JP2020056103A - 航空機エンジンケース用Ni基超耐熱合金及びこれからなる航空機エンジンケース - Google Patents

航空機エンジンケース用Ni基超耐熱合金及びこれからなる航空機エンジンケース Download PDF

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Abstract

【課題】高温域における引張特性、低サイクル疲労特性等の高温特性にすぐれ、加工性にもすぐれた航空機エンジンケース用Ni基超耐熱合金及びこれからなる航空機エンジンケースを提供する。【解決手段】質量%で、Co:4.0〜11.0%、Cr:12.0〜17.0%、Al:2.0〜4.0%、Ti:2.0〜4.0%、Al+Ti:4.6〜6.7%、Mo:5.5超〜10.0%、W:0超〜4.0%、B:0.001〜0.040%、C:0.02〜0.06%、Zr:0〜0.05%以下、Mg:0〜0.005%以下、P:0〜0.01%以下、Nb:0〜1.0%以下、Ta:0〜1.0%以下、Fe:0〜2.0%以下を含有し、残部がNiと不可避不純物からなる組成を有する航空機エンジンケースに好適なNi基超耐熱合金。【選択図】 図1

Description

この発明は、航空機エンジンケース用Ni基超耐熱合金及びこれからなる航空機エンジンケースに関するものであり、特に、高温域における引張特性、低サイクル疲労特性等の高温材料特性にすぐれ、また、すぐれた加工性を有する航空機エンジンケース用Ni基超耐熱合金及びこれからなる航空機エンジンケースに関する。
Ni基超耐熱合金は、優れた強度、靭性、耐食性、耐酸化性等を有することから、航空機用エンジン部材、発電用ガスタービン用部材等を含め、耐熱性の必要とされる各種の技術分野で利用されている。
特に、航空機エンジン用構造部材においては、燃費向上を図るためには、燃焼温度の高温化が必要であり、そのため、より高温特性にすぐれたNi基超耐熱合金が求められている。
そして、この要請に応えるべく、多くのNi基超耐熱合金の開発が進められている。
例えば、特許文献1には、経済的で溶接性や熱間加工性が高く、高い温度許容性を有するニッケル基合金を提供することを目的として、「重量%で、約0.10%以下の炭素、約12〜約20%のクロム、約4%以下のモリブデン、約6%以下のタングステン(モリブデンとタングステンの合計は約2%以上で約8%以下である)、約5〜約12%のコバルト、約14%以下の鉄、約4〜約8%のニオブ、約0.6〜約2.6%のアルミニウム、約0.4〜約1.4%のチタン、約0.003〜約0.03%のリン、約0.003〜約0.015%のホウ素、およびニッケルと不可避不純物を含有するニッケル基合金であって、アルミニウムとチタンの合計の原子%は約2〜約6%であり、アルミニウム対チタンの原子%の比率は約1.5以上であり、そしてアルミニウムとチタンの合計の原子%をニオブの原子%で割った値が約0.8〜約1.3である、ニッケル基合金」(請求項1参照)が記載されており、前記ニッケル基合金は、ガスタービンエンジンの部品(例えばディスク、ブレード、留め具、ケース、シャフト)に使用できることが記載されている。
また、前記特許文献1では、市販Ni基超耐熱合金であるAlloy718(UNS N07718に対応)及びWaspaloy相当合金(UNS N07001に対応)を比較用の従来合金としてとりあげ、前記特許文献1に記載のNi合金は、引張り強さ及び温度安定性はWaspaloy相当合金の値に極めて近く、Alloy718よりも優れていること、応力破断性とクリープ寿命は、Alloy718とWaspaloy相当合金の両者よりも特許文献1に記載のNi合金の方が優れていること、時間依存性の応力破断性とクリープ特性に関する温度安定性はWaspaloy相当合金と同等であることから、特許文献1に記載のNi合金は、Alloy718、Waspaloy相当合金よりも高い引張り強さ、応力破断性、クリープ寿命および長時間の温度安定性を兼ね備え、かつこれらの合金よりも良好な熱間加工性、溶接性および有利なコストを保持しているとされている。
ここで、「UNS」は、SAE HS−1086とASTM DS−566に規定された「Unified Numbering System」であり、前記N07718、N07001はこれに登録された合金固有の番号を示す。
なお、前記特許文献1では、Alloy718の典型的な成分組成は、「質量%で、C:0.08%以下、Mn:0.35%以下、P:0.015%以下、S:0.015%以下、Si:0.35%以下、Cr:17〜21%、Ni:50〜55%、Mo:2.8〜3.3%、NbおよびTa:4.75〜5.5%、Ti:0.65〜1.15%、Al:0.2〜0.8%、Co:1%以下、B:0.006%以下、Cu:0.3%以下、残部はFe及び不可避的不純物」とされ、また、Waspaloy相当合金の典型的な成分組成は、「質量%で、C:0.02〜0.10%、Mn:0.1%以下、P:0.015%以下、S:0.015%以下、Si:0.15%以下、Cr:18〜21%、Fe:2%以下、Mo:3.5〜5.0%、Ti:2.75〜3.25%、Al:1.2〜1.6%、Co:12〜15%、B:0.003〜0.01%、Cu:0.1%以下、Zr:0.02〜0.08%、残部はNi及び不可避的不純物」とされている。
特表2005−525470号公報
近年、航空機運用コストに占める燃料費の比率は高いため、燃費向上を図るため方策の一つとして、燃焼温度の高温化の検討が進められており、燃焼温度の高温化に伴って素材の使用温度も高まる傾向にある。
しかし、前記特許文献1で挙げられているような従来のNi基超耐熱合金を含め、Ni基超耐熱合金は、金属間化合物による析出強化を主要な強化方法として、高強度を実現しており、その使用温度が高くなるほどに相変化が顕著になることから使用中の強度特性の変化が生じやすく、そのため、設計上の初期特性を維持することが困難となっている。
