JP2013159842A - 蒸気タービンの鋳造用Ni基合金および蒸気タービン用鋳造部品 - Google Patents

蒸気タービンの鋳造用Ni基合金および蒸気タービン用鋳造部品 Download PDF

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Abstract

【課題】高温強度特性および鋳造性に優れた蒸気タービンの鋳造用Ni基合金および蒸気タービン用鋳造部品を提供する。
【解決手段】実施形態の蒸気タービンの鋳造用Ni基合金は、質量%で、C:0.01〜0.1、Cr:15〜25、Co:10〜15、Mo:5〜12、Al:0.5〜2、Ti:0.3〜2、B:0.001〜0.006、Ta:0.05〜1、Si:1〜2、Mn:0.1〜0.5を含有し、残部がNiおよび不可避的不純物からなる。
【選択図】なし

Description

本発明の実施形態は、蒸気タービンの鋳造用Ni基合金および蒸気タービン用鋳造部品に関する。
蒸気タービンを含む火力プラントにおいて、地球環境保護の観点から二酸化炭素の排出量抑制技術が注目されており、また発電の高効率化のニーズが高まっている。
蒸気タービンの発電効率を上げるためには、タービン蒸気温度を高温化することが有効である。近年の蒸気タービンを備える火力発電プラントにおいて、その蒸気温度は、600℃以上まで上昇している。蒸気温度は、将来的には650℃、さらに700℃へと上昇する傾向がみられる。
高温の蒸気に曝される、例えば、蒸気タービンの、タービンケーシング、バルブケーシング、ノズルボックスおよび配管などの鋳造部品は、周囲の高温の蒸気により高温になるとともに、これらの鋳造部品には、高い応力が発生する。そのため、これらの鋳造部品は、高温、高応力に耐える必要があり、これらを構成する材料として、室温から高温度領域において優れた強度、延性、靭性を有するものが求められている。
特に、蒸気温度が700℃を超える場合には、従来の鉄系材料では高温強度が不足するため、Ni基合金の適用が検討されている。Ni基合金は、高温強度特性、耐食性に優れていることから、主にジェットエンジンやガスタービンの材料として広く適用されてきた。その代表例としてインコネル617合金(スペシャルメタル社製)やインコネル706合金(スペシャルメタル社製)が用いられてきた。
Ni基合金の高温強度を強化するために、AlやTiを添加することによりNi基合金の母相材内に、γ’(ガンマプライム:Ni(Al,Ti))相、γ”(ガンマダブルプライム:NiNb)相と呼ばれるいずれかの析出相、あるいは双方の析出相を析出させる方法がある。γ’相およびγ”相の双方の析出相を析出させて高温強度を確保するものとして、例えばインコネル706合金が挙げられる。
一方、インコネル617合金のように、Co、Moを添加することにより、Ni基の母相を強化(固溶強化)して高温強度を確保するものがある。
特開平7−150277号公報
上記したように、650℃を超える蒸気タービンの構成部品の材料として使用可能なNi基合金において、優れた高温強度特性および鋳造性を備えることが要求される。
本発明が解決しようとする課題は、高温強度特性および鋳造性に優れた蒸気タービンの鋳造用Ni基合金および蒸気タービン用鋳造部品を提供することを目的とする。
本発明の実施形態の蒸気タービンの鋳造用Ni基合金は、質量%で、C:0.01〜0.1、Cr:15〜25、Co:10〜15、Mo:5〜12、Al:0.5〜2、Ti:0.3〜2、B:0.001〜0.006、Ta:0.05〜1、Si:1〜2、Mn:0.1〜0.5を含有し、残部がNiおよび不可避的不純物からなる。
本発明の蒸気タービンの鋳造用Ni基合金および蒸気タービン用鋳造部品によれば、優れた高温強度特性および鋳造性を得ることができる。
以下、本発明の実施の形態を説明する。
実施の形態における蒸気タービンの鋳造用Ni基合金は、以下に示す組成成分範囲で構成される。なお、以下の説明において組成成分を表す%は、特に明記しない限り質量%とする。
