JP2014186958A - 水密絶縁電線 - Google Patents

水密絶縁電線 Download PDF

Info

Publication number
JP2014186958A
JP2014186958A JP2013062668A JP2013062668A JP2014186958A JP 2014186958 A JP2014186958 A JP 2014186958A JP 2013062668 A JP2013062668 A JP 2013062668A JP 2013062668 A JP2013062668 A JP 2013062668A JP 2014186958 A JP2014186958 A JP 2014186958A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
conductor
watertight
mass
insulator
watertight material
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2013062668A
Other languages
English (en)
Other versions
JP5475158B1 (ja
Inventor
Toshio Nishikawa
俊男 西川
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Tatsuta Electric Wire and Cable Co Ltd
Original Assignee
Tatsuta Electric Wire and Cable Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Tatsuta Electric Wire and Cable Co Ltd filed Critical Tatsuta Electric Wire and Cable Co Ltd
Priority to JP2013062668A priority Critical patent/JP5475158B1/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5475158B1 publication Critical patent/JP5475158B1/ja
Publication of JP2014186958A publication Critical patent/JP2014186958A/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02ATECHNOLOGIES FOR ADAPTATION TO CLIMATE CHANGE
    • Y02A30/00Adapting or protecting infrastructure or their operation
    • Y02A30/14Extreme weather resilient electric power supply systems, e.g. strengthening power lines or underground power cables

Landscapes

  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)
  • Insulated Conductors (AREA)

Abstract

【課題】導体上に絶縁体が被覆形成され、その導体と絶縁体との間に水密材が充填された水密絶縁電線であって、導体と水密材との密着性を保持しつつ皮剥性をより向上させた水密絶縁電線を提供する。
【解決手段】複数の導体素線間には、エチレン・エチルアクリレート共重合体及び/又はエチレン・メチルアクリレート共重合体を含有し、銅板剥離強度が10kgf/25mm幅以上である水密材が充填され、撚線導体と絶縁体との間には、エチレン・エチルアクリレート共重合体を含有する樹脂成分100質量部に対してステアリン酸マグネシウム0.3〜1.0質量部と架橋剤1.8〜3.0質量部を含有し、銅板剥離強度が1.5kgf/25mm幅以下である水密材が充填されたものとする。
【選択図】なし

