JP6173956B2 - オーステナイト系耐熱鋼およびタービン部品 - Google Patents

オーステナイト系耐熱鋼およびタービン部品 Download PDF

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本発明の実施の形態は、オーステナイト系耐熱鋼およびタービン部品に関する。
近年、大気中への二酸化炭素の排出量削減の観点から、発電プラントの高効率化が進められている。そのため、火力発電プラントに備えられる蒸気タービンやガスタービンの高効率化が要求されている。また、火力発電プラントに設置可能なCOタービンにおいても高効率化が要求されている。
上記した各タービンにおける効率を上げるためには、タービンに導入される作動流体の入口温度を高温化することが有効である。例えば、蒸気タービンにおいては、将来的には、作動流体である蒸気の温度が650℃以上、さらには700℃程度での運用が期待されている。ガスタービンやCOタービンにおいても、導入される作動流体の入口温度は、上昇する傾向にある。
従来、600℃程度の温度に曝されるタービン部品には、フェライト系耐熱鋼などが使用されている。しかしながら、上記したような高温の作動流体に曝されるタービン部品をフェライト系耐熱鋼で構成することは耐熱性から問題がある。そのため、このような高温の作動流体に曝されるタービン部品は、オーステナイト系耐熱鋼、Ni基合金あるいはCo基合金などで構成される。これらの中でも、オーステナイト系耐熱鋼は、フェライト系耐熱鋼よりも50℃程度も耐用温度が高く、かつNi基合金の1/3程度の材料費である。そのため、オーステナイト系耐熱鋼を使用することで、製造コストを抑え、高効率化を図ることができる。
一方、オーステナイト系耐熱鋼は、線膨張係数が高いという性質を有している。この性質は、高温機器への適用においてデメリットとなる。また、オーステナイト系耐熱鋼は、延性に乏しいことも知られている。Alloy286などの公知のオーステナイト系耐熱鋼においては、金属間化合物を析出強化相として利用して、高温クリープ強度の向上が図られている。しかしながら、高温クリープ強度を維持しつつ線膨張係数を低減し、かつ十分な延性を確保した耐熱鋼は、提案されていない。
特開2011−195880号公報
高温構造材料の設計を行う上で、材料の熱膨張特性および延性は重要な因子である。しかしながら、従来のオーステナイト系耐熱鋼では、高温クリープ強度を維持しつつ線膨張係数を低減し、かつ十分な延性を確保することはできない。
本発明が解決しようとする課題は、高温クリープ強度を維持しつつ線膨張係数を低減し、かつ十分な延性を確保することができるオーステナイト系耐熱鋼およびタービン部品を提供することである。
実施形態のオーステナイト系耐熱鋼は、質量で、Ni:24〜40%、Cr:5〜13%、Co:0.1〜12%、Nb:0.1〜5%、V:0.1〜0.5%、Ti:0.1〜1.8%、Al:0.35〜2%、B:0.001〜0.01%を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなり、 室温から700℃の温度における平均線膨張係数が、18×10 −6 /K以下であり、700℃の温度におけるクリープ破断伸びが10%以上である
以下、本発明の実施の形態を説明する。
従来のオーステナイト系耐熱鋼は、Tiを添加することによって母相にγ’相を析出させて強化している。しかしながら、Tiの添加は、母相におけるオーステナイト構造の不安定化と、炭化物や窒化物の析出を促す。オーステナイト構造の不安定化によって、材料の線膨張係数が増大し、炭化物や窒化物の析出の増加によって、材料の延性が低下する。そのため、これまでは、Tiによってγ’相の析出強化を図る場合、線膨張係数の低減および延性の増加を図ることは困難であった。
そこで、本発明者らは、Tiに代わる添加元素としてAlに着目して評価した。その結果、Alは、Tiと同様に、γ’相を析出させて強化に寄与するとともに、母相のオーステナイト構造を不安定化させず、かつ延性に影響を及ぼす化合物を形成しないことを見出した。
