニル)メトキシ基、(2,6−ジメチルフェニル)メトキシ基、(3,4−ジメチルフェニル)メトキシ基、(3,5−ジメチルフェニル)メトキシ基、(2,3,4−トリメチルフェニル)メトキシ基、(2,3,5−トリメチルフェニル)メトキシ
基、(2,3,6−トリメチルフェニル)メトキシ基、(2,4,5−トリメチルフェニル)メトキシ基、(2,4,6−トリメチルフェニル)メトキシ基、(3,4,5−トリメチルフェニル)メトキシ基、(2,3,4,5−テトラメチルフェニル)メトキシ基、(2,3,4,6−テトラメチルフェニル)メトキシ基、(2,3,5,6−テトラメチルフェニル)メトキシ基、(ペンタメチルフェニル)メトキシ基、(エチルフェニル)メトキシ基、(n−プロピルフェニル)メトキシ基、(イソプロピルフェニル)メトキシ基、(n−ブチルフェニル)メトキシ基、(sec−ブチルフェニル)メトキシ基、(tert−ブチルフェニル)メトキシ基、(n−ヘキシルフェニル)メトキシ基、(n−オクチルフェニル)メトキシ基、(n−デシルフェニル)メトキシ基、(n−テトラデシルフェニル)メトキシ基、ナフチルメトキシ基、アントラセニルメトキシ基が挙げられ、好ましくは炭素原子数7〜12のアラルキルオキシ基であり、より好ましくはベンジルオキシ基である。
上記R〜Rの定義に関わらず、RとR、RとR、RとR、RとR、RとR、およびRとRとは、それぞれ独立に、互いに連結して環を形成してもよく、該環は置換基を有していてもよい。RとR、RとR、RとR、またはRとRが連結して形成される環は、好ましくは、ベンゼン環上の2つの炭素原子を含む4〜10員環のハイドロカルビル環または複素環であり、該環は置換基を有していてもよい。
該環として具体的には、シクロブテン環、シクロペンテン環、シクロペンタジエン環、シクロヘキセン環、シクロヘプテン環、シクロオクテン環、ベンゼン環またはナフタレン環、フラン環、2,5−ジメチルフラン環、チオフェン環、2,5−ジメチルチオフェン環、ピリジン環などが挙げられ、好ましくは、シクロブテン環、シクロペンテン環、シクロペンタジエン環、シクロヘキセン環、ベンゼン環またはナフタレン環である。
一方、RとR、または、RとRが連結して形成される環は、R、Rで定義したものに相当し、すなわち炭素原子数6〜30のアリール基、または環を構成する炭素原子数が3〜20のヘテロ環式化合物残基である。
さらに、上記R〜R12の定義に関わらず、RとR10、およびR11とR12とは、それぞれ独立に、互いに連結して環を形成してもよく、該環は置換基を有していてもよい。
Lにおける炭素原子数1〜20のアルキル基、環を構成する炭素原子数が3〜10のシクロアルキル基、炭素原子数2〜20のアルケニル基、炭素原子数7〜30のアラルキル基、炭素原子数6〜30のアリール基、炭素原子数1〜20のアルコキシ基、炭素原子数7〜30のアラルキルオキシ基、炭素原子数6〜30のアリールオキシ基、炭素原子数1〜20の置換シリル基は、R〜R12における前記の基と同様である。
Lにおける炭素原子数1〜20の置換アミノ基としては、例えば、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジn−ブチルアミノ基、ジn−プロピルアミノ基、ジイソプロピルアミノ基、ジベンジルアミノ基またはジフェニルアミノ基といった炭素原子数2〜14のハイドロカルビルアミノ基が挙げられ、好ましくは、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジn−プロピルアミノ基、ジイソプロピルアミノ基またはジベンジルアミノ基である。
Lにおける炭素原子数1〜20の置換チオラート基としては、例えば、チオフェノキシ基、2,3,4−トリメチルチオフェノキシ基、2,3,5−トリメチルチオフェノキシ基、2,3,6−トリメチルチオフェノキシ基、2,4,6−トリメチルチオフェノキシ基、3,4,5−トリメチルチオフェノキシ基、2,3,4,5−テトラメチルチオフェ
ノキシ基、2,3,4,6−テトラメチルチオフェノキシ基、2,3,5,6−テトラメチルチオフェノキシ基、ペンタメチルチオフェノキシ基、2−フルオロチオフェノキシ基、3−フルオロチオフェノキシ基、4−フルオロチオフェノキシ基、ペンタフルオロチオフェノキシ基、2−トリフルオロメチルチオフェノキシ基、3−トリフルオロメチルチオフェノキシ基、4−トリフルオロメチルチオフェノキシ基、2,3−ジフルオロチオフェノキシ基、2,4−フルオロチオフェノキシ基、2,5−ジフルオロチオフェノキシ基、2−クロロチオフェノキシ基、2,3−ジクロロチオフェノキシ基、2,4−ジクロロチオフェノキシ基、2,5−ジクロロチオフェノキシ基、2−ブロモチオフェノキシ基、3−ブロモチオフェノキシ基、4−ブロモチオフェノキシ基、2,3−ジブロモチオフェノキシ基、2,4−ジブロモチオフェノキシ基、あるいは2,5−ジブロモチオフェノキシ基といった炭素原子数6〜12のハイドロカルビルチオラート基が挙げられ、好ましくはチオフェノキシ基、2,4,6−トリメチルチオフェノキシ基、3,4,5−トリメチルチオフェノキシ基、2,3,4,5−テトラメチルチオフェノキシ基、2,3,4,6−テトラメチルチオフェノキシ基、2,3,5,6−テトラメチルチオフェノキシ基、ペンタメチルチオフェノキシ基、ペンタフルオロチオフェノキシ基である。
Lにおける炭素原子数1〜20の置換または無置換のカルボキシラート基としては、例えば、アセテート基、プロピオネート基、ブチレート基、ペンタネート基、ヘキサノエート基、2−エチルヘキサノエート基またはトリフルオロアセテート基が挙げられ、好ましくは炭素原子数2〜10ハイドロカルビルカルボキシラート基であり、より好ましくは、アセテート基、プロピオネート基、2−エチルヘキサノエート基またはトリフルオロアセテート基である。
Lとして好ましくは、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、炭素原子数1〜20のアルキル基、炭素原子数7〜30のアラルキル基、炭素原子数1〜20のアルコキシ基、炭素原子数6〜30のアリールオキシ基、または炭素原子数1〜20の置換アミノ基であり、より好ましくは、塩素原子、臭素原子、炭素原子数1〜6のアルキル基、炭素原子数7〜10のアラルキル基、炭素原子数1〜6のアルコキシ基、炭素原子数6〜10のアリールオキシ基、炭素原子数2〜10の置換アミノ基であり、さらに好ましくは、塩素原子、メチル基、エチル基、n−ブチル基、tert−ブチル基、ベンジル基、メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基、tert−ブトキシ基、フェノキシ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基であり、特に好ましくは、塩素原子、メチル基、ベンジル基、イソプロポキシ基、フェノキシ基、ジメチルアミノ基であり、最も好ましくは、塩素原子、ベンジル基である。
〜R12およびLは、それぞれ独立して、ハロゲン原子、酸素原子、ケイ素原子、窒素原子、リン原子、硫黄原子を含む置換基を有していてもよい。
式(1)で表される錯体の具体例としては、例えば下記の化合物が挙げられる。
Figure 2013166735
Figure 2013166735
また、これらの化合物のジルコニウム原子をハフニウム原子に置き換えた化合物も挙げられる。
上記それぞれの化合物のジルコニウム原子に直接結合しているベンジル基を、塩素原子、メチル基、ジメチルアミノ基、イソプロポキシ基、tert−ブトキシ基、またはフェノキシ基に変更した化合物も挙げられる。
さらに、上記それぞれの化合物におけるRおよびRに相当する基を水素原子、またはメチル基に変更した化合物も挙げることができる。
上記それぞれの化合物の硫黄原子を架橋するシクロオクタン環をシクロへプタン環で置
換した化合物も挙げることができる。
上記それぞれの化合物におけるR〜R12に相当する基をメチル基、エチル基で置換した化合物も挙げることができる。
式(1)で表される錯体として好ましくは下記の化合物が挙げられる。
Figure 2013166735
また、これらの化合物のジルコニウム原子をハフニウム原子に置き換えた化合物も挙げられる。
上記それぞれの化合物のジルコニウム原子に直接結合しているベンジル基を、塩素原子、メチル基、ジメチルアミノ基、イソプロポキシ基、tert−ブトキシ基、またはフェノキシ基に変更した化合物も挙げられる。
さらに、上記それぞれの化合物におけるRおよびRに相当する基を水素原子、またはメチル基に変更した化合物も挙げることができる。
上記それぞれの化合物の硫黄原子を架橋するシクロオクタン環をシクロへプタン環で置換した化合物も挙げることができる。
上記一般式(1)で表される錯体は、下記一般式(2)で表される化合物(以下、化合物(2)と称する)および下記一般式(3)で表される化合物(以下、化合物(3)と称する)を出発原料として下記の反応スキーム1により製造することができるが、本方法に限定されるものではない。
(反応スキーム1)
Figure 2013166735
化合物(2)中のnおよびR〜R12は、それぞれ上記一般式(1)におけるnおよびR〜R12と同様である。
化合物(3)中のLおよびMは、それぞれ上記一般式(1)におけるLおよびMと同様である。化合物(3)は、MがHfの場合は、例えば、Hf(CHPh)、HfCl(CHPh)、Hf(CHSiMe、HfF、HfCl、HfBr、HfI、Hf(OMe)、Hf(OEt)、Hf(Oi−Pr)、HfCl(O−i−Pr)、Hf(O−n−Bu)、Hf(O−i−Bu)、Hf(O−t−Bu)、Hf(NMe、HfCl(NMeおよびHf(NEt等が挙げられる。好ましくは、Hf(CHPh)、HfCl(CHPh)、Hf(CHSiMe、HfCl、HfBr、Hf(OMe)、Hf(OEt)、Hf(Oi−Pr)、Hf(O−i−Bu)、Hf(O−t−Bu)、Hf(NMe、HfCl(NMeまたはHf(NEtである。
また、化合物(3)は、MがZrの場合は、例えば、Zr(CHPh)、ZrCl(CHPh)、Zr(CHSiMe、ZrF、ZrCl、ZrBr、ZrI、Zr(OMe)、Zr(OEt)、Zr(Oi−Pr)、ZrCl(O−i−Pr)、Zr(O−n−Bu)、Zr(O−i−Bu)、Zr(O−t−Bu)、Zr(NMe、ZrCl(NMeおよびZr(NEt等が挙げられる。好ましくは、Zr(CHPh)、ZrCl(CHPh)、Zr(CHSiMe、ZrCl、ZrBr、Zr(OMe)、Zr(OEt)、Zr(Oi−Pr)、Zr(O−i−Bu)、Zr(O−t−Bu)、Zr(NMe、ZrCl(NMeまたはZr(NEtである。
上記反応スキーム1においては、溶媒中で、化合物(2)と化合物(3)とをそのまま反応させてもよく、必要に応じて化合物(2)を塩基と反応させた後に化合物(3)を反応させてもよい。化合物(2)に反応させる塩基としては、例えば、有機リチウム試薬、Grignard試薬および金属水素化物が挙げられる。具体的には、メチルリチウム、n−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、tert−ブチルリチウム、リチウムジイソプロピルアミド、リチウムヘキサメチルジシラザン、カリウムヘキサメチルジシラザン、水素化ナトリウムおよび水素化カリウムを挙げることができる。なかでも、n−ブチ
ルリチウム、リチウムジイソプロピルアミド、カリウムヘキサメチルジシラザン、水素化ナトリウムおよび水素化カリウムが好ましい。
上記一般式(1)で表される錯体、化合物(3)、および、化合物(2)と塩基とを反応させて得られる化合物は、空気および湿気に対して不安定である。そのため、反応スキーム1における反応は脱水脱酸素下で行うことが好ましい。具体的には、乾燥ヘリウム、乾燥アルゴンまたは乾燥窒素下であり、乾燥アルゴン下または乾燥窒素下がより好ましい。