(M1)C:0.01〜0.1%、Cr:15〜25%、Co:10〜15%、Mo:5〜12%、Al:0.5〜2%、Ti:0.3〜2%、B:0.001〜0.006%、Ta:0.05〜1%、Si:1〜2%、Mn:0.1〜0.5%を含有し、残部がNiおよび不可避的不純物からなるNi基合金。
(M2)C:0.01〜0.1%、Cr:15〜25%、Co:10〜15%、Mo:5〜12%、Al:0.5〜2%、Ti:0.3〜2%、B:0.001〜0.006%、Nb:0.025〜0.5%、Si:1〜2%、Mn:0.1〜0.5%を含有し、残部がNiおよび不可避的不純物からなるNi基合金。
(M3)C:0.01〜0.1%、Cr:15〜25%、Co:10〜15%、Mo:5〜12%、Al:0.5〜2%、Ti:0.3〜2%、B:0.001〜0.006%、Si:1〜2%、Mn:0.1〜0.5%、Taが0.05〜1質量%含まれると想定したきのTaのモル数と同じモル数になるように、Taの一部をNbに置き換えてTaとNbを含有し、残部がNiおよび不可避的不純物からなるNi基合金。
ここで、上記した(M1)〜(M3)のNi基合金において、Alを0.5〜1.4%含有することが好ましい。また、上記した(M1)〜(M3)のNi基合金において、AlとTiとを合計して1〜3質量%含有することが好ましい。
また、上記した(M1)〜(M3)のNi基合金における不可避的不純物としては、例えば、Cu、Fe、PおよびSなどが挙げられる。
上記した組成成分範囲のNi基合金は、運転時の温度が650〜750℃となる蒸気タービンの鋳造部品を構成する材料として好適である。蒸気タービンの鋳造部品として、例えば、タービンケーシング、バルブケーシング、ノズルボックス、配管などが挙げられる。
ここで、タービンケーシングは、タービン動翼が植設されたタービンロータが貫通し、内周面にノズルが配設され、蒸気が導入されるケーシングである。バルブケーシングは、蒸気タービンに供給する、高温高圧の蒸気の流量を調整したり、蒸気の流れを遮断したりする蒸気弁として機能するバルブのケーシングである。特に、温度が650〜750℃の蒸気が流動するバルブのケーシングなどが例示できる。ノズルボックスは、蒸気タービン内に導入された高温高圧の蒸気を、出口に設けられた第1段の静翼を介して、第1段の動翼に導出するものである。このノズルボックスは、タービンロータの周囲に亘って設けられた環状の蒸気流路を備えている。配管は、ボイラからの蒸気を蒸気タービンに導く主蒸気配管または再熱蒸気配管である。これらのタービンケーシング、バルブケーシング、ノズルボックス、配管は、いずれも高温高圧の蒸気に曝される環境に設置される。
ここで、上記した蒸気タービンの鋳造部品のすべての部位を本実施の形態のNi基合金で構成してもよい。また、蒸気タービンの鋳造部品の構成部分のうち、特に高温となる構成部位を本実施の形態のNi基合金で構成してもよい。
なお、蒸気タービンの鋳造部品が高温となるのは、具体的には、例えば、高圧蒸気タービン部の全領域、または高圧蒸気タービン部から中圧蒸気タービン部の一部分までの領域などが挙げられる。さらに、蒸気タービンの鋳造部品が高温となるのは、高圧蒸気タービンに蒸気を導入する主蒸気ライン部などが挙げられる。なお、蒸気タービンの鋳造部品が高温となる部分は、これらに限られるものではなく、例えば、温度が650〜750℃程度となる部分であればこれに含まれる。
また、上記した本実施の形態のNi基合金は、従来のNi基合金よりも、高温強度特性および鋳造性に優れている。すなわち、本実施の形態のNi基合金を用いて、タービンケーシング、バルブケーシング、ノズルボックス、配管などの蒸気タービンの鋳造部品を構成することで、高温環境下においても高い信頼性を有する鋳造部品を提供することができる。
次に、上記した本実施の形態のNi基合金における各組成成分範囲の限定理由を説明する。
(1)C(炭素)
