JP2013163017A - 医療用多層容器 - Google Patents
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Abstract
【課題】水蒸気バリア性、酸素バリア性に優れ、薬液吸着性が低い医療用多層容器を提供する。
【解決手段】最内層と最外層がポリエチレンナフタレート樹脂(A)を主成分とする層(A)からなり、中間層の少なくとも一層がポリオレフィン樹脂(B)を主成分とする層(B)からなる多層構造である医療用多層容器。アンプル、バイアル、プレフィルドシリンジ等が使用し、水蒸気バリア性、酸素バリア性に優れ、低吸着性であり、従来のプラスチック製医療用包装容器に比べ、長期保存性が格段に向上する。
【選択図】なし
【解決手段】最内層と最外層がポリエチレンナフタレート樹脂(A)を主成分とする層(A)からなり、中間層の少なくとも一層がポリオレフィン樹脂(B)を主成分とする層(B)からなる多層構造である医療用多層容器。アンプル、バイアル、プレフィルドシリンジ等が使用し、水蒸気バリア性、酸素バリア性に優れ、低吸着性であり、従来のプラスチック製医療用包装容器に比べ、長期保存性が格段に向上する。
【選択図】なし
Description
本発明は、予め薬液を密封状態で充填、保管する為の医療用多層容器に関する。
薬液を密閉状態で充填、保管する為の医療用包装容器として、アンプル、バイアル、プレフィルドシリンジ等が使用されている。従来、医療用容器として、長い間ガラス製容器が使用されてきた。しかしながら、ガラス製容器は、薬剤等が充填された状態での保管中に、容器の内容液にアルカリ(Na+)が溶出したり、フレークスという微細な物質を発生したり、着色した遮光性ガラス製容器を使用する場合には、着色用の金属が内容物に混入する可能性がある。また、比重が大きい為に医療用包装容器が重くなってしまう事があり、プラスチックへの代替が求められている。プラスチックは、ガラスに比べて軽量である利点を有する反面、プラスチックの種類によっては、成形性が悪かったり、成形物の強度が不十分であったり、酸素バリア性や水蒸気バリア性が劣る等の欠点がある。
例えば、アンプル、バイアル、プレフィルドシリンジ等の硬質容器ではポリカーボネート、ポリプロピレン、シクロオレフィンポリマー等が、ガラス代替のプラスチックとして検討されているが、酸素バリア性、水蒸気バリア性、薬液吸着性が要求を満たせず、代替が進んでいないのが現状である。
例えば、アンプル、バイアル、プレフィルドシリンジ等の硬質容器ではポリカーボネート、ポリプロピレン、シクロオレフィンポリマー等が、ガラス代替のプラスチックとして検討されているが、酸素バリア性、水蒸気バリア性、薬液吸着性が要求を満たせず、代替が進んでいないのが現状である。
特許文献1においてポリオレフィン系樹脂材料からなる医療用容器が提示されている。容器にポリオレフィン系樹脂材料を使用した場合、水蒸気バリア性に優れた容器が提供できるが、酸素バリア性の不足の為に薬液が酸化してしまったり、その吸着性の為に特定の薬液の成分が薄くなってしまうという問題がある。
特許文献2においてバレルの最内層と最外層がポリオレフィン樹脂からなり、中間層がバリア性に優れた樹脂からなる多層構造であるプレフィルドシリンジが提示されており、酸素バリア性を向上させた容器が提示されているが、薬液吸着性については改善されない。
特許文献3にはポリエステル系樹脂材料からなる医療用容器が提示されており、それは酸素バリア性に優れているが、ポリオレフィン系樹脂からなる容器と比較すると、水蒸気バリア性に劣り、薬液の水分が揮発してしまう。
特許文献2においてバレルの最内層と最外層がポリオレフィン樹脂からなり、中間層がバリア性に優れた樹脂からなる多層構造であるプレフィルドシリンジが提示されており、酸素バリア性を向上させた容器が提示されているが、薬液吸着性については改善されない。
特許文献3にはポリエステル系樹脂材料からなる医療用容器が提示されており、それは酸素バリア性に優れているが、ポリオレフィン系樹脂からなる容器と比較すると、水蒸気バリア性に劣り、薬液の水分が揮発してしまう。
本発明は上記問題に鑑み、水蒸気バリア性、酸素バリア性に優れ、薬液吸着性が低い医療用多層容器を提供することを目的とする。
本発明は以下の医療用多層容器を提供する。
最内層と最外層がポリエチレンナフタレート樹脂(A)を主成分とする層(A)からなり、中間層の少なくとも一層がポリオレフィン樹脂(B)を主成分とする層(B)からなる多層構造である医療用多層容器。
最内層と最外層がポリエチレンナフタレート樹脂(A)を主成分とする層(A)からなり、中間層の少なくとも一層がポリオレフィン樹脂(B)を主成分とする層(B)からなる多層構造である医療用多層容器。
本発明の医療用多層容器は、水蒸気バリア性、酸素バリア性に優れ、低吸着性であり、従来のプラスチック製医療用包装容器に比べ、長期保存性が格段に向上する。
以下、本発明を詳細に説明する。
<<医療用多層容器>>
本発明の医療用多層容器は、最内層、最外層がポリエチレンナフタレート樹脂(A)を主成分とする層(A)からなり、中間層の少なくとも一層が、ポリオレフィン樹脂(B)を主成分とする層(B)からなる多層構造である容器である。
本発明の医療用多層容器における層(A)及び層(B)の数や種類は特に限定されない。例えば、2層の層(A)及び1層の層(B)からなるA/B/Aの3層構成であってもよく、3層の層(A)並びに2層の層(B)からなるA/B/A/B/Aの5層構成であってもよい。また、さらに、本発明の医療用多層容器は、必要に応じて接着層(AD)等の任意の層を含んでもよく、例えば、A/AD/B/AD/Aの5層構成であってもよい。
