JP5127209B2 - 半導体基板の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、半導体基板の製造方法に関する。
太陽電池は入射した光エネルギーを電気エネルギーに変換するものであり、クリーンな石油代替エネルギー源として小規模な家庭用から大規模な発電システムまでその実用化が期待されている。これらは使用材料の種類によって結晶系、アモルファス系、化合物系などに分類され、なかでも現在市場に流通しているものの多くは結晶系シリコン太陽電池である。この結晶系シリコン太陽電池は更に単結晶型と多結晶型に分類される。単結晶シリコン太陽電池は基板の品質がよいために変換効率の高効率化が容易であるという長所を有する反面、基板の製造コストが高いという短所を有する。これに対して多結晶シリコン太陽電池は基板の品質が単結晶シリコン基板に比べて劣るという短所はあるものの、低コストで製造できるという長所がある。このため多結晶シリコン太陽電池は従来から市場に流通してきたが、近年、環境問題への関心が高まる中でその需要は増加しており、より低コストで高い変換効率が求められている。
単結晶シリコン、多結晶シリコン等で太陽電池用半導体基板を形成する場合、例えば、CZ法等によって単結晶シリコンのインゴットを、キャスト法等によって多結晶シリコンのインゴットを形成する。そして、このインゴットをバンドソー装置等を用いて所定の寸法に切断してシリコンブロックを形成し、このシリコンブロックを外周刃や内周刃、ワイヤーソー装置等を用いて所定の厚みとなるように複数枚に切断してシリコン基板を形成していた。また、必要に応じて研磨装置を用いてシリコン基板を研磨する等、このようにシリコンインゴットから素子化するまでの間に多くの加工工程を経ている。
図1にシリコンブロックからシリコン基板を形成する際に用いられるワイヤーソー装置を示す。111はシリコンブロック、112はスライスベース、113はワイヤー、114は供給ノズル、115はメインローラー、116はディップ槽、117はワイヤー供給リールである。図1に示すように、スライスベース112と接着したシリコンブロック111を設置して、ピアノ線等からなる数百kmあるワイヤー113をワイヤー供給リール117からメインローラー115上に設け、このメインローラー115上に一定間隔でワイヤー113がはまる多数の溝に引っ掛けて互いに平行に配置させる。直径約100〜300μmのピアノ線などからなる一本のワイヤー113をワイヤー供給リール117からメインローラー115上に設けられた多数の溝に一定間隔でワイヤー113を巻きつけて互いに平行に配置する。その後、ワイヤー113の長手方向にワイヤー113を走行させる。
そして、シリコンブロック111を切断する際には、シリコンブロック111の上方に設置されたスラリー供給ノズル114から砥粒スラリーと呼ばれるオイルまたは水に炭化珪素、アルミナ、ダイヤモンドなどの砥粒が混合された切削液を供給するとともに、2本のメインローラー115間に複数本張られたワイヤー113を高速で移動走行させながら、一本又は複数のシリコンブロック111をワイヤー113に向けて徐々に下降させてシリコンブロック111に押圧することによってシリコンブロック111を切断し、シリコン基板を作製していた。
例えば、特許文献1に記載のワイヤーソーの切断方法には、上述したスラリー供給ノズルから砥粒スラリーを供給してワイヤーでインゴットを切断する際に、ワイヤー走行方向を往復走行させることが記載されている。また、このとき、ワイヤーリールに巻き取るワイヤーの量(新線供給量)の最適値を制御することが開示されている。
特開2000−141201号 公報
しかしながら、従来のワイヤーを用いて半導体ブロックを切断した場合、以下のような問題点が生じていた。
例えば、大型化したシリコンブロックを切断したり、生産性を向上させるために複数本のシリコンブロックを同時に切断した場合や、ワイヤーの全長を短くした場合などでは、例え、ワイヤーの新線供給量を制御したとしても、シリコンブロックの切断途中においてワイヤー寿命となり、ワイヤーの断線が生じ易かった。
このように、新線供給量を制御してもワイヤーの断線を完全に解決するには至っていなかった。
本発明は、このような従来の問題点に鑑みてなされたものであり、生産性を向上させ、さらに切断面の面精度がよい半導体基板の製造方法及び半導体基板の製造装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、発明者は鋭意検討を行なった結果、以下の事実を知見した。
本発明に係る半導体基板の製造方法は、半導体ブロックを切断するワイヤーと、前記半導体ブロックとを準備する第1工程と、このワイヤーを該ワイヤーの長手方向に沿って走行させる第2工程と、前記半導体ブロックを前記ワイヤーに相対的に押圧し、該押圧力で前記半導体ブロックを切断して半導体基板を得る第3工程と、を備えた半導体基板の製造方法であって、前記半導体ブロック1個あたりから得られる前記半導体基板の1枚当たりの平均面積をS、前記1個の半導体ブロックから得られる前記半導体基板の枚数をN1、前記ワイヤー上に配設される前記半導体ブロックの本数をN2、前記ワイヤー全長をL、としたときに、S×2×(N1−1)×N2/Lで定義されるワイヤーの単位長さ当りの切断面積が150cm/m以上450cm/m以下とし、前記ワイヤーは、砥粒が固着され、前記ワイヤーは往復運動するとともに、前記ワイヤーの1往復あたりの前記ワイヤーの一方向での移動量よりも他方向の移動量を小さく設定することにより、前記ワイヤーを前記一方向に向かって漸次移動させ、前記往復運動によって、前記ワイヤーが一方向へ漸次移動する速度は、4m/min〜20m/minに設定され、前記ワイヤーを前記半導体ブロックに押圧する際のフィード速度を300μm/min以上650μm/min以下に設定した
