JP2013164542A - 電子管楽器、振動制御装置及びプログラム - Google Patents

電子管楽器、振動制御装置及びプログラム Download PDF

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Abstract

【課題】電子管楽器の吹奏感をアコースティックの管楽器の吹奏感に近づける。
【解決手段】演奏装置10は、演奏者が吹口部40に息を吹き込むと、息圧が増加したことを検知する(ステップS11)。次に、演奏装置10は、予め定められた周波数及び振幅で振動体を振動させる駆動信号を生成し、振動体に出力することで(ステップS12)、振動体を振動させる(ステップS13)。ステップS16において演奏情報が送信されてきた音源装置20は、その演奏情報に基づいて楽音信号を生成する(ステップS21)。そして、音源装置20が、次の処理を行う前に予め決められた時間が経過するまで待機するという遅延制御を行い(ステップS22)、スピーカ装置30が、楽音信号を放音する(ステップS32)。
【選択図】図4

Description

本発明は、アコースティックの管楽器を演奏したときのような吹奏感を演奏者に与える技術に関する。
電子楽器において、演奏したときに楽器本体を振動させてその振動を演奏者に伝えることで、アコースティックの楽器を演奏したときのような感覚を演奏者に与える技術がある。特許文献1には、楽音制御手段が発生させた楽音制御データに応じて振動発生手段が振動を発生することで、電子管楽器を振動させる技術が開示されている。
実開平3−47597号公報
アコースティックの管楽器を演奏する演奏者は、ある時点で音を鳴らすため、音が安定するまでの時間を考慮して、その時点よりも前に口腔内の圧力を高めたり、楽器に息を吹き込んだりするという動作を行っている。この動作によって、演奏者の口腔内や管楽器の本体などには、音が明確に鳴り出す以前から口腔内の気圧変化やリード、マウスピース、楽器本体などの微弱な振動が生じ始めており、演奏者は、その気圧変化や振動を感じながら演奏している。特許文献1に記載された技術では、演奏者は、音が発生したときに楽器本体の振動を感じることができるが、上述した動作を行っている間には上記の振動を感じることができないため、アコースティックの管楽器を演奏するときとは異なる吹奏感を得ることになる。
そこで、本発明は、電子管楽器の吹奏感をアコースティックの管楽器の吹奏感に近づけることを目的とする。
上記した課題を解決するために、本発明は、演奏者により息を吹き込まれる吹口部を有する楽器本体と、前記吹口部へ吹き込まれる息の圧力を検出する息圧検出手段と、前記楽器本体に設けられ、前記息圧検出手段により検出される圧力が決められた変化をしたとき以降に振動する振動手段と、楽音信号を出力する出力手段に対して、前記振動手段が振動を開始したときよりも後に、前記息圧検出手段により検出される圧力に応じた音を表す前記楽音信号を出力するように指示する指示手段とを備えることを特徴とする電子管楽器を提供する。
好ましい態様において、前記息圧検出手段により検出される圧力が前記変化をしたときから、前記指示手段が前記指示を行うまでの時間を調整する調整手段を備えることを特徴とする。
また、別の好ましい態様において、管楽器の種類を選択する選択手段を備え、前記調整手段は、前記選択手段により選択される種類に応じた長さに前記時間を調整し、前記指示手段は、前記選択手段により選択される種類に応じた音色の音を表す楽音信号を出力するように前記指示を行うことを特徴とする。
また、別の好ましい態様において、前記演奏者により操作される演奏操作子と、前記演奏操作子の状態を検出する操作検出手段とを備え、前記調整手段は、前記操作検出手段により検出される状態に応じた長さに前記時間を調整することを特徴とする。
また、別の好ましい態様において、前記振動手段は、前記指示手段が前記出力手段に対して前記楽音信号を出力するように指示している期間に、当該楽音信号に応じた波形で振動することを特徴とする。
また、別の好ましい態様において、前記演奏者により操作される演奏操作子と、前記演奏操作子の状態を検出する操作検出手段とを備え、前記振動手段は、前記指示手段が前記出力手段に対して前記楽音信号を出力するように指示している期間に振動し、当該期間において前記操作検出手段により検出される状態が変化したときに、振動の波形を変化させることを特徴とする。
本発明は、振動する振動体と、電子管楽器から発音制御信号が入力される信号入力部と、前記信号入力部に前記発音制御信号が入力されたことを契機に前記振動体を振動させ、当該振動を開始させたときよりも後に当該発音制御信号による発音を音源が行うように制御する制御手段とを備えることを特徴とする振動制御装置を提供する。
好ましい態様において、前記振動体は、前記電子管楽器の一部の部品に対して一体に組み込まれ、又は当該部品とは別体になっていて当該電子管楽器に装着されることを特徴とする。
本発明は、演奏者により息を吹き込まれる吹口部を有する楽器本体と、前記吹口部へ吹き込まれる息の圧力を検出する息圧検出手段と、前記楽器本体に設けられて振動する振動手段とを備える電子管楽器を制御するコンピュータに、前記息圧検出手段により検出される圧力が決められた変化をしたとき以降に振動するように振動手段を制御するステップと、楽音信号を出力する出力手段に対して、前記振動手段が振動を開始したときよりも後に、前記息圧検出手段により検出される圧力に応じた音を表す前記楽音信号を出力するように指示する指示ステップとを実行させるためのプログラムを提供する。
本発明によれば、振動手段が振動した後に出力手段が楽音信号を出力する構成を有しない場合に比べて、電子管楽器の吹奏感をアコースティックの管楽器の吹奏感に近づけることができる。
第1実施形態の電子管楽器の構成を示す図である。 演奏装置の外観を示す図である。 矢視III−III方向に見た吹口部の断面を示す図である。 フィードバック処理の手順を示すシーケンスチャートである。 クラリネット演奏時に測定される波形の例を表したグラフである。 図5のVI部を拡大して示したグラフである。 第2実施形態に係る電子管楽器の構成を示す図である。 フィードバック処理の手順を示すシーケンスチャートである。 第3実施形態に係るフィードバック処理のシーケンスチャートである。 第4実施形態の電子管楽器の構成を示す図である。 後付けユニット付きの演奏装置の外観を示す図である。 アルトサックスの吹奏音を表したスペクトログラムである。 変形例に係る吹口部の例を示す図である。 変形例に係る振動体の例を示す図である。 記憶部に記憶されているテーブルの一例を示す図である。 記憶部に記憶されているテーブルの一例を示す図である。
[第1実施形態]
第1実施形態の電子管楽器の構成について、図1及び図2を参照して説明する。
図1は、第1実施形態に係る電子管楽器1の構成を示す図である。電子管楽器1は、演奏装置10と、音源装置20と、スピーカ装置30とを備える。演奏装置10は、演奏者により演奏され、演奏された内容を表すMIDI(Musical Instrument Digital Interface)メッセージを音源装置20に出力するものである。
図2は、演奏装置10の外観を示す図である。演奏装置10は、クラリネットに近い形状をした電子管楽器であり、吹口部40と、本体50と、演奏用キー60とを備える。本体50は、管状に形成されており、演奏者が演奏装置10を演奏するときに手指で支持するこの楽器の本体をなすものである。本体50は、軸方向の一方の端部に吹口部40が接続され、外周面51に演奏用キー60が設けられている。演奏用キー60は、複数のキーを有し、これら複数のキーは、本体50の軸方向に沿って並んで配置されている。演奏用キー60は、これら複数のキーが演奏者の手指により外周面51に押し付けられたり離されたりすることで、演奏者の手指による操作を受け付ける演奏操作子として機能する。図2(a)は、演奏用キー60が設けられている側から見た演奏装置10の外観を示しており、図2(b)は、図2(a)の演奏装置10を本体50の軸を中心に90度回転させたときの外観を示している。吹口部40は、演奏者により息を吹き込まれるものであり、図2(b)に示すようにリード41を有している。吹口部40及び本体50は、本発明に係る楽器本体の一例である。
図1に戻って説明する。演奏装置10は、制御部11と、A/D変換部13と、D/A変換部14と、インターフェース16とを備えている。これらは、バスを介して互いに接続されている。また、演奏装置10は、A/D変換部13に接続されている演奏検出部12と、D/A変換部14に接続され、駆動信号が入力されることにより振動する振動体15とを備えている。
