JP2013166193A - 硬脆性インゴットの切断加工方法 - Google Patents

硬脆性インゴットの切断加工方法 Download PDF

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Abstract

【課題】加工対象のインゴットが導電性であるか絶縁性であるかに拘らず、また、高硬質である炭化珪素単結晶インゴットであっても、更に、たとえ大口径であっても、硬脆性インゴットに対して正確かつ効率的な切断加工を施すことができる硬脆性インゴットの切断加工方法を提供する。
【解決手段】硬脆性インゴット1の切断加工を行なうに際し、導電性固定手段によりワイヤ本体に砥粒を固着した導電性固定砥粒ワイヤ2を用い、放電加工により切断加工を行なう硬脆性インゴット1の切断加工方法であり、また、放電加工において1mm/h.以上の加工速度で切断加工ができない場合には、ワイヤ2への電圧印加を停止してワイヤ2を100m/分以上の速度で走行させ、機械加工による切断加工に切り換えることができる硬脆性インゴット1の切断加工方法である。
【選択図】図1

Description

本発明は、硬脆性材料である炭化珪素単結晶インゴット、シリコン単結晶インゴット、サファイアインゴット、ガーネットインゴット等の硬脆性インゴットに必要とされる外形加工及びウェハ化スライス加工等の切断加工方法であり、インゴットが導電性であるか、非導電性であるかを問わず、硬脆性材料である各種のインゴットの切断加工が可能な硬脆性インゴットの切断加工方法に関する。
半導体材料として広く利用されている単結晶シリコンウェハの製造過程では、シリコン単結晶インゴットを製造した後、ウェハに切り出すスライス工程が必須である。スライス工程には、従来、内周スライサに依るウェハ切断加工がされて来たが、ウェハを一枚ずつスライスするために能率が悪く、また、内周スライサで用いる内周刃ブレードの厚さがインゴットの切り屑として無駄になることから、遊離砥粒をインゴットにかけながらスライスするマルチワイヤーソーで切断する技術が実用化されてきた。しかしながら、マルチワイヤーソーでは切断に要する時間が長く、研磨剤又は砥粒と切り屑の処理が煩雑である等の問題があり、これらの問題を克服するために、放電加工によるスライス技術が提案された(特許文献1参照)。
しかし、この方法では、複数本の切断用ワイヤが必要となるために、各ワイヤに印加された電圧が分散されてしまい、切断能率が低下するという問題がある。この問題を克服するために、切断用ワイヤをガイドローラに券回することにより多数本の切断ワイヤ部分を形成しながら、各ワイヤ部分で高い放電電圧を発生させることができる放電式ワイヤーソーが考案された(特許文献2参照)。
近年、パワーデバイス用基板、或いは、高周波デバイス用基板として注目されている炭化珪素単結晶についても、インゴット製造後に外周加工を行なう工程やスライスしてウェハに切り出す工程については、単結晶シリコンウェハと同様である。しかし、モース硬度が6.5のシリコン単結晶に対して、炭化珪素単結晶のモース硬度は9.5と遥かに高いために、炭化珪素単結晶インゴットを、前述の内周スライサ、又は、機械的加工原理に基づくマルチワイヤーソーで加工するのは、シリコン単結晶インゴットの加工よりも遥かに困難である。そこで、発明者らは、先に炭化珪素単結晶インゴットの外周加工にも適用できる放電加工技術を提案した(特許文献3参照)。
特開平9‐248,719号公報 特開2000‐94,221号公報 特開2007-283,411号公報
