JP5525961B2 - 蒸気タービンの鍛造部品用Ni基合金および蒸気タービンの鍛造部品 - Google Patents
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Description
本発明に係る実施形態では、TCP相の一つであるσ相の主成分であるCrに着目し、弱化を引き起こす有害相の析出を抑制しつつ、γ’相の析出に寄与するAlおよびTiの添加によって、高温強度の向上を図ったものである。
例えば、従来のインコネル617にAl、Tiを複合添加すると、析出するγ’相量は増加し、クリープ強度は向上するが、過剰量添加することによって母相のCr濃度が濃化し、板状あるいは針状のσ相の析出が促進され、機械的特性が低下する。
Cは、強化相である炭化物の構成元素として有用であるとともに、結晶粒界の移動を阻止する、炭化物のピン止め効果によって、高温下における結晶粒の粗大化を抑制する働きがある。Cの含有率が0.01未満の場合には、炭化物による強化が十分でないとともに、炭化物の十分な析出量を確保できないことにより、結晶粒の粗大化を引き起こす恐れがある。一方、Cの含有率が0.15%を超えると、鍛造性が低下する。そのため、Cの含有率を0.01〜0.15%とした。
Crは、Ni基合金の耐酸化性、耐食性および高温強度特性を高めるのに不可欠な元素である。Crの含有率が14%未満の場合には、耐酸化性および耐食性が低下する。一方、Crの含有率が20%を超えると、σ相の析出が誘起され、衝撃値、クリープ特性、低サイクル疲労寿命などの機械的特性が悪化する。そのため、Crの含有率を14〜20%とした。
Coは、Ni基合金において、母相内に固溶し、クリープ強度および引張強度を向上させる。Coの含有率が10%未満の場合には、十分な機械的強度が得られない。一方、Coの含有率が15%を超えると、鍛造性が低下する。そのため、Coの含有率を10〜15%とした。
Moは、Ni母相中に固溶し、クリープ強度および引張強度を向上させる効果を有し、また、M23C6型炭化物中に一部が置換することによって炭化物の安定性を高める。Moの含有率が12%を超えると、σ相の析出による機械的強度の低下が顕著になる。一方、Moの含有率が8%未満の場合には、機械的強度の向上が得られない。そのため、Moの含有率を8〜12%とした。
Alは、Niとともにγ’(Ni3Al)相を生成し、析出によるNi基合金の機械的強度を向上させる。Alの含有率が0.5%未満の場合には、Ni母相に完全に固溶するため、γ’相の析出による効果が発揮されない。一方、Alの含有率が4%を超えると、σ相の析出が助長され、機械的特性が低下するとともに、γ’相の固溶温度が上昇するため、熱間加工性が著しく低下する。そのため、Alの含有率を0.5〜4%とした。
Tiは、Alと同様、Niとともにγ’(Ni3Ti)相を生成し、Ni基合金の機械的強度を向上させる。Tiの含有率が0.5%未満の場合には、γ’相の析出による効果が発揮されない。一方、Tiの含有率が4%を超えると、σ相の析出が助長され、機械的特性が低下するとともに、γ’相の固溶温度が上昇するため熱間加工性が著しく低下する。そのため、Tiの含有率を0.5〜4%とした。
Bは、粒界に偏析して高温強度特性を向上させる。Bの含有率が0.001%未満の場合には、この高温強度特性を向上させる効果が発揮されない。一方、Bの含有率が0.006%を超えると、粒界脆化を招く。そのため、Bの含有率を0.001〜0.006%とした。
Taは、γ’(Ni3(Al,Ti))相に固溶して、このγ’相の析出強度を安定させる。Taの含有率が0.1%未満の場合には、上記した効果において従来鋼と比べて向上がみられず、Taの含有率が0.7%を超えると、鍛造性が低下する。そのため、Taの含有率を0.1〜0.7%とした。
Nbは、Taと同様に、γ’(Ni3(Al,Ti))相に固溶して、このγ’相の析出強度を安定させる。Nbの含有率が0.1%未満の場合には、上記した効果において従来鋼と比べて向上がみられず、Nbの含有率が0.4%を超えると、溶解や鋳造時において偏析を招く。そのため、Nbの含有率を0.1〜0.4%とした。
Si、Mn、Cu、FeおよびSは、本発明に係る実施形態のNi基合金においては、不可避的不純物に分類されるものである。これらの不可避的不純物は、可能な限りその残存含有率を0%に近づけることが望ましい。また、これらの不可避的不純物のうち、少なくとも、SiおよびMnは、0.1%以下に抑制されることが好ましい。
上記した図1において、σ相が析出する領域と、σ相が析出しない領域との境界線であるラインLは、Crの含有量(質量%)と、AlとTiの含有量(質量%)との関係式(0.45Cr+Al+Ti=10.5質量%)によって示される。そして、0.45Cr+Al+Tiの値が10.5以下の場合、σ相の析出を完全に防ぐことができるが、0.45Cr+Al+Tiの値が9.5を下回ると、十分なγ’相の析出が得られず、機械的特性の向上する効果が小さくなる。
表1は、高温強度特性および鍛造性の評価に用いられた試料1〜試料25の化学組成を示し、表2は、高温強度特性および鍛造性の評価に用いられた試料26〜試料48の化学組成を示す。なお、表1に示された試料1〜試料25は、本発明に係る実施形態の化学組成範囲にあるNi基合金であり、表2に示された試料26〜試料48は、その組成が本発明に係る実施形態の化学組成範囲にないNi基合金であり、比較例である。なお、ここで使用した本発明に係る実施形態の化学組成範囲にあるNi基合金には、不可避的不純物として、Si、Mn以外に、Fe、Cu、Sが含まれている。
Claims (3)
- 質量%で、C:0.01〜0.15、Cr:14〜20、Co:10〜15、Mo:8〜12、Al:0.5〜4、Ti:0.5〜4、B:0.001〜0.006、Ta:0.1〜0.7、Nb:0.1〜0.4、残部がNiおよび不可避的不純物からなり、かつ9.5質量%≦0.45Cr+Al+Ti≦13質量%の関係を満たすことを特徴とする蒸気タービンの鍛造部品用Ni基合金。
- 前記不可避的不純物のうち、少なくとも、Siを0.1質量%以下、Mnを0.1質量%以下に抑制したことを特徴とする請求項1記載の蒸気タービンの鍛造部品用Ni基合金。
- 請求項1または2記載の蒸気タービンの鍛造部品用Ni基合金を用いて、少なくとも所定部位が鍛造により作製されたことを特徴とする蒸気タービンの鍛造部品。
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