なお、半導体基板の枚数N1は、半導体ブロックの両端部材を含んだ数のことをいい、例えば、使用可能な半導体基板の枚数が648枚であれば、N1は648+2=650枚となる。
また、前記砥粒の平均粒径を5μm以上30μm以下とした。
また、前記ワイヤーの送り出し部と前記半導体ブロックとの間、及び前記ワイヤーの巻き取り部と前記半導体ブロックとの間に、各々前記ワイヤーを清掃する清掃部材を備え、前記ワイヤーの1往復あたりの前記他方向への移動量を、前記清掃部材間の前記ワイヤーの距離よりも大きくした。
また、前記ワイヤーの最大送り速度が500m/min以上1000m/min以下に設定した。
また、前記ワイヤーの直径は、80μm以上165μm以下とした。
また、前記半導体基板の表面粗さ(最大高さ)Rzが10μm以下とした。
また、前記半導体基板の厚みばらつきTTVが50μm以下とした。
本発明に係るワイヤーの単位長さ当りの切断面積を示すS×2×(N1−1)×N2/Lが150cm/m以上450cm/m以下としたことにより、半導体基板の生産性を落とすことなく、半導体基板の切断面における表面粗さが小さく、半導体基板の厚みばらつきも小さい半導体基板の面精度を向上させた半導体基板の製造方法を提供することができる。
この理由について、以下に本発明に係るメカニズムを説明する。
本発明のワイヤー単位長さ当りの切断面積は、ワイヤー単位長さあたりの切断の寄与を示しており、この切断面積を150cm/m以上450cm/m以下とすることによって、半導体基板の表面粗さ(最大高さ)Rzが10μm以下、且つ、半導体基板の厚みばらつきTTVが50μm以下にすることができる。
ワイヤーの単位長さ当りの切断面積を150cm/mよりも低くした場合、半導体基板を製造する上で十分な生産性を備えておらず、半導体基板の製造コストが著しく増大する。
また、ワイヤーの単位長さ当りの切断面積を450cm/mよりも高くした場合、単位長さ当りの切断面積が150cm/mよりも低い場合と比較して、ワイヤーに付着した砥粒がワイヤーと半導体ブロックとの切断領域に介在する時間が長くなるため、切断領域で発生した摩擦熱が砥粒へと熱伝導し易い。このように、切断領域にて発生した摩擦熱の熱伝導によって、その摩擦熱量で砥粒を劣化させるため、初期の砥粒の粒径よりも劣化により小さくなり、ワイヤーの切削性を著しく低下させる。
このように、本発明に係る半導体基板の製造方法によれば、ワイヤーの単位長さ当りの切断面積を150cm/m以上450cm/m以下としたことにより、一定の切削性を維持しつつ、切断領域で発生した摩擦熱の影響を抑制できるため、半導体ブロックを切断した後に得られる半導体基板の表面粗さを小さく、半導体基板の厚みのばらつきを均一に維持することが可能となる。
また、前記ワイヤーは、砥粒が固着されていることが好ましく、遊離砥粒を用いたワイヤーよりもワイヤー総延長を短くすることができ、製造コストを遊離砥粒の場合よりも抑えることができる。
また、前記砥粒の平均粒径を5μm以上30μm以下とすることが好ましく、砥粒の平均粒径を5μm以上とすることで、十分な切削性を得ることができ、砥粒の平均粒径が30μm以下とすることで、切り代の部分が多くなることを抑制し、1個の半導体ブロックから得ることができる半導体基板の枚数を好適に得ることができる。
また、前記ワイヤーは往復運動するとともに、前記ワイヤーの1往復あたりの前記ワイヤーの一方向での移動量よりも他方向の移動量を小さく設定することにより、前記ワイヤーを前記一方向に向かって漸次移動させることが好ましく、生産性を維持ながら砥粒の劣化を抑制できる。
また、前記ワイヤーの送り出し部と前記半導体ブロックとの間、及び前記ワイヤーの巻き取り部と前記半導体ブロックとの間に、各々前記ワイヤーを清掃する清掃部材を備え、前記ワイヤーの1往復あたりの前記他方向への移動量を、前記清掃部材間の前記ワイヤーの距離よりも大きくすることが好ましく、特に往路で半導体ブロックの切断に寄与したワイヤーは、復路で清掃部材を通過することにより、ワイヤーの表面に付着するシリコン屑などの付着量を低減し、ワイヤーが目詰まりを起こすことを抑制できる。
また、前記往復運動によって、前記ワイヤーが一方向へ漸次移動する速度は、4m/min〜20m/minに設定することが好ましく、4m/min以上とすることで、砥粒に必要以上の摩擦熱及び負荷が加わることを抑制し、砥粒の劣化を抑制できる。また、20m/min以下とすることで、新線のワイヤーの供給量が多くなり生産性を低下させることを抑制し、また、ワイヤーにかかる摩擦熱の影響がワイヤーの広範囲に至り、結果、ワイヤーの磨耗を抑制できる。
また、前記ワイヤーの最大送り速度が500m/min以上1000m/min以下に設定することが好ましく、半導体ブロック11の面精度を落とすことなく、ワイヤーにかかる摩擦熱の負荷に耐えることが可能となる。