ところで、炭化珪素単結晶インゴットの切断加工において、放電加工は、パワーデバイス用基板の用途に用いられるインゴットの場合には、そのキャリア濃度が1×1017cm-3以上であって導電性があるため、極めて有効であるが、高周波デバイス用基板の用途に用いられるインゴットにつては、絶縁性であるために放電加工に必要な十分な電流が流れず、適用できないと言う問題があった。
また、放電加工による切断加工においても、使用する放電加工用ワイヤが放電によって損耗するため、徐々に新線を供給しながら加工するが、切断加工対象の炭化珪素単結晶インゴットの大きさが大きいと、ワイヤの損耗に依ってワイヤの入側より出側の方が細くなり、このために切り代(カーフロス)がワイヤの入側で大きく、また、ワイヤの出側で小さくなって加工寸法精度に問題が生じたり、ワイヤがインゴットを切断し通り抜ける前に損耗して断線することがあり、高々100mm程度までの厚さ、あるいは、直径のインゴットの切断加工ができるに過ぎないと言う問題もあった。
そこで、本発明の目的は、上記の各問題を解決し、切断加工の対象であるインゴットが導電性であるか絶縁性であるかに拘らず、また、高硬質であって高脆性材料である炭化珪素単結晶インゴットであっても、更には、たとえインゴットが大口径であっても、硬脆性インゴットに対して正確かつ効率的な切断加工を施すことができる硬脆性インゴットの切断加工方法を提供することにある。
本発明者等は、上記課題を解決するための手段について鋭意検討した結果、機械的加工原理に基づくワイヤーソー、及び、アーク放電加工原理に基づく放電加工に使われるピアノ線(若しくは、真鍮線)を用いずに、ワイヤ本体に導電性固定剤を用いて砥粒を固着した導電性固定砥粒ワイヤを用い、放電加工により切断加工を行なうことができるようにすることにより、導電性を有するインゴットについては導電性固定砥粒ワイヤに所定の電圧印加を行って放電加工により切断加工を行い、この放電加工による切断加工が困難な場合には電圧印加を停止して所定の条件での機械加工による切断加工に切り替えることができる方式を採用するのが、最良との結論に達して本発明を完成した。
また、加工用ワイヤと炭化珪素単結晶インゴットが接触する位置、及び、加工用ワイヤが炭化珪素単結晶インゴットに当たる角度を変えることに依って、常時、加工用ワイヤと炭化珪素単結晶インゴットとが点接触状態になるような配置を保ち、加工用ワイヤの損耗を抑制して効率的に炭化珪素単結晶インゴットを加工することができることを見出し、本発明を完成させた。
即ち、本発明の要旨は、以下のとおりである。
(1) 硬脆性インゴットの切断加工を行なうに際し、導電性固定手段によりワイヤ本体に砥粒を固着した導電性固定砥粒ワイヤを用い、放電加工により切断加工を行なうことを特徴とする硬脆性インゴットの切断加工方法である。
(2) 前記放電加工において1mm/h.以上の加工速度で切断加工ができない場合には、前記導電性固定砥粒ワイヤへの電圧印加を停止し、前記導電性固定砥粒ワイヤを100m/分以上の速度で走行させ、機械加工による切断加工に切り換えることを特徴とする前記(1)に記載の硬脆性インゴットの切断加工方法である。
(3) 導電性固定砥粒ワイヤは、ワイヤ本体がピアノ線であることを特徴とする前記(1)又は(2)に記載の硬脆性インゴットの切断加工方法である。
(4) 導電性固定砥粒ワイヤは、ワイヤ本体に固着された砥粒がダイヤモンド砥粒であることを特徴とする前記(1)〜(3)のいずれかに記載の硬脆性インゴットの切断加工方法である。
(5) 硬脆性インゴットが炭化珪素単結晶インゴットであることを特徴とする前記(1)〜(4)のいずれかに記載の硬脆性インゴットの切断加工方法である。
(6) 前記切断加工中に、導電性固定砥粒ワイヤと硬脆性インゴットとが前記導電性固定砥粒ワイヤによる切断方向において互いに接触し、又は、相対向する位置及び/又は角度を変化させ、導電性固定砥粒ワイヤと硬脆性インゴットとを点接触状態に制御することを特徴とする前記(1)〜(5)のいずれかに記載の硬脆性インゴットの切断加工方法である。