制御部11は、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)及びROM(Read Only Memory)を有する。制御部11は、CPUがROMに記憶されているプログラムをRAMにロードして実行することにより、バスを介して接続している各部を制御する。例えば、制御部11は、振動体15を振動させるための駆動信号をデジタル信号で生成し、生成した駆動信号をD/A変換部14を介して振動体15に出力することで、振動体15を振動させる。
演奏検出部12は、演奏装置10に設けられたセンサにより測定される物理量に基づき、演奏者が演奏時に演奏装置10を操作している状態(以下「操作状態」という。)を検出するものである。演奏検出部12は、息圧検出部121と、アンブシュア検出部122と、演奏用キー検出部123とを有する。
息圧検出部121は、図2に示す吹口部40の内部に設けられた圧力センサを有し、吹口部40に吹き込まれた息の圧力(息圧という)を検出する息圧検出手段である。詳細には、息圧検出部121は、この圧力センサにより吹口部40の内部の圧力を検出して、検出した圧力の大きさを示すアナログ信号を、息圧の大きさを示す信号として、A/D変換部13に供給する。
アンブシュア検出部122は、演奏者の唇の緊張や唇の開口サイズ等、演奏者の唇の構えに関する物理情報、いわゆるアンブシュアを検出する。この構えによって、例えば、リード41と唇との接触面積が変化し、また、演奏者によるリード41の噛み位置が変化する。アンブシュア検出部122は、上記接触面積を検出する接触面積センサと、上記噛み位置を検出する位置検出センサとを有し、これらのセンサが検出した接触面積及び噛み位置を示すアナログ信号を、アンブシュアを示す信号として、A/D変換部13に供給する。なお、この構えによって、リード41も変形する。アンブシュア検出部122は、例えばリードの変形を検出する圧電素子や磁気センサを有し、このセンサが検出した変形度合を示すアナログ信号を、アンブシュアを示す信号としてA/D変換部13に供給するものであってもよい。
演奏用キー検出部123は、演奏者により操作される演奏用キー60の状態、すなわち演奏用キー60の各キーの状態を検出する操作検出手段である。演奏用キー検出部123は、演奏用キー60が有する複数のキーが外周面51に押し付けられている状態(ON状態)か否(OFF状態)かをそれぞれ検出するセンサを有する。演奏用キー検出部123は、各キーがON状態であるか、OFF状態であるかを示すアナログ信号を、各キーの状態を示す信号として、A/D変換部13に供給する。
A/D変換部13は、アナログ信号をデジタル信号に変換するものである。A/D変換部13は、上述した各部から供給されたアナログ信号を、例えば1kHzのサンプリング周波数でデジタル信号に変換して、制御部11に供給する。このようにして、演奏検出部12が有する各部は、各々の検出結果(息圧、アンブシュア及び各キーの状態)を示す信号をA/D変換部13を介して制御部11に供給する。これにより、制御部11は、1msec(ミリ秒)毎の上記の各部の検出結果を得ることになる。
制御部11は、A/D変換部13から供給される検出結果、すなわち息圧、アンブシュア及び各キーの状態を示す信号に基づき、これらの信号が示す操作状態に対応する演奏の内容を表す情報(以下「演奏情報」という。)を、MIDI形式で生成する。制御部11は、例えば、予め様々な操作状態と演奏の内容とを対応付けたテーブルをROMに記憶させておき、このテーブルにおいて上記各信号が表す操作状態に対応している演奏の内容を表すMIDIメッセージを、演奏情報として生成する。なお、制御部11は、このMIDIメッセージを生成する処理を、他の公知の技術を用いて行ってもよい。制御部11は、この生成を上記検出結果を示す信号が供給される度(つまり1msec毎)に行い、生成したMIDIメッセージをインターフェース16に供給する。
インターフェース16は、音源装置20との間でデータを授受する。例えば、インターフェース16は、制御部11から供給されたMIDIメッセージを音源装置20に送信する。このようにして、制御部11は、インターフェース16を介して演奏情報を音源装置20に出力する。
D/A変換部14は、制御部11から供給される駆動信号を、デジタル信号からアナログ信号に変換して、振動体15に供給する。このようにして、制御部11は、D/A変換部14を介して駆動信号を振動体15に出力する。
振動体15は、入力されるアナログ形式の駆動信号を物理的な運動に変換して振動する振動手段である。振動体15は、圧電素子を有し、この圧電素子を用いて上記変換を行う圧電アクチュエータである。振動体15は、図2に示す吹口部40の内部に設けられている。振動体15の詳細な配置について、図3を参照して説明する。
図3は、図2(a)に示す矢視III−III方向に見た吹口部40の断面を示す図である。吹口部40は、いわゆるマウスピースであり、内部にバッフル面43を有する。バッフル面43には、棒状の支柱44の一方の端部が固定されている。支柱44の他方の端部は、振動体15に固定されている。振動体15は、板状に形成されており、支柱44が固定されている面の反対側の面が、リード41のバッフル面43に対向する面に固定されている。振動体15の一部は、リード41のうち、振動する部分であるフェイシング42に固定されている。これにより、振動体15の振動によりフェイシング42が振動するようになっている。また、振動体15は、上記のとおり、支柱44を介してバッフル面43に固定されている。仮に振動体15がリード41にのみ固定されていると、フェイシング42が振動することにより振動体15自身も変位することになり、振動体15が発生させた振動のエネルギーをその変位に使ってしまうことになる。また、周波数が高くなると、この変位と発生させた振動とが相殺してリード41がほとんど振動しなくなってしまう場合もある。一方、振動体15が上記のとおり固定されていると、振動体15自身はほぼ変位することがなくなるため、振動体15がリード41にのみ固定されている場合に比べて、リード41を振動させるために上記のエネルギーを効率よく用いることができる。
図1に戻って説明する。音源装置20は、インターフェース21と、記憶部22と、音源操作部23と、楽音合成部24と、D/A変換部25とを備える。
インターフェース21は、演奏装置10との間でデータを授受する。例えば、インターフェース21は、演奏装置10から送信されてきたMIDIメッセージを受信し、楽音合成部24に供給する。
記憶部22は、ハードディスクドライブを有し、例えばクラリネットやアルトサックス、トランペットなど、様々な管楽器の種類にそれぞれ対応付けられた波形データを記憶する。これらの波形データは、それぞれに対応付けられている管楽器の種類に応じた音色の音を表している。ここでいう管楽器の種類に応じた音色とは、例えば、その種類のアコースティックの管楽器により鳴らされる音の音色である。
音源操作部23は、演奏者により操作されるボタンやつまみを有する。音源操作部23は、演奏者によりこれらのボタンやつまみが操作されることにより、所望の管楽器の種類を選択する選択手段として機能する。音源操作部23は、選択した管楽器の種類を示すデータを楽音合成部24に供給する。
楽音合成部24は、インターフェース21を介して供給されるMIDIメッセージに基づいて、音源操作部23から供給されてきたデータが示す種類の管楽器に対応付けられて記憶部22に記憶されている波形データを合成して、デジタル形式の楽音信号を生成する。楽音合成部24は、生成した楽音信号をD/A変換部25に供給する。
D/A変換部25は、楽音合成部24から供給される楽音信号を、デジタル信号からアナログ信号に変換して、スピーカ装置30に出力する。
スピーカ装置30は、増幅部とスピーカとを有する。増幅部は、音源装置20から出力されてきた楽音信号を増幅し、スピーカに供給する。スピーカは、増幅部から供給されてきた楽音信号を放音する。
電子管楽器1では、演奏者の演奏装置10への操作に応じた振動を演奏者に伝えるためのフィードバック処理が行われる。本実施形態では、この処理において、制御部11が振動体15に第1駆動信号及び第2駆動信号を出力することで、2種類の振動を発生させる。以下、図4を参照して、これら2種類の振動を発生させるフィードバック処理の手順を説明する。
