JP2013159842A - 蒸気タービンの鋳造用Ni基合金および蒸気タービン用鋳造部品 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】実施形態の蒸気タービンの鋳造用Ni基合金は、質量%で、C:0.01〜0.1、Cr:15〜25、Co:10〜15、Mo:5〜12、Al:0.5〜2、Ti:0.3〜2、B:0.001〜0.006、Ta:0.05〜1、Si:1〜2、Mn:0.1〜0.5を含有し、残部がNiおよび不可避的不純物からなる。
【選択図】なし
Description
Cは、強化相であるM23C6型炭化物の構成元素として有用であり、特に650℃以上の高温環境下では、蒸気タービンの運転中にM23C6型炭化物を析出させることが合金のクリープ強度を維持させる要因の一つである。また、鋳造時の溶湯の流動性を確保する効果も併せ持つ。Cの含有率が0.01%未満の場合には、炭化物の十分な析出量を確保することができないため、機械的強度(高温強度特性、以下同じ)が低下するとともに、鋳造時の溶湯の流動性が著しく低下する。一方、Cの含有率が0.1%を超えると、大型鋳塊作製時の成分偏析傾向が増加する。そのため、Cの含有率を0.01〜0.1%とした。さらに好ましいCの含有率は、0.03〜0.07%である。
Crは、Ni基合金の耐酸化性、耐食性および機械的強度を高めるのに不可欠な元素である。さらにM23C6型炭化物の構成元素として不可欠であり、特に650℃以上の高温環境下では、蒸気タービンの運転中にM23C6型炭化物を析出させることで、合金のクリープ強度が維持される。また、Crは、高温蒸気環境下における耐酸化性を高める。Crの含有率が15%未満の場合には、耐酸化性が低下する。一方、Crの含有率が25%を超えると、M23C6型炭化物の析出を著しく促進することによって粗大化傾向を高める。また、有害相であるσ相の析出により機械的強度が低下する。そのため、Crの含有率を15〜25%とした。さらに好ましいCrの含有率は、15〜20%である。
Coは、Ni基合金において、母相内に固溶して母相の機械的強度を向上させる。しかしながら、Coの含有率が15%を超えると、機械的強度を低下させる金属間化合物相を生成し、機械的強度が低下する。一方、Coの含有率が10%未満の場合には、鋳造性が低下し、さらに機械的強度が低下する。そのため、Coの含有率を10〜15%とした。さらに好ましいCoの含有率は、10〜13%である。
Moは、Ni母相中に固溶して母相の機械的強度を向上させる効果を有し、また、M23C6型炭化物中に一部が置換することによって炭化物の安定性を高める。Moの含有率が5%未満の場合には、上記した効果が発揮されない。一方、Moの含有率が12%を超えると、大型鋳塊作製時の成分偏析傾向が増加するとともに、σ相析出により機械的強度が低下する。そのため、Moの含有率を5〜12%とした。さらに好ましいMoの含有率は、8〜10%である。
Alは、Niとともにγ’(Ni3Al)相を生成し、析出によるNi基合金の機械的強度を向上させる。Alの含有率が0.5%未満の場合には、機械的強度が従来鋼と比べて向上されなお。一方、Alの含有率が2%を超えると、大気鋳造において酸化が著しい。そのため、Alの含有率を0.5〜2%とした。さらに好ましいAlの含有率は、0.5〜1.4%である。
Tiは、Alと同様に、(Ni3Ti)となり、γ’相の固溶強化に役立つ元素である。Tiの含有率が0.3%未満の場合には、上記した効果が発揮されない。一方、Tiの含有率が2%を超えると、大気鋳造において酸化が著しい。そのため、Tiの含有率を0.3〜2%とした。さらに好ましいTiの含有率は、0.3〜1.5%である。
Bは、Ni母相中に析出して母相の機械的強度を向上させる効果を有する。Bの含有率が0.001%未満の場合には、母相の機械的強度を向上させる効果が発揮されない。一方、Bの含有率が0.006%を超えると、粒界脆化を招く恐れがある。そのため、Bの含有率を0.001〜0.006%とした。さらに好ましいBの含有率は、0.002〜0.005%である。
