JP2013163797A - 水密材用樹脂組成物及び該組成物を用いた水密材を有する絶縁電線 - Google Patents

水密材用樹脂組成物及び該組成物を用いた水密材を有する絶縁電線 Download PDF

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Abstract

【課題】水密性と皮剥ぎ性に優れ、しかも、張力が集中しても破壊されにくい水密材を形成するのに好適な樹脂組成物を提供する。
【解決手段】
下記成分(A)〜(D)を含有し、成分(A)の含有量100質量部に対して成分(B)の含有量が5〜20質量部である、水密材用樹脂組成物:
(A)エチルアクリレート由来の構造単位の割合が20質量%以上であり、かつ、メルトマスフローレートが15g/10min以上であるエチレン−エチルアクリレート共重合体樹脂、
(B)直鎖状低密度ポリエチレン及び/又は高密度ポリエチレン、
(C)架橋剤、及び
(D)架橋助剤。
【選択図】なし

Description

本発明は、水密架橋ポリエチレン絶縁電線の水密材を形成するのに好適な樹脂組成物、及び該組成物を用いてなる水密材を有する絶縁電線に関する。
屋外架空水密架橋ポリエチレン絶縁電線(以下、OC−Wという。)は、複数の素線を撚り合わせた導体に水密材用の樹脂を圧入して素線間の空隙を埋め、その上にポリエチレン樹脂を被覆した後、架橋処理を施して形成される。OC−Wにおいて素線を覆うように形成された樹脂からなる水密材(水密層)は、雨水の浸入を防止することで導体と水分との接触を防ぎ、導体の腐食を抑える働きをする。
OC−Wの水密材には、ベース樹脂として、エチレン−酢酸ビニル共重合体(以下、EVAという。)や、エチレン−エチルアクリレート共重合体(以下、EEAという。)が用いられているが、EVAは水分と接触すると酢酸イオンを生じ、これが導体の腐食を促進させるという問題がある。そのため、EEAをベース樹脂とする水密材が一般的になりつつある。
EEAをベース樹脂とする水密材では、ベース樹脂のメルトマスフローレート(以下、MFRという。)を高めて圧入時の素線間への充填効率を向上させたり、EEAの構造中に占めるエチルアクリレート由来の構造単位(以下、EA由来単位という。)の割合を高めたりすることで水密性を向上させている。また、ベース樹脂に架橋剤と共に架橋助剤を配合したり、低密度ポリエチレン(以下、LDPEという。)を混合したり、ベース樹脂として性状の異なる2種以上のEEAを用いたりすることで、形成した水密材の水密性と皮剥ぎ性の両立を図ることも報告されている(特許文献1参照)。
特開2007−103060号公報
しかし、上記のMFRやEA由来単位の比率を高めたEEAは柔らかい樹脂であり、また、LDPEは軟化点が低い。そのため、これらを含む樹脂組成物を導体に充填して形成した水密材は、温度の上昇により軟化しやすく、カムラー(架空線の張替え作業時に、切断する電線の切断箇所の両側を挟持する電線挟持具)で電線に張力をかけた際に、張力が集中する挟持部分において水密材の層が破壊されやすい。水密材の層が破壊されると絶縁層が伸びて切れ、導体上を絶縁層が滑る現象が起こりやすくなる。絶縁層が導体上を滑ると、カムラーから電線が抜けやすくなる。つまり、電線の落下や電線相互の接触による短絡などの危険性が増す結果となる。
本発明は、水密性と皮剥ぎ性に優れ、しかも、張力が集中しても破壊されにくい層を形成するのに好適な水密材用の樹脂組成物を提供することを課題とする。
また、本発明は、上記樹脂組成物を用いて形成された水密材の層を有する水密架橋ポリエチレン絶縁電線を提供することを課題とする。
本発明者らは、上記課題について鋭意検討を行った結果、EEAと、架橋剤と、架橋助剤とを含有する水密材用樹脂組成物において、EA由来単位を特定量含有し、かつ、メルトマスフローレートが15g/10min以上であるEEAを採用し、さらに、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)及び/又は高密度ポリエチレン(HDPE)を特定量配合すると、これを用いて形成した水密材の層を有する架橋ポリエチレン絶縁電線が、水密性に優れると同時に良好な皮剥ぎ性をも示し、しかも、カムラーによる張力による絶縁層の滑りも発生しにくいことを見い出した。本発明は、これらの知見に基づき完成させるに至ったものである。
本発明の課題は下記の手段により達成された。