Description

本発明は、主に屋外配線用として、雨水の浸入を防止するようになされた水密絶縁電線に関するものである。
屋外配線用の水密絶縁電線は、複数の素線を撚り合わせた導体が絶縁体で被覆されたものであり、これら複数の素線を撚り合わせた導体には、雨水の浸入を防止するために導体素線間および導体外周に水密材が充填されている。しかし、電線には良好な皮剥性も要求され、水密性(雨水浸入防止性)と皮剥性とは相反する関係にあり、高接着力の水密材を使用した場合は、雨水浸入防止性は良好だが、皮剥性が悪く、逆に低接着力の水密材を使用した場合は、皮剥性は良好だが、雨水浸入防止性が悪くなるのが通常である。
ここで、「良好な皮剥性」とは、絶縁体の皮剥ぎ時において、大きな力を加えなくても剥ぎ取りを容易に行うことができ、かつ導体上に水密材が残留しないか、または残留したとしても指で擦って容易に剥離できることを意味する。
このような問題を解決するために種々の水密絶縁電線が提案されており、例えば特許文献1は、複数本の導体の撚り合わせ時に、第1の水密材料として、100%モジュラスが2.7MPa以下の樹脂組成物を各導体に被覆して、第1の水密材料を撚り線導体間隙に充填した撚り線導体を占積率87〜89%となるように圧縮成形し、その外周に第2の水密材料として100%モジュラスが0.6MPa〜2.7MPaの樹脂組成物を被覆し、その後、その外周に絶縁層を押出被覆した、圧縮導体を用いた水密絶縁電線を開示している。
また、特許文献2は、銅導体上にトリアゾール系防錆剤が塗布された水密絶縁電線であって、エチレン・エチルアクリレート共重合体又はマスフローレートの異なるエチレン・エチルアクリレート共重合体どうしの混合物にステアリン酸亜鉛を添加した水密材を導体の素線間に充填したものを提案している。
上記のような従来技術の水密絶縁電線はいずれも一定レベルの水密性と皮剥性との両立を実現したものであるが、電線の皮剥性に対する要求は年々高まり、水密絶縁電線の皮剥性のさらなる向上が望まれている。
特開2003−51217号公報 特開2007−35456号公報
本発明は上記に鑑みてなされたものであり、優れた水密性を保持しつつ、皮剥性を従来よりもさらに向上させた水密絶縁電線を提供することを目的とする。
本発明者は、撚線導体の内部と外側に接着力の異なる水密材を使用することで、優れた水密性を保持しつつ、皮剥性をさらに向上させることが可能であることを見出し、その知見に基づき本発明の完成に至った。
すなわち、本発明の水密絶縁電線は、複数の導体素線を撚り合わせてなる撚線導体上に絶縁体が被覆形成され、複数の導体素線間及び撚線導体と絶縁体との間に水密材が充填された水密絶縁電線であって、上記の課題を解決するために、複数の導体素線間には、エチレン・エチルアクリレート共重合体及び/又はエチレン・メチルアクリレート共重合体を含有し、銅板剥離強度が10kgf/25mm幅以上である水密材が充填され、撚線導体と絶縁体との間には、エチレン・エチルアクリレート共重合体を含有する樹脂成分100質量部に対してステアリン酸マグネシウム0.3〜1.0質量部と架橋剤1.8〜3.0質量部を含有し、銅板剥離強度が0.5〜1.5kgf/25mm幅である水密材が充填されたものとする。
上記本発明の水密絶縁電線は、撚線導体の少なくとも表面にベンゾトリアゾール系化合物を含有する防錆剤が塗布されたものであることが好ましい。
本発明によれば、水密性が従来と同レベル以上で、皮剥性が従来よりもさらに向上した水密絶縁電線が得られる。
本発明の一実施形態に係る水密絶縁電線の模式断面図である。 皮剥性の試験方法の説明のための水密絶縁電線の側面図である。 水密性の試験方法の説明のための水密絶縁電線の側面図である。
以下、図を用いて本発明の水密絶縁電線について詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る水密絶縁電線Aを示す模式断面図である。本図に示すように、水密絶縁電線Aは符号1等で表す複数の導体素線(符号1〜5を付したもの以外は符号を省略)を撚り合わせてなる撚線導体6上に絶縁体9が被覆形成され、複数の導体素線間には水密材7が、撚線導体6と絶縁体8との間には水密材8がそれぞれ充填されたものである。