図4は、フィードバック処理の手順を示すシーケンスチャートである。図4では、演奏装置10及び音源装置20の処理として各処理を記載しているが、それらの処理を行う主体は制御部11及び楽音合成部24であるため、以下では、制御部11及び楽音合成部24を主体として説明する。図4に示す手順が開始される前には、例えば演奏者により音源操作部23が操作され、所望の管楽器の種類が選択されているものとする。そして、図4に示す手順は、演奏者が演奏を開始すること、すなわち、吹口部40に息を吹き込み始めることを契機に開始される。
制御部11は、演奏者により吹口部40に息が吹き込まれたときに、息圧が増加したことを検知する(ステップS11)。詳細には、制御部11は、決められた期間において息圧検出部121により検出される息圧の増加量が閾値を初めて超えたときに、息圧が増加したこと検知する。ここでいう決められた期間とは、例えば0.5秒間であり、演奏者が息継ぎをするときに要する時間程度に決められている。一旦息が吹き込まれ始めると、リード41の振動により息圧も振動するため、上記増加量が閾値を繰り返し超えることになる。制御部11は、上記のように息圧の増加を検知することで、演奏者が息を吹き込み続けているときには、最初に検知した後は息圧の増加を検知しない。一方、制御部11は、演奏者が息継ぎなどで息の吹き込みを停止し、再び息を吹き込み始めたときには、息圧の増加を検知する。また、上記増加量は、例えば、上述のとおり息圧検出部121により検出された息圧を示す信号が制御部11に供給されてくる間隔、すなわち1msec毎に息圧が増加する量である。なお、この間隔は、2msec毎や5msec毎など、息圧を示す信号が供給されてくる間隔よりも広ければ他の時間的な長さの間隔であってもよい。
次に、制御部11は、上記の第1駆動信号を生成し、振動体15に出力することで(ステップS12)、振動体15を振動させる(ステップS13)。この第1駆動信号は、予め定められた周波数及び振幅で振動体15を振動させる正弦波の信号である。制御部11は、予め決められた時間(例えば10msec)が経過するまで、又は上記の第2駆動信号を出力するまで、第1駆動信号を出力し続ける。続いて、制御部11は、演奏者による操作状態として、息圧、アンブシュア及び各キーの状態を検出する(ステップS14)。
次に、制御部11は、ステップS14において検出した操作状態に対応する演奏情報(具体的にはMIDIメッセージ)を生成する(ステップS15)。そして、制御部11は、インターフェース16を介して、演奏情報、すなわちMIDIメッセージを音源装置20に送信する(ステップS16)。続いて、制御部11は、上記の第2駆動信号を演奏情報に応じて生成し、振動体15に出力する(ステップS17)。詳細には、第2駆動信号は、演奏情報が表す音高(MIDIメッセージのノート番号)に応じた音高の周波数、かつ、演奏情報が表す音の大きさ(MIDIメッセージのベロシティ)に応じた振幅で振動体15を振動させる正弦波の信号である。制御部11は、この第2駆動信号を出力することにより、振動体15を振動させる(ステップS18)。制御部11は、ステップS17及びS18において、予め決められた時間(例えば40msec)が経過するまで第2駆動信号を出力し続け、その間振動体15を振動させ続ける。制御部11がステップS13及びS18において上記のように振動体15を振動させることで、振動体15は、息圧検出部121により検出される息圧の増加量が閾値を超えたとき以降に振動することになる。
ステップS16において演奏情報が送信されてきた楽音合成部24は、その演奏情報に基づいて、前述のとおり選択された管楽器の種類に対応付けられて記憶部22に記憶されている波形データを合成して、楽音信号を生成する(ステップS21)。続いて、楽音合成部24は、次の処理を行う前に予め決められた時間(以下「遅延時間」という。)が経過するまで待機するという遅延制御を行う(ステップS22)。そして、楽音合成部24は、遅延制御を終了すると、D/A変換部25を介して楽音信号をスピーカ装置30に出力する。スピーカ装置30は、増幅部により楽音信号を増幅し(ステップS31)、増幅した楽音信号をスピーカにより放音する(ステップS32)。このとき放音された楽音信号の音色は、上記のとおり選択された管楽器の種類に応じた音色となっている。上記の処理を行うことで、楽音合成部24は、演奏検出部12により検出される息圧、アンブシュア及びキーの状態に応じた音を表す楽音信号を出力する出力手段として機能する。この出力は、振動体15が振動を開始したときよりも後に行われることになる。
以上の手順で処理が行われることで、演奏者は、ステップS13及びS18の処理が実施されたときに、リード41を介して下唇に伝わる振動体15の振動をフィードバックとして与えられ、ステップS32の処理が実施されたときに、演奏した結果出力された音をフィードバックとして与えられる。電子管楽器1においては、ステップS11の処理が実施されてから、ステップS13の処理が実施されるまでに要する時間(以下「第1所要時間」という。)及びステップS18の処理が実施されるまでに要する時間(以下「第2所要時間」という。)に比べて、ステップS32の処理が実施されるまでに要する時間(以下「第3所要時間」という。)の方が、装置間のデータの授受が2回行われることになるため、ステップS22の遅延制御を行わなかったとしても、長くなるようになっている。本実施形態においては、第1所要時間が5msec、第2所要時間が10msecとなり、遅延制御を行わなかった場合の第3所要時間が20msecとなるものとする。
アコースティックの管楽器においては、演奏者が息を吹き込み始めてから、音が出始め、所望の大きさの音が出るまでに、それぞれある程度の時間を要することが分かっている。
図5は、クラリネットを演奏したときに測定される波形の例を示したグラフである。図5で測定されている波形は、口の中の圧力(口腔内圧力という)、リードの振動及びクラリネットから出てくる音(出音という)である。各グラフの縦軸は振幅、横軸は時刻(単位は秒)を示している。図5(a)は、口腔内に設けた圧力センサで測定した口腔内圧力の波形を表し、図5(b)は、リードに貼り付けた振動センサで測定したリードの振動の波形を表す。また、図5(c)は、演奏者の顔付近に配置したマイクロフォンで測定した出音を表す。また、図5(d)は、メトロノームの音の波形を表す。この例では、演奏者は、メトロノームの音が出るタイミングに合わせて開放の実音Fを出すように演奏している。
図5の例では、演奏者は、音を出そうとするタイミングであるメトロノームの音が鳴る時刻(t0とする)よりも約40msec前の時刻(t1とする)に口腔内圧力を高めている。また、時刻t1から、約15msec経過した時刻(t2とする)辺りからリードが振動し始めるとともに、クラリネットの音が出始めている。また、この辺りで口腔内圧力の振動も大きくなり始めている。そして、メトロノームの音が鳴る時刻t0辺りで、出音が安定するようになっている。このように、演奏者は、音が安定して出るまでに要する時間を予め見越して、音を出したい時刻よりもその時間だけ前の時刻から音を出すための事前動作を開始している。
続いて、この演奏を開始した直後の口腔内圧力について詳細に説明する。
図6は、図5のVI部を拡大して示したグラフである。口腔内圧力は、時刻t1にかけて上昇した後、5msecほどの期間(図中のA部)において下降しながら振動している様子が見られる。つまり、演奏者が事前動作を開始した直後から、演奏者の口の中には圧力の振動が与えられている。また、口腔内圧力の振動は、時刻t2以降の期間(図中のB部)、図5で述べたとおり、リードの振動及び出音の振動が大きくなるとともに大きくなっている。つまり、B部における口腔内圧力の振動は、リードの振動によって口腔内の空気が振動させられることで生じるものであり、リードの振動と振幅及び周波数が近くなっている。すなわち、出音の音量及び音高(周波数)とも近くなっている。