本発明によれば、硬脆性インゴットのキャリア濃度の多寡、即ち、電気抵抗率の大小に拘らず、ワイヤを交換することなくインゴットに対して放電加工又は機械加工による切断加工を適用することができ、ワイヤの損耗による加工精度の劣化やワイヤ断線トラブルによる加工能率の低下を抑えて、効率的に硬脆性インゴットの切断加工を行うことができ、特に高硬度を有する炭化珪素単結晶インゴットの切断加工について好適に適用することができる。
また、硬脆性インゴットが高硬質の炭化珪素単結晶インゴットである場合、従来の放電加工では、高々100mm程度までの厚さ、あるいは、高々100mmφ程度までの直径のインゴットの切断加工を行なうことができるに過ぎなかったが、本発明によれば、厚さや直径がより大きなインゴットについても、断線を回避して、容易に切断加工を行なうことができる。
図1は、本発明を実施する際における好適な炭化珪素単結晶インゴットとワイヤとの配置関係を示す説明図である。
図2は、本発明を実施する際における好適な別の炭化珪素単結晶インゴットとワイヤとの配置関係を示す説明図である。
本発明の硬脆性インゴットの切断加工方法は、放電加工によりインゴットの切断加工を行なうに際し、ワイヤとしてワイヤ本体に導電性固定剤を用いて砥粒を固着した導電性固定砥粒ワイヤを用いるものであり、これによって、インゴットの切断加工において、ワイヤ交換を必要とすることなく放電加工又は機械加工による切断加工が可能になる。
ここで、放電加工及び機械加工による切断加工が可能な導電性固定砥粒ワイヤを構成するワイヤ本体としては、放電加工に耐え得る導電性と機械加工に耐え得る引っ張り強度を備えるという条件を備えていればよく、具体的にはピアノ線等の鋼線、真鍮線、タングステン線、モリブデン線、等の金属ワイヤを例示することができ、また、導電性固定砥粒ワイヤを構成する砥粒としては、該硬脆性インゴットより砥粒が硬いという条件を備えていればよく、具体的にはダイヤモンド砥粒、CBN、B4C等の砥粒を例示することができ、更に、ワイヤ本体に砥粒を固着するための導電性固定手段としては、放電加工に耐えうる導電性を備えるという条件を備えていればよく、具体的には例えばNi、Ti等の導電性固定剤を用いた電気メッキ、金属ハンダ、導電性樹脂等の方法を例示することができる。ここで、特に高硬度の炭化珪素単結晶インゴットの切断加工に用いる導電性固定砥粒ワイヤとして好ましいのは、ピアノ線の表面にダイヤモンド砥粒を導電性の金属ハンダあるいは電気メッキで固定した導電性ダイヤモンドワイヤである。
本発明においては、導電性固定砥粒ワイヤを用い、硬脆性インゴットの導電性の程度に応じて、ワイヤを交換することなく、同一の装置で放電加工と機械加工とを切り換えて切断加工を行なうが、この放電加工による切断加工を行なうか、機械加工による切断加工を行なうかの判断については、切断加工の対象の硬脆性インゴットの種類に応じて異なり、それぞれの切断加工が可能であれば特に制限されるものではないが、例えば導電性ダイヤモンドワイヤを用いた炭化珪素単結晶インゴットの切断加工の場合、好ましくは以下の基準で判断するのがよい。
すなわち、先ず、炭化珪素単結晶インゴットが例えばパワーデバイス用基板の用途に用いられるインゴットであって、そのキャリア濃度が1×1017cm-3以上で放電加工に適した導電性を備えている場合には、放電加工により切断加工を行なうのがよい。この際のワイヤの走行速度は、放電でワイヤが損耗して細くなるのを補うために必要な新線の繰り出し速度に相当し、通常1m/分以上10m/分以下、好ましくは2m/分以上8m/分以下の速度である。この放電加工時のワイヤ走行速度が1m/分より遅いとワイヤコストが大きくなるという問題が生じる虞があり、反対に、10m/分より速くなると損耗によりワイヤが断線するという問題が生じる虞がある。
