JP2012177372A - タービンロータ - Google Patents

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Abstract

【課題】高温強度と熱間鍛造性とを両立させるとともに、偏析が発生しにくく大型鋼塊製造性に優れたNi基合金、及びこれを用いた蒸気タービンプラント用鍛造部品を提供する。
【解決手段】Ni基合金で構成された軸部と胴部とを有するタービンロータにおいて、Ni基合金は、C、Cr、Co、Al、Mo及びWを含む構成とし、質量基準でMo:4〜12%とし、Ti、Ta及びNbの含有量の総和を質量基準で0.5%以下とし、残部をNi及び不可避的不純物とし、下記式(1)で表されるパラメータPsが0.6〜1.6となるものとする。
【数1】
Figure 2012177372

【選択図】図2

Description

本発明は、Ni基鍛造合金を用いたタービンロータに関する。
発電用蒸気タービンやガスタービンの高効率化には燃焼温度の上昇が有効である。
現在、主流となっている石炭火力プラントの蒸気温度は550〜600℃であり、タービンやボイラを構成する材料にはフェライト系耐熱鋼が利用されている。フェライト系耐熱鋼は、大型鋼塊製造性に優れており、10tonを超える大型鍛造品が製造されてタービンロータシャフト、ボイラ配管などに利用されている。しかし、フェライト系耐熱鋼の耐用温度は、高いものでも約650℃とされており、それ以上の温度では高温強度が不足するため使用できない。
ガスタービンでは、高温部に、高温強度に優れるNi基合金が使用されている。
Ni基合金は、W、Mo、Coなどの固溶強化元素、及びAl、Ti、Nb、Taなどの析出強化元素を多く含有し、優れた高温強度を有している。主要な析出強化相であるγ’相(NiAl)は、温度上昇に伴って強度も上昇する性質があり、高温における強度特性の向上に極めて効果的である。Ti、Nb、Ta等の元素を添加することによって、γ’相は安定化され、より高温まで存在できるようになるため、Ni基合金の高性能化では、γ’相をいかに安定化するかに主眼を置いて開発がなされてきた。
しかし、高強度になるほど熱間鍛造が難しくなり、上記タービンやエンジンにおいて最も負荷の大きい動翼などは、鍛造で作ることが不可能なため、精密鋳造によって作製されるのが一般的である(例えば特許文献1)。精密鋳造では、製造できる重量が限定されてしまい、蒸気タービンロータのような大型部品を従来の高強度Ni基合金で製造することは困難である。
一方で、合金元素を選定することによって、良好な熱間鍛造性と高温強度とを兼ね備えるNi基合金が特許文献2に開示されており、蒸気タービンやガスタービン部材への適用に好適であることが示されている。
熱間鍛造性の他に、Ni基合金の大型化を阻む要因として、大型鋼塊製造性に劣ることがあげられる。
Ni基合金は、上述のとおり、多くの強化元素を添加するが、これらの元素は凝固時に偏析を生じやすい。鋼塊中に偏析が存在すると、熱間鍛造時に割れの原因となる他、材質が不均一になることで必要な強度が得られないなど、適切な材料が得られない。鋼塊サイズが大きくなるほど、冷却速度及び凝固速度が低下し、偏析が発生しやすい条件となる。
従来のNi基合金では、蒸気タービンで使用されるような10tonを超える大型鍛造材を製造することは困難である。小型部品を溶接で接合して大型部品を製造する方法もあるが、溶接コストや溶接部の信頼性評価の問題が懸念されることから、偏析が発生しにくく、大型鋼塊製造性に優れるNi基合金が望まれている。
特開平9−272933号公報 特開2009−097052号公報
特許文献2によれば、析出強化元素として添加する元素をAlのみにして、Ti、Ta、Nbなどは添加しない、あるいは添加しても0.5%以下と少量にすることにより、高温強度と熱間加工性とが両立できることが示されている。Ti、Ta、Nbは、凝固時に溶湯に多く分配し、偏析を発生させる元素であるため、本発明の目的である大型鋼塊製造性改善の観点からも、特許文献2の合金設計は望ましいと言える。
しかし、必須の強化元素であるAlも、Ti、Ta及びNbに比べて傾向は小さいものの、偏析しやすい元素であり、鋼塊サイズを大きくする上で課題となっていた。
本発明の目的は、高温強度と熱間鍛造性とを両立させるとともに、偏析が発生しにくく大型鋼塊製造性に優れたNi基合金、及びこれを用いたタービンロータを提供することにある。
