JP2013161935A - 熱処理装置および熱処理方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】短時間で全ての加熱処理を完了することができる熱処理装置および熱処理方法を提供する。
【解決手段】室温の半導体ウェハーWの裏面に下側フラッシュランプLFLからフラッシュ光を照射して第1フラッシュ加熱を行い、裏面から表面への熱伝導によって半導体ウェハーWの表面を室温から中間温度にまで昇温させる。その後、半導体ウェハーWの表面に上側フラッシュランプUFLからフラッシュ光を照射して第2フラッシュ加熱を行い、半導体ウェハーWの表面を中間温度から目標温度にまで昇温させて不純物の活性化を達成する。下側フラッシュランプLFLおよび上側フラッシュランプUFLからのフラッシュ光照射のみによって半導体ウェハーWを室温から目標温度にまで到達させるため、1秒以内の極めて短時間で全ての加熱処理を完了させることができる。
【選択図】図1

Description

本発明は、半導体ウェハーや液晶表示装置用ガラス基板等の薄板状の精密電子基板(以下、単に「基板」と称する)にフラッシュ光を照射することによって該基板を加熱する熱処理装置および熱処理方法に関する。
半導体デバイスの製造プロセスにおいて、不純物導入は半導体ウェハー内にpn接合を形成するための必須の工程である。現在、不純物導入は、イオン打ち込み法とその後のアニール法によってなされるのが一般的である。イオン打ち込み法は、ボロン(B)、ヒ素(As)、リン(P)といった不純物の元素をイオン化させて高加速電圧で半導体ウェハーに衝突させて物理的に不純物注入を行う技術である。注入された不純物はアニール処理によって活性化される。この際に、アニール時間が数秒程度以上であると、打ち込まれた不純物が熱によって深く拡散し、その結果接合深さが要求よりも深くなり過ぎて良好なデバイス形成に支障が生じるおそれがある。
そこで、極めて短時間で半導体ウェハーを加熱するアニール技術として、近年フラッシュランプアニール(FLA)が注目されている。フラッシュランプアニールは、キセノンフラッシュランプ(以下、単に「フラッシュランプ」とするときにはキセノンフラッシュランプを意味する)を使用して半導体ウェハーの表面にフラッシュ光を照射することにより、不純物が注入された半導体ウェハーの表面のみを極めて短時間(数ミリ秒以下)に昇温させる熱処理技術である。
キセノンフラッシュランプの放射分光分布は紫外域から近赤外域であり、従来のハロゲンランプよりも波長が短く、シリコンの半導体ウェハーの基礎吸収帯とほぼ一致している。よって、キセノンフラッシュランプから半導体ウェハーにフラッシュ光を照射したときには、透過光が少なく半導体ウェハーを急速に昇温することが可能である。また、数ミリ秒以下の極めて短時間のフラッシュ光照射であれば、半導体ウェハーの表面近傍のみを選択的に昇温できることも判明している。このため、キセノンフラッシュランプによる極短時間の昇温であれば、不純物を深く拡散させることなく、不純物活性化のみを実行することができるのである。
このようなキセノンフラッシュランプを使用した熱処理装置として、特許文献1には、半導体ウェハーをホットプレートに載置して所定の温度まで予備加熱し、その後フラッシュランプからのフラッシュ光照射によって表面温度を所望の処理温度にまで昇温する装置が開示されている。また、特許文献2には、半導体ウェハーの上側にフラッシュランプを配置するとともに、下側にハロゲンランプを配置し、ハロゲンランプからの光照射によって半導体ウェハーを予備加熱し、その後フラッシュランプからウェハー表面にフラッシュ光照射を行う装置が開示されている。いずれにおいても、注入された不純物の拡散が生じない温度まで予備加熱し、その後半導体ウェハーの表面にフラッシュ光照射を行って表面を急速に処理温度にまで加熱して不純物活性化を実行している。
特開2007−5532号公報 特開2009−231676号公報
上述した従来のフラッシュランプアニールでは、予備加熱後に半導体ウェハーの表面にフラッシュ光を照射して表面温度を急速に上昇させている。特許文献1に開示されるようなホットプレートによって予備加熱を行う場合には1分程度の予備加熱時間が必要となり、特許文献2に開示されるようなハロゲンランプによって予備加熱を行う場合であっても数秒から10秒程度の時間を必要としていた。フラッシュ加熱の時間が数ミリ秒であっても予備加熱時間に長時間を要すると、スループットが低下するだけでなく、半導体ウェハーを収容するチャンバー内の構成部材の温度も上昇し、その結果フラッシュ加熱後の半導体ウェハーの降温速度が低下するという問題も生じる。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、短時間で全ての加熱処理を完了することができる熱処理装置および熱処理方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、請求項1の発明は、基板にフラッシュ光を照射することによって該基板を加熱する熱処理装置において、基板を収容するチャンバーと、前記チャンバー内にて基板を支持する支持部材と、前記支持部材に支持された基板にフラッシュ光を照射して前記基板の表面を室温から中間温度にまで昇温させる第1フラッシュランプと、前記中間温度に昇温された前記基板にフラッシュ光を照射して前記表面を前記中間温度から目標温度にまで昇温させる第2フラッシュランプと、を備えることを特徴とする。
また、請求項2の発明は、基板にフラッシュ光を照射することによって該基板を加熱する熱処理装置において、基板を収容するチャンバーと、前記チャンバー内にて基板を支持する支持部材と、前記支持部材に支持された基板にフラッシュ光を照射して前記基板の表面を室温から目標温度にまで昇温させるフラッシュランプと、を備えることを特徴とする。
また、請求項3の発明は、請求項1または請求項2の発明に係る熱処理装置において、前記目標温度は1000℃以上であることを特徴とする。
また、請求項4の発明は、請求項1から請求項3のいずれかの発明に係る熱処理装置において、前記支持部材は、石英にて形成され、ベルヌーイ効果によって前記基板を非接触で保持するベルヌーイチャックを含むことを特徴とする。
また、請求項5の発明は、基板にフラッシュ光を照射することによって該基板を加熱する熱処理方法において、チャンバー内にて支持部材に支持された基板にフラッシュ光を照射して前記基板の表面を室温から中間温度にまで昇温させる第1フラッシュ加熱工程と、前記中間温度に昇温された前記基板にフラッシュ光を照射して前記表面を前記中間温度から目標温度にまで昇温させる第2フラッシュ加熱工程と、を備えることを特徴とする。
また、請求項6の発明は、基板にフラッシュ光を照射することによって該基板を加熱する熱処理方法において、チャンバー内にて支持部材に支持された基板にフラッシュ光を照射して前記基板の表面を室温から目標温度にまで昇温させるフラッシュ加熱工程を備えることを特徴とする。
また、請求項7の発明は、請求項5または請求項6の発明に係る熱処理方法において、前記目標温度は1000℃以上であることを特徴とする。
請求項1から請求項7の発明によれば、フラッシュ光の照射によって基板の表面を室温から目標温度にまで昇温させているため、短時間で全ての加熱処理を完了することができる。
本発明に係る熱処理装置の要部構成を示す図である。 ベルヌーイチャックの一例を示す図である。 上側フラッシュランプおよび下側フラッシュランプの配置関係を示す斜視図である。 フラッシュランプの駆動回路を示す図である。 図1の熱処理装置における半導体ウェハーの処理手順を示すフローチャートである。 第1実施形態における半導体ウェハーの表面および裏面の温度変化を示す図である。 第1実施形態における下側フラッシュランプの発光出力プロファイルを示す図である。 第1実施形態における上側フラッシュランプの発光出力プロファイルを示す図である。 第2実施形態における半導体ウェハーの表面および裏面の温度変化を示す図である。 第2実施形態における下側フラッシュランプおよび上側フラッシュランプの発光出力プロファイルを示す図である。 第3実施形態の熱処理装置の要部構成を示す図である。 第3実施形態における半導体ウェハーの表面および裏面の温度変化を示す図である。 ベルヌーイチャックの他の例を示す図である。