Cは、強化相であるM23型炭化物の構成元素として有用であり、特に650℃以上の高温環境下では、蒸気タービンの運転中にM23型炭化物を析出させることが合金のクリープ強度を維持させる要因の一つである。また、鋳造時の溶湯の流動性を確保する効果も併せ持つ。Cの含有率が0.01%未満の場合には、炭化物の十分な析出量を確保することができないため、機械的強度(高温強度特性、以下同じ)が低下するとともに、鋳造時の溶湯の流動性が著しく低下する。一方、Cの含有率が0.1%を超えると、大型鋳塊作製時の成分偏析傾向が増加する。そのため、Cの含有率を0.01〜0.1%とした。さらに好ましいCの含有率は、0.03〜0.07%である。
(2)Cr(クロム)
Crは、Ni基合金の耐酸化性、耐食性および機械的強度を高めるのに不可欠な元素である。さらにM23型炭化物の構成元素として不可欠であり、特に650℃以上の高温環境下では、蒸気タービンの運転中にM23型炭化物を析出させることで、合金のクリープ強度が維持される。また、Crは、高温蒸気環境下における耐酸化性を高める。Crの含有率が15%未満の場合には、耐酸化性が低下する。一方、Crの含有率が25%を超えると、M23型炭化物の析出を著しく促進することによって粗大化傾向を高める。また、有害相であるσ相の析出により機械的強度が低下する。そのため、Crの含有率を15〜25%とした。さらに好ましいCrの含有率は、15〜20%である。
(3)Co(コバルト)
Coは、Ni基合金において、母相内に固溶して母相の機械的強度を向上させる。しかしながら、Coの含有率が15%を超えると、機械的強度を低下させる金属間化合物相を生成し、機械的強度が低下する。一方、Coの含有率が10%未満の場合には、鋳造性が低下し、さらに機械的強度が低下する。そのため、Coの含有率を10〜15%とした。さらに好ましいCoの含有率は、10〜13%である。
(4)Mo(モリブデン)
Moは、Ni母相中に固溶して母相の機械的強度を向上させる効果を有し、また、M23型炭化物中に一部が置換することによって炭化物の安定性を高める。Moの含有率が5%未満の場合には、上記した効果が発揮されない。一方、Moの含有率が12%を超えると、大型鋳塊作製時の成分偏析傾向が増加するとともに、σ相析出により機械的強度が低下する。そのため、Moの含有率を5〜12%とした。さらに好ましいMoの含有率は、8〜10%である。
(5)Al(アルミニウム)
Alは、Niとともにγ’(NiAl)相を生成し、析出によるNi基合金の機械的強度を向上させる。Alの含有率が0.5%未満の場合には、機械的強度が従来鋼と比べて向上されなお。一方、Alの含有率が2%を超えると、大気鋳造において酸化が著しい。そのため、Alの含有率を0.5〜2%とした。さらに好ましいAlの含有率は、0.5〜1.4%である。
(6)Ti(チタン)
Tiは、Alと同様に、(NiTi)となり、γ’相の固溶強化に役立つ元素である。Tiの含有率が0.3%未満の場合には、上記した効果が発揮されない。一方、Tiの含有率が2%を超えると、大気鋳造において酸化が著しい。そのため、Tiの含有率を0.3〜2%とした。さらに好ましいTiの含有率は、0.3〜1.5%である。
ここで、上記したAlおよびTiを、AlとTiを合計(Al+Ti)した含有率が1〜3%であることが好ましい。AlとTiを合計(Al+Ti)した含有率を1〜3%とすることで、γ’(Ni(Al,Ti))相をさらに強化し、機械的強度をさらに向上させることができる。
(7)B(ホウ素)
Bは、Ni母相中に析出して母相の機械的強度を向上させる効果を有する。Bの含有率が0.001%未満の場合には、母相の機械的強度を向上させる効果が発揮されない。一方、Bの含有率が0.006%を超えると、粒界脆化を招く恐れがある。そのため、Bの含有率を0.001〜0.006%とした。さらに好ましいBの含有率は、0.002〜0.005%である。
(8)Ta(タンタル)
Taは、γ’(Ni(Al,Ti))相に固溶して、γ’相を強化し、γ’相の安定化を図ることができる。Taの含有率が0.05%未満の場合には、上記した効果において従来鋼と比べて向上がみられない。一方、Taの含有率が1%を超えると、経済性が損なわれ、製造コストが増加する。そのため、Taの含有率を0.05〜1%とした。さらに好ましいTaの含有率は、0.05〜0.5%である。
(9)Nb(ニオブ)