また、特に、航空機用エンジンケースは使用環境が高温となる部材である。例えば、燃焼器であれば、燃焼ガスに晒される環境で使用されるために、高くなる。エンジン部材によっては、使用温度や使用時間を制限することで、実用上の問題を発生させずに運用を実現している。代表的な部材が、ローター部においてブレードとシャフトの間に位置するディスクである。シャフトと接する内径側は相対的に温度が低く、ブレードと接する外径側は温度が高い。最も温度が上がる高圧タービンの前方に位置するディスクでは700℃程度にまで至るものもある。よって時間制約下ならば700℃程度にまで耐えられる、ディスク用溶解・鍛造Ni基超耐熱合金は提案されてきた。ケースはディスクほど大きな応力が発生するわけではないが、前述の燃焼器のようにディスクよりも使用温度は高くなるものがある。そのため、従来から提案されているNi基超耐熱合金をそのままエンジンケースに用いようとすると、最適な機械的特性でない領域で合金が使用されることになっていた。具体的には、広く用いられてきた汎用性の高い従来のNi基超耐熱合金だけでなく、時間を制約する使用下であれば700℃程度までの温度域で優れた強度特性を示すように提案されたディスク用Ni基超耐熱合金であっても、燃焼温度のより一層の高温化が求められるエンジンの燃焼器ケースに対しては好適とはならず、特性が不十分であるという問題が起こり始めた。
ところで、このエンジンケースはエンジンの始動から停止に至る一連のサイクルにおいて発生する耐力未満の継続的な応力負荷による変形や破壊、すなわち高温クリープ特性や高温ラプチャー特性の必要性が着目されるが、一連のサイクルにおいて発生する応力負荷と応力除荷による破壊、すなわち高温低サイクル疲労特性も寿命を左右する重要な特性であるが高温下での低サイクル疲労強度に着目した提案は見当たらない。
本発明の目的は、例えば、エンジンケースの使用環境が750℃以上の高温となっても十分な高温強度と、優れた低サイクル疲労強度を有し、且つ、優れた熱間加工性を兼備した航空機エンジンケース用Ni基超耐熱合金とそれを用いた航空機エンジンケースを提供することである。
なお、本発明でいう「エンジンケース」とは、例えば、航空機ジェットエンジンの燃焼器ケース、高圧タービンケース、あるいはさらに、高圧コンプレッサーケース、低圧タービンケース等を言い、航空機エンジンケースは、エンジンの前方から後方に至る全ての領域で必要になる構造部材である。
本発明は、高温域でその特徴を発揮する航空機エンジンケース用に好適なNi基超耐熱合金であって、主として燃焼器ケースと燃焼器ケースの後方に配置される高圧タービンケースを適用対象としている。これらは円筒状の素材で、エンジンサイズ(推力)によって、大きさは変わるが、例えば、外径は0.3〜1.5mであり、高さ(エンジンの軸方向の長さ)はエンジン設計によって大きく異なるが、1m以下である。
また、燃焼器の前方に位置する高圧コンプレッサーケースと、高圧タービンケースの後方に位置する低圧タービンケースも、燃焼器ケース、高圧タービンケースに比して使用温度は低温になるものの、やはり、本発明のNi基超耐熱合金の適用対象であることに変わりはない。
低圧タービンケースは、後方に行くほど直径が大きくなるテーパー形状を有しており、大きなものは最大直径(エンジン後方)が2mを越える程度にまでなるが、2.5m以下である。また、高圧コンプレッサーケースは、逆に前方ほど直径が大きくなる形状であって、低圧タービンケースのような直径差はない。
本発明者等は、750℃以上での高温環境において、高温強度と低サイクル疲労特性にすぐれ、また、すぐれた加工性を有する航空機エンジンケース用材料としてのNi基超耐熱合金について、その合金成分及びその組成範囲について鋭意検討したところ、次のような知見を得たのである。
まず、Ni基超耐熱合金は、通常、高温高強度化を目的として、γ相(素地)中にγ’相を析出させた組織、あるいは、γ’’相を析出させた組織を形成しているが、従来のγ−γ’型のNi基超耐熱合金は、650℃を超える温度域では、温度の上昇につれて急激な強度低下が生じ、また、γ−γ’’型のNi基超耐熱合金では、より急激な強度低下が生じていた。
しかし、Ni基超耐熱合金の合金成分とその組成を適正範囲にコントロールすることによって、γ’相の強化寄与が小さくなる温度域(例えば、750℃あるいはそれ以上)でも、析出強化に加えて、固溶強化能の向上を図ることで、高温域でのNi基超耐熱合金のすぐれた材料特性を確保し得ることを見出した。
次に、使用開始時と同等の低サイクル疲労(LCF)特性を使用中も発現させるという点では、一般的にNi基超耐熱合金の相安定性が重視されているが、析出強化型合金においては、高温下で長時間使用された場合には、相変化が生じることは避けられない。
そこで、相変化を抑制し相安定性を重視するのではなく、むしろ、Ni基超耐熱合金の合金成分とその組成を適正範囲にコントロールすることによって、相変化に基づく強度低下及び延性向上の結果として、高温域(例えば、750℃)においてすぐれた低サイクル疲労特性を示すNi基超耐熱合金を得られること、さらには、高温域で長時間使用後の低サイクル疲労特性が初期の低サイクル疲労特性とほぼ同等(大きな劣化はない)であるNi基超耐熱合金を得られることを見出した。
さらに、航空機エンジンケースは通常、溶製したインゴットを熱間鍛造して鍛造ビレットを作製した後、鍛造ビレットに対して熱間鍛造、熱間圧延、溶体化処理、時効処理等の工程を経ることで作製されるが、Ni基超耐熱合金の合金成分とその組成を適正範囲にコントロールし、MC型炭化物の固溶温度T1とγ’相の固溶温度T2の差を小さくし、所定範囲内とすることによって、γ’相の固溶温度T2の直下あるいは直上における温度域での結晶粒の急成長をMC型炭化物の分散で抑制するとともに、MC型炭化物を再結晶の発生サイトとすることで、均一な金属組織(結晶粒度、析出相)を備え、かつ、加工性にすぐれたNi基超耐熱合金を得ることができ、その結果、すぐれた高温性能を備えた航空機エンジンケースを作製し得ることを見出したのである。
この発明は、前記知見に基づいてなされたものであって、この発明の航空機エンジンケース用Ni基超耐熱合金及びこれからなる航空機エンジンケースは、
(1)質量%で、Co:4.0〜11.0%、Cr:12.0〜17.0%、Al:2.0〜4.0%、Ti:2.0〜4.0%、Al+Ti:4.6〜6.7%、Mo:5.5超〜10.0%、W:0超〜4.0%、B:0.001〜0.040%、C:0.02〜0.06%、Zr:0.05%以下、Mg:0.005%以下、P:0.01%以下、Nb:1.0%以下、Ta:1.0%以下、Fe:2.0%以下、を含有し、残部がNiと不可避不純物からなる組成を有する航空機エンジンケース用Ni基超耐熱合金、
(2)前記(1)に記載された航空機エンジンケース用Ni基超耐熱合金の成分とその組成に基づく熱力学計算から算出されるMC型炭化物の固溶温度T1とγ’相の固溶温度T2との差(T1−T2)が、−30℃≦(T1−T2)≦+40℃を満足すること、好ましくは、−20℃≦(T1−T2)≦+20℃を満足する前記(1)に記載された航空機エンジンケース用Ni基超耐熱合金、
