JP2023177894A - 多層射出成形体及び容器 - Google Patents

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俊 小川
Takashi Ogawa
弘毅 長谷川
Koki Hasegawa
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Abstract

【課題】良好な酸素バリア性能を示し、酸素吸収後の色調が良好かつ強度・形状維持性に優れ、良好な外観を有する多層射出成形体、及び容器の提供。【解決手段】ポリエステル化合物(a)と遷移金属触媒を含有する樹脂組成物を含有する層(A)と、前記ポリエステル化合物(a)と異なる熱可塑性樹脂(b)を含有する層(B)とを含有し、前記ポリエステル化合物(a)が、2,6-ナフタレンジカルボン酸ジメチル由来の構成単位(1)を30~55モル%、テトラリン-2,6-ジカルボン酸ジメチル由来の構成単位(2)を15~40モル%、イソフタル酸ジメチル由来の構成単位(3)を20~40モル%含有する(ポリエステル化合物(a)における構成単位の合計を100モル%とする)。【選択図】なし

Description

本発明は多層射出成形体、及び該多層射出成形体を含む容器に関する。
射出成形は、複雑な形状を有する成形体を作製可能であり、生産性も高いため、機械部品、自動車部品、電気・電子部品、食品・医薬用容器等に広く普及している。近年、包装容器としては、軽量で透明且つ易成形性等の利点を有するため、各種プラスチック容器が使用されている。代表的なプラスチック容器としては、例えば、飲料等の容器については、蓋を十分に締めることができるように口栓にネジ形状が形成された射出成形体(以下、「インジェクション成形体」とも言う)が多用されている。
射出成形体に用いられる材料としては、ポリオレフィン(ポリエチレン、ポリプロピレン等)、ポリエステル、ポリスチレン等の汎用性熱可塑性樹脂が挙げられる。特に、ポリエチレンテレフタレート(PET)等のポリエステルを主体とするインジェクション成形体が、お茶、果汁飲料、炭酸飲料、アルコール飲料等の飲料用プラスチック容器として広く利用されている。しかし、熱可塑性樹脂を主体としたインジェクション成形体は包装材料として優れているが、ガラス瓶や金属製容器と異なり、外部から酸素が透過してしまう性質があり、それに充填され密閉された内容物の保存性に問題が残っている。このような汎用性樹脂からなるインジェクション成形体にガスバリア性を付与するために、ガスバリア層を中間層として有する多層インジェクション成形体が実用化されている。
一方で、食品、飲料、医薬品、化粧品に代表される、酸素の影響を受けて変質或いは劣化しやすい各種物品の酸素酸化を防止し、長期に保存する目的で、これらを収納した包装体内の酸素除去を行う酸素吸収剤が使用されている。
酸素吸収剤としては、酸素吸収能力、取り扱い易さ、安全性の点から、鉄粉を反応主剤とする酸素吸収剤が一般的に用いられている。しかし、この鉄系酸素吸収剤は、金属探知機に感応するために、異物検査に金属探知機を使用することが困難であった。また、鉄系酸素吸収剤を同封した包装体は、発火の恐れがある為に電子レンジによる加熱ができない。さらに、鉄粉の酸化反応には水分が必須であるため、被保存物が高水分系であるものでしか、酸素吸収の効果を発現することができなかった。
また、熱可塑性樹脂に鉄系酸素吸収剤を配合した酸素吸収性樹脂組成物からなる酸素吸収層を配した多層材料で容器を構成することにより、容器のガスバリア性の向上を図るとともに容器自体に酸素吸収機能を付与した包装容器の開発が行われている(特許文献1参照)。しかし、これも同様に、金属探知機に感応するため当該用途で使用できない、電子レンジによる加熱ができない、被保存物が高水分系のものしか効果を発現しない、といった課題を有している。さらに、不透明性の問題により内部視認性が不足するといった課題を有している。
上記のような事情から、有機系の物質を反応主剤とする酸素吸収剤が望まれている。有機系の物質を反応主剤とする酸素吸収剤としては、アスコルビン酸を主剤とする酸素吸収剤が知られている(特許文献2参照)。
他方、樹脂と遷移金属触媒からなり、酸素捕捉特性を有する酸素吸収性樹脂組成物が知られている。例えば、酸化性有機成分としてポリアミド、特にキシリレン基含有ポリアミドと遷移金属触媒からなる樹脂組成物が知られている(特許文献3参照)。さらに、この特許文献3には、この樹脂組成物を成形して得られる酸素吸収剤、包装材料、包装用多層積層フィルムも例示されている。
また、酸素吸収に水分を必要としない酸素吸収性樹脂組成物として、炭素-炭素不飽和結合を有する樹脂と遷移金属触媒からなる酸素吸収性樹脂組成物が知られている(特許文献4参照)。
さらに、酸素を捕集する組成物として、置換されたシクロヘキセン官能基を含むポリマーまたは該シクロヘキセン環が結合した低分子量物質と遷移金属とからなる組成物が知られている(特許文献5参照)。
出願人はテトラリン環を有する酸素吸収性樹脂組成物を提案している(特許文献6参照)。
特開平09-234832号公報 特開昭51-136845号公報 特開2001-252560号公報 特開平05-115776号公報 特表2003-521552号公報 特許第6124114号
しかしながら、特許文献2の酸素吸収剤は、そもそも酸素吸収性能が低く、また、被保存物が高水分系のものしか効果を発現しない、比較的に高価である、といった課題を有している。
また、特許文献3の樹脂組成物は、遷移金属触媒を含有させキシリレン基含有ポリアミド樹脂を酸化させることで酸素吸収機能を発現させるものであるため、酸素吸収後に樹脂の酸化劣化による高分子鎖の切断が発生し、包装容器そのものの強度が低下するという問題を有している。さらに、この樹脂組成物は、未だ酸素吸収性能が不十分であり、被保存物が高水分系のものしか効果を発現しない、といった課題を有している。
さらに、特許文献4の酸素吸収性樹脂組成物は、上記と同様に樹脂の酸化にともなう高分子鎖の切断により臭気成分となる低分子量の有機化合物が生成し、酸素吸収後に臭気が発生するという問題がある。
一方、特許文献5の組成物は、シクロヘキセン官能基を含む特殊な材料を用いる必要があり、また、この材料は比較的に臭気が発生しやすい、という課題が依然として存在する。
特許文献6のテトラリン環を有する酸素吸収性樹脂組成物は酸素吸収後の臭気発生が無く、低湿度から高湿度までの広範な湿度条件下で優れた酸素吸収性能を有するが、酸素吸収後に著しく黄色化し、包装材料として使用した際に外観が悪化するという課題がある。
本発明は、良好な酸素バリア性能を示し、酸素吸収後の色調が良好かつ強度・形状維持性に優れ、良好な外観を有する多層射出成形体、及び容器を提供することを課題とする。
本発明者らは、多層射出成形体について鋭意検討を進めた結果、所定の構造を有するポリエステル化合物(a)と遷移金属触媒とを含有する樹脂組成物を含有する層(A)と、前記ポリエステル化合物(a)と異なる熱可塑性樹脂(b)を含有する層(B)と、を含有する多層射出成形体により、上記課題が解決されることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、以下の態様を包含する。
[1]ポリエステル化合物(a)と、遷移金属触媒と、を含有する樹脂組成物を含有する層(A)と、前記ポリエステル化合物(a)と異なる熱可塑性樹脂(b)を含有する層(B)と、を含有する、多層射出成形体であって、前記ポリエステル化合物(a)が、前記ポリエステル化合物(a)における下記式(1)、式(2)及び式(3)で表される構成単位の合計100モル%に対して、下記式(1)で表される構成単位を30~55モル%、下記式(2)で表される構成単位を15~40モル%、下記式(3)で表される構成単位を20~40モル%含有する、多層射出成形体。
Figure 2023177894000001
Figure 2023177894000002
Figure 2023177894000003
(上記式(1)~(3)中、nは繰り返し単位の量を表し、それぞれ、前記式(1)で表される構成単位、前記式(2)で表される構成単位及び前記式(3)で表される構成単位の組成比に対応する。)。
[2]前記ポリエステル化合物(a)が、(i)前記式(1)、式(2)及び式(3)で表される構成単位の合計100モル%に対して、前記式(1)で表される構成単位を40~50モル%、前記式(2)で表される構成単位を20~35モル%、前記式(3)で表される構成単位を25~35モル%含有し、かつ、(ii)前記ポリエステル化合物(a)の全構成単位100モル%に対して、前記式(1)~(3)で表される構成単位の合計が95モル%以上である、[1]に記載の多層射出成形体。
[3]前記遷移金属触媒が、コバルト、ニッケル及び銅からなる群より選択される少なくとも1種の遷移金属を含む、[1]に記載の多層射出成形体。
[4]前記遷移金属触媒が、前記ポリエステル化合物(a)の質量を基準として、遷移金属量として0.5~10ppm含まれる、[3]に記載の多層射出成形体。
[5][1]~[4]のいずれかに記載の多層射出成形体を含む、容器。
[6][1]~[4]のいずれかに記載の多層射出成形体を、更に加工して得られる、容器。
[7]射出ブロー成形又は延伸ブロー成形により得られる、[6]に記載の容器。