以下、図面を参照しつつ本発明の実施の形態について詳細に説明する。
<第1実施形態>
図1は、本発明に係る熱処理装置1の要部構成を示す図である。この熱処理装置1は、基板としての略円形の半導体ウェハーWにフラッシュ光を照射して加熱処理を行うフラッシュランプアニール装置である。なお、図1および以降の各図においては、理解容易のため、必要に応じて各部の寸法や数を誇張または簡略化して描いている。
熱処理装置1は、主たる構成として、半導体ウェハーWを収容する略円筒形状のチャンバー6と、チャンバー6内にて半導体ウェハーWを保持する保持部7と、保持部7に対して半導体ウェハーWの受け渡しを行う移載部79と、チャンバー6の上側に設けられた上側加熱部5と、チャンバー6の下側に設けられた下側加熱部4と、チャンバー6内に処理ガスを供給するガス供給部8と、チャンバー6から排気を行う排気部2と、を備えている。また、熱処理装置1は、これらの各部を制御して半導体ウェハーWの加熱処理を実行させる制御部3を備える。
チャンバー6は、上下両端が開放された略円筒状の内壁を有するチャンバー側部63を備える。チャンバー側部63は、強度と耐熱性に優れた金属材料(例えば、ステンレススチール等)にて形成される。チャンバー6の上部開口および下部開口には上側チャンバー窓61および下側チャンバー窓64がそれぞれ装着されて閉塞されている。チャンバー側部63、上側チャンバー窓61および下側チャンバー窓64によって囲まれる空間が熱処理空間65として規定される。
チャンバー6の天井部を構成する上側チャンバー窓61は、石英により形成された円板形状部材であり、上側加熱部5から出射された光を熱処理空間65に透過する石英窓として機能する。同様に、チャンバー6の床部を構成する下側チャンバー窓64も石英により形成された円板形状部材であり、下側加熱部4から出射された光を熱処理空間65に透過する石英窓として機能する。
また、熱処理空間65の気密性を維持するために、上側チャンバー窓61および下側チャンバー窓64とチャンバー側部63とは図示省略のOリングによってシールされている。具体的には、上側チャンバー窓61の下面周縁部および下側チャンバー窓64の上面周縁部とチャンバー側部63との間にそれぞれOリングを挟み込み、これらの隙間から気体が流出入するのを防いでいる。
チャンバー側部63には、半導体ウェハーWの搬入および搬出を行うための搬送開口部66が設けられている。搬送開口部66は、図示を省略するゲートバルブによって開閉可能とされている。搬送開口部66が開放されると、図外の搬送ロボットによってチャンバー6に対する半導体ウェハーWの搬入および搬出が可能となる。また、搬送開口部66が閉鎖されると、熱処理空間65が外部との通気が遮断された密閉空間となる。
チャンバー6内に設けられた保持部7は、ベルヌーイチャック170および遮光部材71を備える。遮光部材71は、チャンバー側部63の内側壁面に固設されている。遮光部材71は、フラッシュランプFLからのフラッシュ光に対して不透明な材質、例えば炭化ケイ素(SiC)、窒化アルミニウム(AlN)、窒化ホウ素(BN)などのセラミックによって形成すれば良い。遮光部材71は、略円筒形状のチャンバー側部63の内壁から突出するように円環形状に設けられている。遮光部材71の上面内周部にベルヌーイチャック170が載置されている。
図2は、ベルヌーイチャック170の一例を示す図である。ベルヌーイチャック170は、フラッシュランプFLからのフラッシュ光を透過する石英にて形成されている。ベルヌーイチャック170は、石英の壁面の内部に中空部173を設けて構成される。ベルヌーイチャック170の天井部の石英壁面は、半導体ウェハーWを載置する円形の載置面171とされている。載置面171の径は、半導体ウェハーWの径よりも小さい。また、載置面171の周囲を取り囲むように円環形状の凹部172が設けられている。さらに、その凹部172を取り囲む円環状にガイド部175が設けられている。
また、載置面171には、気体の噴出孔174が形成されている。図2に示すように、噴出孔174はベルヌーイチャック170の中心側から斜め上方に向けて形成されている。噴出孔174は、円形の載置面171と同心円上に沿って設けられた複数の円形の孔であっても良いし、複数のスリット状の孔であっても良い。但し、噴出孔174は、その出口がベルヌーイチャック170に保持される半導体ウェハーWの端縁部よりも内側となるように形成されている。また、ベルヌーイチャック170には移載部79のピンが貫通するための貫通孔(図示省略)が形成されており、その貫通孔の内側と中空部173とは雰囲気分離されている。
ベルヌーイチャック170の中空部173にはチャック用ガス供給部180から窒素ガスが供給される。図1に示すように、チャック用ガス供給部180は、給気配管184、ガス供給源181、バルブ182および流量調整バルブ183を備える。給気配管184の一端はベルヌーイチャック170の中空部173に連通接続されるとともに、他端はガス供給源181に接続される。また、給気配管184の経路途中には、バルブ182および流量調整バルブ183が介挿されている。バルブ182を開放することによって、ガス供給源181からベルヌーイチャック170の中空部173にチャック用ガス(本実施形態では窒素(N))が供給される。チャック用ガス供給部180がベルヌーイチャック170に供給する窒素の流量は流量調整バルブ183によって調整される。
バルブ182を開放してチャック用ガス供給部180が中空部173に窒素ガスを供給すると、中空部173の内圧が上昇して窒素が噴出孔174から噴出される。ベルヌーイチャック170の載置面171に半導体ウェハーWが載置されているときにチャック用ガス供給部180が中空部173に窒素を供給すると、噴出孔174から半導体ウェハーWの下面周縁部に向けて窒素が噴出される。噴出孔174は斜め上方に向けて形成されているため、図2に示すように、噴出された窒素は半導体ウェハーWを載置面171から若干浮上させ、半導体ウェハーWの下面周縁部と載置面171との間にできた隙間を凹部172に向けて(つまり、半導体ウェハーWの中心側から端縁部に向けて)流れる。
ところで、窒素の如き流体が流れるときには、流体が外界に及ぼす圧力である静圧は低下する(ベルヌーイ効果)。窒素の流速が早くなるほど、静圧の低下も大きくなる。従って、窒素の流れが形成されている半導体ウェハーWの下面と載置面171との間の隙間の圧力は大気圧よりも小さくなり、その結果半導体ウェハーWには周辺雰囲気から載置面171に向けて押し付けるような圧力が作用する。すなわち、噴出孔174から斜め上方に向けて窒素を噴出することにより、窒素の噴出圧力によって半導体ウェハーWを載置面171から若干浮上させるとともに、浮上により形成された半導体ウェハーWと載置面171との隙間を窒素が流れて半導体ウェハーWに載置面171に押し付けるような圧力を作用させているのである。このような窒素の噴出圧力と窒素流のベルヌーイ効果とによってベルヌーイチャック170は半導体ウェハーWを非接触で吸着保持する。
半導体ウェハーWが非接触でベルヌーイチャック170に保持された状態において、半導体ウェハーWの端縁部と凹部172との間隔(凹部172から端縁部までの高さ)は3mm以上とするのが好ましい。これは、フラッシュ光照射時に半導体ウェハーWが変形したときに、端縁部が凹部172に接触するのを防ぐためである。
ベルヌーイ効果によって非接触で保持される半導体ウェハーWは水平方向に横滑りするおそれがある。このため、凹部172の周囲にガイド部175を設けている。ガイド部175の上端は、窒素の噴出によって非接触で保持される半導体ウェハーWの高さ位置よりも高い。また、その高さ位置において、ガイド部175の内径は半導体ウェハーWの直径よりも若干大きい。このため、非接触で保持される半導体ウェハーWの水平方向位置はガイド部175によって規制される。また、フラッシュ光照射時に半導体ウェハーWがガイド部175に接触して割れるのを防止するために、ガイド部175の内側壁面をテーパ面としておくのが好ましい。