図5、図6は、クラリネットを演奏したときの例を示したが、他のアコースティックの管楽器であっても同様のことがいえ、演奏者は、音を出そうとするタイミングよりも一定の時間だけ早く事前動作を開始する。以下では、この時間を「事前動作時間」という。この事前動作時間の長さは、楽器及び演奏者によって異なるが、概ね数十から百数十msecという長さである。演奏装置10の形状と近いクラリネットにおいては、例えば、この事前動作時間の長さが図5で示したとおり40msecであるものとする。この場合、図4のステップS22において、音源装置20の楽音合成部24は、上述した第3所要時間が40msecとなるように、遅延制御を行う。電子管楽器1においては、上記のとおり、遅延制御を行わない場合の第3所要時間が20msecである。そのため、楽音合成部24は、ステップS22において20msec経過するまで待機する。このような遅延制御を行うことで、楽音合成部24は、ステップS11において息圧の増加量が閾値を超えたときから、楽音信号を出力するまでの時間(以下「第4所要時間」という。)を調整する調整手段として機能する。楽音信号が出力されてからスピーカ装置30が放音するまでに要する時間を2msecとすると、上述した例では、楽音合成部24は、第4所要時間が、遅延制御を行わない場合に18msec(20msec−2msec)であったところ、20msecの遅延制御を行うことで38msecとなるように調整する。
以上のように演奏装置10、音源装置20及びスピーカ装置30が動作することで、演奏者が演奏を開始すると、その演奏によりスピーカ装置30が放音するよりも前に、振動体15が振動してその振動がリード41を介して演奏者の下唇に与えられることになる。このとき与えられる振動には2種類あり、図4のステップS13の処理により与えられる振動は、図6のA部における口腔内圧力の振動のように、息圧の増加が検出された後に、出音に関係することなく与えられる。また、図4のステップS18の処理により与えられる振動は、図6のB部における口腔内圧力の振動のように、出音の音量及び音高に応じて与えられる。本実施形態によれば、演奏者は、自分の演奏によって音が出る前であっても、自分が演奏したことに対する楽器の反応を感じることができる。このため、電子管楽器1は、振動体15が振動した後にスピーカ装置30が放音する構成を有しない場合に比べて、吹奏感をアコースティックの管楽器の吹奏感に近づけることができる。また、演奏者は、上記の反応が2種類の振動で与えられることで、与えられる振動が1種類である場合に比べて、よりアコースティックの管楽器を演奏しているときに近い吹奏感を得ることができる。
[第2実施形態]
本発明の第2実施形態に係る電子管楽器は、上述した第1実施形態の電子管楽器1と共通する構成を有するものである。よって、第1実施形態と共通する構成については、同一の符号を付し、その説明を省略する。第1実施形態と本実施形態との主要な相違点は、第1実施形態では、駆動信号と楽音信号とが互いに関与することがなかったが、本実施形態では、これらを互いに関与させるという点である。
図7は、第2実施形態に係る電子管楽器1aの構成を示す図である。電子管楽器1aは、演奏装置10a、音源装置20a及びスピーカ装置30を備える。演奏装置10aはインターフェース16aを備え、インターフェース16aは、音源装置20aとの間でデータを授受し、スピーカ装置30にデータを送信する。音源装置20aは、楽音合成部24aを備え、楽音合成部24aは、生成した楽音信号をD/A変換部25に供給するとともに、インターフェース21を介して演奏装置10に出力する。
図8は、本実施形態に係る電子管楽器1aにおけるフィードバック処理の手順を示すシーケンスチャートである。演奏装置10aの制御部11は、ステップS11の処理を実施した後、上述した第1駆動信号を生成し、生成した第1駆動信号を、振動体15に出力するとともに、インターフェース16aに出力する(ステップS41)。次に、制御部11は、インターフェース16aを介して、第1駆動信号をスピーカ装置30に出力する(ステップS42)。ステップS41及びS42において、制御部11は、インターフェース16aを介して、予め決められた時間(例えば10msec)が経過するまで第1駆動信号を出力し続ける。スピーカ装置30は、ステップS42において出力されてきた第1駆動信号を、増幅部により増幅し(ステップS43)、スピーカにより放音する(ステップS44)。これにより、演奏者は、自分の演奏により出力される音よりも先に、演奏の事前動作を行ったことを表す音を聞くことになり、事前動作に対する演奏装置10の応答(フィードバック)を耳から聞こえる音によって得ることができる。
音源装置20aの楽音合成部24aは、ステップS21において楽音信号を生成すると、次に、生成した楽音信号をインターフェース21を介して演奏装置10に出力する(ステップS45)。制御部11は、ステップS45において出力されてきた楽音信号に応じた駆動信号(以下「第3駆動信号」という。)を生成して振動体15に出力する(ステップS46)。第3駆動信号は、例えば、楽音信号が表す波形そのものを表す信号や、その波形の振幅に或る係数を乗じて振幅を増減させた波形を表す信号などである。いずれの場合も、第3駆動信号は、対応する楽音信号が表す楽音と同じ周波数で振動体15を振動させる信号となっている。そして、制御部11は、この第3駆動信号を出力することにより、振動体15を振動させる(ステップS47)。ステップS21、S45、S46、S47の処理は、ステップS16において出力された演奏情報に基づき生成される楽音信号が継続している間、継続して実施され続ける。つまり、楽音信号の生成が終了すると、振動体15の振動も終了する。以上の処理が行われることで、振動体15は、楽音合成部24が楽音信号を出力している期間に、その楽音信号の波形に応じた波形で振動することになる。これにより、演奏者は、出力されている楽音の音色や音高に応じた振動を、演奏装置10の操作に対するフィードバックとして感じながら演奏することができる。
[第3実施形態]
本発明の第3実施形態に係る電子管楽器は、上述した第2実施形態の電子管楽器1aと構成が共通している。第1及び第2実施形態と本実施形態との主要な相違点は、第1及び第2実施形態では、音源装置側で遅延制御を行ったが、本実施形態では、演奏装置側で遅延制御を行うという点である。
図9は、本実施形態に係る電子管楽器1aにおけるフィードバック処理の手順を示すシーケンスチャートである。演奏装置10aの制御部11は、ステップS15において演奏情報を生成した後、生成した演奏情報を音源装置20aに出力する前に、ステップS17(駆動信号を出力)、S18(振動体を振動)の処理を行う。次に、制御部11は、図4のステップS22と同様の遅延制御を行う(ステップS51)。続いて、制御部11は、ステップS16(演奏情報を出力)の処理を行う。音源装置20aの楽音合成部24aは、ステップS21(楽音信号を生成)の処理を行った後、遅延制御を行うことなく、生成した楽音信号をスピーカ装置30に出力する(ステップS23)。この場合、制御部11は、上述した第4所要時間を調整する調整手段として機能する。電子管楽器においては、得たい音質などとの兼ね合いで、音源装置及びスピーカ装置として様々なものが用いられることが考えられる。上述した第1及び第2実施形態では、遅延制御を実施可能な音源装置が用いられていたが、本実施形態によれば、どのような音源装置であっても、これらの実施形態と同様に演奏者にフィードバックを与えることができる。
[第4実施形態]
本発明の第4実施形態に係る電子管楽器は、上述した各実施形態に係るものと、演奏装置の構成が異なる。演奏装置は、必ずしも吹口部、本体、キーの全てを備えている必要はなく、それらの一部でも良い。
図10は、本実施形態に係る電子管楽器の一例である電子管楽器1bの構成を示す図である。電子管楽器1bは、吹口部のみを備えた演奏装置10bと、音源20と、スピーカ30とを備える。演奏装置10bは、制御部11と、息圧検出部121及びアンブシュア検出部122を有する演奏検出部と、A/D変換部13と、インターフェース16とを有し、上述したMIDIメッセージなどの演奏情報を、発音を制御する信号(発音制御信号)として出力する。本実施形態では、この発音制御信号に基づき、振動体15の制御及び上記の遅延制御を行う後付けユニット70を吹口部に取り付ける。
図11は、後付けユニット70が取り付けられた演奏装置10bの外観を示す図である。演奏装置10bは、図2に示す吹口部40と同じ形状をしており、リード41を有する。後付けユニット70は、ゴム等でリング状に形成されたリング部73と、振動体15とを有し、リング部73を演奏装置10bにはめ込むことで、振動体15がリード41に接触するように固定される。
