JP5525961B2 - 蒸気タービンの鍛造部品用Ni基合金および蒸気タービンの鍛造部品 - Google Patents

蒸気タービンの鍛造部品用Ni基合金および蒸気タービンの鍛造部品 Download PDF

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Description

本発明の実施形態は、鍛造性等に優れた、蒸気タービンの鍛造部品用Ni基合金および蒸気タービンの鍛造部品に関する。
石炭火力発電設備から排出されるCOを削減する手段として、石炭火力システムの高効率化を図ることが有効な手段であり、例えば、石炭火力発電設備に備えられている蒸気タービンの発電効率を向上させることで実現可能となる。蒸気タービンの発電効率の向上には、タービン蒸気温度を高温化することが最も効果的である。近年の火力発電プラントにおいて、その蒸気温度は600℃以上まで上昇しており、現在、蒸気温度が700℃以上の火力発電システムの開発が世界的に行われている。
高温の蒸気に曝される蒸気タービンが備える、タービンロータ、動翼および静翼などの鍛造部品や、蒸気タービンに使用される、ボルトなどの螺合部材および配管などの鍛造部品は、高温になるとともに、高い応力が発生する。そのため、これらを構成する材料として、室温から高温の温度領域まで、優れた、強度、延性、靭性を有するものが求められている。
現在、蒸気タービンを構成する構成部品に使用されている材料は、Feを主成分とし、高温強度を向上させるためにCr、Mo等の元素を添加したFe基合金である。しかしながら、蒸気の温度が700℃以上となると、Fe基合金の耐熱温度を超えるため、さらに耐熱温度が高いNi基合金の適用が検討されている。
Ni基合金の代表例として、インコネル718合金(スペシャルメタル社製)やインコネル617合金(スペシャルメタル社製)が挙げられる。Ni基合金の強化機構は、大きく分けて析出強化型と固溶強化型に分けられる。析出強化型Ni基合金では、NiにAl、Ti、Ta、Nbを添加することによってγ’(ガンマプライム:Ni(Al,Ti))相、あるいはγ”(ガンマダブルプライム:NiNb)相 と呼ばれる析出相を析出させることによって高温での強度を向上させている。代表的な析出強化型Ni基合金としては、上記したインコネル718合金が挙げられる。一方、固溶強化型Ni基合金では、NiにCo、Mo等を添加することによって、母相そのものを強化している。代表的な固溶強化型Ni基合金としては、上記したインコネル617合金が挙げられる。
特開平7−150277号公報
上記したように、700℃を超える蒸気環境下において使用される、蒸気タービンの構成部品の材料として、Ni基合金の適用が検討されている。蒸気タービンの構成部品の材料において、700℃を超える蒸気環境下における十分な高温強度が要求され、さらに、高温に長時間曝されるため、長時間に渡る材料の健全性が要求される。
また、蒸気タービンの構成部品が、接合、締結または嵌め込みなどの接続部を備える場合、この接続部において、接続部を構成する材料の熱膨張差に起因した熱応力が発生する。
そこで、本発明は、高温強度特性および鍛造性に優れた蒸気タービンの鍛造部品用Ni基合金、この蒸気タービンの鍛造部品用Ni基合金を用いて作製された蒸気タービンの鍛造部品を提供することを目的とする。
本発明の実施形態の蒸気タービンの鍛造部品用Ni基合金は、質量%で、C:0.01〜0.15、Cr:14〜20、Co:10〜15、Mo:8〜12、Al:0.5〜4、Ti:0.5〜4、B:0.001〜0.006、Ta:0.1〜0.7、Nb:0.1〜0.4、残部がNiおよび不可避的不純物からなり、かつ9.5質量%≦0.45Cr+Al+Ti≦13質量%の関係を満たすことを特徴とする。
熱力学計算によって得られた、700℃におけるσ相の析出領域を示す図である。
以下、本発明に係る実施形態を説明する。