チャンバー6内に搬入された半導体ウェハーWは、ベルヌーイチャック170によってチャンバー6内にて水平姿勢(主面の法線が鉛直方向に向く姿勢)で非接触保持される。本実施形態では、遮光部材71がフラッシュランプFLからの光に対して不透明な材質にて形成されているため、ベルヌーイチャック170の周囲において上側加熱部5と下側加熱部4とが光学的に遮断されている。
保持部7の下方には移載部79が設けられている。移載部79は、図示省略の駆動機構によって水平方向の移動と鉛直方向の移動とが可能に構成されている。移載動作を行わないときには、移載部79は遮光部材71の下側の待機位置に待機している。保持部7に対して半導体ウェハーWの移載を行う際には、移載部79が待機位置からベルヌーイチャック170の下方に水平移動した後、鉛直方向に沿って上昇する。これにより、移載部79のピンの上端がベルヌーイチャック170の載置面171から突き出る。移載動作が終了すると、移載部79は再び待機位置に戻る。
ガス供給部8は、チャンバー6内の熱処理空間65に処理ガスを供給する。ガス供給部8は、処理ガス供給源81とバルブ82とを備えており、バルブ82を開放することによって熱処理空間65に処理ガスを供給する。ガス供給部8が供給する処理ガスとしては、窒素(N)、アルゴン(Ar)、ヘリウム(He)などの不活性ガス、または、酸素(O)、水素(H)、塩素(Cl)、水蒸気(HO)、塩化水素(HCl)、オゾン(O)、アンモニア(NH)などの反応性ガスを用いることができる。なお、処理ガス供給源81としては、熱処理装置1内に設けられた気体タンクと送給ポンプとで構成するようにしても良いし、熱処理装置1が設置される工場の用力を用いるにようにしても良い。
排気部2は、排気装置21およびバルブ22を備えており、バルブ22を開放することによってチャンバー6内の雰囲気を排気する。排気装置21としては、真空ポンプや熱処理装置1が設置される工場の排気ユーティリティを用いることができる。排気装置21として真空ポンプを採用し、ガス供給部8から処理ガスを供給することなく密閉空間である熱処理空間65の雰囲気を排気すると、チャンバー6内を真空雰囲気にまで減圧することができる。また、排気装置21として真空ポンプを用いていない場合であっても、ガス供給部8から処理ガスを供給することなく排気を行うことにより、チャンバー6内を大気圧よりも低い気圧に減圧することができる。
本実施形態においては、保持部7に半導体ウェハーWが保持されているときには、遮光部材71、ベルヌーイチャック170および半導体ウェハーWによって熱処理空間65が上下に雰囲気分離される。このため、図1に示すように、熱処理空間65の保持部7よりも上側と下側のそれぞれにガス供給部8が処理ガスを供給するとともに、それぞれから排気部2が排気を行うようにするのが好ましい。
上側加熱部5は、チャンバー6の上方に設けられている。上側加熱部5は、複数本のフラッシュランプFLを有する光源と、その光源の上方を覆うように設けられたリフレクタ52と、を備えて構成される。上側加熱部5は、チャンバー6内にてベルヌーイチャック170に支持される半導体ウェハーWの上面に石英の上側チャンバー窓61を介してフラッシュランプFLからフラッシュ光を照射する。
一方、下側加熱部4は、チャンバー6の下方に設けられている。下側加熱部4は、複数本のフラッシュランプFLを有する光源と、その光源の下方を覆うように設けられたリフレクタ42と、を備えて構成される。下側加熱部4は、チャンバー6内にてベルヌーイチャック170に支持される半導体ウェハーWの下面に石英の下側チャンバー窓64を介してフラッシュランプFLからフラッシュ光を照射する。なお、上側加熱部5のフラッシュランプFLと下側加熱部4のフラッシュランプFLとを特に区別するときには、上側加熱部5のフラッシュランプFLを上側フラッシュランプUFLと称し、下側加熱部4のフラッシュランプFLを下側フラッシュランプLFLと称する。上側フラッシュランプUFLと下側フラッシュランプLFLとは配置位置が異なるものの同一の棒状のキセノンフラッシュランプであり、それらの区別を要しないときには単にフラッシュランプFLとする。
図3は、上側フラッシュランプUFLおよび下側フラッシュランプLFLの配置関係を示す斜視図である。複数の上側フラッシュランプUFLは、それぞれが長尺の円筒形状を有する棒状ランプであり、それぞれの長手方向が保持部7に保持される半導体ウェハーWの主面に沿って(つまり水平方向に沿って)互いに平行となるように平面状に配列されている。同様に、複数の下側フラッシュランプLFLもそれぞれが長尺の円筒形状を有する棒状ランプであり、それぞれの長手方向が保持部7に保持される半導体ウェハーWの主面に沿って互いに平行となるように平面状に配列されている。
図3に示すように、上側加熱部5の上側フラッシュランプUFLと下側加熱部4の下側フラッシュランプLFLとは互いに直交するように配置されている。すなわち、上側加熱部5の上方から見ると、上側フラッシュランプUFLの配列と下側フラッシュランプLFLの配列とが井桁状に交差するように配置されている。
図4は、フラッシュランプFLの駆動回路を示す図である。同図に示すように、コンデンサ93と、コイル94と、フラッシュランプFLと、IGBT(絶縁ゲートバイポーラトランジスタ)96とが直列に接続されている。また、図4に示すように、制御部3は、パルス発生器31および波形設定部32を備えるとともに、入力部33に接続されている。入力部33としては、キーボード、マウス、タッチパネル等の種々の公知の入力機器を採用することができる。入力部33からの入力内容に基づいて波形設定部32がパルス信号の波形を設定し、その波形に従ってパルス発生器31がパルス信号を発生する。
フラッシュランプFLは、その内部にキセノンガスが封入されその両端部に陽極および陰極が配設された棒状のガラス管(放電管)92と、該ガラス管92の外周面上に付設されたトリガー電極91とを備える。コンデンサ93には、電源ユニット95によって所定の電圧が印加され、その印加電圧(充電電圧)に応じた電荷が充電される。また、トリガー電極91にはトリガー回路97から高電圧を印加することができる。トリガー回路97がトリガー電極91に電圧を印加するタイミングは制御部3によって制御される。
IGBT96は、ゲート部にMOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field effect transistor)を組み込んだバイポーラトランジスタであり、大電力を取り扱うのに適したスイッチング素子である。IGBT96のゲートには制御部3のパルス発生器31からパルス信号が印加される。IGBT96のゲートに所定値以上の電圧(Highの電圧)が印加されるとIGBT96がオン状態となり、所定値未満の電圧(Lowの電圧)が印加されるとIGBT96がオフ状態となる。このようにして、フラッシュランプFLを含む駆動回路はIGBT96によってオンオフされる。IGBT96がオンオフすることによってフラッシュランプFLと対応するコンデンサ93との接続が断続される。
コンデンサ93が充電された状態でIGBT96がオン状態となってガラス管92の両端電極に高電圧が印加されたとしても、キセノンガスは電気的には絶縁体であることから、通常の状態ではガラス管92内に電気は流れない。しかしながら、トリガー回路97がトリガー電極91に高電圧を印加して絶縁を破壊した場合には両端電極間の放電によってガラス管92内に電流が瞬時に流れ、そのときのキセノンの原子あるいは分子の励起によって光が放出される。
図4に示すような駆動回路は、上側加熱部5の複数の上側フラッシュランプUFLおよび下側加熱部4の複数の下側フラッシュランプLFLのそれぞれに個別に設けられている。従って、上側フラッシュランプUFLと下側フラッシュランプLFLとでは互いに異なる制御態様とすることができる。
