JP5262731B2 - 電子鍵盤楽器 - Google Patents
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Description
しかし、電子鍵盤楽器は、電子音源で生成された楽音信号をスピーカから発音させるものである。従って、演奏している実感に乏しく、感情移入のしやすさという面で、生の自
然楽器に及ばなかった。
そのため、従来、電子鍵盤楽器において、アコースティックピアノを弾いているときの振動感を創出する技術がある。
この従来技術は、鍵支点の位置が示されていない。しかし、当時の鍵盤は、鍵支点の位置が鍵盤が隠れて見えない奥の位置にある。従って、押鍵検出直後に、振動板又は振動フレームを振動させたとしても、鍵支点から鍵の本体部を経由して指先に伝わる振動は減衰してしまうから、押鍵検出直後には、指先に振動が伝わらないと推測される。
ところが、アコースティックピアノでは、ダンパーペダルを踏んでいた場合や、強い押鍵操作の場合に、鍵がストッパに衝突する前にハンマーが飛び、鍵が振動する。しかし、上述した従来技術では、鍵が下限ストッパに当接する以前に発生する振動をリアルに再現できない。
機械振動発生器が振動すると、フレームに結合された部材又は空気振動を介して、鍵盤装置の全体を振動させる。また、鍵をさらに深く押し下げると、突片がフレームに当接するから、突片を経由した振動もまた演奏者の指に伝わる。
しかし、上述した機械振動発生器は、鍵の支点より前方に配置されている。そのため、振動が鍵の支点から鍵の本体部を経由して演奏者の指に伝達されるまでの距離が長くなり、振動が減衰しやすい。なお、鍵フレームと棚板との間に防振部材を設けているため、棚板には振動が伝達されない。
響板は、ゴム製板部材を介してフレームに固定保持され、響板の振動が脚体に伝達させないようにしている。
ダンパーペダルがオン状態のとき、これらのトランスデューサにダンパ音の波形データが供給され、響板からダンパ音が発生する。しかし、鍵盤から演奏者の手足に伝わる振動については特に考慮されていない。
鍵盤の中央における棚板にペダル支柱が配設されているため、鍵盤とともにペダルも効率よく振動させることができ、足でも振動を感知することができる。
一般に、低音の楽音が振動として感知しやすいから、自然楽器のアコースティックピアノにおいては、鍵盤の中央から低音部側で振動を感知しやすい。そのため、上述した棚板用トランスデューサの配置により、アコースティックピアノにおいて感知されるのと同様に、鍵盤の中央から低音部側で振動を感知できる。
また、アコースティックピアノにおいては、鍵盤の中央から高音部側で発生する楽音による振動は感知されにくいので、高音部側には、棚板用トランスデューサを設けなくても、作用効果に影響なくコストを低減できる。
このような配設にすれば、鍵の押切位置で、鍵の先端部側の底面が棚板側に当接したとき、当接部を経由しても振動を感知させることができる。
棚板用トランスデューサの中心が、鍵支持部材の位置にあるよりは、上述した構造の方が、押切位置でも振動を感じやすいから、鍵盤に伝わる振動が自然である。
従って、自動演奏ユニットの配置と棚板用トランスデューサの理想的な配置とが部分的に重なっても、配置が可能となる。自動演奏ユニットは、引出式の操作パネル部の内部に設けることができる。引出しは、その両側縁のみが筐体の奥行き方向に延ばす必要があるものであるから、平面視コ字型に形成することが可能である。
特に、大きなスピーカエンクロージャとペダルとを備えて豊かな楽音を発生する電子鍵盤楽器に適用することにより、さらに一層、演奏実感が得られ、感情移入がしやすい電子鍵盤楽器を得ることができる。
図1(a)において、内部構造については、本願発明に関係の深いもののみを破線で示した。図1(b)は、図1(a)における鍵盤とその周辺の拡大図であり、内部構造も実線で示す。
図中、筐体の底は、棚板(前底板)1と後底板2とで構成され、棚板1は、鍵盤を載置する鍵盤ベース板である。鍵盤は、演奏を行うために演奏者によって操作される複数の白鍵31、黒鍵32が配列されたものであり、グランドピアノでは88個の鍵が標準である。
筐体の側面は、前側面(前板)を形成する口棒4、横側面を形成する脇側板5と側板6、及び、後面を形成する背面板28で構成されている。鍵盤(白鍵31、黒鍵32)は、その前面下部が口棒4により、その左右の側面が脇側板5に囲まれている。筐体の前面上部は、上前板7と、前天板8、後天板9で覆われている。