(3)750℃における全ひずみ範囲0.6%の低サイクル疲労試験における破損繰返し数が1.0×10以上である前記(1)または(2)に記載された航空機エンジンケース用Ni基超耐熱合金、
(4)750℃における引張強さが1000MPa以上であることを前記(1)乃至(3)のいずれかである航空機エンジンケース用Ni基超耐熱合金、
(5)前記(1)乃至(4)のいずれかに記載された航空機エンジンケース用Ni基超耐熱合金からなる航空機エンジンケース、
に特徴を有するものである。
なお、前記(1)の「・・%以下」とは、「0%以上・・%以下」を意味する。
この発明の航空機エンジンケース用Ni基超耐熱合金は、高温域においてすぐれた引張特性(高温強度)、低サイクル疲労特性に加え、すぐれた加工性を有することから、大型のエンジンケースの作製が容易であり、また、エンジンの大型化が可能であるため、燃焼温度の高温化による航空機の燃費向上に大きく貢献するものである。
また、上記に加えて、ラプチャー特性を有し、更に、高温域における特性変化が少ないというすぐれた高温特性を得ることが可能なため、燃費向上のための燃焼温度の高温化が求められる航空機エンジンケース構成用材料として好適である。
本発明合金(Alloy A)の金属組織を示す顕微鏡写真である。 従来合金(Waspaloy相当合金)の金属組織を示す顕微鏡写真である。 本発明合金と従来合金の静的粒成長の実験結果を示すグラフである。
この発明の航空機エンジンケース用Ni基超耐熱合金の成分組成限定理由等について、以下に詳細に説明する。
Co:
Co成分は、主に素地(γ相)に固溶してラプチャー特性を向上させるが、その含有量が4.0質量%(以下、「質量%」を単に「%」で示す)未満では十分なラプチャー特性を付与することができないので好ましくなく、一方、11.0%を超えて含有すると、熱間加工性を低下させるので好ましくない。したがって、Coの含有量を4.0〜11.0%と定めた。Coの効果をより確実に得るための好ましい下限は8.0%であり、さらに好ましくは8.2%である。Coの好ましい上限は10.0%である。
Cr:
Cr成分には、良好な保護被膜を形成して合金の高温耐酸化性および高温耐硫化性などの高温耐食性を向上させ、さらにCとMC型炭化物を形成し、かつMC型炭化物の素地への固溶温度を高めて、ピン止め効果を有するMC型炭化物の分散によって結晶粒成長を抑制し、再結晶の発現、進行による結晶粒の整粒化に寄与するとともに、粒界強度を向上させるが、その含有量が12.0%未満では所望の高温耐食性を確保することができず、一方その含有量が17.0%を越えると、σ相やμ相などの有害相を析出し、むしろ高温耐食性の低下をきたすようになることから、その含有量を12.0〜17.0%と定めた。Crの効果をより確実に得るための好ましい下限は13.0%であり、さらに好ましくは13.5%である。Crの好ましい上限は16.0%であり、さらに好ましくは15.0%未満であり、より好ましくは14.8%である。
Al:
Al成分は、時効処理を経ることで主要析出強化相であるγ′相(NiAl)を構成して高温引張特性、低サイクル疲労特性およびラプチャー特性を向上させ、高温強度をもたらす作用を有するが、その含有量が2.0%未満ではγ′相の析出割合が不十分なために所望の高温強度を確保することができず、一方その含有量が4.0%を越えると熱間加工性が低下すると共に、γ′相の生成量が過剰となり、延性が低下するので好ましくない。したがって、Alの含有量を2.0〜4.0%と定めた。Alの効果をより確実に得るための好ましい下限は2.2%であり、さらに好ましくは2.6%である。Alの好ましい上限は3.3%であり、さらに好ましくは3.0%である。
Ti:
Ti成分は、主としてγ′相に固溶して高温引張特性、低サイクル疲労特性およびラプチャー特性を向上させる作用を有するが、その含有量が2.0%未満ではγ′相の析出割合が不十分なために所望の高温強度を確保することができず、一方その含有量が4.0%を越えると熱間加工性が低下するので好ましくない。したがってTiの含有量を2.0〜4.0%と定めた。Tiの効果をより確実に得るための好ましい下限は2.6%であり、さらに好ましくは2.9%である。Tiの好ましい上限は3.6%であり、さらに好ましくは3.4%である。
Al+Ti:
Alの含有量とTiの含有量については前記のとおり、それぞれ2.0〜4.0%であるが、この発明では、AlとTiの合計含有量について、さらに、4.6%〜6.7%と定める。
γ′相はNiAlを基調とするが、Al位置にTiが置換することで析出相としての強化能が増すため、AlとTiの複合添加によって、より一層の高温強度の向上がもたらされる。また、強度付与の点ではγ′相の総量も重要な要素であり、AlとTiの合計含有量が多いほど、γ′相量が増すため強度は高まるが、その合計含有量が4.6%未満では、γ′相の析出量が不十分なために所望の高温強度を確保することができず、一方その含有量が6.7%を越えると熱間加工性が低下するので好ましくない。AlとTiには複合添加効果があるため、Al、Tiの個々の含有量に加えて、合計含有量の範囲を定める必要がある。
そして、AlとTiの合計含有量を4.6%〜6.7%と定めることによって、高温引張特性、高温低サイクル疲労特性といった高温強度特性に優れるとともに、熱間塑性加工性にも優れるという、本発明のNi基超耐熱合金における特徴的な作用効果が発揮される。好ましいAlとTiの合計量の下限は5.2%であり、さらに好ましくは5.5%である。AlとTiの合計量の好ましい上限は6.3%である。
なお、Al当量=Al+0.56×Tiとして「AlとTiの合計含有量:4.6%〜6.7%」をAl当量で表現し直せば、Al当量は3.8〜5.5%となる。Al当量の好ましい下限は3.9であり、さらに好ましくは4.2である。Al当量の好ましい上限は4.8である。
また、AlとTiの量比については、Al/Tiの値が、0.7〜1.1であることが好ましい。
これは、Al/TiはNiAlを基調とするγ′相のAl位置のAlとTiの占有比率を概略示しており、複合添加効果が、より高まるからである。好ましいAl/Tiの値の下限は0.8であり、好ましい上限は1.0である。
Mo:
Mo成分には、素地(γ相)に固溶して高温引張特性、低サイクル疲労特性およびラプチャー特性向上させる作用を有し、その作用は特にWとの共存において複合効果を発揮する。さらに、CとMC型炭化物を形成して結晶粒界を強化すると共に、結晶粒成長を抑制し、再結晶の発現、進行による結晶粒の整粒化に寄与する作用を有するが、その含有量が5.5%以下では十分な高温延性および低サイクル疲労特性を付与することができず、一方その含有量が10.0%を越えて含有すると、熱間加工性が低下するとともにμ相などの有害相が析出して脆化を招くので好ましくない。したがって、Moの含有量は5.5%を超え10.0%以下と定めた。Moの効果をより確実に得るための好ましい下限は6.0%であり、さらに好ましくは6.3%であり、より好ましくは6.9%である。Moの好ましい上限は8.0%であり、さらに好ましくは7.4%である。
W:
W成分には、素地(γ相)およびγ’相に固溶して高温引張特性、低サイクル疲労特性およびラプチャー特性を向上させる作用のほか、Moと共存下で素地への固溶強化による複合強化を発揮し、さらにCとMC型炭化物を形成して結晶粒界を強化すると共に、結晶粒成長を抑制し、再結晶の発現、進行による結晶粒の整粒化に寄与する作用を有するが、W成分が含有されない場合には十分な低サイクル疲労特性を付与することができず、一方その含有量が4.0%を越えると熱間加工性が低下すると共に延性も低下するので好ましくない。したがって、Wは4.0%以下の範囲内で含有させる(即ち、0超〜4.0%)。Wの効果をより確実に得るための好ましい下限は1.1%であり、さらに好ましくは1.7%である。Wの好ましい上限は2.7%であり、さらに好ましくは2.3%である。
なお、MoとWの量比については、Mo/Wの値は4.6以下であることが好ましい。
これは、4.6を越えると、強度特性に寄与するMoとWの複合添加の作用が低下するという理由による。さらに好ましいMo/Wの値の下限は3.5であり、好ましい上限は4.3である。
B:
B成分は、CrやMo等とM型硼化物を形成して粒界強度を向上させる作用を有するとともに結晶粒の成長を抑制する作用を有するが、その含有量が0.001%未満では硼化物の生成量が不十分で十分な粒界強化機能および粒界のピン止め効果が得られず、一方、0.04%を超えて含有すると、硼化物の生成量が過剰となりすぎて熱間加工性、溶接性、延性などが低下するので好ましくない。したがって、Bの含有量は0.001〜0.040%と定めた。Bの効果をより確実に得るための好ましい下限は0.003%であり、さらに好ましくは0.004%である。Bの好ましい上限は0.020%であり、さらに好ましくは0.015%である。
C:
C成分は、TiやMo等とピン止め効果を有するMCやMC型炭化物を形成して、結晶粒成長を抑制し、再結晶の発現、進行による結晶粒の整粒化に寄与するとともに、粒界強度を向上させる作用を有し、さらに時効処理によって新たにM23型炭化物を生成することで粒界を強化する作用があるが、その含有量が0.02%未満ではMCやMC型炭化物の析出割合が不十分なために十分な粒界強化機能および粒界のピン止め効果が得られず、一方、0.06%を越えて含有すると、炭化物の生成量が過剰となりすぎて熱間加工性、溶接性、延性などが低下するので好ましくない。したがって、Cの含有量は0.02〜0.06%と定めた。Cの効果をより確実に得るための好ましい下限は0.025%であり、さらに好ましくは0.035%である。Cの好ましい上限は0.055%であり、さらに好ましくは0.050%である。
Zr:
Zr成分は、Bと同様に粒界強度を向上させる効果を有していることから必要に応じて含有させることができるが、Zrの含有量が0.05%を超えると、融点の低下を招き、高温強度、熱間加工性が阻害されるため、Zrの含有量は0〜0.05%と定めた。Zr添加の効果を確実に得るには、下限を0.005%とするとよい。Zrを含有する場合の好ましい上限は0.03%である。
Mg:
Mg成分は、粒界に偏析し熱間延性を阻害する不可避不純物であるSを、硫化物として固定することで、熱間延性を向上させる効果があることから、必要に応じて含有させることができるが、Mgの含有量が0.005%を超えると、余剰のMgが熱間延性を阻害する因子となるため、Mgの含有量は0〜0.005%と定めた。Mg添加の効果を確実に得るには、下限を0.0002%とするとよい。Mgを含有する場合の好ましい上限は0.003%である。
P:
Pは粒界に偏析して、粒界強度を増すことでラプチャー特性を向上させるため必要に応じて含有させることができるが、0.01%を超えると有害相を形成して熱間加工性や高温耐食性が阻害されるため、Pの含有量は0〜0.01%に定めた。P添加の効果を確実に得るには、下限を0.0002%とするとよい。Pを含有する場合の好ましい上限は0.005%である。
Nb:
Nb成分は、素地(γ相)およびγ′相に固溶して高温引張特性、低サイクル疲労特性およびラプチャー特性を向上させ、高温強度をもたらす作用を有するので必要に応じて添加するが、その含有量が1.0%を越えると熱間加工性が低下するので好ましくない。したがってNbの含有量を0〜1.0%と定めた。Nb添加の効果を確実に得るには、下限を0.005%とするとよい。Nbを含有する場合の好ましい上限は0.2%である。
Ta:
Ta成分は、Nbと同様に、素地(γ相)およびγ′相に固溶して高温引張特性、低サイクル疲労特性およびラプチャー特性を向上させ、高温強度をもたらす作用を有するので必要に応じて添加するが、その含有量が1.0%を越えると熱間加工性が低下するので好ましくない。したがってTaの含有量を0〜1.0%と定めた。Ta添加の効果を確実に得るには、下限を0.002%とするとよい。Taを含有する場合の好ましい上限は0.2%である。
Fe:
Fe成分は、安価で経済的であると共に熱間加工性を向上させる作用があるので必要に応じて添加するが、その含有量が2.0%を越えると、高温強度が劣化するので好ましくない。したがって、Feの含有量を0〜2.0%以下と定めた。Fe添加の効果を確実に得るには、下限を0.01%とするのが好ましく、さらに好ましくは0.02%である。Feを含有する場合の好ましい上限は0.6%である。
C型炭化物の固溶温度T1とγ’相の固溶温度T2:
この発明では、Ni基超耐熱合金からなるインゴットを熱間鍛造することで鍛造ビレットを得た後、さらに鍛造ビレットに対して熱間鍛造、熱間圧延などの熱間加工を繰り返し施すことにより航空機エンジンケースを製作するが、高強度型のγ−γ’型Ni基超耐熱合金は、熱間加工温度がγ’相の固溶温度T2以下では変形抵抗が高いため、熱間加工をγ’相の固溶温度T2を超える温度域で行えばよいのであるが、γ’相の固溶温度T2直下あるいはそれ以上の温度での加熱で、部分的あるいは全面的な結晶粒成長が発生し、これが金属組織あるいは強度特性の不均一性の原因となることがある。特に低サイクル疲労特性を向上させるという点では、結晶粒が細かいことが望ましいが、平均的な分布としては細粒であっても、一部に粗粒があれば、その粗粒が破断サイクル数を大きく左右するという事象も発生する。
そこで、均一な金属組織を得るためには、MC型炭化物の固溶温度T1を、γ’相の固溶温度T2の近傍に設定して、γ’相の消失に伴う結晶粒成長の増大傾向をMC型炭化物の分散で抑制することが望ましい。
そして、種々研究を重ねた結果、例えば、CALPHAD法によってNi基超耐熱合金の組成に基づく熱力学平衡計算から算出されるMC型炭化物の固溶温度T1とγ’相の固溶温度T2との差(T1−T2)が、−30℃≦(T1−T2)≦+40℃を満足する場合、好ましくは、−20℃≦(T1−T2)≦+20℃を満足する場合に、塑性加工中の割れが発生しにくくなり、低加工率でも、結晶粒度、析出相等の均一な金属組織が得られ、加えて、MC型炭化物の分散は、結晶粒成長を抑制する効果を有するばかりか、再結晶の発生サイトとなり、見かけの加工率が小さい条件であっても、再結晶が進みやすくなる効果があることもわかった。
ただ、(T1−T2)<−30℃の場合には、熱間加工温度域で、γ’相の消失を補うだけの効果をMC型炭化物がもたらさないため、また、+40℃<(T1−T2)の場合には、MC型炭化物が粗大かつ不均一に分散する傾向が強くなって効果が低減するため、−30℃≦(T1−T2)≦+40℃を満足することが好ましい。
より好ましくは、−20℃≦(T1−T2)≦+20℃を満足する場合である。さらに好ましくは、下限は−15℃であり、上限は+10℃である。
これによって、本発明のNi基超耐熱合金では、ASTMの結晶粒度番号は6以上であってよく、7以上が好ましく、8以上がより好ましく、9以上が更に好ましい。また、本発明のNi基超耐熱合金の航空機エンジンケース等の加工後の製品では、結晶粒径は30μm以下が好ましく、20μm以下がより好ましく、10μm以下が更に好ましい。
つぎに、この発明のNi基超耐熱合金について、実施例により具体的に説明する。
[実施例1]
通常の高周波真空溶解炉を用い、表1に示す所定の目標成分組成になるように10kgの航空機エンジンケース用Ni基超耐熱合金溶湯を溶製、調整し、これを鋳造して直径100mmの円柱状のインゴットを作製し、インゴットに対して最高加熱温度1200℃となる均熱処理を行った後、塑性加工前加熱温度1080〜1150℃で分塊鍛造と熱間スウェージング加工を行って直径14mmの熱間加工丸棒素材を作製した。
なお、表1には、CALPHAD法により、目標成分組成に基づく熱力学平衡計算から算出されるMC型炭化物の固溶温度T1、γ’相の固溶温度T2及びT1とT2の差(=T1−T2)を併記し、また、Al当量=Al+0.56×Tiから計算したAl当量の値も併記した。
ついで、この熱間加工丸棒素材を、1080℃に1時間保持したのち空冷する溶体化処理を施すことにより溶体化処理材を作製した。
ついで、前記の溶体化処理材を760℃で24時間保持したのち空冷する時効処理を施すことで、本発明Ni基超耐熱合金No.1〜4を作製した。
C型炭化物の固溶温度T1とγ’相の固溶温度T2の差(T1−T2)は、−15〜+10の範囲であり、いずれも、−30℃〜+40℃の範囲内(好ましい範囲である−20℃〜+20℃の範囲内)に含まれている。
前記で作製した本発明Ni基超耐熱合金No.1〜4を、高温引張試験、低サイクル疲労(LCF)試験に供し、特性を調査した。
高温引張試験:
前記の本発明Ni基超耐熱合金No.1〜4から、平行部径:6.35mm、平行部長さ:36mm、標点距離:25.4mmの寸法を有する丸棒試験片を採取し、この試験片を用いて、ASTM E21に従って、温度:750℃で高温引張試験を実施し、引張強さ(MPa)を測定した。
表2に、これらの測定結果を示す。
この高温引張試験の結果から、本発明Ni基超耐熱合金No.1〜4は、750℃における引張試験で、いずれも1000MPa以上(より正確には1020MPa以上)の引張強さを示し、すぐれた高温強度を有することが分かる。なかでも、AlとTiの含有量をより適切な範囲に調整したNo.1、3及び4の本発明Ni基超耐熱合金は、1060MPa以上の引張強さが得られていることが分かる。
低サイクル疲労(LCF)試験:
前記の本発明Ni基超耐熱合金No.1〜4から、平行部径:6.35mm、平行部長さ:18.5mm、標点距離:12mmの寸法を有する丸棒試験片を採取し、この試験片を用いて、ASTM E606に従って、温度:750℃、ひずみ比:A=1(片振り)、全ひずみ範囲:Δε(total)=0.6%、繰り返し波形:三角波、繰り返し周波数:0.5Hzとするひずみ制御条件で、低サイクル疲労(LCF)試験を行い、試験片破損に至るまでのサイクル数を測定した。
表2に、その結果を示す。
この低サイクル疲労(LCF)試験の結果から、本発明Ni基超耐熱合金No.1〜4は、750℃における全ひずみ範囲0.6%の低サイクル疲労(LCF)試験で、いずれも1.0×10以上の破損繰返し数(Nf)を示し、すぐれた低サイクル疲労(LCF)特性を有することが分かる。なかでも、AlとTiの含有量をより適切な範囲に調整したNo.1、3及び4の本発明Ni基超耐熱合金は、2.0×10以上の破損繰返し数(Nf)を示した。これらNo.1、3及び4の本発明Ni基超耐熱合金は、MC型炭化物の固溶温度T1とγ’相の固溶温度T2の差(T1−T2)が0以下の合金であった。
また、本発明Ni基超耐熱合金の熱間加工性(変形能)の良否を評価するため、鍛造素材について高ひずみ速度引張試験を実績した。
まず、評価素材を鍛造、圧延前加熱状態にするため、素材加熱処理を実施した。
ついで、素材から平行部径:6mm、平行部長さ:60mmからなる丸棒試験片を作製して、直接通電加熱によって、一旦、素材加熱処理温度まで加熱した後、所定の試験温度まで降温(試験温度が素材加熱処理温度と同じ場合は維持)して、ひずみ速度1/Sで引っ張る高温高ひずみ速度引張試験を行い、熱間変形能の目安である絞り値を測定した。