図1に戻り、上側加熱部5のリフレクタ52は、複数の上側フラッシュランプUFLの上方にそれら全体を覆うように設けられている。リフレクタ52の基本的な機能は、複数の上側フラッシュランプUFLから出射されたフラッシュ光を熱処理空間65の側に反射するというものである。一方、下側加熱部4のリフレクタ42は、複数の下側フラッシュランプLFLの下方にそれら全体を覆うように設けられている。リフレクタ42の基本的な機能は、複数の下側フラッシュランプLFLから出射された光を熱処理空間65の側に反射するというものである。リフレクタ52およびリフレクタ42は、アルミニウム合金板にて形成されており、その表面(フラッシュランプFLに臨む側の面)はブラスト処理により粗面化加工が施されて梨地模様を呈する。
制御部3は、熱処理装置1に設けられた上記の種々の動作機構を制御する。制御部3のハードウェアとしての構成は一般的なコンピュータと同様である。すなわち、制御部3は、各種演算処理を行うCPU、基本プログラムを記憶する読み出し専用のメモリであるROM、各種情報を記憶する読み書き自在のメモリであるRAMおよび制御用ソフトウェアやデータなどを記憶しておく磁気ディスクを備えて構成される。制御部3のCPUが所定の処理プログラムを実行することによって熱処理装置1における処理が進行する。また、図4に示したように、制御部3は、パルス発生器31および波形設定部32を備える。上述のように、入力部33からの入力内容に基づいて、波形設定部32がパルス信号の波形を設定し、それに従ってパルス発生器31がIGBT96のゲートにパルス信号を出力する。
次に、上記構成を有する熱処理装置1における半導体ウェハーWの処理手順について説明する。図5は、熱処理装置1における半導体ウェハーWの処理手順を示すフローチャートである。以下に説明する熱処理装置1の処理手順は、制御部3が熱処理装置1の各動作機構を制御することにより進行する。
まず、図示省略のゲートバルブが開いて搬送開口部66が開放され、装置外部の搬送ロボットにより搬送開口部66を介して処理対象となる半導体ウェハーWがチャンバー6内に搬入される(ステップS11)。第1実施形態において、処理対象となる半導体ウェハーWは、表面にパターン形成がなされて不純物が注入されたシリコンの半導体基板である。なお、パターン形成および不純物注入は、例えば、熱処理装置1とは別に設置されたフォトリソグラフィ装置およびイオン注入装置によってそれぞれ行うようにすれば良い。
このような半導体ウェハーWを保持した搬送ロボットのハンドが搬送開口部66からチャンバー6内に進入し、保持部7の直上にて停止する。続いて、移載部79が遮光部材71の下側の待機位置からベルヌーイチャック170の下側に水平移動した後、鉛直方向に沿って上昇し、移載部79のピンがベルヌーイチャック170の貫通孔を通って載置面171よりも上側に突き出て搬送ロボットのハンドから半導体ウェハーWを受け取る。その後、搬送ロボットのハンドがチャンバー6から退出するとともに、搬送開口部66が閉鎖されることによりチャンバー6内の熱処理空間65が密閉空間とされる。そして、半導体ウェハーWを受け取った移載部79が下降することにより、半導体ウェハーWは移載部79のピンからベルヌーイチャック170に渡されて載置面171に載置される(ステップS12)。ベルヌーイチャック170に半導体ウェハーWを渡した移載部79は待機位置に戻る。
ここで、半導体ウェハーWの表面とはデバイスが形成される主面であり、上述のように表面にはパターン形成がなされて不純物が注入されている。半導体ウェハーWの表面においては、パターンによって光の吸収率が異なるために吸収率の面内分布が均一ではない。一方、半導体ウェハーWの裏面とは、表面とは反対側の主面である。半導体ウェハーWの裏面には、通常は膜形成もパターン形成もなされない。但し、表面に膜形成がなされた結果として不可避的に裏面にも、例えば酸化膜、窒化膜、ポリシリコンなどの薄膜が形成されることはあるが、このような場合には均一な膜形成がなされる。いずれにしても、半導体ウェハーWの裏面においては、光の吸収率の面内分布は均一である。
第1実施形態では、半導体ウェハーWの表面が上面を向いた状態でチャンバー6内に搬入されてベルヌーイチャック170に載置される。なお、半導体ウェハーWの上面とは鉛直方向の上側を向いている主面であり、下面とは下側を向いている面である。よって、半導体ウェハーWの表面が上面を向いていることもあり、下面を向いていることもある。
また、搬送開口部66が閉鎖されて熱処理空間65が密閉空間とされた後、バルブ82が開放されてガス供給部8から熱処理空間65に処理ガス(本実施形態では窒素ガス)を供給する。これとともに、バルブ22が開放されて排気部2が熱処理空間65から排気を行う。これにより、チャンバー6内の熱処理空間65に窒素ガスの気流が形成され、保持部7に保持された半導体ウェハーWの周辺は窒素雰囲気とされる。なお、チャンバー6内の雰囲気置換効率を高める観点からは、処理ガスを供給することなく排気部2が熱処理空間65の排気を行って一旦大気圧よりも低い減圧雰囲気とした後に、ガス供給部8から処理ガスを供給するのが好ましい。
また、チャンバー6内の雰囲気置換を行うとともに、バルブ182が開放されてチャック用ガス供給部180からベルヌーイチャック170の中空部173に窒素ガスを供給する。中空部173に供給された窒素ガスが噴出孔174から斜め上方に向けて噴出されることにより、窒素の噴出圧力と窒素流のベルヌーイ効果とによって半導体ウェハーWがベルヌーイチャック170に非接触で吸着保持される(ステップS13)。
半導体ウェハーWがベルヌーイチャック170に非接触で保持された後、下側加熱部4の複数のフラッシュランプFL(下側フラッシュランプLFL)から半導体ウェハーWの裏面にフラッシュ光を照射する第1フラッシュ加熱を実行する(ステップS14)。すなわち、本実施形態においては、従来のホットプレートやハロゲンランプによる予備加熱を行うことなく、室温の半導体ウェハーWにフラッシュ光を照射してフラッシュ加熱を行っているのである。図6は、半導体ウェハーWの表面および裏面の温度変化を示す図である。同図において、半導体ウェハーWの表面温度を実線にて示し、裏面温度を点線にて示している。
所定の時刻t11に、制御部3の制御によって下側加熱部4の複数のフラッシュランプFLからフラッシュ光を出射する。フラッシュランプFLがフラッシュ光照射を行うに際しては、予め電源ユニット95によってコンデンサ93に電荷を蓄積しておく。そして、コンデンサ93に電荷が蓄積された状態にて、制御部3のパルス発生器31からIGBT96にパルス信号を出力してIGBT96をオンオフ駆動する。
パルス信号の波形は、パルス幅の時間(オン時間)とパルス間隔の時間(オフ時間)とをパラメータとして順次設定したレシピを入力部33から入力することによって規定することができる。このようなレシピをオペレータが入力部33から制御部3に入力すると、それに従って制御部3の波形設定部32はオンオフを繰り返すパルス波形を設定する。そして、波形設定部32によって設定されたパルス波形に従ってパルス発生器31がパルス信号を出力する。その結果、IGBT96のゲートにはオンオフを繰り返すパルス信号が印加され、IGBT96のオンオフ駆動が制御されることとなる。具体的には、IGBT96のゲートに入力されるパルス信号がオンのときにはIGBT96がオン状態となってコンデンサ93およびフラッシュランプFLを含む回路が閉じることとなり、パルス信号がオフのときにはIGBT96がオフ状態となって当該回路が開くこととなる。
また、パルス発生器31から出力するパルス信号がオンになるタイミングと同期して制御部3がトリガー回路97を制御してトリガー電極91に高電圧(トリガー電圧)を印加する。コンデンサ93に電荷が蓄積された状態にてIGBT96のゲートにパルス信号が入力され、かつ、そのパルス信号がオンになるタイミングと同期してトリガー電極91に高電圧が印加されることにより、パルス信号がオンのときにはガラス管92内の両端電極間で必ず電流が流れ、そのときのキセノンの原子あるいは分子の励起によって光が放出される。