本発明によれば、良好な酸素バリア性能を示し、酸素吸収後の色調が良好かつ強度・形状維持性に優れ、良好な外観を有する多層射出成形体、及び容器を提供することができる。
以下、本発明の実施の形態(以下、「本実施形態」という。)について説明する。なお、本実施形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明を以下の内容に限定する趣旨ではない。また、本明細書において「~」とはその前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む意味で使用する。
[多層射出成形体]
本実施形態の多層射出成形体は、ポリエステル化合物(a)と遷移金属触媒とを少なくとも含有する樹脂組成物を含有する層(A)(以下、「層A」とも称する)と、前記ポリエステル化合物(a)と異なる熱可塑性樹脂(b)を含有する層(B)(以下、「層B」とも称する)とを少なくとも含有し、前記ポリエステル化合物(a)が、前記ポリエステル化合物(a)における下記式(1)、式(2)及び式(3)で表される構成単位の合計100モル%に対して、下記式(1)で表される構成単位を30~55モル%と、下記式(2)で表される構成単位を15~40モル%と、下記式(3)で表される構成単位を20~40モル%と、を含有する。
Figure 2023177894000004
Figure 2023177894000005
Figure 2023177894000006
(上記式(1)~(3)中、nは繰り返し単位の量を表し、それぞれ、前記式(1)で表される構成単位、前記式(2)で表される構成単位及び前記式(3)で表される構成単位の組成比に対応する。)。
本実施形態に係る多層射出成形体及び容器は、良好な酸素バリア性能を示し、酸素吸収後の色調が良好かつ強度・形状維持性に優れ、良好な外観を有する。
本実施形態に係る多層射出成形体及び容器は、好適には、低湿度から高湿度までの広範な湿度条件下で優れた酸素吸収性能を有し、被保存物の水分の有無によらず酸素を吸収することができ、しかも酸素吸収後の臭気発生や黄色化による外観悪化が無いので、例えば、食品、調理食品、飲料、医薬品、健康食品等、対象物を問わず幅広い用途で使用することができる。また、鉄粉等を含有しない本実施形態に係る好適態様によれば、金属探知機に感応しない多層射出成形体及び容器を実現することもできる。さらに、本実施形態に係る好適態様によれば、酸素吸収後の強度低下が極めて小さく、長期の利用においても強度が維持され、層間剥離が生じにくい多層射出成形体及び容器を実現することもできる。
本実施形態の多層射出成形体及び容器における層構成は特に限定されず、層A及び層Bの数や種類は特に限定されない。例えば、1層の層A及び1層の層BからなるA/B構成であってもよく、1層の層A並びに2層の層B1及び層B2からなるB1/A/B2の3層構成であってもよい。本明細書において、層B1と層B2とは、互いに同一の層であっても、異なる層であってもよい。また、1層の層A並びに層B1及び層B2の2種4層の層BからなるB1/B2/A/B2/B1の5層構成であってもよい。本明細書において、層B1は両層とも同一の組成であっても異なってもよく、層B2は両層とも同一の組成であっても異なってもよい。さらに、本実施形態の多層射出成形体及び容器は、必要に応じて接着層(層AD)等の任意の層を含んでもよく、例えば、B1/AD/B2/A/B2/AD/B1の7層構成であってもよい。本明細書において、層B1は両層とも同一の組成であっても異なってもよく、層B2は両層とも同一の組成であっても異なってもよく、層ADは両層とも同一の組成であっても異なってもよい。なお、本実施形態の多層射出成形体及び容器において、層Bを複数有する場合、その層Bの間に層Aを有していてもよい。
成形が容易であり、酸素吸収後の色調がより良好であり、より良好な外観を有する多層射出成形体及び容器が得られることから、1層の層A並びに2層の層B1及び層B2からなるB1/A/B2の3層構成であることが好ましい。
〔樹脂組成物を含有する層(A)〕
本実施形態の樹脂組成物を含有する層(A)は、ポリエステル化合物(a)と、遷移金属触媒と、を含有し、ポリエステル化合物(a)が、前記ポリエステル化合物(a)の全構成単位の合計モル数を基準として、上記式(1)で表される構成単位を35~55モル%、上記式(2)で表される構成単位を15~40モル%、上記式(3)で表される構成単位を20~40モル%含有する。
層Aの厚さは特に制限はないが、10~1000μmが好ましく、50~700μmがより好ましく、100~500μmが更に好ましい。この範囲とすることで、層Aの酸素バリア性能をより高めることができるとともに経済性が損なわれることを防止することが可能となる傾向にある。
<ポリエステル化合物>
本実施形態のポリエステル化合物(a)は、上記式(1)~(3)で表される構成単位を含有する。ここで「構成単位を含有する」とは、化合物中に当該構成単位を1以上有することを意味する。上記構成単位は上記構成単位と他の構成単位のランダムコポリマー、上記構成単位のブロックコポリマーのいずれであっても構わない。
ポリエステル化合物(a)は、前記ポリエステル化合物(a)における上記式(1)、式(2)及び式(3)で表される構成単位の合計100モル%に対して、上記式(1)で表される構成単位30~55モル%と、上記式(2)で表される構成単位15~40モル%と、上記式(3)で表される構成単位20~40モル%と、を含有する。前記範囲とすることで優れた酸素バリア性能を有し、黄色化による外観悪化を抑制することができる。とりわけ、上記式(1)の構成単位が30モル%未満であると、ポリエステル化合物(a)の酸素バリア性が低下する。また、上記式(1)の構成単位が55モル%を超えると、ポリエステル化合物の酸素吸収性能が低下する。また、上記式(2)の構成単位が15モル%未満であると、ポリエステル化合物(a)の酸素吸収性能が低下する。上記式(2)の構成単位が40モル%を超えると、黄色化による外観悪化が促進される。さらに、上記式(3)の構成単位が20モル%未満であると、ポリエステル化合物(a)の酸素バリア性が低下する。また、上記式(3)の構成単位が40モル%を超えると、低分子成分が増加し、成形時のブリードやモールドデポ発生の原因となる。
上記同様の観点から、ポリエステル化合物(a)は、(i)前記ポリエステル化合物(a)における上記式(1)、式(2)及び式(3)で表される構成単位の合計100モル%に対して、上記式(1)で表される構成単位40~50モル%と、上記式(2)で表される構成単位20~35モル%と、前記式(3)で表される構成単位25~35モル%と、を含有し、かつ、(ii)前記ポリエステル化合物(a)の全構成単位100モル%に対して、前記式(1)~(3)で表される構成単位の合計が95モル%以上であることが好ましい。
式(1)~(3)で表される構成単位の含有量は、仕込み量から特定することもできるし、重クロロホルム中、H-NMRによって測定することもできる。
本実施形態における上記式(1)~(3)で表される構成単位を含有するポリエステル化合物(a)の製造方法は特に制限されず、従来公知のポリエステルの製造方法をいずれも適用することができる。ポリエステルの製造方法としては、例えば、エステル交換法、直接エステル化法等の溶融重合法、または溶液重合法等が挙げられる。これらの中でも、原料入手の容易さの点から、エステル交換法、または直接エステル化法が好適であり、2,6-ナフタレンジカルボン酸またはその誘導体(I)と、2,6-テトラリンジカルボン酸またはその誘導体(II)と、イソフタル酸またはその誘導体(III)と、エチレングリコールまたはその誘導体(IV)とを重縮合することによって得ることができる。
ポリエステル化合物(a)の製造時に用いるエステル交換触媒、エステル化触媒、重縮合触媒等の各種触媒、エーテル化防止剤、熱安定剤、光安定剤等の各種安定剤、重合調整剤等も従来公知のものをいずれも用いることができ、これらは反応速度やポリエステル化合物の色調、安全性、熱安定性、耐候性、自身の溶出性などに応じて適宜選択される。例えば上記各種触媒としては、亜鉛、鉛、セリウム、カドミウム、コバルト、リチウム、ナトリウム、カリウム、カルシウム、ニッケル、マグネシウム、バナジウム、アルミニウム、チタン、スズ等の金属の化合物(例えば、脂肪酸塩、炭酸塩、リン酸塩、水酸化物、塩化物、酸化物、アルコキシド)や金属マグネシウムなどが挙げられ、これらは単独で用いることもできるし、複数のものを組み合わせて用いることもできる。
本実施形態のポリエステル化合物の極限粘度(フェノールと1,1,2,2-テトラクロロエタンとの質量比6:4の混合溶媒を用いた25℃での測定値)は特に限定されないが、ポリエステル化合物の成形性の面から、0.5~1.5dL/gが好ましく、0.8~1.2dL/gがより好ましい。
ポリエステル化合物(a)は、上記式(1)~(3)で表される構成単位以外の任意の構成単位を含んでいてもよい。そのような任意の構成単位の具体例としては、以下に限定されないが、前述した単位以外のジカルボン酸又はその誘導体及びジオール又はその誘導体に由来する単位が挙げられる。ポリエステル化合物(a)における任意の構成単位の含有量としては、特に限定されないが、前記ポリエステル化合物(a)の全構成単位100モル%に対して、5モル%未満であることが好ましい。