本発明のタービンロータは、Ni基合金で構成された軸部と胴部とを有するものであって、Ni基合金は、C、Cr、Co、Al、Mo及びWを含み、質量基準でMo:4〜12%であり、Ti、Ta及びNbの含有量の総和が質量基準で0.5%以下であり、残部がNi及び不可避的不純物であり、下記式(1)で表されるパラメータPsが0.6〜1.6であることを特徴とする。
Figure 2012177372
本発明によれば、蒸気温度が750℃を超える蒸気タービンプラントにおいて使用可能で、10tonを超える大型鍛造材を製造することが可能になる。
本発明による実施例のNi基合金と比較例のMo量とパラメータPsとの相関関係を示すグラフである。 本発明による実施例のNi基合金と比較例のクリープひずみ曲線を示すグラフである。 本発明による実施例のNi基合金と比較例のクリープ破断時間を示すグラフである。 本発明のNi基合金を用いた一体型タービンロータを示す斜視図である。 本発明のNi基合金を用いた溶接型タービンロータを示す斜視図である。 本発明のNi基合金を用いたボイラ配管を示す斜視図である。 本発明のNi基合金を用いたケーシングボルトを示す側面図である。
本発明は、高効率火力発電プラント用大型部材に好適なNi基合金、及びこれを用いた蒸気タービン用鍛造部品に関する。
発明者らは、偏析傾向に及ぼす各合金元素の影響を実験及び相平衡に関する熱力学計算により詳細に検討した結果、Mo、W、Al、Cなどの組成を調整することで偏析を抑制し、大型鋼塊製造性を改善した合金の発明に至った。
すなわち、本発明のNi基合金(以下、Ni基鍛造合金とも呼ぶ。また、単に合金と呼ぶ場合もある。)は、質量基準でC:0.001〜0.1%、Cr:12〜23%、Co:15〜25%、Al:3.5〜5.0%、Mo:4〜12%、W:0.1〜7.0%を含み、Ti、Ta及びNbの含有量の総和が質量基準で0.5%以下であり、下記式(1)で表されるパラメータPsが0.6〜1.6(0.6≦Ps≦1.6)であることを特徴とする。
Figure 2012177372
また、より良好な大型鋼塊製造性が得られるNi基合金としては、質量基準でMo:5〜8%を含むことを特徴とする。
なお、上記式(1)において、(C量)、(Mo量)及び(Al量)はそれぞれ、Ni基鍛造合金に含まれるC、Mo及びAlの組成(単位は質量%)である。
更に好適な大型鋼塊製造性が得られるNi基合金としては、前記パラメータPsが0.8〜1.4であることを特徴とする。
本発明において、高温強度と熱間鍛造性のバランスも考慮すると、Mo+W≦12質量%(質量基準でMo+W:12%以下)であることが望ましい。ここで、Mo+Wは、Mo及びWの組成(質量基準)の和を表す。
これらの合金は、蒸気タービンプラント用鍛造部品として、タービンロータ、ボイラチューブ、ボルト、ナットなどの用途に用いられる。
なお、質量基準でC:0.001〜0.1%とは、本発明のNi基合金の質量を基準として、その合金中に合金の一成分であるCが0.001〜0.1%、すなわち0.001%以上かつ0.1%以下の範囲で含まれることをいう。すなわち、0.001〜0.1質量%又は0.001〜0.1mass%と表記してもよい。この場合に、0.001%及び0.1%はそれぞれ下限値及び上限値であり、これらの下限値及び上限値も本発明の範囲に含まれるものとする。他の成分についても同様である。以下、合金の組成に関して単位を%と表示した場合、特に記載がなければ、質量%を意味する。
本発明の目的である大型鋼塊製造性を改善するためには、凝固時に生じる偏析を抑制することが必要である。
偏析が起こる原因は、溶質元素が固液界面で分配し、溶湯中の密度差変化がおこるためと考えられている。
表1は、本発明のNi基合金の構成元素について、分配の傾向を示す分配係数(構成元素の液相中と固相中との濃度比)を調べた結果である。
Figure 2012177372
分配係数が1に近い元素は濃度差が生じにくく、偏析を起こしにくい。反対に1から離れるほど偏析を起こしやすいことになるが、本表においては、C、Al及びMoでその傾向が強い。しかし、Alは、主成分であるNiよりも軽い元素、これに対して、Moは、重い元素であり、溶湯の密度に対して反対の作用を有している。また、Cは液相の融点を大きく低下させるため、溶湯の密度を大きくする傾向がある。そのため、これらの偏析の傾向が互いに異なる元素をバランスすることで、溶湯中の密度差を調整して偏析を抑制し、大型鋼塊製造性を改善することが出来る。
以下、本発明に係るNi基合金の構成元素の組成範囲およびその選定理由を示す。