<<医療用多層容器>>
本発明の医療用多層容器は、最内層、最外層がポリエチレンナフタレート樹脂(A)を主成分とする層(A)からなり、中間層の少なくとも一層が、ポリオレフィン樹脂(B)を主成分とする層(B)からなる多層構造である容器である。
本発明の医療用多層容器における層(A)及び層(B)の数や種類は特に限定されない。例えば、2層の層(A)及び1層の層(B)からなるA/B/Aの3層構成であってもよく、3層の層(A)並びに2層の層(B)からなるA/B/A/B/Aの5層構成であってもよい。また、さらに、本発明の医療用多層容器は、必要に応じて接着層(AD)等の任意の層を含んでもよく、例えば、A/AD/B/AD/Aの5層構成であってもよい。
1.ポリエチレンナフタレート樹脂(A)を主成分とする層(A)
本発明において、医療用多層容器の最内層、最外層は後述するポリエチレンナフタレート樹脂(A)を主な樹脂成分として含有する層(A)である。層(A)はポリエチレンナフタレート樹脂(A)1種であってもよいし、2種以上の組合せであってもよい。
本発明において、医療用多層容器の最内層、最外層は後述するポリエチレンナフタレート樹脂(A)を主な樹脂成分として含有する層(A)である。層(A)はポリエチレンナフタレート樹脂(A)1種であってもよいし、2種以上の組合せであってもよい。
層(A)には、本来の目的を阻害しない範囲で、付与したい性能等に応じてポリエチレンナフタレート樹脂(A)以外の樹脂を添加してもよいが、層(A)の全樹脂中に占めるポリエチレンナフタレート樹脂(A)の比率は90質量%を超えることが好ましい。層(A)に含まれる樹脂はポリエチレンナフタレート樹脂(A)のみであってもよい。
層(A)の厚みは、医療用多層容器に要求される諸物性を確保するという観点から、好ましくは50〜10000μm、より好ましくは100〜7000μm、更に好ましくは300〜5000μmである。
[ポリエチレンナフタレート樹脂(A)]
本発明に用いるポリエチレンナフタレート樹脂(A)は、ナフタレンジカルボン酸又はそのエステル等の誘導体を含むジカルボン酸成分とエチレングリコールを含むジオール成分との重縮合物である。
本発明に用いるポリエチレンナフタレート樹脂(A)は、ナフタレンジカルボン酸又はそのエステル等の誘導体を含むジカルボン酸成分とエチレングリコールを含むジオール成分との重縮合物である。
なお、ポリエチレンナフタレート樹脂(A)は、ポリエチレン−2,6−ナフタレンジーカルボキシレートのホモポリマー(ジカルボン酸成分:2,6−ナフタレンジカルボン酸又はその誘導体、グリコール成分:エチレングリコール)が最も好ましいが、例えばジカルボン酸成分の一部(30モル%未満)が2,7−、1,5−、1,7−その他のナフタレンジカルボン酸の異性体、テレフタル酸、イソフタル酸、ジフェニルジカルボン酸、ジフェノキシエタンジカルボン酸、ジフェニルエーテルジカルボン酸、ジフェニルスルホンジカルボン酸などの他の芳香族ジカルボン酸;ヘキサヒドロテレフタル酸、ヘキサヒドロイソフタル酸などの脂環族ジカルボン酸;アジピン酸、セバチン酸、アゼライン酸、2,6−デカリンジカルボン酸などの脂肪族ジカルボン酸;p−β−ヒドロキシエトキシ安息香酸、ε−オキシカプロン酸等などのオキシ酸等の他の二官能性カルボン酸で置換されたコポリマーでもよい。
更に、ジオール成分の一部(30モル%未満)が、例えばトリメチレングリコール、テトラメチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、デカメチレングリコール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、1,1−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、2,2−ビス(4′−β−ヒドロキシエトキシフェニル)プロパン、ビス(4′−β−ヒドロキシエトキシフェニル)スルホン酸等の他の多官能化合物の1種以上で置換されたコポリマーであってもよい。
ポリエチレンナフタレート樹脂(A)には、溶融粘弾性や分子量などを調整するために、本発明の目的を損なわない範囲でブチルアルコール、ヘキシルアルコール、オクチルアルコールなどのモノアルコールに由来する単位やトリメチロールプロパン、グリセリン、1,3,5−ペンタントリオール、ペンタエリスリトールなどの3価以上の多価アルコールに由来する単位、安息香酸、プロピオン酸、酪酸などのモノカルボン酸に由来する単位、トリメリット酸、ピロメリット酸などの3価以上の多価カルボン酸に由来する単位、グリコール酸、乳酸、ヒドロキシ酪酸、2−ヒドロキシイソ酪酸、ヒドロキシ安息香酸などのオキシ酸に由来する単位を含んでもよい。
ポリエチレンナフタレート樹脂(A)を製造する方法は特に制限はなく、従来公知のポリエステルの製造方法をいずれも適用することができる。例えばエステル交換法、直接エステル化法等の溶融重合法、又は溶液重合法等を挙げる事ができる。上記したポリエチレンナフタレート樹脂(A)の製造方法の中で、原料入手の容易さの点から、エステル交換法が好ましい。