撚線導体を構成する複数の導体素線間(例えば導体素線1と導体素線2との間)に充填された水密材7(以下、これを「内層水密材」という)は、エチレン・エチルアクリレート共重合体及び/又はエチレン・メチルアクリレート共重合体を含有し、銅板剥離強度が10kgf/25mm幅以上であるものであり、撚線導体6と絶縁体9との間に充填された水密材8(以下、これを「外層水密材」という)は、エチレン・エチルアクリレート共重合体を含有する樹脂成分100質量部に対してステアリン酸マグネシウム0.3〜1.0質量部と架橋剤1.8〜3.0質量部を含有し、銅板剥離強度が0.5〜1.5kgf/25mm幅であるものである。
上記内層水密材7は、エチレン・エチルアクリレート(EEA)共重合体及び/又はエチレン・メチルアクリレート(EMA)共重合体を、任意の割合で混合することができる。このエチレン・エチルアクリレート共重合体及び/又はエチレン・メチルアクリレート共重合体のメルトフローレート(MFR)は、20〜250g/10minの範囲にあることが好ましい。20g/10min未満では水密材が部分的に充填されず、250g/10minを超えると充填した水密材が抜けていくおそれが生じる。なお、本発明でいう、メルトフローレート(MFR)とはJIS K 7210に基づいて測定される190℃−2.16kgfの測定条件下での測定値である。また、上記エチレン・エチルアクリレート共重合体のエチルアクリレートの含有量は20〜35重量%が好ましい。20重量%未満では導体との密着性が低下し、35重量%を超えると水密材の充填が困難になる場合がある。
上記内層水密材7には、本発明の目的に反しない範囲で、酸変性ポリオレフィン樹脂等の接着性樹脂、酸化防止剤、カーボンブラックなどの配合剤等を必要に応じて配合することができる。
上記内層水密材7の銅板剥離強度は10kgf/25mm幅以上が好ましく、15kgf/25mm幅以上がより好ましい。内層水密材の銅板剥離強度が10kgf/25mm幅未満の場合、水密性が不十分となり、雨水浸入のおそれが生じる。この銅板剥離強度は水密材に使用する樹脂成分の組成を変化させることにより、所望の範囲に調整することができる。例えばエチレン・エチルアクリレート共重合体及び/又はエチレン・メチルアクリレート共重合体の選択等により、接着力が比較的弱い水密材を使用した場合は、例えば上記酸変性ポリオレフィン樹脂等の接着性樹脂を添加することにより所望の銅板剥離強度とすることができる。
次に外層水密材8は、エチレン・エチルアクリレート共重合体を含有する樹脂成分にステアリン酸マグネシウム及び架橋剤を含有するものである。このエチレン・エチルアクリレート共重合体のメルトフローレートは135〜250g/10minの範囲にあることが好ましい。135g/10min未満では水密材が部分的に充填されず、250g/10minを超えると充填した水密材が抜けていくおそれが生じる。
ステアリン酸マグネシウムの含有量は、上記樹脂成分100質量部に対して0.3〜1.0質量部が好ましく、0.6〜1.0質量部がより好ましい。0.3質量部未満であると所望の皮剥性が得られにくく、1.0質量部を超えると水密性が不十分になるおそれがある。
外層水密材8の銅板剥離強度は0.5〜1.5kgf/25mm幅が好ましく、0.9〜1.3kgf/25mm幅がより好ましい。外層水密材の銅板剥離強度を上記範囲内とした場合、水密性と皮剥性がバランスよく優れたものとなり、銅板剥離強度が1.5kgf/25mm幅を超えると、皮剥性が低下する傾向が生じ、0.5kgf/25mm未満になると所望の水密性が得られにくくなる。
架橋剤は、皮剥性をより向上させる効果がある。即ち、所定量の架橋剤の添加により水密材が適度に硬くなることで、絶縁体の皮剥時に外層水密材が導体から剥離する前に破断するのを防ぎ、導体上へ水密材が残留しにくくなる。また、残留したとしても指で擦って剥離し易くさせる効果がある。
架橋剤としては、有機過酸化物が好ましい。