<1>下記成分(A)〜(D)を含有し、成分(A)の含有量100質量部に対して成分(B)の含有量が5〜20質量部である、水密材用樹脂組成物:
(A)エチルアクリレート由来の構造単位の割合が20質量%以上であり、かつ、メルトマスフローレートが15g/10min以上であるエチレン−エチルアクリレート共重合体樹脂、
(B)直鎖状低密度ポリエチレン及び/又は高密度ポリエチレン、
(C)架橋剤、及び
(D)架橋助剤。
<2>{成分(B)のメルトマスフローレート}/{成分(A)のメルトマスフローレート}が、0.6/1〜1.4/1である、<1>に記載の水密材用樹脂組成物。
<3>成分(B)のメルトマスフローレートが15g/10min以上である、<1>又は<2>に記載の水密材用樹脂組成物。
<4><1>〜<3>のいずれかに記載の水密材用樹脂組成物を用いて形成した水密材の層を有し、該水密材の架橋度が76〜85%である、水密架橋ポリエチレン絶縁電線。
<5>撚線導体に<1>〜<3>のいずれかに記載の水密材用樹脂組成物を圧入して、該撚線導体を構成する素線間及び該撚線導体外周に該水密材用樹脂組成物を充填・被覆し、水密材用樹脂組成物からなる層を形成する工程、
該水密材用樹脂組成物からなる層の外周に、架橋性ポリエチレン樹脂組成物を被覆する工程、及び
前記水密材用樹脂組成物及び前記架橋性ポリエチレン樹脂組成物を架橋させる工程を含む、<4>に記載の水密架橋ポリエチレン絶縁電線の製造方法。
本発明の水密材用樹脂組成物は、素線ないし導体との密着性に優れると同時に皮剥ぎ性も良好で、しかも、より高い張力にも耐える水密材の層を形成することができる。本発明の水密材用樹脂組成物は、水密架橋ポリエチレン絶縁電線の水密材の層を形成するのに好適である。
本発明の水密架橋ポリエチレン絶縁電線は、水密材と素線ないし導体との間の密着性に優れ、雨水の侵入がより抑制されるため、導体が腐食しにくい。また、本発明の水密架橋ポリエチレン絶縁電線は、皮剥ぎ性にも優れる。さらに、本発明の水密架橋ポリエチレン絶縁電線は、水密材の層が電線の長さ方向に加わる張力に対する耐久性に優れ、カムラーにより張力をかけた際に当該張力が集中する挟持部分でも水密材の層が破壊されにくい。したがって、カムラーによる張力によっては絶縁層が導体上を滑りにくい。
本発明の水密架橋ポリエチレン絶縁電線の横断面を模式的に示す図である。
以下、本発明について、その好ましい実施態様に基づき詳細に説明する。
[水密材用樹脂組成物]
本発明の水密材用樹脂組成物は、特定のEEA(成分(A))と、LLDPE及び/又はHDPE(成分(B))と、架橋剤(成分(C))と、架橋助剤(成分(D))とを含有する。本発明の水密材用樹脂組成物は、成分(A)及び成分(B)を特定の比率で含有する。
本発明の水密材用樹脂組成物中のEEA(成分(A))は、その構造中に占めるEA由来単位の割合が20質量%以上であり、好ましくは、20〜40質量%、より好ましくは20〜35質量%である。本発明において「EA由来単位」とは、成分(A)の構造中に存在する下記式で表される構造単位である。
Figure 2013163797
成分(A)の構造中に占めるEA由来単位の割合が少なすぎると、水密材と導体との密着性に劣り、十分な水密性が得られない。
成分(A)のMFRは15g/10min以上であり、15〜25g/10minであることが好ましく、15〜20g/10minであることがさらに好ましい。当該「MFR」は、JIS K 7210に準拠して温度190℃、荷重21.18N(2.16kg)の条件で測定した値である。MFRが小さすぎると、水密材の形成に際して組成物を導体に圧入しても、素線間空隙中への充填が不十分となる場合がある。
成分(A)は、一種類のEEAで構成されていてもよいし、2種以上のEEAからなるブレンド樹脂であってもよい。成分(A)が2種以上のEEAからなるブレンド樹脂である場合には、当該ブレンド樹脂全体としての構造及び性状として、EA由来単位の割合が20質量%以上、かつ、MFRが15g/10min以上、の条件を満たす。