上記反応スキーム1において、化合物(2)の使用量は、化合物(3)に対して1モル当量以上であればよく、好ましくは、1.0〜1.5の範囲で用いればよい。また、反応の過程で化合物(2)が残存する場合は、反応の途中で化合物(3)を追加してもよい。
化合物(2)と化合物(3)とを反応させる温度は、好適には−100℃〜150℃の温度範囲であり、より好適には−80℃〜50℃の温度範囲である。ただし、この範囲に限定される意図ではない。
化合物(2)と化合物(3)との反応は、生成物の収率が最も高くなる時間まで行えばよく、好ましくは5分間〜48時間であり、より好ましくは10分間〜24時間であり、さらに好ましくは30分間〜18時間である。
化合物(2)と塩基とを反応させる場合、化合物(3)と塩基とを反応させる温度は、好適には−100℃〜150℃の温度範囲であり、より好適には−80℃〜50℃の温度範囲である。ただし、この範囲に限定される意図ではない。
また、化合物(2)と塩基とを反応させる時間は、生成物の収率が最も高くなる時間まで行えばよく、好ましくは5分間〜24時間であり、より好ましくは10分間〜12時間、さらに好ましくは30分間〜3時間である。
化合物(2)と塩基とを反応させる場合に、化合物(2)と塩基とを反応させて生じた化合物と、化合物(3)とを反応させる温度は、好適には−100℃〜150℃の温度範囲であり、より好適には−80℃〜50℃の温度範囲ある。ただし、この範囲に限定される意図ではない。
また、化合物(2)と塩基とを反応させて生じた化合物と、化合物(3)とを反応させる時間は、生成物の収率が最も高くなる時間まで行えばよく、好ましくは5分間〜48時間であり、より好ましくは10分間〜24時間であり、さらに好ましくは、30分間〜3時間である。
反応スキーム1に示す反応の際に用いる溶媒は、類似の反応で一般的に用いられる溶媒であれば特に制限されるものではなく、ハイドロカーボン溶媒およびエーテル系溶媒が挙げられる。好ましくは、トルエン、ベンゼン、o−キシレン、m−キシレン、p−キシレン、ヘキサン、ペンタン、ヘプタン、シクロヘキサン、ジエチルエーテルおよびテトラヒドロフランであり、より好ましくは、ジエチルエーテル、トルエン、テトラヒドロフラン、ヘキサン、ペンタン、ヘプタンおよびシクロヘキサンである。
本発明に係る重合用触媒またはオリゴマー化用触媒としては、式(1)で示される錯体および助触媒成分(A)を接触させて得られる触媒が挙げられる。かかる助触媒成分としては、周期律表第13族元素を含む活性化助触媒成分が挙げられ、例えば、
(A−1)有機アルミニウム化合物
(A−2)ホウ素化合物
よりなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物を挙げることができる。
〔有機アルミニウム化合物(A−1)〕
本発明において用いる有機アルミニウム化合物(A−1)としては、公知の有機アルミニウム化合物が使用できる。好ましくは、
(A−1−1)一般式E1 aAlY1 3-aで表される有機アルミニウム化合物、
(A−1−2)一般式{−Al(E2)−O−}bで表される構造を有する環状のアルミノキサン、および、
(A−1−3)一般式E3{−Al(E3)−O−}cAlE3 2で表される構造を有する線状のアルミノキサン、
のうちのいずれか、あるいはそれらの2〜3種の混合物を例示することができる。
但し、上記一般式における、E1、E2、E3は、炭素数1〜8のハイドロカルビル基であり、全てのE、全てのE2及び全てのEは同じであっても異なっていてもよい。Y1は水素原子又はハロゲン原子を表し、全てのY1は同じであっても異なっていてもよい。aは0<a≦3の整数で、bは2以上の整数を、cは1以上の整数を表す。
一般式E1 aAlY1 3-aで表される有機アルミニウム化合物(A−1−1)の具体例としては、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリプロピルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリヘキシルアルミニウム等のトリアルキルアルミニウム;ジメチルアルミニウムクロライド、ジエチルアルミニウムクロライド、ジプロピルアルミニウムクロライド、ジイソブチルアルミニウムクロライド、ジヘキシルアルミニウムクロライド等のジアルキルアルミニウムクロライド;メチルアルミニウムジクロライド、エチルアルミニウムジクロライド、プロピルアルミニウムジクロライド、イソブチルアルミニウムジクロライド、ヘキシルアルミニウムジクロライド等のアルキルアルミニウムジクロライド;ジメチルアルミニウムハイドライド、ジエチルアルミニウムハイドライド、ジプロピルアルミニウムハイドライド、ジイソブチルアルミニウムハイドライド、ジヘキシルアルミニウムハイドライド等のジアルキルアルミニウムハイドライド等を例示することができる。好ましくは、トリアルキルアルミニウムであり、より好ましくは、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウムである。
一般式{−Al(E2)−O−}bで表される構造を有する環状のアルミノキサン(A−1−2)、一般式 E3{−Al(E3)−O−}cAlE3 で表される構造を有する線状のアルミノキサン(A−1−3)における、E2、E3の具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、ノルマルブチル基、イソブチル基、n−ペンチル基、ネオペンチル基等のアルキル基を例示することができる。bは2以上の整数であり、cは1以上の整数である。好ましくは、E2及びE3はメチル基、またはイソブチル基であり、bは2〜40の整数、cは1〜40の整数である。
上記のアルミノキサンは各種の方法で作られる。その方法については特に制限はなく、公知の方法に準じて作ればよい。例えば、トリアルキルアルミニウム(例えば、トリメチルアルミニウムなど)を適当な有機溶剤(ベンゼン、トルエン、脂肪族ハイドロカーボンなど)に溶かした溶液を、水と接触させてアルミノキサンを作る。また、トリアルキルアルミニウム(例えば、トリメチルアルミニウムなど)を、結晶水を含んでいる金属塩(例えば、硫酸銅水和物など)に接触させてアルミノキサンを作る方法が例示できる。
また、上記の方法で得られる(A−1−2)一般式{−Al(E2)−O−}bで表される構造を有する環状のアルミノキサン、及び(A−1−3)一般式 E3{−Al(E3)−O−}cAlE3 2で表される構造を有する線状のアルミノキサンは、必要に応じて、揮発成分を留去して乾燥して用いてもよい。さらに、揮発成分を留去して乾燥して得られた
化合物を適当な有機溶剤(ベンゼン、トルエン、脂肪族ハイドロカーボンなど)で洗浄して、再度乾燥し用いてもよい。
〔ホウ素化合物(A−2)〕
本発明においてホウ素化合物(A−2)としては、
(A−2−1) 一般式BR131415で表されるホウ素化合物、
(A−2−2) 一般式W+(BR13141516で表されるホウ素化合物、
(A−2−3) 一般式(V−H)+(BR13141516で表されるホウ素化合物、
のいずれかを用いる。
一般式BR131415で表されるホウ素化合物(A−2−1)において、Bは3価の原子価状態のホウ素原子であり、R13〜R15はハロゲン原子、1〜20個の炭素原子を含むハイドロカルビル基、1〜20個の炭素原子を含むハロゲン化ハイドロカルビル基、1〜20個の炭素原子を含む置換シリル基、1〜20個の炭素原子を含むアルコキシ基または2〜20個の炭素原子を含む2置換アミノ基であり、それらは同じであっても異なっていてもよい。好ましいR13〜R15はハロゲン原子、1〜20個の炭素原子を含むハイドロカルビル基、1〜20個の炭素原子を含むハロゲン化ハイドロカルビル基である。
ホウ素化合物(A−2−1)の具体例としては、トリフェニルボラン、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン、トリス(2,3,5,6−テトラフルオロフェニル)ボラン、トリス(2,3,4,5−テトラフルオロフェニル)ボラン、トリス(3,4,5−トリフルオロフェニル)ボラン、トリス(2,3,4−トリフルオロフェニル)ボラン、フェニルビス(ペンタフルオロフェニル)ボラン等が挙げられるが、最も好ましくは、トリフェニルボラン、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボランである。
一般式W+(BR13141516で表されるホウ素化合物(A−2−2)において、W+は無機または有機のカチオンであり、Bは3価の原子価状態のホウ素原子であり、R13〜R16は上記のホウ素化合物(A−2−1)におけるR13〜R15と同様である。即ち、R13〜R16はハロゲン原子、1〜20個の炭素原子を含むハイドロカルビル基、1〜20個の炭素原子を含むハロゲン化ハイドロカルビル基、1〜20個の炭素原子を含む置換シリル基、1〜20個の炭素原子を含むアルコキシ基または2〜20個の炭素原子を含む2置換アミノ基であり、それらは同じであっても異なっていてもよい。好ましいR13〜R16はハロゲン原子、1〜20個の炭素原子を含むハイドロカルビル基、1〜20個の炭素原子を含むハロゲン化ハイドロカルビル基である。
無機のカチオンであるW+としては、フェロセニウムカチオン、アルキル置換フェロセニウムカチオン、銀陽イオンなどが挙げられる。有機のカチオンであるW+としては、トリフェニルカルベニウムカチオンなどが挙げられる。(BR13141516には、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、テトラキス(2,3,5,6−テトラフルオロフェニル)ボレート、テトラキス(2,3,4,5−テトラフルオロフェニル)ボレート、テトラキス(3,4,5−トリフルオロフェニル)ボレート、テトラキス(2,2,4ートリフルオロフェニル)ボレート、フェニルビス(ペンタフルオロフェニル)ボレ−ト、テトラキス(3,5−ビストリフルオロメチルフェニル)ボレートなどが挙げられる。
一般式W+(BR13141516で表される化合物の具体例としては、フェロセニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、1,1’−ジメチルフェ
ロセニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、銀テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリフェニルカルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリフェニルカルベニウムテトラキス(3,5−ビストリフルオロメチルフェニル)ボレートなどを挙げることができるが、最も好ましくは、トリフェニルカルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートなどが挙げられる。
また、一般式(V−H)+(BR13141516で表されるホウ素化合物(A−2−3)おいては、Vは中性ルイス塩基であり、(V−H)+はブレンステッド酸であり、Bは3価の原子価状態のホウ素原子であり、R13〜R16は上記のホウ素化合物(A−2−3)におけるR13〜R15と同様である。即ち、R13〜R16はハロゲン原子、1〜20個の炭素原子を含むハイドロカルビル基、1〜20個の炭素原子を含むハロゲン化ハイドロカルビル基、1〜20個の炭素原子を含む置換シリル基、1〜20個の炭素原子を含むアルコキシ基または2〜20個の炭素原子を含む2置換アミノ基であり、それらは同じであっても異なっていてもよい。好ましいR13〜R16はハロゲン原子、1〜20個の炭素原子を含むハイドロカルビル基、1〜20個の炭素原子を含むハロゲン化ハイドロカルビル基である。