Nbは、Taと同様に、γ’(Ni(Al,Ti))相に固容して、γ’相を強化し、安定化させる。Nbは、Taに比べ価格が安く、経済的である。Nbの含有率が0.025%未満の場合には、上記した効果において従来鋼と比べて向上がみられない。一方、Nbの含有率が0.5%を超えると、機械的強度は向上するが、鋳造性が低下する。そのため、Nbの含有率を0.025〜0.5%とした。さらに好ましいNbの含有率は、0.1〜0.5%である。
また、上記したTaとNbの双方を含有する場合において、Taが0.05〜1質量%含まれると想定したきのTaのモル数と同じモル数になるように、Taの一部をNbに置き換えてNbを含有する。上記したように、Nbは、Taと同様の効果を奏する添加物であるため、Taのモル数と同じモル数になるように、Taの一部をNbに置き換えてNbを含有しても、Taを0.05〜1質量%含有する場合と同様の効果を得ることができる。さらに、NbはTaに比べ価格が安いことから製造コストの削減にもつながる。
ここで、TaとNbのモル数を合計した総モル数をTaのみのモル数とみなす換算方法について説明する。
TaとNbの合計した質量をTaの質量として換算したときのTaのモル数をAmolとする。TaとNbの双方を含有する場合においても、TaとNbのモル数の合計である総モル数が、このAmolとなるように構成する。
例えば、このTaの質量として換算したときのTaのモル数であるAmolのうちのB%をNbに置き換えて添加したとすると、Nbの添加モル数は、「A×B/100=Cmol」となり、Nbの添加量は、「C×92.91(g)(Nbの原子量)」となる。また、AmolのうちのB%をNbに置き換えた後のTaの添加モル数は、「A−C=Dmol」となり、Taの添加量は、「D×180.9(g)(Ta原子量)」となる。
さらに、具体的に説明する。例えば、Ni基合金100(kg)中にTaのみが0.5%添加されている場合のTa質量は、「100000(g)×0.005=500(g)」で、Taの総モル数は、「500(g)/180.9(g)(Ta原子量)=2.764(mol)」となる。例えば、Taの総モル数のうち40モル%をNbに置き換えたとすると、Nbの添加量は、「2.764(mol)×0.4×92.91(g)(Nbの原子量)=102.72(g)」となり、Nbの添加率は、Ni基合金100(kg)に対して、「102.72(g)/100000(g)×100=0.1%」となる。
一方、Taの添加量は、「2.764(mol)×0.6×180.9(g)=300(g)」となり、Taの添加率は、Ni基合金100(kg)に対して、「300(g)/100000(g)×100=0.3%」となる。よって、Ni基合金中におけるTaとNbを合計した添加率は、「0.3+0.1=0.4%」となり、TaとNbを合計した総添加量は、「300(g)+102.72(g)=402.72(g)」となる。
(10)Si(ケイ素)
Siは、鋳込み時の湯流れを向上させ、複雑形状の鋳造部品における鋳造欠陥と表面粗さを低減させる効果を有する。また、Siを添加することによって、Ni3Siが析出し、機械的強度が向上する。Siの過剰添加は、融点降下や有害相の析出の原因となる。
従来においては、析出強化相であるγ’(Ni(Al,Ti))相を多く析出させることで機械的強度の向上を図っていたため、AlやTiを多量に添加していた。この場合、大気鋳造の際に、AlおよびTiの酸化が著しく、鋳造欠陥が発生しやすくなる。そこで、本実施の形態では、AlおよびTiの添加量を抑制し、Siを添加することで強化相であるNi3Siを析出させている。
このNi3Siを析出させるためには、Siの含有率を1%以上とする必要がある。一方、Siの含有率が2%を超えると、凝固時の偏析が大きくなり、粒界強度が低下する。そのため、Siの含有率を1〜2%とした。さらに好ましいSiの含有率は、1.0〜1.5%である。
(11)Mn(マンガン)
普通鋼の場合、脆性に起因するS(硫黄)は、Mnを添加することでMnSとして脆性を防止し、機械的強度を向上させる。しかしながら、Mnの含有率が0.1%未満の場合には、この効果は見られない。一方、Mnの含有率が0.5%を超えると、機械的強度を低下させる。そのため、Mnの含有率を0.1〜0.5%とした。さらに好ましいMnの含有率は、0.1〜0.3%である。