Co、Moを添加することにより、Ni基の母相を強化(固溶強化)して高温強度の向上が図られた、例えばインコネル617合金において、Al、Ti、TaおよびNbを添加し、高温で安定な金属間化合物であるγ’(Ni(Al,Ti))相を析出させることで、高温強度をさらに向上させることができる。しかしながら、強化元素の過剰な添加は、組織の安定性を悪化させ、機械的特性の低下を引き起こすTCP(Topologically Close-Packed)相の析出を助長する。
本発明に係る実施形態では、TCP相の一つであるσ相の主成分であるCrに着目し、弱化を引き起こす有害相の析出を抑制しつつ、γ’相の析出に寄与するAlおよびTiの添加によって、高温強度の向上を図ったものである。
以下、その詳細を説明する。
例えば、従来のインコネル617にAl、Tiを複合添加すると、析出するγ’相量は増加し、クリープ強度は向上するが、過剰量添加することによって母相のCr濃度が濃化し、板状あるいは針状のσ相の析出が促進され、機械的特性が低下する。
図1は、熱力学計算によって得られた、700℃におけるσ相の析出領域を示す図である。なお、図1において、横軸は、Crの含有量(質量%)、縦軸は、Alの含有量(質量%)とTiの含有量(質量%)を合計した含有量(以下、AlとTiの含有量という)を示している。また、図1において示されたラインLよりも上の領域は、σ相が析出する領域であり、ラインLよりも下の領域は、σ相が析出しない領域である。また、図1に示したNi基合金における、Cr、AlおよびTi以外の組成成分は、質量%で、Cが0.05、Coが12.5、Moが9、Bが0.003、Taが0.1、Nbが0.3、残部がNiおよび不可避的不純物からなる。
図1に示すように、Crの含有量が増加するに伴って、σ相が析出しない領域におけるAlとTiの含有量の範囲が狭くなる。このような結果に基づいて、Crの含有量と、AlとTiの含有量とを調整し、図1において示されたラインL上、またはその近傍となる領域で、γ’相を最大限析出させることで、組織安定性と高温強度の向上を図ることができる。
上記した、熱力学計算によって得られた、ラインL、Crの含有量、およびAlとTiの含有量の関係を考慮して、本発明に係る実施形態における蒸気タービンの鍛造部品用Ni基合金に発明に至った。
本発明に係る実施形態における蒸気タービンの鍛造部品用Ni基合金は、以下に示す組成成分範囲で構成される。なお、以下の説明において組成成分を表す%は、特に明記しない限り質量%とする。
本発明に係る実施形態における蒸気タービンの鍛造部品用Ni基合金は、C:0.01〜0.15、Cr:14〜20、Co:10〜15、Mo:8〜12、Al:0.5〜4、Ti:0.5〜4、B:0.001〜0.006、Ta:0.1〜0.7、Nb:0.1〜0.4、残部がNiおよび不可避的不純物からなり、かつ9.5質量%≦0.45Cr+Al+Ti≦13質量%の関係を満たすNi基合金である。
また、上記した不可避的不純物において、その不可避的不純物のうち、少なくとも、Siが0.1%以下、Mnが0.1%以下に抑制されていることが好ましい。なお、不可避的不純物としては、上記した、SiおよびMnの他に、例えば、Cu、FeおよびSなどが挙げられる。
上記した本発明に係る実施形態のNi基合金は、運転時の温度が680〜750℃となる蒸気タービンの鍛造部品を構成する材料として好適である。蒸気タービンの鍛造部品として、例えば、蒸気タービンのタービンロータ、蒸気タービンの動翼、蒸気タービンの静翼、蒸気タービン用螺合部材、蒸気タービン用配管などが挙げられる。これらの蒸気タービンの鍛造部品は、いずれも高温高圧の環境に設置されるものである。