ブレンステッド酸である(V−H)+としては、トリアルキル置換アンモニウム、N,N−ジアルキルアニリニウム、ジアルキルアンモニウム、トリアリールホスホニウムなどが挙げられ、(BR13141516としては、前述と同様のものが挙げられる。
一般式(V−H)+(BR13141516で表される化合物の具体例としては、トリエチルアンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリプロピルアンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリ(ノルマルブチル)アンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリ(n−ブチル)アンモニウムテトラキス(3,5−ビストリフルオロメチルフェニル)ボレート、N,N−ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、N,N−ジエチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、N,N−2,4,6−ペンタメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、N,N−ジメチルアニリニウムテトラキス(3,5−ビストリフルオロメチルフェニル)ボレート、ジイソプロピルアンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、ジシクロヘキシルアンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリフェニルホスホニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリ(メチルフェニル)ホスホニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリ(ジメチルフェニル)ホスホニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリフェニルカルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートなどを挙げることができるが、最も好ましくは、トリフェニルカルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリ(ノルマルブチル)アンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、もしくは、N,N−ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートである。
上記一般式(1)で表される錯体と助触媒成分(A)とを接触させて得られる触媒を製造する際の接触は、一般式(1)で表される錯体と助触媒成分(A)とが接触し、触媒が形成されるならどのような手段によってもよい。例えば、あらかじめ溶媒で希釈して、もしくは希釈せずに一般式(1)で表される錯体と助触媒成分(A)とを混合して接触させる方法、および一般式(1)で表される錯体と助触媒成分(A)とを別々に重合槽に供給して重合槽の中でこれらを接触させる方法等を採用することができる。ここで、助触媒成分(A)としては複数種類を組み合わせて使用する場合があるが、それらのうちの一部をあらかじめ混合して使用してもよいし、別々に重合槽に供給して使用してもよい。
助触媒成分(A)として有機アルミニウム化合物(A−1)を使用する場合の使用量は、一般式(1)で表される錯体に対する有機アルミニウム化合物(A−1)のモル比が例えば0.01〜10,000の範囲であり、好ましくは1〜5,000の範囲である。また、助触媒成分(A)としてホウ素化合物(A−2)を使用する場合の使用量は、一般式(1)で表される錯体に対するホウ素化合物(A−2)のモル比が例えば0.01〜100の範囲であり、好ましくは1.0〜50の範囲である。
重合反応器において重合反応前またはオリゴマー化反応前に触媒を製造する場合、各成分を溶液状態または溶媒に懸濁もしくはスラリー化した状態で供給する際の各成分の濃度は、重合反応器に各成分を供給する装置の性能などの条件により、適宜選択されるが、一般に、一般式(1)で表される錯体の濃度が、例えば0.0001〜10,000mmol/L、より好ましくは、0.001〜1,000mmol/L、さらに好ましくは、0.01〜100mmol/Lの範囲であり、有機アルミニウム化合物(A−1)の濃度が、Al原子換算で、例えば0.01〜10,000mmol/L、より好ましくは、0.05〜5,000mmol/L、さらに好ましくは、0.1〜2,000mmol/Lの範囲であり、ホウ素化合物(A−2)の濃度が、例えば0.001〜500mmol/L、より好ましくは、0.01〜250mmol/L、さらに好ましくは、0.05〜100mmol/Lの範囲となるように各成分を用いることが望ましい。
上記一般式(1)で表される錯体と、上記有機アルミニウム化合物(A−1)および上記ホウ素化合物(A−2)の少なくとも一方とを接触させて得られる重合用またはオリゴマー化用触媒として、一般式(1)で表される錯体と有機アルミニウム化合物(A−1)とを接触させて得られる触媒を用いる際は、有機アルミニウム化合物(A−1)としては、上記の環状のアルミノキサン(A−1−2)および線状のアルミノキサン(A−1−3)の少なくとも一方を用いることが好ましい。また他に好ましい重合用またはオリゴマー化用触媒の態様としては、一般式(1)で表される錯体、有機アルミニウム化合物(A−1)およびホウ素化合物(A−2)を接触させて得られる触媒が挙げられ、その際の有機アルミニウム化合物(A−1)としては上記の有機アルミニウム化合物(A−1−1)が使用しやすく、ホウ素化合物(A−2)としては、ホウ素化合物(A−2−1)またはホウ素化合物(A−2−2)が好ましい。
式(1)で示される錯体および助触媒成分を接触させて得られる触媒は、例えば、脂肪族オレフィンオリゴマー化用触媒、または、環状オレフィン重合用および芳香族ビニル化合物重合用触媒として用いることができる。
〔脂肪族オレフィンオリゴマー化用触媒としての利用〕
本発明における脂肪族オレフィンオリゴマーの製造方法は、上記脂肪族オレフィンオリゴマー化用触媒の存在下に1種の脂肪族オレフィンを単独で反応させるか、また2種以上の脂肪族オレフィンを反応させることを含む方法であり、1種の脂肪族オレフィンを単独で反応させることが好ましい。
脂肪族オレフィンは、脂肪族モノオレフィンまたは脂肪族ジオレフィンであることができる。
脂肪族モノオレフィンの例としては、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン、4−メチル−1−ペンテン、ビニルシクロヘキサンなどの炭素原子数3〜10の1−アルケン(枝分かれしていてもよい)を挙げることができる。
脂肪族ジオレフィンとしては、例えば、1,5−ヘキサジエン、1,4−ヘキサジエン、1,6−ヘプタジエン、1,4−ペンタジエン、1,7−オクタジエン、1,8−ノナジエン、1,9−デカジエン、4−メチル−1,4−ヘキサジエン、5−メチル−1,4−ヘキサジエン、7−メチル−1,6−オクタジエン、5−エチリデン−2−ノルボルネン、ジシクロペンタジエン、5−ビニル−2−ノルボルネン、5−メチル−2−ノルボルネン、ノルボルナジエン、5−メチレン−2−ノルボルネン、1,5−シクロオクタジエン、5,8−エンドメチレンヘキサヒドロナフタレン、1,3−ヘキサジエン、1,3−オクタジエン、1,3−シクロオクタジエン、1,3−シクロヘキサジエン、ブタジエン、等を挙げることができる。
脂肪族モノオレフィンとして好ましくは、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン、4−メチル−1−ペンテン、ビニルシクロヘキサンであり、より好ましくは、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−オクテン、1−デセン、4−メチル−1−ペンテン、ビニルシクロヘキサンであり、さらに好ましくは、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、ビニルシクロヘキサンであり、最も好ましくは、エチレン、プロピレンである。
脂肪族ジオレフィンとして好ましくは、1,5−ヘキサジエン、1,6−ヘプタジエン、5−エチリデン−2−ノルボルネン、ジシクロペンタジエン、5−ビニル−2−ノルボルネン、5−メチル−2−ノルボルネン、ノルボルナジエン、5−メチレン−2−ノルボルネン、1,5−シクロオクタジエン、1,3−シクロオクタジエン、1,3−シクロヘキサジエン、ブタジエンであり、より好ましくは、1,5−ヘキサジエン、1,6−ヘプタジエン、1,3−シクロヘキサジエン、ブタジエンである。
2種以上の脂肪族オレフィンモノマーを反応させる場合のモノマーの組み合わせの具体例としては、エチレンとプロピレン、エチレンと1−ブテン、エチレンと1−ペンテン、エチレンと1−ヘキセン、エチレンと1−オクテン、エチレンと1−デセン、エチレンと4−メチル−1−ペンテン、エチレンとビニルシクロヘキサン、エチレンと4−メチル−1−ペンテン、エチレンとブタジエン、エチレンと1,5−ヘキサジエン、を挙げることができる。好ましくは、エチレンとプロピレン、エチレンと1−ブテン、エチレンと1−ペンテン、エチレンと1−ヘキセン、エチレンと1−オクテン、エチレンとビニルシクロヘキサン、エチレンと4−メチル−1−ペンテンであり、より好ましくは、エチレンとプロピレン、エチレンと1−ブテン、エチレンと1−ヘキセン、エチレンと1−オクテン、エチレンとビニルシクロヘキサンであり、さらに好ましくは、エチレンとプロピレン、エチレンと1−ブテン、エチレンと1−ヘキセン、エチレンとビニルシクロヘキサンである。
オリゴマー生成反応の方法も、特に限定されるべきものではないが、例えば、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン等の脂肪族ハイドロカーボン、ベンゼン、トルエン等の芳香族ハイドロカーボン、またはメチレンジクロライド等のハロゲン化ハイドロカーボンを溶媒として用いる溶媒反応、またはスラリー反応等が可能であり、また、連続反応、回分式反応のどちらでも可能である。
オリゴマー生成反応の温度および時間は、所望するオリゴマーサイズ(例えば、オリゴマーに含まれる炭素原子数)、ならびに触媒の活性度および使用量を考慮して決定することができる。反応温度は通常、−50℃〜200℃の範囲をとり得るが、特に、−20℃〜100℃の範囲が好ましい。反応圧力は通常、常圧〜50MPaが好ましい。反応時間は、一般的に、目的とするオリゴマーの種類、反応装置により適宜決定されるが通常、1分間〜20時間の範囲、好ましくは5分間〜18時間の範囲をとることができる。但し、
これらの範囲に制限される意図ではない。
オリゴマー生成反応に溶媒を使用する場合、溶媒中の各化合物の濃度は、特に制限はない。式(1)で示される錯体の溶媒中の濃度は、例えば、1×10-8mmol/L〜10mol/Lの範囲を選択でき、助触媒成分の濃度は、例えば、1×10-8mmol/L 〜10mol/Lの範囲を選択することができる。また、オレフィン:溶媒は体積比で100:0〜1:1000の範囲を選択することができる。但し、これらの範囲は例示であって、それらに限定される意図ではない。また、溶媒を使用しない場合も、上記の範囲を参考に適宜濃度の設定をすることができる。
本発明で得られる脂肪族オレフィンオリゴマーとは、炭素原子数が4以上で40以下の範囲内にある脂肪族オレフィン(ただし、原料とする脂肪族オレフィンより炭素原子数が多い)を指し、好ましくは炭素原子数が4以上で30以下の範囲内であり、より好ましくは炭素原子数が4以上で27以下の範囲内である。