ポリエチレンナフタレート樹脂(A)の製造時に用いるエステル交換触媒、エステル化触媒、重縮合触媒等の各種触媒、エーテル化防止剤、熱安定剤、光安定剤等の各種安定剤、重合調整剤等も従来公知のものをいずれも用いることができ、これらは反応速度やポリエステル樹脂の色調、安全性、熱安定性、耐候性、自身の溶出性などに応じて適宜選択される。例えば上記各種触媒としては、亜鉛、鉛、セリウム、カドミウム、マンガン、コバルト、リチウム、ナトリウム、カリウム、カルシウム、ニッケル、マグネシウム、バナジウム、アルミニウム、チタン、アンチモン、スズ等の金属の化合物(例えば、脂肪酸塩、炭酸塩、リン酸塩、水酸化物、塩化物、酸化物、アルコキシド)や金属マグネシウムなどが挙げられ、これらは単独で用いることもできるし、複数のものを組み合わせて用いることもできる。エステル交換法におけるエステル交換触媒としては、活性が高く、副反応が少ないことから、上記した中でマンガンの化合物が好ましく、重縮合触媒としては上記した中でアンチモン、チタンの化合物が好ましい。
ポリエチレンナフタレート樹脂(A)には、本発明の目的を損なわない範囲で酸化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、可塑剤、増量剤、艶消し剤、乾燥調節剤、帯電防止剤、沈降防止剤、界面活性剤、流れ改良剤、乾燥油、ワックス類、フィラー、着色剤、補強剤、表面平滑剤、レベリング剤、硬化反応促進剤、増粘剤などの各種添加剤、成形助剤を添加することができる。
このようなポリエチレンナフタレート樹脂(A)は市販のものも特に制限なく採用できる。例えば帝人化成製、テオネックス(登録商標)として市販されている。
又、ポリエチレンナフタレート樹脂(A)は、重量平均分子量10000以上、軟化点(ASTMD1525)が120℃以上のものが好ましい。
又、ポリエチレンナフタレート樹脂(A)は、重量平均分子量10000以上、軟化点(ASTMD1525)が120℃以上のものが好ましい。
2.ポリオレフィン樹脂(B)を主成分とする層(B)
本発明における層(B)は、ポリオレフィン樹脂(B)を主成分とする層である。ここで、「主成分とする」とは、層(B)中に、ポリオレフィン樹脂(B)を70質量%以上、好ましくは80質量%以上、より好ましくは90〜100質量%含まれることを意味する。層(B)は、ポリオレフィン樹脂(B)に加えて、所望する性能等に応じて、添加剤等を含んでいてもよい。
本発明の医療多層容器は、層(B)を複数有していてもよく、複数の層(B)の構成は互いに同一であっても異なっていてもよい。
層(B)の厚みは、用途に応じて適宜決定することができ、医療多層容器に要求される諸物性を確保するという観点から、好ましくは20〜7000μm、より好ましくは50〜6000μm、更に好ましくは100〜5000μmである。
本発明における層(B)は、ポリオレフィン樹脂(B)を主成分とする層である。ここで、「主成分とする」とは、層(B)中に、ポリオレフィン樹脂(B)を70質量%以上、好ましくは80質量%以上、より好ましくは90〜100質量%含まれることを意味する。層(B)は、ポリオレフィン樹脂(B)に加えて、所望する性能等に応じて、添加剤等を含んでいてもよい。
本発明の医療多層容器は、層(B)を複数有していてもよく、複数の層(B)の構成は互いに同一であっても異なっていてもよい。
層(B)の厚みは、用途に応じて適宜決定することができ、医療多層容器に要求される諸物性を確保するという観点から、好ましくは20〜7000μm、より好ましくは50〜6000μm、更に好ましくは100〜5000μmである。
[ポリオレフィン樹脂(B)]
ポリオレフィン樹脂(B)の具体例としては、ポリエチレン(低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直鎖状(線状)低密度ポリエチレン)、ポリプロピレン、ポリブテン−1、ポリ−4−メチルペンテン−1、エチレンとα−オレフィンとの共重合体、プロピレンとα−オレフィン共重合体、エチレン−α,β−不飽和カルボン酸共重合体、エチレン−α,β−不飽和カルボン酸エステル共重合体等の公知の樹脂であり、好ましいのはノルボルネンもしくはテトラシクロドデセンまたはそれらの誘導体などのシクロオレフィン類開環重合体およびその水素添加物、ノルボルネンもしくはテトラシクロドデセンまたはその誘導体などのシクロオレフィンと、エチレンまたはプロピレンとの重合により分子鎖にシクロペンチル残基や置換シクロペンチル残基が挿入された共重合体である樹脂である。ここで、シクロオレフィンは単環式および多環式のものを含む。好ましいのは、熱可塑性ノルボルネン系樹脂または熱可塑性テトラシクロドデセン系樹脂である。熱可塑性ノルボルネン系樹脂としては、ノルボルネン系単量体の開環重合体、その水素添加物、ノルボルネン系単量体の付加型重合体、ノルボルネン系単量体とオレフィンの付加型重合体などが挙げられる。熱可塑性テトラシクロドデセン系樹脂としては、テトラシクロドデセン系単量体の開環重合体、その水素添加物、テトラシクロドデセン系単量体の付加型重合体、テトラシクロドデセン系単量体とオレフィンの付加型重合体などが挙げられる。熱可塑性ノルボルネン系樹脂は、例えば特開平3−14882号公報、特開平3−122137号公報、特開平4−63807号公報などに記載されている。