後付けユニット70は、詳細には、振動体15と、D/A変換部14と、制御部71と、インターフェース72とを有する。インターフェース72は、制御部71、上記のインターフェース16及び音源20のインターフェース21と接続されている。インターフェース72は、演奏装置10b(吹口部)から発音制御信号が入力される信号入力部として機能する。制御部71は、D/A変換部14を介して振動体15に接続されており、上述した制御部11と同様に、振動体15を振動させる。また、制御部71は、インターフェース72及び21を介して楽音合成部24と接続されており、演奏装置10bから入力された発音制御信号を楽音合成部24に供給することで、音源の動作を制御する。この場合、インターフェース72は、音源20に発音制御信号を出力する信号出力部として機能する。制御部71は、例えば、図4、図8、図9に示すフィードバック処理において演奏装置の制御部が行う処理を実行する。これにより、制御部71は、インターフェース72に発音制御信号が入力されたことを契機に振動体15を振動させ、その振動を開始させたときよりも後に発音制御信号による発音を音源が行うように制御する制御手段として機能する。本実施形態によれば、振動体が備えられていない電子管楽器であっても、後付けユニット70を取り付けることで、上記のように音が出る前に振動体15を振動させてることができる。これにより、演奏者は、演奏によって音が出る前であっても、自分が演奏したことに対する楽器の反応を感じることができる。
以上のとおり、後付けユニット70は、上記の振動体15、信号入力部及び制御手段を備え、電子管楽器に取り付けられてその電子管楽器に振動を伝える振動制御装置として機能するものである。なお、本実施形態に係る演奏装置には、演奏装置1bの他にも、手持ちの吹口部に相当するインターフェースに対して取り付け可能な楽器本体のみを備えたものや、楽器本体に取り付け可能なキーのみ備えていて、それぞれ内部に制御部71のように振動制御と遅延制御を行う制御部を有するものなども考えられる。また、後付けユニットは、音源装置20が備えているような音源としての機能を有していてもよい。この場合、後付けユニットは、音源装置20の記憶部22及び音源操作部23と同様の記憶部及び音源操作部を有し、制御部71が、楽音合成部24と同様の処理を行う。
なお、振動体15は、マウスピース、または他の電子管楽器を構成する一部の部品に対して一体に組み込まれて電子管楽器の一部の部品として提供されるものであってもよいし、あるいは、電子管楽器を構成する部品とは別体となっていてその電子管楽器に後から装着されるものであってもよい。また、振動体15以外でも、音源装置20、スピーカ装置30を電子管楽器に取り付けて、電子管楽器と一体にして演奏できるようにしてもよい。
[変形例]
上述した各実施形態は、本発明の実施の一例に過ぎず、以下のように変形させてもよい。また、上述した各実施形態及び以下に示す各変形例は、必要に応じて組み合わせて実施してもよい。
(変形例1)
第1及び第2駆動信号は、上述した各実施形態においては、正弦波の信号であったが、これに限らず、例えば矩形波又は三角波等の信号であってもよい。要するに、これらの駆動信号は、所定の周波数を表す信号となっていればよい。
(変形例2)
演奏装置10の制御部11は、上述した各実施形態においては、第1、第2及び第3駆動信号を、所定の周波数で振動体15を振動させるものとなるように生成した。制御部11は、これらの駆動信号を、アコースティックの管楽器が鳴らす音に含まれるような、上記所定の周波数とは異なる周波数成分を広く含む信号としてもよい。
図12は、アルトサックスの吹奏音を表したスペクトログラムである。図12の縦軸は周波数(Hz)、横軸は時間を示している。図12では、E音を出したときの吹奏音が表されている。図12に示すとおり、この音の出始めであるC部において、E音の基本周波数の整数倍の周波数(いわゆる調和成分)に加え、それらとは異なる周波数(いわゆる非調和成分)において波が強く現れている。
本変形例においては、制御部11は、第1駆動信号を出力したときから予め定められた時間(以下「初期時間」という。)の間は、各駆動信号にホワイトノイズやピンクノイズなどのノイズを加えて出力し、初期時間が経過した後は、加えていたノイズを除いて出力する。この初期時間としては、例えば、アルトサックスの音色の音を出力する場合であれば、上述した事前動作時間と、図12に示すC部の波が現れている時間とを合計した時間が予め定められているとよい。ここでいうノイズとは、楽音信号に比べて、調和成分と非調和成分との強さの差が小さい波のことをいう。各駆動信号にこのノイズが加えられることで、振動体15は、振動を開始した後、上記初期時間の間は、非調和成分の周波数を強くした波形で振動し、初期時間が経過した後は、元の波形で振動することになる。本変形例によれば、駆動信号にノイズが加えられない場合に比べて、演奏が開始されたときのフィードバックをアコースティックの管楽器におけるフィードバックに近づけることができる。
(変形例3)
演奏装置は、上述した各実施形態では、クラリネットに近い形状をしていたが、これ以外の形状をしたものであってもよい。例えば、トランペットやホルンなどのリップリードの楽器の形状であってもよいし、フルートやピッコロなどのエアリードの楽器やオーボエやファゴットなどのダブルリードの楽器の形状であってもよい。これらの場合、それぞれの吹口部の形状に応じて、振動体が固定される。
図13は、本変形例に係る吹口部の例を示す図である。図13(a)は、リップリードの楽器の吹口部40aを示している。吹口部40aは、演奏者の唇が接触するカップ面45を有し、カップ面45に2つの振動体15aがそれぞれ固定されている。図13(b)は、エアリードの楽器の吹口部40bを示している。吹口部40bは、演奏者の唇が接触するリッププレート46を有し、リッププレート46に振動体15bが固定されている。図13(c)は、ダブルリードの楽器の吹口部40cを示している。吹口部40cは、2枚のリード41cを有し、リード41cのそれぞれに振動体15cが固定されている。本変形例によれば、演奏者は、振動体15a又は振動体15b、15cがそれぞれ固定された部材であるリッププレート46やリード41cの振動を唇に感じることで、フィードバックを得ることができる。
(変形例4)
振動体15は、上述した各実施形態では、吹口部40の内部でリード41に固定されていたが、これ以外の場所に固定されていてもよい。例えば、振動体15は、吹口部40のリード41以外の部分や、本体50に固定されていてもよい。この場合、振動体15は、演奏中に演奏者の指が本体50に触れる場所や演奏用キー60の周辺など、その振動が本体50又は演奏用キー60を介して演奏者の手又は指に伝わりやすい位置に固定されることが望ましい。これにより、演奏者は、演奏装置10から手に伝えられてくる振動によってフィードバックを得ることができる。また、振動体15は、演奏装置10に複数固定されていてもよく、例えば、吹口部40の内部と本体50の演奏用キー60近辺とに固定されていてもよい。これにより、演奏者は、唇と手指の両方からフィードバックを得ることができる。要するに、振動体は、吹口部40及び本体50からなる楽器本体に設けられていればよい。
(変形例5)
振動体は、上述した各実施形態では、圧電アクチュエータであったが、入力される駆動信号を振動に変換するものであれば、他のものであってもよい。例えば、振動体は、スピーカのコーン紙などを振動させるいわゆるボイスコイルや、回転を振動に変える構造を有するいわゆる振動モータなどであってもよい。振動体は、演奏装置10を振動させるものに限らず、空気の振動、すなわち音によって演奏者にフィードバックをするものであってもよい。
図14は、本変形例に係る振動体の例であるスピーカを示す図である。図14(a)では、吹口部40dの内部に固定されたスピーカ15dが示されている。スピーカ15dは、制御部11から出力されてくる駆動信号に応じた音を出力し、音という空気の振動によって演奏者に振動を伝える振動体である。スピーカ15dの周囲は吹口部40dに囲まれているため、スピーカ15dが出力した音は、チェンバー及びバッフルを通って演奏者の口腔に到達する。これにより、演奏者は、口腔内の空気の振動を感じることによって、フィードバックを得ることができる。
図14(b)では、吹口部40eに固定されたスピーカ15eが示されている。スピーカ15eは、スピーカ15dと同様に吹口部40eの内部に向けて固定されている一方、スピーカ15dと異なり、外部にも開放された状態となっている。このため、スピーカ15eが出力した音は、口腔内に到達する他、吹口部40eの外部を伝達して演奏者の耳にも到達する。これにより、演奏者は、口腔内の空気の振動に加え、耳から聞こえる音によっても音響的なフィードバックを得ることができる。