制御部3からIGBT96のゲートにオンオフを繰り返すパルス信号を出力するとともに、該パルス信号がオンになるタイミングと同期してトリガー電極91に高電圧を印加することにより、フラッシュランプFLを含む回路中に断続的に電流が流れる。このように、回路中にスイッチング素子たるIGBT96を接続してそのゲートにオンオフを繰り返すパルス信号を出力することにより、コンデンサ93からフラッシュランプFLへの電荷の供給をIGBT96によって断続してフラッシュランプFLに流れる電流を制御しているのである。すなわち、IGBT96のゲートに入力されるパルス信号がオンのときにはフラッシュランプFLのガラス管92内に流れる電流値が増加し、オフのときには電流値が減少するようなノコギリ波形の電流がフラッシュランプFLに流れる。なお、各パルスに対応する個々の電流波形はコイル94の定数によって規定される。
このようなノコギリ波形の電流が流れてフラッシュランプFLが発光する。IGBT96によってコンデンサ93からフラッシュランプFLへの電荷の供給を断続してフラッシュランプFLに流れる電流の波形をノコギリ波形とすることにより、いわばフラッシュランプFLの発光がチョッパ制御されることとなる。すなわち、コンデンサ93に蓄積された電荷が分割して消費され、極めて短い時間の間にフラッシュランプFLが点滅を繰り返す。但し、フラッシュランプFLに流れる電流値が完全に”0”になる前に次のパルスがIGBT96のゲートに印加されて電流値が再度増加するため、フラッシュランプFLが点滅を繰り返している間も発光出力が完全に”0”になるものではない。従って、比較的間隔の短いパルス信号がIGBT96に出力されているときには、その間フラッシュランプFLが連続して発光していることとなる。
パルス信号の波形は、パルス幅の時間およびパルス間隔の時間を規定することによって任意に設定することができる。このため、IGBT96のオンオフ駆動も任意に制御することができ、比較的パルス間隔の短いパルスを多数設定することにより、フラッシュランプFLの発光時間を10ミリ秒〜1000ミリ秒に適宜に設定することができる。
図7は、第1実施形態における下側フラッシュランプLFLの発光出力の出力波形(プロファイル)を示す図である。第1実施形態においては、下側フラッシュランプLFLの発光時間を時刻t11から時刻t12までの80ミリ秒としている。また、下側フラッシュランプLFLの発光出力がピーク到達後に第1フラッシュ加熱の終了時点(時刻t12)に向けて徐々に小さくなってゼロに漸近するようにしている。具体的には、時刻t11から時刻t12にかけてパルス幅が徐々に短くなるとともにパルス間隔が徐々に長くなる複数のパルスを設定したパルス信号を下側フラッシュランプLFLに対応するIGBT96に出力する。これにより、下側フラッシュランプLFLは、時刻t11から時刻t12までの80ミリ秒間発光し、その発光出力はピーク到達後に時刻t12に向けて徐々に小さくなってゼロに漸近する。
下側フラッシュランプLFLから出射されたフラッシュ光は、石英のベルヌーイチャック170を透過し、ベルヌーイチャック170に非接触で保持された半導体ウェハーWの裏面に照射される。図7に示すようなプロファイルの発光出力にて半導体ウェハーWの裏面に下側フラッシュランプLFLからフラッシュ光を照射することにより、図6に示す如く半導体ウェハーWの裏面は時刻t11から時刻t12にかけて表面に先行して昇温する。
第1フラッシュ加熱における下側フラッシュランプLFLからのフラッシュ光照射による半導体ウェハーWの裏面の昇温速度は毎秒1000℃以上、毎秒40000℃以下となるようにしている。この昇温速度は、IGBT96のゲートに印加するパルス信号のパルス幅およびパルス間隔の時間を調整することによって設定することができる。裏面の昇温速度が毎秒40000℃を超えると、裏面の急激な熱膨張によって半導体ウェハーWが割れるおそれがある。一方、昇温速度が毎秒1000℃未満であると、注入された不純物の拡散が懸念される。また、半導体ウェハーWの表面に形成した高誘電率膜(High-k膜)のアニール処理を行う場合であれば、昇温速度が毎秒1000℃未満であるとシリコンの基材と高誘電率膜との間の酸化膜が成長する懸念がある。
また、第1フラッシュ加熱における下側フラッシュランプLFLのフラッシュ光照射時間は、半導体ウェハーWの裏面から表面への熱伝導に要する熱伝導時間よりも長時間、かつ、1秒以下となるようにしている。ここで、「熱伝導時間」とは、フラッシュ光照射によって半導体ウェハーWの裏面に発生した熱が表面に伝導するのに要する時間である。熱伝導時間は、半導体ウェハーWの材質および外寸によって規定されるものであり、本実施形態の如きφ300mmのシリコンウェハー(規格により厚さは0.775mmに標準化されている)であれば約15ミリ秒である。下側フラッシュランプLFLのフラッシュ光照射時間もIGBT96のゲートに印加するパルス信号のパルス幅およびパルス間隔の時間を調整することによって適宜に設定することができる。第1実施形態においては、第1フラッシュ加熱における下側フラッシュランプLFLのフラッシュ光照射時間を時刻t11から時刻t12までの80ミリ秒とし、熱伝導時間である15ミリ秒よりも長時間、かつ、1秒以下としている。
半導体ウェハーWの裏面に下側フラッシュランプLFLから熱伝導時間よりも長時間のフラッシュ光照射を行うことにより、第1フラッシュ加熱の途中で裏面から表面への熱伝導が生じ、図6に示すように半導体ウェハーWの裏面に遅れて表面も室温から所定の中間温度(本実施形態では約500℃)にまで昇温する。このようにして、パターン形成がなされて不純物が注入された半導体ウェハーWの表面が加熱される。なお、第1フラッシュ加熱における下側フラッシュランプLFLのフラッシュ光照射時間を1秒以下としているのは、サーマルバジェットを小さくするためである。このような半導体ウェハーWの裏面へのフラッシュ光照射による第1フラッシュ加熱の技術的意義は、従来のハロゲンランプ等による予備加熱を含むものである。
また、第1実施形態においては、下側フラッシュランプLFLの発光出力がピーク到達後に第1フラッシュ加熱の終了時点に向けて徐々に小さくなってゼロに漸近するようにしている。これにより、第1フラッシュ加熱において、半導体ウェハーWの裏面が過度に昇温するのを防ぐとともに、表裏面の温度差が第1フラッシュ加熱の終了時点に向けて徐々に滑らかに小さくなるようにすることができる。その結果、表裏面の温度差に起因して半導体ウェハーWに生じる熱応力を緩和することができる。
時刻t11から80ミリ秒が経過した時刻t12にて下側フラッシュランプLFLの発光が停止する。第1フラッシュ加熱の終了時点に向けて半導体ウェハーWの表裏面の温度差が徐々に小さくなるため、下側フラッシュランプLFLの発光が停止する時刻t12の時点で表面温度と裏面温度とがほぼ等しく中間温度となっている(図6参照)。
時刻t12にて下側フラッシュランプLFLの発光が停止した後、時刻t13までの一定時間待機する。この待機時間の間は、上側加熱部5の上側フラッシュランプUFLおよび下側加熱部4の下側フラッシュランプLFLのいずれも発光を行わない。そして、所定時間待機した時刻t13に、制御部3の制御によって上側加熱部5の複数のフラッシュランプFLから半導体ウェハーWの表面にフラッシュ光を照射する第2フラッシュ加熱を実行する(ステップS15)。
下側フラッシュランプLFLによる補助加熱が終了した時刻t12から上側フラッシュランプUFLのフラッシュ光照射が開始される時刻t13までの待機時間は、半導体ウェハーWの裏面から表面への熱伝導に要する熱伝導時間よりも長時間である。第1実施形態においては、時刻t12から時刻t13までの待機時間を20ミリ秒とし、熱伝導時間である15ミリ秒よりも長時間としている。このように時刻t12から時刻t13までの待機時間を熱伝導時間よりも長時間とすることにより、第1フラッシュ加熱の最終時点である時刻t12に下側フラッシュランプLFLから照射されたフラッシュ光によって半導体ウェハーWの裏面に発生した熱も上側フラッシュランプUFLからのフラッシュ光照射前に表面に伝導することとなり、下側フラッシュランプLFLから照射されたフラッシュ光を無駄なく利用することができる。
上側加熱部5の上側フラッシュランプUFLの発光制御は、広義には上述した下側フラッシュランプLFLについての発光制御と同様である。すなわち、制御部3からIGBT96のゲートにパルス信号を出力することによってコンデンサ93から上側フラッシュランプUFLへの電荷の供給を断続し、上側フラッシュランプUFLの発光を制御している。但し、第1実施形態では、上側フラッシュランプUFLに対応するIGBT96のゲートに所定時間幅の単一のパルス信号を出力し、上側フラッシュランプUFLの発光時間を下側フラッシュランプLFLに比較して顕著に短くしている。
