JP2013043268A - 固定砥粒ワイヤおよび半導体基板の製造方法 - Google Patents

固定砥粒ワイヤおよび半導体基板の製造方法 Download PDF

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浩 熊田
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Abstract

【課題】固定砥粒ワイヤの張力を下げても、軌跡不良を低減して半導体基板をスライスすることが可能な固定砥粒ワイヤを提供する。
【解決手段】ワイヤ芯線表面に砥粒を固定した固定砥粒ワイヤであって、ワイヤ芯線径は80μm以下で、ワイヤ芯線の単位表面積当たりの砥粒の個数は400個/mm以上である固定砥粒ワイヤ。
【選択図】図1

Description

本発明は、固定砥粒ワイヤ、および半導体基板の製造方法、特に、半導体インゴットをスライスして半導体基板にする製造に関する。
半導体インゴットを半導体基板にスライスする方法の一つにマルチワイヤソーを用いた方法がある。マルチワイヤソーを用いたスライスには、遊離砥粒方式と固定砥粒方式があり、遊離砥粒方式は、砥粒とクーラントの混合物であるスラリーを、走行中の鋼線等から成るワイヤに吹き付けながら、半導体インゴットをワイヤに押し当てスライスする方式であり、固定砥粒方式は、鋼線等から成るワイヤ芯線の外周面に砥粒を固定させたワイヤ(以下「固定砥粒ワイヤ」という。)を用いて、クーラントを走行中の固定砥粒ワイヤに吹き付けながら、半導体インゴットを固定砥粒ワイヤに押し当てスライスする方式である。
固定砥粒方式は、ワイヤ走行に対し砥粒が追従することから、ワイヤ走行速度を高速にして半導体インゴットをスライスすることが可能なためスライス時間の短縮が可能となる。そこで、固定砥粒方式を用いた量産化技術の開発が行われている。
上記固定砥粒ワイヤにおいて、ワイヤ芯線の外周面に砥粒を固定させる方法としては、電着や樹脂等の接着によるものがある。このうち、電着による方法は、円盤状薄板である金属ブレードの内周面または外周面に砥粒を電着にて固定させる方法と同様であることから、ワイヤ芯線に固定させる砥粒の管理も、金属ブレードに砥粒を固定させる場合と同様の管理である集中度で行っている。集中度とは、砥粒を固定させる層である砥粒層部において砥粒が含まれている割合である砥粒率を示すものであり、特に砥粒がダイヤモンドである場合、砥粒率が容積パーセントで25%または4.4ct/cmを集中度100と定義している。ここで、1ct=200mgである。したがって、重量によって砥粒の管理がなされている。
図7は、特許文献1に開示されているスライス中の固定砥粒ワイヤとインゴットを示したものである。図7に示すように、走行中の固定砥粒ワイヤ112に、インゴット130を押し当てスライスする。また、スライス中は、固定砥粒ワイヤ112は撓みを有する。118はローラである。
特開2000−288902号公報(2000年10月17日公開)
一方、固定砥粒ワイヤを用いて半導体インゴットをスライスして半導体基板にする際、半導体インゴットを無駄なく使用するため、スライスする際の切りしろを少なくする検討も行われている。
図8は、半導体インゴットを半導体基板にスライスする前の半導体インゴットと固定砥粒ワイヤとの位置関係を示す模式図であり、半導体インゴット201を側面側より見た図である。204はステージ部であり、205は固定砥粒ワイヤである。
図9は、半導体インゴットを半導体基板にスライスする様子を示す模式図である。図9(a)は、スライスする様子を半導体インゴットの側面側より見た模式図であり、図9(b)は、図9(a)において半導体インゴットに固定砥粒ワイヤが入り込む箇所を拡大した図である。図9では、ワイヤ芯線202に砥粒203を固定させた固定砥粒ワイヤ205が、図面に対し鉛直方向に走っている。ステージ部204に取り付けた半導体インゴット201を走行中の固定砥粒ワイヤに押し当てることで半導体基板が作製されていく。図9に示すAは半導体基板の厚み、Bは切りしろ、Cはピッチである。図9からもわかるように、固定砥粒ワイヤを用いたスライス方法で、切りしろを少なくするには、固定砥粒ワイヤのワイヤ芯線径を小さくすることが必要である。