図14(c)では、本体50fに固定されたスピーカ15fが示されており、図14(d)では、本体50gに固定されたスピーカ15gが示されている。スピーカ15fは、本体50fに設けられた空間52fに固定されている。空間52fは、吹口部40に開口している。スピーカ15fは、出力した音が口腔内に到達することで、スピーカ15dが出力した音と同様に、演奏者にフィードバックを与えることができる。スピーカ15gは、スピーカ15eと同様に、外部に開放された状態となっている。スピーカ15gは、出力した音が口腔内の空気を振動させることに加え、耳にも到達することによって、スピーカ15eが出力した音と同様に、音響的なフィードバックを演奏者に与えることができる。また、スピーカ15f、15gは、それぞれ本体に固定されるようになっているため、吹口部を取り替えても、上記フィードバックを演奏者に与えることができる。
また、本変形例においては、演奏検出部12が、ハイカットフィルタを有し、息圧検出部121及びアンブシュア検出部122が、このハイカットフィルタを通してアナログ信号を出力してもよい。上述した本変形例に係る各スピーカが出力する音は基音が数十〜数kHzの交流である。これに対し、息圧検出部121の圧力センサやアンブシュア検出部122の接触面積センサ、位置検出センサ又は圧電素子などの変形を検出するセンサが出力する信号は数Hz以下である。このため、これらのセンサがスピーカの音により振動してその振動を検出したとしても、その検出された信号はハイカットフィルタにより取り除かれる。これにより、本変形例に係る各スピーカが出力する音の影響で息圧検出部121が息圧を示す信号以外の信号を制御部11に供給することを、防ぐことができる。また、アンブシュア検出部122が接触面積センサや位置検出センサによって上記の操作状態を検出する場合であれば、本変形例に係る各スピーカが出力する音の影響でアンブシュア検出部122がアンブシュアを示す信号以外の信号を制御部11に供給することを、防ぐことができる。
(変形例6)
電子管楽器1においては、演奏装置10の本体50の中に音源装置20が備える各部が収められていてもよい。その場合、楽音合成部24が行う処理を制御部11が行うようにしてもよい。この場合の制御部11は、楽音信号を出力する出力手段として機能し、かつ、上述した遅延制御を行う調整手段としても機能することになる。また、これに加えて、本体50の中にスピーカ装置が収められていてもよい。この場合、各装置を接続するインターフェース及び配線が不要となる。これにより、ユーザは、演奏装置に接続される配線を気にすることなく演奏することができる。
(変形例7)
電子管楽器は、スピーカ装置を備えていなくてもよい。この場合、電子管楽器は、楽音合成部24が生成した楽音信号を、振動体15が振動を開始した後に外部のスピーカ装置に出力する構成を備える。これにより、楽音信号が出力されてから放音されるまでに要する時間に関わらず、この構成を備えない場合に比べて、電子管楽器の吹奏感をアコースティックの管楽器の吹奏感に近づけることができる。また、演奏者は、例えばスピーカ装置を持ち歩かずに、演奏する場所に備え付けられているスピーカ装置で放音させるといった使い方ができる。
さらに、電子管楽器は、音源装置20も備えていなくてもよい。この場合、電子管楽器の制御部11は、外部の音源装置に対してMIDIメッセージを送信することで、息圧検出部121により検出される圧力に応じた音を表す楽音信号を出力するように指示する指示手段として機能することになる。この外部の音源装置は、音源装置20と同様に、演奏検出部12により検出される息圧、アンブシュア及びキーの状態に応じた音を表す楽音信号を出力する出力手段として機能するものである。このとき、制御部11は、必要に応じて、MIDIメッセージの送信を行う前に、図9のステップS51と同様の遅延制御を行うことで、振動体15が振動を開始したときよりも後に、上記の楽音信号を出力するように指示するようになっていればよい。
(変形例8)
演奏装置10の制御部11は、上述した各実施形態においては、第1及び第2駆動信号、又はそれに加えて第3駆動信号を出力したが、第1と第3、第2と第3の駆動信号を出力するようにしてもよい。要するに、制御部11は、少なくとも第1駆動信号又は第2駆動信号のいずれか1つの駆動信号を出力して、振動体15を振動させればよい。いずれにしても、振動体15は、息圧検出部121により検出される息圧の増加量が閾値を超えたとき以降であり、かつ、スピーカ装置30が放音する前に、振動することになる。これにより、演奏者は、演奏により出力される音が耳から聞こえてくるよりも前に事前動作に対するフィードバックを得ることができるため、そのようなフィードバックが得られない場合に比べて、よりアコースティックの管楽器を演奏しているときに近い吹奏感を得ることができる。
(変形例9)
演奏装置10の制御部11は、演奏が継続しているときに、音が切り替わるタイミングで上述したパルスなどを含む駆動信号を出力してもよい。この場合、制御部11は、演奏用キー検出部123から供給される信号が表す各キーの状態が変化したときに、上記パルスを含む駆動信号を生成して振動体15に出力する。これにより、振動体15は、楽音合成部24が楽音信号を出力している期間に振動し、その期間において演奏用キー検出部123により検出される各キーの状態が変化したときに、振動の波形を変化させることになる。本変形例によれば、演奏者は、音が切り替わるタイミングには、それ以外のタイミングとは異なる波形の振動を感じることになり、上記のように駆動信号を出力しない場合に比べて、音を切り替えるという操作に対するフィードバックを、他の操作に対するフィードバックとは別のものとして感じることが容易になる。
(変形例10)
演奏装置10の制御部11は、演奏がされていない状態、すなわち、図4のステップS11における息圧の増加が検知されていない状態のときに、演奏用キー60の操作に応じて振動体15を振動させてもよい。この場合、制御部11は、ステップS11の検知がされていない状態で、演奏用キー検出部123から供給される信号がいずれかのキーがON状態となっていることを表すものであることを検知すると、そのときの各キーの状態に応じた駆動信号又は予め定められた駆動信号を生成して出力する。アコースティックの管楽器は、演奏者が息を吹き込んでいない状態でも、演奏用キーを操作すると、各キーが管楽器の本体に衝突することにより、本体が振動したり音が鳴ったりするという挙動を見せることがある。本変形例によれば、制御部11が上記の処理を行わない場合に比べて、演奏装置10の挙動を、このようなアコースティックの楽器の挙動に近づけることができる。
(変形例11)
電子管楽器は、上述した各実施形態においては、演奏装置の制御部又は音源装置の楽音合成部のいずれかにより遅延制御を行ったが、これらの両方で遅延制御を行ってもよい。この場合、それらの遅延制御における遅延時間の合計が、図4のステップS22で行われる遅延制御の遅延時間と一致していればよい。要するに、電子管楽器においては、所望のアコースティックの管楽器における事前動作時間と、図4の説明で述べた第3所要時間、すなわち、ステップS11の処理(息圧の増加を検知)が実施されてからステップS32の処理(楽音信号を放音)が実施されるまでに要する時間とが一致するように遅延制御が行われればよい。この場合、制御部11及び楽音合成部24が協働することで、上述した第4所要時間(息圧の増加量が閾値を超えたときから、楽音信号を出力するまでの時間)を調整する調整手段として機能する。
(変形例12)
電子管楽器は、或る条件が満たされる場合には、遅延制御を行わないようにしてもよい。遅延制御を行わない条件とは、例えば、演奏者が演奏したい管楽器がクラリネットであり、かつ、上記第3所要時間が上述したクラリネットの事前動作時間である40msecとなっている場合である。この場合、電子管楽器が遅延制御を行わなくとも、演奏者は、第3所要時間がこれとは異なる場合に比べて、アコースティックのクラリネットに近い吹奏感を得ることができる。要するに、電子管楽器においては、所望のアコースティックの管楽器における事前動作時間と、第3所要時間とが一致していれば、遅延制御を行わなくともよい。
(変形例13)
電子管楽器1においては、出力される音の音色によって遅延時間を変化させるようにしてもよい。この場合、音源装置20の記憶部22は、電子管楽器1において遅延制御が行われなかった場合の事前動作の開始から放音までの時間、すなわち第3所要時間を記憶する。この第3所要時間は、例えば、第1実施形態で述べたように20msecであるものとする。また、記憶部22は、上述したとおり、波形データを管楽器の種類に対応付けて記憶している。記憶部22は、その管楽器の種類と、予め決められた第3所要時間とを対応付けたテーブルを記憶する。