そして、本発明者らは、従来のオーステナイト系耐熱鋼において、Tiの含有量を低減し、かつTiとAlの含有量を最適化することによって、高温クリープ強度を維持しつつ線膨張係数が低く、十分な延性を有する材料が得られることを見出した。
以下、実施の形態を具体的に説明する。なお、以下の説明において組成成分を表す%は、特に明記しない限り質量%とする。
実施の形態のオーステナイト系耐熱鋼は、Ni:24〜40%、Cr:5〜13%、Co:0.1〜12%、Nb:0.1〜5%、V:0.1〜0.5%、Ti:0.1〜1.8%、Al:0.35〜2%、B:0.001〜0.01%を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなる。
ここで、実施の形態のオーステナイト系耐熱鋼における不可避的不純物としては、例えば、C、N、Si、Mn、PおよびSなどが挙げられる。
また、実施の形態のオーステナイト系耐熱鋼は、室温から700℃の温度における平均線膨張係数が18×10−6/K以下であることが好ましい。ここで、平均線膨張係数は、同じ試験片において、室温(T)における長さ(L)と、所定の温度(T)における長さ(L)を用いて、次の式(1)によって求められる。
平均線膨張係数 =(L−L)/(T−T)/L …式(1)
上記した、室温から700℃の温度における平均線膨張係数は、室温(T)での長さ(L)と、温度(T=700℃)での長さ(L)を用いて、式(1)によって求められたものである。
ここで、線膨張係数が高いオーステナイト系耐熱鋼を、例えば発電プラントに使用した場合、発電プラントの寿命および性能に支障をきたす。具体的には、例えば、そのようなオーステナイト系耐熱鋼をタービン部品に使用した場合、発電プラントの起動時の膨張と停止時の収縮による熱疲労が過大に発生し、タービン部品が早期に破壊する。そこで、このような問題を回避するために、オーステナイト系耐熱鋼の室温から700℃の温度における平均線膨張係数を18×10−6/K以下とすることが好ましい。
また、実施の形態のオーステナイト系耐熱鋼は、700℃におけるクリープ破断伸びが10%以上であることが好ましい。ここで、クリープ破断伸びは、試験前の試験片長さ(L)と、クリープ破断後の長さ(L)を用いて、次の式(2)によって求められる。
クリープ破断伸び =(L−L)/L×100 …式(2)
例えば、蒸気タービンなどの高温部品において、想定外な過大応力がかかったときに、変形せずに瞬時に破壊する材料は適用することができない。そこで、クリープ破断伸びが10%以上である場合には、蒸気タービンなどの高温部品の使用環境下で、脆性破壊に至ることを回避できる。
ここで、平均線膨張係数およびクリープ破断伸びの規定温度を700℃にしているのは、本実施の形態のオーステナイト系耐熱鋼を使用する温度域が最大で700℃程度となるからである。
実施の形態のオーステナイト系耐熱鋼は、運転時の温度が650℃以上、さらには、700℃程度となるタービン部品を構成する材料として好適である。タービン部品として、例えば、タービンケーシング、動翼、静翼、タービンロータ、螺合部材、配管などが挙げられる。ここで、螺合部材として、例えば、タービンケーシングやタービン内部の各種構成部品を固定するボルトやナットなどを例示することができる。配管としては、例えば、発電用タービンプラントなどに設置され、高温高圧の作動流体が通過する配管などを例示することができる。
上記したタービン部品のすべての部位を、実施の形態のオーステナイト系耐熱鋼で構成してもよい。また、例えば、温度が650℃以上となるタービン部品の一部の部位を、実施の形態のオーステナイト系耐熱鋼で構成してもよい。
上記した本実施の形態のオーステナイト系耐熱鋼は、従来のオーステナイト系耐熱鋼と同等の高温クリープ強度を有し、従来のオーステナイト系耐熱鋼よりも、線膨張係数が低く、優れた延性を有する。そのため、実施の形態のオーステナイト系耐熱鋼を用いて作製されたタービン部品においても、実施の形態のオーステナイト系耐熱鋼と同様な特性を有し、高い信頼性を有する。