一般的に、ワイヤ芯線径と破断強度の関係は、ワイヤ芯線径を小さくすると、破断強度が小さくなることが知られており、その比率はワイヤ芯線の断面積比で決まる。したがって、破断しないように使用するには、ワイヤ芯線の張力、すなわち固定砥粒ワイヤの張力を下げる必要がある。
しかしながら、固定砥粒ワイヤの張力を下げると、半導体基板のスライス切断面が波打つ現象が確認された。このスライス切断面が波打つことによりスライス切断面精度が劣化する現象を軌跡不良という。軌跡不良が大きくなると、半導体基板が斜めにスライスされ、最悪の場合は、固定砥粒ワイヤ同士が接触することで半導体基板の脱落が生じてしまう。
本発明は、上記の問題に鑑みてなされたものであり、その目的は、固定砥粒ワイヤの張力を下げても、軌跡不良を低減して半導体基板をスライスすることが可能な固定砥粒ワイヤを提供することにある。
本発明の固定砥粒ワイヤは、ワイヤ芯線表面に砥粒を固定した固定砥粒ワイヤであって、ワイヤ芯線径は80μm以下で、ワイヤ芯線の単位表面積当たりの砥粒の個数は400個/mm以上である。
ここで、本発明の固定砥粒ワイヤは、砥粒は、電着加工によりワイヤ芯線に固定されていてもよい。
また、本発明の固定砥粒ワイヤは、砥粒は、ダイヤモンドであってもよい。
また、本発明の固定砥粒ワイヤは、ワイヤ芯線は、炭素鋼であってもよい。
本発明の半導体基板の製造方法は、複数のローラ間に巻回した固定砥粒ワイヤを用いて、半導体インゴットを半導体基板にスライス加工する半導体基板の製造方法であって、固定砥粒ワイヤのワイヤ芯線径は80μm以下で、ワイヤ芯線の単位表面積当たりの砥粒の個数は400個/mm以上である。
ここで、本発明の半導体基板の製造方法は、砥粒の平均粒径は、8μm以上16μm以下であることが好ましい。
また、本発明の半導体基板の製造方法は、スライス加工時の切りしろは、120μm以下であることが好ましい。
また、本発明の半導体基板の製造方法は、スライス加工時のピッチは、300μm以下であることが好ましい。
また、本発明の半導体基板の製造方法は、半導体インゴットは、シリコンインゴットであってもよい。
本発明によれば、固定砥粒ワイヤのワイヤ芯線に固定させる砥粒の個数を増やすことで、固定砥粒ワイヤの張力を下げても軌跡不良を低減することができるので、固定砥粒ワイヤのワイヤ芯線径を小さくしてスライスする際の切りしろを少なくすることが可能な固定砥粒ワイヤを提供することができる。
本発明のマルチワイヤソーでシリコンインゴットをスライスする様子を示す模式図である。 マルチワイヤソーの一例を示す模式図である。 ワイヤ芯線径100μmの場合の砥粒密度とワイヤの張力のスライス結果を示した図である。 ワイヤ芯線径80μmの場合の砥粒密度とワイヤの張力のスライス結果を示した図である。 ワイヤ芯線径70μmの場合の砥粒密度とワイヤの張力のスライス結果を示した図である。 固定砥粒ワイヤの一例をSEM(Scanning Electron Microscope)観察した図である。 従来技術のマルチワイヤソーでインゴットをスライスする様子を示す模式図である。 半導体インゴットを半導体基板にスライスする前の半導体インゴットと固定砥粒ワイヤとの位置関係を示す模式図である。 半導体インゴットを半導体基板にスライスする様子を示す模式図である。
図1は、半導体インゴットであるシリコンインゴットをマルチワイヤソー11でスライスして、半導体基板であるシリコン基板にする様子を示す模式図である。固定砥粒ワイヤ2はローラ1間に巻回している。3はシリコンインゴット、4はクーラントノズル、5はステージ部である。
図示は省略しているが、シリコンインゴット3をガラスまたはプラスチック等の捨て板にエポキシ接着剤等で接着し、捨て板をビス止め等によりホルダに固定して、ホルダをマルチワイヤソーのステージ部5に装着する。
そして、クーラントノズル4からクーラントを噴射してローラ1間を往復走行している固定砥粒ワイヤ2にクーラントを吹き付けながら、ステージ部5を降下させることで、シリコンインゴット3を固定砥粒ワイヤ2に押し当てスライスしてシリコン基板を作製する。