同様な試験を、Waspaloy相当合金、Alloy720LIに対して行い、得られたデータを比較した。
ここで、Alloy720LI(UNS N07720に対応)の代表組成は、質量%で、Cr:15.5〜16.5%、Co:14.0〜15.5%、Mo:2.75〜3.25%、W:1.00〜1.50%、Ti:4.75〜5.25%、Al:2.25〜2.75%、C:0.01〜0.02%、Zr:0.025〜0.05%、B:0.01〜0.02%、残部はNi及び不可避的不純物である。
γ´固溶温度/素材加熱処理温度/素材加熱処理温度における絞り/≧60%絞りとなる温度域は、本発明のNi基超耐熱合金では、それぞれ、1088℃/1100℃/90%/1025−1100℃、また、Waspaloy相当合金では、1045℃/1050℃/100%/925−1050℃、また、Alloy720LIでは、1160℃/1150℃/0%/1100℃である。
相対的に熱間加工能が高いWaspaloy相当合金はγ´固溶温度近傍で加熱された状態(γ´固溶温度の計算値に対して+5℃)でも高い絞り値となり、良好な変形能の目安とされる60%以上の絞りとなる温度域も広いのに対して、高強度だが熱間変形能が低いとされるAlloy720LIはγ´固溶温度近傍で加熱された状態(γ´固溶温度の計算値に対して−10℃)では絞りは0%で、≧60%絞りの温度域も1100℃前後の極めて狭い温度域であった。Alloy720LIはγ´固溶温度よりも低い温度で処理し、引っ張った場合であっても、それでも絞りがでない。
一方で、本発明Ni基超耐熱合金については、γ´固溶温度+12℃の場合であっても高い絞りが得られている。
前記高ひずみ速度引張試験の結果から、本発明Ni基超耐熱合金は、Waspaloy相当合金と同様に、Alloy720LIに対しては明らかに高い変形能を有することが確認できる.
なお、試験の性格上、≧60%絞りとなる温度域は複数の温度で試験を実施して60%の前後の数値が得られる温度から内挿推定したものである。

[実施例2]
次に、前記のNo.1で示す目標成分組成を基にした航空機エンジンケース用Ni基超耐熱合金を用いて、エンジンケース用素材を作製した。これを「No.A」として、組成(単位:質量%)を表3に示す。CALPHAD法によってNi基超耐熱合金の組成に基づく熱力学平衡計算から算出されるM6C型炭化物の固溶温度T1とγ’相の固溶温度T2は、それぞれ1081℃,1084℃である。
高周波真空溶解と消耗電極式真空再溶解からなる二重溶解によって溶製した直径500mmの前記の表3で示す組成のインゴットを均質化処理した後、油圧プレスで分塊鍛造することで直径260mmのビレットを作製した。
ビレットから直径220mmの円柱状素材を採取し、圧下率70%の荒地鍛造によって直径約400mmの円盤状素材を得た後、機械加工によって中空円筒形状とした素材に、3ヒートで総肉厚減少率が55%程度となるリング圧延を施すことによって外径580mmのリング素材を得た。
荒地鍛造では割れは発生せず、リング圧延では割れは発生したものの軽微であり、所望のリング素材を得るという点で熱間加工工程中に問題は発生しなかった。ついで、1080℃に1時間保持したのち空冷する溶体化処理と760℃で24時間保持したのち空冷する時効処理を施した。
そして、実施例1と同じ条件で高温引張強度と低サイクル疲労強度とを測定した結果を表4に示す。
量産規模の実験であるため、残留ひずみ量、加工温度、加工後の冷却速度の違いにより、金属組織が前述の実施例1とはやや異なるものの、表4に示すように、750℃における引張試験で、1000MPa以上(より正確には1020MPa以上)の引張強さを示し、すぐれた高温強度を有するものであった。また、750℃における全ひずみ範囲0.6%の低サイクル疲労(LCF)試験で、1.0×10以上(より正確には1.5×10以上)の破損繰返し数(Nf)を示し、すぐれた低サイクル疲労(LCF)特性を有するものであった。
以上の結果から、本発明の航空機エンジンケース用Ni基超耐熱合金は、高温域においてすぐれた引張特性、低サイクル疲労特性に加え、優れた加工性を有することが分かる。

[実施例3]
次に、本発明Ni基超耐熱合金と、従来のNi基耐熱合金の特性比較を行った。
本発明Ni基超耐熱合金の例としては、表3のNo.Aの成分組成からなるNi基超耐熱合金(「Alloy A」として記すことがある)の鍛造素材を使用した。
また、従来のNi基耐熱合金の例としては、Waspaloy相当合金から作製したケース素材、Alloy720LIから作製した鍛造素材、及びAlloy Bから作製した鍛造素材を使用した。
ここで、Alloy Bは比較材であり、その組成は、質量%で、Cr:13.50%、Co:3.00%、Mo:6.10%、W:1.50%、Al:2.85%、Ti:3.50%(Al当量:4.81)、C:0.040%、B:0.0040%、Mg:0.0010%、残部はNi及び不可避的不純物である。
まず、高周波真空溶解と消耗電極式真空再溶解からなる二重溶解によって溶製した直径500mmの前記の各種合金のインゴットを均質化処理した後、油圧プレスで分塊鍛造することで直径260mmのビレットを作製した。ビレットから直径205mmの円柱状素材を採取し、油圧プレスによる圧下率80%のホットダイ鍛造によって、Alloy A、Alloy Bからなる直径440mmの円盤状の鍛造素材を得た。
Alloy720LIについては、高周波真空溶解、エレクトロスラグ再溶解および消耗電極式真空再溶解からなる三重溶解によって溶製した直径500mmのインゴットを均質化処理した後、油圧プレスで分塊鍛造することで直径254mmのビレットを作製した。油圧プレスによる圧下率80%のホットダイ鍛造によって、直径440mmの円盤状の鍛造素材を得た。
また、Waspaloy相当合金については、上述のビレットから直径250mmの円柱状素材を採取し、荒地鍛造によって直径約500mmの中空円筒状素材を得た後、総肉厚減少率が50%以上となるリング圧延を施すことによって最大外径が概略1100mmのケース素材を得た。
Alloy Aについては、いずれの塑性加工においても加熱温度は、一般的に結晶粒が粗粒、混粒になり易いとされるγ´相の固溶温度T2以上とした。