また、前記ワイヤーを前記半導体ブロックに押圧する際のフィード速度を350μm/min以上650μm/min以下に設定することが好ましく、摩擦熱による砥粒の劣化を抑制し、更にワイヤーにかかる摩擦熱の負荷を防止できる。
また、前記ワイヤーの直径は、80μm以上165μm以下とすることが好ましく、ワイヤーの断線を抑制しながら、半導体ブロックから取れる半導体基板の枚数を増加させることができる。
また、前記半導体基板の最大高さRzが10μm以下であることが好ましく、後工程における割れや欠け、装置における搬送ミス等の問題を防ぐことが可能となるだけでなく、半導体基板の表面を化学エッチング処理しなくても十分な半導体基板とすることができる。
また、前記半導体基板の厚みばらつきTTVが50μm以下であることが好ましく、後工程における割れや欠け、装置における搬送ミス等の問題を防ぐことが可能となるだけでなく、半導体基板の表面を化学エッチング処理しなくても十分な半導体基板とすることができる。
本発明にかかる半導体基板の製造装置は、半導体ブロックを切断する砥粒を固着してなるワイヤーと、このワイヤーを該ワイヤーの長手方向に沿って往復運動させるワイヤー走行手段と、前記半導体ブロックを前記ワイヤーに相対的に押圧させる押圧手段と、を備えた半導体基板の製造装置であって、前記半導体ブロック1個あたりから得られる前記半導体基板の1枚当たりの平均面積をS、前記1個の半導体ブロックから得られる前記半導体基板の枚数をN1、前記ワイヤー上に配設される前記半導体ブロックの本数をN2、前記ワイヤー全長をL、としたときに、S×2×(N1−1)×N2/Lで定義されるワイヤーの単位長さ当りの切断面積が150cm/m以上450cm/m以下である。
かかる構成によれば、上述したメカニズムによって、半導体基板の生産性を落とすことなく、半導体基板の切断面における表面粗さが小さく、半導体基板の厚みばらつきも小さい半導体基板の面精度を向上させた半導体基板の製造装置を提供することができる。
また、前記砥粒の平均粒径を5μm以上30μm以下とすることが好ましく、砥粒の平均粒径を5μm以上とすることで、十分な切削性を得ることができ、砥粒の平均粒径が30μm以下とすることで、切り代の部分が多くなることを抑制し、1個の半導体ブロックから得ることができる半導体基板の枚数を好適に維持することができる。
また、前記砥粒は、ダイヤモンドを主成分とすることが好ましく、耐摩耗性を好適に維持できるため、長寿命な半導体基板の製造装置とすることができる。
また、前記ワイヤーの1往復あたりの前記ワイヤーの一方向での移動量よりも他方向の移動量を小さく設定することにより、前記ワイヤーを前記一方向に向かって漸次移動させる制御手段を備えてなることが好ましく、生産性を維持ながら砥粒の劣化を抑制できる。
また、前記ワイヤーの送り出し手段と前記半導体ブロックとの間、及び前記ワイヤーの巻き取り手段と前記半導体ブロックとの間に、各々前記ワイヤーを清掃するための清掃手段を備えることが好ましく、ワイヤーの目詰まりを抑制できる。
また、前記ワイヤーの1往復あたりの前記ワイヤーの他方向への移動量は、前記清掃手段間の前記ワイヤーの距離よりも大きいことが好ましく、特に往路で半導体ブロックの切断に寄与したワイヤーは、復路で全てが清掃手段を通過することによって、ワイヤーの目詰まりを一層抑制できる。
以下、本発明の実施形態を添付図面に基づき詳細に説明する。ここでは、半導体ブロックとして、シリコンブロックを用いた場合について述べることとする。
また、本文中において、RaはJIS B0601(2001)で定義される算術平均粗さで、RzはJIS B0601(2001)で定義される最大高さである。また、厚みばらつきTTVは基板の平坦度を示す尺度の1つで、基板裏面を基準として基板表面の最高点から最低点のまでの距離を表したものである。さらに、ろ波最大うねりWcmはJIS B0610(1987)で定義されるろ波最大うねりである。
図1は、本発明に係るシリコン基板の製造方法で使用するワイヤーソー装置を示す斜視図である。図中、11はシリコンブロック、12はスライスベース、13はワイヤー、14は供給ノズル、15はメインローラー、16はディップ槽、17はワイヤー供給リールである。
シリコンブロック11は、カーボン材もしくはガラス、樹脂等の材質からなるスライスベース12上に接着剤などによって接着され、装置内に1本又は複数本配置される。
ここで、ワイヤーソー装置の種類としては、大きく分けて二種類のワイヤーソー装置があり、例えば、砥粒を含む加工液を供給することによってワイヤー13のラッピング作用でシリコンブロック11を切断する遊離砥粒タイプのワイヤーソー装置や、ワイヤー13自体に砥粒を固着させてシリコンブロック11を切断する砥粒固着ワイヤーソー装置等がある。
本発明にて使用するワイヤー13のタイプとしては、鉄又は鉄合金を主成分とするピアノ線にダイヤモンドもしくは炭化珪素で形成された砥粒をニッケルや銅・クロムによるメッキにて固着させるか、もしくはレジン等の樹脂接着剤によって固着させた砥粒固着ワイヤーを用いた場合について説明する。なお、後述するワイヤー13の直径とは、上述した鉄又は鉄合金を主成分とするピアノ線自体の直径を指すものである。
<半導体基板の製造方法>