前天板8と後天板9により構成される筐体の天板面は、前屋根10及び大屋根11により開閉される。
3本の脚柱12は、前面の左右両端と後中央とにあり、下部にキャスタ13を備える。棚板1の下面には、鍵盤の鍵並び方向に沿って棒状の支持ベース14が固着され、この長手方向中央部に、取付ベース15が固着されている。この取付ベース15の鍵盤中央部に、左右一対のペダル支柱16が取り付けられている。ペダル支柱16の最下部にペダル箱17が設けられ、ここに、3本のペダル18の回動支持部が設けられている。3本のペダル18はそれぞれ、ロッド19にリンクしている。
3本のペダル18のうち、演奏者から見て、右がダンパーペダル、中央がソステヌートペダル、左がソフトペダルである。ペダル箱17の底は、床面から離れている。上述した、取付ベース15、ペダル支柱16、ペダル箱17、ペダル18、ロッド19、クランク箱20、機械電気変換箱21により、ペダルユニットが構成される。
後底板2は、下部スピーカボックス22の底板であるとともに、下部スピーカボックス22のバッフル板でもある。22aは、下部スピーカボックス22の上板であるとともに、上部スピーカボックス23の底板でもある。22bは、下部スピーカボックス22の周辺を囲む外側板である。
23aは、上部スピーカボックス23の上板であるとともに、上部スピーカボックス23のバッフル板でもある。23bは、上部スピーカボックス23の周辺を囲む外側板である。
操作パネル部(自動演奏ユニット)27は、引出式であって、その摘み27aを用いて口棒4の下から手前側に引き出して使用される。引き出されない状態においては、操作パネル部27が演奏者に見えないために、アコースティックピアノであるかのような外観を呈する。
そのため、操作パネル収容部26、操作パネル部(自動演奏ユニット)27は、平面視コ字型に形成され、その後方に凹部を形成し、この凹部に、棚板用トランスデューサ25の少なくとも一部分が位置するように配設される。
31は白鍵、32は黒鍵である。これらの鍵長手方向の略中央部に筬(おさ)33が固着されている。
筬33は、アコースティックピアノの部品と同様のものである。鍵盤の鍵並び方向に設けられたものであり、白鍵31、黒鍵32の支点部を支持する鍵支持部材である。
その上面は、鍵の長手方向に凸状に湾曲し、複数の各鍵に対応して、各1本のバランスピン34,35が突出している。バランスピン34は白鍵31用のものであり、バランスピン35は黒鍵32用のものである。
白鍵31,黒鍵32には、バランスホール31a,32aが形成され、バランスピン34,35に嵌め込まれている。バランスホール31a,32aの下部が鍵の回動支点部となる。従って、棚板1は、鍵盤を構成する全ての白鍵31、黒鍵32の鍵支点部を、筬(鍵支持部材)33を介して配設している。
なお、図示の筬33は、鍵並び方向に延設された1本の棒状構造である。しかし、複数本に分割されていて(例えば、各鍵、各鍵域毎に分割されている)、分割された複数の筬が、鍵並び方向に並設されていてもよい。また、白鍵用の筬と黒鍵の筬とを別体とし、両者を鍵の長手方向にずらせて並設されていてもよい。
鍵の押切状態で、白鍵31、黒鍵32の先端部31b、32b側の下面が前筬36に当接し、押鍵ストロークの下限位置が規制される。
これに代えて、押鍵検出センサ38,39は、鍵により押圧される接触式の電気接点を有する周知の鍵スイッチでもよい。
白鍵31,黒鍵32の鍵支点よりも後端部側の棚板1の下面の側に、既に説明した、支持ベース14及び取付ベース15を介して左右にそれぞれ1本のペダル支柱16が取り付けられている。
このような棚板用トランスデューサ24,25の配置により、鍵盤演奏をすると、棚板1から筬33、鍵支点を介して、白鍵31、黒鍵32も振動する。
その結果、アコースティックピアノにおける振動の伝達経路と同様に、棚板1の筬33の下面から振動が伝えられるとともに、伝達経路の長さも短いため、リアリティがあり、効率のよく振動させる構造が実現される。
白鍵31、黒鍵32の押切位置で、白鍵31、黒鍵32の鍵先端部31b、32b側の下面が前筬36に当接し、前筬36からも白鍵31、黒鍵32に振動が伝達する。