Alloy A、Alloy Bについては、1080℃に1時間保持したのち空冷する溶体化処理と760℃で24時間保持したのち空冷する時効処理を施した。Alloy720LIについては、1105℃に2時間保持したのち水冷する溶体化処理と、649℃で24時間保持したのち空冷し、さらに760℃で8時間保持したのち空冷する時効処理を施した。Waspaloyについては、1010℃に4時間保持したのち水冷する溶体化処理と、850℃で4時間保持したのち空冷する安定化処理と、760℃で16時間保持したのち空冷する時効処理を施した。
得られた本発明のAlloy Aと、エンジンケース用合金として実績のあるWaspaloy相当合金から結晶粒度測定用試験片を採取して、結晶粒度番号測定と金属組織観察を行った。結晶粒度番号は、Alloy AがASTM No.7、Waspaloy相当合金からなるケース素材の結晶粒度はASTM No.6.5であった。図1、図2に光学顕微鏡で観察した場所の顕微鏡写真を示す。Alloy AとWaspaloy相当合金とは結晶粒度番号はほぼ同等であるが、図1に示すように、本発明のAlloy Aの金属組織はほぼ均一な大きさとなっており、結晶粒が整粒となっていることが分かる。一方、図2に示すように、Waspaloy相当合金には一部にやや粗大化した結晶粒が見て取れる。
Alloy A、Waspaloy相当合金、Alloy720LI及びAlloy Bの鍛造素材、ケース素材から、平行部径:6.35mm、平行部長さ:36mm、標点距離:25.4mmの寸法の高温引張試験用試験片を採取し、また、平行部径:6.35mm、平行部長さ:18.5mm、標点距離:12mmの寸法の低サイクル疲労(LCF)試験用試験片を採取した。
各試験片につき、前記実施例1の場合と同様の方法で、750℃、800℃における高温引張特性、750℃における低サイクル疲労特性を調べた。
また、750℃におけるラプチャー試験も行い、ラプチャー特性について調べた。
ラプチャー試験は、前記Alloy A、Waspaloy相当合金、Alloy720LI及びAlloy Bの鍛造素材、ケース素材から、平行部径:6.35mm、平行部長さ:31.8mm、標点距離:25.4mmの寸法を有する丸棒試験片を採取し、この試験片をASTM E139に従って、温度:750℃、初期負荷応力:400MPaの定荷重でラプチャー試験を実施した。
表5に、破断時間(表5中では「寿命」として表記する)(h)、破断伸び(%)、絞り(%)およびLarson−Miller Parameter(×10−3)を示す。
なお、Larson−Miller Parameterにおける定数は20としている。
表5の<初期特性>に、これらの測定結果を示す。
表5の<初期特性>に示される結果から、Alloy Aは、Waspaloy相当合金と比較すると、格段にすぐれた高温引張特性、低サイクル疲労(LCF)特性及びラプチャー特性を有することがいえる。特に、低サイクル疲労(LCF)特性については、本発明Ni基超耐熱合金のAlloy Aは、2.5×10以上の破損繰返し数(Nf)を示した。
また、Alloy Aを、Alloy720LIと比較すると、高温引張特性においてはほぼ同等であるが、低サイクル疲労(LCF)特性及びラプチャー特性については、Alloy Aが格段に優れることが分かる。
さらに、Alloy Aを、Alloy Bと比較すると、高温引張特性、低サイクル疲労(LCF)特性及びラプチャー特性については、Alloy Aが優れ、特に、ラプチャー特性については、Alloy Aが格段に優れることが分かる。

表5の<初期特性>の欄の記載は、Alloy A、Waspaloy相当合金、Alloy720LI及びAlloy Bについての初期特性を調査した結果であるが、高温環境下に長時間曝された後の特性変化を調べる目的で、Alloy A、Waspaloy相当合金及びAlloy720LIの鍛造素材、ケース素材から採取した試験片について、これらを750℃で1000時間保持した後、750℃、800℃における高温引張特性、750℃における低サイクル疲労特性及び750℃におけるラプチャー特性を調べた。
表5の<750℃/1000h保持後の特性>の欄に、750℃で1000時間保持した後の試験片について調べた各特性値を示す。
表5の<750℃/1000h保持後の特性>の欄に示される結果から、試験温度が高くなるにしたがって、Waspaloy相当合金及びAlloy720LIは、高温引張特性(0.2%耐力、引張強さ)が大きく低下していき、800℃の高温引張特性試験結果においては0.2%耐力が650Mpa未満、引張強さが800MPa未満となった。これに対して、本発明のAlloy Aは、0.2%耐力が650MPa以上、引張強さが800MPa以上の優れた高温引張り特性が維持できていることが分かる。
また、750℃における高温引張特性の初期値と750℃で1000時間保持した後の値とを比較すると、Alloy Aでは、0.2%耐力及び引張強さについて、初期値からの低下はきわめて少ないが、Waspaloy相当合金及びAlloy720LIではその低下量が非常に大きいことが分かる。
さらに、800℃における高温引張特性の結果について、初期値と750℃で1000時間保持した後の値を比較すると、750℃で1000時間保持したAlloy Aの高温引張特性(0.2%耐力及び引張強さ)は、初期特性値のそれよりやや低下するものの0.2%耐力が700MPa以上、引張強さが850MPa以上の優れた高温引張り特性が得られていることから、本発明Ni基超耐熱合金であるAlloy Aは、高温中で使用した場合、その使用環境の温度が高くなったとしても優れた高温引張特性が発揮されることが分かる。
したがって、燃焼温度の高温化が望まれる航空機エンジンケース用の材料として、本発明Ni基超耐熱合金は好適であるといえる。
また、低サイクル疲労(LCF)特性についても、表5の<750℃/1000h保持後の特性>の欄に示される結果からみれば、Alloy Aの低サイクル疲労(LCF)特性は、Waspaloy相当合金及びAlloy720LIに比して格段にすぐれていることが分かる。
さらに、表5の<初期特性>と<750℃/1000h保持後の特性>の欄の記載を比較すると、本発明Ni基超耐熱合金であるAlloy Aの低サイクル疲労(LCF)特性は、わずかながら向上しているといえる。
ラプチャー特性については、表5の<750℃/1000h保持後の特性>の欄に示される結果からみれば、本発明Ni基超耐熱合金であるAlloy Aのラプチャー特性は、Waspaloy相当合金及びAlloy720LIに比して格段にすぐれていることが分かる。
[実施例4]