(12)Cu(銅)、Fe(鉄)、P(リン)およびS(硫黄)
Cu、Fe、PおよびSは、本実施の形態のNi基合金においては、不可避的不純物に分類されるものである。これらの不可避的不純物は、可能な限りその残存含有率を0%に近づけることが望ましい。
ここで、本実施の形態のNi基合金、およびこのNi基合金を用いて製造される蒸気タービンの鋳造部品の製造方法について説明する。
本実施の形態のNi基合金は、例えば、次のように製造される。まず、本実施の形態のNi基合金を構成する組成成分を真空誘導溶解(VIM)し、その溶湯を所定の型枠に注入して鋳塊を形成する。そして、その鋳塊を溶体化処理および時効処理することで、Ni基合金が作製される。
また、本実施の形態の鋳造部品であるタービンケーシング、バルブケーシング、ノズルボックスは、例えば、次のように製造される。まず、本実施の形態のNi基合金を構成する組成成分を真空誘導溶解(VIM)し、その溶湯をタービンケーシング、バルブケーシングまたはノズルボックスの形状に形成するための型枠に注入して大気鋳造する。そして、鋳造物を溶体化処理および時効処理することで、タービンケーシング、バルブケーシング、ノズルボックスが作製される。
鋳造部品を作製する他の方法として、まず、本実施の形態のNi基合金を構成する組成成分を電気炉溶解(EF)し、アルゴン−酸素脱炭(AOD)を行い、その溶湯をタービンケーシング、バルブケーシングまたはノズルボックスの形状に形成するための型枠に注入して大気鋳造する。そして、鋳造物を溶体化処理および時効処理することで、タービンケーシング、バルブケーシング、ノズルボックスが作製される。
また、本実施の形態の鋳造部品である配管は、例えば、次のように製造される。まず、本実施の形態のNi基合金を構成する組成成分を、真空誘導溶解(VIM)を行い溶湯とし、または電気炉溶解(EF)してアルゴン−酸素脱炭(AOD)を行い溶湯とする。そそして、円筒形の型を高速回転させた状態でこの溶湯を流し込み、回転の遠心力を利用して溶湯を加圧し、配管形状に形成する(遠心鋳造法)。続いて、配管形状の鋳造物を溶体化処理および時効処理することで、配管が作製される。
ここで、上記した溶体化処理においては、鋳造部品に応じて、1100〜1200℃の温度範囲で3〜24時間の熱処理を行うことが好ましい。ここで、溶体化処理温度は、γ’相析出物を均質に固溶化するために行われる。1100℃を下回る溶体化処理温度では十分に固溶されず、1200℃を上回る溶体化処理温度では結晶粒の粗大化により強度が低下する。
また、時効処理では、鋳造部品に応じて、例えば、700〜800℃の温度範囲で10〜48時間の熱処理を行い、γ’相を早期に析出させて結晶粒内を強化する。
なお、上記した本実施の形態の、Ni基合金や鋳造部品を作製する方法は、上記した方法に限定されるものではない。
(高温強度特性および鋳造性の評価)
ここでは、本実施の形態のNi基合金が、優れた、高温強度特性および鋳造性を有することを説明する。表1は、高温強度特性および鋳造性の評価に用いられた試料1〜試料23の化学組成を示す。
なお、試料1〜試料9は、本実施の形態の化学組成範囲にあるNi基合金であり、試料10〜試料23は、その組成が本実施の形態の化学組成範囲にないNi基合金であり、比較例である。ここで使用した本実施の形態の化学組成範囲にあるNi基合金には、不可避的不純物として、Fe、Cu、Sが含まれている。また、TaとNbの双方を含む試料においては、前述したように、Taが0.05〜1質量%含まれると想定したきのTaのモル数と同じモル数になるように、Taの一部をNbに置き換えたときの値が示されている。
Figure 2013159842
試料1〜試料23の鋳造合金について高温強度特性を引張強度試験およびクリープ破断試験により評価した。表1に示す化学組成を有する試料1〜試料23のNi基合金20kgをそれぞれ真空誘導溶解炉にて溶解し、鋳塊を作製した。続いて、この鋳塊に対して、1175℃で3時間溶体化処理を施し、775℃で10時間時効処理を施して、鋳造合金とした。そして、この鋳造合金から所定のサイズの試験片を作製した。