成分(A)として用いるEEAは、成分(A)全体として上記条件を満たす限り特に制限はない。成分(A)として、例えば、DPDJ−9169(EA由来単位の割合:20質量%、MFR:20g/10min)、NUC−6570(EA由来単位の割合:25質量%、MFR:20g/10min)、NUC−6940(EA由来単位の割合:35質量%、MFR:20g/10min)、NUC−6070(EA由来単位の割合:25質量%、MFR:250g/10min)(いずれも日本ユニカー社製)等を用いることができるし、これらの樹脂と、NUC−6520(EA由来単位の割合:24質量%、MFR:1.6g/10min)やDPDJ−6169(EA由来単位の割合:18質量%、MFR:6g/10min)(いずれも日本ユニカー社製)等の本発明の規定を満たさない樹脂とを混合したブレンド樹脂を用いることもできる。
本発明の水密材用樹脂組成物中のLLDPE及び/又はHDPE(成分(B))に特に制限はないが、成分(A)との相溶性の観点から、MFRが成分(A)と同等であることが好ましい。すなわち、{成分(B)のMFR}/{成分(A)のMFR}が、0.6/1〜1.4/1であることが好ましく、0.8/1〜1.2/1であることがより好ましく、0.9/1〜1.1/1であることがさらに好ましく、1/1であることが特に好ましい。
成分(B)のMFRは、15g/10min以上であることが好ましく、15〜25g/10minであることがより好ましく、15〜20g/minであることがさらに好ましい。
成分(B)は、より高い軟化点を示すものが好ましい。具体的には、軟化点が100℃以上、より好ましくは軟化点が105℃以上のものを好適に用いることができる。ここで「軟化点」とは、ビカット軟化点を意味し、JIS−K7206で規定される、針状圧子が試験片に1mm侵入したときの浴槽の温度である。成分(B)の軟化点が低すぎると、電線がさらされうる高温化において軟化しやすく、カムラーによる張力に耐えることが困難となるおそれがある。なお、成分(B)の軟化点は、通常には150℃以下である。
前記特性を満たすLLDPEとしては、例えば、NEO−ZEX(プライムポリマー社製、品番としては、40300J(MFR:36g/10min、軟化点:118℃)、45200(MFR:20g/10min、軟化点:118℃)、2074G(MFR:25g/10min、軟化点113℃)、1014T(MFR:10g/10min、軟化点:113℃))、ユメリット(宇部丸善ポリエチレン社製、品番としては、631J(MFR:20g/10min、軟化点107℃))等が挙げられる。
また、前記特性を満たすHDPEとしては、例えば、HI−ZEX(プライムポリマー社製、品番としては、1608(MFR:18g/10min、軟化点121℃)、1700J(MFR:16g/10min、軟化点130℃)、2100J(MFR:16g/10min、軟化点130℃))等が挙げられる。
成分(B)は、1種又は2種以上のLLDPEを含んでもよいし、1種又は2種以上のHDPEを含んでもよい。
本発明の水密材用樹脂組成物中の成分(B)の含有量は、成分(A)の含有量100質量部に対して5〜20質量部である。
本発明の水密材用樹脂組成物中の架橋剤(成分(C))としては、加熱によりラジカルを発生する化合物の1種又は2種以上を特に制限なく使用できる。成分(C)として例えば、無機過酸化物、有機過酸化物、ジアゾ化合物及びジサルファイド化合物等が挙げられるが、有機過酸化物を好適に用いることができる。当該有機過酸化物としては、例えば、ジクミルパーオキシド、ジtertブチルパーオキシド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(tert−ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(tert−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3、1,3−ビス(tert−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、1,1−ビス(tert−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、n−ブチル−4,4−ビス(tert−ブチルパーオキシ)バレレート、ベンゾイルパーオキシド、p−クロルベンゾイルパーオキシド、2,4−ジクロルベンゾイルパーオキシド、tert−ブチルペルオキシベンゾエート、tert−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、ジアセチルパーオキシド、ラウロイルパーオキシド、tert−ブチルクミルパーオキシドなどが挙げられる。