そして、放電加工において1mm/h.以上の加工速度で切断加工ができない場合には、導電性固定砥粒ワイヤへの電圧印加を停止し、導電性固定砥粒ワイヤの走行速度を100m/分以上、好ましくは400m/分以上2000m/分以下に設定して機械加工による切断加工に切り換えるのがよい。切断加工における加工速度が1mm/h.未満に低下すると、例えば150mmφのインゴットの加工に150時間以上かかることになり、加工液の劣化という問題が生じる虞があり、また、機械加工時のワイヤの走行速度が100m/分より遅いと、機械加工能率の低下という問題が生じる虞が生じる。
また、本発明においては、切断加工が放電加工時であっても、また、機械加工時であっても、好ましくは、インゴットと導電性固定砥粒ワイヤの位置関係を制御し、これら導電性固定砥粒ワイヤとインゴットとが点接触状態となるように制御するのがよい。ここで、導電性固定砥粒ワイヤとインゴットとが点接触状態であるということは、放電加工時には仮想的にワイヤを平行移動させてインゴットに接触させた際にワイヤがインゴットに点接触することを意味し、また、機械加工時には文字通りワイヤがインゴットに点接触しながら切断加工を行なうことを意味する。このようにワイヤをインゴットに対して点接触状態で切断加工を行なうことにより、ワイヤの損耗は主にその加工点でのみ起こるようになり、ワイヤに対する負荷が小さくなってワイヤの損耗を可及的に低減させることができる。
以下、ワイヤとインゴットとの位置関係を制御する配置例について具体的に記載する。
図1に、半径r(mm)の円筒形状のインゴットを本方法によって切断する時のインゴット1の断面とワイヤ2との間の配置関係を示す。ここで、インゴット1の断面に設定したx−y座標系に対して、ワイヤ2の直線を式で示すと、下記式(1)で表わすことができる。
y=2a×x+a2 ……(1)
ここで、インゴット1の未切断部分とワイヤ2とが接する点のx座標aを−r(mm)から+r(mm)まで動くように、インゴット1とワイヤ2との配置関係を変化させると、ワイヤ2は常に(a,-a2)の点でのみインゴット1に接しており、他の位置でワイヤ2はインゴット1に接しない。換言すれば、y=−x2がワイヤ2の形成する包絡線となる。
また、図2に、別の形態のインゴット1の断面とワイヤ2との配置関係を示す。図2に示したx−y座標系に対して、ワイヤ2の直線を示すと、下記式(2)で表わすことができる。
y=−[√(1-b2)]/b×x+L×√(1-b2)、又は、
x/conθ+y/sinθ=L(θ=0〜90度)……(2)
ここで、パラメータLが下記の式(3)の条件を満たすように固定し、パラメータbを0〜1まで動かす。
L≧r×√2 ……(3)
この時、ワイヤ2の直線は図面上−45度から+45度まで90度の範囲で傾き、ワイヤ2は常に下記の式(4)を満たす点でインゴット1と点接触をする。
2/3+y2/3=L2/3 ……(4)
また、図1あるいは図2の配置関係を満たさない場合でも、ワイヤ2の直線を傾けながらインゴット1を動かし、ワイヤ2の直線がインゴット1に対して包絡線を形成するように制御することにより、これらインゴット1とワイヤ2との間を点接触状態を維持させることができる。
上記の包絡線状態を保ちながら、インゴット1が導電性、即ち、キャリア濃度を少なくとも1×1017cm-3以上有する場合には、ワイヤ2の新線を少しずつ供給しながら、ワイヤ2に所定の電圧を印加してアーク放電による放電加工により、インゴット1を切断する。放電加工時は、ワイヤ2も少しずつ損耗するので、1〜10m/分の速度で新しいワイヤ2を供給する。