有機過酸化物としては、例えば、パーオキシケタール、ジアルキルパーオキサイド、アルキルパーオキシエステル、ハイドロパーオキサイド、パーオキシカーボネートなどが挙げられ、より具体的には、ジクミルパーオキシド、ジtert−ブチルパーオキシド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(tert−ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(tert−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3、ジ(tert−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、tert−ブチルクミルパーオキシド、1,1−ジ(tert−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、n−ブチル−4,4−ジ(tert−ブチルパーオキシ)バレレート、tert−ブチルパーオキシベンゾエート、tert−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、tert−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキシルカーボネート、1,1,3,3−テトラメチルブチルハイドロパーオキサイドなどを挙げられ、これらはいずれか1種又は2種以上を使用できる。これらの中でも、ジアルキルパーオキサイド類が好ましい。
また、架橋剤の好ましい添加量は、水密材の樹脂成分100質量部に対して、1.8〜3.0質量部である。1.8質量部未満では、水密材が所望の硬さに達しないことによって、絶縁体の皮剥時に導体上に水密材が残留し易くなり、3.0質量部を超えると、水密材が硬くなりすぎて、電線に曲げが加わった際に、導体と水密材とが剥離しやすくなり、水密性が低下する傾向が生じる。本発明では、上記のようにステアリン酸マグネシウムを併用することにより、水密性を確保した状態で目的の皮剥性に到達させることが容易となる。
なお、上記外層水密材8には、本発明の目的に反しない範囲で、必要に応じて酸化防止剤、架橋助剤、カーボンブラックなどの配合剤等を添加することができる。
従来の水密絶縁電線では、1種類の水密材のみを使用するのが一般的であったところ、本発明では上記のように接着性の異なる内層水密材と外層水密材とを撚線導体の場所によって使い分けることにより、良好な水密性を維持しつつ、皮剥性を従来よりもさらに向上させることが可能となる。
本発明の水密絶縁電線では、導体に防錆剤を塗布することが好ましく、防錆剤としてはベンゾトリアゾール系化合物を含有するものが好ましい。ベンゾトリアゾール系化合物としては、ベンゾトリアゾールのほか、ベンゾトリアゾールモノエタノールアミン塩、ベンゾトリアゾールジエチルアミン塩、ベンゾトリアゾールシクロヘキシルアミン塩、ベンゾトリアゾールモルホリン塩、ベゾトリアゾールジイソプロピルアミン塩、メチルベンゾトリアゾールシクロヘキシルアミン塩などのベンゾトリアゾール誘導体が挙げられる。中でも安価であることから、ベンゾトリアゾールが好ましい。これらのうちのいずれかを1種単独で、又は2種以上を混合して用いることができる。
上記ベンゾトリアゾール系化合物を含有する防錆剤には、エポキシ系可塑剤を添加することにより防錆効果をより向上させることができる。エポキシ系可塑剤の例としては、エポキシ化大豆油、エポキシ化アマニ油、エポキシ化ヒマシ油、エポキシ化油系などのエポキシ化不飽和油脂類、エポキシ化アマニ油脂肪酸ブチル、オクチルエポキシステアレート、エポキシブチルステアレート、エポキシ化脂肪酸モノエステル、エポキシ化オレイン酸オクチルエステル、エポキシ化オレイン酸デシルエステル、エポキシモノエステル、アルキルエポキシステアレート、n−アルキルエポキシステアレート、イソアルキルエポキシステアレートなどのエポキシ化不飽和脂肪酸エステル類、エポキシヘキサヒドロフタル酸ジ−2−エチルヘキシル、エポキシヘキサヒドロフタル酸ジイソデシル、シクロアルキルエポキシステアレートなどのエポキシシクロヘキサン誘導体およびエピクロルヒドリン誘導体等が挙げられる。中でも少量の添加で防錆効果が大きく向上することから、エポキシ化大豆油が好ましい。
防錆剤中の上記各成分の含有量としては、エポキシ系可塑剤を添加しない場合は、ベンゾトリアゾール系化合物の含有量は0.01〜2質量%であることが好ましく、0.05〜1.5質量%であることがより好ましい。ベンゾトリアゾール系化合物が0.01質量%未満では、所望の防錆効果が得られにくい。一方、2質量%を超える場合は、性能面では問題ないが、防錆効果が飽和し、経済的に不利になる。エポキシ系可塑剤を添加する場合は、ベンゾトリアゾール系化合物の含有量は0.01〜2質量%であることが好ましく、0.05〜1.5質量%であることがより好ましい。ベンゾトリアゾール系化合物が0.01質量%未満では、所望の防錆効果が得られにくい。一方、2質量%を超える場合は、性能面では問題がないが、防錆効果が飽和し、経済的に不利となる。また、エポキシ系可塑剤の含有量は0.1〜5質量%が好ましい。可塑剤含有量が上記範囲内であると、導体と水密材との密着性を保持しつつ、防錆効果をより向上させることができる。