Cは、母相に固溶して高温での引張強さを向上させると共に、MC(Mは、Ti、Ta、Nbなどの金属元素である。)、M 23(Mは、Cr、Moなどの金属元素である。)などの炭化物を形成することで粒界強度を向上させる。これらの効果は0.001%程度から顕著になるが、過剰なCの添加は粗大な共晶炭化物の原因となり、靭性の低下を招くため、0.1%を上限とする。すなわち、0.001〜0.1%の含有量が好ましい。更に好ましい含有量の範囲は0.03〜0.08%である。
また、Cは、液相に分配する傾向が非常に強く、融点を低下させて溶湯の密度を大きくする効果が強い。0.1%を超えて添加すると、粗大な炭化物が集中して析出するなど、強度特性を損なう。
Alは、γ’(NiAl)相を形成する元素であり、γ’相強化型のNi基合金の強化には不可欠な元素である。また、耐酸化性を向上させる効果も有している。不足の場合には、時効によるγ’相析出量が少ないため、十分な高温強度が得られない。
本発明のNi基合金は、他の強化元素であるTi、Ta及びNbの量が少ないため、十分な強度を得るためには少なくとも3.5%のAl量が必要であるが、過剰になると固溶温度が高くなり、熱間鍛造が困難になることから、Alが5.0%を超えない範囲とする。すなわち、3.5〜5.0%の含有量が好ましい。更に好ましい含有量の範囲は3.6〜4.5%である。
また、Alは、液相に分配する傾向が強く、溶湯の密度を小さくする効果があるため、Alを5.0%より多く添加すると偏析を生じ、融点の低下や熱間加工時の割れの原因になる。
Moは、固溶強化によって母相を強化する効果があり、0.1%程度でも強度の改善が認められるが、大型鋼塊製造性の観点から、4.0%以上の添加が必要である。これによって、溶湯密度を大きくし、偏析の発生を抑えることが出来る。しかし、12%を超えると、脆い有害相の析出が析出し、高温鍛造性及び強度に悪影響を及ぼす。すなわち、4.0〜12%の含有量が好ましい。更に好ましい含有量の範囲は5.0〜8.0%である。
Crは、Ni基合金の表面にCrを含む緻密な酸化皮膜を形成して耐酸化性及び高温耐食性を向上させる元素である。本発明で対象とする高温部材に利用するためには、少なくとも12%を含有することが必要である。しかし、Crを23%より多く添加すると、σ相が析出して材料の延性及び破壊靭性が悪化するため、23%を超えない範囲とする。すなわち、12〜23%の含有量が好ましい。更に好ましい含有量の範囲は16〜20%である。
Coは、Niと置換して母相に固溶して高温強度を向上させる効果と、γ’相の固溶温度を低下する作用があり、熱間加工を容易にする。高温強度、耐酸化性向上のためにAl量を多くする場合、Coを15%以上添加することで、良好な熱間加工性を維持することが出来る。Coの過剰な添加は、σ相やμ相といった有害相の析出を助長するため、上限値は25%とした。すなわち、15〜25%の含有量が好ましい。更に好ましい含有量の範囲は17〜23%である。
Wは、強度に及ぼす影響がMoと非常に良く似ており、固溶強化によって母相を強化する効果がある。十分な強度を得るためには、0.1%以上の添加が必要であるが、7%を超えると、硬質で脆い金属間化合物相の生成を助長したり、高温鍛造性の悪化を招いたりする。すなわち、0.1〜7.0%の含有量が好ましい。更に好ましい含有量の範囲は2.0〜6.0%である。
また、Mo及びWの含有量の総和が12%以下であることが望ましい。すなわち、Mo及びWの下限値はそれぞれ、4.0%、0.1%であることを考慮すると、Mo及びWの含有量の総和は4.1〜12%であることが望ましい。更に望ましい含有量の範囲は5.0〜12%である。
さらに、前述のように大型鋼塊製造性に関して、AlとMo及びCとは互いに反する効果を有するため、これらの元素は上記式(1)で表されるパラメータPsが一定の関係を満たすことが必要である。
0.6≦Ps≦1.6となる合金組成範囲を選定することにより、本発明の目的である大型鋼塊製造性の改善が可能となり、10ton以上の偏析のないインゴットが期待できる。さらに好ましい範囲は0.8≦Ps≦1.4である。
以下、本発明の実施例について詳細に説明する。
表2に示す組成の合金10kgを真空誘導溶解炉にて作製した。
実施例1〜8が本発明の材料であり、比較例1〜4は、合金組成あるいはパラメータPsが本発明の構成から外れる合金である。このうち、比較例3及び4は、実際に利用されている高強度Ni基合金であり、Tiを多く含む特徴を有している。