図2は、マルチワイヤソーの一例を示す模式図である。1はローラ、301はダンサローラ、302は回収側ボビン、303は供給側ボビン、304はトラバーサである。スライス時のワイヤの張力は、ダンサローラ301によって調整する。
固定砥粒ワイヤを用いてシリコンインゴットをスライスするにあたり、ワイヤ芯線、砥粒、砥粒固定方法、それぞれを以下の理由で選定した。
ワイヤ芯線は、炭素鋼、SUS等がある。炭素鋼は、許容応力が高く金属疲労に強いという特徴があり、また、入手しやすいので、他の材料よりも好ましい。そして、炭素濃度を0.8%〜1.0%にすると、高炭素鋼となる。この高炭素鋼を熱処理することで、バネ材料として使用される非常に硬い材料となり、破断強度を向上させることができるので、ワイヤ芯線として、さらに好ましい。通常は、炭素鋼からねるワイヤ芯線に真鍮メッキされた芯線を使用している。
また、砥粒は、ダイヤモンド、SiC、c−BN、アルミナ等がある。ダイヤモンドは、実験で確かめられている天然の物質の中では、最も高硬度であり、耐磨耗性に優れているために、SiC、単結晶サファイヤ等の高硬度材料の切断に使用されている。ダイヤモンド砥粒を使用することで、砥粒の磨耗が少なくワイヤ使用量を抑えることができるので、他の砥粒よりも好ましい。そして、単結晶のダイヤモンドを用いると、砥粒径を揃えやすくワイヤ芯線に対して砥粒を強固に固定することができるので、さらに好ましい。
さらに、ワイヤ芯線に砥粒を固定する方法としては、電着、レジンボンド、ろう付け等がある。電着は、砥粒を固定する膜厚であるメッキ量を小さくすることができ、砥粒を他の方法よりも強固に固定することができるので、他の方法よりも好ましい。本願では、メッキ量を2μmとした。また、電着におけるメッキ種をニッケルにすることで、メッキの下地層である真鍮メッキとの密着力を強固にすることができ、メッキ厚さを薄くすることができるため、他の砥粒固定方法と比較して砥粒の突き出し量を大きくできるので、さらに好ましい。
上記に示したように、ワイヤ芯線を炭素鋼、砥粒を単結晶ダイヤモンドとし、メッキ種をニッケルとした固定砥粒ワイヤを用い、砥粒密度を変えてスライス結果を見た。なお、固定砥粒ワイヤの砥粒密度は、Niメッキ浴への砥粒の混合比を調整することで、変化させた。
まず、ワイヤ芯線径100μmの固定砥粒ワイヤを用いて、156mm角で長さ400mmの角型のシリコンインゴットを、シリコン基板の厚み130μmにスライスし、ワイヤの張力と砥粒密度を変化させた検討を行い、スライス結果を見た。ここで、砥粒密度を変えることは、上記に示した集中度を変えることになる。
なお、集中度は、容積、または重量で管理されているため、砥粒サイズが異なると、同じ集中度であっても、ワイヤ芯線の単位表面積あたりの個数である砥粒密度は異なる。すなわち、同じ集中度であれば、小さな砥粒径の砥粒密度に対し大きな砥粒径の砥粒密度は低くなる。
・固定砥粒ワイヤ:ワイヤ芯線径100μm(破断強度29N)
・ワイヤの張力:10N〜18N
・インゴット送り速度:0.5mm/min
・砥粒径:1200メッシュ
・砥粒密度:300個/mm〜500個/mm
砥粒径のメッシュは、砥粒の粒の大きさを表し、1200メッシュとは、平均粒径が8μm〜16μmである。
図3に結果を示す。図3は、ワイヤ芯線径100μmの場合の砥粒密度とワイヤの張力のスライス結果を示した図である。図3に示す記号は下記のとおりである。
●:スライス可:軌跡不良が発生しなかった
×:スライス不可:軌跡不良が発生した
この検討から、100μmのワイヤでは、ワイヤ張力を下げても、砥粒密度を上げれば軌跡不良は発生しないことが確認できた。
次に、ワイヤ芯線径80μm、70μmのワイヤについて検討を行った。
下記に、スライス条件を示す。
・新線供給量:5m/min〜30m/min
・サイクル数:0.5cycle/min〜4cycle/min
・ワイヤ走行速度:500m/min〜1200m/min
サイクル数が1cycle/minとは、往路30sec/復路30secで往復走行させることを意味する。