ポリオレフィン樹脂(B)の具体例としては、ポリエチレン(低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直鎖状(線状)低密度ポリエチレン)、ポリプロピレン、ポリブテン−1、ポリ−4−メチルペンテン−1、エチレンとα−オレフィンとの共重合体、プロピレンとα−オレフィン共重合体、エチレン−α,β−不飽和カルボン酸共重合体、エチレン−α,β−不飽和カルボン酸エステル共重合体等の公知の樹脂であり、好ましいのはノルボルネンもしくはテトラシクロドデセンまたはそれらの誘導体などのシクロオレフィン類開環重合体およびその水素添加物、ノルボルネンもしくはテトラシクロドデセンまたはその誘導体などのシクロオレフィンと、エチレンまたはプロピレンとの重合により分子鎖にシクロペンチル残基や置換シクロペンチル残基が挿入された共重合体である樹脂である。ここで、シクロオレフィンは単環式および多環式のものを含む。好ましいのは、熱可塑性ノルボルネン系樹脂または熱可塑性テトラシクロドデセン系樹脂である。熱可塑性ノルボルネン系樹脂としては、ノルボルネン系単量体の開環重合体、その水素添加物、ノルボルネン系単量体の付加型重合体、ノルボルネン系単量体とオレフィンの付加型重合体などが挙げられる。熱可塑性テトラシクロドデセン系樹脂としては、テトラシクロドデセン系単量体の開環重合体、その水素添加物、テトラシクロドデセン系単量体の付加型重合体、テトラシクロドデセン系単量体とオレフィンの付加型重合体などが挙げられる。熱可塑性ノルボルネン系樹脂は、例えば特開平3−14882号公報、特開平3−122137号公報、特開平4−63807号公報などに記載されている。
特に好ましいのは、ノルボルネンとエチレン等のオレフィンを原料とした共重合体、およびテトラシクロドデセンとエチレン等のオレフィンを原料とした共重合体であるシクロオレフィンコポリマー(COC)、また、ノルボルネンを開環重合し、水素添加した重合物であるシクロオレフィンポリマー(COP)も好ましい。このようなCOCおよびCOPは例えば特開平5−300939号公報あるいは特開平5−317411号公報に記載されている。
COCは、例えば三井化学製、アペル(登録商標)として市販されており、またCOPは、例えば日本ゼオン製、ゼオネックス(登録商標)又はゼオノア(登録商標)や大協精工製、Daikyo Resin CZ(登録商標)として市販されている。
COCおよびCOPは、耐熱性や耐光性などの化学的性質や耐薬品性はポリオレフィン樹脂としての特徴を示し、機械特性、溶融、流動特性、寸法精度などの物理的性質は非晶性樹脂としての特徴を示すことから最も好ましい材質である
3.任意の層
本発明の医療用多層容器は、前記層(A)及び(B)に加えて、所望する性能等に応じて任意の層を含んでいてもよい。そのような任意の層としては、例えば、接着層等が挙げられる。
本発明の医療用多層容器は、前記層(A)及び(B)に加えて、所望する性能等に応じて任意の層を含んでいてもよい。そのような任意の層としては、例えば、接着層等が挙げられる。
[接着層]
本発明の医療用多層容器において、隣接する2つの層の間で実用的な層間接着強度が得られない場合には、当該2つの層の間に接着剤層を設けることが好ましい。
接着層は、接着性を有する熱可塑性樹脂を含むことが好ましい。接着性を有する熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリエチレン又はポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂をアクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、イタコン酸等の不飽和カルボン酸で変性した酸変性ポリオレフィン樹脂、ポリエステル系ブロック共重合体を主成分とした、ポリエステル系熱可塑性エラストマーが挙げられる。接着層としては、接着性の観点から、層(A)として用いられているポリエチレンナフタレート樹脂(A)と同種の樹脂を変性したものを用いることが好ましい。
接着層の厚みは、実用的な接着強度を発揮しつつ成形加工性を確保するという観点から、好ましくは2〜100μm、より好ましくは5〜90μm、更に好ましくは10〜80μmである。
本発明の医療用多層容器において、隣接する2つの層の間で実用的な層間接着強度が得られない場合には、当該2つの層の間に接着剤層を設けることが好ましい。
接着層は、接着性を有する熱可塑性樹脂を含むことが好ましい。接着性を有する熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリエチレン又はポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂をアクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、イタコン酸等の不飽和カルボン酸で変性した酸変性ポリオレフィン樹脂、ポリエステル系ブロック共重合体を主成分とした、ポリエステル系熱可塑性エラストマーが挙げられる。接着層としては、接着性の観点から、層(A)として用いられているポリエチレンナフタレート樹脂(A)と同種の樹脂を変性したものを用いることが好ましい。
接着層の厚みは、実用的な接着強度を発揮しつつ成形加工性を確保するという観点から、好ましくは2〜100μm、より好ましくは5〜90μm、更に好ましくは10〜80μmである。
4.容器の種類及びその製造方法
本発明の医療用多層容器は、前記の樹脂を、射出成形、押出成形、圧縮成形(シート成形、ブロー成形)等の成形手段によって所望の容器形状に成形することにより製造される。該容器の形状は特に限定されるものではないが、例えば、バイアル、アンプル、プレフィルドシリンジが挙げられる。
本発明の医療用多層容器は、前記の樹脂を、射出成形、押出成形、圧縮成形(シート成形、ブロー成形)等の成形手段によって所望の容器形状に成形することにより製造される。該容器の形状は特に限定されるものではないが、例えば、バイアル、アンプル、プレフィルドシリンジが挙げられる。
〔バイアル〕