図8は、上側フラッシュランプUFLの発光出力の出力波形を示す図である。第1実施形態においては、上側フラッシュランプUFLを時刻t13に瞬間的に発光させて、その発光時間を数ミリ秒程度としている。具体的には、数ミリ秒のパルス幅の単一のパルス信号を設定して上側フラッシュランプUFLに対応するIGBT96に時刻t13に出力することにより、上側フラッシュランプUFLを時刻t13に瞬間的に発光させている。上側フラッシュランプUFLの発光時間は下側フラッシュランプLFLよりも顕著に短いが、上側フラッシュランプUFLの発光出力は下側フラッシュランプLFLの平均値よりも大きい。
下側フラッシュランプLFLによって室温から中間温度にまで昇温された半導体ウェハーWの表面に上側フラッシュランプUFLからフラッシュ光を照射することにより、半導体ウェハーWの表面がさらに加熱される。このときには、上側フラッシュランプUFLから比較的大きな発光出力のフラッシュ光が瞬間的に照射されるため、図6に示すように、半導体ウェハーWの表面温度が時刻t13に中間温度から急激に上昇して目標温度に到達する。目標温度は、注入された不純物の活性化が達成される1000℃以上であり、第1実施形態では1100℃としている。
但し、上側フラッシュランプUFLのフラッシュ光照射時間は熱伝導時間よりも短時間であるため、半導体ウェハーW自体がヒートシンクとして作用し、1000℃以上の目標温度に到達した半導体ウェハーWの表面温度は急速に低下する。従って、半導体ウェハーWの表面温度が1000℃以上となっているのは極めて短時間であり、不純物の活性化を達成しつつも不純物の拡散は防止することができる。一方、半導体ウェハーWの表面から裏面への熱伝導によって裏面温度も若干上昇して表面温度と裏面温度とが等しくなる。
上側フラッシュランプUFLによるフラッシュ光照射が終了すると、上側フラッシュランプUFLおよび下側フラッシュランプLFLの双方の発光が完了して半導体ウェハーWの温度が急速に降温する。半導体ウェハーWの温度が所定以下にまで降温した後、移載部79が待機位置からベルヌーイチャック170の下側に水平移動した後、鉛直方向に沿って上昇し、移載部79のピンが処理後の半導体ウェハーWを持ち上げてベルヌーイチャック170から離間させる。そして、搬送開口部66が開放されて搬送ロボットのハンドがチャンバー6内に進入し、半導体ウェハーWの直下にて停止する。続いて、移載部79が下降して搬送ロボットのハンドに半導体ウェハーWを渡す。その後、半導体ウェハーWを受け取った搬送ロボットのハンドがチャンバー6から退出することにより半導体ウェハーWが搬出され、熱処理装置1におけるフラッシュ加熱処理が完了する(ステップS16)。なお、搬送開口部66を開放する前に、チャンバー6内の熱処理空間65を大気雰囲気に置換するようにしても良い。
第1実施形態においては、室温の半導体ウェハーWの裏面に下側フラッシュランプLFLからフラッシュ光を照射して第1フラッシュ加熱を行い、裏面から表面への熱伝導によって半導体ウェハーWの表面を室温から中間温度にまで昇温させている。その後、半導体ウェハーWの表面に上側フラッシュランプUFLからフラッシュ光を照射して第2フラッシュ加熱を行い、半導体ウェハーWの表面を中間温度から目標温度にまで昇温させて不純物の活性化を達成している。第1実施形態の第1フラッシュ加熱は、従来のホットプレートやハロゲンランプによる予備加熱の技術的意義を含むものである。すなわち、半導体ウェハーWの表面へのフラッシュ光照射の前に、第1フラッシュ加熱によって半導体ウェハーWの表面温度を室温から中間温度にまで昇温させている。
このように第1実施形態においては、下側フラッシュランプLFLによって予備加熱に相当する第1フラッシュ加熱を実行することにより、従来のようなホットプレートやハロゲンランプ等による予備加熱を行うことなく、下側フラッシュランプLFLおよび上側フラッシュランプUFLからのフラッシュ光照射のみによって半導体ウェハーWを室温から1000℃以上の目標温度にまで到達させている。下側フラッシュランプLFLおよび上側フラッシュランプUFLからのフラッシュ光照射のみによって半導体ウェハーWを室温から目標温度にまで昇温すれば1秒以内の極めて短時間で全ての加熱処理を完了させることができる(第1実施形態では約0.1秒)。従って、熱処理装置1における処理時間を顕著に短時間とすることができ、スループットを大幅に高めることができる。また、処理時間が短時間となれば、チャンバー側部63などの部材の不要な温度上昇を抑制することもでき、フラッシュ加熱後の半導体ウェハーWの降温速度を高速にすることができる。
また、透明なベルヌーイチャック170がベルヌーイ効果によって半導体ウェハーWを非接触で保持しているため、昇温した半導体ウェハーWからベルヌーイチャック170への熱伝導はほとんど生じない。半導体ウェハーWがチャックに接触して保持されていると、その接触部位近傍のみで熱伝導が生じて温度が低下し、面内温度分布が不均一となることがある。第1実施形態では、半導体ウェハーWからベルヌーイチャック170への熱伝導がほとんど生じないため、そのような部分的な温度低下も生じず、半導体ウェハーWの面内温度分布をより均一にすることができる。
もっとも、ベルヌーイチャック170は、噴出孔174から半導体ウェハーWの下面周縁部に窒素を噴出してベルヌーイ効果を生じさせているため、その気流によって半導体ウェハーWの周縁部の温度が低下することはある。しかし、第1実施形態ではフラッシュ光照射のみによって1秒以内に全ての加熱処理を完了させているため、その極めて短い時間では噴出気流による温度低下の影響はほとんど生じない。
また、半導体ウェハーWはベルヌーイチャック170から浮上して非接触保持されているため、フラッシュ光照射時に急激な温度変化によって半導体ウェハーWが変形したとしても、その変形を拘束するような応力は作用しない。このため、フラッシュ光照射時の半導体ウェハーWの割れを防止することもできる。
さらに、上側加熱部5の上側フラッシュランプUFLと下側加熱部4の下側フラッシュランプLFLとが互いに直交するように配置されているため、上側フラッシュランプUFLおよび下側フラッシュランプLFLにおける棒状ランプの配列に起因した照度ムラを互いに解消して半導体ウェハーWの面内温度分布をより均一にすることができる。
<第2実施形態>
次に、本発明の第2実施形態について説明する。第2実施形態の熱処理装置の構成は第1実施形態と全く同様である。第2実施形態においては、フラッシュランプFLの発光タイミングが第1実施形態と異なる。
第2実施形態における半導体ウェハーWの処理手順はフラッシュ光照射の前工程(つまり、図5のステップS13)までは第1実施形態と同じである。すなわち、処理対象となる半導体ウェハーWがチャンバー6内に搬入されてベルヌーイチャック170によって非接触で吸着保持される。また、ガス供給部8と排気部2とによってチャンバー6内の熱処理空間65は窒素雰囲気とされる。
半導体ウェハーWがベルヌーイチャック170に非接触で保持された後、下側加熱部4の複数のフラッシュランプFL(下側フラッシュランプLFL)および上側加熱部5の複数のフラッシュランプFL(上側フラッシュランプUFL)から半導体ウェハーWの裏面および表面のそれぞれにフラッシュ光を照射してフラッシュ加熱を実行する。すなわち、第2実施形態においては、上側フラッシュランプUFLおよび下側フラッシュランプLFLを同時期に発光させてフラッシュ加熱を行っているのである。図9は、第2実施形態における半導体ウェハーWの表面および裏面の温度変化を示す図である。
所定の時刻t21に、制御部3の制御によって下側加熱部4の複数の下側フラッシュランプLFLおよび上側加熱部5の複数の上側フラッシュランプUFLからフラッシュ光を出射する。下側フラッシュランプLFLおよび上側フラッシュランプUFLの発光制御は、概ね第1実施形態と同様である。すなわち、制御部3からIGBT96のゲートにパルス信号を出力することによってコンデンサ93から下側フラッシュランプLFLおよび上側フラッシュランプUFLへの電荷の供給を断続し、これらの発光をチョッパ制御している。