上記した、実施の形態のオーステナイト系耐熱鋼やタービン部品は、例えば、蒸気タービン、ガスタービン、COタービンなどの発電用タービンに適用することができる。
次に、上記した実施の形態のオーステナイト系耐熱鋼における各組成成分範囲の限定理由を説明する。
(1)Ni(ニッケル)
Niは、Fe母相に固溶し、母相の固溶強化および線膨張係数の低下をもたらす。また、Niは、オーステナイト構造を安定化させる。これらの効果は、Niの含有率が24%以上において発揮される。また、Niの含有率が40%以下において、材料コストの増加や加工性の低下が抑えられる。そのため、Niの含有率を24〜40%とした。より好ましいNiの含有率は28〜38%であり、さらに好ましいNiの含有率は32〜36%である。
(2)Cr(クロム)
Crは、Fe母相に固溶し、母相の固溶強化および線膨張係数の低下をもたらす。また、Crは、γ’相の固溶温度を上昇させるため、γ’相の析出が促進される。これらの効果は、Crの含有率が5%以上で発揮される。また、Crの含有率が13%以下において、安定したオーステナイト構造が得られるとともに、σ相の析出が抑制される。そのため、Crの含有率を5〜13%とした。より好ましいCrの含有率は、6〜10%である。
(3)Co(コバルト)
Coは、Fe母相に固溶し、母相の固溶強化および線膨張係数の低下をもたらす。これらの効果は、Coの含有率が0.1%以上で発揮される。また、Coの含有率が12%以下において、材料コストの増加や耐力の低下が抑えられる。そのため、Coの含有率を0.1〜12%とした。より好ましいCoの含有率は2〜6%である。
(4)Nb(ニオブ)
Nbは、Fe母相に固溶し、母相の固溶強化および線膨張係数の低下をもたらす。また、Nbは、γ’相を形成して安定化させる。これらの効果は、Nbの含有率が0.1%以上で発揮される。また、Nbの含有率が5%以下において、材料コストの増加やδ(Ni(Nb,Ta))相(金属間化合物)の析出が抑えられる。そのため、Nbの含有率を0.1〜5%以下とした。より好ましいNbの含有率は0.1〜3%であり、さらに好ましいNbの含有率は0.1〜2%である。
(5)V(バナジウム)
Vは、Fe母相に固溶し、線膨張係数の低下をもたらす。これらの効果は、Vの含有率が0.1%以上で発揮される。また、Vの含有率が0.5%以下において、安定したオーステナイト構造が得られるとともに、σ相の析出が抑制される。そのため、Vの含有率を0.1〜0.5%とした。より好ましいVの含有率は0.1〜0.4%であり、さらに好ましいVの含有率は0.1〜0.3%である。
(6)Ti(チタン)
Tiは、γ’相を形成して、強度を高める。Tiの含有率が0.1%以上において、γ’相の析出の促進が図れる。また、Tiの含有率が1.8%以下において、安定したオーステナイト構造が得られるとともに、線膨張係数の増加を抑え、炭化物や窒化物の形成による延性の低下を抑制する。そのため、Tiの含有率を0.1〜1.8%とした。より好ましいTiの含有率は0.1〜1.5%であり、さらに好ましいTiの含有率は0.1〜1%である。
(7)Al(アルミニウム)
Alは、γ’相を形成して強度を高め、線膨張係数の低下をもたらす。これらの効果は、Alの含有率が0.35%以上で発揮される。また、Alの含有率が2%以下において、γ’相の過剰な析出が抑えられ、加工性や溶接性の低下が抑制される。そのため、Alの含有率を0.35〜2%とした。より好ましいAlの含有率は0.35〜1.5%であり、さらに好ましいAlの含有率は0.35〜1.2%である。
(8)B(ホウ素)
Bは、Fe母相に固溶して、特に粒界偏析するため、粒界強化をもたらす。また、Bは、Tiを多く含む場合、η相の析出を抑制する効果がある。これらの効果は、Bの含有率が0.001%以上において発揮される。また、Bの含有率が0.01%以下において、母相の融点の低下を抑え、熱間加工性の低下を抑制する。そのため、Bの含有率を0.001〜0.01%とした。より好ましいBの含有率は、0.004〜0.006%である。