引張強度試験は、各試料による試験片に対して、温度が室温(24℃)および750℃の条件の下、JIS G 0567(鉄鋼材料及び耐熱合金の高温引張試験方法)に準拠して実施された。この引張強度試験では、0.2%耐力を測定した。ここで、引張強度試験における温度条件である750℃は、蒸気タービン起動運転時の温度条件を考慮して設定した。
クリープ破断試験では、各試料による試験片に対して、温度が750℃、10万時間におけるクリープ破断強度をJIS Z 2271に準拠して測定した。
また、各試料に対して鋳造性の評価を行った。鋳造性の評価では、上記した鋳塊を縦に2分割に切断し、切断面についてJIS Z 2343−1(非破壊試験−浸透探傷試験−第1部:一般通則:浸透探傷試験方法及び浸透指示模様の分類)に準拠して、浸透探傷試験(PT)を行い、鋳造割れの有無を目視観察した。
上記した試験結果を表2に示す。表2に示された鋳造性の評価の結果において、鋳造割れがない場合には「無」と示し、さらに、鋳造性が優れていることを示すため、鋳造性の評価を「○」で示している。一方、鋳造割れがある場合には「有」と示し、さらに、鋳造性が劣ることを示すため、鋳造性の評価を「×」で示している。
Figure 2013159842
表2に示すように、試料1〜試料9は、試料10〜試料23と比べて、各温度において、0.2%耐力が高く、クリープ破断強度も高いことがわかった。さらに、試料1〜試料9は、鋳造性にも優れていることがわかった。すなわち、試料1〜試料9は、高温強度特性および鋳造性の双方に優れていることがわかった。試料1〜試料9において、優れた高温強度特性が得られたのは、析出強化と固溶強化の最適な調和がとられ、さらに熱処理により強度が高められたためと考えられる。
一方、比較例に係る試料10〜試料23では、高温強度特性および鋳造性の双方に優れた結果は得られなかった。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。

Claims (6)

  1. 質量%で、C:0.01〜0.1、Cr:15〜25、Co:10〜15、Mo:5〜12、Al:0.5〜2、Ti:0.3〜2、B:0.001〜0.006、Ta:0.05〜1、Si:1〜2、Mn:0.1〜0.5を含有し、残部がNiおよび不可避的不純物からなることを特徴とする蒸気タービンの鋳造用Ni基合金。
  2. 質量%で、C:0.01〜0.1、Cr:15〜25、Co:10〜15、Mo:5〜12、Al:0.5〜2、Ti:0.3〜2、B:0.001〜0.006、Nb:0.025〜0.5、Si:1〜2、Mn:0.1〜0.5を含有し、残部がNiおよび不可避的不純物からなることを特徴とする蒸気タービンの鋳造用Ni基合金。
  3. 質量%で、C:0.01〜0.1、Cr:15〜25、Co:10〜15、Mo:5〜12、Al:0.5〜2、Ti:0.3〜2、B:0.001〜0.006、Si:1〜2、Mn:0.1〜0.5、Taが0.05〜1質量%含まれると想定したきのTaのモル数と同じモル数になるように、Taの一部をNbに置き換えてTaとNbを含有し、残部がNiおよび不可避的不純物からなることを特徴とする蒸気タービンの鋳造用Ni基合金。
  4. Alを0.5〜1.4質量%含有していることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項記載の蒸気タービンの鋳造用Ni基合金。
  5. AlとTiとを合計して1〜3質量%含有していることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項記載の蒸気タービンの鋳造用Ni基合金。
  6. 請求項1乃至5のいずれか1項記載の蒸気タービンの鋳造用Ni基合金を用いて、少なくとも所定部位が作製されたことを特徴とする蒸気タービン用鋳造部品。
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