図10は、第2実施形態における下側フラッシュランプLFLおよび上側フラッシュランプUFLの発光出力の出力波形(プロファイル)を示す図である。第2実施形態においては、下側フラッシュランプLFLおよび上側フラッシュランプUFLの発光を時刻t21に同時に開始し、時刻t22に同時に終了している。また、下側フラッシュランプLFLおよび上側フラッシュランプUFLの発光出力の出力波形も同じにしている。すなわち、下側フラッシュランプLFLに対応するIGBT96および上側フラッシュランプUFLに対応するIGBT96に同一のパルス信号を出力することにより、下側フラッシュランプLFLおよび上側フラッシュランプUFLを同時期に同等の出力で発光させているのである。なお、時刻t21から時刻t22までのフラッシュランプFLの発光時間は80ミリ秒としている。
また、下側フラッシュランプLFLおよび上側フラッシュランプUFLの発光出力がピーク到達後に発光終了時点(時刻t22)に向けて徐々に小さくなってゼロに漸近するようにしている。具体的には、時刻t21から時刻t22にかけてパルス幅が徐々に短くなるとともにパルス間隔が徐々に長くなる複数のパルスを設定したパルス信号を下側フラッシュランプLFLおよび上側フラッシュランプUFLに対応するIGBT96に出力する。これにより、下側フラッシュランプLFLおよび上側フラッシュランプUFLは、時刻t21から時刻t22までの80ミリ秒間発光し、その発光出力はピーク到達後に時刻t22に向けて徐々に小さくなってゼロに漸近する。
ベルヌーイチャック170に非接触で保持された半導体ウェハーWの表面および裏面に同時期に同等の出力にてフラッシュ光を照射することにより、半導体ウェハーWが表裏からフラッシュ加熱される。なお、下側フラッシュランプLFLから出射されたフラッシュ光は、石英のベルヌーイチャック170を透過し、ベルヌーイチャック170に非接触保持された半導体ウェハーWの裏面に照射される。このような表裏両面からのフラッシュ加熱により、図9に示すように、半導体ウェハーWの表面および裏面が時刻t21から時刻t22にかけて急速に昇温して目標温度(第2実施形態では1050℃)にまで到達する。また、フラッシュ加熱による半導体ウェハーWの表裏面の昇温速度は毎秒1000℃以上、毎秒40000℃以下となるようにしている。
時刻t22に上側フラッシュランプUFLおよび下側フラッシュランプLFLによる同時期・同出力のフラッシュ光照射が終了すると、半導体ウェハーWの温度が表裏ともに降温する。半導体ウェハーWの温度が所定以下にまで降温した後、移載部79および搬送ロボットによって処理後の半導体ウェハーWがチャンバー6から搬出されてフラッシュ加熱処理が完了する。
第2実施形態においては、室温の半導体ウェハーWの表面および裏面に上側フラッシュランプUFLおよび下側フラッシュランプLFLのそれぞれから同時期に同等の出力にてフラッシュ光を照射している。これにより、時刻t21から時刻t22にかけて半導体ウェハーWの表面および裏面を室温から目標温度にまで昇温させて不純物の活性化を達成している。
第2実施形態においても、従来のようなホットプレートやハロゲンランプ等による予備加熱を行うことなく、下側フラッシュランプLFLおよび上側フラッシュランプUFLからのフラッシュ光照射のみによって半導体ウェハーWを室温から1000℃以上の目標温度にまで到達させている。下側フラッシュランプLFLおよび上側フラッシュランプUFLからのフラッシュ光照射のみによって半導体ウェハーWを室温から目標温度にまで昇温すれば1秒以内の極めて短時間で全ての加熱処理を完了させることができる(第2実施形態では約80ミリ秒)。従って、熱処理装置1における処理時間を顕著に短時間とすることができ、スループットを大幅に高めることができる。また、処理時間が短時間となれば、チャンバー側部63などの部材の不要な温度上昇を抑制することもでき、フラッシュ加熱後の半導体ウェハーWの降温速度を高速にすることができる。
また、第1実施形態と同様に、透明なベルヌーイチャック170によって半導体ウェハーWを非接触で保持しているため、フラッシュ光照射時の半導体ウェハーWの面内温度分布を均一にできるとともに、割れを防止することもできる。
<第3実施形態>
次に、本発明の第3実施形態について説明する。図11は、第3実施形態の熱処理装置1aの要部構成を示す図である。図11において、第1実施形態の図1と同一の要素については同一の符号を付している。第3実施形態が第1実施形態と相違するのは、熱源としてチャンバー6の上側に上側加熱部5のみを設けている点である。
第3実施形態のチャンバー6においては、下部開口がチャンバー側部63と同様の金属材料の円板状部材によって閉塞されている。チャンバー6の上部開口には第1実施形態と同様の上側チャンバー窓61が装着されている。
上側加熱部5の構成は第1実施形態と同様である。すなわち、上側加熱部5は、複数本のフラッシュランプFLを有する光源と、その光源の上方を覆うように設けられたリフレクタ52と、を備える。複数のフラッシュランプFLのそれぞれは図4に示すような駆動回路によって制御される。第3実施形態の熱処理装置1aの残余の構成は第1実施形態の熱処理装置1と同じである。
第3実施形態における半導体ウェハーWの処理手順はフラッシュ光照射の前工程(図5のステップS13)までは第1実施形態と同じである。すなわち、処理対象となる半導体ウェハーWがチャンバー6内に搬入されてベルヌーイチャック170によって非接触で吸着保持される。また、ガス供給部8と排気部2とによってチャンバー6内の熱処理空間65は窒素雰囲気とされる。
半導体ウェハーWがベルヌーイチャック170に非接触で保持された後、上側加熱部5の複数のフラッシュランプFLから半導体ウェハーWの表面にフラッシュ光を照射してフラッシュ加熱を実行する。このときの、複数のフラッシュランプFLの発光制御は概念的には第1実施形態と同じようにしても良いし、第2実施形態と同様にしても良い。
第1実施形態と同様の発光制御を行う場合には、上側加熱部5の複数のフラッシュランプFLを2つのランプ群に分離し、第1のフラッシュランプ群を上側フラッシュランプUFLと同様に発光させるとともに、第2のフラッシュランプ群を下側フラッシュランプLFLを同様に発光させる。すなわち、半導体ウェハーWの表面を室温から中間温度にまで昇温させる第1フラッシュ加熱および中間温度から目標温度にまで昇温させる第2フラッシュ加熱の双方を半導体ウェハーWの表面に対して行う。
図12は、第3実施形態における半導体ウェハーWの表面および裏面の温度変化を示す図である。所定の時刻t31から時刻t32にかけて、制御部3の制御によって上側加熱部5の複数のフラッシュランプFLのうちの第1のフラッシュランプ群から半導体ウェハーWの表面にフラッシュ光を照射する。第1のフラッシュランプ群の発光出力の出力波形は図7と同様である。これにより、時刻t31から時刻t32にかけて半導体ウェハーWの表面が室温から中間温度にまで昇温する第1フラッシュ加熱が実行される。なお、第3実施形態では、図12に示すように、半導体ウェハーWの裏面が表面に遅れて昇温する。
時刻t32にて第1のフラッシュランプ群の発光が停止した後、時刻t33に制御部3の制御によって上側加熱部5の複数のフラッシュランプFLのうちの第2のフラッシュランプ群から半導体ウェハーWの表面にフラッシュ光を照射する。第2のフラッシュランプ群の発光出力の出力波形は図8と同様である。これにより、時刻t33に半導体ウェハーWの表面が中間温度から目標温度にまで昇温する第2フラッシュ加熱が実行される。
このようにしても、第1実施形態と同様に、ホットプレートやハロゲンランプ等による予備加熱を行うことなく、フラッシュランプFLからのフラッシュ光照射のみによって半導体ウェハーWの表面を室温から目標温度にまで昇温しているため、1秒以内の極めて短時間で全ての加熱処理を完了させることができる。なお、フラッシュ光の照度分布を均一にするために、例えば上側加熱部5の複数のフラッシュランプFLを水平方向の配列に沿って交互に第1のフラッシュランプ群と第2のフラッシュランプ群とに属させるようにするのが好ましい。また、第1のフラッシュランプ群と第2のフラッシュランプ群と2段に配置するようにしても良い。