任意の構成単位としてのジオール又はその誘導体としては、以下に限定されないが、例えば、プロピレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール等の脂肪族ジオール類;1,3-シクロヘキサンジメタノール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、1,2-デカヒドロナフタレンジメタノール、1,3-デカヒドロナフタレンジメタノール、1,4-デカヒドロナフタレンジメタノール、1,5-デカヒドロナフタレンジメタノール、1,6-デカヒドロナフタレンジメタノール、2,7-デカヒドロナフタレンジメタノール、テトラリンジメタノール等の脂環式ジオール類、又はこれらの誘導体等が挙げられる。上記ジオール又はその誘導体は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
任意の構成単位としてのジカルボン酸又はその誘導体としては、以下に限定されないが、例えば、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸等の脂肪族ジカルボン酸類、フタル酸、テレフタル酸等のベンゼンジカルボン酸類、1,5-ナフタレンジカルボン酸、2,7-ナフタレンジカルボン酸等のナフタレンジカルボン酸類、又はこれらの誘導体等が挙げられる。ジカルボン酸又はその誘導体は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
<遷移金属触媒>
本実施形態の樹脂組成物及び層Aにおいて使用される遷移金属触媒としては、上記ポリエステル化合物の酸化反応の触媒として機能し得るものであれば、公知のものから適宜選択して用いることができる。ポリエステル化合物の酸化反応による酸素吸収を介して、酸素バリア性を向上させることができる。特に限定するものではないが、遷移金属触媒に含まれる遷移金属は、周期表の4及び8~11族の金属であることが好ましい。少量で効果を発揮するためには、周期表の8~11族の金属であることがより好ましい。
かかる遷移金属触媒の具体例としては、例えば、遷移金属の有機酸塩、ハロゲン化物、燐酸塩、亜燐酸塩、次亜燐酸塩、硝酸塩、硫酸塩、酸化物、水酸化物等が挙げられる。ここで、遷移金属触媒に含まれる遷移金属としては、例えば、チタン、バナジウム、クロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、ルテニウム、ロジウム等が挙げられるが、これらに限定されない。遷移金属は、1種を単独で或いは2種以上を組み合わせて用いることができる。これらの中でも、遷移金属触媒は、コバルト、ニッケル及び銅からなる群より選択される少なくとも1種の遷移金属を含むことが好ましい。また、有機酸としては、例えば、酢酸、プロピオン酸、オクタノイック酸、ラウリン酸、ステアリン酸、アセチルアセトン、ジメチルジチオカルバミン酸、パルミチン酸、2-エチルヘキサン酸、ネオデカン酸、リノール酸、トール酸、オレイン酸、カプリン酸、ナフテン酸が挙げられるが、これらに限定されない。遷移金属触媒は、これらの遷移金属と有機酸とを組み合わせたものが好ましく、遷移金属がコバルト、ニッケル又は銅であり、有機酸が酢酸、ステアリン酸、2-エチルヘキサン酸、オレイン酸又はナフテン酸である組み合わせがより好ましい。なお、遷移金属触媒は、1種を単独で或いは2種以上を組み合わせて用いることができる。
遷移金属触媒の配合量は、使用する前記ポリエステル化合物や遷移金属触媒の種類及び所望の性能に応じて適宜設定でき、特に限定されない。樹脂組成物及び層Aの酸素吸収量及び外観の観点から、遷移金属触媒の配合量は、ポリエステル化合物(a)の質量を基準として、遷移金属(好ましくは周期表の8~11族の金属、より好ましくはコバルト、ニッケル又は銅)量(2種以上の遷移金属を使用する場合にはそれらの合計量)として、0.5~10ppm含まれることが好ましく、さらに好ましくは1~5ppm、最も好ましくは1.5~3ppmである。なお、ポリエステル化合物の製造に遷移金属触媒を使用し、これが樹脂組成物に残存している場合には、残存触媒に含まれる遷移金属の量も前記数値範囲に包含される。遷移金属の量及び種類は、誘導結合プラズマ質量分析法によって測定することができる。
遷移金属の量が0.5ppm以上であると、酸素吸収性能がより向上する傾向にある。遷移金属の量が10ppm以下であると、黄色化がより抑制される傾向にある。
ポリエステル化合物(a)及び遷移金属触媒は、公知の方法で混合する事が出来るが、好ましくは押出機により混練することにより、分散性の良い樹脂組成物として使用することができる。また、樹脂組成物には、本実施形態の効果を損なわない範囲で、乾燥剤、顔料、染料、酸化防止剤、スリップ剤、帯電防止剤、安定剤等の添加剤、炭酸カルシウム、クレー、マイカ、シリカ等の充填剤、消臭剤等を添加しても良いが、以上に示したものに限定されることなく、種々の材料を混合することができる。
なお、本実施形態の樹脂組成物及び層Aは、酸素吸収反応を促進させるために、必要に応じて、さらにラジカル発生剤や光開始剤を含有していてもよい。ラジカル発生剤の具体例としては、各種のN-ヒドロキシイミド化合物が挙げられ、例えば、N-ヒドロキシコハクイミド、N-ヒドロキシマレイミド、N,N’-ジヒドロキシシクロヘキサンテトラカルボン酸ジイミド、N-ヒドロキシフタルイミド、N-ヒドロキシテトラクロロフタルイミド、N-ヒドロキシテトラブロモフタルイミド、N-ヒドロキシヘキサヒドロフタルイミド、3-スルホニル-N-ヒドロキシフタルイミド、3-メトキシカルボニル-N-ヒドロキシフタルイミド、3-メチル-N-ヒドロキシフタルイミド、3-ヒドロキシ-N-ヒドロキシフタルイミド、4-ニトロ-N-ヒドロキシフタルイミド、4-クロロ-N-ヒドロキシフタルイミド、4-メトキシ-N-ヒドロキシフタルイミド、4-ジメチルアミノ-N-ヒドロキシフタルイミド、4-カルボキシ-N-ヒドロキシヘキサヒドロフタルイミド、4-メチル-N-ヒドロキシヘキサヒドロフタルイミド、N-ヒドロキシヘット酸イミド、N-ヒドロキシハイミック酸イミド、N-ヒドロキシトリメリット酸イミド、N,N-ジヒドロキシピロメリット酸ジイミド等が挙げられるが、これらに特に限定されない。また、光開始剤の具体例としては、ベンゾフェノンとその誘導体、チアジン染料、金属ポルフィリン誘導体、アントラキノン誘導体等が挙げられるが、これらに特に限定されない。なお、これらのラジカル発生剤及び光開始剤は、1種を単独で或いは2種以上を組み合わせて用いることができる。
また、本実施形態の樹脂組成物及び層Aは、本実施形態の目的を阻害しない範囲でポリエステル化合物(a)以外の熱可塑性樹脂を含有しても良い。また、樹脂組成物及び層Aは、本実施形態の目的を阻害しない範囲で他の熱可塑性樹脂と押出機で混練して用いることも出来る。熱可塑性樹脂としては、例えば、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、線状超低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ-1-ブテン、ポリ-4-メチル-1-ペンテン、あるいはエチレン、プロピレン、1-ブテン、4-メチル-1-ペンテン等のα-オレフィン同士のランダムまたはブロック共重合体等のポリオレフィン、無水マレイン酸グラフトポリエチレンや無水マレイン酸グラフトポリプロピレン等の酸変性ポリオレフィン、エチレン-酢酸ビニル共重合体、エチレン-ビニルアルコール共重合体、エチレン-塩化ビニル共重合体、エチレン-(メタ)アクリル酸共重合体やそのイオン架橋物(アイオノマー)、エチレン-メタクリル酸メチル共重合体等のエチレン-ビニル化合物共重合体、ポリスチレン、アクリロニトリル-スチレン共重合体、α-メチルスチレン-スチレン共重合体等のスチレン系樹脂、ポリアクリル酸メチル、ポリメタクリル酸メチル等のポリビニル化合物、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン610、ナイロン12、ポリメタキシリレンアジパミド(MXD6)等のポリアミド、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリトリメチレンテレフタレート(PTT)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、グリコール変性ポリエチレンテレフタレート(PETG)、ポリエチレンサクシネート(PES)、ポリブチレンサクシネート(PBS)、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリカプロラクトン、ポリヒドロキシアルカノエート等のポリエステル、ポリカーボネート、ポリエチレンオキサイド等のポリエーテル等あるいはこれらの混合物等が挙げられる。これらの中でも酸素バリア性の効果を効果的に発揮するためにはポリエステル、ポリアミド及びエチレン-ビニルアルコール共重合体のような高酸素バリア性の樹脂がより好ましい。なお、層(A)が、上述したポリオレフィンを含有する場合、後述する層(B)とは、ポリエステル化合物(a)を含むか否かにより区別することができる。
〔熱可塑性樹脂(b)を含有する層(B)〕