まず、シリコンブロック11を切断するワイヤー13と、シリコンブロック11とを準備する。このとき、ワイヤー13はワイヤー供給リール17から供給され、後述するメインローラー15上に設けられた所定間隔の溝に巻きつけ、ワイヤー13を配列する。メインローラー15は、例えばウレタンゴム等からなり、その表面に所定間隔でワイヤー13がはまる多数の溝が形成されている。この溝の間隔とワイヤー13の直径との関係によって、シリコン基板の厚みが定まる。(第1工程)
メインローラー15を所定の回転速度で回転させることによって、ワイヤー13の長手方向にワイヤー13を走行させることができる。このとき、メインローラー15の回転方向を変化させることにより、一方向にワイヤー13を走行させることもできるし、他方向に走行させてワイヤー13を往復運動させることもできる。(第2工程)
その後、シリコンブロック11をワイヤー13に相対的に押圧し、この押圧力でシリコンブロック11を切断してシリコン基板を得ることができる。(第3工程)
このとき、切断用の砥粒を固着させたワイヤー13を高速で移動走行させつつ、例えば、シリコンブロック11の側上部に設けた供給ノズル14よりシリコンブロック11とワイヤー13との切断領域、またはシリコンブロック11全体に冷媒を供給しながら、ワイヤー13の上方からシリコンブロック11を徐々に下降させてワイヤー13に押圧することによって、シリコンブロック11を切断し、シリコン基板を得ることができる。このとき得られるシリコン基板の大きさは、1辺の長さが10cm〜20cm程度であり、基板厚みが300μm以下より好ましくは200μm以下である。
なお、ディップ槽16は、シリコンブロック11の切断中に発生するシリコン屑や冷媒の回収の目的や、ディップ槽16に冷媒を満たすものであり、シリコンブロック11をディップ槽16に浸漬させながら切断を行なうことも可能である。
本発明の特徴部分は、半導体基板の製造方法において、シリコンブロック11、1個あたりから得られるシリコン基板の1枚当たりの平均面積をS、1個のシリコンブロック11から得られるシリコン基板の枚数をN1、ワイヤー13上に配設されるシリコンブロック11の本数をN2、ワイヤー13全長をL、としたときに、S×2×(N1−1)×N2/Lで定義されるワイヤー13の単位長さ当りの切断面積が150cm/m以上450cm/m以下とした。以下、この特徴部分について詳細に説明する。
特許文献1で示したように、新線供給量を制御した遊離砥粒タイプでは、ワイヤー13の新線供給量を制御して往復運動させたとしても、切断領域における摩擦熱がワイヤー13に影響し、ワイヤー13を一方向へ走行させる場合と比較して大きく、ワイヤー13がこの摩擦熱によって断線する可能性があった。そのため、摩擦熱の影響を抑制するためには、新線供給量を非常に多くすることで、ワイヤーを大量に使用してワイヤーの磨耗を抑える必要があるため、一方向へ走行させる場合とほぼ同等のワイヤー長さが必要であった。また、同様に、砥粒固着ワイヤー13を使用し、磨耗を考慮したワイヤー13の新線供給量を制御したシリコン基板の製造方法の場合であっても、切断領域における摩擦熱の影響を充分に制御することはできず、ワイヤー13に固着した砥粒が摩擦熱によって劣化し、結果的に、ワイヤー13が断線するおそれがあった。
しかしながら、本発明の半導体基板の製造方法では単位長さ当りの切断面積を150cm/m以上450cm/m以下としたため、ワイヤー13の切削性を低下させずに、摩擦熱の影響を抑制した半導体基板の製造方法を提供することができる。
また、このときのシリコン基板の表面粗さ(最大高さ)Rz、厚みばらつきTTVは、従来よりも好ましいものとなった。本発明の半導体基板の製造方法によって、具体的に得られるシリコン基板の表面粗さ(最大高さ)Rzは10μm以下、且つ、シリコン基板の厚みばらつきTTVは50μm以下とすることができる。
従来の技術を用いて、シリコン基板の表面粗さ(最大高さ)Rzは10μm以下、シリコン基板の厚みばらつきTTVが50μm以下とするためには、次のような問題があった。
まず、シリコン基板の表面粗さ(最大高さ)Rz、シリコン基板の厚みばらつきTTVの数値を出すためには、ワイヤー13のフィード速度を遅くして、長時間かけてシリコンブロック11を切断する必要があった。そのため、例えば、従来の遊離砥粒タイプのワイヤーソー装置を使用したシリコン基板の製造方法では、全長数百kmのワイヤー13を使用することが必要とされ、生産性に問題があった。
また、砥粒固着ワイヤー13を使用した場合には、遊離砥粒タイプのワイヤーのように、全長数百kmという長尺なワイヤー13を作製すること自体困難なため、一般的に全長数十kmのワイヤー13を往復運動させてシリコンブロック11を切断している。往復運動によって、シリコンブロック11を切断した場合、充分な冷却を行っていても、遊離砥粒タイプのワイヤーと比べて、摩擦熱よるワイヤーへの影響は非常に大きい。さらに、遊離砥粒タイプのワイヤーソー装置は常に新しい砥粒が供給されているのに対し、砥粒固着ワイヤーは砥粒自体に加わる摩擦熱の影響が大きい。ゆえに、摩擦熱の影響を制御することはできずに、ワイヤー13に固着した砥粒が劣化し、結果的に、ワイヤー13が断線するおそれがあった。
しかしながら、本発明に係る半導体基板の製造方法によれば、摩擦熱の影響を極力抑制でき、一定の切削性を維持しつつ、砥粒固着ワイヤー13の磨耗を抑制することができるため、シリコンブロック11を切断した後に得られるシリコン基板の表面粗さを小さく、基板の厚みのばらつきを均一に維持することが可能となる。