本発明のバイアルは、一般的なバイアルとなんら変わるものではなく、ボトル、ゴム栓、キャップから構成され、薬液をボトルに充填後、ゴム栓をして、更にその上からキャップを巻締めることで密閉する医療用包装容器である。ボトル部分が本発明で用いられる、最内層、最外層がポリエチレンナフタレート樹脂(A)を主成分とする層(A)であり、中間層の少なくとも一層が、ポリオレフィン樹脂(B)を主成分とする層(B)である必要がある。
本発明のバイアルは、一般的なバイアルとなんら変わるものではなく、ボトル、ゴム栓、キャップから構成され、薬液をボトルに充填後、ゴム栓をして、更にその上からキャップを巻締めることで密閉する医療用包装容器である。ボトル部分が本発明で用いられる、最内層、最外層がポリエチレンナフタレート樹脂(A)を主成分とする層(A)であり、中間層の少なくとも一層が、ポリオレフィン樹脂(B)を主成分とする層(B)である必要がある。
本発明のバイアルのボトル部分の成形方法は射出ブロー成形、押出しブロー成形にて製造される。例として射出ブロー成形方法を以下に示す。
例えば、2台以上の射出機を備えた成形機及び射出用金型を用いて、層(A)を構成する材料及び層(B)を構成する材料をそれぞれの射出シリンダーから金型ホットランナーを通して、キャビティー内に射出して、射出用金型の形状に対応した多層成形体を製造することができる。また、先ず、層(A)を構成する材料を射出シリンダーから射出し、次いで層(B)を構成する材料を別の射出シリンダーから、層(A)を構成する樹脂と同時に射出し、次に層(A)を構成する樹脂を必要量射出してキャビティーを満たすことにより3層構造A/B/Aの成形体が製造できる。
また、先ず、層(A)を構成する材料を射出し、次いで層(B)を構成する材料を単独で射出し、最後に層(A)を構成する材料を必要量射出して金型キャビティーを満たすことにより、5層構造A/B/A/B/Aの多層成形体が製造できる。
また、先ず、層(A)を構成する材料を射出シリンダーから射出し、次いで層(B1)を構成する材料を別の射出シリンダーから、層(A)を構成する樹脂と同時に射出し、次に層(B2)を構成する樹脂を層(A)、層(B1)を構成する樹脂と同時に射出し、次に層(A)を構成する樹脂を必要量射出してキャビティーを満たすことにより5層構造A/B1/B2/B1/Aの多層成形体が製造できる。
射出ブロー成形では上記方法により得られた多層成形体をある程度加熱された状態を保ったまま最終形状金型(ブロー金型)に嵌め、空気を吹込み、膨らませて金型に密着させ、冷却固化させることでボトル状に成形することができる。
例えば、2台以上の射出機を備えた成形機及び射出用金型を用いて、層(A)を構成する材料及び層(B)を構成する材料をそれぞれの射出シリンダーから金型ホットランナーを通して、キャビティー内に射出して、射出用金型の形状に対応した多層成形体を製造することができる。また、先ず、層(A)を構成する材料を射出シリンダーから射出し、次いで層(B)を構成する材料を別の射出シリンダーから、層(A)を構成する樹脂と同時に射出し、次に層(A)を構成する樹脂を必要量射出してキャビティーを満たすことにより3層構造A/B/Aの成形体が製造できる。
また、先ず、層(A)を構成する材料を射出し、次いで層(B)を構成する材料を単独で射出し、最後に層(A)を構成する材料を必要量射出して金型キャビティーを満たすことにより、5層構造A/B/A/B/Aの多層成形体が製造できる。
また、先ず、層(A)を構成する材料を射出シリンダーから射出し、次いで層(B1)を構成する材料を別の射出シリンダーから、層(A)を構成する樹脂と同時に射出し、次に層(B2)を構成する樹脂を層(A)、層(B1)を構成する樹脂と同時に射出し、次に層(A)を構成する樹脂を必要量射出してキャビティーを満たすことにより5層構造A/B1/B2/B1/Aの多層成形体が製造できる。
射出ブロー成形では上記方法により得られた多層成形体をある程度加熱された状態を保ったまま最終形状金型(ブロー金型)に嵌め、空気を吹込み、膨らませて金型に密着させ、冷却固化させることでボトル状に成形することができる。
〔アンプル〕
本発明のアンプルは、一般的なアンプルとなんら変わることなく、頸部を細くした小容器で薬液を充填後、頸部の先を熔封する事で密閉する医療用包装容器である。本発明のアンプルの成形方法は射出ブロー成形、押出しブロー成形にて製造される。
本発明のアンプルは、一般的なアンプルとなんら変わることなく、頸部を細くした小容器で薬液を充填後、頸部の先を熔封する事で密閉する医療用包装容器である。本発明のアンプルの成形方法は射出ブロー成形、押出しブロー成形にて製造される。
〔プレフィルドシリンジ〕
本発明のプレフィルドシリンジは一般的なプレフィルドシリンジとなんら変わるものではなく、少なくとも薬液を充填する為のバレル、バレルの一端に注射針を接合する為の接合部及び使用時に薬液を押出す為のプランジャーから構成される医療用容器であり、バレル最内層、最外層がポリエチレンナフタレート樹脂(A)を主成分とする層(A)であり、中間層の少なくとも一層が、ポリオレフィン樹脂(B)を主成分とする層(B)である多層成形体とすることにより、医療用多層容器とできる。本発明のプレフィルドシリンジではプランジャーとバレルとの密着性を増す為にパッキンを用いても良く、パッキンとしてはポリエチレンナフタレート樹脂(A)を使用しても良いが、ゴム弾性材料の方が好ましく、ブチルゴム、イソプレンゴム、熱可塑性エラストマー等を挙げることができる。パッキン等の使用によりプランジャーと内容物が接しない場合は、プランジャーに使用しうる樹脂としてはポリエチレンナフタレート樹脂(A)の他にポリプロピレン、ポリエチレン、ポリカーボネート、シクロオレフィンポリマー等を例示することができるが、プランジャーと内容物が接触する場合にはプランジャーはポリエチレンナフタレート樹脂(A)を使用することが好ましい。