本実施形態の層Bは、熱可塑性樹脂(b)を含有する。熱可塑性樹脂(b)は、ポリエステル化合物(a)と異なれば、特に限定されない。層Bにおける熱可塑性樹脂(b)の含有率は特に限定されないが、層Bの総量に対する熱可塑性樹脂(b)の含有率が、70~100質量%であることが好ましく、80~100質量%がより好ましく、90~100質量%が更に好ましい。前記範囲とすることで層Bの透明性や成形性を高めることができる。熱可塑性樹脂(b)は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
本実施形態の多層射出成形体及び容器は、層Aと共に、層Bを複数有していてもよく、複数の層Bの構成は互いに同一であっても異なっていてもよい。層Bの厚さは、用途に応じて適宜決定することができ、多層射出成形体及び容器に要求される落下耐性等の強度や柔軟性等の諸物性を確保するという観点から、好ましくは30~1000μm、より好ましくは50~800μm、更に好ましくは100~600μmである。また、より良好な酸素バリア性能を示し、酸素吸収後の色調がより良好かつ強度・形状維持性により優れ、より良好な外観を有することから、容器の場合、容器内層(層B)の厚さが100~300μmであることが好ましく、中間層(層A)の厚さが200~400μmであることが好ましく、容器外層(層B)の厚さが400~600μmであることが好ましい。
本実施形態の熱可塑性樹脂(b)には任意の熱可塑性樹脂を使用することができ、特に限定されない。例えば、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリアミド、エチレン-ビニルアルコール共重合体、植物由来樹脂及び塩素系樹脂を挙げることができる。本実施形態において熱可塑性樹脂(b)としては、これら樹脂からなる群から選ばれる少なくとも一種を含むことが好ましい。これらの樹脂は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
<ポリオレフィン>
ポリオレフィンの具体例としては、ポリエチレン(低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直鎖状(線状)低密度ポリエチレン)、ポリプロピレン、ポリブテン-1、ポリ-4-メチルペンテン-1、エチレンとα-オレフィンとの共重合体、プロピレンとα-オレフィン共重合体、エチレン-α,β-不飽和カルボン酸共重合体、エチレン-α,β-不飽和カルボン酸エステル共重合体等の公知の樹脂であり、好ましいのはノルボルネンもしくはテトラシクロドデセンまたはそれらの誘導体などのシクロオレフィン類開環重合体およびその水素添加物、ノルボルネンもしくはテトラシクロドデセンまたはその誘導体などのシクロオレフィンと、エチレンまたはプロピレンとの重合により分子鎖にシクロペンチル残基や置換シクロペンチル残基が挿入された共重合体である樹脂である。ここで、シクロオレフィンは単環式および多環式のものを含む。好ましいのは、熱可塑性ノルボルネン系樹脂または熱可塑性テトラシクロドデセン系樹脂である。熱可塑性ノルボルネン系樹脂としては、ノルボルネン系単量体の開環重合体、その水素添加物、ノルボルネン系単量体の付加型重合体、ノルボルネン系単量体とオレフィンの付加型重合体などが挙げられる。熱可塑性テトラシクロドデセン系樹脂としては、テトラシクロドデセン系単量体の開環重合体、その水素添加物、テトラシクロドデセン系単量体の付加型重合体、テトラシクロドデセン系単量体とオレフィンの付加型重合体などが挙げられる。熱可塑性ノルボルネン系樹脂は、例えば、特開平3-14882号公報、特開平3-122137号公報、特開平4-63807号公報などに記載されている。ポリオレフィンは、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
より良好な酸素バリア性能を示し、酸素吸収後の色調がより良好かつ強度・形状維持性により優れ、より良好な外観を有する多層射出成形体及び容器が得られることから、ポリオレフィンとしては、ノルボルネンとエチレン等のオレフィンを原料とした共重合体、およびテトラシクロドデセンとエチレン等のオレフィンを原料とした共重合体であるシクロオレフィンコポリマー(COC)、また、ノルボルネンを開環重合し、水素添加した重合物であるシクロオレフィンポリマー(COP)も好ましい。このようなCOCおよびCOPは、例えば、特開平5-300939号公報あるいは特開平5-317411号公報に記載されている。
COCは、例えば、三井化学株式会社製、APEL(登録商標)として市販されており、またCOPは、例えば、日本ゼオン株式会社製、ZEONEX(登録商標)又はZEONOR(登録商標)や株式会社大協精工製、Daikyo Resin CZ(登録商標)として市販されている。日本ゼオン株式会社製ZEONEX(登録商標)としては、例えば、ZEONEX(登録商標)690R(商品名)が挙げられる。
COCおよびCOPは、更に良好な酸素バリア性能を示し、酸素吸収後の色調が更に良好かつ強度・形状維持性に更に優れ、更に良好な外観を有する多層射出成形体及び容器が得られることに加えて、耐熱性や耐光性などの化学的性質や耐薬品性はポリオレフィン樹脂としての特徴を示し、機械特性、溶融、流動特性、寸法精度などの物理的性質は非晶性樹脂としての特徴を示すことから、特に好ましい。
<ポリエステル>
ここで説明するポリエステルは、熱可塑性樹脂(b)として用いることの出来るポリエステルであって、本実施形態のポリエステル化合物(a)とは異なる。本実施形態において、ポリエステルとは、ジカルボン酸を含む多価カルボン酸およびこれらのエステル形成性誘導体から選ばれる一種又は二種以上とグリコールを含む多価アルコールから選ばれる一種又は二種以上とから成るもの、又はヒドロキシカルボン酸およびこれらのエステル形成性誘導体からなるもの、又は環状エステルからなるものをいう。エチレンテレフタレート系熱可塑性ポリエステルは、エステル反復単位の大部分、一般に70モル%以上をエチレンテレフタレート単位が占めるものであり、ガラス転移点(Tg)が50~90℃、融点(Tm)が200~275℃の範囲にあるものが好適である。エチレンテレフタレート系熱可塑性ポリエステルとしてポリエチレンテレフタレートが耐圧性、耐熱性、耐熱圧性等の点で特に優れているが、エチレンテレフタレート単位以外にイソフタル酸やナフタレンジカルボン酸等の二塩基酸とプロピレングリコール等のジオールからなるエステル単位の少量を含む共重合ポリエステルも使用できる。ポリエステルは、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
ジカルボン酸としては、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、デカンジカルボン酸、ドデカンジカルボン酸、テトラデカンジカルボン酸、ヘキサデカンジカルボン酸、3-シクロブタンジカルボン酸、1,3-シクロペンタンジカルボン酸、1,2-シクロヘキサンジカルボン酸、1,3-シクロヘキサンジカルボン酸、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸、2,5-ノルボルナンジカルボン酸、ダイマー酸等に例示される飽和脂肪族ジカルボン酸又はこれらのエステル形成性誘導体、フマル酸、マレイン酸、イタコン酸等に例示される不飽和脂肪族ジカルボン酸又はこれらのエステル形成性誘導体、オルソフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、1,3-ナフタレンジカルボン酸、1,4-ナフタレンジカルボン酸、1,5-ナフタレンジカルボン酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸、2,7-ナフタレンジカルボン酸、4,4’-ビフェニルジカルボン酸、4,4’-ビフェニルスルホンジカルボン酸、4,4’-ビフェニルエーテルジカルボン酸、1,2-ビス(フェノキシ)エタン-p,p’-ジカルボン酸、アントラセンジカルボン酸等に例示される芳香族ジカルボン酸又はこれらのエステル形成性誘導体、5-ナトリウムスルホイソフタル酸、2-ナトリウムスルホテレフタル酸、5-リチウムスルホイソフタル酸、2-リチウムスルホテレフタル酸、5-カリウムスルホイソフタル酸、2-カリウムスルホテレフタル酸等に例示される金属スルホネート基含有芳香族ジカルボン酸又はそれらの低級アルキルエステル誘導体等が挙げられる。
上記のジカルボン酸のなかでも、特に、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸の使用が、得られるポリエステルの物理特性等の点で好ましく、必要に応じて他のジカルボン酸を共重合してもよい。
これらジカルボン酸以外の多価カルボン酸として、エタントリカルボン酸、プロパントリカルボン酸、ブタンテトラカルボン酸、ピロメリット酸、トリメリット酸、トリメシン酸、3,4,3’,4’-ビフェニルテトラカルボン酸、およびこれらのエステル形成性誘導体等が挙げられる。