Taは、γ’(Ni3(Al,Ti))相に固溶して、γ’相を強化し、γ’相の安定化を図ることができる。Taの含有率が0.05%未満の場合には、上記した効果において従来鋼と比べて向上がみられない。一方、Taの含有率が1%を超えると、経済性が損なわれ、製造コストが増加する。そのため、Taの含有率を0.05〜1%とした。さらに好ましいTaの含有率は、0.05〜0.5%である。
Nbは、Taと同様に、γ’(Ni3(Al,Ti))相に固容して、γ’相を強化し、安定化させる。Nbは、Taに比べ価格が安く、経済的である。Nbの含有率が0.025%未満の場合には、上記した効果において従来鋼と比べて向上がみられない。一方、Nbの含有率が0.5%を超えると、機械的強度は向上するが、鋳造性が低下する。そのため、Nbの含有率を0.025〜0.5%とした。さらに好ましいNbの含有率は、0.1〜0.5%である。
Siは、鋳込み時の湯流れを向上させ、複雑形状の鋳造部品における鋳造欠陥と表面粗さを低減させる効果を有する。また、Siを添加することによって、Ni3Siが析出し、機械的強度が向上する。Siの過剰添加は、融点降下や有害相の析出の原因となる。
普通鋼の場合、脆性に起因するS(硫黄)は、Mnを添加することでMnSとして脆性を防止し、機械的強度を向上させる。しかしながら、Mnの含有率が0.1%未満の場合には、この効果は見られない。一方、Mnの含有率が0.5%を超えると、機械的強度を低下させる。そのため、Mnの含有率を0.1〜0.5%とした。さらに好ましいMnの含有率は、0.1〜0.3%である。
Cu、Fe、PおよびSは、本実施の形態のNi基合金においては、不可避的不純物に分類されるものである。これらの不可避的不純物は、可能な限りその残存含有率を0%に近づけることが望ましい。
ここでは、本実施の形態のNi基合金が、優れた、高温強度特性および鋳造性を有することを説明する。表1は、高温強度特性および鋳造性の評価に用いられた試料1〜試料23の化学組成を示す。
Claims (6)
- 質量%で、C:0.01〜0.1、Cr:15〜25、Co:10〜15、Mo:5〜12、Al:0.5〜2、Ti:0.3〜2、B:0.001〜0.006、Ta:0.05〜1、Si:1〜2、Mn:0.1〜0.5を含有し、残部がNiおよび不可避的不純物からなることを特徴とする蒸気タービンの鋳造用Ni基合金。
- 質量%で、C:0.01〜0.1、Cr:15〜25、Co:10〜15、Mo:5〜12、Al:0.5〜2、Ti:0.3〜2、B:0.001〜0.006、Nb:0.025〜0.5、Si:1〜2、Mn:0.1〜0.5を含有し、残部がNiおよび不可避的不純物からなることを特徴とする蒸気タービンの鋳造用Ni基合金。
- 質量%で、C:0.01〜0.1、Cr:15〜25、Co:10〜15、Mo:5〜12、Al:0.5〜2、Ti:0.3〜2、B:0.001〜0.006、Si:1〜2、Mn:0.1〜0.5、Taが0.05〜1質量%含まれると想定したきのTaのモル数と同じモル数になるように、Taの一部をNbに置き換えてTaとNbを含有し、残部がNiおよび不可避的不純物からなることを特徴とする蒸気タービンの鋳造用Ni基合金。
- Alを0.5〜1.4質量%含有していることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項記載の蒸気タービンの鋳造用Ni基合金。
- AlとTiとを合計して1〜3質量%含有していることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項記載の蒸気タービンの鋳造用Ni基合金。
- 請求項1乃至5のいずれか1項記載の蒸気タービンの鋳造用Ni基合金を用いて、少なくとも所定部位が作製されたことを特徴とする蒸気タービン用鋳造部品。
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