本発明を実施する上で具体的な半導体基板の製造方法としては、例えば、ワイヤー13の全長が数十km程度、より好ましくは10km以下のワイヤー13を用い、このワイヤー13を往復運度させるとともに、新線のワイヤー13を供給することによって、この一往復運動あたりのワイヤー13の一方向での移動量よりも他の移動量を小さく設定し、ワイヤー13を漸次移動させるようにした。
このとき、ワイヤー13の送り出し部17aとシリコンブロック11との間、及びワイヤー13の巻き取り部17bとシリコンブロック11との間に、各々ワイヤー13を清掃する清掃部材18を備え、ワイヤー13の1往復あたりの他方向への移動量を、清掃部材18間のワイヤー13の距離よりも大きくしたことによって、往路でシリコンブロック11の切断に寄与したワイヤー13は、復路で清掃部材18を通過することにより、ワイヤー13の表面に付着するシリコン屑などの付着量を低減し、ワイヤー13が目詰まりを起こすことを抑制できる。
仮に、ワイヤー13の1往復あたりの他方向への移動量が、清掃部材18間のワイヤー13の距離よりも小さい場合は、シリコンブロック11とワイヤー13との切断領域に清掃部材18と接触しないワイヤー13部位が留まることとなる。その結果、シリコン屑がワイヤー13表面に付着し続けワイヤー13の目詰まりを生じさせ、ワイヤー13の切削性の低減につながる可能性がある。
ここで、ワイヤー13の1往復あたりの他方向への移動量を、清掃部材18間のワイヤー13の距離よりも小さくした場合にどれだけワイヤー13及び砥粒に負荷が加わるかについて、添付図面に基づき説明する。
図3は、ワイヤー13のうち清掃部材18と接触しないでシリコンブロック11と接触するワイヤーの積算距離を示す図である。図中、1往復あたりにおいて、ワイヤー往路の移動量をL1、ワイヤー移動量をL0としたときに、1往復あたりの新線供給量αは、L1−L0で示すことができる。また、清掃部材間のワイヤーの距離をLtとして、新線供給量αを0.01Ltとした。
図3によれば、復路移動量L0/Ltが0.5の場合に、走行距離積算最大値S/Ltは50を超える値である。すなわち、清掃部材18と接触しないワイヤー13が存在することで、その積算距離Sは、清掃部材間のワイヤーの距離Ltの50倍以上にも及ぶことになる。
次に、ワイヤー13の漸次移動する速度(以下、新線供給量と呼ぶこととする)は、4m/min以上20m/minと設定することが好ましい。4m/min未満では、砥粒に必要以上の摩擦熱及び負荷が加わり易く、砥粒の劣化を抑制することが難しい。また、20m/minよりも速い場合、新線のワイヤー13の供給量が多くなり生産性を低下させる問題があり、また、ワイヤー13にかかる摩擦熱の影響がワイヤー13の広範囲に至り、結果、ワイヤー13の磨耗を促進させる可能性がある。
そして、ワイヤー13の最大送り速度は、500m/min以上、1000m/min以下に設定することが好ましい。このようにすれば、シリコンブロック11の面精度を落とすことなく、ワイヤー13にかかる摩擦熱の負荷に耐えることが可能となる。しかしながら、ワイヤー13の最大送りスピードが500m/minより遅いと、ワイヤー13のシリコンブロック11内に滞在する時間が長くなるため、冷媒による冷却効果が充分に得られず、摩擦熱によりワイヤー13にかかる負荷を充分に抑えることが難しい。また、1000m/minより速いと、冷媒と接する時間が短くなるため、冷媒による冷却効果が不十分となる可能性があり、摩擦熱によりワイヤー13にかかる負荷を充分に抑えることが難しい。
さらに、ワイヤー13をシリコンブロック11に押圧する際のフィード速度を350μm/min以上、650μm/min以下に設定することが望ましい。このようにすれば、摩擦熱による砥粒の劣化を抑制し、更にワイヤー13にかかる摩擦熱の負荷を防止できる。しかしながら、シリコンブロック11のフィード速度が350μm/minより小さいと、十分な切削性を得ることが難しい。また、フィード速度が650μm/minより速いと摩擦熱の影響をワイヤー13に与える可能性が高くなる。
また、本発明に係る半導体基板の製造方法において、上述したワイヤー13には砥粒が固着されていることが好ましい。砥粒固着ワイヤー13を用いることによって、切り代を少なくすることができる。また、砥粒を固着したことにより、シリコンブロック11への切削性が向上し、尚且つ、上述の効果によって、砥粒の磨耗も少なくでき、ワイヤー13の長寿命化を備えた半導体基板の製造方法を提供することができる。
この結果、上述の効果に加え、さらにシリコンブロック11の切断面が均一に加工され、その後のシリコン基板の表面にマイクロクラックなどの凹凸が形成されにくく、砥粒の磨耗により切り代が変化するといった問題を抑制することができる。
また、このときの砥粒の平均粒径を5μm以上30μm以下とした方がよい。砥粒の平均粒径を5μm未満とした場合は、十分な切削性を得ることが難しく、砥粒の平均粒径が30μmを超えるような場合は、切り代の部分が多くなってしまい1個のシリコンブロック11から得ることができるシリコン基板の枚数が低下してしまうためである。
さらに、ワイヤー13の直径が80μm以上165μm以下であることによって、切り代が少なくなるため、シリコンブロック11から取れるシリコン基板の取れ枚数を増加させることができる。165μmより太いと切り代が大きくなりシリコンブロック11から取れるシリコン基板の取れ枚数が少なくなり、また、得られるシリコン基板のうねりが大きくなる。また、80μmより細いとワイヤー13が断線する可能性が高くなり、歩留り低下やシリコンブロック11の切断に伴う消耗工具のワイヤー13量が多くなるため好ましくない。