ワイヤ芯線径80μm、70μmについて、砥粒密度とワイヤの張力を変化させた場合のスライス結果を確認した。156mm角で長さ400mmの角型のシリコンインゴットを、シリコン基板の厚み130μmにスライスした。なお、ワイヤ芯線径80μmについては、炭素含有量が0.8%〜1.0%以上のワイヤ、ワイヤ芯線径70μmについても、炭素含有量が0.8%〜1.0%以上の高張力ワイヤを用いた。条件を下記に示す。砥粒径のメッシュは、単結晶ダイヤモンドの粒の大きさを表し、1200メッシュとは、平均粒径が8μm〜16μmである。なお、1200メッシュの場合、集中度100は、400個/mmに該当する。
・固定砥粒ワイヤ:ワイヤ芯線径80μm(破断強度19N)
・ワイヤの張力:10N〜14N
・インゴット送り速度:0.5mm/min
・砥粒径:1200メッシュ
・砥粒密度:300個/mm〜500個/mm
図4に結果を示す。図4は、ワイヤ芯線径80μmの場合の砥粒密度とワイヤの張力のスライス結果を示した図である。
・固定砥粒ワイヤ:ワイヤ芯線径70μm(破断強度19N)
・ワイヤの張力:10N〜14N
・インゴット送り速度:0.5mm/min
・砥粒径:1200メッシュ
・砥粒密度:300個/mm〜500個/mm
図5に結果を示す。図5は、ワイヤ芯線径70μmの場合の砥粒密度とワイヤの張力のスライス結果を示した図である。図4、図5に示す記号は、図3と同様に下記のとおりである。
●:スライス可:軌跡不良が発生しなかった
×:スライス不可:軌跡不良が発生した
図4、図5共に、ワイヤの破断強度が19Nであったため、ワイヤの張力としては14Nまでしか検討していない。同様に装置の張力制御の関係上、ワイヤの張力は10N未満についても検討していない。
ワイヤ芯線径80μm、70μmについて、同様の結果が得られ、砥粒密度が400個/mm以上であれば、10Nまでのワイヤの張力において軌跡不良が発生しないことを確認することができた。以上の結果から、軌跡不良については、砥粒密度とワイヤの張力に依存し、検討したワイヤ芯線径には依存しないことを確認することができた。ワイヤ芯線径70μm未満のワイヤについては、破断強度を向上させた、いわゆる高張力ワイヤを入手することができず、検討していないが、少なくとも10N以上のワイヤの張力でスライスすれば、軌跡不良は発生しないと考えられる。
次に、1000メッシュの場合のスライス結果を確認した。なお、1000メッシュとは、平均粒径が10μm〜20μmである。上記と同じ、156mm角で長さ400mmの角型のシリコンインゴットを、シリコン基板の厚み130μmにスライスした。なお、ワイヤ芯線径は70μmであり、炭素含有量の高い高張力ワイヤを用いた。条件を下記に示す。
・実施例1:
・固定砥粒ワイヤ:ワイヤ芯線径70μm(破断強度19N)
・ワイヤの張力:14N
・インゴット送り速度:0.5mm/min
・砥粒径:1000メッシュ
・砥粒密度:400個/mm
・比較例1:
・固定砥粒ワイヤ:ワイヤ芯線径70μm(破断強度19N)
・ワイヤの張力:14N
・インゴット送り速度:0.5mm/min
・砥粒径:1000メッシュ
・砥粒密度:300個/mm
表1に結果を示す。表1に示すスライス結果の欄の記号は下記のとおりである。
○:軌跡不良が発生しなかった
×:軌跡不良が発生した
表1の結果から、1000メッシュで、ワイヤの張力が14Nの場合、砥粒密度が400個/mm以上あれば、軌跡不良を生じることなく、スライスできることを確認した。
今回上記のように、1200メッシュと1000メッシュについて検討した。これは、ワイヤ芯線径に対し、大きな砥粒をワイヤ芯線に電着するのは困難であり、また、スライスされたシリコン基板の表面粗さ、スクラッチ傷等の影響を小さくするためには、上記に示した砥粒の大きさが好ましい。更に、小さな砥粒でも良いが、スライスにより発生したシリコン粉等が砥粒間に挟まり目詰まりを発生させる可能性がある。この目詰まりの発生確率は低いが、目詰まりを起すと、スライス能力及びスライス精度が低下することが考えられる。
図6は、固定砥粒ワイヤの表面SEM写真である。図6(a)は、スライス切断面が良好にスライスされた場合の固定砥粒ワイヤの表面SEM写真であり、図6(b)は、軌跡不良が発生した場合の固定砥粒ワイヤの表面SEM写真である。図6(b)に示すように、ワイヤ芯線表面に固定している砥粒が少なすぎると、軌跡不良が発生するため、軌跡不良を発生させない砥粒密度が必要となる。