ここで、蒸気タービン用螺合部材として、例えば、タービンケーシングやタービン内部の各種構成部品を固定するボルトやナットなどを例示することができる。また、蒸気タービン用配管として、例えば、蒸気タービンプラントなどに設置され、蒸気タービンに高温高圧の蒸気を供給する配管や、蒸気タービン内部の配管などを例示することができる。蒸気タービン用配管として、具体的には、例えば、ボイラからの蒸気を高圧タービンに導く主蒸気管や、ボイラ再熱器からの蒸気を中圧タービンに導く高温再熱蒸気管などを例示することができる。さらに、蒸気タービン用配管として、蒸気タービンに導入された高温高圧の蒸気をノズルボックスに導く主蒸気導入管などを例示することができる。なお、蒸気タービン用配管は、これらに限定されるものではなく、例えば、温度が680〜750℃の蒸気が流動する配管なども含まれる。
なお、上記した蒸気タービンの鍛造部品のすべての部位を上記したNi基合金で構成しても、また、特に高温となる蒸気タービンの鍛造部品の一部の部位を上記したNi基合金で構成してもよい。ここで、蒸気タービンの鍛造部品が高温となる領域として、具体的には、例えば、高圧蒸気タービン部の全領域、または高圧蒸気タービン部から中圧蒸気タービン部の一部分までの領域などが挙げられる。さらに、蒸気タービンの鍛造部品が高温となる領域として、上記した高温高圧の蒸気を各種蒸気タービンに導く、主蒸気管や高温再熱蒸気管などの配管部が挙げられる。なお、蒸気タービンの鍛造部品が高温となる部分は、これらに限られるものではなく、例えば、温度が680〜750℃程度となる部分であればこれに含まれる。
また、上記した蒸気タービンの鍛造部品において、鍛造部品どうしを接合、締結または嵌め込む接続部を備える場合、それぞれの鍛造部品の少なくとも接続部を本発明に係る実施形態のNi基合金で構成することで、異なる合金の組み合わせの場合と比較して、熱膨張差に起因する熱応力を低減させることができる。このような蒸気タービンの鍛造部品の組み合わせとして、具体的には、例えば、動翼と、この動翼が植設されるタービンロータなどが挙げられる。
また、上記した本発明に係る実施形態のNi基合金は、従来のNi基合金よりも高温強度特性に優れ、かつ鍛造性に優れている。すなわち、このNi基合金を用いて、蒸気タービンのタービンロータ、蒸気タービンの動翼、蒸気タービンの静翼、蒸気タービン用螺合部材、蒸気タービン用配管などの蒸気タービンの鍛造部品を構成することで、高温環境下においても高い信頼性を有する、蒸気タービンのタービンロータ、蒸気タービンの動翼、蒸気タービンの静翼、蒸気タービン用螺合部材、蒸気タービン用配管などの鍛造部品を作製することができる。
次に、上記した本発明に係る実施形態のNi基合金における各組成成分範囲の限定理由を説明する。
(1)C(炭素)
Cは、強化相である炭化物の構成元素として有用であるとともに、結晶粒界の移動を阻止する、炭化物のピン止め効果によって、高温下における結晶粒の粗大化を抑制する働きがある。Cの含有率が0.01未満の場合には、炭化物による強化が十分でないとともに、炭化物の十分な析出量を確保できないことにより、結晶粒の粗大化を引き起こす恐れがある。一方、Cの含有率が0.15%を超えると、鍛造性が低下する。そのため、Cの含有率を0.01〜0.15%とした。
(2)Cr(クロム)
Crは、Ni基合金の耐酸化性、耐食性および高温強度特性を高めるのに不可欠な元素である。Crの含有率が14%未満の場合には、耐酸化性および耐食性が低下する。一方、Crの含有率が20%を超えると、σ相の析出が誘起され、衝撃値、クリープ特性、低サイクル疲労寿命などの機械的特性が悪化する。そのため、Crの含有率を14〜20%とした。
(3)Co(コバルト)
Coは、Ni基合金において、母相内に固溶し、クリープ強度および引張強度を向上させる。Coの含有率が10%未満の場合には、十分な機械的強度が得られない。一方、Coの含有率が15%を超えると、鍛造性が低下する。そのため、Coの含有率を10〜15%とした。
(4)Mo(モリブデン)
Moは、Ni母相中に固溶し、クリープ強度および引張強度を向上させる効果を有し、また、M23型炭化物中に一部が置換することによって炭化物の安定性を高める。Moの含有率が12%を超えると、σ相の析出による機械的強度の低下が顕著になる。一方、Moの含有率が8%未満の場合には、機械的強度の向上が得られない。そのため、Moの含有率を8〜12%とした。