また、ワイヤー13の長さはシリコンブロック11の切削方向の長さの5倍以上を有しているほうが好ましい。
そして、ワイヤー13の直径が80μm以上165μm以下、砥粒の平均粒径を5μm以上30μm以下、好ましくは20μm以下である砥粒固着ワイヤーを使用し、ワイヤー13の単位長さ当りの切断面積が150cm/m以上450cm/m以下となるようにシリコンブロック11を切断すると、シリコン基板のろ波最大うねりWcmは、100μm以下となり、従来のシリコン基板の製造方法と比較すると、うねりが小さいシリコン基板を得ることができる。しかし、砥粒の平均粒径が30μmよりい大きい、例えば平均粒径が35μm程度の砥粒を用いた場合には、200μm程度とうねりが大きくなるため好ましくない。
また、砥粒がワイヤー13表面積に対して占める割合を25%以上50%以下とすることにより、切削性を向上することができ、切断スピードを速くすることが可能となり、生産性を向上させることが可能となる。しかし、砥粒がワイヤー13表面積に対して占める割合が25%より小さい、もしくは50%より大きいと切削性が落ちるため好ましくない。
さらに、ダイヤモンド粒からなる刃具を用いることにより、より切削性が向上するためより好ましい。
このようにして、上述の方法で得られたシリコン基板の表面粗さにおける算術平均粗さRaは1μm以下、より好ましくは0.8μm以下である。また、最大高さRzは10μm以下、より好ましくは5μm以下である。さらに、シリコン基板の厚みばらつきTTVは50μm以下、より好ましくは30μm以下である。上記値を持つシリコン基板を得ることができるため、後工程における割れや欠け、装置における搬送ミス等の問題を防ぐことが可能となるだけでなく、シリコン基板の表面を化学エッチング処理しなくても十分な表面粗さ(最大高さ)Rzと厚みばらつきTTVを得ることができる。
<半導体基板の製造装置>
以下、本発明に係る半導体基板の製造装置について、図2を用いて詳細に説明する。図中、11はシリコンブロック、12はスライスベース、13はワイヤー、14は供給ノズル、15はメインローラー、16はディップ槽、17はワイヤー供給リール、17aは送り出し部、17bは巻き取り部、18は清掃手段である。
シリコンブロック11は、カーボン材もしくはガラス、樹脂等の材質からなるスライスベース12上に接着剤などによって接着され、装置内に1本又は複数本配置される。
ワイヤー13は、鉄又は鉄合金を主成分とするピアノ線にダイヤモンドもしくは炭化珪素で形成された砥粒をニッケルや銅・クロムによるメッキにて固着させるか、もしくはレジン等の樹脂接着剤によって固着させた砥粒固着ワイヤーが好適に用いられる。
供給ノズル14は、ワイヤー13とシリコンブロック11との摩擦により発生した熱量を抑制するために用いるものである。例えば、金属管の表面に、その管の長手方向の一直線上に等間隔でノズル穴を有するものなどを使用することができる。このノズル穴からワイヤー13に向かって冷媒であるオイルなどを供給し、ワイヤー13とシリコンブロック11との間で発生する摩擦熱を抑制する。
メインローラー15は、一定間隔でワイヤー13がはまる多数の溝を備えており、メインローラー15の溝にワイヤー13を引っ掛ける様にして、ワイヤー13を互いに平行に配置する。
ディップ槽16は、シリコンブロック11の切断中に発生するシリコン屑や冷媒の回収の目的や、ディップ槽16に冷媒を満たすものであり、シリコンブロック11をディップ槽16に浸漬させながら切断を行なうことも可能である。
ワイヤー供給リール17は、ボビンのようにワイヤー13をその周囲に巻いているものであり、送り出し部17aから巻き取り部17bまで双方向に移動できる構造である。
ワイヤー13の移動のための駆動手段は、従来周知のものを用いればよく、例えば、インバーター制御のサーボモーター等の初期トルク特性の良いモーターとプーリーを備えたギヤボックスをタイミングベルトで繋げた構造、もしくは送り出し部17aと巻き取り部17b双方にモーターを設置しシーケンスで同期を取る構造などが挙げられる。なお、ワイヤー13の駆動には、片側のみにワイヤー駆動手段を設けてもよいし、送り出し部17a及び巻き取り部17bの双方に駆動手段を設けてもよい。特に、双方向にワイヤーを走行させる場合は、送り出し部17a及び巻き取り部17bの双方に駆動手段を設けることが好ましい。
清掃手段18は、ドレッシング砥石をワイヤー13に押し当てたり、クリーニング液を満たした洗浄槽にワイヤー13を導いて浸漬させてもよいが、例えば圧縮した気体をワイヤー13に吹き付けることにより、より効果的にワイヤー13の表面に付着したシリコン屑を除去することができる。この手法によれば、ワイヤー13に対して高いドレッシングを奏することができるため好ましい。具体的には、コンプレッサーより送られる大気やArもしくはN2などが挙げられる。半導体基板を切断する際に、シリコン屑だけではなく、供給ノズル14から供給されたクーラント等によって、ワイヤー表面にはシリコン屑とクーラントとを含んでなる泥状の堆積物が形成されるが、清掃手段18の風圧によって、この堆積物も好適に除去することができる。それゆえ、ワイヤー13表面において、砥粒の凹凸に付着した堆積物でワイヤー13が目詰まりすることを抑制できる。