本発明の水密材用樹脂組成物中の成分(C)の含有量は、絶縁電線の水密性と皮剥ぎ性とを両立する観点から、成分(A)及び(B)の総含有量100質量部に対して0.1〜2質量部であることが好ましく、0.4〜1.6質量部であることがより好ましく、0.6〜1.4質量部であることがさらに好ましい。
また、本発明の水密材用樹脂組成物中の架橋助剤(成分(D))は、前記成分(C)の架橋剤と共に用いて、成分(A)のEEA同士の間、並びに、成分(A)のEEAと成分(B)のLLDPE及び/又はHDPEとの間の架橋効率を向上させるものである。成分(D)は、多官能モノマー又はビニル基を2個以上有する化合物の1種又は2種以上であることが好ましい。例えば、トリアリルシアヌラート、トリアリルイソシアヌラート、トリメタアリルイソシアヌラート、メタフェニレンビスマレイミド、キノンジオキシム、1,2−ポリブタジエン、ジアリルフタレート、エチレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート及びトリエチレングリコールジメタクリレートなどから選択される1種又は2種以上を用いることができるが、トリアリルシアヌラート、トリアリルイソシアヌラート及びトリメタアリルイソシアヌラートの少なくとも1種を好適に用いることができる。
本発明の水密材用樹脂組成物中の成分(D)の含有量は、絶縁電線の水密性と皮剥ぎ性とを両立する観点から、成分(A)及び(B)の総含有量100質量部に対して0.5〜4質量部であることが好ましく、1〜3質量部であることがより好ましく、1.5〜2.5質量部であることがさらに好ましい。
本発明の水密材用樹脂組成物には、必要に応じて、成分(A)〜(D)以外の残部に、酸化防止剤、加工助剤、着色剤等、従来公知の添加剤が含有されていてもよい。本発明の水密材用樹脂組成物中の成分(A)〜(D)の総含有量は、好ましくは90〜100質量%であり、より好ましくは95〜100質量%、さらに好ましくは97〜100質量%である。
本発明の水密材用樹脂組成物は、水密架橋ポリエチレン絶縁電線の水密材の層を形成するのに好適である。本発明の水密材用樹脂組成物を、素線を撚り合わせて形成した導体(撚線導体)に圧入した後、所定の架橋処理を施して形成された水密材は、カムラーによる張力が集中しても破壊されにくい。したがって、当該水密材を含む絶縁電線のカムラーによる挟持が安定するため、落下や電線相互の接触による短絡をより確実に防ぐことができる。また、本発明の水密材用樹脂組成物を用いて形成した水密材の層を有する水密架橋ポリエチレン絶縁電線は、水密性に優れるため、導体の腐食をより抑えることができる。さらに、皮剥ぎ性にも優れるため、絶縁電線の連結作業の効率をより向上させることができる。
[水密架橋ポリエチレン絶縁電線]
本発明の水密架橋ポリエチレン絶縁電線は、本発明の水密材用樹脂組成物を用いて形成した水密材の層を有する。当該水密材は架橋構造をとり、その架橋度は76〜85%である。当該「架橋度」は、加温したキシレンに水密材を溶解した際に、溶解せずに残った水密材の質量を、溶解前の水密材の質量に対する割合(%)で表したものであり、JIS C 3005中の「4.25架橋度」に従って測定したものである。本発明の水密架橋ポリエチレン電線は、水密材がさらに架橋ポリエチレンにより被覆された構造をとる。つまり、本発明の水密架橋ポリエチレン電線は、図1に示すように、撚線導体の素線間の空隙を埋めながら該撚線導体を被覆するように架橋度76〜85%の水密材の層が形成され、さらに、該水密材に接する外層として、架橋ポリエチレンからなる絶縁層が形成されている。
本発明の水密架橋ポリエチレン絶縁電線において、撚線導体の外周から水密材の層の外周までの距離、及び水密材の層の外周から架橋ポリエチレン層(絶縁層)の外周までの距離(絶縁層の厚さ)に特に制限はなく、使用される電圧や規格等により適宜に調節される。例えば、使用電圧が6kVであれば、絶縁層の厚さは2.0〜2.5mmとすることができる。
上記撚線導体のサイズは60〜125sqであることが好ましい。また、撚線導体の腐食を防ぐために導体上には防腐剤が塗布されていることが好ましい。
上記絶縁層を構成する架橋ポリエチレンは、従来公知の架橋性ポリエチレン樹脂組成物を押出被覆した後、架橋処理を施して形成することができる。絶縁層のポリエチレンが架橋されていることで、耐熱性が向上する。なお、上記架橋性ポリエチレン樹脂組成物には、ポリエチレンと、架橋剤と、必要により架橋助剤とが含まれるが、当該架橋剤及び架橋助剤には、本発明の水密材用樹脂組成物に含まれる架橋剤や架橋助剤と同様のものを用いることができる。