また、このインゴット1が絶縁性、即ち、キャリア濃度が1×1017cm-3未満の場合、若しくは、インゴット表面が酸化している等の理由で1mm/h.以上の加工速度で切断できない場合には、ワイヤ2への電圧印加をすることなく、あるいは、停止して、上記の包絡線状態を保ちながら、ワイヤ2を100m/分以上、望ましくは500m/分以上、より望ましくは1000m/分以上の高速度で走行させながら、インゴット1をワイヤ2に押し付け、即ち、図1あるいは図2においてz方向へインゴット1移動させ、それによって機械加工によりインゴット1を切断する。
放電加工時においても、また、機械加工時においても、z方向へのインゴット1の移動速度は、遅いほど切断精度が上がり、速いほど切断効率が上がるが、両者のバランスから、0.02mm/分以上10mm/分以下、好ましくは0.04mm/分以上2mm/分以下の範囲がよい。また、押付け圧力については特に規定しないが、インゴット1の移動速度が好ましい範囲になるような条件で、ワイヤ2にテンションを掛けると、ワイヤ2がインゴット1に押し付けられるので、ワイヤ2を引っ張るテンションを規定すると、このテンションは、大きいほど切断精度が上がるが、大きすぎると断線を生じる虞があり、そこで、テンションの範囲としては通常100〜4000MPaの範囲に設定するのがよい。
以下、実施例及び比較例に基づき、本発明をより詳細に説明する。なお、本発明は以下の実施例及び比較例に制限されるものではない。
〔実施例1〕
窒素濃度が5.8×1018cm-3以上で、キャリア濃度が1×1018cm-3以上あり、比抵抗が0.017Ωcm以下である直径150mmφの炭化珪素単結晶インゴットについて、本発明の方法によって切断する場合の一例を以下に説明する。
導電性後位砥粒ワイヤとして、直径0.16mmφのピアノ線に粒径30〜40μmのダイヤモンド砥粒をNi電着メッキで固着して得られた導電性ダイヤモンドワイヤを用いた。この導電性ダイヤモンドワイヤを図1の配置において、aが−75mmから+75mmまで動くように、これらインゴットとワイヤとの配置関係を変化させた。具体的には、ワイヤの傾きを−89.7°〜89.7°まで傾け、式(1)を満たすようにインゴットを紙面内移動させてaを−95mm〜+95mmまで変化させた。
(1)式を満たすように、ワイヤの傾きを毎秒15°の速度で傾け、シーソー運動をさせながら、新線を2m/分の速度で供給した。インゴットとワイヤとは点接触状態が維持され、アーク放電により炭化珪素が除去された。そこで、インゴットをz方向に0.5mm/分の速度で移動させた。その結果、直径150mmφの炭化珪素単結晶インゴットを5時間で切断することができた。
〔実施例2〕
実施例1の場合と同じ導電性ダイヤモンドワイヤを用い、窒素濃度が5×1015cm-3以下であってキャリア濃度が1×1015cm-3以下であり、比抵抗が10Ωcm以上である直径150mmφの別の炭化珪素単結晶インゴットについて、実施例1と同じ方法で切断加工を試みた。このインゴットについては、放電加工を試みたが放電加工では切断できなかった。
そこで、図1の配置で、ワイヤを上記実施例1の場合と同じ条件で傾けながら、1000m/分以上の速度で走行させた。新線を5m/分の速度で供給しながら、インゴットをz方向に0.3mm/分の速度で移動させた。その結果、直径150mmφの炭化珪素単結晶インゴットを8時間20分で切断することができた。
〔実施例3〕
導電性後位砥粒ワイヤとして実施例1の場合と同じ導電性ダイヤモンドワイヤを用い、窒素濃度が6.2×1018cm-3以上で、キャリア濃度が1×1018cm-3以上あり、比抵抗が0.016Ωcm以下である直径200mmφの炭化珪素単結晶インゴットについて、放電加工による切断加工を試みた。