本発明Ni基超耐熱合金として、通常の高周波真空溶解炉を用い、表1に示すNo.1、No.3及びNo.4の各所定の目標成分組成になるように10kgの航空機エンジンケース用Ni基超耐熱合金溶湯を溶製、調整し、これを鋳造して直径100mmの円柱状のインゴットを作製した。このインゴットに対して最高加熱温度1200℃となる均熱処理を行った後、塑性加工前加熱温度1080〜1150℃で分塊鍛造を行って直径35mmの熱間加工丸棒素材を作製した。
また、従来例として、Waspaloy相当合金については、高周波真空溶解とエレクトロスラグ再溶解からなる二重溶解によって溶製した直径460mmのインゴットを均質化処理した後、油圧プレスでの分塊鍛造によって得られたビレットから、円柱素材を採取し、油圧鍛造プレスによる圧下率75%の鍛造により直径200mm、厚さ25mmの円盤状の鍛造素材を製造した。
静的粒成長試験:
前記の本発明Ni基超耐熱合金No.1、No.3及びNo.4の丸棒素材、及びWaspaloy相当合金の鍛造素材から、それぞれ小片試料(概略一辺が15mmの立方体形状)を切断して採取した。所定の各温度に設定された電気炉内に、試料を挿入して1時間保持した後、炉外に取り出して空冷した。加熱処理後の試料に対して、光学顕微鏡で金属組織を観察し、結晶粒径を測定した。
表6及び図3に、これらの測定結果を示す。
静的粒成長試験において、表6及び図3に示すように、本発明Ni基超耐熱合金No.1、No.3及びNo.4のいずれの場合も、加熱保持温度が約1115℃以下では、平均結晶粒径がASTM結晶粒度番号8以上(22.5μm以下に相当)と細粒を維持しており、それ以上の加熱保持温度で結晶粒が顕著に粗大化する傾向を示した。一方、Waspaloy相当合金では、1050〜1100℃の加熱保持温度の全範囲にわたって、温度が高くなるに従って結晶粒径が粗大化し、平均結晶粒径はASTM結晶粒度番号4(89.8μmに相当)前後であった。この結果から、本発明合金の加熱温度に対する粒径変化の挙動は、従来材であるWaspaloy相当合金のそれと全く異なり、本発明合金は、結晶粒の粗大化を抑制しつつ選択し得る熱間塑性加工時の加熱温度域がWaspaloy相当合金に比べて格段に広く、例えば、本発明合金の1100℃での結晶粒径と、Waspaloy相当合金の加熱保持温度が1050℃でのそれを比べると、それぞれ15μm前後と約75μmと、本発明合金において加熱保持による結晶粒の粗大化が効果的に抑制されており、本発明合金は、加熱温度に対する結晶粒径制御の点での製造安定性も非常に優れることが分かった。
更に、本発明Ni基超耐熱合金がこのような細粒を、初期状態である約100μmの粗粒であっても、熱間加工後の最終製品で得られるかを確認するために、圧縮試験を行った。実施例2と同様に、高周波真空溶解と消耗電極式真空再溶解からなる二重溶解によって溶製した直径500mmの前記の表3で示す組成のインゴットを均質化処理した後、油圧プレスで分塊鍛造することで直径260mmのビレットを作製した(Alloy A)。
圧縮試験:
前記のビレットから厚さ15mmのスライスを採取した。結晶粒径の調整を目的として1120℃で1.5時間の加熱保持を行い、初期粒径を約100μmとした。加熱後の試料から、直径8mm、高さ12mmの圧縮試験片を採取し、この圧縮試験片を、各試験温度に昇温して、ひずみ速度1s−1の条件下で、10%の圧縮率で計4回の圧縮加工を行った。なお、圧縮加工と圧縮加工との間の保持時間は2sであり、4回目の圧縮加工後は2sの保持の後、ガス冷却した。圧縮試験後の試験片縦断面の金属組織を光学顕微鏡で観察し、結晶粒径を測定した。
表7に、この測定結果を示す。
表7に示すように、本発明Ni基超耐熱合金のAlloy Aは、1090℃の加工温度では、圧縮加工後も一部に未再結晶粒が残存した影響で平均結晶粒径が11.4μmであったものの初期粒径に比べて格段に細粒化されており、また、圧縮加工後の組織が完全再結晶組織となった1100℃〜1120℃の加工温度では、平均結晶粒径が8.0〜8.7μmの非常に均一な細粒組織が得られていることが確認された。
この発明の航空機エンジンケース用Ni基超耐熱合金は、特に、高温引張特性、低サイクル疲労特性等の高温特性にすぐれ、高温環境下で継続的に使用した場合でも、高温特性の劣化を十分に抑制し得ることができ、また、加工性にもすぐれ大型部材を製作することも可能であることから、航空機エンジンケースばかりでなく、例えば、大型の高強度超耐熱材料として各種の他分野への応用が期待される。

Claims (5)

  1. 質量%で、
    Co:4.0〜11.0%、
    Cr:12.0〜17.0%、
    Al:2.0〜4.0%、
    Ti:2.0〜4.0%、
    Al+Ti:4.6〜6.7%、
    Mo:5.5超〜10.0%、
    W:0超〜4.0%、
    B:0.001〜0.040%、
    C:0.02〜0.06%、
    Zr:0.05%以下(0%を含む)、
    Mg:0.005%以下(0%を含む)、
    P:0.01%以下(0%を含む)、
    Nb:1.0%以下(0%を含む)、
    Ta:1.0%以下(0%を含む)、
    Fe:2.0%以下(0%を含む)、
    を含有し、残部がNiと不可避不純物からなる組成を有することを特徴とする航空機エンジンケース用Ni基超耐熱合金。
  2. 請求項1に記載された航空機エンジンケース用Ni基超耐熱合金の成分とその組成に基づく熱力学計算から算出されるMC型炭化物の固溶温度T1とγ’相の固溶温度T2との差(T1−T2)が、−30℃≦(T1−T2)≦+40℃を満足することを特徴とする請求項1に記載された航空機エンジンケース用Ni基超耐熱合金。
  3. 750℃における全ひずみ範囲0.6%の低サイクル疲労試験における破損繰返し数が1.0×10以上であることを特徴とする請求項1または2に記載された航空機エンジンケース用Ni基超耐熱合金。
  4. 750℃における引張強さが1000MPa以上であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載された航空機エンジンケース用Ni基超耐熱合金。
  5. 請求項1乃至4のいずれか一項に記載された航空機エンジンケース用Ni基超耐熱合金からなることを特徴とする航空機エンジンケース。
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