(5)Al(アルミニウム)
Alは、Niとともにγ’(NiAl)相を生成し、析出によるNi基合金の機械的強度を向上させる。Alの含有率が0.5%未満の場合には、Ni母相に完全に固溶するため、γ’相の析出による効果が発揮されない。一方、Alの含有率が4%を超えると、σ相の析出が助長され、機械的特性が低下するとともに、γ’相の固溶温度が上昇するため、熱間加工性が著しく低下する。そのため、Alの含有率を0.5〜4%とした。
(6)Ti(チタン)
Tiは、Alと同様、Niとともにγ’(NiTi)相を生成し、Ni基合金の機械的強度を向上させる。Tiの含有率が0.5%未満の場合には、γ’相の析出による効果が発揮されない。一方、Tiの含有率が4%を超えると、σ相の析出が助長され、機械的特性が低下するとともに、γ’相の固溶温度が上昇するため熱間加工性が著しく低下する。そのため、Tiの含有率を0.5〜4%とした。
(7)B(ホウ素)
Bは、粒界に偏析して高温強度特性を向上させる。Bの含有率が0.001%未満の場合には、この高温強度特性を向上させる効果が発揮されない。一方、Bの含有率が0.006%を超えると、粒界脆化を招く。そのため、Bの含有率を0.001〜0.006%とした。
(8)Ta(タンタル)
Taは、γ’(Ni(Al,Ti))相に固溶して、このγ’相の析出強度を安定させる。Taの含有率が0.1%未満の場合には、上記した効果において従来鋼と比べて向上がみられず、Taの含有率が0.7%を超えると、鍛造性が低下する。そのため、Taの含有率を0.1〜0.7%とした。
(9)Nb(ニオブ)
Nbは、Taと同様に、γ’(Ni(Al,Ti))相に固溶して、このγ’相の析出強度を安定させる。Nbの含有率が0.1%未満の場合には、上記した効果において従来鋼と比べて向上がみられず、Nbの含有率が0.4%を超えると、溶解や鋳造時において偏析を招く。そのため、Nbの含有率を0.1〜0.4%とした。
(10)Si(ケイ素)、Mn(マンガン)、Cu(銅)、Fe(鉄)およびS(硫黄)
Si、Mn、Cu、FeおよびSは、本発明に係る実施形態のNi基合金においては、不可避的不純物に分類されるものである。これらの不可避的不純物は、可能な限りその残存含有率を0%に近づけることが望ましい。また、これらの不可避的不純物のうち、少なくとも、SiおよびMnは、0.1%以下に抑制されることが好ましい。
Siは、普通鋼の場合、耐食性を補うため添加される。しかしながら、Ni基合金はCr含有量が多く、十分に耐食性を確保できることから、本発明に係る実施形態のNi基合金では、Siの残存含有率を0.1%以下とし、可能な限りその残存含有率を0%に近づけることが望ましい。
Mnは、普通鋼の場合、脆性に起因するS(硫黄)をMnSとして脆性を防止する。しかしながら、Ni基合金におけるSの含有量は極めて少なく、Mnを添加する必要はない。そのため、本発明に係る実施形態のNi基合金では、Mnの残存含有率を0.1%以下とし、可能な限りその残存含有率を0%に近づけることが望ましい。
(11)0.45Cr+Al+Ti
上記した図1において、σ相が析出する領域と、σ相が析出しない領域との境界線であるラインLは、Crの含有量(質量%)と、AlとTiの含有量(質量%)との関係式(0.45Cr+Al+Ti=10.5質量%)によって示される。そして、0.45Cr+Al+Tiの値が10.5以下の場合、σ相の析出を完全に防ぐことができるが、0.45Cr+Al+Tiの値が9.5を下回ると、十分なγ’相の析出が得られず、機械的特性の向上する効果が小さくなる。
一方、ラインLよりも上の領域である、σ相が析出する領域であっても、0.45Cr+Al+Tiの値が13以下の場合には、σ相が析出しても、機械的特性が低下することはない。また、0.45Cr+Al+Tiの値が13を超えると、σ相の析出量が増加し、機械的特性の低下が顕著となる。そのため、0.45Cr+Al+Tiを9.5〜13質量%の範囲とした。