〔環状オレフィン重合用および芳香族ビニル化合物重合用触媒としての利用〕
本発明における環状オレフィン重合体および芳香族ビニル化合物重合体の製造方法は、上記環状オレフィン重合用および芳香族ビニル化合物重合用触媒の存在下に環状オレフィンおよび芳香族ビニル化合物から選ばれる1種の化合物を単独で重合させるか、または環状オレフィンおよび芳香族ビニル化合物から選ばれる2種以上の化合物を共重合させることを含む方法である。
環状オレフィン等の例としては、シクロペンテン、シクロヘキセン、ノルボルネン、5−メチルノルボルネン、5−エチルノルボルネン、5−ブチルノルボルネン、5−フェニルノルボルネン、5−ベンジルノルボルネン、テトラシクロドデセン、トリシクロデセン、トリシクロウンデセン、ペンタシクロペンタデセン、ペンタシクロヘキサデセン、8−メチルテトラシクロドデセン、8−エチルテトラシクロドデセン、5−アセチルノルボルネン、5−アセチルオキシノルボルネン、5−メトキシカルボニルノルボルネン、5−エトキシカルボニルノルボルネン、5−メチル−5−メトキシカルボニルノルボルネン、5−シアノノルボルネン、8−メトキシカルボニルテトラシクロドデセン、8−メチル−8−テトラシクロドデセン、8−シアノテトラシクロドデセン等などを挙げることができる。
芳香族ビニル化合物の例としては、スチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、o,p−ジメチルスチレン、o−エチルスチレン、m−エチルスチレン、p−エチルスチレン、o−クロルスチレン、p−クロルスチレン、α−メチルスチレン、o-ジビニルベンゼン、m−ジビニルベンゼン、p−ジビニルベンゼン等を挙げることができ、好ましくはスチレン、p−メチルスチレン、p−エチルスチレン、p−クロルスチレン、p−ジビニルベンゼンであり、より好ましくはスチレン、p−メチルスチレンであり、更に好ましくはスチレンである。
環状オレフィンおよび芳香族ビニル化合物の重合方法も、特に限定されるべきものではないが、例えば、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン等の脂肪族ハイドロカーボン、ベンゼン、トルエン等の芳香族ハイドロカーボン、またはメチレンジクロライド等のハロゲン化ハイドロカーボンを溶媒として用いる溶媒重合、またはスラリー重合等が可能であり、また、連続重合、回分式重合のどちらでも可能である。
重合反応の温度および時間は、所望の重合平均分子量、ならびに触媒の活性度および使用量を考慮して決定することができる。重合温度は通常、−50℃〜200℃の範囲をとり得るが、特に、−20℃〜100℃の範囲が好ましい。重合圧力は通常、常圧〜50M
Paが好ましい。重合時間は、一般的に、目的とする重合体の種類、反応装置により適宜決定されるが通常、1分間〜20時間の範囲、好ましくは5分間〜18時間の範囲をとることができる。但し、これらの範囲に制限される意図ではない。また、得られる共重合体の分子量を調節するために水素等の連鎖移動剤を添加することもできる。
重合反応に溶媒を使用する場合、溶媒中の各化合物の濃度は、特に制限はない。式(1)で示される錯体の溶媒中の濃度は、例えば、1×10-8mmol/L〜10mol/Lの範囲を選択でき、助触媒成分の濃度は、例えば、1×10-8mmol/L 〜10mol/Lの範囲を選択することができる。また、芳香族ビニル化合物:溶媒、或いは環状オレフィン:溶媒は、体積比で100:0〜1:1000の範囲を選択することができる。但し、これらの範囲は例示であって、それらに限定される意図ではない。また、溶媒を使用しない場合も、上記の範囲を参考に適宜濃度の設定をすることができる。
本発明により得られる芳香族ビニル化合物の重合体は、比較的高い立体規則性を示しうる。当該芳香族ビニル化合物の重合体は、アイソタクチックな芳香族ビニル化合物である。
アイソタクチックな芳香族ビニル化合物の場合、そのアイソタクチシティは例えば80%以上であり、90%以上であることが好ましく、95%以上であることがより好ましい。
式(1)で示される錯体および助触媒成分を接触させて得られる触媒は、脂肪族オレフィンと、環状オレフィンおよび/または芳香族ビニル化合物との共重合を行う場合で、生成物中の環状オレフィンおよび/または芳香族ビニル化合物由来の成分が50%未満となる場合、脂肪族オレフィンオリゴマー化用触媒として用いることができ、生成物中の環状オレフィンおよび/または芳香族ビニル化合物由来の成分が50%以上となる場合、環状オレフィンおよび芳香族ビニル化合物重合用触媒として用いることができる。
以下、実施例および比較例によって本発明をさらに詳細に説明する。実施例中の各項目の測定値は、下記の方法で測定した。
(1)オレフィンオリゴマーの定量(実施例1〜9、比較例1〜4)
組成分析:反応液中に含まれる脂肪族オレフィンオリゴマーの定量は下記の通りガスクロマトグラフによる定量法により実施した。
ガスクロマトグラフ:島津製作所製 GC−2010
カラム:J&W Scientific製 DB−1 全長60メートル 内径0.25ミリメートル、膜厚0.25マイクロメートル
キャリアガス:ヘリウム
インジェクション温度:230℃、検出器温度:230℃
カラム温度条件:40℃で16分保持の後、8℃/分で230℃まで昇温し、
230℃で20分保持
内部標準物質:シクロヘキサン
反応液注入量:2マイクロリットル
(2)融点
熱分析装置 示差走査熱量計(Diamond DSC Perkin Elmer社製)を用いて下記の方法で測定した。
<ポリスチレン測定条件>
1)サンプル約10mgを窒素雰囲気下、290℃ 5分間保持
2)冷却 290℃〜20℃(5℃/分)2分間保持
3)測定 20℃〜290℃(5℃/分)
<ポリエチレン測定条件>
1)サンプル約10mgを窒素雰囲気下、150℃ 5分間保持
2)冷却 150℃〜20℃(5℃/分)2分間保持
3)測定 20℃〜150℃(5℃/分)
<ポリプロピレン測定条件>
1)サンプル約10mgを窒素雰囲気下、220℃ 5分間保持
2)冷却 220℃〜20℃(5℃/分)2分間保持
3)測定 20℃〜220℃(5℃/分)
(3)分子量および分子量分布
各重合体のポリスチレン換算重量平均分子鎖長(Aw)およびポリスチレン換算数平均分子鎖長(An)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により下記条件で算出した。検量線は、標準ポリスチレンを用いて作成した。
<測定条件1> (実施例10〜、比較例1)
装置:ウォーターズ 150C (ウォーターズ製)
溶媒:o-ジクロロベンゼン(0.05%BHT添加)
カラム:TSKgel GMH6-HT 3本 (東ソー製)
測定温度:140℃
溶媒流量:1ml/min
試料濃度:0.1%
カラム・装置校正用試料:TSK標準ポリスチレン F-700〜A-500(東ソー製)
ポリスチレンおよびポリエチレンの重量平均分子量(Mw)および数平均分子量(Mn)は、上記条件により測定したポリスチレン換算重量平均分子鎖長(Aw)、およびポリスチレン換算数平均分子鎖長(An)をもとに、ポリスチレンおよびポリエチレンのQファクターをそれぞれ41.3および17.7として下式より算出した。
分子量(Mw, Mn)=分子鎖長(Aw, An)×Qファクター
<測定条件2> (比較例2〜4)
装置 :TSK HLC−8121GPC/HT (東ソー社製)
カラム :TSKgel GMHHR‐H(20) 2本
測定温度:152℃
溶媒 :o−ジクロロベンゼン(0.05% BHT添加)
溶媒流量:1ml/min
試料濃度:0.05%
カラム・装置校正用試料:TSK標準ポリスチレンF−2000〜A−1000(東ソー製)
ポリエチレンおよびポリプロピレンの重量平均分子量(Mw)および数平均分子量(Mn)は、ポリスチレン換算重量平均分子鎖長(Aw)およびポリスチレン換算数平均分子鎖長(An)をもとに、ポリエチレンおよびポリプロピレンのQファクターをそれぞれ17.7および26.4として下式より算出した。
分子量(Mw, Mn)=分子鎖長(Aw, An)×Qファクター
(4)ポリスチレンのアイソタクチック・トリアッド分率([mm](%))
ポリスチレンのアイソタクチック・トリアッド分率([mm](%))は、下記条件で測定した13C‐NMRスペクトルにおける、以下に定義する範囲のベンゼン環イプソ位の炭素に帰属されるピーク面積から求めた。
<算出方法>
I([mmmmmm]+[mmmmmr]+[mmmmrr]+[mmmrrm]):146.20〜146.40ppmのピーク面積の合計
I([mmrrmm]):145.75〜145.80ppmのピーク面積
トリアッド[mm](%)算出式
[mm](%)=I([mmmmmm]+[mmmmmr]+[mmmmrr]+[mmmrrm])−0.5×I([mmrrmm])/(I([mmmmmm]+[mmmmmr]+[mmmmrr]+[mmmrrm])+I([mmrrmm]))
<測定条件>
装置 :日本電子社製 JNM−AL400 5mm
測定溶媒:クロロホルム−d
測定温度:60℃
測定方法:プロトンデカップリング法
パルス幅:90度
パルス繰り返し時間:2.4秒
化学シフト値基準:テトラメチルシラン
(製造例1)
trans-1,2-ビス(3-(N−カルバゾリル)-2-ヒドロキシ-5-メチルベンジルスルファニル)シクロオクタンの合成
(1)3-(N-カルバゾリル)-4-メトキシトルエンの合成
窒素置換した200 mL二口フラスコに、カルバゾール25 g(149 mmol)、 3-ブロモ-4-メトキシトルエン25 g(125 mmol)、ヨウ化銅(I)1.13 g(6.0 mmol)、リン酸カリウム三塩基酸44 g(207 mmol)、trans-1,2-ジアミノシクロへキサン2.9 mL(42 mmol)およびジオキサン80 mLを加え、還流温度まで昇温し、44時間撹拌した。反応溶液を室温まで冷却した後、不溶物をろ過した。減圧下揮発成分を留去した。得られた黒緑色固体をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒 酢酸エチル:へキサン=1:9)で精製することで3-(N−カルバゾリル)-4-メトキシトルエン 15.14 g(収率 42%)を白色固体として得た。
1H-NMR (400 MHz,δ, ppm, CDCl3)
2.37 (s, 3H), 3.66 (s, 3H), 7.0〜7.5 (9H), 8.12 (d, J = 8 Hz, 2H).
(2)2-(N−カルバゾリル)-4-メチルフェノールの合成
窒素置換した500 mLフラスコに、3-(N−カルバゾリル)-4-メトキシトルエン 15.14 g(53 mmol)および塩化メチレン75 mLを加え、0℃まで冷却した。ここに、三臭化ホウ素75 mL(1.0 M ジクロロメタン溶液, 75 mmol)を加え、室温まで昇温し、3時間撹拌した。反応溶液を300 mLの氷水に導入し、更に酢酸エチル150mLを加えた。有気層を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で2回洗浄した後、飽和食塩水で洗浄した。無水硫酸ナトリウムにより乾燥し、減圧下揮発成分を留去した。得られた白色固体をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒 ヘキサン:酢酸エチル=85:15)で精製することで2-(N−カルバゾリル)-4-メチルフェノール 14.45 g(収率>99%)を白色固体として得た。
1H-NMR (400 MHz, δ, ppm, CDCl3)
2.34 (s, 3H), 4.83 (s, 1H), 7.1〜7.5 (9H), 8.16 (d, J = 0.8 Hz, 2H).