図15は、記憶部22に記憶されているテーブルの一例を示す図である。このテーブルでは、クラリネット、アルトサックス、トランペットという管楽器の種類に対応付けて、40、70、120(単位はmsec)という第3所要時間が対応付けられている。これらの第3所要時間は、例えば、それぞれの種類のアコースティックの管楽器を演奏者が演奏したときにおける、事前動作の開始から音が鳴るまでの時間を測定したものである。この測定は、その管楽器のマウスピースに取り付けた圧力センサと、その管楽器の音を収音するマイクロフォンとを用いて行われる。詳細には、その圧力センサが検出する圧力が閾値以上増加した時刻から、そのマイクロフォンがその管楽器の音を収音し始めた時刻までの時間が、第3所要時間として測定される。
本変形例に係るフィードバック処理について説明する。前述したとおり、フィードバック処理の前には、管楽器の種類が選択されている。そして、音源装置20の楽音合成部24は、図4に示すステップS22において、電子管楽器1における第3所要時間が、その選択された管楽器の種類に対応付けられて記憶部22に記憶されている第3所要時間となるように遅延制御を行う。例えば、選択された管楽器の種類がアルトサックスであった場合、楽音合成部24は、アルトサックスに対応付けられた第3所要時間である70msecと、上記の遅延制御が行われなかった場合の第3所要時間である20msecとの差の50msecを遅延時間とした遅延制御を行う。そして、楽音合成部24は、図4に示すステップS11において息圧の増加量が閾値を超えた後、その時点で選択されている管楽器の種類、この場合はアルトサックスに応じた第3所要時間である70msecが経過したときから、そのアルトサックスに応じた音色の音を表す楽音信号を出力する。
この場合、楽音合成部24は、選択された管楽器の種類に応じた長さに上記第4所要時間を調整する調整手段としても機能する。例えば、上述したように楽音信号が出力されてからスピーカ装置30が放音するまでに要する時間を2msecとすると、楽音合成部24は、18msec(20msec−2msec)だった第4所要時間を、50msecの遅延制御を行うことで68msecとなるように調整する。この68msecという時間は、アルトサックスに対応付けられた第3所要時間である70msecから上記2msecを減じた時間であり、つまりはアルトサックスの音色に応じた第4所要時間となっている。以上のとおり遅延制御が行われることで、演奏装置10を演奏者が演奏したときに、その演奏者が事前動作を開始してから音が鳴るまでに経過する時間が、アコースティックのアルトサックスを演奏したときのその時間と一致することになる。また、そのときに出力される音は、アルトサックスの音色となっている。このため、演奏者は、演奏装置10を演奏したときに、上記のように遅延制御を行わない場合に比べて、アコースティックのアルトサックスを演奏したときの吹奏感により近い吹奏感を得ることができる。
(変形例14)
電子管楽器1においては、演奏用キー検出部123により検出される状態に応じて遅延時間を変化させるようにしてもよい。この場合、音源装置20の記憶部22は、変形例13と同様に、例えば20msecである第3所要時間を記憶する。また、記憶部22は、上記のように検出される状態と、予め決められた第3所要時間とを対応付けたテーブルを記憶する。このテーブルでは、例えば、ON状態が検出されたキーのうち、吹口部40から最も遠い位置にあるものと吹口部40との距離が大きいほど、第3所要時間が長くなり、この距離が短いほど、第3所要時間が短くなるようになっている。例えば上述した第1実施形態であれば、このテーブルでは、MIDIメッセージにおいて音高を示すノート番号と、その音高の音を演奏するときにおけるこの距離に応じた第3所要時間とが対応付けられている。この場合、楽音合成部24は、図4に示すステップS16で送信されてきたMIDIメッセージのノート番号に対応付けられている第3所要時間から20msecを減じた時間だけステップS22において遅延制御を行う。
図16は、記憶部22に記憶されているテーブルの一例を示す図である。このテーブルは、管楽器の種類がアルトサックスの場合のものである。このテーブルでは、アルトサックスにおいて最も音高が低い音(C#2)であるノート番号「49」に「100」(単位はmsec)という第3所要時間が対応付けられている。また、左手だけでキーを押さえているときに出る音(A#3)であるノート番号「58」に「70」msecという第3所要時間が対応付けられ、開放音(E3)であるノート番号「64」に「50」msecという第3所要時間が対応付けられている。この図では、以上の3つの対応付けを示しているが、このテーブルでは、アルトサックスにおいて演奏することが可能な他の音高の音のノート番号に対しても、第3所要時間がそれぞれ対応付けられている。なお、このテーブルは、変形例13で述べたように選択される管楽器の種類によって異なっていてもよい。例えば、クラリネットであれば20〜40msec、トランペットであれば90〜150msecの第3所要時間を対応付けるといった具合である。なお、上記の距離が同じで音高が異なる場合には、第3所要時間を、音高が高いほど短くし、音高が低いほど長くしてもよい。また、これらの第3所要時間は、個人の好みや各管楽器の性質によって定められていてもよい。
(変形例15)
演奏装置10の制御部11は、上述した各実施形態では、図4等のステップS11において、息圧の増加を検知したが、息圧の減少を検知してもよい。図5(a)に示す口腔内圧力のグラフにおけるD部では、息圧が増加する前に減少していることが示されている。この減少は、演奏者が吹口部40に息を吹き込む前に、息を吸い込んでいることを表している。制御部11は、例えば、決められた期間(例えば0.5秒)において息圧検出部121により検出される息圧の減少量の絶対値が閾値を初めて超えたときに、息圧が減少したこと検知する。この場合、制御部11は、息圧の増加を検知する場合よりも早いタイミングでステップS12以降の処理を行うことができるため、事前動作に対するフィードバックを演奏者に与えるタイミングも早くすることができる。上述した各実施形態における息圧の増加量と、本変形例に係る息圧の減少量の絶対値とは、要するに、息圧の変化量である。つまり、制御部11は、息圧検出部121により検出される息圧の変化量が閾値を超えたときを検知する。そして、振動体15は、制御部11による検知がされたとき以降に振動する。
(変形例16)
演奏装置10の制御部11は、図4に示すステップS11において、変形例15で述べたように息圧の変化量が閾値を超えたときを検知したが、図5(a)に示す口腔内圧力の値であるE0、E1、E2が測定されるときの息圧の値がそれぞれ既知であれば、それらの値に応じてこの検知を行ってもよい。このE0は、演奏者が息を吸ったり吐いたりしていないときの口腔内圧力である。E1は、事前動作において息を吸い込んだときの、E2は、事前動作において吹口部40に息を吹き込み始めたときの口腔内圧力である。具体的には、制御部11は、ステップS11の処理で説明した期間(例えば0.5秒間)において息圧検出部121により検出される息圧が初めて閾値よりも小さく又は大きくなったときを検知する。これらの閾値は、例えば、口腔内圧力がE0からE1に減少するときに検出される息圧が取り得る値、又は口腔内圧力がE1からE2に増加するときに検出される息圧が取り得る値である。要するに、制御部11は、息圧が、事前動作の開始時に見られるような決められた変化(例えば閾値より大きくなるという変化やその変化量が閾値を超えるという変化)をしたときを検知すればよい。
(変形例17)
電子管楽器1は、上述した各実施形態において、演奏情報をMIDI形式のデータ(MIDIメッセージ)で表したが、これに限らず、例えば、DLS(Downloadable Sounds)やXMF(eXtensible Music Format)など、他のデータ形式で表してもよい。要するに、電子管楽器1は、演奏装置10から音源装置20に対して演奏の内容を表す情報、すなわち演奏情報が伝えられるのであれば、その演奏情報をどのようなデータ形式で伝えてもよい。
(変形例18)
演奏装置は、演奏用キーを備えないものであってもよい。この場合、演奏装置の制御部は、演奏検出部から供給されるデータが示す息圧及びアンブシュアに応じて演奏情報を生成する。本変形例においても、この制御部が上述した各実施形態と同様に振動体を振動させることで、演奏者がフィードバックを得ることができる。