本発明のプレフィルドシリンジは一般的なプレフィルドシリンジとなんら変わるものではなく、少なくとも薬液を充填する為のバレル、バレルの一端に注射針を接合する為の接合部及び使用時に薬液を押出す為のプランジャーから構成される医療用容器であり、バレル最内層、最外層がポリエチレンナフタレート樹脂(A)を主成分とする層(A)であり、中間層の少なくとも一層が、ポリオレフィン樹脂(B)を主成分とする層(B)である多層成形体とすることにより、医療用多層容器とできる。本発明のプレフィルドシリンジではプランジャーとバレルとの密着性を増す為にパッキンを用いても良く、パッキンとしてはポリエチレンナフタレート樹脂(A)を使用しても良いが、ゴム弾性材料の方が好ましく、ブチルゴム、イソプレンゴム、熱可塑性エラストマー等を挙げることができる。パッキン等の使用によりプランジャーと内容物が接しない場合は、プランジャーに使用しうる樹脂としてはポリエチレンナフタレート樹脂(A)の他にポリプロピレン、ポリエチレン、ポリカーボネート、シクロオレフィンポリマー等を例示することができるが、プランジャーと内容物が接触する場合にはプランジャーはポリエチレンナフタレート樹脂(A)を使用することが好ましい。
本発明のプレフィルドシリンジの成形方法は射出成形法にて製造される。多層成形体となるバレルは、先ず層(A)を構成する樹脂をキャビティ内に一定量射出し、次いで層(B)を構成する樹脂を一定量射出し、再び層(A)を構成する樹脂を一定量射出することにより製造される。バレルと接合部は一体のものとして成形しても良いし、別々に成形した物を接合しても良い。接合部の先端は封をする必要があるが、その方法は接合部先端の樹脂を溶融状態に加熱、ペンチ等で挟み込んで融着させる等すればよい。
本発明の医療用多層容器の厚さは、使用目的や大きさによるが0.5〜20mm程度のものであればよい。また、厚さは均一であっても、厚さを変えたものであってもいずれでもよい。また表面に長期保存安定の目的で、別のガスバリア膜や遮光膜が形成されていてもよい。かかる膜およびその形成方法としては、特開2004−323058号公報に記載された方法などを採用できる。
本発明の医療用多層容器の充填物としては特に制限はないが、本発明の効果の点から、例えば脂溶性の化合物が好ましく、その化合物の有用性の面からテルペン類、タンパク質等が好ましく挙げられる。より具体的にはテルペン類としては、ビタミンA、ビタミンD、ビタミンE、ビタミンKなどの脂溶性ビタミン、リモネン、メントール、ミルセン、オシメン、コスメン等のモノテルペン、ファルネソール、ネロリドール、β-シネンサール、カリオフィレン等のセスキテルペン、ジテルペン、セスタテルペン、トリテルペン、テトラテルペン等が好ましく挙げられる。タンパク質としては卵アルブミン、血清アルブミン、乳アルブミン等のアルブミン等が挙げられる。ペプチド結合を有する化合物で修飾されたテルペン類も充填物として好ましく、パクリタキセル等が挙げられる。本発明の医療用包装容器は、これらの化合物を充填した場合に、これらの化合物の吸着量が少なくなり、また酸化による変質や、溶媒である水分の蒸散を抑制する事ができる。
また、これらの被保存物の充填前後に、被保存物に適した形で、医療多層容器や被保存物の殺菌を施すことができる。殺菌方法としては、100℃以下での熱水処理、100℃以上の加圧熱水処理、121℃以上の高温加熱処理等の加熱殺菌、紫外線、マイクロ波、ガンマ線等の電磁波殺菌、エチレンオキサイド等のガス処理、過酸化水素や次亜塩素酸等の薬剤殺菌等が挙げられる。
また、これらの被保存物の充填前後に、被保存物に適した形で、医療多層容器や被保存物の殺菌を施すことができる。殺菌方法としては、100℃以下での熱水処理、100℃以上の加圧熱水処理、121℃以上の高温加熱処理等の加熱殺菌、紫外線、マイクロ波、ガンマ線等の電磁波殺菌、エチレンオキサイド等のガス処理、過酸化水素や次亜塩素酸等の薬剤殺菌等が挙げられる。
以下に、実施例を挙げて本発明を更に具体的に説明する。なお、実施例ではバイアルを例に挙げているが、本願明細書に示したとおりアンプル、プレフィルドシリンジに対する要求特性はバイアルに対するものと同じである為、本発明がこれらの実施例によりその範囲を限定されるものではない。
本実施例での医療用多層容器の評価方法は以下の通りである。
本実施例での医療用多層容器の評価方法は以下の通りである。
実施例及び比較例で得られたバイアルの酸素透過率、水蒸気透過率、タンパク質吸着性について、以下の方法で測定し、評価した。
(1)酸素透過率
23℃、成形体外部の相対湿度50%、内部の相対湿度100%の雰囲気下にてASTM D3985に準じて、測定開始から15日経過後バイアルの酸素透過率を測定した。測定は、酸素透過率測定装置(MOCON社製、商品名:OX−TRAN 2−21 ML)を使用した。測定値が低いほど酸素バリア性が良好であることを示す。
23℃、成形体外部の相対湿度50%、内部の相対湿度100%の雰囲気下にてASTM D3985に準じて、測定開始から15日経過後バイアルの酸素透過率を測定した。測定は、酸素透過率測定装置(MOCON社製、商品名:OX−TRAN 2−21 ML)を使用した。測定値が低いほど酸素バリア性が良好であることを示す。
(2)水蒸気透過率
23℃、成形体外部の相対湿度10%、内部の相対湿度100%の雰囲気下にてASTM D3985に準じて、測定開始から15日経過後のバイアルの水蒸気透過率を測定した。測定は、水蒸気透過率測定装置(MOCON社製、商品名:PERMATRAN 3/33MG)を使用した。測定値が低いほど水蒸気バリア性が良好であることを示す。