(9)C(炭素)、N(窒素)、Si(ケイ素)、Mn(マンガン)、P(リン)およびS(硫黄)
C、N、Si、Mn、PおよびSは、実施の形態のオーステナイト系耐熱鋼においては、不可避的不純物に分類されるものである。これらの不可避的不純物は、可能な限りその残存含有率を0%に近づけることが好ましい。
次に、実施の形態のオーステナイト系耐熱鋼、およびこのオーステナイト系耐熱鋼を用いて製造されるタービン部品の製造方法について説明する。
実施の形態のオーステナイト系耐熱鋼は、例えば、次のように製造される。まず、オーステナイト系耐熱鋼を構成する組成成分を、例えば、真空誘導溶解(VIM)し、その溶湯を所定の型枠に注入して鋳塊を形成する。そして、鋳塊に溶体化処理(固溶化熱処理)および時効処理を施して、オーステナイト系耐熱鋼が作製される。
タービン部品であるタービンケーシングは、例えば、次のように製造される。まず、オーステナイト系耐熱鋼を構成する組成成分を、例えば、真空誘導溶解(VIM)し、その溶湯をタービンケーシングの形状に形成するための型枠に注入し、大気鋳造して構造体を作製する。そして、構造体に溶体化処理および時効処理を施して、タービンケーシングが作製される。
なお、オーステナイト系耐熱鋼を構成する組成成分を、例えば、電気炉溶解(EF)し、アルゴン−酸素脱炭(AOD)して溶湯としてもよい。
タービン部品である、動翼、静翼、タービンロータ、螺合部材は、例えば次のように作製される。まず、実施形態のオーステナイト系耐熱鋼を構成する組成成分を、例えば、真空誘導溶解(VIM)し、エレクトロスラグ再溶解(ESR)し、減圧雰囲気で所定の型に流し込み鋳塊を作製する。そして、この鋳塊を上記タービン部品の形状に対応する型に配置して圧延などの鍛造処理を施す。続いて、溶体化処理、時効処理などを施すことで、動翼、静翼、タービンロータ、螺合部材が作製される。
なお、オーステナイト系耐熱鋼を構成する組成成分を、例えば、真空誘導溶解(VIM)し、真空アーク再溶解(VAR)して溶湯としてもよい。また、オーステナイト系耐熱鋼を構成する組成成分を、例えば、真空誘導溶解(VIM)し、エレクトロスラグ再溶解(ESR)し、真空アーク再溶解(VAR)して溶湯としてもよい。
タービン部品である配管は、例えば、次のように製造される。まず、オーステナイト系耐熱鋼を構成する組成成分を、真空誘導溶解(VIM)を行い溶湯とし、または電気炉溶解(EF)してアルゴン−酸素脱炭(AOD)を行い溶湯とし、円筒形の型を高速回転させた状態でこの溶湯を流し込む。続いて、回転の遠心力を利用して溶湯を加圧し、配管形状の構造体を作製する(遠心鋳造法)。そして、構造体に溶体化処理および時効処理を施して、配管が作製される。
なお、タービン部品を作製する方法は、上記した方法に限定されるものではない。
次に、溶体化処理および時効処理について説明する。
溶体化処理は、加工歪の除去や整粒化、γ単相化を目的として実施される。溶体化処理では、処理部材を885〜995℃の温度に所定時間維持し、その後、室温まで急冷する。温度が885℃以上において、上記した効果が得られる。また、温度が995℃以下において、結晶粒の過度な粗大化が抑制される。急冷は、例えば、水冷や強制空冷などによって行われる。
時効処理は、結晶粒内にγ’相を析出させ、高温強度を付与するために行われる。時効処理では、処理部材を700〜760℃の温度に所定時間維持し、その後、室温まで冷却する。温度が700℃以上において、γ’相が十分に析出する。また、温度が760℃以下において、γ’相の早期の粗大化による析出密度の減少が抑制される。冷却は、例えば、大気中における自然冷却などによって行われる。
(線膨張係数、クリープ破断強度およびクリープ破断伸びの評価)
ここでは、実施の形態のオーステナイト系耐熱鋼において、従来のオーステナイト系耐熱鋼の高温クリープ強度を維持しつつ線膨張係数を低減し、かつ十分な延性が得られることを説明する。