(変形例19)
音源装置としては、例えば波形メモリを使用したPCM(pulse code modulation)方式により楽音を合成するものが考えられる。しかし、この方式では、或る決まった演奏状態での録音波形が使用されるため、演奏に応じて時々刻々と変化する振動の変化をつけることは困難である。そこで、音源装置は、楽器の発音の原理を模擬することで楽音を合成するようにしてもよい。楽音をこのように合成する方式を、物理モデル方式といい、例えば、特開2009−186964号公報には、演奏者の唇の作用を反映させてリードの挙動を模擬することで忠実な楽音を合成する技術が記載されている。本変形例に係る音源装置は、物理モデル方式で楽音を合成する処理に、このような周知の技術を用いればよい。この場合、物理モデル音源に与える演奏情報は、当該発明の演奏検出部で検出したものに加え、必要に応じてこれらを拡張したもの(例えば唇のリードへの接触位置に相当する演奏情報など)を用いればよい。演奏者の演奏に応じて時々刻々と変化する演奏情報を元に、物理モデル音源内部でフィードバックさせたい箇所(例えばリードの唇接触位置)の、振動信号の種類(例えば振動変位)に相当する振動信号で振動体を振動させるので、演奏者は、本物の管楽器と同様、演奏に応じて時々刻々と変化する振動のフィードバックを適切に得ることができる。
(変形例20)
演奏検出部は、上述した実施形態では、息圧、アンブシュア及びキーの状態を検出したが、これに限らず、息圧及びアンブシュア、息圧及びキーの状態、又は息圧のみを検出してもよい。アコースティックの管楽器においては、息圧を変化させるだけでも、出力される音の音量、音高及び周波数分布が変化する。本変形例に係る電子管楽器は、例えば、このときのアコースティックの管楽器の挙動を変形例17で述べた物理モデル方式で模擬することで楽音を生成する。これにより、息圧検出部121により検出される息圧に応じた音量、音高及び周波数分布の音が出力される。
(変形例21)
演奏装置10の制御部11は、図4等のステップS14(操作状態を検出)の処理を、ステップS12(駆動信号を出力)又はステップS13(振動体を振動)の処理の前に実施してもよいし、これらの処理と並行して実施してもよい。また、制御部11は、ステップS17(駆動信号を出力)の処理を、ステップS16(演奏情報を出力)の処理よりも前又は並行して実施してもよい。要するに、制御部11は、ステップS11の処理が実施された後であれば、ステップS12及びS14をどのような順番で行ってもよい。また、制御部11は、ステップS15の処理を実施した後であれば、ステップS16及びS17の処理をどのような順番で行ってもよい。
(変形例22)
上述した各実施形態における各インターフェースは、互いに有線で接続されていてもよいし、無線で接続されていてもよい。要するに、各インターフェースは、互いに通信を行ってデータを授受できるようになっていればよい。この場合、演奏装置10の制御部11や後付けユニット70の制御部71、音源装置20の楽音合成部24は、振動を開始させるタイミング(時刻)、発音を開始させるタイミング(時刻)及びそれらの時間差を、通信による遅延時間を考慮して決定する。つまり、これらの各部は、通信による時間の遅延があった場合でも、これらのタイミング及び時間差で振動及び発音が開始されるように処理を行う。
(変形例23)
本発明は、上述した各実施形態及び各変形例における電子管楽器の他に、第4実施形態における後付けユニット、すなわち振動制御装置としても把握される。また、本発明は、この電子管楽器及び振動制御装置を制御するコンピュータ(制御部11及び71)に図4、図8及び図9で示した演奏装置の処理を実行させるためのプログラムとしても把握される。なお、これらのプログラムは、電子管楽器に接続してその電子管楽器から供給される演奏情報に基づき発音する、すなわち音源として機能するパーソナルコンピュータやスマートフォンなどにより実行されてもよい。これらのプログラムは、それを記憶させた光ディスク等の記録媒体の形態で提供されたり、インターネット等の通信回線を介して、コンピュータにダウンロードさせ、それをインストールして利用可能にするなどの形態でも提供されたりするものであってもよい。
1…電子管楽器、10…演奏装置、20…音源装置、30…スピーカ装置、11、71…制御部、12…演奏検出部、121…息圧検出部、122…アンブシュア検出部、123…演奏用キー検出部、13…A/D変換部、14…D/A変換部、15…振動体、16、21、72…インターフェース、22…記憶部、23…音源操作部、24…楽音合成部、25…D/A変換部、40…吹口部、41…リード、44…支柱、50…本体、51…外周面、60…演奏用キー、70…後付けユニット、73…リング部

Claims (9)

  1. 演奏者により息を吹き込まれる吹口部を有する楽器本体と、
    前記吹口部へ吹き込まれる息の圧力を検出する息圧検出手段と、
    前記楽器本体に設けられ、前記息圧検出手段により検出される圧力が決められた変化をしたとき以降に振動する振動手段と、
    楽音信号を出力する出力手段に対して、前記振動手段が振動を開始したときよりも後に、前記息圧検出手段により検出される圧力に応じた音を表す前記楽音信号を出力するように指示する指示手段と
    を備えることを特徴とする電子管楽器。
  2. 前記息圧検出手段により検出される圧力が前記変化をしたときから、前記指示手段が前記指示を行うまでの時間を調整する調整手段を備える
    ことを特徴とする請求項1に記載の電子管楽器。
  3. 管楽器の種類を選択する選択手段を備え、
    前記調整手段は、前記選択手段により選択される種類に応じた長さに前記時間を調整し、
    前記指示手段は、前記選択手段により選択される種類に応じた音色の音を表す楽音信号を出力するように前記指示を行う
    ことを特徴とする請求項2に記載の電子管楽器。
  4. 前記演奏者により操作される演奏操作子と、
    前記演奏操作子の状態を検出する操作検出手段とを備え、
    前記調整手段は、前記操作検出手段により検出される状態に応じた長さに前記時間を調整する
    ことを特徴とする請求項2又は3に記載の電子管楽器。
  5. 前記振動手段は、前記指示手段が前記出力手段に対して前記楽音信号を出力するように指示している期間に、当該楽音信号に応じた波形で振動する
    ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の電子管楽器。
  6. 前記演奏者により操作される演奏操作子と、
    前記演奏操作子の状態を検出する操作検出手段とを備え、
    前記振動手段は、前記指示手段が前記出力手段に対して前記楽音信号を出力するように指示している期間に振動し、当該期間において前記操作検出手段により検出される状態が変化したときに、振動の波形を変化させる
    ことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の電子管楽器。
  7. 振動する振動体と、
    電子管楽器から発音制御信号が入力される信号入力部と、
    前記信号入力部に前記発音制御信号が入力されたことを契機に前記振動体を振動させ、当該振動を開始させたときよりも後に当該発音制御信号による発音を音源が行うように制御する制御手段と
    を備えることを特徴とする振動制御装置。
  8. 前記振動体は、前記電子管楽器の一部の部品に対して一体に組み込まれ、又は当該部品とは別体になっていて当該電子管楽器に装着される
    ことを特徴とする請求項7に記載の振動制御装置。
  9. 演奏者により息を吹き込まれる吹口部を有する楽器本体と、前記吹口部へ吹き込まれる息の圧力を検出する息圧検出手段と、前記楽器本体に設けられて振動する振動手段とを備える電子管楽器を制御するコンピュータに、
    前記息圧検出手段により検出される圧力が決められた変化をしたとき以降に振動するように振動手段を制御するステップと、
    楽音信号を出力する出力手段に対して、前記振動手段が振動を開始したときよりも後に、前記息圧検出手段により検出される圧力に応じた音を表す前記楽音信号を出力するように指示する指示ステップと
    を実行させるためのプログラム。
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