(3)6-(N−カルバゾリル)-2-(ヒドロキシメチル)-4-メチルフェノールの合成
窒素置換した200mL二口フラスコに、2-(N−カルバゾリル)-4-メチルフェノール5.0 g(18.3 mmol)、塩化マグネシウム3.5 g(36.6 mmol)、パラホルムアルデヒド3.50 g(117 mmol)およびテトラヒドロフラン15 mLを加えた。ここにトリエチルアミン5.0 mL(49
mmol)を加え、3時間加熱還流した。反応溶液を室温まで放冷した後、不溶物を濾過した。濾液から減圧下揮発成分を留去した後、残渣に酢酸エチルと水を加えた。有機層を1 M HCl、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、飽和食塩水の順に洗浄し、無水硫酸マグネシウムにより乾燥した。減圧下溶媒を留去することで、3-(N−カルバゾリル)-5-メチルサリチルアルデヒド(CG純度91%、収率91%)を含む混合物5.53 gを得た。
1H-NMR (400 MHz, δ, ppm, CDCl3)
2.43 (s, 3H), 7.15(s, 6H), 7.1〜7.4(8H), 8.14 (d, J = 0.8 Hz, 2H), 9.99 (s, 1H),
11.1 (s, 1H).
次いで、窒素置換した100 mLフラスコに、上記混合物 2.0 gとテトラヒドロフラン10 m
Lおよびメタノール10 mLとを加え、氷冷した。ここに水素化ホウ素ナトリウム 260 mg(6.9 mmol)をゆっくり加え、室温まで昇温した後、1時間撹拌した。反応溶液に水を加えた後、減圧下揮発成分を留去した後、水と酢酸エチルを加えた。有機層を1 M HCl、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、飽和食塩水の順に用いて洗浄し、無水硫酸マグネシウムにより乾燥し、減圧下揮発成分を留去した。得られた無色オイルをシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒 酢酸エチル:へキサン=1:2)で精製することで6-(N−カルバゾリル)-2-(ヒドロキシメチル)-4-メチルフェノール2.18 g(収率 >99%)を白色固体として得た。
1H-NMR (400 MHz, δ, ppm, CDCl3)
2.28 (s, 3H), 4.89 (d, J = 6 Hz, 2H), 5.96 (s,1H), 7.1〜7.5(8H), 8.15 (d, J = 8 Hz, 2H).
(4)臭化 3-(N−カルバゾリル)-2-ヒドロキシ-5-メチルベンジルの合成
窒素置換した100mLフラスコに、6-(N−カルバゾリル)-2-(ヒドロキシメチル)-4-メチルフェノール2.18 g(7.2 mmol)とジクロロメタン10 mLとを加えた。ここに、三臭化リン4.5 mL(1.0 M ジクロロメタン溶液, 4.5 mmol)を加え、室温で1時間撹拌した。反応溶液に水を加え、有機層をさらに水で2回洗浄した後、飽和食塩水で洗浄した。有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥した後、減圧下揮発成分を留去することで、臭化 3-(N−カルバゾリル)-2-ヒドロキシ-5-メチルベンジル2.45 g(収率93%)を白色固体として得た。1H-NMR (400 MHz,δ, ppm, CDCl3)
3.34 (s, 3H), 4.67 (s, 2H), 7.1〜7.5(8H), 8.16 (d, J = 8 Hz, 2H).
(5)trans-1,2-ビス(3-(N−カルバゾリル)-2-ヒドロキシ-5-メチルベンジルスルファニル)シクロオクタンの合成
窒素置換した50 mLフラスコに、臭化 3-(N−カルバゾリル)-2-ヒドロキシ-5-メチルベンジル0.84 g(2.28 mmol)と、trans-シクロオクタン-1,2-ジチオール 2.0 mL(0.5 M テトラヒドロフラン溶液, 1.0 mmol)と、テトラヒドロフラン 6 mLとを加え、氷冷した。ここに、トリエチルアミン 0.7 mL(5.0 mmol)を加え、0℃で1時間、さらに室温で12時間撹拌した。反応溶液に臭化3-(N−カルバゾリル)-2-ヒドロキシ-5-メチルベンジル0.15 g(0.4 mmol)を室温で加えた。12時間撹拌した後、減圧下揮発成分を留去した。得られた反応混合物に酢酸エチルおよび塩化アンモニウム水溶液を加え、有機層をさらに飽和食塩水で洗浄した。有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥した後、減圧下溶媒を留去した。得られたオイルをシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒 ジクロロメタン)で精製することで、trans-1,2-ビス(3-(N−カルバゾリル)-2-ヒドロキシ-5-メチルベンジルスルファニル)シクロオクタン0.88 g(収率 >99%)を白色固体として得た。
1H-NMR (400 MHz, δ, ppm, CDCl3)
1.13〜1.79 (m, 12H), 2.24 (s, 6H), 2.97 (m, 2H), 3.91 (s, 4H), 5.90 (s, 2H), 7.0〜7.35 (16H), 8.10 (d, J = 3 Hz, 4H).
(製造例2)
[シクロオクタンジイル−trans-1,2-ビス(3-(N−カルバゾリル)-2-オキソイル-5-メチルベンジルスルファニル)]ジベンジルジルコニウムの合成
窒素雰囲気下のグローブボックス中、10 mLシュレンク管にtrans-1,2-ビス(3-(N−カルバゾリル)-2-ヒドロキシ-5-メチルベンジルスルファニル)シクロオクタン 150 mg(0.20 mmol)、テトラベンジルジルコニウム91 mg(0.20 mmol)、トルエン(5 mL)を加えた。室温で1.5時間攪拌した後、減圧下揮発成分を留去した。得られた残渣をペンタンで洗浄し、減圧下乾燥することで、[シクロオクタンジイル−trans-1,2-ビス(3-(N−カルバゾリル)-2-オキソイル-5-メチルベンジルスルファニル)]ジベンジルジルコニウム25mg
(収率12%)を黄色粉末として得た。
1H-NMR (400 MHz,δ, ppm, トルエン-d8)
-0.6〜2.4 (m, 24H), 2.74(d, J = 14 Hz, 1H), 3.29 (d, J = 14 Hz, 1H), 5.22 (d, J = 8 Hz, 2H), 6.3〜7.5 (m, 24H) 8.06〜8.10 (m, 4H).
(製造例3)
[シクロオクタンジイル−trans-1,2-ビス(3-(N−カルバゾリル)-2-オキソイル-5-メチルベンジルスルファニル)]ジベンジルハフニウムの合成
窒素雰囲気下のグローブボックス中、50 mLシュレンク管で、trans-1,2-ビス(3-(N−カルバゾリル)-2-ヒドロキシ-5-メチルベンジルスルファニル)シクロオクタン150 mg(0.20 mmol)のトルエン(6 mL)溶液に、テトラベンジルジルハフニウム110 mg(0.20 mmol)のトルエン(6 mL)溶液を室温で滴下した。1.5時間後、反応溶液を濾過し、濾液から減圧下揮発成分を留去した。得られた残渣をペンタンで洗浄し、減圧下乾燥することで、[シクロオクタンジイル−trans-1,2-ビス(3-(N−カルバゾリル)-2-オキソイル-5-メチルベンジルスルファニル)]ジベンジルハフニウム18 mg (収率8%)を黄色粉末として得た。
1H-NMR (400 MHz,δ, ppm, トルエン-d8)
0.2〜2.4 (m, 24H), 2.49(d, J = 15 Hz, 1H), 3.20 (d, J = 15 Hz, 1H), 5.59 (d, J =
7 Hz, 2H), 6.46〜6.55 (m, 4H), 6.71 (s, 2H), 7.15〜7.03 (m, 14H), 7.39〜7.45 (m, 4H), 8.06〜8.12 (m, 4H).
(製造例4)
trans-1,2-ビス(3-(3, 5-ジ-tert−ブチルフェニル)-2-ヒドロキシ-5-メチルベンジルスルファニル)シクロオクタンの合成
(1)3’, 5’-ジ-tert-ブチル-2-エトキシ-3-ホルミル-5-メチル-1, 1’-ビフェニルの合成
窒素置換した200 mL四口フラスコに、2-エトキシ-3-ホルミル-5-メチルフェニルボロン酸4.2 g(20 mmol)、1-ブロモ-3, 5-ジ-tert-ブチルベンゼン 4.9 g(18 mmol)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム1.1 g (0.92 mmol)、ジメトキシエタン110
mLおよび炭酸ナトリウム水溶液18 mL(2 M, 36 mmol)を加えた。還流温度で5.5時間撹拌した。室温まで放冷し、反応溶液に酢酸エチル、水を加えた。有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧下揮発成分を留去した。得られた褐色オイルをシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒 酢酸エチル:ヘキサン=1:40)で精製することで3’, 5’-ジ-tert-ブチル-2-エトキシ-3-ホルミル-5-メチル-1, 1’-ビフェニル7.0 g(収率 >99%)を無色オイルとして得た。
1H-NMR (400 MHz,δ, ppm, CDCl3)
1.12 (t, J = 7 Hz, 3H), 1.37 (s, 18H), 2.40 (s, 3H), 3.58 (q, J = 7 Hz, 2H), 7.42 (m, 4H), 7.63 (m, 1H), 10.5 (s, 1H).
(2)3’, 5’-ジ-tert-ブチル-2-エトキシ-5-メチル-1, 1’-ビフェニル-3-メタノールの合成
窒素置換した200mL四口フラスコに3’, 5’-ジ-tert-ブチル-2-エトキシ-3-ホルミル-5-メチル-1, 1’-ビフェニル7.0 g(20 mmol,)、テトラヒドロフラン49 mLおよびメタノール28 mLを加え、氷冷した。ここに水素化ホウ素ナトリウム 450 mg(12 mmol)をゆっくり加え、室温まで昇温後、14時間撹拌した。反応溶液から減圧下揮発成分を留去した後、1 M HClと酢酸エチルを加えた。有機層を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、飽和食塩水の順に洗浄し、無水硫酸マグネシウムにより乾燥後、減圧下揮発成分を留去した。得られた無色オイルをシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒 酢酸エチル:へキサン=1:9〜1:4)で精製することで3’, 5’-ジ-tert-ブチル-2-エトキシ5-メチル-1, 1’-ビフェニル-3-メタノール6.4 g(収率 92%)を無色オイルとして得た。
1H-NMR (400 MHz,δ, ppm, CDCl3)
1.09 (t, J = 7 Hz, 3H), 1.36 (s, 18H), 2.36 (s, 3H), 2.43 (t, J = 6 Hz, 1H), 3.49 (q, J= 7 H, 2H), 4.73 (d, J = 6 Hz, 2H), 7.11(s, 2H), 7.39 (m, 3H).
(3)3-ブロモメチル-3’, 5’-ジ-tert-ブチル-2-エトキシ-5-メチル-1, 1’-ビフェニルの合成
窒素置換した50mL四口フラスコに、3’, 5’-ジ-tert-ブチル-2-エトキシ-5-メチル-1,
1’-ビフェニル-3-メタノール5.4 g(15 mmol)とジクロロメタン40 mLを加えた。ここに、三臭化リン9.4 mL(1.0 M ジクロロメタン溶液, 9.4 mmol)を加え室温で、3時間撹拌した。反応溶液を氷水に注ぎ、有機層をさらに飽和食塩水で2回洗浄した。有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧下揮発成分を留去した。得られた無色オイルをシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒 酢酸エチル:へキサン=1:10)で精製することで、3-ブロモメチル-3’, 5’-ジ-tert-ブチル-2-エトキシ-5-メチル-1, 1’-ビフェニル5.9 g(収率 78%)を白色固体として得た。
1H-NMR (400 MHz,δ, ppm, CDCl3)
1.12 (t, J = 7 Hz, 3H), 1.36 (s, 18H), 2.34 (s, 3H), 3.55 (q, J= 7 H, 2H), 4.64 (s, 2H), 7.11(d, J = 2 Hz, 1H), 7.18(d, J = 2 Hz, 1H), 7.39 (s, 3H).