表2には、上記式(1)で計算したPsの値も示している。
Figure 2012177372
図1は、PsとMo量との関係を示したグラフである。本図において、破線で囲まれた領域が本発明の範囲であり、実施例1〜8が含まれる。比較例1〜4は、本発明の範囲外となっている。図中、プロットの符号1〜8は実施例1〜8を表し、符号9〜12は、比較例1〜4を表す。これらの符号は、表2における番号(No.)とも対応している。
本発明の範囲、すなわち実施例1〜8は、大型鋼塊製造性に優れた合金である。
作製した合金は、表面の酸化皮膜や欠陥を除去した後、熱間加工によりφ15mmの丸棒形状に加工した。丸棒素材に適宜熱処理を行った後、各種試験片を採取して特性評価を行った。強度評価には高温クリープ試験を行った。試験温度は800℃、試験荷重は294MPaとした。熱間鍛造性については、熱間加工の可否とともに、強化相であるγ’相の固溶温度を熱分析により測定して判断基準とした。既存の鍛造設備では鍛造時の温度は1000℃程度であり、γ’相固溶温度が1000℃を超える材料は、変形抵抗が大きく大型鍛造材の製造は困難になる。大型鋼塊製造性の評価は、別途合金を溶解し、冷却速度を制御して模擬的に偏析を発生させることで、偏析の発生しやすさを評価した。各種試験の結果を表3にまとめた。
Figure 2012177372
図2は、クリープ試験によって得られたクリープひずみ曲線の一例を示したグラフである。
本図において、実施例1〜3は、クリープ破断時間、クリープ破断伸びとも比較例1を上回ることがわかる。
図3は、各合金のクリープ破断時間を示したグラフである。
この試験条件では、100h(100時間)以上の破断時間を達成すれば、蒸気タービン材料の耐用温度としては750℃以上が期待できるが、実施例1〜8のクリープ破断時間はいずれも100hを大きく上回っており、耐用温度(100MPa、10万時間)では780〜800℃と見積もられる。
比較例1〜4に関しても、比較例3を除く全ての材料で100h以上の破断時間が得られており、強度については比較的良好な結果が得られている。比較例3はAlの含有量が少なく、使用温度におけるγ’相析出量が少ないため、十分な強度が得られていない。
実施例1〜8のγ’相固溶温度はいずれも1000℃以下であり、実際に行った熱間加工でも非常に良好な熱間鍛造性を有していた。比較例1〜3も固溶温度が1000℃以下であるため、熱間鍛造性に問題は見られなかったが、比較例4の丸棒素材では一部で熱間鍛造時に生じた割れが見られた。Ti量が多く、γ’相が熱間鍛造時に存在するため加工が困難になると考えられる。
大型鋼塊製造性の評価では、実施例と比較例とで大きな差が見られた。大型鋼塊製造性に関しては、偏析模擬試験により評価を行った。
表3において、偏析模擬試験で偏析が観察されなかったものは○、偏析が観察され、加工や特性を大きく劣化させたものは×、軽微な偏析については△を記載している。
実施例1〜8では、いずれの合金でも偏析は観察されなかった。今回の偏析模擬試験は、強度評価に用いた素材よりも冷却速度を遅くして、10tonの鋼塊製造条件を想定している。この試験で偏析が生じなければ、実際の大型鋼塊を無偏析で製造できると考えられる。
比較例1では、軽微な偏析が観察された。このインゴットについて熱間鍛造を行ってみても割れは発生しなかったが、合金組成が不均一になることで、特性も不均一で十分な強度が得られないことが懸念される。比較例2では偏析が観察された。比較例2の構成元素の組成は、実施例8に近い組成であるが、Psが本発明の範囲から外れているために偏析が発生しやすく、大型鋼塊製造性に乏しい合金組成になっていると考えられる。比較例3及び4も偏析が発生しており、10tonを超える大型鋼塊の製造は困難である。
このように、本発明によれば、蒸気タービンに使用する際の耐用温度が750℃以上を維持しながら、熱間鍛造が可能であり、10tonクラスの大型鋼塊の製造が可能な合金を実現することが出来る。
本発明のNi基合金を用いて作製した鍛造部品の例を以下に示す。
図4A及び4Bは、本発明のNi基合金を蒸気タービンロータに適用した場合の例である。
図4Aは、一体型のタービンロータを示したものである。
本図において、一体型タービンロータ1は、軸部11及び胴部12で構成されている。軸部11及び胴部12は、本発明のNi基合金で形成されている。胴部12の外径は750mmである。
本発明のNi基合金は、大型鋼塊製造性に優れ、熱間鍛造が可能であるため、図4Aのように、一体型のタービンロータとして使用することが出来る。