次に、本発明の水密架橋ポリエチレン絶縁電線の製造の例を以下に具体的に説明する。
まず、撚線導体に本発明の水密材用樹脂組成物を圧入する(押出す)ことで、該撚線導体の素線間に該水密材用樹脂組成物を充填すると同時に、該撚線導体の外周を該水密材用樹脂組成物で被覆する。
同時に、上記で撚線導体に被覆された上記水密材用樹脂組成物層の外周に、架橋性ポリエチレン樹脂組成物を押出し被覆する。
その後、例えば、110〜140℃、12〜20kg/cmの高温高圧下に2〜6分付すことで、水密材用樹脂組成物及び架橋性ポリエチレン樹脂組成物の架橋反応を進行させれば、架橋構造となった水密材の層と、架橋ポリエチレンからなる絶縁層とが形成された本発明の水密架橋ポリエチレン電線を得ることができる。なお、架橋処理の時間、温度、圧力を適宜に調整したり、水密材用樹脂組成物中の架橋剤や架橋助剤の配合量を適宜に調節することで、水密材の架橋度を76〜85%の範囲内とすることができる。
つまり、本発明の水密架橋ポリエチレン絶縁電線の製造工程は、下記の工程を含むことが好ましい:
撚線導体に本発明の水密材用樹脂組成物を圧入して、該撚線導体を構成する素線間及び該撚線導体外周に該水密材用樹脂組成物を充填・被覆し、水密材用樹脂組成物からなる層を形成する工程、
当該水密材用樹脂組成物からなる層の外周に、架橋性ポリエチレン樹脂組成物を押出し被覆する工程、及び
架橋処理を施して、水密材用樹脂組成物及び架橋性ポリエチレン樹脂組成物を架橋させる工程。
前記「水密材用樹脂組成物からなる層を形成する工程」と「架橋性ポリエチレン樹脂組成物を被覆する工程」は、同時に行うことが好ましい。すなわち、水密材用樹脂組成物及び架橋性ポリエチレン樹脂組成物による被覆は、同時押出成形により行うことが好ましい。
本発明の水密架橋ポリエチレン電線は、OC−Wとして好適に用いることができる。
以下、本発明を実施例に基づいて具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
[調製例] 水密架橋ポリエチレン絶縁電線の調製
下記表1に示す組成(単位:質量部)の水密材用樹脂組成物のうち1種を使用し、それぞれの組成物を撚線導体の外から圧入し、架橋性ポリエチレン樹脂組成物(商品名:NUCV−9211、日本ユニカー社製)を押出し被覆し、高圧水蒸気(温度:200℃、圧力:17kg/cm)中で架橋させ、水密架橋ポリエチレン絶縁電線を試作した(本発明品1〜6、比較品1〜10)。試作した各電線は、導体サイズ(横断面積)が125sqであった。各電線の導体は3層からなり、中心素線1本(第1層)の外周に素線6本(第2層)を撚り合わせ、さらにその外周に素線12本(第3層)が撚り合わされている(素線本数計19本、図1参照)。試作した各電線について、水密性、皮剥ぎ性、カムラーを用いた耐張力性試験を下記の方法で行った。
[試験例1] 水密性試験
長さ2mの電線の片方の端部に、50kPaの水圧を掛けて24時間後の水の進入長を測定した。水密性試験には、調製した電線そのままの状態(初期状態)のものと、調製した電線を屈曲させたものの2種類を供した。時間(H)当たりの水の進入速度(mm/H)を求め、下記基準により水密性を評価した(A、B及びC評価は実用可能)。結果を下記表1に示す。
−水密性の評価基準−
A:水の進入速度が0mm/H以上10mm/H未満
B:水の進入速度が10mm/H以上500mm/H未満
C:水の進入速度が500mm/H以上2000mm/H未満
D:水の進入速度が2000mm/H以上
[試験例2] 皮剥ぎ性試験
専用皮剥ぎ器(GSピラー、古川電機社製)にて、常温(25±5℃)下と高温(60℃)下で絶縁体を剥ぎ取った。皮剥ぎ性の評価基準は下記の通りとした(A、B及びC評価は実用可能)。結果を下記表1に示す。
−皮剥ぎ性の評価基準−
A:導体素線表面に水密材の付着がほとんど認められない。
B:導体素線間には水密材の付着が認められるが、撚線導体の外周には水密材の付着が認められない。
C:導体素線間に水密材の付着が認められ、かつ、撚線導体の外周においては、撚り溝にのみ水密材の付着が認められる。
D:導体素線間に水密材の付着が認められ、かつ、撚線導体の外周において、撚り溝以外の箇所にも水密材の付着が認められる。
[試験例3] カムラーを用いた耐張力性試験