本発明の水密絶縁電線は、上記した内層水密材及び外層水密材をそれぞれ使用する以外は、公知の方法に準じて製造することができる。具体的には、上記各成分を混合して水密材をそれぞれ調製し、導体素線からなる撚線導体を用意し、内層水密材をこの導体素線間に圧入した後、外周に導体素線を撚り合わせ、ついで、その撚線導体の外周に外層水密材を被覆し、絶縁体を押出被覆し、架橋処理を行うことにより製造することができるが製造方法はこれに限定されない。例えば、撚線導体を圧縮成形したのち、外層水密材の被覆及びその後の工程を行うこともできる。
水密材を充填する方法は特に限定されず、押出機あるいはギヤーポンプなどを用いて目的物に圧入又は塗布する方法が通常用いられる。
絶縁体としては、従来から水密絶縁電線に使用されている素材が特に限定なく使用でき、例えば架橋ポリエチレンなどを用いることができる。
防錆剤は導体に予め塗布しておく。塗布方法は特に限定されず、浸漬、噴霧等の通常の手段を用いることができる。また、塗布の際の導体の状態は、撚り合わせる前の素線でも、複数の素線を撚り合わせた導体(撚線導体)でもよく、必要に応じて素線に塗布した上でこれらを撚り合わせた導体上に塗布してもよい。防錆剤は、メチルアルコール、イソプロピルアルコール等のアルコール系等の溶剤にベンゾトリアゾール系化合物を加え、混合撹拌して均一に溶解することにより調製することができる。
以下に本発明の実施例を示すが、本発明は以下の実施例によって限定されるものではない。なお、以下において特にことわらない限り、含有量等は質量基準(質量部、質量%等)とする。
[実施例、比較例]
表1及び表2に示した組成(質量部、固形分換算)の内層水密材及び外層水密材をそれぞれ調製し、これを用いて水密絶縁電線を作製し、その皮剥性及び水密性を評価した。用いた水密材及び防錆剤の詳細、電線の製造方法、及び測定・評価方法は以下の通りである。評価結果を表1,2に併せて示す。
<水密材>
EEA1:エチレン・エチルアクリレート共重合体(ダウ・ケミカル日本(株)製 NUC−6570)
EEA2:エチレン・エチルアクリレート共重合体(ダウ・ケミカル日本(株)製 NUC−6070)
EMA:エチレン・メチルアクリレート共重合体(DuPont社製 ELVALOY 12024EACS)
接着性樹脂:エチレン系コポリマー(日本ポリエチレン(株)製 レクスパールET530H)
架橋剤:ジクミルパーオキサイド(日油(株)製 パークミルD)
ステアリン酸マグネシウム:(堺化学工業(株)製)
ステアリン酸亜鉛:(堺化学工業(株)製)
<防錆剤>
ベンゾトリアゾールモノエタノールアミン 0.1%
ベンゾトリアゾール 0.1%
メタノール 99.8%
<水密絶縁電線の製造方法>
実施例1〜8及び比較例1〜11では、直径3.0mmの中心銅線と直径2.9mmの銅線6本とを撚り合わせて撚線導体を作製し、この撚線導体表面に上記防錆剤を噴霧により塗布した後、撚線導体の導体素線間に表1に示した内層水密材を押出機により圧入し、丸撚導体を得た。ついで、この丸撚導体の外周に直径2.9mmの銅線を12本撚り合わせて撚線導体を作製し、この撚線導体表面に上記防錆剤を噴霧により塗布した後、撚線導体の外周に表1に示した外層水密材を押出機により被覆し、丸撚導体(公称断面積125mm)を得た。ついで、水密材が充填された撚線導体を架橋ポリエチレン(PE)からなる絶縁体(厚さ2.5mm)で被覆した後、高温水蒸気(圧力:18kg/cm、温度:200℃)中で架橋を行い、直径19.6mmの架橋PE丸撚絶縁電線を得た。
実施例9〜16及び比較例12〜19では、直径2.4mmの銅線を7本撚り合わせて撚線導体を作製し、この撚線導体表面に上記防錆剤を噴霧により塗布した後、撚線導体の導体素線間に表2に示した内層水密材を押出機により圧入し、圧縮成形して圧縮導体を得た。ついで、この圧縮導体の外周に直径2.4mmの銅線を12本撚り合わせて撚線導体を作製し、この撚線導体表面に上記防錆剤を噴霧により塗布した後、撚線導体の外周に表2に示した外層水密材を押出機により被覆し、圧縮成形して圧縮導体(公称断面積80mm)を得た。ついで、水密材が充填された撚線導体を架橋ポリエチレン(PE)からなる絶縁体(厚さ2.5mm)で被覆した後、高温水蒸気(圧力:18kg/cm、温度:200℃)中で架橋を行い、直径15.6mmの架橋PE絶縁電線を得た。