既に説明したように、前筬36は、鍵を押し切ったときに、白鍵31の先端部31b、黒鍵32の先端部32bの近傍が当接する部材である。従って、演奏者は、鍵押切時に、さらに、鍵から振動を感知することができる。そのため、棚板用トランスデューサ24,25の中心位置が、鍵支点部である筬33より先端部31b、黒鍵先端部32b側にずれている方が、押し切り位置で振動を感じやすくなる。
図中、図1と同様な部分には同じ符号を付している。
棚板1は矩形形状であり、後底板2はグランドピアノの形状に似た、奥側に凸となる湾曲形状をしている。最奥部は、鍵盤の鍵並び方向の中央から、やや低音側になる。
棚板用トランスデューサ24,25の、鍵盤の鍵並び方向における配置を説明する。
アコースティックピアノにおいて、振動は、低音であるほど伝達されやすく、高音は、弦→弦フレーム→棚板→鍵という中間物の伝達過程で減衰しやすい。従って、棚板用トランスデューサ24,25は、棚板1の下面において、鍵盤中央よりも低音側にのみ設けられている。
図示の例では、図3に示すように、棚板用トランスデューサ(LKB1)25は、鍵盤の全音域を4分割したときの低音域の高音側に、棚板用トランスデューサ(LKB2)24は、中低音域の中心部に配置されている。
従って、棚板用トランスデューサ(LKB2)24は、ペダル支柱16と近接している。その結果、棚板用トランスデューサ(LKB2)24による棚板1の振動により、鍵盤(白鍵31、黒鍵32)を振動させるとともに、ペダル18も効率よく振動させる。
グランドピアノと、棚板用トランスデューサ24,25の駆動をオン(加振モード)にした電子鍵盤楽器とでは、自然な振動がペダル18から足に伝わってきた。
これに対し、棚板用トランスデューサ24,25の駆動をオフ(非加振モード)にした電子鍵盤楽器では、ペダル18から足に振動が伝わらないので不自然さを感じた。
従来、自然楽器であるグランドピアノにおいて、ペダルの振動を止めて演奏することができなかったので、比較できなかったが、上述した比較により、ペダル18振動が心地よいものとして足に伝わることがわかった。
そこで、ハーフペダル演奏に応じて音源部が生成する楽音信号が制御されるようにすれば、棚板用トランスデューサ24,25から出力される振動もハーフペダル演奏に応じて変化するから、演奏者が、ペダルの振動によりハーフペダル機能の効き具合を感知することができ、ハーフペダル演奏の一助にすることができる。
操作パネル部(自動演奏ユニット)27が手前に引き出されたとき、操作パネル収容部26から脱落しないように、操作パネル部(自動演奏ユニット)27の底面左右には、後方に支持レール27b,27cが突出している。これに応じて、操作パネル収容部26にも、後方に、支持レール27b,27cを支持する支持ガイド26a,26bが延設されることにより、奥側の約半分に平面視コ字型の凹部が形成されている。
操作パネル部(自動演奏ユニット)27の左手側に隣接して、電源スイッチ41a、2個のヘッドフォン端子41b、USB端子41cを備えたパネル41が配設されている。
後底板2には、電源コード引出端子板43、MIDIコネクタ、外部スピーカ接続端子等の端子板44が設けられている。
後底板2には、複数のスピーカのうち、低域用スピーカである4個のウーファ(LWo,CWo,RWo,BWo)の開口部が設けられている。
後底板2の手前側において、左ウーファLWo、中央ウーファCWo、右ウーファRWoが、鍵並び方向に一直線に配置されている。中央ウーファCWoは、鍵盤の鍵配列方向の中央に位置する。後底板2の奥側に、リア(後)ウーファBWoが配置されている。
図示の例では、各開口部にスピーカユニットのフランジを重ねた後、それらのフランジに対応して、化粧リング42を嵌め込み、ネジ等によりスピーカユニットを取り付ける。各スピーカユニットの開口面から、化粧リング42の開口面までが、ホーン状に拡がるように設計されている。
スピーカボックスの内部構造として、図3(a)においては、図1(a)における矢視A−A方向を見た水平断面における上部スピーカボックス23の内部構造を示し、図3(b)においては、図1(a)における矢視B−B方向を見た水平断面における下部スピーカボックス22の内部構造を示し、加えて、ウーファの開口部も示している。
操作パネル部(自動演奏ユニット)27は、手前に引き出した状態を示しており、その上面に複数個の操作ボタン27dが配置されている。
52は譜面板であり、前天板8上における鍵並び方向の中央にあり、前天板8の手前側を支軸にして立ち上げて使用される。53,54は、左右の側板6の一部から内方に、前天板8から浮かせて取り付けられた左右の譜面台(燭台)であって、譜面板52の左右に間隔をあけて配置されている。