ここで、本発明に係る実施形態の蒸気タービンの鍛造部品用Ni基合金、およびこの鍛造部品用Ni基合金を用いて製造される蒸気タービンの鍛造部品の製造方法について説明する。
上記した本発明に係る実施形態の蒸気タービンの鍛造部品用Ni基合金は、例えば、Ni基合金を構成する組成成分を真空誘導溶解(VIM)し、その溶湯を所定の型枠に注入して鋳塊を形成し、その鋳塊をソーキング処理し、圧延などによって鍛造し、溶体化処理、時効処理などを施すことで作製される。
また、本発明に係る実施形態の鍛造部品である蒸気タービンのタービンロータは、例えば次のように作製される。
例えば、1つの方法(ダブルメルト)として、本発明に係る実施形態の蒸気タービンの鍛造部品用Ni基合金を構成する組成成分を真空誘導溶解(VIM)し、エレクトロスラグ再溶解(ESR)し、所定の型に流し込む。続いて、ソーキング処理、鍛造処理、溶体化処理、時効処理などを施しタービンロータを作製する。
他の方法(ダブルメルト)として、本発明に係る実施形態の蒸気タービンの鍛造部品用Ni基合金を構成する組成成分を真空誘導溶解(VIM)し、真空アーク再溶解(VAR)し、所定の型に流し込む。続いて、ソーキング処理、鍛造処理、溶体化処理、時効処理などを施しタービンロータを作製する。
さらに、他の方法(トリプルメルト)として、本発明に係る実施形態の蒸気タービンの鍛造部品用Ni基合金を構成する組成成分を真空誘導溶解(VIM)し、エレクトロスラグ再溶解(ESR)し、真空アーク再溶解(VAR)し、所定の型に流し込む。続いて、ソーキング処理、鍛造処理、溶体化処理、時効処理などを施しタービンロータを作製する。なお、上記方法によって作製されたタービンロータは、超音波検査等が行われる。
上記した蒸気タービンのタービンロータの製造方法によって、タービンロータの少なくとも所定部位が製造される。所定部位として、タービンロータのうち、例えば、700℃以上の高温に曝される部位などが挙げられる。この場合、タービンロータのうち、例えば、600℃程度の温度に曝される部位は、従来の耐熱合金によって製造する。そして、上記した製造方法によって製造された本発明に係る実施形態のNi基合金からなる部品と、従来の耐熱合金からなる部品とを、例えば溶接により接合してタービンロータが構成される。
なお、本発明に係る実施形態のNi基合金からなる部品と、従来の耐熱合金からなる部品との接合方法は、溶接に限らず、例えばボルトおよびナットによって締結してもよい。このように、使用される温度条件に基づいて材料を選択し、タービンロータを構成する部品を分割して作製することで、小鋼塊のNi基合金においても、700℃以上の高温環境中で使用可能なタービンロータを製造することができる。なお、使用される温度条件によっては、タービンロータのすべてを上記した蒸気タービンのタービンロータの製造方法によって製造してもよい。
また、本発明に係る実施形態の鍛造部品である蒸気タービンの動翼、蒸気タービンの静翼、蒸気タービン用螺合部材は、例えば次のように作製される。
まず、本発明に係る実施形態の蒸気タービンの鍛造部品用Ni基合金を構成する組成成分を真空誘導溶解(VIM)し、エレクトロスラグ再溶解(ESR)し、減圧雰囲気で所定の型に流し込み鋳塊を作製し、ソーキング処理を施す。そして、この鋳塊を上記鍛造部品の形状に対応する型に配置して圧延などの鍛造処理、溶体化処理、時効処理などを施すことで蒸気タービンの動翼、蒸気タービンの静翼、蒸気タービン用螺合部材が作製される。すなわち、蒸気タービンの動翼、蒸気タービンの静翼、蒸気タービン用螺合部材は、型鍛造によって作製される。
また、蒸気タービンの動翼、蒸気タービンの静翼、蒸気タービン用螺合部材は、例えば、本発明に係る実施形態の蒸気タービンの鍛造部品用Ni基合金を構成する組成成分を真空誘導溶解(VIM)し、真空アーク再溶解(VAR)し、減圧雰囲気で所定の型に流し込み鋳塊を作製し、ソーキング処理を施し、鍛造処理、溶体化処理、時効処理などを施す方法で作製されてもよい。