23℃、成形体外部の相対湿度10%、内部の相対湿度100%の雰囲気下にてASTM D3985に準じて、測定開始から15日経過後のバイアルの水蒸気透過率を測定した。測定は、水蒸気透過率測定装置(MOCON社製、商品名:PERMATRAN 3/33MG)を使用した。測定値が低いほど水蒸気バリア性が良好であることを示す。
(3)タンパク質残存率試験
得られたバイアルに、タンパク質水溶液100ccを充填し、30℃、100%RH下で30日間経時させた後、窒素分析にて水溶液の窒素濃度を測定し、水溶液中のタンパク質の残存率を以下の式より算出した測定した。
水溶液中のタンパク質残存率(%)=経時後の水溶液の窒素濃度(ppm)/経時前の水溶液の窒素濃度(ppm)×100
タンパク質水溶液としては和光純薬製γ-グロブリン(ヒト血清由来、粉末)の300ppm水溶液を使用した。元素分析には三菱アナリテック製全窒素分析計TN−5を使用した。
得られたバイアルに、タンパク質水溶液100ccを充填し、30℃、100%RH下で30日間経時させた後、窒素分析にて水溶液の窒素濃度を測定し、水溶液中のタンパク質の残存率を以下の式より算出した測定した。
水溶液中のタンパク質残存率(%)=経時後の水溶液の窒素濃度(ppm)/経時前の水溶液の窒素濃度(ppm)×100
タンパク質水溶液としては和光純薬製γ-グロブリン(ヒト血清由来、粉末)の300ppm水溶液を使用した。元素分析には三菱アナリテック製全窒素分析計TN−5を使用した。
(4)高温蒸気滅菌
得られたバイアルに、121℃20分間の高温蒸気滅菌処理を実施した後に以下の評価を実施した。
(4−1)タンパク質残存率試験
処理後のバイアルに(3)と同様の方法で水溶液中のタンパク質の残存率を測定した。
(4−2)外観変化
処理後のバイアルの変形、白化などの外観変化を観察した。いずれも認められないものを合格とした。
得られたバイアルに、121℃20分間の高温蒸気滅菌処理を実施した後に以下の評価を実施した。
(4−1)タンパク質残存率試験
処理後のバイアルに(3)と同様の方法で水溶液中のタンパク質の残存率を測定した。
(4−2)外観変化
処理後のバイアルの変形、白化などの外観変化を観察した。いずれも認められないものを合格とした。
(5)γ−線滅菌
(5−1)タンパク質残存率試験
得られたバイアルに、タンパク質水溶液100ccを充填し、25kGyのγ-線照射処理を実施した後、30℃、100%RH下で30日間経時させた後、窒素分析にて水溶液の窒素濃度を測定し、水溶液中のタンパク質の残存率を以下の式より算出した測定した。
水溶液中のタンパク質残存率(%)=経時後の水溶液の窒素濃度(ppm)/経時前の水溶液の窒素濃度(ppm)×100
タンパク質水溶液としては和光純薬製γ-グロブリン(ヒト血清由来、粉末)の300ppm水溶液を使用した。元素分析には三菱アナリテック製全窒素分析計TN−5を使用した。
(5−2)外観変化
得られたバイアルに、25kGyのγ-線照射処理を実施しバイアルの変形、変色などの外観変化を観察した。いずれも認められないものを合格とした。
(5−3)落下試験
得られたバイアルに水を100cc充填してアルミ蓋で封をし、25kGyのγ-線照射処理を実施した後に3mの高さから5回連続して自由落下させた。10個のサンプルに対して途中で割れたものが一つもない場合を合格とした。
(5−1)タンパク質残存率試験
得られたバイアルに、タンパク質水溶液100ccを充填し、25kGyのγ-線照射処理を実施した後、30℃、100%RH下で30日間経時させた後、窒素分析にて水溶液の窒素濃度を測定し、水溶液中のタンパク質の残存率を以下の式より算出した測定した。
水溶液中のタンパク質残存率(%)=経時後の水溶液の窒素濃度(ppm)/経時前の水溶液の窒素濃度(ppm)×100
タンパク質水溶液としては和光純薬製γ-グロブリン(ヒト血清由来、粉末)の300ppm水溶液を使用した。元素分析には三菱アナリテック製全窒素分析計TN−5を使用した。
(5−2)外観変化
得られたバイアルに、25kGyのγ-線照射処理を実施しバイアルの変形、変色などの外観変化を観察した。いずれも認められないものを合格とした。
(5−3)落下試験
得られたバイアルに水を100cc充填してアルミ蓋で封をし、25kGyのγ-線照射処理を実施した後に3mの高さから5回連続して自由落下させた。10個のサンプルに対して途中で割れたものが一つもない場合を合格とした。
[3層構成(A/B/A)のバイアル]
実施例1
下記の条件により、層(A)を構成する材料を射出シリンダーから射出し、次いで層(B)を構成する材料を別の射出シリンダーから、層(A)を構成する樹脂と同時に射出し、次に層(A)を構成する樹脂を必要量射出して射出金型内キャビティーを満たすことにより、(A)/(B)/(A)の3層構成の射出成形体(20g)を得た後、射出成形体を所定の温度まで冷却し、ブロー金型へ移行した後にブロー成形を行うことでバイアルボトルを製造した。得られたバイアルの総質量に対する層(B)の質量は30質量%であった。
なお、層(B)を構成する樹脂としては、シクロオレフィンコポリマー(Ticona GmbH製 TOPAS6013)を使用した。層(A)を構成する樹脂としては、ポリエチレンナフタレート(帝人化成製、TEONEX TN8065S)を使用した。
実施例1