また、第2実施形態と同様の発光制御を行う場合には、上側加熱部5の複数のフラッシュランプFLの全体を図10と同様の出力波形にて発光させる。すなわち、第2実施形態では半導体ウェハーWの表面および裏面に同時期に同等の出力で照射されていたフラッシュ光を第3実施形態では表面のみに照射するのである。このようにしても、フラッシュランプFLからのフラッシュ光照射のみによって半導体ウェハーWの表面を室温から目標温度にまで昇温することができ、1秒以内の極めて短時間で全ての加熱処理を完了させることができる。なお、半導体ウェハーWの表面へのフラッシュ光照射のみによって表面温度を室温から中間温度にまで昇温させる場合には、表面の急激な熱膨張に起因した割れを防止すべく、フラッシュランプFLの発光時間を1秒以内の範囲で長く設定するのが好ましい。
<変形例>
以上、本発明の実施の形態について説明したが、この発明はその趣旨を逸脱しない限りにおいて上述したもの以外に種々の変更を行うことが可能である。例えば、第2実施形態においては、上側フラッシュランプUFLおよび下側フラッシュランプLFLを同時期に同等の出力で発光させていたが、これらの発光時期および発光出力を異ならせるようにしても良い。例えば、上側フラッシュランプUFLおよび下側フラッシュランプLFLのフラッシュ光照射期間の始期が異なるようにしても良いし、終期が異なるようにしても良い。但し、上側フラッシュランプUFLのフラッシュ光照射期間および下側フラッシュランプLFLのフラッシュ光照射期間の少なくとも一部は互いに重なり合うようにする。
また、上側フラッシュランプUFLおよび下側フラッシュランプLFLのフラッシュ光照射期間は上記第1および第2実施形態の例に限定されるものではなく、IGBT96に出力するパルス信号の波形によって適宜に設定することができる。もっとも、上側フラッシュランプUFLおよび下側フラッシュランプLFLのフラッシュ光照射期間の総時間は1秒以下である。
また、ベルヌーイチャックを図13に示すようなものとしても良い。図13において、図2と同一の要素については同一の符号を付している。図2のベルヌーイチャック170が面一の載置面171を備えていたのに対して、図13のベルヌーイチャック170aは円環状の載置部177を備えている。円環状の載置部177の径は、半導体ウェハーWの径よりも小さい。その載置部177の周囲を取り囲むように円環形状の凹部172が設けられている。
載置部177の側面はテーパ面とされている。そして、ベルヌーイチャック170aの天井部の石英壁面には、載置部177の内周側テーパ面の傾斜に沿うように噴出孔174が形成されている。よって、噴出孔174から斜め上方に向けて噴出された窒素ガスは、そのまま載置部177の内周側テーパ面に沿って流れる。ベルヌーイチャック170aの残余の構成については図2のベルヌーイチャック170と同じである。
ベルヌーイチャック170aの載置部177に半導体ウェハーWが載置されているときにチャック用ガス供給部180が中空部173に窒素を供給すると、噴出孔174から半導体ウェハーWの下面周縁部に向けて窒素が噴出される。図13に示すように、噴出された窒素は載置部177の内周側テーパ面に沿って斜め上方に流れ、載置部177の頂上部に載置された半導体ウェハーWを載置部177から若干浮上させる。そして、半導体ウェハーWの下面周縁部と載置部177との間にできた隙間に、半導体ウェハーWの中心側から端縁部に向かう窒素ガス流が形成される。半導体ウェハーWと載置部177との間にできた隙間に窒素の気体流が形成されることにより、ベルヌーイ効果によって半導体ウェハーWには周辺雰囲気から載置部177に向けて押し付けるような圧力が作用する。よって、上記実施形態と同様に、窒素の噴出圧力と窒素流のベルヌーイ効果とによってベルヌーイチャック170aは半導体ウェハーWを非接触で吸着保持することができる。
また、ベルヌーイチャック170に代えて、半導体ウェハーWの周縁部を円環状のリングによって支持するようにしても良い。
また、半導体ウェハーの表面にニッケル膜を成膜し、本発明に係る熱処理装置によってフラッシュ加熱処理を施してニッケルシリサイドを形成するようにしても良い(シリサイド化)。さらに、半導体ウェハーの表面にハフニウムなどを含む高誘電率膜(High-k膜)を形成し、本発明に係る熱処理装置によってフラッシュ加熱処理を施して高誘電率膜の結晶化を促進するようにしても良い(PDA:Post Deposition Anneal)。
或いは、半導体ウェハーWの表面にレジスト膜を形成し、そのレジスト膜の塗布後ベーク処理(PAB:Post Applied Bake)や露光後ベーク処理(PEB:Post Exposure Bake)を本発明に係る熱処理技術によって行うようにしても良い。これらの熱処理に必要な目標温度は比較的低い(100℃〜200℃)ため、第3実施形態のように半導体ウェハーWの表面のみにフラッシュ光を照射する場合であっても急激な熱膨張に起因した割れを抑制することができる。
また、本発明に係る熱処理技術によって処理対象となる基板は半導体ウェハーに限定されるものではなく、液晶表示装置などに用いるガラス基板や太陽電池用の基板であっても良い。
1,1a 熱処理装置
2 排気部
3 制御部
4 下側加熱部
5 上側加熱部
6 チャンバー
7 保持部
8 ガス供給部
65 熱処理空間
71 遮光部材
79 移載部
96 IGBT
170,170a ベルヌーイチャック
FL フラッシュランプ
LFL 下側フラッシュランプ
UFL 上側フラッシュランプ
W 半導体ウェハー

Claims (7)

  1. 基板にフラッシュ光を照射することによって該基板を加熱する熱処理装置であって、
    基板を収容するチャンバーと、
    前記チャンバー内にて基板を支持する支持部材と、
    前記支持部材に支持された基板にフラッシュ光を照射して前記基板の表面を室温から中間温度にまで昇温させる第1フラッシュランプと、
    前記中間温度に昇温された前記基板にフラッシュ光を照射して前記表面を前記中間温度から目標温度にまで昇温させる第2フラッシュランプと、
    を備えることを特徴とする熱処理装置。
  2. 基板にフラッシュ光を照射することによって該基板を加熱する熱処理装置であって、
    基板を収容するチャンバーと、
    前記チャンバー内にて基板を支持する支持部材と、
    前記支持部材に支持された基板にフラッシュ光を照射して前記基板の表面を室温から目標温度にまで昇温させるフラッシュランプと、
    を備えることを特徴とする熱処理装置。
  3. 請求項1または請求項2記載の熱処理装置において、
    前記目標温度は1000℃以上であることを特徴とする熱処理装置。
  4. 請求項1から請求項3のいずれかに記載の熱処理装置において、
    前記支持部材は、石英にて形成され、ベルヌーイ効果によって前記基板を非接触で保持するベルヌーイチャックを含むことを特徴とする熱処理装置。
  5. 基板にフラッシュ光を照射することによって該基板を加熱する熱処理方法であって、
    チャンバー内にて支持部材に支持された基板にフラッシュ光を照射して前記基板の表面を室温から中間温度にまで昇温させる第1フラッシュ加熱工程と、
    前記中間温度に昇温された前記基板にフラッシュ光を照射して前記表面を前記中間温度から目標温度にまで昇温させる第2フラッシュ加熱工程と、
    を備えることを特徴とする熱処理方法。
  6. 基板にフラッシュ光を照射することによって該基板を加熱する熱処理方法であって、
    チャンバー内にて支持部材に支持された基板にフラッシュ光を照射して前記基板の表面を室温から目標温度にまで昇温させるフラッシュ加熱工程を備えることを特徴とする熱処理方法。
  7. 請求項5または請求項6記載の熱処理方法において、
    前記目標温度は1000℃以上であることを特徴とする熱処理方法。
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