さらに、蒸気タービンの動翼、蒸気タービンの静翼、蒸気タービン用螺合部材は、例えば、本発明に係る実施形態の蒸気タービンの鍛造部品用Ni基合金を構成する組成成分を真空誘導溶解(VIM)し、エレクトロスラグ再溶解(ESR)し、真空アーク再溶解(VAR)し、減圧雰囲気で所定の型に流し込み鋳塊を作製し、ソーキング処理を施し、鍛造処理、溶体化処理、時効処理などを施す方法で作製されてもよい。
また、本発明に係る実施形態の鍛造部品である蒸気タービン用配管は、例えば次のように作製される。
まず、本発明に係る実施形態の蒸気タービンの鍛造部品用Ni基合金を構成する組成成分を電気炉溶解(EF)し、アルゴン−酸素脱炭(AOD)を行い、鋳塊を作製し、ソーキング処理を施す。この鋳塊を縦型プレスで穿孔しコップ状の素管を作製し、横型プレスでマンドレルとダイスによる加工と再加熱を繰り返し、蒸気タービン用配管の形状に成型することで蒸気タービン用配管が作製される。この加工方法は、エルハルト−プッシュベンチ製管法である。そして、溶体化処理、時効処理などが施される。
ここで、上記した、蒸気タービンの鍛造部品用Ni基合金および蒸気タービンの鍛造部品を製造する際における、ソーキング処理、溶体化処理および時効処理は、次のように行われる。なお、各処理における温度や時間は、処理される鍛造部品などに応じて、以下に示すそれぞれの範囲内において設定される。
ソーキング処理では、熱拡散によって化学成分の偏析を減少させるために、金属または合金を高温で十分な時間加熱する必要がある。そのため、1000〜1250℃の温度範囲で3〜72時間維持することが好ましい。また、鍛造は、材料の十分な変形能を得られる温度からゼロ延性温度までの範囲で行う必要があるため、950〜1100℃の温度範囲で行われることが好ましい。
溶体化処理では、1000〜1200℃の温度範囲で3〜24時間維持することが好ましい。ここで、溶体化処理温度は、γ’相析出物を均質に固溶化するために行われ、温度が1000℃を下回る温度では十分に固溶されず、1200℃を上回る温度では結晶粒の粗大化により強度が低下する。これらの熱処理は、上記した温度範囲内で段階を分けていくつかの設定条件で処理されてもよい。溶体化処理後の冷却は、水冷または強制空冷などで行われる。
時効処理では、炭化物やγ’相などの析出温度範囲である、700〜1050℃の温度範囲で3〜30時間維持することが好ましい。この時効処理を行うことによって、析出物の形態制御と早期析出を達成することが可能となる。なお、この時効処理は、多段に行うものであってもよい。
なお、上記した、蒸気タービンのタービンロータ、蒸気タービンの動翼、蒸気タービンの静翼、蒸気タービン用螺合部材、蒸気タービン用配管を作製する方法は、上記した方法に限定されるものではない。
以下に、本発明に係る実施形態の蒸気タービンの鍛造部品用Ni基合金が、高温強度特性および鍛造性に優れていることを説明する。
(高温強度特性および鍛造性の評価)
表1は、高温強度特性および鍛造性の評価に用いられた試料1〜試料25の化学組成を示し、表2は、高温強度特性および鍛造性の評価に用いられた試料26〜試料48の化学組成を示す。なお、表1に示された試料1〜試料25は、本発明に係る実施形態の化学組成範囲にあるNi基合金であり、表2に示された試料26〜試料48は、その組成が本発明に係る実施形態の化学組成範囲にないNi基合金であり、比較例である。なお、ここで使用した本発明に係る実施形態の化学組成範囲にあるNi基合金には、不可避的不純物として、Si、Mn以外に、Fe、Cu、Sが含まれている。
Figure 0005525961
Figure 0005525961
高温強度特性をクリープ破断試験によって評価した。クリープ破断試験では、表1および表2に示す化学組成を有する試料1〜試料48のNi基合金20kgをそれぞれ真空誘導溶解炉にて溶解し、鋳塊を作製した。
続いて、この鋳塊に対して、1050℃で5時間ソーキング処理を行った。その後、950〜1100℃(再加熱温度が1100℃)の温度範囲で500kgfハンマー鍛造機にて鍛造した。鍛造後、1180℃で4時間加熱し、その後、強制空冷により冷却して溶体化処理を施した。溶体化処理後、750℃で30時間加熱して時効処理を施し、鍛造鋼とした。そして、この鍛造鋼から所定のサイズの試験片を作製した。