電着により砥粒をワイヤ芯線表面に固定させる場合、砥粒密度を高くするには、電着工程で、ニッケルめっき液中の単結晶ダイヤモンド数を増やす必要がある。ニッケルめっき液中の単結晶ダイヤモンド数が増えると、ニッケルめっき液中の単結晶ダイヤモンド同士が凝集しワイヤ芯線表面に固定されるので、見掛け上の平均粒径が大きくなったり、また、凝集した単結晶ダイヤモンドによって砥粒分布が生じたりして、軌跡不良の要因となる。このため、ニッケルめっき液中の単結晶ダイヤモンドの分散状態を厳しく管理することが必要である。なお、砥粒径は小さくなるほど凝集しやすくなるので、砥粒径が小さい場合は、さらに分散させるよう注意が必要である。
今回のスライスの検討では、砥粒密度として500個/mmまでしか検討していないが、図6(a)の表面SEM写真からわかるように、砥粒密度を更に高くしても砥粒である単結晶ダイヤモンド周囲には十分なスペースがある。したがって、スライスによって発生したシリコン粉等が砥粒間に挟まることで目詰まりが発生し、スライス能力を低下させることはないが、ワイヤ芯線表面をすべて砥粒で埋め尽くすほど極端に砥粒密度を高くしたとすると、シリコン粉等が砥粒間に挟まり、スライス能力及びスライス精度が低下することは考えられる。
以上は、シリコン基板を厚み130μmにスライスした場合について述べたが、スライス後のシリコン基板の厚みが100μmの場合も同様の結果が得られた。
ワイヤ芯線径が80μm、ダイヤモンドの砥粒の大きさが1200メッシュにおいて、切りしろについて考えてみると、ワイヤ芯線径とダイヤモンド砥粒の大きさのみを考えた最大の切りしろ、すなわち、ワイヤ芯線の両側に16μmのダイヤモンド砥粒が固定した場合は、80μm+16μm+16μmとなると考えられる。しかしながら、切りしろの実測値としては100μm程度であり、1200メッシュの場合、平均砥粒サイズは10μm以下と考えられる。
以上のように、固定砥粒ワイヤの張力を低くしても、固定砥粒ワイヤのワイヤ芯線表面に固定させる砥粒密度を高くすることによって、軌跡不良を低減することができる。そのため、スライスの際の切りしろを少なくすることが可能である。
また、砥粒密度を高くすることにより、砥粒1個当りのシリコン切削量が小さく、加工中のスクラッチや加工変質層の低減が認められた。さらに、砥粒密度を高くすることにより、砥粒1個当りの磨耗量も少なくすることができるため、固定砥粒ワイヤの使用量の低減も可能となった。
なお、今回、断面が角型のシリコンインゴットについて記載したが、断面が丸型のシリコンインゴットでも同様の結果が得られた。
1 ローラ、2 固定砥粒ワイヤ、3 シリコンインゴット、4 クーラントノズル、5 ステージ部、11 マルチワイヤソー、301 ダンサローラ、302 回収側ボビン、303 供給側ボビン、304 トラバーサ。

Claims (9)

  1. ワイヤ芯線表面に砥粒を固定した固定砥粒ワイヤであって、
    前記ワイヤ芯線径は80μm以下で、前記ワイヤ芯線の単位表面積当たりの前記砥粒の個数は400個/mm以上である固定砥粒ワイヤ。
  2. 前記砥粒は、電着加工により前記ワイヤ芯線に固定されている請求項1に記載の固定砥粒ワイヤ。
  3. 前記砥粒は、ダイヤモンドである請求項1または2に記載の固定砥粒ワイヤ。
  4. 前記ワイヤ芯線は、炭素鋼である請求項1〜3のいずれかに記載の固定砥粒ワイヤ。
  5. 複数のローラ間に巻回した固定砥粒ワイヤを用いて、半導体インゴットを半導体基板にスライス加工する半導体基板の製造方法であって、
    前記固定砥粒ワイヤのワイヤ芯線径は80μm以下で、前記ワイヤ芯線の単位表面積当たりの砥粒の個数は400個/mm以上である半導体基板の製造方法。
  6. 前記砥粒の平均粒径は、8μm以上16μm以下である請求項5に記載の半導体基板の製造方法。
  7. 前記スライス加工時の切りしろは、120μm以下である請求項5または6に記載の半導体基板の製造方法。
  8. 前記スライス加工時のピッチは、300μm以下である請求項7に記載の半導体基板の製造方法。
  9. 前記半導体インゴットは、シリコンインゴットである請求項5〜8のいずれかに記載の半導体基板の製造方法。

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