グリコールとしてはエチレングリコール、1,2-プロピレングリコール、1,3-プロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2-ブチレングリコール、1,3-ブチレングリコール、2,3-ブチレングリコール、1,4-ブチレングリコール、1,5-ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6-ヘキサンジオール、1,2-シクロヘキサンジオール、1,3-シクロヘキサンジオール、1,4-シクロヘキサンジオール、1,2-シクロヘキサンジメタノール、1,3-シクロヘキサンジメタノール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、1,4-シクロヘキサンジエタノール、1,10-デカメチレングリコール、1,12-ドデカンジオール、ポリエチレングリコール、ポリトリメチレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等に例示される脂肪族グリコール、ヒドロキノン、4,4’-ジヒドロキシビスフェノ-ル、1,4-ビス(β-ヒドロキシエトキシ)ベンゼン、1,4-ビス(β-ヒドロキシエトキシフェニル)スルホン、ビス(p-ヒドロキシフェニル)エーテル、ビス(p-ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(p-ヒドロキシフェニル)メタン、1,2-ビス(p-ヒドロキシフェニル)エタン、ビスフェノールA、ビスフェノールC、2,5-ナフタレンジオール、これらのグリコールにエチレンオキシドが付加されたグリコール等に例示される芳香族グリコールが挙げられる。
上記のグリコールのなかでも、特に、エチレングリコール、1,3-プロピレングリコール、1,4-ブチレングリコール、1,4-シクロヘキサンジメタノールを主成分として使用することが好適である。これらグリコール以外の多価アルコールとして、トリメチロールメタン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、グリセロ-ル、ヘキサントリオール等が挙げられる。ヒドロキシカルボン酸としては、乳酸、クエン酸、リンゴ酸、酒石酸、ヒドロキシ酢酸、3-ヒドロキシ酪酸、p-ヒドロキシ安息香酸、p-(2-ヒドロキシエトキシ)安息香酸、4-ヒドロキシシクロヘキサンカルボン酸、又はこれらのエステル形成性誘導体等が挙げられる。
環状エステルとしては、ε-カプロラクトン、β-プロピオラクトン、β-メチル-β-プロピオラクトン、δ-バレロラクトン、グリコリド、ラクチド等が挙げられる。
多価カルボン酸、ヒドロキシカルボン酸のエステル形成性誘導体としては、これらのアルキルエステル、酸クロライド、酸無水物等が例示される。
本実施形態で用いられるポリエステルとしては、主たる酸成分がテレフタル酸またはそのエステル形成性誘導体もしくはナフタレンジカルボン酸またはそのエステル形成性誘導体であり、主たるグリコール成分がアルキレングリコールであるポリエステルが好ましい。
主たる酸成分がテレフタル酸またはそのエステル形成性誘導体であるポリエステルとは、全酸成分に対してテレフタル酸またはそのエステル形成性誘導体を合計して70モル%以上含有するポリエステルであることが好ましく、より好ましくは80モル%以上含有するポリエステルであり、さらに好ましくは90モル%以上含有するポリエステルである。主たる酸成分がナフタレンジカルボン酸またはそのエステル形成性誘導体であるポリエステルも同様に、ナフタレンジカルボン酸またはそのエステル形成性誘導体を合計して70モル%以上含有するポリエステルであることが好ましく、より好ましくは80モル%以上含有するポリエステルであり、さらに好ましくは90モル%以上含有するポリエステルである。
本実施形態で用いられるナフタレンジカルボン酸またはそのエステル形成性誘導体としては、上述のジカルボン酸類に例示した1,3-ナフタレンジカルボン酸、1,4-ナフタレンジカルボン酸、1,5-ナフタレンジカルボン酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸、2,7-ナフタレンジカルボン酸、またはこれらのエステル形成性誘導体が好ましい。
主たるグリコール成分がアルキレングリコールであるポリエステルとは、全グリコール成分に対してアルキレングリコールを合計して70モル%以上含有するポリエステルであることが好ましく、より好ましくは80モル%以上含有するポリエステルであり、さらに好ましくは90モル%以上含有するポリエステルである。ここで言うアルキレングリコールは、分子鎖中に置換基や脂環構造を含んでいてもよい。
上記テレフタル酸/エチレングリコール以外の共重合成分は、イソフタル酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸、ジエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオールおよび2-メチル-1,3-プロパンジオールからなる群より選ばれる少なくとも1種以上であることが、透明性と成形性とを両立する上で好ましく、特にイソフタル酸、ジエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,4-シクロヘキサンジメタノールからなる群より選ばれる少なくとも1種以上であることがより好ましい。
本実施形態に用いられるポリエステルの好ましい一例は、主たる繰り返し単位がエチレンテレフタレートから構成されるポリエステルであり、より好ましくはエチレンテレフタレート単位を70モル%以上含む線状ポリエステルであり、さらに好ましくはエチレンテレフタレート単位を80モル%以上含む線状ポリエステルであり、特に好ましいのはエチレンテレフタレート単位を90モル%以上含む線状ポリエステルである。
また本実施形態に用いられるポリエステルの好ましい他の一例は、主たる繰り返し単位がエチレン-2,6-ナフタレートから構成されるポリエステルであり、より好ましくはエチレン-2,6-ナフタレート単位を70モル%以上含む線状ポリエステルであり、さらに好ましくはエチレン-2,6-ナフタレート単位を80モル%以上含む線状ポリエステルであり、特に好ましいのは、エチレン-2,6-ナフタレート単位を90モル%以上含む線状ポリエステルである。
また本実施形態に用いられるポリエステルの好ましいその他の例としては、プロピレンテレフタレート単位を70モル%以上含む線状ポリエステル、プロピレンナフタレート単位を70モル%以上含む線状ポリエステル、1,4-シクロヘキサンジメチレンテレフタレート単位を70モル%以上含む線状ポリエステル、ブチレンナフタレート単位を70モル%以上含む線状ポリエステル、またはブチレンテレフタレート単位を70モル%以上含む線状ポリエステルである。
特にポリエステル全体の組成として、テレフタル酸/イソフタル酸//エチレングリコールの組合せ、テレフタル酸//エチレングリコール/1,4-シクロヘキサンジメタノールの組合せ、テレフタル酸//エチレングリコール/ネオペンチルグリコールの組合せは透明性と成形性とを両立する上で好ましい。なお、当然ではあるが、エステル化(エステル交換)反応、重縮合反応中に、エチレングリコールの二量化により生じるジエチレングリコールを少量(5モル%以下)含んでもよいことは言うまでもない。
また本実施形態に用いられるポリエステルの好ましいその他の例としては、グリコール酸やグリコール酸メチルの重縮合もしくは、グリコリドの開環重縮合にて得られるポリグリコール酸が挙げられる。このポリグリコール酸には、ラクチド等の他成分を共重合しても構わない。
<ポリアミド>
本実施形態で使用するポリアミドは、ラクタムもしくはアミノカルボン酸から誘導される単位を主構成単位とするポリアミドや、脂肪族ジアミンと脂肪族ジカルボン酸とから誘導される単位を主構成単位とする脂肪族ポリアミド、脂肪族ジアミンと芳香族ジカルボン酸とから誘導される単位を主構成単位とする部分芳香族ポリアミド、芳香族ジアミンと脂肪族ジカルボン酸とから誘導される単位を主構成単位とする部分芳香族ポリアミド等が挙げられ、必要に応じて、主構成単位以外のモノマー単位を共重合してもよい。ポリアミドは、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
前記ラクタムもしくはアミノカルボン酸としては、ε-カプロラクタムやラウロラクタム等のラクタム類、アミノカプロン酸、アミノウンデカン酸等のアミノカルボン酸類、パラ-アミノメチル安息香酸のような芳香族アミノカルボン酸等が使用できる。
前記脂肪族ジアミンとしては、炭素数2~12の脂肪族ジアミンあるいはその機能的誘導体が使用できる。さらに、脂環族のジアミンであってもよい。脂肪族ジアミンは直鎖状の脂肪族ジアミンであっても分岐を有する鎖状の脂肪族ジアミンであってもよい。このような直鎖状の脂肪族ジアミンの具体例としては、エチレンジアミン、1-メチルエチレンジアミン、1,3-プロピレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ヘプタメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、デカメチレンジアミン、ウンデカメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミン等の脂肪族ジアミンが挙げられる。また、脂環族ジアミンの具体例としては、シクロヘキサンジアミン、1,3-ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1,4-ビス(アミノメチル)シクロヘキサン等が挙げられる。