(4)3-ブロモメチル-3’, 5’-ジ-tert-ブチル-2-ヒドロキシ-5-メチル-1, 1’-ビフェニルの合成
窒素置換した200mL四口フラスコに、3-ブロモメチル-3’, 5’-ジ-tert-ブチル-2-エトキシ-5-メチル-1, 1’-ビフェニル2.4 g(5.9 mmol)とジクロロメタン50 mLを加え、氷冷した。ここに、三臭化ホウ素12 mL(1.0 M ジクロロメタン溶液, 12 mmol)を加え室温で、3.5時間撹拌した。反応溶液を酢酸エチルと氷水に注ぎ、有機層をさらに5%炭酸水素ナトリウム水溶液、飽和食塩水で洗浄した。有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧下揮発成分を留去し、3-ブロモメチル-3’, 5’-ジ-tert-ブチル-2-ヒドロキシ-5-メチル-1, 1’-ビフェニル2.5 g(収率 >99%)を薄橙色固体として得た。
1H-NMR (400 MHz,δ, ppm, CDCl3)
1.36 (s, 18H), 2.31 (s, 3H), 4.63 (s, 2H), 5.53 (s, 1H), 7.03(d, J = 2 Hz, 1H), 7.13(d, J = 2 Hz, 1H), 7.24(d, J = 2 Hz, 2H), 7.47(t, J = 2 Hz, 1H).
(5)trans-1,2-ビス(3-(3, 5-ジ-tert−ブチルフェニル)-2-ヒドロキシ-5-メチルベンジルスルファニル)シクロオクタンの合成
窒素置換した50 mL四口フラスコに、3-ブロモメチル-3’, 5’-ジ-tert-ブチル-2-ヒドロキシ-5-メチル-1, 1’-ビフェニル1.5 g(4.0 mmol)とtrans-シクロオクタン-1,2-ジチオール 0.40 g(2.0 mmol)とテトラヒドロフラン 20 mLを加え、氷冷した。ここに、トリエチルアミン 0.85 mL(6.1 mmol)を加え、室温で24時間撹拌した。反応溶液を濾過し、濾液から減圧下揮発成分を留去した。得られた残渣に酢酸エチルと塩化アンモニウム水溶液を加えた。有機層をさらに塩化アンモニウム水溶液、飽和食塩水の順で洗浄後、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。減圧下溶媒を留去した後、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒 酢酸エチル:へキサン=1:20)で精製することで、trans-1,2-ビス(3-(3, 5-ジ-tert−ブチルフェニル)-2-ヒドロキシ-5-メチルベンジルスルファニル)シクロオクタンとtrans-1-(5-メチル-3-(3, 5-ジ-tert−ブチルフェニル)-2-ヒドロキシベンジルスルファニル)-2-スルファニルシクロオクタンの7:3混合物1.7 gを得た。この混合物および3-ブロモメチル-3’, 5’-ジ-tert-ブチル-2-ヒドロキシ-5-メチル-1, 1’-ビフェニル0.46 g(1.2 mmol)をテトラヒドロフラン20 mLに溶解し、氷冷した。ここに、トリエチルアミン0.22 mL(1.6 mmol)を加え、17時間撹拌した。反応溶液を濾過し、濾液から減圧下揮発成分を留去した。得られた残渣に酢酸エチルと塩化アンモニウム水溶液を加え、有機層をさらに塩化アンモニウム水溶液、飽和食塩水の順で洗浄した。有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧下溶媒を留去した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒 酢酸エチル:へキサン=1:40)で精製することで、trans-1,2-ビス(3-(3, 5-ジ-tert−ブチルフェニル)-2-ヒドロキシ-5-メチルベンジルスルファニル)シクロオクタン1.5 g(収率96%)を薄黄色固体として得た。
1H-NMR (400 MHz,δ, ppm, CDCl3)
1.2〜2.2 (m, 48H), 2.27 (s, 6H), 2.97(m, 2H), 3.87 (s, 4H), 6.06 (s, 2H), 7.00 (m, 4H), 7.29 (d, J = 2 Hz, 2H), 7.41 (t, J = 2 Hz, 2H).
(製造例5)
[シクロオクタンジイル−trans-1,2-ビス(3-(3, 5-ジ-tert-ブチルフェニル)-2-オキソイル-5-メチルベンジルスルファニル)]ジクロロジルコニウムの合成
窒素雰囲気下のグローブボックス中、50 mLシュレンク管でtrans-1,2-ビス(3-(3, 5-ジ-tert-ブチルフェニル)-2-ヒドロキシ-5-メチルベンジルスルファニル)シクロオクタン 160 mg(0.20 mmol)のトルエン(1 mL)溶液に、テトラクロロジルコニウム46 mg(0.20 mmol)のトルエン(1 mL)溶液を室温で滴下した。1.5時間後、減圧下揮発成分を留去した。得られた残渣をペンタンで洗浄し、減圧下乾燥することで、[シクロオクタンジイル−trans-1,2-ビス(3-(3, 5-ジ-tert-ブチルフェニル)-2-オキソイル-5-メチルベンジルスルファニル)]ジクロロジルコニウム 75 mg (収率 39%)を白色粉末として得た。
1H-NMR (400 MHz,δ, ppm, CDCl3)
0.863 (m, 2H), 1.0〜2.4 (m, 52H), 2.56 (brs, 2H), 3.78 (d, J = 14 Hz, 2H), 4.33 (d, J = 14 Hz, 2H), 6.76 (d, J = 1 Hz, 2H), 7.11〜7.36 (m, 16H), 7.39 (d, J = 1 Hz, 2H).
(製造例6)
[シクロオクタンジイル−trans-1,2-ビス(3-(3, 5-ジ-tert-ブチルフェニル)-2-オキソイル-5-メチルベンジルスルファニル)]ジクロロハフニウムの合成
窒素雰囲気下のグローブボックス中、50 mLシュレンク管でtrans-1,2-ビス(3-(3, 5-ジ-tert-ブチルフェニル)-2-ヒドロキシ-5-メチルベンジルスルファニル)シクロオクタン 160 mg(0.20 mmol)のトルエン(1 mL)溶液に、ジクロロジベンジルハフニウム・ジエチルエーテル錯体 100 mg(0.20 mmol)のトルエン(1 mL)溶液を室温で滴下した。1時間攪拌後、減圧下で揮発成分を留去した。得られた残渣をペンタンで洗浄し、減圧下で乾燥することで、[シクロオクタンジイル−trans-1,2-ビス(3-(3, 5-ジ-tert-ブチルフェニル)-2-オキソイル-5-メチルベンジルスルファニル)]ジクロロハフニウム 140 mg (収率 66%)を白色粉末として得た。
1H-NMR (400 MHz,δ, ppm, CDCl3)
0.863 (m, 2H), 1.0〜2.4 (m, 52H), 2.59 (brs, 2H), 3.81 (d, J = 14 Hz, 2H), 4.37 (d, J = 14 Hz, 2H), 6.76 (d, J = 2 Hz, 2H), 7.11〜7.36 (m, 16H), 7.39 (d, J = 2 Hz, 2H).
(製造例7)
trans-1,2-ビス(2-ヒドロキシ-3,5-ジフェニルベンジルスルファニル)シクロオクタンの合成
(1)2-ヒドロキシ-3,5-ジフェニルベンジルアルコールの合成
2-ヒドロキシ-3,5-ジフェニルベンズアルデヒド830 mg(3.03 mmol)をジエチルエーテル20 mLに溶解し、0℃に冷却した。そこに、水素化アルミニウムリチウム115 mg(3.03 mmol)を加えた後、0℃で2時間攪拌した。希塩酸およびジエチルエーテルを加え、エーテル層を水洗し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した後、減圧下溶媒を留去し、無色固体として2-ヒドロキシ-3,5-ジフェニルベンジルアルコール837 mg(収率100%)を得た。
1H NMR (500 MHz, δ, ppm, CDCl3)
2.33 (br s, 1H), 4.94 (s, 2H), 6.84 (s, 1H), 7.30-7.56 (m, 12H).
(2)2-ヒドロキシ-3,5-ジフェニルベンジルブロミドの合成
2-ヒドロキシ-3,5-ジフェニルベンジルアルコール837 mg(3.03 mmol)をクロロホルム20 mLに溶解した。そこに、三臭化りん276 mg(0.10 mL, 1.02 mmol)を加えた後、室温で1時間攪拌した。水を加え、クロロホルム層を水洗し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した後、減圧下溶媒を留去し、無色固体として2-ヒドロキシ-3,5-ジフェニルベンジルブロミド1.02 g(収率99%)を得た。
1H NMR (300 MHz, δ, ppm, CDCl3)
4.72 (s, 2H), 7.32-7.64 (m, 13H).
(3)trans-1,2-ビス(2-ヒドロキシ-3,5-ジフェニルベンジルスルファニル)シクロオ
クタンの合成
アルゴン雰囲気下、trans-シクロオクタン-1,2-ジチオール(文献既知)289.2 mg(1.64 mmol)をテトラヒドロフラン10 mLに溶解した溶液に、2-ヒドロキシ-3,5-ジフェニルベンジルブロミド1.03 g(3.01 mmol)をテトラヒドロフラン10 mLに溶解した溶液を加え、0℃に冷却した。そこに、トリエチルアミン0.42 mL(3.04 mmol)を加え、室温で2日間攪拌した。希塩酸およびジエチルエーテルを加え、エーテル層を水洗し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した後、減圧下溶媒を留去した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒 ジクロロメタン:塩化メチレン=1:1)で精製し、無色オイルとしてtrans-1,2-ビス(2-ヒドロキシ-3,5-ジフェニルベンジルスルファニル)シクロオクタン554 mg(収率53%)を得た。
1H NMR (500 MHz, δ, ppm, CDCl3)
1.25-2.16 (m, 12H), 2.99 (br s, 2H), 3.93-4.00 (m, 4H), 7.28-7.60 (m, 24H).
(製造例8)
[シクロオクタンジイル−trans-1,2-ビス(2-オキソイル-3, 5-ジフェニルベンジルスルファニル)]ジベンジルジルコニウムの合成
以下の実験はアルゴン雰囲気下で行った。50 mLのシュレンク管中、trans-1,2-ビス(2-ヒドロキシ-3,5-ジフェニルベンジルスルファニル)シクロオクタン298.3 mg(0.430 mmol)をトルエン10 mLに溶解し、この溶液を室温でテトラベンジルジルコニウム196.2 mg(0.430 mmol)のトルエン溶液10 mLへと滴下し、室温で1時間攪拌した。この溶液を減圧下濃縮し、残渣をヘキサンで洗浄後真空下で乾燥し、黄色結晶として[シクロオクタンジイル-trans-1,2-ビス(2-オキソイル-3,5-ジフェニルベンジルスルファニル)]ジベンジルジルコニウム346.1 mg(収率83%)を得た。
1H NMR (500 MHz, δ, ppm, C6D6)
0.69-1.42 (m, 14H), 2.05 (d, J = 8 Hz, 2H), 2.43 (br s, 2H), 3.19 (d, J = 15 Hz,
2H), 3.38 (d, J = 15 Hz, 2H), 6.54 (d, J = 7 Hz, 4H), 6.91 (d, J = 2 Hz, 2H), 6.98-7.45 (m, 22H), 7.58 (d, J = 2 Hz, 2H), 7.70-7.72 (m, 4H).