表1は、評価に用いられた試料1〜試料8の化学組成を示す。なお、試料1〜試料6は、本実施の形態の化学組成範囲にあるオーステナイト系耐熱鋼であり、試料7〜試料8は、その化学組成が本実施の形態の化学組成範囲にないオーステナイト系耐熱鋼であり、比較例である。
Figure 0006173956
試料1〜試料8のオーステナイト系耐熱鋼について、平均線膨張係数の測定およびクリープ破断試験を行った。
それぞれの試験に使用する試験片は、次のように作製された。
表1に示す化学組成を有する試料1〜試料8のオーステナイト系耐熱鋼を構成する組成成分を得るために必要な原材料を真空誘導溶解炉にて溶解し、それぞれ2kgの鋳塊を作製した。この鋳塊を熱間圧延によって板状部材に成形した。得られた板状部材に対して溶体化処理を施した。溶体化処理では、940℃の温度で30分間加熱し、その後、強制空冷によって室温まで急冷した。続いて、板状部材に対して時効処理を施した。時効処理では、760℃の温度で16時間加熱し、その後、大気中における自然冷却によって室温まで冷却した。
各試験に用いる試験片は、板状部材から応力軸が鍛伸方向に平行となるように採取した。平均線膨張係数の測定は、各試料による試験片に対して、JIS Z 2285に準拠して実施された。クリープ破断試験は、各試料による試験片に対して、JIS Z 2271に準拠して実施した。
なお、JIS Z 2285において、平均線膨張係数は、前述した式(1)を用いて算出される。また、JIS Z 2271において、クリープ破断伸びは、前述した式(2)を用いて算出される。
クリープ破断強度は、700℃/10万時間クリープ破断強度を求め、クリープ破断伸びは、700℃におけるクリープ破断伸びを求めた。なお、700℃/10万時間クリープ破断強度は、試験温度を700〜800℃、試験応力を200〜400MPaの範囲で実施した破断時間1000時間程度の試験結果に基づいて、Larson-Miller法によって外挿することで求められた。
平均線膨張係数、クリープ破断強度およびクリープ破断伸びの試験結果を表2に示す。
Figure 0006173956
表2に示すように、従来のオーステナイト系耐熱鋼である試料7〜試料8における平均線膨張係数は18×10−6/K以上である。これに対して、試料1〜試料6においては、クリープ破断強度は、試料7〜試料8と同程度であり、平均線膨張係数は、18×10−6/K以下である。また、試料7および試料8におけるクリープ破断伸びは10%未満であるのに対して、試料1〜試料6におけるクリープ破断伸びは10%以上である。
以上の結果から、試料1〜試料6においては、従来のオーステナイト系耐熱鋼の高温クリープ強度を維持しつつ、線膨張係数の低減および延性の向上が実現されている。
以上説明した実施形態によれば、高温クリープ強度を維持しつつ線膨張係数を低減し、かつ十分な延性を確保することが可能となる。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。

Claims (4)

  1. 質量で、Ni:24〜40%、Cr:5〜13%、Co:0.1〜12%、Nb:0.1〜5%、V:0.1〜0.5%、Ti:0.1〜1.8%、Al:0.35〜2%、B:0.001〜0.01%を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなり、
    室温から700℃の温度における平均線膨張係数が、18×10 −6 /K以下であり、
    700℃の温度におけるクリープ破断伸びが10%以上であることを特徴とするオーステナイト系耐熱鋼。
  2. 質量で、Tiを0.1〜1.5%含有していることを特徴とする請求項1記載のオーステナイト系耐熱鋼。
  3. 質量で、Tiを0.1〜1%含有していることを特徴とする請求項1記載のオーステナイト系耐熱鋼。
  4. 請求項1乃至3のいずれか1項記載のオーステナイト系耐熱鋼を用いて、少なくとも所定部位が作製されたことを特徴とするタービン部品
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