50cm長の電線を用意してこれをカムラーで挟持し、常温(25±5℃)下と高温(40℃)下で、カムラーにて張力をかけた(4900N又は5880N)。カムラーを用いた耐張力性試験の評価基準は下記の通りとした(A及びB評価は実用可能)。
−カムラーを用いた耐張力性試験の評価基準−
A:4900Nで20分間の張力によっても絶縁層が導体上を滑らず、かつ、5880Nで2分間の張力によっても絶縁層が導体上を滑らない。
B:上記Aの条件は満たさないが、4900Nで10分間の張力によっても絶縁層が導体上を滑らず、かつ、5880Nで1分間の張力によっても絶縁層が導体上を滑らない。
C:4900Nで10分間の張力、及び、5880Nで1分間の張力のいずれかの張力によって絶縁層が導体上を滑ってしまう。
D:4900Nで10分間の張力、及び、5880Nで1分間の張力のいずれの張力でも絶縁層が導体上を滑ってしまう。
Figure 2013163797
上記表1に示されるように、本発明で規定するよりも成分(B)の含有量が多い比較品1及び9では、水密性に劣る結果となり、電線の屈曲後における水密性は、実用に耐えるものではなかった。一方、成分(B)の含有量が本発明の規定より少ない比較品2、5及び10では、水密材が柔らかく、カムラーによる張力によって導体上を絶縁層が滑りやすく、実用に耐える結果が得られなかった。
LLDPE又はHDPEの代わりにLDPEを含有せしめた比較品6もまた、カムラーによる張力によって導体上を絶縁層が滑りやすく、実用レベルに至らなかった。
また、水密材の架橋度が本発明で規定するよりも低い比較品3では、十分な水密性が得られているものの、樹脂が柔らかく、皮剥ぎ性において実用レベルに至らなかった。一方、水密材の架橋度が本発明の規定よりも高い比較品4では、逆に、皮剥ぎ性には優れるが、樹脂が硬く水密性に劣り実用に耐えるレベルではなかった。
また、成分(A)の構造中に占めるEA由来単位の割合が本発明で規定するよりも低い比較品7では、水密性に劣り、特に屈曲後の水密性が悪化した。
さらに、成分(A)のMFRが本発明で規定するよりも低い比較品8では、押出温度を高くしないと水密材用樹脂組成物を充填することができず、しかも、充填後の外観には撚り目が認められた。また、樹脂が硬いため、皮剥ぎする際に樹脂が伸びずに切れてしまい、結果的に皮剥ぎ性において実用レベルに至らなかった。
これに対し本発明品1〜6では、水密性試験、皮剥ぎ性試験、及びカムラーを用いた耐張力性試験のいずれにおいても実用可能な結果となった。
10 水密架橋ポリエチレン絶縁電線
11 素線
12 水密材(水密材の層)
13 絶縁層(架橋ポリエチレン層)

Claims (5)

  1. 下記成分(A)〜(D)を含有し、成分(A)の含有量100質量部に対して成分(B)の含有量が5〜20質量部である、水密材用樹脂組成物:
    (A)エチルアクリレート由来の構造単位の割合が20質量%以上であり、かつ、メルトマスフローレートが15g/10min以上であるエチレン−エチルアクリレート共重合体樹脂、
    (B)直鎖状低密度ポリエチレン及び/又は高密度ポリエチレン、
    (C)架橋剤、及び
    (D)架橋助剤。
  2. {成分(B)のメルトマスフローレート}/{成分(A)のメルトマスフローレート}が、0.6/1〜1.4/1である、請求項1に記載の水密材用樹脂組成物。
  3. 成分(B)のメルトマスフローレートが15g/10min以上である、請求項1又は2に記載の水密材用樹脂組成物。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の水密材用樹脂組成物を用いて形成した水密材の層を有し、該水密材の架橋度が76〜85%である、水密架橋ポリエチレン絶縁電線。
  5. 撚線導体に請求項1〜3のいずれか1項に記載の水密材用樹脂組成物を圧入して、該撚線導体を構成する素線間及び該撚線導体外周に該水密材用樹脂組成物を充填・被覆し、水密材用樹脂組成物からなる層を形成する工程、
    該水密材用樹脂組成物からなる層の外周に、架橋性ポリエチレン樹脂組成物を被覆する工程、及び
    前記水密材用樹脂組成物及び前記架橋性ポリエチレン樹脂組成物を架橋させる工程を含む、請求項4に記載の水密架橋ポリエチレン絶縁電線の製造方法。
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