以下、本発明にかかる半導体基板の製造装置の特徴部分について詳細に説明する。
本発明によれば、シリコンブロック11の1個あたりから得られる前記シリコン基板の1枚当たりの平均面積をS、1個のシリコンブロック11から得られる前記シリコン基板の枚数をN1、前記ワイヤー13上に配設される前記シリコンブロックの本数をN2、前記ワイヤー13全長をL、としたときに、S×2×(N1−1)×N2/Lで定義されるワイヤー13の単位長さ当りの切断面積が150cm/m以上450cm/m以下である。
ワイヤー13の単位長さ当りの切断面積を150cm/mよりも低くした場合、シリコン基板を製造する上で十分な生産性を備えておらず、シリコン基板の製造コストが著しく増大する。
また、ワイヤー13の単位長さ当りの切断面積を450cm/mよりも高くした場合、単位長さ当りの切断面積が150cm/mよりも低い場合と比較して、ワイヤー13に付着した砥粒がワイヤー13とシリコンブロック11との切断領域に介在する時間が長くなるため、切断領域で発生した摩擦熱が砥粒へと熱伝導し易い。このように、切断領域にて発生した摩擦熱の熱伝導によって、その摩擦熱量で砥粒を劣化させるため、初期の砥粒の粒径よりも劣化により小さくなり、ワイヤー13の切削性を著しく低下させる。
このように、本発明に係る半導体基板の製造装置によれば、ワイヤー13の単位長さ当りの切断面積を150cm/m以上450cm/m以下であるため、一定の切削性を維持しつつ、切断領域で発生した摩擦熱の影響を抑制でき、シリコンブロック11を切断した後に得られるシリコン基板の表面粗さを小さく、シリコン基板の厚みのばらつきを均一に維持することが可能となる。
また、砥粒の平均粒径を5μm以上30μm以下とすることが好ましく、砥粒の平均粒径を5μm以上とすることで、十分な切削性を得ることができ、砥粒の平均粒径が30μm以下とすることで、切り代の部分が多くなることを抑制し、1個のシリコンブロック11から得ることができるシリコン基板の枚数を好適に維持することができる。
また、砥粒は、ダイヤモンドを主成分とすることが好ましく、耐摩耗性を好適に維持した長寿命なシリコン基板の製造装置とすることができる。
また、ワイヤー13の1往復あたりのワイヤー13の一方向での移動量よりも他方向の移動量を小さく設定することにより、ワイヤー13を一方向に向かって漸次移動させる制御手段を備えてなることが好ましく、生産性を維持ながら砥粒の劣化を抑制できる。
また、ワイヤー13の送り出し手段17aとシリコンブロック11との間、及びワイヤー13の巻き取り手段17bとシリコンブロック11との間に、各々ワイヤー13を清掃するための清掃手段18を備えることが好ましく、ワイヤー13の目詰まりを抑制できる。
また、ワイヤー13の1往復あたりのワイヤー13の他方向への移動量は、清掃手段18間のワイヤー13の距離よりも大きいことが好ましく、特に往路でシリコンブロック11の切断に寄与したワイヤー13は、復路で全てが清掃手段18を通過することによって、ワイヤー13の目詰まりを一層抑制できる。
まず、150mm×155mm×300mmのシリコンブロック11を準備し、スライスベース12に接着する。このときの切断面積Sは1.50cm×15.5cmで232.5cmである。そして、スライスベース12に接着したシリコンブロック11を、図1に示されるワイヤーソー装置に2本セットし、シリコンブロック11の1本から取れるシリコン基板の枚数N1を696枚とし、シリコンブロック2本をその長手方向に配置した。
次に、シリコンブロック11の側上部に設けた供給ノズル14よりシリコンブロック11全体に冷媒を供給し、さらにディップ槽16に冷媒を満たすことによりシリコンブロック11をディップ槽16に浸漬させながらながら、往復運動しているワイヤー13に押圧しシリコンブロック11を切断した。このとき、ワイヤー13の最大送りスピードは750m/minとした。
また、ワイヤー13は、140μmの直径を有するピアノ線に平均粒径が15μmのダイヤモンド砥粒をニッケルメッキにて固着させた砥粒固着ワイヤー13を使用した。このとき、砥粒がワイヤー13表面積に対して占める割合を30%とした。
さらに、シリコンブロック11の切断後、同じワイヤー13を用いて、さらに2本のシリコンブロック11を切断した。つまり、合計N2=4本のシリコンブロック11を切断することができた。(ここで、フィード速度、新線供給量を変化させることにより、ワイヤー13の全長を3kmから12kmへと変化させて、ワイヤー単位長さあたりの切断面積を順次変化させた。)
表1にワイヤー単位長さあたりの切断面積を変化させたときの結果を示す。ワイヤー13の単位長さ当りの切断面積を116cm/mから491cm/mまで変化させたときの表面粗さ(最大高さ)Rz、シリコン基板1枚の厚みばらつきTTVについて測定を行なった。
Figure 0005127209
表1より、ワイヤー単位長さ当りの切断面積が本発明の範囲内である、No.3〜13については、表面粗さ(最大高さ)Rzが10μm以下、且つ、厚みばらつきTTVが50μm以下となり、良好な面精度が得られた。
しかしながら、ワイヤー単位長さあたりの切断面積が本発明の範囲外である、No.1、No.2、No.14、No.15では、表面粗さ(最大高さ)Rzと、厚みばらつきTTVで、本発明の効果よりも不十分な結果となった。