<エチレンオリゴマー化反応>
(実施例1)
内容積400 mLの撹拌機付きオートクレーブを真空乾燥してアルゴンで置換後、溶媒としてトルエン40 mL、モノマーとしてエチレン0.6MPaを仕込み、反応器を40℃まで昇温した。昇温後、d−MAO 115 mgを投入し、続いて製造例2で合成した[シクロオクタンジイル−trans-1,2-ビス(3-(N−カルバゾリル)-2-オキソイル-5-メチルベンジルスルファニル)]ジベンジルジルコニウム(0.5 mmol/L、トルエン溶液)0.1 mL(0.05μmol)を投入してオリゴマー化反応を開始した。温度を40℃に保ちながら、60分間オリゴマー化を行った。GC分析の結果、炭素原子数4〜10のオリゴマーが確認された。1−へキセン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセンのオリゴマー化活性を表1に、分析結果を図1に示す。
(実施例2)
d−MAO投入量を114mgとし、[シクロオクタンジイル−trans-1,2-ビス(3-(N−カルバゾリル)-2-オキソイル-5-メチルベンジルスルファニル)]ジベンジルジルコニウム(0.5 mmol/L、トルエン溶液)0.1mL(0.05μmol)の代わりに製造例3で合成した[シクロオクタンジイル−trans-1,2-ビス(3-(N−カルバゾリル)-2-オキソイル-5-メチルベンジルスルファニル)]ジベンジルハフニウム(1.0mmol/L、トルエン溶液)0.1mL(0.1μmol)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして実施した。GC分析の結果、炭素原子数4〜22のオリゴマーが確認された。1−へキセン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセンのオリゴマー化活性を表1に、分析結果を図2に示す。
(実施例3)
d−MAO投入量を75mgとし、[シクロオクタンジイル−trans-1,2-ビス(3-(N−カルバゾリル)-2-オキソイル-5-メチルベンジルスルファニル)]ジベンジルジルコニウム(0.5 mmol/L、トルエン溶液)0.1mL(0.05μmol)の代わりに製造例8で合成した[シクロオクタンジイル−trans-1,2-ビス(2-オキソイル-3, 5-ジフェニルベンジルスルファニル)]ジベンジルジルコニウム(0.5mmol/L、トルエン溶液)0.1mL(0.05μmol)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして実施した。GC分析の結果、炭素原子数4〜22のオリゴマーが確認された。1−へキセン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセンのオリゴマー化活性を表1に、分析結果を図3に示す。
(実施例4)
d−MAO投入量を106mgとし、[シクロオクタンジイル−trans-1,2-ビス(3-(N−カルバゾリル)-2-オキソイル-5-メチルベンジルスルファニル)]ジベンジルジルコニウム(0.5 mmol/L、トルエン溶液)0.1mL(0.05μmol)の代わりに製造例5で合成した[シクロオクタンジイル−trans-1,2-ビス(3-(3, 5-ジ-tert-ブチルフェニル)-2-オキソイル-5-メチルベンジルスルファニル)]ジクロロジルコニウム(0.5mmol/L、トルエン溶液)0.1mL(0.05μmol)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして実施した。GC分析の結果、炭素原子数4〜22のオリゴマーが確認された。1−へキセン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセンのオリゴマー化活性を表1に、分析結果を図4に示す。
(比較例1)
d−MAO投入量を124mgとし、[シクロオクタンジイル−trans-1,2-ビス(3-(N−カルバゾリル)-2-オキソイル-5-メチルベンジルスルファニル)]ジベンジルジルコニウム(0.5 mmol/L、トルエン溶液)0.1mL(0.05μmol)の代わりに、シクロオクタンジイル−trans−1,2−ビス(2−オキソイル−3,5−ジ−tert−ブチルベンジルスルファニル)]ジベンジルハフニウム(1.0 mmol/L、トルエン溶液)0.10mL(0.10μmol)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして実施した。エチレン単独重合体が0.3g得られ、重合活性3.0×10 g/mol/h、融点131.0℃、Mw10,800、Mw/Mn2.6であった。
(比較例2)
d−MAO投入量を120mgとし、[シクロオクタンジイル−trans-1,2-ビス(3-(N−カルバゾリル)-2-オキソイル-5-メチルベンジルスルファニル)]ジベンジルジルコニウム(0.5 mmol/L、トルエン溶液)0.1mL(0.05μmol)の代わりに、[シクロヘキサンジイル−trans-1,2-ビス(2-オキソイル-3,5-ジ-tert-ブチルベンジルスルファニル)]ジベンジルハフニウム(0.6μmol/mL、トルエン溶液)0.17mL(0.10μmol)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして実施した。エチレン単独重合体が0.15g得られ、重合活性1.5×106g/mol、Mw=22,800、Mw/Mn=2.7であった。
Figure 2013166735
<プロピレンオリゴマー化反応>
(実施例5)
内容積400 mLの撹拌機付きオートクレーブを真空乾燥してアルゴンで置換後、溶媒としてトルエン40 mL、モノマーとしてプロピレン40gを仕込み、反応器を40℃まで昇温した。昇温後、d−MAO 120 mgを投入し、続いて製造例2で合成した[シクロオクタンジイル−trans-1,2-ビス(3-(N−カルバゾリル)-2-オキソイル-5-メチルベンジルスルファニル)]ジベンジルジルコニウム(0.5 mmol/L、トルエン溶液)1.0 mL(0.5μmol)を投入してオリゴマー化反応を開始した。温度を40℃に保ちながら、60分間重合を行った。GC分析の結果、炭素原子数4〜15のオリゴマーが確認された。分析結果を図5に示す。
(実施例6)
d−MAO投入量を118mgとし、[シクロオクタンジイル−trans-1,2-ビス(3-(N−カルバゾリル)-2-オキソイル-5-メチルベンジルスルファニル)]ジベンジルジルコニウム(0.5 mmol/L、トルエン溶液)1.0 mL(0.5μmol)の代わりに製造例3で合成した[シクロオクタンジイル−trans-1,2-ビス(3-(N−カルバゾリル)-2-オキソイル-5-メチルベンジルスルファニル)]ジベンジルハフニウム(1.0mmol/L、トルエン溶液)0.2mL(0.2μmol)を用いたこと以外は、実施例5と同様にして実施した。GC分析の結果、炭素原子数4〜27のオリゴマーが確認された。分析結果を図6に示す。
(実施例7)
d−MAO投入量を94mgとし、[シクロオクタンジイル−trans-1,2-ビス(3-(N−カルバゾリル)-2-オキソイル-5-メチルベンジルスルファニル)]ジベンジルジルコニウム(0.5 mmol/L、トルエン溶液)1.0mL(0.5μmol)の代わりに製造例8で合成した[シクロオクタンジイル−trans-1,2-ビス(2-オキソイル-3, 5-ジフェニルベンジルスルファニル)]ジベンジルジルコニウム(0.5mmol/L、トルエン溶液)1.0mL(0.5μmol)を用いたこと以外は、実施例5と同様にして実施した。GC分析の結果、炭素原子数4〜27のオリゴマーが確認された。分析結果を図7に示す。
(実施例8)
d−MAO投入量を143mgとし、[シクロオクタンジイル−trans-1,2-ビス(3-(N−カルバゾリル)-2-オキソイル-5-メチルベンジルスルファニル)]ジベンジルジルコニウム(0.5 mmol/L、トルエン溶液)1.0mL(0.5μmol)の代わりに製造例5で合成した[シクロオクタンジイル−trans-1,2-ビス(3-(3, 5-ジ-tert-ブチルフェニル)-2-オキソイル-5-メチルベンジルスルファニル)]ジクロロジルコニウム(0.5mmol/L、トルエン溶液)1.0mL(0.5μmol)を用いたこと以外は、実施例5と同様にして実施した。GC分析の結果、炭素原子数4〜27のオリゴマーが確認された。分析結果を図8に示す。
(実施例9)
d−MAO投入量を111mgとし、[シクロオクタンジイル−trans-1,2-ビス(3-(N−カルバゾリル)-2-オキソイル-5-メチルベンジルスルファニル)]ジベンジルジルコニウム(0.5 mmol/L、トルエン溶液)1.0mL(0.5μmol)の代わりに製造例6で合成した[シクロオクタンジイル−trans-1,2-ビス(3-(3, 5-ジ-tert-ブチルフェニル)-2-オキソイル-5-メチルベンジルスルファニル)]ジクロロハフニウム(1.0mmol/L、トルエン溶液)0.2mL(0.2μmol)を用いたこと以外は、実施例5と同様にして実施した。GC分析の結果、炭素原子数4〜27のオリゴマーが確認された。分析結果を図9に示す。
(比較例3)
d−MAO投入量を118mgとし、[シクロオクタンジイル−trans-1,2-ビス(3-(N−カルバゾリル)-2-オキソイル-5-メチルベンジルスルファニル)]ジベンジルジルコニウム(0.5 mmol/L、トルエン溶液)1.0mL(0.5μmol)の代わりに[シクロオクタンジイル−trans-1,2-ビス(2-オキソイル-3,5-ジ-tert-ブチルベンジルスルファニル)]ジベンジルハフニウム(1.0 mmol/L、トルエン溶液)1.0mL(1.0μmol)を用いたこと以外は、実施例5と同様にして実施した。プロピレン単独重合体が2.0g得られ、重合活性2.0×10 g/mol/h、融点149.3℃、Mw27,000、Mw/Mn2.0であった。
(比較例4)
d−MAO投入量を92.0 mgとし、シクロオクタンジイル−trans-1,2-ビス(3-(N−カルバゾリル)-2-オキソイル-5-メチルベンジルスルファニル)]ジベンジルジルコニウム(0.5 mmol/L、トルエン溶液)1.0mL(0.5μmol)の代わりに、 [シクロヘキサンジイル-trans-1,2-ビス(2-オキソイル-3,5-ジ-tert-ブチルベンジルスルファニル)]ジベンジルジルコニウムを用いたこと以外は実施例5と同様にして実施した。プロピレン単独重合体が2.2g得られ、重合活性4.4×10 g/mol/h、融点66.1℃、Mw7,300、Mw/Mn=1.9であった。
(実施例10)
50 mLのシュレンク管中、製造例8で得た[シクロオクタンジイル-trans-1,2-ビス(2-オキソイル-3,5-ジフェニルベンジルスルファニル)]ジベンジルジルコニウム1.9 mg (0.0020 mmol)をトルエン5 mLに溶かし、この溶液に25℃でd-MAO 29 mg(0.50 mmol)を加え、さらに5分間攪拌した。この溶液に0℃でスチレン3 g(28.8 mmol)を加え、さらに1時間攪拌した。この反応溶液にメタノールを加えて反応を停止し、濃塩酸と塩化メチレンを加えて、塩化メチレン層を水洗し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した後、減圧下溶媒を留去した。70℃で揮発成分を真空ポンプを用いて留去し、ポリスチレン 0.099 g(収率3%)を得た。得られたポリスチレンの立体選択性は13C-NMRよりアイソ選択性([mm])99%以上であり、Tm=218.6℃、Mw=137,000、Mw/Mn=8.6であった。