前天板8の下面において、上述した譜面板52と左右の譜面台53,54との隙間の対応位置に、響板用左トランスデューサ(LTr)55、響板用右トランスデューサ(RTr)56が固着されている。
響板用左トランスデューサ(LTr)55は、棚板用トランスデューサ(LKB1)25と、鍵並び方向においては、同じ位置にあり、鍵長手方向においては、棚板用トランスデューサ(LKB1)25の奥側に位置する。
背面板28の左上面にある丁番57は、図示を省略した大屋根11を取り付けるための金具である。突き上げ棒58は、大屋根11の右側を持ち上げるためのものである。
化粧リング59のスコーカ開口部は、スコーカユニットの開口部から開口面積がホーン状に広がるように形成されている。
スピーカユニットは、左ツィータ(LTw)、左スコーカ(LSc)、中央ツィータ(CTw)、中央スコーカ(CSc)、右ツィータ(LTw)、右スコーカ(LSc)、リア(後)ツィータ(BTw)、リア(後)スコーカ(BSc)の計8個である。
中仕切板23cは、鍵並び方向に平行であり、上部スピーカボックス23を手前側と奥側とに2分割している。中仕切板23d,23eは、鍵長手方向に平行であり、上部スピーカボックス23の手前側を、左側、中央、右側に3分割している。計4分割されたスピーカボックスに、左スコーカ(LSc)、中央スコーカ(CSc)、右スコーカ(LSc)、リア(後)スコーカ(BSc)が配置されている。
中央スコーカ(CSc)は、中央ツィータ(CTw)とともに、鍵並び方向における鍵盤51の中央に配置されている。左スコーカ(LSc)と右スコーカ(LSc)とは、鍵の長手方向には、中央スコーカ(CSc)より、わずかに手前側に配置される。
化粧リング59により、スコーカユニットの開口部から、後天板9の開口部までに、ホーン状に開口断面積が拡がる音響通路が形成される。
上述したツィータは、この実施形態では、上部スピーカボックス23のバッフル板23aの上面に配置し、開孔を有する後天板9を重ね合わせ、ツィータのフランジを載置し、化粧リング59を嵌め込み、ネジ止めする。
外側板22bの左右側面は、左右の側板6と平行(鍵長手方向に平行)であり、外側板22bの手前側と奥側とは、鍵並び方向に平行となっている。
計4分割されたスピーカボックスに、図2にも示した、左ウーファ(LWo)、中央ウーファ(CWo)、右ウーファ(RWo)、リア(後)ウーファ(BWo)が配置されている。
図3(a)と図3(b)とを比較すると、中央ウーファ(LWo)は、中央スコーカ(CSc)と水平視で同位置にあり、鍵並び方向における鍵盤51の中央に配置されている。
リアウーファ(LWo)は、リアスコーカ(BSc)よりも若干、高音側手前側に配置されている。
また、下部スピーカボックス22、上部スピーカボックス23において、左部、中央部、右部、及び、後部のスピーカボックス空間が独立しているため、スピーカボックス内での干渉がない。各スピーカボックスから放出する音響波の音源ソースが、もともと近似しているために、干渉すると複数音源ソースとしたことの作用効果が薄れる。
上述した。各スピーカボックス22,23は、木板又は制振材で実現し、ボックス内に吸音材を入れることが好ましい。
図4(a)は全体構成図、図4(b)は図4(a)の分配回路(ネットワーク回路)68の内部構成を、その出力側のアンプ、スピーカ、トランスデューサを含めて示すブロック図である。
図中、図1〜図3と同様な部分には同じ符号を付している。
上述した制御部62は、機器組み込みプログラムをCPUに実行させることにより実現される。
操作ボタン27dの操作は、検出部61により検出され、制御部62に出力され、制御部62では、各操作ボタン27dに割り付けられた機能を、電子鍵盤楽器に設定する。音源部63に対する設定の場合は、音源部63に音源設定データを出力する。
自動演奏部64は、操作ボタン27dの操作により、曲データ記憶部65に記憶された曲を読出し、MIDI形式の演奏データを制御部62に出力することにより、曲データを自動演奏する。
MIDIインタフェース66は、外部装置、例えば、パーソナルコンピュータや、他の電子楽器から供給されるMIDI形式の演奏データを入力し、制御部62に出力し、楽音信号を生成させることができる。図示を省略しているが、パーソナルコンピュータから、MIDIインタフェース66を介して、曲データのインストールができるようにしてもよい。