そして、各試料による試験片に対して、温度が700℃、10万時間におけるクリープ破断強度を測定した。なお、クリープ破断試験は、JIS Z 2271の規格に準じて行われた。
ここで、クリープ破断試験における温度条件である700℃は、蒸気タービンの通常の運転時の温度条件およびそれに安全率を見込んだ温度を考慮して設定した。クリープ破断試験の測定結果を表2に示す。
また、各試料に対して、鍛造性の評価を行った。鍛造性の評価は、上記したソーキング処理後の試料を、500kgfハンマー鍛造機にて鍛造し、直径が63mm、長さが500〜570mmの円柱状の試験片を作製した。また、鍛造処理は、鍛造比(JIS G 0701(鋼材鍛錬作業の鍛錬成形比の表わし方)に基づく鍛造比)が3となるまで行った。なお、鍛造処理は、950〜1100℃の範囲で行い、鍛造被対象物である試験片の温度が低下したとき、すなわち鍛造被対象物が硬化してきたときには、再加熱温度1100℃まで再度加熱して鍛造処理を繰り返し行った。鍛造性の評価は、円柱状の試料を冷却後に、鍛造割れの有無を目視観察することで行った。
ここで、鍛造比とは、鍛造処理を施す前における、鍛造被対象物が伸長される方向に垂直な鍛造被対象物の断面積を、鍛造処理後における、鍛造被対象物が伸長された方向に垂直な鍛造被対象物の断面積で除したものである。
鍛造性の評価結果を表3に示す。表3に示されたリヒート回数は、鍛造処理において鍛造比を3とするまでの間に、鍛造被対象物が再加熱された回数である。ここで、表3において、鍛造割れがない場合には「無」と示し、さらに、鍛造性が優れていることを示すため、鍛造性の評価を「○」で示す。一方、鍛造割れがある場合には「有」と示し、さらに、鍛造性が劣ることを示すため、鍛造性の評価を「×」で示す。
Figure 0005525961
表3に示すように、試料1〜試料25は、試料26〜試料48に比べて、高いクリープ破断強度が得られることがわかった。さらに、試料1〜試料25は、鍛造性も優れていることがわかった。試料1〜試料25において、クリープ破断強度が高い値となったのは、析出強化と固溶強化が図られたためと考えられる。
一方、比較例の試料において、例えば、試料32、試料42および試料44の比較例に係る試料では、高いクリープ破断強度を示したが、鍛造性が劣っていることがわかった。また、試料46の比較例に係る試料では、高いクリープ破断強度を示したが、鍛造可能な温度範囲が狭いため、リヒート回数が多くなった。このような材料は、鍛造プロセス中に再加熱を必要とする可能性が高いことのみならず、鍛造中に致命的な割れが発生する可能性が高い。このように、比較例に係る試料では、高温強度特性および鍛造性の双方に優れた結果は得られなかった。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
L…ライン。

Claims (3)

  1. 質量%で、C:0.01〜0.15、Cr:14〜20、Co:10〜15、Mo:8〜12、Al:0.5〜4、Ti:0.5〜4、B:0.001〜0.006、Ta:0.1〜0.7、Nb:0.1〜0.4、残部がNiおよび不可避的不純物からなり、かつ9.5質量%≦0.45Cr+Al+Ti≦13質量%の関係を満たすことを特徴とする蒸気タービンの鍛造部品用Ni基合金。
  2. 前記不可避的不純物のうち、少なくとも、Siを0.1質量%以下、Mnを0.1質量%以下に抑制したことを特徴とする請求項1記載の蒸気タービンの鍛造部品用Ni基合金。
  3. 請求項1または2記載の蒸気タービンの鍛造部品用Ni基合金を用いて、少なくとも所定部位が鍛造により作製されたことを特徴とする蒸気タービンの鍛造部品。
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