これによって、蒸気温度を750℃以上に上昇させることが可能となり、発電効率の向上が見込まれる。
図4Bは、溶接型のタービンロータを示したものである。
本図において、溶接型タービンロータ2は、第一の軸部21及び第一の胴部22と、第二の軸部23及び第二の胴部24とを溶接部25で接続した構成となっている。第一の軸部21及び第一の胴部22は、本発明のNi基合金で形成されている。第二の軸部23及び第二の胴部24は、フェライト系耐熱鋼(フェライト鋼)又はNi基合金で形成されている。第一の胴部22及び第二の胴部24の外径は900mmである。
本図に示すように、高出力化のためにタービンを大型化する場合には、本発明のNi基合金を溶接型ロータに適用することも可能である。このとき、実施例同士を溶接で接合しても良いが、図4Bのように、蒸気流入方向の下流側の低温部にはフェライト系耐熱鋼を用いた異材溶接とすることも可能である。
図5は、本発明のNi基合金を蒸気タービンプラントのボイラ配管に適用した場合の例である。
本図において、ボイラ配管31は、外径40mmの本発明によるNi基合金を用いている。
タービンに導入される主蒸気温度を700℃まで上昇させるためには、ボイラ内で750℃まで加熱する必要があるため、配管用材料は耐用温度が750℃以上でなくてはならないが、本発明のNi基合金を用いることで主蒸気温度700℃のタービンプラントが実現できる。ボイラ配管31は溶接により接合するが、溶接部では溶接の欠陥や熱の影響により基材に比べてき裂の起点となりやすい。本発明のNi基合金は、従来の合金に比べて大型の素材が得られるため、溶接箇所を減らすことが可能であり、信頼性を向上させることができる。
図6は、本発明のNi基合金をタービンケーシングのボルト及びナットに用いた場合の例である。
本図においては、タービンケーシング42が、ボルト41及びナット43により締結されている。ボルト41及びナット43は、本発明のNi基合金が用いられている。タービンケーシング42は、NiCrMo鋳造材などが用いられる。
タービンケーシング42は耐圧部品であり、一般的に、鋳造により別々に製作されたものをボルト41及びナット43による締結で一体化している。
温度が上昇すると、従来の鍛造材ではクリープ変形によりボルト及びナットが緩み、蒸気が漏れてしまうことが問題になるが、本発明のNi基合金は高強度なため、クリープ変形が起こらず、ボルト及びナットの緩みが発生しなくなる。
本発明によれば、10ton以上の大型鍛造材の製造が可能となり、750℃における10万時間クリープ破断強度が100MPa以上の強度が得られ、蒸気タービン及びガスタービン部材として用いることで高温化・高効率化が可能になる。
1:一体型タービンロータ、2:溶接型タービンロータ、11:軸部、12:胴部、21:軸部A、22:胴部A、23:軸部B、24:胴部B、25:溶接部、31:ボイラ配管、41:ボルト、42:タービンケーシング、43:ナット。

Claims (5)

  1. Ni基合金で構成された軸部と胴部とを有するタービンロータであって、前記Ni基合金は、C、Cr、Co、Al、Mo及びWを含み、質量基準でMo:4〜12%であり、Ti、Ta及びNbの含有量の総和が質量基準で0.5%以下であり、残部がNi及び不可避的不純物であり、下記式(1)で表されるパラメータPsが0.6〜1.6であることを特徴とするタービンロータ。
    Figure 2012177372
  2. 前記軸部は、第一の軸部及び第二の軸部を含み、前記胴部は、第一の胴部及び第二の胴部を含み、前記第一の胴部と前記第二の胴部とは、溶接部を介して接続した構成であり、前記第一の軸部及び前記第一の胴部、並びに、前記第二の軸部及び前記第二の胴部のうち少なくとも一方が前記Ni基合金で構成されていることを特徴とする請求項1記載のタービンロータ。
  3. 質量基準でMo:5〜8%を含むことを特徴とする請求項1又は2に記載のタービンロータ。
  4. 前記パラメータPsが0.8〜1.4であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のタービンロータ。
  5. 質量基準でMo+W:12%以下であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載のタービンロータ。
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