<測定・評価方法>
1.銅板剥離強度
1mm厚の銅板に防錆剤を塗布し、表1及び2に示す配合をそれぞれ有する水密材を、プレスによって上記銅板に密着させ、室温で1日間放置した。その後、23℃の環境温度下において、引張試験機によって180°方向に引張速度100mm/minで引張って、銅板剥離強度を測定した。この測定を3回行い、3回のデータの最小値と最大値の範囲を測定値として示した。
2.100%モジュラス
JIS3号タンベルにて厚さ1mmの試験片を作製し、引張試験機にて引張速度200mm/minで両側から引っ張って100%モジュラスを測定した。
3.皮剥性
図2に示すように絶縁体11を半割りするようにカッターナイフで切れ込みを入れ、外層水密材が露出するように半割状態に皮剥ぎして、それら皮剥部分の端部をそれぞれ引張り試験機のチャック13に挟んだ。導体を引張り方向に対して垂直方向に保持しつつ、23℃の環境温度下において半割りにした絶縁体11のそれぞれを矢印方向に100mm/minで引張り、引張開始時と引張終了時の異常値を除く引張荷重の平均値をデータとして採取した。この測定を3回行い、3回のデータの最小値と最大値の範囲を測定値とした。また、皮剥後に導体上に水密材が残留していないか、目視で確認した。
上記引張り荷重による皮剥性評価の結果は、丸撚導体では8.0kgf/25mm幅未満、圧縮導体では4.0kgf/25mm幅未満を合格とする。また、導体上に水密材が残留した場合を不合格とする。
4.水密性
架橋PE絶縁電線の片端500mmの絶縁体を剥ぎ取った後、導体露出部21と絶縁体22との境界を中心に、電線外径の10倍を半径にもつドラムに於ける5往復曲げを加えた後、図3に示したように架橋PE絶縁電線の片端1000mmを23℃の水中に浸漬し、水圧0.05MPaとなるように調整した。水圧印加領域を符号23で示す。その状態で24時間維持した後、絶縁体22の端部24からの水の浸入距離(mm)を測定し、試験結果として記載した。浸入距離が800mm未満であった場合を合格とする。なお、試験は同じ条件の試料3個についてそれぞれ行い、最小値と最大値の範囲を測定値として示した。
Figure 2014186958
Figure 2014186958
表1及び表2に示した実施例と比較例の結果から分かるように、本発明の水密絶縁電線は、丸撚導体と圧縮導体のいずれを用いた場合でも、内層水密材の銅板剥離強度を10kgf/25mm幅以上とし、かつ外層水密材において、ステアリン酸マグネシウムの添加量を樹脂成分100質量部に対して0.3〜1.0質量部の範囲とし、銅板剥離強度を0.5〜1.5kgf/25mm幅の範囲とすることにより、皮剥性と水密性が両立するものとなる。
また、特にステアリン酸亜鉛を用いた比較例7〜9、比較例15〜17と実施例との比較からは、引用文献2で使用されているステアリン酸亜鉛に代えてステアリン酸マグネシウムを用いることにより皮剥性がより向上することが分かる。すなわち、引用文献2の図2には、ステアリン酸亜鉛の添加量の増加に伴う銅板剥離強度の挙動として極小値を有すること、すなわち添加量が0.5部付近の時に剥離強度が最小値をとることが示されており、このことは本発明者も検証し、上記表1の比較例7〜9に示している。これに対し、実施例として示された結果からは、ステアリン酸マグネシウムを用いた場合は、添加量が0.3質量部から1.0質量部へと増加すると共に銅板剥離強度が減少していき、かつ0.3質量部でもステアリン酸亜鉛を添加する場合よりも、皮剥性が優れたものとなっていることが分かる。
さらに、上記表1及び表2には示していないが、導体上に水密材が残留する問題は、架橋剤を使用していない比較例10及び18においてのみ発生し、それ以外の実施例及び比較例では発生しなかった。このことから、架橋剤の使用により皮剥性が向上したことが分かる。
本発明の水密絶縁電線は特に屋外配線用に好適に用いられる。
1,2,3,4,5……導体素線
6……撚線導体、7……内層の水密材、8……外層の水密材、9……絶縁体
11……絶縁体、12……導体13……チャック
21……導体露出部、22……絶縁体、24……絶縁体の端部
23……0.05MPaの水圧印加領域