この導電性ダイヤモンドワイヤを図2の配置において、パラメータLを145mmに設定し、また、ワイヤの傾きを−45°〜+45°まで毎秒10°の速度で傾け、新線を2m/分の速度で供給した。インゴットとワイヤとは点接触状態が維持され、アーク放電により炭化珪素が除去された。そこで、インゴットをz方向に1.0mm/分の速度で移動させた。その結果、直径200mmφの炭化珪素単結晶インゴットを3時間20分で切断することができた。
なお、この実施例2で切断加工された200mmφの大きさのインゴットについては、たとえ十分な導電性を有していても、その直径が大き過ぎるため、従来の放電加工技術ではワイヤが断線し、放電加工による切断加工ができなかったものである。
〔実施例4〕
実施例2の場合と同じ導電性ダイヤモンドワイヤを用い、窒素濃度が5×1015cm-3以下であってキャリア濃度が1×1015cm-3以下であり、比抵抗が10Ωcm以上である直径200mmφの別の炭化珪素単結晶インゴットについて、実施例2と同じ方法で切断加工を試みた。このインゴットについては、放電加工を試みたが放電加工では切断できなかった。
そこで、図2の配置で、ワイヤを上記実施例2の場合と同じ条件で傾けながら、1000m/分以上の速度で走行させた。新線を5m/分の速度で供給しながら、インゴットをz方向に0.6mm/分の速度で移動させた。その結果、直径200mmφの炭化珪素単結晶インゴットを5時間34分で切断することができた。
〔比較例1〕
実施例1と同様の炭化珪素単結晶インゴットについて直径0.16mmのピアノ線を用いた以外は、上記実施例1と同様にして放電加工による切断加工を試みた。
結果は、切断加工の開始後、1mmの深さまで切断が進む前の段階でピアノ線が断線した。その後、断線したピアノ線を除去して新線を繰り出して復旧し、断線前のインゴットとワイヤの配置関係を保って切断加工を続けたが、繰り返し断線し、インゴットの切断を断念した。
1…インゴット(硬脆性インゴット)、2…ワイヤ(導電性固定砥粒ワイヤ)。

Claims (6)

  1. 硬脆性インゴットの切断加工を行なうに際し、導電性固定手段によりワイヤ本体に砥粒を固着した導電性固定砥粒ワイヤを用い、放電加工により切断加工を行なうことを特徴とする硬脆性インゴットの切断加工方法。
  2. 前記放電加工において1mm/h.以上の加工速度で切断加工ができない場合には、前記導電性固定砥粒ワイヤへの電圧印加を停止し、前記導電性固定砥粒ワイヤを100m/分以上の速度で走行させ、機械加工による切断加工に切り換えることを特徴とする請求項1に記載の硬脆性インゴットの切断加工方法。
  3. 導電性固定砥粒ワイヤは、ワイヤ本体がピアノ線であることを特徴とする請求項1又は2に記載の硬脆性インゴットの切断加工方法。
  4. 導電性固定砥粒ワイヤは、ワイヤ本体に固着された砥粒がダイヤモンド砥粒であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の硬脆性インゴットの切断加工方法。
  5. 硬脆性インゴットが炭化珪素単結晶インゴットであることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の硬脆性インゴットの切断加工方法。
  6. 前記切断加工中に、導電性固定砥粒ワイヤと硬脆性インゴットとが前記導電性固定砥粒ワイヤによる切断方向において互いに接触し、又は、相対向する位置及び/又は角度を変化させ、導電性固定砥粒ワイヤと硬脆性インゴットとを点接触状態に制御することを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の硬脆性インゴットの切断加工方法。
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