音源部63は、1つの楽音の発生用に、複数(この実施形態では4つ)のサンプリング音源ソース、すなわち、左ソース、中央ソース、右ソース、後ソース(リアソース)を使用する。これらのサンプリング音源ソースは、図示しない音源波形メモリに記憶されている。
すなわち、グランドピアノの弦上、例えば、弦上約10cmに左、中央、右、後の4点を定め、ここにマイクロフォンを設置し、実演奏音をサンプリングした楽音波形に基づいてサンプリング音源波形を作成している。
他の自然楽器、すなわち、他の種類のピアノ、ハープシコード、パイプオルガン等の音源波形についても、適切な複数点を定め、この複数点にマイクロフォンを設置し、実演奏音をサンプリングした楽音波形に基づいて、複数のサンプリング音源波形を作成することができる。
上述した音源波形は、また、サンプリング録音したものに代えて、人為的に楽音合成されものを用いてもよい。
D/A変換器67は、左ソース(L Source)、中央ソース(C source)、右ソース(R source)、後ソース(リアソース:B source)のアナログ楽音信号67L,67C,67R,67Bを分配回路68に出力する。分配回路68は、これまでに説明した複数のスピーカ、複数のトランスデューサにアナログ楽音信号を分配する。
D/A変換器67が出力する、左ソースのアナログ楽音信号67L、中央ソースのアナログ楽音信号67C、右ソースのアナログ楽音信号67R、後ソースのアナログ楽音信号67Bは、それぞれ、スピーカ用の分配フィルタ及びアンプを介して、左L系統のスピーカ(LWo,LSc,LTw)、中央C系統のスピーカ(CWo,CSc,CTw)、右R系統のスピーカ(RWo,RSc,RTw)、後B系統のスピーカ(BWo,BSc,BTw)に供給される電気音響信号となる。
左ソースのアナログ楽音信号67Lは、LPF701、アンプ691を介して左ウーファ(LWo)に供給され、BPF702、アンプ692を介して左スコーカ(LSc)に供給され、HPF703、アンプ693を介して左ツィータ(LTw)に供給される。
上述した混合回路(MIX)71においては、例えば、左ソースのアナログ楽音信号67Lを127、中央ソースのアナログ楽音信号67Cを80の比率で混合する。このように、左L系統のトランスデューサを駆動する信号であっても、左ソースのアナログ楽音信号67Lを主体とするものの、中央ソースのアナログ楽音信号67Cを混合することにより、自然な振動が発生する。
例えば、左ソースのアナログ楽音信号67Lを127/(127+80)倍し、中央ソースのアナログ楽音信号67Cを80/(127+80)倍したものを加算する。あるいは、左ソースのアナログ楽音信号67Lを127/80倍したものに、中央ソースのアナログ楽音信号67Cをそのまま加算する。
後者のように、混合回路の利得が1を超えるようにすれば、スピーカの効率を基準としたトランスデューサの効率の悪さを混合回路(MIX)71において補償できる。なお、アンプ694,695,696のゲインを調整しても同様の補償ができる。
上述した混合信号は、LPF704、アンプ694又はアンプ695を介して、棚板用トランスデューサ(LKB1)25、棚板用トランスデューサ(LKB2)24に供給され、HPF706、アンプ696を介して、響板用左トランスデューサ(LTr)55に供給される。
なお、LPF704と、先に説明したLPF701とは、同じローパスフィルタであっても、棚板用トランスデューサ(LKB2)24,25と左ウーファ(LWo)の相違等に応じて、特性を異ならせている。同様に、HPF706とHPF703とは、響板用左トランスデューサ(LTr)55と左ツィータ(LTw)の相違等に応じて、特性を異ならせている。
なお、HPF7010とHPF7013とは、響板用右トランスデューサ(RTr)56と右ツィータ(RTw)の相違等に応じて、特性を異ならせている。
一方、左右の響板用トランスデューサ(LTr,RTr)55,56もまた、加振用のものである。しかし、棚板用トランスデューサ24,25よりも小形状であり、高い周波数の振動をする。
上述した各系統のウーファ、スコーカ、ツィータの具体例を示す。ウーファは、口径16cmのコーン型スピーカである。スコーカは、口径13cmのコーン型スピーカである。ツィータは、口径2.5cmのバランスドーム型スピーカである。