また、前記脂肪族ジカルボン酸としては、直鎖状の脂肪族ジカルボン酸や脂環族ジカルボン酸が好ましく、さらに炭素数4~12のアルキレン基を有する直鎖状脂肪族ジカルボン酸が特に好ましい。このような直鎖状脂肪族ジカルボン酸の例としては、アジピン酸、セバシン酸、グルタル酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、ウンデカン酸、ウンデカジオン酸、ドデカンジオン酸、ダイマー酸およびこれらの機能的誘導体等を挙げることができる。脂環族ジカルボン酸としては、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸、ヘキサヒドロテレフタル酸、ヘキサヒドロイソフタル酸等の脂環族ジカルボン酸が挙げられる。
また、前記芳香族ジアミンとしては、メタキシリレンジアミン、パラキシリレンジアミン、パラ-ビス(2-アミノエチル)ベンゼン等が挙げられる。
また、前記芳香族ジカルボン酸としては、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸、ジフェニル-4,4’-ジカルボン酸、ジフェノキシエタンジカルボン酸およびその機能的誘導体等が挙げられる。
具体的なポリアミドとしては、ポリアミド4、ポリアミド6、ポリアミド10、ポリアミド11、ポリアミド12、ポリアミド4,6、ポリアミド6,6、ポリアミド6,10、ポリアミド6T、ポリアミド9T、ポリアミド6IT、ポリメタキシリレンアジパミド(ポリアミドMXD6)、イソフタル酸共重合ポリメタキシリレンアジパミド(ポリアミドMXD6I)、ポリメタキシリレンセバカミド(ポリアミドMXD10)、ポリメタキシリレンドデカナミド(ポリアミドMXD12)、ポリ1,3-ビスアミノシクロヘキサンアジパミド(ポリアミドBAC6)、ポリパラキシリレンセバカミド(ポリアミドPXD10)等がある。より好ましいポリアミドとしては、ポリアミド6、ポリアミドMXD6、ポリアミドMXD6Iが挙げられる。
また、前記ポリアミドの共重合成分として、少なくとも一つの末端アミノ基、もしくは末端カルボキシル基を有する数平均分子量が2000~20000のポリエーテル、又は前記末端アミノ基を有するポリエーテルの有機カルボン酸塩、又は前記末端カルボキシル基を有するポリエーテルのアミノ塩を用いることもできる。具体的な例としては、ビス(アミノプロピル)ポリ(エチレンオキシド)(数平均分子量が2000~20000のポリエチレングリコール)が挙げられる。
また、前記部分芳香族ポリアミドは、トリメリット酸、ピロメリット酸等の3塩基以上の多価カルボン酸から誘導される構成単位を実質的に線状である範囲内で含有していてもよい。
<エチレン-ビニルアルコール共重合体>
本実施形態で使用されるエチレン-ビニルアルコール共重合体としては、特に限定されないが、好ましくはエチレン含量15~60モル%、更に好ましくは20~55モル%、より好ましくは29~44モル%であり、酢酸ビニル成分のケン化度が好ましくは90モル%以上、更に好ましくは95モル%以上のものである。
またエチレン-ビニルアルコール共重合体には、本実施形態の効果に悪影響を与えない範囲で、更に少量のプロピレン、イソブテン、α-オクテン、α-ドデセン、α-オクタデセン等のα-オレフィン、不飽和カルボン酸又はその塩、部分アルキルエステル、完全アルキルエステル、ニトリル、アミド、無水物、不飽和スルホン酸又はその塩等のコモノマーを含んでいてもよい。エチレン-ビニルアルコール共重合体は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
<植物由来樹脂>
本実施形態で使用される植物由来樹脂は、原料として植物由来物質を含む樹脂であれば良く、原料の植物由来物質は特に限定されない。具体例としては、脂肪族ポリエステル系生分解性樹脂が挙げられる。脂肪族ポリエステル系生分解性樹脂としては、例えば、ポリグリコール酸(PGA)、ポリ乳酸(PLA)等のポリ(α-ヒドロキシ酸);ポリブチレンサクシネート(PBS)、ポリエチレンサクシネート(PES)等のポリアルキレンアルカノエート等が挙げられる。植物由来樹脂は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
<塩素系樹脂>
本実施形態で使用される塩素系樹脂は、構成単位に塩素を含む樹脂であれば良く、公知の樹脂を用いることが出来る。具体例としては、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、及び、これらと酢酸ビニル、マレイン酸誘導体、高級アルキルビニルエーテル等との共重合体を挙げることができる。塩素系樹脂は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
〔その他の層〕
本実施形態の多層射出成形体及び容器には、層A及び層Bに加えて、所望する性能等に応じてその他の層を含んでいてもよい。その他層は、多層射出成形体及び容器において、層A及び層Bと区別できるように積層されていれば、層A及び層Bの組成と同一であっても異なっていてもよい。その他の層としては、例えば、接着層等が挙げられる。
本実施形態の多層射出成形体及び容器において、隣接する2つの層の間で実用的な層間接着強度が得られない場合には、当該2つの層の間に接着層(AD)を設けることが好ましい。接着層は、接着性を有する熱可塑性樹脂を含むことが好ましい。接着性を有する熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリエチレン又はポリプロピレン等のポリオレフィン樹脂をアクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、イタコン酸等の不飽和カルボン酸で変性した酸変性ポリオレフィン樹脂、ポリエステル系ブロック共重合体を主成分とした、ポリエステル系熱可塑性エラストマーが挙げられる。接着層としては、接着性の観点から、層Bとして用いられている熱可塑性樹脂(b)と同種の樹脂を変性したものを用いることが好ましい。接着層の厚さは、実用的な接着強度を発揮しつつ成形加工性を確保するという観点から、好ましくは2~100μm、より好ましくは5~90μm、更に好ましくは10~80μmである。
[多層射出成形体の製造方法]
本実施形態の多層射出成形体の製造方法及び層構成については特に限定されず、通常の射出成形法により製造することができる。例えば、2台以上の射出機を備えた成形機及び射出用金型を用いて、層Aを構成する材料及び層Bを構成する材料をそれぞれの射出シリンダーから金型ホットランナーを通して、キャビティー内に射出して、射出用金型の形状に対応した多層射出成形体を製造することができる。
また、先ず、層Bを構成する材料を射出シリンダーから射出し、次いで層Aを構成する材料を別の射出シリンダーから、層Bを構成する樹脂と同時に射出し、次に層Bを構成する樹脂を必要量射出してキャビティーを満たすことにより、3層構成B/A/Bの多層射出成形体を製造することができる。
また、先ず、層Bを構成する材料を射出し、次いで層Aを構成する材料を単独で射出し、最後に層Bを構成する材料を必要量射出して金型キャビティーを満たすことにより、5層構成B/A/B/A/Bの多層射出成形体を製造することができる。
また、先ず、層B1を構成する材料を射出シリンダーから射出し、次いで層B2を構成する材料を別の射出シリンダーから、層B1を構成する樹脂と同時に射出し、次に層Aを構成する樹脂を層B1、層B2を構成する樹脂と同時に射出し、次に層B1を構成する樹脂を必要量射出してキャビティーを満たすことにより5層構成B1/B2/A/B2/B1の多層射出成形体を製造することができる。得られた成形体の口頸部に耐熱性を与えるため、この段階で口頸部を熱処理により結晶化させてもよい。結晶化度は好ましくは30~50%、より好ましくは35~45%である。なお、結晶化は後述する二次加工を施した後に実施してもよい。
[容器]
本実施形態の容器は、本実施形態の多層射出成形体を含む。容器は、良好な酸素バリア性を有し、酸素吸収後の色調が良好かつ強度・形状維持性に優れ、良好な外観を有する。
本実施形態の多層射出成形体自体が容器である場合、良好な酸素バリア性を有し、酸素吸収後の色調が良好かつ強度・形状維持性に優れ、良好な外観を有する。また、容器外からわずかに侵入する酸素のほか、容器内の酸素を吸収して、保存する内容物の酸素による変質を防止することができる。
本実施形態の多層射出成形体及び容器の形状は特に限定されず、金型に応じて任意の形状とすることができる。本実施形態の多層射出成形体が酸素バリア性能を発現することができることを考慮すると、本実施形態の多層射出成形体及び容器は、カップ状容器やボトル状容器等の保存容器であることが好ましい。また、PETボトルのような後述するようなブロー成形等の二次加工のために、本実施形態の多層射出成形体は、試験管状のプリフォーム(パリソン)であることも好ましい。
本実施形態の容器は、本実施形態の多層射出成形体を更に加工(即ち、二次加工)して得ることもできる。容器は、良好な酸素バリア性を有し、酸素吸収後の色調が良好かつ強度・形状維持性に優れ、良好な外観を有する。また、容器外からわずかに侵入する酸素のほか、容器内の酸素を吸収して、保存する内容物の酸素による変質を防止することができる。二次加工の方法としては、射出ブロー成形や延伸ブロー成形等が挙げられる。二次加工して得られる容器としては、ボトルやバイアルが挙げられる。
<射出ブロー成形>