Claims (2)

  1. 複数の導体素線を撚り合わせてなる撚線導体上に絶縁体が被覆形成され、前記複数の導体素線間及び撚線導体と絶縁体との間に水密材が充填された水密絶縁電線であって、
    前記複数の導体素線間には、エチレン・エチルアクリレート共重合体及び/又はエチレン・メチルアクリレート共重合体を含有し、銅板剥離強度が10kgf/25mm幅以上である水密材が充填され、
    前記撚線導体と絶縁体との間には、エチレン・エチルアクリレート共重合体を含有する樹脂成分100質量部に対してステアリン酸マグネシウム0.3〜1.0質量部と架橋剤1.8〜3.0質量部を含有し、銅板剥離強度が0.5〜1.5kgf/25mm幅である水密材が充填されたことを特徴とする水密絶縁電線。
  2. 前記撚線導体の少なくとも表面にベンゾトリアゾール系化合物を含有する防錆剤が塗布されたことを特徴とする、請求項1に記載の水密絶縁電線。
JP2013062668A 2013-03-25 2013-03-25 水密絶縁電線 Active JP5475158B1 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2013062668A JP5475158B1 (ja) 2013-03-25 2013-03-25 水密絶縁電線

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2013062668A JP5475158B1 (ja) 2013-03-25 2013-03-25 水密絶縁電線

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP5475158B1 JP5475158B1 (ja) 2014-04-16
JP2014186958A true JP2014186958A (ja) 2014-10-02

Family

ID=50749844

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2013062668A Active JP5475158B1 (ja) 2013-03-25 2013-03-25 水密絶縁電線

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5475158B1 (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2016184480A (ja) * 2015-03-25 2016-10-20 株式会社ジェイ・パワーシステムズ 水密絶縁電線、および水密絶縁電線の製造方法

Families Citing this family (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN106128568B (zh) * 2016-07-14 2017-12-01 浙江万马股份有限公司 一种基于石墨烯填充的电缆导体及其制备方法
US11908598B2 (en) * 2019-01-30 2024-02-20 Autonetworks Technologies, Ltd. Insulated electric wire and harness with water-stopping agent and wire harness
JP7318512B2 (ja) * 2019-01-30 2023-08-01 株式会社オートネットワーク技術研究所 絶縁電線およびワイヤーハーネス
JP7226456B2 (ja) * 2019-01-30 2023-02-21 株式会社オートネットワーク技術研究所 絶縁電線、ワイヤーハーネス、絶縁電線の製造方法
US11887757B2 (en) 2019-01-30 2024-01-30 Autonetworks Technologies, Ltd. Insulated electric wire and wire harness

Family Cites Families (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS58220304A (ja) * 1982-06-15 1983-12-21 日立電線株式会社 耐ボ−タイ・トリ−性電気絶縁性組成物
JP3688319B2 (ja) * 1995-01-25 2005-08-24 株式会社フジクラ 水密電線、ケーブル
JP4895082B2 (ja) * 2005-07-27 2012-03-14 株式会社フジクラ 水密絶縁電線
JP5583711B2 (ja) * 2012-03-26 2014-09-03 タツタ電線株式会社 水密絶縁電線

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2016184480A (ja) * 2015-03-25 2016-10-20 株式会社ジェイ・パワーシステムズ 水密絶縁電線、および水密絶縁電線の製造方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP5475158B1 (ja) 2014-04-16

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5475158B1 (ja) 水密絶縁電線
JP5907015B2 (ja) 鉄道車両用電線および鉄道車両用ケーブル
JP5547300B2 (ja) 走水防止型水中用電力ケーブル
JP5276891B2 (ja) 耐熱耐油絶縁電線及びその製造方法
JP4895082B2 (ja) 水密絶縁電線
JP2018029016A (ja) 電力ケーブル
JP6065333B2 (ja) 水密絶縁電線、および水密絶縁電線の製造方法
JP5778105B2 (ja) 水密絶縁電線
JP5583711B2 (ja) 水密絶縁電線
JPWO2008108355A1 (ja) 絶縁用樹脂組成物およびこれを用いた電線・ケーブル
JP5503710B2 (ja) 電線接続部用難燃性絶縁防水カバー
JPH11232931A (ja) 絶縁電線
JP4812333B2 (ja) 水密材およびそれを用いた屋外用架橋ポリエチレン絶縁電線
JP5675668B2 (ja) 水密材用樹脂組成物及び該組成物を用いた水密材を有する絶縁電線
JP2016060855A (ja) ゴム組成物およびこれを用いたゴム製品
JP2010170910A (ja) 水中モータ用電線
JP2016152186A (ja) 水密型絶縁電線
JP2008305640A (ja) 電線・ケーブル
JP2016110774A (ja) 絶縁体組成物及びこれを用いた高柔軟電線
JP2020187928A (ja) 電線用ゴム組成物
JP6564258B2 (ja) 半導電性樹脂組成物およびこれを用いた電力ケーブル
JP5528597B2 (ja) Epゴム組成物、epゴム材料、ケーブル及び接続部品
JP2011049116A (ja) 電線・ケーブル被覆用難燃性組成物および電線・ケーブル
JP2009104991A (ja) 水密型ポリエチレン絶縁電線
JP2013001858A (ja) 半導電性樹脂組成物および電力ケーブル

Legal Events

Date Code Title Description
TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20140128

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20140205

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 5475158

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250