また、筐体の後部においては、筐体の各領域で、サンプリング音源のソースとなったグランドピアノの各領域の音響波に近似した音響波が放出される。後底板2から下方に、低音の音響波が放出され、後天板9から上方に、中音、高音の音響波が放出される。
後天板9から上方に放出される音響波は、前屋根10、大屋根11の開閉により、音響波の放出方向、放出量を制御することができる。
従って、音源のソースとした自然楽器であるグランドピアノと同様な振動を演奏者の指や足に振動を与えるとともに、グランドピアノと同様な音響波を筐体の周囲に放出する。
22…下部スピーカボックス、22a…上板、22b…外側板、22c,22d,22e…中仕切板、23…上部スピーカボックス、23a…上板(バッフル板)、23b…外側板、23c,23d,23e…中仕切板、
24…棚板用トランスデューサ(LKB2)、25…棚板用トランスデューサ(LKB1)、26…操作パネル収容部、26a,26b…支持ガイド、27…操作パネル部(自動演奏ユニット)、27b,27c…支持レール、27d…操作ボタン、28…背面板
31a,32a…バランスホール(鍵支点)、31b,32b…先端部、31…白鍵、31a…バランスホール(鍵支点)、31b…先端部、32…黒鍵、32a…バランスホール(鍵支点)、32b…先端部、33…筬(おさ、鍵支持部材)、34,35…バランスピン、36…前筬、37…バックチェック、38,39…押鍵検出センサ、
41…パネル、41a…電源スイッチ、41b…ヘッドフォン端子、41c…USB端子、42…化粧リング、43…電源コード引出端子板、44…MIDIコネクタ等の端子板、
51…鍵盤、52…譜面板、53,54…譜面台(燭台)、55…響板用左トランスデューサ(LTr)、56…響板用右トランスデューサ(RTr)、57…丁番、58…突き上げ棒、59…化粧リング、
61…曲データ記憶部、62…制御部、63…音源部、64…自動演奏部、65…曲データ記憶部、66…MIDIインタフェース、67…D/A変換器、67L,67C,67R,67B…アナログ楽音信号、68…分配回路、691〜6916…アンプ、701〜704,706〜7016…フィルタ、71,72…混合回路、
LWo:左ウーファ、LSc:左スコーカ、LTw:左ツィータ、CWo:中央ウーファ、CSc:中央スコーカ、CTw:中央ツィータ、RWo:右ウーファ、LSc:右スコーカ、LTw:右ツィータ、BWo:後(リア)ウーファ、BSc:後(リア)スコーカ、BTw:後(リア)ツィータ
Claims (2)
- 演奏者が操作する複数の鍵を備える鍵盤と、前記各鍵の支点部を鍵支持部材を介して配設する棚板と、前記演奏者により操作されるペダルと、該ペダルを支持するペダル支柱と、前記各鍵の押鍵操作に応じて楽音信号を出力するとともに、前記ペダルの操作により前記楽音信号を制御する音源部と、該音源部から出力される楽音信号に基づいて振動する複数の棚板用トランスデューサを有し、
前記鍵支持部材は、前記棚板の上面に鍵並び方向に設けられ、
前記複数の棚板用トランスデューサの1個は、前記棚板の下面における、鍵支持部材対応領域であって、前記鍵並び方向における、前記鍵盤の中央と前記鍵盤の低音部端との中間部に設けられ、
前記複数の棚板用トランスデューサの他の1個は、前記棚板の下面における、前記鍵支持部材対応領域であって、前記鍵並び方向における、前記棚板用トランスデューサの1個が設けられた位置と前記鍵盤の中央との中間部に設けられ、
前記ペダル支柱は、前記棚板の下面の側に、前記鍵並び方向における前記鍵盤の中央に設けられた、
ことを特徴とする電子鍵盤楽器。 - 自動演奏ユニットを有し、
該自動演奏ユニットは、平面視コ字型に形成され、前記棚板の下面の側に配設され、
前記棚板用トランスデューサの1個の少なくとも一部分は、前記平面視コ字型の凹部内に位置するように設けられた、
ことを特徴とする請求項1に記載の電子鍵盤楽器。
Priority Applications (2)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2009003687A JP5262731B2 (ja) | 2009-01-09 | 2009-01-09 | 電子鍵盤楽器 |
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