射出ブロー成形では、まず本実施形態の多層射出成形体として試験管状のプリフォーム(パリソン)を成形し、次いで加熱したプリフォームの口部を治具で固定し、該プリフォームを最終形状金型に嵌め、口部から空気を吹込み、プリフォームを膨らませて金型に密着させ、冷却固化させることでボトル状に成形することができる。
また、射出ストレッチブロー成形では、加熱したプリフォームの口部を治具で固定し、該プリフォームを最終形状金型に嵌め、口部から延伸ロッドで延伸しながら空気を吹込み、プリフォームをブロー延伸させて金型に密着させ、冷却固化させることでボトル状に成形することができる。
なお、射出ストレッチブロー成形法としては、大別してホットパリソン方式とコールドパリソン方式とがある。前者はプリフォームを完全に冷却することなく、軟化状態でブロー成形する。一方、後者のコールドパリソン方式ではプリフォームを最終形状の寸法よりかなり小さく、樹脂が非晶質である過冷却有底プリフォームとして形成し、このプリフォームをその延伸温度に予備過熱し、最終形状金型中で軸方向に引張延伸するとともに、周方向にブロー延伸する方式で大量生産に向いている。いずれの方法においても、この多層プリフォームをガラス転移点(Tg)以上の延伸温度に加熱後、熱処理(ヒートセット)温度に加熱された最終形状金型内においてストレッチブロー成形法によって、延伸ロッドにより縦方向に延伸すると共にブローエアによって横方向に延伸する。最終ブロー成形体の延伸倍率は、縦方向で1.2~6倍、横方向で1.2~4.5倍が好ましい。
上述した最終形状金型を、樹脂の結晶化が促進される温度、例えばPET樹脂では120~230℃、好ましくは130~210℃に加熱してブロー時に、成形体の器壁の外側を金型内面に所定時間接触させて熱処理を行う。所定時間の熱処理後、ブロー用流体を内部冷却用流体に切換えて内層を冷却する。熱処理時間は、ブロー成形体の厚さや温度によって相違するが、一般にPET樹脂の場合、1.5~30秒、好ましくは2~20秒である。一方冷却時間も熱処理温度や冷却用流体の種類により異なるが、一般に0.1~30秒、好ましくは0.2~20秒である。この熱処理により成形体各部は結晶化される。
冷却用流体としては、常温の空気、冷却された各種気体、例えば-40℃~+10℃の窒素、空気、炭酸ガス等の他に、化学的に不活性な液化ガス、例えば液化窒素ガス、液化炭酸ガス、液化トリクロロフルオロメタンガス、液化ジクロロジフルオロメタンガス、他の液化脂肪族炭化水素ガス等が使用できる。この冷却用流体には、水等の気化熱の大きい液体ミストを共存させることもできる。上述した冷却用流体を使用することにより、著しく大きい冷却温度を得ることができる。また、ストレッチブロー成形に際して2個の金型を使用し、第1の金型では所定の温度及び時間の範囲内で熱処理した後、ブロー成形体を冷却用の第2の金型へ移し、再度ブローすると同時にブロー成形体を冷却してもよい。金型から取出したブロー成形体の外層は、放冷により、又は冷風を吹付けることにより冷却する。
<延伸ブロー成形>
延伸ブロー成形法としては、前記多層プリフォームを、一次ストレッチブロー金型を用いて最終ブロー成形体よりも大きい寸法の一次ブロー成形体とし、次いでこの一次ブロー成形体を加熱収縮させた後、二次金型を用いてストレッチブロー成形を行って最終ブロー成形体とする二段ブロー成形が挙げられる。このブロー成形体の製造方法によれば、ブロー成形体の底部が十分に延伸薄肉化され、熱間充填、加熱滅菌時の底部の変形、耐衝撃性に優れたブロー成形体を得ることができる。
[その他]
本実施形態の多層射出成形体、多層射出成形体から得られる容器、及び多層射出成形体を二次加工して得られる容器(以下、「多層射出成形体及び容器等」とも称する)には、無機物又は無機酸化物の蒸着膜や、アモルファスカーボン膜をコーティングしてもよい。
無機物又は無機酸化物としては、アルミニウムやアルミナ、酸化珪素等が挙げられる。無機物又は無機酸化物の蒸着膜は、多層射出成形体及び容器等から、アセトアルデヒドやホルムアルデヒド等の溶出物を遮蔽できる。蒸着膜の形成法は特に限定されず、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法等の物理蒸着法や、PECVD等の化学蒸着法等が挙げられる。蒸着膜の厚さは、ガスバリア性、遮光性及び耐屈曲性等の観点から、好ましくは5~500nm、より好ましくは5~200nmである。
アモルファスカーボン膜はダイヤモンド状炭素膜で、iカーボン膜または水素化アモルファスカーボン膜とも呼ばれる硬質炭素膜である。膜の形成法としては、排気により中空成形体の内部を真空にし、そこへ炭素源ガスを供給し、プラズマ発生用エネルギーを供給することにより、その炭素源ガスをプラズマ化させる方法が例示され、これにより、多層射出成形体及び容器等の内面にアモルファスカーボン膜を形成させることができる。アモルファスカーボン膜は酸素や二酸化炭素のような低分子無機ガスの透過度を著しく減少させることができるだけでなく、臭いを有する各種の低分子有機化合物の収着を抑制することができる。アモルファスカーボン膜の厚さは、低分子有機化合物の収着抑制効果、ガスバリア性の向上効果、プラスチックとの密着性、耐久性および透明性等の観点から、50~5000nmが好ましい。
多層射出成形体及び容器等は、良好な酸素バリア性能を示し、酸素吸収後の色調が良好かつ強度・形状維持性に優れ、良好な外観を有する。また、多層射出成形体及び容器等は、酸素吸収に水分を必要としないので、低湿度から高湿度までの広範な湿度条件下での酸素吸収性能に優れ、かつ内容物の風味保持性に優れる。そのため、多層射出成形体及び容器等は、種々の物品の包装に適している。
被保存物の具体例としては、牛乳、ジュース、コーヒー、茶類、アルコール飲料等の飲料;ソース、醤油、ドレッシング等の液体調味料、スープ、シチュー、カレー等の調理食品;ジャム、マヨネーズ等のペースト状食品;ツナ、魚貝等の水産製品;チーズ、バター等の乳加工品;肉、サラミ、ソーセージ、ハム等の畜肉加工品;にんじん、じゃがいも等の野菜類;卵;麺類;調理前の米類、調理された炊飯米、米粥等の加工米製品;粉末調味料、粉末コーヒー、乳幼児用粉末ミルク、乳幼児用調理食品、粉末ダイエット食品、介護調理食品、乾燥野菜、せんべい等の乾燥食品;農薬、殺虫剤等の化学品;医薬品;ペットフード;洗剤等、種々の物品を挙げることができるが、これらに特に限定されない。特に、酸素存在下で劣化を起こしやすい内容品、例えば、飲料ではビール、ワイン、フルーツジュース、炭酸ソフトドリンク等、食品では果物、ナッツ、野菜、肉製品、幼児食品、コーヒー、ジャム、マヨネーズ、ケチャップ、食用油、ドレッシング、ソース類、佃煮類、乳製品類等、その他では医薬品、化粧品等の包装材料に好適である。
また、これらの被保存物の充填前後に、被保存物に適した形で、多層射出成形体及び容器等や、被保存物の殺菌を施すことができる。殺菌方法としては、100℃以下での熱水処理、100℃以上の加圧熱水処理、130℃以上の超高温加熱処理等の加熱殺菌、紫外線、マイクロ波、ガンマ線等の電磁波殺菌、エチレンオキサイド等のガス処理、過酸化水素や次亜塩素酸等の薬剤殺菌等が挙げられる。
以下に実施例と比較例を用いて本実施形態をさらに詳しく説明するが、本実施形態はこれによって限定されるものではない。
<多層射出成形体の評価方法>
(1)酸素バリア性
酸素バリア性は、後述の方法によって得られたバイアルの酸素透過率により評価した。酸素透過率はMOCON社製OX-TRAN2/21を用いて、23℃、65%RHの測定条件で測定した。酸素透過率が前記装置の検出下限である0.0005cc/package/dayを下回るものを酸素バリア性良好と判断した。
(2)容器の色調変化(ΔYI)
容器の色調変化(ΔYI)は、後述の方法によって得られたバイアルに10ccの蒸留水を充填してゴム栓及びアルミシールにより密栓したサンプルを測定用試料とし、日本電色工業株式会社製色差濁度測定器COH-300Aを使用して測定した初期の黄色度(YI)と40℃20%RHの保管条件で3ヵ月保管した後の黄色度(YI)の差から算出した。ΔYIが2を超えないものを色調変化が小さいと判断した。
(3)成形性
成形性は、後述の方法によって得られたバイアルを1000ショット成形した後の金型を目視により確認した。モールドデポの付着がないものを合格とした。
(4)形状・強度維持性
形状・強度維持性は、後述の方法によって得られたバイアルに10ccの蒸留水を充填してゴム栓及びアルミシールにより密栓したサンプルを40℃100%RHの保管条件で3ヵ月保管した。その後、バイアルを解体して、中間層(A)を取り出し、その中間層(A)の状態を目視で確認した。中間層(A)の形状及び強度が、維持しているものを合格とした。
<バイアルの製造>
下記の条件により、ISO8362-1に従った形状の内容積10cc、全高45mm、外径24mmφ、肉厚1mmの、外側から層B/層A/層Bの3層構成のバイアルを得た。
2機の射出シリンダーを備えた射出ブロー一体型成形機(日精エー・エス・ビー機械社製、型式「ASB12N-10T」を使用し、層Bを構成する材料を射出シリンダーから射出し、次いで層Aを構成する材料を別の射出シリンダーから、層Bを構成する樹脂と同時に射出し、次に層Bを構成する樹脂を必要量射出して射出金型内キャビティーを満たすことにより、容器内層(層B)の厚さが200μm、中間層(層A)の厚さが300μm、容器外層(層B)の厚さが500μmのB/A/Bの3層構成の多層射出成形体を得た。得られた多層射出成形体を所定の温度まで冷却し、ブロー金型へ移行した後にブロー成形を行うことでバイアル(ボトル部)を製造した。