下記の条件により、層(A)を構成する材料を射出シリンダーから射出し、次いで層(B)を構成する材料を別の射出シリンダーから、層(A)を構成する樹脂と同時に射出し、次に層(A)を構成する樹脂を必要量射出して射出金型内キャビティーを満たすことにより、(A)/(B)/(A)の3層構成の射出成形体(20g)を得た後、射出成形体を所定の温度まで冷却し、ブロー金型へ移行した後にブロー成形を行うことでバイアルボトルを製造した。得られたバイアルの総質量に対する層(B)の質量は30質量%であった。
なお、層(B)を構成する樹脂としては、シクロオレフィンコポリマー(Ticona GmbH製 TOPAS6013)を使用した。層(A)を構成する樹脂としては、ポリエチレンナフタレート(帝人化成製、TEONEX TN8065S)を使用した。
(バイアルの形状)
全長100mm、外径50mm、肉厚2mm。なお、バイアルの製造には、射出ブロー一体型成形機(UNILOY製、型式:IBS 85、4個取り)を使用した。
(バイアルの成形条件)
層(A)用の射出シリンダー温度:290℃
層(B)用の射出シリンダー温度:290℃
射出金型内樹脂流路温度:290℃
ブロー温度:150℃
ブロー金型冷却水温度:15℃
全長100mm、外径50mm、肉厚2mm。なお、バイアルの製造には、射出ブロー一体型成形機(UNILOY製、型式:IBS 85、4個取り)を使用した。
(バイアルの成形条件)
層(A)用の射出シリンダー温度:290℃
層(B)用の射出シリンダー温度:290℃
射出金型内樹脂流路温度:290℃
ブロー温度:150℃
ブロー金型冷却水温度:15℃
比較例1
層(A)を構成する樹脂に、シクロオレフィンコポリマー(Ticona GmbH社製 TOPAS6013)を使用し、層(B)を構成する樹脂にポリエチレンナフタレート(帝人化成製、TEONEX TN8065S)を使用した以外は実施例1と同様にしてバイアルを製造した。
層(A)を構成する樹脂に、シクロオレフィンコポリマー(Ticona GmbH社製 TOPAS6013)を使用し、層(B)を構成する樹脂にポリエチレンナフタレート(帝人化成製、TEONEX TN8065S)を使用した以外は実施例1と同様にしてバイアルを製造した。
比較例2
ポリエチレンナフタレート(帝人化成製、TEONEX TN8065S)のみを使用して実施例1と同形状の単層のバイアルを製造した。
ポリエチレンナフタレート(帝人化成製、TEONEX TN8065S)のみを使用して実施例1と同形状の単層のバイアルを製造した。
比較例3
シクロオレフィンコポリマー(Ticona GmbH社製 TOPAS6013)のみを使用して実施例1と同形状の単層バイアルを製造した。
シクロオレフィンコポリマー(Ticona GmbH社製 TOPAS6013)のみを使用して実施例1と同形状の単層バイアルを製造した。
表1に、各バイアルの評価結果を示す。
Claims (4)
- 最内層と最外層がポリエチレンナフタレート樹脂(A)を主成分とする層(A)からなり、中間層の少なくとも一層がポリオレフィン樹脂(B)を主成分とする層(B)からなる多層構造である医療用多層容器。
- ポリエチレンナフタレート樹脂(A)がポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレートのホモポリマーである請求項1に記載の医療用多層容器。
- ポリオレフィン樹脂(B)がシクロオレフィンポリマー、シクロオレフィンコポリマー及びポリプロピレンから選ばれる少なくとも一種である請求項1または2に記載の医療用多層容器。
- 医療用多層容器が、アンプル、バイアル又はプレフィルドシリンジであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の医療用多層容器。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2012005032 | 2012-01-13 | ||
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Publications (1)
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2017030807A (ja) * | 2015-07-31 | 2017-02-09 | 株式会社吉野工業所 | 樹脂製容器 |
CN108785077A (zh) * | 2018-05-31 | 2018-11-13 | 湖北科伦药业有限公司 | 一种利巴韦林安瓿瓶及其生产工艺 |
Citations (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2004182304A (ja) * | 2002-12-04 | 2004-07-02 | Toyo Seikan Kaisha Ltd | 防湿性と透明性の改良された多層ポリエステル延伸ボトル |
WO2004093775A1 (ja) * | 2003-04-23 | 2004-11-04 | Otsuka Pharmaceutical Factory, Inc. | 薬液充填プラスチックアンプルおよびその製造方法 |
-
2013
- 2013-01-11 JP JP2013003869A patent/JP2013163017A/ja active Pending
Patent Citations (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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