(実施例11)
50 mLのシュレンク管中、製造例8で得た[シクロオクタンジイル-trans-1,2-ビス(2-オキソイル-3,5-ジフェニルベンジルスルファニル)]ジベンジルジルコニウム1.9 mg (0.0020 mmol)をトルエン5 mLに溶かし、この溶液に25℃でd-MAO 29 mg(0.50 mmol)を加え、さらに5分間攪拌した。この溶液に25℃でスチレン3 g(28.8 mmol)を加え、さらに1時間攪拌した。この反応溶液にメタノールを加えて反応を停止し、濃塩酸と塩化メチレンを加えて、塩化メチレン層を水洗し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した後、減圧下溶媒を留去した。70℃で揮発成分を真空ポンプを用いて留去し、ポリスチレン 0.277 g(収率9%)を得た。得られたポリスチレンの立体選択性は13C-NMRよりアイソ選択性([mm]
)96.8%であり、Tm=207.8℃、Mw=156,000、Mw/Mn=3.8であった。
(実施例12)
50 mLのシュレンク管中、製造例8で得た[シクロオクタンジイル-trans-1,2-ビス(2-オキソイル-3,5-ジフェニルベンジルスルファニル)]ジベンジルジルコニウム1.9 mg (0.0020 mmol)をトルエン5 mLに溶かし、この溶液に25℃でd-MAO 29 mg(0.50 mmol)を加え、さらに5分間攪拌した。この溶液に40℃でスチレン3 g(28.8 mmol)を加え、さらに1時間攪拌した。この反応溶液にメタノールを加えて反応を停止し、濃塩酸と塩化メチレンを加えて、塩化メチレン層を水洗し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した後、減圧下溶媒を留去した。70℃で揮発成分を真空ポンプを用いて留去し、ポリスチレン 0.364 g(収率12%)を得た。得られたポリスチレンの立体選択性は13C-NMRよりアイソ選択性([mm])90.7%であり、Mw=181,000、Mw/Mn=2.9であった。なお、Tmは検出されなかった。
(実施例13)
50 mLのシュレンク管中、製造例8で得た[シクロオクタンジイル-trans-1,2-ビス(2-オキソイル-3,5-ジフェニルベンジルスルファニル)]ジベンジルジルコニウム1.9 mg (0.0020 mmol)をトルエン5 mLに溶かし、この溶液に25℃でd-MAO 29 mg(0.50 mmol)を加え、さらに5分間攪拌した。この溶液に70℃でスチレン3 g(28.8 mmol)を加え、さらに1時間攪拌した。この反応溶液にメタノールを加えて反応を停止し、濃塩酸と塩化メチレンを加えて、塩化メチレン層を水洗し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した後、減圧下溶媒を留去した。70℃で揮発成分を真空ポンプを用いて留去し、ポリスチレン 1.235 g(収率41%)を得た。得られたポリスチレンの立体選択性は13C-NMRよりアイソ選択性([mm])87.5%であり、Mw=95,000、Mw/Mn=2.2であった。なお、Tmは検出されなかった。
(実施例14)
50 mLのシュレンク管中、製造例2で得た[シクロオクタンジイル−trans-1,2-ビス(3-(N−カルバゾリル)-2-オキソイル-5-メチルベンジルスルファニル)]ジベンジルジルコニウム2.0 mg (0.0020 mmol)をトルエン5 mLに溶かし、この溶液に25℃でd-MAO 29 mg(0.50 mmol)を加え、さらに5分間攪拌した。この溶液に0℃でスチレン3 g(28.8 mmol)を加え、さらに30分間攪拌した。この反応溶液にメタノールを加えて反応を停止し、濃塩酸と塩化メチレンを加えて、塩化メチレン層を水洗し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した後、減圧下溶媒を留去した。70℃で揮発成分を真空ポンプを用いて留去し、ポリスチレン 0.085 g(収率3%)を得た。得られたポリスチレンの立体選択性は13C-NMRよりアイソ選択性([mm])99%以上であり、Tm=223.5℃、Mw=223,000、Mw/Mn=20.3であった。
(実施例15)
50 mLのシュレンク管中、製造例2で得た[シクロオクタンジイル−trans-1,2-ビス(3-(N−カルバゾリル)-2-オキソイル-5-メチルベンジルスルファニル)]ジベンジルジルコニウム2.0 mg (0.0020 mmol)をトルエン5 mLに溶かし、この溶液に25℃でd-MAO 29 mg(0.50 mmol)を加え、さらに5分間攪拌した。この溶液に25℃でスチレン3 g(28.8 mmol)を加え、さらに30分間攪拌した。この反応溶液にメタノールを加えて反応を停止し、濃塩酸と塩化メチレンを加えて、塩化メチレン層を水洗し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した後、減圧下溶媒を留去した。70℃で揮発成分を真空ポンプを用いて留去し、ポリスチレン 0.414 g(収率14%)を得た。得られたポリスチレンの立体選択性は13C-NMRよりアイソ選択性([mm])99%以上であり、Tm=230.1℃、Mw=508,000、Mw/Mn=4.2であった。
(実施例16)
50 mLのシュレンク管中、製造例2で得た[シクロオクタンジイル−trans-1,2-ビス(3-(N−カルバゾリル)-2-オキソイル-5-メチルベンジルスルファニル)]ジベンジルジルコニウム2.0 mg (0.0020 mmol)をトルエン5 mLに溶かし、この溶液に25℃でd-MAO 29 mg(0.50 mmol)を加え、さらに5分間攪拌した。この溶液に40℃でスチレン3 g(28.8 mmol)を加え、さらに30分間攪拌した。この反応溶液にメタノールを加えて反応を停止し、濃塩酸と塩化メチレンを加えて、塩化メチレン層を水洗し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した後、減圧下溶媒を留去した。70℃で揮発成分を真空ポンプを用いて留去し、ポリスチレン 1.00 g(収率33%)を得た。得られたポリスチレンの立体選択性は13C-NMRよりアイソ選択性([mm])99%以上であり、Tm=232.3℃、Mw=458,000、Mw/Mn=2.8であった。
(実施例17)
50 mLのシュレンク管中、製造例2で得た[シクロオクタンジイル−trans-1,2-ビス(3-(N−カルバゾリル)-2-オキソイル-5-メチルベンジルスルファニル)]ジベンジルジルコニウム2.0 mg (0.0020 mmol)をトルエン5 mLに溶かし、この溶液に25℃でd-MAO 29 mg(0.50 mmol)を加え、さらに5分間攪拌した。この溶液に70℃でスチレン3 g(28.8 mmol)を加え、さらに30分間攪拌した。この反応溶液にメタノールを加えて反応を停止し、濃塩酸と塩化メチレンを加えて、塩化メチレン層を水洗し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した後、減圧下溶媒を留去した。70℃で揮発成分を真空ポンプを用いて留去し、ポリスチレン 2.81 g(収率94%)を得た。得られたポリスチレンの立体選択性は13C-NMRよりアイソ選択性([mm])97.1%であり、Tm=224.0℃、Mw=179,000、Mw/Mn=2.1であった。
(実施例18)
50 mLのシュレンク管中、[シクロオクタンジイル-trans-1,2-ビス(2-オキソイル-3,5-ジフェニルベンジルスルファニル)]ジベンジルジルコニウム19 mg(0.020 mmol)をトルエン10mLに溶かし、この溶液に25℃でd-MAO 290mg(5.0 mmol)を加え、さらに5分間攪拌した。この溶液にノルボルネン3 g(28.8 mmol)を加え、80℃で5時間攪拌した。この反応溶液にメタノールと濃塩酸を加えて反応を停止し、析出した白色固体をろ過して取りメタノールで洗った。得られた白色固体を真空下で乾燥し、ポリノルボルネン2.0g(収率67%)を得た。
本発明は、脂肪族オレフィンオリゴマー、環状オレフィン重合体、および芳香族ビニル化合物重合体の製造に関する分野に有用である。

Claims (8)

  1. 一般式(1)で表される錯体。
    Figure 2013166735
    (式中、nは2または3であり、
    Mはジルコニウムまたはハフニウムであり、
    およびRは、それぞれ独立して、炭素原子数6〜30のアリール基、または、環を構成ずる炭素原子数3〜20のヘテロ環式化合物残基を表す。
    〜R4およびR〜R12は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1〜20のアルキル基、環を構成する炭素原子数3〜10のシクロアルキル基、炭素原子数2〜20のアルケニル基、炭素原子数2〜20のアルキニル基、炭素原子数7〜30のアラルキル基、炭素原子数6〜30のアリール基、炭素原子数1〜20のアルコキシ基、炭素原子数7〜30のアラルキルオキシ基、炭素原子数6〜30のアリールオキシ基、炭素原子数1〜20の置換シリル基、または、環を構成する炭素原子数3〜20のヘテロ環式化合物残基を表す。
    上記R〜R12の定義に関わらず、RとR、RとR、RとR、RとR、RとR、RとR、RとR10、およびR11とR12は、それぞれ独立に、それぞれ相互に連結して環を形成してもよく、これらの環は置換基を有していてもよい。ただし、RとRが相互に連結して環を形成する場合と、RとRが相互に連結して環を形成する場合とにおいて、当該環は、それぞれ独立して、炭素原子数6〜30のアリール基、または、環を構成する炭素原子数3〜20のヘテロ環式化合物残基である。
    Lは、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1〜20のアルキル基、環を構成する炭素原子数3〜10のシクロアルキル基、炭素原子数2〜20のアルケニル基、炭素原子数7〜30のアラルキル基、炭素原子数6〜30のアリール基、炭素原子数1〜20のアルコキシ基、炭素原子数7〜30のアラルキルオキシ基、炭素原子数6〜30のアリールオキシ基、炭素原子数1〜20の置換シリル基、炭素原子数1〜20の置換アミノ基、
    炭素原子数1〜20の置換チオラート基、または炭素原子数1〜20のカルボキシラート基を表す。
    隣接するL同士は、相互に連結して環を形成してもよい。)
  2. 上記nが3である請求項1に記載の錯体。
  3. 請求項1または2に記載の錯体と活性化用助触媒成分とを接触させてなる重合用またはオリゴマー化用触媒。
  4. 上記活性化用助触媒成分が、ホウ素化合物および/または有機アルミニウム化合物である請求項3に記載の触媒。
  5. 脂肪族オレフィンオリゴマー化用触媒である、請求項3または4に記載の触媒。
  6. 芳香族ビニル化合物重合用触媒または環状オレフィン重合用触媒である、請求項3または4に記載の触媒。
  7. 請求項5に記載の触媒を用い、脂肪族オレフィンをオリゴマー化するオレフィンオリゴマーの製造方法。
  8. 請求項6に記載の触媒を用い、芳香族ビニル化合物および/または環状オレフィンを重合する重合体の製造方法。
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