なお、容器内層及び容器外層ともに、層Bとして、シクロオレフィンポリマー(日本ゼオン(株)製、製品名:「ZEONEX(登録商標)690R」)を使用し、層Aには実施例及び比較例の樹脂組成物を使用した。
(射出及びブロー条件)
層B用の射出シリンダー温度:325℃
層A用の射出シリンダー温度:220℃
射出金型内樹脂流路温度:285℃
射出金型温度:80℃
ブロー金型温度:20℃
1次ブロー圧力:1.0MPa
2次ブロー圧力:3.0MPa
[ポリエステル化合物の製造例]
(製造例1)
充填塔式精留塔、分縮器、全縮器、コールドトラップ、撹拌機、加熱装置及び窒素導入管を備えた容積30Lのポリエステル樹脂製造装置に、2,6-ナフタレンジカルボン酸ジメチル8668.9g、テトラリン-2,6-ジカルボン酸ジメチル4895.5g、イソフタル酸ジメチル4594.6g、エチレングリコール8811.8g、シュウ酸チタンカリウム二水和物0.559g、酢酸亜鉛1.519gを仕込み、窒素雰囲気で230℃まで昇温してエステル交換反応を行った。ジカルボン酸成分の反応転化率を95%以上とした後、酸化ゲルマニウム0.5質量%エチレングリコール溶液1039.6g、リン酸エチレングリコール溶液154.6gを添加し、昇温と減圧を徐々に行い、270℃、133Pa以下で重縮合を行い、所定トルクに達した後に製造装置底部からストランド状で取出し、ペレタイザーでカットしたペレット形状のポリエステル化合物(1)を得た。なお、表1に示す式(1)~(3)で表される構成単位のモル%は、対応するモノマーの仕込み量から計算した値である。
(製造例2)
2,6-ナフタレンジカルボン酸ジメチル6730.6g、テトラリン-2,6-ジカルボン酸ジメチル6841.7g、イソフタル酸ジメチル4586.5g、エチレングリコール8796.2gとした以外は製造例1と同様にしてポリエステル化合物(2)を得た。
(製造例3)
2,6-ナフタレンジカルボン酸ジメチル4025.9g、テトラリン-2,6-ジカルボン酸ジメチル6138.6g、イソフタル酸ジメチル8001.6g、エチレングリコール9207.7gとした以外は製造例1と同様にしてポリエステル化合物(3)を得た。
(製造例4)
2,6-ナフタレンジカルボン酸ジメチル3835.9g、テトラリン-2,6-ジカルボン酸ジメチル9748.0g、イソフタル酸ジメチル4574.4g、エチレングリコール8773.0gとした以外は製造例1と同様にしてポリエステル化合物(4)を得た。
(製造例5)
2,6-ナフタレンジカルボン酸ジメチル11589.2g、テトラリン-2,6-ジカルボン酸ジメチル5622.9g、イソフタル酸ジメチル1465.9g、エチレングリコール8835.2gとした以外は製造例1と同様にしてポリエステル化合物(5)を得た。
(製造例6)
2,6-ナフタレンジカルボン酸ジメチル及びイソフタル酸ジメチルを不使用、テトラリン-2,6-ジカルボン酸ジメチル18147.3g、エチレングリコール8166.1gとした以外は製造例1と同様にしてポリエステル化合物(6)を得た。
(実施例1)
ポリエステル化合物(1)に対して、ステアリン酸コバルト(II)をコバルト量換算で2.5ppmとなるようブレンドし、得られた樹脂組成物を、直径20mmのスクリューを2本有する2軸押出機を用いて、押出温度280℃、スクリュー回転数50rpmの条件にてストランド状で押出し、ペレタイザーでカットしたペレット形状の樹脂組成物(1)を得た。得られた樹脂組成物を用いて、前述の方法で多層射出成形体(1)(バイアル)を成形し、多層射出成形体(1)について、前述の方法で酸素バリア性、容器の色調変化、成形性、形状・強度維持性の評価を実施した。評価結果を表1に示す。
(実施例2)
ポリエステル化合物(1)に代えてポリエステル化合物(2)を使用した以外は実施例1と同様にして樹脂組成物(2)を得た。得られた樹脂組成物を用いて、前述の方法で多層射出成形体(2)(バイアル)を成形し、多層射出成形体(2)について、前述の方法で酸素バリア性、容器の色調変化、成形性、形状・強度維持性の評価を実施した。評価結果を表1に示す。
(実施例3)
ステアリン酸コバルト(II)をコバルト量換算で20ppmとなるようブレンドした以外は実施例1と同様にして樹脂組成物(3)を得た。得られた樹脂組成物を用いて、前述の方法で多層射出成形体(3)(バイアル)を成形し、多層射出成形体(3)について、前述の方法で酸素バリア性、容器の色調変化、成形性、形状・強度維持性の評価を実施した。評価結果を表1に示す。
(比較例1)
ポリエステル化合物(1)に代えてポリエステル化合物(3)を使用した以外は実施例1と同様にして樹脂組成物(4)を得た。得られた樹脂組成物を用いて、前述の方法で多層射出成形体(4)(バイアル)を成形し、多層射出成形体(4)について、前述の方法で酸素バリア性、容器の色調変化、成形性、形状・強度維持性の評価を実施した。評価結果を表1に示す。
(比較例2)
ポリエステル化合物(1)に代えてポリエステル化合物(4)を使用した以外は実施例1と同様にして樹脂組成物(5)を得た。得られた樹脂組成物を用いて、前述の方法で多層射出成形体(5)(バイアル)を成形し、多層射出成形体(5)について、前述の方法で酸素バリア性、容器の色調変化、成形性、形状・強度維持性の評価を実施した。評価結果を表1に示す。
(比較例3)
ポリエステル化合物(1)に代えてポリエステル化合物(5)を使用した以外は実施例1と同様にして樹脂組成物(6)を得た。得られた樹脂組成物を用いて、前述の方法で多層射出成形体(6)(バイアル)を成形し、多層射出成形体(6)について、前述の方法で酸素バリア性、容器の色調変化、成形性、形状・強度維持性の評価を実施した。評価結果を表1に示す。
(比較例4)
ポリエステル化合物(1)に代えてポリエステル化合物(6)を使用した以外は実施例1と同様にして樹脂組成物(7)を得た。得られた樹脂組成物を用いて、前述の方法で多層射出成形体(7)(バイアル)を成形し、多層射出成形体(7)について、前述の方法で酸素バリア性、容器の色調変化、成形性、形状・強度維持性の評価を実施した。評価結果を表1に示す。
(比較例5)
ポリエステル化合物(1)に代えてナイロンMXD6(三菱ガス化学株式会社製、商品名:MXナイロンS7007)を使用し、ステアリン酸コバルト(II)をコバルト量換算で20ppmとなるようブレンドし、かつ、バイアル製造時の層A用の射出シリンダー温度を260℃とした以外は、実施例1と同様にして樹脂組成物(8)を得た。得られた樹脂組成物を用いて、前述の方法で多層射出成形体(8)(バイアル)を成形し、多層射出成形体(8)について、前述の方法で酸素バリア性、容器の色調変化、成形性、形状・強度維持性の評価を実施した。評価結果を表1に示す。
Figure 2023177894000007
実施例1~3から明らかなように、本発明の多層射出成形体は、良好な酸素バリア性能を示し、酸素吸収後の色調が良好かつ強度・形状維持性に優れ、成形性も優れることが確認された。

Claims (7)

  1. ポリエステル化合物(a)と、遷移金属触媒と、を含有する樹脂組成物を含有する層(A)と、
    前記ポリエステル化合物(a)と異なる熱可塑性樹脂(b)を含有する層(B)と、を含有する、多層射出成形体であって、
    前記ポリエステル化合物(a)が、前記ポリエステル化合物(a)における下記式(1)、式(2)及び式(3)で表される構成単位の合計100モル%に対して、下記式(1)で表される構成単位を30~55モル%、下記式(2)で表される構成単位を15~40モル%、下記式(3)で表される構成単位を20~40モル%含有する、多層射出成形体。
    Figure 2023177894000008
    Figure 2023177894000009
    Figure 2023177894000010
    (上記式(1)~(3)中、nは繰り返し単位の量を表し、それぞれ、前記式(1)で表される構成単位、前記式(2)で表される構成単位及び前記式(3)で表される構成単位の組成比に対応する。)。
  2. 前記ポリエステル化合物(a)が、(i)前記式(1)、式(2)及び式(3)で表される構成単位の合計100モル%に対して、前記式(1)で表される構成単位を40~50モル%、前記式(2)で表される構成単位を20~35モル%、前記式(3)で表される構成単位を25~35モル%含有し、かつ、(ii)前記ポリエステル化合物(a)の全構成単位100モル%に対して、前記式(1)~(3)で表される構成単位の合計が95モル%以上である、請求項1に記載の多層射出成形体。
  3. 前記遷移金属触媒が、コバルト、ニッケル及び銅からなる群より選択される少なくとも1種の遷移金属を含む、請求項1に記載の多層射出成形体。
  4. 前記遷移金属触媒が、前記ポリエステル化合物(a)の質量を基準として、遷移金属量として0.5~10ppm含まれる、請求項3に記載の多層射出成形体。
  5. 請求項1~4のいずれか一項に記載の多層射出成形体を含む、容器。
  6. 請求項1~4のいずれか一項に記載の多層射出成形体を、更に加工して得られる、容器。
  7. 射出ブロー成形又は延伸ブロー成形により得られる、請求項6に記載の容器。
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