特に、フィード速度が350μm/min以上、650μm/min以下であり、新線供給量が7m/min以上、15m/min以下とした場合は、シリコン基板の厚みばらつきTTVが30μm以下で、且つ、表面粗さ(最大高さ)Rzが8.5μm以下となり、さらに良好な面精度を得ることができた。
次に、シリコンブロック11及びワイヤー13については、上記実施例1と同様の条件で、ワイヤー13の最大送りスピードは780m/minとした。また、フィード速度は、500μm/minの一定速度とした。
なお、本実施例においては図2に示す半導体基板の製造装置を用いて、ワイヤー13の送り出し部17aとシリコンブロック11との間、及びワイヤー13の巻き取り部17bとシリコンブロック11との間に、各々ワイヤー13を清掃する清掃手段18を設けた。具体的に、コンプレッサーによって0.1MPa程度に圧縮した気体をワイヤー13に吹き付けることで、清掃手段18とした。
また、ワイヤー13を双方向に移動させ、ワイヤー13の1往復あたりの他方向への移動量を、清掃手段18間のワイヤー13の距離よりも大きくなるように制御した。
表2にワイヤー13単位長さあたりの切断面積を80cm/mから800cm/mまで変化させたときの表面粗さ(最大高さ)Rz、シリコン基板1枚の厚みばらつきTTVについて測定を行なった。
Figure 0005127209
表2より、例えワイヤー単位あたりの切断面積が450cm/mを超えたNo.21からNo.23の場合であっても、本発明に係る清掃手段18を備えることによって、表面粗さ(最大高さ)Rzが10μm以下、且つ、厚みばらつきTTVが50μm以下となり、良好な面精度を維持することができた。
これは、ワイヤー13表面の砥粒を目詰まりの原因となるシリコン屑等を清掃手段18によってドレッシングし、シリコンブロック11を切断した往路のワイヤー13及び復路のワイヤー13についてもワイヤー13表面のシリコン屑の付着を抑制したため、ワイヤー13の切削性を維持できるとともに、得られる半導体基板の表面粗さRz、厚みばらつきTTVを良好なものとすることができた。
一般的な半導体基板の製造方法に係るワイヤーソー装置を示す斜視図である。 本発明に係る半導体基板の製造装置の一例であるワイヤーソー装置を示す斜視図である。 ワイヤーのうち清掃部材と接触しないでシリコンブロックと接触するワイヤーの積算距離を示す図である。
符号の説明
11:半導体ブロック(シリコンブロック)
12:スライスベース
13:ワイヤー
14:供給ノズル
15:メインローラー
16:ディップ槽
17:ワイヤー供給リール
17a:送り出し部(送り出し手段)
17b:巻き取り部(巻き取り手段)
18:清掃部材(清掃手段)

Claims (7)

  1. 半導体ブロックを切断するワイヤーと、前記半導体ブロックとを準備する第1工程と、このワイヤーを該ワイヤーの長手方向に沿って走行させる第2工程と、
    前記半導体ブロックを前記ワイヤーに相対的に押圧し、該押圧力で前記半導体ブロックを切断して半導体基板を得る第3工程と、を備えた半導体基板の製造方法であって、
    前記半導体ブロック1個あたりから得られる前記半導体基板の1枚当たりの平均面積をS、前記1個の半導体ブロックから得られる前記半導体基板の枚数をN1、前記ワイヤー上に配設される前記半導体ブロックの本数をN2、前記ワイヤー全長をL、としたときに、S×2×(N1−1)×N2/Lで定義されるワイヤーの単位長さ当りの切断面積が150cm/m以上450cm/m以下とし
    前記ワイヤーは、砥粒が固着され、
    前記ワイヤーは往復運動するとともに、前記ワイヤーの1往復あたりの前記ワイヤーの一方向での移動量よりも他方向の移動量を小さく設定することにより、前記ワイヤーを前記一方向に向かって漸次移動させ、
    前記往復運動によって、前記ワイヤーが一方向へ漸次移動する速度は、4m/min〜20m/minに設定され、
    前記ワイヤーを前記半導体ブロックに押圧する際のフィード速度を300μm/min以上650μm/min以下に設定した半導体基板の製造方法。
  2. 前記砥粒の平均粒径を5μm以上30μm以下とした請求項1に記載の半導体基板の製造方法。
  3. 前記ワイヤーの送り出し部と前記半導体ブロックとの間、及び前記ワイヤーの巻き取り部と前記半導体ブロックとの間に、各々前記ワイヤーを清掃する清掃部材を備え、前記ワイヤーの1往復あたりの前記他方向への移動量を、前記清掃部材間の前記ワイヤーの距離よりも大きくしたことを特徴とする請求項1または2に記載の半導体基板の製造方法。
  4. 前記ワイヤーの最大送り速度が500m/min以上1000m/min以下に設定されている請求項1から請求項のいずれか一項に記載の半導体基板の製造方法。
  5. 前記ワイヤーの直径は、80μm以上165μm以下とした請求項1から請求項のいずれか一項に記載の半導体基板の製造方法。
  6. 前記半導体基板の最大高さRzが10μm以下である請求項1から請求項のいずれか
    一項に記載の半導体基板の製造方法。
  7. 前記半導体基板の厚みばらつきTTVが50μm以下である請求項1から請求項のいずれか一項に記載の半導体基板の製造方法。
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